研究開発基盤部会(第31回)議事録

1.日時

令和7年8月28日(木曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省内15階特別会議室及びオンラインのハイブリッド形式

3.議題

  1. 研究開発基盤に係る最近の動向
  2. 量子ビーム施設利用推進委員会の審議経過について
  3. 先端研究開発基盤強化委員会の審議経過について
  4. 新規事業の事前評価について(非公開)
  5. その他

4.出席者

委員

網塚部会長、高橋部会長代理、雨宮委員、有馬委員、飯田委員、伊藤委員、岡田委員、木下委員、高村委員、古川委員

文部科学省

(事務局)大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当) 福井俊英、参事官(研究環境担当)馬場大輔、参事官補佐 伊藤有佳子、参事官補佐 田邉彩乃

5.議事録

【網塚部会長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第31回研究開発基盤部会を開催いたします。
本日はお忙しい中、御出席いただきまして、ありがとうございます。
まずは事務局から事務連絡、参加者、定足数の確認等をお願いいたします。
【伊藤補佐】 かしこまりました。まず、事務局より大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)の福井から御挨拶を申し上げます。
【福井審議官】 科学技術・学術政策局の審議官の福井でございます。よろしくお願いいたします。
本年度入って2回目ということで、前回は前局長の井上が出席させていただきましたが、部会があるたびにこちらのほうで人事異動があって、参事官も替わりましたし、私も4月に着任しておりましたが、今回初めて参加させていただきます。よろしくお願いいたします。
当基盤部会の重要性、改めて申し上げるところではございませんが、研究環境、非常に重要だと思っております。研究パフォーマンスを最大限に発揮する研究費の在り方、研究設備の充実など、研究環境の改善のための総合的な政策の強化が必要です。
一方、研究現場におきましては、研究環境の不十分さが指摘されるなど、研究環境を取り巻く状況は依然として深刻かと思っております。このため、大型研究施設や先端研究設備・機器の戦略的な整備・共用・高度化を進めることにより、意欲・能力ある研究者が所属組織にとらわれず、研究の場や機会を得られる研究基盤を構築して、共用の場を生かした先端計測・分析機器の開発を進める必要があるかと思っております。
御承知のとおり、政府におきましても、次期科学技術・イノベーション基本計画の策定に向けた検討が進められており、研究環境のテーマというのも大変重要なところで、一層関心が高まっているというところかと思います。
こういう状況でございまして、本日、委員の皆様方には研究基盤の在り方について忌憚のない御意見をいただければと思っております。よろしくお願いいたします。
【伊藤補佐】 ありがとうございます。続きまして、事務局に人事異動がございましたので、御紹介をさせていただきます。
【馬場参事官】 先月、野田の後任として参事官を拝命した馬場と申します。今、福井から話あったとおり、役所、人事異動が多いところではあるんですが、できる限りこの部会の議論を具体的な施策にしていきたいと思っております。
私も着任して以降、早速、大学の現場や、放射光施設、J-PARCなどなどを訪問させていただきました。できる限り、そういった現場の声も聞きながら、国全体としての大きな方向性というのを本部会の意見を踏まえながら実践していきたいと思います。
今後ともお世話になると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
【伊藤補佐】 続きまして、参加者等の確認をさせていただきます。本日はオンラインとハイブリッド形式で会議を開催しており、全11名の委員の中から9名の委員の皆様に御出席をいただいております。対面による御参加が7名、オンラインでの御参加が2名となっております。なお、伊藤委員が遅れて御参加する予定となっております。また、唯委員が御欠席です。
事務局からは、福井、馬場、田邉と伊藤が参加させていただいております。
議題1から議題3につきましては、会議公開の原則に基づきまして、報道関係者、一般傍聴者によるYouTubeでの傍聴を認めておりますので、御了承ください。
議題4「新規事業の事前評価について」につきましては、研究開発基盤部会運営規則第5条に基づきまして非公開とし、出席委員のみで議事を進めていただきたく、議題3が終わりましたらYouTubeの配信を終了いたします。
続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。
配付資料ですけれども、議事次第にありますとおり、資料1-1から4-1、参考資料1-1から参考資料4-1を配付させていただいております。
御不明点がございましたら、事務局まで御連絡いただければと思います。
以上でございます。
【網塚部会長】 ありがとうございました。
それでは、早速議題の1に入らせていただきます。「研究開発基盤に係る最近の動向」についてです。まずは事務局から趣旨の御説明をお願いいたします。
【伊藤補佐】 事務局でございます。それでは、議題1につきまして、資料1-1を用いまして、「研究開発基盤に係る最近の動向」について御説明をさせていただきます。
1ページ目でございますけれども、前回、5月の部会以降の動きについて説明いたします。
まず、政策文書の関連でございますけれども、令和7年6月13日に閣議決定をされました「経済財政運営と改革の基本方針2025」におきまして、先端研究設備・機器の戦略的な整備・共用・高度化を推進する仕組みの構築ですとか、官民連携による、先端大型研究施設の戦略的な整備・共用・高度化の推進といった流れの中で、大型放射光施設SPring-8、NanoTerasuの重要性について閣議決定されているところでございます。
また、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」におきましても同様の記載が掲げられているところでございます。
続きまして、「地方創生2.0基本構想」におきましても、先端研究設備等の共用拠点を整備しネットワークを構築するといったことが掲げられております。
また、「統合イノベーション戦略2025」におきましては、先ほどと同様にコアファシリティ化を推進というところも書かれておりますし、関連情報の一元的な見える化ですとか、機関間の連携を推進するといったような記載もございます。
また、SPring-8-Ⅱ、NanoTerasuに加えまして、大強度陽子加速器施設J-PARCの機能強化等について、成果を検証した上で検討するといったようなことも掲げられております。
また、先端研究設備・機器の戦略的な整備・共用に加えまして、技術専門人材の確保といったようなところですとか、研究の場や機会が得られる研究基盤の構築の重要性、共用の場を生かした先端計測・分析等の開発についての重要性につきましてもこちらに掲げられています。
こういった政策文書の動向も踏まえまして、昨今の研究開発基盤部会と関連する他の委員会の報告書等についても紹介させていただければと思います。
初回の研究開発基盤部会でも御紹介させていただきましたけれども、AI時代にふさわしい科学研究の革新といたしまして、文科省内で一体となって様々な検討を進めているといったところになってございます。
研究設備・機器の活用の最大化というマル1の青い部分と資金活用の最大化という競争的研究費改革につきましては、先端研究開発基盤部会とその下の委員会で議論を進めてきたところでございますけれども、今回これから説明いたしますのは、マル3の研究効率の最大化という緑色の大規模集積研究基盤の整備といったところとマル4のデータ活用の最大化という赤色の部分につきまして、報告書が取りまとめられておりますので、御紹介をするものでございます。
5ページ目でございますけれども、緑色に先ほどございました研究効率の最大化、大規模集積研究基盤の整備という流れの中で、科学技術・学術審議会学術分科会研究環境基盤部会におきまして、令和7年7月1日に「AI時代にふさわしい科学研究の革新~大規模集積研究基盤の整備による科学研究の革新~」という報告書が取りまとめられております。
左側のピンクのところですけれども、AI時代にふさわしい科学研究の革新に向けた取組の方向性として、マル1大規模集積研究基盤の整備という中で、中核となる研究装置を核として、先端研究設備群ですとか、関連する設備・機器を段階的に整備・集積すること、ワンストップでシームレスに統合された研究環境の構築が必要ということと研究の加速やセレンディピティを誘発し、遠方でも意欲・能力ある優れた研究者が研究環境にアクセスできるよう、集積される設備・機器は、最も効果が最大化される形で自動化、自律化、遠隔化が必要とされています。
また、マル2におきましては、AIとの協働ということも重要とされておりますし、マル2といたしまして、体制の構築と人材育成という中では、研究のコンサルテーションできるような技術支援人材の重要性といったことも掲げられております。
また、マル4産業界との協働、マル5国際頭脳循環の促進といった観点も重要とされている中で、右側の「取組の具体化に向けて」というピンクのところでございますけれども、実現のためには組織として大規模な設備・機器や人的資源等の基盤を有し、科学研究の変革の原動力となることが必要であり、大学共同利用機関といったところが有しているポテンシャルを生かしまして、AI時代にふさわしい科学研究の姿を実現するための拠点やネットワーク形成の中心的機関の一つとして期待されるということと、オールジャパンの研究推進体制を構築するといったことが必要ということがまとめられているところでございます。
また、続きまして、先ほどのマル4のデータ活用の最大化といったようなところにつきましては、6ページ目の科学技術・学術審議会情報委員会の方で、「次世代の科学技術・イノベーションを支える情報基盤の在り方について」の中間取りまとめがまとめられています。
右側の「情報基盤への期待・影響」というところでございますけれども、情報基盤は、AI時代の新たな科学技術・イノベーションを切り開くインフラとなりますし、AIが出力する情報の信頼性を担保する新たな情報基盤の構築が必要とされております。
こういったことを進めるための今後の情報基盤の方向性ということで、下の図の中にございますけれども、AIを取り込んだエコシステムの構築といったものが重要でございまして、人材の育成・確保、リテラシーの向上、研究データの共用・活用促進、産業界、海外との連携、効果的な配置という中に、一つに右下でございますけれども、AI for Scienceのための高度化といったようなところには、もちろん「富岳」ですとかポスト「富岳」、HPCIといった計算基盤に加えて、コアファシリティ化された施設から出てくるようなところも、情報基盤に直接接続をすることで、AI for Scienceやデータ駆動型研究を加速するといったところに期待が寄せられているといったようなことになってございます。
事務局からの御説明は以上でございます。
【網塚部会長】 ありがとうございます。
ただいまの御説明につきまして、何か御質問、御意見などございましたらお願いいたします。どなたからでも結構ですので、お気づきの点などございましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。
よろしいですか。特にないようでしたら、先に進めさせていただきます。
議題の2、「量子ビーム施設利用推進委員会の審議経過について」に移らせていただきます。まずは事務局から審議経過について御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。
【伊藤補佐】 承知いたしました。それでは、資料2-1「第13期量子ビーム施設利用推進委員会の開催経緯」をご覧ください。
まず、「これまでの主な調査・検討内容」を御覧いただければと思いますけれども、これまでに大きく三つの議題について御審議をいただきました。
まず一つ目が「NanoTerasuのビームラインの今後の方向性について」、二つ目は「NanoTerasuの中間評価について」、三つ目が、「J-PARCの将来構想」です。これらの三つの議題について委員の皆様から御発表いただき、御意見を頂戴いたしました。詳細な開催実績は後ろにつけてございます。
この三つのトピックにつきまして、簡単に、どのような議論がされたのか、事務局から御紹介をさせていただければと思います。
まず一つ目のNanoTerasuのビームラインの今後の方向性については、2回に分けて御審議をいただきまして、初回では、NanoTerasuセンターから、NanoTerasuの整備状況を御説明いただきました。資料2-2の7ページ目を御覧いただければと思いますけれども、NanoTerasu稼動初年度の2024年度から世界最高水準の安定度で輝度軟X線を供給しているということで、順調な立ち上がりを見せているといったところになってございます。
また、8ページ目になりますが、共用ビームラインの性能達成状況ということで、こちらも全く問題ないことが確認されています。
9ページ目は、本格的な共用は今年の3月からですが、共用の前の調整をしながら行った試験的共用というところでも着実な成果が見られるといったことの御紹介もございました。
また、10ページ目でございますが、共用課題の申請・利用状況ということで、多くの応募がありまして、かなり期待が寄せられていると。海外からの応募もあったという御紹介もされたところでございます。
11ページ目でございますけれども、海外の動向ということで、先行する第4世代放射光施設の成果がきちんと出ているという御紹介もあった上で、12ページ目でございますが、今、世界各国が第4世代の放射光施設の建設・高度化をしているところで、国際競争が高まっているという御紹介をしていただいたところでございます。
また、13ページ目でございますけれども、国の戦略分野とビームラインの増設のニーズというところで、AI・半導体、量子技術、バイオエコノミー、水素燃料といったそれぞれの分野に応じたビームラインができることでこういった戦略分野にも貢献していけるという御紹介もいただいたところでございます。
14ページ目が、増設ビームラインの方針ということで、こちら、前期の量子ビーム利用推進小委員会の報告書で御議論いただいたところですけれども、現在、フェーズⅠといったようなビームラインは建設が終わって、先ほど御紹介したとおり共用がされているというところでございまして、フェーズⅡという高いユーザーニーズのビームラインの必要性等について御議論をいただきました。詳細な御説明は割愛いたしますけれども、次ページ以降でも、様々な分野でこのビームラインが貢献できるということをまず初回、御紹介いただいたところでございます。
また、資料2-3につきましては、ユーザーニーズの調査をさせていただいたところでして、10ページ目を御覧いただければと思うんですけれども、QSTがビームラインのニーズを聞きましたところ、産学のユーザーから多様な分野での利用の希望もいただいておりますし、これから増設したいと考えているいずれの手法も年間利用可能日数を大幅に超過している状況ですとか、また、共用ビームラインがいつ増設してほしいかといったところにつきましても、今すぐに3年以内といったような形で早期の利用開始の希望が76%を占めるといったような情報、データも得られておりまして、やはり早期のビームライン増設が求められますといったようなことが御審議いただいたところでございます。
続きまして、NanoTerasuの中間評価についても状況を御説明させていただければと思います。資料2-4の冒頭にございますが、NanoTerasuにつきましては、平成30年8月に事前評価、令和4年6月に中間評価というものが実施されておりまして、令和4年の中間評価の中で、当該施設の整備が完了し、運用が開始されたタイミングをめどに、中間評価で示された課題等について進捗状況を評価することが適当とされているところでございます。NanoTerasuの運用が令和6年4月に開始したことから、今回中間評価を実施しているという状況になってございます。
こちら、評価の方針といたしまして、別紙1、別紙2をつけておりますけれども、後ろに掲げているような中間評価の項目に沿って評価をしていきましょうといったようなことが評価方針として御審議いただき定められたところでございます。
2ページ目に戻っていただければと思いますけれども、評価の進め方といたしましては、まず評価項目に沿って、整備・運用状況を御報告いただいた後に、項目、について評価をしましょうという御確認をいただいた後には、指摘事項への対応に関するヒアリングということで、評価項目に関するヒアリングを今現在やっていただいているというところになってございます。この後、現地調査ですとかということを踏まえて評価結果ということを取りまとめていくことになろうかと存じます。
NanoTerasuの整備・運用状況につきましては、資料2-5にまとめられておりますので、こちらも適宜御参照いただければと思います。
最後に、J-PARCの将来構想ということにつきましても、御審議をいただきましたので、御紹介させていただければと思います。資料2-6の2ページ目でございますけれども、「中性子科学の将来構想」ということで、現在ターゲットステーション1というもので、J-PARCを運用しているところですけれども、将来的には第2ターゲットステーションといったものも見据えたさらなる高度化を目指していきたいという形で御紹介をいただきました。
次の3ページ目でございますけれども、MLFの現状とさらなる成果最大化への道といったような形で、今、設計出力が1メガワットということで、世界最高の強度を達成しておりますけれども、右側にございますが、課題の競争率がかなり高いといったことで、世界的に競争力を持った研究課題を創出していくためには、測定効率を上げて、様々な研究分野の皆様により中性子を使っていただく必要があるとされているところでございます。
4ページ目には、現在も検出器の開発等を通じて効率化をしてきているんですけれども、さらにまたビームラインが増えれば、計測手法も増えますし、皆様にも使っていただける時間も増えるということで、5ページ目になりますけれども、世界初のビームラインの整備ということで、新しいビームラインの建設が必要なのではないかということでコンセプトを御紹介いただき、御審議をいただいたところでございます。
こちらの左側の図にございますけれども、現在15番目のビームラインでSANSといった手法もございますし、22番目のビームラインでイメージングといった手法もございますけれども、ここのマイクロメートルのところがどちらの手法でも計測できないギャップになっているので、ここを埋めるようなビームラインを構想していくことでさらなる研究の幅が広がるのではないかといったような御審議を頂戴しております。
このためには要素技術の開発といったところもございますし、また国際競争も加味した研究人材育成といったものが必要ですといったことをその後で御審議いただいたという状況になってございます。
事務局からは以上でございます。
【網塚部会長】 ありがとうございました。それでは、量子ビーム施設利用推進委員会の主査であります有馬委員からも審議経過についてコメントいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
【有馬委員】 では、有馬のほうから少し補足させていただきます。
まず、NanoTerasuのほうからですけども、ただいま御説明ありましたように、資料2-2と資料2-3で、NanoTerasuの特にビームライン増設に関わる、現在5本の増設計画のうち1本は既に予算がついて進行中なんですけど、残り4本について、やっぱりどういうものなのかというのをちゃんともう1回レビューして、レビューというか、委員の中で見直して、大丈夫かと、それからNanoTerasu側はユーザー調査をしたというところなんですけども、見ていただくと、資料2-2のそれぞれ4本のビームラインの中身で書いてあるところがあるわけなんですけども、それと比べて2-3では、どういうような性能で、どういうところを目指すのかというのがもう少し詳しく出ていて、例えば、放射光ですから、波長とか、あるいはイメージング後どういうような分解能を目指すかとか、あるいは分光だったらどういうエネルギー分解能を目指すとか、そういうことを、割と細かい質疑等も含めながら確認していって、それとユーザーのニーズがどうかと。ニーズだけじゃなくて要するに最先端の科学をできるのかどうかということをチェックしながらそういう話を進めているというのがNanoTerasuのビームラインの増設の現状で、委員の皆様から、これは共用のほうの話ですけども、コアリションビームラインについても、近々、共用法での利用をある割合で行うということもありますし、そのほかの理由もあって、コアリションのほうのビームラインでどういうことが行われているのかもぜひ知りたいということで、それは現地調査とか、いろいろ今後ありますので、それを含めて考えていくということになります。
それから、J-PARCのほうは、ただいま御説明ありましたとおり、現在、ダブルという、今ある装置で2倍にするために、検出器とか、あるいは、あとミラーとか、幾つかの開発・整備を進めているところという説明があり、加えて13番というところに新しいビームラインを造ろうということで、それが将来の中性子顕微鏡、これはターゲットステーション2に向けての準備になるわけですけども、そこに向けてどういうことをやるかというのが、これは御説明があって、これに関しては、委員の皆様から非常にいい方向性であるということと、あと、こういうことをやるには新しい開発項目がいろいろあるので、それに関して幾つかの助言や、こうしたらいいんじゃないか、あと、こういう方向性はどうかというような御意見をいただいたというところでございます。
評価に関してはまだ進行中ですし、現地調査が9月に行われる予定ですので、また次回お話ししたいと思います。
以上、簡単ですが、私のほうから御説明いたしました。
【網塚部会長】 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明、コメントについて、もし御質問、御意見などございましたら、どなたからでも結構ですので、御発言をお願いいたします。
網塚から一言質問させていただきますが、ビームラインの拡張等もあって、また高度化も進んで、発展が構想されているということで非常に期待度も高いと思うんですけれども、マンパワー、あるいは人材育成の面ではどのような状況なのかということについて一言いただけたらと思いますが、いかがでしょうか。
【有馬委員】 有馬ですけども、やっぱりそれ大型施設共通に、昔、例えば中性子にしろ放射光にしろ、大学が中心になって、ビームをつくるところから使うところまで全部大学でやっていたというのからだんだん高度化して、少なくともビームを出すところは、専門的な理研なり、今の場合、QSTですかね、そこに任せて、ある意味で少しずつ役割分担が進んでいるんですけど、それが人材育成にちょっと厳しいところを与えているというのは事実なので、それは両方の施設とも認識していて、それぞれどういうふうなやり方をするかというのは違うんですけども、やはりそこをいかに大学院生をそこに引っ張り込んでやるかというような施策は、両方とも、幾つか、特にJ-PARCはいろいろ考えられていて、NanoTerasuはまだ走り出したところなので、共用法の枠内でどういうふうにするかというのはまだこれからだと思いますけども、それに関しても、特にSPring-8とかは既にいろんなことを考えてやっているので、それを見ながら、両方とも、SPring-8もNanoTerasuも同じJASRIというところが共用促進法の受皿になっていますので、そこのユーザービームタイムをどういうふうにうまく配分するかというところと、大学院生をどういうふうに引っ張り込むかというところは一緒に考えているところです。そういうような感じです。
いずれにせよ、でも、御指摘のとおり、課題であり続けるとは思いますので、ぜひこれからも考えていきたいと思っています。
【網塚部会長】 ありがとうございました。
ほかに皆様からいかがでしょうか。よろしいですか。
伊藤委員、よろしくお願いします。
【伊藤委員】 伊藤でございます。資料2-3の中にビームのラインのニーズというものがあったかと思います。お聞きしたいのは、増設していただくという計画も今お話聞いたわけなんですけれども、例えばイメージングのニーズというのは非常に高いと思うんですけれども、この辺り、増設をしていただくことによって、どのぐらいユーザーさんのNanoTerasuの利用の希望のニーズに対して、何%ぐらいのところまで応えることが増設によってできるのかなという辺りのレベル感を知りたいと思うんですけど、いかがでしょうか。
【伊藤補佐】 事務局でございます。先生、御質問いただきまして、ありがとうございます。今投影していただいているのがまさに先生御指摘のところなんですけれども、右側のグラフを見ていただければと思うんですが、一応利用希望日数だけを単純に積み上げますと、なかなか増設ビームラインを造ったとしても、赤い点線のところまでというところにはなってしまうんですが、毎回申請を受けましたら、最適な時間、日数ですとかサイクルみたいなところも、最後、ちょっと調整というか、しながら、できるだけ多くのユーザーの皆様に割り当てるというところを、選定、採択の際に工夫してまいりますので。でも、数字上は点線のところまでを。
【伊藤委員】 やっぱりそうなんですね。
【伊藤補佐】 はい。まずは1回が担うということで、複数回、もちろん回数もございますので、とにかく、でも、ビームラインができないとここのニーズが全く埋まらないとという形になっていくので。
【伊藤委員】 そうですね。分かりました。企業側でも、XAFSであったりとかイメージングのニーズって非常にNanoTerasuに対しては大きいと他社の皆さんからも聞いておりますので、そういったところがうまく回っていけるようになるといいなと思って質問差し上げました。ありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。
【網塚部会長】 伊藤委員、ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。
よろしいですか。木下委員、お願いします。
【木下委員】 木下です。よろしくお願いいたします。今の伊藤さんと同じページになるんですけども、あくまでここは希望日数ということで、ユーザー側が使えたらなということで出てきている。これが本当にNanoTerasuでないといけないかという判断をすることで、あるいはほかの施設、国内のほかの施設でやれることであれば、そこに振り替えることで、総希望数というのをもっと効率化するとか減らすということもできるのかなと思って、ちょっとこの図を見ました。実際こういった施設間をつなぐ機能とか、そういったところというのをどのようにお考えか、あればぜひ教えていただければなと。
【有馬委員】 有馬よりお答えします。まず、イメージング、これ、(U)とか(W)ってありますけど、これちょっと実は違っていて、(U)と書いてあるほうが軟X線で、コヒーレンスを使ってイメージングするというものです。イメージング(W)というのは、基本的には、テンダーからハードX線、もうちょっとエネルギーの高いX線を使って、どちらかというと集光してスキャニングしながらというような感じのイメージングということになります。
NanoTerasuは、御存じのように軟X線あるいはテンダーX線に強みを持つので、特にイメージング(U)のほうは、恐らく最先端科学としてはNanoTerasuが一番強みを発揮する場所になります。むしろ委員会からもそういうものにしてくれということをお願いしているところです。もちろんイメージング(U)に関しても、SPring-8にも、07LSUとか、幾つか似たようなことはできるビームラインがありまして、共用にも出ています。
そういうことは、NanoTerasuとSPring-8は、今年の3月から、ユーザー組織、ユーザーの共同体を共通にしていますので、そこで共通のイメージングならイメージングの研究会というところがあって、そこで、要するに、同じイメージングをやりたいという学術系の人もですけども、人たちが、NanoTerasuもSPring-8も両方見ながら最適なものを選べるようにはしています。それがどうなるかというのはまた別ですけども、そういうふうにしています。
もちろんどういうところでどういうような装置が造られるかという情報も随時流しながら行いますので、そういう意味で、地域とか、いろいろ使い方が少しずつ違うところありますけども、相補的にできるようにとは思っているところです。
イメージングのWのところは、やはりSPring-8-Ⅱになったときには、どちらかというと最先端はやはりSPring-8のほうが、特にハードX線に関しては強くなるので、NanoTerasuはテンダー側に重きを置くとか、あと、スループットをどのぐらい上げるかとか、そこのところに主力が行くのかなと思っています。今のは個人的な、でも、そういうふうに思っていると、そういうようなところですね。
いずれにせよ、SPring-8とNanoTerasuは、初めて2施設間で1つのユーザーの共同体というシステムにしましたので、そこを使ってうまく使い分けていくようにしていければなと思っています。
【木下委員】 ありがとうございます。
【網塚部会長】 よろしいでしょうか。
ほかいかがでしょうか。

特にないようでしたら、ただいまの質問等を踏まえつつ、事務局におかれましては、今後の審議事項に反映していただければと思います。また進捗等ございましたら、本部会に御報告いただければと思います。
それでは、次に移りたいと思います。議題の3、「先端研究開発基盤強化委員会の審議経過について」です。まずは事務局から審議経過について御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【田邉補佐】 御説明させていただきます。まず、資料3-1を御覧いただければと思いますけれども、こちらにありますとおり、開催実績のとおり、先端研究開発基盤強化委員会につきましては、3回開催をしております。
第1回、第2回においては、飯田委員より日本分析機器工業会からの研究基盤・研究環境に関する提言の骨子を御紹介いただきまして、また、網塚主査より北大の共用機器を中心とした研究環境整備の検討状況についても御紹介いただきました。
こういったことを踏まえまして、本日資料3-2につけております、「研究の創造性・効率性最大化のための先端研究基盤の刷新に向けた今後の方針」、こちらを取りまとめていただいているところです。内容につきましては後ほど簡単に御紹介させていただければと思います。
また、第3回におきましては、今後の議論に向けまして、飯田委員よりまた日本分析機器工業会の提言の取りまとめ版につきまして改めて御紹介いただくとともに、上西委員より山口大学のコアファシリティの取組について御紹介いただくというようなことをしております。
また、こちらの資料3-2に本日つけております今後の方針を踏まえ、文部科学省といたしまして新規事業を検討しているところでございますので、そちらの内容についての事前評価というものを第3回のときに実施していただいております。
また、こちらの事前評価につきましては、本日のこの後の議題4におきまして本部会でも御議論いただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、資料3-2につけております今後の方針の内容につきまして簡単に御紹介させていただければと思います。1ページのところですけれども、「はじめに」というところですが、本文書ですけれども、研究開発基盤部会12期のときに議論の取りまとめをいただいておりまして、その中で先端研究設備・機器についての今後の方針ということで、共用システムについての見える化を進めていくであるとか、整備と共用、それから開発・高度化ということについて一体的に進めていくべきであるというようなところの御提言をいただいておりますが、そちらの内容を踏まえ、今後、当面取り組むべき事項であるとか、具体的な制度に盛り込むべき事項というものを検討し、お取りまとめいただいているものになります。
また、本日の議題1の中で改めて紹介ありましたけど、文科省において「AI時代にふさわしい科学研究の革新」ということを踏まえて検討すべきことというのを示しておりましたけれども、そういったところも踏まえて取りまとめをいただいているというものになります。
2ポツのところに「長期的に目指す姿」としてまず目標を掲げていただいております。こちらの内容ですけれども、1つ目のポツで、全国的な研究基盤として、研究設備等・技術専門人材の共有のネットワークを構築し、全国の研究者が必要な研究設備・機器等にアクセスできる環境を整備し、共用を前提とした研究環境に転換していくということを一番の目標に掲げております。
我が国全体として研究基盤を強化する共用研究設備等の整備・運用の仕組みを構築し、そこに試作機の試験導入であるとか、利用技術開発などの先端研究設備等の高度化・開発を行うような場にしていくというようなことを通して、先端研究設備等の導入・共用・開発が循環する環境をしっかり醸成していくというところを目標とさせていただいているところです。
その下のところに「今後10年で目指す姿」というところで、さらに具体的にどういったところを目指すべきなのかというところを掲げているところですけれども、まず1つ目が共用システムの見える化ということで、共用システムに係る情報が一元的に集約化されて見える化をすると。そういった情報を踏まえて、研究活動や研究マネジメントを行っていくであるとか、国の戦略策定等に活用していくということを目指してはどうかという内容になっています。
2つ目のポツですけれども、全国の研究者が活用できる研究基盤をしっかり整備していくということで、コアファシリティ化が進む研究大学等に共用拠点を形成し、コアファシリティ・ネットワークであるとか装置分野のネットワークといったようなものを形成し、こういったネットワークの連携により全国をカバーしていくということを示しております。
その次のページ、2ページ目ですけれども、共用を前提とした研究設備等の整備・運用への抜本的な変容を図るということで、共用拠点・ネットワークには分野横断的に汎用性の高い一定規模以上の先端研究設備等を技術専門人材とともに戦略的・計画的に当初から共用を目的にしっかり配置をすると。
こういったものを使うということを前提とした上で、次のポツですけれども、競争的研究費の使途の変容というところを図っていくべきではないかというところを掲げております。
そのほか、組織外への共用をしっかり促進していくであるとか、こういった共用拠点をしっかり整備することによって、研究の質の向上、研究時間の確保に資するようにしていくであるとか、あとは、研究データ基盤システムとの接続を通じたデータ利活用の促進を図っていく。
また、最後のポツになりますけれども、共用の場を活用した先端基盤技術・機器等の開発をしていくということで、共用の場を接続点とした産学連携により、研究ニーズや革新的なアイデア・技術に基づく新たな計測・分析技術の開発であるとか、試作機の開発、利用技術の開発等を進展させ、汎用化した先端機器等はいち早く、開発した機器をいち早く共用の場に導入していくというようなところを目指していくべきではないかという内容になっております。
その下、3ポツ以降にこういったことをどういった形で取り組んでいくべきかということで、当面の5年間で取り組む事項の実施方針というところをまとめておりますので、御参考いただければと思います。
私からの説明は以上です。
【網塚部会長】 ありがとうございます。
それでは、先端研究開発基盤強化委員会の主査を務めております私、網塚からも審議経過について幾つかコメントさせていただきます。
強化委員会では、皆さんにいろいろな視点から本当に自由に御意見、御議論をいただきまして、それを事務局のほうで整理していただいてまとめたものになっております。短期的な課題もあれば長期的な課題もありということで、やや総花的になっているところはあります。強化委員会で集中的に議論が行われた点について2点コメントさせていただきますと、まず1点目は、設備共用環境の整備についてです。これまでも行ってきたものですが、全国的に進めてきた先端研究設備のプラットフォームプログラム、それからコアファシリティ構築支援プログラムによって、まとめにもございますが、装置の見える化、大学運営の中での位置づけ、それから技術人材育成といった点については大きく進展してきました。
ただ、各機関としても、さらに最適化を進める余地は残っております。その際に重要なのは、単なる縮小や効率化を図る、いわゆる縮小均衡的な発想にとどまるのではなく、コストカットを行うことでむしろ戦略的に最先端装置を導入するとか、老朽化した装置を計画的に更新していくといったことを進めて先端研究の発展につなげていくという視点が求められるという点、それが1つ目です。
2つ目は、共用の場を生かして、先端設備の開発・高度化の機能をどう生み出していくかという点です。世界最先端の研究を行っていく、切り開いていくためには、ユニークな設備の開発が不可欠でありまして、それがやがて各分野のスタンダードな研究手法・装置となって復旧していくといった例は少なくありません。共用機器は一般に汎用性の高い装置なんですけれども、それを多様な利用者が使うということで、試行錯誤の中から、改良ですとか高度化の発想が生まれてくると。そこからイノベーターですとかアーリーアダプターといった方たちが登場して、メーカー等と連携した開発につながって、最終的にはそれが汎用化していく、そういった流れを生み出していくことが重要だという認識に至りました。
この点につきましては、島津製作所の飯田委員がJAIMAからの提言書としても発信されて、機器メーカー側からも注目されているところでありまして、今後の展開が期待されております。そのためにも、共用機器をさらに幅広く活用して、全国的なネットワーク化を進めていくといったことが重要であると考えております。
加えて、民間企業との連携を通じて技術人材の育成にもつながっていくのではないかと考えております。
私からの補足のコメントは以上となります。
ただいまの御説明、それからコメントにつきまして、皆様から御質問、御意見ございましたらお願いいたします。
有馬委員、お願いします。

【有馬委員】 有馬です。御説明ありがとうございました。私からお伺いしたいのは、資料の1-1の一番初めの御説明の一番初めで、初めのほうに、地方創生2.0というのがあって、その中に、ここでは「地方大学、大学共同利用機関等に自動化・自律化・遠隔化等の機能を有する先端研究設備等の共用拠点を整備しネットワークを構築する」というのがあって、どちらに重みがあるか分からないんですけども、目標は、利用機会を増加させることとなっているから、地方の方から利用できるようにということだと思うんですね。それで、量子ビームとかは出張できるので、それはそれでいいとして、先端研究基盤に関しては、やはりこれを可能にするには、一つの手は、もちろん地方大学等にそういう拠点を置くことで、もう一つのやり方はそうじゃなくて、遠隔化とか自動化とか自律化とか進めることだと思うんですけども、まずこれに関してどんな感じの御議論が、あるいはあったかなかったかでもいいんですけど、教えていただきたいんですけども。
【網塚部会長】 そうですね。遠隔化・自動化について大きく整備が進んだのは、御存じのようにCOVID-19が起きたときでありまして、そのとき、補正予算による補助もありまして、共用機器を整備していく要素の中に、ユーザーはサンプルを送り、それを現地の研究者なり技術者が共用設備を使って解析し、できればリアルタイムで、ユーザーの方とコミュニケーションを取りながら研究を進めていくということを進めましたね。
それは、もともとは大学に出勤したり通学できなくなってしまったという事態があって、大学の中の研究者や学生を支援する目的からスタートしていますが、そこが発展してさらに全国的なネットワーク、共用機器のネットワークにこれを活用しようということで大々的に進めていくようになったということですね。
COVID-19が収束してからは、この点に関する議論はそれほど活発に行われているわけではありませんが、そのとき構築した機器を今も活用して遠隔化等を進めているコアファシリティ機関がございます。
【有馬委員】 有馬ですけれども、そういうふうに進んできたということは理解しているんですけど、今後目指すべき方向として、そういうメールインサービスみたいな感じのサービスというのだと、もちろん研究は進みますけども、例えば大学にそれを売って、大学の学生がそれでいわゆる人材育成につながるかというと、あんまりそういうことでもないような気がしていて、あたかもそこにいるかのような感じで、ちょっと理想論だけ言いますね、あたかもそこにいるかのような操作しているような感じでできれば多分理想的だと思うんですね。
それをするためにはもちろんいろいろ準備が必要ですけども、一つは自律化ってありますけども、やっぱり操作するところ、特にパーソナルコンピュータとか、コンピューターベースで操作するところが遠隔でできるようにならないかというところと、それから、そういう操作に関して、少しデータベース化というか、ずっとそれをモニターを録画しておいて、蓄積しておいて、VLMみたいな形でやっておくと、AI for Scienceという話もありましたけども、そういうようなところにもつながっていくので、将来多分そういうような形で、外からも、昔SINETという話もありましたけども、そういうのを通じて、高速ネットワーク、セキュリティーのネットワークを通じて操作できて、しかも、だからそれは遠くにいる学生とかも実際にやっているような感覚でいくと。プラス、そういうような録画しておくことで、それはAI的にもアシスタントができて、つまり、現地側で全部それを今技術者の人が全部教えたり何かしているんですけど、それがそうじゃなくて、ある意味AI的なアシスタントでかなりの部分ができるような形で、理想論だけ僕申し上げていますけども、そういうような形を目指してやっていくと、将来的にはつながるかなと思っているので、少しそういうことも検討していただければと思っています。
【網塚部会長】 ありがとうございます。まさにAI for Scienceの一つの在り方として検討していく必要があるかなと思います。基本的には地理的な制約によらず、研究者が最先端機器を使って研究をすることができるようになるという環境整備の一環だと思うので、そういうニーズがあれば、やっぱり進めていく必要があるんじゃないかなと思います。北海道大学もそういう意味では地方大学の一つで、北海道の中の他の大学からは相当な地理的距離があります。連携したいと思ってもなかなか実際に人が来て密に研究を進めるということが難しいので、やはりこういう遠隔の研究、教育もそうですけれども、進めていく取組はさらに強化していく必要があるなと思っております。COVID-19の後、少しこの議論が下火になっているところはあるかなと思います。
ほか皆さんいかがでしょうか。
岡田委員、お願いします。
【岡田委員】 今のこととも関連すると思うんですが、分野とかターゲットによって大分、どのくらいリモートでできるかというのは変わってきていて、今回のコアファシリティ化の話、総論としては非常に重要でいいと思うんですけれども、一方で、例えば生物系の実験だと、生のサンプルを扱わなきゃいけないという場合は、そのサンプルがある場所に機械がないと、生のまま持っていけない場合とか、あるいは持っていくことが困難な場合、例えば動物実験であるとか、遺伝子組換え実験であるとか、あるいは感染症のような場合とか、施設外に出すことが極めて困難な場合とかいうものもあり得るので、そういうものに対して、そうするとコアファシリティ化と並行してそういうのもそこに全部集積していくかというと、超巨大センターをつくるみたいな話になってなかなか大変な部分があるかなというのが1つと、逆にリモートについては、自動化との関連で、実際に今、バイオDXとか、そういうので経験していることは、意外に今の測定器の多くって、試料をセットしてしまえば、あとはマウスをちかちか触っているだけなので、十分に速いネットワークの上で操作すれば、横に機械があるか500キロ先にあるかは関係ないんですね。
でも、何かすごく最初にサンプルを載せるところと終わった後、回収して掃除するところとか、そういうところだけその場にいなきゃいけないというケースになっているので、しかもあまり自動化というと、そこを自動化するという発想はあんまり、少なくともこれまでの機器メーカーさんにはなくて、どちらかというとセットした後は全部自動化できますよという話はたくさん機器のほうにあるんですけど、だからそういうことを開発していただくのと同時に、もう一つ、今それを実際日本の国内でやろうとすると何が問題かというと、ネットが遅いという問題があって、ぱっとクリックしてから、しばらく1秒ぐらいたってからレスポンスするとかというと、なかなか大変。
その辺、多分ネットワークを整備するという話と、最初のセットするところと終わった後の片づけのところで、それを例えばその場に専門の技官さんがいてということになると、また今度、人材がどうという問題になると思うので、その辺り、例えばSPring-8でたんぱく質の構造解析は完全に自動化されていて、宅急便で送ったら自動的に全部拾って載っけて解析してといってパイプラインで走っていると思うんですけど、そういうセットするところから終わるところまで全部自動化されるとリモートでルーチンな解析等やりやすくなるんじゃないかと思います。
以上、ありがとうございました。
【網塚部会長】 ありがとうございます。ほかいかがでしょうか。
【木下委員】 よろしいですか。トヨタ自動車の木下です。資料の3-2の3ページの一番下段のところに、必須事項ということで、これ共用をした場合のインセンティブという表現がされているかなと思います。ちょっと幾つかの事例を見ると、これは共用をさせる側、ちょっと言葉が正しくないかもしれませんけど、装置を共用させる側にとってのインセンティブなのかなと。いわゆるかかる費用に対しての柔軟性を高めるとか、そのように読んだんですけど、その理解は正しいでしょうか。
【網塚部会長】 大学として、共用機器を統括部局が管理して利用者に提供しているケースと、あとは、多くの場合、多くの大学そうなんですけれども、研究者が自分の努力で外部資金を取って、購入して設置・整備した装置を共用化して、学内、学外のユーザーに提供するパターンがありまして、ここで言っているインセンティブというのは、研究者が、ある意味自分で獲得した外部資金で購入した装置を共用化して提供するときにどのようなメリットがあるかという意味ですね。
【木下委員】 そういうことですね。そうしましたときに、それで共用化というか、提供いただける、共用される装置が増えますと、一方でやっぱりそこを使いに行こうという側の、そこをインセンティブと言うとちょっと言葉が違うのかもしれませんけど、共用施設を使うことに対してのメリットというか、があることで、いわゆる使う側、使われる側ということでの需要と供給の高まりによってより加速されるのかなとちょっと感じるところがあって、じゃあ、共用設備をアクセスする側に対しての何かうれしさというものもこの中で考えていくべきなのかなとちょっとここを読んで感じました。何かそのような議論があります?
【網塚部会長】 ありがとうございます。主な議論は、装置を提供する側のインセンティブについての議論でした。つまり、大学において研究設備の共用化を図るときには、装置管理者となっている研究者のほうにその装置を共用化することによるメリットが十分ないとなかなか進まなかったという事実があります。
提供する側としては、もちろんユーザーが来て装置を利用することによってまず利用料収入が入るということと、それから、時にはそれが共同研究となって、自分たちの研究成果の発信、研究成果の向上にもつながるというメリットがあります。
でも、一方で、ユーザーに対して世話をする、トレーニングをすることの手間もかかりますし、あるいは共用化することによって装置が故障してしまうといったことも起き得るということで、そのメリット、デメリットがあるんですけれども、その辺りのインセンティブをどう設計するか。利用料収入があってもそれで装置を更新するだけの金額にはならないといったことがあります。
ユーザー側にとってのメリットというのは、一つはやはり自分で装置を持たなくても、最先端機器を使って成果を出すことができるというところが何よりも大きいと思います。もちろん利用料を払わなければいけないんですけど、それに見合う成果が出れば、非常にハッピーなんじゃないかと思います。
あとは、装置管理者となっている方が研究者、あるいは非常に優れた技術者である場合、その装置を使ったときの科学的なディスカッションというんですかね、分析結果に対するアドバイス、あるいは今後の進展につながるアイデアが得られるというメリットがあると思います。
一番極端な例としては、ある装置が、今までその装置が使われていた分野とは全然違う分野のユーザーに対して開放されたときといいますかね、ユーザーのほうがその装置を使って自分の研究分野で成果が出せるかどうか分からないんだけれど、とにかく使ってみた。そこで成果が出たときには非常にインパクトが大きいですね。固体物性の観察に使うような装置をバイオの分野で使ったときに、今まで予想していなかったような成果が出たとか、そういった場合には、ユーザー側にとってももちろん新しい研究の方向性が開けることになりますし、提供した側もその装置の利活用の幅が広がるということで大きなメリットになる。そういった事例もございます。
【木下委員】 ありがとうございます。個人的な目線かもしれませんけど、やっぱり共用される設備があったときに、ここぜひ使いたいとか、あるいは使わせたい、近くのメンバーに行ってもらうと。やっぱり今、企業の中でも技術伝承とか、そういった観点でやっぱり苦労している点もあって、そういうところにアクセスすることによって人が育つという要素があると、より積極的に使いに行こうというちょっと意識も高まるのかなと思いましたので、人のつながりとか、技術を学ぶ、得るという機会としても共用のフレームをうまく使えるとよりいいのかなと思って発言いたしました。
【網塚部会長】 ありがとうございます。おっしゃるとおりかと思います。
【古川委員】 お茶の水女子大学の古川です。私、小さい大学にいるので、なかなかそういった共用の実施状況の情報が来てない状況なんですけれども、利用実績みたいなもの、今の共用に関係するものはどこかで調査され公開されていますでしょうか。
【田邉補佐】 事務局から補足をさせていただきます。公開されているかというところに関しては、今、調査ということに関しては、まず、我々の事業で実施させていただいておりました先端研究基盤共用促進事業の中で採択されている大学に対して、実施主体の文科省として、そういった利用実績といったところに関しての調査というものをさせていただいているんですけれど、それをちょっと個別の大学ごとに公表するというようなことは現状はしてはおりません。あとは、ほかにも網羅的に大学に対してそういった共用対象となっている設備が何台あるかみたいな調査も、政府の取組としては内閣府等で実施されているところではあるんですけれども、それも、まとまった平均の数値として世の中に公表されているデータはあるんですけれど、個々の大学かどうかというところに関しては現状、公表されているものはないかと思います。一方で、大学として公表されているような例はあるかと思います。
【古川委員】 もう一つは、そういった取組について、どういった感じで、どうやって周知しているか、どこまでを対象として、やっていらっしゃるかを聞きたいんですけれど。
【網塚部会長】 学内、学外、いろいろなケースがありまして、もちろん学内には広報活動を行って、これだけの装置が共用化されているので、皆さんぜひ使いましょうと。
それから、例えば北海道大学の場合ですと、資産台帳から装置を全部抽出して、その装置の管理者のところに、アンケートといいますか、装置の利用状況、共用化にどれだけ貢献できる装置になっているかというようなこともアンケートを取って、得られた、回収したデータをデータベース化して、今、1,200台ぐらいがホームページ上で公開されています。そこをご覧いただきますと、研究者が占有している装置もありますし、共同研究として使える装置もある、また、広く学内外にオープンファシリティとして開放している装置もあるというような情報が全部そこで分かるようになっています。そこのページに研究者の方々にできるだけアクセスしてもらい、自分の使いたい装置を探して実際に使ってもらったり、あるいは外部資金を取りに行くときに、重複する装置は申請しないように検討してもらったりといったような形で学内には浸透させていますね。
学外の利用に関しては、様々な広報活動がありますが、この後開催されるJASISで多くのコアファシリティ事業に採択された大学は広報されていますし、その他にも関係者がいろいろな学協会等で発表するとき、共用装置を使って研究をしてることをアピールしていただいて広げるというような形で進めています。
【田邉補佐】 補足させていただいてよろしいでしょうか。今、現状の取組としてはないといいますか、国として何かやっているというところはないと思うんですけれども、今後の方針というところでは、見える化というのを資料3のところで申し上げたと思うんですけれども、資料の3-2の1ページの今後10年で目指す姿の1つ目のポツのところで、共用システムの見える化というところで、共用システムに係る情報で、共用研究設備とか技術専門人材とか好事例といったものが一元的に集約化されて見える化されるというようなところを目指していきたいというところを目標としては掲げておりまして、そこで言っている研究設備等とか、技術専門人材とか、好事例の具体的な情報というところに関しては、それこそ装置、どういう装置がどこにあるかですとか、それがどれぐらいどういうふうに使われているかですとか、それをどういった技術専門人材の方がいらっしゃって、どういった活用ができるのかとか、さらに言えば、それからどういった論文が創出されているのかというような情報ですとか、そういったところが検索すると分かるようなシステムができるといいなというのはニーズとして非常にあると、現場のニーズとしてあるということも承知しているところですので、そういったものが今後構築できればということは考えています。
【網塚部会長】 多分、御質問の本質的なポイントというのは、全国の大学の中では、共用化に関して、関心の高さ、温度差があって、そのような状況の中で重点的に共用体制を整備した大学が今後いかに全国的なネットワークをつくっていくかということが課題の一つになっております。
いろいろな形態でのネットワーク化があると思うので、そこでもしかしたらそのような話が古川先生のところにも下りてくる可能性はあります。
【古川委員】 自分の大学でも、共用しましょうという話が、文科省から下りてきたときがあって、先ほど網塚先生がおっしゃったように、ホームページの中でこれは共有というのはあるんですね。ただ、私の経験だと、今までほかの大学からこういうのやっていますよとか、探す方法としてはこういうのもありますよとか、という情報が入ってきてない人もまだかなりいるのかもしれないと思います。かもしれないです。分かりません。
【網塚部会長】 それはまさに課題です。おっしゃるとおりで。
【古川委員】 そういった案内はあったんですよ、大分前に。
【網塚部会長】 そこに潜在的なニーズがあって、本来使いたい装置にアクセスの仕方が分からないために眠っている研究がきっとあるはずなんですよね。それを掘り起こしていくのが次の課題だと思っております。ありがとうございます。
ほかいかがでしょうか。
【飯田委員】 よろしいですか。島津製作所の飯田でございます。ありがとうございます。岡田委員の先ほどの御指摘、コメントに関連して発言させていただきたいんですけれども、まさに岡田委員が言われましたように、分野によっては、サンプルを置くところ、それから、あとは自動で共用ができるんだけれどもという、サンプルを置くところまでがというのは非常にございまして、例えばオミックスと言われる分野では、サンプルの生態系とか、ライフサイエンス系のサンプルを前処理して、その場ではからないと駄目だから、なかなか共用というのは難しいよねみたいなお話もあったんですけど、ただ片一方で、そういう前処理のノウハウとか、いろんな経験を持っている方がやらないと駄目だからできないよねという感じで、そういう話はあったんですけれども、そういう属人性をなくすための自動化とか、自律化も含めた、そういう前処理の機器化というのか、開発も、そういうノウハウ、経験のある研究者の方と、機器メーカーとしての開発、現実的に進めているものがございまして、そういう意味では、共用の場で、最先端の研究者のニーズから来る機器を、ユニークな機器を開発する場として活用したいとお話しさせていただいていたんですけれども、そういういいデータを取るための前処理のような、そういう機器開発、自動化、自律化のための機器開発の場としても共用の場というのは非常に有効ではないかなと思いまして、お話しさせていただきました。そういうことも含めて、ぜひ、誰でもとは言いませんけど、できるだけ誰でも、どの研究者の方でも、最先端の機器を使っていいデータが取れるという、そういう取組が進めていけたらなと思った次第です。
以上です。ありがとうございます。
【網塚部会長】 ありがとうございます。ほかいかがでしょうか。よろしいですか。
ちょっと公開されているうちに、私から質問といいますか、確認をさせていただきたいんですが、既にこちらの今後の方針についてはプレスリリースもされて、結構いろいろなところで反響がありまして、私も質問を受けております。それでちょっと代弁させていただきますが、今までいわゆる3C構造というのがありまして、その外側の2つのレイヤーにつきましては、これまでコアファシリティ構築支援プログラムとそれから先端研究設備プラットフォームプログラムが進められてきました。
課題と対応案、先ほどの資料3-2の7ページ目のところにございます課題と対応策の案の真ん中辺に4つの課題が提示されておりますけども、この4つの課題に対応していくために、従来の3C構造のレイヤーにおいて、レイヤー構造に沿った各層での取組の発展にとどまるのではなくて、例えばレイヤーを横断するような柔軟な発想に基づいて対応を検討していくということがあってもよいという整理といいますか、理解でよろしいんでしょうかということを事務局にお伺いしておきたいと思います。
【馬場参事官】 事務局の馬場からお答えします。今の主査の御指摘のとおりかと思います。先ほどの今後の方針について主査からも総花的という話も多少あったとは思いますけど、やはりそういったものを盛り込むに当たってどういった形がいいのか。そこについて、ある程度、現場の実情というか、実態に合わせて設計した方がいいだろうというところで、できる限りフレキシビリティーを持たせたような形で提案できるよう、事業の制度設計をしていきたいと考えております。
いずれにせよ、今年度、先ほどおっしゃった3Cの事業、コアファシリティなりプラットフォーム事業については終了するところでありますが、その実績、実態も踏まえながら、当然、より柔軟性のある形での制度設計をしていきたいと思います。ありがとうございます。
【網塚部会長】 ありがとうございました。
ほか皆様から何か御意見ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、そろそろお時間ですので、この辺りとさせていただきます。事務局におかれましては、ただいまの議論等を踏まえつつ、今後の審議事項について御検討いただければと思います。進捗等ございましたら、また本部会に御報告いただければと思います。ありがとうございます。
【網塚部会長】それでは、最後、議題の5、「その他」ですけれども、事務局から何か連絡事項等ございましたらお願いいたします。
【伊藤補佐】 事務局でございます。次回の研究開発基盤部会の開催日程につきましては、追ってメールなどで日程調整させていただければと思います。詳細につきましては、改めて御連絡させていただきます。
また、本日の会議の議事録につきましては、作成次第、委員の皆様にメールにて御確認いただき、非公開である議題4に係る部分を除きまして、文科省のウェブサイトに掲載をさせていただきます。
本日の配付資料につきましても、公開可能なもののみを後日文科省のウェブサイトに公開いたします。
以上でございます。
【網塚部会長】 ありがとうございます。
それでは、以上をもちまして、第31回研究開発基盤部会を閉会させていただきます。本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。

―― 了 ――

 

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科学技術・学術政策局 参事官(研究環境担当)付

(科学技術・学術政策局 参事官(研究環境担当)付)