基礎研究振興部会(第8回) 議事録

1.日時

令和4年7月7日(木曜日)15時00分~17時00分

2.場所

オンライン開催

3.議題

  1. 2030年に向けた数理科学の展開について
  2. 創発的研究支援の充実に向けて

4.出席者

委員

観山部会長、小泉委員、小谷委員、齊藤委員、品田委員、城山委員、辻委員、美濃島委員

文部科学省

研究振興局長 池田貴城、研究振興局基礎・基盤研究課長 西山崇志、研究振興局学術研究推進課長 永田勝、研究振興局基礎・基盤研究課課長補佐 西山裕子

オブザーバー

日本数学会 清水扇丈 理事長、寺杣友秀 理事長代行、日本応用数理学会 秋葉博会長、創発的研究支援事業運営委員会 西尾章治郎 委員長

5.議事録

【観山部会長】  それでは、定刻になりましたので、ただいまから第8回科学技術・学術審議会基礎研究振興部会を開催いたします。
 本日の会議ですが、本部会運営規則に基づき、公開の扱いとしていますので、御承知おきお願いいたします。
 まず、事務局より、本日の出席者と議題の説明などをお願いいたします。

【西山課長補佐】  本部会の事務局を担当しております、文部科学省基礎・基盤研究課課長補佐の西山でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の出席者を御紹介させていただきます。
 観山正見部会長でいらっしゃいます。
 小泉周委員でいらっしゃいます。
 小谷元子委員でいらっしゃいます。
 齊藤英治委員でいらっしゃいます。
 品田博之委員でいらっしゃいます。
 城山英明委員でいらっしゃいます。
 美濃島薫委員でいらっしゃいます。
 また、天野浩委員、黒田一幸委員、合田裕紀子委員、長谷山美紀委員につきましては、本日は御欠席の御連絡をいただいております。
 また、城山委員につきましては16時半頃までの御出席、辻篤子委員につきましては16時頃から御出席いただく旨御連絡をいただいております。
 続きまして、文部科学省の出席者を紹介させていただきます。
 研究振興局長の池田貴城でございます。
 研究振興局基礎・基盤研究課長の西山崇志でございます。

【西山課長】  よろしくお願いします。

【西山課長補佐】  研究振興局学術研究推進課長の永田勝でございます。

【永田課長】  永田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【西山課長補佐】  本日は、議題1の関係で、日本数学会の清水扇丈理事長、寺杣友秀理事長代行、日本応用数理学会、秋葉博会長にも御出席いただいております。
 また、議題2の関係で、創発的研究支援事業運営委員会の西尾章治郎委員長にも御出席いただいております。西尾委員長につきましては、後ほど御参加の予定でございます。
 続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。資料は、議事次第の配付資料一覧のとおり、事前にメールにて配付しておりますが、欠落等ございましたら、画面越しに手を挙げ、申し出てください。資料の欠落等はございませんでしょうか。
 御確認ありがとうございました。
 続きまして、本日の議題について説明させていただきます。事務局から西山課長、よろしくお願いいたします。

【西山課長】  課長のほうの西山です。本日もよろしくお願いいたします。
 本日の基礎研究振興部会ですが、第8回ということですが、前回御議論いただきました数理科学の今後の展開の件と、創発的研究支援事業の件、大きく分けてこの2つの件について御議論をお願いしたいというふうに思ってございます。
 1つ目の数理科学の展開の件でございますが、前回からの引き続きの議論でございまして、前回事務局のほうから御説明をしました、2030年に向けた数理科学の展開、これ、資料1-1に、前回の御議論を受けた修正版を本日配付しております。これについて御議論いただき、文部科学省としてこの御議論を踏まえた上で、最終的に決定をしたいというふうに思ってございます。
 それに加えまして、本日は、先ほど御紹介ございましたとおり、日本数学会と日本応用数理学会からも本件についての御意見を賜っておりますので、御紹介を後ほどいただくということでございます。
 2つ目、創発的研究支援事業でございますが、これについては、これまでの取組、事業の現状について事務局から御説明させていただきまして、事業の今後の展開について、ぜひ委員の皆様から御意見を賜りたいということでございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。

【西山課長補佐】  事務局からの説明は以上でございます。

【観山部会長】  それでは、議事に入りたいと思います。まず、議題1、2030年に向けた数理科学の展開についてです。まず、資料1-1及び資料1-2について事務局から説明をいただき、その後、日本数学会の清水理事長と日本応用数理学会の秋葉会長からそれぞれ御発表をお願いしております。お二人の御発表後に、委員より御意見を頂戴できればと思います。
 まず、事務局より説明をお願いいたします。

【西山課長補佐】  事務局から説明させていただきます。まず、資料1-2を映していただけますでしょうか。1-2に基づきまして、前回、第7回の基礎研究振興部会で委員の皆様からいただきました御意見につきまして御紹介させていただいて、その次に、資料1-1に基づいて、どのように対応方針に反映させたかというところを御説明させていただきたいと思います。
 資料1-2の左側、「委員意見(要旨)」と書かれているところにつきましてが、前回第7回の部会で皆様からいただいた意見一覧になっております。全員の先生の御意見が全部載っているということでございます。これを事務局のほうで整理いたしまして、どのページへの御意見か、どのような内容の御意見かというところ分析をして、表題をつけたものになっております。
 簡単に御紹介します。まず、前回の資料の2ページ目及び3ページ目が主な、どういうふうに国として推進していくかという2枚でございましたが、その両方に及ぶようなちょっと広範囲な、そもそもの根本的な御意見というところにつきまして2種類ございまして、1つ目が、学問としての体系的進展についてでございます。これは3つ意見がございましたけれども、要するに、数学を振興していく中で、知的なものというのを還元していくというときに、それを金銭的な還元だけではなくて、学問自身の発展、学問自身を体系的に発展していくというところについても観点として捉えたほうがよろしいのではないかということ、そして、それを資料に反映したほうがよろしいのではないかという御意見がございました。こちら、後ほど御紹介させていただきますが、反映させていただきたいと思っております。
 また、その次、数理科学研究者のインセンティブでございます。こういう数理科学の振興をしたときに、これが本当に数理科学のコミュニティー、数理科学の研究者にとって正しくインセンティブになるのかどうかというようなところについて先生方から御意見をいただいて、その場でも御議論いただいたというふうに思っております。これにつきましても資料に反映をさせていただきたいと思っております。
 2ページでございます。2ページ目に絡みまして、2ページ目は重要課題の1から5まで、どういう課題が現状あるかということについて分析をした資料になっておりましたけれども、そこについて、大きく3つの観点で御意見をいただいたというふうに思っております。
 1つ目が、異分野融合におけるコミュニケーションの困難さということでございまして、やはり分野が違うと言語の問題、言語が違うということ、やはりバックグラウンドが違うということで、なかなか話が進まないのではないかという観点があったというふうに思ってございます。
 また、2つ目、数理科学に対する社会の理解。数理科学というものが、前回の部会でどういうふうに社会に役に立っているのかということについても御紹介がありましたけれども、そういうことについてなかなか社会が数理科学が何ができるかというところの理解というのがやはり遅れている。日本社会というのは遅れているのではないかという御意見があったと思います。
 また、次、人材育成の観点で幾つか御意見、そして、御議論があったというふうに思っております。やはり日本というのは数理科学研究者のレベルは非常に高いけれども、数学リテラシーがあまりないと。こういうところについてどのように人材育成をしていくべきか。そのときに、欧米ではダブルメジャーなどもやっていたりとか、そういうこともあり、やはり日本でも他分野との連携を推進する、そういう将来の異分野研究者との交流、そういうものをやっていくというのも一案ではないかという御意見、そして、若手人材というのが安心してその分野に、社会連携であるとか、異分野融合みたいなところに乗り出していくような長い目で見たキャリアパス、そういうものをつくっていくということが必要ではないかということを御意見いただいたというふうに思ってございます。
 次のページでございます。3ページ目は、こういう重要課題の1から5までに対して、国としてどのような施策が現状あるか、もしくは今後やっていくべきかということについて分析をした資料になってございましたが、ここについて主に大きく3つの観点で御意見があったというふうに思っております。
 1つ目が、異分野融合・産学連携の重要性についてでございます。これについては、やはりこういうことが、この問題が非常に重要ではないかという御意見、そして、海外ではやはりこういうことは当たり前なのに、日本では数学はちょっと仙人のような感じで、なかなかこれが進んでいない現状があると。これについては国に支援していただきたいし、こういうスキームをつくっていただきたい。それが世界の中で立ち後れていることに、日本として追いついていく、追い越していくということにつながるのではないかと。そういうようなお話があったというふうに思ってございます。
 また、次の産学連携の推進に当たって。これは産学連携を推進していくに当たって、様々な御助言、御意見があったというふうに思っております。1つ目、企業では利益を最優先するので、そこへのパイプというところは相談に行くというのがなかなか難しいのではないかというような御意見であるとか、待機児童の問題というのが前回大きく御紹介がありましたけれども、やはりこういうのは非常に面白いと。こういうところが企業側、ほかに広報・アピールされていない。そういうのをもっとしていくと、こういうことができるのだなということが分かっていただけるのではないかというようなこと。そして、3つ目も同じようなところですけれども、そういうことが社会に出てくるということが非常に重要で、そのためのマッチングということが非常に重要ではないか。大学の側で問題発見型というふうによく言いますけれども、問題解決型の窓口もたくさんあるということが非常に重要ではないかということ。これは産学連携を推進するに当たってさらにやっていくと良いなというような観点を幾つかいただいたというふうに思ってございます。
 そして最後に、数理科学研究者のインセンティブ、これ、2ページ目及び3ページ目に及ぶ話としてもいただきましたけれども、3ページ目の単独のところでもいただいたというふうに思っておりまして、研究者のインセンティブになるような仕組みづくりというか、そういうこと、研究者にとってインセンティブ・モチベーションがどういうふうに得られるのかというところ、そもそもの問題提起というところについても御発言をいただいたというふうに思ってございます。
 そうしましたら、その次の資料1-1に基づいて、今いただいたような御意見をどのように反映していくかというところを少し御説明させていただきたいと思います。
 まず、根本的な数理科学を振興していくということに当たって、それがどういうふうに還元していくか、そこを学問的、学術的なところを自身へ反映していくといった観点につきまして、2ページ目、ページの3枚目、その次のページでございますけれども、ここでございます。ここの水色部分でございます。「体系的な」と一番上にありますけれども、やはりここ、数理科学というのはこういう学問だと。数理科学というのは、現象の理解とか学問、こういうものの進展によりとありますけれども、これが学問の体系的な、そもそもそれの体系化、そういう観点をいただいたというふうに思っておりまして、ここに体系的な進展と書かせていただいております。
 また、重要課題の5のところでございます。人材育成のところでございますけれども、裾野の拡大、若手研究者の異分野経験、こういうものが、先ほどあったような数理科学の日本の、非常にレベルが高いというところではあるけれども、数学リテラシーというところがやはり低いのではないかというところの裾野の拡大をそもそもしていくということ。そして、やはり異分野融合とかをしていくような人材といっても、それが若手の時代にしっかりと異分野の経験がないと、それがなかなかできていかないという御意見があったと思います。若手研究者の異分野経験というような形で明記をさせていただいております。
 3ページをお願いいたします。先ほどと同じ観点のところ、2枚目と3枚目は、やはり課題と施策展開ですので、同じような観点の分析というのは当然やられていることですので、一番上のところに「学問の幅を拡げ進展させていく」という、この「進展」でございますね。要するに、これをどういうことをしていくかということが、学問へ再投資をして、それが学問自身の幅を広げ、そしてそれをさらに進展させていくというようなところをしっかりと記載をさせていただいたというところでございます。
 同じ趣旨につきましては、下のほうに同じく、重要課題の3と4のところにも、数理科学の学問の幅を拡げるというところを書かせていただいているところに、さらにそれを進展させていくというようなことについて明記をさせていただいております。
 また、先ほど御紹介しました、社会との連携、産学連携部分につきまして、こういうふうなことをやったらもっとよりよくなるのではないかという様々な御意見をいただきました。これにつきまして、下のほうの水色のところでございます。研究者のインセンティブになるような仕組みづくり、そして問題解決型の窓口整備、産学の出会いの場の創出、コーディネート機能の充実、成果のプロモーション強化、こういうような観点がこれを推進していくに当たって必要ではないか。また、産学連携取組のノウハウの中で、企業とのパイプづくりやマッチング、こういうことが重要だという御意見もいただいておりましたので、それにつきましても明記をさせていただいております。
 委員の先生方の御意見、重要課題の3、4、5を進めるに当たって、こういう観点をしっかり踏まえて取組を進めていきますというところにつきましては、先ほどの資料1-2に細かく書いてございます。概要ということで御説明させていただきました。
 以上でございます。

【観山部会長】  ありがとうございました。
 それでは、続けて日本数学会、清水理事長より御発表をお願いいたします。

【清水理事長】  それでは、始めさせていただきます。今ほど御紹介にあずかりました、日本数学会理事長の清水扇丈と申します。本日は、基礎研究振興部会で発言の機会を与えていただきまして、誠にありがとうございます。
 では、2ページをお願いいたします。数学は、実社会にも大変役立っており、その基本を担っているものでありますが、なかなか目に見えにくいところもございます。その辺りも含めまして、日本の将来を見据えて、日本社会の発展に数学がいかに必要であるかについて説明させていただきます。
 不確実性を有する自然現象・社会現象の解明、その本質の探求及びその対応への実装の基本基礎は、数学・科学にあります。抽象性・普遍性・厳密性という思考形態は一朝一夕に身につくものではなく、本質的なものは何かを見抜き、物事を深く考える訓練には、時間的な投資も必要となります。10年先の日本を見据えて、数学・科学の高度な能力を持つ人材を育成することは、我が国の逼迫した課題です。
 では、3ページをお願いいたします。まず、国際的な観点から日本の立ち位置を見てみます。ノーベル賞に数学分野はなく、相当するのがフィールズ賞になります。フィールズ賞は、4年に一度開催されます国際数学者会議、ICMにおいて、顕著な数学の業績を上げた40歳以下の数学者に、4年で4名に授与されます。これまでの日本の受賞者は、小平博士、廣中博士、森会員の3名です。IMU賞には、ほかにガウス賞、チャーン賞、アバカス・メダル、リラヴァティ賞があります。ガウス賞は4年に1人だけに授与される貴重な賞で、伊藤博士が第1回の受賞者です。チャーン賞も同様に4年に1人にのみ授与される賞で、柏原会員が2018年に受賞されました。
 では、4ページをお願いいたします。次に、運営サイドから見てみます。IMU、国際数学連合は、世界中の数学者の会議で一つしかないものです。その拡大Executive Committeeは11名のメンバーで運営されていますが、ほぼ毎回日本人が入っております。ちょうど4年に一度のICMとIMU General Assemblyが現在ヘルシンキで開催されており、本日は現地ヘルシンキから当部会に参加させていただいております。私たちにとりましてうれしいニュースとして、東大Kavli IPMUの中島啓会員が次期IMUの総裁に選出されました。
 また、ICIAM、国際応用数学者会議は、日本応用数理学会を中心として、2023年に日本で早稲田大学を会場校として開催されます。そして、International Science Councilの次期会長は、小谷元子会員が務められます。
 このように、数学の業績においても、また、運営におきましても、日本は世界の中で相当の位置にいることが分かります。これまでの先輩たちの努力によって日本のウエートが高いわけですが、このままこの状態が続くとは限りません。
 では、5ページをお願いいたします。続きまして、数学のサイエンスとしての社会貢献について見てまいります。ここに書かれてありますように、グラフ理論、確率論、統計など様々な分野がありますが、以下に、特に今後期待できる分野について詳しく見てまいります。
 6ページをお願いいたします。まずは、量子コンピュータです。数学は、フォン・ノイマンによるコンピュータの原理の発見のように、時として社会を根底から変革する力を持ちます。Society5.0とも強く関連する分野です。アルゴリズムの開発は既に行われています。量子コンピュータの実用化には、エラー修正のための技術が不可欠です。量子計算の基礎となるクリフォード群の解析は全くの数学の範疇で、この方面での数学関係者の活躍が期待されます。
 7ページをお願いします。2つ目は、公開鍵暗号です。暗号理論は、それぞれ京都賞、フィールズ賞の受賞者であるというヴェイユやマンフォードなどの数学者の業績を基礎として発展してきました。楕円曲線暗号の創始者2人のうちの1人コブリッツは、著名な整数論研究者です。ブロックチェーンは、暗号理論と電子署名の理論を基礎に置いています。耐量子計算機暗号理論の開発には、代数学が不可欠です。機械学習の1分野であります畳み込みニューラルネットワークの理論的研究には、函数解析学的手法が欠かせません。
 8ページをお願いします。3つ目は、トポロジーです。トポロジーとは、連続性によって不変な性質、特に不変量を研究する分野で、挿絵のドーナツとマグカップを同相とみなします。トポロジーの考え方がトポロジカル相転移の発見の基礎となり、その研究がノーベル賞を受賞しました。新しいタイプの相転移の存在の発見は、トポロジーと量子力学の概念に立脚していると言われており、量子コンピュータや超電導技術、超高速CPUへの応用が期待されます。
 9ページをお願いします。4つ目は、モデリングです。モデルをつくるところでは数学の力が必要で、数理モデルをつくらない限りは、シミュレーションもできません。数学のセンスを持って良いモデルをつくることが肝要です。モデルを通して、大腸菌がコロニーを作る様子が記述され、シマウマのしま模様やカエルの斑点の解析が行われています。また、COVID-19のモデルや血液を流体とみなすモデルで医学の分野で役立っています。そして、その定性的な解析には、偏微分方程式・力学系・調和解析・実解析が用いられています。
 10ページをお願いします。大気汚染、気象、航空、防災などの諸問題の解決には、ビッグデータを扱う必要があり、計算数理科学の手法が貢献しています。大型計算機の発達で、小さなスケールの解析がかなりの精度で実現されてきました。ただし、収束や発散のレートを決定したり、無限大での挙動や極限を求めるためには、数学解析独自の手法が必要になります。
 11ページをお願いします。最後に、今後の方向性について述べます。まず、数学・数理科学それ自体の学問の深化が重要です。さきにも述べましたように、数学的思考の確立には時間がかかり、その成果が目に見えにくいものとなっております。数学は、自分の頭で思考して、新しいものを生み出す学問です。目に見える成果だけを上げることに注目すると、表層的な成果にとどまり、長期的なスパンではシュリンクしてしまいます。
 12ページをお願いします。数理科学は、情報社会における安全・安心に係る技術の基礎で、我が国の産業と社会を守るために欠かせないものです。我々数学・数理科学に携わる者は、研究部分を重視しつつ、コミュニケーション能力を高め、連携の努力をしていかなければなりません。AIMaP、OCAMIでは、企業を含めた多方面との共同研究が既に行われています。日本数学会では、日本応用数理学会や統計関連学会連合と既に異分野・異業種の関係で協力しています。これからも、より社会、学際、異分野との連携を進めていく所存です。
 13ページをお願いします。数理・データサイエンス・AI人材の育成は、日本の将来を考えたときに大変重要なものです。資金の投入はもちろんのこと、抽象的な思考と本質を見極める人材を育成することが必要です。
 今回のICMでは、初めて韓国の数学者がフィールズ賞を受賞しました。中国の躍進は周知のとおりです。日本は、森会員を最後に、30年間フィールズ賞の受賞がありません。世界の各国が国を挙げて数学を重要視し、予算をつけて着実に数学の力をつけてきています。日本も、大学・研究機関と国と企業とが連携して数学の重要性を認識し、人材育成に力を注ぐことが肝要と考えます。
 以上で発表を終わらせていただきます。ありがとうございました。

【観山部会長】  どうもありがとうございました。
 続けて、日本応用数理学会、秋葉会長より御発表をお願いいたします。

【秋葉会長】  御紹介ありがとうございます。応用数理学会会長の秋葉です。
 2ページをお願いします。応用数理学会の簡単な紹介をさせていただきます。なるべく手短にキーワードだけ申しますと、例えば、カオスとか、折紙工学とか、機械学習などという、これは応用数理学会には研究部会という組織が、24の研究部会がございまして、それを取ってきたものです。すぐ分かりそうなものは飛ばしていますけれども、簡単なコメントをつけております。ここでは詳しい説明は省きますが、3ページをお願いします。
 計算の品質、産業における応用数理、これはまさしく数学の産業への応用ですね。数理医学、数理政治学、数理設計、数理的技法による情報セキュリティ、数理ファイナンス。
 4ページ、お願いします。数論アルゴリズムとその応用、CAEモデリングとデータ活用、離散システム、それから19番、若手の会ですが、これは紹介の、ウェブサイトから取ってきたものなのですけれども、若手の会のサイトにこういうのが書いてあって、これはそのまま持ってきました。ちょっと読みます。「主に修士・学部の学生さんを対象に、通常の学会では発表できないような研究途上の研究を喋ってもらう研究会を開催します。卒業論文を終えたばかりの学部生やちょっと良いアイデアを思いついた大学院生が、発表経験を積んだり、他の研究者の意見を聞けたりするような気軽な場にしたいと思っています」、これはなかなか面白い取組だと思います。
 それから、20番の環瀬戸内応用数理というのは、これは地域の学会の集まりで、これは内容にフォーカスしたものではなくて、いろいろな学会からの研究者が集まったものです。
 5ページ、お願いします。幾何学的形状生成、位相的データ解析、連続最適化、ものづくり企業に役立つ、これも数学の産業への応用だと思います。これだけは研究会という名前で、非常に応用数理を産業に応用するということで、アクティブに活動しているものです。
 6ページ、お願いします。次からはちょっと趣向を変えまして、数理科学の発展に向けてということでお話ししたいと思います。数理科学と産業界への拡大の重要性というのは、先ほど清水理事長からも同じことがございました。例として、機械学習、数理ファイナンス、医療・生命科学、感染症、ここにあるようなものを見聞きすることが最近特に多くなったような気がします。それで、これは数理科学研究者にとっては大きなチャンスであって、それから社会のニーズにもマッチしているということで、数理科学が今、次第に目立ってきていると。そういう意味で転換点に立っているということです。
 応用数理学会研究部会、今申しました研究部会は、これらのテーマをかなり含んでおります。応用数理学会が社会のニーズを先取りしたとは言えませんが、社会のニーズに応えて、研究の場を広げる場ではあると思います。
 7ページ、お願いします。応用数学と数学はどちらが偉いかという。これはちょっと受け狙いというか、そういうタイトルにしているのですけれども、どっちが偉いかということですね。なぜこういうことを言うかというと、応用数学というと、ちょっと純粋数学と比べてどうなのかというような議論が昔からあったと思います。しかし、応用数学も今活躍しています。前回の会議で、数学者は仙人かというような議論もあったと思うのですけれども、それが数学者は仙人かという1つ目の質問で、私はここでは、仙人ではないとと言っています。分野によりますが、応用数学と非常に関連する場所もあると。応用数学が純粋数学を牽引することは多々あるということですね。金融工学の中では、確率微分方程式などは、金融工学が数学を牽引しているということもあります。分野によっては、数学と応用数学が相互依存。この関係が、忘れられた科学、これは2006年ぐらいだったと思いますけれども、これ以来の応用数学の展開をもたらしていると私は思います。
 それで、今の現状を考えますと、昔からの推移、それから今の展開を考えますと、数学と応用数学の関係は変わっていくと私は思っています。どっちが偉いかということですと、応用数学も数学もどっちも偉いです。
 8ページ、お願いします。次は諸外国との比較ということで、まず、数理科学の日本の位置づけについて、諸外国との比較をここで簡単に申します。アメリカですけれども、これは前回の会議資料を参照したのですけれども、数理統計イノベーション研究所というのが2020年につくられました。それから、STEM、STEAM教育とありますが、これは皆さん御存じと思いますので詳細は言いませんが、アメリカから発祥したものだと思いますが、これは各国で実践されていると。それで、詳しくは言いませんが、MはMathematicsですね。ということです。それで、アメリカでは純粋数学と応用数学の研究者はほぼ同じ規模で存在している。その2つのグループの交流が盛んであるということです。
 イギリスでは、これも前回の資料を参照したのですけれども、数理科学に対する投資を3億ポンドに倍増いたしました。
 中国ですが、これは人口が巨大であること、エリート教育、それから、ICIAM2015を中国が開催国として取りました。これは4年ごとで、次はスペイン、その次が日本になっているのですけども、ここではICIAM2015の招致に中国が成功したと。その後、ICIAMの会長に中国の研究者が選ばれました。ICIAMという組織の下でICIAMという会議があって、それがICIAM2015、日本ではICIAM2023が早稲田大学で行われるということです。
 9ページ、お願いします。今までの経緯を見ますと、ここにあります、さきがけ、数学協働プログラム、AIMaP、スタディグループ、これらは非常に努力されて、その成果があったと思います。しかし、これに応えるべき産業界の反応は、私は少し鈍く感じております。ただし、一部のコンピュータメーカーとか、自動車とか、創薬とかは別格です。それから、先ほど清水理事長からもお話のあった異分野・異業種研究交流会での、30社ぐらいが発表したのですけれども、これは私には力強く感じました。
 10ページ、お願いします。あえて私と書いておりますが、私自身がいろいろな会社を見てきましたけれども、もう少し頑張ってほしいと思っております。ちょっと読ませていただきますと、「日本企業のマインドには、自らが自国の将来を担っていくというモチベーションが足りない」「今年もうかれば良いのか――10年後ではなく、今年の収益だけにとらわれるならば、自社の、あるいは日本の産業界の将来には期待できない。ひるがえせば、アカデミアの発展は限定的なものになるだろう」と。
 11ページ、お願いします。これ、結論として、読むのはやめますが、今後への意見として、こういうことを言いたいと。特にこれは、要するに、産業界の努力が足りないということを強く言っているので、産業界にはどうしてほしいということが書かれています。そういう産業界とアカデミア、大学との関わりの中で、これからの数学・数理科学は発展していくのだと思います。応用数理学会は、こういう中での役割を果たしたいというのが、我々の、あるいは私の意見です。
 以上です。

【観山部会長】  清水理事長及び秋葉会長、どうもありがとうございました。
 それでは、以上の説明に関して、文科省からの説明も含めて、委員の先生方から御質問や御意見がございますでしょうか。どうぞ挙手ボタンを使うか、ちょっと全体が私は見えませんので、直接発言していただいても結構だと思いますが、いかがでしょうか。
 それでは、私のほうから。秋葉先生、最後のページ(資料1-4、11ページ)は私も非常に同感でして、日本の研究力はどんどん落ちてきているというふうに様々に言われるのですけれども、一方で、日本の企業の実力というか、世界のランキング、フォーブスなんかのランキングを見ると、どんどん消えていっているというか、以前はたしか2000年、90年代は世界のトップテンの中に5,6社あったと思うのですけども、今は100社の中にトヨタしかないというような状況です。この問題の一つに、非常に優秀な博士課程の研究者、数学、物理、いろいろな分野ですけれども、それをどんどん取り入れていって、新しいクリエーティブな開発を企業内で進めることが重要と思われますが、それができていないのではないかという感じも持ちます。そこら辺が、どうも博士課程を出た人は使いにくいとかという話もありますけれども、使いにくいのではなくて、使うことができていないのではないかと思います。今はちょっとそういう形で言いましたけれども、反対に言うと、いろいろな企業では問題を持っているのだけれども、それを先ほどのまとめにもありましたけれども、相談するときに、数理科学者や数学者になるのだろうかというような、ある種、対しては敷居が高いの考えるのではないでしょうか。企業人は躊躇するところがあるのでははないかという感じを持っています。もっともっといろいろな窓口が必要なのではなんではないかと。もちろん、先ほどの人材が行くということは一つの大きなかけ橋になると思うのです。それ以外にもいろいろな問題を、大学というのは問題発見型ってよく言っていましたけれども、問題を解決するために大学とかいろいろな窓口が本当にあるのだということをどのようにアピールしていったら良いのでしょうかね。
 それと、そういう相談があったときに、数学者や応用数学者が、自分たちのある種の研究の材料になるというような雰囲気をどういうふうに出したら良いのかなというのがちょっと、前回もいろいろ議論したところなのですけれども、何かお考えがありますでしょうか。

【秋葉会長】  こういう取組を続けていくことで、恐らく10年前と今とは大分違ってきたと思うのですね。こういうことを続けていって、周知というか、認知していただくと。会社にも認知していただいて、それから、会社も、私から見ると、さっきの繰り返しですけれども、要するに、もうけることだけを考えるということではなくて、次の世代をつくるというモチベーションを持ってほしいと。そういうことも含めて、広い視野で考えていただくということに向かっていければと思います。ちょっと抽象的なお話ですけれども。

【観山部会長】  ありがとうございます。
 品田先生、おられますかね。

【品田委員】  はい。今、いろいろお話を伺って、悩んでいたところですが、まず、私どもの会社、弊社だけを言いますと、非常に今、数理科学に秀でた人材をどこも求めている、どこでも、どの部署も求めているという感じですね。会社の中で、データサイエンティストという呼び方で、もうちょっと広い意味で言えば数理科学者ということになると思うのですけれども、どこに行ってもデータサイエンティスト、また、違った、そういう分野じゃない人もデータサイエンティストになっているというような、非常にだからそういう意味では、今日のお話をいただいたその危機感は、それなりに持っている企業もそれなりにあるのではないかなというふうに思います。ですから、今回の取組をすぐに前に進められる、どんどん発展していくのではないかと思いますね。
 だから、逆に私どものほうとしては、この段階で企業が消極的であるとか、そういう状況がまだそうなのかというところが、社内での数学者とデータサイエンティストが非常に必要であるという動きと、ちょっとギャップを感じたところであります。
 でも、一方で、実は応用数理学会で主催されていた異業種の交流会ですか、それに弊社の名前がなくて、非常に困った気持ちではいるのですけれども、現状は私の見る中での民間企業ではそういう動きが非常にありますので、こういう活動は良い意味で火がつくのではないかというふうに期待できると思うのです。
 それとあと、日本がいろいろ凋落していったのと、企業の新しいイノベーションがなくなってきたというのは、これはまた私のような者が軽々に簡単に述べるということではないので、ノーコメントにさせてください。
 以上です。

【秋葉会長】  それはちょっとコメントをさっき、繰り返しになりますけれども、私はそういう会社をたくさんというか、よく見てきた。そういう会社というか、ここに書いてあるような、品田先生の会社ではないところなのですけれども、さっきも申しましたけれども、一部の企業では非常に熱心にやっていると。異業種分野の発表でも、非常に熱心に力強い発表をされておりました。
 ですから、そうじゃないところもあって、その両面ですね。全体的に見るとどうなのかというと、やはり私の見てきた限りでは、日本の全部が非常に意欲的だというふうには私はちょっと思えないというのがここに書いてあることなのですが、言葉のきつさはちょっと御容赦いただいて、こういうこともあるということで。

【品田委員】  全体としては、先生のおっしゃる風潮はまだまだそのとおりだろうなという肌感覚はございます。ですから、やっぱりこの文科省の取組、非常に必要だろうなというふうには思います。

【観山部会長】  ほかの先生、御発言、御質問いかがでしょうか。
 日立みたいに非常に積極的に取り組んでおられるところもあると思うのですが、日本の一つの実力は、大企業もそうですが、たくさんの中小企業があって、そこが今まで産業の底辺として引っ張ってきたわけです。私は今、岐阜におりますけれども、中小企業がたくさんあるところです。なかなか中小企業の技術者とか社長さんとかがそういうところに、応用数理学会とか数学会にパイプを持って取り組んでいこうという感じはなかなか見えませんよね。
 だから、そこら辺がすごく今後の問題で、多分、一つ一つの会社の何かある問題を持っていくというよりは、そこにある種、コーディネートする人がいて、問題の共通部分を、数学者や応用数学者とやり取りして、ある種の体系化をして、どういうアイデアがあるかとか、どういう方法があるかということを一緒に考えるというところが必要ではないかと思います。そこがなかなか中小企業とか企業側から見ると、問題は山ほどありますよって言われるのだけれどのですけど、どうやって相談していったら良いのかわからない。、どうやってそれを非常にクリアにして、問題の構造の部分を提供して、それをまとめた形で対応すると云った仕組みが日本には難しいのでははないかなと思いますけれどもね。

【品田委員】  すみません。システムの挙手ボタンが見つからないので。今のお話で、確かにこの間もちょっと似たようなことを言ったと思うのですけど、間に入って、翻訳者といいますか、そういう仕組みがとても大事なのかなと。あと、言葉の言い方だけで全然変わってくるような気がしまして、数理科学者というと、もうそれだけで、特に中小企業の方たちは構えちゃうと思うのですけど、AI、ビッグデータとか、最近はやっている言葉をうまく使って、広報活動ということも必要なのかなというふうに思いますね。
 私でも、全然数学とはあんまり縁のない研究者でしたけども、数学というと、やっぱりちょっと構えるところがありますけど、データサイエンティストっていったら、もうそこらじゅうで聞く。AIというと、そこらじゅうで聞く話で(音声途切れ)ちょっとそういうところが、アプローチの仕方ですよね。中小企業の方たちへのアプローチの仕方というのを、何かちょっとした工夫で随分敷居が下がるような気もいたします。
 今、途切れて分からなかったところはございませんでしょうか。大丈夫ですか。

【秋葉会長】  今、少し音声が途切れて、ほとんど……。

【品田委員】  そうですか。一言で言うと、中小企業の敷居を下げるには、ちょっとした言葉の言い方の、言い換えですね。数理科学者じゃなくて、数理科学者はもっと大きな概念ですけど、データサイエンティストとか、AIの何かをできる人とか、そういう言い方をすることによって随分敷居が下がるのかなというふうに感じています。その間に立つ翻訳者みたいなトランスレーターが、組織とか人とかそういうものの仕組みというのも、とても効果があるのではないかなというふうに感じておりますという発言でした。

【秋葉会長】  分かりました。

【西山課長補佐】  部会長、城山先生が手が挙がっているようでございます。

【観山部会長】  そうですか。すみません。城山先生、どうぞ。

【城山委員】  失礼します。私自身は人文社会科学の分野で、かつ、前回欠席させていただいたので、ちゃんと理解できているかどうか不確かなところもあるのですが、一つお伺いしたいのは、最初、文科省の事務局のほうから御報告いただいた資料1-1の2ページのところについてです。上の囲いのところで、数理科学は現象の理解や学問の体系的進展により新たな価値を創造することで、新産業や社会変革を伴うイノベーションの創出を期待しますという、こういう形で前回の議論を踏まえて整理しているところだと思うのですが、ここの意味の確認なのですが、一つは現象の理解という話と、あと、これはコメントの中で要約された中であった、社会課題の解決の関係、要するに、現象の理解というのと課題解決というのがどういう関係になっているという点です。ここで現象の理解と学問の体系的進展というのが並列で並んでいるのですけども、整理いただいたコメントを見ると、単なる並列というよりか、むしろ個別の具体的な課題解決が体系的進展にもつながっていくという側面を重視すべきだというお話なので、正確に言うと、これは単なる並列ではなくて、現象の理解と、現象の理解をベースにした蓄積による体系的進展という、そういう形に実質的にはなるのかなというので、そういう理解で良いのかというのが一つの質問です。
 もう一つは、これは冒頭の文章は最終的には新産業や社会変革を伴うイノベーションの創出を期待という形で終わっているのですけども、今日の数学会と応用数理学会のお話などを見ていると、いろいろな具体的な取組みたいなものと体系的進展というのが、むしろ相互作用しながら展開していくというのが今後の姿なので、そういうことを促していくというのが多分大きな趣旨なのかなと思うのですけども、そういうような理解で良いのか。ちょっとその辺り、少し確認させていただければと思いました。よろしくお願いします。

【観山部会長】  まずは事務局、いかがでしょうか。

【西山課長補佐】  事務局でございます。最初の観点、現象の理解と社会課題解決というところの関係性でございますけども、2ページ目の一番上のところが、数理科学の側から見ている分析になっているというところもあって、その辺ちょっと分かりづらかったかなというふうに思うのですけれども、数理科学自体がこういうことができて、こういう学問で、こうできて、だから最終的には新産業や社会変革を伴うイノベーションの創出を、中長期的な目標として、青色の四角のセルの一番最後のほうに書いてあるというところで、数理科学でどういうことができますかといったときに、根本原理を解明する学問だということと、重要な変化の兆しを予測できる学問だというところとか、こういうことができていきますというところを、最終的に社会に使ったときには社会課題の解決につながるでしょうと。ただし、それが学問自体に投資された場合には、学問的な体系的な進展、学術的な発展につながるでしょうと。
 先生おっしゃるとおり、ここの最終的な現象の理解、学問の体系的な進展というところが並列になるかというと、数理科学の側から見たときには、現象の理解というところと学問の進展というのは、並列に書いたというところでもないのですけれども、こういう学問があって、それが最終的にはイノベーション創出につながりますよということが書きたかったというところでありますので、並列なところはちょっと難しいかなというふうにも思いますけれども、考え方としては、我々としては、こういうことができます、だからこういうところにつながりますということをここで書かせていただいたというところでございます。そういう状況でございます。

【観山部会長】  城山先生おっしゃるとおり、どの立場で書くかにもよるのですけども、個別の現象の理解を進めることによって、それを学問的に体系化していって、学術として進展することで、またさらに価値の創造とかという感じが割と分かりやすい書き方じゃないか、理解しやすい書き方ではないかなとは思いますね。

【西山課長補佐】  ありがとうございます。そういう意味で、その次の3ページ目の上のほうは、全体的な少し引きの視点で見たときに、これを適切に価値化して、学問へ再投資して、それが学問の幅を広げ進展させていくという、ここは確かにもう少し引きの立場みたいな形で書いておって、城山先生おっしゃるところは、そういうところなのかなというふうに思っておりますので、御趣旨はおっしゃるとおりだなというふうに思っております。ありがとうございます。

【西山課長】  基礎・基盤研究課長ですけれども、基本的に御指摘のとおりだと思っていて、右下のページ数でいうと2ページ、PDFでいうと3ページの下半分に図がありますが、これ、下のほうに学問の深化というのが伸びていて、横側、諸科学とか、もしくは産業、社会との連携なのですが、それはどちらかに分けられるものでもなく、先ほど城山委員、もしくはこれまでの議論であったとおり、相互作用しながら全体としての幅が広がっていくものだと思っていますので、そういう趣旨を踏まえた形で修正するように検討します。

【観山部会長】  ほかにいかがでしょうか。
 今の3ページを出してもらえますか。先ほどの話でいうと、ここに実に青色で書いていただいた部分、これをどうやってやるかということが今後の大きな課題だと思うのですよね。コーディネーションとか、それから産学の出会いの場の創出だとかというのがあるのですが、それを中小企業や大企業も含めてやっていって、社会との応用数学、数学との連携をしないと、今後の世界戦略の中で残っていけないのでははないかというぐらい危機感があると思うのです。ここの部分、重要で、これを具体的に文科省や経産省の施策としてどうつくっていくかということが、大きな部分ではないかと思います。

【小谷委員】  すみません。発言してよろしいでしょうか。

【観山部会長】  どうぞ、小谷先生。

【小谷委員】  先ほどから観山委員長、秋葉応用数理学会長、そして品田様の御意見をお聞きしておりました。皆さん御存じのように、ドイツにはマックスプランクとフラウンホーファーという2つの研究システムがあり、フラウンホーファーのほうは、日本でいうと産総研のような、産業界とアカデミックをつなぐような働きをしています。そのなかにも数学の研究所があって、まさに大企業だけではなく、ドイツは特に地方ごとに拠点があるというところもあって、地方の中小企業の数学の問題を解決するようなことも非常に熱心にやられていて、フラウンホーファーの基金と産業界からの共同研究費等と両方で運営をしています。
 そこでもやはり産業界、特に中小企業の課題をどうやって数学の問題にして解決するかという部分が非常に重要で、そこをきちっと考えてあげるという機能が、そこの研究所の一番大きな役割と聞いています。
 先ほど清水先生だったか秋葉先生だったか忘れましたが、イギリスが数理関係予算を2倍3倍にしたというお話の中に、具体的に提案が幾つも書かれていて、例えば博士学生を増やすとか、ポスドクを増やすというのが入っていますけれども、施策の一つの中に、フラウンホーファー型の研究所をつくるというのがございます。全体を通して、数学への投資のキーワードはナレッジシェアというふうにイギリスでは位置づけていて、様々な知識を今の社会課題解決に向ける場合、様々な分野が知識を共有して課題に当たる必要がある。日本流の言い方で言うと、総合知みたいなことです。ナレッジシェアにとって数学というのは非常に重要だということが書かれています。
 それを実際に実現するための研究所として、フラウンホーファー型の相談窓口機能を入り口として、そこからすばらしい研究が発展していくような研究所をつくるということが提案として書かれています。
 それから、もう一つ、先ほどAIということもありましたけれども、数学の抽象性というところが実は数学の武器でありつつ、一方で、非常に敷居が高いというふうに言われているところでもありますが、ICT技術が進みまして、例えば、コンピュータやタブレットを使って様々なことが身近にできるようになると、抽象的に今まで議論してきたことを、イメージしやすくなります。数学のハードルを下げるという意味では、ICT技術の幅広い活用が非常に重要だと思っています。
 GIGAスクール構想も含め、小中高から、数学の抽象的な理論が社会の中でどういうふうに使われるかということをタブレットで遊んだりして実感することができるようになってきていますので、以前よりもずっとコミュニケーションは取りやすくなってきています。
 以上です。

【観山部会長】  ありがとうございました。非常に重要な視点でありまして、日本でも、産業数学研究所でしたっけ。まだまだ数少ないですが、そういう動きはあると思います。確かに産総研の中に数学の何か部署があって、そこにどんどん相談に行けるとかということは一つの在り方もしれませんね。
 ほかの先生、委員の方、何か御発言ありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 まだまだこれは検討課題として続けて考えていかなきゃいけないと思いますけれども、本日の議論を踏まえて、文部科学省において2030年に向けた数理科学の展開についての資料をさらに御検討いただくことで、そして決定していただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

【西山課長補佐】  ありがとうございます。

【観山部会長】  清水理事長、秋葉会長、非常に重要な指摘をありがとうございました。
 それでは、続きまして、議題2、創発的研究支援の充実に向けてに移ります。議題2につきましては、資料2について事務局及び創発的研究支援事業運営委員会、西尾委員長より御説明をいただき、その後、委員より御意見を頂戴できればと思います。
 まず、事務局より説明をお願いいたします。

【永田課長】  文部科学省学術研究推進課長の永田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。それでは、私のほうから、創発的研究支援事業の充実に向けてということで御説明させていただきたいと思います。
 本事業につきましては、補正予算で創発的研究支援事業というものが創設されまして、現在動いているところでございます。一方、第6期の科学技術・イノベーション基本計画の中では、この創発的研究支援事業につきましては、着実な推進をするとともに、定常化を見据えた事業の充実を図るとされてございます。この事業につきましては、補正予算で措置されているといったところから、3回分の公募が今認められているところでございますけれども、4回目以降、定常化に向けてどうするのかというのが現在課題になっているところでございます。
 2ページをお願いいたします。この創発的研究支援事業でございますけれども、この創設の契機になったのは何かというところでございますけれども、これは平成31年の経団連の提言がございまして、Society5.0の実現に向けた「戦略と創発」への転換というものが出されてございます。その中では、これまで研究開発支援の配分の在り方としまして、選択と集中とされていたところを、戦略と創発への転換が必要だというふうにされてございます。破壊的イノベーションというものは予期せぬことから生じ、特定の課題や短期的な目標設定を行うということは、かえって逆効果になりかねない。したがいまして、失敗を恐れない野心的な挑戦を奨励しつつ、研究現場の多様性を高める。そういったことが想定外の研究成果を生む可能性が高いといったことを提言で言われているところでございます。
 3ページをお願いいたします。そういった提言等を契機としまして、令和元年、2年、さらには令和3年度の補正予算でこちらの事業が予算措置されてございます。先ほど申し上げましたとおり、3回分の公募というのがこの補正予算で認められてございまして、事業の概要にありますとおり、自由で挑戦的・融合的な構想で、リスクを恐れず挑戦し続ける独立前後の多様な研究者を対象にしまして、最長10年間、基本的に7年間でございますけれども、最長10年の安定した研究資金、さらには研究者が研究に専念できる環境、こういったものを一体的に支援するといったことで、この制度が立ち上がったところでございます。
 事業の特徴でございますけども、大きく3点あるかと思います。ここにありますとおり、年平均700万円という予算規模の研究費がございまして、それに加えて間接経費が措置されまして、7年間、さらには最長10年間までの長期的な研究資金という枠組みになってございます。その使途としましては、バイアウト制度を活用したり、PIの人件費として支出できる。そういったことも導入されてございます。
 また、この事業につきましては、研究開始から3年目、さらには7年目のステージゲートに審査を行いまして、研究の進捗状況に合わせて評価を行い、評価を受けて、場合によっては最長10年間まで延長が認められるといった制度になってございます。
 もう一つの特徴としましては、研究環境改善のための追加的支援があるといったことでございます。研究者本人だけではなくて、所属される研究機関が、この研究者が研究に専念できる環境を確保する。そういったことの取組の評価を受けまして、追加的支援を機関に対して行う。それをもってそういった取組を引き出すということを想定してございます。
 また、採択者が研究を行うに当たりまして、RAとして参画する博士人材につきましても、その対価としまして、2人までの追加支援をするというような仕組みになってございます。
 3つ目の特徴としまして、創発の場の形成でございます。こちらの遂行に当たりましては、プログラム・オフィサーがマネジメントを行いますけれども、そのマネジメントの下、採択研究者同士が互いに切磋琢磨し、相互触発するような場を提供するといった特徴がございます。
 そういったその3つの兼ね合いを総合しまして、研究時間を最大化し、研究に専念していただく。そういったところから破壊的イノベーションにつながる成果を出していただきたいといったものでございます。
 4ページをお願いいたします。これまでの採択の状況でございます。これまで2回公募が既に終わっておりまして、この2回に当たりましては、第1回目2,537件、第2回目が2,314件の応募がございました。そういった応募に対しまして、約900名の多様な分野の専門家からの書面審査を行いまして、野心的・挑戦的なアイデアを選出する。さらに、業績の成果だけではなくて、提案を果たした貢献・工夫、そういったものも記載していただいて審査を行うということにしてございます。
 一次審査が終わった後、14名のPO、プログラム・オフィサー、並びに160名のアドバイザーの方による審査というものを各パネルごとに行いまして、ポテンシャルを重視して採択を決定してございます。
 中段の下にございますけれども、第2回目の公募から、人文社会系の融合提案という提案につきましてもしっかり見ていく必要があるだろうといったことから、専門の審査チームを設置いたしまして、第2回から人社系の審査も加わっているところでございます。
 パネルごとの審査を経まして、最終的には創発運営委員会の下、総合審査が行われまして、採択課題が決定されているところでございます。
 これまで第1回目、第2回目を合わせまして511件の課題が採択され、採択率としては約10%程度となってございます。
 5ページをお願いいたします。この運営体制につきましては、JSTの下、創発運営委員会が設置されてございます。本日御出席いただいております大阪大学の西尾総長に委員長をお務めいただきまして、この委員会の委員でもいらっしゃいます長谷山先生もこの運営委員会の委員でいらっしゃいます。
 この運営委員会の下、POと書いてございますけれども、創発PO、創発AD、そちらのほうで選考された結果が運営委員会のほうに上がりまして、最終的に決定が行われる。この全体の事業の企画運営等もこちらの運営委員会で行うという仕組みになってございます。
 6ページをお願いいたします。こちらのほうが具体的な14名のプログラム・オフィサーの方々でございます。第1回目は名前を伏して応募いただきましたけれども、第2回目からはお名前も公表しながら、応募される方がどのパネルで審査を受けたいかというものを見た上で応募いただくという仕組みに変わってございます。本委員会の合田先生も、このプログラム・オフィサーのお一人として加わっていただいているところでございます。
 7ページをお願いいたします。第3回目でございますけども、現在、公募中でございまして、7月20日が締切りとなってございます。その後、書面審査、面接等を経まして、来年の1月には採択課題を決定し、来年の4月から研究開始という予定になってございます。
 中段にございますけれども、第1期から第2期の変更点としましては、先ほど申し上げましたように、人文社会系のAD、審査チームを新たに新設したといったこと、さらには、審査パネルのPO・ADを公開した、さらには、途中からでございますけど、先ほどのRAの追加支援というものを導入したといったところが挙げられるかと思います。
 8ページをお願いいたします。これまでの2回の公募の状況でございますけれども、若手中心に約5,000件の応募がございまして、挑戦的・野心的な課題511名を採択してございます。分野別ですけれども、性別で見ますと、女性研究者につきましては、14%の応募に対して、採択に当たりましては20%といったことで、そういったところも配慮がなされているところでございます。
 また、年齢的には、大体40歳以下の研究者が7割、職位で見ますと、准教授・助教クラスの方々が多い。さらに、機関別で見ますと、やはり旧帝大中心に国立大学が多くなってございますけれども、そのほか、公私立大や研究機関等も採択されてございます。
 ここで言えるのは、真ん中から下にございますけれども、採択された方々というのは、約8割が機関異動の経験がある方というところが特徴かなと思ってございます。また、採択者の約6割は、海外機関での研究経験があるといったところも、かなり特徴が出ているかと思います。
 現在、約8割は、応募条件となってございます、独立環境を確保するといったところで達成されてございまして、下にある4つの独立条件を3年以内に満たすというのが本種目の条件となってございます。
 9ページをお願いいたします。採択結果の機関別でございます。採択件数の多いところから左側から並べてございますけれども、国立大学中心ではございますが、そのほか公私立大学、国の研究機関、さらには、マックスプランク研究所ですとか、外国からの応募も可能となってございまして、外国に今いらっしゃる方については、日本に帰ってくることを前提としまして応募いただけるというような仕組みになってございます。
 10ページをお願いいたします。採択後の波及効果でございます。まだ1年強でございまして、なかなか波及効果というところは見えづらいところではございますけれども、その中でも、創発研究者につきましては、約41%が採択後に機関からの新たな何らかの支援を受けまして、研究環境が改善しているといった方が、1期生が49%、2期生が33%、具体的な内容は右側にお示ししているところでございます。中には昇任・昇給をされた方、さらには、任期付きから定年制のポストへ移行された方々も中にはいらっしゃるといったところでございます。
 また、中段でございますけれども、創発研究者の総勤務時間に対する研究活動の時間につきましても、NISTEPの調査によれば、一般的な准教授・助教クラスは30%強でございますけれども、創発研究者については、約67%の時間が確保されているといったアンケート結果も出てございます。
 11ページをお願いいたします。各機関からの創発を契機とした変化でございます。こちらにつきましては、この4月から5月にかけまして、採択者がいらっしゃる所属機関の理事等にアンケートを行った結果、約4分の3.77%が変化があったというふうにお答えをいただいています。具体的には、右側にありますとおり、大学を挙げて若手研究者支援の機運が高まったといったこと、さらには指導教員制度の変更ですとか、PIとして活動できるような制度変更が行われているといった意見も御回答いただいているところでございます。
 12ページをお願いいたします。こちらのほうは東北大学の例でございますけれども、創発と同じぐらいのタイミングで、東北大学独自で若手躍進イニシアティブというものを打ち出しまして、研究環境整備に大学がコミットするといったプロミネントリサーチフェローといった制度も立ち上がったところでございます。
 13ページをお願いいたします。研究機関への追加支援でございますけれども、まだ具体的に追加、お金としては渡してございませんけれども、先ほど申し上げましたような、支援機関が採択者の研究時間を確保するといった取組に対して追加支援をするわけでございますけれども、あくまでも支援のコンセプトとしましては、研究者目線で研究者に寄り添った研究環境改善を行ってもらうということをイメージしてございます。
 具体的な例は真ん中にございますけれども、それぞれ個々の研究者に置かれた立場、状況によってそれぞれ措置するということで、スペースを確保するですとか、テニュアを付与する、スタッフを追加配置する取組が行われているところ、さらには、人数が少ないところですと、寄り添ってしっかりしたサポート体制を取る。また、大学としてのパッケージとして取り組んでいただいている。そういったところの取組が行われているかと思います。
 そういった状況を今後、JSTのほうに申請をいただきまして、追加支援をしていくといったところを今後予定しているところでございます。
 14ページをお願いいたします。こちらのほうは、公募要領における具体的な追加支援へのメッセージでございます。先ほど申し上げましたように、研究者が思う存分に能力を発揮して、研究機関が研究環境整備に努めることを期待するといったことを挙げてございまして、具体的な取組の例として、独立の支援ですとか研究時間の確保、研究加速に向けた支援、そういった取組を期待したいといったこと、この支援に当たりましては、1機関当たり最大1期で5,000万円ということを予定してございまして、その支援内容に応じて評価を今後行っていくということを想定してございます。
 15ページをお願いいたします。先ほど3つ目の特徴として挙げました、創発の場でございます。異分野研究の理解、融合研究を目的とした創発の場というものを、創発PO、ADを中心に、外部専門家と一緒になって、合宿形式の議論の場というものを予定してございます。そのような場を通じまして、研究者お互いの切磋琢磨を促し、相互触発をするような取組を通じて、研究者同士のネットワークの構築といったものを期待したいというふうに考えてございます。
 真ん中から下のほうにございますけれども、本年5月から6月にかけましては、分野、パネル間を超えた融合の場というものをセットしまして、全国14か所で開催させていただいたところでございます。1日目は、研究者の研究内容の発表、これは一般にも公開をして、誰でも見られるような形でやってございます。2日目につきましては、それぞれ非公開の場で、研究内容を基にグループに分けて、活発な御議論を交わしていただきました。公開の場につきましては、1,987名が現地又はオンライン参加いただいているところでございます。
 こういった異分野の方との取組を通じて人脈を築いていただいて、思いがけないような着想、研究ヒントを得て、融合の研究につながるということを期待したいと思ってございます。
 16ページをお願いいたします。最近の状況でございますけれども、政府の政策文書への記載の内容でございます。骨太の方針につきましては、そこに書かれているとおり、創発的研究支援事業としまして、初期の失敗を許容して長期の成果を求めるような研究助成制度を推奨する。さらに、新しい資本主義のグランドデザインの中でも、同様な記述をいただいているところでございます。
 また、グランドデザインの中では、後段のほうにありますけれども、初期の失敗を許容しより長期に評価を行う方向で改善・強化するということがうたわれてございまして、すぐに結果が出ないからといって、評価を悪くするということのないような方向で検討してくれということが言われているところでございます。
 成長戦略のフォローアップ、統合イノベーションの中でも同様に、創発事業につきましては、定常化を見据えた事業の充実を図りつつ推進していくということがうたわれているところでございます。
 17ページをお願いします。これらの状況を踏まえまして、現状でございますけれども、創発事業につきましては、独立前後の研究者に焦点を当てまして、長期間での支援、所属機関と連携をしながら行う研究費であるということ、基金であるというような特徴を生かしながら柔軟な使い方が可能であること。
 また、PO・ADの助言を得ながら、創発の場や融合の場を通じまして、研究者同士の知的触発や、将来に続く交流を促すといったことが言われてございます。
 第1期生につきましても、既に任期なしのポストですとか、研究のスペース確保、そういった取組が研究機関のほうでも行われているところでございまして、こういった取組が大学改革の一助をなすというところも期待しているところでございます。
 全国の多様な機関からの野心的で挑戦的な研究者を見いだしまして、地方の大学も含めまして、大学独自の強みや独自色の発揮といったところにも直結するのではないかというふうに考えているところでございます。
 18ページをお願いいたします。最後に、今後に向けてでございます。これまで御説明しているとおり、現在、補正予算での措置、3回分の公募というところの措置までしかございませんので、それ以降どうするのかというのが課題になってございます。そういった観点から、今後、新規公募も含めまして、事業の継続を図る方向性について、本審議会での御意見を賜りたいというふうに思ってございます。
 また、本事業のさらなる改善に向けまして、そこにあります3点、挑戦的な研究を推進するための腰を据えて研究に取り組めるような環境での現場の課題、モチベーションの維持といったところでは何が考えられるのか。さらに、3年目の最初のステージゲートの評価におきまして留意すべき点は何かあるかどうか。所属機関と連携して、研究環境の確保、その観点から、インセンティブを強化するですとか、好事例の横展開が考えられるわけでございますけれども、そのほかにも何か留意する点はあるか。さらに、創発の場という取組の中で、より一層、これ以上に取組を促していくような仕掛けは何か考え得るかといったところを先生方のほうから御意見賜れれば幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【観山部会長】  よろしくお願いします。西尾先生、お願いします。

【西尾委員長】  創発的研究支援事業運営委員長を務めております大阪大学の西尾です。
 文部科学省からの御説明のとおり、この創発は、採択する提案、採択後の成長の場、そして研究機関による環境支援と、大きく3つの特色がある事業です。
 採択された研究者からは、「従来の自身の研究内容とは異なる、本当にやりたかった研究を提案し採択された」といった熱い思いであるとか、「創発に採択されて人生が変わった気がする」という、喜びの声が届いています。
 また、創発研究者による公開イベントの参加者からは、「多様で独創的な研究が推進されており非常に面白い」といった声、また、ある大学の理事からは、「自分の研究フィールドの若手がこれだけ高い構想を持って研究していたことに感銘を受けた。これが将来の日本の学術研究を背負っていく研究者の集団か。本当に頼もしい」といった声も聞いております。
 その要因は、競争的資金に運営費交付金の良いところを導入した、すなわち短期的な成果を求めず、挑戦することを推奨した制度のよさにあると考えています。
 しかし、一方で、今の若い研究者は本当にやりたかった研究ができない状況にあることを改めて思い知らされ、忸怩たる思いに駆られてもおります。やりたい研究に挑戦することは、アカデミアの研究者のモチベーションの源泉です。運営費交付金が十分にあった時代は、やりたい研究に挑戦することは当然のことでしたが、最近の競争的資金制度は、短期的に成果が出る見込みが低い研究は採択され難いといった風潮があります。これでは、若い研究者は小さくまとまってしまい、破壊的なイノベーションを起こすような尖った研究からは程遠くなってしまいます。若い優秀な研究者にやりたい研究に果敢に挑戦させる、そういった環境を提供するのが我々の使命ではないかと切に考えております。
 続いて、採択後の成長の場についてですが、創発では、採択された創発研究者が合宿形式で議論し、お互いに刺激し合う場が設けられており、採択後の成長支援も重視しています。これは、JSTの「さきがけ」と同じような仕組みではあるのですが、創発ではそれを全科学技術分野に展開しておりまして、非常に大きな意味を持つと考えています。
 私たちは、コロナ禍でウェブ会議が定着し、様々なメリットを享受しましたが、先般来、全国各地で開催してきました14回にわたるパネル横断の「融合の場」では、対面の重要性を再認識しました。創発における、全科学技術分野から選抜された研究者が一堂に会する場でのコミュニケーションは、若手研究者をさらに成長させる機会になると固く信じております。
 最後に、研究環境支援や独立支援についてです。個人向け研究費で、このような支援を研究機関に求めたのは初めてのことであると思っております。従前より若手研究者の支援の在り方について検討していた多くの研究機関においても、研究環境支援・独立支援を実行に移すことは難しかったことと思います。そのため、研究機関がどのような対処をされるかは未知でしたが、説明資料にありましたように、採択者の4分の3は何らかの支援を研究機関から受けたと回答しております。
 ある大学の研究推進担当理事からは、「若手研究者の状況や悩みは分かっているようで分かっていなかった。創発を通じて対話をすることで勉強になった。若手研究者に対して、どのような支援ができるかを考えたい」との声が寄せられております。変革に向けて一歩一歩ではありますが、進み出した印象を持っております。
 優秀な若手の知を結集して創発させる本事業は、日本の研究界の閉塞感を打ち破る一つの矢となるものと確信しています。この事業が継続すれば、十数年後には、創発研究者を中心に日本のアカデミアが動き、そして、研究機関も創発研究者を中心に若手支援を改革していく、そういった良い循環が生まれ、新たな時代が来ることを私は固く信じております。この良い潮流を止めないためにも、この事業の継続を強く要望いたしております。
 以上です。

【観山部会長】  先生、どうもありがとうございました。
 あと時間が25分ぐらいあると思いますけれども、各委員の方々から御質問や、さらなる、より良い施策にするための提案とかがありましたら、どうぞおっしゃっていただければと思いますが、いかがでしょうか。

【齊藤委員】  齊藤ですが。

【観山部会長】  齊藤先生、どうぞ。

【齊藤委員】  非常に良い政策ですので、ぜひ広げてほしいなという感じがしています。
 2つ質問させていただきたいのですが、採択率10%というのは、非常に厳しい選抜であると。恐らくこのレベルの選抜ですと、この制度がなくても、「さきがけ」など、様々なもので支援されるはずだった人ではあると思うのですね。多分、思います。若手研究者の最大の不安というのは、こういう制度に採択されないと全然やっていけないというのが根底にあるということですので、もうちょっと採択率を上げないと、若手科学者全体の雰囲気改善にはなかなかならないのではないかなという感じがしております。
 もう一つは、支援費なのですが、これは多分、諸外国の制度と比較して、唯一、粒度が粗いなという点だと言って良いと思うのですが、全員多分700万という制度だと考えてよろしいのでしょうか。

【永田課長】  はい。

【齊藤委員】  基本的に、実験系ですと、多分700万というのはあまりにも少ないし、または、700万というのがあまりにも多過ぎてとても使い切れないという方もいらっしゃると思います。その辺は、分野ですとか領域に応じて柔軟に運用していただくことができたら、より資金を有効に使っていけるのではないかという感じもいたします。
 この2つの点、御質問させていただければと思います。

【西尾委員長】  どうもありがとうございました。この創発的研究支援事業は、非常に斬新な仕組みでありましたので、最初から大きな枠組みで始めるというよりも、まずはこういうシステムがうまく成功していくかどうかを検証する、フィージビリティスタディ的な要素も多分にございました。
 それと、破壊的なイノベーションを起こすということになりますと、相当型破りな提案を求めることになりまして、我々としては、募集をかけた際に、まずは質の高い研究提案でこの事業を始めて、サクセスストーリーを作っていくということも大事だと考えました。したがいまして、今のところは10倍という倍率になっております。
 ただ、今、齊藤先生がおっしゃったように、この制度が、日本の今後のアカデミアを変えていく上で非常に有効なものであり、今までと違った意味の様々な研究費制度のブレークスルーを生んでいくものであるということが実証されていく過程において、財政当局と様々な折衝を重ね、間口を広げていくことを今後ともぜひ考えていきたいと思っております。それが最初の御質問への答えになるかと思います。
 それと、2つ目の年間700万円ということに関しては、実を言いますと、各々の分野のまとめ役をしていただいているパネルオフィサーの先生、あるいは運営委員の方々からも、研究者が成長していく過程において、特に後半の部分になると、年間700万円というのはやはり少ないという声も出てきております。
 そういったこともあり、支援費の柔軟な運用については考えていく必要があると思っておりますが、一方で、資金的な多寡よりも、むしろ学内での雑用をできるだけ免除してもらい、研究に専念できるような環境をきっちり与えてもらえるのであれば、研究そのものに関してはそれほどお金は要らないという場合もあります。
 どのように全体最適を図って、この資金を運用していくかということについては、今後工夫を重ねていきたいと思います。先生がおっしゃいましたように、特に実験系のような分野では、まだこの金額は低いということは私自身も強く感じております。

【観山部会長】  ありがとうございました。
 ほかの委員、御発言。

【永田課長】  1点だけちょっと追加させてください。西尾先生から研究資金の関係、御説明いただいたところでございますけれども、本事業の採択者につきましては、科研費を例えば既に採択されていて、それと切り分けながら一緒にやっているというような研究者もいらっしゃいます。したがいまして、種目によっては、この資金だけではなくて、ほかの資金も同時に今はやれるといった内容もございます。
 また、この事業につきましては、また大きな研究種目にアプライしていただきまして、この種目を卒業していっていただくということも期待しているところでございまして、先ほど西尾先生がおっしゃっていただいたように、分野によってかなり予算規模というのは違ってくるかもしれないのですが、最小限の規模を確保しながら、この事業を立ち上げて、フィージビリティー的な形で今回新たな取組として取り組んでいるといったところでお考えいただければと思います。

【西尾委員長】  補足をありがとうございました。完全に科研費等との重複申請は許されていないというものではございません。どの類の研究助成金とは重複して申請して良いか等については、募集要項にきっちり書かれてございます。ありがとうございました。

【観山部会長】  ほかの委員、いかがでしょうか。

【美濃島委員】  美濃島ですけれども、よろしいですか。

【観山部会長】  どうぞ。

【美濃島委員】  まず、非常にすばらしい制度だと思っておりまして、私の周りでも、若手がこれを励みに挑戦したり、実際に獲得したりしているので、ぜひ続けていただきたいと思っております。
 その際に、このもともとの趣旨が若手の長期的な、底上げと言ったらちょっと表現が違うのかもしれないのですけれども、日本の研究力全体を若手として長期的な目で上げていくという趣旨だと思いますので、そういう意味ですと、ぜひ広い分野をカバーするような形で、どの分野にいる若手でも挑戦する枠があるというような形でぜひお考えいただけたらと思うのですね。
 といいますのは、やはり若手を見ていますと、さきがけか創発か、多くはその両方に挑戦をして、どちらかで採択していただけないかみたいな、その挑戦をしているように私には見えますけれども、さきがけですと、領域が短期的に3年とか限定されて、自分の研究分野によっては、さきがけにはアプライしたくても枠がないというか、はまる分野がないというようなことがあると思います。また、さきがけと創発の今後、どういうふうにすみ分けていくのかというか、そういったこともお考えだと思うのですけども、恐らくさきがけのほうはある程度短期的に大きく、分野も集中して出資するという形で、創発はもう少し広く研究者を育てていくという観点があるのかなというふうに思っておりますので、もしそうであれば、ぜひ分野として必ず拾っていただけるというか、挑戦する気のある研究者が挑戦できるような受皿があるという形で運営していただければなというふうに思っております。
 それに関係して、実際に創発を取っている身近な若手研究者が何人かおりまして、見ておりますと、サイトビジットだったり、いろいろな成果発表会があったりしているようで、今後、短期的な成果は求めないということなのですけれども、どのように評価というか、今後見ていっていただけるかということが、若手としても心配な点があると思うのですね。
 ですので、7年10年って長い時間ですので、そこをどういうふうに途中の評価をして、最後つなげていくかというところをぜひ、十分お考えと思うのですけども、今後いろいろフィードバックをしながら議論を進めていただけたらなと思っております。ですので、入り口のときに必ず分かったものではなく、挑戦をするという意味では、評価をされる皆さんの見識が非常に必要で、大変な御苦労があると思うのですけども、そういったところをぜひ評価法なども進化させながら進めていっていただけたらなというふうに思っております。
 以上です。

【観山部会長】  ありがとうございました。重要な視点だと思います。

【西尾委員長】  私のほうで簡単に答えますので、後で事務局からさらに補足していただければと思います。
 まず、分野に関しては、特に自然科学系であるならば、ほぼどれかのプログラム・オフィサーのところで、申請を受け付けられる体制になっていると考えます。また、申請の折にも、特に自分として審査をしてほしい主分野と副分野等が書けるようになっていますので、自然科学系は対応する分野があると思っています。
 むしろ創発で問題になったのは、初年度の制度設計のところに人文社会科学系が設定されていなかった点いなかったのです。そのことに関して運営委員の方々から、特に今後、総合知を日本として大事にしていく上では、人文社会科学系の研究、あるいは自然科学系と人文社会科学系との融合研究が大切であるというご指摘があり、人文社会科学系にも配慮するようなパネルの立て方に改善したという経緯があります。
 それと、2つ目の御懸念に対しましては、各プログラム・オフィサーが、アドバイザーの方々と共に、自身のパネルにいらっしゃる研究者達と、こういうことで行き詰まっているとか、このような進展があったとか、常時コミュニケーションを取りながら、対話をしておりますので、単なる紋切調の評価をしていくというようなことにはならないと思っています。おっしゃっていただいたことは重要なことですので、運営委員会としても真摯に受け止め、今後、第1ステージゲートのところでそのような懸念を払拭するような評価体制を構築していこうと思っております。
 事務局から補足がありましたらお願いいたします。

【永田課長】  西尾先生、ありがとうございます。2点目の評価の関係でございますけれども、先ほど私のほうから御説明しましたとおり、政府の政策文書の中でも、骨太ですとか新資本主義社会のグランドデザインの中でも、初期の失敗を許容して長期に評価を行うという話が言われてございますので、さらには今回の現在の募集要項の中でも、リスクを恐れず果敢に挑戦し続ける強い意欲があるかどうか、創発的研究の遂行にふさわしい適切な研究環境の確保の取組に進捗が見られたか、そういった観点を第1ステージゲートでは評価するということにしてございまして、成果が出なかったからすぐに中止とか、そういうことは恐らく今の段階では考えていないかと思います。
 具体の制度設計はこれからになりますけれども、先生の御意見等も踏まえながら検討してまいりたいと思います。

【観山部会長】  手が3人挙がっていますので、まず、小泉先生。

【小泉委員】  小泉です。ありがとうございます。創発でとても重要な点は、先ほど来御説明になっていただいたように、創発の若手研究者を孤立させないということだと思っています。そういう意味では、学内でしっかりとした支援ができているかどうか、それから、創発の研究者同士が横に広がってネットワークができているかどうかというところはとても重要な特徴になる部分だと思っています。
 ネットワークに関してはいろいろな取組をされている、刺激もさせていこうということは分かったのですが、学内の支援に関して、むしろ77%でしたっけ。77%が支援ができている、よかったねというよりも、逆に23%も支援されていないのだというほうにちょっと僕としてはびっくりしたところがありまして、その辺、どういった事情か。または単独の大学でなかなか支援できない、もしかしたらうちの自然科学研究機構の研究者も、うちらは支援されていないって言うかもしれないので、何とも言えないのですが、どういったところが課題になっているのかというところを、既に把握されているところがあれば、どういうふうに改善できるのか。23%を多いと見るか少ないと見るかなのですが、多いなという印象を持ったところでした。質問です。よろしくお願いします。

【西尾委員長】  貴重なコメントだと思います。今、小泉先生から御指摘いただいた点については、おっしゃるとおりで、77%は多いとは思いますが、本来の制度設計としては99%、100%になっていくべきものです。
 ただ、この支援事業が始まってまだ日が浅いということがありますので、それを勘案した上で、今後も、追跡調査を行っていきます。そのうえで、全体のパーセンテージが上がっていかない、あるいは特定の大学で上昇していかないということになれば、これは募集要項で求めていることに反することになりますので、我々運営主体としては、該当機関に対して強く物申していきたいと考えております。
 事務局の方で補足がありましたらお願いします。

【永田課長】  ありがとうございます。今、西尾先生がおっしゃっていただいたところに尽きるかなと思うのですが、研究者によっては、既にそういう研究できる環境をかなり与えられていまして、創発に採択された後、新しい取組があったかというところで、そこはあまりないなというようなお答えをされた先生も中には多分いらっしゃるのではないかと思います。
 今、確かに率としては決して高くないというところは、当然我々も課題かと思ってございますので、今後、きちんと支援機関の状況等も確認しながら、きちんとサポートしていくように取り組んでまいりたいと思います。

【観山部会長】  小谷先生。

【小谷委員】  私は、東北大学で研究担当の理事をしていますので、創発の採択者全員とディスカッションいたしました。本当に評判が良いプログラムで、皆さん非常に喜んでいるというのが実感です。
 何が一番魅力的かというと、独立の研究環境を与えられる。自分の独立した、自分のアイデアで、野心的な研究への挑戦が独立した研究環境でできる。そこが一番魅力的だという意見の研究者が非常に多かったです。
 もう一つは、西尾先生も言われたように、パネルオフィサーの方というのですかね、採択に関するヒアリングのときから、非常に親身になってディスカッションをしてくれて、とてもうれしかったというふうな意見もありました。採択に係るヒアリングでいろいろ言われて、それを楽しめる度胸のある研究者ということもあるかもしれませんが、ディスカッションや育成するという観点がしっかり組み込まれた良いプログラムのようです。
 一方で、創発的研究支援事業を離れて、一般的な研究環境について若手研究者に聞きますと、彼らが一番不満というか不安に思っていることは、最近、プログラムがばらばらに立ち上がっては終わるという関係で、運の良い人は良いプログラムに乗れるし、そうでない人は乗れないというようなこともあり、実力や努力と関係なく自分のキャリアが決まってしまうというところがあります。創発的研究支援事業は、どなたに聞いても非常に良いプログラムだと言われていますが、これが3年で終わってしまう、もしくは、続くとしてもギャップイヤーがあってまた再開されるということではなく、継続的に続いていくということが、若手が研究者キャリアを考える上で非常に重要です。
 それから、文科省へのお願いですけれども、このお金は国内でしか使えないとお聞きしました。日本の科学技術が世界の中でのプレゼンスを示すという意味では、若手の研究者が、例えば、7年の研究期間があるのであれば、そのうちの1年2年は海外で研究するということも考えられるようにしていただけると、大変にありがたいと思います。
 人文社会系に関して、やはり制度上、いろいろと困難なことがあって、こんなふうに改善したらありがたいというお声を聞いていますので、これは別途、御担当者にお伝えしたいと思っております。よろしくお願いします。

【観山部会長】  どうもありがとうございました。

【西尾委員長】  小谷先生、どうもありがとうございます。特に面接の有効性については、採択された方、採択されなかった方の両方からたくさんポジティブな意見が寄せられておりまして、時間をかけて行っていることを認めていただき、非常にありがたい良いことだと思っています。
 事務局の方で、小谷先生からの御質問にお答えいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【永田課長】  小谷先生、どうもありがとうございました。先ほどの海外での研究というところでございますけれども、これ、3回の制度設計としましては、海外に出ることは可能なのですが、その間は中断していただくということで、先生がおっしゃっていただいたように、研究費が使えないというのが今の制度設計になってございます。
 第4回目以降の取扱いにつきましては、また引き続き御意見等も踏まえながら、検討していきたいと思います。

【観山部会長】  齊藤先生、どうぞ。

【齊藤委員】  すみません。ボタンを間違えて押したのだと思います。

【観山部会長】  そうですか。どうも本当にありがとうございます。
 一番課題は、継続できるかどうかということで、私も非常に良いよい制度だと思いますけども、やっぱり財務当局に理解してもらうためには、この政策自体をどのように評価するのかということの視点を持つことが大切です。ただ、7年とか10年の契約なので、3年間しかたっていないということです。ここのところをぜひぜひよく考えていただいて、小谷先生おっしゃるとおり、ちょうどここにマッチしている人たちはうまくいったけれども、その先の人はなかなかそういう仕組みがないというのは非常に不幸な状況になります。政策としての評価の視点を持ちながら、この3年間でこれだけのことができているのだということをぜひぜひアピールしていただければと思います。
 まだまだ御質問があろうかと思いますけども、時間が来てしまいましたので、本日はここまでとさせていただきたいと思います。
 西尾先生、どうもありがとうございました。

【西尾委員長】  何とぞ継続をしていただきますように、よろしくお願いいたします。

【観山部会長】  どうぞよろしくお願いいたします。
 基礎研究振興部会運営規則第7条に基づきまして、本部会の議事録を作成し、資料とともに公表することになっております。本日の議事録については、後日、メールにてお送りいたしますので、御確認をよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、事務局、何かありますでしょうか、最後。

【西山課長補佐】  大丈夫でございます。ありがとうございます。

【観山部会長】  それでは、どうも活発な御意見、意見交換、ありがとうございました。
 以上をもちまして第8回の基礎研究振興部会を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。
 
―― 了 ――

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