令和8年7月27日(月曜日)10時00分~12時00分
オンライン開催
佐伯部会長、有馬委員、上杉委員、小泉委員、小板橋委員、齊藤委員、品田委員、髙野委員、前田委員、松尾委員
研究振興局長 淵上孝、大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策連携担当) 生田知子、研究振興局基礎・基盤研究課 課長 澄川雄、研究振興局大学研究基盤整備課大学研究力強化室 室長 神部匡毅、研究振興局基礎・基盤研究課 融合領域研究推進官 臼井暁子、研究振興局基礎・基盤研究課 課長補佐 相川美紗、研究振興局 研究振興戦略官(人工知能活用担当) 参事官補佐 轟木誠一郎
READYFOR 株式会社ファンドレイジングソリューション室 室長 佐藤沙弥、READYFOR 株式会社マーケティング部 河林壯憲
【臼井推進官】 それでは、定刻となりましたので、ただいまより、第23回科学技術・学術審議会基礎研究振興部会を開催いたします。
本日の会議ですが、本部会運営規則に基づき、公開の扱いといたしますので、御承知おき願います。
まず、事務局より本日の出席者と議題の説明などを行います。改めまして、文部科学省事務局の臼井でございます。まず、本日の委員の出欠状況につきまして、現時点で14名中10名の委員に御出席いただいており、定足数を満たしていることをお伝えいたします。
なお、合田委員、加藤委員、畑中委員、原委員におかれましては、本日、御欠席の御連絡をいただいております。
次に、配付資料の確認をさせていただきます。資料は議事次第の配付資料一覧にある資料を事前にメールにて配付しておりますが、欠落等ございましたら、画面越しに手を挙げ、申し出てください。資料の欠落等はございませんでしょうか。御確認ありがとうございました。
続きまして、本日の議題について説明させていただきます。事務局の澄川よりお願いいたします。
【澄川課長】 基礎・基盤研究課長の澄川です。本日は、よろしくお願いいたします。冒頭、佐伯部会長から定刻の時点での開会を一言いただくというところを事務的に進めてしまいまして大変恐縮です。改めてですが、開催ということで進めさせていただければと存じます。
では、本日の議題について説明させていただきます。前回1時間で少し時間が足りなかったという反省を踏まえて、今回、2時間取らせていただきました。一方で、今回、5つ議題を立ててしまっておりまして、結果的になかなか議論いただく時間が取れないのかもしれないと少し恐れておりますが、いずれにしましても、活発な御議論、御意見をいただければ幸いです。
本日、5点ございまして、まず1つ目に関しましては大学研究力強化に向けた取組ということでありまして、いわゆる大学の研究力に関する議論というものは、文科省の別の審議会、委員会として大学研究力強化部会及び産業競争力・研究力中核大学群に関するワーキンググループというものが設置されてございます。本日は、文科省全体の中でのホットトピックスといいますか、議論の動きということで、こちらの現状の検討状況というものを担当のほうから御紹介をさせていただきたいと思っております。これが1点目になります。
2点目、こちらについては世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)の今後の展開ということで、これまでも前回から引き続きで継続的に御意見をいただいているところでありますが、今回、今後の具体的な取組方針等含めて改めて御説明をさせていただき、皆様から御意見を賜ればと考えております。
3点目、社会から応援される基礎研究の在り方というタイトルで議題を立てさせていただいております。こちらについては、今回から新しく始めさせていただきたいと考えているものでございまして、基礎研究の在り方という非常に大きなテーマでございますが、今後、複数回にわたって御議論させていただければ、継続議論させていただければと思っておりますので、以後よろしくお願いいたします。
4点目、社会を良くするお金をつくるためにということで、本日、READYFOR株式会社の皆さんにお越しいただきまして、取組の内容を御紹介いただきたいと思っています。これは先ほど申し上げました社会から応援される基礎研究の在り方という議論と少しセットで議論できればなということで、本日、お越しいただいているものとなってございます。進行としては2つ、まとめて御説明させていただいた後に質疑応答の時間で御議論いただきたい、御意見をいただきたいと考えてございます。
最後、5点目、こちらはAI for Science、SPReADについてということで、こちらも前回から引き続きで御説明させていただいたところ、第1回公募の採択結果など進展がございますので、こちらについて御報告と御説明を予定しているものでございます。
本日、以上5点、よろしくお願いいたします。
【佐伯部会長】 御説明、どうもありがとうございました。
それでは、議事に入りたく思います。まず1番目、「大学研究力強化に向けた取組について」でございます。議題1につきましては、研究振興局大学研究基礎・基盤課大学研究力強化室の神部室長より資料1-1に基づいて御発表をお願いいたします。発表後、続いて事務局より1-2に基づいて発表をお願いいたします。
それでは、神部室長、よろしくお願いいたします。
【神部室長】 大学研究力強化室長の神部でございます。どうぞよろしくお願いいたします。資料1-1を御覧ください。大学の研究力強化に向けて、我々、大学研究力強化部会などで議論を進めてきたところでございまして、その内容について御説明をさせていただければと思います。
2ページ目を御覧ください。こちらは大学の研究力強化に向けた施策の全体像をまとめているものでございます。一番上の赤で囲っているところがガバナンスに基づく大学全体、全学的な支援を行うような施策として、国際卓越などを書いているところでございます。真ん中の青いところが、研究大学が具備すべき要素への支援ということで、広域的な経済圏の支援であったりとか、強みとなる拠点を形成するような支援であったりとか、こういった個別の支援も行っているところでございます。さらに下のほうに行きますと、組織・分野を超えた連携の強化や、研究者個人/チームへの支援、あとは基盤的支援などを整理しておりますが、この中で、一番上の赤で囲っている全学支援につきましては、国際卓越、J-PEAKSの支援を今両輪で進めているところです。さらにこの真ん中の赤で囲っている、この我が国の成長の中心として存在感を示す研究大学をさらに支援していくべきではないかといったことを今議論しているところでございます。
その背景を少し説明させていただきます。3ページ目を御覧ください。大学研究力強化部会の資料の抜粋でございますが、上の背景に書いてございますとおり、今、この科学の重要性が非常に高まっている一方で、我が国の国際的な優位性が低下しており、科学の再興の実現が喫緊の課題となっております。そういった中で、第7期科学技術・イノベーション基本計画におきましても、世界をリードする研究大学群の実現に向けた変革が求められているところでございます。中段のところが、これまでの取組などを整理しており、先ほどのページの説明した支援施策とも重なるところでございますが、いろいろな施策を展開してきたところでございます。その成果が出ているところではあるのですが、さらにこれらを踏まえながら、必要な改革を着実に進めていく必要があると考えているところでございます。
その上で、その下段になりますが、今後の議論の方向性として、この我が国が世界の科学に追いつくことのみを目指すのではなく、この特色を探究し、その特色を伸ばし、勝ち筋としてしっかりと引き出していく。その結果、社会・経済・学術への貢献とつなげていく。こういった改革をどういうふうに進めていくべきなのかを問題意識として持ちながら、部会において議論を進めてまいりました。
次のページから、御紹介させていただければと思いますが、これまでの部会の開催実績をまとめたものが4ページです。3ページで説明したものがこの11月19日の第3回の部会で提示され、その後、ヒアリングを3回重ねてまいりました。さらに、調査としましては、大学の戦略的裁量経費がどういうふうに使われてきたのか、こういった調査も踏まえまして今後の必要な施策はどういうものがあるのかを議論してまいりました。
その結果をまとめたものが5ページ目となってございます。大きくは、主に4点まとめております。1つが大学マネジメント(経営層が行うべきこと)と書いているところでございますが、大学全体の状況を把握しながら、この強みを有する分野を特定し、重点的な研究資源を配分していく。その結果として新しい研究成果を生み出し、外部資金の獲得や優秀な研究者の招聘など研究資源の総量を増加につなげていくこと。また、その獲得した研究資源を大学内で戦略的に配分、再投資することによって、次につながる分野を育成するとともに、その経済圏への貢献や人材育成機能の強化につながるエコシステムというものも意識しながら形成を進めていく。こういった資源の獲得と配分、さらにそれによる分野の育成、エコシステムの形成と循環を作っていくことが大事ではないか。そういった議論がされております。
その際に、最後の矢印のところになりますが、研究をマネジメント・プロデュースできる人材や共同研究等を交渉できる人材をどういうふうに育成、確保していくのかというのを、さらに具体的にまとめていくべきだというような意見も出ているところでございます。
2つ目の柱としましては、研究マネジメントの点でございます。研究マネジメントにつきましては、もちろん自分の大学の中で、その研究室や学部の組織の壁を越えてマネジメントしていくことは大事なのですが、他大学や企業、自治体、こういったステークホルダーを巻き込んでやっていくことが研究マネジメントにも求められていくといったことを挙げております。さらに、最後の3つ目の矢印ですが、この大学シーズの起点の研究だけではなくて、社会課題、出口側からも、ニーズを起点とした研究がどういうふうに相互的に作用していくのか、それによって多様な価値を創造していくので、そういったマネジメントが求められるのではないかといったことが意見として出たところでございます。
続きまして、6ページでございます。産学連携という柱でも議論が展開されました。産学連携は、もちろん社会に、出口につなげていくことが重要なのですが、この産学連携の取組を通じまして、学術的な研究力の向上や、ほかの分野の研究へ波及する、そういった単純な社会実装を目指すだけではなくて、産学連携の幅を持たせることも計画上、見据えて進めていくことが大事だろうと。その中で、2つ目の矢印になりますが、トップレベルがしっかりとコミットメントを強化しまして、企業が求めるような、この意思決定のプロセスの迅速化・明確化、こういったものもしっかりとやっていくことが必要になってくる。さらに3つ目の矢印でございますが、この産学連携を進めていく上でもやはり人材が重要になってきます。その際に企業人材を大学の中核的なポストで受け入れる、こういった企業と大学でさらに深い連携の人材交流をしていくことも大事ではないかといった議論もされております。
最後に、人材育成でございますが、先ほども申しました企業から人材を受け入れていくことも大事なのですが、大学と企業で人材交流を活性化させるということが、ひいては、この技術や研究を理解して企業で活躍できる人材、さらには大学で、その企業の実務を理解して大学で活躍できる人材、相互に企業、大学で、しっかりお互いのことを理解を深めて活躍できる人材を育成していくことがやはり重要だろうという意見が出ております。
その際に3つ目の矢印でございますが、1つの大学で閉じるのではなくて、複数の大学と企業がうまくネットワークを形成しながら、人材を育成するエコシステムも構築していくことが重要ではないかといった意見が出ております。
以上の議論が部会であったところなのですが、この議論も踏まえまして、さらに、下のところの1ポツで書いてございます産業競争力・研究力中核大学群の形成が日本成長戦略の会議で言われているところでございまして、この日本成長戦略の議論と大学研究力強化部会の議論をうまく統合して新たな次の大学群をどのように支援していくのかといったことを今、別のワーキングで議論しているところでございます。
続きまして、そのワーキングの議論の内容について御紹介をいたします。10ページを御覧ください。まず、下段は、4月22日の日本成長戦略会議におきまして、総理の発言を抜粋したものでございます。文科、経産大臣に対しまして、産業競争力強化に貢献する新たな大学群の形成に向けて、17の戦略分野を中心に高い研究力を有する大学を中長期的に支援する制度を創設することが、総理より指示として出ているところでございます。その背景としまして、この上に書いてある内容は、右のところに出典として米印で書いているのですが、世界で競い成長する大学経営のあり方に関する研究会を昨年の秋から文科省と経産省でお互いに研究会を開催しており、その研究会の議論も踏まえまして、総理からも発言が出てきたところでございます。
次のページになりますが、この総理の発言を踏まえまして、今回、文科省と経産省の研究会をさらに発展させ、文科省と経産省の下にワーキンググループというものを合同で立ち上げまして、今議論を進めているところでございます。この図に書いてございますとおり、経産省の産業構造審議会の下にワーキンググループを設置し、文科省も科学技術・学術審議会の大学研究力強化部会と産業連携・地域振興部会、両部会合同でワーキンググループを設置しております。
このワーキンググループの第1回が6月22日に開催されまして、その内容を簡単に御紹介したいと思います。12ページを御覧ください。そのときの資料の抜粋でございますが、まず、新しい大学群に求める要件としてどういうものがあり得るかといったことが、俎上として上がっております。ここで大きく4つの項目が挙げられております。1つ目が産業競争力強化へのビジョンといったことで、産業界の現状を踏まえた実効性のある産業力強化へのビジョンというものを、新しい大学群は作成を求めるだろうと。その際に、具体的な施策はどういうふうにするのかといった話もあるのですが、それらのビジョンというものが、しっかり産業政策とも適合するような、そういった内容にしていくべきではないのかといった話が出ております。
2つ目としましてはガバナンス・経営力といったことで、これまでも大学、ガバナンス経営改革など進めてきているところですが、さらに今回、産業競争力といった観点でも、世界で競い成長していくためにも、迅速かつ柔軟な意思決定というものが求められます。そういったものに対応すべくガバナンス経営力の改革を求めていくべきではないのか。3つ目で研究力・人材とありますが、この産業競争力に貢献するにしても、やはりその元となる研究力、人材というのが不可欠です。こういったことで、特定分野におきまして世界トップレベルの研究力と人材をしっかり確保していくことが重要だと言っております。さらに4つ目、経済圏への深い貢献といったことで、経済圏、特に地域というよりはグローバルに見たときの経済圏における、その企業との連携体制というものをしっかりとつくっていくことが大事だろうといったことも挙げているところでございます。
続きまして、13ページでございます。こちらは、その支援のスキームをどういうふうにしていくべきかの案として出てきたものでございます。まず、支援のスキームとしましては、この分野単位と大学単位という2つに分けて支援をしたらどうかといった案が出ております。分野単位というのは、この産業競争力に資する17の戦略分野に沿って、その分野ごとに資金を提供していくといったものでございます。さらに、その受け皿になる大学の改革の部分としては、大学単位で支援をしていく。こういった分野と大学単位をうまく混ぜながら支援していくことを今考えているところでございます。
さらに、支援期間としましては、10から15年といった、ある程度自走化に十分な期間もしっかりと必要だろうと。支援規模につきましては、今まさに議論しているところでして、ただ、しっかりと求められる研究開発ができる十分な規模の支援をしていくべきだといった議論がされているところでございます。
以上、これまでの議論の内容を御紹介いたしました。今後7月30日にこのワーキンググループの第2回がございまして、またさらに議論を深めていく予定となってございます。以上でございます。
【佐伯部会長】 ありがとうございました。
では、続けて事務局より1-2に基づいて発表をお願いいたします。発表後、議題1に関しまして委員の皆様より御意見を頂戴できればと思います。では、よろしくお願いいたします。
【相川課長補佐】 事務局の文部科学省基礎・基盤研究課の相川でございます。今ほど紹介のあった議論と、この後の議題で、WPIの今後の展開についてというものがありますが、そこを絡めさせて1枚、資料の説明をさせていただきたいと思います。こちら、今ほどの部会の議論なども踏まえまして、大きな大学研究力という政策の中で、WPIという事業がどのように位置づけられるかというのを整理したものでございます。WPI拠点は新たな学理の創出ですとか、国際頭脳循環の場というふうな形で形成されているとともに、システム改革を先行して実践して、大学ですとかホスト機関の成長に貢献をしてきたところでございます。このWPI拠点が培ってきた高度な研究環境ですとか、マネジメント方策というのは、今ほど申し上げたとおり、各大学などにおいて横展開されておりまして、この資料の左下に幾つか事例を紹介させていただいているのですけれども、国際卓越研究大学の形成に当たっての重要な役割を果たしてきたという事例もございます。
さらに、加えて先ほど紹介のあった産業競争力・研究力中核大学群の形成においても、特に高い研究力を有することが要件の案として議論されているところでして、特に研究力に関しては、そのベースとして、取組のモデルとなる核が必要と考えられるところでございます。WPIの拠点形成というのが、その核となって大学の強みを象徴する世界トップレベルの研究拠点を形成し、これを旗印にして、その活動を大学全体に波及させていくという形で、WPIなどの拠点形成が大きな役割を担い得ると整理をしたものがこの資料になります。
事務局からの説明は以上になります。
【佐伯部会長】 どうもありがとうございました。
それでは、以上の説明に関しまして委員の先生方から御質問等ございますでしょうか。御質問等ある方は挙手ボタンをお願いいたします。
では、有馬委員、お願いいたします。
【有馬委員】 御議論の御紹介、ありがとうございました。前半のお話で、産業力強化という、我が国にとって大事なことの議論と、それから、基礎研究を行うというときに、もちろん重なる部分はたくさんあるのですけれども、特に例えばプレイヤーを日本人中心と思うのか、そうではなくて国際的な展開をすることを前提としてやるのかという、その辺の議論がどういうふうになっているかちょっと教えていただければと思います。
【佐伯部会長】 文科省のほうから何かございますでしょうか。
【神部室長】 ありがとうございます。まず、今回の産業競争力に貢献するといったときに、地域とか、そういった経済圏のことも大事なのですが、我が国の成長というのを見据えたときには、その発展の先としましては、国際的、グローバルにしっかりと戦えるような規模を想定してございます。その際にベースとなるような研究力や人材といったものは、グローバルにしっかりと戦えるような研究力や人材がなければ、そういった規模の産業競争力の強化にもつながってこないといったことはあると思っておりますので、研究力の部分につきましても、やはり世界トップレベルの人材、研究力に添えることを目指していくことになると思います。
その際の議論として、産業競争力や社会実装までいきますと、技術をどのように情報管理していくのかなどの問題は発生してくると思います。そういったことは、まだ今議論を進めている段階ではあるのですが、これから大学群に求めていく要件や、その姿を考える際にも、1つの論点になっていると認識しているところでございます。
【有馬委員】 これからということですね。どうもありがとうございました。
【佐伯部会長】 ありがとうございました。
では、続きまして松尾委員、お願いいたします。
【松尾委員】 どうもありがとうございます。私のほうは質問ではなくてコメントなのですけれども、後半の産業人材育成に関して一言申し上げたいと思います。私、こちらの成長戦略の17の投資分野の1つであります合成生物学・バイオのワーキンググループに参加させていただいたのですけれども、やはりその中でも博士人材ももちろん、基礎研究の部分も大事なのですけれども、そういったことを実際に社会にスケールアップして出していくというふうなところでは、産業人材も非常に重要で、テクニシャン等、幅広い層の人材が必要となってくるということが強く認識されておりました。基礎と応用をどうつなぐかということの重要性というのは、合成生物学、バイオだけとか、バイオ、物づくりだけには限らないのですけれども、このように文科省と経産省がどうそれをブリッジしてやっていくのかということが非常に重要となっているところで、こうした省を超えて合同で検討を開催するというやり方、非常に画期的だと思っておりますので、ぜひ今後ともこういったやり方を展開していっていただければと思っております。
以上となります。
【佐伯部会長】 コメント、ありがとうございました。
では、続きまして小板橋委員、よろしくお願いいたします。
【小板橋委員】 ありがとうございます。質問なのですけれども、大学マネジメント層の育成というところが大事というお話があったかと思いますが、現状、トップエグゼクティブ的な方々のマネジメント力を強化するための研修というのは、何か少し前に随分やられていたようですが、文科省で現状どうなっているのかというのをお伺いさせていただければなと思っております。
【佐伯部会長】 文科省のほうから何か、よろしくお願いいたします。
【神部室長】 ありがとうございます。大学のマネジメント層の育成につきましては、おっしゃるとおり、その大学のマネジメント、大学を超えて将来的な候補になる方への研修などの取組などは行ってきているところでございます。一方で、そういった研修などを行ってきてはいるものの、大学の経営層の人材をどう育てていくかといったところは、基本的には各大学の取組に主に委ねているところが大きいと思っております。そういった中で、今回の部会におきましても、次の自分の大学経営を担う人材をどういうふうに育てていくのかといったことも含めて、今の総長や学長なども考えて行っているといった発言は出てきたところでございます。
ただ、一方で、時代が大きく変わっていく中で、大学経営のやり方も1つの正しい答えがないようななかなか難しい状況でもありますので、今、ある意味、大学に役割の大きなところは任せてしまっているところではありますが、そういった中で今後、どういうふうに大学経営を育てていくのかといった点であったりとか、さらに言いますと、大学経営を教員だけではなくて、職員も含めてやっていくべきであって、職員レベルでもどういうふうに大学経営にコミットさせて育成させていくのか、そういったところも今後の課題だという議論が出ておりましたので、そういったことは今後まだ考えていきたいと思っているところでございます。
【小板橋委員】 ありがとうございます。
【佐伯部会長】 ありがとうございました。
では、続きまして小泉委員、お願いいたします。
【小泉委員】 ありがとうございます。小泉です。質問というよりコメントになるのですけれども、まさに今見せていただいている国際卓越とJ-PEAKSの間を埋める大学群を形成していく。それを経産と文科省と形成しながら一緒にやっていくというところは、とてもいいスキームだと思います。その上で、これまで日本の大学の研究力、または日本全体の研究力を支える上で、WPIがこれまで20年間近くですか、果たしてきたすばらしい役割といったもの、WPIの役割というのを、このスキームも大切なのですけれども、このスキームとは別にでもWPIの大切さというのは改めて認識すべきなのではないかなと思います。
WPI、また、この現在の17の成長分野というのもありますが、未来の新しい分野を開拓していく。今の17分野は、ある程度でき上がってきていて、産業界とも成熟しようとしている分野だと思っています。そうではなくて、WPIは新たな有望的な分野だったり、10年後、20年後を見据えた新しい分野だったりの開拓というところにも、WPIは重要な役割を果たすと思うので、WPI、頑張ってくださいという応援メッセージでした。
以上です。
【佐伯部会長】 どうもありがとうございました。
実は今日の2番目の議題がWPIについてですので、またそちらのほうで御議論いただければと思います。
手が挙がっておりますが、次の議題に移りたいと思います。よろしいでしょうか。今日は議題が多目になっておりますので、すみませんが、もし何かありましたら、メール等でいただければと思います。
では、2番目の議題に参ります。世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)の今後の展開についてでございます。議題2につきましては、事務局より御発表をお願いいたします。発表後、委員の皆様より御意見を頂戴できればと思います。では、よろしくお願いいたします。
【相川課長補佐】 ありがとうございます。事務局の相川でございます。今、小泉委員からもコメントいただきましたとおり、前回に引き続きですけれども、WPI、世界トップレベル研究拠点プログラムの今後の展開についてということで御意見をいただければと存じます。前回の議論も踏まえまして、中でも改めて検討などを行いまして、8月末の概算要求、令和9年度の概算要求に向けても今後の展開について改めてまとめたものでございます。
また少しそもそも論から始めてしまって恐縮ですけれども、1枚目、WPI事業の現状認識というところで、WPI拠点は約20年の事業期間で、新たな学理の開拓と、それを我が国の強みとして基盤を開拓する拠点の形成というところを行ってきまして、現在18拠点ある中で、半分の9拠点がWorld Premier Status、世界トップレベルという形の称号を獲得しているアカデミー拠点となっております。ノーベル賞の受賞者なども輩出しているなどというところで、基礎研究の部分で研究を発展させる目覚ましい成果を創出しているというふうに考えております。
次のページをお願いします。一方で、WPI事業における課題というのは、今までも御議論いただいておりましたが、本部会においても世界に向けた発信が必要ですとか、先端的な研究を活かして、もっと若手の研究者や学生など次世代の人材に基礎研究の大切さといいますか、楽しさというのを伝えることが重要ではないかという御意見ですとか、また、WPIの拠点間での横展開の方策が必要であるというような御意見もいただいております。
また、アカデミー拠点、9拠点に対して事務局のほうから拠点の発展に向けた主な課題という形でヒアリングを行ったところ、大きくまとめると以下の5つのような点が挙げられておりまして、読み上げますと、WPIというもののブランディングの不足ですとか、ファンドレイズの難しさ、人材の不足、こちらは研究者、トップ研究者を呼び込むことの難しさもありますし、支援部門などでの人材の不足ですとか、キャリアパスの不在なども課題として挙げられておりました。また、拠点間連携が実際やっていくことは難しい、機会創出が難しいということもありますし、やったとしても深堀まで進まないというような課題も挙げられております。また、どこの部署でも同じかもしれないですけれども、資金不足といった、特に昨今の円安の影響なども受けた資金不足といった課題が挙げられていたところです。
このような状況を踏まえたWPI事業における現状の課題というのを改めてまとめますと、これまでWPIに所属した研究者は多数に上り、世界中で活躍しているなど潜在的な価値が20年間で蓄積されているところではありますが、その全容が把握されておらず、WPI横断的にこれらを戦略的に活用して活性化をする必要があるのではないかというのは課題として考えているところです。特にアカデミー拠点については、補助金終了後に自走化する制度設計なので、約束どおり自走化していただいてはいるものの、この自走化の中で拠点それぞれにおいて成長・発展してきているので、価値が分散化してしまって、もちろんそれぞれ成果を創出しているものの、WPIとして、全体として得られる相乗効果につながっていないのではないか、この辺りが潜在的価値の逸失、この辺りはWPI事業の政策的効果を最大限発揮するという観点で、文部科学省としての反省点ではないかと考えております。
次のページをお願いします。それを踏まえた上で課題への対応策として検討しているところがこちらのページになりまして、WPIの持つ潜在的価値を逸失しているという課題への対応策として、アカデミー拠点を踏まえたWPI拠点が一体となった横断的な取組が必要だと考えております。その具体的な例としては、世界中で活躍しているWPI関係者の可視化を通じた国際頭脳循環の促進、これによってWPI拠点の研究力向上につなげたりですとか、発信力のあるメディアとの連携ですとか、クラウドファンディングなどの実施を通じて社会からの基礎研究やWPI自身の認知や関心を得た上で幅広い応援を獲得していく、それが、拠点運営の安定化につなげていくというようなことが考えられるのではないかと考えております。この国際頭脳循環ですとか、人の引きつけ、研究者の引きつけ、社会からの応援というのも、そもそもとしてはWPIを知ってもらわないと始まらないのではないかということで、このオレンジ色で書いている部分ですけれども、いずれもWPIとしての認知向上が課題対応策の起点になるのではないかと考えております。
その下部の部分では、よくWPIのベンチマーク機関として比較するマックス・プランクの例を少し記載しているのですけれども、こちらはマックス・プランク協会の傘下に、85のマックス・プランク研究所が分散配置されていて、それぞれかなり自律性を保持した形で研究が進められているものの、単なる研究所の集合体ではなくて、ドイツの科学のフラッグシップとして国際的に認知されていて、評判とかブランドというのを確立しているというふうに見て取れます。このような分散ガバナンスの中で、一方で統合的にブランドとして発信しているというのは、少し参考になるのではないかと考えております。
実際にアウトリーチ、外向けの発信というのも下に記載のような取組を実施されていて、年次総会をしたりですとか、ドイツの人気のYouTuberとコラボレーションをして発信、もう少し一般層向けへの発信をしていたりですとか、学校教育へのコンテンツの提供を行っていたりですとか、あとドイツ全体で開催しているガールズデーとかシニアデーとかというものに各研究所で参画して、草の根的ではあるのですけれども、そのような活動をしていたりとかというところをやっているという状況で、この辺りは参考になるのではないかと考えております。
まとめますと、一番下の四角囲みのところですが、現在、人材とか資金など多くの観点で国際競争が激化している中で、世界的プレゼンスを発揮していくためには、卓越した研究成果そのもの、今、もう既にWPI拠点が上げている研究成果そのものに加えて、それを戦略的に発信して、いろいろなアカデミアに限らず、一般の社会も含めて認知を高めて、その機関が持つ価値にふさわしい評価につなげていくことが必要不可欠だと考えております。
この対応策のもう少し具体的な考えとして次のページをお願いします。WPIの今後の展開についてということで、各拠点のこれまでの卓越した活動の集積による潜在的価値というのを最大限活用するために、その基盤的な取組という考え方で、WPI全体のブランディングを戦略的にブーストする体制を強化していくということを今後の展開として考えております。その上で各拠点と連携して、WPIとしての認知向上に係るあらゆる施策を政策として実施していく方向で考えております。
下の図になりますけれども、戦略的に各WPI拠点を統合した形で戦略的にサポートして、WPIのブランドの確立を行う、具体的にWPIのブランディングに向けた取組例として幾つか記載をさせていただいておりますけれども、このような取組などを行って、アカデミアからの認知、そして社会からの認知を獲得することで、各拠点のエクセレンス向上につながっていくのではないか、この各拠点のエクセレンス向上によりWPI事業の政策的効果をさらに拡充していけると考えておりまして、右下の枠囲みのところですけれども、卓越した研究成果による国際的地位の確立、多様で優秀な研究者が集まる国際的な研究環境、次代を先導する人材の国際頭脳循環の促進など、このような形で効果を発揮していけるのではないか、そのアウトカムとして我が国トップレベル研究拠点のプレゼンス向上によって、研究・運営両面での好循環が生まれて、我が国全体の研究力の強化につなげていくことができるのではないかと考えております。
WPIの今後の展開について、新しい基盤的な取組としては、こちらを考えておりまして、加えてですけれども、次のページ、こちらはもう既に走り出しているところではございますが、WPIを下支えする制度としまして、本部会も前期の段階で議論を行ったものですが、成長・発展計画というのが本格的に始まっていく予定でございます。こちらはWPI拠点が10年目に補助金が終了したところで、エクセレンスが少し逸失してしまうというところに対する対応策として、11年目以降の研究面またはリソース面での計画を具体的に立てて、成長・発展するビジョンをしっかり立てている拠点に対しては、11年目以降に最大3億円かける5年間の支援を継続するという制度でございまして、令和9年度に向けては2拠点、IRCN、NanoLSIが11年目に入るため、両拠点には成長・発展計画を既に提出いただいて、昨年度のWPIプログラム委員会において審査を経て、計画については承認済みという状況でして、令和9年度に向けてはこの支援を実質的に導入していきたいと考えているところでございます。
駆け足になりましたが、WPIの今後についてということで事務局からの説明は以上になります。
【佐伯部会長】 御説明、ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、委員の皆様から何か御質問等ございますでしょうか。前田委員、よろしくお願いいたします。
【前田委員】 御説明、ありがとうございます。私、北海道のWPI拠点長をさせていただいていますけれども、WPIとして大きくブランディングしていくという御説明は全面的に賛成だなと思っているところです。融合研究というのが柱になっていて、まず基礎研究からスタートしたものが大きく横展開する、そういう起爆剤になっていると認識していますので、それがノーベル賞につながっているというケースもあったのではないかなと思っているところです。
ブランディングを大きく展開していくことを考えたときに、いろいろ課題を御説明いただいたのですけれども、ほとんど私自身も認識している課題と一致するところが多いなというのが印象で、私自身がやっているICReDDという拠点を広く認知する、そういう努力はすごくしてきているつもりなのですけれども、それがWPIであるということは、そんなに広くアピールしてこなかったなという、そのところは私自身も反省しているところであって、今後、拠点自身をアピールするとともに、WPIもアピールしていければなと思っています。
あと、やっぱりマックス・プランクを引き合いに出していただきましたが、私自身も拠点にマックス・プランクのリスト先生が入ってくださっているので、マックス・プランク、すごくいい組織だなとすごく感じているのですけれども、WPIとの違いというところで一番感じるのは、安定感というか、WPIは10年の補助金のプロジェクトなので、そこのところで少し不安感が、我々自身は頑張って資金を確保して恒久化していくという、そこはもちろんするんですけれども、やっぱり我々自身も頑張るとしか言えないというか、その先を若手とかに100%保証できないというようなところがあって、そういうところでよい人材を確保するというところに少し課題があるのかなと。
アカデミー認定というのが、我々、まだですけれども、それがされたときにやっぱりマックス・プランクくらいの安定感が出るような、そういう形にもしなれば、そこからよい人材をどんどん確保できるのではないかなと思っていて、そこまでできるかどうかというのは、すごく理想が高いかもしれませんが、そういうふうになったらいいなと個人的には思っているところです。
以上です。
【佐伯部会長】 ありがとうございました。
では、続きまして有馬委員、お願いいたします。
【有馬委員】 今、前田先生がおっしゃったように、WPIということはあんまり有名ではなくて、そのWPIの各拠点の中で目立っているところは、その拠点として有名だという状況だと思うのですけれども、それをまとめてブランディングすればという方向性は1つありかなと思っています。そのときに各大学の中にあるWPIなんですけれども、それが少し大学の中のシステムの制限からは外れていいよというふうにやっていたと思うのですけれども、もし可能だったら、これ、なかなか難しいと思うんですけれども、例えば労働契約法とか何とか、要するに日本の中での制限がなかなか合わないところというのも実はあるのではないかなと思っているので、そういうところもWPIの中では外しながら、だけど、WPIにいるということで全面ブランディングしてというようなことができればいいのではないかなと、まあ、ちょっと理想論に過ぎるかもしれませんけれども、そのようなことも思っていますので、ぜひこの方向に進めつつ、なるべくいろいろな意味でのやりにくいところをWPIとしては制限を外すようなことができればいいかなと思っています。コメントです。
以上です。
【佐伯部会長】 ありがとうございました。
続きまして、齊藤委員、お願いいたします。
【齊藤委員】 ありがとうございます。この制度は、私が経験した中で一番いいものの1つだなと思っております。WPIのブランディングに関してですが、WPIのブランドって何なのかというのを書いていただけるといいなと思いました。マックス・プランクなどとはちょっと違うと思います。マックス・プランクは、一般の人はほとんど知らないということです。ドイツの方も含めて、大学の名前を言ってといって、言える方は多くいますけれども、マックス・プランクって何ですかと聞いて、正しく答えられる一般人は少ないです。マックス・プランクが重要なのはやはり、研究者の間でのブランディングには非常に成功している点です。このブランディングというのは、マックス・プランクダイレクターが持っている権限の大きさと予算規模の大きさが重要になっています。
マックス・プランクの仕組み上は、新陳代謝が早く、ダイレクターが代わるとブランドのイメージそのものも結構変えているということと、マックス・プランクごとに別々のブランドを結構持っているということもあるかと思います。ただ、マックス・プランク全体としては、そういう非常に恵まれた環境であるという統一ブランドを持っていると思います。WPIもそのブランドでいくのであれば、数が多過ぎて予算が少ないという問題があるので、多分、そのブランディングはできないと思います。WPIブランドって何なんですかと。初期のWPIブランドってやっぱりあって、日本が総力を挙げて非常にいいリソースを持ってくる。日本の大学では考えられないぐらいの資金構造になりますよというブランドがあって、これは分野によっては、まあ、世界的に知られていた分野も多分あったと思うんですけれども、今、WPIのブランドって何ですかと聞いて、多分、みんなが納得いくようなセンテンスというのがないと思います。WPIブランドというのは何かということをやっぱり言語化していくことが重要なのではないかなと感じている次第です。いずれにしても、非常にいい仕組みなので、ぜひぜひ発展していくといいなと考えています。グラフを示していましたが、このY軸が何かということもブランドを決める上で重要なので、ここも見えるポイントかなと感じております。
以上になります。ありがとうございました。
【佐伯部会長】 ありがとうございました。
では、続きまして小板橋委員、お願いいたします。
【小板橋委員】 ありがとうございます。同じページで質問がございます。5年追加で延長が可能ということだと思うのですけれども、この5年の延長が、その後サステナブルに上昇していけるようにということを願っていらっしゃるのかと思うのですが、そのサステナブルな成長がプラス5年をすることでかなう可能性があるという根拠を教えていただけたらと思います。
【澄川課長】 ありがとうございます。成長・発展計画の話は、そういう意味では物事の半分といいますか、対症療法の一部かなというふうには認識しています。いわゆる10年という自走化という設計の中で、補助金が一気になくなってしまうというと、ある意味、階段というか、崖が大きい、差分が大きいということは常々言われているところで、それに対して今、大体1拠点当たり7億ぐらいの規模感の拠点が多いので、制度設計も最大3億ということでいくと、ある意味、補助金がなくなるときの階段を少し半階下げるような、間に少し幅を、緩和を入れるような形のものであると思っています。
その意味では、これがあったからといって全てが解決するというふうには思っておらず、その意味では、もう残りの半分というところは、冒頭申し上げたようなWPIのブランディング化というところで、拠点の認知向上とともに安定的な経営とか、運営ができるようなところを目指していきたいというところが本丸といいますか、一番大事なところではないかということも考えているところであります。
以上です。
【小板橋委員】 ありがとうございます。そうなると、最初の10年、WPIに選出された時点からサステナブルになるような枠組みというのを考えて設計しないといけないということですよね。それが実はできていない。10年で。
【相川課長補佐】 少しだけ補足をさせていただきますと、おっしゃるとおり、当初の設計では10年で終わるけれども、その後は自走化という形で設計自体はしていて、拠点側もそこは認識はしているものの、どうしても下がってしまうというところに対して、この5年間のものは、この研究の計画だけではなくて、リソースの具体的な計画も提出をしていただいて、それを審査して具体的で、実現見込みがあるだろうということで、審査を経て承認がされた拠点に対して最大3億円掛ける5年間の支援を延長して、そこで計画どおり自走化――自走化といいますか、その後のサステナブルに向けて、さらに成長・発展してくれというところが、この成長・発展計画というものの制度設計ではございます。というので、確かに10年間のところで初めからビルトインされているべきというところはもちろんございますが、そこの補填的なところも含めてこの5年間というのが入っているというような状況ではございます。
【小板橋委員】 そもそもこういう拠点で、10年で自走できること自体、難しいのではないかとも思うんですけれども。
【澄川課長】 御指摘のとおりと思うところがありつつ、もう1点、申し上げさせていただくとすると、恐らくといいますか、私も20年前なのであれですけれども、制度設計としては、御承知のとおり10年、拠点を形成する、その上で拠点形成された暁には、大学で自走化をするというのが最初の採択のときの条件というふうな制度設計になっているということなので、理屈としては10年目のところで大学に自走化をされて、それで理想としては、今のこの図で言うところの右のように、その後も自走化で持ち上げられることによって伸びていくのだというのは、デザインであったというふうに理解をしています。
ただ、では、実際にやってみてどうであったかということを我々自身が10年を超えたところからモニタリングをする中で、いや、そうは言っても、やはり左のようなエクセレンスが下がるということが、どう見てもあるだろうというところが見えてきた中で、それに対する、どういう対策があるか、改善策があるかという中で、こういった成長・発展計画というデザインがなされてきたというふうに理解をしています。その上で私はこれも半分だとしか思っていないので、もう半分を何とか長期的にどうあるかというときには、本質的にはWPI全体の認知度とか、こういう話も大事になってくると思っています。
【小板橋委員】 分かりました。ありがとうございます。
【佐伯部会長】 ありがとうございました。
では、上杉委員、よろしくお願いいたします。
【上杉委員】 今のところについてコメントさせていただきます。この左の図を御覧ください。iCeMSがまさにこの図なんです。10年目よりちょっと前に何が起こったかというと、iCeMSの場合には補助金のかなりの部分を若手の人件費に使っていましたので、みんな、出て行け、出て行けと言わないといけなくなったのです。我々の場合は、今回のように補助金が徐々に減るのではなくて、17億円が突然ゼロになったからです。
非常に難しい決断がいろいろありました。今回の施策は我々のその体験に基づいてつくっていただいたと思います。最善ではないかもしれないけれども、前よりましだという設計をしていただいたと思うんです。これがあれば、iCeMSでもより多くの若手研究者を残せたと思います。それぞれ内外の他校へ行って活躍しているんですけれども、我々のところでそのまま活躍して、PIになれたかもしれません。今回の施策のように5年あれば、もう少し違うやり方もできたなと我々実際に思います。そういう意味だと私は理解しています。
【佐伯部会長】 どうもありがとうございました。
まだいろいろと御意見もあるかもしれませんが、議題2につきましては以上で終わりとさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
では、続きまして議題3と4に移ります。議題の3ですけれども、社会から応援される基礎研究の在り方についてでございます。こちらにつきましては事務局より御発表をお願いします。発表後、続けて議題4についてREADYFOR株式会社様より御発表をお願いいたします。では、お願いいたします。
【澄川課長】 事務局の資料説明の前に、冒頭申し上げたとおり、基礎研究の在り方ということで、少し間尺の広い議論をさせていただければと考えておりまして、意図みたいなところを少しだけ補足をさせていただければと思います。私、4月に基礎・基盤研究課長に着任いたしまして、いろいろお話を聞いたりもしてきたところです。その中で、基礎研究が大事であるのは、誰も否定をしませんし、疑うところではないのですけれども、一方で、重要性に対して、それに見合うだけのという言い方が難しいですけれども、十分な認知ですとか、それに見合うだけの評価を得られているのかというところに対しては、私自身はまだ十分得られていないのではないか、もっと評価されてもいいのではないかという感覚を今持っているところです。
これは一方で、昨今、科学とビジネスが近接化しているですとか、その結果として例えばAI、半導体をはじめ、かなり産業的には期待が高まるような分野については、非常に大きな投資みたいなものがなされていたりもしますので、ある意味、そういったところからの相対的なものかもしれないと思うところもありますが、とはいえ、相対的に差がついているからしようがないとかいうことでもないというふうに私としては思っています。そうした中で、社会がやはり変化をしているという中で、基礎研究といいますか、こういった研究に対して我々もどう対応していくのかというところについては、新しい切り口ですとか、方向性みたいなものが政策的にも考えられないかという問題意識を持っております。
特に個人的には、私もそうですし、先生方ですとか、いわゆる研究をされている当事者、こちらの側ではなくて、むしろ社会から見てどのように見られているのかとか、社会から見て応援してやろうと思っていただけるというのは、どういうことなのかとか、そういう視点を含めて少し新しい切り口、考え方、そこから見いだせるような何か取組ができるというようなところにヒントを得られないかなというような意図を持って、このような議題を設定させていただいたところです。今日、それに関連して少し話題提供といいますか、きっかけになりそうなものをこれから御説明、御紹介をして、フリーのディスカッション、今日はいただきたいと思っておりますので、以後よろしくお願いいたします。
では、続きまして説明のほう、させていただきます。
【相川課長補佐】 資料の説明をさせていただきます。趣旨については、今、澄川が申し上げたとおりでございますが、1ページ目、まずそもそも第7期科学技術・イノベーション基本計画においては、さんざん申し上げておりますけれども、基礎研究の重要性というのは記載されております。それに加えてですけれども、この青文字で書かれている下部のほうではございますけれども、基礎研究・学術研究を社会全体で支える機運の醸成ですとか、科学が文化になることを目指すというような記載もございます。こういうことを踏まえますと、基礎研究・学術研究というのも、研究そのもので、研究によってイノベーションを起こすですとか、未来をつくっていくということそのものに加えて、ほかにも何か担うことができる役割がこの社会との関係であるのではないかというふうに少し考えております。
次のページ、お願いします。少し話がそれてしまうかもしれないのですけれども、現状としまして、科学技術に対する関心について、文科省の科学技術・学術政策研究所、NISTEPのほうで科学技術に関する国民意識調査というものが行われておりまして、こちらのデータを見ますと、偽情報や誤情報の認知や判断についての項目と科学技術への関心度との関係が示されております。グラフの上段のほうでございますけれども、偽情報や誤情報と接触したと認識している者というのは、科学技術に高関心な層ほど多いというような形にはなっております。いずれにせよ、低関心な層においても一定数、偽情報、誤情報に接触したというのは、回答はされているところではございます。
また、加えて科学技術に高関心な層というのは、右側のグラフになるのですけれども、偽情報、誤情報に接したときの真偽の確認の実施率が高いというような傾向が示されております。また、今度、グラフ下部、下側のグラフの話でございますけれども、科学技術への関心度というのは、近年は緩やかな低下傾向になってきているところでして、年齢層別で見ると特に働き盛りといいますか、社会を支えている世代と言える30代、40代において低下しているというふうなことが見て取れます。これらを見ますと、SNS等で情報が氾濫する中で、重要となる真偽の確認などについて科学技術への関心の度合いとの関係がこのデータから確認がされます。それについて科学技術への関心の向上というのが情報を主体的ですとか批判的に読み解く姿勢の醸成につながるのではないかと事務局としては、これを見て考えているところです。
次のページをお願いします。その科学技術への関心向上に向けた取組というのは、今までも文部科学省ですとか、各研究機関で実施されているところですけれども、科学技術コミュニケーションと呼んでおりますが、科学技術コミュニケーションについては政策としても重要視をしておりまして、別の委員会ではございますけれども、科学技術・学術審議会の下の人材委員会において議論がなされているところです。科学に対して興味、関心を持ってもらうことを目的とした取組ですとか、サイエンスコミュニケーターの育成といった取組が現在も既に行われておりますが、特に低関心層へのアプローチですとか、社会課題からのバックキャストな取組に課題が示されている状況でございます。
次のページ、お願いします。こちらはその既に行われている取組の例を幾つかピックアップされているものですけれども、左側の青い部分が国ですとかJSTにおける科学技術への関心を持ってもらう取組の例でして、また、加えてピンク色の部分で大学や博物館において、科学技術コミュニケーターの育成といった取組も行われております。特にこの青い部分ですけれども、いろいろな世代を対象にしてはいるものの、若年層がターゲットになりやすいというふうにも見えて、そうすると先ほどのNISTEPの調査で、30代、40代で関心が低いといったところで、そういう低関心層にどのように具体的にアプローチしていくのがいいかというのは今後の課題かなとは考えております。
それらも踏まえつつ、少し新しい切り口として御提案というのが次のページでして、関心を持つの「関心」の新たな捉え方というふうに記載させていただいておりますが、近年消費活動などの経済面において推し活というものが認知、注目されてきているところでして、それは幅を広げて、これは人々の関心の向け方の現代的、新たな捉え方というふうに考えられるのではないかと考えております。実際、この下のグラフが示すものですけれども、15歳から79歳の3人に1人が推しというものを持っていて、それが単なる趣味を超えた生活文化として定着しつつあるというふうに考えられます。
また、右側のグラフになりますけれども、推し活については金銭的な消費活動のみならず、推しの影響を受けて勉強ですとか、キャリア選択など様々な活動のモチベーションにつながっているのがデータとしても見て取れるところです。このようないわゆる主体的といいますか、積極的な関心というのは、従来の受動的な情報との接触、偶然テレビで見るですとか、話題の映画を一度見たというような一過性の消費とは異なって、もう少し能動的かつ継続的な関心というふうに考えられると考えております。
次のページをお願いします。それも踏まえまして、推しの考え方を科学に適用できないかというのが今回の議題として投げかけさせていただきたいものではございますけれども、既に推しの取組というのは金銭的に支援するクラウドファンディングの仕組みもビジネスとしては社会に定着してきているところです。また、真理の探究に取り組む基礎研究プロジェクトのワクワク感ですとか、夢中になって取り組む研究者への応援の気持ちから組成されたクラウドファンディングの実例も既に存在しているところです。
下記の例というふうに記載させていただいておりますけれども、こちら、研究支援サービス・パートナーシップ認定制度(A-PRAS)という文部科学大臣認定の制度がございまして、こちらは民間企業が行う研究支援サービスのうち、一定の要件を満たしたものに対して文部科学大臣が認定というものを出して、それを用いた研究推進を図るという制度でございますけれども、そちらに認定されているサービスの1つとして、この後、御発表いただきますが、READYFOR株式会社さんの取組としてREADYFOR Collegeなどがあるところでございます。こういう社会から積極的に関心を持たれて、さらに応援される基礎研究の在り方について、今後御意見をいただきたいと思います。この後、具体的にREADYFOR株式会社さんより事例の御紹介をいただく予定です。
事務局からの御説明は以上になります。
【佐伯部会長】 ありがとうございました。
では、続きまして議題の4に移りますが、こちらにつきましてはただいまも言及していただきましたが、READYFOR株式会社様より御発表をお願いしたく思います。発表後、議題3及び議題4に関して委員の皆様より御意見を頂戴できればと思います。
それでは、READYFOR株式会社様、よろしくお願いいたします。
【佐藤室長】 よろしくお願いいたします。READYFOR株式会社の佐藤と申します。次のページ、お願いします。ありがとうございます。ただいま御紹介にあずかりましたとおり、私どもクラウドファンディングを祖業にしている会社でございます。2014年設立となっていまして、ただ、クラウドファンディングのサービス自体は2011年3月の東日本大震災のタイミングでサービスは開始しておりまして、日本で初めてのクラウドファンディングサービスということでスタートしております。
クラウドファンディングと申しますと、皆さんいろいろなイメージがおありかと思うのですけれども、個人のチャレンジを応援するみたいなことですとか、あるいは新しい商品のガジェット系の商品のテストマーケティングみたいなもので活用いただくとか、いろいろなパターンがあるのですけれども、READYFORに関しては、それこそ科学技術ですとか、あと博物館、美術館とか、そういういわゆる文化的な領域に対して応援をしていく、寄附という文脈でクラウドファンディングを実施いただくというプロジェクトが比較的多いプラットフォームになっております。
本日、私、佐藤がクラウドファンディングをはじめ、それ以外の手法も含めていろいろな非営利の団体さんの寄附募集について、サービスを開発している責任者を務めております。もう1人、河林という者が本日参加させていただいておりまして、彼はまさに学術研究のクラウドファンディングというところに専門性のある者になっておりますので、具体的な事例の紹介は彼のほうからお伝えをさせていただければと思います。
では、次のページ、お願いします。READYFOR全体としてはクラウドファンディングから始まりまして、寄附に関わるいろいろな領域、今、手掛けていますというところです。
次のページ、お願いします。本日、我々、ファンドレイジングというふうに書いているのが、クラウドファンディングをはじめ、いろいろな手法で寄附を募集していくお手伝いを団体さんに向けて提供しますというところ、その中の1つのサービスとしてクラウドファンディングを位置づけているというような整理になっております。
次のページ、お願いします。クラウドファンディングと申しますと、非常に抽象化して説明をすると、何か実現したいアイディアを持つ方がインターネットにそれを掲載しまして、世の中に呼びかけて一般の方々からお金を集める仕組みというふうに我々としては捉えております。
次のページが本当に一部になりますが、これまでの実績というところで、過去一番大きなプロジェクトですと、国立科学博物館様の9.2億円というのが1プロジェクトでの一番大きな調達金額になっておりまして、これはニュースでも結構流れて、一般の方もかなり知っていらっしゃるプロジェクトになったかなと思います。そのほかも日本将棋連盟様ですとか、あと新型コロナウイルスの感染症のときの拡大防止の活動基金みたいな形で資金を募集するとか、かなり世の中の関心にフックを引っかけるような形で大型の調達をするということが、クラウドファンディング、黎明期からやっている中でも、特に2020年代に入ってから、こういった大型のプロジェクト、かなり多くなっているなと認識をしております。
1つ1つのプロジェクト、事例の御紹介ということで次のスライド、ここは、河林さん、お願いします。
【河林室員】 こちらのスライドが九州大学の名誉教授の佐々木先生が実施されたプロジェクトです。佐々木先生御自身は、自分で研究するに当たって公的な研究費はそろそろ若い世代に譲ろうみたいなことを思っていらっしゃったりもされていたので、佐々木先生御自身は猫好きで、エピジェネティクスの御専門家ということで、エピジェネティクスの教科書に出てくる三毛猫の毛色を決める遺伝子とかいうのがよく出ているかと思うのですけれども、実はいざ真面目に出典とか探ってみると、あれ、まだ60年来、謎のままだぞということが分かりまして、じゃあ、じゃあ、最後、自分が猫好きということもあるし、あと猫好きの研究者でもって、猫好きの研究者でチームを作って、猫好きの人たちから応援してもらえるようなプロジェクトを作っていこうということで、こういったクラウドファンディングに挑戦されたというところでございます。
こちら、プロジェクトがスタートした時点もそうだったのですけれども、終わって、ちゃんと遺伝子座もここだよというのが特定されて、そのところまで結構、報道の方々も追跡して報道とかもしていただきまして、猫という身近な生き物にもまだまだこんなに謎が含まれているんだよ。それも、皆様の応援のコメント等々、拝見していると、自分も三毛猫を飼っていて、オスなのだけれども、今度、サンプルを送りましょうかみたいなことを書いてくださるような方もいらっしゃったりですとか、こういうテーマに関心がある人というのが支援者にも回っていただけたかなというところでございます。
次の事例を見ていただければと思うのですが、こちらは大隅先生が実施されたクラウドファンディングで、本当につい最近終わったところでございます。基礎科学がそもそもピンチだよねという、冒頭もお話しされていたような、そういった文脈の中で最初はプロジェクトを実施していたのですけれども、それだけだと寄附者層というのがやっぱり基礎研究、大変なところでも頑張ってください、研究者の皆様、みたいなものが多く寄せられていたところだったのですけれども、大隅先生のこのプロジェクトは、集まった資金を2つの研究のプロジェクト、電気ウナギの発電の機構を探ろうという研究と、あとは植物の柔軟な生存戦略を研究していこう、という2テーマについて寄附を募られていたので、そこに対してこのクラウドファンディングのお金を充てたいということだったので、入り口は大隅財団のメインのミッションとしてのテーマでプロジェクトを募られていたところから、徐々にこの機関の間を経て個別の研究、応援してくれる人もいないだろうかというのを探りに行って、徐々に徐々に支援者層を拡大していったみたいな感じのプロジェクトになっております。本当にプロジェクトの立てつけ自体は、どういうふうにしていくかによって、誰から応援をもらっていて、どんなふうにメッセージを発信していくかといったことが変わっていくかなという事例でございます。
最後の一例でございますが、こちらは中央の工学系の先生が、御自身がやっていらっしゃる研究の技術を何とかいろいろな方に知ってもらいたいなというのが元で始まったプロジェクトでした。お金というよりも、この血液検査、癌の早期発見だというので、癌バイオマーカーでふだん使われているものと、通常のものと違って細胞を使えないかというところで、図の左側にあるようなカラムを作られてというところだったのですけれども、新しい技術を作っても誰かに知ってもらえないと、ちゃんとそもそも使おうという選択肢の中にも入ってこないということもあったので、技術展とかで展示されているときにたまたま私が会ってお話ししたら、こういう使い方もクラウドファンディングでできるかもですねみたいなお話をしている中で、じゃあ、実際にやってみようかとなったようなプロジェクトです。
工学系の方が中心になってプロジェクトは作っていかれたのですけれども、長年、共同研究をされているお医者さんの方々もチームにジョインいただきまして、工学系で応援するよの文脈以外にも、例えばこのお医者さんの先生方にお世話になったような患者さんですとか、そういった方々からも支援をいただけたり、また、大学自身もプレスリリースをいろいろ打っていただいたので、新聞朝刊にクラウドファンディングのプロジェクトが載って、またそこからも応援が入ってきてというような形で、多くの人に寄附いただけたようなプロジェクトになっております。どういうふうにテーマを立てて、どういう方々から応援してもらいたいかみたいなことを考えながら、研究者に加えて、また、それを応援してくれるような事務の方と一緒になってどれもプロジェクトを作っていったというようなものになっております。
こちらが最後のプロジェクトで、どういった方々から応援していただけるのか、さっきのWPIの話とも少し通じるところはあるかなと思うのですけれども、誰がどんな気持ちで応援しているのかが、応援のコメントから伺えるかなと思います。無事に成功して皆さんが使える日を待ち望んでいますというような、技術に対する期待感みたいなものもあれば、そもそも研究者の皆さん、頑張ってくださいみたいな、研究されていること自体への応援も集まっていたりですとか、一番右上にあるような、母校でこんな研究がされているって知りましたみたいな、大学のつながりですとか、寄附いただく方は常に寄附したいと思い続けているというわけではなくて、こういうプロジェクトをきっかけに潜在的に寄附したいなと思っている、その気持ちが喚起されて、その切り口が何かというのは、本当、受取り手1人1人によって違ったりもしますので、それが今回は、こういった形で声となって集まって応援が可視化されたみたいなことでございました。
以上です。
【佐藤室長】 では、最後、また私のほうから何枚か御説明できればと思います。クラウドファンディングで1回目の御支援をしていただくというところは、非常にやっぱりハードルが高い、そこを寄附していただけると、その後の継続的な御寄附にもつながりやすいというところがあるのですが、いろいろな学校法人様と御一緒させていただく中で、1回目、寄附していただいた後、そこはクラウドファンディングで実現したものの、その後どうやって継続的にお金を集めていくことができるのかといったところは、学校法人様からもすごく相談を受けますし、我々の事業モデルとしても単発のクラウドファンディングにとどまらず、より長くいろいろな団体様と御一緒させていただくにはどうすればいいかというところを考えているという部分です。
次のページをお願いいたします。今、学校法人様だと文系の私立学校さんが情報として公開できるところは、中心にはなってくるのですけれども、こういったまさに継続的な寄附募集というところの御支援の事例が幾つか出てきていますというところがございます。あと、博物館ですと科博さんも実はクラウドファンディングの後、いかに継続的な御支援につなげていけるかということで、クラファンの支援者、5万6,000人の方々がその後も継続していただくための会員制度の設計をしたりとか、館内で寄附ということをどういうふうにPRしていくかというところも入らせていただいたりとか、我々の支援の幅も広がってきているというところになっております。
次のページになりますが、これも学校法人様での1つの切り口というところではあるのですけれども、最初は1つの研究であったりとか、あと学校法人さんでよくあるのは部活動とか、このプロジェクトを応援したいというところでクラウドファンディングから入ってきてますが、それが継続していくとなるときの1つのパターンとしては、卒業生から現役生の贈与の循環という言葉で、ここでは書いていますが、母校愛というところをフックにして、母校が今後向かっていく先に対して応援をしたいということで、より広く継続的に寄附募集をしていくというのが、これも1つの切り口の仮説というところではあるのですが、学校法人様だと今こういう形で寄附を募集していくのがいいのではないかということで、いろいろな法人様と取組を進めているところです。
次のページ、これも1つの事例になりますが、関西大学様と、寄附募集のサポートを結構長期で御一緒しておりまして、ちょうどこの前の6月にエンダウメント型の基金、いわゆる原資を貯めて運用益を出して、その運用益で学校の運営であったり、様々な研究とか教育にお金を充てていくという、海外だとよくあるパターンで、国内でも卓越大学に関わるようなところだと創設しているところが多いと思うのですけれども、関西の私立大学で恐らく初めてこういう形で作りますということを宣言されて、10年後の2036年度の150周年に向けて150億円の原資を貯めていくというところをサポート、御一緒させていただいている形になっておりまして、なので、本当に単発のプロジェクトから法人全体でやりたいことに対して、どう大きなお金を募集していくかというところをクラウドファンディングに限らない手段でやっていくというところも今出てきている動きになっております。
ということで、我々のパーパスということで最後書かせていただいていますが、「みんなの想いを集め、社会を良くするお金の流れをつくる」ということで、この研究分野を応援したいとか、日本の科学技術を応援したいということも想いですし、母校のために何か力になりたいという思いを持っていらっしゃる方も非常に多くいらっしゃるなというのが我々、この領域で事業をやっている中で感じている部分ですので、まさに今回、取り上げている領域に関して、支援者の方がどういうことを考えていらっしゃるのかというところを考えながら、ファンドレイジングしていけるとよいのではないかなと考えております。
以上、手短になりますが、我々のほうで御用意してきた内容、以上になります。ありがとうございました。
【佐伯部会長】 御説明、どうもありがとうございました。
では、以上の2つの説明につきまして委員の先生方から御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。では、上杉委員、よろしくお願いいたします。
【上杉委員】 先ほどの説明で、科学が文化になることを目指すというのがありましたよね。よくぞ言ってくれたと思います。すばらしいと僕は思います。私が生きている間に本当に科学が文化になるような状態になってほしいと本当に心の底から思います。残念ながら、コロナパンデミックのときに、日本は科学の国じゃないということがばれてしまいました。しかも、朝のニュースで星座占いをやっている先進国ってなかなかないと思うんです。真に科学の国になってもらいたいと思います。
科学技術に対する関心というグラフがあったと思います。関心が下がっているというのがありました。この関心があれば科学関連のニュースも増えると思うんですね。ニュースが増えれば科学者への推しも増えると思うんです。科学者の推しが増えればさらに関心を持つし、ニュースが増えて、良いサイクルになると思うんです。ぜひそのサイクルを高めるような何らかの具体的な政策を考えていただきたいと思います。
例えば文部科学省の中だけでできることであれば、小中の教育は文部科学省の中でできることであります。そして、科学者の推しということでクラウドファンディングのお話がありました。例えば、我々の拠点でも実は考えていますけれども、ふるさと納税に組み込む方法もあります。ふるさと納税の中で大学への寄附というのは、制度上可能だと思います。その辺を文部科学省が総務省とコラボレーションして、何らかの促進方法を考えていただきたいと思います。
以上です。
【佐伯部会長】 ありがとうございました。
では、続きまして齊藤委員、お願いいたします。
【齊藤委員】 ありがとうございます。ファンドレイジング、スタートアップに関して質問させてください。これ、例えばTotal Addressable Market、どれぐらいだと思っていらっしゃるんですか。最大幾らの市場規模だと思えばいいんですか。
【佐藤室長】 ありがとうございます。学術系のクラウドファンディングで、正直、トータルでどれぐらいというところは内部で目線を持っているわけではないのですけれども、1プロジェクトの調達単価というところ、この後ろのスライドに出ていたのが1プロジェクト当たり1,000万円、数百万円から1,000万円というのが1つの単位になっているかなと思いますので、そういうものがこれからどれくらい出てくるかというところかなと認識はしております。これは感覚的な話になってしまうのですけれども、プロジェクトそのものに関しては、まだまだ結構いろいろな領域から出てきているなという感覚は持っておりまして、クラウドファンディング、市場全体で言うと結構、伸び切っているというような外部的な評価もあったりはするのですけれども、こういった研究みたいな領域に区切って絞っていくと、我々の感覚としてはまだまだいろいろなプロジェクト、可能性があるのではないかなと見ております。すみません、直接的な回答ではないのですが、そういうふうに認識をしております。
【齊藤委員】 ありがとうございます。「推し」はまだ成長段階というか、まだ変化している途中で、ちょっと前まで推しというのは良い点の指摘ばかりでしたが、今はどちらかというと推し疲れとか、推していることによってメンタルがだんだん大変になってしまう。あと、推し活は最初のうち、皆さん消費してくれるのですが、どこかで精神的にも多様性としても、もうすぐに飽和しやすいという構造があるので、いかにそういうふうにならないかというふうに、例えば一般芸能業界ということは、どちらかというと、ビジネス的に仕掛けるということがあるわけで、その領域に科学パトロネッチが入るのは不可能なので、そうしたときにどれくらいトータルサムがあるかということは、この方向の限界はどこにあるかということなのだろうなと感じます。この限界は知りたい数字だなと思いました。
もう一つ、文化の件なのですが、これ、大変重要な視点で、ぜひ深めたいと思うのですが、日本はかなり科学の文化が浸透していると思います。例えば科学者が書店でサイン会をやって、こんなに人が来る国というのは、多分、ないのだろうと思います。あと、ニュートンみたいな、ああいう本が書店に並んでいて、一般の人がニュートリノという言葉を知っているとか、そういう国もほとんど見たことがないので、日本というのは、例えばアメリカと比べても一般的な科学に関するシンパシーそのものは多分あると思います。弱点だなと思うのは、科学という言葉で全分野一括りにしてしまうということは、これは非常に危ないことで、これは問題の本質を見失ってしまうと思います。
例えば数学を推す人と分子生物学を推す人のモチベーションの構造は全く違って、数学を推すというのは、ほぼ文学を推すに近いことで、作家に対する共感に近いものがある。それに対して人間社会をどうよくしてくれて、そういう功利性を持ったものに対して支援したいと思うモチベーション構造は全く異なるので、日本は多分、文学とか芸術、体育系と科学をどこかで分けているわけですけれども、その科学という言葉の中でも、いろいろな多様性があるということをちゃんと分けて、この方向で行ける部分と別の方向のいい部分というのをちゃんと考えると、より合理的に進むのではないかと考えている次第でございます。ありがとうございます。
【佐伯部会長】 どうもありがとうございます。
4人ほど手が挙がっておりますが、時間が押しておりますので短めにお願いいたします。髙野委員、お願いいたします。
【髙野委員】 ありがとうございました。齊藤委員が言っていたこと、全く共感しまして、外国に比べて日本の小中学生、大学生以上も含めてですけれども、興味はすごくあると思うんですよ。日本自身の文化ということで、科学はもう根づいているのではないかと私は思います。そのときに文部科学省が一般の方にエイムとして何を伝えたいのか、何を分かってほしいのかというのはすごく重要なのではないかと思います。
それと、もう一つのクラウドファンディングのほうなのですが、これは質問で、例えば同じプロジェクトを文部科学省とか、NEDOとかでお金を取っているときに、もう1回クラウドファンディングをするとダブルファンディングみたいな感じになるんでしょうか。そういうのは可能なんですか。これはリーガルな質問なのですけれども、以上です。
【佐藤室長】 ありがとうございます。後者のところ、回答させていただきますと、弊社の場合だとクラウドファンディングという形でほかのプラットフォームも使いながら、同時に集めるというのは規約上なしという形にしているのですが、そのほかの手法ということであれば、全然組合せで、その中の1つにクラウドファンディングがありますという使い方をしていただけます。
【佐伯部会長】 ありがとうございました。
では、小板橋委員、お願いいたします。
【小板橋委員】 ありがとうございます。科学が文化というところでなのですけれども、そうなったときにぜひ事務局、文科省のほうで考えていただきたいのが、知と智ですね。knowledgeのほうの知、知識の「知」とwisdomのほうの「智」、叡智とかで使われるほうの智のほうの智ですけれども、私、科学って後者の「智」を追求しているもののはずなのに、何か科学技術と一括りにされたがゆえに、前者ばっかりで、科学技術・イノベーションの基本計画とかでも全部前者の「知」なんですね。知識が幾らあっても、うまく使う知恵がないと、サイエンスを推せなくなってしまいますので、ここが一番、今、弱くなっているところではないかと思いますので、叡智のほうの「智」というのもサイエンスであるというところで、もう少し何というか、そこを強化する方向に行っていただけたらなと思います。
以上です。
【佐伯部会長】 ありがとうございました。
では、松尾委員、お願いいたします。
【松尾委員】 どうもありがとうございます。私もコメントなのですけれども、まず、READYFORさんの御発表、非常に勉強になりました。ファンディングリソースの多元化というのは非常に重要だと思いますので、こういった活動ってすごく重要だと思ったことと、また、特に継続性のところは、あらゆるファンディングで課題だと思うのですけれども、その制度設計に関して、いろいろな主体がいて、いろいろなニーズもあって、いろいろなレベル感もあると思うのですけれども、様々な、今回、発表していただいたようなグッドプラクティスを共有することによって普及していっていただけるといいのではないかと思いますし、いろいろな主体がいろいろなソースで重層的に展開できるといいかなと思っております。
お金の話も大事なのですけれども、前半のほうの基礎研究をどうするかという文科省さんの発表のほうについてもコメントさせていただきますと、やはりもう皆様、御指摘のとおり、基礎研究を文化として定着させていくことが非常に重要だというのは、みんな一致しているところだと思うのですけれども、そういう意味で文科省の取組例というところで、5ページ辺りで出てきていることが、一昔前から変わっていないようなところがあるかと思います。今回、推し活みたいなところで、新たな視点を御紹介いただいたのですけれども、今後のアイディアとして、こういった推し活みたいな、もう少し柔らかいもの、身近なものというのと結びつけて展開していけるといいのではないかと私も思いました。
横で見聞きしていることで、別に専門でもないのですけれども、少し前からトレンドとなっているSFプロトタイピングとか、アートとか、それから、映画とか、小説とか、様々なメディア形態、あると思うので、そういったものの活用で文化として根づかせていく。推しとかも、文化とかとも、そういったものというのは親和性があるのではないかと思いますので、また今後、何回か議論されていくということでしたので、様々なやり方というもののアイディアになりそうなものを御提供いただけたらと思っております。
以上です。
【佐伯部会長】 どうもありがとうございました。
私からも少し意見を言わせていただきますけれども、今回のこういった形で、基礎研究を日本の文化として定着させようという文科省様の姿勢、私も大変賛同いたします。日本というのは、本当に、今も皆さんから御指摘がございましたけれども、科学一般に対する興味、かなり持っておられる方がおります。それと、一方で30代、40代の方々の科学への関心が少し低いのではないかといったようなお話もございましたが、例えば小学校、中学校で、こういう不思議なことが科学で解明できるんだよといったようなアウトリーチ活動、そういったことをしていると思うのですが、その親の世代も何かしら巻き込んで、親と一緒に子供たちも何か科学を学習して関心を高めていただく、その際に親のほうの方々も少し入ってきていただくとか、そういった活動も少しいいのではないかなと思いました。
また、それから、クラウドファンディングにつきましては、お金を集めるといったことが非常に重要なことだとは思うのですけれども、クラウドファンディングをすることによって、様々な問題がまだ未解決のまま残って、科学者の方々が皆さん頑張ってやっているんですよといったようなことを世の中に知っていただくという意味では、とても重要な活動かなと思いました。
私からは以上になります。
皆様のほうから何かまだございますでしょうか。よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。それでは、5番目に参りたく思います。AI for Science萌芽的挑戦研究創出事業、SPReAD、これについて、第1回公募の採択結果等に移りたいと思います。こちらにつきましては、研究振興局研究振興戦略官(人工知能活用担当)の轟木参事官補佐より御発表をお願いいたします。
【轟木補佐】 ありがとうございます。文部科学省でAI for Scienceを担当しています轟木と申します。それでは、資料5に基づきまして、前回の基礎研究振興部会でもSPReADについて御紹介させていただいたところでございますけれども、その第1回の公募の採択結果について御紹介をさせていただければと思います。
1ページ目でございます。こちらは前回でも御説明させていただきましたけれども、SPReAD事業につきましては、AI for Scienceのあらゆる分野への波及・振興を図るということを目的にしてございまして、方向性3つ、迅速な支援、伴走支援、独創的研究の芽出し支援というところで、この3つの方向性を掲げて事業を今進めているというところでございます。
次のページをお願いいたします。まさにあらゆる研究領域におけるAI for Science波及・振興というところで、大きく10個の研究領域に分けさせていただきまして、さらにAI for Scienceのある種、事例というところで8つのユースケース、こういったものを設けて公募させていただているというところでございます。
次のページ、よろしくお願いいたします。まさにAI for Scienceのあらゆる分野の波及・振興を図るという観点におきまして、今回、競争的研究費の制度としても機動的かつ挑戦的な審査、採択手法をこのような形で導入をさせていただいているところでございます。先日も御説明をさせていただきましたけれども、基礎研究振興部会でもこれまで御議論いただいていた無作為抽出の活用でございますとか、AIの補助的活用、こういったものもこの競争的研究費の審査・採択の手法に今取り入れて実施をしているというところで、まさにこの観点で、1つの事例として今回、前回と加えて御紹介をさせていただいているというふうに認識をしているところでございます。
次のページ、よろしくお願いいたします。第1回公募結果の概要をこちらに記していますけれども、SPReADについては、年2回の公募で、年間で1,000件程度の研究課題を採択するというところで、今回、第1回ですので、大体1,000課題のうちの500課題ぐらいを確保するというところで募集したところ、応募課題といたしまして1万5,868課題、うち学生数2,624課題というところで、応募機関数といたしまして787機関、今、採択課題といたしまして、第1回につきましては456件を採択させていただいて、学生の方もうち61件含まれているというような状況になってございます。
こちら、最後、課題のところでも触れさせていただければと思いますが、まさに我々としてもうれしい意味で、想定外の応募数をいただいてございまして、採択率は、第1回につきましては1万5,868課題のうち456件採択というところで、2.9%とかなり低い採択率になってしまってございまして、これは我々としても、AI for Scienceをあらゆる分野に波及・振興していくというところから見ても、なかなかそこの意図が発揮し切れていないというようなところで少し課題意識を持っているというところでございます。
次、おめくりいただきまして、ざっくりとではございますけれども、第1回の公募の採択結果の分類といいますか、その内訳を少し分析してみたものを、以降3ページぐらいつけてございます。応募課題1万5,868課題のうち、やはり大部分の8割は大学・研究機関等の教員・研究者等が占めているというところ、それに加えて学生の方々、ポストドクターの方ですとか、高専の教員・研究者の方々も含めて、あと大学院博士課程とか、学部学生の方を含めても2,624名の学生がいらっしゃったというところ、そして、それに加えて民間企業の研究者も少し少ない割合ではございますけれども、127件、0.8%の割合で応募していただいたというところと認識をしてございます。
それに比べて採択課題数456件、見ていただくと、大体は応募課題の割合と同じになってございまして、8割ぐらいが大学・研究機関等の教員・研究者等が採択をいただいていて、学生につきましても大体同じぐらい、13%ぐらいの割合で採択をいただいていて、うち学部学生の方も2件、採択をいただいているというような状況でございます。
次のページをおめくりいただきまして、6ページ目でございます。こちらは研究領域別に見てみたものでございます。応募課題、採択課題、それぞれにつきましてもやはり一番大きなところは生命科学・薬学、そして電気工学・電子工学・情報科学・コンピュータサイエンス、そして臨床科学が大半を占めている。それに次いで社会科学というようなところが出てきておりまして、そこから材料プロセスですとか数理数学の分野、機械・社会基盤ですとか、農学・環境学・生態学、芸術・人文科学、化学というふうに続いているというような形で、一定程度、あらゆる研究領域の研究課題を採択できたのかなと考えているところでございます。
次、7ページ目でございます。こちら、最初、SPReADについて8つのユースケースで応募させていただいたというふうに申し上げましたけれども、その割合についても少し見ているものでございます。こちらもやはり応募課題、採択課題、それぞれ割合は大きくは変わってはいないところなのですけれども、やはり大きなところを占めているのがAIモデルの開発ですとか、学習用データセットの構築、そして既存モデルの適応、高度データ解析・モデリング、こういったところが大半を占めているというところが見て取れるかなと思ってございます。そして、発見・設計支援ですとか、シミュレーション・デジタルツインが続いているというところ、そしてやはり実験自動化・自律化、ここは恐らく設備みたいなものも必要になってくるところ、やはり500万という規模では、ここは少しなかなか出しづらかったのかなというところは、この割合の少なさからも一定見て取れるかなと考えているところでございます。
次、おめくりいただきまして、こちら、実はSPReADの第1回のタイミングでは、申請の際に、申請いただく方にはAIインタビューを受けていただいて、まさに申請者のAIの活用度合いですとか、そういったものを測らせていただいたというところでございます。実はその一環で、実際、その申請者の方々がAIを活用される際の悩みとか課題、どういったものがあるのかというところも少しインタビューをしておりまして、その内容を事務局のほうで上から順番に多かった順に少し並べさせていただいたというのがこちらのページになってございます。一番大きなところでは、出力の信頼性・精度・ブラックボックス、要すればAIが出してきた答え、アウトプットが正しいか確認できないですとか、ハルシネーションですとか、なぜその結果になったかブラックボックスといったような懸念があるというようなことが一番多くございました。これ、実は裏を返すと、申請者の方々がAIの使い方といいますか、情報を正しく認識をできている裏返しでもあるのかなと思ってございます。
一方で、そこから続く2ポツ、3ポツ、4ポツの辺りは、やはりAI for Science、我々、諸学者の方々をメインターゲットとして、このSPReAD事業を公募させていただいたところ、やはり使った経験がなく1人で進められるか不安だという声ですとか、じゃあ、実際に自分が科学研究にAIを取り入れるときにツールとか、そういったものをどう選べばいいか分からないですとか、学生・チームへの指導・体制づくりが難しい。やはりその最初のスタートのところが、どう進めていいか分からないというような声が大きく聞こえてきているところでございます。5ポツには計算資源・ハードウエア、まさに計算資源利用がルール上厳しいというお話ですとか、そもそも計算環境がなくて始められないというようなお声がございまして、こういったところ、まさにこのSPReADの予算支援のところで少し我々としてもクリアできたらよいかなと考えているというところでございます。
それ以降、やはりセキュリティ・プライバシー・倫理・法の観点ですとか、資金・コスト面、そしてデータの量・質、そしてやはりAIの技術、非常に進化が速く、キャッチアップが困難であるということですとか、モデル・ツールの選定の難しさ、そして時間不足、要は多忙でAI活用を新たに始めるところに時間が割けないですとか、プロンプト・指示の出し方がなかなか難しいという点ですとか、あと、これは少し大きな議論になるかもしれませんが、AIを使うことによって人間の役割が低下するのではないかといったような、ある種大きな御懸念、課題を持たれているというような方々もいらっしゃったというような印象でございます。
次のページをおめくりいただきまして、我々としてはまさにSPReADの1つの大きな柱として、伴走支援というのを掲げてございました。その中でやはり特に、先ほどの課題で出ていたスキル・知識・学習不足ですとか、使い方・始め方・適用先が不明、そして人材・連携・体制・仲間が必要だというような声をしっかりこのSPReADコミュニティを作っていくというようなところでしっかりフォローしていきたいと思ってございます。これ、我々が事務局となりまして、まさにこのSPReADに採択をされた456名、そして今、第2回の公募も審査をしているところですけれども、1,000件近い採択者を中心としたコミュニティを形成することによって、研究者同士がAI活用の課題ですとか、その解消のためのコツ、こういったものを共有して集合知をしっかり形成していく場にしていきたいと思ってございます。こちら、将来的にはコミュニティの拡大ですとか、ナレッジの集積、自走化、こういったものを目指していきたいと思ってございます。
当面の取組というふうに掲げさせていただいていますけれども、研究者中心のコミュニティ基盤を形成するというところで、なかなか1,000人の研究者に対してマンツーマンで伴走支援というところは難しいものがありますので、このSPReADの採択者の中にはやはり多様な研究者がいらっしゃいます。我々としてはAI for Scienceの初学者の方ももちろん、ターゲットにはしているのですけれども、一方でかなりAI for Scienceに慣れた方々も一定程度採択をしてございますので、そういった多様な研究者間のつながりを持っていただいて、悩みの解決ですとか、解消のためのコツを共有していただくというような場を我々もしっかりこのSPReADコミュニティを形成することによって、そこを促進していきたいという点がございます。
それに加えて、やはりそこのコミュニティ間のやりとりだけではなくて、例えば計算資源提供者からのAI活用のための最初の環境構築とか、そういったところを御説明いただく機会を設けたりですとか、はたまたAI for Scienceでしっかり取り組んでいただいている方から、何かアドバイスをいただくような場も今後検討していきたいと思ってございます。そして、今後の発展イメージといたしまして、まさにSPReAD、来年度以降も我々としては何かしらの形で継続をしていきたいと思ってございますので、そういった方々が取り組んだ参画者の拡大ですとか、ここで出たナレッジの集積、可視化、そしてこのSPReADコミュニティの中でも、まだまだ我々、これ、始めたばかりの取組でございますので、研究者からフィードバックいただけることもあると思います。そういったことをしっかりこのコミュニティの中で反映をしていきたいと思ってございます。先日、この7月下旬の第1回公募採択者向けのキックオフを行わせていただいたところでございまして、8月上旬にも計算資源提供者からAI活用学び合い会というような形で、そういった機会も引き続き設けていきたいと思ってございます。
次、10ページ目を御覧いただければと思います。そういった中で、我々、今、SPReAD、まさに挑戦的かつ機動的な取組というところで始めさせていただいたわけでございますけれども、前回の基礎研究振興部会からのコメントも踏まえまして、やはりいろいろな方から今後の課題というようなことをいただいているというふうに認識してございます。ポジティブな評価といたしましては、新しい研究費モデルであるというところで応援をいただくですとか、AI for Scienceの裾野拡大に一定程度寄与しているのではないかですとか、学生や若手にも門戸が開かれた競争的研究費になっている。そしてスピード感のある審査、採択が可能な制度設計になっている。そして、審査負担の軽減、こういったものも一定程度、制度には盛り込ませていただいている一方で、先ほども申し上げましたけれども、採択率が今2.9%でかなり狭き門になってしまっているということですとか、前回の基礎研究振興部会でもコメントいただいたかと思いますけれども、無作為抽出の納得感、透明性、こういったところをしっかり今後、事務局のほうから発信をしていくべきではないかですとか、学生の補助金執行管理が少し難しい面があるのではないかというところですとか、事務方、研究現場の方の申請手続・支援の負担感ですとか、研究期間が短く成果創出ができないといったような声も聞こえてきているところでございます。
こういった課題を踏まえまして、今後の課題と展望というところで、我々、しっかりこの審査・採択における透明性・信頼性、ここはしっかり向上させていただきたい。かつ、第1回、第2回、今年度で得られた競争的研究費の好事例ですとか、一方で得られた課題などというのは、しっかり事務局として分析をして、しかるべきタイミングで発信をしていきたいと考えているところでございます。加えて、採択率2.9%、狭き門という課題もいただいてございまして、ここについてはしっかり採択規模の拡充というところを我々としても来年度予算要求に向けてしっかり検討していきたいと思ってございます。加えて、継続的かつ切れ目のない段階的支援、要すればSPReADとARiSEでかなり支援規模の差があるというような声もいただいてございますので、そういったところも含めて予算要求につなげていきたいと思ってございます。加えて、学生の補助金執行管理が困難というところも、第1回のSPReADのときからしっかり学生の方が応募される際には指導教員を見つけていただいて、同意書の中で、しっかりその指導教官の下でこの研究課題を執行していただくという同意書も求めてございますので、そういったことの周知ですとか、そこの徹底をしっかり我々としても図っていきたいと思ってございます。こういった取組を通じて、我々としても課題が出てきていると感じてございますので、まさにSPReADを研究者が挑戦しやすく、納得感があって、学際的知が循環する研究支援へと発展させるために、今後、実施を予定している申請者ですとか、関係機関へのアンケート等を通じて、寄せられる意見も踏まえながら、不断の見直しを行っていくという点、そして我が国におけるAI for Scienceの更なる波及・振興を図るというところで、引き続きこのSPReADをやっていきたいと思ってございますので、どうぞよろしくお願いしますというところでございます。
以降は、前回の基礎研究振興部会でもつけさせていただいた参考資料をつけているというところで、説明は割愛をさせていただければと思いますけれども、私からの説明は以上でございます。ありがとうございました。
【佐伯部会長】 御説明、ありがとうございました。
では、委員の皆様から御意見、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。小泉委員、お願いいたします。
【小泉委員】 御説明、どうもありがとうございました。前回の部会のときにも申し上げたように、我々、この部会としてはAI for Scienceの推進というのはすばらしい、ぜひこれだけのアジャイルな形でどんどん進めていただけるのはすばらしいと思っています。その上で、この部会としては、我々がずっと議論してきた例えばロータリーファンディングの在り方とか、そういったところは、ちゃんとこのAI for Science、今回、事例を基にしながら、どのような形でロータリーファンディングをするのが、先ほどの課題というところに書かれていましたけれども、研究者の納得感、透明性を担保するのか。前回の部会を踏まえて、今回、第1回の発表のときには様々なデータも公表していただいて、早速、我々の仲間はそれをかなり分析しておりましたが、そういった形で、やはりロータリーファンディングをブラックボックスにしない納得感のある形にする、透明性を保つというところがすごい重要だと思います。
それから、e-Rad番号に関しても前回申し上げましたけれども、最後、強調していただきましたように、学生にe-Rad番号を無尽蔵に発行するのは反対です。ただ、学生がちゃんとその研究を指導教員の下、しっかりとした研究ができるような形で、こういったところに参画できるというような体制を整えるというのはすごい重要だと思うので、今後のやり方も含めて改めて御検討いただければと思っております。
以上です。
【佐伯部会長】 ありがとうございました。
では、続きまして有馬委員、お願いいたします。
【有馬委員】 いろいろと新しい試みをやられていて、いいと思うんです。それで、その問題点のところで、研究期間が短くということがあったので、これだけ少しお伺いしたいのですけれども、これは年度末までになっているのですけれども、これは特に第2回の公募でも年度末だと相当短いのですけれども、年度末で切った理由は何でしょうかねというのが、ちょっとだけ思うところがあって。何でも自動的に、どんな資金でも多分、年度末で区切るって、日本は必ずやってしまうんですけれども、そこを少しフレキシブルにすると、例えば大学とか研究機関の事務とかも、いろいろなところが分散できる可能性もあるかなと思って、なぜこれが年度末なのかなというのをお伺いしたいと思っているんですけれども。
【轟木補佐】 こちら、実はSPReADにつきましては、令和7年度の補正予算で、50億という形で措置をしていただいたものでございまして、そこの繰り越しの関係ですとか、やはり予算の単年度主義というようなところで、やはりこの期間でしっかり終わらせる必要があるという、実は制約がございまして、今、そのような形になってございます。かつ、このSPReADにつきましては、年に2回の公募をして、少し研究期間としては短いのですけれども、そこで何かAI for Scienceに関して、取組をまず始めていただいて、ユースケースを創出していただくというようなところに重点を置かせていただきましたので、こういった制度設計になってございます。ここについては、しっかり来年度以降も概算要求させていただいて、当初予算という形になれば、またもう少し柔軟な形があり得るのかなと思っているんですけれども、そこは課題として受け止めながら、引き続き我々としても検討を進めているという状況でございます。
【有馬委員】 なるほど。補正だからということですね。ありがとうございました。
【佐伯部会長】 ありがとうございました。
では、髙野委員、お願いいたします。
【髙野委員】 説明、どうもありがとうございました。すごく面白い結果になったのではないかと思います。1つ質問なのですが、無作為抽出をして決定しているわけですよね。でも、このパーセンテージ、公募のパーセントと採択課題数のパーセントを見ると、すごく似ているんですよ。これってほかに抽出以外に何かセレクションとかかけているんですか。それとも本当にこれはもう抽出だけで、こんなにきれいにパーセントが、比率が保たれているんでしょうか。その対応の方法をお聞きしたいと思いました。
【轟木補佐】 ありがとうございます。これ、実は少し難しいところでございまして、基本的に我々としてはピアレビューと無作為抽出を組み合わせた審査・採択スキームを取ってございます。かつ、その際にはやはり今回、AI for ScienceのこのSPReADという事業があらゆる分野におけるAI for Scienceの波及・振興を我々としては趣旨として掲げてございますので、その審査委員会の過程で、まさに少し多様な研究分野になるようにというところは、少し審査委員会のところで、調整といいますか、そこはしっかり意識をして採択をさせていただいたということでございます。ただ、一方で無作為抽出というところは、我々としては結果として一番に尊重してございますので、抽出をした結果、こういったところになるというところは、我々としても、そういうことなのかなというふうに受け止めていたところでございます。
【髙野委員】 ありがとうございます。今後、採択したプロジェクトがどういう結果を得られるか、サクセスなのか、そうでもないのかというのがすごく重要になると思うんですよ。この無作為抽出をしたということにとって。ですので、今後もどういうプロジェクトがどういう進路をとっていくか、ちょっと調べていただければと思います。よろしくお願いします。
【轟木補佐】 ありがとうございます。
【佐伯部会長】 ありがとうございました。
ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。では、どうもありがとうございました。
では、本日の議題は以上となります。基礎研究振興部会運営規則第7条に基づきまして、本部会の議事録を作成し、資料と共に公表することになっております。本日の議事録については、後日、メールにてお送りいたしますので御確認のほどよろしくお願いいたします。
それでは、以上をもちまして、第23回基礎研究振興部会を閉会いたします。本日は、どうもありがとうございました。
―― 了 ――
研究振興局基礎・基盤研究課