基礎研究振興部会(第3回)議事録

1.日時

令和元年7月16日(火曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省 東館17階 研究振興局会議室

3.議題

  1. 戦略的創造研究推進事業の充実・強化に向けて
  2. その他

4.出席者

委員

栗原部会長、観山部会長代理、天野委員、大島委員、川合委員、黒田委員、齋藤委員、城山委員、山本委員

文部科学省

研究振興局長 村田善則、大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策連帯担当)増子宏、研究振興局基礎研究振興課長 山下恭徳、研究振興局基礎研究振興課基礎研究推進室長 金子忠利、研究振興局基礎研究振興課融合領域研究推進官 髙橋理恵、研究振興局基礎研究振興課課長補佐 岡村圭祐、研究振興局基礎研究振興課基礎研究推進室専門官 千田はるか

オブザーバー

科学技術・学術政策研究所長 磯谷桂介、科学技術・学術政策研究所科学技術・学術基盤調査研究室長 伊神正貫、科学技術・学術政策研究所上席フェロー 赤池伸一、JST研究開発戦略センター・フェロー 山村将博

5.議事録

【栗原部会長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第3回の科学技術・学術審議会基礎研究振興部会を開催いたします。
議事に先立ちまして、研究振興局長に村田局長が着任されておりますので、一言よろしくお願いいたします。

【村田局長】 失礼いたします。ただいま御紹介を賜りました、7月9日付で磯谷前局長の後を受けまして後任として着任いたしました村田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
委員の先生方におかれましては、大変御多忙の中、本部会に御出席をいただきましてまことにありがとうございます。もう申し上げるまでもないことでございますけれども、我が国の研究力を巡って国際的な地位が相対的に伸び悩んでいるのではないかというような指摘をされております。文部科学省としては、先般取りまとめました研究力向上改革2019を踏まえまして、国際的な地位のV字回復あるいは持続的なイノベーションの創出に向けた様々な検討が進められているところでございます。持続的なイノベーションの創出に向けては、言うまでもなく、その源泉となる基礎研究が極めて重要でございます。基礎研究振興部会でございますけれども、まさにそういった我が国の基礎研究環境を取り巻く諸課題につきまして個別に掘り下げた検討が行われる場でございます。委員の皆様方には基礎研究の今日的意義やこれを取り巻く様々な諸課題を踏まえ、多様な観点から御審議、御意見を頂戴しているところと承知してございます。委員の先生方にはお忙しいところ御負担をお掛けいたしますが、引き続き大所高所から御指導賜りますようお願い申し上げまして、簡単ではございますけれども、着任の御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

【栗原部会長】 どうもありがとうございました。本日の会議ですが、本部会運営規則に基づき、公開の扱いといたしますので、御承知おきお願いいたします。それではまず事務局より、本日の出席者と資料の確認をお願いします。

【千田専門官】 本日は10名の委員に御出席いただいております。前回に引き続き天野先生は情報通信機器を介した形で会議に御出席いただいております。天野先生、聞こえますでしょうか。

【天野委員】 はい、聞こえます。よろしくお願いします。

【千田専門官】 はい。なお、小谷委員、永井委員につきましては、本日は御欠席の連絡を頂いております。また、本日は科学技術・学術政策研究所から磯谷所長。

【磯谷所長】 磯谷です。よろしくお願いします。

【千田専門官】 赤池上席フェロー。

【赤池上席フェロー】 赤池でございます。

【千田専門官】 伊神科学技術・学術基盤調査研究室長。

【伊神室長】 伊神です。

【千田専門官】 科学技術振興機構から山村研究開発戦略センターフェローにお越しいただいております。
続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。本日の会議はペーパーレスで実施いたします。お手元に御用意してありますタブレット端末の画面に本日の議事次第が映っているかと思います。こちらのPDFに議事次第及び本日の資料1-1から資料2、参考資料1-1から4-4まで全てまとめてございます。タブレット端末に不具合若しくは操作で分からない点等ございましたら事務局にお知らせください。なお、お手元に本日の議事次第を紙でもお配りしておりますので、こちらも適宜御活用いただければ幸いです。
以上でございます。

【栗原部会長】 それでは、議事に入ります。まず皆様に御議論していただきますのは、きょうは主に議題1です。それで、本会議は17時までの予定としておりますけれども、議事が順調に進めば早めに終了することもあろうかと思います。御協力をお願いいたします。
それではまず、前回会合において、戦略目標の策定の際、最新の研究動向や技術の予測調査など情報収集することの重要性などについて御指摘がありました。そうした議題に関連して、本日、科学技術・学術政策研究所(NISTEP)からの関連の調査を御紹介いただきたいと思います。それでは、資料1-1と資料1-2について御説明をお願いします。

【磯谷所長】 それでは、NISTEPの所長の磯谷です。7月9日付でNISTEPの所長に就任いたしました。前職の研究振興局長の際には非常にお世話になりありがとうございました。
座って説明させていただきますけれども、きょうは資料1-1と資料1-2で御説明を申し上げたいのですが、前回の会議で、今、部会長から御紹介があったような戦略目標策定の際のデータあるいは参考資料としてNISTEPの資料を使っていただくケースも多いものですから、NISTEPの方で取り扱っております主に大きく2つの調査がございまして、1つは科学技術予測調査というものでございまして、後ほど御説明させていただきますけれども、将来の科学技術の予測あるいは社会像の提案等々について5年に一遍行っている調査でございます。それからもう一つはNISTEPの定点調査というもので、これは毎年行っておりますが、いわば研究者の方たちの意識を調査することによって、今の科学技術の現状についての捉え方について明らかにするということでやっているものでございます。それぞれ資料1-1については赤池上席フェローの方から御説明をさせていただいて、資料1-2の定点調査の方は伊神室長の方から御説明をさせていただきたいと思っております。よろしくお願いします。

【赤池上席フェロー】 それでは、NISTEPの上席フェローの赤池でございます。よろしくお願いいたします。この資料1-1を使いまして、科学技術予測調査について御説明を申し上げたいと考えております。
まず科学技術予測調査ですけれども、5年に1回程度行っておりまして、科学技術基本計画とかイノベーション25のタイミングに合わせてやっておりまして、これが一つ大きな国レベルの政策に役に立つ。もう一つは、これは戦略基礎そのほかファンディングに直接役に立てていただく、そのための基礎情報として調査をさせていただいております。
まず2ページを御覧いただければと思います。第11回科学技術予測調査の速報版がございます。科学技術予測調査は、1971年に第1回ですけれども、今回第11回を迎えまして、本年の秋に公表する予定でございます。今回は進捗状況ということで速報版を先週の7月12日に出しましたので、それの概要を御説明させていただきます。2ページにございますとおり、今回は科学技術の発展による社会の未来像を描くということです。ターゲットイヤーは2040年で、調査期間としてはその前後も併せてやっております。それで、今回につきましては、AIの関連技術などICT技術なども使いまして、いろいろな手法を組み合わせてやらせていただいております。構成としましては、社会の未来像と科学技術の未来像を個別に描いて、それを組み合わせて将来のシナリオを描くという手法を使っております。左側にございますように、ビジョニングと言われる社会の未来像を描く、それから右側の科学技術の未来像として、デルファイ調査といって、専門家5,000数百名のアンケートと78名の先生方のエキスパートジャッジを組み合わせて、702項目の科学技術トピックスについて、実現時期だとか重要度、国際競争力、それから政策手段のためなどをお聞きして、科学技術の未来像を描く、それを組み合わせて左下のシナリオを描くというやり方をしております。
ページをめくっていただきまして、4ページでございますけれども、ここに書かれておりますとおり、あくまでも科学技術をベースとした未来像ということで、世の中いろいろ様々な未来像がございますけれども、その中でも特に科学技術の視点から描いたものということでございます。
5ページにありますとおり、いわゆるフォーキャストとバックキャストを組み合わせている手法ということでございます。
めくっていただきまして7ページ、我々はどういう形で未来の社会像の方を描いたかといいますと、右下にありますけれども、地域のワークショップ、全国6か所340名の参加を得まして未来像を描く。それから左側の上にございます、世界の未来像を国際ワークショップ60名14カ国の参加で描いた。これを参照しながら約100名が参加したワークショップを行いました。ここでは10グループに5つの未来像を作っていただきまして、全部で50の未来像を作るという形で社会の未来像を描くという形でやっています。
その社会の未来像を表現したものが8ページでございまして、この中ではいろいろな未来像がございましたけれども、HumanityとかInclusionとかSustainabilityとかCuriosityというような価値で統合できるような未来像が描けたのではないかと思っております。
それに対して科学技術の未来像ということで、アンケート調査とエキスパートジャッジを組み合わせてやっておりまして、10ページにございますとおり、7つの分野でアンケート調査をやっております。現在2回目の調査が終わったところで、まだアンケートについては詳細調整中、集計中でございますので、現在のところの概要だけを御説明いたします。
それで、11ページにございますとおり、こういう7分野で、12ページにお示ししたようなことをお聞きするということです。今回、13ページにございますとおり、専門家のネットワークだけではなくて、JSTのリサーチマップ13万人の方に御協力いただきまして、その中から御回答いただいた方、約6,700名近い方に御参加いただいております。
結果をちょっと御説明しますと、まずアンケート調査として例えば重要度と国際競争力という軸で並べたものが14ページ、15ページでございまして、こんな形で出てきております。
今回この基礎研究の振興という観点から特に御説明しておきたいのは、17ページ以降にございますクローズアップ科学技術領域というものでございます。これはどういうふうに作ったかといいますと、702のトピックスの中で、それをAIで32の領域に一応くくりまして、そこからまたエキスパートジャッジを掛けて横断性の高い8領域、それからやや特定の分野に関わるような8領域というものを導き出しております。それが17ページ、18ページでございますとおり、我々の調査の結果、18ページ、19ページに掲げている8領域につきまして、これから分野横断・融合のポテンシャルの高い領域として示しております。1から社会・経済の成長と変化に適応する社会課題解決技術、プレシジョン医療を目指した次世代バイオモニタリングとバイオエンジニアリング技術、それから3、4、それからページをめくっていただきまして5番がICT革新デバイス、それから6番が宇宙利用、それからサーキュラーエコノミー、自然災害に関する先進的予測技術というものをまとめているところでございます。
特に、4番として新規構造・機能材料と製造システム創成という例を20ページに示しておりますけれども、これはもちろんブレークダウンした情報がございまして、これに関する実現時期とか重要性というものをこれから細かく更にアンケート調査の結果を示していく予定でございます。
また、21ページにお示ししたのが、これはやや分野に特化した科学技術領域でございます。我々はいわゆるAI技術とエキスパートジャッジを加えてこういうものを出してきております。
その例示として、22ページにございますようなライフコース・ヘルスケアに向けた疾病予防・治療法というものもお示ししているところでございます。
こういう形でお示ししまして、この中で更にそれぞれのファンディングに応じた、特性に応じたものを絞って領域を設定していただくということで考えております。
現在、机上だけですけれども、調査結果のイメージとして、個別のトピックスに応じた重要度と実現時期をピックアップしたものをお示ししていますけれども、1ページ目が2030年までに科学技術的に実現するトピックスの例ということ、それからそのページをめくっていただいたものが、2030年以降に科学技術的に実現するトピックスには、ちょっと息の長いものとして、先生方の御議論の中では、アンケートの結果としてはこういうものが出てきております。いずれにせよ、こういうものをちょっと整理をしまして、秋には包括的な報告書をお示ししたいと考えております。
ちょっと参考ですけれども、24ページは、社会の未来像と科学技術の未来像を併せたシナリオとして4つの視点からまとめたものでございまして、A、B、C、Dのような未来像を描いております。それぞれに応じて実現時期なども含めた未来像を描くという作業に今後入りたいというふうに考えております。
すみません、一番最後のページに予測オープンプラットフォームというページがございますけれども、この資料の一番最後のページでございますが、従来から……。

【川合委員】 すみません、何ページか言っていただけますか。

【赤池上席フェロー】 50ページですね。ずっと参考資料が付いておりまして、一番最後のページでございます。じゃあちょっと口頭で御説明しますと、今、こういう予測にAI技術をどういうふうに活用するかというものを試行してやっておりまして、例えば一番今使えるのは、テキスト的にある情報を組み合わせてクラスタリングして、それにエキスパートジャッジを掛けるという方法を使っております。この中では、例えば最近では戦略基礎研究の目標設定のときに専門家の先生にお見せしながら新しいものを考えていただくとか、普通にアンケートをとると、―研究者から全くばらばらの答えが来るのですけれども、あらかじめこれでクラスタリングした上で、この中に入っている分野ですばらしいものがありますか、それとも新しくこれ以外に提案するものを聞きますと、かなり具体的なお答えが返ってくるようなこともございます。そのアンケートシステムと組み合わせて、こういうAIを使ったクラスタリングという手法も併用しているところでございます。そういうことで、ちょっときょうは非常に概要的な説明になりますが、是非戦略基礎の御検討にも活用して貢献させていただければと思っています。
以上でございます。

【伊神室長】 続いて、資料1-2に基づきまして、NISTEP定点調査について御説明いたします。資料1-2を御覧ください――よろしいでしょうか。では、1-2に基づいて御説明します。
まず、1-2の2ページを御覧ください。NISTEP定点調査ですが、この調査は、産学官の一線級の研究者や有識者への継続的な意識調査を通じて、我が国の科学技術やイノベーションの状況を把握するという調査でございます。今回御紹介するNISTEP定点調査2018は、2016年から2020年の5か年にわたって行う調査の第3回目となります。質問は、2ページの右下に書いておりますような6パートから成ってございますが、基本計画を基にこの6パートを作成したということでございます。この6パートの中に63の質問が含まれているということでございます。
3ページを御覧ください。3ページには回答者をお示ししておりますが、大学・公的研究機関グループの約2,100名とイノベーション俯瞰グループの約700名から成ってございます。大学・公的研究機関グループは、学長の方、現場研究者の方、マネジメント実務担当者、大規模プロジェクトの研究責任者の方から成ってございます。イノベーション俯瞰グループに関しましては、産業界の方や研究開発とイノベーションの橋渡しを行っている方から成るというようなものでございます。
4ページを御覧ください。4ページの中ほどに実施状況を示していますが、2018年の9月から12月に調査を実施しまして、回収率は91.1%ということでございます。きょう御紹介する結果のほかにも多数の自由記述が得られているというような形になってございます。
5ページを御覧ください。きょう御紹介するのは、定点調査の6パートのうち学術研究と基礎研究、研究費マネジメントというところでございますが、これはそれをまとめた表でございます。お天気マークが評価の絶対値で、矢印が2016年からの変化でございます。矢印を見ますと、残念ながらというか、やや低下傾向のものが多いということが分かります。この詳細について次ページ以降で見てまいります。
6ページを御覧ください。6ページには基礎研究の状況に関する3つの質問に関した状況を書いております。ここでは、左上から、基礎研究の多様性、2番目は国際的に突出した成果が出ているか、3番目はそれらの成果がイノベーションにつながっているかという、この3つの質問でございます。これらについて、絵の見方ですが、上の青色の逆三角形は、2018年の大学・公的研究機関グループの回答、中が白抜きになっている逆三角形は2016年の回答です。これを見ますと、回答が左に寄っていますので、全体的に指数が低下しているということです。下のオレンジ色は、イノベーション俯瞰ということで、産業界の方々の回答ということになります。全体的にこの3つの質問に関しては、左に寄っておりますので、指数が低下しているということになります。
7ページを御覧ください。では、具体的にどうしてこのような低下が見られているかというところ、一例を御紹介します。7ページは、基礎研究の多様性に関する質問に関して、属性別の回答状況と、あと前回の調査から回答を変えた方々がどのような理由で回答を変えたかというものを書いております。7ページの右下を見ていただきますと、評価を下げた理由として、特定分野・特定グループへの資金の集中の話や、短期的な研究に偏ってきているというようなお話がありますし、下の方の記述を見ますと、研究環境の悪化により基礎研究の多様性は減少しているという話や、若い頃にしかできないであろう長期的な視点を持った調整的な研究がしにくくなっているというふうな意見がある。こういうような意見を持って皆さん評価を下げているということになります。
スライド8、スライド9に関しましては、残りの2つの質問について意見、理由を書いてございますが、ここではスライド10を御覧ください。スライド10は、研究費マネジメントの状況に関する3つの質問に関する状況です。ここでは、資金配分機関は将来有望な研究開発テーマの発掘や戦略的な配分を行っているかという質問と、発展段階に応じて継続性を保ちつつ支援をしているかというのが2番目の質問、3番目は、公募研究費における申請時の負担等の質問でございます。上2つの研究開発テーマの発掘と、継続性を保ちつつ支援をしているかという質問に関しては、2016年から指数が低下しているというような状況になってございます。
この2つの質問についても、具体的な変更理由を見ていきますと、スライド11を御覧ください。スライド11は、資金配分機関が役割に応じた機能を果たしているかという質問です。これも評価を下げた理由を見ますと、一番上は配分の偏りについての指摘です。これに加えて、採択に関わる研究者が固定的であり、もっと多様性を持った方がいいのではないかというような話、テーマ発掘、設定、資金配分のスピードにおいて改善の余地があるのではないかという話、3つの資金配分機関で類似の研究に資金配分をしているのではないかという指摘が出ています。あと、下から3番目ですが、このような資金配分機関でさえ既存の研究を支えるのに四苦八苦していると。これは要するに資金配分機関が資金を確保するのに非常に苦労しているというような点を指摘する意見も見られるということでございます。
スライド12を御覧ください。これは継続的な支援のものですが、スライド12に関しましては、これも意見を下げた理由としては、研究期間が3年から5年だと短いという話、継続性の話や、研究成果の確認、評価に至るタイムスケールが短くなっているのではないかという御指摘が出ています。あとこれは地方大学の方の意見ですが、ステージゲート、中間ゲート、最終ゲートの事務量が非常に多くて、地方大学だとかなり厳しいというような意見もあったということでございます。
最後にスライド14を御覧ください。先ほど言いましたように、この定点調査ですが、こういうような十分度の質問に加えて自由記述が非常に大量にございます。それを見ると、研究費の配分についての指摘が多数見られたということでございます。このあたりは、例えば基礎研究と応用研究のバランスとか、特定の分野への集中とか、公募型資金と基盤的経費のバランス等、いろいろ言われておりますが、このあたりはやはり主観的な、定性的な調査ですので、定量データも踏まえて総合的な判断が必要であろうと我々は考えてございます。
以上、簡単ではございますが、定点調査の説明を終わりたいと思います。

【栗原部会長】 ありがとうございました。それでは、ただいまの質問について御意見、御質問などございますでしょうか。あればよろしくお願いします。どうぞ、山本委員。

【山本委員】 山本です。質問でお願いします。
科学技術予測調査についてなんですけど、似たような形のものがJSTのCRDSの方でもやっていたかなと思いまして、もしあるようでしたら、それとの違いみたいなところをお願いいたします。

【赤池上席フェロー】 この未来を描くという作業は、民間でも政府部内でもいろいろございます。まず私どものターゲットは、2040年頃をターゲットイヤーとしたものでして、JST、あとCRDSの方もお見えになっているので、正確にお話ししていただければ良いのですが、時間軸的にはもう少し短くて、かつ、それぞれの研究開発分野ごとの俯瞰をCRDSがやっておられます。それで、かつ最近またその間の融合領域みたいなものを新たに御提案されていて、学際的な研究がどういうふうに動いていくかみたいなことのレポートも、昨年でしたか、出されたというふうに聞いていまして、そういう意味では、時間軸は私どもの方がやや長いということと、私どもの場合は社会と科学技術ということで、地域のワークショップなどもやったりして、少し建て付けが違っているものでございます。
あともう一つの違いは、俯瞰ということも大切なのですけれども、この702の科学技術トピックスの細かい例示で見て分かるとおり、この個々のトピックスについてアンケート調査とエキスパートジャッジを掛けているという特徴もございまして、そういう意味では本当の個々の科学技術がどうですかということを網羅的にある程度お答えするというところにも特徴があるかと思います。
ちなみに、理研の方では100年後の未来を考えるというような未来戦略室という活動をされていると聞いておりますし、例えば日立さんですとか、あと経済同友会さんとか、いろいろなところでも未来の社会像はどんなものであるかというような検討をされているというふうには聞いています。ということで、そういう意味では、私どもの科学技術予測はそういう特徴を持っているというところがございます。

【山本委員】 ありがとうございました。

【栗原部会長】 ありがとうございます。山村さん、補足はありますか。

【山村フェロー】 いいえ、おっしゃるとおり、その時間軸と分野というところは大きい違いだというところで、同じ認識でございます。

【栗原部会長】 理研の100年後というのは、もう少しビジョンということで、こういうデータに基づいたものということではちょっと違うんではないかなと思いますね。

【赤池上席フェロー】 そうですね、理研さんの場合は、どちらかというと、我々はむしろ王道をきちんと押さえるということですけど、理研さんの場合は、王道ではなくて、尖ったものを100年後のものを見付けてくるという趣旨でやっていることは承知しています。

【栗原部会長】 それでは、城山先生、どうぞ。

【城山委員】 クラスタリングで8プラス8領域をどうやって抽出したかというところのインプリケーションをちょっとお伺いしたいんですけれども、つまり、例えばこの分野横断の8領域なんかを見ていると、幾つかは、要するに課題があって課題に対応するための技術という書き方になっていて、例えば社会経済の成長と変化に適応する技術だとか、あるいは後ろの方に行くとサーキュラーエコノミー推進に向けた技術あるいは自然災害に関する予測技術等々、こういう課題型で書いているのが私の目で見ると8分の4ぐらいあって、もう残りの4つぐらいは比較的ツールといいますか、例えば新規材料だったりあるいは先端計測技術みたいな形になっています。ある意味で4対4なのでバランスいいとは言えるんですが、そうすると、これはどういう切り口でまとめるかというのはいろいろなことがあり得るのかなと思うんですが、これは、4対4で引っ張り出してきたというのはある種のバランス感覚の産物という理解でいいのか。大きなストーリーで言うと、そもそも基本計画は、ある意味ではある分野からある種社会課題みたいなところに行って、また若干戻ってみたいなストーリーがあるんだと思うんですけど、そういう中でこの4対4で抽出したというのは、そういうものとして理解していいのかという、ちょっと大ざっぱな質問が1つです。
あと、多少それとも関係すると思うんですが、最後の社会像の話と突き合わせるところの話なんですけれども、そのA、B、C、Dで4つの社会像の話と突き合わせるのですという話があったのですが、突き合わせるって例えばどういうことになるのか、4つの社会像の話に16の横断領域、8の横断領域と8の特定領域がどういうふうに重なってくるかというのをいろいろ埋め込んでみるということなのか、ちょっとそこの突き合わせ方のところをもう少し御説明あれば頂ければと思います。

【赤池上席フェロー】 かなりはしょった説明になってしまったので、今のところは曖昧だったんですけれども、まずこれは、我々は最終的には社会と科学技術をつないだものを描いていくというのが目標です。ただ、アプローチとしては幾つかのアプローチをしていまして、クローズアップ領域については下からやっています。下というのはどういうことかというと、7つの分野で科学技術分野、大変恐縮なんですけど44ページというちょっと後ろの方で、もしかしたら1-2から戻った方がいいかもしれませんけど、1-2から戻っていただいて44ページに分野というのがございます。これは、科学技術の未来像を描くという作業の一部としてやっておりまして、その科学技術の未来像をどうやって描いているかというと、この7つの分野を設定しています。この7つの分野には、やや基盤的なもの、マテリアルやライフみたいなものと、それからやや社会的な都市みたいなものと、やや混じっているという、もうこの段階で少しというのがありまして、更にこれをボトムアップ的にくくっていくという作業をやっていますので、そういうものでくくりが先にできたと。その後、我々、城山先生と同じようなところに思いが至りまして、それをやや課題寄りのものと基盤寄りのものをマッピングをして、それを更に委員会の先生方にお見せしながらそういうまさに基盤とこういう整理があるねといってくくっていったと。それで、世の中で御説明するに当たって、やはりこの基盤もボトムアップ的から出発しても課題と結び付けて説明する方がいいよという形で名前を付けたというのがこの8つの領域という作り方になります。そういう意味では先生がおっしゃるとおり、結果として社会課題寄りのものと基盤寄りのものが混じっているという作りになっています。
ちなみに、これは個々の科学技術からボトムアップ的に作った領域群なのですがこの基本シナリオといっている左下のところは、ちょっと違う作り方をしていまして、これはどちらかというと地域とかいろいろなところから集めてきた未来像で社会を描いて、それと科学技術とをつなげてみるという作業をしています。どういう作業の結果が出てくるかというと、40ページから42ページあたりですか、今ちょうど44ページを御覧いただいていて、ちょっと戻ったところなんですけど、41ページからこういう形でまとめようと思っています。右側に社会の未来像を描いています。例えば41ページですと、オープン家族と、ロボットと匠と、人と健康、地球のモニタリングという未来像に対して、左側のどういう科学技術がというのが、これはトピックスですね。それで例えば最先端デジタル技術を用いたコミュニティの可視化モニタリング技術というのは、科学技術的実現時期がこのぐらいで、社会的実現時期がこのぐらいという個別の情報を並べていきます。並べていったものが、これがじゃあ科学技術群としてはどんなものですかと左側の名前を付けているというような感じで、社会と個別科学技術がどういうふうに結び付くかというのを時間軸でマッピングしてシナリオを作っていくという作業をやっております。これはだからどちらかというと、望ましい社会を実現するためにはどんな技術がいつ実現しますかという絵を描くという作業として、これは基本シナリオとしてまとめていこうという話があって、このクローズアップ領域とシナリオという話を大きな2つの成果物としてお出ししようということで考えているところです。済みません、ちょっと長くなりましたが、以上となります。
【城山委員】 一つだけ確認ですが、そうすると、その後半の方の話の社会像とのつながりのところは、関連科学技術トピック例という形でくくりになっていて、この単位設定と、そのボトムアップの技術の単位設定とは微妙に重なるようでずれているというか、かなり大くくりになっている話もトピック例の方はあるのかなという感じがいたします。だから、どっちから見るかによってそこは多少いろいろなくくり方をされているということでよろしいんでしょうか。

【赤池上席フェロー】 いや、このトピック例そのものはトピックそのものです。

【城山委員】 これは技術の方のトピック。

【赤池上席フェロー】 トピックそのものです。

【城山委員】 なるほど。

【赤池上席フェロー】 で、この左側のコミュニティ、ロボット・ヒューマンマシンインターフェース、リアルタイムモニタリングは、それは我々が名前を付けているものです。ですので、個々の単位要素はそのトピックスという、で、これが実は我々は700の材料を持っていますので、それと社会をこうつないでいく。

【城山委員】 ではこのトピック例は、その700のレベルの単位の話ですか。

【赤池上席フェロー】 そうです。

【城山委員】 だから、先ほどの8個に集約したものとは違うということですね。

【赤池上席フェロー】 違います。

【城山委員】 はい、分かりました。

【栗原部会長】 そうすると、この700の中からこういうふうに関連するものと、比較的その時点では余り重要でないと、そういう整理をしていく中でなるようなものというのができてくるということになるんでしょうか。

【赤池上席フェロー】 はい、そういうことです。それを最初は、いわゆるAIでぱっと出てくるかと思って我々実験したんですけど、そうでもないということも分かったので、ある程度大くくりのところはAIみたいなものを使って、あとはエキスパートジャッジ、専門家の意見を組み合わせて描くというやり方に今のところ至っているという感じです。

【栗原部会長】 逆に入らないものもどういうものかというのも意外と重要かもしれない。
【赤池上席フェロー】 ええ、ありますたくさん。それはそれで非常におもしろいです。

【栗原部会長】 はい。ほかに御意見ありますでしょうか。

【赤池上席フェロー】 それは秋に全部オープンにさせていただきます。

【栗原部会長】 はい。はい、どうぞ。

【観山部会長代理】 意識調査の方の話でもいいですか。

【赤池上席フェロー】 はい。

【観山部会長代理】 予測調査についてもちょっと先ほどの関連で質問があるんですけど、時間の関係もありますので、意識調査の方について。私も以前研究所の所長をしていたときに、この調査に参加させていただきましたけれども、一つは、所長のレベルで、その調査をしたときの環境が、満足しているということを思っている人ってほとんどいないと思います。資金の面とか人材の面とか、結果が非常に悪い方に偏っているのはしようがないと思うんですよ。資金は十分ですかと言われたら、基本的にいろいろな所長さんとか、大学の関係者で十分ですと答える人はほとんどいないと思うんですよね。それから、人材に関しても、より高みを目指しているのが人間の性分なので、十分でないと答えます。ただ、重要なのはやはり過去との差分を見ると、これがほとんど多くの人は共通に悪くなっていると答えていると思うと、これについては相当深刻に考えなきゃいけないと思います。その中で、やはり記述の面でも見えますけれども、基盤的な経費と競争的経費の割合はどれぐらいがいいのかという部分に対して、相当の意見があると思うんですよね。以前私、学術会議会員であったときに、2008年と2015年の比較を、基盤的経費とそれ以外の経費(競争的経費だけではありませんけれども)、調べましたが割合は下がっています。全体としての資金は若干増えていますけども、だけどその比率が70・30だったものが、今64・36ぐらいになったと記憶しています。やはり現場の意見をよく分析していただければと思いますが、どの割合がいいのかというのはなかなか難しいとは思うのですけれども、この差分に対するいろいろな意見の掘り出しをやはりしっかりとやっていただいて、それを更に政策に生かすような形にしないと、この調査が生きてこないと思うんですね。もともと、さっきも言ったように、その時々の時点で悲観的に考える部分というのは、まあしようがないと思うんです、だけど、変化ベクトルが悪い方向に行っているその理由をやはり考えていただいて、まあそれは一つだけじゃないと思いますけれども、それをやっぱり分析調査、それで提言にしていただければと思いますけれども。
【伊神室長】 我々もこの調査は動きが大事だと思っていますので、毎回毎回同じ人にずっと継続してやっています。そこで今回は、回答を変更した理由を中心にご紹介しました。10年前と今で比べると、出てくる意見の質が変わっている面もあります。例えば基盤的経費に関しては、昔は余り教育のことをおっしゃる方はいなかったのが、最近、教育にも影響が出てきたということをおっしゃる人がいるということで、徐々に問題の質が変わってきている面も見られます。あと例えば人材の話だと、人事凍結という言葉はやはり10年前はなかったのが今は出てくるというところで、そういう新しい言葉があるので、そこをしっかりピックアップしようとしています。
一方、今は暗い話ばかりでしたけども、例えば産学連携みたいなものが動いているというのは、確かに皆さん意見としては出ているのです。ただ、マネジメントクラスと現場のクラスでちょっと意識の違いがあるとか、そういうのは見えてございますので、きめ細やかに分析していきたいと思います。コメントありがとうございました。

【栗原部会長】 ほかに何かこれはというのがあれば。じゃあ簡単にお願いします。

【川合委員】 科学技術予測調査の方なんですけど、今御説明をお聞きした範囲で、ちょっと失礼な言い方になったらごめんなさい。既存の技術をどうやって社会に展開していくかという意味では、かなりいいロードマップが描けていると思うんですけど、今多分、我々の科学技術の将来に対しての不安というのは、世界を先導するような技術が出ていない、技術というか科学ですね。だから論文がどうのとかサイテーションが何でこんな低いんだろうと。これはいろいろなことがあるとは思うんですけど、みんなが付いてくるような新しいアイテムが見つかると、やはりそういう先導する科学の中核になっていくわけですね。そういうのは多分こういう予測の中ではなかなか見られないと。一番大事なのは、予測できることはもちろん進めるのは大事なんですけど、予測できないような、そういう新しいものが出てくる土壌をうまく残しておくことがすごく大事で、それがこの予測調査だけからだと、何か抜け落ちてしまうような危機感を感じるんですけど、そういうものはどうやってインプットしていかれているんですかね、今まで。

【赤池上席フェロー】 まず、作り方の中では、委員会の中で、もともとの予測の項目を、前回900項目あったんですけども、大体分野によっても違いますけど、入れ替えていることもあって、新しく出てくるものを先生方ピックアップしてくださいという形でリバイスはしております。ただし、これは非常に高名な先生方が合議制で決めますので、どうしても保守的な方向に行ってしまうということは、それは先生のおっしゃるとおり否めないところがある。だからそういうプロセスにおいて想像可能なものしかトピックスとして出てこないという特徴はあります。ということで、一応アップデートはしております。
あともう一つ、この調査に関してはそういう枠組みですけども、私どもの別の活動として、KIDSASHIという活動をやっておりまして、それは例えば学会だとか様々なところのお話の中でちょっとエッジが立っていておもしろいものを見付けてきましょうということで、それは正直かなり玉石混淆なのですが、そういうものをアップデートしてすぐウェブサイト上でお知らせする、そういうような取組もやったりはしています。ですので、こういう様々な、ちょっと保守的といいますか王道のアプローチと、ちょっとおもしろそうなものをピックアップしたものと、補完的にやって、それで最後はストラテジーでどっちを選ぶかというところで判断するしかないのかなという感じでやっておりまして、先生の御指摘のところは全くごもっともだと思います。

【栗原部会長】 今回、戦略創造について議論しているのですけれども、そこでも、ですからなるたけ大くくりにして想定されていないような提案も採択できるような、そういう枠組みが大事ではないかということが議論になっています。ちょっとその点を申し添えたいと思います。
それでは、時間もありますので、どうも貴重な調査の結果を丁寧に御紹介いただいてありがとうございました。
それでは次に、戦略事業の充実強化に向けて議事を進めたいと思います。事務局に検討の整理案を準備していただきました。大変丁寧にまとめていただいてどうもありがとうございます。これは本日のみでは必ずしも議論が収束しない内容かとも思いますので、予備日としていた7月31日に再度部会を開催し、議論を深めていきたいと考えていますので、御協力をよろしくお願いいたします。
それでは、資料1-3、資料1-4、検討の整理(案)、事務局より説明をお願いいたします。

【金子室長】 文部科学省の金子でございます。まず資料1-3を御覧いただければと思います。全体で100/118ページ目でございます。
欧州との比較を若干御紹介したいと思っておりますが、2ページ目であります。右側に現在の戦略目標を策定する際の主な手続ということを書いてございまして、左側は欧州における、前回CRDSの方から御紹介ございましたプログラムにおける、手続の流れでございます。これを我々なりに、よりいいところは参考にするということで、欧州においてどういった手続を踏んでいるかというのを多少ブレークダウンいたしますと、左上の方に論文分析でございますとかポートフォリオ分析、ウェブマイニング、マニュアルスカウティング等々ございますけれども、こういったプロセスがあるということで、翻って我々の方ではステップ1からステップ3まで個々の手続を定めているわけでございますけれども、一定程度相応の手続を踏んでいることが見てとれるのかなと思います。他方で、実際、欧州においてどういった個別具体の、個々の活動がどういった内容で行われているか、そこは更に精査が必要で、取り入れられる部分があれば取り入れるというふうに考えてございますけれども、大まかな手続論というか、考え得る大きな作業として、一定程度相似といいますか、相当のものをやっているのかなと考えているところでございます。これは前回御指摘がございましたので、私どもの方で整理した資料1-3の御紹介でございます。
資料1-4を御覧いただければと思います。部会長から御紹介いただきましたとおり、これまでの議論の整理ということで、ポイントを御紹介したいと思いますけれども、1ページ目でございます。「はじめに」に背景を書いてございます。戦略事業につきましては、平成26年とか27年の報告書等々でその位置付け等々が整理されているところでございます。本年4月に文科省では研究力向上改革2019をとりまとめ、我が国の研究力の国際的地位のV字回復を目指すこととしておりまして、こうしたことから戦略事業の意義を再確認しつつ、その充実強化に向けて検討するということを背景として書いてございます。
2ページ目、戦略事業の意義でございますけれども、(1)で書いてございますのは、基礎研究の必要性の増大ということで、社会的・経済的価値の創造に結び付くには高い不確実性が伴い、市場原理に委ねるのみでは十分に取り組まれないことから、その推進は政府の責務であるというようなことを記載しているところでございます。
(2)戦略事業の有用性の高まりというところでございますけれども、科学技術の発展と相まって、社会・経済のありようが劇的に変化するという今日的な状況の中において、様々な面において不連続の側面が見出される。こうしたことから、戦略事業の有用性は高まっているというようなことを記載してございます。
(3)他制度との関係性、政府におきましては科学技術イノベーションにまつわる様々な施策の充実が図られている状況でございますけれども、基礎研究あるいは戦略事業につきましては、こういった制度と相まって更に充実強化することが必要ではないかということを記載してございます。
3.充実・強化に向けた方針でございますけれども、まず一つには、これまでの議論を踏まえますと、これまでの戦略事業の実績に立脚して充実・強化を図っていく必要があるのではないかというのが(1)でございます。(2)といたしまして、戦略事業の特徴、強みがございますので、そういったものを更に伸ばすという視点が必要ではなかろうかというような御議論がございました。
(3)、さらには我が国の環境に即した充実・強化を図る。これは当然に、各国の置かれた状況は異なりますので、我が国の置かれた状況等を踏まえて充実・強化を図っていく必要があるのではないかというようなことでございます。
(4)質の高い戦略目標の設定ということでございます。これは戦略事業において極めて重要な要素でございますけれども、必ずしもその内容というのは一様に定められるものではないということであります。科学技術の進展の迅速化あるいは不確実性が高まる中において、質の高い戦略目標の設定に向けては、機動的、柔軟に最前線の情報あるいは専門家の知見といったものを的確に取り入れていく必要があるということでございます。
4.に具体的方策が書いてございます。(1)、新興・融合領域の開拓に向けては、戦略目標の大くくり化というのが一つ大きな鍵を握るのではないかというような話がございましたので、ここに(1)として取り上げているところでございます。
(2)でございますけれども、質の高い戦略目標の設定ということで、最前線の情報あるいはそういったものを的確に取り入れるためにも、様々な情報を的確に捉えるといったことで、FA連携といったものの強化、最新の情報の入手の必要性ということを記載しているところでございます。
(3)若手研究者支援の強化ということでございます。この部会におきましては、いわゆるマルチメンタリング効果というのも一つの特徴であるというようなお話がございましたので、そういった切れ目のない施策、支援の充実が必要ではなかろうかというお話がございました。
(4)といたしまして、機動性、柔軟性、他の施策との連携、あるいは(5)でございますけれども、研究総括、領域アドバイザーの資質によるところが大きいということでございますので、そういうことのグッドプラクティスの蓄積を図るといったことが必要ではなかろうかということでございます。
(6)戦略目標等策定指針の扱いでございますけれども、若干現行の策定指針につきましては、細部にわたって決めている部分がございますので、機動的あるいは柔軟に対応するためにも、指針といったものを大綱化するということも一つ必要ではなかろうかということでございます。
5.最後でございますけれども、そういったことから更にこういった方向で充実・強化を図るということ、さらにはここに書いてあることは不断に見直して改善、改良していくべきものであるということでございます。
事務局でとりあえずこういう整理をしてございますけれども、更に議論を深めていただいて、次回に向けて我々の方でもブラッシュアップしたいと考えております。御説明は以上でございます。

【栗原部会長】 ありがとうございました。資料1-3では戦略目標の策定について、欧州との対比から、今どんな形で決められていくかを紹介いただきまして、また1-4は、この委員会での皆さんの御意見を大変丁寧にまとめていただいてありがとうございました。まだイメージとしては少し曖昧なところとか、もう少し丁寧に意見を書き込んだ方がいいようなところとか、あるいは少し違うというようなこともあれば、是非御意見頂ければと思いますので、よろしくお願いいたします。

【川合委員】 よろしいでしょうか。戦略目標の大くくり化というのは、大分前回の委員会でも皆さんが同意されたところで、そこが明確に出されたのは、これは大変いいポイントだというふうに感じております。
一方で、そのほかのところは、何となく現状のシステムを注意して動かしましょうねというのを超える文言が余り書かれていないのは、ちょっとディスアポインテッドなんですが、特に若手研究者の支援強化に関しては、私だけが主張していたのかもしれないんですけど、さきがけのようにメンタリングで皆さんが育てていくというモードの支援と、それからその次の段階で若手が自立するというところの支援と、2つが大事な支援であって、この若手が自立するところの支援に対してもう少し記述いただけるかと期待していたのですけれども、余り入っていないような気がします。
今、やっぱり国内で見ていて、若手の人が思いきり自立するためにはかなりの資金的な支援が必須であると感じております。特に、3年や5年じゃなくてもうちょっときちっと一仕事が、しかもチャレンジングな仕事をやっても一応ある範囲の中に収まるぐらいの長期戦が立てられるということが全くないのが今の日本のつらいところなので、その辺はせっかく新しい施策を出すのであれば、ちょっと触れて、そちらにかじをとれないかなという強い思いがございます。その辺を余りはっきり書かれていないのは何か理由があるのでしょうか。
【栗原部会長】 どうぞ。

【金子室長】 お答えいたします。今御指摘の点でございますけれども、今、省内で鋭意議論を進めてございまして、是非とも先生のお考えを次回の部会に向けて形にできるように、何らかの格好で記述できるように今努力してございまして、省内の議論中ということでございます。

【川合委員】 ありがとうございます。

【栗原部会長】 一応、重要であると書いてはあるんですけれども、重要であるというところで止まっているというところも、そういう点はいろいろあると思います。ほかにもあるでしょうか。観山先生。

【観山部会長代理】 いや、割とそれに近い項目でいうと、卓越した目利きという部分、これも要するに大くくりにするとか、それからテーマを決めるとか、それからそれを育てていくという部分で、目利きというのは非常に重要です。誰しも思うんだけれども、それをシステム的にどういうふうに取り込んでいくのかというのがやっぱり大きな課題だと思うんですよね。そのシステムを結構うまく作らないと、いけません。ある種、別な言葉で言うと評価になるかもしれませんけども、または、育成とか、そういうことになるかと思うんですが、そのシステムをうまく作っていかないと適切な評価ができない、いいところは褒めてあげて、例えば予算的にももう少し増やすとか、それから悪いところは単に悪いじゃなくて、何が問題なのかということを分析して、ある種サポートをするとかアドバイスをするとかいう、そのシステムをうまく作っておかないと、やっぱり物事がうまく動いていかないんじゃないかと思うんですよね。それがやっぱり日本の中で今まで欠けてきているところだと思うので、それを、なかなか難しいとは思うんですけども、どういうふうにマネジメントしてシステム化していくかということを今後考えていかないと、やっぱり経費は限られていますので、その経費を非常に効果的にうまく使うための、だから、単純に会議で集まって評価してということ以上のものが私は必要なんじゃないかなと思うんですよね。ある程度プロジェクトを決めれば、それをすごくしっかりとウォッチしていて、その人を割と中心にいろいろなガイドをしていくようなシステムをもうちょっと踏み込んでやらないと、会議体だけで評価して点数を付けてというのではなかなか収まらないんじゃないかなという、感想は持っています。

【栗原部会長】 そのあたりに関しては、多分JSTにおけるマネジメントの強化とかいうような言葉が多少入っていたり、あとはグッドプラクティスの蓄積ということも入っているんですけど、それを越えてどうやるのかというのはなかなか難しいところもありますし、何かうまくそういうものがシステマチックにJSTの中に蓄積されていくと、非常にいいのかなというふうに思いますけれども。今、観山先生の言われた会議体ばかりではないんだろうというところはなかなか非常にデリケートな難しいところです。
はい、黒田先生。

【黒田委員】 私はJSTの代弁をする必要はないんですけれども、一つ研究領域が立ちますと、JSTの方々が専門の研究者を訪問されて、どういう方が総括にふさわしいか、あるいはどういうところを強化しなければいけないか、非常に時間を掛けてインタビューを続けてこられて、その中で決まっていくというシステムですので、私としては非常に今のJSTのやり方を評価しています。研究推進部とにかく時間とエネルギーをかけていただくことは更にやっていただいていいかと思います。私は非常によくやっていただいていると思っています。
ついでですので発言させていただきますと、私は、この大くくり化ということが大きく取り上げられていて、大変うれしく思っておりますことと、それから質の高い戦略目標という言葉もあるわけで、この戦略目標の質が高いというのは具体的にどういうことかということが、これは文言で終わらなくて、具体性が見えるようにしていただけると更にありがたいと思います。
それから切れ目のない支援というキーワードも入っておりました。これが先ほど川合先生がおっしゃった部分とつながるところもあるわけなんですけれども、これもJSPSをはじめほかのファンディングとの連携なり、それが十分機能すればとてもありがたいというふうに思っております。
以上です。

【栗原部会長】 質の高いということに対しては、先生は何か具体的な言葉っておありですか。

【黒田委員】 これが非常に大事なところでありまして、そのために、先ほどもヨーロッパの場合と日本の場合とで戦略目標を決める場合のプロセスにそれなりの相関があるということでしたけれども、恐らくこの部分でより時間を掛けた、あるいは専門家を超えた議論と時間が必要なのではないかというふうに思います。ただ、非常に難しいことはもう承知の上でございますけど。
【栗原部会長】 これは戦略創造について全体的に書いてあるので、できれば、特にこの課題選定等について大きく関係するのは、さきがけとCRESTだと思いますので、CRESTのよさとか強みというようなことに対して何か御意見があれば頂けたらと思うのですけれども。齊藤先生は前回CRESTについて御意見を頂いているので、もう少し詳しくお伝えいただければと思います。

【齊藤委員】 2点申し上げてよろしいですか。

【栗原部会長】 はい、少し大きめにお願いします。

【齊藤委員】 一つはスピードの問題だと思って、一つはヒューマンリソースの問題だと思っています。
まずスピードなんですが、今、研究の実際の大問題は、世界中のスピードは物すごいスピードアップしているので、日本がなかなかそこにキャッチアップしにくい状況になっています。いる。それは何故かというと、数年前までは、たとえば学会に行って論文さえ読んでいれば最新の情報が入手できたんですけど、最近は実はそうでもなくなっていて、最新情報は人間対人間ベースにまた戻ってきていると。論文よりもずっと先に実際の研究が進んでいるという状況になっています。ここに書いてあるこういうキーワードではないものが、実際はすでにどこから作られて膨らんでいくというスピードがもう数年間で進んでいくので、なかなか人間対人間のネットワークを作っていかないと、最新の研究がしにくい状況になってきています。さきがけとかこういう仕組みは、ネットワークを作る非常によい手段だと思います。実際、日本の若手はこのネットワークの作り方がやっぱり上手じゃない方なので、さきがけとかこういう仕組みを使ってネットワークを作るというのをもっと奨励しておくとよいと感じます。

【栗原部会長】 さきがけ、CREST両方ですね。

【齊藤委員】 ええ、そうですね。
もう一つはヒューマンリソースなんですけど、少子化とかそういうのが進んでいくと、日本の科学者というのはだんだん減っていくと。その中でどうやってやっていかなければならないか。で、なかなか日本に海外の研究者がどんどん来てくれるという状況にしにくいということを考えると、今日本にいる優秀な人を最大限使っていくしかないということになる。で、実際今の世界中の仕組みは、研究力もあってよくしゃべってリーダーシップになってPIに将来なりたい人用の制度設計になっていて、でも実際はそういうことはなくて、研究力があることと、率先してやっていきたいというのは、全く別の軸なんですね。ここを両方の人材をうまく使っていく必要があって、研究力もあって引っ張っていきたい人と、研究力はあるけど引っ張っていくのはそんなに好きではない人、これをたとえばセットにして集団として効率的に研究させるというのが必要なんじゃないか。それはヨーロッパだと、ドイツが結構それに成功しているパターンだと思います。日本だとCRESTはそれが可能な制度なので、何とかこういうもので、もうちょっと集団としてサポートしていくということも可能なのではないかというふうに最近考えます。多分そうしないと、日本の科学者がだんだん少なくなっていくというこの状況では、人材をうまく使わないともたないんじゃないかと考えています。
以上です。

【栗原部会長】 ありがとうございます。やはりチーム力と、個人のそういう研究に対するアピール力と、両方をうまく最大限に使うというところがグループ研究は日本の強みだと思うので、戦略創造においてはそういうグループ研究と個人の創造性がうまく組み合わされて、最大化できるような枠組みができているのではないかと私も考えています。
先生、この前そういうような御発言でしたので、長我部先生、よろしくお願いします。

【長我部委員】 戦略的創造研究に関してはよく書かれていると思うんですけど、やっぱり一番終わりのところに経済的・社会的価値の創造に結び付けるという文言が出ていて、一番最初の方のところにも、基礎研究は市場原理に任せておいてはなかなか不確定性もあり難しいので、こういう形でやるといっているからには、やはりCRESTが終わった後といいますか、その後、その研究者とか研究チームをどうしていくのか、あるいはこれは産業界の問題なのか、非常に難しい問題だと思うんですけど、非常にいい制度であるだけに、これをどうやったら本当にその次、経済的・社会的価値まで持っていけるか、その辺に関して若干言及があってもいいのかなというふうに思いましたので、なかなか難しい問題なんですけれども、重要なところかなと思います。

【栗原部会長】 CRESTのよさというのは大体今議論されているようなところで、先生、ほかに付け加えていただくようなことはありますか。

【長我部委員】 ええとですね、やはりさきがけというのはなかなかいい制度で、確かにやっていてもマルチメンターで非常に彼らにとっても視野が広くなるんですけれども、確かにその次のネクストステップが相当苦労しているという人をたくさんお見掛けして、これは川合先生がさっきおっしゃっていたことなのかもしれないんですけど、何らかの次のステップ、テニュアトラックだけではやっぱりだめで、この間も議論が出たように、だったらボスの研究室の中に残った方がお金があってという状況は私も随分見てきているので、その辺やはり若手の次というのは何らかの制度をもうちょっと強化しないと拾い上げにくいんじゃないかなというふうに思っています。

【栗原部会長】 ほかに。黒田先生。

【黒田委員】 具体例で申しますと、私どものさきがけ「超空間制御」は3月に終わりましたが、終わってから、さきがけ研究の成果がネイチャーなどに出始めているというようなことがあって、そこでもう一段のサポートがあればというのは非常に強く思っていることでありまして、これからさらに伸びる人に対して、数は少なくてもいいですから、もう一段伸ばしてやりたいという気持ちがあります。さきがけ研究期間の3年半だけ見ていたのでは分からないことが5年後、10年後の彼らを見ると非常によく分かると考えています。人を作るという意味ではさきがけは有効ですので、是非増強を図っていただきたいと思っております。

【栗原部会長】 従来だとCRESTに応募するとかそういうようなところが王道かと思うんですけれども、余り狭いとそこが非常に難しくなるので、大くくり化ということで、かなりそういうところも、ほかにもいろいろやり方はあると思いますけれども、一つの形かなと思います。

【黒田委員】 CRESTは、逆に研究代表者がやりたいということが個人ではなくてチームを作って申請をして、それを認めていただくということですね。ですから、さきがけのように個々の研究者が交流するというよりは、チームとして伸びていくというのが基本のスタイルのように見えます。その中で、先ほど齊藤先生のお話しのように、非常にダイナミックに動いているこの時代に、5年間同じ固定チームでいいのか。研究代表者が本当にやりたいことをやる上ではチーム編成だってその5年の間に変えた方がいいんじゃないかと私は個人的には思います。

【栗原部会長】 でもそれは変えられますよね。

【黒田委員】 可能ですか。そうですか。であれば大変結構なんですけど。

【栗原部会長】 はい、変更できると。総括が認めるというか。

【黒田委員】 CRESTの場合は5年あるいは5年半ありますので、できるだけダイナミックな運用が必要かなというふうに思っております。

【栗原部会長】 どうぞ。

【大島委員】 私も2点ほどあります。1点目はCRESTで、これはチーム型ということでCRESTはうまい形で機能していると思います。最近は結構文理融合で文科系の方々も入ったような形にもなり、一方で、最近Society5.0とは別にSDGsの関係もよく言われています。そうしますと、SDGsはどちらかというと社会に向けて課題解決をどうするかということになるため、研究者とともに、先ほど出ました企業の方など、社会に近い方々もCRESTのチームとして入りやすいような形になると、更にこのCRESTが終わった後にSDGsとして社会実装の方にもつなげるようなうまい仕組みというのが出来るようになるのかなと思います。様々なバックグラウンド、学術界以外の、例えば地域の自治体の人など、そういう方も加えられるような形にすると、更に新しい意味での発展があるのではないかなと思っています。

【栗原部会長】 私が補足することでもないんですが、それは可能ですし、従来もあると思います。企業の方がメンバーに入っているのはかなり多くありますが、ただ、代表者は最近減っていると、私も同じ点が気になったので、先日、JSTの方に質問できる機会があったので伺ったんですけれども、今は企業が基礎研究に対してこういうプログラムに応募するような形で研究活動が運営されていないとのことでした。そのために企業の方が代表者になることは今はほとんどないそうです。応募は可能です。

【大島委員】 それで、多分応募は可能だと思いますが、おっしゃっているように、前に比べてやはり参加が少なくなっています。それは何らかの形で奨励しないと難しいと思います。企業の研究の底上げもやはり学術と一緒に大事だと思います。なので、多分企業の方はCRESTに関しては学術のプロジェクトと思っているので、なかなか企業の方が入れないという思いもあると思います。したがって、そこは学術でやっている共同研究なども含めて奨励する必要もあるかと思います。やはり門戸がきちんと開かれているということをもう少し広報して、いろいろと理解を深めるというのは結構大事なのかなと思います。
あと2点目は、齊藤先生もおっしゃっていたのですが、どうしても日本ですとキャリアパスとして学術界での研究者以外のキャリアパスがなかなかないということを思われている傾向があります。こちらの資料1-4の案の中にも書いてありますが、ワードとしては書かれているのですけども、もう少し研究マネジメントにある程度携われる方の育成も明記していいのかなと思います。先ほどドイツの話も出てきていますが、アメリカも含めて、結構ドイツサッカー的に、皆さん個々の能力を上げつつ、やはりチームとしてどのようにして戦略的に行っていくかという形になっています。そのときにはやはりプレーヤーとしての研究者というのはもちろん大事で、そこの底上げというのは、今はジュニアから育成しているので、そういう意味では大事ですが、やはりそれを立てて俯瞰して見られるような研究力のマネジメント能力というのが、やはり日本は少し弱いところです。研究力マネジメントができる方の養成というのも、戦略的な中でも何らかの形でプロジェクトに携わりながら、そちらにもキャリアを持っていけるようにするというのは結構大事だと思っています。
以上です。

【栗原部会長】 それは本当にそうだと思います。どういう人を発掘してくるのかということが今までも繰り返し出ているんですけど、やっぱり発掘する能力のあるマネジャーの方々を育成できれば大変望ましいんだろうなと思っています。

【観山部会長代理】 その点では、全く同感です。その人たちを高く評価する、つまりその人たちのキャリアパスみたいなものを作ってあげないと、今URAとかそういう形でだんだんシニアURAとかというのは大学の中でも育ってきていますが、もうちょっとそういう人たちに目を向けてあげないと、いけないと思います。社会的にも評価しないと、どうもプロジェクト、研究というと、研究者の方が、もちろん作り出すのは研究者なんですけども、やっぱりチームをうまく動かすためにはマネジメントというのが重要です。つまり研究者には研究ばかりさせてほかのことは余り時間を取らせないで、とにかく100%研究させるような環境を作ってあげて、一方でそれをうまく動かすようなマネジメントというのが非常に重要なのだと思います。日本のシステムというのはマネジメントするところの機能に対して評価をなかなかしてこなかったので、反省点で、非常に重要なポイントだと思いますね。

【栗原部会長】 あとは運営のよいプラクティスの蓄積と口で言うのは簡単なんですけど、どういうふうに蓄積して、どう伝承するのかというようなところもなかなか難しいのかなとも思うのですけれども、そういうのも全部データベースにするのかとなると、データベースにした方がいいような部分と、やはり言葉で伝えるべきようなことも多いと思うので、何でもデータベースでもないと思うので、そこのあたりがやはり難しいところですよね。ただ、意識してやるか、意識しないでやるかってやはり違うと思うので、できればそういうことを書いて意識した運営をしていただくことでよい形が出来てくるというのが、即効性はないかもしれないけれども、まず、今回も大くくりも申し上げているわけですけれども、ここの中では少し気を付けていただきたいようなこと、あるいは推進していただきたいことははっきりとした言葉でなるだけ具体的に書けたらいいなと思うので、後からでも御意見をいろいろ送っていただければと思います。
それであとほかにも――はい、どうぞ。

【城山委員】 多分今議論されている重要な点は、いろいろな制度の間のつなぎのような話なのかなと思うんですよね。そのさきがけとCRESTの間のつなぎでもありますし、CRESTからの社会実装というかSDGsへのつなぎをもうちょっと考えた方がいいと。そういう意味でいうと、多分今の文章でいうと、3ページ目の(3)で他の制度との関係性とか他の制度との差別化の話が書いてあって、もちろんこの戦略研究を正当化するために多分差別化も大事なんだけれども、他の制度との間の話をどうやってつないでいくのかというのも重要なので、多分こういう報告書の中のある部分はそういうことを議論することに費やしてもいいのかなというふうに思います。
そういう意味で言うと、例えば一番最後のところにAMEDの話が書いてあって、AMEDはAMEDの方で戦略目標を設定するんですよという、そういう文脈だけで書いているんですけれども、ある意味ではAMEDというのはある種の実験をやっているわけですね。つまりいろいろなところにあった研究プログラムを上流から下流まである程度一括してやるという実験をやっていて、恐らくそれにはいい面、悪い面あるんだと思うんですね。そういう意味で言うと、あえてまねをする必要は全くないんだけれども、AMEDのいい面はうまく使って、悪い面は使わないようなことを考えてもいいのかなと思います。ある種現状のシステムはかなり分散型なんだけれども、間をつなぐような形でうまく生かせないかみたいな、何か多分そういう問題意識で学習していただけることというのはあるんじゃないのかなと思うので、ちょっとそれは一つのヒントになり得るかなということですが、何かその制度間のつなぎの部分の仕組みをどう作るかという、何かそういう問題意識で少し文章があってもいいのかなという感じがいたしました。

【栗原部会長】 ありがとうございます。

【川合委員】 ちょっと今のでいいですか。私はちょっとつなぎというのとは全然違うように思っています。若手の研究室を作るということに集中して発言させていただいているのですけど、若手じゃなくても研究室を1つ立ち上げるというところにこの国は余りサポートがないですね。それはなぜ今まで必要なかったかというと、古い研究室を継いでいくというのが多分デフォルトとしてこれまであって、比較的最近、元あった研究室じゃない新しいものをスクラッチから建てるということが結構頻繁に行われるようになったと。そのときに、もうそこまで来たときにかなり資金をパイルアップしている人はスムーズに立ち上げられるんですけど、そこで若い人たちはやはりそんなに簡単にできないので、困った事例が幾つもあって、皆さん考えたあげくちょっと大きいものに巻かれる、長いものに巻かれるという方法をとられているような気がします。
齊藤先生おっしゃるように、チームの中の一員として実力を発揮して価値があるという方はもちろんいらっしゃるので、全ての研究者がそれに該当するとは思わないんですけど、多分この国で新しい研究室を立ち上げるということがちゃんとできていないために、加速度的に若い人が研究を立ち上げることが余りスムーズにいっていないというのは現実としてあるので、だから、それはつなぎというよりは、これまでのやり方を変えていったときに必然的に出てきた新しいサポートシステムだというふうに認識しています。

【城山委員】 そういう意味では、恐らくつなぎという言葉の意味を明確にしなきゃいけないと思うんですけれども、過渡期のサポートするということではなくて、まさに戦略研究みたいな話と、従来では運営費を使って継承していくという話とがあったと思うので、その間のシステムが恐らく必要だというお話で、新しい研究室を作っていくという話は、ある意味ではそういうシステム・仕組みをどう使うかということかと思います。

【川合委員】 そうですね。だから、CRESTのチームリーダーやメンバーになるためには、自立した場所になきゃいけなくて、それが担保されていないので、今までのさきがけ、それからCRESTというチーム、若手が自立できるための支援というところから自立するという一番大事なところがこの次に必要になってきたと。そうすることによって、つなぎという言い方をすれば、そうすることによってCRESTの強力なチームメンバーがそこに出てくると。

【城山委員】 だから、つなぎという意味でいうと、むしろ運営費みたいなシステムとの間にあるような仕組みを作らないとなかなか難しいということですよね、新しい研究システム、研究室を立ち上げるようなことを支援する仕組みをどう作るかということです。

【川合委員】 ええ、そうです。だから、運営費では大学によってそんなサポートは全然できない大学の方が多いので、むしろ科学技術を重要視するこういうところが個に対してスタートアップをちゃんと付けて、いろいろな大学に送り込むという制度が今必要だろうと、むしろそういう考え方です。

【栗原部会長】 齊藤先生。

【齊藤委員】 まさしくそのとおりだと思っていて、先ほどのNISTEPの資料にもありましたが、なかなか日本から新しい最初のものが作られにくくなっています。その最初のものを作ることにおいて、若い人が新規の研究室を作るというのは最大の機会の一つです。そこで長いものに巻かれるのは非常に損なことで、何とかそこはサポートしてあげたいと思う点と、あと、過去の例を見ると、せっかく巨大な資金を若手がもらったのに、先生と似たようなことをやっている例というのがまた散見されるので。
【栗原部会長】 それが多いんですよね。

【齊藤委員】 非常にこれはもったいないので、せっかく資金を出すのであれば、ここは新しいことをやるという制度が作られるとよりよいんじゃないかなと考えています。

【栗原部会長】 個人的なことですけど、私は助教授でさきがけの研究者でしたけど、終わってから教授に採用いただいて、最初に空っぽの研究室を頂いて、どういうふうにしようかと思いましたけど、5年ぐらい掛かったかもしれませんけど、科研費もあらゆる可能性のあるものを書いて、採択されたものも採択されないものもたくさんあって、CRESTにも採択を頂くのには随分時間が掛かりました。でも私は、まあそのくらいやってもいいのかなと思っているところもあるんですけど。

【川合委員】 5年間の時間が無駄だったのだと思います。

【栗原部会長】 ただ、何回もやったことで、やはり考え直したというところはすごくあると思いますので有効だった点と、ただ時間がもったいなかったと言われればそのとおりだと思いますね。だから何回も納得できなかったからチャレンジしたわけですね。

【磯谷所長】 今、申し上げたかったのは、やはり優れたPIを作り上げないといけないわけですよね。既に人材委員会なんかで発表されている話なんですけど、JSTからイギリスの人材政策についての紹介があって、若いPIには、できるだけマネジメント能力もある程度必要で、要するにそれは別に観山先生が言っていることと矛盾しないんですけれども、URAはURAでもちろんそれは必要だけど、やはりPI自身も国際的な感覚とかノウハウみたいなものを持つべきで、だからイギリスは少ない予算の中で優れたPIを作ることに注力しているというような話を聞きました。例えばさきがけを卒業したらポストさきがけがあって、そういった人たちの周りにいいチームが出来て、その人たちが国際的にもネットワークを作るというような、そういうことをこれからやらなきゃいけないのではないか。

【栗原部会長】 だけど、何か枠組みとしてはそれほどやれないわけでもないんじゃないかと。意外と個人の気持ちとか、うまく制度を活用できていないというところがあるのではないかなというところもちょっとあるので、私はあえて先ほどのような言い方をしました。

【磯谷所長】 おっしゃるとおりだと思います。ちょっと我々の政策がそういう意味ではまだ切れ切れになっているところはあると思うので、それは城山先生がおっしゃったとおりだと思います。

【齊藤委員】 僕は、どっちかというとそこはヨーロッパの中ではその政策は失敗したものだと思っていて。

【磯谷所長】 イギリスなんかはこれからやろうとしていると言っていました。

【齊藤委員】 いや、あそこは割とスタープレーヤーを作るんですよ。スタープレーヤーだけを作って、あれがやはり成功しないのは、スターだけを作ったら成功するかというとそうでもないんだなということを学んだということなんですね。

【磯谷所長】 それはそうですね。

【齊藤委員】 物すごくやっぱり裾野が必要で、かなりのスペクトルがあって初めてできることなので。

【磯谷所長】 裾野が必要なことはもちろん理解しております。

【長我部委員】 ちょうど今、文科省の委託で、デロイトに出して海外の人材育成の調査を掛けていて、それが今言ったイギリスの例とかもう一回ちゃんと調査しようということですので、よくよくそれは見た方がいいと思うんですね。
それからさきがけは、私の経験ではさきがけでやったことでベンチャーを立ち上げられた方がいて、それがなかなかいい技術で、我々はサポートしているんですけど、それはリスクマネーというお金をその人に預けて独立させた例なんですけど、これと同じように、やっぱりアカデミアじゃないとできないこともあるので、アカデミアの中にしっかりしたお金を付けて独立した研究室を作る。だからやっぱりそういうものも制度的に作っていかないと、なかなか既存の制度の中では難しい。ベンチャーマネーがこれはまた豊富にあればいいんですけど、残念ながら日本のベンチャー資金って、1989年ぐらいから、バブル崩壊からずーっとほとんど変わっていないと。そうすると、若い人たちのアイデアってどうやって生かしたらいいかというのは、よくよく考えてあげないと、みんな殺しちゃうと。アメリカのベンチャーマネーって同じ期間で一桁半伸びているんですね。それだけ若い人に思い切りやる機会が与えられている。それは日本のGDPが伸びないからいたし方ないんですけど、何らかの工夫をしないと、多分日本の若手というのはディスアドバンテージがあるように思います。

【齊藤委員】 やっぱりそこに関しては、若手は先生のまねをするという傾向は物すごくあると思うんですよ。新しいことをやって失敗したら大変だという心理だと思うんですが、やっぱりアメリカだと、もともと失敗してもいいやといって始めるのがいい成功の例だと思うんですね。そうやって新しい分野を作って、まあ失敗もあるんですけど、物すごく成長する分野を作れているということなんですよね。リスクをちゃんと取るかどうか。

【大島委員】 少し話がそれてしまいますが、若手に関してはイギリスの方とその点でお話ししたときに、例えばイギリスやアメリカもそうなのですが、財団があって、若い人でそんなに大きいお金でなくてもいいのですが、小さいお金でトライアルをするという、そういうための割と小口の機会が日本は少ないということを言っていました。ここの戦略的な話と少しそれてしまいますが、先ほど、失敗をしたときのセカンドチャンス的なものというのは、文化的に日本はなかなかないというのもあるのかと思います。ですが、やはりもう少し失敗してもいいようなチャンスを、さきがけほどでなくても、戦略的にアイデアに対してこれをインキュベートするような形での、もう少し小さい戦略的なものが若手向きにあってもいいのかなと思います。ですが一方で、それは科研もやっているので、そこの差別化などもあるのかもしれませんが、若い人にはもう少しそういうチャンスがあってもいいのかなと思います。

【栗原部会長】 でも、小さな経費だったら、科研費の若手の採択率をもっと上げるとか、基盤研究Cをもっと採択率上げるとかいうことなので。

【磯谷所長】 一応40%にはなりました。

【栗原部会長】 そうですよね。そういう意味では、ちょっと話も今の若手のところは、若手の独立が大事だということは誰も疑問の余地はないと思うので、一旦そういう結論にさせていただいて、あと残りの時間で、今回非常に基礎研究ということをアピールしている書きぶりになっているので、できれば戦略創造と科研費のアプローチの違いというのをきちっとしておけたらいいのかなと思うんですけれども、そのあたりについてはいかがでしょうか。やはり両方とも基礎研究ということで、戦略創造のよさというものを、あるいはアプローチの違いというものが科研費と対置できれば、私は実はこれは車の両輪だと思っているんですけれども、何か御意見あれば、できるだけ頂ければと。
先に御説明何かありますか。

【金子室長】 今の御議論のレポート上の書きぶりを御紹介申し上げた方がいいかなと思いまして、失礼いたします。戦略事業の位置付けに関しては(2)の2パラグラフ目で、国の定めた戦略目標の下で、これまでの科学の延長線上にない挑戦的な研究や異分野融合研究を促す側面を有しており、技術の社会受容性そのものが刻々と動的に変化する時代において、本事業の有用性は高まっているということに加えて、内在的動機に基づく根本原理の追求と、社会的・経済的価値の創造を志向するというものが戦略事業の位置付けでございまして、科研費と車の両輪として基礎研究を支えるものと整理しているものでございます。

【栗原部会長】 どうぞ。

【山本委員】 すみません、ちょっと議論がよく見えなくて、質問したいと思います。これは今、今度まとめようとしているのは、戦略創造の事業をよりよいどんな形に変えていくかというものだと。それは研究力向上改革であったり、政府で方針を出しているいろいろな研究改革のやり方を土台に考えると。それを土台にした上で、具体的に持っているさきがけやCRESTなどの個々のものを、例えば若手支援の観点であるとか、科研費との整合性との関係であるとか……。

【栗原部会長】 整合性ですね。

【山本委員】 整合性などで見直すと。そのための報告書なんだけれども、という理解でよろしいですかね。

【金子室長】 私の説明が舌足らずな面があったと思います。差し支えなければもう少しブレークダウンして書いた方がいいのかもしれませんけれども、下から2つ目のパラグラフの中で研究力向上改革2019が取りまとめられて、これをもとに所要の制度改正、施策への反映など、こういったことを通じてV字回復を図るというのが文科省の方針でございますので、これを踏まえて、山本委員がおっしゃったように個別具体の施策を充実・強化していくという文脈において、今このレポートを整理しつつあるということでございます。

【山本委員】 それに向けた報告書という意味では、ちょっとやっぱりこの報告書の書き方だと、普通の人にはこれ何ってちょっと分かりにくいと思うんですよね。今皆さん先生方の意見を聞いていると、皆さん実際に自分がとられたとか、身近な若手がどうだとかというところの実感がおありなので、その発言が具体的に出ていると思います。でも、この報告書は、これを手にとった方が、そうだよね、戦略創造大切だよね、で、どうするんだろうと、これをとったときにどっちを向くということがかなり分かりにくいというふうに感じました。なので、もう少し何かはっきりさせたものにならないかなと。少なくとも多分科学技術関係の専門記者が読んでも、私はちょっと分かりにくいと思いますし、それはまあ概算であるとか来年度の仕組みを変えるとかというためのものだから、ある程度専門的であって分かりにくい面もあるとは思います。思いますけれども、公表する報告書として、これは結局何言っているのというのはすごく分かりにくいんじゃないかなと感じました。済みません、失礼ですが、感想までです。

【栗原部会長】 そういうところは少しあると思うんですね。一つは、これで割と強く出ているのは、基礎研究は大事だというような、戦略創造が比較的どちらかというと出口寄りに最近なっていたものを、もう一度もう少し基礎的なものが大事だということをここで言いたいということがあります。そのために基礎研究をやるもう一つの大きな資源というか、もっと大きな資源なんですけども、科研費に対して戦略創造というものはどういうものかというのも視点としてあるのかなということで、先ほどちょっと問い掛けさせていただきました。で、そういう流れなので、従来のやり方に対して大くくり化ということが出ていますし、それから戦略創造全体として、先ほど私はCRESTのよさということを問い掛けさせていただいたのは、この中ではCREST、さきがけ、それぞれのよさをそういう面でもう一度アピールしたいというふうに思ったものですから、まあ若手に関しての御意見が非常に強いわけですけれども、ちょっとほかの視点からもプログラムとしてのよさを、やはりこれは戦略創造ということで書いているので、少し総合的に戦略創造プログラムのよさがアピールできたらいいだろうと。あるいは今後こういう方向に運営してほしいというメッセージが出せたらいいだろうということでこのペーパーが出来ているというふうに私は理解しているところです。
それですので、そういう意味で言えば、やはりこのプログラム全体の戦略創造というものは、ここにも書いてあることですけれども、研究の方向性を、非常に挑戦的なものを、あるいはそのときそのときに重要だと思われている課題とか、あるいは従来のナノテクノロジーとか情報で今起こっているような、こういう分野に対してより研究を振興したいというようなところの基礎研究を盛り立てていくという、そういうところを牽引するというのが科研費と非常に大きく違うところだと私自身は思っていまして、科研費は内在なんですけれども、自然に起こってくる内在的なテーマが課題でして、それに対して戦略創造の方は、その時代時代に求められていると思うようなことを戦略目標にして、内在性を呼び起こすような基礎研究、働き掛けをしているプログラムで、もちろんその中には次の若手を育成したいというような枠組みの中で、それはやはりその時代その時代を先取りするような戦略目標なので、当然次の時代を担う若手のPIとか、若手じゃなくてリーダーとして育成するERATOとか、そういうような、どれも少しやはり科学技術の牽引という視点が非常に強いと思うんですよね。そういうところを今の研究力向上という枠組みの中で、その強化をうまく総合的に科学技術の振興、私たちは振興したいわけですから、うまく表現していけたらいいのではないかというのが今回のペーパーだと思っているのですけれども。

【城山委員】 よろしいですか。ちょっと文系的な観点で見たときに、この文章の潜在的なポイントかなと思うんですけど、今お話しいただいた2ページ目というか、108の下のところで、戦略事業の対象とする研究という表現があるかと思うんですけど、そこの2行目で、要するに研究推進等により実現し得る未来社会の姿を見据えて実施される研究という言い方をしていて、つまり、社会の課題を解決しましょうという短期的なことではないですとしています。だけれども、将来の社会の姿を見据えて実施される研究、これは大きな社会課題ということもありますし、多分今おっしゃったような、将来の社会を考えてこういうところは重要だというある種の戦略分野を定めるというところもあるんだと思うんですけれども、多分ここもきちっと担保することがすごく重要なんだろうなと。結果として異分野だったり新しいことに挑戦させるんだけれども、そこだけだとおっしゃったように科研費と何が違うんだという話になりかねないので、やはりそれに対するガイダンスを与えていって、それはここの表現でいうと、未来社会の姿を見据えて実施される研究ということになります。だから、未来の社会の姿を見据えてやっているんですよということをうまく言うということが、多分この肝になってくるんじゃないのかなというふうに思います。

【栗原部会長】 ありがとうございます。ちょっと分かりにくいというのは、抽象的な表現が結構多いと思うんですね、全体に。そういうところも少し分かりにくいと。いろいろ重要ですということは書いているんだけど、具体的に、先ほどの若手のところでも、重要ですだけではちょっと言葉が足りないよねと、川合先生がおっしゃったようなところが少し全般的にあるのかなと思っています。

【天野委員】 済みません。戦略事業というのは非常によく分かりました。今どちらかというと研究者個人に対するサポートというかが中心になっていると思うんですけれども、例えば組織とか機関とかそういった部門を含めてサポートするというような形にすれば、各機関で特徴が出て、非常にうまく科研費とは一味違うというようなことができるんじゃないかなと思ったのですが。

【栗原部会長】 ありがとうございます。現在ではその機関ということだと、JSTの下にバーチャルラボラトリーというのが一つの思想だと思うんですけれども、それをもう少し何か違う形もあるのかどうかですね。

【観山部会長代理】 いや、先ほど部会長がおっしゃったことは全く同感です。多分、全部この文章にに良く書かれているのでですが、簡単には108の1番と2番の順番をひっくり返して、先ほど部会長が言われたように、ある種社会的な要請があるような問題に対してこの戦略的な研究推進事業というのが非常に重要で、その中でも今までよりは少し出口ではなくて入口の方に重点を置くという形で基礎研究ということとか、若手の支援とか、それから大くくり化というのがあるんだというような形で、ちょっと順番を変えた方がいいのかもしれませんね。初めに基礎とくると、何か良いように思います。

【栗原部会長】 そうなんですね。

【観山部会長代理】 やっぱり目的としての前提は示しておいて、その中での立ち位置みたいなものを表現すると良いかもしれません。

【川合委員】 裾野を広げる意味ですよね。

【観山部会長代理】 ええ、そういう形を示して置いた方が分かりやすいのかもしれません。山本さんが言われたような形で言うとですね。

【栗原部会長】 ありがとうございます。少しいろいろな表現として、もう少しこういうところはこういう方がというお気づきの点があれば、是非事務局の方へ、もうこの中に書き込んでいただいてもいいので、表現を頂ければと思うのですけれども、よろしくお願いします。いいですよね、それはお願いした方が。
そろそろ時間的にも今日は議論できる点は時間はこのくらいかと思うんですけれども、やはり戦略創造をもう少し大くくりな、もう少し基礎の方にきちっと立脚したものが広く採択できるような形になるということは、科学技術の研究コミュニティーにとっても非常にメリットのあることだと思いますので、是非いい表現を皆さんからインプットいただいて、これを次回一応一区切りとするということなので、時間が大変ない中、この短期間でまとめていただいて、事務局の皆さんの御尽力には大変感謝するところです。先生方の多面的な視点でアドバイスを頂けて、よりいいものが出せればと思いますので、どうぞよろしくお願いします。ということで、これについてはもう一回ありますので、そこで最終形についてはもう一度議論させていただくということでよろしくお願いできるでしょうか。御協力ありがとうございます。
それでは、最後、議題2、その他について事務局より説明をお願いいたします。

【千田専門官】 資料の一番最後、118/118、資料2を御参照ください。今、栗原部会長より御発言ありましたとおり、予備日としておりました7月31日に再度部会を開催しまして、本日頂いた意見も反映した取りまとめの案を御提示しまして、戦略事業の充実・強化に向けて更に議論を深めさせていただきたいと考えております。7月31日は本日と同じように3時から5時でこの場所で開催する予定でございます。
以上でございます。

【栗原部会長】 ありがとうございました。それでは、先ほど申し上げたとおり、本日頂いた御意見、あるいはいつをめどに御意見を送っていただいたらいいですか。

【千田専門官】 今週中あるいは週明け月曜日ぐらいまでに、改めて先生方にメールを、添付ファイルを付けて差し上げたいと思います。

【栗原部会長】 そうですね、それをメールで御依頼いただけると思いますので、是非適切なインプットをお願いいたします。次回の部会で一つの区切りとしたいと思いますので、引き続き御協力をよろしくお願いいたします。
きょうはありがとうございました。それであと、何か連絡事項がありましたらお願いします。
【千田専門官】 2点ございます。本日の会議の議事録は、準備が出来次第、先生方に御確認いただきました後、文科省のウェブサイトに掲載いたします。また、本日使用しました資料につきましては、メールでお送りいたしますほか、文科省のウェブサイトに掲載いたします。
以上です。

【栗原部会長】 では、以上をもちまして第3回の基礎研究振興部会を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

研究振興局基礎研究振興課

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