令和7年5月15日(木曜日)13時00分~15時00分
文部科学省内15階特別会議室及びオンラインのハイブリッド形式
網塚部会長、高橋部会長代理、雨宮委員、有馬委員、伊藤委員、岡田委員、木下委員、唯委員、古川委員
(事務局)科学技術・学術政策局 局長 井上諭一、参事官(研究環境担当)野田浩絵、参事官補佐 伊藤有佳子、参事官補佐 田邉彩乃
【伊藤補佐】 事務局でございます。第30回 研究開発基盤部会を開催します。
本日、議題(1)「部会長の指名」、議題(2)「議事運営について」、議題(3)「委員会の設置について」は、出席委員のみで議事を行う非公開といたします。その後、会議公開の原則に基づきまして、報道関係者や一般傍聴者によるYouTubeでの傍聴を認めておりますので御了承ください。傍聴者につきましては、議題(3)が終わりましたら、YouTubeの設定を変更して部会の様子を配信させていただきます。
それでは、部会の開催に当たりまして文部科学省科学技術・学術政策局長の井上より一言御挨拶申し上げます。
【井上局長】 文科省の井上です。皆さん、どうぞよろしくお願いします。委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、この第13期の科学技術・学術審議会研究開発基盤部会の委員をお引受けくださり、誠にありがとうございます。
この研究基盤、これはそもそも我が国の研究力を支えるとても重要なものでありますけれども、現在、残念ながら日本はこの研究力がずっと低下していて止まらないという状況であります。この原因は、様々に考えられるのですが、私は、この中でも研究基盤の在り方というものが特に重要ではないかと思っております。研究基盤、大きく言いますと、SPring-8やNanoTerasuのような大規模のものをきちんと整備するというのもありますが、今、私は特に問題ではないかなと思っているのは、研究現場を支える研究機器群が、きちんと研究者が自由に研究をするような状況で行き届いているのかというところに非常に危惧を持っているということです。
文部科学省におきましても、研究機器の共用体制を構築するべく様々な施策を打ってきましたけれども、そもそも海外の研究大学を見ると共用というのが大前提で、整備がされている。それに比べると、どうしても日本の状況はできる範囲でしかできていないのではないのかと思っています。これも様々な原因があると思うのですけれども、1つは日本の研究費が、基盤的経費が少なくなってきて、競争的資金中心になったと。そうなると、結局、研究機器は競争的資金で購入する。いわば研究者にとってみれば、研究機器を買うために競争的資金をとるような状況になって、鍋釜の類も含めてそういう状況になっている。そうすると、研究者の皆さんからすれば、自分が取ったお金で買った機械だということになりますので、なかなか共用というふうにはならない。
それに加えまして大学のマネジメントもあると思います。これは人事マネジメントですけれども、国立大学について言えば、法人化以前からの傾向ではあったのですけれども、技術職員がずっと減ってきています。こういう状況で研究機器を運用、メンテナンスする職員の方がいらっしゃらないと。その負担が全部研究者に行っているということですね。こういうこともあって研究者の研究時間が少なくなっているということであります。私としては、この研究者が競争的資金を、たくさん申請書を書いて取らなくても、常にアクセスできるような共用機器だけで日常的な研究ができるような、そういった環境にする必要があるのではないのかなと思っています。
そのためには、ここに少し大幅なメスを入れなければいけなくて、これまで研究室所有、あるいは研究者所有に実態上なっている研究機器は、もう全て組織所有に転換して、みんなが使えるようにしていく。そして、そういった拠点群が日本にできたら、それを大容量でセキュアなネットワークでつなぐ。SINETとかありますので、そうすると、もう皆さん御存じのように、今はリモート技術が物すごく発達していますので、拠点がないところの研究者、あるいは民間の方やスタートアップの方もみんなアクセス、リモート利用できるようになってくると思うんですね。こうなってくると、データも集約できますので、データを体系的に集約してAIと掛け合わせて新しいサイエンスを生み出す。そういったことが必要だと思っています。
また、これをやるためには、それを支える技術職員などの体制整備、これも非常に必要なことになってきます。これは一筋縄ではいかないのですけれども、そういったことをやらなきゃいけないと思っています。また、長くなって恐縮ですが、海外を見ると、そもそも共用の文化があり、機器の共用化ができていたのですが、近年、海外を見ると、それをさらに集約化を進めて、自動化技術も取り入れて研究の効率をものすごくアップさせている。私としては、これはもうそろそろ日本の研究の現場にこの共用の文化を完全に根づかせて、そしてそれをやっていくために、ある意味、日本の研究基盤をもう次世代型のものに刷新する。こういったことが必要だと思っておりまして、そういったことをぜひこの基盤部会の先生方に御議論いただきたいと思っております。
長くなって恐縮ですけれども、そういうことで私ども考えていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
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今回の議事は、部会長の選任等があったため、科学技術・学術審議会研究開発基盤部会運営規則第5条に基づき、議題1から議題3までは非公開とした。
議題1.部会長及び部会長代理の選任について
網塚委員が部会長に、高橋委員が部会長代理に選任された。
議題2.議事運営について
「科学技術・学術審議会研究開発基盤部会 運営規則(案)」及び「科学技術・学術審議会研究開発基盤部会の会議の公開に関する手続について(案)」について承認された。
議題3.委員会の設置について
「科学技術・学術審議会研究開発基盤部会に置く委員会について(案)」について承認された。
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【網塚部会長】
それでは、次の議題に移らせていただきます。議題の4となります。「第13期研究開発基盤部会における主な審議事項について」に入らせていただきます。事務局より御説明、お願いいたします。
【伊藤補佐】 それでは、事務局より資料4-1及び資料4-2につきまして説明いたします。
まず、資料4-1でございますけれども、本部会の今期の主な検討事項といたしまして、当部会の直下に先ほどお認めいただきました先端研究開発基盤強化委員会に加え、量子ビーム施設利用推進委員会が設置されることに伴い、共用法に位置づけられている最先端の大型研究施設を含めた横断的な検討・審議を行うことを検討しております。各委員会の第12期から引き継がれた検討事項は記載のとおりとなっております。
また、内閣府総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)を中心に検討されております第7期科学技術・イノベーション基本計画におきましても、当部会の議論を踏まえてAI等の発展に即した研究基盤の強化について提案していくこととさせていただいております。
詳細につきまして、資料4-2を用いまして御説明させていただければと思います。資料4-2の2ページ目でございますけれども、まず研究基盤に関する文部科学省の取組と部会、委員会の対応関係ということで、科学技術活動全般を支える基盤である研究施設と設備につきましては、基礎研究からイノベーション創出に至るまでの研究開発に不可欠で、これらの整備は効果的な利用を図ることが重要と考えております。様々な取組が左側にまとまっておりまして、まずはピンクのところですけれども、共用促進法に基づく特定先端大型研究施設、SPring-8、NanoTerasu、J-PARCにつきましては全国的な共用を実施しており、その外側の緑の枠のところですけれども、国内有数の大型研究施設・設備につきましても、プラットフォーム化をして遠隔化、自動化を図りながら全国からの共用を促進しているというところになってございます。
また、その外側ですけれども、学内の各研究室での研究設備・機器の分散管理から機関全体としての戦略的な整備・運用、また、共用という形で取組を進めてきております。また、こういった研究施設・設備・機器の整備・共用に加えまして、研究機器、基盤技術の開発といったようなことも事業を実施しております。右側に書いてございますけれども、研究開発基盤部会につきましては、今申し上げた取組全体の方向性等について御審議いただきたいと思いますし、その下に設置された量子ビーム施設利用推進委員会につきましては、このピンク色の特定先端大型研究施設のところを中心に御審議いただき、先端研究開発基盤強化委員会につきましては、それ以外の部分を中心に御審議いただきたいと考えているところでございます。
次のページですけれども、第12期の研究開発基盤部会において調査審議された事項ということで、こちらにつきましては先ほど御説明いたしました先端研究開発基盤強化委員会で中心に御審議いただきたいと思っております。前期からの引き継ぎ事項といたしまして、大学における研究基盤の整備・共用、国内有数の研究基盤の利用環境整備、また、研究設備の共用の推進に係る人材の活用、新たなイノベーション創出を支える基盤技術の開発といったことにつきまして、前期は中間評価を実施したりですとか、ガイドラインを踏まえた対応状況を踏まえた上で、令和6年7月には論点整理をまとめ、また、その論点整理を示した今後の目指すべき方向性の具体化に向けて、第12期の議論のまとめというものを取りまとめていただいたところでございます。
次のページですけれども、第12期の、今度、量子ビーム利用推進小委員会というところで、こちらにつきましては先ほど申し上げました量子ビーム施設利用推進委員会のほうで引き継いでいかれる事項になりますけれども、前期、第12期ではSPring-8-IIの整備に着手する必要があるという報告書をおまとめいただき、整備に着手しました。また、SPring-8/SACLA、J-PARCにつきましては、中間評価を実施し、今後の方針についてというものを御議論いただいて、取りまとめていただいたところです。また、NanoTerasuにつきましては、ビームラインの計画的な増設についてという報告書をお取りまとめいただきまして、世界最高水準の施設の恩恵を最大限に享受するためのビームラインの空きポートを埋めることが重要であるという方向性をいただき、整備に着手をしているという次第でございます。
また、量子ビーム施設の連携についてということで、量子ビーム施設間のシームレスな連携を可能とするための取組についても議論をしていただきました。これらの状況を踏まえまして5ページ目でございますけれども、第13期研究開発基盤部会における課題・検討事項(案)といたしまして、先端研究基盤強化委員会におきましては、まず共用促進事業の事後評価、12期の議論の取りまとめにおいてお示ししました各機関のコアファシリティ化を強化する仕組みの構築、研究基盤エコシステムの形成の推進について、より具体化した議論をしていただきたいと考えております。
量子ビーム施設利用推進委員会におきましては、NanoTerasuが昨年度から運用を開始し、今年の3月には共用法に基づく共用も開始したということで、その進捗を踏まえた中間評価を実施していただきたいと考えておりますし、また、量子ビーム施設の推進方策ということで、量子ビーム施設間の連携に加えまして、各施設の維持・運用・高度化に向けた推進方策の御検討ですとか、第12期に実施いたしましたSPring-8/SACLA、J-PARCの中間評価のフォローアップといったものもしていただきたいというように案を取りまとめてございます。
本日、こちらについて御審議いただきたいのですけれども、最近の文部科学省や内閣府の動きといたしまして、第7期科学技術・イノベーション基本計画に向けた検討状況につきましても御説明をさせていただければと思います。7ページ目でございますけれども、今年の2月のCSTIの基本計画専門調査会第3回において、研究力強化に向けた文科省の今後の取組の方向性として、「知」を得るエコシステムの強化のために施策1から5が必要なのではないかという形で発表させていただいております。
特に施策1が研究開発基盤部会に関わるところとなっておりまして、8ページ目でございますけれども、多様で豊富な「知」を得るエコシステムの強化ということで、一番上にございます組織・分野の枠を超えた研究ネットワークの構築、こちらがエコシステムを動かす基盤となっておりまして、また、エコシステムを回すエンジンといたしましては、多様で豊富な「知」を支える研究基盤の維持・強化というような形になって、こういった取組を一体的に行うことで優秀な研究者の知的好奇心に基づく研究によって得られる「知」が豊富に生み出され続けるエコシステムを活性化するという形で方向性として御報告させていただいております。
こちらの組織・分野の枠を超えた研究ネットワークの構築という部分につきまして、より掘り下げた資料もおまとめしております。9ページ目でございますけれども、「AI時代にふさわしい科学研究の革新~研究推進システムの転換による研究の創造性・効率性の最大化~」といたしまして、まず現状認識ですけれども、今も国際卓越ですとか、J-PEAKS、また、創発事業といったような形で、研究者の皆様にとってのよりよい環境ということで努めてきたのですけれども、ポストSociety5.0時代における研究活動の大規模化、加速化、DX化ということで、研究設備の共用・集約化、自動/自律化、遠隔化、デジタル化、サービス化による研究のスピードアップというものが世界の潮流となってございます。こういったことを踏まえまして、研究環境を高効率化して研究活動の創造性・効率性を最大化し、研究パフォーマンスを最大化させる取組が必要と考えております。
次のページでありますけれども、先ほどから申し上げておりますとおり、そういった世界の潮流を踏まえても、日本としては現状認識&課題の二つ目のポツにございますけれども、共用機器を利用することのインセンティブ設計に足りない部分があり、また、組織的な集約化・共用や老朽化への対応を進めることが困難な場面も見受けられます。また、先端研究設備・機器の開発・導入・共用が遅れて国際競争に不利な状況ですとか、データの体系的な蓄積ですとか、また、抜本的な改革のための大学の財務・人事・経営改革に資する取組をすることが必要と考えております。これらを踏まえまして、施策概要にあります1、2、3、4といった取組を総合的に行うことが重要ではないかと考えているところです。
1の研究設備・機器の活用の最大化のところでございますけれども、研究設備・機器を共用し、複数共用拠点の全国ネットワーク化ということで、日本全体で共用研究設備等の戦略的な整備・運用、手厚いサポートを行う技術専門人材の配置・活躍の促進、自動化・遠隔化の導入による高効率化・精度向上といったことで、研究者の創造性を最大限に発揮いただける環境を整えたいと考えております。また、それに加えまして研究設備等の高度化という部分につきましては、共用の場を活用して研究機器産業等との産学連携で研究現場への実装をすることで、世界を先導する先端研究設備の開発と国際競争力を確保するといったことに取り組んでいきたいと考えております。その両輪といたしまして、競争的研究費改革といったところで、共用と連動したインセンティブ設計などについても検討を進めていきたいということで、この1、2につきましては、研究開発基盤部会でより掘り下げた議論をしていただきたいと考えております。
また、そのパッケージといたしまして、3にありますけれども、大学共同利用機関を中心に世界の潮流を踏まえた大規模集積研究基盤の整備ですとか、また、共用機器から創出されるデータについて、4のところで、AI for Scienceの潮流を踏まえまして、研究データ基盤の強化を図り、研究力向上に向けた好循環サイクルを加速させる取組とパッケージ化いたしまして、研究力の飛躍的向上を図りたいというふうな案になってございます。
次のページですけれども、今申し上げたところを図式にしたような形になっておりまして、青枠のところが先ほど申し上げた1、2のところになっております。こういったような研究基盤を新しく創るところに加えまして、右側にありますようなNanoTerasu、SPring-8/SACLA、J-PARCといった共用法の施設の共用も促進しつつ、オールジャパンでAI時代にふさわしい科学研究の革新を行えるような研究プラットフォームを構築する。こちらについては、大学の研究者の皆様はもちろん、民間企業やスタートアップ、海外研究者の皆様にも使っていただけるような基盤にしていきたいというような案になってございます。
次のページからは、今までのバックデータのところになりますけれども、例えば三つ目のポツになりますが、「研究開発費は競争的研究費が主であり」というところについては、その直下のグラフになっていますけれども、青いところが自己資金で、オレンジのところが外部受入研究費というところで、外部受入研究費が主になっている実情がございます。また、研究機器の計画的な整備が難しく、老朽化が顕著というところは、右下のところになっておりますけれども、大部分が取得から10年以上経過しているという現状もございます。
また、次のページですが、技術技能系職員の支援人材の少なさといったところで、研究パフォーマンスを高める上で、教員の皆様にアンケートを取ったところ、研究補助者、技能者の不足といったところや研究機器の利用可能性が制約となっているというアンケート結果も出ておりますし、また、研究者を支える技能系職員につきましては、40年前の半分以下となっておりまして、左下のグラフですけれども、だんだん減ってきている様子ですとか、その横にも、主要国とも比較いたしましても、なかなか厳しい状況というふうな現状となっております。
14ページ目ですけれども、研究機器を巡る状況といたしましては、海外企業からの輸入に依存している状態もございますので、こういったところで日本の研究開発力というものもますます支えていくような取組が必要ではないかと考えているところでございます。
次のページですけれども、新たな特定先端大型研究施設の動向といたしましては、一番左側のNanoTerasuが令和6年度に共用開始するといったことで、様々な特徴を持つ共用法の施設といったものの安定的な運用ですとか高度化、また、共用の促進といった形で、また皆様の使える研究基盤のバリエーションをアップさせるようなことも必要と考えているところでございます。
参考につきましては前期の研究開発基盤部会における報告書に加えまして、前期の量子ビーム利用推進小委員会における報告書の概要、また、参考4には令和7年度の研究開発基盤部会の関連予算といったようなものを後ろにつけてございます。事務局からの御説明は以上となります。
【網塚部会長】 ありがとうございます。
大変詳しく御説明いただきましたけれども、御質問、御意見などございましたらお願いいたします。
【有馬委員】 フリーディスカッションでいいんですか、ここは。
【網塚部会長】 そうです。もし御意見が出なければ、お1人ずつ自己紹介も兼ねてと思っておりましたので。
【有馬委員】 はい。私は、今、東京大学の新領域創生科学研究科という柏にある大学院部局と、それから、理化学研究所の創発物性科学研究センター、こちらはセンター長ですけれども、それでクロスアポイントメントで務めております。私はどちらかというと大型施設を、たくさん使っていたのですが、今日、少し申し上げようと思ったのは、先ほど御説明があった装置の共用のほうで、いろいろとやりたいということで、案というか、こういうふうにしたらどうかという提案に似たようなものがあって、それを検討していくと思うのですけれども、そこで、1つはお金の問題、個人の研究費からどういうふうに共用設備に持っていくかという局長がおっしゃられたことで、これは多分、システム改革だけでうまくいくと僕は信じたい。
もう一つの技術職員のほうは、突然、技術職員に適した人が、たくさん出てくるはずがないと思うんですね。1つ、ブレインストーミング的な御提案としては、ここを学部学生、あるいは大学院学生の支援とカップルさせて、もちろん合う人、合わない人、いると思うのですけれども、必ずしも今、大学院の学生がその後、研究者になるという道しかないということはないので、高度な技術職員の実践教育という意味で、技術職員を充てるというだけではなくて、そういうことをどういうふうにケアしたらいいかということを学ぶということをやりつつ、そういう大学院生には、その部分はちゃんと支援をする。
そうすると、大学院の支援とそのような支援をダブルでやる必要もないし、若い人材を充てられることにもなる。それからもう一つは、AIとかの技術に関しては若い人が詳しい部分も結構あるので、かなり実はそこの部分では即戦力になることもある。カップルできる部分はカップルして考えていただくといいのかなと思っています。
あとは、技術職員をどう置くかは、なかなか難しいところはあるのですけれども、特に難しいのは、恐らくいきなり任期付きで雇用すると、5年とか10年とか大学の任期の問題があることです。大学院生の場合は、そこもやっぱりちょっと違う話になってくるので、だから、割とそこはうまくやれる大学、教育機関があれば回るのかなと思っています。初めに、まずそういうブレインストーミング的な提案をして、今後、いろいろ検討していただければと思います。
以上です。
【網塚部会長】 ありがとうございます。
ただいまの有馬委員からの御発言につきまして、何か御質問、御意見などございますでしょうか。非常に重要なポイントだと思います。今、技術職員の方を公募しても、そうそう応募がない。いい方を探すのが結構大変なところがあります。一方、分析等でRAを募集すると、手を挙げる学生さんが結構いたりして、分析技術を磨きたいということから興味を持っている方はいます。ただ、やはり修士、ドクターを取ると民間企業に就職していったり、アカデミアに残ったりという形で技術職員の道に進むキャリアパスというのはなかなか作りにくいところはあります。その辺は給与、待遇の面もあると思うのですけれども、今後は、そこは大いに検討していってよいポイントではないかなと思いました。ありがとうございます。
ほか、皆様、いかがでしょうか。
それでは、名簿順に高橋部会長代理からお願いいたします。よろしいでしょうか。
【高橋部会長代理】 先ほどのお話にも関連しますけれども、こちらの技術職員をどうちゃんと体制を整えていくかというのは、前期からずっと議論があったわけなのですけれども、人材を育てるのは時間がかかるので、今すぐに対策が打てないという問題はありつつも、やっぱり今、海外の状況、特にアメリカの状況とかを見ると、アカデミアの体制が結構揺れているということもあり、海外から採ってこられるということもないのかなという方向もぜひ検討に入れたいなということは考えております。
日本もどんどん人口は減っていきますので、技術職員が足りない、足りないって、ずっと人が足りない部分を議論しているのですけれども、全体は減っていくので、どこからその人材を採っていくのかというところは、もう少し選択肢を広げていただいてもいいのかなと考えておりますので、具体的にどうしたらいいかというところはありますけれども、そういった方向性もぜひ議論していければいいのかなとは考えております。
以上です。
【網塚部会長】 ありがとうございます。
その辺り、もう少しお伺いしたいのですけれども、大学も、現場もそうですけれども、民間企業の労働力といいますか、技術力を維持する上で、かなり国際化について検討されているところもあるのではないかなと思います。その辺りについては、民間の方にも少しコメントいただけたらなと思います。高橋委員の御発言について何か皆様から御発言ございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、雨宮委員、お願いいたします。
【雨宮委員】 改めまして、雨宮です。KEKの物質構造科学研究所におりますけれども、放射光施設、大学共同利用のほうのフォトンファクトリーを中心に活動しております。最近では量子ビーム連携研究センターというところのセンター長などもしておりまして、いろいろな量子ビームを連携して使っていこう、そういうのを促進しようというようなこともしております。この部会は3期目になります。
今日お話を伺って、最初のほう、大型の共用施設の話があったと思うのですけれども、SPring-8とか、NanoTerasu、J-PARCといったところだと思うのですけれども、そちらの整備に関して高度化であるとか、より使いやすくするとか、効率化するとか、それはもう本当にぜひ必要なことだと思いますので、しっかり進めていく必要があるかと思います。
加えて、御承知のとおり我が国に放射光施設と、あるいは中性子の施設もそうですけれども、とてもたくさんあるところでありまして、それぞれ得意なところ、やりやすいこと、やりにくいことがあると思いますので、それぞれの施設で全てのことをやろうとするのではなくて、うまくそれぞれの得意なところを伸ばしていくような形でやっていける、そういう取組がしていけるといいのかなと考えています。
それから、そういう大型の以外に、いわゆる3C構造ですね。国内有数の大型研究施設・設備、あるいは各研究室などにあるいろいろな研究設備、施設のことに関しては、前回の部会でも随分、コアファシリティの取組であったり、プラットフォームの取組であったり、そういうものの中間報告などに関わってきたところから、本当に前期、この数年間でしょうか、画期的に進んだのだなということは感じております。以前のようなマインドではなくなってきていることは間違いない。これを、もう一歩、今期は進めていく必要があると思います。
先ほど局長もおっしゃっていましたけれども、本当にもう外部資金を取らなくても誰もが基本的なそういう共用研究設備というのを使うことができるというような状況、そういうことが実現できるというのは本当に大切なことだと思いますし、今までのやり方ではやっぱりもう限界があると思うんです。お金や人が幾らでもあるのならいいのですけれども、そうではないので、こういう共用という取組は本当により進めていけたらと思います。
あと、前期の最後のほうで少しお話が出ていたのですけれども、技術開発に関することというのも、とても気になっているところで、設備を使うだけというのも、もちろん大切なのですが、開発していくというところに関しても、海外のものをただ使うだけでずっとそれを追いかけ続けていくのは、必ずしもいいことではないので、アカデミアと企業と連携して開発もできるという取組ができたら、よりいいなと考えております。
以上です。
【網塚部会長】 ありがとうございます。
ただいまの雨宮委員の御発言に何か皆様から御質問などございますでしょうか。すみません、突然質問させていただきますが、先ほどの有馬委員からの御発言にもありましたが、高エネ研の場合にはかなり高度で特殊な技術支援の方々が必要になると思うのですが、そういった方々の育成や、予備軍になるような方々については、どのように育てていらっしゃるのでしょうか。
【雨宮委員】 まず、来ていただくところに関してですけれども、1つはやっぱり、いわゆるユーザーとして来ている方でも、我々の施設は御承知のとおり、ただ使うだけではなくて、結構、使いに来るユーザーの方が手を出していろいろなことをする。そういう中で技術的なことに興味を持つ学生さんというのは結構いるようで、そういった方に声をかけてというのが1つあるのかなと思います。
あと、最近多いのはやっぱり高専ですね。いわゆる高専の皆さんに、こちらから出掛けていって宣伝して、インターンシップとかで来てもらうとか、そういうことをして、興味のある方は実はいっぱいいらっしゃるので、そういう方に入ってきてもらうということをやっております。KEKに来ていただいてからは、幸い我々は、技術職員のボリュームがあるので、割とチームを組んで、その中で育成していくということができますので、それでいろいろなところを経験しながら、育成していくというようなことが比較的うまく働いているのかなと思います。
【網塚部会長】 ありがとうございます。大変参考になります。
ほか、皆様から、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、伊藤委員、お願いいたします。
【伊藤委員】 デンソー、伊藤でございます。前期に引き続き2期目ということで、前期は皆さんのお話を聞くのがいっぱいいっぱいだったところもあったかなと思うのですけれども、今期はユーザー企業という立場からいろいろな御意見が言えるようになればいいかなと思っています。もともと私は、マテリアルの研究、無機材料、あと量子科学計算がバックグラウンドです。現在はデンソーの先端技術研究所というところで、研究の中でやっているのはマテリアルのみならず、量子、AI、あとヒューマンサイエンス等々を幅広くやっているのですけれども、そういったところでマネジメントというか、統括をさせていただいております。
今期からは量子ビーム施設の利用推進といったところと先端研究開発基盤の強化といったところにフォーカスをされた形でお話がされるようになると思いますので、我々企業としてもNanoTerasuとか、SPring-8とか、量子ビームのほう、扱わせていただいておりますし、いろいろな共用設備、大学のものも活用させていただいているという立場でございますので、そういった観点からもいろいろな意見が言えるといいかなと思っております。
今回、御紹介いただいた中で感じたことなのですけれども、AI時代にふさわしい科学研究の革新という形で、いろいろな御提案をいただいたと思います。大学の中でもかなり変わっていかなければいけない部分というのは非常にあるなという中で、この御提案の中において、このイノベーションのエコシステムといった観点で、企業がどういった形でこれにアドオンしていくと、より日本としての強みが出せるのかといったようなところをもう少しいろいろディスカッションすることもあろうかなと思います。アメリカ、ドイツ、そして中国というのは、何か例として例えると、それぞれ違ったイノベーションのエコシステムがあるなと思っていて、それとは違う、多分、日本独自の強さみたいなところもやはり日本が生き残っていくためには重要なポイントではなかろうかと思っています。
人口の絶対数という意味では、アメリカや中国には勝てないですし、企業の研究人材というものも年々減ってきています。例えばTEMとかの高度の分析の人材とかも、なかなかアカデミアのみならず、企業の中でも採用を苦労していまして、先ほど雨宮先生が言われたように、高専の学生さんにアプローチをしながら、ソフトといったところでは、AIがこれだけ進化してくる中で属人化ができるんですけれども、ハードといったところは、やはり半年あれば一人前になるというわけではなくて、2年、3年かけて設備を一人前に使えるようにしていくというところは、まだまだ残っているところで、そういった人材の確保というのは、企業の中でも重要になってきている。ひいては日本全体としてどうしていくのかというのも多分あろうかなと思っていますので、そういった辺りも企業の立場からお話ができるところかなと思った次第でございます。
あとは、本当に生成AIもLLMだけではなくて、VLMのようなものも進展してきていて、私ども自動車業界、本当に自動運転といったところでもかなり、そういったものが入り込んできているのですけれども、画像といった観点でいくと、いろいろな分析のデータの画像といったものも、そういったもの、多分、データに代わったといったところでは、あらゆる領域でデジタル化というものが一気に今進んでいる状況だと思っているので、そういった中でも、この研究開発基盤がどうあるべきかといったような議論もできればいいかなと思っております。
以上でございます。
【網塚部会長】 どうもありがとうございます。
皆様から何か御質問等ございますでしょうか。
【有馬委員】 ちょっとだけいいですか。
【網塚部会長】 はい。どうぞ。
【有馬委員】 最後にVLMの話をされたと思うのですけれども、実際、それは若手の社員がすぐ使えるようになっているんですかね。
【伊藤委員】 そうですね。試してみようというのは、社内の中にもありますので、多分、大学の中でも、私たちの学生時代と比べると、かなりデジタルネイティブになっているという印象がやはりありますので。
【有馬委員】 もちろん、そうです。
【伊藤委員】 マテリアルの人間でもトライしてみようかなという、やっぱりレベルの高い人もいますし、あとは、ちらっと申し上げたとおり、我々、AIの研究者もそばにいるものですから、彼らと融合してという形のやり方というのもあるのかなということで、異分野融合というのは、ますます重要になってくるのかなというのも感じております。AIの人材はデータがないので、やっぱりマテリアルの人間はデータを持っているので、そういった組合せでのイノベーションということも十分あり得ると思います。
【有馬委員】 いや、何でこれ、お伺いしたかというと、画像で例えばマテリアルと電顕のデータってすごく多いじゃないですか。
【伊藤委員】 そうです。はい。
【有馬委員】 電顕のデータをNIMSが中心になってドーッと今集めているけれども、実は解析は相当苦労されているんですよ。なので、そういうことも、どういうふうに導入できるといいのかなとちょっと思いながら聞いていました。
【伊藤委員】 ありがとうございます。データの持ち方というのも非常に重要だなと思っていますので、膨大になるデータをいかに圧縮して有効化させるか等々も、多分、いろいろな議論があろうかと思います。
【網塚部会長】 ありがとうございます。エコシステムの国際的な違い、アメリカ、ドイツ、中国、その辺りも今度お時間があったら詳しくお伺いしたいのですけれども、大学との関係性というのは大分違いますか。
【伊藤委員】 違う気がいたします。
【網塚部会長】 そうですか。
【伊藤委員】 日本の大学は、先生方、比較的一緒になって研究をしてくださるというところは、本当にありがたいなと思っておりますけれども、費用のかけ方という観点でも、多分、インプットに対してアウトプットがちょっと国によって違うかなというのは、多分、皆さんデータも調べてもらえば分かると思いますけれども、我々企業としても変わっていかなければいけない部分があるのだろうなというのは思っております。
【網塚部会長】 私も自分の専門の周りでは何となくいろいろな違いを見ておりますけれども、その辺も今後の1つの論点になるかもしれないですね。産学官連携を進めていくに当たりまして。
【伊藤委員】 そうですね。はい。
【網塚部会長】 ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、続きまして岡田委員、お願いいたします。
【岡田委員】 東京大学の医学部と、それから、理学部の物理で教授をしております。あと理研の生命機能科学研究センターの副センター長も拝命しております。この部会は、多分、今回、3年目だと思いますので、多少慣れてきたような気もするので、少しはみんなと違うことが言えればいいなというふうに今年は心掛けたいと思っております。
それで、早速頑張ってCSTIのこの立派な資料にけちをつけようかと思ったのですが……。
【網塚部会長】 つけてください。
【岡田委員】 いや、もうおっしゃっていることは全くもって正論だと思うのですが、一方で、正し過ぎて、多分、これ、日本ではなくても、どこの国でも現代において科学技術の研究をイノバティブに進めるにはどうしたらいいかというのをアメリカでも、中国でも、ドイツでも、イギリスでもどこでも、多分、議論したら、総論としてはこういう結論になると思うんですよ。
各論として、どこに力点を置くのか。そういうのはもちろん現状によって違うと思うんですけれども。みんな一斉にこれで走ったときに、日本は本当に勝てるんだろうかというのがすごく心配なところで、特にこれで結局、9ページのところとかにも出ていますけれども、効率を上げてパフォーマンスを最大化するというのが最終的な何か改革によるアウトプットみたいな目標になっていると思いますし、もちろんAIということを考えると、データの量をとにかく出すというのが大事だという観点からというので、こういうアウトプットを目指すというのは非常によく分かるのですが、これからの日本が国際競争で量を目指して世界一になれるかというと、正直、無理だと僕は思うんですよね。
そうすると、じゃあ、みんなと同じ方向を向いて物量作戦で勝負しましょうというのは、勝ち筋ではないような気がして、どうせ競争をするのだったら勝てる何かことをやったほうがいいのではないのかなと思います。もう少しここに日本ならではの勝ち筋はどこにあるのかみたいな、だから、それを重点的にやっていくということをしないと、総論として、これは正しいと思うのですけれども、でも、これだけで進むと多分、みんなと同じことをして、どこも間違ってはなかったけれども、結局、勝てない。
それと関連して、この部会のほうのお話で、技術の共用化しましょうというお話があったと思うのですけれども、我々自身の研究室の研究の立ち位置というのは、世界一の計測システムを作って、そうすれば世界一なんだから、それで見たものは世界初に必ずなる、それによって世界をリードする研究をしていくという、そういうスタンスでやっています。そういうふうに技術が最先端であって、そうすると、ターゲットは何でもいいわけですね。何をしても世界一になる。
もう一方で、今回の共用の話で、日本中の誰でもが共用で使える装置を使ってやりましょうというのは、当然、その装置は世界中にあるはずなんです。世界中、みんながアクセスできる装置を使って、研究しましょうというと、みんなが思いつくことをやっても世界一にはなれないですよね。そうすると、そこは世界一のアイディアが必要になってくるはずで、そうすると、そこのバランスをどうとるかという非常に難しい話になってくると思うんですね。
みんなが使える装置をいつでもアクセスできるようにするというのは、すごく大事なことだし、そういう人をたくさん用意すればするほどユニークなアイディアが生まれてくる可能性が高くなる。そういう意味で、そういう中からユニークなアイディアが、確率としては低いけれども、多くの人がアクセスすることで出てくる。それによって世界一の研究を目指すという方向性と、それから、日本で幾つか技術的に非常に優れたバックグラウンドがある分野が、いろいろな分野でありますから、そういう分野においては、むしろ、コモディティを目指すのではなくて、本当にユニークなトップ・オブ・ザ・トップを目指すような、という、うまくそういうバランスをとったような進め方というので、多分、同じ土俵で議論してはいけないのではないかなと思っております。それからもう一つ、人材の話で、こういう話になると必ず若手をという話で、さっきも高専とかという話があったと思うんですけれども、今、特にこれから5年、7年とかというタームで考えたときに、もっと多分、重要な、しかも、割と忘れられがちな人材のプールがあると思います。今いろいろな研究関係の若手のサポートがたくさんあるんですね。
その1個上の世代の人たちというのが、ちょうどものすごく、ある意味不遇な世代で、大学院の定員をワッと増やしたので、たくさん学位を持っているんだけれども、その先のポストはむしろ減っていて、しかも、その後、若手、若手と言って年齢制限で、その人たちは対象外になっているという、そういう世代の人たちがたくさんいます。今、普通に助教とか公募を出しても、若手でない――若手じゃないって変な言い方ですけれども、結構、お年を召された方の応募があったりするというのが実情だったりするんですよね。そういう方々の中には、必ずしもPIとしてインディペンデントに研究をしていきたいという人だけではなくて、実験が好きだとか、研究そのものは好きだけれども、別にPIになろうとは思っていない人もたくさんいるんですね。
それなりの家庭を持っているような方なので、安定した生活ができて定年まで好きな実験とか研究ができたらいいという人が結構な割合でおられるので、そういう方にうまくキャリアパスとして、その方がそれまで培っておられた得意な技術を少し発展させて、こういう技術のサポートをやってもらうと良いと思います。それが負け組のキャリアパスみたいになってしまうと、またそれはそれでよろしくないと思うので、何かうまい方法をやると、割と即効性があるのではないかなと思っております。
以上です。
【網塚部会長】 いろいろとありがとうございました。
皆様から何か御質問、コメントございますか。
【有馬委員】 いいですか。
【網塚部会長】 はい。有馬委員、お願いします。
【有馬委員】 岡田先生の、いろいろ御意見を伺って、まず、コモディティかどうかというところで、おっしゃられたように、ありきたりの装置をみんなに回しても全然駄目なのは、実は、それは多分、先端的なことをやっている人でなくても本当はそうだと思います。一番初めに網塚先生がおっしゃったように、昔の装置で、もし今続けたら何の先端性もないので、だから、新しい測定法なり何なりをずっと開発する人たちはもちろん必要です。だけど、そういう人たちは、もちろんこの枠には入らないんだけれども、成果が出た後で、その成果がちゃんとすぐに、装置の更新につながって、みんなが使えるというのが、多分、一番うまく回るパターンなんだけれども、今の科研費とかのシステムだと、個人が買って一部の人が長く使うというスタイルになっています。そうではなくて多くの人がもう少し短く定期的に更新するスタイルにしないと、結局、日本全体で落ちるだろうということなので、だから、岡田先生がおっしゃった新しいことをやる人をちゃんとサポートしましょうというのは本当に大賛成で、それが必要です。それがちゃんと回るようにしましょうと。同じようなことが大型施設でも言えて、やっぱりNanoTerasuにしろ、SPring-8-IIにしろ、世界一の性能を目指してつくりますということなので、それがあって初めてちゃんとういう計画に対して国もサポートしてくれる。これが昔のやつをたくさんつくりましょうだと、それは何の意味もないので、多分、そこはお互いちゃんと別のことなんだけれども、1つのこととしてちゃんと考えたほうがいいと思います。
あと、人に関しては、多分、生物系、医学系に人がどっさり集まっているという構造があって、そこはどういうふうにそういう方々を役に立つ、御本人たちも幸せにしていくかという問題があるのは、本当にそのとおりですね。一方で、やっぱり人材がそうやっても来ないというところがあるのも確かなので、1つの施策でやるというより幾つかの施策を組み合わせて、それぞれ合ったところでやりましょうというのが、多分、正しいのだと思います。だから、これが特効薬だということをやるのではなくて、幾つかこういう組合せがあって、そこの割合とかは実情をいろいろ調べながら、しかも、時代に合わせて少しずつ変えていくということを考えていけば、いい解が見つかるのではないかなと、岡田先生のいろいろなお話を聞いて考えました。
あと、データに関しても、やっぱり生物系は、進んでいるんですよね。遺伝子とか、蛋白とか、いろいろなことで進んでいて、それは非常に研究力の全体的なアップにすごくつながっていると思うんですね。そこに関しても、中国、アメリカに勝てるかどうかという話で言うと、実は材料系とか、そういう普遍的なものが割とつらくて、実は生物系は、そもそもがアジア人の、例えば遺伝子とか、蛋白とか、医療とかというのと、あるいはあんまりデータがない女性に対する医療というのと、欧米人に対するものというのは、少なくとも遺伝子、あるいはメディカルとか、あるいは脳学とかでもそうですけれども、かなり違ってくるはずなので、そういう特徴が生かせるという意味では、欧米でやっていることと、コピーに近いことをやったとしても新しいことが生まれる可能性はあると思います。だから、いろいろな観点で、これだけやっていればいいというのではなくて、そちら側も大事だと思ってやりましょうということをいろいろ考えてやられるといいのかなと思って、なので、こういうふうにいろいろな意見を言っているのが一番いいのかなと思っています。
以上です。
【網塚部会長】 ありがとうございます。
ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、木下委員、お願いいたします。
【木下委員】 よろしくお願いいたします。
【網塚部会長】 お願いします。
【木下委員】 トヨタ自動車の木下と申します。なかなかこの漢字で読める方は少ないと思うんですけれども、これで木下と申します。よろしくお願いいたします。私は、今回、初めてこの場に参加させていただきます。恐らく期待としては企業の目線で、どのような発信ができるかというところかなと思いますので、ぜひその観点でコメントとか、議論をさせていただければと思っております。
今日の資料だけでもいろいろ感じるところはあって、さっき岡田先生もおっしゃられたとおり、私も最初に資料を拝見したときに、多分、総論、これは誰も否定はしないだろうなと思って聞かせていただいています。私自身、材料分析、これはちょうど私が所属している室の名前は、この部会と何か重なる感じがいっぱいあるんですけれども、まさに分析をラボから放射光まで等、利用して仕事をしています。その中で私は、欧州で4年ほど赴任している経験がありまして、そこに勝つための、どういう戦略があるのかなと考えたときに、同じことになってしまうのかもしれませんけれども、日本が一国である強さというのは、もっと何か強調できるといいのかなと思っています。欧州は、例えば大型施設なんか、いろいろな国が先端のものを持っているんですけれども、国をまたぐと法規も違うし、ルールも違うので、手続も変わってくるということで、なかなかそこでのやりくりというのは難しいなと感じながら仕事をしていました。
一方で、日本は、大型施設だけ見ても非常にたくさんいい施設がある中で、なかなかそこがまだうまくつながっていないと感じています。企業の目線で言うと、ワンストップになっていないので、結局、どこにアクセスするにも、自分たちで調べながら入っていくということが必要になっていて、なかなかそこのハードルがあるなと感じています。そこはしっかりと国として一元的に見て取れるともっと、我々、今、幸いにも大型施設にアクセスさせていただいている立場ではありますけれども、もっと裾野が広がるのかなとは感じておりました。あと、途中で多分、分析機器がいろいろな国で日本の企業はなかなか勝てていないという資料はあったかと思うのですけれども、そこも私は欧州でいろいろな研究室を回ったときに、日本の装置って結構あるなというのは一方で感じたんですね。この領域だと確実に、あるメーカーの装置があるなとか、そう感じる領域ってたくさんあったんです。
全てに対して勝つというのは、僕は難しいと思っているんですけれども、特に先進的な技術で、日本がまだまだ勝てるというか、まだ強みを持っている領域というのがあると思うので、本当に勝つべき領域というのを何か定めて戦略を立てると、そこを優位に立つことによって世界をリードするということは十分できるのかなと感じたというところが、まず全体を通して思ったところです。
あと、今の議論の中でハード面での共用というのは、もちろん、これは実は我々も会社の中でもいろいろな部署が持つことでの難しさがあって、一企業の中でも難しい中、これ、国を挙げてやっていくというのはとても大変だなと思います。会社の中での取組の中でも感じるのは、ハードの共用ももちろん大事なのですけれども、人の共用というのは、ちょっと言葉が正しくないかもしれませんけれども、人の行き来というのをもっと図ることによって、すごくある技術に長けて、経験、熟練のある方のところにいろいろな大学の技術職員の方がアクセスできるとか、そういった人の部分での行き来というが加わると、ハードだけではない、それを超える、最後はやっぱり人が大事だろうなと思いますので、そういったところもあっていいのかなと感じました。
あと、AIとの融合ということでも感じるところがありまして、我々、ラボの分析もそうですし、大型施設もそうなのですけれども、すごくいいデータが出ているはずです。ただ、それを解析するというフェーズになると、結局、その機器メーカーの例えばソフトに依存するとか、あるいはそこを自分たちでアプリを開発するとかという行為に入るのですが、実際、解析側でもっと広くつながることも、例えばオープンソースとかで、米国なんかは結構うまくやっているんじゃないかなと思うのですけれども、そういったところもソフトの部分での共用というか、装置、機器をまたいだ行き来というのもあってもいいのかなと思います。もう一つは、どうしても分析、解析をやっている人が、そのデータサイエンスにアプローチしていくということの、今、流れのような気がするんですけれども、もっと積極的に逆というんですか、本当にデータサイエンティストのスペシャリティの高い人を巻き込むというのも、もっとやれるといいのかなと思います。
そのためには人件費とか、そういった観点はなかなか難しいのかなとは思うのですけれども、そういったところにも手を打っていく必要があるのかなということで、今日、資料の中ですごくたくさん感じるところがありましたので、今、発言させていただいたことが正しいことばかりではないと思うのですけれども、気づいた点とか感じた点は積極的に発言をぜひさせていただければなと思います。よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
【網塚部会長】 ありがとうございました。
皆様から何か御発言ございますでしょうか。よろしいですか。それでは、続きまして高村委員は本日御欠席ということですので、唯委員、お願いしてもよろしいでしょうか。
【唯委員】 名古屋大学の唯でございます。私は専門が触媒科学でありまして、触媒の材料の構造解析というのは、放射光がどうしても必要なものですから、大型設備を含めたSPring-8、それから、NanoTerasu等の設備の利用というのをさせていただいています。量子ビームのほうは、昨期から2期目になりますけれども、委員を務めさせていただいております。
2点ほど、今日いろいろとお話を伺っていて感じることをお話しさせていただければと思います。今日も冒頭にございましたけれども、大学の中でいろいろなこと、若い研究者、現場の先生方も含めてやっていかなければいけない時代で、非常にいろいろなことが器用にできる人は生き残れるんだけれども、そうでない環境が非常に苦しい状況にあるということかなと思っています。必ずしも、その要因が設備の問題だけではなくて、もっと根幹的なところに非常に根深い問題があるように思うのですけれども、設備という観点で見ると、いろいろな国際的なほかの国の状況も見ると、必ずしも日本というのは、それほど環境的には悪くないのかなと個人的には思っています。ただ、それが特定のところにやはり集中している状況で、裾野を広く、引き上げていくという観点で、どうやって運用していくかということが非常に大事ではないかと思います。
研究力は、やっぱり上に引っ張るという点では、上をいかに伸ばすかということと、裾野をどうやって上げていくかということは、これはアプローチが全く違う問題で、これを二本立てにしてきちっと全体としてやっていくということが一番大事ではないかなと思っています。最近、やはり大学生、大学院生、大学なんかでも若い助教の先生などを公募すると、パーマネントなポストでもそもそも応募がないというケースが最近はよくありまして、非常にいいポストで、人の母数がすごく少なくなってきているなということを感じています。大学院等のプログラムで、人を育てていく、下から、いかに上に上げていくかということが非常に大事になっていて、その辺りもこういった技術的な面、それから、いろいろなキャリアパスがあるというところにどうやってつなげていくかということは、大学院の支援プログラムを含めて、その辺りと大学とうまく連携して考えていくということが非常に大事ではないかなと思っています。
URAとか技術職員というのは、やはり数が減っていて、いつも大学内で議論になることは、採れる人の数が決まっているときに、それで採るか、教員を採るかという判断を、現場は迫られるということになります。なかなかそういったところに人が広がっていかないということの1つの要因が、彼らの評価というものをきちっとやっていくシステムがないと、若い人たちがそこに行くインセンティブがなかなか感じにくいという問題があります。いい人がいてもやっぱり、もっといろいろなことが評価されるところにどうしても人を取られてしまうので、そういった技術職、URAも含めて、こういう人たちの評価ということが国の中で浸透していくということを1つ考えていくことも大事かなと思っています。
以上です。
【網塚部会長】 ありがとうございます。
現場からの非常に重要な御指摘だったと思いますが、皆さん、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは、時間も押しておりますので、進ませていただきまして、古川委員、お願いいたします。
【古川委員】 お茶の水女子大学の古川と申します。私は物理、実験系の研究者です。私の大学は、さっきのところで平均の予算が500万円とか書いてあったので、おおっと思ったぐらいで、実際、私のような都会にあるけれども小さい大学ですと予算が30万から70万ぐらい、桁が全然違うじり貧の研究者です。私は、学内には、そういう意味では恵まれていて装置をいっぱい持っているんですけれども、維持費とかがなくて更新もできなくて、今、困っています。そんな立場から、少しまたこういった会でコメントできたらなとは思っています。
あと、私は実験手段としては中性子散乱というのを専門にしております。日本ですとJ-PARCと、JRR-3、JAEAの中にある装置を使います。それも使うのですけれども、私自身は2008年頃からつい最近まで、主に海外で、アメリカ、フランス、ドイツ、スイス、イギリスといった地域の研究施設も使いまくって研究をしてきております。海外で実験をしたときと日本で実験したときの一番の違いは、ポストの多さというか、人の多さ、サポートの人の多さです。本当にアメリカなどだとヘリウムを入れてくる人とか、コンピュータのリモートをしてくれる人までいるんですね。
そういう大きな差を感じて、私もなぜやっぱり海外に行くかといったら、サポートが多いからです。日本だとなかなか、他のチームとグループを組んで何かをやるということはあまりないので、1人になってしまうと技官もいなければ、自分でヘリウムを汲むところからやったりするんですけれども、そういったところの違いというのをすごく今感じています。大型施設で、適材適所ですごく優れた、才能のある技師の人たちがいっぱいいるところって、テクニカルにサポートしてくれる人がいっぱいいるところというのがすごく魅力的なので、そんな私の経験からも、この会の中で少しコメントができたらなと思っています。そんなところでよろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。
【網塚部会長】 ありがとうございます。
皆様から何か御発言ございますでしょうか。よろしいですか。一通りコメント、御意見いただきまして、最後、私ですけれども、部会長を仰せつかっております北海道大学の網塚です。もう結構、いい時間になりましたので、手短にお話ししますと、岡田委員が重要なポイントを整理してくださったと思いますが、当たり前ですけれども、世界最先端の技術が新しい知を生んで、またその新しい知が次の技術を生み出していくというのが科学技術の展開ですので、その流れは強く推し進めていくべきだと思います。一方で、最先端の、もう世界に1つしかない技術というのは、いずれ汎用化されますから、そのときには、できるだけ多くの研究者がその恩恵にあずかれるような共用体制をしっかり築いておくのが大事なのかなと思います。量子コンピュータなんか、まさに今そういう段階にある1つの例ではないかなと思います。
その意味で、これまでの先端研究基盤共用促進事業を10年以上進めてきた足場をベースにして次の発展を考えていくことが大事だと思います。理想を掲げつつ、足元を見て次のステップを踏んでいくということがです。繰り返しになるかもしれませんが、私が学生の頃にこの装置を使いたいなと思ったときに、大学の中で、その装置を持っている研究室を探して、そこの教授に頭を下げて使わせてもらった時代とは、今は大分変わっています。共用促進事業の成果もあって、多くの装置が、多くの機関で見える化されていて、ウェブ上でアクセスすれば、予約して使える体制が構築されています。それが若い世代に当たり前になってきているから、この流れはしっかり次に向けて発展させていくところではないかなと思います。
その意味で、全学的な体制を築いていく上では、コアファシリティ事業に採択されて整備してきた15機関が実質的にどのように今後連携していけるかが大きな鍵を握っていると思います。今後フォローアップがあると思うのですけれども、実態をしっかり見た上で、そこから全国に展開していけるような活動もしっかり進めていく必要があろうかと思っている次第です。私からは以上です。
全体を通じまして、いま一度皆様からもし何か御発言がありましたら、お受けいたしますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。本日、いただきました御意見を踏まえまして、事務局とも相談いたしまして、本部会における審議を進めてまいりたいと思っております。ありがとうございます。
続きまして、議題5「令和7年度研究開発基盤部会における評価について」に入らせていただきます。事務局より御説明をお願いいたします。
【伊藤補佐】 事務局でございます。資料5-1を用いまして、「研究開発基盤部会における評価について」について御説明をさせていただければと思います。資料5-1ですけれども、文部科学省における研究及び開発に関する評価指針を踏まえまして、研究開発基盤部会における第13期の評価の方法、評価フォーマットについて案としてまとめておりますので、御審議いただいて御了承いただきたいというものになってございます。
まず、1ポツは評価の目的ということで、国が定めて政策、研究開発プログラムの目的や目標を達成するためにどういった研究課題が必要かといったことを評価していただくということをまとめております。二つ目のポツとして、評価の区分ですけれども、(1)事前評価といたしまして、事前評価の対象課題としては、総額10億円以上を要することが見込まれる新規課題について評価をするということにしてはどうかという形になっております。また、評価の実施時期につきましては、2にありますとおり、概算要求に先立って実施をいたしまして、評価の流れといたしましては、部会で評価を直接するということもございますし、もしくは二つ委員会を設けていただきましたので、委員会で評価をいたしまして、委員会における評価を部会に報告して、部会にて評価結果を決定するという流れもあると考えております。
また、評価結果の活用につきましては、次のページですけれども、文科省の政策評価及び概算要求の内容の検討に活用させていただくという形で、また、概算要求のときに評価をいたしますので、政府予算案の決定を踏まえて必要に応じた評価の見直し、また、評価実施後のフォローアップということを定めております。(2)が中間評価になりますけれども、事前評価を実施したもののうち、中間評価実施時期に当たる課題について中間評価を実施するということで、課題の実施期間が長期にわたる場合には、3年を目安に評価を実施するという形で定めております。また、評価の流れ、評価結果の活用につきましては、事前評価と同様でして、委員会で評価をする場合には、部会にて報告して評価を決定する。また、評価結果につきましても概算要求等に活用するということを書いてございます。
(3)は事後評価になりまして、事前評価を実施したもののうち、事業が終了するものについて評価をするという形になっております。2のとおり、課題の終了時に評価を実施いたしまして、評価の流れについては、事前評価、中間評価と同様です。評価結果につきましては、後継の課題等々の検討に活用するということを定めております。(4)は追跡評価になりまして、事後評価で終了したもののうち、国費投入が多い場合にはフォローアップ調査をする、評価をするということも定めております。
3ポツが評価の進め方になりますけれども、評価票の作成ということで、評価票は、この後ろに出てまいります評価フォーマットに従いまして、A4の数枚程度に簡潔にまとめるということを定めております。(2)は評価の実施につきまして、簡潔な、明瞭な評価をしましょうですとか、評価の単位についても、基本的には事前評価の単位を中間、事後評価でしましょうということについて定めてございます。
4ポツが留意事項となりますけれども、(1)利害関係者の範囲といたしまして、文部科学省における研究及び開発に関する評価指針にのっとりまして、原則として利害関係者が評価に加わらないようにするということで、利害関係を有する可能性のある者を評価に加える必要がある場合には、その理由や利害関係の内容を明確にすると定めております。具体的には、1から4にございますような評価対象課題に参画している方ですとか、被評価者と親族関係にある方、利害関係を有すると自ら判断される方、部会において評価に加わらないことが適当であると判断された方については、評価に加わらないという形で定めております。
続きまして、別紙に留意事項という形でまとめていますけれども、評価指針にのっとりまして、研究開発課題の正確な内容、規模に応じまして必要性、有効性、効率性の観点で評価をするということを定めてございます。必要性、有効性、効率性の観点の具体例といたしまして、評価指針にございますような事例をこの点線の囲みの中に書いておりまして、これを参考に評価項目を定めて評価をしていただくという形で進めていきたいと考えております。
8ページ目以降が実際の事前評価等々のフォーマットになってございまして、まず、事前評価の委員の皆様の名簿ですとか、実際にどういった研究課題かの概要の後にアウトプット指標、アウトカム指標ということで、どういった状況なのかをモニタリングした上で、先ほど申し上げました必要性、有効性、効率性の観点できちんと事業が実施されているか、されようとしているかといったようなことを評価してフォーマットにまとめていただくという形で案を作成しております。
事務局からの御説明は以上となります。
【網塚部会長】 ありがとうございました。
ただいまの本部会における評価の実施についての御説明につきまして、委員の皆様から御質問などございましたらお願いいたします。少し眺めていただいて、もしお気づきの点などございましたら御発言ください。基本的に文部科学省における評価指針にのっとったスタンダードな方針を本部会向きにアレンジされているということですけれども、いかがでしょうか。よろしいでしょうかね。特に御意見がないようでしたら、この案をもちまして当部会として決定させていただければと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、異議なしとして了承させていただきます。
それでは、最後に議題5「その他」ですけれども、事務局から連絡事項等ございますでしょうか。
【伊藤補佐】 事務局でございます。次回の研究開発基盤部会の開催日程等につきましては、改めて調整いたしまして御連絡をさせていただければと思います。また、本日の会議の議事録につきましては、作成でき次第、委員の皆様にメールにて御確認いただきまして、議題1から3に係る部分を除きまして文科省のウェブサイトに掲載をさせていただきます。本日の配付資料につきましても、後日、文科省のウェブサイトで公開をいたします。
以上でございます。
【網塚部会長】 ありがとうございます。
全体を通じて皆様から何か補足の御意見などございますでしょうか。
【井上局長】 今日、第1回目ということで、先生方の御意見、拝聴しまして、様々に私も思うところがありまして、大変貴重で、ありがとうございました。岡田先生から強みの話がございました。私が、共用体制を整えるということで考えていましたのは、当然、我が国としての勝ち筋、強みのところを伸ばしていかなければいけない。ただ、今、日本の状況を見てみると、本当に衣食住といいましょうか、ベーシックなところが整えられていないと感じまして、要は世界と戦っていくための前提となる、もうごくごく基礎的な衣食住みたいなところが整えられていないのに加え、整う、整えるためには、競争的資金を獲得するなどして、要は多大なコストをかけて、多大な労力をかけてベーシックな部分を整えているという状況で、ここは最低限、まず勝ち筋の前提として、そこを整える必要があるかなと思っています。その上で、本当に勝ち筋を見つけるというのは、しっかりしていかなければいけないと感じております。
それと、技術者、なかなかそうは言っても人材がいないんだよという話、有馬先生をはじめ、複数の先生からありましたけれども、私はやはり民間企業とのコラボレーションなんかも考えないといけないかなと思っていまして、例えば今、国立研究開発法人は違うと思いますけれども、日本の大学では、研究機器はリースではなく、大体買っているんですよね。特にある程度、共用体制を整えているような大学は、うちはきちんとした技術者もいるから、まず買ったほうがいいんだと。要はリース契約をすると、保守、メンテナンスの料金なども入っているから、かえって高くつくといった意見もよく聞きます。また、予算の構造からしても、補正予算がついたときにドバッと買うとか、そういうことになってしまっているので、どうしてもお買物中心なんですね。
でも、仮に共用設備群を今まで以上に整えていかなければいけないとすると、ある程度、メンテナンス等を行うためにも人手が必要なのですが、リース契約で、そういったメンテナンスなどもメーカーにある程度お任せできるものはお任せして、契約をすることによって、今ある技術者の体制でも今まで以上に共用体制を組んでいけるのではないのかなということは少し思っています。それに加えて、やはり退職した方々の活用というのもありまして、分析機器メーカーの皆さんと話していると、結構、まだまだ働ける優秀な皆さんが各社いらっしゃるということでして、そういった方々、もちろん国立研究開発法人や大学を退官されて、まだまだ働ける技術者の方もいらっしゃると思います。そういった方々の活用なども、まず当面は考えていくのかなと思っています。長い目で見ると、若い方をしっかりと育てて、あと、そういった部分のキャリアパスなども整えていくということもありますけれども、そういったことをいろいろ様々に組み合わせていくことが必要かなと少し思いました。
以上でございます。ありがとうございます。
【網塚部会長】 井上局長、ありがとうございます。
何か皆様から御発言ございますでしょうか。
【有馬委員】 では、少しいいですか。
【網塚部会長】 はい。どうぞ。
【有馬委員】 補正予算って確かに大きな問題で、補正予算って何で設備を買うのにしか使えなくなってしまっているんですか。文科省さんの話ではないですよね、多分。財務省の話なんですかね。
【井上局長】 これは予算制度の話もございますけれども、補正予算というのは、やはりそもそも今必要ということで措置しますので、買うというのが一番シンプルな使い方なので、そうなっていると思います。
【有馬委員】 その理屈は理解しているんですが、一方で高い装置なので入札して云々というと、結局、補正予算を次の年度に繰り越してやっていますよね。それは予算構造上しようがないですけれども、おっしゃったことのように、例えばそれですぐ欲しいんだからリースですよというほうが、本当はすぐ来るんですよね。
【井上局長】 そうですね。
【有馬委員】 何か矛盾を感じることがたくさんありますね。
【井上局長】 そこは我々もいろいろな知恵を出したいと思っています。例えばこれはハードルは高いとはいえ、最近は基金という形態で補正予算を措置する場合がございます。基金の形にしますと、ある程度、その複数年度を見通した様々な形での資金の執行が可能となりまして、そのような形だとリース契約も可能だと承知しておりますので、ちょっといろいろとそこも実際の予算の執行という意味での工夫、知恵を働かせていきたいと思っております。
【有馬委員】 はい。
【網塚部会長】 ありがとうございます。
基金化は大変助かりますね。共用設備ですと安定した収入が入る装置に関してはリース契約のほうが、数億円するような装置でも毎年1,000万、2,000万という収益が見込まれる共用設備群があれば導入することができるので、非常に有効ではないかと思っていて、北大でも検討はしているところでございます。
ほか、皆様から何か御発言ございますか。よろしいでしょうか。それでは、以上をもちまして第13期第30回研究開発基盤部会を閉会いたします。本日は、どうもありがとうございました。今後もよろしくお願いいたします。
―― 了 ――
科学技術・学術政策局 参事官(研究環境担当)付