研究開発基盤部会(第11回)議事録

1.日時

令和3年10月7日(金曜日)14時00分~16時00分

2.場所

オンライン(Cisco Webex)開催

3.議題

  1. 文部科学省の組織再編について
  2. 研究開発基盤に関する取組について
  3. その他

4.出席者

委員

岸本部会長、高橋部会長代理、雨宮委員、江端委員、岡田委員、上西委員、上村委員、田中委員、波多野委員、原田委員、宮下委員

文部科学省

科学技術・学術政策局 研究環境課長 古田裕志、室長補佐 萩谷遥平、研究基盤整備・利用係長 渡辺隆之

5.議事録

【岸本部会長】  ただいまから,第11回科学技術・学術審議会研究開発基盤部会を開催いたします。本日は,今後の取組を中心に議論を行いたいと思います。
 それでは,まず,事務局から本日の出席者と資料の確認などをお願いいたします。
【萩谷室長補佐】  岸本部会長,ありがとうございます。事務局でございます。出席者の確認の前に,事務局の人員に一部変更がございましたので,御報告させていただきます。
 課長補佐の下須賀でございますけれども,別業務の関係で一時的に事務局の業務を離れております。本日は,代理として,萩谷が着任しておりますので,最初に御挨拶させていただきます。普段は,SPring-8など,大型研究施設の運営などの業務担当をしております。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは,本日の出席者の確認をさせていただきます。御出席でございますけれども,網塚委員,杉沢委員の2名が御欠席となります。また,岡田委員は15時から遅れて参加される予定と聞いております。
 次に,配付資料につきましては,議事次第,資料1から3,参考資料を一まとめのPDFにして,委員の皆様にお届けしております。説明の際にはWebexの画面上に投影するようにいたしますが,見えにくい場合には,適宜,お届けしている資料を御覧いただければと思います。
 オンライン会議の留意事項について,お知らせいたします。御発言されるとき以外は,マイクをミュート(オフ)の状態にしてください。通信を安定させるために,よろしくお願いいたします。御発言される際は,「手を挙げる」をクリックしていただき,部会長の指名をお待ちください。指名があり次第,ミュートを解除,マイクをオンの状態にしてください。御発言の際には,お名前を言っていただいてから御発言いただくよう,お願いいたします。
 議事録作成のため,速記者を入れておりますので,御協力いただければと思います。
 会議中,不具合など,トラブルが発生した場合には,事前にお知らせしております事務局の電話番号にお電話いただければと思います。
 以上です。
【岸本部会長】  ありがとうございます。
 それでは,議事に入りたいと思います。まず,議題(1),文部科学省の組織再編についてです。資料1に関して,事務局より報告をお願いいたします。
【萩谷室長補佐】  事務局でございます。組織再編により,研究課の課長となりました古田より,御説明をさせていただきます。
【古田課長】  ただいま御紹介いただきました,古田でございます。7月に研究開発基盤課長として着任をしておりまして,そのまま10月1日に研究環境課長に横滑りする形で現在のポストに着任させていただいております。
 資料を御覧いただいていると思いますけど,文部科学省科学技術・学術分野の組織体制に大きな変更がございました。2001年に旧文部省と科学技術庁が統合しまして文部科学省ができまして,科学技術・学術関係は3局の体制で20年ほど運営をしてきておりました。その間も小さな組織改編というのはあったのですが,今回は,かなり大幅に,20年ぶりの大幅な改編をしたということでございます。いろいろと観点はございますけど,内閣府のCSTIが科学技術全体の司令塔として働いておりまして,文部科学省としても,そういった内閣府の政策を見つつも,一方で、我々は大学や研究機関を直接所管しておりますので,そういった現場の声を引き出して政策をつくっていく,そういった観点で大幅な改編をしたということでございます。
 幾つか論点ございますが,私がおります科学技術・学術政策局の関係で言いますと,研究力の向上のためには資金と人材と環境の三つが大事だということを言われていまして,それに特化するような形で,一つ一つ,課をつくり直したということでございます。従いまして,私のところでは,本当に広い意味での研究環境の改善をしろということを言われていまして,前の研究開発基盤課に比べますと,量子研究推進室が研究振興局に移りまして,逆に,研究振興局から競争的研究費の取りまとめの業務,また,研究公正の取りまとめの業務が追加され,共用の事業や,SPring-8のような大型の研究共用施設の監督,さらに,研究費の全般的な扱いというような形で,かなり大きな課になったということでございます。そういった形で今回の再編が行われておりますので,私たちとしても,研究開発基盤改め研究環境ということで,この部会を盛り上げていきたいと,思ってございます。
 以上です。
【岸本部会長】  御説明,ありがとうございました。
 よろしければ,続いて,議題(2),研究基盤に関する取組について議論に入りたいと思います。まず,資料2に基づき,事務局より説明を頂きます。内容がかなり大部にわたりますので御説明を切りながら進められればと思いますが,マル1に示す前回の部会での議論とマル2の令和4年度概算要求について,まずは御説明をお願いしたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
【渡辺係長】  ありがとうございます。研究環境課の渡辺でございます。私の方から,資料2の説明をさせていただきたいと思います。
 御指示がありましたように,マル1に示す前回の部会での議論とマル2の概算要求につきまして,説明をさせていただきます。
 まず,5ページ,前回の部会での議論について,説明をいたします。6ページ,7ページに,第10回研究開発基盤部会においての議論のコメントをまとめたものを用意させていただいております。今期1回目の研究開発基盤部会として広範な意見を頂いておりますが,内容に応じて項目を分けて記載させていただきました。
 6ページ,多様な意見がございますが,まず,研究基盤の整備・活用の在り方に関連する意見,こちらも幾つかございますが,組織を超えた基盤整備の関係ですと,例えば,共用事業における各機関の成果の横展開,こういった観点が必要ではないかという点とか,共用のガイドラインに関する活用が重要という点の御意見も頂いております。また,左下,利用料金の設定に関しましては,制度的な観点も含めた検討があっても良いのではないかという意見もございました。また,右側,共用機器に関するシステムの改善については,予約システムの改善,あるいは,大学・研究機関にどのような機器があるかのデータベースを作成するという方向性もあるのではないかと御意見を頂いております。また,右下,DXへの対応,あるいは新技術の導入の観点ですと,実験自体のデジタル化とか,あるいは海外からの新しい技術の早期導入,こういった観点も重要ではないかという御意見を頂いております。
 続きまして,7ページは,人材,あるいは民間との連携等に関する御意見を整理させていただいております。まず,左側,人材の活用ですが,技術職員の関係について,キャリアパス・評価の観点での御意見を頂いております。評価の基準について,共通項を見いだし,標準化を考えていくべきではないかという議論や,海外での先進的な事例をシェアして取り入れるような議論,こういった観点も必要ではないかという御意見も頂いております。また,左側の真ん中ですが,技術職員の担い手の確保/魅力の発信という観点ですと,参入や継承が進んでいないという点で,格好良いエンジニア像を発信していく、あるいは,クロスアポイントで別の機関に行って修行するといったところから,魅力あるいは処遇の改善を図っていくという観点もあると御意見を頂いております。また,左下ですけれども,こちらは,技術職員というよりは,基盤に関わる教員の方に関するキャリアパス・評価の在り方も検討が必要ではないかという御意見でございます。
 右側に移りまして,民間との連携の観点でも幾つか御意見を頂いております。例えば,民間資金の重要性という観点や,それも踏まえたエコシステムの構築,そういった意見も頂いているところです。
 最後,右下ですけれども,研究基盤に関する政策全体というところで,これまでの項目にも全般的に関わる内容ですが,エビデンスの収集・活用,あるいは中長期的な研究基盤戦略の策定,こういったところも考えていくべきではないかという御意見を頂いたところです。
 8ページ,9ページは,これらの議論の前提として提示した資料で,令和3年度第1回(第10回)の研究開発基盤部会の資料を再掲させていただいたものになります。9ページを見ていただきますと,資料の中身は令和3年度第1回(第10回)研究開発基盤部会にお出ししたものですが,その際に,関連のタイムラインとして今後どのような政策ツールがあるかを示しており,赤枠で囲っている部分は,前回の御議論も踏まえながら,前回の研究開発基盤部会以降で状況の進展等があった部分になると考えております。これも踏まえまして,マル2以降でこれら関連する取組について進捗等を説明させていただきたいと考えているところです。
 続きまして,10ページ,マル2,令和4年度概算要求について,説明をさせていただきたいと思います。
 11ページですけれども,こちらは文部科学省の科学技術に関する予算の一つの柱になりますが,世界最高水準の大型研究施設の整備・利活用という形で予算をまとめているものになります。下の方,六つの囲いがありますけれども,例えば,次世代放射光であるとか,SPring-8,あるいはスーパーコンピュータなど,共用法に基づく大型施設などが並んでいるところですが,右下に,もう少し小さな設備あるいは機器を対象にした先端研究基盤共用促進事業が入っております。今回の基盤部会の議論に密接に関係する内容というところで,こちらの予算について特に御説明をさせていただければと考えております。
 12ページですけれども,こちらの共用促進事業,前年度11.8億円のところ,令和4年度の概算要求として,13億円,1.2億円の増額で要求をしているところです。資料の真ん中下の方,事業概要にございますが,緑色と青色の部分,プラットフォームとコアファシリティ,二つのプログラムで進めているところですけれども,こちらの取組の継続に関する予算に加えて,増額分で,赤い下線で書いておりますが,拡充に関する取組をしていきたいと考えているところです。コアファシリティの取組の関連で,令和4年度から,先端的な成果やノウハウの展開に向けた取組を強化・拡充し,全国の大学等の共用体制確立の促進を図っていく、というところでございます。
 次,13ページですけれども,こちらは,コアファシリティの事業に関する基本的な部分,再確認という観点で既存の資料を載せているものです。コアファシリティの事業は,真ん中,赤い矢印のところにございますが,大学全体としての研究設備・機器群を戦略的に導入・更新・共用する仕組みを強化する。それを目的としまして,財務・人事部局と連携した統括部局を設置し,また,それに基づいて統一的な共用ルール・システムを整備しくことを目指した,モデル事業でございます。
 14ページですけれども,コアファシリティの事業で,今,15機関を採択し,実施を頂いているところです。黒い文字の5機関は令和2年度からその取組をやっていただいている機関になり,赤い文字の10機関は今年度から取組を開始した機関になります。
 15ページになります。こちらは,今のコアファシリティの事業,あるいはその前身であります,新たな共有システム導入支援プログラムでどういった取組をしてきたか,また,それが政策全体とどのような関係があるのかを整理した資料になります。新たな共用システム,通常,新共用と我々は言いますけれども,新共用では,研究室で管理されている設備や機器を,研究組織,学科とか専攻というところに共用を広げていくような取組でございます。それを更に発展したのがコアファシリティで,研究組織から機関全体へのマネジメントに広げていこうというところでございます。科学技術・イノベーション基本計画におきましては,こういった背景も踏まえながら,今年度中に共用化のためのガイドラインを策定する。また,来年度からは,大学等が共用方針を策定・公表し,その体制を整備していくという形になっているところです。そういった状況の中,これまでの新共用あるいはコアファシリティで出てきた,あるいは出てくるような先進的な事例の展開を加速し,共用が進んでないような大学等においてもその確立を加速する必要があると考えているところです。
 そのため,16ページになりますけれども,1.2億円の増額のところで,コアファシリティ採択校における,先進的な共用の取組,あるいは技術職員の育成に関する先進的な取組,その成果の展開を加速しまして,全国的な共用方針の策定と体制の整備を目指していきたいという内容でございます。先ほど示しました15機関に対してアドオンの形で追加的な予算の配分をしまして,その取組を加速・展開していきたいというところでございます。
 マル2の説明までは,以上になります。ここで一旦切らせていただきまして,岸本部会長に一度お返ししたいと思います。よろしくお願いいたします。
【岸本部会長】  ありがとうございました。この後,また説明を続けていただき,議論についてはその後まとめて行いたいと思いますが,ただいまのところまでの御説明の内容について御質問があれば,お願いしたいと思いますが,御質問,ございますか。
 特にないようでしたら,続けて御説明いただいて,議論の方に進んでいければと思います。
 それでは,資料2について,残りの部分の説明をお願いいたします。
【渡辺係長】  了解いたしました。それでは,資料2のマル3以降につきまして,引き続き,説明をさせていただきたいと思います。
 まず,マル3,17ページ,共用化のためのガイドライン等の策定に関する検討会でございます。ここまでも少し話が出ておりますが,共用のガイドラインについて検討が始まっておりまして,その状況について御説明をいたします。
 18ページです。こちらは,検討を進める場としまして,部会委員の中でも,江端先生や上西先生にも御協力も頂きながら,8月に,科学技術・学術政策局及び研究振興局,この2局の局長名で検討会を設置しております。委員に関しましては,右下の記載のとおりでございます。8月26日にこの検討会を設置し,第1回の会議を開催したところになります。
 次のページ,19ページでございます。ここから,8月26日の第1回の検討会で出しました資料に基づきながら,今後の進め方,あるいは現状の内容のイメージ等につきまして,簡単に説明をさせていただければと思います。19ページは,ガイドラインのイメージを記したものになっております。まず,目的としましては,先ほどのコアファシリティの取組と重複する形にはなりますけれども,機関全体としての戦略的な導入・更新・共用等を図る仕組みの強化を図っていきたい。その策定のイメージとして,各機関における先行事例を集約・整理しまして,共通の土台として標準化や共通認識化をしていきたいと考えているところです。対象としましては,大学として,国立大学のみならず,公私も含めたところ,更に共同利用機関法人,あるいは高専等も対象に考えていこうというところでございます。また,想定用途としまして,仕組みを構築する際,あるいは導入に当たりまして課題に直面した際の手引となるもの,また,各機関の経営層や本部に対して取組を得るための事例集として活用できるようなものとして,まとめていければと考えているところです。
 20ページでございます。こちらは,次の骨子の内容にも関係しますけれども,ガイドラインの対象とする設備や機器を考える上で,参考としてお示ししたものでございます。設備の規模が大きいものから小さいものに関して,左から右に並んでいっているというイメージになります。
 21ページでございます。こちらも第1回の検討会で使用した資料になりますけれども,ガイドラインの骨子をその時点での案としてお示ししたものになります。後ほど御説明させて頂きますけれども,この骨子に関しましては,その構成も含めまして検討会でも様々なご意見を頂いているところですので,さらなる検討が必要な状況でございます。そういった意味では,この形のまままとまっていくというものではないと考えております。ただ,内容としましては,1ポツにありますような,ガイドラインの対象とするような設備・機器をどう捉えるかというところ。あるいは,2ポツにありますような,共用の重要性として,大学経営における基盤活用の重要性,そういった基本的な考え方の位置づけ。また,共用のメリットや意義,そういったものを盛り込んでいく。さらに,3ポツにありますような,共用システムの構成や運営としまして,経営戦略への位置づけや,統括部局の確立に関連するような,運営体制に関するもの。あるいは,共用に関するルールの策定,そういったものを入れ込んでいければと考えているところです。また,3ポツのマル3にある財務的な観点や,4ポツにありますような人材の観点,こういったところも取り込んで,整理をしていきたいと考えているところです。
 続きまして,22ページでございます。こちらも検討会の際にお示しした資料になりますが,現在,第1回の検討会が終わって,2ポツにあります関係機関からのヒアリングを進めているところです。コアファシリティ,あるいは新共用,その他,関連の取組を実施した機関などを中心に,これまでの取組の成果あるいは課題などの収集を進めているところでございます。それを踏まえまして,1ポツの二つ目のマルですけれども,第2回の検討会にそういったヒアリングの結果を整理したものを報告するとともに,その結果のガイドラインへの反映というところも議論していきたいと考えてございます。ただ,日程に関しましては,この資料上は,第2回が10月下旬,第3回が11月頃と書いておりますが,少し後ろ倒しになるような状況で,第2回に関しては11月を予定しているところです。
 続きまして,23ページです。23ページと24ページは,8月26日に行いました第1回の検討会で委員の皆様から頂いた意見を整理した資料になります。この中には背反するような意見といったものもございますけれども,まずは,状況の整理,あるいはその共有としまして,お示ししたものになります。大きく,幾つか項目に分けて記載をしております。例えば,左上,ガイドラインの位置づけに関してですが,共用化が進んでない大学がキャッチアップするための道標になるものという意見もありますし,さらに,発展的な内容としまして,大学戦略,国立大学における設備マスタープランに関して,何を示していくか,その位置づけなども明確にしていくような議論,そういったものを検討の一つとしてやっていけると良い、というような意見も頂いております。
 また,左下ですけれども,ガイドラインの対象設備・機器に関して,先ほど4色でお示しした機器の図がございましたけれども,頂いた意見としては,例えば,国で予算をつけた設備・機器というのは,基本的には全て共用することとし、その上で,幾つか特定のルール等で共同利用等に用いられている設備を整理し,ルールで漏れているような設備を対象にしていくのが一案ではないかといった御意見も頂いているところです。
 また,右側でございます。ガイドラインの記載の工夫については,先行事例については,結果のみならず,プロセスや順序といったところも実際の運用をする上では大事ではないかという意見でありますとか,また,どこでつまずきが生ずるか,そういったところを洗い出して,それらをクリアできるようなガイドラインにすると良いのではないかという意見も頂いております。
 また,右下,大学等の種別に関しまして、先ほど大学に関しては国立のみならず私立や公立といったところも対象に考えていきたいという話をさせていただきましたが,学内の財務等がそれぞれに異なる状況もあるので,どこまで共通項にできるのかというのは要検討ではないかというところを,意見としていただいております。
 また,24ページの左上ですけれども,ガイドラインの構成,先ほどお見せしました骨子の構成に関しては,特に人材に関しては非常に重要なテーマであって,資源配分の中心であり,経営戦略そのものであるため,それを別に章立てするのが良いのか,あるいは今後に向けてのイメージをある程度まとめるような形で出していくか,その辺は検討しないといけないというような意見も頂いているところです。
 また,個別の事項として,例えば,左下の人材に関しては,技術職員がマネジメント人材として参画していくことについても一定の明記が必要ではないかというところとか,右側の上の方ですけれども,財務の観点では,民間からの研究費による間接経費の扱いについての検討,あるいは,産学連携を踏まえたときに,共同研究先に利用料金を取るかどうか,その辺を整理・検討する必要があるのではないかと御意見も頂いているところです。
 こうした御意見を踏まえながら,現在進めている関係機関のヒアリングの情報を整理して,更に検討会で検討を進めていこうという状況に現在ございます。
 
 続きまして,マル4,25ページでございますけれども,エビデンスの収集・活用になります。こちらは,内閣府が行う取組ではございますが,基盤政策に密接に関係する取組と考えておりますので,こちらで紹介させていただきます。
 まず,26ページでございます。e-CSTIというものがあります。こちらは,研究,教育,資金獲得に関するエビデンスを収集し,分析できるプラットフォームとして,内閣府が開発を進めたものでございます。大学あるいは政府,どちらも利用できるようなプラットフォームとして設計されており,大学のマネジメントであるとか,あるいは政府における政策立案に役立てることを狙っているものです。
 27ページです。こちらは,e-CSTIの関連で内閣府が産学連携調査を行っていますが,今年度の調査に,分析方法,真ん中のところですが,研究設備・機器の共用に関する設問を追加して実施していると聞いております。これらの今調査をしている事項につきましては,2022年2月頃にe-CSTIに分析結果の共有が図られるといったスケジュール感と聞いております。
 次の28ページでございますけれども,今申しました研究設備・機器の共用に関する設問としてどういったものが入っているのかというところですが,一つ目,共用状況として,機関の研究設備・機器の現状としまして,金額ごとの全体の機器数,また、そのうちの共用機器の対象数というところ。また,利用料の関係ですけれども,研究設備・機器の共用実績として,各種の利用料,内外を含めた実績などを情報として収集をしているというところでございます。ここで得られるデータがe-CSTIで共有された後,我々としても政策立案のツールとして活用していきたいと考えているところです。
 最後ですけれども,29ページ,マル5,ここまでの内容を踏まえつつ,本日御議論いただきたいような事項を整理させていただいております。
 30ページになります。ここまで,予算要求,あるいは共用ガイドライン,また,エビデンスの収集・活用に関する取組の状況というものを御説明させていただきました。そのような形で対応を進めている中,以下のような観点で本日御議論いただきたいと考えております。一つ目,コアファシリティ構築支援プログラムでの成果あるいは取組モデル,また,ガイドラインの活用,こういったものを念頭に置きながら,他機関に対して展開していくべき事項は何か。二つ目,各機関において実効的な共用体制の構築につなげるための政策的な方策,更に民間との連携をどのように進めていくか。また,最後,三つ目でございますけれども,それらも踏まえつつ,研究基盤に関する政策全体の枠組みや,中長期的な観点も含めた研究基盤の在り方等について,是非御議論いただければと考えているところです。
 事務局からの説明は,以上になります。
【岸本部会長】
 それでは,これから議論に入りたいと思いますけれども,その前に,マル3で説明がありました共用化のためのガイドライン等の策定に関する検討会については,この部会の委員でもいらっしゃいます江端委員と上西委員がメンバーとして加わっています。よろしければ,検討会を踏まえての受け止め方や今後の検討の方向性などについて,お二人の委員からコメントをいただければと思いますが,上西委員,江端委員,よろしいでしょうか。
 そうしましたら,まず,上西委員から御意見いただいて,その後,江端委員から御発言いただければと思いますけれども,お願いできますでしょうか。
【上西委員】  山口大学の上西です。検討会では,先ほど御説明いただいたような観点で,多様な意見の中,活発な議論をさせていただきました。今現在,たくさんの大学に精力的に御協力を頂いて,ヒアリングをさせていただいているところです。そこで現場の生の声を聞き,いろんな情報を収集しますが、それをどのような形でガイドラインに落とし込めるか,そこが一番重要なところですので,そこについて、引き続き検討会でうまくガイドラインの中に反映できるように進めていきたいと思っています。
【岸本部会長】
 それでは,江端委員,いかがでしょうか。
【江端委員】  
ありがとうございます。東京工業大学の江端です。今回,検討会の座長を仰せつかっておりまして,ガイドラインの内容をまとめていく作業を事務局と一緒にさせていただいております。事務局で主な意見としてまとめていただいた点は,本部会においてもいろいろと御意見いただいていたところでもありますし,実際,ガイドラインという言葉を使ってはいるが,少し幅広ではないかというような御意見もあります。
 粒度をどこまで細かく設定をするのか,どのようなストーリーで作り上げていくのか等について検討を進めるために、先ほど上西委員からも御説明があったとおり,現在20機関を超える機関からヒアリングをさせていただいます。私はほとんどのヒアリングに同席させていただいていますが,ふだん我々が認識している以上の,細部にわたるセッティングや,様々な研究機関内の個別のルールなどについて、多くの新しい発見があるような機会となっております。したがって,今回,ガイドラインを作成する上では,多くの大学の現場で起こっている様々な課題を踏まえて,それらが解決に至るために多くの大学で取り組まれている好事例や,逆にそこでうまくいかなかったことも含めて,しっかりとまとめて,ガイドラインとして多くの方に御覧いただくことができるものを作成したいと考えております。
 現状の案は,本日の資料としてこちらに御準備いただいたものになりますが,是非,本部会の委員の先生方からもコメントをいただけると幸いです。よろしくお願いいたします。
 
【岸本部会長】  ありがとうございます。
 本日御議論いただきたい事項について先ほど事務局からお話があり,テーマが重なるところではありますが,上西委員,江端委員から取りまとめの状況についてお話がありましたので,委員の皆様からこの件について御質問あるいは御意見がありましたら,先にお伺いした方が良いと思いますが,いかがでしょうか。「手を挙げる」というボタンを押していただくか,人数が余り多くないので,そのままマイクをオンにして御発言いただいても結構ですけれども,ガイドラインについての御意見等,ございますか。
 高橋委員,お願いいたします。
【高橋部会長代理】  ありがとうございます。ガイドラインの策定に関して,非常にすばらしい取組だと思っておりまして,特に,多くのヒアリングをされた上で現状を反映されているということは,とてもすばらしい取組だと思っております。
 その上で,ガイドラインが策定された後に,それが実際の現場で使われていく,実行されていくというところが一番大事と思っておりまして,ガイドラインを実際に実行に移していくところの大学側のインセンティブですとか,その辺り,実用化していくところの好事例など,もしヒアリングの中でありましたら,是非共有いただければと思います。
【岸本部会長】  ありがとうございます。
【高橋部会長代理】  御質問と,是非使われるようなガイドラインになってほしいという意見です。
【渡辺係長】  研究環境課の渡辺でございます。非常に重要な御意見を頂きまして,ありがとうございます。特に,後半おっしゃっておりました,策定後,現場で実行されていくことが重要というのは,正におっしゃるとおりだと思っておりまして,その観点で,ガイドラインに記載するような,共用の取組を進める大学側におけるメリットとかインセンティブをしっかり内容に落とし込んでいく必要があると考えているところです。ヒアリングの中で聴いた事項,どこまで具体的なものを話せるのかというのはなかなか難しいところではございますけれども、例として申し上げると,学内の設備・機器というのを集約化することで,ある程度,リソースの効率化が図れるという事例はございました。また,老朽化など,設備の維持等の観点をしっかり本部として見ていくというところで,財務的な工夫もしつつ、維持管理費等の手当てをし,設備・機器の活用を図っていくという事例もございました。そのような,効率化の部分,あるいは財務的なメリットなどもあげられるかなと感じているところです。
【江端委員】  
本日配付させていただいています資料の21ページに骨子(案)がありますが,その2の研究設備・機器の共用の重要性という項目の中に,共用システムによるメリット・意義が項目としてセットされております。高橋委員から御指摘いただいた点につきましては,このマル3のところである程度御説明をし,多くの方々に御理解いただけるようなストーリーにしてガイドラインを御利用いただく,そういったことを念頭に,今,議論を進めているところです。具体的には,渡辺係長から御説明あったとおりで,ここに記載されているのは,保守管理の効率化,利用料収入,地域との連携等という観点をベースにメリットを整理していくということになっております。
 一方で,共用政策は文部科学省を中心にこれまでかなり長い年月をかけて取り組まれてきたわけですが,なかなか大学の中に浸透しない部分もありますし,システムとして組み込む際に,従来の大学の抱える文化や仕組みという点でかなり引っかかってくる部分が多くありまして,そういった部分をできるだけクリアにしながら丁寧に説明ができるような形にはなるのではないかと,ヒアリングを伺っていて思っているところです。そういった意味で事務局の皆さんと一緒にある程度まとめていけるのではないかと思いますので,引き続き御確認いただけると幸いです。
【高橋部会長代理】  ありがとうございます。保守管理の効率化などは比較的分かりやすいかと思うのですけれども,利用料収入のところは,ある程度ノウハウがないと,どのように設定し,どのように管理していくのかというところは少し難しいところもあるのではないかと思いましたので,その辺り,ガイドラインを作る意義はとてもあると思いますので,引き続き御検討いただければ幸いです。
【岸本部会長】  ありがとうございます。
 それでは,波多野委員,お願いいたします。
【波多野委員】  ありがとうございます。波多野でございます。ここまで共用化が進んで,ガイドラインまでできて拡充するというところまで行けたのは,とてもすばらしいと思います。皆様の御尽力に感謝します。大変分かりやすく現場の問題もここに上がってきて集約すると,大学も効果的な対策ができると思います。
 さらに今後は民間,企業,産業界、ベンチャー、そして国際的にどのように相互連携していくかは、まだ議論の余地があると思います。各大学からは関連する課題も上がってくると思いますが,限界があると思います。民間の方に使っていただくだけではなくて,今,人生90年,100歳を超える時代ですので,シニアの活用,60歳以降の人を活用するというのも、企業としては重要なテーマにもなっていると思います。ベテランで非常に知見が多い方々を,技術職員や,コンサルタントや,管理の仕方も含めて,先ほどの収入の管理も含めてやっていただくというのはもう少し,官民一体になって,産学一体になって,そこまで踏み込んだ議論が促進されればよいと感じました。ですので,このガイドラインの骨子ができたところで、民間の方にも入っていただくようなことが有効では、と感じました。もう既に始めていらっしゃると思いますけれども,申し上げたいと思いました。
 以上です。
【岸本部会長】  ありがとうございます。
 ほかの方はよろしいでしょうか。
 私からは,多くの大学にヒアリングをされていて,いろんな情報を取られたのではないかと思いますが,その中で,ガイドラインに生かせるものと,ガイドラインからはみ出て将来的に検討しなければならないことも出てきているのではないかと思いますので,ガイドラインに全部を埋め込むということよりも,ガイドラインはガイドラインとして目的に沿って必要なものを分かりやすく入れて,それ以外のことは別の資料として何らか残すという形で,考えられているとは思いますけれども,そのような形にまとめていくことが,一つのやり方として,ガイドラインとしてもまとめやすいのではないかと思いましたが,そのあたりはいかがでしょうか。
【渡辺係長】  ありがとうございます。おっしゃるとおり,ヒアリングの中では非常に広範な意見を頂いておりまして,ガイドラインの中で全てカバーできるという状況にはないようには思っております。そういった意味では,例えば,設備マスタープランの在り方でありますとか,あるいは財務の仕組みの在り方とか,そういった観点での御意見や,苦労などもヒアリングの中で聞いているため,それらをどこまでガイドラインに含められるかという点はご指摘のとおりですので,その範囲をある程度明確化あるいは限定化しながらガイドラインとしてはまとめていきながら,それを超える議論に関しては別のところで引き続き検討できるような形で考えていければと考えております。
【江端委員】  
波多野委員,岸本部会長から御意見いただいた件,非常に重要だと思っております。特に,民間企業を巻き込むような話というのは,以前から,本部会で岸本先生からもお話があったと思いますし,共用という考え方が産学連携にどのように密接に関わっていくかということについては,数は少ないながらグッドプラクティスはあるのではないかと思っています。そういった意味で岸本先生から御指摘いただいたような,ガイドラインとは少し違う部分というのは,ガイドラインとは違う形でまとめられたらよいと個人的には思っています。事務局ともお話しさせていただいていたのですが,こういった課題がある,こういった論点があるということについては,文部科学省内の関係の委員会等で御議論いただく,あるいはそこで共有させていただくというところまで持っていくことができれば,ここで行った議論は非常に役に立つのではないかと思っています。かなり広範な意見交換をさせていただいていますので,しっかりと論点整理することもこの検討会の重要なミッションと思っておりますので,そのような形で対応させていただきたいと思っています。
【岸本部会長】  ありがとうございます。
 宮下委員,お願いいたします。
【宮下委員】  
宮下でございます。大変よい議論をされていて,特に民間が先生方に教わる機会が増えるというのは非常に喜ばしいことでして,是非ともよろしくお願いいたします。民間側といたしましては,学会活動などを多く実施しているような企業は自動的に先生方に御指導いただく機会というのが多いため心配していないのですが,高名な先生方に一般人がお話しして良いものかという遠慮といいますか,どこにどうコンタクトしたらそういった設備を使えるのか,先生方に口を利いてもらえるか,そのルートも分からないというのがございます。ただし,民間は民間で研究テーマの宝庫だと思います。これをきっかけとして先生方に教わりながら設備を使わせていただいて,一見端っこのようなことが実は非常に重要であって,研究テーマの宝庫だというような気づきも先生方にはあるかもしれません。コンタクトポイントといいますか,そういう方を大学に置くと先生方がまた大変になってしまうかもしれませんが,やり方を是非考えていただけませんでしょうか。
【岸本部会長】  ありがとうございます。
 江端委員から,御意見ございますか。
【江端委員】  
ありがとうございます。文部科学省の政策の中でも,例えば,コアファシリティ構築支援プログラムや,以前研究振興局で取り組まれていた設備サポートセンター整備事業等において,統括部局の体制をいかにして構築するかという観点で事業が推進されてきました。そういった統括部局と呼ばれる組織がワンストップ窓口のようになるのがこの機器の関連においては理想的ではないかと考えておりますし,そういった意味での統括部局の位置づけ,組織体制等については,このガイドラインの骨子(案)の3のマル1のところに記載予定となっておりますので,宮下委員から御指摘いただいた点につきましても,議論をさせていただきたいと思っております。
【宮下委員】  御回答,ありがとうございます。是非,よろしくお願いいたします。
【岸本部会長】  それでは,このガイドラインにつきましては一旦ここで区切りとさせていただきまして,30ページのところでしょうか,本日,御議論いただきたい事項について,皆様から御意見をいただければと思います。テーマが三つありますが,それぞれの委員の方々,この三つ全部についてということでなくても結構ですので,オンラインですので順番に御意見を伺いたいと思います。いつも名簿順ですけれども,勝手で申し訳ないのですが,先に研究機関・大学の関係者の方に順番にお伺いして,次は,企業の関係者の方々から御意見いただくという順番にしたいと思います。また,時間にもよりますけれども,更に御意見いただくということで進めてまいりたいと思いますので,御協力ください。
 それでは,研究機関あるいは大学ということで,雨宮委員からお願いできますでしょうか。
【雨宮委員】  雨宮です。今議論になっている共用というのは,基本的には大学等に今ある機器の共用というのがメインになるのだろうと理解しております。私たちの大学共同利用機関のように,これから造るだとか,日々どんどん変わっていくようなところとは少し違う話と思うのですが,大学等の場合,最初から共用を前提に造っている機器ではないので,それぞれの持ち主と言ったら良いのか,その機器を導入した方にとっていろいろなハードルがあるのだと思います。先ほど,インセンティブ等の話もあったと思いますが,例えば,予算的な方策を取るにしても,ある程度長期的な範囲でつじつまが合うというのか,一時的にうまくいくけど後はどうしようのような政策を取ると,多分,乗ってこないと思います。そういう意味で,皆様科学者ですので計算できてしまうので,長期的に見てつじつまの合うといいますか,損得勘定で考えていく必要があるのだろうなと思います。企業の方と一緒にやるときに関しても,ある意味,同じ部分があるかと思っております。今感じたのは,そのようなところです。
【岸本部会長】  ありがとうございます。
 それでは,順番でいくと,次は江端先生ですけれども,よろしいですか。ガイドラインのところは少し離れて,それ以外のところの項目もございますので,その辺りでコメントをいただけると有り難いなと思いますが,いかがでしょうか。
【江端委員】  
ありがとうございます。いつも先にお話をさせていただいて,後の先生方のコメントが重複するようなことがあって,後の先生方に申し訳ないなと思いつつお話をさせていただいていたところですので,全然違う観点で,私からは3番目の項目について,お話をさせていただきます。
 今回,議題(2)の④で,エビデンスの収集・活用を内閣府の方で始められたということで,関係機関の皆様方におかれましては,今,順次対応をしているところかと思います。これまでこういった審議会等でも議論させていただきましたが,研究基盤に関するエビデンスはこの業界にはほぼないと言って良い状況で,我々が幾ら議論をしても机上の空論となってしまう部分もあるなど,理想的な構想や,幾つか限られた好事例をベースにした議論が多くなされてきました。エビデンスがしっかりと取れない状況の中での議論であるがゆえに,本当に現場で行われている実態を客観的に捉えられているのかという点においては,疑問があったかと思います。これまで多くの政策が進められてきて,各大学,それに対応することで事実上システムをつくってはきていますが,それに対しての費用対効果,実際にどういった良いことが具体的にあったのか,それを客観的に見せられるような指標をこういった調査をベースに開発すべきではないかと思っております。旧研究開発基盤課の皆様との御議論の中では,自らがお持ちの事業ベース,事業採択校,そういったところでしかエビデンスとかデータの議論はできないというようなお話もありましたが,今回のような形で内閣府がデータをしっかり取ることによって,更に議論が深まるのではないかと思っております。
 この数値をベースにした議論も本部会あるいはガイドライン検討会等でもできればと思っております。事務局の皆さま方,ご多忙のところ大変恐縮ですが,それらのデータを取りまとめた上で,しっかりと議論できるようご準備いただければと思っています。民間の方々からしても,こういった数値データを明確に示すことで,連携する基準が明確なるかと思いますし,更にコミュニケーションを取りやすくなるのではないかと思います。また,大学の現状をしっかりと対外的に見せるということも重要であると思っておりますので,是非,これをベースに国としても中長期的な研究基盤戦略を策定できるように,議論をさせていただければと思っております。
 私からは,以上です。
 【岸本部会長】  ありがとうございます。
 順番に御意見を頂いてから,事務局の方からコメントがあれば,お願いしたいとおもいます。続けて,岡田委員,よろしいでしょうか。
【岡田委員】  岡田です。前半,所用で参加できなかったので,少しピントが外れたことを言ってしまうかもしれませんが,御容赦ください。
 共用のこのような研究基盤を整備していく上では,過去にもできるだけ共用利用をしましょうという話があったにもかかわらず,なかなかうまくいってない部分と,SPring-8など,あるいは最近のクライオ電顕のように非常にうまくいっているものもあると理解しております。その一番大きな違いは何かというと,SPring-8にしろ,クライオ電顕にしろ,最初にセットアップするときから共用を前提に,セットアップする形で予算がついて,システムもそうしなきゃいけないというものに対して,既にそれぞれの研究機関なり研究室が独自の財源で取得して運用しているものを共用に供しなさいということでは環境が大分違っていて,その辺りで難しさがあると思います。したがって,既存のものを無理やり共用しないと何かパニッシュメントがあるような北風政策というよりは,機器というのは必ず,陳腐化・故障するため,リニューアルあるいはより良いものに変えたいというものもありますので,太陽じゃないですけれども,共用するという前提であれば,リプレースメントなり,バージョンアップなりのサポートをしますというように,共用した人にもメリットがあるというような形が良いかと思います。積極的に調査して,共用してないと,支援しないような話よりも,むしろ,例えば,故障して困っているとか,メンテナンスの費用がかかっているとか,あるいは,バージョンアップしたいという要望を集めて,それに対して,こういう条件で共用するのであればサポートし,一回の口約束じゃなくて,継続的にそのようなことが担保できるシステムをつくることを条件にサポートしますという形にするとしっかり回るのではないかと常々思っていました。実は今,理研の中でそういうことが推進されており,理研の中の共用システムに,みんなが使えるような形で登録されている設備については,修理,メンテナンス,バージョンアップなどの予算を申請すれば,処置しましょうというようにすると,あっという間に登録件数が増えました。それまで,システムだけあって,みんな使っていなかったという状態から,そういう形になりました。先ほどの先生のお話にもありましたが,インセンティブをつけて共用すると得であるというようにしないとなかなか,理念的にみんな賛成しても,実際に自分たちが協力するとなるとヘジテートしてしまうというところがあるかと思います。
 以上です。
【岸本部会長】  ありがとうございます。
 それでは,続けてお願いしたいと思いますけれども,上西委員,お願いいたします。
【上西委員】  上西です。私は1番目の観点で意見を述べさせていただきたいと思います。特に他機関に対して展開していくために必要なものとして,まず,他機関の経営層に理解してもらうということが必要だと思います。私の場合も,経営層にいろいろ説得したりするときに,研究現場と経営層をつなぐ共通言語のようなものが不足していると感じています。総論としてはもちろん賛成で,経営層にも理解されるのだけどけれども,実際に行動を起こすのに必要な情報を届けるためには,現場の声をダイレクトに伝えるだけではなかなか難しく,経営層にも分かるような共通言語が必要であり,先ほど江端先生も言われたような,エビデンスに基づくような何らかの指標などをベースにコミュニケーションを取ると現場と経営層がつながるのではないかと,常々思っているところです。そのような情報はとして,このたび内閣府の調査等の数値も使えるようになって,随分,そういう共通言語が増えてくるということで良いかと思います。大学の理事の立場で言うと,機器共用のメリットとして,一番大きいところは二重投資とか三重投資とかを防止できるというところだと思っています。ただ,それは調査で浮き彫りにするのは難しく,もちろん財務諸表上も出てこないし,一番効果があるだろうなと思っている数字が普通には取れない情報だと思います。二重投資とか三重投資が共有化よってかなり防止できているはずで,そういう効果というのが調査で出てくると非常に有り難いと思っていますし,そういう情報が分かると他機関の経営層も理解して共用化が進んでいくのではないかと思っております。 以上です。
【岸本部会長】  ありがとうございます。
 それでは,次は,田中委員,お願いしたいと思いますが,いかがでしょうか。
【田中委員】  田中です。私の方からは,先ほどのガイドラインで更に期待される取組というところにDXということが載っていたと思うのですけれども,その点についてお話しさせていただきたいと思います。
 DX化は非常に重要だということは,どこの機関でも皆さん認識されていると思いますが,更に期待される取組というよりは,なるべく同時に進められると良いと考えています。DX化に関しても,まずは,どこの研究機関で何ができるということを簡単に調べられるとか,分子研で開発されたシステムもありますけれども,そういうもので調べられるというところから始める。更に成果だとか,そういったものも調べられるようになっていると,こういう成果が出るならここに行けるなということが分かるかと思います。遠隔化・自動化というのはもっと先のレベルだと思いますので,そこまでは難しいのかもしれないが,そういう共通のプラットフォームのようなものでDXを進めていけるようにする。それは,各機関では大変なので,どこかの機関が取りまとめ,その枠組みのようなものを皆様にお配りするというようなことをすると,その辺のハードルが下がり,共用化が促進されると考えています。現在,我々のところでも,マテリアル先端リサーチインフラという事業で成果やデータをどのように公開していくかというような議論を行っていますが,それも,物質・材料研究機構が中心的に行って,それを皆様に配るという形で分担をしているところで,そうすることでうまく進んでいっているような形です。その辺,更に期待されるというよりは,なるべく一緒に進められると良いと感じました。
 以上になります。
【岸本部会長】  ありがとうございます。
 それでは,続いて,波多野委員,お願いできますでしょうか。
【波多野委員】  ありがとうございます。先ほど申し上げたように,民間を利用者という立場だけではなくて,運営側としてもいろいろ御協力いただければ,国として中長期の研究の強さにもつながると思っています。共用は,個人で持っていたものを大学で,東京工業大学では大学でまとまって,それを国に展開していって,更にそれを世界に展開していくというのが,同時に進められればと思っています。
 一方で,昨年から博士の人材に対する文部科学省の経済的なサポートが随分増えて大きくなってきましたので,そういう意味でも博士人材のキャリアパスの一つとしても技術職員などのポジションをもう少しアップして,それこそDXも含めた人材の厚さというか,基盤というのを厚くしていかなければと感じています。
 先ほど田中委員からございましたように,今後は共用設備でのデータの扱いをどうするか。あと,民間の方々の御協力を得るとすると,そこのセキュリティーなりノウハウの扱いについてどうするかというようなところが解決していけば,かなり実質的な共用化が進んできて,それが我が国にとって非常に強みになっていくと感じています。
 以上です。
【岸本部会長】  ありがとうございます。次の委員にもお聞きしたいのですけど,波多野先生は今,博士の学生のお話をされましたが,キャリアパスとして考えていくというのが一つあるというのは大事な観点だと思いますし,あと,今,博士が出てきたときに,従来型の博士は,研究室の中にいて研究室の機器を使って研究をするということで,割と狭い状態で研究されていたのが,共用化されて,自分の研究では直接ないかもしれないけど,いろいろな機器を実際に動かして経験するということは,いろいろな研究を始めるときにおいても大切であると思いますが,そういう観点で、共用化で博士の人たちがいろいろな機器を使えるようになるのはどう考えられますか。
【波多野委員】  機器に触れると同時に,いろいろな応用も含めて目的も知るチャンスでもありますので,自分の研究が広がるチャンスだと思っています。ですので,博士のキャリアパスだけではなくて,博士の学生にとっても非常に重要な機会になると考えます。岸本部会長のおっしゃるとおりだと思います。
【岸本部会長】  ありがとうございます。
 それでは,続いて,原田委員,お願いいたします。
【原田委員】  ちょうど話が出てきて,大阪大学でもオナー大学院制度があり,自分の専門だけではなくて,研究室ローテーションと言って,今の専門とはちょっと違う研究室に3週間ぐらい行って,自分の博士課程の研究にプラスになるように,ちょっと違う分野の研究を学んでくる,そういうプログラムが始まっています。そういうことによって,先ほどおっしゃったように,これまで使ったことがないような機器を使うチャンスにもなりますし,その他,会社の方にインターンシップで行くプログラムもあり,そういうことによって,これからの博士の方というのは,一つの研究室にずっと閉じ籠もっているのではなく,様々な学ぶ機会というのを広げていくというように変わってきていると思います。今回,コアファシリティというか,研究機器の共用化を進めて,そういう機器を整備することによって,大学院生が今まで使ったことがないような機器を使いやすくなるチャンスとなると思っています。
 私もこれまで何年間か委員をやってきて,最初の頃に比べれば設備の共用化が大分進んできたなと思っており,ついにそのガイドラインができるところまで来たというのは非常に感慨深いのです。しかしながら過去にも,ほかの方もおっしゃっているのですが,コアファシリティ構築支援プログラムというのが採択されているのは国立大学だけで,今後展開していくためには,私立大学とか,公立大学とか,様々な研究所の方と一体になって,みんなで共用化することが必要であり,民間企業の方も含めて,利用していくという体制づくりが大切であると思います。しかし,財源的に利用料金をどのようするのかというところが結構難しいのか,その辺がうまくいかないと,共用システムをやっても,負担になってしまってはなかなか難しいのではと,ちょっと心配としております。骨子(案)を見せていただくと,いろいろ考えられているので,これからどういうガイドラインができていくかというのを非常に楽しみに期待しています。
 波多野先生がおっしゃったのですが,民間の方で早期にリタイアされ非常に高い技術を持っていらっしゃる方がたくさんいらっしゃり,意欲もある方たちなので,そういう方たちに積極的に協力いただいて,機器のメンテナンスや,使い方のアドバイスなどをしていただけるようなシステムをうまくつくっていただけたらと思っています。
 以上です。
【岸本部会長】  ありがとうございます。
 それでは,一通り研究機関・大学の委員の方々に意見をお伺いいたしましたので,次に企業関係の方から御意見いただきたいと思います。名簿順になりますけれども,高橋委員,お願いできますでしょうか。
【高橋部会長代理】  高橋でございます。共用化というものを進めるに当たって,大きな動きをしようとするときに誰がリーダーシップを取るのかというのは非常に重要な観点だと思っております。例えば,DXを推進しようとしても,企業の中でもDX本部というのをつくったり,国ではデジタル庁をつくったりですとか,例えば,大学のファンドを活性化しようとしても,大学にお金を入れるだけじゃなくて,しっかり運営するリーダーシップを取っていく人が必要であるように,こういった共用化という大きな動きをしていくときに人というところが非常に重要であると思っております。その辺りは,これまでどのように議論されているのか,背景は余り存じ上げてないのですが,その辺りも議論が必要なのではと思っています。機器を保有しているところが運営を担っていくことは非常に負担も大きくて大変ではないかと思っておりまして,例えば,産学連携本部のようなところが旗振り役をするのか,人材の観点では,先ほど波多野先生もおっしゃっていましたけれども,誰がリーダーシップを取るべきであるかという好事例なども,議論できれば良いと考えております。
 簡単ですが,以上です。
【岸本部会長】  どうもありがとうございます。
 それでは,続いて,上村委員,お願いできますでしょうか。
【上村委員】  いろいろお考えを聞かせていただいたところですが,私は5年間, AMEDのBINDSのPOを担当してきました。これは支援プログラムというのが主でありまして,放射光,NMR(Nuclear Magnetic Resonance:核磁気共鳴),クライオEM(Electron Microscopy:電子顕微鏡)など,もともと共用法ですから,先ほどの岡田先生のお話ではないですが,目的としてやったところから,一つ一つの技術に関してもっと小さいところから,使用だけという取り組みも行っていますが,ワンストップ窓口ですごくうまくいっていると思います。しかし,新しい機器を購入するとき,クライオEMなども該当しますが,ほとんど補正予算で購入されています。結局,補正予算というのは計画的な予算ではなく,その年,その年で補正予算があり,この間もCOVID関係で予算がついたら,さあ何を買おうという感じでプロジェクトをやっている方に希望を聞いて入れるケースが多いが,そういうことではなくて,しっかりした国の計画の中で,補正予算ではなく基盤的な予算の中で考えていくことが一番理想であると思います。補正予算で入れるときに,こんな古い機械をよく使っていたなというような先生も多く,企業から見ると,何十年も前の機器を大事に使っていて,やっと補正予算がついたから買うという方もいられますので,そういうところはこれらの計画により,非常に改善されるのではと思います。
 後に話がありますが,BINDSにおいては,ワンストップ窓口で運営しており,民間も使えます。初めにBINDSのワンストップに支援を申し込むときに,幾つか事業があって,その中から選び,まずはコンサルティングを行います。依頼者が思っているようなことができない場合も結構多く,こんな測定ができるだろうと想像してこられ,お断りする場合も結構あります。しかしながら,かなりそこでお話があって,企業の人もそこは入るので良いのですけど,ただ,BINDSの中では,公開する場合は良いのですが,その後,成果占有にするときは,SPring-8,クライオEM,PF(フォトンファクトリー),NMRなども,成果占有で使っているときは最初からそのお金を払って実施するのですが,BINDSの場合は,その形としては,コンサルティングの後に特別契約を1社1社,ターゲットの先生とお話しするということで,このシステムの中には組み入れられておりません。でも,こういうのをお話しすると,どうしても企業はコンプリーティブなので成果占有というときにもかなりの量が出てくると思うので,ワンストップを使うときには成果占有というのも入れるような形にしないと,全部公開というわけにはいかず,公開の場合はアカデミアと同じような形で使わせていただくというのは良いかもしれないのですが,成果占有の場合,それなりのお金を取るというのは大事であると思います。クライオEMの場合も,購入は補正予算ですが,その後のメンテナンス費用がすごく高額になります。それに関しても,大学だけではとても払い切れないということで,半分ぐらいは使った人が受益者負担ということでやっていて,それは非常にうまく回っていると思いますし,SPring-8やPFもそうです。
 あと,人材育成に関しては,私は,前も少しお話ししたかもしれないですが,海外の放射光施設などにもサンプルを送っているのですが,皆様,国際学会で座長をされるような方が,放射光施設では、責任者になってくださって,もちろんドクターは出ていますし,その中で評価されてプロモーションしていくようなドクターの一つの生きる道という形であれば,ほかの人の支援をしながら自分の仕事もできます。私なんかは海外に送ると、自分のところで新入社員が取るよりはよっぽどレベルの良いデータが返ってきたりするので,そういうことも考えた方が良いのではと,皆さんのお話を聞いて考えました。
 ですから,向かう方向としては,日本全体として,補正予算ではなく,年次ごとの予算の中できちんと機器の分配と更新を行っていく。更に人材育成も兼ねてやるというのが良いかと思います。
 以上です。
【岸本部会長】  ありがとうございました。
 それでは,最後になるかと思いますが,宮下委員,お願いいたします。
【宮下委員】  宮下でございます。先ほども申し上げましたので少し短めにいたしますが,最後の研究基盤に関する政策全体の枠組み,私,そこまで大きいことを言う能力はありませんけど,企業側として少し申し上げますと,企業が共同研究として,お金を払ってでも大学と連携したい状況というのは,そこでしか測れないときが多いかと思います。要するに,企業にしてみたら,投資できるかというのは別問題として,計測器を買ってきて設備投資すればできるものというのは,ある意味,お金の問題でありますが,大学でしか測定できない場合もたくさんございます。例えば,放射線関係も該当するでしょうし,先日,中性子線の企画があって,どのように測定するかというのは,結局,先生方に御指導いただきました。その他,流行りの課題でもある6Gの通信を研究開発に関して,テラヘルツであるとか,そういうようなミリ波帯よりも高い周波数になってきますと,まだ計測器は購入できない状況です。そうなってくると,これを先生方に指導いただきながら一緒にやらせていただく。そういう状況というのは大事です。申し上げたいのは,どうしても政策ですと国民の皆さんの合意が必要ですから,そういう流行りものに行きそうなところはあるのですけれども,やっぱり大学でないとできないこと,今はやってないが基盤的であって,先生方からすれば,将来,大事であると思われて,到底,企業には手が出ないような設備開発も重要です。今は共用というのは非常に少ないでしょうけれども,将来的に共用するというような方針を踏まえて進めるのであれば,メンテナンスであるとか,更新の費用を支援する方法もあるかと思います。企業には手が出ないような測定ができるということ自体,普通,余りありませんので,文科省,あるいは日本の研究機関で,こういうものが測れるということを宣伝していただくと,非常に手が挙がって,日本の未来は明るくなるのではと,少し考えておりました。
 私からは,以上でございます。
【岸本部会長】  ありがとうございます。今,宮下委員がおっしゃったことの確認ですが,大学でなければ測定できないというのは,要するに,最先端の測定機器というようなものなのか,まだ測定機器までは行っていなくて,研究として取り組んでいて,その先生が何か測定できるとかっていう状況のことを言われているのか,さもなければ,それも含まれるかもしれませんが,いわゆるデータとしてどうしても取らなきゃいけないような普遍的な機器というのですか,だけれども会社の中にはないような機器をきちんと持っているということなのか,どのところが今のお話の中で大事な機器になりそうでしょうか。
【宮下委員】  岸本先生がおっしゃったのは,どれも大事だと思います。ただ,私が申し上げたかったのは,先生方が手作りでつくられるような,そこでしか測定できないような機器でも結構ですし,そういうようなものが日本に存在するという情報は非常に大きくて,是非先生方の御指導を頂きながら一緒に測定したいという企業はたくさんあると思いますので,そういったところにも予算がつくようなことが大事かなと思って,発言いたしました。
【岸本部会長】  そうしますと,一つは世界をリードする新技術のようなところを産学で進められれば日本が強くなるかなと,そういう御指摘と受け取りたいなと思いました。ありがとうございます。
【宮下委員】  ありがとうございました。
【岸本部会長】  全員の方に一通り御意見を伺ったところですけれども,これまでのことについて,事務局の方から何かコメントございますか。
【渡辺係長】  ありがとうございます。研究環境課の渡辺でございます。非常に広範な意見を頂きまして,大変有り難く思います。全てにコメントをするのはちょっと難しいかと思うものの,幾つか,受け止めとか,今後どういった形で考えていきたいかも含めてコメントできればと思います。最初の方,雨宮先生とか岡田先生から,現在既に整備されている研究設備や機器等は考えるか,また,これから整備されるような研究機器を区別して考えるか,そういった観点でコメントも頂いていたかと思います。先ほどの説明の中でガイドラインのヒアリング等をやっていると説明をさせていただきましたが,この辺の既にある設備を共用に図るというのはなかなか難しいということを,大学等からも聞いているところです。その上で,これから整備する機器を対象に共用を進めていくというのが一つの方向性なのか,あるいは,既にあるものをどこまで共用として考えられるのかも含めて,しっかりと現場の声を聞きながら考えていきたいと考えております。
 それから,上西先生から,経営層に理解してもらう必要があるということ,また,共通言語ということが必要ではないかという御意見もございました。共通言語的なものがどこまで示せるかというのは確かに難しい問題かとは思うのですけれども,共用を進める上で経営層の理解を得るというところは非常に大事なところですので,例えば,ガイドラインの関係でも,大学側にとって共用のシステムを導入するメリットや意義がしっかりと伝わるようなメッセージを出せていければと考えているところです。
 また,DXに関するような御意見も,田中委員,波多野委員から頂いております。DXというと遠隔化・自動化というのをすぐにイメージしてしまうような部分はございますが,それより前の段階,どういったところに何があるのか,全国的にどこまでできる,まずは機関の中でしっかり把握していくというところも必要であると思いますので,機関の中の取組としてはガイドラインに落とし込んでいくようなことも考えていきたいと思います。
 また,企業の委員の方からも,非常に広範な意見を頂いております。例えば,補正予算の関係ではなく,しっかりした計画を立てて本予算で支援するといった御意見もございました。正直申し上げますと,ここはなかなか難しいところではあると思っておりまして,国の予算は限定的で思ったように増やせないというような状況もございますので,どういった形で研究基盤をしっかりと継続的なものとしていくのかというのは,非常に重要な問題だと思っております。そういった観点では,当然,国の予算というのはどういった在り方があるのかというのも考えていきたいと思っておりますが,それも踏まえつつ,民間資金の活用とか,そういったところもしっかりと検討のそ上に載せながら,おっしゃっていただいたような場当たり的な整備ではなくて,計画を練った形での整備,そういったものがどういった形でやっていけるのか,そういったところも考えていければ良いと考えております。
 全ての意見に御回答できていないかと思いますが,私からの発言は以上になります。
【岸本部会長】  ありがとうございます。
 皆様の御意見を頂いたので,私の方からも少し,こんな観点もということでお話しさせていただければと思います。1番目のところで,他機関に展開していくべき事項についてということですけれども,一つは現場の人たちがどのように共用化していったら良いかということについてきちんとしたガイドラインを作るというのは非常に大切なことだと思います。しかしながら,もっと大事なことは,大学の組織としてこういうことに取り組むことが実際に大学を良くしていくことだということを,上西委員もおっしゃっていましたけれども,大学の経営陣に伝えていくというのがやはり大事であり,しっかりと伝える取組をもっと進めていくことが良いかと思います。更に,現在,取り組んでいる大学については,そういうことが整備された結果として,どういうことがうまく動き始めているのかというのを皆さんに公開していくというのが良いのではと思います。共用化したことによって,例えば,地域連携のプロジェクトを進めるとか,いろんなプロジェクトを新しくしていくところで,実際には役立つのではないかと思います。それと,そこに関わってくる人たちが大学の中の研究をもう少し広く捉えられる人材が育つのでは思いますので,そういった面をもっと見せていくのが必要ではないかと思います。そういったところを議論していけると良いと思います。
 あと,2番目の方ですけれども,今回の皆さんの議論は大学の中での議論が多かったと思いますが,共用を進めていくに当たって,例えば,予算の在り方だとか,会計の在り方だとか,現状の仕組みの中でどこが制約になっているのかということを明確化し,仕組みとして変えた方が良いことについては,政策的なところでしかり議論していただけると有り難いと思います。設備を使って大学としても収入を得るわけですけれども,その収入をどういう形で使っていくかについては,現状では会計の中で制約されてしまうので,例えば,共用化されて得られた収入については制度的にどう取り扱った方が良いとか,そのようなところをもう少し議論して,民間のお金を入れるとか,いろんな形でやりやすい仕組みをつくるということを検討できればと思います。それは多分,ヒアリングの中で,こういうことがあってうまくいかないこと,自分たちの工夫で解決できるのか,それを超えてやらなきゃいけないのかというところを明確化して進められると良いと思いますので,是非,仕組みで困っているところについては,変えるという方針で進めていければと良いと思います。
 3番目のところですけれども,研究基盤のことについては,データを取ることによって,今まで明確化されていなかった,日本の中でどういう機器があるというのが分かるようになるというのは一つ大きなことだろうと思います。これらの機器の整備を進めるに当たり,さっきの定常的な予算でやっていくということもありますし,いろんな研究開発のためにファンディングエージェンシーがいろんなファンディングをしていますけれども,その中で研究基盤というところについては余り明確な指針がなされていないと思っています。プロジェクトが成功するためにこういうことをやりますとは言っているのですけれども,そこで整備された研究機器を次にどう生かすかという議論は余りしてこなかったと思います。場合によっては,そこでつくられたものは,他のところで使ってはいけないみたいな,そういうような状況もあったと思います。そういったところからすると,政策全体の枠組みに関しては,文部科学省だけではなく,全体のファンディングの中でこれをどう取り扱うという議論にこういったエビデンスが結びついていくと良いかと思いますし,もう少し広い立場から議論できると良いと思います。そういったところが見えてくると,どういった技術を基盤的に開発していく必要であるかも分かってくるのではと思います。この3番のところについては,先ほど江端委員もおっしゃっておりましたが,収集されたエビデンスをどのように料理していくかというのが非常に大事であると思いますので,そういったところがこれからも議論できると良いと考えた次第です。
 ということで,皆さんの御意見を頂きながら,自分なりに考えてみたらこういうポイントもあるかなと思って,御指摘させていただきました。
 ここについての私からのコメントは,以上です。
 他の方から更に御意見があれば承りたいと思いますけれども,いかがでしょうか。皆さん,ひとわたり御意見いただいたので,よろしいでしょうか。
【古田課長】  研究環境課長の古田ですが,よろしいでしょうか。
【岸本部会長】  お願いいたします。
【古田課長】  今,岸本先生がおっしゃったポイントについてだけ,ざっくりとですが,私の方から回答させていただきたいと思います。
 一つ目の,制度的な障害を発見して,そこを改善すべきじゃないかというところは,正におっしゃるとおりで,これは研究開発基盤課から研究環境課になってできるようになったことになります。ですので,そういった制度上の問題というのを出していただいて,私の方で本当にどこまで改善できるのか。研究環境課だけではないと思うのですが,省内の各課に対して働きかけをしていきたいと思っています。
 最後のエビデンスのところですが,e-CSTIにつきましては,2年前から始まりまして,最初は研究費とか研究者の数の情報でだけでありましたが,だんだん充実してきて,いよいよ,施設・設備に関してもデータ化される方向で進んでおり,我々としても非常に有り難いことであります。これまで,各大学・研究所がどういう施設・設備を持っているのか,網羅的に把握できていなかったというところがございますので,こういったデータをきちっと生かして,EBPM(Evidence-based Policy Making)を実行していきたいと思っております。
 以上です。ありがとうございました。
【岸本部会長】  どうもありがとうございました。
 それでは,議論はここまでにさせていただきまして,最後の議題,その他に参りたいと思います。関連するシンポジウム等についての御紹介を頂こうと思います。
 まず,資料3-1ですけれども,研究基盤EXPO2022の開催について。これにつきましては,江端委員が関係されていらっしゃるということで,御説明をお願いしたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
【江端委員】  
ありがとうございます。江端の方から,簡単に御紹介させていただきます。
 32ページですが,研究・イノベーション学会の研究基盤イノベーション分科会,通称IRISの企画として,研究基盤EXPO2022を昨年度に引き続き,文部科学省との共催で今年度も開催させていただきます。
 33ページでは研究基盤協議会についての説明になります。我々,研究基盤イノベーション分科会における学会ベースの活動と,昨年度のEXPOで設立させていただきましたコアファシリティ事業採択校ほか,関係機関,有志の方々を集めて構成しています研究基盤協議会の活動を連動させながら研究基盤に関するステークホルダーの議論を進めております。今回,文科省からはガイドライン等の策定に関しまして,研究基盤協議会と協力して進めていくようにとコアファシリティ事業採択校へ向けてお話を頂き準備を進めてきたところではありますが,研究基盤EXPO2022では研究基盤協議会の初めてのシンポジウムを開催させていただきます。詳細につきましては,資料を御覧いただければと思います。
 34ページになりますが,研究基盤協議会幹事会はどういう方で構成されているかについて,記載をさせていただいています。さらに,新たに研究基盤協議会にアドバイザリーボードを設置しまして,こちらには,コアファシリティ構築支援プログラムに初年度採択された五つの大学の執行部の先生方に加わっていただいて,アドバイザリーボードからガイドライン等についても様々な視点からご意見を頂きながら運営できる体制が強化されました。
 昨年度は1月22日から29日の1週間にわたってイベントを開催しました。こちらについては,本部会においても報告させていただき,36ページにまとめさせていただいておりますとおり,教員,事務職員,技術職員,URA等,1,500名を超える方々に御参加いただき,さらに,文科省の皆さん,大学執行部の方々,そして,部会長の岸本先生にも御協力いただきながら,本部会の委員の先生方にも御参加いただき,非常に大きなイベントとして盛況のうちに終えることができました。
 最後の37ページには,今年度の研究基盤EXPO2022の3本柱が記載されております。「研究力を向上する研究基盤イノベーション」というテーマで,主催は研究基盤イノベーション分科会(IRIS),共催文科省,後援として,金沢大学,日本分析機器工業会JAIMAとなっております。各シンポジウムについて簡単にご説明します。1月26日,文部科学省さん主催で,コアファシリティ事業,先端プラットフォーム事業等について,御報告とパネルディスカッションを検討しております。1月27日,研究基盤協議会シンポジウムは金沢大学が幹事校となり,現在作成を進めております研究設備・機器共用化のためのガイドラインに関するディスカッション,さらには,金沢大学さんからのテーマとして,研究環境のデジタルトランスフォーメーション(LabDX」について議論をさせていただきます。1月28日,研究基盤イノベーション分科会(IRIS)のシンポジウムは,現在企画を検討しているところですが,若手中心の企画イベント等を考えているところです。
 36ページに記載がありましたが,昨年度のEXPOでの板倉局長の御挨拶として,コアファシリティ事業の採択機関においては,率先して大学の経営戦略と一体的な組織全体としての研究基盤戦略の立案・実施に取り組み,パイオニアとして全国の大学を引っ張っていくことを期待しているということもお話しいただきましたし,当時の研究開発基盤課課長でいらっしゃった仙波課長からは,文部科学省としても,研究基盤協議会と密に連携をしていって,研究現場の最前線で取り組んでいる方々と一緒に研究基盤を考えていきますということで,コメントを頂いております。
 これらのコメントを踏まえ,研究基盤EXPO2022は,現在関連している組織だけに限らず,現場で活動されている方々,あるいは大学執行部の皆様方,多くのステークホルダーの皆さんに声がけをさせていただいて,情報共有の場として集中的にイベントを開催させていただきたいと考えております。委員の皆様におかれましても,是非このイベントに御参加いただいて,現状を共有させていただくとともに,その後の本部会等における議論に生かしていただければ幸いです。
 私からは,以上です。
【岸本部会長】  御説明ありがとうございました。このシンポジウムはオンラインで開催する御予定でいらっしゃるのですか。
【江端委員】  おっしゃる通りです。オンラインでの開催としております。
【岸本部会長】  皆さん,是非御参加いただければと思います。ありがとうございます。
 それでは,続いて,資料3-2の方ですけれども,JASIS2021への参加についてということで,こちらは事務局の方から御説明をお願いしたいと思います。
【渡辺係長】  ありがとうございます。研究環境課の渡辺でございます。39ページに基づいて,説明をさせていただきます。先ほどからの議論でも,特に民間から見たときに,どういった設備や機器があって,どこにアクセスすれば良いか分からないというような御指摘もございましたけれども,そういった問題意識に対応するような取組の一つと考えております。こちらのイベントは,日本分析機器工業会が主催する通称JASISというイベントになりますが,基本的に毎年度開催しているものでございます。主に分析機器と科学機器のメーカーが一堂に会する展示会になります。今年は,11月8日から11月10日の3日間の開催を予定されております。この資料の真ん中,矢印の部分ですけれども,文部科学省からは,先端研究設備プラットフォームプログラムの取組について,実施機関の取組を説明するような形で出展をしたいと考えております。
 40ページになりますけれども,先端研究設備プラットフォームプログラムは,共用事業の中の二つの柱,一つはコアファシリティでしたが,もう一つの柱になるもので,各大学等にあるような汎用機器よりも,より先端的な設備を全国的なネットワークを形成して広く共用に供するという観点で進めているものです。こちらは,真ん中のところに赤字で書いておりますけれども,遠隔利用・自動化を図りながら,ワンストップサービスで利便性の向上を図るような形で事業を進めております。
 41ページになりますけれども,こちらは,令和3年度,今年度から四つのプラットフォームを採択しておりまして,NMRの関係,あるいは,顕微イメージング,パワーレーザー,研究用MRI,こういった四つのプラットフォームが,活動を開始したところでございます。こちらについて先ほどの展示会で出展・紹介をさせていただき,民間も含めて利用者の開拓というところをしっかり進めていきたいと考えているところでございます。
 私からの説明は,以上です。
【岸本部会長】  ありがとうございました。
 それでは,シンポジウム2件について御紹介いただきましたけれども,御質問あるいは御意見等ございますか。いかがでしょうか。
 私の方から,最初のEXPO2022ですけれども,内容についてはプログラム等,詰まってきたところでいらっしゃるのでしょうか。
【江端委員】  
現状においては,先ほど御紹介したところまでが決まっているところです。今後更にプログラムの詳細を検討していく状況でございます。
【岸本部会長】  ありがとうございます。ガイドラインのお話とかあるので,正に御検討されているところがテーマとして挙がっているのではと拝見いたしました。是非,良い形のシンポジウムになればなと思います。
【岸本部会長】  他に何か,御質問等ございますか。よろしいでしょうか。
 それでは,特にないようですので,その他についても以上とさせていただきたいと思います。
 以上で本日用意させていただいた議題は全て終了いたしましたけれども,事務局の方から,連絡事項等,よろしくお願いしたいと思います。
【萩谷室長補佐】  事務局でございます。長らく御議論いただきありがとうございました。次回の研究開発基盤部会の日程でございますが,後日,メールにて調整させていただきます。
 本日の議事録につきましては,部会の運営規則に基づき,後日,公表することとなっております。案が作成でき次第,委員の皆様に御確認させていただきます。
 以上でございます。
【岸本部会長】  ありがとうございました。
 それでは,以上をもちまして,第11回研究開発基盤部会を閉会したいと思います。本日は,お忙しい中,御出席いただきまして,どうもありがとうございます。これで終了したいと思います。

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