令和7年2月3日(月曜日)13時00分~15時00分
文部科学省内15階局1会議室及びオンラインのハイブリッド形式
網塚部会長、高橋部会長代理、雨宮委員、飯田委員、伊藤委員、江端委員、岡田委員、上西委員、上村委員、田中委員、鳴瀧委員、宮下委員
(事務局)科学技術・学術政策局 局長 井上諭一、研究環境課 課長 野田浩絵、課長補佐 田邉彩乃
【網塚部会長】 それでは定刻となりましたので、ただいまより、第29回科学技術・学術審議会研究開発基盤部会を開催いたします。
お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございます。本日が今期、第12期の最後の開催となりますので、また久しぶりの対面ということで、最後までぜひ活発な御議論をいただければと思います。
それでは、まず事務局から本日の出欠と資料の確認などをお願いいたします。
【田邉補佐】 事務局の研究環境課の田邉でございます。
本日の御出欠ですが、岡部委員が御欠席、その他12名の委員の皆様に御出席いただいております。
続きまして、資料の確認をさせていただきます。配付資料につきましては、議事次第、資料1から5、参考資料をお配りしております。一式でお手元にお配りしておりますので、よろしくお願いいたします。
また、オンラインで御参加の委員の皆様におかれましては、PDFにてお届けしているところですので、説明の際にはZoomの画面上にも投影するようにいたしますが、見えにくい場合は、適宜、お手元の資料を御覧いただければと思います。
また、オンラインで御参加の委員の皆様への留意事項もお知らせさせていただきます。御発言されるとき以外はマイクをミュートでお願いいたします。御発言される際は「手を挙げる」をクリックしていただき、部会長の指名をお待ちください。指名がありましたら、ミュート解除にて御発言いただければと思います。また、議事録作成のため、速記者を入れておりますので、御発言の際にはお名前を言ってから御発言いただければと思います。
音声の不具合など、トラブルが発生した場合は、事前にお知らせしている事務局の電話番号までお電話いただければと思います。
事務局からは以上です。
【網塚部会長】 ありがとうございます。
それでは議事に入ります。議題1「先端研究設備・機器の共用推進」についてです。まず初めに、事務局から報告事項として、資料1から3に基づいて御説明をお願いいたします。
【田邉補佐】 私から資料の1から3について説明させていただきます。
まず、資料1についてですけれども、3ページ、4ページをおめくりいただければと思います。第7期科学技術・イノベーション基本計画の策定に向けまして、文科省内での総合的な検討が進められているところですけれども、その状況について、先日、1月29日の科学技術・学術審議会の総会において、こちらの資料の内容で御報告しておりますので、参考情報としてまず簡単に御報告させていただきます。
9ページに飛んでいただければと思いますが、文科省において研究力強化に向けた取組の方向性ということで、第6期基本計画の下での研究力強化に向けては、こちらに記載がありますように、世界最高水準の研究大学や地域の中核・特色ある研究大学の実現を目指した大学改革への支援であるとか、研究者に対しては総括的な研究を行う資金の充実、博士課程への進学を後押しする支援等を実施してきたところですが、これらに対して7期では、これらの取組を継続的に実施していく必要があるが、これまで取り組んできた施策の効果を最大化するため、新たに研究に関わるプレーヤーがそのパフォーマンスを効率的に最大限に発揮し得るエコシステムを構築することが重要ということを考えておりまして、その中でも太字のところでございますけれども、研究機関が持つ高度な研究リソース(研究設備・機器、専門人材、研究データ等)の戦略的な「集約」と「開放」によるエコシステムの構築といったことを今後の方向性として検討しているところです。
また、飛びまして、11ページになりますが、具体的な取組については、こちらに記載の施策1から5のとおり考えているところですが、特にこの施策1というところが当部会の議論に関連するところとなっております。個々の大学等の意欲的な改革や研究者個人の独創的な研究への支援を一層充実するとともに、高度な研究リソースについて戦略的な「集約」と「開放」を行い、技術職員等の専門人材、事務スタッフの育成・配置等と併せて、組織・分野を超えたオールジャパンのエコシステムを構築するというようなことを検討しているところでございます。
資料1につきましては、以上となります。
続きまして、資料2について説明させていただきます。13ページを御覧ください。こちらは先日、1月30日に共用促進事業のシンポジウムを開催いたしましたので、そちらの御報告となります。研究基盤協議会主催の研究基盤EXPOの中で開催させていただきましたものですけれども、今回はコアファシリティ構築支援プログラム令和2年度採択校が支援期間の最終年度ということで、各大学の取組の集大成について御発表いただきました。北海道大学については網塚先生、山口大学については上西先生にも御登壇いただきまして、御発表等々いただいたところです。ありがとうございました。
また、御発表いただいた上で、さらにパネルディスカッションにおいて、今後の成果の横展開という観点での議論をいただきました。3つテーマを設けておりまして、研究基盤IRの取組、地域ネットワークの構築、技術人材の育成といったこの3つのテーマで御議論をいただきました。取り組むに当たっての重要となる点であるとか、課題等について御議論いただきまして、多くの気づきを得る機会になったかと思っているところです。具体的な結果の概要は取りまとめ中ですので、また別の機会に御報告させていただければと思っているところです。
資料2につきましては、以上です。
続きまして、資料の3についてです。最初に22ページを御覧いただければと思いますが、研究大学における共用研究設備・機器の在り方に関する検討会ということで、こちらに設置の概要をつけておりますけれども、江端先生に座長を務めていただき、名簿にあります検討会、作業部会、こちらの皆様に御参画いただきまして、12月から1月にかけて検討を行ってまいりましたので、そちらの内容について御報告をさせていただきます。
15ページに戻っていただければと思います。こちらの検討会では、最初のポツにありますように、研究機器、その運用人材、コアファシリティ化の効果等というところについて、個別大学の事例分析から現状把握と目指すべき姿の検討をすることといたしまして、まずは研究機器の現状等、総資産件数であるとか、共用機器の状況というところについて分析を進めることといたしました。
事例分析につきましては、下の表にあります特徴の4大学を中心に、また委員から提供された各委員の所属大学に係るデータも参考としながら検討をさせていただいたところです。事例分析をさせていただいた大学名につきましては匿名化とさせていただいているところとして、A大学、B大学、C大学、D大学とさせていただいているところです。
現時点までに、「市場規模のある機種」ということで、右下の表の19種類を分析対象の機種として、資産管理台帳であるとか、共用機器の利用情報等から得られた「共用機器と専有機器の状況」であるとか、「利用頻度の高い機種」等に関する事例の分析・検討を行いました。この資料では、その結果と検討を通して明らかとなった課題についてまとめております。
次のページ、16ページになりますけれども、まず、資産の件数というところで、専有機器と共用機器の状況について、こちらにまとめているとおりとなります。1,000万円以上の資産件数について、共用・専有機器の内訳別にデータが精査できている範囲でまとめたものが左下の表となります。また、共用機器等の機種別の件数としては、右のグラフのとおりとなっているところです。この結果として、上枠のところに書いてあるとおりですけれども、大学の教員数等の規模感と、所有機器の金額規模ごとの台数であるとか、主要な共用機器の台数というものについては、おおむね相関しているということが明らかになりました。特に小規模の大学では、1,000万円以上の機器の約半数が共用化されているであるとか、統括部局の共用機器としては、総資産に対して一、二割程度のものが統括部局管理の共用機器となっているということであるとか、あとは共用機器の機種としては、おおむね電子顕微鏡、NMR、質量分析系の装置。質量分析系の装置というところに関しては、前のページで機種を細かく分けておりますけれど、kからnまでのものを一まとめにさせていただいておりますが、こういったものが多い傾向が見られるということが明らかになったというところです。
次のページ、17ページですけれども、こちらは検討会で分析したデータとは別のデータになるんですけれども、機器の専有・共用に関連するものとして参考としてつけております。国立大学を対象とした研究設備等の利用状況についての調査の中で、相当程度、市場規模のある7機種の共用状況についての調査結果というものをまとめているものになります。下の7つの機種について、グラフで金額・規模ごとに、赤のところが共用されていないもの、青と黄色が共用されている機器ということで、棒グラフで示しておりますけれど、こちらを見ていただくとおりですが、各機種とも台数の少ない高価格帯では共用化率が高いということが明らかになりました。
もう一点は、特に電子顕微鏡については、1,000万円以上の価格帯で共用化率が非常に高く、また、1,000万円未満の価格帯でも、他の機種に比べて共用化率が高いということが顕著に、明らかになったというところです。こちらも参考としてつけさせていただきました。
次のページ、18ページですけれども、こちらは共用機器の利用状況についてまとめたものです。機種ごとの利用状況に係る詳細なデータとして、A大学、D大学。A大学の315件の機種ごとの利用状況のデータ、D大学の14件の機種の利用状況のデータというものを下につけておりますけれど、こちら稼働率、利用件数、利用料収入についての詳細なデータとなります。
こういった情報から、各大学とも、電子顕微鏡、NMR、質量分析系装置の稼働率、利用件数等というものが多いという傾向が明らかになりました。次いで、大学によって、液体クロマトグラフであるとか、回析装置といったものの稼働状況が多いというようなことが明らかになりました。
また、複数のキャンパスを有する大学では、共用機器は移動距離を考慮し、おおむねキャンパスごとの整備がなされていますけれども、統括部局の拠点には、ほかのキャンパスからの利用も十分にあるというような事例の報告もございました。
また、稼働可能時間というものについては、現状、大学ごとにそれぞれの考え方で設定されており、単純比較はできないというようなことが改めて明らかとなったところです。ですので、こちら、詳細な稼働率なんかのデータもつけておりますけれども、ここの数字を見て一概にこの数字だから高い、低いというところはなかなか言うのは難しいかなというようなところが明らかになりました。
続きまして、19ページです。共用機器として備えるべき機器群について、個別大学に係る委員の私案というものを出していただきました。それを拝見したところ、やはり大学の規模、特徴ごとの違いというものが見えてきたところです。そこら辺の詳細はなかなかまだ分析ができていないところではありますけれど、下に電子顕微鏡を例にしたものを記載させていただいておりますので、一例として参考いただければというふうに思っております。
また、そのほかに共用化や整備・更新の考え方の事例として、装置の簡便さ、高難度・先端性や価格帯を踏まえた共用化の判断、稼働状況等を踏まえて、共用機器の台数やその更新等を検討するというような事例がございましたので、具体的にどういった内容で検討しているかというところを一番下にA大学の事例としてつけておりますので、こちらも参考としていただければと思っているところです。
続きまして、20ページですけれども、今回の分析を通して見えた今後の課題について、こちらのページにまとめております。まず最初に、機器情報のデータ把握・現状分析に係る課題というところですけれども、まず1つは、資産台帳と実際の機器の情報のひもづけができていないと。このため、今後は導入時に統括部局等と財務局等が連携し、共用・専有をスクリーニングした上で登録するようにしていくべきであり、その際、機種の表記等については整理された考え方に基づくことが必要ではないか。
2点目ですけれども、専有機器の情報・状況が把握されていない・できていないというところでして、少なくとも戦略的な整備を実現する上では、導入した機器の種類が統計的に分析できるといったようなことが必要ではないかと。
3点目ですけれども、専有機器について、なぜ専有で導入されているかの理由が把握されていないというところでして、専有機器については、真に専有で必要なものと共用機器が十分に整備されていれば導入する必要のなかったものがあると考えられ、大学の経営戦略に基づき、専有・共用の判断がなされるべきであり、専有・共用の考え方について深掘りした事例分析がまさに必要ではないかと。
次ですけれども、共用機器についても、利用状況の一元的な把握ができていないですとか、稼働率や利用件数の考え方が大学によって異なり、比較ができないというところでして、大学として備えるべきデータセットの項目、稼働率や利用件数の統一的な考え方の整理、これらを踏まえた研究基盤IRシステム整備を進めることが必要であろう。なお、研究基盤IRは、研究力向上に資する分析を行えるよう、成果創出とのひもづけが重要であろうということが示唆されたところです。
続きまして、共用機器として備えるべき機器の検討に係る課題といたしましては、現状からのbefore/afterについて、現状分析の結果等を踏まえたさらなる整理が必要というところでして、まずは電子顕微鏡、NMR、質量分析系装置に絞ってさらなる検討を進めることが望ましい。その際、全国~地域等でのネットワーク化の中心となる研究大学等において、他機関からの利用も見込んだ場合、どの程度必要かということの観点も含めて検討できるとよいというところでまとめられているところです。
最後に21ページですけれども、どのような機器をどの程度整備すべきかということに関して委員の皆様に意見をいただいておりまして、そちらについてまとめたものがこちらになっております。基本的な考え方であるとか、大学の状況に応じての考え方、地域等の中核的基盤としてはどうなのか、アクセス距離、遠隔・自動化、そういったことに対してはどうなのかというところを委員の皆様の意見をまとめておりますので、こちらを御参考いただければというふうに思います。
あと23ページ、今後についてのことも少し記載しておりますが、検討会の今後につきましては、一番下の矢印のところにありますとおり、引き続き、主な機種を中心に人材とコアファシリティ化の効果を含め、現状と目指すべき姿についての事例分析を継続していくということを予定しております。
検討会についての報告は以上です。
【網塚部会長】 ありがとうございました。
こちらの検討部会で座長を務めていただきました江端委員から、補足事項、御説明などもしございましたら、ぜひお願いいたします。
【江端委員】 ありがとうございます。ただいま田邉補佐のほうから御説明いただきました検討会と作業部会につきましては、最後の「検討経過」というところに書かれていますとおり、12月12日から始まって1月20日にまとめるという非常に短い期間でまとめていくという大変な作業というか、こういった検討になりました。かなりこの時点で膨大なデータや資料が提出され、そこで議論されたということで、それを本当に非常にコンパクトに文部科学省の皆さんにまとめていただいて、本日御報告したというような形になります。この場をお借りして、文部科学省の皆様と検討会、作業部会に御参加いただいた委員の皆様に感謝を申し上げたいと思います。
実際に今後の課題という20ページに書かれていますところで、こういうデータをしっかりと皆さんで見ながら、膝を突き合わせて議論をするということはこれまで全くなされておりませんで、設備が本当にどこにどれだけどのような形で設置されているのかということは誰も分からないという状況で、大学の中ですら分からないという状況で、現在、文部科学省の共用事業というのがこれまで進められてきたというところがあります。したがって、共用ガイドラインというものが発出された際に、こういった研究基盤IRというような考え方に基づいて、そういった現状を把握した上で戦略的な設備整備の運用計画というものをつくりましょうというようなところが発信されたわけですけれども、じゃあ、実際にどういったデータを見るべきなのかというところから議論を始めなければいけない状況だったということで、大学の中の財務の部署が保有しております資産管理台帳というところから今回攻めていったというような流れになります。
この際に、本部会もかなり関わっておりますコアファシリティ事業というところで整備をされてきましたコアファシリティという、統括部局と呼ばれるような部署の役割の重要性というのが改めて認識されたかなと思っております。こういった統括部局が共用機器等をしっかりと把握する活用方法を検討しつつ、実際に事務的にまとまっているデータというものと結びつけていくという作業が非常に難しくて、その部分ができたのは統括部局がしっかりと整備されていたというところからこのような作業が進んだというところで、非常にこれまでの政策の成果というのが見えてきたところかなと思います。
なので、そういった意味で、やはりこういったエビデンスに基づくような研究基盤の整備というのは今後も進めていかなければいけないというふうに考えておりますので、今回、整理させていただいたところも含めて、この後、委員の皆様から御意見等もいただきつつ、この後、検討会等も引き続き継続予定ということになっておりますので、議論を深めていきたいというふうに思っております。
以上になります。
【網塚部会長】 江端委員、どうもありがとうございました。
ここまでの事務局からの御説明、それから、江端委員からの御説明に対して既にいろいろと御意見はおありかと思いますが、最後にまとめてしっかり時間を取ってお受けしたいと思っております。
それでは、続きまして、資料4、資料5に基づきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
【野田課長】 それでは、資料4、資料5につきまして、私のほうから御説明をさせていただきます。
まず、資料4、第12期の議論の取りまとめでございます。前回、骨子案としてお示しをしたものについて少し内容を肉づけするとともに、順番の整理など、分かりやすさの観点からの修正等を行って、取りまとめたものでございます。おさらいも兼ねて、一通り、簡単に御説明をさせていただければと思います。
まず、25ページです。背景を記載した上で、2ポツの基本認識というところは骨子にはございませんでしたが、論点整理でおまとめいただいたものを基に追記をしております。この中で研究設備等については、科学技術イノベーション活動の重要なインフラとするとともに、計測・分析等の基盤技術の進歩が最先端の研究開発の進展と表裏一体であるということを明確にしております。
その次の丸のところでは、基礎研究から産業に至るまで、全ての研究者が必要な設備等にアクセスできるような環境整備が求められるということ、さらに、設備の整備・利活用と基盤技術の高度化は両方必要不可欠ということを記載しております。
26ページでございますけれども、その上で、研究設備等の整備・利用・高度化・開発のサイクルが生まれて、それによって研究開発と、それに必要な設備等の開発・高度化が両輪として進むことが重要であるということで基本認識としてまとめております。
それから、3ポツの関連施策と諸外国の状況でございます。ここは本文を追記させていただきました。これまで御報告した内容を記載しております。個別の御説明は省かせていただきます。
29ページまで飛んでいただきまして、4ポツ、研究設備等に関する概念整理というところにつきましては前回から変わっておりませんけれども、最先端・国内有数の研究設備等と基盤的研究設備等ということで、概念の整理として記載をしております。
また、30ページの1つ目の丸のところになお書きで、この概念整理については、あくまでも方向性を検討するためのものであって、厳密な分類を行うものではないという点は追記させていただきました。
また、最先端の研究設備等の例示として、前回の中でもコメントいただきました質量分析計についても、ハイブリッド高分解能質量分析計を追記してございます。
5ポツの現状と課題でございます。前回は課題を2か所に分けて書いていましたが、ここでは1か所に集約してまとめるとともに、内容に応じて順番等、整理を行っております。
まず、コアファシリティ化の現状として、先進的取組が生まれている一方で、組織的な共用化が進んでいない機関も見られるということ、それから、外部への共用について、次の丸ですけれども、この部分は追記してございまして、件数が拡大しているものの、ごく僅かであり、引き続き強化が必要であるということを記載しています。
31ページ目の1つ目の丸ですけれども、こちらは先ほど御報告しました検討会の事例分析から追記をしてございます。
次に、プラットフォーム形成の現状でございますけれども、これについても、高度な利用支援体制を有する全国的なプラットフォームの形成が進められてきたということ、その中で、機器メーカーとの連携や国際ネットワークへの参加などが図られてきたということを記載した上で、一方で、分散型の連携体制であることの課題として、統一的なビジョンの下に、全国を俯瞰した設備等の導入運用や人材の育成等が難しく、今後の課題になっているということを記載しております。
それから次に、共用現場の共通課題として幾つか記載をしております。ここも内容は変わっておりません。これについては好事例も見られるが、事例の横展開がうまく進んでいないということを記載してございます。
32ページでございます。次に、共用に係る情報の分散で、我が国全体として共用研究設備や技術人材の所在情報、好事例といった情報を把握できないということを記載してございます。
また、先端研究設備等の海外依存、開発・導入の遅れとして追記をしてございます。
さらに、33ページで計測データの利活用に関しても、前回、課題としては記載をしておりませんでしたけれども、論点整理にございましたので、それを基に記載をしてございます。
それから、この現状と課題を踏まえた施策の方向性を6ポツとしてまとめております。ここも構成等、主な内容は前回から変わってございません。
(1)の各機関のコアファシリティ化を強化する仕組みの構築としまして、我が国全体の共用システムに関する情報を一元的に集約し、見える化することが求められること、さらに、これらの情報に基づいて、各機関の取組に対する助言・コンサルテーション等による共用システムの強化が求められるということを記載してございまして、必要な機能として箇条書きで下に記載をしております。
さらに、その下に、なお以下で留意点として、見える化についてはどのような情報・項目について集約・可視化をすることが効果的・現実的であるか検討が必要ということも触れておりまして、先行的に共用化に取り組んできた機関から着手すべきであるという点の記載をしております。
また、各機関のシステムが独自に構築されてきているものの、中長期的な観点からは、各機関のシステムと連携可能な形で集約等をしていくことが必要であるということを記載しております。
次に、(2)の研究基盤エコシステムの形成についてでございます。これについては、機器等の導入・利活用・高度化、それから開発・実証等のサイクルは、それに必要不可欠な人材の確保・育成・供給とともに循環するエコシステムの形成が必要であるとした上で、それに必要となる機能・取組について、共用、整備、高度化・開発という3つに整理をして、まとめております。
35ページ以下に記載をしてございますけれども、まず、①の共用としては、ネットワークの構築と、成果・ニーズの創出に向けた取組と分けて記載をしております。ネットワークに関しては、全体最適を目指して連携するためのネットワークの構築が必要ということを記載しておりまして、基盤的研究設備と最先端研究設備等に分けて記載をしてございます。
まず、基盤的研究設備等に関しては、コアファシリティ化が進んでいる研究大学等を中心に、地域性・分野等を考慮しながらネットワーク化をしていくこと、そして、それを企業等にも開いていくことでイノベーション創出等に貢献していくことが求められるということ、そして、最先端の研究設備等については、引き続き、分野・装置ごとのプラットフォーム等によって、全国からのアクセス性の向上等を図ることが必要としています。
この際に、我が国の強みとなるような技術分野に関しては、国際的な存在感を発揮していくという観点からも、技術開発の観点からのグループ化などの仕組みについても検討が必要であるという点を記載しております。
そして、成果・ニーズの創出に向けた取組として、主には人材に関して記載をしておりますけども、基盤的研究設備等に関しては、運営の要となる技術専門人材の抜本的な拡充が必要不可欠であるということ、人材育成プログラムの実施などによる継続的な育成・配置が求められるといったことを記載しております。
また、ポテンシャルユーザーを育成する観点からの教育の推進も重要であるということでございます。
そして、最先端の研究設備等に関しては、多様な分野や業界からの利用を支えるための技術コンサルタント等の専門人材の育成・配置を図るということ、また利用分野の拡大、分野融合研究を生み出していく場として活用していくための取組が求められるとしております。
次に、②の整備でございます。基盤的研究設備等に関しては、機関の規模、研究の特色からキャンパスの状況等を踏まえた整備が必要ということ、そして、最先端の研究設備等については、各機関の強み、特色分野において、全国の整備状況も踏まえた戦略的な導入が必要ということを記載しております。
また、これらの設備等の整備に当たって、37ページ冒頭にあるようなレンタルリース等の好事例をモデル化して横展開していくことが必要ということを記載してございます。
それから、③の高度化・開発でございます。これについては、最先端の研究設備等に関しては、機器メーカー等、民間企業との組織的な連携の下で実現するための機能の構築が必要として具体的な内容をその下に列挙しております。
それから、研究設備等の高機能化・高性能化ということについては、IoT、ロボティクス、AI技術等の進化を踏まえた高機能化・高性能化等を進めることも求められるということを記載してございます。
さらに、7ポツ、今後に向けてについては、部会からの期待として追記をしております。1つ目の丸では、改めて研究基盤の抜本的な強化のための環境の整備が必要ということを記載した上で、2つ目の丸で、そのためには6ポツの施策の方向性で示したような必要な施策を講じることが期待されるということ、そして、加えてということで次の丸ですけれども、データ利活用ですとか、また、大型先端共用施設等との連携など、発展することを期待するということを記載しています。
次の丸ですけども、また、前提として各機関のコアファシリティ化や、他機関との連携が実践されるということが必要であるということと、国の役割として、これらを推進するための中長期的な見通しを立てて、予算を伴う施策と、それから好事例の共有やガイドラインの拡充といったシステム改革の推進を組み合わせて取り組んでいくことが必要であるということを記載させていただきました。
以上が議論の取りまとめ(案)でございます。
続きまして、資料の5でございます。第12期の活動報告と次期部会における検討事項でございます。
まず、41ページでございますけれども、12期の活動状況です。左側にありますのが、期の初めに確認をさせていただいた課題や検討事項でございます。大学等の研究基盤の整備・共用、それから国内有数の先端的な研究基盤の利用環境整備、人材の活用、新たなイノベーション創出を支える基盤技術開発という4点ございました。これらに関しては、右側の活動概要にありますように、事業の中間評価や、また現状把握を踏まえた上で、今年度から議論を重ねていただきまして、夏には論点整理を取りまとめ、今回、この期の議論の取りまとめとして、これら4点全てを含む事項について御議論いただき、取りまとめをいただいたということでございます。
次のページが、次期部会に引き継ぐ事項となります。こちらについてですけれども、まず、先端研究基盤共用促進事業の事後評価がございます。今年度終了課題と来年度終了課題がございますので、それらの事後評価、それから、おまとめいただく議論の取りまとめで示した各機関のコアファシリティ化を強化する仕組みの構築、それから、研究基盤エコシステムの形成の推進ということ、この2点を挙げさせていただきました。
御説明、以上でございます。
【網塚部会長】 ありがとうございました。
それでは、これまでの説明を踏まえた議論に入りたいと思います。たっぷり1時間以上ございます。それでは、一通りまず皆さんから、いつものように一言ずついただきまして、それで残りの時間、自由に御議論いただきたいと思います。今日は結構報告が、最後ということでたくさんありまして、特にどこに焦点を絞るというふうにはまずは申し上げませんので、どこでも本日の御報告で新たにお気づきになった点など、御発言いただけたらと思います。
それでは、いつもの慣例で大変申し訳ありませんが、雨宮委員からお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
【雨宮委員】 雨宮です。たくさんあると言えばあるんですが、まず、資料3で御報告いただいたこの検討会の話ですね、本当にたくさんのデータといいますか、エビデンスを取りまとめていただいて、本当に大変だったんだろうなと想像いたします。多分、委員の皆さんも本当に大変だったと思うし、現場のデータを提供した方、私も現場でもちろん共用をある程度やっている人間ですので、そういうことを頼まれることもあるわけですけれども、これとは違う件で頼まれたときに、やっぱり結構大変だったんですね。例えば利用件数と言われても、我々の装置って、ずっと24時間運転していて、どこまでを1件と数えるんだと。昼夜交互にAさんとBさんが使うのを一体何件と数えるんだとか、それによって全然数字違ってくるということもあって、結構現場ではいろいろと悩むことが多かったりするんですね。
あと、ここにも出ていましたけど、稼働可能時間というのをどう設定するかとか、本当に難しいですよね。そういうばらつきというのはどうしても出てきて、やっぱりそこにものすごい手間がかかるんですよね、どうしようって決めるのは。本当に理想的なことを言えば、システムで予約から利用から報告から管理されているならば、基本的には自動的に出るべき数字なんですよね、そういうのっていうのは。それが本当に理想を言えば、全国どこでも同じシステムの同じ基準で数字が出るのが一番いいんですけれども、そこまでいきなりは行けないにしても、本当にそこを目指して進めていければいいなというのが一つ思ったことです。
それから、資料4に関して、取りまとめについて御紹介いただきまして、特にこの2つ目の基本認識というところで、はっきりと重要なところを述べていただいて本当にうれしかったです。まず持続的な先端研究設備等の整備、利活用というのが一つ重要だと。もう一つが、基盤技術の高度化ですね。多分、その2つがとても重要ということなんだと思うんですけれども、それを本当にはっきり書いていただいて、とてもうれしかったです。
私、特に装置の高度化とか開発というところはすごく気になるところで、いわゆる市販品といいますか、今あるものを活用していくというのはもちろん大前提で、それは絶対やらなきゃいけないんですが、その上で、分析なり計測なりの装置を高度化・開発していくと。そこまで行けたら本当にすばらしいと思うんですよね。そこに関して、現場でアイデアなり技術なりを持っている人はたくさんいると思うんです。たくさんいるんだけど、多分、今それが活用できていないというのが難しいところなんだと。当然それは、いわゆる研究者だけが頑張ってもどうにもならなくて、企業というところとちゃんと協力してやっていかなきゃいけないんですけれども、そのルートが今のところほとんど見えていないという状況だと思うので、そこがもし後押しできるようになれば、この高度化・開発というのが大きく進むんじゃないかなと思いました。
私からは、取りあえず以上です。
【網塚部会長】 ありがとうございます。データ収集が自動化されると非常に楽なんですけれども、お金がかかります。高度化の開発についても、おっしゃるとおりだと思います。ありがとうございます。
ただいまの雨宮委員の御発言につきまして、何か皆さんから質問、御意見などございますか。よろしいですか。
【岡田委員】 じゃあ、よろしいですか。
【網塚部会長】 岡田委員、どうぞ。
【岡田委員】 多分、だから、我々も同じような問題に直面していて、いかに稼働のデータを取るかというので、例えば、機器予約のシステムとか何かいろんなのと連動させようとしても、結局データが取れないということが生じるんですけど、一方で今、こういう計測機器ってほとんどコンピューターを使ってやっているので、本当はそこでログを取るという仕組みをつくるのが多分一番簡単な話で、それは多分、メーカーの人たちとかと合わせてそういうログを自動取得するという機能を1回つくってしまえば、それを標準機能として必ず入れるということにすれば、自動的にできるはずだと思うんですよね。
以上です。
【網塚部会長】 ありがとうございます。
ほか、いかがでしょうか。
【上西委員】 山口大学の上西ですけども、私も同感で、研究基盤IRのデータを集めようとするときに、キャンパスごと、実験施設ごとに考え方が違うので、すごく私も苦労しました。システムを統合するというのはもちろん大事だし、そういう機能をメーカーさんにつくっていただくというのもいいと思うんですけれども、その前に定義をしっかりしておく必要があるかなというのがあります。そもそも共用機器の定義すらはっきりしないところがあって、まず、共用機器とは何かというところをしっかり定義するところから始まるのかなと思います。利用件数もしっかり定義をした上で集計していくことによって初めて分析が有効なものになるし、ほかとの比較等々が進むということで、まず定義をしっかりするというのが必要じゃないかと思いました。
以上です。
【網塚部会長】 ありがとうございます。定義のところというのは、例えば、近場の複数の研究室で共用しているとか、学科の中で共用しているとか、学部で共用しているレベルとか……。
【上西委員】 いろいろありますよね。
【網塚部会長】 学外まで開放している、いろいろカテゴリーに分けようと思うと幾つも出てくるという辺りですよね。予算申請してください、装置を高度化するので申請してくださいと言うと、数研究室で共用していても立派な共用設備だと言って皆さん主張してくるので、さあ、どうしようということになる。当然、学外まで開放している装置のほうを優先するんですけど、一方で、ローカルに共用していても、顕著な成果が出ていれば、それはやはりそれで評価すべきなのかなと。確かに難しい問題はいろいろありますね。
ほか、いかがでしょう。きっとこの件だけでも結構盛り上がるのかと思いますが、よろしいですか。
では、先に進ませていただいて、それでは、飯田委員、お願いいたします。
【飯田委員】 飯田でございます。ありがとうございます。多岐にわたる内容をきれいにまとめていただき、改めて御礼を申し上げます。
「資料3 研究大学における共用研究設備・機器の在り方に関する検討会」のとりまとめは、本当に大変であったと思いますが、まとめていただいたおかげで、次の進め方が施策として具体性を持ってディスカッションできると拝見させていただいておりました。このような資料をまとめ、可視化するというのは大変難しいと思いますが、私自身が機器メーカーで質量分析計の企画・開発・研究等に携わっていることから、例えば17ページで、7機種の共用状況に係る調査結果をまとめていただいたLC/MSを例に申し上げます。LC/MSは、非常に汎用性の高い液体クロマトグラフと言われる機器の検出器タイプのものから、シングルセルオミックス研究に使われる1億5,000万、2億円ぐらいするものまで多岐にわたります。後者のハイブリッド高分解能質量分析計に関しては、昨年度だけでも、A社というところが、平均価格が1億5,000万のものが18台日本に入っている、B社は10台入っているという統計があります。製薬等も含めた合計数字ですが、大学・研究機関向けも一定数ありますが、この共用の調査に出てこない。こういう装置こそ、ある意味、日本の基盤を上げるとともに、最先端のところで最先端の研究をする上で非常に重要かと思い、カバー率を上げ、可視化に向け、知恵を一緒に絞れれば、と思い拝見したところになります。
また、第12期の議論の取りまとめに、37ページで、最先端研究設備などの開発取り上げていただき、大変ありがとうございます。海外の機器メーカーが世界のトップジャーナルに掲載される論文で使われる装置を開発し、それを日本は輸入し、後手になる、と32ページに書いていただいている状況になっている中で、これをブレークして、先ほど雨宮委員もおっしゃいましたように、現場のいろんなアイデア、知恵を、機器メーカーも、大学、研究機関と一緒に具体的に形にしていくことぜひ次期で進めさせていただきたいと思います。
ここで気になりますのが、時間軸です。世界がすごい勢いで動いています。特に最先端こそすごい勢いで動きますので、これを意識し時間軸をどうするのか、議論しながら動くような並行して進める感じであると非常にありがたいと思います。
以上になります。ありがとうございます。
【網塚部会長】 ありがとうございます。
飯田委員からの御発言について、皆様から何か御質問などございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、続きまして伊藤委員、お願いいたします。
【伊藤委員】 伊藤でございます。まず、資料3にあった共用研究設備・機器の在り方に関する検討会に関しては、江端先生をはじめ、この短期間ですごくまとめていただいたなというのが印象でございまして、私のような企業の立場ですと、それぞれの大学がどのような状況になっているかというのは、実はなかなか分かりにくい状況なんですけれども、この資料を見させていただくと、私たち企業側でも、例えば2,500万円以上の設備となると、共用で社内で使う形になるなとか、そういったところも大学、企業変わらず、何となくトリガーというのがあるんだなというのも改めて気づいた次第なんですけれども、ただ、分析装置を導入すればいいというだけでなく、多分、使いこなしであったり、メンテナンスといったところでは、技術職員の方の起用というものも大きくて、そういった方の長期的な育成といった観点もしっかりと検討していかなきゃいけないところなんだろうなというのは、アカデミアであろうと、企業であろうと同じような観点だなというのを改めて感じた次第です。設備の更新とか、データのアップデートということも共用設備として一元管理されていくことに多分なると思うんですけど、一旦つくったものをどうアップデートしていくのかというのもこれからの課題になってくるんじゃなかろうかなというのも感じた次第でございます。
また、第12期の議論の取りまとめのほうも、お取りまとめいただきましてありがとうございます。私、1点気になったのは、話題提供させていただこうかなと思ったのは、33ページの計測データ等の利活用、加筆いただいてありがとうございます。デジタルデータというものが今後ますます増えていくと思うんですけれども、データ量が増加していったときに、AIの進化からいけば、例えばデータの圧縮であったり、データの蒸留であったりということは多分進むと思うんですけれども、現状のAIの場合、データを取ったものは永遠と蓄えておく。どんどんデータが増えてくるというのが一般的だと思うんですけれども、そうなってきたときに、例えば共用分析装置用のデータセンターみたいなところも研究開発基盤として整えておくべきなのかどうすべきなのかなというのも少し考えておく必要があるのかなと思って提案させていただいた次第でございます。どのぐらいの量になるかということも、データ量として私分かっていないものですから、そこまでには及ばないのか、そういったことも考えておかなきゃいけないのか。あとは、デジタルデータのセキュリティーといったところも十分に担保する必要があるだろうなと思っていますので、この辺りも今後必要になってくるのではなかろうかなというふうに思っております。
以上でございます。
【網塚部会長】 ありがとうございます。
ただいまの伊藤委員からの御発言について、何か皆様から御質問などございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、江端委員、お願いします。
【江端委員】 江端です。よろしくお願いいたします。まず、この研究開発基盤部会の第12期の議論の取りまとめということで、これまでの議論を本当にスマートにまとめていただけたということで、これに関して特にお話しすることはないかなと思っております。
私からのコメントとしましては、こういった議論を取りまとめていただいて、今後の方向性というものを示していただくということは非常に大きな前進でして、ここで発信されることが、この研究基盤に関わる方々はもちろんのこと、そこに関わらない人たちにもしっかりと届くということが重要かなというふうに思っておりますので、ぜひそういった発信につきましては御検討いただければと思っております。
ここの話の中で一番大事なのは、結局、誰がやるのかということだと私は思っています。理想的なシステムをつくる、理想的な組織をつくる、理想的な何がしらを政策的にフォローしていく、それは非常にありがたいことですし、ぜひお願いしたいところなんですけども、それを責任を持ってやれる人が本当にいるのかということと、そういった人たちはどこから生まれてきて、どういう形で各組織にいるのかというところは、まだまだ議論が不十分なところかなというふうに思っております。
そういった意味で、私は人材が最も重要だというふうに思っておりまして、この後また報告させていただこうと思っておりますが、研究基盤EXPOという1週間のイベントの中で、そこを通じて一つのキーワードとして出てきたのは、そういった研究基盤をマネジメントする人材と。これをファシリティマネジャーというような言い方もされていましたけども、そういう人が各機関、あるいはある単位の組織で見える形になるというのが重要かなと思っています。
そのキーになるのが技術職員、技術者と呼ばれる方々というのがまず一手だと思いますが、共用ガイドラインの中でチーム共用という言い方をしていまして、その中には事務職員だったり、URAの方だったりという様々な職種の方が入っております。そういったところも巻き込んでこのチーム体制というのをしっかりとつくっていくというところは、引き続きこういった政策の中から発信していただけると大変ありがたいなと思っております。
検討会につきましては、今、委員の先生方からもコメントいただいて、改めて我々がやってきたこと、文部科学省の皆さんとまとめてきたことというのはまだ志半ばなんですけども、やってよかったなというふうに思ったところです。
ただ、データのことにつきましては、岡田委員からもありましたとおり、最初のところでいかに抑えるかというところが、結局今、全部、後手後手になってデータがばーっと散らばったところをガッとまとめて、そこで机に広げて、さあどれからやりましょうかなんていうことをやっているわけですね。それだけでも大変な労力で、ここに、先ほどLC/MSのお話もありましたけれども、それぞれの分析機器ごとにどんな特性があって、どんな人が必要でというところ、それぞれ違うわけですよね。また、それも価格帯によって汎用機器、最先端機器というのは別にあるということは、様々な分類の方法があり、様々な見方、横串の通し方があり、じゃあ、誰がそれを決めて、どう分析していくのかというのは誰も決められないという状況にあります。そういった意味で、本部会においてもぜひそういった議論もしていただきたいと思いますし、その礎というか、ベースになるところはこの検討会等で議論させていただいて、例えばこんな標準化のやり方があるのではないかとか、分析データの機器・設備のデータのまとめ方はこんな形があるのではないかと。誰かがやっぱり発信をしないと、これは永遠に解決しない問題だというふうに改めて思ったところです。
そういった意味で、今回出てきたデータというのは、まさに現時点でこういう形ですというものであって、完全に確からしいものですかと言われると、まだまだ検討の余地があるというような状況でもありますが、これがどんどんどんどんデータとして補強されていくことによって、その辺のエラーも少なくなってくると思いますので、引き続きこういった活動というか分析、データ収集、それに基づいた政策の企画立案というところまで結びつけられるようにできたらなと思っております。
最後になりますけれども、先端研究基盤共用促進事業の事後評価について、42ページに書かれております。これは公募当初では恐らく明言されていなかったことですけども、改めてこういった評価をしっかりするというのは、私は重要だと思っております。自分の大学もその評価対象になるわけですけども、でも、そういうフィードバックをいただいて初めて、各大学は次にどう進めていけばいいのかというところが見える形になるかと思います。そういった意味で、中間評価を経て、そういったフィードバックをいただいた大学がその次の活動に生かしていくように、この事後評価というものを踏まえた形で各大学が前を向いて進められるように、ぜひそういった前向きなフィードバックができるように、この事後評価の件、御検討いただければと思います。
取りあえず、以上になります。
【網塚部会長】 ありがとうございました。
皆様から何か御質問などありますでしょうか。EXPOの御報告はどうしましょう。後にします?
【江端委員】 後で。
【網塚部会長】 分かりました。じゃあ、一通り議論が落ち着いたところでお願いしたいと思います。よろしいですか。
それでは、岡田委員、お願いいたします。
【岡田委員】 たくさん資料があって、どこからどうすればいいかちょっとあれなんですけども、まず、そもそも論的な話で、最初の背景とか基本認識とか、そこの辺りのところで、言うまでもないことかもしれないですけれども、やっぱり研究費がすごく減ってきて人件費も絞られている中で、これまでみたいなそれぞれの研究室がばらばらに機器を使ってというのがもう現実的にできなくなっているという背景からの共用化・集約化が進んでいるという側面があるというのは事実だと思うんですね。
それがこうやって進んできたのは、それはそれでエフィシエントに研究を進める上ではいいと思うんですけれども、それが縮小再生産みたいなほうになってしまうと非常にまずいと思うので、もちろん、ここの基本認識とかその辺りのところは、そこはきちんと明記されていますけど、でも往々にして、そういう一番大事な理念はなくなって、経済的合理性とかそちらばかりになってしまうと、そもそもの目的である国際的なプレゼンスをいかに高めていくか、イノベーションをどう創出するかという一番大事なゴールが忘れられがちになると思うので、そこは多分、皆さん共通の認識で当たり前だと思っておられるとは思うんですけど、でも、そういうのって常に発信しておかないと一番失われやすいところなので、そこはすごく強調していただいたらというふうに思いました。というのがまずゼネラルなお話で、その上で、資料3の江端先生たちが集めていただいたこのデータとその解析、非常に説得力があって、やはりこれはリアルなデータを基にしているからだという部分がとても大きいと思うんですね。
一方で、こういうデータを取るときには、もちろん先ほど御指摘があったとおり、データをどう定義するかとか、そういう問題も常にデータベースをつくるときには問題にこれまではなっていたと思うんですけど、でも、多分それをやっていると、いつまでたっても進まないという部分があるのも事実で、しかもこういう研究に使っている様々な機器のあらゆる使われ方に対応できるようなデータベースを一発でつくるなんていうのは多分、神様にも無理なので、もっと現実的なのは、とにかくできるだけ詳細な生データをたくさん蓄積すると。それをどう料理するかというのは、むしろ後回しというふうにしないと、データベースの仕様が決まらないからデータ集められませんと言っていると、いつまでたってもデータは集まらないので、それぞれの機器ごとに、中身とか全然違ってもいいからとにかく集めるというところから始めていくというのが重要じゃないかなと。
それで、関連して20ページぐらいだったかな。20ページのところで、資産台帳と実際の機器の情報のひもづけができないと。これ、我々もすごく困っていて、所内にある研究機器のリストを作って、エフィシエントに運用しましょうと言ってやったんですよ。そうしたら、同じものに違う名前がいっぱいついていて、全く意味がある表ができなかったというのですごく困ったんですが、じゃあどうしようというので、多分、クラシカルなアイデアだと、例えばジーンオントロジーという生命科学の分野では、たんぱく質の機能を記述するのに決められた語彙があって、その語彙の中から使うとかというやり方というのが多分、古典的なやり方なんですけど、でも多分、それをしていると新しい機器には対応できないし。よくよく考えたらChatGPTという天才がいるので、それに食わせて、いい感じにまとめてと言うと、結構うまくまとめるんですよ。多分、現代的なアプローチはむしろそっちのやり方で、事前にデータベースを一生懸命工夫して統一的にやろうとするよりは、とにかく何でもいいから大量にデータをちゃんと取ってくると。あとはそのデータを、データ駆動な考え方で解析していくというほうが現実的かなというふうに思っていますというのがまず1つのデータベース問題。
でも、そうすることで、よりいろんな切り口で今回の資料3にいただいたような解析が、もっと多くの施設の、あるいは多くの機器について解析できるんじゃないかなというふうに思いましたということと、それから、そうやってまとめていただいた資料の中で、やっぱり更新の問題というのが、例えば連携のところでも繰り返し出てきていますけど、そこで耐用年数を踏まえた更新という言葉が繰り返し出てくるんですけど、多分、財務的にはそれが正しい言葉だと思うんですけど、でも、研究の現場の感覚ではそうじゃなくて、新しいのが出たらそれが欲しいよねというのが。だからやっぱり、アップデートされて新機能を持った機械が出れば、それに応じてタイムリーにアップデートしていくということが世界についていくためには重要で、でも、それはまだ耐用年数来てないからあと5年待ちなさいとかって言われると、5年間研究できないわけですよね。
だから、そこの考え方は、そういう世界の趨勢にいかについていくかということを視点に入れたようなアップデートのやり方とか、あるいはそういう機器更新ができるような契約の仕方とか、前もお話ししたと思いますけど、例えばエバーグリーンプログラムとかといって、契約期間の間、新機種が出たら常に新機種にアップデートしていけるというような、リースみたいな感じの契約の仕方とかもあり得ると思うんですね。だから、そういうのを行うことでできるだけ硬直的な運用にならないで、世界のイノベーションに対応できるような、そういう運用が大事じゃないのかなというふうに思っています。
それから、共用と開発の話題が雨宮先生から出たと思うんですけど、これ、実際に開発をやっている側からすると、共通機器で開発するというのはちょっと難しいところがあって、要するに汎用的でみんなが使えるようにしている機械に何かいろんなものをつけてカスタマイズしてとかっていうと、なかなか汎用性が失われるとかということになって、そうするとマシンタイムのたびに、まず組み立てるところから始まって、終わったらまたそれを戻してというのもなかなか大変なので、その辺り、いかにバランスを取るかということは重要かなというふうに思っております。
話がランダムに飛んじゃいますけれども、今度、データはデータでも計測データのほうのお話もさっき出ていたと思うんですが、計測データについては、これからどうしようとかというと、結構いろいろと難しいんじゃないかと思っていて、ただ単に生データがたくさんあればいいというわけじゃないというのは、特にAIの人たちなんかはよく認識していて、いかに質が高くて、メタデータがしっかりした計測データがあるかというのが、今データの奪い合いになっているというところで、アメリカの出版社なんかだと、生命科学系は特に再現性問題とかすごく言われることもあって、論文を出すと、その論文に使った全ての生データを公開しなさいと。そういう公開するデータベースがなければ、うちの会社のを使ってくださいといって、デフォルトはその会社のデータベースが紹介されるんですよ。
そうすると、特に我が国でよく見られるケースは、よく考えずに、じゃあそれでいいやといってそれを使っちゃうと。そうすると、日本の税金を使って行われた研究のデータが海外の会社のプロプリエテールなデータベースの中に入っちゃって、それって将来的にどう使われるかなんて分かったもんじゃないですよね。それって多分すごく重要な問題で、だから、その辺りは多分、喫緊の課題で、ちゃんとしていくべきだと事あるごとに言っているんですけど、なかなか皆さん、うなずくだけで先に進まないというのが非常に心配しているところです。
あんまりしゃべってもあれなので、最後、評価の問題なんですけど、これも以前申し上げたと思うんですけど、どうしてもこういうので評価というと、みんな、AとかSとか取らなきゃいけないみたいな感じになってしまって、フィードバックのためにやりましょうという評価が、そうじゃなくてSとかAとか、いい評価を取るための評価みたいな、何かそういう無駄なオプティマイゼーションというか、いろんな隠蔽とか何か、そういうのってあまり、本当は問題があるんだけど、それはあまり言うと減点対象になるからとか、困っていることとかも、あまりそれを言うと減点対象になるかなとかというので、いや、うまくいってます、完璧です、何も問題ありませんとかって言われても、あまりフィードバックとして意味がないので、その辺り、評価じゃなくてフィードバックみたいな形の何かうまい表現ができるといいなと思いました。
以上です。
【網塚部会長】 たくさんありがとうございました。そうですよね。評価者と戦うわけじゃないということですよね。
皆様から何か御質問、御意見などございましたら。関連する御意見。
【江端委員】 いいですか。
【網塚部会長】 どうぞ。
【江端委員】 岡田先生、ありがとうございます。いろんなお話に対して1つずつ議論をぜひと思うんですけども、2点だけ取りあえず。最初にいただきました資産台帳の話で、とにかく生データを集めようというところは、まさに今回やっているところです。結局、資産台帳自体が、門外不出と言ったらおかしいですけども、やっぱり表になかなか出てくるものではなくて、それぞれの大学によってそれぞれ入れているシステムが違いますから、形式がまず全然違います。なので、それをまずそろえていくというところから大変ですし、とはいえ、電子顕微鏡はいろんな表現の仕方がなされていたりとかするので、本当にそれは電顕なのかとか、アップデートされているものなのか、それとも何かいろんなものが付け加わって大きいシステムになっていると書いてあるけど、それは電顕なのか本当はとか、そういうのをいろいろ文字づらでは分からないというところがありますので、まずそういったところの一覧が、どこにどういうふうにあってというデータをばーっと集めるというところから入ったというのが今回のものです。なので、それをまず踏まえて次につなげていきたいなと思っておりますので、ぜひまた御助言等いただければと思います。
もう一点は、最後にフィードバックのお話をいただいて、先ほど私もコメントさせていただいたところで、本当に文部科学省の皆さんのほうで評価をいただいたというのは、私も大学人ですので、例えばS評価をもらったといったら、S評価をもらいましたと言いたくなっちゃうんですよね。だけど、確かにおっしゃるとおり、何評価というところを目指していくと、どうしても課題とかそういうものについて本当に正直ベースに書いていく人たちというのはあまりいないのかなと。あとは、分量がある程度決まっていますから、そうすると、いいところをいっぱい書いて、ちょっとここはというところは少し分量が少なくなっちゃうというのは当然のことで、具体的なところ、本当はフィードバックを次につなげていくために必要な具体的な部分がそういう文書化されないとか、表面に出てこないということがありますので、先生がおっしゃったように、フィードバックの部分でも、何評価というよりかは、そこをしっかりと見ていただいて、次につなげられるような形になればいいなと私も思いましたのでコメントさせていただきました。
【網塚部会長】 真面目にやっていて、それでもなかなかうまくいかなかったというところは、きっと次につながる参考になる情報だと思うので、それは私もどんどん出していこうと思っております。
ほか、よろしいでしょうか。
それでは、まさにコアファシリティが走っております上西先生、お願いします。
【上西委員】 研究EXPOの話は後からということですけれども、ちょっとだけ触れさせていただくと、山口では地域ネットワークということをテーマに、7つの地域ネットワークを主導されている先生方にお越しいただいて、熱心に議論をさせていただきました。その中で、やはりネットワーク形成の構築には人だよねという話で、先ほど江端先生からもありましたけれども、ファシリティマネジャーというのが必要で、そういう人たちをどうやって育成していったらいいのというのがこれから大きな課題だよねという話になりました。
その続きなんですけれども、35ページを読ませていただいたときに、ネットワークの構築のところの下から3行目辺りからですかね、研究設備等の先端性や利用者属性を踏まえた階層構造にすることによる云々ということが書かれていて、まさにいろんな階層があるなというのはそのときも感じました。階層構造にするということに加えて、階層構造をうまくつなげるというのが結構重要なんだろうということです。
具体的には、例えば国レベルのネットワークから地方レベルのネットワーク、それから地域レベルのネットワークへと繋ぐために、小さな滝が連なる構造、いわゆるカスケード的な仕組みを作り、色々な先端的な情報とか技術とかノウハウとかが地方の隅々まで行き渡るようにすることが大事なんだろうなというのをそのときしみじみ感じました。しっかり地域でネットワークをつくり、そこに最先端の情報とか技術が流れ、しっかり隅々まで行き渡ることによって地域も元気になっていくというのはそのとき強く感じました。恐らくファシリティマネジャーという人が地域のネットワークをまとめるだけじゃなくて、ほかのネットワークとの間に入って情報と技術とノウハウをしっかり流すという、そういう仕組みが重要なんだろうなと思いました。
以上です。
【網塚部会長】 ありがとうございました。
皆様からいかがでしょうか。何か御質問ございませんでしょうか。よろしいですか。
それでは、上村委員、お願いいたします。
【上村委員】 どうもありがとうございました。おまとめいただきまして、すごく大変だったと思いますけれども、本当にありがとうございました。
それで、15ページに先ほどありましたように、大型機器で、しかもクライオ電顕とかに関しましては、これ、前もちょっと何回か言ったかもしれないですけど、私、バインズというAMEDのところで、中国と米国に物すごい、8年前かな、差がついていたんですよね。そこのところでも日本が全然キャッチアップ、放射光は世界レベルであるんだけど、クライオEMが物すごく遅れちゃっていて、それをだから、バインズで二十数台入れたわけですよね。それを各拠点にというか、地方に偏らないように入れていったわけですよね。東へ入れれば西という形で、それで地方にも入れる。
本当に地方の活性化って、今、上西先生がおっしゃったようなそのもので、拠点のセンター化というのが非常に必要かなというふうに思います。それで、そこがだから地域とか地方とか、そこをちゃんと把握できるようなそういう機能を持たせる。シンガポールが、インドにシンガポールのような組織を10か所ぐらいつくると今言っていますけど、そういうような形で、日本もそういう形でセンター化を進めていくというのは非常に地域活性化にもなりますし、底上げという意味でも非常に重要かなと思います。
そこのときに、クライオEMも、NMRも今1ギガを超えるような、1.2ギガまで世界にはあるんですけど、それは入っていないんですよね、日本には。だから、私はもともとX線の人間ですけど、それは何とか入れなきゃいけないかなというふうにバインズのほうでも考えていて、ただ、クライオの2.5倍ぐらい値段がするものですから、そこは非常に問題なんですけど、クライオもすごく大事なんですけど、やっぱりそういう形でインテグレーテッドな量子科学ですよね。量子生命科学をインテグレーテッドに進めるというのが非常に重要だと思っていて、そこをやっぱり拠点化というんですか、放射光の場合は、SPring-8、KEKがございまして、それで今度、ナノテラスがございまして、今度はSPring-8-2になりますので、そういうふうにやっていかないと、結局、放射光施設をつくる人の人材も育たないんですよね。途切れちゃうと、そういうつくる人ができなくなっちゃうので、そこをやっぱり継続していくというのは非常に人材育成とリンクしているんじゃないかなと。Cryo-EMのハイエンド機種も一番最初に阪大蛋白研に入れたんですけど、それはもう10年以上たって更新時期なんですけど、動いてはいますけれども、結局、先ほど岡田先生が言ったように、計画的にちゃんと新しいものを入れていかないと世界にプレゼンスは示せないので、動いてはいますが、計画的な更新についても日本の科学技術の政策に直結するものだと思います。
その辺を拠点化して、人材についても、先ほど江端先生からお話がありましたように、バインズですと、創薬よろず相談窓口というのが入り口にあるんです。結局、製薬会社出身の人がアカデミア創薬を支援するために、何にも分からない人が来たとしても、ここにアクセスしたらいいですよというような入り口を設け、一応要望を聞いた上で的確に割り振るというシステムが各拠点ごとにやっぱり必要かなというふうに思います。拠点間でもそういうのを情報収集することでネットワークをつくっていれば、こんなときこうだったよというのもあるので、大きな意味ではこれもデータベースになるんじゃないかなというふうに思っています。ですから、日本全部はなかなか大変なんですけど、そういう拠点内および拠点間でちゃんとやっていけば、互いのシナジーもございますし、すごくシェアできるノウハウも多いので、人材も含めてそういう組織立てて考えていくというのがやはり非常に大事かなというふうに思っています。
あと人材育成に関しては、最高の開発できるような人材、だから、アプリケーションだけじゃなくて、岡田先生なんかもそうですけど、世界でやっていないところをオリジナリティーをもって技術開発できる人材というのも非常に大事で、何かほかでやってきたものをアプリケーションで使うというのも一つですけど、やっぱりそこの人材育成はすごく大事だと思います。
最初の論点に戻ってしまうんですけど、大型施設の放射光施設では、私自身は企業だったものですから、成果専有料金というのを払って、その場合は、論文とか期限内に出さなくてもいい。もとのリングはもちろん国のお金で、国税でつくられたものなんですけど、成果専有料金を払うと、それでそれが免除されるというか、企業の専有にできる。だから、そういうのでお金を取るというのはすごく大事で、今、毎年、五、六億円を、SPring-8ではそれで独自に稼いでいると思うんですよね。企業から成果占有という名目できちんと運転資金の一部を補えているというのはすばらしいことだと思います。こういう形が、ほかに拡大していくのが理想であると思います。加えて、アカデミアでもやっぱり特許を出したい挑戦的な課題というのもあるわけです。アカデミア創薬もそうですし、マテリアルのほうでも。そのときに、規定年以内に必ず、論文を書かなきゃいけないというのがあると、難しいこともあって、アカデミアでも成果専有みたいのをやるときは、お金を払ってやったらいいと思うんですよね。その辺は企業のお値段とはちょっと違ってもいいと思うんですけど、アカデミックディスカウントというやつをやってもいいと思うんですけど、そういう本当に最先端のものを出すときに、絶対公開しなきゃいけない期限までにできないものというのも多くありますし、特許をそこまでに公開できないものもあるわけですよね。だから、その辺のところもぜひ、新しい仕組みとして考えていかなきゃいけないかなというふうに思いました。
それから、データベースに関しては、今度のAlphaFold、去年のノーベル化学賞ですけど、その基礎になったProtein Data Bank (PDB)に私も100あまり構造をデポジットしているんですけど、構造生物学領域ではPDBに登録しなければ論文を書けないということもあって、私も企業だったんですけど、論文を書くためにはそうせざるえないわけでして、PDBにデポジットするX線とかNMR、クライオEMだけじゃなく、他機器の最先端の分析結果というものは、そういうPDBに対応するような生データを含むデータベースに論文を書くためにはデポジットが義務化されてもいいのかなというふうに思います。その際、国際連携も必要となりますが、PDBがよい手本になると思っております。
加えて、先ほど飯田先生がおっしゃいましたように共用がうまくいっているCryo-EMの事例にはB社とC社なんですけど、B社のほうは、クライオEMで1台当たりの論文数と、それからこなせる件数を調査したところ日本が世界一だそうです。日本中のCryo-EMを包含したクライオネットワークというのをバインズ内で作り、そこで効率よく回転しているんですよね。C社のほうも、おそらく、同じように効率よく回転されていると思います。最先端の機器を入れれば、うまく共用で効率的に使えるんじゃないかなと思っていて、NMRも本当に最先端の高磁場NMRが一台での導入されることによって人材も育成しますし、日本のプレゼンスも出てくると思いますし、それをインテグレーテッドなストラクチャーバイオロジーも進むんじゃないかと私は思っているので。だから、その辺りはライフ課になるんですかね。ライフ課などほかの課とも協力する形で、日本全体として考えていくべきじゃないかなというふうに思っています。
以上です。
【網塚部会長】 ありがとうございました。
皆様から何か御質問などございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、続きまして、オンラインで御参加いただいております高橋委員、お願いしてよろしいでしょうか。
【高橋部会長代理】 高橋です。取りまとめいただいた内容については、特に定性的な内容については、これまで議論してきた内容が含まれていて、特に意見はございません。今後、次の期に継続して議論していくに当たって、特に人材のところですね、技術職員の育成であったり、共用を促進するような人材が必要だというところは、皆さん、認識は一緒だと思うんですけれども、じゃあ、どれぐらいの時間軸でどれぐらいの人数が必要なのかという定量的なところも議論していかないとなかなか進まないし、ゴールがどこなのかよく分からないなというふうには思っていまして、理想的な状態の今は何合目にいるのかも恐らく誰も分かっていないので、その中で進むのはかなり難しいかなというふうに思っています。
さらに、日本はどんどん少子化、人数も減っているので、日本人だけで理想的な人数を埋めるというのは恐らく難しいということを考えると、海外からどういうふうに人を引き込んでいくのかとか、議論されている方ほとんどは研究現場の方だと思うので、研究現場からすると必要だというのは分かりつつも、技術職員として育成される人たちがそういうキャリアに魅力を見いだせるのかどうかとか、そういった観点もありますし、本当に必要な人数を考えている時間軸で育成できるのかというのは、結構今のところは疑問だというふうに思っています。なので、今後、皆様が時間軸の話とか定性的な話とかおっしゃっていましたけれども、特に人材に関してはその辺りをもう少し詰めていかないと、人材が必要だ必要だとみんな言うんですけど、必要だと言っているだけだとあまり意味ないので、そこをもう少し詰めていく必要があるんじゃないかなというふうに思っています。
以上です。
【網塚部会長】 高橋委員、ありがとうございました。
皆様から何か御質問などございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、続きまして田中委員、同じくオンラインから参加いただいておりますが、よろしいでしょうか。
【田中委員】 田中です。もう大体議論は出尽くしたようなところもあるんですけれども、まず、資料のほう、今期の議題をまとめていただきまして、ありがとうございます。非常に分かりやすくまとまっていたというふうに考えています。
その中で、エコシステムを今後強化していって、設備と人材とデータをうまく回していく必要があるということですね。今の高橋委員の御意見とも同じなんですけど、やはり技術人材というのがここで一番育成に時間がかかったりする。すぐ買ってくるとかそういうことができないところなので、一番重点的にやっていかなきゃいけないところなのかなと思っています。
先ほどの3番の資料でまとめていただいたものを拝見していますと、今の技術人材でも、無期雇用と有期雇用が半々ぐらいのような印象だったんですけれども、例えば、この辺の有期雇用の方というのをどうするのかということですね。これ、ある期限が来たときにどこかへいなくなってしまうのだとしたら非常にもったいないですし、その分の方を育成するのはそう簡単なことではないことは非常に言えていると思います。
若手の方を育成していっても、こちらの教育研究系技術職員数というので、C大学以外のほうは有期のほうが多いようなイメージで、これ、人材データバンクではないですけど、そういう形でうまく全国的に活用するというか、終わった方に次につながるようなパスをお示しするとか、そういうことで有期ではなくて無期に働いていただけるような環境がないとなかなか厳しいのではないかなと。新しい方を見つけるのも難しい状況、それから、期限が切れた方の次を探すのが非常に難しい状況に今なっていると思います。若い方に教えたりしていても、給与的な面で、やはりこのままではやっていけないのでということで民間に出られたりとか、ほかの職種に行かれたりということがあるので、その辺ももっともっと考慮していかなければいけないところだと思っています。
それは技術人材だけじゃなくて、マネジメント人材も同じで、やはりマネジメント人材も今、この期間(音声途切れ)区切られた委託費事業でありますとか、そういうので雇用しようと思ってもなかなかいないということで、結局、教員の方ですとか研究者が併任というような形で担わざるを得ないことになっているんですけど、皆さん疲弊してしまって大変なところがあって、インセンティブが必要という非常に大事なことも記載されていたと思うんですけど、インセンティブだけでは回らないようなところにも来ているので、この辺も、やはり給与面ですね、それは各大学さんが決められるところなのかどうかちょっとよく分からないですけれども、これだけ人件費が上がっていて、若手の方はすごくいい給料をもらえるようになっていて、それで来てくれるのかというと、なかなか難しい状況なんじゃないかなと思うので、そこの辺も抜本的に変えていくようなことが必要かなというふうに思いました。
あと、計測データのお話で、ちょっと宣伝的にあれなんですが、ARIMのほうでマテリアルデータに関しましては、NIMSに今集約しているところです。構造化したデータを集めていますので、機器に寄らないデータというのを集めています。来年度から利活用を皆さんに供せるような形で始まっています。そこではいろんな装置についても25機関検索できるような形になっていますし、どういう分野のデータかというのを示しながら、件数としてはまだまだ少ないところなので、どんどんこれからも蓄積していくことになるんですけれども、こういうのをマテリアルの部分からまずやってみて、事例としてどんどんほかの分野にも広げていけるようなことになったらいいなというふうに考えています。
以上になります。
【網塚部会長】 田中委員、どうもありがとうございました。
ただいまの御発言につきまして、皆様から何か御質問などございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、続きまして鳴瀧委員、お願いいたします。
【鳴瀧委員】 鳴瀧です。まずは検討会、それから第12期の活動報告、取りまとめていただきまして本当にありがとうございました。たくさん意見が出て、私から述べられることはもうあまり残っておりませんが、一研究者として感じる肌感というところをお話ししたいと思います。
まず、30ページの現状と課題にある外部への共用について、大学内での件数は拡大しているが、他大学への共用はごくわずかというところは私も感じています。学会等でいろいろな大学の先生方の発表を聞いていますと、この分析はうちの大学では無理ですとか、装置がないんですというお話を時々聞くことがありまして、尖ったシーズをお持ちなのに、そこがネックで研究が進展しないというのは非常にもったいないことだと思います。その地域の中核大学がコアになって、先ほど上西委員が言われたように、うまいカスケード化、何とか現場にいる研究者まで、ここの大学では装置公開していますよという情報が行き渡る仕組み、それから、外部への共用がもっと評価される評価体系をつくってもよいかもしれないと思います。それによって、決して研究大学にいなくとも、最先端の研究ができるという研究者のモチベーションアップにもつながると思いますので、非常に大事だなと思っております。
それから、もう一点、計測データの利活用のところで、質をどのように担保していくのかというお話があったかと思います。よく精査された論文に使用するようなデータでメタデータもそろっている場合は、確かにデータ活用型の研究にも使いやすいですが、日常的に現場で取りためていくデータは玉石混交の部分があります。例えば、ある試料の分光データを取りためていったけれども、実は後でちょっと不純物が混じっていた、アーティファクトであったということが判明することもあります。そういったデータを、じゃあ研究者側で取り下げるかというと、そういったことはなく、装置にどんどん蓄積されていってしまうので、そのデータの質を誰がどう担保するのかは、これからデータ活用型の研究開発をより強力に進めていく上で大事な視点になるのかなと思います。
ただ一方で、データをどんどん取りためていった中で、ある意味、例えばこういうアーティファクトが出やすい傾向がある、そういったことが判明するデータになる可能性もあって、あなたの取ったデータは今こういう問題を含んでいる可能性がありますよというのを機器側が教えてくれるような、そういう仕組みも構築できるのかなと思いました。データを取りためることで、良いマテリアルの開発だけじゃなくて、データの質を機器側が教えてくれる、そういった機器開発にもつながるかもしれないと期待します。
以上です。
【網塚部会長】 ありがとうございました。
鳴瀧委員の御発言について、何か御質問等ございますでしょうか。
最後のところの機器側からユーザーにフィードバックをして、さらに次の発展を目指すというようなときには、研究者の場合と、あとはデータのクオリティーが分かる技術職員、その両方の可能性があるかなと思うんですけれども、どんな感じでイメージされていますかね。
【鳴瀧委員】 理想としては、研究者は、やはりデータをどんどんインプットしていく、どんどん研究を前に進めていける、自分のどのデータを例えば共用、公開して、どのデータをクローズするかというところにあまり労力を割かない形が望ましいかと思っていまして、データの精査というところは、やはり専門の技術職員の方に入っていただけると研究者としてはありがたいかなと思います。それで、データを蓄積していった上で、研究者にデータの質をアシストしてくれるような機能というのは、ぜひ企業の方に開発をお願いしたいところというイメージを私自身は持っております。
【網塚部会長】 ありがとうございます。
ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。
お待たせしました。オンラインで御参加の宮下委員、お願いいたします。
【宮下委員】 宮下でございます。1年間どうもお世話になりました。12期の資料はよくまとめられていて、読んでいてそうだなと思いますし、企業の連携とかそういうところまでよく書いていただいて感謝しております。
R&Dのエコシステムの構築というのは、この委員会の結論で、次の委員会へもその具体化が受け渡されていくんだと思います。先日のJSTのご講演で、ヨーロッパのほうは非常にエコシステムがたくさんあって、よい事例があるというお話がありました。日本にないのかなと思いまして、すこし考えてみますと、私はその分野の者ではありませんので、先生方には釈迦に説法で申し訳ございませんが、創薬の分野というのは、ほとんどそれに似たようなのがあるのかなという気がしております。
御承知のとおり、創薬は非常にリスクが高い開発ですので、製薬会社とかベンチャー企業が何らかのアイデアを医学部の先生方のご指導も受けながら10年、20年かけて作ります。それで治験まで行けばすごくよくて、治験が開始して、それは大学と一体的であって先端の機器もたくさんお使いになると思います。例えばベンチャーでしたら、製薬会社へ導出とかライセンスというのは非常に大きいインセンティブがあります。大学側も恐らく、直接、国立大学ですと商売できませんから駄目なんでしょうけど、よい結果が出れば、どんどん製薬会社のほうが機材を、人も出していただけるかもしれません。そのようなインセンティブが何かあるのかなとも思われました。
そういうのが創薬の分野にはもうありますので、該当分野の日本の未来は明るいなと私は本当に心から思います。それ以外のところがありますかというと、私が知らないだけかもしれませんけど、なかなかあそこまでのものは日本にないなと思います。私はメーカー勤務しておりますが、オールジャパン的な、創薬でしたら世界をまたにかけて皆さん一緒にやっているような開発をメーカー側もそこに貢献しようという気持ちを持つことが必要と感じます。インセンティブは何かというのも提示しないといけませんけれども、そういうようなきっかけになる議論がこの委員会でされて、それが広く発信されて、皆さんがそれに向かっていきたいなと思うような提言ができたらすばらしいなと思いました。
私からは以上でございます。
【網塚部会長】 ありがとうございます。
宮下委員の御発言について、何か皆様からございませんでしょうか。よろしいですか。
もう結構いい時間になりましたが、私から若干付け加えさせていただきますと、1つは、まとめの38ページの「今後に向けて」というところにございますように、今日も御意見出ていましたけれども、究極の目標は、我が国の研究力を強化することであるということで、それに向けて研究基盤を強化していくための方策を私たちは話し合っているわけですが、基盤的経費の削減がやはり大きく響いている点は無視できません。競争的資金にかなりシフトしてしまった。それはそれで悪いことではないのですけど、結果的には大学間に相当な格差ができてしまっています。しかしながら、トップレベルの大学を出られた優秀な研究者も日本全国で仕事を持ち、基盤が脆弱な大学でも仕事をしていかなければならない事になります。それで鳴瀧委員がおっしゃっていたように、そういった方たちも活躍するためには、やはり必要な先端研究設備に誰でも、全ての研究者がアクセスできるような環境を整えていくことは重要でしょう。もちろん、何らかの施策によって大学全体を底上げしていくということもこれから必要だとは思いますが、それと並行して、やはりそういう環境を整えていく必要があるだろうと強く思います。
もう一つは、そういうことを言うと、今日、岡部委員が御欠席なんですけれども、研究と教育は切り分けて、最先端の設備を世界と戦える研究に重点的に投資すべきであるという御発言があり、それもごもっともであります。それで、岡田委員からお話がありましたように、縮小再生産というところにシフトしすぎてはいけないよなということで、先端的なところにもしっかり投資していけるようにする必要があるだろうと。ただ、そのためには何らかの予算的措置、財源が必要になってくるわけであります。
我々が関与しているところで一つ、絶対忘れてはいけないことは、上村委員からも御発言ありましたけど、NMRでプラットフォーム事業をこれまで続けてきて、プラットフォームはかなり充実して頑張っているわけですよね。技術者の人材育成も全国でやれるようになっているし、全国のユーザーが円滑に全国のNMR装置を使えるような体制ができている。NMRだけを例に取っていますけど、多くのプラットフォームがそのようになっていると。それを毎回、事業費等で自転車操業的につないでいくというのではなく、持続可能な体制にやはり大きく強化すべきときに来ているんじゃないだろうかと思う次第です。
木川先生が御講演されて訴えられていましたけれども、今日、上村委員がおっしゃったように、世界と戦うためには複数台、最先端のNMRを導入しないといけないんだと。そのためには企業と連携するなどいろいろなやり方があるけれども、どうしたらいいだろうかということを悩んでいらっしゃった。そういうところに何らかの手を差し伸べて、このプラットフォームのしっかりした基盤を無駄にしないためにも、次の大きな発展に向けて何か施策を打つべきなんじゃないかなというふうに個人的には思います。彼らの努力をもっと評価して、本当にその基盤があってこそ世界と戦えるという、むしろ最小限の投資でもしかしたらすごい効果が得られるような体制にできているかもしれないので、ぜひそういう施策をこれから考えていければと思う次第です。
それから、まとめには色々なことが網羅されていますので、めり張りをつけるということと、あと今日、飯田委員、それから高橋委員からも時間軸という言葉が出ておりました。まとめの最後にも中長期的な見通しを立ててと書かれておりますけれども、やはり短期で行うべきこと、それから長期的な活動の結果出てくる理想像というのを別途、ビジョンを描きながら段階的に次の施策を打っていく必要があるのかなと思いました。
あと、データベースに関しては、今北大で、昔、江端さんが北大にいらした頃に、平成28年ぐらいですが、500万円以上の設備を全て資産台帳からデータベース化して、ホームページで公開いたしました。それで、その中で共用設備として登録しているのはそのとき200台にもなっていなかったんですけれども、そこから共用化にシフトできる装置を探し出そうということでやりました。1,000台ぐらい結果的に登録して、そのウェブページを見た人は、ダイレクトに共用化されていなくてもその装置管理者にアクセスできるような仕組みをつくりましたが、グローバルファシリティセンター、統括センターのほうに問合せが来たのは、大体月に一、二件程度ですね。共用設備とは別にですよ、個人で持っている装置に対して連絡が来たのは。ただ、各研究者にも直接行っている可能性があって、そこまで把握していないので、そこをちゃんとフォローアップすべきだったなと反省しています。
その後、何度かデータベースを更新をしているんですけれども、さすがにもう使っているのか使っていないのか分からない装置も結構出てきたので、今それを完全にリニューアルするために、500万以上の仕切りを取って、分析・計測関係の装置で共用しているかもしれないという装置を全部リストアップして、研究者に投げてチェックしてもらっています。そのときには事務の方がすごく協力してくださって、各研究者ごとに切り分けて、使用者の先生にこの装置は今使われていますか、それから、先ほどお話にありましたけど、資産名称と実際の装置名称が違うので、名前を統一してもらうとか、英語の名前を入れてもらうとか、学内だけの利用か、ウェブに公開していいか等々、もろもろプラスの情報を追加していただいております。
そのようなことをやったのですけれども、どのぐらい苦情が来るかなと思ったんですが、来ているのは、苦情というか質問が2件ぐらい来ています。そのように公開をすることによって何いいことあるんですかということと、あと、掲載することで研究室に何かメリットがあるのか、それから掲載するとどのぐらい問合せが来るということが想定されるのかといったような質問がありましたけど、それには丁寧に答えて、メリットについては、特にメリットはないと。だけど、先ほど、今ここで書かれているような、全ての研究者が必要な研究設備・機器にアクセスできる環境整備がまず求められているのだから、まずはデータベースをつくり、今後の、特に若手研究者のキャリアアップに貢献していきましょうというようなポジティブな理由を書いて返している。そんなことを今やっている最中なので、これがどう進むか、また結果が出次第、御報告できたらと思いますけれども。
すみません、私ばっかりしゃべっているといけないので、私からは大体以上なんですが、もう残り10分弱になってしまいましたが、皆さん、何か言い足りていないこと等ございますでしょうか。
【江端委員】 いいですか。じゃあ、すみません。今、網塚部会長のお話に加えてですけども、それこそ北大で私も一緒になっていろいろやらせていただいたときに、結局、ここの文脈では研究力強化にどう結びついたかというような話がありましたので、研究者が共用設備を使って本当に論文がどれだけ出されたのかというのを一生懸命各研究者の先生方に聞いて、それをひもづけるというような作業をやったときがありました。ただ、でもそれは本当に膨大な時間を使い、各研究者の先生方にいろいろとお時間をいただきながらやらなきゃいけないということで、結果的に研究環境を整えたときに、直接研究力強化にどう結びつくかというところを示すようなエビデンスをつくるというのも非常に大変なことではあるんですけども、それを今回の検討会でいろいろ議論している中で、データとして見える形に持っていきたいというのが、改めて今思い出して思ったところです。
ここまでの議論の中で一つ、上村先生がバインズの話の中で、クライオEMのネットワークができているというようなお話がありましたけど、私、やっぱり最先端機器を活用していく上では、最先端機器を使っている人たちのネットワークというものをもっと強化して、そういった人たちがどんどんどんどん発信できる環境をつくるべきかなというふうには思っています。NMRも1.2ギガとか、それ以上のものも含めて、日本でも開発途中というところもあるかと思いますが、それがなかなか後押しも含めて、できていない部分というのはあるのかなという気はしていて、世界と戦える研究環境を整えるという意味では、そういうネットワークをいかに応援していくのかというところはやっぱり重要だと思います。それは最先端機器に対してということが主だと思います。
コアファシリティ事業で頑張ってきたことというのは、結果的にマネジメント改革だったと現時点では思っております。したがって、どちらかというと、若手研究者に対する環境整備をどうするのか、そのためにどうマネジメント、あるいは取組をするのかというところがあったので、やはり最先端という部分があまり強調されてこなかった部分がコアファシリティの中にはあったかなという気がしています。なので、そういったマネジメント改革をした上での様々な最先端研究に取り組める環境をいかにつくるかという議論は、ぜひ次に引き継いでやっていただくということで考えていただければと思っております。そこにしっかりと、高橋委員からもありましたように時間軸ですね、そこはぜひ強調して、いつぐらいまでにどうするのかというところがしっかりと議論できればなというふうに思いました。ありがとうございます。
で、報告だけいいですか。
【網塚部会長】 はい。
【江端委員】 すみません、簡単に報告します。資料自体は、後ほど参考資料としてアップしていただけるのかなと思います。ありがとうございます。そういうお話ですので、研究基盤EXPOの報告を簡単にさせていただきます。少し資料を共有させていただきますので。これを御覧いただけていますでしょうか。ありがとうございます。1月23日から30日まで研究基盤EXPOという、EXPO2025を開催しました。一般社団法人研究基盤協議会が主催、文部科学省の皆さんに共催ということで一緒にやらせていただいたということで、株式会社島津製作所様、日本電子株式会社様、株式会社日立ハイテク様の協力の下、一般社団法人日本分析機器工業会の後援で実施をしたということになります。
今回、研究基盤エコシステムというものがテーマとなっておりましたけども、詳細はまた資料を御覧いただければと思いますが、今回、非常に多くの方に参加登録をしていただきました。延べ数で言うと4,000名を超えるような形です。実数というのは八百幾らということで、1人が複数のイベントに参加すると延べ数が増えるというような形になっております。なので、これは今まで過去最高ということで、非常に多くの方に興味を持っていただいて様々なイベントに登録をしていただいたということになります。
実際、オープニングから井上局長にも共催者として御挨拶をいただきながら、1日目の岡山大学でのシンポジウム、また、技術職員や若手職員、また、日本学術会議の若手アカデミーとの共催でのシンポジウムということもやらせていただきました。また、会員校としての金沢大学様のセッション、また、山口大学様のセッション、これは先ほど上西委員からも御説明があったところですね。私立大学のコアファシリティということで、早稲田大学のほうではこういったイベントを企画していただきましたし、東京科学大学となって初めてのTCカレッジのシンポジウムということで、こちらでも様々な技術職員、高度技術職の議論がなされました。こちらは、文部科学省の資料にあったとおりのシンポジウムがあり、JAIMAの共催のシンポジウムがありまして、最後にまとめをさせていただいたというような流れになっております。こういった終了時にアンケート調査というのもやっておりますので、この辺も含めて、データとして皆さんに共有できればと思っております。最終的には、参加登録者の中で6割か7割弱ぐらいですかね、ぐらいの実際の参加があったというふうに速報的にはカウントしております。皆さん、御協力いただきまして、ありがとうございました。
以上です。
【網塚部会長】 ありがとうございます。
ただいまの御報告も含めまして、それから、先ほど皆様から大変様々な角度から御意見をいただきましたけれども、さらに何か御発言、あるいは御質問等ございましたらお願いいたします。対面開催で第12期最後ということで盛り上がっているかと思いますが、多少時間、座長の不手際で3時になりますけれども、せっかくの機会ですので、言い残していることがもしありましたら。よろしいですか。
それでは、第12期の議論の取りまとめ(案)、それから、次期部会における課題検討事項についての案につきましては、事務局にて本日の議論を反映して、後日、事務局より修正版を各委員に御確認いただいた上で、部会長に御一任いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【網塚部会長】 ありがとうございます。
それでは、取りまとめ版ができましたら、事務局から各委員に御報告いただきますとともに、当部会のホームページにて公開いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の議事は以上になりますが、最後に何か御発言のある方はいらっしゃいますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、最後に、今期、第12期も本日までですので、本部会の部会長として私より一言御挨拶させていただきます。
皆様、本日はお忙しい中、また、この12期にわたり活発な御議論をいただきまして、誠にありがとうございました。様々な御専門やお立場から、多角的な視点で貴重な御意見を賜りましたことで多くの新たな気づきを得ることもできましたし、それから、議論を重ねる中で、研究開発基盤の現状や課題がより深く掘り下げられて、今後の発展に向けた方向性が見えてきたと感じております。私自身も、皆様の御意見を伺う中で、ああ、そのような見方もあったのかというふうに視野を広げさせていただきました。感謝しております。12期の議論を踏まえまして、次の13期ではさらに具体的な施策へと落とし込んでいく段階に入るかと思いますけれども、我が国の研究教育基盤がより充実し、研究環境の向上につながることを強く願っております。
また、研究環境課の皆様におかれまして、私たちの自由闊達な議論をいつも的確に整理していただき、議論を前へ進めてくださいましたことを心より感謝申し上げます。おかげさまで有意義な意見交換、情報交換を積み重ねることができました。改めまして、皆様の御尽力に深く感謝申し上げます。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。
それでは、事務局から連絡事項等ございましたら、お願いいたします。
【田邉補佐】 ありがとうございました。まずは、本日最後ということで、科学技術・学術政策局長の井上より一言挨拶させていただきたいと思います。
【井上局長】 12期最後ということでありますので、事務局を代表いたしまして、まず感謝の気持ちを述べさせていただきたいと思います。この基盤部会、毎回、どの課題も重要なんですけれども、非常に各方面のいろいろな視点からの貴重な御意見を賜ったことを感謝いたしております。
今日の議論でももう明らかなんですけれども、この部会で御議論いただいている話は、日本の研究力を向上させるためにいずれも重要なポイントでありまして、一方で、あまりにも解決すべきことが多くて、どこから手をつけていいかも分からないような状態のまま、みんなで悩みながらここまで来ているわけですが、一つ、私が非常に希望を持っていますのは、江端先生に取り組んでいただいている検討会、これで本当に大学の現場の実情というのが大分見えてきております。そのデータは大変、今後の機器の共用化にとっては参考になります。
また、世界的には、機器の集約化と、そこにDXを絡めた自動化、あるいはリモート化で研究の生産性をものすごく上げるという、こういう流れが出てきます。そのような状況では、従来のいわゆるコアファシリティ、共用施設群の拠点と違って、そこに関わるテクニシャンの体制とかも全然違ってきます。ですから、そういったことも踏まえながら、いよいよこれまでの皆さんからいただいている考えを統合化して具体化しないと、今やらないと日本はもう研究の世界で上に戻れないんじゃないかぐらいの危機感を持っておりますので、ぜひ今期の議論も次の期に引き継がせていただいて、私どもはこれを少しでも形にしていくということで尽力をしてまいりたいと思っておりますので、先生方におかれましては、引き続き、御意見等賜りたく、よろしくお願いしたいと思っております。今期はどうもありがとうございました。
【田邉補佐】 ありがとうございました。
私のほうから連絡事項をお知らせいたします。第12期の議論の取りまとめ(案)及び次期部会における課題・検討事項について(案)につきましては、近日中に本日の議論を反映し、照会いたしますので、御確認のほどよろしくお願いいたします。
また、取りまとめ版につきましては、部会の任期でございます2月14日までに部会長に相談の上、公開したいと考えております。
また、本部会の議事録は、部会運営規則に基づき、資料とともに公表することとなっておりますので、議事録につきましては、また後日メールにてお送りしますので、御確認いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
私からは以上です。
【網塚部会長】 ありがとうございます。
それでは、以上をもちまして、第29回研究開発基盤部会を閉会いたします。本日はありがとうございました。
―― 了 ――
科学技術・学術政策局 研究環境課