令和7年12月18日(木曜日)15時00分~17時00分
オンライン開催
網塚主査、雨宮主査代理、荒砂委員、飯田委員、江端委員、岡田委員、上西委員、上村委員、田中委員、鳴瀧委員、福間委員
(事務局)大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)福井俊英、参事官(研究環境担当)馬場大輔、研究開発戦略課長 石川 貴史、参事官(研究環境担当)付参事官補佐 高山勇人
【網塚主査】 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第4回先端研究開発基盤強化委員会を開催いたします。
まず、事務局から、本日の出欠と資料の確認などをお願いいたします。
【髙山補佐】 ありがとうございます。本委員会の事務局を努めます文部科学省科学技術・学術政策局参事官(研究環境担当)付の髙山でございます。
本日の御出席でございますが、委員全員に御出席をいただく予定となっておりますが、岡田先生におかれましては遅延をされているということでございます。
それでは、委員会の開会に当たりまして、文部科学省大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)の福井より、一言御挨拶申し上げます。
【福井審議官】 福井でございます。
本日は、大変お忙しいところ、科学技術・学術審議会研究開発基盤部会先端研究開発基盤強化委員会に御出席賜り、ありがとうございます。
委員の皆様方におかれましては、7月10日に「研究の創造性・効率性の最大化のための先端研究基盤の刷新に向けた今後の方針」について取りまとめいただきまして、また、8月には先端研究基盤刷新事業(EPOCH)の事前評価を実施いただき、感謝申し上げます。
現在、次期科学技術・イノベーション基本計画の策定に向けた検討が進められておりまして、本日、後ほど御紹介いたしますが、文部科学省におきましても、「科学の再興」に関する有識者会議を設置いたしまして、提言をまとめていただいたところでございます。提言の中では、研究環境を刷新することの必要性を取り上げておりまして、研究環境に対する関心がより一層高まってきているのではないかと思っております。
政府におきましても、先ほど申し上げたEPOCHを含めまして、補正予算が12月16日に成立したところでございます。本日、委員の皆様方におかれましては、このEPOCHが実効性を持った事業となるよう、制度設計に向けて忌憚のない御意見を賜りたいと思っておりますので、本日はよろしくお願いいたします。
以上です。
【髙山補佐】 続きまして、資料の確認をさせていただきます。配付資料につきましては、議事次第、資料1-1、1-2、1-3、資料2、参考資料をPDFにて委員の皆様にはお届けしております。また、文部科学省ホームページにて資料についても公表させていただいております。説明の際にはZoomの画面上で投影するようにいたしますが、見えにくい場合は、適宜お手元の資料等を御覧ください。
なお、本日の委員会は、会議公開の原則に基づき、報道関係者や一般傍聴者によるYouTubeでの傍聴を認めております。
以上でございます。
【網塚主査】 ありがとうございます。
それでは、議事を進めさせていただきます。議題1「科学の再興に向けて」です。
まず、事務局より、資料1-1、1-2に基づいて御説明いただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
【石川課長】 それでは、私、研究開発戦略課長をしております石川のほうから、まず資料1-1、1-2に関して御説明させていただきたいと思います。
今表示されているかと思いますけれども、「科学の再興」に関する有識者会議について、先ほど福井のほうからも御紹介、言及いただいたように、文科省のほうで有識者会議を設けて御議論をいただき、提言をまとめていただいたところでございます。
まず、次のページ、2ページ目のところでございますけれども、この「科学の再興」の有識者会議のそもそもの背景、今日御参加の委員の先生方も御承知のところかと思いますけれども、今、内閣府、CSTIを中心に、第7期の科学技術・イノベーション基本計画に向けた議論が進んでおりまして、今表示している資料は、先月11月28日のCSTI本会議で使われた資料の一部を抜粋しておりますけれども、7期の計画に向けて、下の矢印の先の緑の部分ですけれども、対応の方向性というところで、今6つの柱が立っておりますが、その中の1番目のところに科学の再興というものが位置づけられております。
これ、実際内閣府のCSTIの基本計画専門調査会の中では、6月頃の基本計画専門調査会で、当時の論点整理の中でも既に「科学の再興」というものが一つ大きなキーワードとして挙がっておりまして、そういった議論を踏まえて、まさにこの科学の再興を進めていくに当たっての中心的な役割を文科省が担っていくという下で、文科省の中でも有識者会議を立ち上げるということで進めさせていただきました。
次の3ページのところがその有識者会議でございますけれども、2ポツにございますように、第1回を9月5日に開催して、最終回、第5回を11月半ばに開催しておりまして、提言自体を11月18日にまとめて公表させていただいております。
3ポツにございますような有識者の先生方に御協力いただいて、東北大前総長の大野先生に座長を務めていただいて、御議論をいただいたところでございます。
続いて、4ページ目からのところで、「科学の再興」のいただいた提言の中身を御説明できればと思います。
有識者会議の議論の中で、そもそも「科学の再興」というのは、どういう状態になると科学が再興されたというのかというようなところから御議論いただきました。そういう意味で、まずそもそも今「科学」の今日的な意味合いというものを捉え直そうというところから、一番上にありますように、近年の国際社会や社会・経済の情勢変化というところから俯瞰しております。
近年、まさに一番最初にありますように、科学とビジネスの近接化というところがかなり進んでいる、特にAIなどの領域では進んでおりまして、これまで基礎研究が実用化されるまでに相当程度の時間を要していたものが、分野・技術によっては短期間で実用化されるというようなものが出てきているという状況や、まさにロシアのウクライナ侵攻などを含めて、国際秩序が不安定化しているということ、また、こうした科学とビジネスの近接化や国際秩序の不安定性というものも背景にあるかと思いますけれども、研究開発投資や科学技術、先端科学の競争の激化というものがございますというような状況の中で、気候変動ですとか、我が国特有の人口減少社会、将来に向けてどうするかという課題がある中で、「科学」の今日的な意味合いというところで、大きく2つ挙げております。
一つが、変動する社会を見据えた戦略性ということで、まさに我が国の自律性ですとか不可欠性、社会課題対応に向けての基礎研究・科学の重要性というところと、あとは、不確実な時代だからこその多様性という観点も、有識者会議の中では、科学の今日的な意味合いということで挙げていただいております。研究領域の多様性ということだけではなくて、人材の多様性ということも含めて、多様性が重要であるというところを挙げております。まさに先端科学が我が国の社会経済の発展や経済安全保障に直結するもので、科学は国力の源泉であるということで、「科学」の今日的な意味合いというものを捉え直したというところでございます。
右側の「科学」の現況は、まさにそういう今日的にも科学・基礎研究が重要であるという中で、今年、坂口先生、北川先生、ノーベル賞、お二人の受賞というものもありましたけれども、一方で、研究時間の減少であるとか、研究者の伸び悩み、研究開発費の停滞といったようなもので、海外との差が相対的に拡大しているというような状況が見られるという現況もここでまとめております。
そうした状況の中で、先ほど申し上げたように、科学が再興した姿というのはどういうものかというところを下の青のところで整理しておりますけれども、科学の再興とはというところで、新たな「知」を豊富に生み出し続ける状態が実現したものだろうと。我が国の基礎研究・学術研究の国際的な優位性を取り戻した状況であろうということでまとめていただいております。
右側に具体的なイメージということで、もう少しかみ砕いた表現をしておりますけれども、日本の研究者が、アカデミアはもとより各国の官民のセクターから常に認識されている状態。まさにその優位性を取り戻すというところで、海外からもビジビリティがある状態を取り戻すということで御議論いただいたのかなと思っております。
ここは資料をコンパクトにまとめるために、「常に認識」というところで止めていますけれども、議論の中では、やはり認識されるだけではなくて、ちゃんとプレーヤーとして、何か課題があったときに、あの人に聞いてみよう、あの人と一緒にやってみようというようなところで認識されるというところまで御議論をいただきながらまとめております。
こうした科学が再興した状態を取り戻すためにはということの必要な要素ということで、やはり日本の研究者が新たな研究分野を開拓、開拓だけではなくて先導するということが重要であろうということですとか、最新の研究動向を日本の研究者がむしろ牽引するというような状況が大事だろうと。あとは、そうしたことができるような国内外や次の世代からも魅力的に感じる環境が発展・整備されている状況、こういったものが必要であろうということを御議論いただいております。
少し資料のところで飛ばしましたけれども、こうした科学を再興した上で、科学を基盤として我が国の将来を切り開いていくということが重要であろうということで議論をしております。
こうした科学を再興していくためにということで、朱色のところで、次の7期の5年間で何をしていくべきかというところを整理しております。
左側は、我が国全体の行動変容を促すというところで、集中的に取り組み、トレンドを変えていくという事項を5つほど挙げておりまして、右側のほうは、特に研究大学群においては、こういった環境を整備していくというところの目標を掲げております。
左側のほうでいきますと、1つ目が、新たな領域への挑戦の抜本的な拡充ということですとか、日本人研究者の国際性の格段の向上ということで、特に日本の研究者が海外に出ていくところの拡大というものを挙げております。3番目は、科学技術人材の継続的な育成・輩出ということで、特に博士人材の博士号取得者の拡大などを挙げております。次がAI for Science、AIをうまく活用、取り込んでいって、科学研究を革新していくというところと、最後が、まさにこの部会、委員会の場であります議論の、研究環境を刷新していくというところが柱として挙げております。
そして、右側の研究大学群というところでは、以下のような研究環境を確保しというところで7つほど挙げておりますけれども、機関内でも挑戦を促す渋資源配分ですとか、グローバルな教員評価でございますとか、こちらでも組織・機関を超えた共用システムの構築というようなもの、研究支援スタッフの確保といったものなどを掲げております。こういったものを経営マネジメント強化によって達成していく大学を、次の5年間で20大学以上は目指していこうというような提言をいただいたところでございます。
次のページのところで、今申し上げたようなことを進めて、どういった状況をつくりたいのかというところのイメージをより分かりやすくというので作った資料がこちらでございます。
我々、有識者会議の議論の中でも、現状として、やはり各個別の研究者の個人の力量によっているところが今の現状の研究システムは多いのではないかというような問題意識を持って、例えば、この部会との関係ですと、バツが幾つも並んでいますが、上から3つ目のところで、必要な設備、何かやりたいと、例えば、新しくPIになったというときに研究進めようと思ったら、自分でアプライして、資金調達して、機器を整備してということをやっていかなければいけないですというような状況があるだろうと。それによって研究のスタートが遅れてしまうリスクですとか、その後、自分で整備したものの維持管理のコストが大きくなるということがあるだろうというようなことも、この有識者会議でも議論し、また、次にあるように、優秀な研究者ほど大学運営の業務負担が大きくなっているのではないかというような問題意識も持ちながら、今回掲げているような行動変容・トレンドを変化させていく中で、組織・法人ができるところはやっていく。コアファシリティでありますとか、様々な研究者以外の人材の確保、そういうことも含めた人事・給与マネジメントシステムなどで、法人ができるところは法人がやっていきながら、研究者が挑戦できるような環境をつくっていくというような形に研究現場の在り方も変えていこうというようなコンセプトを持ちながら、先ほど前のページで申し上げたような改革を進めていくということをやらせていただこうというので提言をいただいております。
こちら、11月18日に提言をまとめていただいたものを、同じく11月27日の基本計画専門調査会に報告をさせていただいております。そういったものも踏まえて、ちょうど明日の基本計画専門調査会で素案のたたき台が出てくると思います。そちらでさらに議論が深まると思いますので、文部科学省としても、基本計画、年度末の策定に向けてしっかりやっていこうということで議論を進めているところでございます。
まず、資料1-1、1-2に関連しての私からの説明は以上でございます。
【網塚主査】 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明を踏まえまして、何か皆様から御質問などございますでしょうか。御自由に御発言いただいて結構ですが。よろしいですか。
【上村委員】 上村ですけど、ちょっとよろしいでしょうか。
【網塚主査】 お願いいたします。
【上村委員】 将来的なところもそうなんですけど、今、確実に日本の大学教育で足りていないところというのもあると思うんですね。それで、それは何かと思うときに、いわゆる科学がビジネスになるというところがすごく近接してきたというのをおっしゃっていたんですけど、やはり大学における特許教育とか特許戦略の立て方とか、そういうところが全然書かれていないんですけど、それについては文科省のほうで議論は、今の有識者の方とかであったんでしょうか。
【網塚主査】 ありがとうございます。
いかがでしょうか。
【石川課長】 ありがとうございます。
今回、この有識者会議のところは、先生御指摘のところも重要な課題としてある一方で、特にビジネス、イノベーションへのところも含めた、そういう意味では、資料の2ページ目、ここの対応の方向性にございますように、6つの大きな柱がある中での丸1のところを中心に議論したところがございます。
そういった背景もありまして、ほかのイノベーション・エコシステムなどのところは、この有識者会議としては焦点としては取り上げていないところはございます。ただ、そことの隣接をしっかり意識しながらやらなければいけないというところまでは、こういった中でも、有識者会議でも議論しております。
そういう意味で、今御指摘いただいたような特許についての教育とか、そういったところまでは、この有識者会議では触れてはいないんですけれども、全体基本計画という中では、当然、アントレプレナーとかも含めて、人材育成というところも含めて、イノベーション・エコシステムの形成という文脈でしっかり含まれていくのかなとは思っております。
御指摘のところは、全体の中ではしっかり議論されるところかなと思います。
【上村委員】 ありがとうございます。
【石川課長】 あと、私、ちょっと説明をし損ねていたところがありまして、どういうふうにトレンドを変えていく、改革を進めていくというところまで説明しておりますけれども、そのためにもということで、一番下のところに、大学・国研への投資の抜本的拡充であるとか、文科省だけではなくて、様々な府省庁・民間からの基礎研究への投資を拡大していくべきというところも御議論いただいて、提言で入れております。
この辺、内閣府のほうの議論の中でも、基礎研究に向けての投資の重要性というものは今議論いただいておりますので、単純に改革というところだけではなくて、そのための基盤的経費の拡充というものも含めて、しっかり7期計画に向けて議論していきたいと思っております。
ありがとうございます。
【上村委員】 ありがとうございます。
その辺りのところが非常に今まで抜けているし、今後大切になると思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思いました。
以上です。
【網塚主査】 ありがとうございます。
ほか、いかがでしょうか。
【福間委員】 福間ですけれども、よろしいでしょうか。
【網塚主査】 福間委員、よろしくお願いいたします。
【福間委員】 この提言、すごくよくまとまっているなと思ったんですけれども、特に、今表示していただいているページの研究時間割合50%以上というふうに書いてあって、やっぱり根本的なところとして、研究者が研究をする時間を割けていないというのが一番問題だと僕自身は認識していまして、この問題は、この50%以上という目標はいいんですけれども、この研究時間の定義について、例えば、研究室であるとか研究所であるとか、研究関係の何がしかをマネジメントする時間も研究時間に入れるのではなくて、本当の意味で論文を書いたり、実験をしたり、考えたりする時間が本当に50%以上取れるかということが重要だと思うので、この研究時間というものの定義をしっかり考えた上で、この研究時間割合50%というのを目標にしていただければなと思っています。
以上です。
【石川課長】 先生、ありがとうございます。
まさに、例えば、必ずしも論文数が指標としていいのかというのは議論としてあるのは承知の上でなんですけれども、論文数に関しても、例えば、NISTEPの分析などでは、研究者数と研究時間とがかなり相関している、関係しているというような分析もございますので、まさに研究時間を確保する、真水の研究時間を確保するというのは非常に重要なところだと思っております。
ここの概要自体には深く書き切っていないところはありますけれども、提言の本文の中などでは、例えば、研究者がいろんな業務をやり過ぎていないかというところもありますので、まさにマネジメント人材も含めたスタッフですとか、事務職員も含めた業務分担の適正化ということも考えていくべきではないかというようなことも含めて、研究時間、研究者が研究に没頭できる時間をどうつくるかというための機関としてのマネジメントもその辺の重要性を指摘しておりますので、今後に向けて、我々もそういったものをうまく誘導できるように、文科省としても後押し、支援できるところはしっかりやっていきたいと思います。
ありがとうございます。
【福間委員】 ありがとうございました。
【網塚主査】 ありがとうございます。
特にないようでしたら、次に進ませていただきます。
次、資料1-3に基づきまして、事務局から御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【馬場参事官】 それでは、今、画面表示は切り替わったと思います。文部科学省の馬場です。こちらに基づいて、先ほど石川課長から話がありました「科学の再興」に関する有識者会議の関係で、私のほうから、10月8日に説明した資料に基づいて、どういうインプットをこの有識者会議にしたのか、御紹介したいと思います。よろしくお願いします。
まず、こちら、有識者会議向けにこれまでどういう議論をされてきたか。これは皆様共感されるところも多いかと思います。新たに雇用された研究者が研究室を立ち上げるのに時間がかかるとか、あとは、若手研究者の研究に対するモチベーションを阻害する古い慣習・制度・ヒエラルキー構造があるのではないか。また、機器の関係では、日本の科学の自律性は重要である中で、研究設備・機器の他国依存、これも地方大学の若手の研究者のほうから、シーケンサであるとか外部に委託をするのにお金がかかるというような課題が述べられたというような状況の中で、先ほどの提言、もうまとまっておりますが、時代に即した研究環境の構築というところで、これまでこの委員会で議論してきた内容について御説明しているところでございます。
また、文部科学省においては、NISTEP科学技術・学術政策研究所において、これも以前御紹介しているかもしれませんが、研究施設・設備について十分満足しているという方、こちら左側にもアンケート結果は載っておりますが、JSTの大型予算を獲得したため、新たな研究設備が導入されたというような声がある一方、右側に多数の記述とありますが、施設・設備の老朽化に対応できていない、その人材もいないというような課題が繰り返し述べられているところです。
こういったことについて、諸外国、具体的にはイギリス、ドイツと比較したときのレポートによると、先ほどの福間先生の研究時間の問題とも関わりますが、やはり日本においては、それぞれの個々の研究室で研究機器・設備を購入する傾向にあるというような声であるとか、テクニシャンが充実していないため、学生が研究機器のメンテナンスに取り組むというような声が聞かれたというのも、肌感としても先生方からもよく聞くところです。
それに対して、イギリス、ドイツの調査結果によると、海外、特にイギリス、ドイツの場合は、研究機器・設備は多くの場合、共用であり、テクニシャンが高い専門性を持ってしっかり管理されていると。アンケートの中では、例えば、マックス・プランクとか、ああいうところにおいては、しっかりとそれを管理する方がスペシャリスト、プロフェッショナルとして存在していて、研究者はすぐに研究を始められるような環境にあるというような声なども紹介されているところです。
こういった中、本委員会でも繰り返し話した内容なので簡単に御紹介しますが、研究開発費についても、諸外国と比べて、日本の場合は施設・設備に充てる傾向があると。やはり、これは人件費が充てられ切れていないというような課題があると思います。今回、文部科学省においても、来期から始まる基本計画を見据えて、やはりこういった競争的研究費についても、使途の変容というところにもつなげていきたいと考えております。
また、技術技能系職員、URA等についても、研究者自ら、研究時間等々の制約の大きな要因になっているというような声が寄せられています。
また、冒頭話があったとおり、研究設備・機器の多くを海外企業に依存しているということで、政府全体としても科学技術関係予算を増やしていきたいと思いますが、それを単に海外の施設・設備や、そういったものを買うだけになってしまうと、やはり持続性が確保できないのではないかというふうにも考えております。
また、日本の強みとしての大型研究施設も着実に整備・高度化していく必要がある。それがないと、海外からも追い上げというような状況が見られるということも、有識者会議でも御紹介させていただきました。
そういった中で、科学研究のための基盤の刷新ということで、研究力強化のためには、まず、1つ目としての研究時間の確保、研究パフォーマンスを最大限にする研究費の在り方、研究設備の充実など、研究環境の改善のための総合的な施策の強化が求められているということは、学術会議などからも、下にあるように、繰り返しおっしゃっていただいているような状況になっております。
字が小さいと思いますので、ちょっと見づらいとは思いますが、重要なポイントとして、こちら学術会議のほうから内閣の質問に対しての回答の提言になっております。重要なところとして、一番下のところにハイライトしておりますが、「研究者は、各々が公的な競争的研究費で購入した機器も公共財であるという認識の共有に努めるべきである」ということを学術会議のほうでもおっしゃっていただいているところです。やはり、こういったところを阻害するいろんな仕組み、文化をこの機会に刷新していきたいと我々は考えております。
そういった中、今回、EPOCHも含めて、審議会の議論を踏まえて考えている内容について有識者会議でも御紹介しております。
今回我々としては、単にコアファシリティを整備するということだけが目的ではなく、4象限をまたいでおりますが、例えば、左上、研究費が採択されなくても、すぐに自分のアイデアを試せるようにしていきたい。それは若手研究者はもちろん、新しい分野にチャレンジしたい研究者やスタートアップ、そういった方々にも開かれたような場をつくっていくのが重要ではないか。
また、競争的研究費についても、これまで設備がないために自分で買わなければいけなかったものが、開かれた場があれば、そこを利用するというような形で、単に設備を買うのではなくて、利用料という形で、例えば、技術者の方であるとか、修理に備えた修繕の費用の積立てであるとか、リサーチアシスタント向けの経費であるとか、そういった形で経費の使途を変えていくことができれば、より多く生き金にもなっていくのではないかなと思っております。
また、左下、我々、今回の施策は、成長投資だと思っております。企業の方々も、今日も多くの方は聞かれているかと思いますが、やはり日本の大学というのは、市場、マーケットということではなく、どちらかというと研究開発の場として捉えていただいて、日本で開発したもので海外の市場を取っていく、そこで上げた利益をしっかり国内に還元するというような、エコシステムというところもつくり上げていくということが重要だと思っております。
また、今後は、データについても当然重要になってくると思います。こういったことについても、組織としてしっかりと管理していくというような方向が重要ではないかと我々は考えているという説明をしております。
こういった中、研究力を向上するために、今期、今の基本計画においても、研究人材・研究資金・研究環境の三位一体改革を大学改革と連携してやっていくというようなコンセプトでやっておりますが、やはり次期基本計画に向けては、この研究環境という部分について、しっかりと取り組むということがやはり重要ではないかというような御説明をさせていただいております。
こういったものを、研究人材の、例えば、SPRINGであるとか、特別研究員であるとか、そういったプロジェクト、研究資金についても、研究費の使途の変容等を通じて、研究環境や人材にもきちんと回るような仕組みをしっかりと連動させていくというところが重要だと考えております。
こちら有識者会議でもこういったような資料で説明しておりますが、下側、これまでも我が国においては研究基盤に関する取組としては、例えば、マテリアル領域のARIMであるとか、ライフ系のBINDS、また、歴史的には共同利用機関や共同利用・共同研究拠点など様々な取組が進められていたところではありますが、やはり今後は、こういったものだけではなくて、縦と横の関係ではないんですが、日本全国の研究基盤をしっかり構築するためには、研究大学それぞれにおいてもしっかりとした基盤というものをつくり上げていく必要があるのではないかと考えています。
これまでも、本委員会に所属している皆様の大学においては既に統括部局などを設置いただいているところではありますが、今後、国全体としても、しっかり全国の状況について把握しつつ、機器の開発であるとか、競争的研究費の使途の変容を促進したり、そういった取組を連動していくということに取り組んでいきたいと考えております。
そういったことを通じて、ともすればこれまで競争的研究費の拡充の名の下に、個々の研究者がそれぞれの設備を購入して、管理も十分できていなかったような状況を何とか変えていき、共用設備・機器や技術職員を中心に、研究者が集まってくるような魅力的な場に、次期基本計画中に取り組んでいきたいと考えております。
こういったことを通じて、日本全体の研究基盤を、世界から見ても見劣りしない、魅力的な場にしていきたいと。そのためにも、全国の研究大学と連携し、成長・発展し続ける研究基盤へ日本全体を底上げしていきたいというようなプレゼンをしております。
以下、参考資料になりますが、こちらは委員会のほうでまさに前期で取りまとめていただいた資料についても、「科学の再興」に関する有識者会議についても御説明をし、あの提言においてもしっかり盛り込むことができたと考えております。
今後我々としては、内閣府とも連携させていただいて、こういった我々の議論の内容について、しっかり政府全体でも取り組むように打ち込んでいきたいと考えております。
私からの説明は以上になります。
【網塚主査】 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明を踏まえまして、何か御質問ございましたら、お願いいたします。
特にないようでしたら、先に進めさせていただきますけれども、ただいま御説明いただきました科学の再興の提言、それから、次期基本計画の方向性に沿って、本委員会におきましても議論を深めていきたいと思います。
それでは、次の議題に入りまして、議題2「研究基盤の刷新について」です。
引き続き、事務局から、資料2に基づいて御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【馬場参事官】 ありがとうございます。それでは、続いて、資料2、研究基盤の刷新についてということで、これまで議論いただいてきた内容を踏まえて、EPOCH(先端研究基盤刷新事業)について、具体的な制度設計について、ぜひ御議論させていただければと思います。
こちら復習になります。これまでの主な経緯ということで、本日多くの方々、初めて参加される方も多いかと思いましたので、これまでの経緯を簡単にまとめております。
先ほど御紹介いたしましたが、前期においては研究開発基盤部会で議論を取りまとめしていただき、7月10日には、今後の方針ということで、本日、参考資料にもつけておりますが、取りまとめていただいてきたところでございます。
文部科学省においては、その御指摘も踏まえて、具体的な施策に向けて検討し、8月にはEPOCHについて事前評価をいただいたというようなのが現状になります。
その後、先ほど御説明したとおり、「科学の再興」に関する有識者会議において、我々、この委員会の議論も紹介し、提言においてもしっかりと盛り込まれたというのが現状であります。
加えて、総合経済対策、また、福井審議官からの挨拶にもありましたが、今週、補正予算についても無事に成立し、本日、先端研究開発基盤強化委員会を迎えるというような流れになっております。
今後、親部会でもある研究開発部会を来週25日に開催することを予定しております。また、ちょっと先の話になりますが、2月には、最後に御紹介したいと思っておりますが、先端研究基盤共用促進事業のシンポジウムも公開で行うことを予定しております。
また、2月頃には、この委員会、部会も行って、そちらでは既存事業の事後評価、EPOCHの制度設計をさらに詳細に公募に向けて議論し、年度内には公募を目指していきたいというのが、今全体の流れで考えているところでございます。
こちらの総合経済対策については、既に報道等でも目にされているかと思います。どうしても物価高対策とか外交・防衛が目に当たりがちなところはありますが、この中でも、例えば、真ん中一番下の部分には、未来に向けた投資の拡大というような項目がございます。この中には、先端科学技術、さっきの知財の関係にもありますが、スタートアップ、人への投資の促進というようなところがしっかりと盛り込まれているというところは、文部科学省においても、各省連携しながら取り組むことはできたので、意義はあったというふうに思っております。
これはちょっと細かいので全部紹介はできませんが、真ん中の青色のところの右側のところで、先端科学技術の支援というところで、科研費の拡充というのが、ある意味政府の全体のところにも書かれていますし、産学官の国際競争力強化の文脈の中でも、SPring-8というところも政府全体に書かれているというところは、その重要性がやはり中でも理解がされているというところは大きいと思っております。
こういった中、文部科学省、今週決定した経済対策、補正予算においては、例えば、科研費・創発事業による若手研究者の国際的・創発的研究等への支援、また、「AI for Science」による科学研究の革新と併せて、この後議論する全国の研究者が挑戦できる研究基盤の刷新というような項目についても、しっかり理解を得て盛り込むことができたということについては、まさに先生方のこれまでの御議論いただいた成果かなと思っております。
その他、大学発スタートアップであるとか、このあと簡単に御紹介します特定先端大型研究施設の整備・高度化などについても、特出しして盛り込まれているというような状況になっております。
こちらは本部会、本委員会にも関わるところとして、研究基盤の刷新による研究力強化というふうにまとめております。
繰り返しになりますが、我が国の研究力を総合的・抜本的に強化するためには、人材・資金・環境の三位一体の改革が必要であると。世界水準の魅力的な研究環境を実現するため、次期基本計画を見据え、研究基盤の刷新に取り組むというような記載を頭書きにしております。
1つ目の柱としては、本委員会の双子というか、量子ビーム委員会のほうで主に議論している共用促進法に基づく大型研究施設の高度化についても、NanoTerasuについて、共用ビームラインの増強ということが認められましたし、また、SPring-8についても、SPring-8-IIに向けた必要な経費というところも、着実に来年度の基本計画中に共用開始ができるように取り組むことができております。
また、下のほう、大学等の研究基盤を刷新、これはこの後、御紹介したいと思いますが、こちらについても、政府部内、財政当局、また政治の世界にもしっかりと理解を得ながら、530億円というそれなりの大きな金額を計上することができたというところについても、これまでの御指導のおかげだというふうに感謝したいと思っております。
こちらについても簡単に御紹介します。NanoTerasuについては、ビームラインの増強をしております。こちらについては、これまで3本の共用ビームライン、7本のコアリションという企業専用ビームラインがございましたが、新たに去年認められた1本に加えて、さらに2本共用ビームラインを造ることによって、SPring-8-IIのブラックアウト期間にも何とか間に合わせることによって、日本の研究基盤を維持していきたいと思っております。
また、SPring-8-IIの高度化に向けても、次期基本計画中にしっかりと共用開始できるように、必要な経費ということも計上することができました。
特に強調したいところとしては、こういった部分がまさに、ちょうど先週、ノーベルウィークありましたが、北川先生のノーベル賞受賞にまさにつながる成果を出すことができたということがあります。当然、SPring-8が造られたときは、二、三十年前になりますが、まさにこういったものが科学的にもしっかり世界的に評価される賞に結びついたというところは、やはり研究基盤を整備することの重要性の理解を得るという意味でも大事な節目だったかなと思っています。
ただ、我々としては、まだまだこういったことがしっかりと貢献しているということが世間的には知られていないところが課題だと思っておりまして、先日、SPring-8に北川先生が行かれたタイミングで、地元の小中学生向けに講演会や、記者に向けての記念講演、そういったこともさせていただいております。こういったことを通じて、本委員会でも議論いただいているような研究基盤の重要性について、我々としても積極的に発信していきたいと考えているところでございます。
そういった中、今回、先端研究基盤刷新事業(EPOCH)というような形で補正予算が無事に認められました。
背景・課題については、先ほど申し上げている内容と重複するので省きますが、事業内容として、次期基本計画中に全国の研究大学において、地域性や組織の強み・特色等を踏まえ、技術職員やURAの人材を含めたコアファシリティを戦略的に整備する。あわせて、研究基盤のエコシステム形成に向けて、産業界や学会、資金配分機関等とも協働し、先端的な研究設備・機器の整備・共用・高度化を推進していきたいと考えております。
今回、左下の部分については、事前評価いただいている内容と特に変更しておりませんが、その際には恐らく金額などについても御紹介できなかったと思います。もともと今後の方針、7月10日にまとめていただいたときには20件程度ということを提言いただいていたところ、我々としても、やはりちょっとずつやるというよりは、一気に変えるためには、それなりの規模を変えていかなければいけないというような御説明をしておりました。そういった中で、今回、初年度から15件程度採択することができるようになったというところは、今後の方針で示された方向にも沿っているのかなと思っております。
また、この後も御紹介したいと思いますが、事業期間も、御指摘も踏まえて、5年ではなく10年間というような長期の期間、また、施設が必要というような声であるとか、事業費についても、設備や人材、それぞれ大学によって事情が様々というような状況もありましたので、当初3年分をJSTの基金に計上することによって、より柔軟な執行が可能になったというふうに思っております。こういったことも、まさに先生方、また全国の大学の方々とディスカッションする中で、実態に合わせた、より実効性のある取組にできる土台が整ったと考えております。
こちらについては、先ほども御説明したとおりです。我々は、今回の補正予算、経済対策については、これまでともすればありがちだった、単に欲しい設備を買って、それをまた5年後、10年後、更新するというところをやはり繰り返したくはないと思っています。今回、設備をしっかりと管理できるような体制を、研究者任せにするのでなく、組織として管理するような方向にすることによって、研究者や企業の方ともうまく協働しながら、日本全体としての研究基盤を構築していきたいと考えているところであります。
こちらが8月の事前評価の際に先生方から指摘いただいた事項について、その後どういう対応をしてきたかということについて簡単に御紹介したいと思います。
丸1が、事業開始時期や事業期間、採択件数、施設設備、丸2番目が、データなどのルールの観点、どう協働を促進していくか。最後は、機器開発を含め、持続的な仕組みをどう構築していくかというような観点になっております。
まず、事業開始時期については、我々、概算要求時点では実は2件程度を要求はさせていただきました。やはりこういったものについては、今後の方針を踏まえて、今後10年で20程度というふうに書かれておりましたが、先ほどの科学の再興における議論も踏まえ、やはりこういったものに取り組むということは喫緊の課題だというふうに考えました。
また、予算執行状況調査、これは財務省の執行状況調査においても、昨年度行われた結果、大学において機器が身近にないために買わざるを得ないというような指摘などもございました。これは実際全国の大学に調査をしたところ、週に1回しか使われないようなものであったりとか、保守契約が結ばれていないがために設備が十分使えないような状況になったりとか、そういった状況というのは、今後、科学技術関係予算を十分拡充するにしても、やはり前提となる基盤・組織というのを整えることが重要ではないかというところを、財政当局にも大分理解をいただけたのではないかなと思っております。
さらに、今回経済対策に盛り込んだ理由の一つは、研究者の現場の方々にお伺いすると、やはり円安、物価高騰、消耗品がどうしても割高になっていく中で、どうやってそれを打破していくかということについても、今までつくり上げた仕組み・システムを最大限生かしていくことが成長投資にもつながっていくというように考えております。
そういった中で、もともと事前評価した際には、来年度2件を予定していた中で、そういった部分も含めてすべからく前倒しをし、今回15機関程度の機関を初年度から一斉に開始することによって、来年度から始まる次期基本計画初年度から先導的な研究環境を実現していきたいと考えております。
またあわせて、事前評価の際には、施設の重要性などもありましたことも踏まえて、施設も計上しております。この辺りについても、必要な大学においては施設も計上することができると考えておりますが、全国の大学さんにお話を聞くと、施設があればうれしいという声が多かった一方、今ある施設を十分に活用することも重要という中で、15件の中で5件程度、施設は造ることができるというような立てつけにしております。
こういった中、ある程度の予算を我々は計上することができたと思っておりますが、まだまだ詰めていかないといけない課題もあるかと思っております。例えば、主な検討事項として、対象機関をどう考えるかというような課題です。今後の方針においては、コアファシリティ化が進む研究大学等というふうな御指摘があったかと思います。今後の方針における具体的な要件をどう具現化していくか。要は、統括部局とか、今、大学の中でどういう設備がどのように管理されているのか、そういったところがまず把握できていないと、新しい設備を導入したとしてもうまく機能できないのではないかというところで、今後の方針、7月10日に示された要件について、どう具体化していくかということは重要かなと思っております。
政府においては国際卓越研究大学の選定も進められており、また、大学共同利用機関、同じように国立研究開発法人、そういった機関がある中で、そういったところの扱いについてどうすべきなのかというところも主な論点になり得るかと思っております。
また、施設設備と基金事業の一体的な選定というところ、これも基金についてはJSTに計上し、設備については文部科学省に計上しております。これについては、ばらばらに運用しようとすると恐らくうまく機能しないと思いますので、我々としては、一体的にやったほうがいいと考えております。
あわせて、競争的研究費の使途も変容していきたいと思っております。この辺りについても、どういう形であればさらに効果が事業として全体に機能するのか、こういったことについても、ぜひ先生方の御経験を踏まえながら御指導いただければありがたいと思っております。
まず、研究大学等の要件の部分については、繰り返し申し上げたとおり、上側の大学の取組、統括部局については、大学自身がやらないといけない課題ということで、既に部会において共用のガイドラインを作成し、既にそれに沿って実効性ある取組を各大学で進められているところかと思います。
そういった中で、右下にあります、これは7月10日の今後の方針からの引用ですが、ガイドラインに基づくコアファシリティ化の体制構築や運用の先取的な取組が実施されているということであるとか、研究設備等の所在や共用の状況等の把握ができていること、技術専門人材の所在や専門性等の状況が一元的に把握され、部局等横断的な育成制度やキャリアパス構築に取り組んでいること、執行部のコミットの下、機関に共用拠点を形成するとともに、ネットワーク形成を主導し、その成果検証を行える体制があること、こういったことが7月10日に書かれています。これをどういう形で義務化というか、促進していくかというところについて、具体的な公募・選定に当たっての事前の要件になっていくのではないかなと考えております。
また、競争的研究費のほうについても、我々、この機会に政府全体でも改善をしたいと思っております。これも、あえて今年の3月に出てきた科研費、JSPSの通知について引用してあります。こちらについては、自分も今、各大学の先生方と話をするとあまり知られていなかったので、この場も借りて共有したいと思って、御紹介できればと思います。
この中には、まさにこの共用のガイドラインなども踏まえて、今回JSPSのほうから、研究設備共用の促進について、新たに以下のような記載が設けられているところでございます。
また、特に具体的には、直接経費により購入した設備については、取得価額が1,000万以上であること、汎用性を有すること、補助事業の遂行に支障を来すおそれがないこと、こういったものについては、所属機関内外への共用に努めてくださいということが今回改めて明示的に書かれてはいるんですが、残念ながら、今、全国の大学さんに話をしても、あまりまだ御存じない方もいらっしゃいます。こういったところを、ファンディングエージェンシーと連動しながら、せっかく大学の中で共用されている設備があるにもかかわらず、申請をしていただいてしまってももったいないかと思いますし、また、同時発生的にJST・JSPSで同じ年度に同じ設備をそれぞれ買ってしまうというようなことも避けていかないといけないかと思っています。その経費があれば、技術者の待遇改善であるとか、モチベーションを上げるような取組であるとか、いずれそういった取組にも使えるのではないかと考えておりますので、この場をお借りして周知しております。
我々としては、こういった先進的な科研費の取組について、ほかのファンディングエージェンシーであるとか政府全体でも、同じような姿勢で取り組んでいくことが重要だと思っております。そういう意味で、内閣府とも連動しながら、今回の基本計画にもしかるべき記載ということ、また、それを実行たらしめるような取組というものも、本日の委員会を含めて、皆さんと議論しながら進めていきたいと考えております。
また、丸2番目、研究の創造性と協働の促進ということで、「科学の再興」に向けた提言、下に抜粋を書いておりますが、研究設備等のアクセス確保・持続的強化、また研究費使途の変革に向けて、競争的研究費制度の改革や共用システムの構築、研究データの管理・利活用等への対応が必要だと考えております。
主な検討事項として下に書いてありますが、研究設備・機器の共用化率の倍増、これも単に倍増するということではなくて、大事なのは、やはり本質的に重要なKPIは何なのかというところについても、全国の大学の皆様、また、本日の委員会の議論も踏まえながら設定していきたいと思いますし、それぞれの研究大学等においては、組織・機関を超えた共用システムの構築ということを、設備だけではなくて、人材、データの観点で取り組むということが重要かと思っております。
また、前回の委員会の中でも、研究データをどうするのかというところについても、我々としては、今現在、国立情報学研究所(NII)とも議論し始めておりますし、先行事例(ARIM)の経験、体験、そういったものもうまく活用していきたいと思います。また、こういったデータについても、分析データの共通フォーマットについては、たしか昨年、JISの規格としても認められているところでございます。こういったものも奨励することによって、そろったきれいなデータにするというようなこともできるのではないかと考えているところでございます。
こういったことを通じて、日本全体の共用システムの見える化、これは我々としては本当に設備だけではなくて、技術者がどういった方がいらっしゃるのか、どういうサポートが得られるのか、そういったところをしっかりと好事例を見える化することによって、正のスパイラルが回るようにしていきたいと思っております。
丸2、AI for Scienceについても、他事業・他施策とも連携しながら、よりよいルールメイキングもしていきたいと思いますし、先行する分野も、こういった分野にむしろ合わせていくような形で、いろんな取組を進めていきたいと考えております。
持続的な仕組みについても、今後の方針においては、下のような記載があります。共用の場を活用した先端基盤技術・機器等の開発というような形で、共用の場を接続点とした産学連携による研究ニーズや革新的なアイデア・技術に基づく新たな計測・分析技術開発、試作機開発、新技術開発等が進展、汎用化した先端機器等はいち早く共用の場に導入というような御指摘があったかと思います。
我々としては、繰り返しになりますが、研究活動を支える研究設備の過度な海外依存や開発・導入の遅れ、こういったものが指摘される中、ぜひ産業界の方々、また、学会、ファンディングエージェンシーとも協働し、先端的な研究機器・設備の整備・共用・高度化を進めていきたいと考えております。
JST/CRDSのワークショップを先般開催させていただきました。こういった中では、先端技術開発と連動した共用に関する海外の取組も示されましたが、前回の委員会だったと思いますが、山口大学さんからも、産業界との連携や機器開発だけではなくて、周辺自治体、金融機関、関係大学とも連携することによって、持続的な仕組みを示せるのではないか、そういったアイデアも示されたかと思います。
こういったことについては、どういったものが考えられるのかについても、各大学、また海外の事例も踏まえながら、さらにグッドプラクティスというところを集めていきたいと考えております。
JST/CRDSのワークショップについては、10月29日に、本委員会にも所属いただいている網塚先生や飯田先生、江端先生、岡田先生などにも御参画いただいて、議論を行っております。こちらの報告書については、1月末、恐らく次回の委員会の場には間に合うような形で、報告書がホームページなどにも掲載されるかと思います。
この中で示された一つのアイデアとしては、共用といわゆる機器開発をどう両立していくかと。ともすれば矛盾するようなアイデアかもしれませんが、海外であるとか日本の進んでいる大学においては、例えば、共用の場に、この小さい赤色のループをイメージしていただければ分かると思うんですが、共用の場、魅力的な研究環境がつくれれば、そこにいろんな方々が、研究者を含めて集まってくる。そういったところで、日々のニーズであるとか開発・改良ということが小さいループとして進むのではないか。そういったものがあるとき、大きな機器開発のアイデアであるとか、企業との間でクローズドな関係での大型の開発と、そういったところも進むようなものが海外で行われていると。
自分も、これもどういうふうにイメージしていけばいいのか、さらに今後具体化していきたいと思いますが、例えば、ビルの1階にはオープンファシリティが整っていて、そこにはいろんな方がたくさん来ると。その一方、2階にはクローズドなものが次から次へと研究開発の場として生まれて、そこはそれぞれの企業の方、また、研究者の方が具体的な研究開発、知財、先ほどの管理しながらやっていくと。こういったものができると、オープン・クローズド、そういったところがうまく機能するようになっていくのではないかなと考えております。
これもまだまだイメージ図ではありますが、CRDSの報告書も参考しながら、また、各大学の先進的な取組も伺いながら、公募・選定に向けた準備を進めていきたいと思っております。
最後のページになります。こちら、次回の委員会においては、既存の先端研究基盤共用促進事業の事後評価についても実行したいと思っております。通例であれば、今年度事業が終了する取組もありますので、来年度事後評価してもいいんですけど、大事なのは、やはりEPOCH、次期事業の施策に生かしていくということが重要だと思っております。なので、今年度中には事後評価を実施し、そこで見いだされた課題や好事例をしっかり横展開していくことがやはり重要だと思っております。
ただ、前回中間評価した際には、網塚先生含め、個別の機関にヒアリングを行いましたが、今回はそこまでではなくて、事業全体での共通的な課題というものを見いだすというところにより主眼を置いた進め方をしていきたいと思っております。
また、2月2日には、先ほどお話ししたとおり、各大学の取組についてのプレゼン、事業の成果や課題についても公開の場で議論していただこうと予定しております。こういった議論も踏まえて、見いだされた課題なども踏まえて、EPOCHの制度設計にも生かしていきたいと考えております。
雑駁にはなりますが、私からの説明としては以上になります。よろしくお願いいたします。
【網塚主査】 馬場参事官、どうもありがとうございました。
それでは、これまでの御説明を踏まえまして、皆さんで議論に入りたいと思います。いつものようにお一人ずつコメント、あるいは御質問等をいただきまして、まず一巡させていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
それでは、いつもながら名簿順で恐縮ですが、雨宮委員からお願いいたします。
【雨宮主査代理】 雨宮です。
まず、今回15件採択が可能ということで、一気に加速できるなと思って、よかったと思うんですが、それに関連したこととしては、今回、特に機器の開発とか技術開発のところが結構加わったのがすごくよかったと思うんです。一方で、その15件ある全ての採択されたところでそれができるかと言われると、なかなかハードルが高いということで、2件だったら全部できるところにお願いしたいと思っちゃうところですけれども、15件もあるのであれば、それは必ずしも15件全部でやれなくても、ある程度色をつけて、そうでないところも含めて、つまり、それを必須の要件にはせずにやっていくというのもありなのかなと思いました。
あと、15件というのは大変多いとはいえ、もちろん全部ではないわけなので、漏れてしまうところも必ず出てくるということで、もちろん競争的になるとかは大切ですし、ちゃんとやってくれるところを選ぶのがすごく大切なんですけれども、一方で、その15件から漏れてしまったところにとってもメリットがあるような状態にしていくことがとても大切かなと思います。その中の一つは、多分組織を超えた共用みたいなところだと思うんですけれども、そういったところもちゃんとやってくださるところにお願いできればいいかなと思いました。
取りあえず以上です。
【網塚主査】 ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。
皆様、今の雨宮委員からの御意見につきまして、何か御質問などございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、続きまして、荒砂委員、お願いいたします。
【荒砂委員】 荒砂です。ありがとうございます。
私からは2点なんですけれども、まず、資料2のEPOCHの事業の10ページ目についてお尋ねしたいと思っております。
私、前の大学でコアファシリティ事業に関わっておりましたので、この事業期間10年間と事業費といったところ、事業期間は2倍程度、事業費は10倍近くまで増えていて、非常に文科省の皆様にはコアファシリティの推進に非常に努力なさってくださったというふうに理解しておりまして、ありがとうございます。
私からなんですけれども、事業内容の1つ目で、技術職員やURA等の人材を含めたコアファシリティを戦略的に整備するというところについて、1つコメントなんですけれども、今、文部科学省さんのほうでも、研究開発マネジメント人材といったところを積極的に進められていると思います。こういった方々がコアファシリティの事業に加わるべきであると思っておりますので、URA等というふうな書き方になっておりますけれども、こういった人材も関わるべきというような形で整理していただけるといいのかなと思っております。
あとは、URA等といったところは、私もURAですけれども、コアファシリティに参加できるかといったところは、経営陣の先生方の御采配によりますので、経営陣の先生たちが、URA、研究開発マネジメント人材がこういう研究基盤に関わることが非常に重要であるというふうに認識いただいて、そして、そのように采配していただけると、こういった事業に我々のような人材が積極的に関わっていけるような環境となりますので、その辺りもぜひ皆様から各大学へプッシュいただけるといいのではないかなと思っております。
もう1点ですけれども、もう1点は、データのところで少し質問というかコメントなんですが、同じ資料の16ページになります。
データのところでは、丸2の創造性と協働の促進といったところで、高品質な研究データの創出・活用というところがありまして、ルールの明確化と書いてくださっておりますけれども、これは非常に重要であると思っておりまして、各大学においては、研究データの管理・利活用といったところは、今まさに取り組んでいるところであると思います。ルールの構築といったところは非常に苦労しますので、ゼロベースでつくるのではなくて、ほかの資料にもございましたけれども、ARIMですとか、または進んでいる分野で構築されているものですとか、好事例といったものを活用して、あまりガラパゴス化しないというか、できるだけそれぞれの大学独自のものではなくて、あるものを活用して進めていくと、スピード感も出せていいのではないかなというふうに感じております。
あと、即時公開では、NIIのRDCを使うようにというふうになっておりますので、NIIのシステムとの連携といったところ、今構築中のものもございますけれども、そういったところもきちんと我々も把握しながら進めていけるといいなと思っております。
すみません。ちょっと長くなりましたが、2点でございます。
【網塚主査】 どうもありがとうございました。
皆様から何か御質問などございますでしょうか。よろしいですか。
おっしゃるとおりで、研究基盤に絡むことなので、URAの方も、技術者の方も、教員も、それから事務職員の方々も、大学のかなりの方々による協働が進むのではないかなというふうに個人的には思っていますし、そうやって進めていかないとうまくいかないのではないかなというふうに思うところです。ありがとうございます。
【馬場参事官】 よろしければ、多分、御質問が多くなると答えるのを忘れてしまいそうなので、答えられる範囲で今答えてもよろしいですね。
【網塚主査】 そうですね。すみません。お願いします。
【馬場参事官】 今のデータのところについても、正直、我々も悩んでいるところであるのは確かです。なので、荒砂先生がおっしゃるとおり、ここもまさに先生の御指摘も踏まえて、先行事例の活用とARIMの活用というふうに書かせていただいたのは、多分これもゼロから議論するといつまでたっても議論が終わらない可能性が高いので、まずはARIMの事例を参考にするのは、一つ考えとしてあるかなということで、NIMS側さんとも話しております。
また、NIIとも、今回の経済対策においては、彼らの取組についても強化するということを考えております。なので、やはりこういったデータをつくるという部分については、今回EPOCHに選定される大学にお願いしたいところではありますが、活用なりためるというところについては、NIIとも連携して、また、ほかの施策とも連動しながら、少なくとも公募なりを始めるときには、ルールをある程度示した上で始められると、皆さん取り組みやすくなるのではないかなというのが、まずは2つ目の御質問です。
1つ目の人材についても、まさに御指摘のとおりで、学術会議の提言の中でも、同じようなコアファシリティだけではなくて、あそこにはたしか博士号取得者がいるようなコアファシリティというのが資料1-2に書かれていたと思います。
大事なのは、そういったものを強調しないと、設備だけが立派になっているけど扱う人が全くいないということになってしまうと全く意味がないなということで、今回、事業の資料にも、先ほど荒砂委員から御指摘いただいたとおり、技術職員やURA等の人材を含めたコアファシリティというような概念を今回記載はさせていただいております。
その際には、研究開発マネジメント人材だけではなくて、ちょうど今、文部科学省においては技術職員のガイドラインなども検討中でありますので、そういったところもきちんと取り組んでいただけるというところは、ある意味前提条件というか、ある意味先導していただくというような役割を担っていただきたいなと期待しているところです。
雨宮委員の指摘も忘れないうちに答えておくと、もう全て御指摘のとおりです。今回選ばれる、まさに手を挙げていただけるところは、日本全体の研究基盤の一翼を担っていただけるというところに入っていただきたいので、間違っても自分の大学とか自分の部局のためとか、老朽化した設備を更新したいとか、そういった背景はあってもいいんですけど、やはり日本全体のためにやっていただけるところを応援したいと思いますし、さっきの機器開発についても、同じように、自分も正直、機器開発できないと、民間企業と組まないと持続的な資金は難しいのではないかというふうに思い込んでいましたけど、そうではないというような事例も幾つかお伺いしておりますので、ぜひそういったことについても具体的にいろんな話をこれからも聞ければいいかと思っています。
簡単ですが、以上です。
【網塚主査】 ありがとうございます。
皆様、よろしいでしょうか。
それでは、続きまして、飯田委員、お願いいたします。
【飯田委員】 飯田でございます。ありがとうございます。
先端研究基盤の刷新につきまして、分かりやすく御説明いただき、誠にありがとうございました。
EPOCH事業は、日本の研究力の抜本的向上と科学技術力の向上に資するものとして、分析計測機器を開発・製造・販売する企業も大いに期待しておりますし、ステークホルダーの一員としてしっかり貢献する所存です。大きな成果をぜひ上げるようになってほしいと期待しております。
EPOCH事業への大学様の関心も大変高く、島津製作所関連でも、既に少なくない大学様からいろいろコンタクトをいただいております。各所で活発な準備が始まっていると拝察します。
島津製作所にコンタクトいただきました内容やディスカッションも踏まえまして、文科省様に3つお願いしたいと考えております。
まず、お願いの1つ目ですが、研究基盤の整備を通じて研究力を抜本的に向上させるというEPOCH事業の目的に鑑みますと、コアファシリティ・ネットワークの形成にしましても、先端機器の開発にしましても、それらがどのようなサイエンスを推進するのか、すなわち、どの分野で、またサイエンスの裾野を広げるのか、特定領域で深めるのかなどが大変重要です。大学様には、この点をよく検討して提案を行っていただきたいと希望しております。
また、国におかれましては、基盤整備の観点のみならず、大学からの提案において、各分野のサイエンスに関する計画と、その分野のサイエンスのトレンドを踏まえて、提案の吟味をお願い申し上げます。
資料2、研究基盤の刷新についてのページ12、事業内容として、技術職員やURAなどの人材を含めたコアファシリティを戦略的に整備すると、先端的な研究設備・機器の整備・共用・高度化を推進するが併記されており、大学様によりいろいろ特性を生かして考えていただくものと理解しておりますが、あたかも両方備えないといけないという感じで、機器開発は何にしましょうと企業にアプローチいただく感じも既にございまして、EPOCH事業の目指すところから離れる懸念を感じ、要望させていただきました。
お願いしたい点の2つ目です。先端機器の開発・整備を行う上で、大学様で対応できる技術者が不足しているということがボトルネックの一つであるように耳にいたします。ある程度は企業から技術者を派遣し、大学の技術者や学生を指導することが可能ですので、それに係る人件費や旅費もカバーできるようにしていただきたいと希望しております。この点の御検討をよろしくお願いいたします。
最後、3つ目ですけれども、新規事業であります産業・科学革新人材事業における先端技術分野の人材育成とEPOCH事業における機器共用を支える技術支援人材の育成には重なる部分もあると思われます。この整合性ですとか違いを明確にしていただいて、申請される側が混乱されることのないような制度設計をお願いしたいと思っております。
大変長くなりましたけど、お願いを3つ申し述べさせていただきました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【網塚主査】 ありがとうございます。
馬場参事官、コメントございますでしょうか。
【馬場参事官】 ありがとうございます。
しっかりとした御意見があったので、すぐに受け止められない部分もあるというか、しっかりと吟味した上で対応を考えていきたい御質問が多かったなと思います。
御指摘のとおり、今、我々のところにもいろんな大学さん、研究者からお問合せが来るのは事実であります。そのときに、先ほど申し上げたとおり、施設をただ老朽化したから直したいとか、自分がこういう機器を今開発しているからやりたいとか、そういった声を聞くんですけど、今回やはり提案の主体としては、研究者の方というよりは大学として提案をいただきたいと。特に、そのときには、仕組み、システムをつくり上げていただきたいというところを強調させていただいているところではあります。
当然、強みのある先ほどのサイエンスの部分というところはあってしかるべきだと思うんですけど、その前提としての研究基盤をやはり大学全体としてどういう形で有効活用しているのか、管理されているのか、その上での特徴、強みというのが、前にお話しした2階の部分というところでの特徴になっていくのではないのかなと思っております。
いずれにしても、我々も先ほど最後にCRDSのワークショップの事例を示しましたが、大学の皆様が悩まれないように、もう少し具体化したようなコンセプトみたいなものを打ち出していければいいかなというふうにまず思っています。
2つ目の御質問については、企業との連動については、まさに会社、企業の皆様がウィン・ウィンの関係、インセンティブが湧くような形をつくり上げていくことが重要だと思っております。
実際、あまり平場で言うのもなんですけど、財政当局と議論する際には、民間企業のしかるべき対価を出してもらうべきではないか、マッチングファンドではないか、さらには、2倍、3倍の国費の分以上のものを出すべきではないかというような議論も当初ありました。ただ、やはり議論していく中で、重要なのは、しっかりと企業の皆様がコミットメントできるようなものをつくり上げることがやはり重要だろうと。その際には、単なるインキャッシュのお金ではなくて、例えば、本来であれば、これまでは企業の中だけで閉じてつくっていた開発みたいなものを、大学の場を使って開発をすると。その際には、今開発中の機器、物によっては1,000万、1億円、場合によってさらにその上の機器を大学の場に置いてもらうということは、ある意味、インカインドでの十分な貢献になるというところは、財政当局も認めているというような部分になります。
なので、大学と企業が組むときに、それぞれのやりやすい協力の仕方ということはあると思いますが、少なくともそういった共有の場があれば、お試しではないんですけれど、市場に出す前に大学においていろんな方に使ってもらうと。そこで満足すれば、ほかの研究者も使う、ニーズも分かるというような形での連携というところもあるかと思いますし、研究者・技術者の派遣というところについても、多分島津さんがやられたような、例えば、技術者が派遣されることによって、そこでまた学位を取れるとか、いろいろと派遣される方、また企業側、大学側にとってもメリットあるような形での仕掛け、仕組みみたいなものも、大学側とも連動しながら提案していただけるとありがたいなと思っています。
いずれにしろ、我々としては、大学・企業の皆様が考えられるようなアイデアをあまり制約するというようなことは考えたくはなくて、なるべくそれぞれの考えを具現化する、具体化するための後押しになるような設計をしていきたいと思っております。
最後の産業人材のことについては、御指摘のとおりで、たまにというか、質問されたりはします。こちらについては、JST両方とも行いますし、我々担当課も隣同士というか、同じフロアにおりますし、実はいろいろと議論はしております。
大事なのは、この両方の事業だけではなくて、これまでどうしてもデマケーションというところを言われがちでしたけど、むしろいろんな取組を連携・連動させていくことが重要だと思っております。
というのも、これもよく御質問されますけど、EPOCHと産業人材に加えて、例えば、大学の中での共共拠点であるとか、今あるARIMとか、そういったところをどう連動するんですかということについては、なるべくであれば、それぞれ進んでいる取組が、ある意味そこだけが特区的な形になるのではなくて、よりよい仕組みをうまく取り入れて、大学全体の研究力につなげていけるようにしていただきたいと思いますので、あまりこれとこれは違うというような説明ではなくて、こういったものが既にやられているので、さらにそれをこういう形で加速する、産業人材との関係でも、EPOCHでこういったことをやって、産業人材ではこういったことをやるというようなことを説明いただければありがたいなと。
いずれにせよ、既に御指摘いただいたところについては、特に今回の経済対策、補正予算の関係では、EPOCHと産業人材については連動していきたいというふうに我々としても考えているところです。
ありがとうございます。
【飯田委員】 ありがとうございます。
【網塚主査】 よろしいでしょうか。皆様から何かコメント等ございますでしょうか。
それでは、続きまして、江端委員、お願いいたします。
【江端委員】 ありがとうございます。江端です。
今回EPOCH事業を立ち上げていただいて、我々のこれまでの審議会等での議論をしっかりと踏まえていただいて、そして、そこでいろいろな要望をさせていただいたんですけども、これもほぼ全てまとめていただいて、組み込んでいただいて、設計していただき、そして、最後に予算をしっかりとつけていただいたということで、もう正直、今までの共用事業の集大成として非常にすばらしい事業になったかというふうに考えております。その点に関しまして、文部科学省をはじめ、関係者の皆さんに感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。
これまでの議論を踏まえて、検討事項様々ありまして、私からはいろんなところでコメントしたいとは思うんですけれども、それは時間の関係もありますので、かいつまんでお話しできればと思います。
まず、17ページになりますけれども、ここに施設と基金事業の一体的な選定ということが書いてあります。これは非常に重要だと思っていまして、やっぱり施設整備とか、そういったことを進めていく上で、往々にしてあるのは、施設とか建物が整備はされる、あるいは、そこにちゃんと設備がきちんと配置されるということはあるんですけれども、それと大学全体のマネジメントが一体的に動いていないという事例がやっぱりすごく多くあるというふうに私自身認識しております。
そういった意味で、今回のEPOCH事業に関しましては、そういったハード面のところと、しっかりとしたマネジメントをかなりしっかりとリンクをさせて運用していくことというのが非常に重要だと思いますので、この点を書いていただいて、御検討いただけるということは大変重要なポイントだと思っています。
それを踏まえて、競争的研究費の使途の変容というところも、同じようにこれらの建物、事業にセットで入ってくるようなところというのは、マネジメント上、一体的に考えていかなければいけないということで、荒砂委員からも御指摘ありましたけれども、こういったデータを集約するとか研究基盤IRというのを推進していく上では、マネジメントを進めていく一体的なデータ管理とか、情報をしっかりと把握しておくコアファシリティ統括部局がしっかりと把握しておくということが必要だと思っております。
その辺を踏まえて、次の21ページのところの検討事項になりますけれども、共用化率というのはいろんな定義がありますけれども、これまではっきりした定義がなかったということもありまして、e-CSTIで共用化率というのはある程度定義されていて、それをベースに議論が進んでいるかと思います。
一方で、これの定義であったりデータの集約に関しましては、まだまだ足りない部分があるかと思っていまして、こういったデータをいかにして共通化し、多くの方々に認識していただけるかというところは非常にポイントだと思っています。
もう一つ、共用システムの構築の部分でも、設備・機器、人材、データというふうに書いてありますけれども、これもこれまで共用システムを構築していく上で、共用体制を構築していく上で、大きな問題になっていたところです。
これらの話を、今回の事業も含めて、一つの大学で何とかしようと考えるというのは、なかなかうまく回っていかないと思います。そういった意味で、日本全体のためにということは馬場参事官からも何度もお話しいただいたところではありますけれども、日本全体を考えていく上での俯瞰したシステム構築、そして、それをしっかりとマネジメントできる体制づくりというのが重要なポイントで、このEPOCH事業が成功するか否かというのは、そういったところにかかってくるかなと思っています。
したがって、各拠点が競争して何かやっていくというよりも、この15拠点が連携し、さらに、皆さんからも御指摘があったように、今回採択されなかった大学にもメリットがあるような形での提案というところに結びつくような仕組みというのを入れていただくというのが大事だと思っていますので、今回JST事業として進めていくというふうに伺ってはいますけれども、JSTの方にしっかりマネジメントしていただくとか、あるいは、何かそういった俯瞰してマネジメントができるような体制づくりというのをしっかりやっていただくというところも含めて、公募の内容を詰めていっていただければと考えております。
今、最後に23ページで出していただいたように、例えば、ARIM事業、BINDS事業とか、共共拠点とか、各大学で進められていることもありますので、それを包括的に一大学でマネジメントしていくというのも結構大変なんですけれども、実際に共共拠点は横串が通っているという部分も御存じのとおりありますから、そういった意味でも、横串を常に意識していただいた形にしていただければと思います。
すみません。長くなりましたけれども、以上となります。
よろしくお願いします。
【網塚主査】 どうもありがとうございます。
皆様から何か御質問、御意見、コメントございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、続きまして、岡田委員、お願いいたします。
【岡田委員】 まず、今回このような形で、当初2件とか言っていた話が、15件とか、予算も大きく増えていると。もともとこれまでいろいろ議論していたことが、このような形でいよいよ制度として実現するということで、文科省の方々を含め、いろいろ御尽力いただいたということに非常に感謝いたします。
一方で、逆に2件が15件になったというような、お金がたくさんついたというのはいいことだと思うんですけれども、一方で、失敗できないなという気が多分に。2件だと、こけても2件なので、これはテストケースで、残りはちゃんとやりますとかと言い訳はできると思うんですが、15件でこけると、多分もう次はないので、本当に待ったなしのことになると思うので、そういう意味で、非常に難しい部分も出てきたかなというふうに思っております。
その意味で、少し制度設計について、あまり大学の提案に任せるということにしてしまい過ぎると、必ずしもこちらで議論していたようないろいろな考え方がうまく実現しないのではないかという点が心配なところであります。
特に、今回補正予算で一気にお金がついて、一気にやりましょうということだったと思うんですけれども、これまでも過去の経緯もありがちなやり方だと思うんですけれども、一方で、やはり本件のような話では、もちろん設備につけるお金というのが大事だということはもちろんなんですけれども、でも、恐らくそれ以上に大事なのは、人につけるお金で、今、特に大学等で一番大きな問題になっているのは、運営費交付金が年々削減されている中で、経常的な経費をどういうふうに確保するかと。その中で一番大きな分は、やはり人件費なんですね。人件費って経常的な経費で、しかも、御承知のとおり、今、人件費、非常に猛烈な勢いで、物価以上にむしろ人件費が上がろうというぐらいの勢いで上がっている中で、人件費負担というのは非常に大学の運営に大きな影響を与えている部分だと思っています。
そうすると、そういう中で、教員の人件費だけでも非常に大きな負担になっている中で、教員以外の、例えば、まさに今回のような研究のサポートを行うようなスタッフの人件費というのは、これまでの歴史的な経緯でも真っ先に切られてきた部分ですので、そこの部分をどうやってむしろ確保していくかということを考えると、今回20億円から30億円ぐらいのお金というのが各拠点に行くということになっていますが、これは、ほとんどそれを機器とか設備とかに使ってしまって、人件費は、これまでいる人材を再配置するだけで済ませるみたいなことをされてしまうと、多分非常に大きな問題で、むしろこの20億とか30億って、大体、今どきこういうことをやってくださるような技能がある方を1年雇おうとすると、1億ぐらいですよね。これからの人件費の高騰とか社会保険も全部含めると。そうすると、1人雇っても1億円ぐらいなので、例えば、10人雇おうとすると、それだけで10億円なわけですよね。
だから、そういうことを考えると、実は20億円から30億円って、結構人件費のことまで考えると、最初から人件費はこのぐらいちゃんと用意してくださいということを計画的に出していただかないと、20億円で何億円もする装置を何個か買っておしまいとかというふうにされてしまうと、なかなか回っていかない部分があると思うので、その辺の人件費をどう確保していくかという部分はすごく大事ではないか。
企業から人を出してもらうと言っても、企業もただで人を出すというわけにはやはりいかないですので、そういう意味で、やはりこの事業の中で、いわゆる設備的な部分とか、機械とか、そういうのに出すお金以外に、人に出すお金というのをこの中でどのぐらい確保するのが政府として考えている考え方なのかというのは、ある程度具体的なラインとしてガイドライン的に出して、それに合うような形で計画を出していただくということをしないと、入れ物は造ったけど、実際にほとんど人がいなくてなかなか設備として回らないとかということになりかねないのではないかなと強く危惧いたします。
一方で、AI for Scienceの関係で、データサイエンス、データベースとかの話については、以前から申し上げていますけれども、AIの技術をいかに活用していくかということが多分重要で、既にあるデータとかの中でも、それを人力でいろいろフォーマットを整えるとなると大変ですけれども、例えば、実際に医療関係の分野では、カルテとかのデータって、それこそお医者さんがそれぞれの流儀で自由に書いている内容という部分だと、最近はLLMも非常に発達してきたので、そういうのをうまく使って読み取ることで、カルテの情報をデータベース化するというようなことも現実に行われてきているということを考えると、研究者の方々は、データを取って、データと一緒に多分ノートを書いているはずなので、そうすると、そういうのをいかにうまくAIを使って取り込んでいく、あるいは、将来的には、データフォーマットを整えるというよりも、今電子カルテが発達しているのと同じように、電子ノート的なものを作るとか、あるいは、例えば、病院だと、退院するときに退院サマリーを書くというような形でやっていますが、それに対応するような、例えば、論文を出すときにそのサマリーを書くというような形で、そこの部分を多分AIがサポートするという形で、研究者の手間も増やさないような形で、データをうまく集約する仕組みを国内の中でつくっておかないと、多分、今、猛烈に海外の、特に出版社がそういうデータの囲い込みを今行おうとしているので、そういうところが大事かなと思います。
あともう一つ、最近、企業の方々とも、今回のこういう話も含めて話をさせていただいていて、非常にやりにくくなってきたなと思っているのは、今回のこの話でもそうですけれども、アルファ機とかベータ機、あるいは、製品になったような機械を今後の研究開発のために大学等に供与していただいて、それを使って研究開発を行うという活動はこれまでも行われてきていましたし、今回の、今まさに映していただいているこのページのここの部分の研究開発を企業と連携して行っていくという部分で、前提になる活動だと思うんですけれども、近年、各会社様でコンプライアンスについての議論が非常に厳しくなっていて、そういう活動は利益供与に相当するので、コンプライアンス的に適切ではないということで、研究開発の部分とアグリーしていても、最終的に会社のほうの法務からストップがかかって、プロジェクトが止まってしまうというケースを実際に複数経験しているんですけど、そういう意味で、こういうところで、いかにそういう問題を、まさに法律とか、コンプライアンスとか、そっち側の枠組みのほうで、これを具体的にちゃんと回していけるような仕組みをどう担保していくかという部分も、それは多分政府が一番やりやすい部分だと思うので、そういう形で、企業のほうもうまくコンプライアンスとかそういう問題に影響されずに入っていけるような仕組みをつくるということも検討していただければと思っております。
以上です。
【網塚主査】 どうもありがとうございます。
皆様から何かコメントございますでしょうか。非常に鋭い御指摘かとは思いますが。よろしいですか。企業の方から何かコメント等ございましたら。後ほどでも差し支えございませんので。
【馬場参事官】 よろしければ、事務局のほうからもよろしいでしょうか。
【網塚主査】 お願いします。
【馬場参事官】 鋭い指摘が生々しい間に、ちょっと答えておきます。
【網塚主査】 お願いします。
【馬場参事官】 どれも本当にこれまで議論に参画いただいていた岡田委員だからこその御意見かと思っていまして、また、海外から、多分時差がある中、本当にありがとうございます。
3点、どれも本当に我々も大事なポイントだと思っています。
まず1つ目が、人材の話だったと思っています。これもまずある大学へ行ったときに言われたこととして、自分はそれはありかなと思ったのは、今回の事業費は、設備はむしろ買わせるべきではないのではないかというような御意見もありました。設備みたいなものは、今後競争的研究費などで順次拡充していけばよくて、むしろこういった事業を通じてやるべきなのは人ではないのかと。やはり人がいないと言われがちだけど、それは待遇とか、リスペクトとか、そういった問題であって、本来は、民間企業で本来専門ではない仕事をやられている方、アメリカの事例も前に岡田委員か誰かから聞いたことはありますけど、やはり皆さんそういった方々が、いわゆるGAFA系から切られている中で、大学に戻り始めているような事例があると。そのときに、今までの待遇で十分かと言われれば、そういった待遇では当然難しい中で、仕方なくまたほかの民間企業へ行かざるを得ないというようなお話も伺いました。
やはり今回、コアファシリティの、例えば、マネジャーみたいな方というのは1億円という話もありましたけど、今後どういう研究が行われていくのか、そのためにはどういうものが必要なのか、そういったところもしっかり理解してやっていく方というのは、やはりそれなりのスペックという言い方はよくないのかもしれないですけど、人材が必要であって、そういった方にリスペクトを持ってお迎えをしていくということができれば、アカデミアというか、大学にもそういった専門性がある方が残る、逆に言うと、企業で専門性を磨いた方が戻ってくるというようなきっかけにもなるかなと思っているので、個人的には、そういう設備は要りませんという提案が来たら格好いいなというふうに思ってはいますが、ただ、実態的には、ほかの大学さんからやっぱり設備は必要なんですという声が聞かれたので、現状は基金ということなので、柔軟に大学の実情に応じた申請ができるような形を今考えてはいます。
2つ目のデータの部分もまさに御指摘のとおりで、今のままだと、日本のいろんな研究データが海外に抜かれかねないというか、論文を発行するときにはデータを出してください、データベースに登録してくださいということになってしまうのではないかなというところを危惧しています。なので、こういったところについても、先ほどの荒砂委員の御指摘も踏まえて、日本としてどうしていくのかというところは考えていきたいと思いますし、先ほど江端委員から御指摘あったとおり、国がやるところ、JSTがやるところ、大学がやるところというところを、もう少し我々も整理したいと思います。
企業のところも、コンプラは大事な観点で、ちゃんとやらなければいけないと思いますので、そこはぜひ本委員会の企業の方々にも議論を深めながらやっていきたいと思いますが、やっぱり自分はちょっと懸念を持っているのは、いろんな基礎研究成果が事業化しました、海外企業と連携してという話を聞くと、やっぱりもったいない気がしていて、本来、これまで基礎研究投資も含めて、北川先生の事例ではないんですけど、10年、20年やってきた成果の最後の果実をなぜか持っていかれてしまうと、それも海外のコンプラのルールに基づいて進んでしまって、日本が待っている間に先に行かれてしまうというのが恐らくたくさんあると思います。
やはり、今回の高市政権ではないんですけど、技術で、かつて産業でという話にならないように、企業側においても、大学においても、ルールに基づいてしっかりと運営できるようにしていくと。そのためにも、こういったいろんな契約についても、岡田委員の場合は、いろんな企業と契約されていると思うんですけど、個々の研究者がやるのはやはり限界があるので、大学においてもしっかりと法務の企業にも対応できるような弁護士、そういった方も含めて、組織的に取り組んでいくことによって、大学にアセットをストックとして積み上げていくということが、今回の機会も含めてやっていくことかなと思います。
どれも重要な指摘かと思いますので、コメントさせていただきました。
以上です。
【岡田委員】 1点だけ。多分、実際に企業の方々、特に企業の法務の方とこういう話をするときに、大学単独でもなかなか難しいということをおっしゃられているので、だから、今回このような国の事業がバックにあるということで、国の公共的な事業であるという、それに参画するという形になると、コンプラの問題は大分緩和されるらしいので、大学丸投げではなくて、こういう枠組みの中でうまく回っていくということができると、その辺うまくできるのではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
【馬場参事官】 ありがとうございます。
【網塚主査】 ありがとうございます。
よろしいでしょうか。だんだんいい時間になってまいりました。
続きまして、上西委員、お願いいたします。
【上西委員】 山口大学の上西です。大分いい時間になってきたということですので、少し手短にいきたいと思いますけれども、委員会で今まで議論してきたことを、EPOCH事業という形で、しっかりと事業としてつくっていただいて、ありがとうございます。
それで、私の問題意識もかなり岡田委員と近いところはあるんですけれども、この事業をやるために、様々な人が必要になってくると思うんですね。その中で、当然マネジメント人材とか、そういう人材も必要ですけれども、私の一番の問題意識は、技術職員の質だけではなくて、量そのものが圧倒的に不足しているので、そこをしっかり確保できるような仕組み、制度にしてもらえるといいのではないかと思います。
先ほどのデータでも、40年前の半分以下になっているというデータもありましたけれども、岡田委員も言われたように、真っ先に切られるのは技術職員のような方々であり、こういう事業ができたからといって、即技術職員を増やしましょうという形にはなかなか大学はなりにくいところもあります。制度的に自由度が高いのはすごくいいんですけれども、ただ、今文部科学省さんでつくられておられる技術職員の人事制度のガイドライン等も踏まえながら、質を確保していくのも大事ですけれども、やっぱり量が圧倒的に不足している部分があるので、技術職員をどのように確保していくかというのは、しっかり制度設計上盛り込んでもらうといいのではないかなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
私からは以上です。
【網塚主査】 ありがとうございます。
馬場参事官、コメントございますでしょうか。
【馬場参事官】 大丈夫です。
【網塚主査】 大丈夫ですか。おっしゃるとおりかと思います。
皆様から何か御発言ございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、上村委員、お願いいたします。
【上村委員】 大分時間も迫ってきておりますようなので、本当は皆さんがおっしゃっていないところだけを言おうと思ったんですけど、私も結構同じことになってしまうんですね。
先ほど馬場参事官がおっしゃったように、幾らノーベル賞を取っても、やはり国民に還元するということが、国税を使う国民に対してフィードバックといいますか、そういう形に多分なると思うんですね。ですから、私も全く同じ意見でして、そういうものが、国民がやっぱり科学って自分たちの生活に役立つんだということが、すごく遠いところではなくて、そういうところを実感できるような仕組みをつくるために、このEPOCH事業であったりというふうに思うんですね。ですから、そこのところは本当にAMEDでもそうですし、JSTでもそうなんですけど、私は割とアウトプットを求められる事業のいろいろなものをやっておりまして、それで、それはもう日本全体の課題であると思います。
ですから、幾らノーベル賞を取ろうとも、その成果物を日本に持って帰ってくるような、そういう仕組みをぜひ文科省様でつくっていただきたいし、文科省様というよりも、日本全体に、ほかの省庁とも連携されるということなので、ぜひその辺のところを、ただ自分の興味で研究しているというと、国民は分からないわけですよね。すごいことをしているのは分かるんだけど、結局その辺が国民生活にとって目に見える形で利益還元できるというのが、やっぱり最低限、国税を研究費に使う見返りとしては重要なのではないかなと思います。
ディスラプションとしては、結構日本としては、ノーベル賞もそうですけど、イグノーベル賞も毎年出ていますし、イグノーベル賞も決してどうでもいいことではなくて、ちゃんと詰めさえすれば事業になるものも多いと思いますので、その辺りを、やっぱりディスラプションができる国民性なわけですから、それはもうほかの国に対しても非常に有利な我々日本人が持つ素質だと思いますので、それをぜひそういう利益に還元するような形の仕組みをつくっていただけるように、それで、それを大学一つ一つに求めるのは、なかなか法務の問題もございますし、いわゆる企業法務ですから、ちゃんと法廷係争で勝つような、そういうものなので。ですから、なかなかそういう組織を大学自体に持つのは大変だと思うんですけど。
でも、京都大学の事例なんかを見ますと、非常にそういうのが大学の中でもよくできておりまして、私が担当している事業なんかでも、ベースとして企業法務人材を持っていらっしゃるところが結構多くて、それを使ってやっているという事例もありますので、ぜひそういうのを、さっきの17ページの、オープン・クローズドのところありましたよね。ああいうところも非常にうまく使っているので、そういう仕組みを参考に全国展開をしていったらいいのではないかなと私は思います。
ですから、その辺を、ここで変わるというか、再興とおっしゃっていますけど、ほかの国が上がったことで日本が落ちたように見えているように思っているので、科学の新興というのが私はいいかなとか、ここを今さらながら思ったりもするんですけど、やっぱり今までできてないことをやっていかないと、ハーモナイズだけではなかなかうまくいかないのではないかなと思いますので、ぜひ大鉈を振るって、そのような仕組みをつくっていけるように、私たちも協力しますけど、企業の人たちともお話しになりながら、つくっていくという形が取れればいいかなと思っております。
それから、岡田委員がおっしゃっていました人材というのも、SPring-8ではJASRIというのがありますし、J-PARCではCROSSというのがあるんですけど、やっぱりなかなか募集しても人材が、やっぱりビームラインテクニシャンとかで来ないというんですよ。やっぱりそれはヨーロッパとかでうまくいっているのは、ヨーロッパというのは、ヨーロッパという仕組みがあって、その間に人材のいわゆる回転ができるわけで、その間でプロモーションとかもできるんですよね。だけど、我が国の場合は、ですから、ちょっと国の中で幾つかの、それでも中でいろいろ今回るようになってはきているんですけど、やっぱり韓国とか台湾とかありますでしょう。そういうところも含めたアジア全体として考えていくというのもいいのではないかなと思います。
ですから、プロモーションするというのは、やっぱり一つのいい人を集めるあれになりますし、そういう国と国との間の刺激というか、そういうのも非常に重要だと思いますので、その辺りも、日本国内だけでなく、そういう人材のサイクルを回すというか、そういうことをヨーロッパみたいにしてできると、また一ついいのではないかなと思います。
それから、AI for Scienceは、本当に難しいのは、先ほど岡田委員もおっしゃっていましたように、施設監査とか、そういうところなんですよね。だから、もう同じように機器でやっていても、その施設監査のところがありますと、全くちゃんとしたデータになりませんし、だから、そういうのをLLMとかを使ってちゃんとハーモナイズするというか、そこが本当は一番難しいところであって、フォーマットについてはかなりもうできるようになってきているんですけど、その辺りを、日々のデータを取るときの誤差と施設監査の問題とか、そういうことは本当に考えていかないと、何をやっているのか分からなくなってしまうので。だから、どれもそうなんですけど、やっぱり結論が大事といいますか、成果が大事といいますか、成果を出さないと、やっぱりもう駄目、いわゆる結果につながらないといいますか、そういう時代になってきていますので、その辺り、ちゃんとやってマネジメントしていくというのはやっぱり大事かなと思います。
以上です。
【網塚主査】 ありがとうございました。
コメント、御質問等よろしいでしょうか。
続きまして、田中委員、お願いいたします。
【田中委員】 NIMSの田中です。
もう大体の意見が先生方から出ているところなんですけれども、10年という期間でできるということ、それから、基金事業ということで、繰越しが可能ということなんですかね。共用で装置は使っていると、いつ故障するか分からないし、たまにビギナーのユーザーさんがちょっと壊してしまうというようなこともあったり、あるいは、最近は異常気象が多くて落雷等で急に駄目になるというようなことはあるので、これは非常にいい方法で、有益に運用していけるのかなと思います。
それから、そういうことが可能かどうか分からないんですけど、設備を買うか買わないかというお話ありましたけれども、例えば、10年でなくても、リースみたいなことも可能にするとか、あるいは、10年たつと装置もそれなりに古くなってきてしまうと思うので、何年かたったら下取りに出して新しいのを買えるとか、そういった柔軟なことができると、常に新しい装置でうまくいくのかなというようなことをちょっと考えたりしていました。
それから、人材について、もう本当にこれは皆さんの御指摘のとおりで、本当になかなか見つからないというのがあると思いますので、産業人材というのはいいアイデアだなとちょっと思いながら拝聴していたんですけれども。それでも、やっぱり期間がある事業、5年とか10年というところにいい人材が来てくれるかというと、なかなかそれはないというふうに思っていて、10年でやりますから来てくださいと言って、相当な好待遇を示せばどうか分からないんですけど、それも難しいでしょうから。だから、例えば、修士課程ぐらいの学生さんとか、そういう方をも育てるようなことも考えていけるようだといいのかなと。10年後ぐらいに大学で雇用できるとか、そういうふうにつなげていければ、いい優秀な人材が育っていくことになるのかなと思いますし、そこに先ほどの産業人材のような方がいて、その人材育成にも関わっていただけるようないい仕組みができれば、またそれも一つうまく回っていくことになるのかなと思います。
最後に、データにつきまして、何度かARIMを好事例として出していただきまして、ありがとうございます。ちょっとこの話を中でしていたところ、何かお手伝いしたり、いろいろノウハウを差し上げたりということは全く構わないというようなことを言っていましたので、何かありましたら、ぜひ言っていただければと思います。
私からは以上になります。
【網塚主査】 ありがとうございます。大変心強いことでございます。
皆さん、何かコメント等ございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、鳴瀧委員、お願いいたします。
【鳴瀧委員】 鳴瀧です。時間が限られていると思いますので、1点質問と、それから、コメントがございます。
質問としましては、10ページのEPOCH事業につきまして、丸1と丸2、施設の整備に予算申請するかしないかという選択肢がありますが、応募者としては、この丸1か丸2のどちらかを選択して応募することになるのか、あるいは、丸2が第1希望だけれども、それができないときには丸1でできる範囲をやるというような、両方に出せるような仕組みとするのか、その辺を教えていただければと思います。
それから、意見として、岡田委員がおっしゃっていた、大学に任せ過ぎるのも事業をうまくいかせるためには限度があるかなと私も感じております。最終報告、最終審査で好事例が大分上がってくると思いますので、EPOCH事業で募集要項を出す際に、これまでの好事例等も例えば取組例として記載していただいたり、好事例のページに応募者が誘導されるように、容易にアクセスできるような仕組みをぜひ構築していただきたいなと思います。
特に、人材のところで、科学の再興に向けての提言でも博士号取得者の拡大が盛り込まれておりましたが、ここには当然キャリアパスとして技術職員やURAとして、日本の研究力全体を底上げすることも期待されていると思います。しかし、現在の博士課程学生は、研究者としてのキャリアパスに触れる機会はありますが、技術職員やURAになる道というのは容易には想像ができない状況かと思います。例えば、博士課程学生に向けて、技術職員やURAのキャリアパス説明会を開催するとか、どこかの大学で、私は好事例だなと思ったんですけれども、博士課程学生を準技術職員のような形で雇用して、こういう道もあると分かりやすく提示することも行われていたかと思いますので、ぜひそういう好事例を、各大学が申請を考える際に参照できるような形で御案内いただければなと考えております。
以上です。
【網塚主査】 ありがとうございます。
最初の御質問について、事務局からコメントございますでしょうか。
【馬場参事官】 ありがとうございます。
まだそういった詳細については詰め切れていないので、各大学の状況を聞きながら対応したいと思ってはいます。ただ、丸2を出して駄目だったら丸1にすると、みんな丸2を出してきそうな気はするので、その辺りはうまく制度設計していけるといいかなと思いました。
2つ目の人材の件も、多分、山口大学さんが前回の委員会で好事例として、まさに博士の人を技術人材の修業ではないと思ったんですけど、そういったような活用の事例等もあったと思います。我々としても、これまで各大学で本当に進んでいる取組はあると思いますので、そういったものを本当に参照できるように、いい意味でハードルを上げるわけではないんですが、全体としてそこができるように御紹介していくような取組をしていきたいと思っていますし、2月のシンポジウムも、まさにそういった場の一つになるかなと思っています。
ありがとうございます。
【鳴瀧委員】 ありがとうございます。
【網塚主査】 ありがとうございます。
最後、福間委員、お待たせしました。よろしくお願いいたします。
【福間委員】 私のほうからは、私自身、これまで共用設備というのを研究者の立場として割と使ってきた経験を通して、やっぱりうまくいくケースとうまくいかないケースがあって、大体すごくよかったなと思うのは、事業によっては、研究者の方がその装置を管理されていて、申し込んで使いに行くと、研究者の方と相談しながら進められるタイプの共用機器というのがあって、それは物すごくうまくいくケースが多くて、それは何でかというと、かなり共同研究に近いレベルの話をしてから、実際にサポートしてくださる方は技術職員かもしれないんですけれども、そういったことができるというメリットがあります。
一方で、本当に技術職員の方だけでマネジメントされているところって、実際計測してもらって、本当にこことここを計測してくださいと言って、本当にそことそこを計測して、言われたとおりに言われたことをやって、それで終わりみたいな感じの受託分析みたいになってしまって、結局、最先端の研究に生きるかというと、かなり難しい面があります。
翻って、一方で、前者のケースというのは、何だかんだ言って、研究者の時間を結局潰してしまっているので、それでいいかというと、そのままでいいとは思わないんですけれども。結局、今、技術職員の方を雇って、その方が研究者と同じレベルにできるようになるかというと、多分、今のままでは無理だと思うんですね。というのは、研究者の方を雇って、その人たち、ほとんど科研費とかもアプライできないし、研究者のルートから技術職員になった時点で、もう技術職員ルートに入って、研究をしない立場になるんですね。研究サポートの立場になるんですね。
そういう意味で、そういう技術職員の方ももちろん必要だと思うんですけれども、一方で、研究者と技術職員の間ぐらいの立場の人が絶対にいないとうまくいかないし、やっぱり海外で見ると、そういう人もかなりいて、もうかなり研究者レベルだなと思う技術職員の人もいて、その人たちは自分で予算も取ってくるし、論文も書くし、学会発表もするし、本当に研究者レベルの技術職員の方というのがいるんですよね。
今の大学の考えている旧態依然とした技術職員を増やすのも重要だけれども、それ以外にも、やっぱり技術職員と研究者をつなぐ、そういったところをつくるといいと思うのは、先ほど言われていたように、修士ぐらいの人たちがそういう職を目指したいと思う職にもなると思いますし、私、しばらくWPIのセンター長をやってきて、技術職員の方を雇用するという機会も何回もあったんですけれども、その中で、今研究者をやっているんだけど、技術職員になることをためらう理由として、やっぱりひとたび技術職員になってしまうと、予算も申請できないし、研究も全くできない、ゼロになってしまう。それで、自分自身の研究もできないと。それはやっぱりゼロイチになり過ぎているのではないかなと思っていて、そこら辺をもうちょっと融通を利かせられるようなポジション、多くの大学で技術職員って、研究職ではなくて事務職員扱いになっている大学が多いと思うんですけれども、その辺りも含めて、今後ちょっとそこの辺りの人事設計を変えるような制度改革というのを盛り込んでいければいいのかなということを強く思っています。
以上です。
【網塚主査】 どうもありがとうございました。
福間委員の御発言について、何かコメント、皆さんございますでしょうか。よろしいですか。
すみません。17時になってしまったんですけれども、私からも一言、皆さんおっしゃっておりましたように、大規模な予算獲得といいますか、措置していただきましたことに心から感謝申し上げたいと思います。
それで、研究基盤の刷新ということで、これまでの共用の促進とか加速というところから一段飛躍していますので、やはりこの予算を単なる一過性のものに終わらせるのではなくて、この施策を持続可能な形で、確実に各拠点をステージアップさせていくということが重要なんだと思います。
ただ、これまでも決して一過性でいろいろな施策に取り組んできたわけではないので、やっぱりこれまでの土台をしっかり生かしていくという視点が大事なのではないかなと思います。特に、ずっと気になっているのは、いわゆる3C構造の外側の2つの枠を外したということに結果的になっていると思うので、これまで進めてきたコアファシリティ事業と、それから、プラットフォームの事業で蓄積してきた財産がいろいろあるので、それを無駄にしないで、うまく両者を融合させて発展させていくといったことを模索する必要があるのではないかなと思います。仮に大学が、この15拠点、メインの拠点というのは大学になるというふうに想定されているとするのですと、やはり分析の手法とかでネットワークをつくっていって、その枠組みの中には当然国研とか大学共同利用機関とか共共拠点というものもよい形で入ってくるのではないかなというふうに想像しています。だから、そういうことをどうつくっていくかというのが知恵の絞りどころではないかなというふうに感じております。
私からは以上です。
一通り皆さんお話しいただきましたが、改めまして何かコメント、御意見、御発言ございますでしょうか。
ありがとうございます。皆さん活発な御意見、有意義な御発言ありがとうございました。
文部科学省におかれましては、本日の委員会での御意見を踏まえて、引き続き制度設計を進めていただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、最後に事務局から連絡事項等ございましたらお願いいたします。
【髙山補佐】 今後の予定について御連絡させていただきます。
議題2の中でも触れましたが、来週、12月25日に開催予定の研究開発基盤部会にて、本委員会での審議経過を御報告させていただきます。
また、次回については、年を明けまして、来年2月頃の開催を考えております。日程調整の御連絡は別途させていただきますので、またよろしくお願いいたします。
最後に、本委員会の議事録は、運営規則に基づき公表することとなっております。後日、メールにてお送りいたしますので、御確認のほどお願いいたします。
事務局からは以上でございます。
【網塚主査】 ありがとうございます。
それでは、以上をもちまして、第4回先端研究開発基盤強化委員会を閉会いたします。お忙しい中、どうもありがとうございました。
―― 了 ――
科学技術・学術政策局 参事官(研究環境担当)付