研究開発基盤部会(第28回)議事録

1.日時

令和6年12月23日(月曜日)16時00分~18時00分

2.場所

オンライン開催

3.議題

  1. 先端研究設備・機器の共用推進について
  2. その他

4.出席者

委員

網塚部会長、高橋部会長代理、雨宮委員、飯田委員、江端委員、岡田委員、岡部委員、上西委員、田中委員、鳴瀧委員、宮下委員

文部科学省

(事務局)科学技術・学術政策局 研究環境課 課長 野田浩絵、専門職 田邉彩乃

5.議事録

【網塚部会長】  それでは定刻となりましたので、ただいまから、第28回科学技術・学術審議会研究開発基盤部会を開催いたします。
 お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 まず、事務局から本日の出欠と資料の確認などをお願いいたします。
【田邉専門職】  研究環境課の田邉でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 本日の御出欠ですが、伊藤委員、上村委員が御欠席となっております。そのほか、岡田委員、岡部委員、上西委員が17時よりの御出席の予定となっております。そのほかの8名の委員の皆様は御出席いただいております。また、本日の議題の中で有識者ヒアリングとして御登壇いただきます科学技術学術振興機構研究開発戦略センターの永野様にも御参加いただいております。よろしくお願いいたします。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。配付資料につきましては、議事次第、資料1から2、参考資料をPDFにて委員の皆様にお届けしております。Zoomの画面上に投影するようにいたしますが、見えにくい場合は適宜、お手元の資料を御覧いただければと思います。
 オンライン会議の留意事項ですけれども、御発言されるとき以外はマイクミュートにてお願いいたします。御発言される際は「手を挙げる」をクリックしていただき、部会長の指名をお待ちください。指名があり次第、ミュート解除にて御発言をお願いいたします。また、議事録作成のため、速記者を入れておりますので、御発言の際にはお名前を言ってから御発言をいただければと思います。
 会議中、音声の不具合等、トラブルがございましたら、事前にお知らせしております事務局の電話番号まで御連絡いただければと思います。
 事務局からは以上です。
【網塚部会長】  ありがとうございます。
 それでは議事に入ります。議題1、先端研究設備機器の共用推進についてです。まず初めに、資料1に基づいて事務局から御説明をお願いいたします。
【野田課長】  事務局、野田でございます。それでは私のほうから御説明申し上げます。
 まず、主な論点、こちらはおさらいになりますけれども、7月に論点整理をおまとめいただき、そこで示していただいた目指すべき方向性を具体化するに当たって、ここに挙げましたような論点について、これまで2回にわたって御議論をいただきました。
 次のページです。これまで2回、御議論いただき、前回はプラットフォーム形成プログラム、それから機器メーカーからということで飯田先生から御発表いただきまして、それも踏まえて、本日ですけれども、議論の取りまとめの骨子案を事務局にて作成をしましたので、それについて御議論をいただくとともに、検討会の状況について御報告させていただきます。その後、CRDSの永野様の有識者ヒアリングを予定しております。次回、2月3日に全体の議論の取りまとめについて審議をいただきます。
 続きまして、資料1-2の骨子案について御説明申し上げます。
 7ページですけれども、まず「1.背景」として「本部会の役割」、こちらは期の初めに確認をいたしました検討事項4点を改めて記載をしております。
 そして「議論の経過」として、先端研究基盤共用促進事業の中間評価、今回の12期では、プラットフォーム形成プログラム4課題、それからコアファシリティ構築支援プログラム10課題、計14課題について中間評価を実施いただきました。また、それ以前に中間評価を行っていた課題の取組状況も踏まえて、今年の夏に論点整理を取りまとめていただきました。その下に論点整理の概要を記載してございます。
 次のページに行っていただきまして、「2.関連施策と諸外国の状況」ですけれど、これは本日のCRDSの永野さんからのヒアリングも踏まえて記載したいと考えております。
 それから次に「3.研究設備等に係る概念整理」です。御指摘をいただいていた最先端の研究設備と、それから日常的な活動に必要な汎用性の高い研究設備について分けて議論することが必要とした上で、それぞれの概念について前回御議論いただいた資料からそのまま持ってきております。
 その上で、前回の議論の分け方を踏襲しまして、具体的な方向性としては、「4.」に全体の見える化、その後「5.」に研究基盤エコシステムということで記載しております。
 まず、「4.」の全体の見える化です。表題としては「各機関のコアファシリティ化を強化する仕組みの構築について」とさせていただきました。
 次の9ページですけれども、まず「現状と課題」につきましては、夏の論点整理の内容を記載しています。また、「主な課題」は論点整理で共用現場の課題として挙げていただいたものを記載をしてございますが、この中には「5.」のエコシステムで対応する課題も含まれておりますので、もう少し整理が必要かと考えています。
 「施策の方向性」です。まず1つ目の丸と2つ目の丸については、論点整理でも記載していたところですけれども、我が国全体で地域・分野等の枠組みで連携して、ネットワークを構築していくということ、それから、共用システムの情報を一元的に見える化し、助言・コンサルテーション等によって共用システムを強化していくということ、これらをこの2つの丸で記載しています。
 さらに10ページ目ですけれども、見える化に当たっての留意事項として、どのような情報・項目について集約・可視化することが効果的かつ現実的であるかという検討が必要であって、先行的に共用化に取り組んできた機関から着手すべきという点、それから次の丸で、各機関で情報管理や公開のシステムが独自に構築・進化してきているので、中長期的な観点から、その見える化のシステムと各機関のシステムが連携可能な形になるよう仕組みを検討していく必要があると記載しています。
 その上で見える化に必要な機能として、これも前回の資料からそのまま持ってきておりますけども、情報収集・調査分析、それから各機関への助言・コンサルテーション、情報集約サイトの構築・運営という3つの機能が必要としております。
 次に「5.研究基盤エコシステムの形成について」です。「現状と課題」に関しては、こちらも論点整理の内容を要約しています。それが1つ目の丸、2つ目の丸ですけれども、11ページ目に移っていただきまして、前回のプラットフォームのヒアリングを踏まえて、最先端・国内有数の研究設備等に関する横断的な取組として、プラットフォームのことを記載しておりますけれども、ワンストップサービスや利用コンサルティング等のプラットフォームの形成が進められてきたこと、それによって、国際ネットワーク等への参画や人材の育成など、成果が創出されてきた点を記載しております。
 その上で課題として、技術分野のさらなる発展や国際的な競争力の確保に向けて、前回、木川先生から分散型のデメリットとして挙げられた、統一的なビジョンの下に、導入・運用、人材育成を行うことや、利用分野の拡大を行うことが課題になっているというところを記載しています。
 その上で「施策の方向性」です。1つ目の丸に記載しておりますけれども、(1)先端機器の導入、それから(2)多様な研究者等の利活用や交流による成果の創出、(3)ニーズの創出とそれを踏まえた基盤技術の高度化、さらに(4)新たな先端研究設備等の開発・実証、利用技術の開発・汎用化という、このサイクルが、必要な人材の確保・育成とともに循環するエコシステムの形成が必要ということ、それから、そのために大学等の研究機関と機器メーカー等の民間企業が組織的に連携して、人材育成と併せて中長期的に取り組んでいくことが必要であるということ、そのために、まずはモデルケースの創出が求められるというところを記載しております。
 次に「エコシステムに必要な機能・取組」につきまして、前回御議論いただきました資料の構成を踏襲しまして、「共用」、それから「整備」、「高度化・開発」という3点に整理をして、必要となる機能・取組について取りまとめております。また、その前提として、各機関でガイドラインを踏まえたコアファシリティ化をさらに進めることが必要であること、データに関しては、データの利用目的によって必要なメタデータが異なることなどから、ARIMなど各分野における先行する取組のノウハウを反映させていくべきと記載しています。
 まず「(1)共用」です。この中でまず「ネットワーク構築」ですけれども、1つ目の丸で、総論として、「4.」の共用システムの見える化で集約される情報などを踏まえて全体最適を目指したネットワークを構築していく必要があること、またその際には、設備の先端性などを踏まえた階層構造も必要であることを記載しております。そして基盤的研究設備等については、コアファシリティ化が進んでいる研究大学(20から30程度)を中心に、地域性、分野なども考慮しながらネットワーク化していくことが求められており、またその際には大学へのインセンティブの検討が必要であるということも明記しております。
 次に最先端・国内有数の研究設備等については、引き続き、分野・装置ごとのネットワーク化などにより、アクセス性の向上やユーザビリティの強化を図ることが必要であるということ、それから、この際に我が国の強みとなる技術分野に関しては、国際競争力を高めるとともに、そのような国際的なネットワークで存在感を発揮していくために、例えば技術開発の観点からのグループ化などの仕組みについても検討が必要と記載しております。
 次に、「共用のための成果・ニーズの創出に向けた取組」ですけれども、こちらについては、まず1つ目、2つ目の丸で、基盤的設備の人材、それから教育の観点で記載しております。技術専門人材については抜本的な拡充が必要なこと、また、教職員との適正な人数バランスを検討する必要があるという御指摘もいただいておりましたので、それについても記載しております。また大学の教育という観点から、ポテンシャルユーザーを育成するという観点からの教育の推進も重要という御意見も記載しております。最先端の研究設備等については、技術コンサルタントといった技術専門人材の育成・配置を引き続き進めるとともに、自動化等のさらなる利便性、研究効率の向上が必要であるということを記載しております。さらに新たな計測分析技術の普及による利用分野の拡大ですとか、また分野融合研究を生み出していく場として活用していくための取組が必要であるとしております。例えばとして、前回の部会でも木川先生から問題提起いただきましたけれども、今や、1つの装置だけではなく複数の装置を使うこともありますので、技術分野を横断した総合的な技術相談窓口などと例示をしております。
 次に「(2)整備」でございます。この整備につきましては、基盤的研究設備、それから先端研究設備について、考え方はこれまでの継続的なところでございますけれども、3つ目の丸で先進事例となる取組として、例えばレンタルリース等の新しい契約・会計手続、資産管理の考え方の導入ですとか、機関の枠を超えた整備・運用の一体的なマネジメント、次のページですけれども、さらにそこに民間企業との組織的な連携による整備もあるのではないかということで記載をしております。
 次に「(3)高度化・開発」です。これまでの事業では必ずしも十分ではなかった部分ですけれども、まず最先端研究設備に関しては、世界に先駆けた最先端の研究をリードするような新たな研究設備を開発して普及を図るという観点で、民間企業との組織的な連携の下で必要な機能の構築が求められるとしております。具体的には研究ニーズに基づく新しい計測分析技術の開発ですとか、試作機を開発し、研究現場への試験導入を進めて、開発にフィードバックするとともに、1号機などの本格的な共用をいち早く開始していくというような流れ、それから、アーリーアダプタによるハイインパクトな研究成果の創出によって、国際プレゼンスの獲得に貢献していくこと、利用技術を開発して、多様な分野での活用や汎用化を促進をしていくこと、さらに、そのための専門人材・研究者・技術者の育成が必要であるということを記載しております。
 また、特に人材に関しては、基礎研究、利用技術の開発に携わる人材ともに不足していると指摘されておりますので、現状把握を行いつつ、産学連携で長期的な育成が必要としております。このような産学の組織的な連携の先進モデルとして、オープンイノベーションを推進するような拠点の形成を検討していくことが求められているのではないかということで、前回の部会の議論を踏まえて記載しております。
 それから次に「研究設備の高機能化・高性能化」ですけれども、こちらについては、最先端の設備の開発というだけではなく、IoT、ロボティクス、AI技術などの技術の進化を踏まえた基盤的研究設備も含めた高機能化・高性能化、新たなアプリケーションの開発を進めることが求められるとしております。
 そのための機能の構築として、15ページになりますけれども、自動化、リモート技術の大胆な導入による次世代の研究環境モデルの構築ですとか、またユーザーニーズの把握ですとか、利用データを活用した高機能化・高性能化に関する産学共同研究、DX化を促進するための装置のインターフェース統一化といった協調領域に関する産産・産学の共同研究、さらにハード、ソフトそれぞれに関する人材の持続的な確保・育成が必要ということで、これまでの議論を骨子としてまとめております。
 続きまして17ページ、検討会ですけれども、局内に11月29日付けで新たに検討会を設置しています。この検討会は、部会での議論を踏まえて、個別の研究大学における現状の課題を把握・整理し、さらに、あるべき姿を検討するための材料を集めることを目的としています。
 メンバーですが、部会にも入っていただいている江端先生に座長をお願いし、座長代理には内閣府のCSTIのデータ基盤等にも関わっていらっしゃった植草先生に入っていただき、そのほか、大学のコアファシリティセンター等の状況をよく知る方々に入っていただいております。また作業部会には、技術職員など、現場をよく知る方々にも入っていただいて、分析・検討をしております。
 今の状況ですが、18ページです。検討事項としては、先ほど申し上げたとおり、個別の研究大学の事例分析をするということですけれども、大きくは機器、人材、それからコアファシリティ化の効果の分析が必要になりますが、まずは機器に集中して情報の集約・分析等を行っております。現状分析としては、どのような機器を専有又は共有で所有しているのか、また目指すべき姿としては、どのような機器をどの程度備えるべきかについて、その一定の考え方を示せればよいと考えております。
 進捗状況ですけれども、これまでに検討会を2回、検討会と合同開催という形で作業部会を1回開催しております。研究機器に関する資産データや機器の利用状況のデータの分析、また整備に関する目指すべき姿を現場でどのようにお考えかといったことについて議論を進めております。
 これまでに確認された事項ですけれども、どのような機種に関して、これまで明らかになっていなかったような、これまでは統括部局が管理している共用機器中心のデータでしたけれども、専有であったり、統括部局管理外の共用機器に関する状況の可視化や共用機器の運用状況、導入・運用コストも踏まえて備えるべき機器の考え方について検討を進めていくという方針を確認しています。
 さらに分かってきたこととしては、各大学の研究基盤IRとしての共用システムの構築が途上であり、大学によって、データのつくり方なども差がある状況にあります。ですので、全国的な観点で総合的なデータ分析をするためには統一的な考え方の整理が必要だというような課題も浮かび上がってきているところです。
 私からの説明は以上でございます。
【網塚部会長】  ありがとうございました。
 御質問、御意見等につきましては最後にまとめてお受けしたいと思います。
 それでは続きまして関係者ヒアリングとして、先端研究基盤・研究インフラのエコシステム形成の課題につきまして、資料2に基づいて科学技術振興機構研究開発戦略センターの永野様より御発表をいただきます。
 永野様、どうぞよろしくお願いいたします。
【CRDS(永野)】  御紹介、ありがとうございます。JST研究開発戦略センターの永野でございます。今日は貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございます。
 私どもCRDSの横断・融合という担当グループで、この論点を日々検討しておりますので、今日はそこから動向を御紹介させていただきます。
 次をお願いします。まず科学技術・イノベーションのエコシステムの全貌ということで、少し広い引いた目線で見ておきたいと思うんですが、エコシステム全体を考えたときに、右側が主に産業界が主役となっていくようなイノベーションを創出するところ、そして左側、ブルーのところが研究そのもののエコシステムというのも当然あるでしょうと。これらが相互に関係しながら相乗効果を及ぼし合っていくことが非常に重要だということとともに、そもそもこのエコシステム全体というのは拡張していっているんだというのが近年の世界的な動きであります。
 次をお願いします。なぜこの話が核心なのかは、そもそも皆様には言わずもがなでありますが、やはり研究の機器あるいはソフト、データ、こういったものの研究インフラの進展というものが科学技術イノベーションのドライバーであるというのは世界的な認識でしょうということでして、左側の3つですけども、利用や共用による成果創出、そして何を導入・整備するのか、そもそも導入・整備するものをどう開発していくのかという、この3つが相互に関係を持った形で施策を組んでいくことが非常に大事だということを表しております。
 次をお願いします。つい先日、この12月の第1週に豪州ブリスベンにおきまして国際研究インフラ会議というものがありまして、私は招待を受けて参加してまいりましたが、ここでは研究インフラといったときに研究基盤、日本語で言うと研究基盤と言っていいと思いますけども、対象となるインフラの種類は問わずに、例えば放射光だとか望遠鏡とか大きいものから、この部会で議論していただいているような小さい中規模なものまで全て含む形で、議論が50か国からの参加、約1,000名ほどが参加して行われまして、最終日に声明文が発出、取りまとめられました。この声明文は拘束力のあるものではないですが、非常にいいことがまとまっておりまして、知のフロンティアを広げ、科学における未解決問題を克服するんだ。地域・社会との関わりを深めて、社会と科学・開発の距離を縮める場なんだ。社会への知識インパクト最大化する。そして研究インフラを通じて一貫したデータ管理と共用のプロトコルを適用するんだ。こういうことがうたわれていまして、またここに表れていない観点として、リサーチインフラセキュリティ、つまり研究インフラそのもののセキュリティをどう担保しながら研究の現場を守っていくのかでありますとか、研究インフラが社会や環境に与える影響をどうマネジメントするのか。例えばCO2排出はどうなのかみたいなことですね。そういったことまで議論されているわけでして、このあたり、日本ではなかなかこういった議論に適用できてないところもありますので、一つ、こういうのを参考にしていただくことは大事かなと思います。
 下がOECDの取りまとめですけども、以前にこの場で御紹介させていただいたことがございますので割愛いたします。
 次をお願いします。漫画で恐縮ですけども、やはりインフラというのはストック政策だと考えております。つまり有効なストックをどう積み上げておくか、用意しておくかということによって、次なるインプットにおける成果レバレッジが全く変わってくる。これがインフラ施策そのものであります。ということで、研究費を分散型でまいていくようなフローの施策とは見るべき次元が違うだろうということを表現しております。
 次をお願いします。そして皆様には御案内ですけども、やはり階層概念は大事でして、非常に大規模なものから中規模、小規模、あるいは拠点型でやるもの、分散型でやるもの、それぞれにやり方や目的が違いますので、このあたりはちゃんと分けて議論する必要があるということを考えております。
 次をお願いします。今、日本の研究環境、研究インフラの状況というのは、特定のところはすごく頑張って厚みを持たせていっている中ですけども、やはり全体で見たときには非常に衰退、格差が開いてしまっている状況もございますので、こういったところは日本全体のベースアップをどうしていくかということと、一方で非常に最先端のところをどう伸ばしていくのか。それぞれ考える必要があるということです。
 次をお願いします。少しマーケットの動向から見たことについてもお知らせしたいと思いますが、これは企業国籍別のマーケットシェアでして、見方ですが、左側のパイチャートは、例えばこれは日本の機関が日本企業から約3割ぐらいの研究機器を調達している。そして米国企業から4割強の機器を調達している。右側の円は、これは米国市場でして、米国の機関は米国企業から51%以上を導入していると。こういう図です。
 次をお願いします。これをもう少し細かくしたものがこの図なので詳細は省きますけれども、計測系の機器と加工系の機器で世界のマーケット全体は成長基調にずっとありますが、その中で日本企業国籍あるいは日本の市場がどう動いているかということを統計分析をしておりまして、このあたりは私どもの報告書に詳細を書いてあります。
 次をお願いします。計測分析器の企業国籍別の市場シェアなんですが、世界の大体60%ぐらいは米国企業が持っていると。日本企業は10%から8%、この3年間で少し減っている状況なんです。これを見ると、下の表ですけど、世界全体の成長が今、大体20%ぐらい、この3年間で成長しているんですけど、日本企業の成長率は数%なんです。すなわち世界の成長基調に日本企業のこういった機器メーカーは追いつけていない状況が統計的に見えています。
 次をお願いします。一方、加工系の機器、例えば生膜装置とかエッチング装置とか、そういったものですけども、これは日本企業は非常に善戦していまして、世界の25%相当のシェアを持っておりますが、ただ、こちらのほうはこの3年間で40%ぐらい成長しておりまして、その成長の一番の伸びは右の棒グラフ、その他欧州というところが大きく伸びているんです。これはオランダのASMLを中心とした半導体の加工機器メーカー群が成長を牽引しているというようなことが分かります。
 次をお願いします。今、機器といっても、アフターマーケットのほうが大きいんです。試薬やカラム、あるいはメンテ契約等の規模を見ると、実は機器本体よりも、これらのほうが6割ぐらいの規模感で持っていると。特にライフ系の装置というのは装置本体よりも、こういったアフターマーケット市場のほうが大体7割から8割ぐらいのサイズ感であるということを押さえておく必要がありまして、これは研究現場で投資を考えるときにも非常に重要な観点だと思っております。
 次をお願いします。少し話が変わりまして、これまで私どもJSTも機器開発に関わるプログラムをいろいろやってまいりました。一つは皆様よく御存じのとおり、先端計測のプログラムですが、これは2021年に事業を終了しております。
 次をお願いします。この事業に関しては、事業後半期に文科省の小委員会のほうで、効果達成と残された問題が何かという取りまとめが行われました。このうち、問題のほうだけ今は紹介しますけども、研究インフラの構築やプラットフォーム形成が不足した。世界市場への展開が不足した。ニーズの調査を行う必要がある。プロトタイプを複数作成することはほとんどできなかった。こういう取りまとめが行われたんです。
 次をお願いします。それでも幾つかの成果は出ておりまして、3例ほど御紹介しますが、一つはNMRです。これも先端計測機器市場の中で、JEOLさんに要素技術の開発をしていただいて製品化しておりまして、既にマーケットで日本の研究現場でも活躍している高感度化の技術がありますが、ただ、これは例えばたんぱく質分析関係の市場ですと、やはりBruker企業さんが圧倒的に強いわけです。
 次をお願いします。このあたり、ヒアリング等の調査によって私どもも検討しましたが、やはり欧州におけるNMRのユーザーと技術開発、ニーズ開拓、その産学官のコミュニティ形成というのは非常に力強いんです。一例を示しますと、この真ん中あたりですけども、2010年から重要プロジェクトにおきまして、3つの活動が行われたと。一つはインフラを構築してアクセス強化する。もう一つは新しいテクノロジーを現場に導入していく。そして3つ目が、異なるステークホルダー間をつなげていくような超長期の戦略を持って、こういう活動をしていくということがありまして、20年ぐらいにわたって、こういったユーザーコミュニティと技術開発のコミュニティを結びつけるような活動というのが非常に力強く行われていまして、こういったところが一つ参考になるのではないかなと思います。
 次をお願いします。次の例がレーザー走査型ラマン顕微鏡です。これも先端計測事業で取り組んでいただきまして、大阪大学の河田先生の企業によって製品化、ナノフォトン社から製品化されている製品ですが、非常に高速で走査する形で大面積のラマン測定ができるわけですけども、この装置も製品化して、現在、ARIMの現場に幾つか共用で使っていただいております。
 次をお願いします。この中から見えてくるのは、やはり技術開発に取り組むラボとか技術の養成の場が減っているであるとか、海外依存部品の価格高騰に伴って、技術を改善したり、開発したりするハードルが上がっている。それから企業のサポートに依存するアカデミア現場というのが進んでいる。あるいは皆様御存じのとおり、従来型のプロジェクトのやり方だと、なかなかこういった仕事が評価されにくい。そういったリスクの高さというのが現場にとってありますので、こういったところは非常に大変だったというようなことが私どもの調査から見えてきたところの1点であります。
 次をお願いします。最後の3例目ですけども、これは原子分解能の磁場フリー状態での電子顕微鏡、通称MARSと言われる製品で、JEOLさんから、ちょうど今年、つい先月に世界展開として上市されておりますけども、ちょうど10年前、JSTの先端計測プログラムで開発に取り組んでいただきまして、10年たって製品化に成功したわけですが、今、こういったものが、非常にハイエンドの機器ですけども、世界でニーズがあって、日本にはなかなかまだ入ってないわけですけども、こういった日本発のテクノロジーを最先端の研究成果としてどう使っていくかというのも非常に大事な観点だと思っています。
 次をお願いします。今、先端計測事業終わった後、JSTのほうでは、未来社会創造事業というところの共通基盤という1つの領域の中で、長我部信行先生の運営統括の下、ここにあるような課題のポートフォリオの中で進めております。一つは機器開発のもの、もう一つは上側ですけども、将来的には技術のプラットフォームとして伸びていくということを期待して、例えばロボティックバイオロジーとか、マテリアル探索空間の拡張、こういったものは研究開発の自立化・自動化というものを進めるような技術プラットフォームとして育てていこうということで、こういったテーマを進めさせていただいている中であります。
 次をお願いします。以上のことをいろいろ見てまいりまして、一つ書いているのがこの図なんですけども、研究基盤のエコシステムをどうデザインするのか。その形成を阻む障害というのが私たちは8つぐらいに分かれるのではないのかなということで、右の表に示しております。簡単に言うと、ユーザーが新しいテクノロジーを活用する力が落ちているのではないか。例えば完成された製品をよく選びがちである。あるいは未解決のサイエンスの課題とそこにアプローチする新しいテクノロジーのアイデアとが邂逅する場や機能が不足しているのではないか。そして3番目、アイデアの潜在価値や可能性そのものを評価する主体というのがなかなかないのではないか。これは学会や専門分野の細分化なんていうのも影響しているのではないか。そして挑戦的でハイリスクの技術開発になかなか取り組みにくい資金・環境・人材の評価、それを具体化、形にする環境が足りない。リスクの高い開発に挑む企業、これは大企業だけでなく、スタートアップも含めて、なかなか国際競争力が足りていないのではないか。先端装置・新装置のUX、UXあるいはインターフェースですけども、こういったものをデザインする力がなかなか足りないのではないか。そして初期市場形成のメカニズムにおいても、産学官の相互作用施策が少し不足しているのではないかということで、その1例を次で御紹介します。
 次をお願いします。ちょっとビジーで恐縮ですけども、簡単に申し上げますが、これはイノベーション促進型の公共調達制度、これを諸外国は戦略的に活用しております。どういうものかといいますと、右上の図ですけども、研究開発段階にあるテクノロジーに関して、その研究開発と、それが技術として成立したときの初期の調達まで含めて、まとめて調達するというような仕組みでして、つまり商業化前段階、これプレコマーシャル・プロキュアメントと言いますけども、こういうものを法的に整えた上で運用しております。すなわち先ほど来御説明してきたような技術開発を、最初の成果を例えば研究機関や大学のニーズに基づいて公共調達に載せてしまうということを最初から構想してやっているんです。
 その事例が左側真ん中の図ですけども、これも電子顕微鏡の技術開発なんですが、こういった開発に複数国の複数企業、そして国研・大学が集まって参画して研究開発した上で、その成果が成就した暁には研究現場に、あるまとまった数を導入してしまうということを公共調達でやるんです。これによって初期市場のリスクを下げるという効果がございますので、開発メーカー側にとっては、開発投資がぐっとやりやすくなるという効果がありますし、早く使うということで研究成果をいち早く、その国として獲得したいと。そういうモチベーションが働くわけです。こういうものを欧州、そしてアメリカ、韓国は非常に巧みに使っておりますので、一つ、日本としては、こういうことを日本版で考えて導入していくということは議論としてあるのではないかと思っています。
 次をお願いします。ここは省きたいと思いますが、こういったことを考えた上で、技術開発と、それから産業界の皆様と、そして共用利用で成果を出していくところを、どうやって意図的に重ね合わせをデザインして接続してボールを受け渡していくのかみたいなことを設計することが非常に重要ではないかということを考えております。
 次をお願いいたします。後半は海外動向を御紹介いたします。
 欧州を中心に御紹介しますが、Horizon Europeという7年間の枠組みプログラムの中で、研究インフラというのは24億ユーロ(約3,850億円)規模の予算が計画されております。その中でどこに投資されるかというのがESFRIというロードマップに取り上げられているものを中心に助成されていきます。
 次をお願いいたします。このESFRIですけども、これはヨーロッパ全体の研究インフラのロードマップ作成を担っている、欧州によって認められた正式な場ですけれども、大体20年間ぐらいの研究インフラのロードマップを複数作成するわけでして、その20年間というのは、どういうインフラをつくっていったらいいのかという最初のところから、運用、それから改善とか成長、そして最後、閉じるところまで含めて、かなり長期で考えてやっています。
 次をお願いします。今、このESFRIの中には、21年につくられたロードマップで、63の研究インフラが載っています。大体3から5年ごとにアップデートが行われるんですけども、この63の研究インフラというのは右上の表、囲みですけども、2つに分かれていまして、一つはプロジェクト、もう一つランドマークという言い方をされるんですけども、プロジェクトというのは、これからつくっていくインフラです。ランドマークというのはほぼつくって、ユーザーサービスに入ったもの、あるいは入りつつあるものがランドマークと言われるものに移行していくんですけども、プロジェクトが始まって大体10年ぐらいでランドマークへ移行して、そのロードマップをマネジメントしていくということが行われます。全てが移行するわけではなくて、途中で脱落するものもあるということです。
 その1例を下の表のうちピンクで示しているものを次のページで御紹介いたします。
 次をお願いします。左側、一つは構造生物学の研究インフラというもので、instruct ERICと言います。前回、木川先生がERICについて御紹介いただいたので、このERICについても今日御紹介しますけども、こういうものと、もう一つ右側が脳研究のインフラです。大体十数か国の研究機関・大学、それから企業が参画するような仕組みになっていまして、初期の構想、デザインからインプリメンテーション、オペレーションまでも含んだ上でのロードマップ化がされているというものです。
 次をお願いします。どうやってこのロードマップをつくっているかといいますと、現状分析、ランドスケープ分析から始まって、そして既存の研究インフラの評価・モニタリングを行った上で、次のロードマップとしてアップデートするもの、あるいは新しく掲載するものが選ばれて、大体2年ぐらいかけて、そのロードマップ化が行われていく仕組みになっています。
 次をお願いいたします。このERICというものなんですけども、これはインフラのコンソーシアムをつくる仕組みです、枠組みです。このERICというのは、これも欧州によってリーガルエンティティを与えられるような枠組みになっていまして、それをやることによって、先ほどのESFRIのロードマップに載っているもののうち、進むものは、このERICという仕組みを使う形に移行していきます。大体60%がこのERICを設立する状況になっています。
 これは何かというと、産学官のコンソなんですが、欧州Horizon Europeからの資金投下が行われます。さらに各国からも、このERICに選ばれているからということで資金が拠出されます。そして各参画機関も拠出するということで、大体十数機関ぐらいが合同で、このERICを組織するんですが、しかし、全体で法的な契約が取れたり、あるいはVAT(消費税)が免除されるような形態になったりということで、非常に多くのメリットがあります。
 次をお願いいたします。今現在、28のERICというものが設立されていまして、この表は少し古いんで、昨年度時点で26なんですけども、例えば先ほどの構造生物学のERICとか、望遠鏡に関するERICとか、28のERICが設立されていまして、この表の横のほうにチェックがついているのは、どの国の研究機関あるいは大学、企業が参画しているかという印です。これを見ていただくと大体十数機関、十数か国が参加しているというのが、どのERICでも見えるわけですけども。赤い印が幹事国の機関ということを示しております。
 次をお願いいたします。こういったもののほかにも研究基盤をつくるプロジェクトというのは別にさらにありまして、その事例がこの電子顕微鏡のプロジェクトで、一つだけ今日は事例を持ってまいりましたけども、これESTEEMという透過電顕をつくるプロジェクトで、これまで3期にわたって5年ずつやってきたプロジェクトです、15年間。大体1回の5年タームで、大体、日本のERATO研究プロジェクトぐらいの規模で10億円ぐらいが投資されますので、非常に大きな研究プロジェクトです。その成果を基にして、今、下側のところですけど、IMPRESSというプロジェクトがさらに進んでいますけども、ここで開発した技術成果を欧州圏の研究機関に、先ほど御紹介したイノベーション促進型の調達制度によって導入して、いち早く利用成果を創出しようと。そういう流れで動いているのがございます。
 次をお願いします。以下、簡単にしますけども、アメリカは前回御紹介があったと思いますので、これはNSFのリサーチインフラのプログラムでして、これも開発と調達と共用利用、この3つを規模感を変えながらステップアップして選んで活動することができるというような枠組みが用意されています。
 次をお願いします。ドイツに関してもほとんど同じなんですけども、開発と整備・調達と利用共用というのが、それぞれプログラムとして用意されていますので、これは完全にばらばらということでは全くなくて、こういったものを組み合わせて現場が利用できるような、そういう制度設計がされているということがポイントです。
 次をお願いします。中国ですが、タイトルのところ、「基礎研究環境及び主要科学機器開発」というプログラムで進んでいまして、2ポツ目の最後ですけども、中国の科学機器の内製化と産業創出。そして3ポツ目として、原理検証、ソフト・ハードの開発、システム統合、応用産業化の科学起点開発のフルチェーン展開をするんだと。こういうふうに書かれているんです。
 次のページで、これは見ていただくだけにしますけども。次をお願いします。ハイエンド機器の対象として、これだけのもの。次をお願いします。コンポーネント、これは検出器とか、電源とか、光源とか、コンポーネントの開発対象として、これだけのものと。そして次をお願いします。試薬とか標準物質、実験動物創出、それからデータプラットフォームの構築、こういったものが全て対象になっているということで、非常にアグレッシブな展開になっているということです。
 次をお願いします。最後にちょっと立場は変わりまして、私、文科省のマテリアル先端リサーチインフラ(ARIM)のPOをしておりますので、そこからの御紹介を一つだけいたします。
 ARIMは今、1,155台の先端装置群を参画25法人によって提供するという活動をしておりまして、装置提供とともにデータインフラもつくりますということをやっています。
 次をお願いします。データのところだけ御紹介しますけども、これは共用装置から生まれてくる、つまり装置利用者が生み出してくださるデータの利用権をこちらに頂いて、そして一元管理してデータ共用事業としてもサービスしていく。そのときに、例えば異なる機関から異なるメーカーで同じような装置から生まれてくるデータを自動的に標準構造化して、データを格納していく。そして、それをデータ共用のポータルサイトから提供していくと。そういうサービスを構築しております。
 次をお願いいたします。データ共用をどうやってやるかと。これは非常に難しいんですけども、まずはデータを生み出していただいた方が自分で研究で使うでしょうと。このために最大2年間を御用意しております。中には、すぐ共用してくださいという方もいらっしゃいますが、基本的には2年間最大用意しておりまして、その2年間のエンバーゴが明けたら、これは日本全国の研究者あるいは企業の方にデータをお使いいただけると。そういう環境に移りますと。これを広域シェアと左上のように呼んでおります。そのときに利用権設定する形ですので、これはアカウントを取っていただいて、利用者になっていただいた方に一定のデータ利用料金をお支払いいただく形で、これはもう設備共用とデータ共用は同じだというようなことで、そのサービスを構築しておりまして、来年度から本格展開いたします。
 次をお願いします。ということを私どもは長々経験してまいりまして、やはりプラットフォームにどういう作用が生じるのかということをよくよく考えた上でマネジメントをデザインしていくということが非常に大事だと思っていまして、提供価値は何なのかと。やっぱり研究成果こそが利用者にとっての本当の提供価値なんですが、私たちは利用者の研究開発に成功する可能性を提供するんですよと。そこに貢献するんですよということを肝に銘じて、そのために必要な機能やサービス、そして人材、仕組みはどんなものかということで、こういった事業を展開しております。
 以上になります。ありがとうございました。
【網塚部会長】  永野様、どうもありがとうございました。大変貴重な御講演をいただきました。
 ただいまの御説明につきまして、何かこの時点で御意見等はございますでしょうか。あるいは御質問などはいかがでしょうか。
 大変勉強になったんですけれども、一つ、すみません、不勉強で、ESFRIというのは、想像するに、政府関係者や科学者あるいは企業の方なども入っているのかと思うんですが、実質的に主導している組織というんですかね。その構成はどのようになっているんですか。
【CRDS(永野)】  もう一つ前か2つ前のページ、もう一つ前かな、お願いできますか。さらにもう1個前です。失礼いたしました。
 この右側なんですけども、ESFRIというのは欧州委員会にエキスパートグループを設けていまして、ここに欧州の加盟国、それからHorizon Europeの準加盟国から代表者を募っていまして、そこで会議体のような形で議論されると。さらにその下にワーキンググループとタスクフォースが設けられる形で、個々のロードマップを策定していって、その審議を一番上の代表者たちが集まる場で承認するということをやっています。
 ここは2年置きに議長が変わっていくような形を取っていまして、今現在の議長はスペインの国研の方が入っているんですけど、先日、私もブリスベンで、その方とお話ししましたが、そういう研究の専門家、それから行政、研究所のマネージャーとか経営者みたいな方々でやっています。実際のロードマップをつくるのはもちろん専門家集団からの提案ベースに、それをどう承認するかと。こういう形で進んでいます。
【網塚部会長】  ありがとうございました。
 各国のそれぞれの戦略もあるけれども、欧州として科学技術というんですか、サイエンスを進めていく、あるいはイノベーションを進めていくための戦略を練る組織という位置づけでしょうかね。
【CRDS(永野)】  ESFRIのロードマップに載ることが各国にとっては大変重要でして、まず多国間でその研究インフラを提供していって、価値を提供していくんだと。そういうものとして、Horizon Europeからの資金提供を受けられるわけです。そうすると、各国が個別に出すお金とHorizon Europeのお金とを足して使っていくことになりますので、全く進み方が変わってくるということで、これは各国ともぜひ載せたい、載せることを認めてほしいと。そういう形で提案してくるところです。
【網塚部会長】  ありがとうございます。
 江端委員、手が挙がっておりますが、お願いいたします。
【江端委員】  永野先生、ありがとうございました。本当に我々のほうで十分に勉強できてない部分を非常にきちんと整理していただいて分かりやすく、大変参考になるお話だったと思います。
 特に先日、木川先生からお話しいただいたERICのお話とか、こちらも大分理解ができました。本日お伺いした内容で、例えばですけども、こういった仕組みを我が国に導入する際に、非常にいい仕組みだと思いますので、例えばこれを導入するといったときに、うまく行きそうにないというか、非常に障害になるような部分というのが何か先生の御知見の中であればコメントをいただきたいと思っております。よろしくお願いします。
【CRDS(永野)】  ありがとうございます。
 これは前回の木川先生が共用プラットフォームでNMRのプラットフォームがあそこまで育ってきて、この後の展開を考えたときに非常に難しいハードルが幾つかあるとおっしゃっていて、その一つが法的な責任主体が今の体制だと取れないということがあったんです。これをERICでは解決しているというのが一個、大きな違いです。そういうものはルールとして設ければ、こういうことができると思うんですが、今、分散――ERICも分散なんです。1つのERICで十何か国・十何機関で分散なんですけども、でも、ちゃんとヘッドクオーターがあって、そこは法的主体としての責任が取れるので、契約行為とか、人を雇用するということが、大学とか国研とか、そこの枠組みから離れてできるというふうに整えているんですよね。だから、ちょっと出島みたいな形で組織をつくるということなんで、これを欧州として法整備して認めているということなんで、そういうことを日本でやる場合にはちゃんとルールをつくってあげれば各機関もできるんですが、ルールがない中でボトムアップで何とかしてくださいというと非常に難しい。
 唯一、日本に近い仕組みが技組です。技術研究組合法です。これはちょっと違うのは、特定のターゲットに向かって産業界中心に、あと国研も入りますけども、組合をつくって、それはいずれ期間が終わったら株式会社化ができると。そういうことになっているわけですけども、そういった先行例もあるので、少しそういったものから考えて、より公共性の高い研究インフラとしてのサービス機関の在り方を考えるのがいいのかなと思います。
【江端委員】  ありがとうございます。
 すみません。もう1点だけ。そうだとすると、ERICをそれぞれつくっていく上で、この装置とか、この枠組みを中心にやっていくんだというところをセレクションしていく優先順位というか、その基準をもう少し教えていただけるとありがたいです。お願いします。
【CRDS(永野)】  これも欧州の中でのERICの上部委員会で評価委員会があって、そこにESFRIに載っているロードマップのものがどこまで進んでいるか。それをERICとしてなりたいですというふうに現場が提案してきたものに対して、それを評価して認めるかどうかという承認プロセスがございます。そこを通過したものがERICという権利を与えられて、そこからHorizon Europeの助成に手を挙げたり、各機関がERICとしての新しい組織形態をつくった上で、研究開発のマネジメントしていくということがやってよいという状態になるわけです。既にこれまで28のERICが設立されて、約90億ユーロが、これは公的投資を併せてされているような状況なんですけども、この投資も個々のERICで必要な財源というのは異なりますので、規模感が異なりますので、Horizon Europeとしてはどこまで出すと。それから参画機関がどこまで出すと。それから参画機関の所属国がどれだけ出すということを、それぞれ分析しながら、予算の枠組みというのをつくられているというようなことがありますので、結構、ここは細かいデザインがされています。
【江端委員】  分かりました。ありがとうございました。
【網塚部会長】  ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。特にないようでしたら、次に参りますが、よろしいでしょうか。
 飯田委員、お願いいたします。
【飯田委員】  永野先生、ありがとうございました。
 非常に参考になり、また求めていた情報が多く網羅されたご講演をいただき本当にありがとうございます。欧州はじめ、いろいろな例をお示しいただいたのですが、今、日本で具体的に取り組んでいこうとする場合、EUとまったく違うシステム等選択肢がいろいろある中で、どのようなものが現実的と思われますでしょうか。これから議論があると思いますが、お伺いさせていただきたく思いました。
【CRDS(永野)】  ありがとうございます。
 必ずしもまねをすればいいとは思ってないわけですが、ただ、私どもも現場の皆様の活動を見ておりますと、ここから先ができないんだとか、こういうことはうまくいかなくて困っているんだというところがたくさん上がるわけですよね。その境界条件は何で規定されているかというと、大体は各法人の内部的な規則なのか、あるいはリソース面、資金的な制約なんですよね。だから、ここをどう乗り越えるかという観点で日本に適した形を模索していくということが非常に大事ではないかなと思います。
 また、今日御紹介させていただいた内容は詳細な報告書として取りまとめまして、今年度中に私どもから公表させていただく予定でございますので、またそちらのほうでもぜひ御参照いただければありがたいなと思っております。
 ありがとうございました。
【飯田委員】  ありがとうございました。
【網塚部会長】  ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、最初の事務局の御説明、それから、ただいまの永野先生の御発表を踏まえまして議論に入りたいと思います。また、お一人当たり5分以内程度で御発言をいただけたらと思いますけれども、よろしいでしょうか。
 それでは、いつもどおり名簿順でまいりますが、雨宮先生からよろしくお願いいたします。
【雨宮委員】  いつもどおり雨宮です。
 まず最初にお話しいただいた議論の取りまとめの話ですね。本当に今まで、いろいろなことが行われてきていて、それから、まだまだこんなに課題があるんだなということが改めてよく認識したわけですけれども、その中で、ほとんど感想なんですけれども、一番心に残ったことは見える化という言葉が何度も出てきたと思うんですけども、これは本当に大切だなと思って、何かがどこかの組織で行われていても、それがすごくいいことであっても、それが知られていないというのは本当にもったいないことであるということを思ったのと、もっと現場レベルで言えば、どこにどういう機器があって、どういうふうにそれが使えるかというのも見えないというのも本当にもったいないことなわけですけれども、いろいろなレベルでの見える化というのは本当に大切なんだなと改めて思いました。
 それから、その後で検討会のお話があったと思うんですけれども、たしか17、18ページの辺りで、エビデンスに基づく個別の研究大学の事例分析をというお話があって、これは本当に、何というか、すごいことだなと。というか、書くのは簡単ですけど、それをするのは、ものすごく大変だと思うので、それをやろうというのは画期的なことだなと思いまして、本当に結果というか、それを楽しみにしたいなと思っているところです。
 それから最後3つ目、永野様からお話しいただいた件の中で、これも本当に知らないことがいっぱいあって勉強になったんですけれども、その中で40ページにあったイノベーション促進型調達制度と。これは幾つかの国というか、EUも含めていろいろなところでされているということですけど、これは感銘を受けて、こういうのは日本ではなかなか聞かないなと。あるのかもしれないですけど、そんなに認識できるほどはないなと思って、本当に感銘を受けました。
 すみません。感想だけですけれども、私からは以上です。
【網塚部会長】  どうもありがとうございます。
 ただいまの雨宮委員からの御発言に対して何か御意見などはございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは続きまして、飯田委員、お願いいたします。
【飯田委員】  論点整理に関しまして非常にきれいにまとめていただき、たいへんありがたく思っております。
 特に第11期ではあまり議論されなかったと伺った覚えもあります第11期からの引継ぎ事項の中の「新たなイノベーション創出を支える基盤技術開発」に向けてうまくまとめていただき、改めて感謝を申し上げます。
 7ページの論点整理の丸ポツ1の産官学が有機的に連携し、整備・利活用による研究成果創出だけではなく、開発も含めたサイクルが不可欠というところにつながります丸ポツ4のあたり、エコシステムの形成というところは企業として望むところになっております。
 また骨子案のページ8で、最先端の国内有数の研究設備等と、基盤的研究設備等に分けていただき、ありがとうございます。第27回の部会でも少しコメントさせていただきましたが、ページ8で、汎用的な基盤的研究設備などに入っています質量分析計も、最先端のライフサイエンス研究、遺伝子治療薬研究に使われるような数億円するという種類もございまして、島津製作所でも革新的な技術・装置に取り組んでいるということを少し申し述べさせていただきたいと思います。
 あと、ページ11、施策の方向性、ページ14、最先端の研究設備などの開発に関するコメントを書いていただいておりますので、このあたりの議論が深まりより具体的になっていくと非常にありがたいと思います。
 私からは以上とさせていただきます。ありがとうございます。
【網塚部会長】  どうもありがとうございます。
 飯田委員からの御発言について何か皆様から御意見はございますか。よろしいですか。
 それでは、江端委員、お願いいたします。
【江端委員】  ありがとうございます。
 今回、ここまでいろいろ議論されてきたことが、こういう形でまとめていただけたことは本当に多くの方の目に触れる非常にいい資料になったかなというふうに思っておりまして、ここに書かれていることも、これまでというか、新しい12期ですか、部会の中で議論してきたことというところで、非常に新しい視点も入ってきたかなと思っております。
 その中で、この資料の12ページのところにありますネットワーク構築の中での「研究大学等(20~30程度)」というふうに書かれている部分というのが非常に重要なポイントかなというふうに思っておりまして、今まで、こういった研究設備等の整備において、具体的にどの程度の大学がこういったものをリードしていくのかとか、まとめていくのかというところに言及されたことはあまりなかったかなと思っています。そういう意味で、こういった大学がしっかりと先導していくための、しっかりとした予算を措置していただくことと、ネットワーク化ということなので、ここの20から30大学以外の研究機関に対する支援措置を含めたパッケージで考えていくことが必要かなと思っております。
 その際に冒頭に野田課長から御説明いただいた検討会でいろいろと議論しておりますエビデンスに関して、かなり突っ込んだ議論を検討会、作業部会でさせていただいていますので、ここの各研究大学での研究インフラの在り方というところもそうですし、そういった大学を参考にしながら研究設備と機器と人が、どうセットであるべきなのかというところも具体化していく予定です。ただ、かなりショートな議論になっておりますので、どこまで議論が詰められるかは分かりませんけども、この辺につきましては継続的に議論を進めていって、先ほどお話ししました研究大学(20~30)というところの各大学のコアファシリティの在り方というところを具体化できればなと思っております。
 様々な議論で多くの有識者の先生方からコメントを頂きまして、方向性としては非常に明確になったなと思うんですけども、やっぱり絶対的に足りないのはエビデンスだと私は思っておりますので、そのエビデンスを各大学に任せるだけではなくて、国としてどう構築していくのか、それをどう活用していくのかについては引き続き継続的な議論が必要かなと思っております。
 ということで、私からのコメントは以上になります。ありがとうございます。
【網塚部会長】  ありがとうございます。
 ただいまの江端委員からの御意見につきまして何かコメント等はございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは続きまして、岡田委員、お願いいたします。
【岡田委員】  たくさん内容があったので表面的なコメントだけになってしまうかもしれないんですが。
 まず最初の取りまとめについてですけれども、これまでの非常に多岐にわたる論点を非常にうまくまとめていただいているというふうに思いました。特に中でも、これまでこの部会の議論では共用という部分がかなり強く議論されてきていたと思うんですけれども、今回のこの取りまとめの中では、特に最先端の機器などについての開発的な部分とか、開発と共用をどうつなぐかといった論点も今回明確にしていただけたということで、世界をリードするような研究を進めていく。そのための研究基盤だと。そういう一つの立場が非常に明確になったのは非常によかったのではないかというふうに思います。
 後半のCRDSからの報告についても、我が国の国内の成功事例と、それから海外の事例の比較というようないろいろなお話が伺えて大変勉強になったと思うんですけれども、でも、大体こういうのというのは我が国の事例がうまくいかなかった反省するところがどうしても身近なもので見えやすくて、海外の事例はどちらかというといいところ、こんなに成功している、すばらしいものだというふうなところがどうしても強調されがちになってしまうと思うので、そういう意味で、同じ比較の仕方をすると、日本のこれまでの施策というのは結構行けていたのか、それともやっぱり駄目なのかとかと。そのあたりの比較がもう少し公平にできるとよかったのかなというのが全体的な印象です。
 特にそれは日本を外して残りの比較で見ると、中国とそれから欧米とでは、特にヨーロッパと中国はかなり内容もスタンスも違うのが非常に印象的でしたので、中国はなかなか詳しい情報を取りにくいと思うんですけれども、さらにこの先、具体的にどう展開しているか。例えば遺伝子シーケンサなんかがすごく典型的な例で、もともとアメリカがほぼ独占していたのが、今やもう中国のほうが圧倒的に安くて高性能なものを出しているとかというのでシェアを逆転する勢いでやっているとかというケースもあったりするんですけど、そういう感じで、今、中国は、ここにあるみたいに猛烈に全分野で内製化を進めるというのを戦略的にやっていたりするんだけど、そのあたり、どのぐらい成功しているのか、どのくらいの予算で動いているとか、そういうのがもう少し見えてくると、それの中で日本はどうするのかとかという議論ができるのかなと思って非常に興味深く拝見させていただきました。
 以上です。
【網塚部会長】  ありがとうございます。
 岡田委員の御意見につきまして、何か皆様からコメントなどはありますでしょうか。よろしいですか。
 岡部委員は、今さっき入られたばかりなので、ちょっと……。よろしいですか。
【岡部委員】  はい。一応、予習してきましたので。
【網塚部会長】  すばらしいです。よろしくお願いいたします。
【岡部委員】  すみません。取りまとめのほうだけのコメントにさせていただければと思います。
 取りまとめのほうですけども、大変立派な資料だなと思って読みました。あと、私自身ずっと言ってきたことが入れていただいたのがあるなと思っていて、例えば10ページの最先端の研究開発を牽引し、イノベーション創出につなげていく観点から研究現場で高度化された技術や装置が鍵であるですとか、多くの分野において先端研究設備等の開発や導入が遅れて国際的な研究競争によって不利となる構造的な問題も生じていますとか、12ページ目に行っていただいて、先ほど江端委員からもありましたけども、私はずっと選択と集中と言っていたんですが、基盤的研究設備等についてはコアファシリティ化が進んでいる研究大学(20~30程度)を中心に地域性、分野性を考慮しながらとか、その次の13ページ目は今度、大学の教員としての立場からすると、大学においてはアカデミアや産業界における将来的なユーザー(ポテンシャルユーザー)を育成する観点で教育の推進も重要とか、13ページ目の下の整備のところなんですけど、最先端・国内有数の研究設備等については各機関の強み、特色分野において、全国的な類似装置の整備状況も踏まえた戦略的な導入が求められるというようなことが書かれていて、非常にメリハリがついた取りまとめにしていただけたなと思っています。
 私がとがった発言ばかりして皆さんに御迷惑をかけたかもしれないんですけど、イノベーションとか産業競争力という点で、今、日本の生産性がすごい下がっているという意味で、やっぱり大学機関の果たす役割は大きいのではないかなと思っていますので、こういった内容をベースに企業と連携が進むといいなと思って、私としては、この取りまとめ案、骨子案に大変満足しているということです。
 単に感想なってしまって申し訳ないんですが、以上となります。
【網塚部会長】  どうもありがとうございます。
 事務局で取りまとめられるのはとても大変だったのではないかと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、上西委員、お願いします。
【上西委員】  私も途中から参加させていただいたので、全体はお聞きできてなかったんですけども。
 まず永野先生からのお話は大変勉強になりました。特にアフターマーケットのことですね。18年から21年にかけて伸びは僅かですけれども、やはりアフターマーケット市場というのはどんどん広がっていき、拡大していくんだろうなと思うと、そのことも意識して我々はしっかり経営しなければいけないなと思った次第です。
 取りまとめ案については、今、岡部先生が言われたように大変よくまとめていただいているなと私も思いました。それで13ページですかね、エコシステムに必要なところの(2)の整備のところの最後のところです。私が思ったのは、資産管理の新しい考え方とか、レンタルリース等を含む資産管理の新しい考え方というのは必要だと私も思っていますし、それからその下、機関の枠を超えた整備・運用の一体的なマネジメントというのもこれから必要になってくると思います。国立大学同士だと比較的簡単だとは思いますけれども、それが私立大学、それから公立大学、さらに民間との一体的なマネジメントということも将来的には考えていかないといけないとすると、いろいろ制度的なところで改革が必要だと思っております。
 私からは以上です。
【網塚部会長】  ありがとうございます。
 ただいまの上西委員からの御発言につきまして何か皆様からございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、高橋委員、お願いいたします。
【高橋部会長代理】  ありがとうございます。
 まず取りまとめについては、方向性自体は賛同しております。一方で、例えば先ほど話題にも上がりました最先端の研究設備をどういうふうに取り入れて広げていくかも、御紹介いただいた海外の事例のように、誰がどう牽引してロードマップをつくっていくのかの議論が今後、具体的に必要になってくるのかなとは感じております。
 現状と課題というところでは非常に整理されていると思っていまして、御紹介いただいた特に海外の事例ですね。ネットワーク、エコシステムをつくっていくというところをいろいろな大学・企業を巻き込んでやっているというところですけれども、誰がそれを取りまとめて牽引するのかというところは、まだなかなか議論が進んでいないところかなと思いますので、この取りまとめたものを具体的にどう進めていくのかというところは今後、議論が必要になってくるかなというふうには感じました。
 以上となります。海外事例などは非常に勉強になりました。ありがとうございます。
【網塚部会長】  ありがとうございます。
 高橋委員からの御発言につきまして何か皆様からコメントはございますか。よろしいですか。
 それでは続きまして、田中委員、お願いいたします。
【田中委員】  田中です。
 最初の取りまとめのほうですけれども、皆様と同じですが、きれいにまとめていただきまして、どうもありがとうございました。大きく共用と整備と開発というふうに分かれていて、まさにそのとおりだなというふうに思いました。
 特に共用につきましては、環境課さんのほうでいろいろなレベルのプログラムがあったりして、それぞれでかなり進んできているところだなという印象があります。整備につきまして、メーカー等民間企業と組織的に連携というようなことが書いてありましたけれども、ARIMの事例を出させていただきますと、装置の共用という意味ではないですけれども、先ほど永野様のお話にありましたように、装置から出るファイルも全て構造化して集めるというようなことを行っているところで、日本のメーカーさんの場合は、その装置から出るデータファイルの中身というのをある程度ここに何が書いてあるというようなことを開示していただくことで、これができているところがありますので、そういう意味での装置ではなく、データのほうの御協力はかなり頂いていて、それが実を結んできているのかなという印象はあります。
 それから3番目の高度化・開発について、特に加工分野は割と頑張っているけれども、計測分析技術分野の人材が減少傾向でというところはまさに日々実感しているところなんですけれども、人材が減っていて、だけれどもデジタル化とか、いろいろやることが増えている。デジタル化すると楽になるかというとそうでもなくて、デジタル化するための労力であるとか、入力して何をするというようなことは人力でやったりするので、かえって、かえってというとあれですけど、後々は便利になるんだけれども、そのときは非常に手間がかかるというようなことがあって、さらに大変で、でも人が少ないから、どんどん疲弊して、装置をいじる時間というのがなくなってきて、現場の人が修理が来たらメーカーさんにお願いというような方向にますます進んでいくというような悪循環のようなサイクルが一部で見られるかなというところがありますので、やはりここは今後、特に注力していくところかなというふうに思いました。
 それからCRDSのほうで感じたのは、特にヨーロッパの事例を見ていると、国をまたいで、あのようなことができているというのが非常に感銘を受けまして、日本の中でいろいろな機関が集まって、でも、各機関の規約とかに反するから、これはできない、あれはできないと言っているレベルとは全然違うはずなので、そもそも言語も違うとか、そういうのもあると思うんで、そこでできるのなら日本でもできるはずだなと強く実感した次第です。
 以上となります。
【網塚部会長】  どうもありがとうございます。
 田中委員からの御発言につきまして、何か皆さんからございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、鳴瀧委員、お願いいたします。
【鳴瀧委員】  鳴瀧です。
 まず前半の取りまとめにつきまして、研究力向上という観点からの機器共用の在り方の課題、それというのが非常に網羅的に示されていて、重要な方針となるような文書に仕上がっていると感じました。どうもありがとうございます。
 中でも印象に残ったところとしましては、前回の木川先生の御発表を受けてだと思うんですけれども、分野横断型の相談窓口、コンサルテーションのようなものをさらにつくっていくというところ、これが実現したらすばらしいなと。自分の研究を一段高みへ持っていけるので、ぜひ利用したいなというふうに感じました。ただ一方で、非常に高度なコンサルテーション技術が必要となりますので、誰がどのようにどういう仕組みをつくってやっていくのかというところはまた踏み込んだ議論が必要になるなというふうに感じまして、例えば非常に幅広い視野をお持ちのリタイアされたような先生のお力を借りるのか、あるいはAIなどを高度に利用した方向に行くのか、いろいろなやり方があるかなと思うんですけれども、そういった議論を今後進めていくのがよいのかなというふうに感じました。
 また永野先生からの御講演では、非常に私も海外事例が参考になりました。一方で、国内におきましても、ARIMでタッグを組んだデータを集積して、それを利活用するというフェーズに、ついに2025年度から入るということで、これは非常に楽しみにしております。まず、そのデータベースをどう活用して、どう研究が進展した、あるいはどんな材料が開発されたというような成功例となるような論文が発表されると、このサイクルがとてもよく回るようになっていくのではないかなと思って、私も一ユーザーというか、このプロジェクトの一員として期待したいなというふうに考えております。
 以上です。
【網塚部会長】  どうもありがとうございます。
 ただいまの御発言につきまして皆様から何かございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、宮下委員、お願いいたします。
【宮下委員】  宮下でございます。
 最初の研究基盤部会の議論の取りまとめの骨子案のところですけれども、これは先生方の皆様は大体、しっかりできているという評価が多かったと思いますけど、私も、しっかり書かれているなという印象です。特に私が何回も言いました民間企業との連携の表現を盛り込んでいただきまして大変ありがとうございます。感謝しております。
今日は特に印象的でしたのはCRDSの永野様の御講演でした。本当に日本も、こんなことができたらいいなと強く思うところですけれども、EUは何でできるのかというのはそもそもそれぞれの国の予算が少ないことにあると思います。EUになった動機もそうでしょうし、結局、そういうふうにまとめて、みんなで予算化する。もともとそういう仕組みがきっとあって、そこでいいのを提案すれば予算がつくというのは、みんなの合意の下、自動的に出来上がったのかなという気がいたします。
 日本のほうは、どっちかというと、こういうR&Dは、先生方というか、大学のほうは高尚なことをやって、民間企業は金儲けだから勝手にやるというのが大体、国の指導で、それで高度成長期は回っていて、それで強い企業などもどんどんできました。最近はさすがに――半導体なんかを見れば明らかですけど――、昔は個々の企業が全部やっていましたけど、今は全く無理で、それで、いろいろとM&Aとか、国の支援なんかも受けたりしています。今、半導体関係の日本企業で世界に通用しているのは、検査機器とか、エッチングとか、膜をつくるとか、ああいうようなところで、本当に日本でしかできないというか、特殊なものしか事業になって降りません。仮に国が20年、30年のスパンで見て強化していたとすれば、もしかしたら今の日本は違った姿だったのかなという気もいたします。
 しかし、何もやってこなかったかということはなくて、先ほど岡田先生もおっしゃっていましたけど、日本国は日本国でやってきております。最近は特によくいろいろな施策をやっていただいているなと思いますが、JSTもたくさんのプログラムがありますし、SIPとか、いろいろな省庁が国プロを出していただいて、そこは大学と、民間企業がライバルであっても民間企業同士、協力して何かやりましょうというのが多くなってきて、大変すばらしいなと思っております。
 それでヨーロッパとの一つの違いは、ヨーロッパがさらに進んでいるなと思ったのは、特にこういう研究インフラとか、一括調達という仕組みがあることです。今の日本の企業が連携するのはR&Dのお金を1社で出せず、頭脳も1社では無理なので、先生にも入っていただいてやるという感じです。ここに機器一括調達というような契約制度があると、そこで営業活動もできますので、そうなってくると本気を出しますよ、企業は。分野によるんでしょうけど、そういうような仕組みを日本でも恐らくつくろうと思えばつくれて、国プロはR&Dの補助ではなくて、ちゃんと営業にも使えて、事業も世界展開できるんだよというようなことをJSTさんに言っていただくのか、内閣府か経産省かは分かりませんけど、それを推進すべきだという提案は、本委員会からも言えるのかなと思いました。
 ちょっと長くなってすみません。私からは以上です。
【網塚部会長】  どうもありがとうございました。
 宮下委員からの発言について何か皆様からございますでしょうか。
 ヨーロッパはやっぱり、何となくですけれども、根底にはサイエンスに対する長い歴史と発展の土壌というんですか、それが根底にあるのかなと。サイエンスに対するリスペクトがちょっと違うのか、その文化の違いをちょっと感じるところはあります。
 皆さんから御発言いただきまして、私からは、取りまとめにつきましては、皆さんもおっしゃったように重要課題が網羅的に整理されているなと思いまして、特に付け加えることはないんですが、ポイントとなるところは、経営層の意識改革ですとか、人材不足といったところについては、機関間連携をもっと強化していきましょうということが盛り込まれていて、あとは各委員からお話がありましたけれども、最先端設備と、それから汎用といいますか基盤的な設備を明確に分けて議論するアプローチが今回入っていて、非常に実務的かつ効果的な提言になっているのかなというふうに思いました。
 あとはいろいろありますけど、大きな目標としては研究基盤全体を底上げしていくということがしっかり書き込まれていて、重要かなというふうに思いました。
 あと永野先生からのお話につきましては、先ほど上西委員からも御発言がありましたけれども、この部会でも共用の仕組みを産学官の連携の基盤としても強化していくということを議論してきましたけれども、お話の中にありましたアフターマーケット、そこにコミットしていくと。この部会では割と機器開発でどう企業と連携していくか、産学官連携していくかということは議論していたんですけれども、そのアフターマーケットにコミットしていくというところの検討というのは盲点だったように思います。さらに深掘りして、次回以降、検討してもいいポイントなのかなというふうに思いました。
 あと欧州のロードマップの話が出ていましたけれども、私の知る限りでは、文部科学省では、学術研究の大型プロジェクトのロードマップというのが策定されており、私の専門とする分野でも、このロードマップが走るときには、どういうふうな分野から立ち上げていこうかというような議論をしていますし、あと日本学術会議も、やはり大型研究計画に関するマスタープランというのを策定していて、これらの中には研究基盤の整備とか共用に関する計画も部分的に含まれているわけですけれども、もちろん予算を一番使う部分としては設備になりますので、そのことがロードマップやマスタープランの中には入るんですけれども、研究基盤全体、インフラ全体を見て、国としてロードマップを立てているかというと、そういうことにはなっていないように思いましたので、それをこれからの日本ではどこかが行っていくべきなのか。その在り方も含めて、どこで検討することなのかというのもよく分からないんですけれども、お話の中にもありましたけれども、ボトムアップ的にコンソーシアムのようなものができて、それで国を動かしていくようなものになるのか、あるいは文部科学省等、国が主導してつくっていくのかというところはよく分からないんですが、今の日本に必要なことではないかなというふうにお伺いしていて思いました。
 私からは以上なんですけれども、全体を通じて皆様からさらに何か御発言がございましたらお願いいたします。
 永野先生、せっかく来ていらっしゃいますので、今までの一通りの委員からの発言をお聞きいただいて何か御発言いただければ非常にうれしいんですけれども、いかがでしょうか。
【CRDS(永野)】  委員の皆様、部会長はじめ大変貴重な御意見、御示唆を賜りまして、本当にありがとうございます。
 私ども、長年、公的シンクタンクという立ち位置から、国内外の動向を調査分析した上で、日本の政策・施策の在り方ということを、特に文科省の研究3局に伴走させていただく形でサポートをしてまいりましたが、やはりこれからは、ちょうど来年度末、第7期の科学技術イノベーション基本計画に変わっていく大きな節目の中で、特に研究力という話とイノベーションという話が別々というよりも、これは非常に密接な関係を持ったものとして扱われていくべきだと。そのときに、こういった研究基盤(研究インフラ)というのは極めて重要なコアになるということはもう間違いないのではないかなということを思っております。
 ちょうど今日御紹介した海外動向の中でも、先日の国際会議の動向なんかを見ますと、研究インフラというのは、当然ですけど、単なる設備の話ではないんですよということ、これは国際的に非常によく共有されている話なんですよね。それを世界全体でどう底上げしていって、次の将来の社会のために研究インフラが何を果たしていくのかと。そういう高い視座で議論をされておられますので、ここはやはり我々日本も、そういったところから、現場現場のよさをしっかりと蓄積して生かしていくような形で展開していくことができたらなということを考えておりますので、ぜひこれからも御意見、御指導を賜ればありがたいなと思います。
 今日はどうもありがとうございました。
【網塚部会長】  こちらこそ、どうもありがとうございました。
 皆様からさらに何か御発言はございますでしょうか。
 飯田委員、ぜひお願いいたします。
【飯田委員】  ありがとうございます。
 非常に貴重ないろいろなディスカッションをお伺いさせていただいて、ありがとうございました。
 永野様の御講演に関して一つ、申し上げ忘れた点がありまして、今後の議論に入ればありがたくコメントさせていただきたいと思いました。
 40ページの、「プレコマーシャル・プロキュアメント、イノベーション調達」が非常に面白いと思っております。これが日本でワークするのか、また、今、永野様が言われました研究インフラの取組の中で関係してくるのか等、またディスカッションさせていただける機会があればありがたいと思いました。
 すみません。議論の最後のコメントとなり大変申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
【網塚部会長】  ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
 特にないようでしたら、よろしいですかね。
 それでは皆様、どうもありがとうございました。本日いただきました意見や議論を踏まえまして、12期の議論の取りまとめを事務局にて作成していただきまして、次回の部会で審議したいと思います。
 それでは最後に、事務局から連絡事項等を頂けたらと思います。よろしくお願いします。
【田邉専門職】  事務局でございます。本日も様々な御意見を頂きまして、ありがとうございました。
 部会長からお話しいただきましたとおり、また委員の皆様からいただいた御意見を踏まえまして、12期の議論の取りまとめ案を作成して、また御議論いただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 また次回の基盤部会ですけれども、日程については2月3日月曜日を予定しておりますが、また日程が近くなりましたら、正式に開催案内を送付させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 また本日の議事録ですけれども、運営規則に基づき、資料とともに公開することになっておりますので、またメールにてお送りいたしますので、こちらについても御確認いただければと思います。よろしくお願いいたします。
 事務局からは以上です。
【網塚部会長】  ありがとうございます。
 それでは以上をもちまして、第28回研究開発基盤部会を閉会いたします。
 永野先生、改めましてどうもありがとうございました。
【CRDS(永野)】  貴重な機会をどうもありがとうございました。
【網塚部会長】  それでは、皆様、大変お疲れさまでした。よいお年をお迎えください。
 
―― 了 ――

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