令和7年8月19日(火曜日)15時00分~17時00分
オンライン開催
網塚主査、荒砂委員、飯田委員、江端委員、岡田委員、上西委員、上村委員、田中委員、鳴瀧委員
(事務局)大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)福井俊英、参事官(研究環境担当)馬場大輔、参事官補佐 田邉彩乃
【網塚主査】 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第3回先端研究開発基盤強化委員会を開催いたします。お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。
まず、事務局から、本日の出欠と資料の確認などをお願いいたします。よろしくお願いします。
【田邉補佐】 事務局の文部科学省科学技術・学術政策局参事官(研究環境担当)付の田邉です。よろしくお願いいたします。
本日の御出欠ですが、雨宮委員と福間委員が御欠席、その他9名の委員全員に御出席いただく予定です。
また、事務局に異動がございましたので、御紹介させていただきますが、参事官(研究環境担当)につきまして、野田の後任として馬場が新たに着任しております。
続きまして、本日はオンライン形式での開催ということですので、会議の留意事項について御説明させていただきます。通信安定のため、御発言されるとき以外は、可能な限りマイクはミュートでお願いいたします。御発言される際はミュート解除にてお願いいたします。また、議事録作成のため速記者を入れておりますので、お名前を言っていただいた後に御発言をお願いいたします。また、資料に基づいて御発言される場合は、該当するページ番号が分かるように、ページ番号を言っていただければと思います。また、会議中、不具合などトラブルが発生した場合は、事前にお知らせしている事務局の電話番号までお電話いただければと思います。
また、本日の委員会は、非公開部分もございますが、公開の原則に基づきまして、公開部分については、報道関係者、一般傍聴者によるユーチューブでの傍聴をいただく形になります。議題1、公開議題が終わりましたら、ユーチューブの設定を変更し、配信を終了させていただきます。
続きまして、資料の確認をさせていただきます。配付資料につきましては、議事次第、資料1から3、参考資料をPDFにて委員の皆様にお届けしております。説明の際はZoom画面上に投影するようにいたしますが、見えにくい場合は、適宜お手元の資料を御覧いただければと思います。
事務局からは以上です。
【網塚主査】 ありがとうございます。
それでは早速、議事を進めさせていただきます。議題の1ですが、先端研究開発基盤の強化に向けた最近の動向についてです。
まず、事務局より資料1に基づいて説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【田邉補佐】 資料1、通し番号の4ページをお願いできればと思います。
最近の動向というところでございますけれども、こちらの資料、AI時代にふさわしい科学研究の革新ということで、第1回の委員会でも御紹介させていただくとともに、7月10日の委員会のまとめでも別添としてつけさせていただいているものですが、こちらのとおり、文部科学省では、7期科学技術・イノベーション基本計画に向けて、世界の潮流を踏まえて、こちらに示しております下枠にありますような、高効率な研究環境の実現と研究資金改革とを一体的に行うことで研究パフォーマンスを最大化していくといったような方向性を打ち出していたところです。
次のページですけれども、このための具体的な施策案として、下のほうに書いてあります丸1から丸4の、研究設備・機器活用の最大化、資金活用の最大化、研究効率の最大化、データ活用の最大化といったようなもの、これらを一体的に実施することで、全体最適による日本の研究力の飛躍的向上を図っていくということを打ち出してきたところです。
本委員会においては、この中で丸1と丸2のところについての具体的な取組、方向性について、12期の部会のまとめも踏まえながら御議論をいただき、7月10日に、本日の参考資料2としてつけております「研究の創造性・効率性の最大化のための先端研究基盤の刷新に向けた今後の方針」をお取りまとめいただいているところです。
また、こちらの丸3、丸4につきましては、それぞれ研究環境基盤部会、また情報委員会において取組方針について関連する議論がなされているところでした。これらの内容について、簡単にではございますが、後ろのページにつけておりますので、内容を御紹介させていただければと思っております。
7ページが、繰り返しになりますけれども、本委員会においておまとめいただいた方針の中の、参考2でつけさせていただいておりました課題と対応策の案というものを1枚にまとめたところです。こちらの中では、機器の開発ですとか共用拠点・ネットワークの構築、また、見える化、技術専門人材の育成といったところについて具体的な実施すべき事項というものをまとめていただいているところです。これを踏まえて、本日、非公開議題2のところでございますけれども、これを踏まえた新規事業についての事前評価を実施いただくことになっておりますので、そちらについてはまた後ほど御議論いただければというふうに考えております。
次のページですけれども、こちらが先ほどの研究効率の最大化、大規模集積研究基盤の整備というところに対応して、研究環境基盤部会において議論の取りまとめがなされたものの概要になっております。我が国全体の研究の質・量を最大化するため、基盤となる研究環境を高度化・効率化していく。時間短縮や効率化に加え、研究者が単純作業の繰り返しから解放され、より創造的な研究活動に従事するであるとか、研究の過程から得られる様々なデータやAIを最大限活用し、科学研究の進め方・在り方を変革するということに向けて、下のピンクの枠で書かれておりますような5つの方向性や、その取組の具体化に向けてどういったことを考えられるかというところがまとめられているところです。
簡単にはありますけど、丸1として、大規模集積研究基盤の整備ということで、先端設備群や関連する設備・機器を段階的に整備・集約し、ワンストップでシームレスに統合された研究環境を構築していき、集積される設備・機器は、最も効果が最大化される形で自動化、自律化、遠隔化を図っていくというようなことですとか、丸2、丸3、丸4、丸5に記載のような形で、データ等の連携であるとか体制の構築、産業界との協働、国際頭脳循環の促進ということも併せて取り組んでいくというような方向性が示されておりまして、右側の「具体化に向けて」というところですけれども、こういったことに関しては、大学共同利用機関が有しているポテンシャルを生かして、中心的な機関の一つとして期待されるというようなことがまとめられております。
次のページですけれども、こちらがデータ活用の最大化、研究データ基盤の強化というところに対応する形で、5月30日の情報委員会の取りまとめで、こういった「次世代の科学技術・イノベーションを支える情報基盤の在り方について(中間とりまとめ)」というものが出されております。そちらの概要がこちらになっております。
こちらも上のところに書いてあるとおりでございますけれども、背景として、2つ目のポツですけれども、生成AIの利活用の急速な浸透であるとか研究DXの加速により、将来的な研究データの流通等が質・量ともに増大していく。研究データを共有し、組織・分野・セクターを超えた科学研究を行う重要性がさらに増大しているということを踏まえて、AIを活用して、あらゆる垣根を越えた新たな知の創造を支援し、AIが出力する情報の信頼性を担保する新たな情報基盤の構築が必要であるというようなことを前提としまして、下半分にありますような今後の情報基盤の方向性ということで、6つの事項についてまとめられているところです。
簡単にかいつまんで、関連しそうなところを御紹介させていただきますけれども、例えば人材の育成・確保というところに関しては、研究に伴走し、情報基盤を中心とした研究エコシステムを支える人材といった方々の育成・確保についてであるとか、あと、下のところですけど、効果的な配置というところで、人材や認証、計算資源、ストレージ、データ管理・流通等に関して、全国的なエコシステムとして最適化された情報基盤の配置・整備について戦略的に検討していくことが必要ではないかということですとか、あとは右上の辺りですけれども、研究データの共有・活用の促進ということで、研究データを広く共有・活用するインセンティブや評価する仕組み等の整備であるとか、その下ですけれども、AI for Scienceのための高度化というところで、計算基盤やコアファシリティ化された研究施設・設備を情報基盤に接続していくというようなことが方向性として挙げられているところです。
今御紹介しました環境部会のまとめと、こちらの情報委員会のまとめにつきましては、本日の参考資料の3と4に本文もつけさせていただいておりますので、適宜御参考いただければと思っております。
続きまして10ページ以降、こちらは前回の委員会でも御紹介したものではございますけれども、直近の政策文書、R8年度の概算要求に向けて、こういった形で、研究設備・機器の整備・共用・高度化・開発ということに関して各文書に記載がございますので、改めて御紹介させていただきます。
1つ目、「経済財政運営と改革の基本方針2025」というところで、こちらには、先端研究設備・機器の戦略的な整備・共用・高度化を推進する仕組みを構築するということが書かれておりますし、その下の「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改訂版」、こちらにも同様の趣旨の記載がございます。
続きまして「地方創生2.0基本構想」、こちらには、地方大学、大学共同利用機関等に自動化・自律化・遠隔化等の機能を有する先端研究設備等の共用拠点を整備し、ネットワークを構築するということと、あわせて当面の目標として、地方における先端研究設備等の利用機会を3倍以上増加させることを目指すということが記載されているところです。
最後に、次のページですけれども、「統合イノベーション戦略2025」におきましては、第6期基本計画の総仕上げとしての取組の加速というところで、コアファシリティ化を推進するための関連情報の一元的な見える化や機関間の連携を推進するということが書かれておりますし、次の「7期基本計画に向けた議論も踏まえた取組の推進」というところでは、7月10日に取りまとめいただきました方針に対応するような形の記載がなされているところです。
私からの説明は以上となります。
【網塚主査】 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明につきまして、何か御質問、御意見などございますでしょうか。
関連する部会、それから委員会の内容も踏まえて新規の構想が仕立てられつつあるというところですけど、AI for Scienceについては、まだちょっと私のところの現場でも実感が湧かない部分はあります。個々の研究分野ではそれなりに、AIを研究に取り入れて活用していくということが進みつつあるのですけれども、組織として、機関として、AIの積極的な導入とか活用も進めていらっしゃるようなところはございますでしょうか、研究基盤整備の一環として。
きっと皆さんこれからというところなのかと思いますが、情報委員会での議論をもう少し踏み込んで勉強しないといけないなと思っているところです。
特にないようでしたら、次に進ませていただきたいと思います。
本委員会における今後の議論に向けた話題提供といたしまして、2件の御発表をいただきたいと思います。1件目は飯田委員より、一般社団法人日本分析機器工業業会(JAIMA)の提言についてであります。2件目は上西委員より、山口大学のコアファシリティの取組について御発表いただきます。2件御発表いただきました後に、30分程度、議論の時間を設けておりますので、その際に御質問などございましたらお願いしたいと思います。
それでは、まず飯田委員からお願いしたいと思います。
【飯田委員】 島津製作所の飯田でございます。一般社団法人日本分析機器工業会がまとめました科学技術政策への提言につきまして御説明させていただきます。
この内容につきましては、5月23日の本委員会の第1回にて一度、提言骨子として御説明、御議論いただき、その後、この提言骨子に最先端機器の開発に関連する内容を補強し、また、いただいた議論を基に全体を見直し、提言としてまとめたものになります。また、この内容につきましては、日本分析機器工業会のホームページにも掲載させていただいているものになります。
それでは、内容について御説明させていただきます。
提言に至った背景は前回のご説明の機会にもお話しさせていただいておりますが、立ち位置ということで、改めて御説明させていただきたいと思います。
1ページ目になります。ページ数でいいますと、資料の14ページです。今出していただいているところになります。我が国の研究力が長期低落傾向にあるというその原因の一つとして、研究開発基盤部会の昨年7月24日付の論点整理でまとめていただいた中にも入っておりますように、新たな研究ニーズに基づき計測・分析技術などの基盤技術を開発し、研究に活用しながら汎用化していく取組が一部に限られており、これにより、新たな知やイノベーション創出に必要不可欠である先端研究設備・機器の開発、導入が遅れて不利になるというような、構造的な問題というものが指摘されております。
これに対しまして、日本の研究力を回復・向上させる上で、その主役は当然ながら研究開発に取り組む科学者、研究者であり、大学等の研究機関、ファンディングエージェンシー、政府というところが重要な役割を担っていることは明らかですが、計測・分析技術などの基盤技術を開発して提供する企業というものもやはりステークホルダーの一員であるということで、そのような企業が集まっている業界団体として検討を行い、本提言をまとめさせていただいたものになります。
その下、計測・分析機器業界が認識する課題というものがございまして、次の15ページに進んでいただきまして、この中で最先端機器について、丸ポツ2のところにまとめておりますように、開発企業が我が国の研究者の最先端研究を支援し、研究者のアイデアによる最先端の機器開発に取り組む際の課題としてございますのが事業目論見です。最先端機器の用途・アプリケーションを企業個社で開発し、世界で勝つレベルに持っていくということは、最先端の機器であるがゆえに限界があるということで、開発された最先端機器を用いる研究者が集まり、共用し、そして最先端機器を用いて研究を進め、その成果を論文などの形で発信し、用途開発を進め、またその結果、その機器の導入も増えるという形で、最先端研究と最先端機器開発が車の両輪のように進み、企業の投資意欲も増進できる仕組みというものが、我が国の研究者のアイデアで最先端機器を国内企業が開発し、最先端研究を進めることに役立てていただけるという上で非常に重要なピースであると考えております。
汎用機器につきましても、同じく改良や性能・機能のバージョンアップ、誰でも簡単に使えて壊れにくいようにするというようなものを、特に現場で使われる方の御意見等も反映しながら進めていきたいところでございます。
次のページをお願いいたします。また、その課題に関しまして、研究環境に関することに続きまして、3、利用を支援する人材に関することで特に御説明させていただきたいのが、優秀な技術職員の不足が大きな課題であるということは国や大学等にも認識され、いろいろと対策が進められているところですけれども、企業にとりましても非常に大きな問題でありまして、これをステークホルダーの一員として一緒に解決できるようなところに貢献していきたいと考えております。
その下、「課題の解決に貢献するためのアクション、国への期待」というところに移ります。次のページに移らせていただきまして、1、最先端機器の開発のところですけれども、ここで特に申し上げたいのが、丸ポツの3、世界最先端の研究として、ユニークな研究課題をユニークな技術で解明するということは、トップジャーナル掲載論文数増加など日本の研究力向上に貢献いたしますが、企業が積極的に参画しようとする環境を整えるためには、開発に取り組むコストや将来の売上げに関する見込みが立つということも、やはり企業がサステーナブルに取り組む上では不可欠になります。このような先見性を確保するために、機器の開発のみならず、製品化や初期の普及促進までを一体として推進する、いわゆるイノベーション促進型調達制度の導入と、イノベーション促進型調達制度の下、基礎研究から実用技術への転換を図り、技術イノベーションを見いだし、評価し、応用発展させるアーリーアダプターの戦略的な支援というものを業界団体として期待させていただきたいと思っております。これは、技術で勝っても普及で負けているという構造的な課題の解決に資するものであり、日本の強みを生かす研究力強化の礎として取り組んでいただくことを、また一緒に取り組ませていただくことを考えております。
その下ですが、丸ポツの4、具体化に向け、拠点形成・共用施設整備の支援の検討をいただきたいと提案させていただきます。例えば、1)最先端用途開発を支援するためのオープンイノベーション型共用拠点整備に対する資金支援と運営体制の設計の御支援、2)大型放射光施設等との立地連携と運用支援を含めた共用体制の確立、3)共用拠点設備・データの国内先端研究者による活用、各拠点大学研究者間のデータ共有、設備シェアリングの推進、デジタル環境整備、デジタルサポート・マネジメント人材の確保資金支援ですとか、研究室DX・データ蓄積・共有推進のためのハード・ソフトインフラの整備などがございます。複合計測・自動自律型実験推進環境整備のための標準化など、非常に重要な項目と考えておりまして、こういうものを国として御支援いただけるような、そしてそれを企業として一緒に進めさせていただけるような形を取らせていただけるのではないかと思っております。
次の18ページでございます。ここでは、4、人材の育成といたしまして、研究力向上のために重要な役割を担う技術職員の方々のスキルアップ、モチベーションアップに開発企業もぜひ貢献させていただきたいと考えております。その下に具体的に、例えばということで、このようなことができるのではないかというようなことも書かせていただいております。
次のページの、5番、AI for Science、今、網塚主査からもお話しいただきました通り、この辺りを企業としても業界団体としても具体化するというのをぜひ進めさせていただきたいと思っております。AI for Science時代に対応できる研究基盤のデジタル革新、ラボDXが求められており、ラボDXに求められる要件をJAIMAとしては2つまとめさせていただいております。丸1、データ駆動型研究に対応するためのデータマネジメントシステムの導入と、それに必要なデータフォーマットの共通化の推進。このデータフォーマットの共通化の推進というところもなかなか難しいところではありますけれども、うまく進めていただくことが蓄積されたデータの活用につながると、重要な点だと考えております。また、丸2、ラボワークフローをデジタル管理できる仕組みの構築ということです。
まとめとしまして、我が国の科学力の向上に向けてということで、我が国の研究力の回復・向上に向け、計測・分析機器の開発企業は、ステークホルダーの一員として最大限の貢献をさせていただきたいというふうに考えているところです。研究現場の要望と企業の貢献意欲をうまくつなげるという視点で、国には政策、制度面の検討をぜひお願いしたいということで、共用の拠点の場の活用ですとか、また、イノベーション促進型調達は、調達という言葉ですけれども、制度に関わらず、そういうことを支援する事業という形で解釈できるのではないかと思っております。また、アーリーアダプターの支援いただいて、最先端、世界トップの研究に使う、研究課題解決に役立つ機器、日本の研究者のアイデアに基づく機器をつくり、またそれの用途開発を共用拠点などの仕組みを活用して行い、論文等、世界トップレベルの論文に発表するということでさらに応用研究が進むというような、そしてまたそこで、それを推進するために優秀な技術職員の方々の御活躍というのを企業としてもぜひ一緒に進めさせていただきたいなというふうに思っているところになります。
そちらのほうが、前回は提言骨子という形で一度報告させていただき、議論いただいたことを踏まえまして、特に最先端機器開発のところにつきましては補強する形でまとめさせていただいた内容になります。そして、こちら21ページのほうに、特に前回と違う点といたしまして、機器開発に関わる計測・分析機器業界が認識する課題というものも参考資料としてまとめさせていただいているところになります。
私からの御説明に関しましては以上になります。ありがとうございました。
【網塚主査】 飯田委員、どうもありがとうございました。
それでは続きまして、上西委員、よろしくお願いいたします。
【上西委員】 山口大学の上西です。山口大学が取り組んでおります機器共用の取組、これは研究基盤エコシステムをつくっていきたい、その実現に向けた取組だと御理解いただければと思います。
次のページをお願いいたします。これが山口大学の機器共用の取組の歴史と、これから目指していく研究基盤エコシステム実現に向けての課題を整理したものです。左から見ていただければと思うのですけども、1971年、昭和46年に共同研究施設が設置されて、そこから幾つか分野ごとに共用機器を扱うような実験施設ができてきました。50年以上の歴史を持っております。最初は専門分野内の共用ということだったのですけれども、平成29年、平成30年で新共用事業等々の支援もいただいて、キャンパス内の共用がかなり進んでいきました。右のほうに記載しているように、令和2年にコアファシリティ構築支援プログラムに採択いただいて、ここで機器全学共用ということで、その中央司令塔としてリサーチファシリティマネジメントセンターを設置したことと、それから、各研究室等に分散して在籍していた技術職員を全学に集約、組織化した総合技術部を設置したというところが大きな出来事ということになります。
今6年目に入りますけれども、全学共用は、機器の見える化も含めてほぼほぼ出来上がって、山でいうと8合目ぐらいまで上がってきたかなと思うのですけども、これを機器のエコシステムまで持っていくためにはスケールメリットも必要ですし、これを県内、地域での共用まで広げていきたいと。今までもやっていますけれども、本格的に取り組んでいきたいということで、研究開発基盤本部というのを新たにつくって、そこを中心に地域共用というところを積極的に取り組んでいきたいと思っています。
エコシステム実現に向けた課題としては、左下に書いてありますように、新たな設備投資とか人員配置の財源確保が難しくなってきているのと、ランニングコストとかが高騰して、財源がかなり厳しいということ。それから、学内、単一の組織であれば共同利用というのは相当進んでいますけども、他の組織を巻き込んだ形で、どのように組織の枠を超えた共同利用が推進していけるのかというところが一つ課題です。それから、左下は本学の強みである遺伝子実験分野での競争力をさらに強めていって、民間の利用も増やしていきたいということ。それからもう一つは、人材の確保です。技術職員の不足というのはかなり深刻で、これをどうしていくかというところを踏まえて、右側にありますように「明日の山口大学ビジョン2030」で、研究の重点戦略1で、地域イノベーション・エコシステムの構築と、それから重点戦略4で、研究基盤の整備・充実というのを挙げています。そのために、民間企業、地域の研究機関との連携強化をさらに進めていくことと、新技術の開発、AIも含めた自動化、遠隔化を含めたスマート化を今推進していっている途中でございます。
次のスライドをお願いいたします。まず取組の1として、総合技術部を設置したということです。これまでの取組の特徴、山口大学の特徴として挙げられる1つ目は総合技術部の設置ということで、目指す姿は、技術職員が高度専門技術者集団として本学の研究力向上に大きく貢献している、そういう姿を描いて、そのために技術職員を研究者のパートナーとして明確に位置づけるために、部局として新設しました。ここにありますように、5課9グループの体制をつくったということです。
左下にありますように、キャリアパスを明確にするために、ダブルトラック制度というのを導入しました。1つはマネジメントトラックです。部長、課長を目指すマネジメントトラック。それからもう一つは、それと並行して高度専門職を目指すマイスタートラック、この2つのトラックを導入したということです。それから、右のほうに人材育成がありますけれども、テニュアトラック制を導入して、若手の技術職員をしっかりと教育していくということと、それから各種研修に積極的に参加していって、技術力を磨いてもらうということを積極的に行いました。
次のスライドをお願いします。総合技術部をつくるときに一番懸念されていたのは、右下のほうにありますけども、技術職員にとっては、現場の責任者と、左側にある技術部の課長、グループ長という、上司が2人いる関係になることです。いわゆるマトリックス型の組織なので、なかなか技術職員の方は、そういう組織として動くということに十分慣れていない部分もありますところに、いきなりマトリックス型の組織というのは難しい、適応するのがなかなか難しいだろうということもあり、指揮命令系統はしっかりつくる必要があるということで、左にあります総合技術部の本部長から、部長、課長、グループ長、技術職員への命令系統をしっかりまずつくっていきました。ただ、今までやっていた配属先の仕事を急にやめるとかいうことはできませんので、その配属先の長とは本部長、部長が基本的な方向性について調整して、具体的な作業とか業務内容については、課長と現場の責任者がしっかり調整して情報共有しながら配属先と協力して業務を行う、そういう仕組みをつくりました。
次のスライドをお願いします。これがダブルトラック制度です。上のほうがマネジメントトラックです。これまでは副課長相当の技術専門員が一番最高位だったのですけれども、その上に課長職と部長職を新設すると同時に、グループ長を新設しました。それからマイスタートラックのほうは、下のほうですけども、技術の見える化をしっかりして昇任基準を明確にした上でマイスタートラックをつくって、技術主任、技術主幹というものを新たに新設して、技術職員の方々の処遇改善とモチベーションアップを図っていったということでございます。
次のスライドをお願いいたします。もう一つ、技術職員、総合技術部の問題点としては、若手が少ないという問題点もありましたので、技術職員の若返りとしてテニュアトラック制度を導入しました。特に最新のテクノロジー、AIも含めてデジタル技術に堪能な若手を積極的に採用して、短期間で習得すべき技術の成熟度を高める制度をつくったということです。テニュアトラック期間は3年で、採用2年6か月後にテニュア審査を行う。メンターを配置して、入試業務等、専門分野以外の業務のエフォートをできるだけ免除する。研修等の参加費の予算をしっかり措置するという制度をつくりました。実際は1年半でテニュアを取得された方も結構出てきておりまして、非常にうまくいっているのではないかと思っています。
次のスライドをお願いします。若返りと同時にやらないといけないのが技術伝承です。これまでは退職後でないと後任の補充ができなかったのですけれども、退職前に後任者を前倒しで雇用できる仕組みをつくって、分野によっては2年、3年、少なくとも1年は、この絵にありますように重複して、ベテランの技術職員とテニュアトラック職員が最低でも1年は重複して、技術をしっかり伝承できるような仕組みをつくっています。だからテニュアトラック制度と後任者の前倒し雇用を併用することによって、若返りと技術伝承の両方を行えるようにしました。
次のスライドをお願いします。とはいっても仕事はどんどん増える一方ですので、技術職員、コアファシリティ事業を通して1割程度は増やすことができましたけれども、それ以上に仕事が増えてきますので、学生をインストラクターとしてしっかり教育して、その学生にも活躍してもらおうということでつくった制度です。インストラクター2級を認定した後、現場に配置して、総合技術部として採用し、現場に配属して、現場で仕事をしてもらって、そこで成果が出た人に1級を認定するという仕組みにしています。この中からまた優秀な人を技術職員にリクルートしていくというような仕組みとしても使っていきたいと思っています。最初は学生を指導するのが、ただでさえ忙しいのに余分な仕事だというような考えを持っていた方々もおられたのですけども、実際やってみると物すごい戦力になって、今では大変感謝されて、これをさらにどんどん広げていこうと、そういう計画をつくっているところです。
次のスライドをお願いします。これが機器共用です。リサーチファシリティマネジメントセンターが行ったものの一つですけれども、共用化指標という、共用機器としての重要度を示す指標を独自開発しました。下のほうにありますように、定性的な指標と定量的な指標からなります。利用件数、維持費とか、機器の利用実績だけでなくて、外部資金の獲得額とか発表論文件数とか特許出願件数とか、博士論文、修士論文、卒業論文、そういう数をしっかり機器ごとに把握するということをやりました。
右上にありますように、導入機器審査小委員会の役割の一つは、二重投資の防止です。同じような機器があったら買わないというような、基準もしっかりつくっています。それから、共同利用環境を評価したりすることも含めて、3つの観点で評価をしていきます。左下にありますように、財務部とこれらの情報を共有して、最終的には大学ビジョンとの整合性とか戦略性も含めて経営的な判断をして、戦略的設備整備・運用計画に反映させていくというような仕組みをつくりました。
次のスライドをお願いします。これらの情報を一つ一つ集計するのは大変ですので、当然自動化ということで、共用機器等利用実績・成果集計システムというのを構築しました。研究推進機構が持っているデータベース、科研費とか受託研究、共同研究、学術指導、特許等のデータと、それから研究者が入力する教員の業績管理システム、リサーチマップとも連動していますけども、教員の業績管理システムと、それから共用機器のデータ、これらをデータ連携して、どの機器がどれぐらいの成果を生み出しているのかというのが自動的に集計できるような。自動的というのは半自動で、右に書いていますけど、研究者がチェックボックスを選択することによって共用機器と成果が紐づけられるような仕組みにしています。
次のスライドをお願いします。これがその結果の一例ですけども、それぞれにポイントを付与して、レーダーチャートの形で機器ごとに見られるようにしています。現在226台の共用機器の見える化ができる状況になっています。レーダーチャートで、次世代シーケンスシステムの例でいいますと、青い線が標準的な3点のグラフですけども、オレンジが実績です。全ての項目において満点近く、利用実績も高いし成果も出ているということです。真ん中のエックス線回析装置だと、学外の利用が少ないということが分かります。それから、一番右のLC-MSのほうは利用料収入が少ない。結構使われているけど利用料収入が少ないということで、料金設定にちょっと問題があるのではないかというようなことも、この絵で見ることができます。このような形で一台一台、レーダーチャートで機器の利用実績と研究成果が見えるような仕組みをつくりました。
次のスライドをお願いいたします。4番目の取組です。特に我々は、遺伝子実験分野を強みとして評価しているのですけれども、中国地方バイオネットワークというところに入って、中国の国立大学、それぞれの大学の強みを持ち寄っているということです。山口大学は次世代シーケンス解析拠点として、ここに力を入れています。次世代シーケンサー6台、それから自動分注ロボットも2台入れて、フル稼働で解析を行っております。広島大学、岡山大学をはじめ、鳥取大、島根大、中国地方の大学からの依頼分析が非常に多いのが特徴です。それから県内に関しては、県内でバーチャルラボプロジェクトというのを進めて、県内の大学、それから公設試と連携して機器共用、それからデータの共有等を行っています。右下ですけども、これも広島大学と一緒になって中国地方のファシリティネットワークというものをつくって、今までの遺伝子分野でのネットワークをほかの分野にも広げていくというような取組を今始めているところでございます。
次のスライドをお願いします。ここにありますように、遺伝子実験施設では3つのネットワークというのを推進しております。まず一つは国レベルのネットワークで最先端技術を共有するということで、大阪大学と戦略的パートナーシップを結んで、シングルセル解析などの最先端遺伝子解析技術の情報共有とか、相互利用の契約、技術者の相互教育、それから最先端の遺伝子技術を利用者に提供するというようなことを行っています。真ん中は地方レベルということで、先ほど御説明しました中国地方バイオネットワークで、山口大学は遺伝子の分析拠点として活動しています。最後に地域レベルのネットワークということで、山口県のバーチャルラボプロジェクト等を通して、このような取組で最先端技術を地域の隅々まで広げていくというような取組をしています。これをほかの分野に広げるために今活動をしているということで、最後のスライドをお願いいたします。
現在行っている取組が、やまぐちファシリティネットワークを構築するということで、昨年の2月に発足しました。山口大学と、中小企業を支援するための財団と、それから産業技術センターとでまずはしっかり骨格をつくって、今度、今年10月、来月、ほかの民間企業も含めて高専、全ての3高専と、市立大学、それから企業も含めてやまぐちファシリティネットワークを拡大して、シンポジウムを開いて、本格的に地域での地域共用を推進していきたいと思っています。それから、右側にあります、ほかのネットワーク間との連携強化も同時に進めていこうと、そのように考えている次第です。
以上で我々の取組の説明を終わります。どうもありがとうございました。
【網塚主査】 どうもありがとうございました。それでは、これまでの御説明を踏まえまして議論に入りたいと思います。まず、御意見、御質問などございますでしょうか。
それでは、いつものように、名簿の順番に一言ずつコメントをいただければと思います。名簿順ですと荒砂委員からお願いすることになりますが、よろしいでしょうか。
【荒砂委員】 承知しました。
【網塚主査】 お願いします。
【荒砂委員】 東海大学の荒砂でございます。飯田委員、上西委員、丁寧な御説明ありがとうございました。大変勉強になりました。
上西先生に質問させていただければと思います。31ページから33ページまでの戦略的設備整備の運用計画のところ、大変すばらしいなと思って拝見しておりました。各種数値のポイント化など、設定は大変御苦労があったのではないかというふうに感じております。こういうふうに可視化されるとすごく分かりやすく、また議論がしやすいというふうに感じまして、ぜひ参考にさせていただきたい、また、参考にされる大学、研究機関の方が多いのではないかなと思っております。
少し細かいところなのですけれども、成果というところでは、どうしても発表論文とかそういったところが議論の対象にもやはり入ってくると思うのですが、今回も発表論文件数というところが右から4個目の列にございますけれども、これは個人的な意見として、それぞれの分野によって論文の創出のスピードが結構違うのではないかというふうに感じていまして、それを下にありますように医系とか理工系の設備というところで一つの指標で議論していくというところ、何か難しいようにも感じているのですが、論文に限らずなんですが、それぞれ共通の指標で議論していく難しさみたいなところ、それをどうやって克服しているのかというところをお話しいただけるとありがたいなと思っております。いかがでしょうか。
【上西委員】 重要な御指摘ありがとうございます。我々もそこが一番悩んだところです。ただ、まずは見える化を徹底して行うというところを重視して、このポイントは、まずは仮置きみたいなことで置いています。実際は、言われたように分野によって論文の出やすい分野、出にくい分野がありますし、その辺りは分野ごとに分けたほうがいいのかどうなのかも含めて、あまり複雑にすると使われなくなりますし、かえって分かりづらくなるところもあるので、また皆様方のお知恵もいただきながらブラッシュアップしていければいいなと思っています。まだこれは完成形ではなくて、取りあえずデータ、生データを集めて、こういうようにできるだけ分かりやすく見える化をした第一歩だと御理解いただければありがたいです。
【荒砂委員】 ありがとうございます。やはりその数値、まずは可視化するということが大変重要だということ、私もそう思っております。ひとまず見える化してみるというところから始めないと次のステップに進めないというところがあると思いますので、ぜひ次の作業のところというか、議論のところもぜひお聞かせいただければなというふうに思っております。ありがとうございます。
すみません、もう一つですが、30ページ、学生のインストラクターの制度の導入というところでございまして、ここも大変すばらしい取組だなと思っております。本学も僅かながらですが、学生がこのように機器の運用を習得して、少し研究者のお手伝いをするというような取組もございましたが、ここまで長期にわたってしっかりと育成されているというところ、大変感銘を受けました。
先生のお話だと、ここに採用されて研さんを積んだ方は総合技術部に配属されるということも今後出てくるであろうということでしたが、飯田委員がいらっしゃるような機器メーカーへの就職といったところでも、かなり大きな意味があるのではないかと思っていまして、卒業生の方がそういった機器メーカーに就くというようなところは実際起きているような状況でしょうか。
【上西委員】 そうですね、まだインストラクター制度を始めてそんなに日がないのですけれども、そういうところにこれから入っていってもらえばいいし、我々の技術職員、山口大学の技術職員、山口大学だけじゃなくても大学の技術職員になってもらうといいなと思っています。
配属は、2級を取った時点で総合技術部に配属して、そこからお給料を支払うという形にしています。この絵の一番右、認定で「1級」というのが消えてしまったのですけども、総合技術部に配属して現場で研さんを積んだ、ある一定の能力を認定できたら1級に認定して給料も上がるという、どんどん上がっていく仕組みにしています。
【荒砂委員】 ありがとうございます。
【網塚主査】 よろしいですか。ありがとうございます。
それでは続きまして、江端委員、お願いいたします。
【江端委員】 Science Tokyo江端です。飯田委員、そして上西委員、すばらしい御発表ありがとうございました。それぞれの視点から、研究基盤関係あるいは研究環境に関わる政策に対して様々な示唆を与えていただけるような御提言と取組をされているということで、大変感銘を受けております。飯田委員、上西委員にそれぞれ1つずつ質問させていただきたいと思います。
まず飯田委員への質問ですが、今回JAIMAとして提言をまとめていただいたことは、これまでの委員会でも何度か発表いただいており、大学関係者としては、民間企業の皆様からこのような御提言をいただけることは本当に重要であると考えています。これまで本委員会で議論してきた内容をベースに具体的な提案としていただけたと思っています。
その中でも、特に人材育成については、さらに深掘りして議論を進めたいと考えています。18ページに人材の育成に関する項目があり、β機を活用した人材育成の方策が記載されています。実際に、先端分析計測機器開発プログラム、JSTの件については、飯田委員から御報告いただきましたが、あのような取組の中で技術者の方々が関わることで、結果的に技術の高度化や、人材育成につながる点は私も非常に重要だと感じています。実際にこの取組を進めるにあたって、技術者がどのぐらいの期間で関わることを想定されているのでしょうか。
もちろん機器によっても異なるとは思いますが、大学の技術職員の方がこのような取組に関わる際、どれくらいの期間、プロジェクトに関わっていくべきかという目安があるとよいと考えています。例えば我々が進めているTCカレッジの取組では、全国の技術職員の方々に集まっていただいていますので、民間企業の皆さんとの連携の中で、新しい形で協力できる可能性があるのではないかと思った次第です。ぜひその点についてご意見をお聞かせいただければと思います。
【飯田委員】 江端委員、御質問いただきましてありがとうございます。本当に極めて重要な点だと思います。企業として、業界団体としてこういう取組を進めさせていただきたいと思うときに人材育成は極めてポイントです。今こういう取組をさせていただきたいと思うときに、いわゆるイノベーション促進型調達制度の話も書かせていただいていますけが、そこで調達と言いますか対象になる機器のレベルがいろいろあると思っております。
例えば、本当に研究者の方の最先端研究に役立てるためのコンセプトを具現化する初期のα機と言われるようなもの、そしてそれをもう少し、ソフトウエア、ハードウエアともにブラッシュアップされた、いわゆるβ機と呼ばれるようなもの、そしてその次が、リリースキャンディデート等と呼んでいますが、ほぼ製品に近いようなもの、そして製品としてニーズを広げるために、製品を出しつつさらにブラッシュアップしていくアーリーステージのものがあると思いますが、おのおのによって一緒に取り組んでいただく技術職員の方の要件も変わると思います。
江端委員が言われたように分野によっても変わると思います。また、技術職員の方御自身の関心のありか、非常にハードウエアに関心の高い方であれば、α機といっているあたりからいろいろ使って提案するようなレベルの方もいらっしゃるかもしれないですし、また、その方の関心がアプリケーションの方にあって、いろんなデータを取ることで用途を見つけるという方ですと、製品に近づくフェーズで使いたい、のようなところもあるのかなと思っていまして、いろいろばらつきはあると思います。ただ、基本的に新しいことにチャレンジして、自分で新しいものをつくっていこうとされる方がやっていただく場合に、機器メーカーの人間と一緒に取組むフェーズが、発売前の装置であれば、数か月から半年ぐらいかかるのではと思います。マニュアルもまだなく、一緒に開発しましょうというマインドの強いテクニカルの方と一緒に取組み、そこから今度はデータを一緒に取っていくフェーズになるのかなと思います。そういうアーリーなステージのものであれば、製品が上市されるまでに2、3年すぐ経ちますので、その間一緒に開発するような感じになるものもあると思います。
他方、リリースキャンディデートや製品開発されて、製品としては入手可能だけど、まだまだ非常にアーリーなステージだというようなものであれば、一通り使っていただけるようになり、使いこなしていただくのに数か月から半年かかるとして、その後は、大学なり拠点に来られる方、研究者の方々と一緒にデータを取っていただける、そういうイメージではないかと想定しています。
【江端委員】 詳しくご説明いただきありがとうございました。それぞれのパターンにもよるかと思いますが、大体のイメージがつかめました。人材育成という観点では、1年だけではなく、例えば2年、3年といった長期的なお付き合いになる可能性もあると思います。その中で、大学の場や企業の場など、適切な環境を活用しながら進めていくことになるかと思いますので、ぜひ引き続き議論を重ねていければと思います。ありがとうございました。
【飯田委員】 ありがとうございます。
【江端委員】 続いて、上西委員への質問です。先ほど荒砂委員からも少し質問がありましたが、新しい機器の導入を進めていくための戦略的設備整備・運用計画に関わる指標づくりなどを進められている点については、以前より上西理事からもお話を伺っており、今回それが非常に明確かつ具体的に示されていたと感じています。
そこで質問なのですが、ご発表いただいたこの取組については山口大学だけでなく、他の大学でも応用できるようにしたほうが良いのではないかと思っております。他の大学でも実行可能な点、あるいは難しい点について上西委員の御意見を伺えればと思っております。本学でも活用させていただけることがあれば、ぜひ積極的に取り入れていきたいと思いますし、この計画を作成されるにあたり様々な御苦労があったかと思いますので、その点についてもコメントいただければと思います。よろしくお願いします。
【上西委員】 32ページ目のスライドが分かりやすいかと思うのですけれども、ここにありますように、各大学データそのものはもうあると思うのです。真ん中にあります科研関係のデータとか論文のデータとか、あと共用機器のデータで、それをどう紐づけるかのところだけだと思います。そこを紐づける仕組みは総合技術部がつくってくれた仕組み、システムがありますので、それは皆さんでお使いいただけると思うのですけども、ポイントは、「研究者がチェックボックスを選択することにより共用機器と成果を紐づけ」と書いていますけども、まず研究者が書いた論文とか外部資金獲得の情報がざっと出てきて、こっち側に使った機器が出てきて、どの機器を使ってこの論文は出たのですかというのはチェックボックスに、論文ごとに機器をチェックしないと紐づかないので、そこは研究者に協力をお願いしないといけないです。将来はAIか何か使えばいいかもしれないし、あとは全文検索で、論文に書かれていたらそこから自動的に取ってくるような仕組みを雑誌社も考えているみたいですけど、今のところは先生方がチェックだけはしないといけない。文字は一文字も打たなくていいのですけども、この論文はどの機器をと、論文が出てきたら、これで使っている機器はどれなのかチェックしないといけないという一手間があるので、研究者の人にまず協力してもらわないといけないというところが問題です。
ただ、この作業をしないと、先生が欲しい機器の評価が下がって、更新されなかったり、修理のときも後回しになるし、自分が使っている機器を最優先して更新したり修理してほしければしっかり入れてくださいということで、それでモチベーションが上がる先生方が入れてくれている。あとは、それを公表することによって、誰の目にも分かるようなところに置いておいて、紐づけをする動機、モチベーション上げてもらうというところが工夫のポイントかなと思います。仕組み自体はできると思います、そのままほかの大学でも使えるのではないかなと思っています。
【江端委員】 ありがとうございます。私が北大に在籍していた頃、研究者の先生方が直接に手入力を行っていただいたり、各所への問合せなどを通じてデータを共有いただいたり、非常に熱心に対応してくださったことを思い出します。何とか形にしていこうと尽力していましたが、やはりその作業が非常に大変で、今後、研究者の研究時間の確保という観点からも、いかに効率化を図っていくかが重要だと改めて感じました。
なそのため、上西委員のお話も飯田委員のお話も、やはりこういった問題に対してはオールジャパンの体制で取り組むことが非常に重要だと思っていまして、それぞれ一機関の中で取り組むのではなく、皆さんで協力しながらどのようにつくり上げていくかを、今後このような場でも議論を進めていきたいと考えております。ありがとうございました。
【網塚主査】 ありがとうございます。 続きまして、岡田委員、お願いいたします。
【岡田委員】 山口大学の事例のお話、非常に具体的で興味深かったので、少し既に出た質問とも重複する部分もあるかと思いますけれども、特にどのぐらいスケールできるのかとか、ほかに展開できるかという、そういうことも含めてお伺いしたいのですが、まず30ページの、学生をうまく取り込んでというお話があったと思うのですけど、ここに一応、1施設3名程度とか、いろいろと具体的に数字が書かれているのですけれども、この1施設当たり3名は、1施設に、例えば機械というか、こういうインストラクターが必要になるような機器はどのくらいの数があるのに対して3人ぐらいなのかとか、逆に学生はこの応募に対してどのくらい魅力を感じて、すごくコンペティティブなプログラムになっているのか、あるいはなかなか定員が充足しないで困っているのかとか、その辺り教えていただけますでしょうか。
【上西委員】 この3名というのは財源のほうから来ている数字で、施設によって全然機器の数も違うので、かなり乱暴に、取りあえず財源に限りがあるので、3名程度であれば財源もあるということで3名ということを書かせていただいています。言われるように、非常に扱う機器も多くて利用者も多いところはたくさんインストラクターも必要なので、今後、施設ごと3名とかではなくて、利用状況とかインストラクターの必要性に応じて人数は割り当てていきたいと思っています。
まだ、これは始めてそんなにたっていないので、最初の年は先生方が自分のゼミの研究室の学生を口説いてというか、そこから始まっていますので、まだそんなにたくさんざくざくと応募してきているという状況ではないです。今ちょうど、こちらが欲しいというか、教育できる人数ぐらいがちょうど集まってきて、ちょうどいい感じになっています。将来的にはもっと増えていけばいいなと思っているところです。これでお答えになっていますか。
【岡田委員】 まだパイロット的な段階で、これから。まず試しにいろいろとやってみているところということで、将来的にいろいろとレスポンスとか見ながら、特にお金が確保できれば拡充していきたいということですね。
【上西委員】 はい。
【岡田委員】 ありがとうございます。
あと、多分そのときに、今、ゼミの先生がというお話もあったと思うのですけど、こういうサポーティブな活動と、それから御自身の、学生自身の研究とのバランスみたいなものというのはどんな感じの制度設計になっているのでしょうか。
【上西委員】 そこも議論になったところなのですけど、私は、最初はあまり細かいこと言わずに、自分の修士論文とかに関わるようなものでもしっかりやれば、それに応じてしっかりお給料も払っていいのではないかと。成功事例をつくっていきたいので、今はそういう形で、あんまりうるさいことを言わずに、自分自身の研究であってもオーケーという形で進めています。
【岡田委員】 ありがとうございます。
あと、また数の話になってしまいますが、25ページのところで、最終的に技術職員をうまく組織化して、全学の組織として整備していくというお話があったと思うのですが、一方で、私も大学の人間なので、大学は今、いろんな意味で定員の問題、非常に厳しい中で、そうすると、教員の数とこういう技術職員の数みたいな総数のバランスをどうするとかは常に議論になるかと思うのですが、その辺りは、例えばどんな議論がとか、あるいはこれについてどうしていこうとかというのは、何かアイデアがあればぜひお願いしたいです。
【上西委員】 そうですね、山口大学の場合は、教員の割には技術職員が少ない大学だという理解を持っています。研究者が900人、専任の教員900名に対して45名なので、ちょっと少ないので、増やしていくという方向を今考えています。ただ、おっしゃるように人件費は相当厳しい状況になっていますので、今増やしているのは、外部資金の間接経費が増えた分を使って技術職員を新たに雇用したりしています。
【岡田委員】 ありがとうございます。
まだいろいろあるんですけど、最後、32ページのところに関連して、先ほど研究者の人にチェックボックスをつけていただくとか、データ入力の話です。あるいは、多分ほかのいろんなところでも、数少ない技術職員の中でこういうデータを集めたり見える化したりとかというところで、かなりそこで研究者のほうもそれなりに労力割かなければいけないし、さらにそれだけでなくて、それをまた取りまとめて集計したりとか、あるいはそれ以外の、研究者が入れたデータ以外のものを入力したりというのは、恐らくその技術職員の方がやるということになると思うのですけど、そもそもの最初のほう、一番最初に第7期の関連でAI for Scienceのお話が出ていたと思うのですが、AI for Scienceって、華やかなところだけ見るとAIが科学研究をどんどんやってという話になると思うのですが、多分それを実現するためには、ハイクオリティーなデータが大量にあるというのが背景になると思うのですね。ごみみたいなデータが山のようにあっても、幾らAIでもそれは使いこなせないですし、もちろんデータの量がなければそういうこともできない。
そうすると、ハイクオリティーなデータを大量に集めるというのは、実はデータをキュレーションするところで非常に手間や労力が必要で、だから従来であれば、たくさんデータを集めて質を担保しようとすると、必ずそこに大量のマンパワーが、優秀な人がそこでいっぱい働く。この32ページも非常にシンプルに多分それの例になっていて、例えばどの研究にどの機器を使ったとかというのがなければ意味があるデータにならないけれども、それをやるためには結局、全研究者がそれなりにエフォートを割いて入力しなければいけないと。
先ほど上西先生御自身がおっしゃっていたとおりだと思うのですけど、やっぱりこういうところこそがAI for Scienceの出番で、AI for Scienceは科学研究をするところだけじゃなくて、こういうデータベースのキュレーションとか、さっきおっしゃったとおりで、例えば、卑近な例だと科研費とか、いろんな研究費の報告書で、謝辞に番号がなければ駄目ですよということ等が必ずありますが、あれを全部一々人力でチェックしたらかなり大変ですけど、全部論文のPDFを手元に置いておいて、AIにインプットさせて、この中でこの番号があるものを全部リストアップしてとか指示すれば、別に人間は全然働かなくていいのですよね。
多分それと同じで、全文検索、論文書くのにメソッド、マテメソのところで必ず、この機器を使ったとか書いてあるはずなので、そのデータを集めれば、例えばどの論文とどの機器がというのは本当ならAIでできるはずです。しかもそれは多分、研究者個人が工夫したりとか各施設が工夫したりする必要はなく、必ず定型的な話なのです。それこそだから国の施策としてそういうシステムを、それこそリサーチマップなんかと同じような感じで、そこに登録したら、そこからいろんなデータが勝手にばんばんAIが抽出できるようなものはできるのではないかなというのを整備することこそが、AI for Scienceの一つ重要な柱になるのではないかと思っております。
以上です。
【網塚主査】 ありがとうございました。
それでは続きまして、上村委員、お願いいたします。
【上村委員】 どうもありがとうございました。大変興味深いお話をいただきまして、まず上西委員のほうに御質問させていただきたいのですけど、いわゆる技術職員のプロモーションのマイスター制度とか、そういうのをつくるのと、それから課長になるという制度もつくるということで、非常にすばらしいと思います。やっぱりそういうのがないと、どんどんモチベーションが下がると申しますか、そういう状況になりますので、非常にプロモーションを持ってというのは大事だと思います。
それでもう一つ、ほかの先生もおっしゃっていましたけど、学生のインストラクター制度ですよね。これは非常にやっぱり私も重要だと思っておりまして、実はかつて、フォトンファクトリーというか、高エネルギー研究所に、いわゆる日本でSPring-8もなかった時代に助人制度というのがございまして、ドクターの学生を、いろんな方のデータを測定するときの補助員というか、サポート制度の中になった方が何人かいらして、その方たちが結局全部、いろんな大学の主要なポストに就いたのですね。
先ほどおっしゃっていたように、企業に行くのも大事ですけど、私、アカデミアに残って、結局本当に将来的に日本の拠点というか、それをきちんとつくっていけるような、そういう方を育成するというのは非常に重要だと思うのですけど、この学生というのはドクターの学生なのでしょうか。どういうふうにお考えでしょうか。
【上西委員】 この緑の枠のところに書いていますけど、まず塾生として入るのは学部の学生です。6月から9月で、修士に残ることが大体決まっている学生です。アーリーというところで、ここまで進学した者は、まだ4年生ですけども進学は決まっています、入試も終わって。あとミドルのところは、修士の2年間で、できれば博士まで拡張していきたいなと思っているところです。
【上村委員】 そうですね。この中で全部がいわゆるアカデミアの中心になるとは思えないのですけど、そういう本当に将来の日本の科学技術のキーマンとなるような人がこの中から出てくるような育成もエリートコースとしてはやっぱり非常に大事で、そういう人たちというのは、やっぱり自分の技術じゃなくて、ほかの技術との融合も図れる方で、非常に徳のある方といいますか、そういうところも重要、人間性というのも大事だと思うのです。だからこういうのを通じて、そういう方がやっぱりアカデミアに残って本当にやっていけるような、行く道もあるというふうに理解してよろしいのですかね。
【上西委員】 そうですね、ぜひそうしたいと思っています。総合技術部も、このインストラクター制度を経ているわけではないけれども、本学の修士とか博士から技術職員になっている方も結構多いので、このインストラクター制度を通すと、もっとさらに増やすことができるかなと思っています。
【上村委員】 そうですね、技術職員にならなくても、教授とかになる方もいらっしゃると思うので、そういう方がこの中から育つ、4年の頃から育てるというのは。それから、何というか、目をつけるといいますか、この人はみたいな、この人たちにはやっぱり残ってほしいみたいな、そういうふうにやっていくのができるという意味でも、早めからやるというのは非常にすばらしい制度だなというふうに思いました。拠点としても非常に役割を果たしておられて、それぞれの大学の強みみたいなのを生かしてやっておられるので、地域的な拠点として、それも非常に感銘を受けました。これは上西委員に対するコメントです。
それで、飯田委員に関しては、ちょっとお伺いしたいのですけど、私、自分で講演した、あるメーカーが主催のセミナーに6月に出まして、そこで内閣府の方がお話しになったのにすごくびっくりしたことがありまして、今まで企業と学が一緒にやって、先ほど江端委員からも出ましたけど、オール・ジャパンの司令塔というか、そういうのがやっぱり必要かなと思うのですね。それで、先ほどもおっしゃっていましたけど、企業の方はコストとか将来性、売上げ、そういうのにこだわるというのはよく分かるのですけど、自分も企業出身なので。ただ、日本にとって、次に世界の中で頭角を現すために、この分野に、今はコストとか、売上げとかは見込めないのですけど、やっぱりこれは必要だというものをつくっていかなければいけないと思うのです。これはですから分析工業会に限ったことではないのですけれども、経産省とかそういうところも含めて、何かそういうのを決めていくというか、そういう意見というのはこの中では出なかったのでしょうか。
【飯田委員】 コメントと御質問いただきましてありがとうございます。もちろん企業も社会課題の解決に貢献するという姿勢がないと結局長い目で見て成り立っていかないというのはよくよく承知していまして、まずは今何が困っているか、何ができるか、そのためにはどういう技術を研究して開発するかというのがスタートです。その上で、企業としても、全体的に眺めたときに、ハイリスクではあるがトータルとして社会課題の解決に必要で、また最先端の研究力を国が持つことは重要であると考える際に、欧米や韓国等では、このようなハイリスクではあるが可能性ある、というものを後押しする仕組みがあると承知しています。そこで企業がちゅうちょしている時間、特に最先端研究ではそのちゅうちょしている時間がもったいないと思いますので、支援をできるだけスピードアップして、産学官で世界トップ、最先端を狙う仕組みが必要であると考えています。
そのときに、欧米等海外のものをそのまま輸入するのではなくて、日本型としてそういう機運があると望ましいと考えております。今、分析・計測機器に関しましてかなり危機的な状況だと業界団体としては思っておりまして、それでこのようなお話をさせていただきました。
長くなりましたけども、トータルとしては、まず出発点は社会に役立つこと、社会課題の解決に資するというところが出発点だということ、これは揺るぎないところでございます。
【上村委員】 そうですね。おっしゃるとおりで、国民としては、何かアウトプットがあるというか、それを見せないと、自分の税金を使ってやるというところまではやっぱり理解が得られないと思うので、だからそういうところに結局、本当に10年後かもしれない、20年後かもしれないですけど、ちゃんとプレゼンスを残していくために、企業と、それから官としても――いろんな省庁ですよね。連携といいますか、オール・ジャパンとおっしゃいましたが、司令塔的な、何に本当に注力すべきかという、そこの頭のところが非常に重要ではないかと思ったので、御質問させていただきました。ありがとうございました。
【飯田委員】 ありがとうございます。
【網塚主査】 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは続きまして、田中委員、お願いいたします。
【田中委員】 田中です。飯田委員と上西委員、御説明どうもありがとうございました。
まず飯田委員のほうですけれども、ほかの先生方がいろいろおっしゃったのであれですですが、イノベーション促進型の調達制度ですとか人材育成ですとか、いろいろ魅力的なお話を書いていただいたと思うのですけれども、一番最後のAI for Scienceのこともしっかりと書いていただいたというのが非常に大きいかなというふうに思っています。岡田委員もおっしゃっていましたけど、やっぱりAIを使ってという研究をやっていくには、データをキュレーションしてきて、それをクレンジングしてきて整形してという、そこが一番労力のかかることに現状はまだなっているような状況で、そちらの労力が9割で、残りが1割みたいなことがあると思います。
例えば、丸2に書いてあるラボワークフローのデジタル管理というのも、現状では多分、ラボノートに書いていったりチェックしたりというようなことが必要になってくる、つまり現場にはより負荷がかかると。デジタル化したらいろいろ簡単になるかというとそうでもなくて、かえって時間がかかるようなことが多いというような状況じゃないかなと思っています。それは上西先生のおっしゃった成果の見える化のところで、先生方がチェックボックスを押さなければいけないというところとも同じだと思うのですけれども、そういうのがAIで労力レスになっていくという方向は非常にありがたいですし、そうでないとデジタル化の意味というのは本当に生きてこないと思いますので、それを書いていただいたのがありがたいなというふうに思っています。
ただ一方で、自分はちょっと専門外でよく分からないのですけれども、公知になったデータならいいと思うのですけど、いろんなものをAIに入れていくというところで、秘密にしなければいけないデータですとか、外為法に引っかかるデータとか、その辺をどうやって守っていくのかというのは多分該当する委員会のほうで議論されていると思うのですけれども、そういうところを注意しつつのAI for Scienceなのかなというふうに思いました。
それから、上西委員のほう、見える化のところはもう皆さんがおっしゃったので、ちょっと別なところで26ページですか、総合技術部として一本化されたというのは非常にいいお話だなと思いまして、皆さんが同じように評価されて、同じような仕組みの中でということで、これは非常にすばらしいシステムだと思うのですけれども、多分いろいろ御苦労されているところもあるのではないのかなと思いまして、このマトリックス型の指揮命令系統というと、やはり2人の方から違うことを言われてしまうこともあれば、違う方針を言われてしまったりとか、情報を伝えるのも、あっちはここの方まで情報来たけど、こっちは違ったというような情報が錯綜するようなこととか、組織が複雑になればなるほどそういうことが起こると思うのですけど、その辺の御苦労はどのように回避されているのかというところをお伺いできればと思います。
【上西委員】 上西ですけれども、できるだけコミュニケーションを多く取るようにしていますので、今のところそれほど大きな問題は出ていないと思っています。現場に私もできるだけ行って、現場の状況も見ながらやっています。大事なのは、技術職員の方々のモチベーションをいかに上げていくかということで、単なる作業だと思うとモチベーション上がらないので、何のために、これをしてもらうことによってどういうことができるようになるとか、そのことによってどうなっていくというところまでしっかり理解してもらって動いてもらうようにしています。だから単に作業を言うのではなくて、その作業をすること、作業というか、その仕事がどういうことにつながっていくかというビジョンをしっかり一人一人にお伝えして、モチベーションを上げてもらうようなことを心がけています。
【田中委員】 大変参考になります。どうもありがとうございました。
【網塚主査】 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
それでは、鳴瀧委員、お願いいたします。
【鳴瀧委員】 まず、飯田委員、産業界からの御提言ありがとうございました。私も、DX、AI for Scienceについて具体的に提言いただいたのが非常に大きいなというふうに思っておりまして、ラボDXという文言もありましたけれども、私も自分のラボを持って研究を進めるに当たって、あれもこれも自動化、DXできたらどんなにいいかと思うところがあります。一方で、各ラボでDXを進めても、結局データがビッグデータにはつながらないという側面もあって、この支援というのはどういった組織の規模で進めるのが適切だというふうにお考えか、聞かせていただきたいなと思っています。ちょっと難しい質問になってしまうかもしれないのですけど。
【飯田委員】 飯田でございます。御質問いただきましてありがとうございます。まさにデータを活用するためには、やはり使えるデータを蓄積していかないとというところで、御質問いただいた点が極めて中心なところだと思っています。その点につきましても、正直なところJAIMAの中でもいろいろと、まさに議論といいますか、させていただいているところというか、違いもあって。ただ、これは業界団体としてとか各企業がというよりは、もっと上のレベルでの共通化とか、いろんなものがあるのかなと、極めて政策とのリンクが大きいのではないかと思っております。
非常に卑近な例になりますけれども、データフォーマットの共通化と書いておりますが、データをビッグデータにするための第一歩として、分析・計測機器から出てくるデータのフォーマットを共通化しましょうというので、JAIMAのほうで国と一緒にそういうフォーマットもつくらせていただいたのですけども、これをまた浸透させるのもなかなかシンプルではなくて、その辺りをどう進めるかというところはまさに業界団体としてもこれからというところで、こういう機会に、今AI for Scienceのお話が施策として出ておりますので、文科省様をはじめ、国のほうからもいろいろと統一に向けてお示しいただけたら非常にありがたいなと思っているところです。
【鳴瀧委員】 私も強く思います。何かモデルとなるような成功例があって、それが普及していくような形にできたらすばらしいなと思います。ありがとうございました。
それから、上西委員の山口大学の話も大変勉強になりました。私からは1点だけ、やはりもともと研究室に配置されていた技術職員の方々を統合技術部のほうに、組織として系統を変えていくというところで、結構御苦労があったのではないかなと思うのですけど、人件費の出どころとしては変わらず、組織のこの仕組みだけを変えたということになるのでしょうか。
【上西委員】 そうですね、人件費そのものは一定の量額、人件費はあったのですけど、部課長制をしくことによって、部長、課長職の管理職手当の分がかなり増加することになりました。そこで、総合技術部をつくるときに、10年間の人件費の計画をしっかり立てて、最初の5年間は増えるけれども、技術職員の高齢化が進んでいたので退職される方が結構おられて、その代わり若い人を入れるので、そこで人件費が結構浮くので、6年目以降は元の人件費のままで、管理職手当等々の手当を増やしても総額は変わらないというようなシミュレーションを示して納得してもらいました。
たまたま人員構成が高齢化していたというのがよくて、5年間は増えるのだけど、それはコアファシ事業の期間中で、その間はコアファシ事業のお金を使わせていただくので、大学本体には迷惑はかけないというような計画でやりました。
【鳴瀧委員】 分かりました。現状をにらみつつ最適な計画にされていて、本当にすばらしいと思います。ありがとうございました。
【網塚主査】 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
最後に、飯田委員、上西委員、改めて一言ずつ、今までいただいたコメントに対する御返答でも構いませんし、それぞれの御発表に対するコメントでもよろしいので、一言ずつ短めにいただけたらと思います。
飯田委員、よろしくお願いいたします。
【飯田委員】 ありがとうございます。本日はJAIMAとしての提言の御説明の機会をいただきまして、また、それに対しまして委員の先生方皆様から貴重なコメントいただきましてありがとうございます。JAIMAとして、今ここでちょっと頑張らないと、本当に日本で最先端の計測機器を日本の研究者のアイデアに基づいてつくって世界で発信していくというのは今がぎりぎりではないかというような非常に強い危機感を持っておりまして、それが今回の提言という形でさせていただいたということになっております。これを機会にいたしまして、ぜひ具体的な形で、特に文科省様が進めておられます共用拠点の活用ですとか、そういう形で研究者の方々が集まられて、そこでいろいろとさらに新しいものが生まれていくという、そういう研究力向上と、それに伴って日本の企業も強くなっていけるという形をぜひつくらせていただきたいと思っております。
そういう意味では、山口大学様の具体的なお取組、お話を聞かせていただきまして、非常に勉強させていただきました。いろいろとまた私も御質問したいことがあるのですけど、時間が限られておりますので、また別の機会にさせていただくとして、このようなお取組が日本で展開されようとしていること、それをまた、先ほど申し上げましたJAIMAからの提言というところとうまくリンクさせていただいて、研究力アップ、向上に少しでも貢献できるように取り組んでまいりたいと改めて思ったところになります。
以上になります。ありがとうございました。
【網塚主査】 ありがとうございます。
上西委員、お願いいたします。
【上西委員】 皆様方から貴重な御意見をたくさんいただきまして、ありがとうございます。励ましの言葉もいただいて、また一層頑張っていかないといけないなと思った次第です。
特に機器の見える化というか、利用実績と成果のところにつきましては、ぜひほかの大学でも使っていただければありがたいなと思います。そのためにも、先ほどちょっと議論になりましたけども、AIを組み込んで、研究者の人には紐づけ作業をしなくてもいいような形にして全国で普及できればいいなと思います。どうもありがとうございました。
【網塚主査】 どうもありがとうございました。それでは、以上で議題1を終了させていただきます。飯田委員、上西委員、本当にありがとうございました。改めてお礼申し上げます。
続きまして、議題2に移ります。新規事業の事前評価についてです。ここからは非公開の議題となりますので、事務局におかれましてはユーチューブの配信の終了をお願いいたします。
―― 了 ――
科学技術・学術政策局 参事官(研究環境担当)付