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基礎研究振興部会(第2回)議事録

1.日時

令和元年6月26日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 東館17階 研究振興局会議室

3.議題

  1. 戦略的創造研究推進事業の改革の方向性について
  2. 世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)の成果検証を踏まえた今後の方向性について
  3. 第6期科学技術基本計画に向けた検討
  4. その他

4.出席者

委員

栗原部会長、観山部会長代理、天野委員、大島委員、川合委員、黒田委員、小谷委員、齋藤委員、永井委員、山本委員

文部科学省

大臣官房審議官(研究振興局及び高等教育政策連帯担当)増子宏、研究振興局基礎研究振興課長 山下恭徳、研究振興局基礎研究振興課基礎研究推進室長 金子忠利、研究振興局基礎研究振興課 髙橋理恵、研究振興局基礎研究振興課課長補佐 岡村圭祐

オブザーバー

科学技術・学術政策研究所長 坪井裕、JST研究開発戦略センター・フェロー 山村将博、日本学術振興会世界トップレベル研究拠点(WPI)アカデミー・ディレクター 黒木登志夫

5.議事録

【栗原部会長】 それでは、ただいまから第2回の科学技術・学術審議会基礎研究振興部会を開催します。
本日の会議ですけれども、本部会運営規則に基づき、公開の扱いといたしますので、御承知おきお願いいたします。
まず事務局より、本日の出席者と資料の確認をお願いいたします。

【岡村補佐】 よろしくお願いいたします。本日は10名の委員に御出席いただいております。天野委員は情報通信機器を介した形で会議に御出席いただいております。
天野委員、お聞こえになりますか。

【天野委員】 はい、余りクリアではないんですけれども、聞くことはできます。

【岡村補佐】 できるだけハンドマイクを使い、大きく聞こえるようにお話しさせていただきます。

【天野委員】 よろしくお願いします。

【岡村補佐】 よろしくお願いいたします。
なお、城山委員、長我部委員は、本日は御欠席との御連絡を頂いております。
本日は、坪井科学技術・学術政策研究所所長、科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS)企画運営室海外動向ユニットの山村フェロー、そして世界トップレベル研究拠点(WPIの黒木)アカデミー・ディレクターにもお越しいただいております。
なお、後ほど、増子大臣官房審議官もまいります。
続きまして、配布資料の確認をさせていただきます。お手元にございますとおり、本日の会議はペーパーレスで実施させていただいております。お手元に御用意しておりますタブレット端末の画面に、本日の議事次第が映っているかと思います。こちらのPDFファイルに議事次第及び本日の資料1-1から資料4までをまとめてございます。
PDFファイルにはしおりが付されており、画面の左側に議事次第、資料名が一覧となっております。こちらから御覧いただく資料を選択できるようになっております また、参考資料につきましても、参考資料4-1から4-4までを除きまして、1つのPDFファイルにまとめております。参考資料4-1から4-4まではそれぞれ、個別のPDFファイルがフォルダに保存されておりますので、御確認いただければと思います。
タブレット端末に不具合、若しくは操作で御不明な点等ございましたら、事務局まで随時お知らせいただければと思います。
また、本日の議事次第は、紙でもお手元にお配りしておりますので、適宜御活用いただければ幸いです。
本日の議題につきましては、議題1から議題4までございまして、議題1が戦略的創造研究推進事業の改革の方向性について、議題2が世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)の成果検証を踏まえた今後の方向性について、議題3が第6期科学技術基本計画に向けた検討について、議題4がその他でございます。以上でございます。

【栗原部会長】 ありがとうございました。それでは議事に入ります。
まず議題1、戦略的創造研究推進事業の改革の方向性について、事務局より説明をお願いいたします。資料1-1及び資料1-2に基づき説明を頂いた後に、まとめて質疑時間をとりたいと思います。
資料1-1について、御説明をお願いいたします。

【金子室長】 文部科学省の金子でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
資料1-1を御覧いただければと思います。
先日、戦略事業の改革、改善に向けまして、幾つかこちらで掲げさせていただきました論点などについて御意見を頂きまして、また個別にも幾つか御意見を頂きましたので、そういったものを事務局で、大変簡単でございますけれども、現時点の論点と方向性ということで、若干整理させていただきましたので、資料1-1に基づきまして、御説明申し上げたいと思います。
資料1-1の1ページ目でございますけれども、戦略事業の意義でございますとか、特徴、強み、こういったものを最近の世の中を取り巻く状況を踏まえまして、今どのような意義があるのか、あるいは今後どのような方向を目指すべきかといったような論点でございます。
最初のポツに書いてございますけれども、科学技術イノベーションの創出の要となる基礎研究というのは、社会的・経済的価値の創造に結び付くには不確実性が高いと、市場原理に委ねるのみでは十分に取り組まれないといったことから、この推進というのは、何といっても政府の責務である。政府以外にこういったものを進めるものはいないという、政府の責務であるということは1つあるということでございます。
その際、「知」の創出の多くの部分を担うところの学術研究でございますけれども、そういったものが重要であることは当然でございますけれども、これに加えて、国が政策的に一定の目標を示すことなどによりまして、生み出された多くの「知」を社会的価値、あるいは経済的価値につなげるといったようなこと、このような戦略的基礎研究、これを推進することの重要性、こういったことが重要であるということでございます。
これまで、こういった意味合いにおきまして、戦略事業が果たしてきた役割というのは非常に大きいところでございますけれども、最近の状況、いろいろな面で、研究環境が激動しているわけでございますけれども、そういったことを踏まえましても、本事業の重要性というのは一層増大しているというのが、前回の部会における多くの意見であったということであります。
この特徴、強みでありますけれども、まず創造性、何よりも従来の延長ではない、そういった不連続に世の中が進展する中において、異端でございますとか、そういったものをも取り込んで、さらに伸ばしていくと、そういったような視点から、非常に高い意志を持って挑戦するような、そういった方々を積極的に支援するというのも一つ、非常に重要な視点ではなかろうかといった意見を頂いているところでございます。
そういったところ、次のポツでございますけれども、世の中いろいろ激動している訳でございますので、将来的な社会像、科学技術イノベーション、そういったものをより意味のあるものにしていくためにも、将来の社会システム、そういったものも合わせ考えつつ、長期的な視点からどのようなものが世の中に裨益するのか、資するのかという視点も重要ではなかろうかという御意見があったところでございます。
いずれにいたしましても、そういった状況を踏まえれば、戦略事業の強み、特徴といったものを生かしながら、事業全体を通じて機動性・柔軟性を持って運営するということが一つ重要であるという指摘を頂いたと考えているところでございます。
以下、若干小さい字で、強み、例えば、「卓越した目利き」でありますとか、「研究者間のネットワーク形成・異分野融合」、「機動性・柔軟性」といった特徴を記載しているところでございます。
次の論点、2ページ目の一番上の論点でございますけれども、新興性のある分野、あるいは融合的な分野、領域、こういったものを開拓するというような論点でございますけれども、何よりも一つ総じて大きな意見として、戦略目標、こういったものを大くくり化するということは、これまでの延長では必ずしも予想できないような、独創的な挑戦的なアイデアを拾うというような意味においても、非常に重要な意味があるのではなかろうかと考えているところでございます。
また合わせて、近年の劇的な研究の進展スピードというまさに社会システムも合わせてでございますけれども、非常にこれまでにない大きなスピード感をもって世の中が変革している中において、こういったことにも適時にやっていくためにも、戦略目標の大くくり化というのは非常に合致した方向性であるというようなことを書いてございます。
また合わせて、先般、JST-CRDSからもプレゼンテーションがございましたけれども、また本日もございますが、諸外国の例に照らしても、こういったような比較的中長期的な視点を持って、そういった比較優位にあるような分野を発掘し、伸ばすといった視点、こういったものが重要であると考えているところでございます。
他方で、国としての戦略性、政策的要求というものもございますので、そういった部分と研究者の独創性・創造性が生かせるようなバランスと、戦略目標の在り方についてはそういったバランスといったものは重要であると考えてございます。
続いて、戦略目標の策定、具体的な策定のところでございますけれども、一部繰り返しになりますけれども、最近の研究進展スピードに的確に対応していくためには、研究動向の把握の時間軸、あるいは設定の方法論、あるいは大きさ、粒度といったものについて、最前線の機動性・裁量性といったものを重視したというところが重要であろうと思います。
的確に対応するためにも、必ずしも必要ではないプロセスを可能な限り簡潔化して、研究活動の迅速化に対応する必要があると考えているところでございます。
こういったことを考えれば、戦略目標の設定に当たって、有識者に助言を頂くというのも効果的であると考えて御座います。
また、3ページ目の一番上でございますけれども、留意事項といたしまして、必ずしも短期的な視点からの社会的インパクトのみに引っ張られることがないような、そういった新しい学理の構築といったようなものとのバランスといったものも重要であろうと考えてございます。
さらには、他のファンディング・エージェンシーとの連携、情報共有の強化、様々な意見を入手する機会の設定といったものを強化するといったことも、重要であろうかと考えてございます。
3ページ目の中ほど、若手研究者のところでございますけれども、これは前回も御議論いただきましたけれども、さきがけというのは非常にいろいろな特徴があって、ここに書いてあるような特徴がございますので、個別具体の研究領域の設計、研究総括の選定でございますとか領域運営におきましても、こうした特徴と、あるいは強みといったものが一層発揮されるような配慮が求められると。
さらには各国の動向を見ましても、PIとして独立するところに、一定規模、大きな規模の支援をすることによって、真にチャレンジングな方を伸ばすというような視点も重要ではないかという御指摘を頂きましたし、さきがけなどで頭角を現わした方々を継続的に支援するというような視点も、重要ではなかろうかと考えてございます。
さらに、継続性の在り方でございますけれども、戦略目標の設定を考える際にも、終期を迎えるような戦略目標との連続性、継続性のような観点も重要ではなかろうかということでございます。
戦略事業として、一定程度の確立された領域について、他の施策への継続性といったような視点も重要ではなかろうかといったことも、一つあると考えてございます。
一部繰り返しでございますけれども、PIとして独立直後の、そういったところの支援の必要性があるのではないか。
最後から2つ目、その他の改善ということでありますけれども、研究領域の運営におきましては、研究総括でございますとか、研究領域アドバイザーの資質や考え方など、そういった運営方針によるところが大きいところがございますので、グッドプラクティスを蓄積するなどによって、そういった広がりを作っていくと、他の領域に波及させていくといったようなことも重要ではなかろうか。
さらには、提出書類、いろいろな意味で、研究に割ける時間を増やす方がいいということもございますので、可能な限り簡素化するという必要もあるのではないか。
最後、今後の方向性、全体を踏まえての今後の方向性でありますけれども、戦略事業の強みでありますとか特徴を最大限に引き出しつつ、一層充実・強化していく必要があると考えてございます。
取り急ぎ事務局で整理したものの御説明でございます。以上でございます。

【栗原部会長】 ありがとうございました。それでは続いて、科学技術振興機構の山村フェローから資料1-2について説明をお願いいたします。

【山村フェロー】 ありがとうございます。JST、CRDSの海外動向ユニットの山村でございます。それでは資料1-2に沿って、説明をいたします。
前回の第1回の部会では、海外動向ということで、主要国の政策動向についてお話しさせていただきまして、今回はよりそれを深堀りする形ということで、主にEUとアメリカにおいて、新興・融合研究をどのように推進しているかということでお話しいたします。
1ページ目に本日の説明内容をまとめております。2点ありまして、EUの研究開発フレームワーク「Horizon 2020」の事例と、米国、NSF(全米科学財団)の事例ということでお話しいたします。
次のページ、2ページ目です。まずEUの「Horizon 2020」ということですが、これは2014年から2020年までの7年間を対象とした、総予算748億ユーロのプログラムでして、欧州委員会という行政機関の研究・イノベーション総局というところが中心となって実施しているプログラムです。
この「Horizon 2020」というのは、3本の柱から構成されていまして、そのうちの第一の柱というところで、「卓越した科学」という柱が立っておりまして、ここで基礎研究を推進しています。
この中のFETs、フューチャー・エマージング・テクノロジーズというプログラムがあるんですが、ここで新興・融合研究を国際共同かつ分野横断的に推進しているということをやっています。
また、欧州研究会議、ヨーロピアン・リサーチ・カウンシルというところでは、「科学的エクセレンス」という評価基準に基づいて、新興・融合研究に資金を提供しているといったことをやってございます。
以下、このFETsとERCについて、詳しく説明していきます。
3枚目です。FETs(未来新興技術)と、これはどういったプログラムかといいますと、10年から15年先を見据えた新興・融合領域研究を分野横断的に推進するプログラムです。
目的としては、こういった分野におけるEUの優位性確保を目指すというところで、7年間で26億ユーロ、およそ3,250億円程度の予算を付けて、こういったことを実施しています。
このFETsには3つタイプがございまして、1つはトピックを特段定めずに公募を行うFET Open、2つ目があらかじめトピックを定めて公募を行うFET Proactive、3つ目がトップクラスの研究拠点形成を目的とするFET Flagshipという、3つのタイプがございます。
いずれのタイプでもEUのプログラムですので、3か国3機関以上のチームでの応募が必須となっています。これにより必然的に、国際的なプログラムが進むようになっています。
プログラムの推進については、「FETアドバイザリーグループ」という有識者集団がございまして、そこがプログラム全体について助言を行っています。
以下に3つのタイプをまとめていまして、赤で囲っているFET Proactiveが戦略事業と親和性が高いのではないかと考えています。2018年の公募トピックを主に例として挙げています。こういったトピックをあらかじめ公募時点で定めておいて、研究者がそれに応募する形を採っています。
次の4ページ目に、FET Proactiveの概要ということで、もう少し詳しい情報を載せています。2014年から2020年、Horizon 2020の期間における公募トピック、申請、採択がどれぐらいあったか、全体予算がどれぐらいついているかをまとめています。
直近の公募の2018年では、15プロジェクトが採択されています。参加機関数が135、この参加機関というのは大学ですとか研究機関、あとはこのプログラムの場合は中小企業や大企業も参加しています。1プロジェクト当たり平均すると8から9機関の大きいチームで研究を進めているということがございます。
過去の公募トピックは、こういったものが決められておりまして、この公募トピックをどのように決めたかというのをまとめたのが5ページです。
トピックの決定権限を持つのは、公募の実施主体である欧州委員会ですけれども、公募トピックの設定プロセスの一部、設計実施を担う機関を別途公募で選定しています。
2018年から2020年の公募に向けては、ドイツ・フラウンホーファー研究機構のシステム・イノベーション研究所という機関が選定されまして、大体2015年後半から2年ぐらい掛けて公募トピックを設定していくということをやってございます。
その設定に際しては、トピックが多様であるか、社会的インパクトのあるものか、あとそのトピックであったとして、科学コミュニティの大きさがきちんとあるかというところを重視して選んでいます。
そのトピックの設定プロセスを詳しくまとめているのがこの下です。細かいところもあるんですが、説明いたしますと、ステップ1でまずHorizon Scanningということで、最新の論文や過去のこのFETプログラムの採択案件の公募テーマ、ウェブでの調査、それとマニュアルスカウティングといって、学会への参加や有識者へのインタビューを通じた情報収集をやっています。これは地道に足で稼ぐような活動です。
こういったことから、科学技術トピックや社会ニーズをカバーして、エマージングトピックというのを171抽出します。
ステップ2で、このエマージングトピックに基づいて、戦略ワークショップということで、欧州委員会、企業、NGO等が参加するワークショップを3回ほど行って、トピックを絞り込んでいきます。
それと並行して、一般へのパブリックコンサルテーションということも行いまして、一般からもどういった研究が今後エマージングになっていくのかというところを公募して、その結果も踏まえて、ホットスポット候補36個というのを導き出します。
その上で、これらのトピックについて、専門家へのオンラインでのダイアログですとか、専門家を集めたトピック創出ワークショップというところを行って、ホットスポットというものを17個に絞り込みます。
先ほど御説明したFETアドバイザリーグループというのが、このホットスポットも参考にした上で、欧州委員会に15個トピック案を推薦します。そしてそれも踏まえた上で、欧州委員会が公募トピックを最終的に設定したというのが、2018から20のワークプログラムを決める時の流れでした。
ですので、やっていることとしては割と順当というか、極めて真っ当な手続なのかなというところです。
6ページ、7ページに17のホットスポットというのと、FETアドバイザリーグループによる15の推薦トピック、あとこれが実際にどのように公募トピックに結び付いていったかということをまとめております。
このようなプロセスを経て、FET Proactiveではテーマを決めているというところです。
次に8ページ目です。ERC(欧州研究会議)について御説明いたします。
ERCというのは、欧州のファンディング・エージェンシーでして、研究者のキャリアや目的に応じた5種類のグラントを提供しています。いずれのグラントも自然科学から社会科学分野まであらゆる研究が対象で、こちらについてはテーマは定めてはおりません。
融合研究を促す仕組みとして、「Synergy Grant」というものがございます。これは異なる専門分野を持つ研究者が2名から4名、チームを組んで応募をするというところでして、必然的に融合研究が推進されるようなスキームになっているところです。
このSynergy Grantにどういった課題が採択されているかというのが9ページ目でして、2018年の場合は27課題採択されておりますが、その代表として3件示しています。
一番上の課題ですと、全てドイツの研究者ですけれども、例えば一番下の課題、ヨーロッパにおけるコーラン、社会的課題であるんですが、これですと、スペイン、イタリア、イギリス、フランスといったように、国もばらばらで分野もそれぞれのアプローチも異なるということで、そういったチームを形成してやっていることが特徴的でございます。
続いてアメリカの事例に移ります。10ページです。
NSFです。もう当然、御存じの方ばかりだと思うんですが、基礎研究・学術研究活動を推進するファンディング・エージェンシーで、今年度の予算は大体、9,000億円程度です。
NSFの資金提供というのは、プログラムというのを通じで行われていまして、プログラムというのは「コア・プログラム」と「誘導的なプログラム」というものに大別できます。
コア・プログラムというのが、ボトムアップの研究支援で、学術研究動向を反映してテーマが決定されることが多いです。誘導的なプログラムは全体の二、三割程度で、コア・プログラムと比べ、より特定のテーマ、特定の目標を追求する形で決定する形が多いです。
プログラムの設定プロセスは両者とも共通していまして、アメリカ連邦政府の政策、NSFの戦略計画、あとは科学コミュニティ・学会との情報交換というのがベースになります。NSFの場合はプログラム・オフィサーという人もいて、日々新プログラムの必要性に注意を払っていて、プログラム策定に貢献しています。
そういった情報を集めながらプログラム案というのができて、NSFの承認手続を経て公募プログラムというものに至ります。
プログラムの多くは、その研究領域ごとにある部局内で完結するんですが、プログラムによっては横断的なもので各部局、複数部局が連携するものもございます。
その一例として、「未来に向けて投資すべき10のビッグアイデア」というものがございまして、それについて11ページで詳しく説明しています。
これはNSFが今後数十年を見据えて設定した研究領域とアプローチということで、2019年度から予算化されております。
全体予算、NSF全体予算の大体4%程度です。こちらについては、本当に政府の研究開発優先項目などではなく、コルドバNSF長官のリーダーシップによりNSFとして推進したい研究領域というところで特定したものです。
この中の一部の研究アイデアについては、「コンバージェンス加速支援」ということで、異分野のチーム形成と研究推進をサポートするということをやってございます。
それぞれについて詳しく説明します。12ページにまず、10のビッグアイデアの選定方法をまとめています。
こちらはNSFの各部局がまず課題を持ち寄ってアイデアを作成した上で、それぞれの部局を横断チームができて、外部の意見からも含んだ上で、アイデアに肉付けしていきます。
その際重要になるのは、将来投資すべきテーマをただ出すのではなくて、もっと投資が必要だけれども今十分にできていなく、さらなる投資によって発展させる価値があると考えられるテーマを抽出しているということがございます。
それで肉付けしたアイデアを基に実施計画の策定ですとか、実施していく上での課題が何か、解決策はないかということを検討していって、アイデアを出したというところでございます。
13ページ、コンバージェンス加速支援による異分野融合の試みということで、こちらは先ほども申し上げましたとおり、ハイリスク研究から革新的な成果を創出するため、異分野のチーム形成とそのプロジェクト推進にNSFが積極的に関与するといったことでございます。
2019年度から始まりまして、66億円程度の予算が付いています。これは国防高等研究計画局(DARPA)のマネジメントモデルを一つの参考としております。
2019年度は「データ革命」と「人間と技術のフロンティア」というところが支援領域として設定されて、こういったことをやっています。
支援プロセスということで、各領域からまずチームを形成して、そのチームからアイデアを出してもらって、そのアイデアを書面審査する。選ばれたところについては、大体1億円程度の支援を行いまして、それを基により詳細な研究を実施するというところで、フェーズ2です。
これがもし採択されれば、500万ドルという、大体5億円以上のお金が出るというところで、さらにその成果を審査して、優れた成果を創出したチームには賞金を授与するということをやって、異分野でのチーム形成を行うといったところを推進してございます。
以上、駆け足となりましたが、欧州EUとアメリカの事例を紹介させていただきました。
なお、前回の部会で、ドイツのマックスプランクにおける若手独立支援制度というところについてお話がありましたので、15ページにそのマックスプランクの制度について簡単にまとめています。
また同じドイツつながりということで、16ページにも、ドイツ研究振興協会、DFGというところが行っている若手研究者自立制度について簡単にまとめておりますので、御参考ということで見ていただければと思います。ありがとうございました。

【栗原部会長】 諸外国でも戦略的創造研究推進事業と同じような制度が非常に活発に推進されているということで、大変参考になる資料をありがとうございます。
それでは意見交換をしたいと思いますので、何か御意見・御質問等あればお願いします。

【黒田委員】 資料中に論点が7つありましたが、どういう形で議論を進められますか、ランダムに始めて良いでしょうか、あるいは1つ目の論点から進めますか、そのあたりをお願いいたします。

【栗原部会長】 特に順番は考えていませんが、時間的には1時間強ぐらいの時間で全体を議論したいと考えております。特に皆さんの、前回活発に御意見のあった部分もありますし。1つずつ順番にやっていった方がいいという御意見が非常に強ければ、そういう形で進めることもあると思いますが、結構、関係している項目も多いと思いますので、考え方等、ある程度自由に意見交換していただければと思います。
そういう方針でよろしいですね。
ではそのような形でよろしくお願いします。

【観山部会長代理】 前回はテレビで参加していたんですけれども、ほとんど議論に参加できませんでしたが、非常によく資料をまとめていただいていると思います。
その中の論点の「新興・融合領域の開拓の強化」と「戦略目標の策定のプロセス」というところに関して、先ほど山村さんからの紹介にあった欧米のやり方ですが。
私、前から気がついていましたけれども、欧米では結構時間を掛けています。それから割と、科学者の専門家が相当、何ていいますか、いろいろな分析をして目標設定をしているという印象を前から持っています。
例えば1つの例を出しますと、最近話題になったかもしれませんけれども、天文分野の成果ですが、ブラックホールの絵が出ましたよね。あの絵というのは、簡単にできる訳ではなくて、天文学と情報処理との連携が非常に重要でして、実は日本のグループでは、天文学の研究者と統計数理研究所の非常に優秀な研究者が連携した結果、できたのです。
統計処理によって画像解析というものを、アメリカでは2000年の初めぐらいから割とお金を注入してプロジェクトを立ち上げていました。
今の例は天文学に応用した訳ですけれども、画像の解析、これは医学や犯罪防止、その画像の鮮明化などということをやり始めて、日本ではその統数研の池田さんたちが中心に、科研費の新学術領域をとったのが2013年から5年間かぐらいです。大分遅れているのです。
ですから、その2000年の時に、数学とか統計学との連携をアメリカがどうしてうまくキャッチできたかということをいろいろ調べると、相当時間を掛けて、なおかつ専門家が重点配分するテーマを決めて、それが育成した結果ではないかと思います。
それは一例ですけど、我々が今まで決めていたいろいろな目標設定とか、それから融合領域のプロモーションのようなもの、ある意味で、そういう欧米の経過を相当参考にすべきではないかと思います。ただキャッチアップでは多分将来は余り見越せないので、いろいろな資料を集めていただいたものを分析して、それでその中から、日本の研究者並びに世界も巻き込んでいけるようなテーマを、相当時間を掛けて作っていくということをしないといけないかと思います。会議のみで、これがおもしろいんじゃないかということで決めていくようでは、なかなか太刀打ちできないのではないかと。
費用的にも、NSFもヨーロッパの場合でも、結構お金を掛けていますよね。つまり、状況を絞り込むのに。その準備的な投資というのはなかなか日本では難しいんですけれども、その投資をすることによって、うまいテーマを選定して人を選定してということが、相当これからやっていかないと、この厳しい競争の中で、生き残れないのではないかなということを随分思いました。前から思っているところでございます。

【小谷委員】 関連してよろしいですか。

【栗原部会長】 はい。

【小谷委員】 今、観山先生がおっしゃられたことは実は手前のところを統数研の樋口所長からお聞きしたことがございます。数学でよく知られている「訪問滞在型研究所」というスタイルの研究所があるのですが、そこで、今後宇宙に関係する観測技術をどういう方向で開発していったらいいかと議論のため、宇宙の研究者だけではなく数学者や統計学者が入って、数か月掛けて議論したと聞いています。
もう一つは、例えば今、どこの国も力を入れている量子コンピューターについて、最近NSFからその発展の方向性に関する報告書が出ています。これは専門家が読んでも読み応えがあるしっかりした内容で、しかも、きちんとプロとコンとが書かれていて、政策を政策を作る上での科学的考察がきちんと生かされた報告書になっています。
明らかに専門家が入って、しかも利益誘導ではない形でやらないとできないものです。エビデンスベースも大切ですけれども、データとして現れる前の科学の部分がしっかりないと、どうしても周回遅れという話になりがちです。

【栗原部会長】 ほかに何か御意見ありますか。

【黒田委員】 私も全く同感で、戦略目標の策定プロセスは相当慎重に、時間を掛けてやるべきだと思います。研究動向の把握ということが書かれていますが、研究動向がもう既にあるものについてやるのか、日本発、日本オリジナルの研究というのは、どのように拾い上げていけるかというのが分かりませんので、EUやNSFののやり方は、非常に魅力的に思いました。

【栗原部会長】 今の点ですけど、現在の策定プロセスは、従来の選び方だと、最初に科研費の動向がコアになっているような書きぶりですけれども、それに合わせて、最近拝見したNISTEPのかなり長期的なものを見据えた研究動向調査の参照もあるとおもいます。何年でしたか、20年ぐらい先を見てと伺っています。
そういう、将来に向かっての研究方向の、時間を掛けた調査結果もあるので、多面的に、どのようなものがあるのかというのを考えた上で、今回のいろいろな御意見があるような、研究現場からのくみ上げも大事なのではないかと思います。
今、データもいろいろな形で文科省が作っておられるので、その活用もあるのではないかと、御意見を伺いつつ思いました。
お願いします。川合先生。

【川合委員】 今までの意見、全く同感でございます。実際に私はERCの選考する方の委員会に七、八年入っていたことがあるんですけれども、そこを見ていると、日本でのプロポーザルと中身のウエイトがかなり違っていて、きちんとした研究の総説を読んでいるぐらい、30ページぐらいの分厚いものが出てきます。これは本当にサイエンスそのものです。
ですから、全ての議論が科学そのもので課題が設定され、科学そのもので議論をすると。
30ページもあるプロポーザルが30件ぐらいある中から数件選んでいくというすごい作業ですけれど、ウエイト自身がもう新しい科学をどう見るかというところに置かれていると思います。
テーマも研究動向調査というのが始まったところでもうすでに既存のものから何を選ぼうかというようになっているので、傾向はそこから読んだとしても、その先読みするときには多分動向調査という形にはできないので、何らかの形で現場の触感をきちんと入れていくことが大事になるかと思っています。
観山さんがおっしゃった最初の御指摘は非常に刺激的で、今、日本でも、そういう新しいものが出てくる訳で、誰がどこで今までないものを作ろうとしているかというのをピックアップするのは簡単ではないと思うんですけど、プロポーザルする側に対しても、かなり長いきちんとしたプロポーザルを要求すると、そのあたりからピックアップしたキーワードだけでは書けなくなりますので、もう少し深い議論ができるように思います。

【栗原部会長】 山村さんに質問ですけれど、CRDSでは、フェローの方が大勢いらして、ある程度そういうことは定期的にモニターしておられるのではないかと思うんですけど、そのあたりはどうですか。

【山村フェロー】 そうですね。おっしゃるとおり、CRDSは分野別のユニットがございまして、2年に1度、研究俯瞰報告書というのを、詳しい深堀りしたものを書いていまして、その過程では、研究者へのインタビューですとかワークショップの開催といったところを通じて、新しい研究動向を把握するということをやって、もちろん提案書も出していますので、そういった活動はやっております。
その内容はもちろん、文部科学省とも共有しながら、というところでございます。

【黒田委員】 私が追加して申し上げたいことは、動向だけではなく、、日本の科学技術として何をなすべきかという議論があって、それは研究動向がなかろうが、やるというような戦略もあるのではないかと思います。
さきほどの17のホットスポットの御参考に出されたうちの6番に「Tackling Time」とありますが、これはどこからも出てきにくいテーマです。以前、ある会議で
時間軸を意識した材料開発と申し上げたことがあるのですけど、どなたにも響かなくて終わってしまいました。EUのこのテーマの趣旨は全く違うところにあるかもしれませんが、こういうテーマがどうやったら出てくるかということを考えていただきたい。

【栗原部会長】 黒田先生、それに対して具体的な提案は何かおありですか。

【黒田委員】 それは以前文科省の若い方にお話をしましたので。

【栗原部会長】 坪井さん。

【坪井所長】 NISTEPの坪井ですが、先ほど栗原部会長から御紹介いただいたので、NISTEPで今やっている活動の一つに科学技術予測調査というのがありまして、これは5年に1回ぐらいのタームでやっているので、今現在、30年後、40年後ぐらいまでを見て、どういった技術が欲しいか、そういったものを今、702ぐらいのトピックを抽出して、したがってこれは過去の動向に必ずしも縛られないで、どういうものが欲しいか、あと、技術の上だけではなくて、将来社会がどうあるべきかというビジョンの方と両面から、バックキャストとフォーキャスト、両方からやる調査を今やっているところで、間もなくまとまりつつあります。
総合政策特別委員会など、今、分野別の委員会で順次御報告させていただいているところもありますが、必要がありましたらまたこちらでも御紹介させていただければと、ここは事務局と御相談していければと思っております。

【栗原部会長】 ありがとうございました。はい、金子さんお願いします。

【金子室長】 文科省の金子でございますけれども、戦略事業の戦略目標を策定する立場にあって、今いただいた御意見、大変貴重な御意見で、そのとおりやっていきたいという気持ちでいます。
担当している立場から、若干感じたことを申し上げますと、過去情報としての動向調査、そういったものは当然情報収集する。これまでも出来る分はやっていますし、これからも加えて強化していきたいということ。
さらに今、坪井所長からございましたが、NISTEPやJST-CRDSなど、そういった予測調査、あるいはそういった将来に向かってどのようにやっていくのかというのも、先ほど論点の中でも若干触れましたですけれども、将来社会像を見据えつつ、予測しつつ、可能な限り我が国が強みを発揮できるような部分も併せて考えていきたいという気持ちでございます。
我が国にもCRDSはじめ、様々なシンクタンクがございますので、我が省のみならずNEDOのシンクタンクがございますので、そういったところも情報を併せて入手しながら、よりやっていくという方向で、気持ちとしてはございますので、可能な限りすぐにでも取り込める部分は取り込んでいくように考えてございます。

【栗原部会長】 観山先生の言われた、何をなすべきかというキーワードをもう少し大事にしてくださいという御意見だと思いますので、よろしくお願いします。どうぞ。

【大島委員】 今まで出てきたことに、全く私も同感です。
山村さんに質問させていただきたいんですけれども、動向調査も含めて、そのビジョンとしていろいろな形で、フレームワークを作るというのは非常に大事だと思うんですけれども、比較的EUが成功しているのは、若手も含めてそこに適した人材がうまく、何ていうんですか、集結しているような感じがするんです。
それはなかなか、日本もそういう方向に行っているんですけど、まだもう一歩なのかなという感じがするんです。
そういう、ヨーロッパがうまくいっている、多分課題もあると思うんです、全てがうまくいっている訳ではないと思うんですけれども、そこはどういう、長年の過程も含めて、こういう形になったのかというのを教えていただけると、参考になるかなと思いました。

【山村フェロー】 ありがとうございます。そうですね、EUの場合は、加盟国が独自の政策を持って、かつEUはそれに上乗せ、補完する形でやっているということがございまして、人材の結集というところでは、資料の2ページのHorizon 2020のところを見ていただきたいんですけれども、第一の柱のERC、FETsの下に、マリーキュリーアクションという人材プログラムがございます。
これはEU加盟国の中での人材交流を目的としていて、これはもうかなり、Horizon 2020以前から歴史のあるプログラムで、これで若手をドイツからフランスに送り込んだり、フランスからイギリスに送り込んだりというところで、若いうちから交流をやる仕組みが結構ある。
そういったものに基づいて、先ほどのERCやFETsのチーム型研究に応募する動きが結構見られますので、そういったプログラムを通じてやっていることが一つあると思います。
あとEUの場合は、日本と比べて地理的な、国境を超えるというところに、そこまでの負担がないと思うので、こういった若い頃から留学したりして、培った人脈をうまいこと生かして応募していくということがあるのではないかと思います。
もちろん課題としては、EUの中でもフランスやドイツなどはかなり優れていますけれども、新しくEUに加盟したポーランドやルーマニアなど、そういったところは余り資金がもらえていないというところがあるので、加盟国の格差というところでは、予算配分などいろいろと問題はあるんですけれども、国際性というところではかなりうまいことやっているのではないかという印象を持っております。

【栗原部会長】 ありがとうございました。はい。

【観山部会長代理】 関連して、ヨーロッパの選考や、アメリカもそうですけれども、今言われた、何といいますか、ある種、国際性というか、別の言葉で文化の違う研究者が集まって同じことをやるというのは極めて重要です。
先ほどのこの論点というところに余り書かれていないのですけれども、どうしても日本人には非常に勤勉で優秀な人がたくさんいるんだけれども、割と文化的には同じ方向性を向いている。
クリエイティブな新しいものというのは、何か非常に違う考えが一緒に集まって何かやるということが重要で、EUはそもそも、我々からいうとイギリス人でもフランス人でもドイツ人でも同じようだと思うかもしれないけれども、中身ぜんぜん違いますよね。
マインドというか文化というのは違いますし、それからアメリカはもともと、余り人種には限らずに引っ張ってくる国なので、そういう観点も一つ、重要かと思いました。
あとでWPIのことも出てくるので、そこでも言いたいと思います。
もう一つは、これは質問ですが、EUのFET Proactiveのテーマ選定の方法というところで、枠組みは書かれているんですが、これはどういう人が参加しているんですか。
というのはつまり、相当な労力を掛けていますよね。実際にこのフラウンホーファーのシステム・イノベーション研究所が選定されてそれがリーダーシップをとったということですが、どういう人が、つまり、この選定は相当重要で、なおかつ科学者が非常に集まって、先ほどから言うような膨大な資料というか報告書を作って、それでその結果、最終的に、これはアドバイザリーボードが決めるんでしょうけれども、そこを実際に活動しているという人はどういう人ですか。
【山村フェロー】 このシステム・イノベーション研究所の人というのはまずそもそも、専門性の高い研究者がたくさんいて、Horizon Scanningというのをやったり、ワークショップを運営したりということをやっています。
あとは、3番のオンラインアセスメントですと、外部の専門家、その特定の分野の専門家を集めてワークショップを開催するということをやっているので、おっしゃるとおり、専門家が入りながらやっているというのは間違いなくございます。
あと、ワークショップですと、企業の人、あと行政側の欧州委員会も入っていますので、まさに産官学含めてやっているというのが実際のところでございます。
【観山部会長代理】 皆さん御存じのとおり、NSFは相当科学者が中に入って、行政サイドでプログラム・オフィサー的な人もいます。NSFでレベルの高い人がまた大学に帰っていくなどという交流もあります。相当の科学者がある意味で非常に労力を掛けて報告書を作っているということがある訳ですよね。

【山村フェロー】 はい、そのとおりです。

【観山部会長代理】 ありがとうございます。

【栗原部会長】 それでは、齊藤先生。

【齊藤委員】 ヨーロッパやアメリカと比較する際に、境界条件の差というのはかなりあると思っていて、アメリカの制度設計としては基本的には諸外国からアメリカに住み替えてくる人もいっぱいいるということで、そもそも新しいことをやってやろうというマインドセットを持った人がかなり多い。その中でしっかりと新しいものも作られるし、成長してきたものもそこから育てていくと。
日本の場合はそもそも、そういうマインドセットがないところなので、そこをばんと目標を余りにも明確に定めてしまうと、逆に若手が余り新規なことをしたくないという雰囲気がだんだん作られてしまう。
それは、その流れに沿った方が安定で楽に研究していけるので、わざわざ新規なことをしなくてもいいという考えにだんだんなっていく。
基本的に、シードを作っていく領域と、そこから成長させていく戦略というのは全く別にするべきだと思う。例えば量子コンピューターなどのようなものはこういう戦略ではなかなか作れないところで、その最初のステージを作ると。
ここに勝っていくには、できるだけ広いものも作っておくことが必要で、ここは重要だと狭く言ってしまうと、若者にスポイルされるという問題も、日本はあると思うんです。アメリカ、ドイツではない問題なのではないか。
ドイツも基本的に東ヨーロッパからたくさん人が入ってきて、研究室の中には必ずそういう人がいる仕組みになっています。そこが日本ならではの問題点かと感じています。

【栗原部会長】 今のような課題だと、今回、大くくりということをかなり課題について言っているので、そういう中で斬新な提案をなるべく汲み上げていくというようなことが具体的にはやれることということですね。
どうぞ。

【永井委員】 今の齊藤先生の発言に納得するのですが、実はJSTのCRDSのフェローとしていまして、テーマの検討をしております。
こうした戦略目標を立てるときに強調されるのは、日本の強み、なぜ今か、リーダーはいるかということです。そうするとある程度既存で動いているものでないと、なかなか採択され難い。
全く新しくて、遅れているからとか必要だからというのは、実はテーマに採択されにくいのです。多分、違うカテゴリーにしておかないと、そこが拾われないだろうと思います。
確かに、遅れているからとか、必要だからといっても、そうした課題はいくらでもありますし、また研究者がいないと、研究費が付いても動かないことも事実です。そうすると、層を厚くする必要があり、日本の研究コミュニティの国際性や、必要な人を連れてくるぐらいのつもりでないといけない。
それから、焦点を絞るとたこつぼ化する傾向があります。これは日本の特性だと思います。多少幅広いテーマを設定して、目的も達成するけれども研究者に自由を与えるというような、そういう仕組みを作らないと、ややもすると仲間だけが集まってしまう懸念があります。
ただ、幅広く自由を与えるには、総括に依存します。そういう技量のある総括でないと、幾らよい舞台を設定しても仲間だけが集まる。そういう日本の特性を考慮して、全く斬新なことをするカテゴリーがあってもよいだろうと思います。なおWPIはそういう意図で運営されていると思います。以上です。

【栗原部会長】 ありがとうございます。
では山本さんから。

【山本委員】 我が国の強みを生かすことについて、強みを生かすテーマを選びたいということについて、どなたかに教えていただきたいということで質問します。
量子が今、ホットで、これは日本が世界に先んじることができる分野と取材で耳にしました。それは多分、同じはやりものでも、AIやライフ、分野によって、ライフの中にもよるんだとは思うんですけれども、なかなかアメリカなどに対して先んじるのは難しいと伺っています。
量子が日本で割と今、いけるというのは、どんな点で、それはなぜなのかということを、どなたかヒントを頂けないでしょうか。そうすると、日本の強みを生かすというのはこういうことだというのが理解できますので。

【栗原部会長】 それはどなたからお答えいただける……。齊藤さん。

【齊藤委員】 量子といっても、非常に幅広いので、全てが日本が優位という訳ではないと思うんですけれども、量子の中で、幾つかは日本がシードを作ったというものもある。
あと、日本に世界をリードしている科学者がいる。かつ、そのうちの何個かは集積度があるということで、世界に勝てる要素を持っている領域が何個かあるということです。

【小谷委員】 実用的なゲート型量子コンピューターを作るには、まだまだ幾つかのブレークスルーが必要で、どのように実現するかが見えているところはどこにもないという段階です。そのため、ハード面でもそれぞれの国が強みを絞って、そこに投資するということで、勝てる可能性があると考えられています。
一方で、そのための基礎理論になる部分は、多様な投資をしておくことが必要です。理論面では現在絞り込むよりはハードがどのように実現しても対応可能な土壌を作っておく、若しくは人材育成が必要です。日本の量子戦略はそこが上手に描けて描けていると思います。
ハード面とソフト面と大分、投資の仕方は違うので、そこがきちんと考えられています。

【栗原部会長】 ありがとうございました。割と身近なところで見ていらっしゃるお二方からコメントを頂きました。
では次、川合先生。

【川合委員】 今のと別のところでいいですか。

【栗原部会長】 はい。

【川合委員】 私は今、資料の1-2、山村さんから説明していただいた時に、7ページを見てはっと思ったんですけれど、アドバイザリーグループが推薦するトピックという左側に書かれているのが最初に出てくるトピックスですよね。それに対して実際の公募するトピックスを見ると、すごく広く、しかもジェネラルなところに広げられるように、自分たちの思い付いたところの範囲を超えられるように実際の公募トピックスが設定されている。これは日本と逆向きです、多分。
このように広めにとることで、想定していなかったものもアプライできるという、その自由度が担保されているように、これを見て思いました。
この精神は実際に選ぶ側の委員として働いていた時も、これは合っているかなど、そういう議論は余り厳しくしないんですね。中身がいいかとか、新しいものが出てくるかという話は大分しますけれど、設定トピックスと合っているかという議論は余りシリアスにした記憶がないので、何かそのあたりが一つキーなのかなと思って見ていました。
それから先ほど若手の独立、私がぎゃーぎゃー言ったので、きちんと調べていただきました。ありがとうございます。
これがかなり重要なのは、マリーキュリーのところまでは、どこかのところにいる人を支援するという程度の、だからさきがけ的な感じで、みんなが盛り上げて、この人たちがこれからの若い人よねという、認定されるという意味があります。スカラシップに毛が生えたような感じです。
だけど、独立するための、若手の独立のためのマックスプランクとヘルムホルツがやっているこの2つのプログラムというのは、実は日本人で30代でドイツに行って活躍している若手などもみんなもらっているんですね。最近日本に帰ってくる人の中で、これあって助かったぜって話を聞いて、分け隔てなくいい人をピックアップしているなという感じがします。
それで、どのくらいの人数が今、これの下で独立して、新しい先導的なPIになるプロセスを歩んでいるかというのを見ると、かなりな数ではないかなという気がします。
マックスプランクの方も年間10名といいますけど、これ、五、六年から十年近く動かすことができるので、もう始めて確か、六、七年経っているのではないかと思うんですが、そのくらいの人が、ですから40代ぐらいのところまでの自立したPIがもうかなり育っていると。
それからヘルムホルツの方はもっと人数が多いので、多分今、200名ぐらいがこれで動いていると聞いた記憶があるんですけれども、それくらいの人たちをサポートして自立させていると。
そうすると、例えば日本に当てはめてみると、大きい研究室の下にいる人たちが独立するときにはかなりの勇気が必要で、それはどういう勇気かというと、先生の配下から云々というのではなくて、自立したときにどれだけエクイップトされた研究室を持てるかと。それを考えると、自立しないでこのまま、大先生の下で装置を使った方がいいと思っている人もたくさんいるはずで、そういう人たちに自立の機会を与えると。
共同研究は自立した研究室同士で共同研究できる訳ですから、何か日本にはこういう考え方が足りないかなと思います。アドバイスですね。
みんな、上から目線とは言わないけれども、経験をきちんと共有するという考え方で、アドバイザーを置いたり総括を置いたりするんですけど、自立させることを考えると、アドバイスはそろそろいいのかと少し思うので、こういうプログラムが日本にあるといいなと思います。

【栗原部会長】 ありがとうございました。

【黒田委員】 川合先生の前半のところとつながっていくんですけど、ここに戦略目標の大くくり化が書かれておりますけれども、これは本当に大賛成です。
戦略目標がだんだん長くなって、キーワードが増えれば増えるほど、研究の自由度が減ってしまいますので、是非昔のような簡単な戦略目標で、幅広く募集、応募ができるようにしていただきたいと、非常に強く思っております。
例えば山中先生のiPS細胞も、今は日本の強みですけれども、最初は2001年の先進医療の実現を目指した先端的基盤技術の探索・創出という、先進医療だったら何でも応募できる、こういう中から生まれたものだと思うんですね。
それが新たに日本の強みになった訳で、それは岸本先生という素晴らしい研究総括がのもとで、研究計画が採択されたからこそだと思うんです。
こういうサクセスストーリーがたくさん出るような形で、是非やっていただきたいと思います。もう一つ、CRESTとさきがけは常に同じ戦略目標の中でセットでやらなければならないかどうかも検討に値すると思います。
さきがけのコストパフォーマンスのよさといいますか、1人3,000万から4,000万、それで三十数名がやる中で、トータル5年半で15億ぐらい使う訳ですけれども、そこで出てくる論文数、あるいは論文の質、あるいは融合研究の進み方、海外との連携の進み方等を見てみますと、非常に有効です。
さきがけとしての戦略目標と、チームでやらなければいけないCRESTがふさわしい戦略目標と、違う部分があるかと思います。そのあたりに関しても御検討いただけると大変あり難く思います。
同時に、さきがけはの数を是非増やしていただきたい。今年さきがけの数を増やしていただけてて本当に素晴らしいことだと思いましたが、さらに増やしていただければ大変あり難いと思っております。

【栗原部会長】 ありがとうございました。非常に具体的な提案を頂きました。
大くくり化ということに関しては、過去のテーマを拝見すると、かなり戦略目標に対して研究領域の方が工夫されている例も非常にあるので、いろいろJSTの皆さんが御尽力いただいているところも大きいというように拝見しています。
きょうの議論では、大くくり化というのは皆さん賛成で、余り細かいテーマでやりすぎると思いがけない提案が出てきにくい、あるいは採択しにくいことになると思うので、そのあたりがまた今の黒田先生の御意見は、さきがけで幅広い若い人たちから提案をもらうには、少し、さらに違う設定もあるのではないかという御意見で伺いました。
ほかに何かありますか。

【大島委員】 ありがとうございます。今の議論とも関連しているんですけれども、この資料の1-1の3ページの上にある最初のポツです。これは論点の戦略目標の策定プロセスのところの3番目です。
3ページの一番上のポツですけれども、「社会的・経済的価値の創出と新しい学理の構築の両面が本事業の意義である」ということが書いてあるんですけれども、これは、何というんですかね、2つの分野、なかなかアプローチとして違うと思うんです。新しい知の創出と、それを社会的・経済的価値に転換するというのが。
何が言いたいかというと、先ほどから出ていますように、是非、余り狭い中でのプロジェクトというかそういうのではなくて、幅広くしていただきたいということと、あとは先ほど永井先生もおっしゃっていたんですけれども、リーダーがいるのかというのは非常に大事だと思うんです。
この2つの新しい学理の構築と、社会的・経済的価値の創出というのは違う分野だと思うので、そういう方のリーダーがきちんとチームとして構築して、これを戦略目標をきちんとエグゼキューションできるという、そういう場というのを多分どうやって構築するかというのが、新しい戦略目標の策定プロセスとしては。
多分今までは、新しい知の構築と社会的・経済価値ばらばらだったと思うんですね。なので、それを1つのプロジェクトとしてどうやって行っていくかというのが、今後大事なことでもありますので、そこをビジョンとともに、どのように人を構築していて、そこにどうやって若手を巻き込んでいくかということかと思います。
先ほどCRESTやさきがけという話も出てきましたので、そことうまくリンクしながら、こういうことを是非やっていただきたいと思っております。よろしくお願いします。

【栗原部会長】 ありがとうございました。
天野先生、何か御意見ございますか。是非お願いします。

【天野委員】 はい。

【栗原部会長】 何か御意見おありですか。

【天野委員】 途中から切れてしまって、全てフォローしている訳ではないんですけれども、御意見は非常に、まさにそのとおりだと思いました。
特に、戦略的目標ということで、どのようにその目標を集めるかという点から、非常に難しさもありますし、まずは分析が必要ですけれども、特に若手のチャレンジングなテーマをどうやって集めるかということでは、先生方の御意見、非常によく理解できました。
あと、1点気になったのは、世界的な戦略というか、世界的な規模の、地球的な規模の問題に対して、我が国がどのようにその解決に貢献していくかというようなテーマ設定を考えると、日本の中だけでは限界がありますので、世界のネットワークというか、社会の人たちから、どのように人の目標を集めるかという点を考えてもいいのかなと。

【栗原部会長】 ありがとうございました。

【天野委員】 すいません、途中で切れてしまったので。

【栗原部会長】 ありがとうございました。特に、世界的な戦略という、我が国がどう貢献するか、あるいは研究動向どうつかんで、日本の中でも遅れないようにというよりむしろ先んじでやっていくのかというのは、先ほどから出た、やるべきことをどう見付けていくのかというところにも通じますけれども、そのときに世界が相手ですから、そういうところも大事だという御指摘、ありがとうございました。

【齊藤委員】 ヨーロッパの制度で一つ日本にはないと思うのは、日本の場合、研究者というのはこうあるべきだというのがルート一つに固定されてしまっている。実際、有名なグループの中で、重要なアイデアを出した人は、必ずしもその研究グループリーダーではなくて、そのグループの誰か。それで、そのグループの誰かというのは、必ずしも将来PIになりたい訳ではない人もいっぱいいる。そういう人でも幸せに活躍できる仕組みが重要。
日本の場合は、全員がPIになりたいだろうという設定で制度を作るので、非常にきつきつの制度になっていて、僕の研究室から10人ぐらいのドクターを出していますけど、PIになりたい人が多分7人ぐらいで、3人は僕はもう基礎研究をずっとやりたいと本当は思っている。
そういう人でもすごいアイデアを出すので、余り制度としてもシャープにしすぎると、そういう人を救わない。本当に日本に貢献してくれる人は必ずしもPIになって、招待講演をたくさんして、こういうところ、こういう中できちんとやっていける人だけではない。
様々な人材が活躍できるような仕組みも重要なのではないかと考えています。

【栗原部会長】 ありがとうございます。
制度を考える上では、重要な視点ではないかと思います。ありがとうございます。

【齊藤委員】 CRESTとか多分、そのレイヤーで重要になると。

【栗原部会長】 CRESTも、私は初期の頃のERATOに参加しているので、非常に多様な人材がERATOのシステムを経由して、企業から大学など、あるいはなるつもりでなかった人たちがPIになっていったなど、研究に対してのいろいろな向き合い方が、そういうところで変わってきたようなこともみております。
CRESTやERATOにおいては、人材に活躍していただくいろいろな機会があるんだということを、むしろ代表を務める方々に意識してやっていただけるといいのかなと思って、今の御意見、大変私も同感です。
はい。

【小谷委員】 今のCRESTは、主たる共同研究者は海外においても研究できますが、プロジェクトリーダーも海外でも良いのでしょうか。

【金子室長】 研究代表者は国内に所在していることが条件ですが、主たる共同研究者は海外でも認められます。

【小谷委員】 研究代表者は、国内に所在している必要があるからということですか。

【金子室長】 はい。また、ご案内のとおり、さきがけの場合は海外に所在する者も認められています。

【栗原部会長】 それでは、そろそろ次の議題に移りたいと思います。
続いて議題2、世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)の成果検証を踏まえた今後の方向性についての議題に移ります。
まず資料2について事務局から説明をお願いします。

【岡村補佐】 資料3……。
皆様お手元に、WPI、世界トップレベル研究拠点プログラムのパンフレットの最新版を配布させていただきました。こちらの32ページと33ページに、全体の概要を見開きでお示ししてございます。
WPIは2007年にスタートしておりまして、最近では2017年と2018年に2拠点ずつ採択しておりますので、事業開始からは13年目のこれまでに計13拠点が採択されてきたところでございます。
資料としては資料2を基に御説明させていただきます。
まず1ページ目でございますけれども、WPIはこれまで世界最高水準の研究成果の導出についても、また大学における研究システム改革の面におきましても、我が国を先導する様々な成果を挙げてきたという一定の評価を頂いているところです。
こうしたWPI事業の着実な進展を支えてきた要因の最たるものとして考えておりますののが、単純に論文関係の指標ですとか、そういったものだけによる評価に偏ることなく、プログラム委員会というものがございまして、こちらで毎年度のサイトビジットなども通じまして、非常にきめ細かなフォローアップをやっておりますが、こうした取組に基づくexpert judgementが極めて有効に働いてきたことが挙げられると考えております。
本部会の委員の皆様方にも、様々な形で、このWPIの推進に御尽力を賜ってきたところでございます。
他方で、様々な課題に直面していることも事実でして、これまで長大な投資がなされてきたところですので、これまでの政策効果の検証、そしてその成果の見える化などを通じて、先ほど申し上げたexpert judgementの確かな裏付けともしていくとともに、今後の在り方や取り組み方などをしっかり考えていく必要があるという問題意識に立ちまして、今般JSPSとも共同で、こうした成果検証というものを実施した次第でございます。
WPIには、事業立ち上げ時に掲げました4つのミッションがございます。トップ・サイエンスの導出、分野融合研究の推進、研究環境の国際化、そして研究システム改革、それぞれの観点につきまして、現時点で可能ないろいろな手法、定性的あるいは定量的な手法に基づきまして、昨今科学技術行政の様々な場面で求められておりますEBPM (Evidence-Based Policy Making)を念頭に置いた成果検証を試行的に行いましたので、そこから浮かび上がる政策的な示唆などについて、是非委員の皆様方に御議論いただければと思っております。
2ページ目を御覧ください。まずサイエンスの点でございます。
まず、図1-2、右側のグラフを御覧いただきますと、これは東京大学のWPI拠点で、2007年度に採択された最初の5拠点のうちの1つであります、Kavli IPMUに関する実績でございます。
縦軸でリサーチ・インパクトという言葉を使っておりますが、これは、各年に各拠点から、この場合、Kavli IPMUからですが、そこで輩出された全論文が発表された媒体、ジャーナルですが、そのインパクト・ファクターを全て足し上げたものになります。
インパクト・ファクターというのをこうした形で使うことはあまりないかもしれませんが、ここでの意味合いと申しますのは、世界のトップジャーナルの限られた紙面を世界中の研究者たちが競争して獲り合うという中にあって、大まかに、よりインパクト・ファクターの高いジャーナルに、より多く載れば、世界からより見えるようになるという意味での、visibility、あるいは競争力といったもののproxyとして、一定の意味があるものと考えて採用しております。この赤いグラフと一緒に、他の5つの海外拠点、これはベンチマーク拠点と呼んでおりますけれども、スタンフォード、マックスプランク、プリンストン、こういった、WPI拠点ごとにその拠点にとっての世界的な研究拠点と目すべきベンチマーク拠点を設定しており、それとの相対的な関係でどのように浮かび上がってきたか、より世界から見える立ち位置に浮上してきたか、そういったものが読み取れる資料になっているかと思います。
これらのベンチマーク拠点5つを平均化した上で、その平均値に比して、その当該WPI拠点が何倍のリサーチ・インパクトを示しているかを計算することができます。それを2007年に採択された5つの拠点についてそれぞれ行い、その5拠点について相対リサーチ・インパクトの平均値をとったものが、左のグラフ、図1-1でございます。ですからこれは、最初に採択した5拠点の平均像とも言えます。それが世界のトップレベル研究拠点に比してどのような存在感を示しているかを示したものですが、この「1」というラインが、その世界レベルと目する水準を示しているものでございます。補助金支援期間中と支援期間後とで色を変えていますが、最後の方少し、下降傾向でございます。しかしながら、ベンチマークよりはまだ上であることも読み取れるかと思います。今後も状況をしっかりフォローしてまいりたいと思っております。
次のページを御覧ください。3ページ目です。
こちらも同じくトップ・サイエンスに関するものですけれども、今のようにインパクト・ファクターを全て足し上げて平均化してしまうと見落としてしまう強みや傾向といったものもございますので、こちらは、インパクト・ファクターを今度は横軸にとって、インパクト・ファクターの値ごとにばらして、拠点毎に輩出された論文のインパクト・ファクターがどのような分布を持っているかというものを示したグラフです。
これは物材機構のWPI拠点、MANAについてのグラフを示しておりますが、例えばここから読み取れますのは、比較的インパクト・ファクターの低いジャーナルへの掲載傾向と比較的高い方とを比べますと、ベンチマーク機関と比べて、よりインパクト・ファクターの高い側に論文分布のプロファイルが寄っている傾向が読み取れるかと思います。インパクト・ファクターが40などとあるところは、Nature、Scienceといったジャーナルです。こちらはベンチマーク機関とも同程度かと思います。
右側のグラフは「Top 10%論文」についてです。これは様々な場面で研究のパフォーマンスを測る指標として使われているもので、当然その意味や解釈などには十分な注意が必要なものですが、政府目標として掲げられているものでもありますので、こうしてお示ししております。
これも2007年度に採択された最初の5拠点についての総和という形でお示しさせていただいています。日本平均については、全論文に占めるTop 10%論文の割合が、2013年から2015年の平均で8.5%となっております。今国全体としては10%を目指しているものです。最初に採択した5つのWPI拠点は、多少上下する傾向は見てとれますけれども、それよりは十分に上の高水準で推移していると言えると思います。ただ、これは被引用回数ですので、十分な年数が経過した上でないと評価の定まらないところもある点には留意が必要かと思います。いずれにしろ、こちらについても引き続きフォローしていきたいと思っております。
次の4ページ目を御覧ください。こちら、なかなか見方の容易でないところもあるのですが、どういった分野の研究、あるいは分野融合の研究がWPI拠点から生み出されているかというのを視覚化したものです。
外側で円環状に8つの分野を並べてございまして、この8つはNISTEPでも使われている8分野の分類ですけれども、その分野に近いところにあるピークほど、その分野に近い論文、正確にはリサーチ・フロントと呼ばれるもの、という形で解釈いただければと思います。
これも論文の被引用回数ベースの指標によっておりまして、リサーチ・フロント毎に、各分野で平均的に引用される回数に比して、その何倍引用されているかという高さに応じて、これをヒートマップ形式で示したものです。
これはNISTEPのサイエンスマップのデータを基にしておりまして、したがって、Top 1%論文を基に作っておりますので、各拠点から輩出された論文成果が全てここに表示されている訳ではございません。各拠点から輩出された論文のうち、リサーチ・フロントの形成に貢献したものについて、そのリサーチ・フロントがこのマップ上のどこに位置するかというのを示したものでございます。
これを御覧いただくと、discipline毎で際立った成果を挙げているところもあれば、分野融合的な形でも様々な研究領域の横断的な開拓、様々な拠点が様々な分野を横断的に開拓しているということが読み取れるのではないかと思います。2009年から2014年と、2011年から2016年の、二時期にわたってお示ししておりますけれども、いずれもそういった傾向が読み取れるかと思います。
続いて5ページ目を御覧ください。こちらも分野融合の観点でございまして、4つの拠点の例を示しておりますけれども、一つの拠点に様々な研究者がいて、様々な研究の出口を持っている、そういった多彩な分野の研究環境が実現されているということが読み取れるかと思います。
東北大学と物材機構、そして九州大学と東工大のケースを書いておりますが、いずれもいろいろな出口、Multi-disciplinaryな出口、ジャーナルですけれど、で存在感を示しているということが言えるかと思います。
6ページ目と7ページ目を御覧ください。こちらは分野融合の中でも特に事例ベースでの成果でございます。
WPIプログラムが他と比べて一つ特色がございますのは、under-one-roofという考え方でございますけれども、一つの建物、一つの集積したエリアの中に、様々な分野の研究者が日常的に行き交うような、そういった環境を仕掛けとして実現しているというところでございます。
具体的な事例として、4つお示ししております。個々の事例の説明は割愛させていただきますけれども、いずれも異分野の研究者が協働して画期的な成果を挙げている。その際に、こういった、under-one-roofという仕掛けが有効に機能している、作用しているということが言えるかと思います。東大のKavli IPMUの例で申しますと、天文学者と数学者と物理学者、あるいは次のページの名古屋大のITbMの例で申しますと、化学者と植物学者ですとか、そういったいろいろな分野の研究者が積極的に接点を持って、分野の壁を越えて緊密に連携するための仕掛けが事業の中にビルトインされていることが、このような成果として現れているものと評価しております。
8ページ目を御覧ください。国際化に関する状況ですけれども、左側に論文の成果、右側には研究者に関する成果がございます。
まず左側の論文成果、これは2007年の当初採択5拠点についてのデータですが、補助金支援期間の終了後も含めて、国際共著の論文の割合も、そして国際共著論文数も、いずれも上昇していることが読み取れます。
日本全体で見たときの国際共著論文割合の平均が、2007年で20.5%、これはちょうどWPI事業が始まった時ですが、それが2016年には26.9%まで上がっていることを見ますと、WPI事業を通じた取組の成果も何らかの直接あるいは間接的な形で、全体の底上げに貢献していると言えるのではないかと思います。
右側の外国人研究者の割合と数数ですが、もともとWPI事業の公募要領において30%以上は外国人研究者であることを要件として求めておりますので、当然それは達成している訳ですが、こちらは、立ち上がって数年経過した頃から、割合、そして量ともに下降傾向にあることが読み取れます。こちらも、引き続きどういった形でこれをキープしていけるかということも含めて、今後の課題として受け止めております。
9ページ目を御覧ください。先ほど、国際共著論文の割合ということを御説明差し上げましたが、具体的に、国際共著論文の相手国を御覧いただきますと、2007年度から3つの期間に分けてお示ししておりますが、相手国の数もそうですし、バラエティーもそうですし、拡大してきております。特にこの欧州の割合が多いというのも一つの特徴として言えるのではないかと思っております。
こういった論文という形だけではなく、右側にお示ししておりますけれども、物理的な人の行き来、これはポスドクの例としてお示ししておりますが、様々な国からポスドクの行き来がございます。国旗の大きさは転入元のポスドク数に応じてお示ししており、特に米中の存在感が大きいですが、いずれにしろ、様々な国から研究者が行き来しているという、物理的な行き来も含めて、頭脳循環が進展しているというところが読み取れるかと思います。
10ページ目を御覧ください。これまでままでいろいろな数値的なデータでお示ししてきましたが、具体的な事例としても国際化の観点で様々な取組を通じて成果を挙げてきております。
個々の事例についての説明は割愛させていただきますけれども、こちらの左側にございますように、国際公募の徹底や英語の公用語化、外国人研究者の雇用促進のためのいろいろな処遇、あるいは海外機関とのネットワーク形成、外国人の研究者のみならず、その御家族への支援も含めて、先駆的な取組を様々、各拠点において取り組んでいただいていて、それが成果を挙げてきております。
右側にWPIフォーラムというウェブサイトを御紹介しておりますけれども、これも昨年度に開設しておりまして、これから外国人の研究者を受け入れる側の国内の様々な大学関係者などに御活用いただいているところです。
それから、研究大学コンソーシアム事業との連携など、省内でも連携して取り組んでおります。
11ページ目を御覧ください。ここからは研究システム改革、4つ目のミッションですすす。これまでにも説明した国際化や分野融合の部分でも多分にこのあたりの要素はございましたが、それ以外も様々ございます。
例えば、こちらに書かせていただいているような、クロスアポイントメント制度の導入を含めた人事・給与制度改革や、拠点長を中心としたトップダウン型のマネジメント体制の導入、あと11ページ目の左下にございますが、基礎研究の拠点でありながら、国費だけに頼ることなく、民間からの大型の寄附金獲得などの事例もございます。
右側にも書かせていただいておりますけれども、WPI成果の横展開の中で、大型資金獲得ノウハウに関しまして、こちらでは大阪大学のIFReCというWPI拠点についての事例を書いておりますが、大阪大学の中で成功した事例がこの学内、あるいはその学外にも波及しているという事例もこれまでに生まれています。
WPIを活躍の場所に選んで海外からやってくる研究者に向けたいろいろな情報発信、その研究者を実際に受け入れるWPI拠点側での受け入れ環境の整備、その両面に対して様々なノウハウの蓄積があり、それがこれから横展開されていこうとしているところです。
12ページ目を御覧ください。WPI事業全体について、JSPSにおいて総合支援事業という形で支援を行っております。その中の一つで、合同アウトリーチ活動というのもございます。
これはより広くブランディング活動の一環として意義あるものと考えておりますが、左上に合同アウトリーチ活動の意義とありますように、各拠点単位での広報活動、これはこれで重要で、各大学において積極的に取り組まれておりますけれども、ここにJSPSによる総合支援が加わることで、分野や地理的な広がりの伴った、各分野や拠点単独ではなし得ないような、拠点群としての大きな存在感を持った活動にもつなげることができております。
いろいろな事例をこのページにも書かせていただいておりますが、様々な人の行き来を通じた活動もあれば、ウェブ媒体やSNSなど、そういったツールも活用した取組がなされており、こういったものを通じて、WPIプログラムが以前より広く世の中から見える存在となってきていると見ております。
最後に13ページ目を御覧ください。合同アウトリーチ活動の中でも、こういった国内の高校生向けであるとか、あるいは新たなWPIサポーターの獲得に向けた、経団連を含む様々な産業界のコミュニティに向けた取組も行っております。
冒頭に申し上げましたように、WPI、13年目に入りましたけれども、この13年というのは、例えば高校生がポスドクになることもあるような時間の長さでもございます。次の世代の世界トップレベルの研究者を育てていく、そのための環境整備や機会の提供など、国として非常に重要と考えておりますし、またそういった若い世代の方々について、必ずしも研究者になるのではなくても、産業界も含め様々なセクターで活躍されて、そのことが、基礎科学を支持する国の未来につながるような寄与、そういうものにつながっていくことがとても大事だと思っております。それだけの目に見えるコンテンツや求心力を擁するという点でもWPIは意義ある取組と言えるでしょうし、そうした世代やセクターを越えた取組を今後もWPIが先導していくことができればと考えております。
14ページ目に、今回の成果検証のまとめと今後の課題、これは省内外の関係者の皆様方とこれからしっかりと議論をさせていただいて、深めていく必要があるものではございますが、書かせていただいております。まず、全体のまとめとしましては、4つのミッション、サイエンスと分野融合と国際化と研究システム改革、いずれも我が国を先導する高い成果を挙げてきているということは一定程度言えるのではないかと考えております。
他方で、これまでのご説明の中にもございましたとおり、いくつかの課題というものも浮かび上がってきております。これまでに達成してきた目標や生み出してきた成果、今日的な課題や立ち位置を踏まえて、10年前に国として目指そうとしていた姿と、10年余年を経た今この時点での境界条件の下で、さらにこの先に何を目指して、ここまで育ってきたWPIプログラムを今後どのように活かしていくか、そういったことの議論を関係者間でしっかりと深めていく必要があると考えております。
今回の成果検証の中身についても、是非御忌憚のない御意見等いただければと思います。
以上でございます。

【栗原部会長】 ありがとうございました。それでは、御意見・御質問など伺う前に、本日はWPIアカデミー・ディレクター、黒木先生にお出でいただいておりますので、先生から御意見を頂けますか。

【黒木WPIアカデミー・ディレクター】 私は2007年発足から10年間、プログラム・ディレクターをやっておりまして、第2期に入った時からアカデミー・ディレクターとして特に就労拠点をどのように発展させていくかということをいろいろと考えて、そのディレクターとして仕事をしております。
本日の最初の、金子室長からお話のありました中の論点の一つに、継続性というのがありました。WPIも継続性が求められている事業の一つだと思います。
ただ、WPIの場合は、最初から募集要項に、終了後はホスト機関が責任をもってこれを維持するということが書かれております。それの約束の下に採択されている訳で、10年間のサイトビジットでも常にそのことをホスト機関に問い掛けておりました。
そのために、終了しても、ホスト機関の努力によって、きちんと維持されております。きちんとといいますのは、影響が出ておりますけれども、WPIとしてやるべきことはきちんとやっているという意味です。
少し具体的に申し上げますと、まずホスト機関ですけれども、これは特に2007年の拠点は13億ぐらいの予算が出ていましたから、それがゼロになった時に、ホスト機関が全部それを維持するというのは現在の大学の置かれている状況ではかなり無理があります。
その点で、文科省で考えていただきましたのは、概算要求の中に例えば人件費などを申請してもよいということで、それで幾つかの人件費が、例えばPIの人件費などは入っております。
そのほか、研究大学強化促進事業、それから、学振に来ておりますお金の中から、グローバルブレインのサーキュレーションを支援するという形で、数千万行っておりまして、全体として文科省の予算として出ているのは、1億から1億5,000万、別の言い方をしますと、終了した途端に予算が八分の一から十分の一になってしまったと。
その中で、どのように維持されているかといいますと、予算がその他、大学からの予算がありますので、大体予算は半分ぐらいになりました。
人はどのくらい減っているかといいますと、これは研究者の方々のいろいろな予算の中から採用など、いろいろ、先ほど言いました概算要求もあって、大体25%減ぐらいです。
ただ、少し問題なのは、若い人に少ししわ寄せが行っているということです。研究成果もきちんと続いておりますし、その点では約束どおり、ホスト機関が中心となって、それから拠点長の御努力によって維持されているということは、我々としてはWPIが最初の募集要項の責任を守っているというように、いい評価をしていただきたいと思っております。
ただ、現在13拠点あるうちの9拠点が、2022年までに全て終了いたします。そうすると、WPIの一番大切なところは、アカデミーをどうやって維持するかということになります。
そのときにどうやって維持するかということを、今、文科省と一緒になって考えているところではありますけれども、補助事業が補助事業として継続するということは、文科省というか今の補助事業の枠の中では考えられませんので、新しい枠組みを作らなくてはならない。
それは例えば、先ほどから話題に出ておりますような、マックスプランクのような形で、新しいブランドを作って、そのブランドの研究所が大学にアフィリエーションしているといったような形が必要ではないかと思っています。
もちろん今、各大学には学部があり、附置研究所がある訳ですけれども、それと別にもう一つのブランドを作るという。そして、それが大学の間でネットワークを作って、そのWPIが日本のサイエンスをこれまで培った業績を引っ張っていくと。それで新しいやり方でやっていくというようなことを、この後に考えていかなければならないと思っております。
そういうことですので、この審議会でいろいろと、その点も含めてお考えいただければ幸いだと思っています。

【栗原部会長】 ありがとうございました。
それでは委員の皆様から、御意見・御質問などありましたら、よろしくお願いします。
小谷先生。

【小谷委員】 私はWPIで10年間研究所を補助していただき、ユニークな挑戦に対して大変ありがたい機会を与えていただきました。そういう立場だということを踏まえて、幾つかコメントしたいと思います。
数日前に、ネイチャー・インデックスが出まして、皆さん恐らく御覧になられていると思いますが、正規化した評価においてトップ10の中に、OIST沖縄科学技術大学院大学が入っていました。歴史は短いですけれども、短期間にワールド・プレミア・ステータスを達成したということです。
WPとOISTIの共通点は非常に多くて、一つはアンダールーフで異分野融合、新しい領域に挑戦するということを非常に強く求められています。日常的に全く違う分野の人が顔を合わせるということが非常に有効です。 それから、共通機器に関するシステムは非常によくできていて、研究支援体制がすごくできています。
それから、国際的な研究所ですので、いろいろな国から研究者が集まっており、また家族や生活の支援も行われている。
これはどれもWPIでも、規模は違うといえど行われていて、国際共著論文の比率や引用数に非常に大きく関わっていると実感しているところでございます。
WPIやOISTの成果をいかに使い尽くして日本の科学技術全体に広めるかということが、大切です。
ブランドをせっかく作ったので、このブランドを維持することがまず考えるべきことです。ブランドとは本来は年月を掛けてできあがるもので、WPIにおいてはお金をかけることでその年月を買った訳です。せっかくそうやって短期間で作ったブランドを、終わったからやめてしまうというのはまさにお金がもったいないです。WPIとしてのブランドをどうやって継続していくかを考えるべきです。
もう一つは、WPI拠点で開発した国際化や支援体制をどうやって大学全体、若しくは国内全体に広げていくかが、これも一つ大切な観点だと思っています。
これから日本で子供が減っていく中で、日本の大学全体が国際化しないといけないですが、その際、事務の国際化ということが非常に重要です。東北大学では、事務職員の中でも意欲的な人をAIMRに配置して、新しい制度設計などを意欲的にやる事務職員を育て、それをまた他部局に異動させて、部局の中でのそのような改革を進めるという方針を明確にしています。 大学の国際化ということに関しても、WPIはかなり貢献していると思いますので、そのこと成果の中に入れていただければと思います。

【栗原部会長】 ありがとうございました。ほかに何か御意見ありますか。

【観山部会長代理】 私もWPIにプログラム・オフィサーとして関わっておりまして、担当は東工大のELSIですが、もう一方、Kavli IPMUにも大体、サイトビジットの時には参加しております。非常にうまくいっているというか、その原因の二つは、もちろんサイエンスを非常に重視している、成果を重視していますけれども、フュージョンという、分野融合というものが大きな柱になっています。もう一つは海外の研究者がある程度、目標としては30%ですけれども、参加していると言うことです。それを優に越しているWPIもあります。
前半でも言いましたけれども、非常にトップレベルの研究を幅広い分野融合でやろうと思うと、日本人に限るとどうしてもある分野欠落しているという形になってしまいます。一方で、WPIは、環境もいいですから、資金も結構たくさん重点投資していますからですが、非常に優秀な研究者が海外から来て、実際ワンルーフの中で参加していることの効果は素晴らしいです。
ベンチマークって普通の、海外の研究所とベンチマークをするんですが、日本の、例えば附置研、大学の研究所などと比べると、それぞれいろいろありますが、段違いにいいですよね。
結構、附置研でも大きなお金を使っているところがない訳ではないのですが、何が違うのかと、一つは先ほども言いましたように、海外の研究者を十分呼べるということと、もう一つは、割とトップダウン型というか、そのためにリーダーを非常に慎重な作業で選んで、テーマも選ぶ訳ですけれども、例えばKavli IPMUの私の少し先輩の人が言っていましたけれど、ここは会議は全くないと。つまり研究だけしなさいと。
いろいろなことは全部所長に話しに行って、所長は大変だったんでしょうけど、つまり分散しないで、いかに研究時間をたくさん作って、研究に集中させて、そして海外の研究者とも一緒にやるので、つまりボリュームと、それから質というかサイテーションが両方とも上がるような仕組みを無理やり作ってあるわけです。
だから、研究のレベルというか成果が上がらない訳はないのです。附置研は共同利用という面もありますので、なかなかコミュニティを支えるという点があって、そこと同時に比較はできませんが、良い例を相当いろいろなことに水平展開すれば、もっと有効な資金の活用になると思います。
黒木先生も言われたように、今後アカデミーというか、非常に優秀な仕組みもできて、それから今さっき言われた事務体制も非常にうまく、海外の研究者が対応できるような体制を作られているので、それを是非続けていただければと思っております。

【栗原部会長】 ほかに何かおありでしょうか。
それでは時間もありますので、私もWPIで研究させていただいていた時期もあるのですが、非常に外国人の研究者に対して浸透していて、ポスドクの人たちのレベル、公募した時のそういう人たちのレベルが非常に高いというのはあったと思います。
またこれに関しては、今後も議論があると思いますので、きょうはこのくらいにして、次の議題に移りたいと思います。
第6期科学技術基本計画に向けた検討ということで、遅れていますので、簡潔にお願いします。

【岡村補佐】 それでは資料3を御覧ください。多少駆け足になりますけれども、御説明をさせていただきます。
こちら、両面1枚でまとめさせていただいておりますのは、第6期の科学技術基本計画の検討に向けた論点整理の現時点での案でございます。
明日の総合政策特別委員会の中でも一部資料として、こうした形の資料が各部会、委員会から出されまして、とりまとまったものが参考的に扱われますけれども、これは前回の第1回部会でお示しした資料3で骨子としてお示ししたものをもとに、もう少し中身を書き込んだものの案でございます。今後の検討状況に応じて、また追加的な論点や、あるいは個々の論点の深堀堀などを行っていくことを想定しております。
全部で9の観点についてお示ししておりますけれども、一言ずつ触れさせていただきますと、まず1つ目、基礎研究というものがますます多様で複雑な文脈に置かれていると。「イノベーションの源泉」としてだけでなく、その未来を創り支える文化的な価値の側面からも、政策的な向き合い方が求められているということを書かせていただいております。
2つ目ですけれども、一口に基礎研究ですとか基礎科学といったときにも、いろいろな事業スケールの違いもございます。加速器や宇宙・天文学など、そういったビッグ・サイエンスとしてのの基礎科学もあれば、本日の議題にありました戦略事業、あるいは科研費といったスモール・サイエンス型のものもありますし、それらへの政策的な向き合い方は違ってくると考えております。
研究支援形態の観点からも、戦略事業、科研費のようなファンディング事業もあれば、WPIのような拠点形成事業もあり、また、そもそも大学の運営費交付金などの基盤的経費を通じた活動もございますので、こういったものをいかに組み合わせて価値を出していくかというところも観点としてございます。
ですので、3番目に書かせていただいているように、いろいろな基礎研究を進めるに当たっての事業スケール、支援形態の違い、分野特性、そういった個々の政策的意義をきちんと考慮した上で、効果的な連携方策について議論を深めていくことが重要であると。その際、担当部局、研究の現場、こういった部会の場を通じてもですけれども、一層密に連携して、政策効果の最大化に向けた取組の実効性を確保していく必要があると考えております。
4つ目に書かせていただいているのは、そのうち特にファンディング事業について、戦略事業のようなトップダウン型のファンディングもあれば、科研費をはじめとするボトムアップ型のファンディングもありますので、こうった事業特性をよく踏まえた上で、その政策的な連動性をきちんと確保していくことが重要と考えております。そういった問題意識の上に立ち、本日も戦略事業の改善方策をを含め御説明させていただき、またいろいろな御意見を頂いたところでございます。
5番目がその具体的な中身でして、戦略事業の果たすべき役割が一層大きなものとなっていること、「出口を見据えた基礎研究」でいう出口の捉え方としては、今の時点で求められている技術だけでなくて、将来的な社会像や社会システムの変動を見越した視点をきちんと入れていくことが重要である、という点について書かせていただいております。「大くくり化」についてもいろいろと本日も御示唆を頂いたところです。
ですので、また次回も含めてですけれども、こういった戦略事業の持つ意義や特長を明確化して、運営理念を広く発信していくことが必要と考えております。
先ほど資料2を基に御説明させていただいたWPIプログラムもそうですけれども、時間の関係で、最後の「今後の課題」というページ、14ページ目を詳しく御説明差し上げる時間はございませんでしたが、こちらに少し書かせていただいておりますように、これまでの政策効果の検証結果を踏まえて、今後の進め方についてよく考え、改めて戦略を立てていく、そうした時機を今迎えていると思っております。
先ほど黒木ADからもお話がございましたが、こうして世界トップレベル研究拠点として確立した各拠点のポテンシャルをいかに維持し、強化していくか、また拠点群総体としての価値をどのように最大化していくか、そういった点について、高等教育行政ともしっかりと連携しつつ取り組んでいく必要があると考えております。
基盤的経費、ファンディングなど異なる支援形態の事業と、拠点事業との相補的・相乗的な連携の在り方についても検討を進めていくことが有効と考えております。
7番目にあります新興・融合領域の開拓に関しては、本日も委員の皆様方から多くの御意見を頂きましたけれども、科学的な意義、そして政策的な意義というものについてきちんと議論を深めていった上で、理数系人材の養成や数理科学振興などの観点も含め、いろいろな分野融合の促進が政策的にも要請されている中ですので、そういったことにきちんと向き合っていく必要があると考えております。
8番目ですが、本日もWPIの成果検証を題材に取組の一端をお示ししておりますけど、様々な観点から今後の基礎研究環境を考えていくに当たって、適切なデータやエビデンスに基づく現状の分析や課題をしっかり把握を行った上で、諸外国における研究環境や政策動向等も踏まえた方向性の打ち出しを行っていくことが大事であると考えております。
最後に、9番目ですけれども、これまで8つ挙げたような観点をしっかりと踏まえた上で、今日的な課題の整理・把握をしっかりとと行い、基礎科学・基礎研究振興ということの今日的な政策的意義・位置付けの再定義や確認、こうしたことについて、本部会での議論を通じてその総合的な推進方策、そして長期的な見通しについて議論を深め、方向性を打ち出し、時宜を逸することなく実行に移していくことが大事でであると、現時点での案ですけれども、論点としてまとめさせていただいております。以上でございます。

【栗原部会長】 ありがとうございました。何か御意見おありでしょうか。
かなり今までの議論ともオーバーラップしている点が多いと思います。
時間も余りないので、私、少し質問があるんですが、1番のところで、下線が引いてある、基礎研究を取り巻く研究環境は近年ますます多様かつ複雑な「文脈」という言葉が書いてあるんですけど、普通は余り文脈という言い方をしないかと思うんですけど、このところはどういう意味で、例えば、環境や、最近の状況などというのではなくて文脈というお言葉を使われているのは、これ何か、特別な思いがあるんでしょうか。

【岡村補佐】 そうですね……そもそも科学技術自体が、政治や経済、外交、文化など多岐にわたる場面でその意義や位置付けについて多元的に語られるものでして、基礎科学についても、そういった様々なものとの密接な関わり合いの中で存在するものと考えております。そうした中にあって、基礎科学というものが、今日的にどういった特別な、ただいま部会長の仰ったような「環境」の中にあって、それに今後どう向き合い、進めていくべきか、基礎科学の本質的な価値や課題、可能性など、そういったものをいかに見出し、世に問い、示していくか、そういったことが大事ではないかと思っております。。そうした意味合いで、基礎科学の置かれたところについて「文脈」という言葉で書かせていただいたところです。

【栗原部会長】 どうぞ。

【川合委員】 WPIの成果というのは、もう疑う余地もなくて、これを継続して、しかも普及させて、日本全体に広めていくというのがとても大事なアクションだと思います。
一方で、過去の必然性から生まれたものなのかもしれません、私のいるところは大学の共同利用研究所なので、共同利用研究所というのも大学全体のために尽くすというのが一つのミッションで、大学の底上げをきちんとやると。
そのときに単なる底上げのお手伝いだけではなくて、研究成果もトップを抜くように出すことによってという、何か少し文脈は違うんですけど、同じような方向性もあるので、それぞれが今、別々の施策で動いているんですが、せっかくあるシステムなので、大学の中の附置研の中でも共同利用のところももちろんあるんですけど、国策として作られている大学共同利用研のシステムというのも、このWPIと少し並べて見ながら、まぜろとは言わないんですけど、議論の土壌に乗せていただくのも大事かなと感じております。

【栗原部会長】 大事な視点でいらっしゃると思います。
ほかにもあるかもしれないですが、12時が終了時間ですので、終わりのところはまた次回に議論するということで、それでは最後に議題4、その他について事務局より説明をお願いいたします。

【岡村補佐】 資料4を御覧ください。こちらに今後の予定について案をお示ししております。
本日第2回が終わったところですけれども、第3回は、御案内のとおり、7月16日を予定しております。こちらでは戦略事業の改革に関するとりまとめ案について御議論いただきたいと考えております。また、その時点までに議論が進められていると思われる第6期の科学技術基本計画に向けた検討についても、またその時の状況を基に、議論の話題として挙げさせていただければと思っております。
予備日として7月31日を予定しておりまして、これは7月16日の第3回の開催状況を見つつ、この予備日の取扱については考えたいと思っております。したがって、今のところ、第4回といたしましては、秋頃の開催を見込んでおります。
その時に、令和2年度予算の概算要求内容の御報告と、引き続き第6期の基本計画に向けた検討の状況について議論の話題とさせていただければと思います。以上でございます。

【栗原部会長】 ありがとうございました。
本日の議題は以上ですが、事務局から何か御連絡事項等ございますか。

【岡村補佐】 2点ございます。
まず1点目、本日の会議の議事録ですけれども、準備が出来次第、委員の皆様方に御確認いただきまして、文部科学省のウェブサイトに掲載させていただきます。
前回の議事録は、今ちょうど委員の皆様方に御確認をいただいているところでございまして、近日中に文科省のウェブサイトに掲載させていただく予定です。
2点目ですが、本日の部会で使用しました資料は、本日中に委員の皆様方にメールでお送りさせていただきます。あわせて、後日、文部科学省のウェブサイトにも掲載させていただきます。
資料の郵送を御希望の方は、封筒にお入れいただき、机の上に置いたままにしておいていただければと思います。不要な資料や紙ファイルについても、机上に残したままにしておいていただければと思います。以上でございます。

【栗原部会長】 ありがとうございました。
では以上をもちまして、第2回の基礎研究振興部会を閉会いたします。本日はどうも、活発に議論をいただいて、どうもありがとうございます。

―― 了 ――

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研究振興局基礎研究振興課