第10期科学技術・学術審議会 国際戦略委員会(第2回)議事録

1.日時

平成31年4月17日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省15階科学技術・学術政策局会議室1

3.議題

  1. 科学技術外交について
  2. STI for SDGsについて
  3. その他

4.出席者

委員

相田委員、石原委員、岩崎委員、小川委員、狩野委員、白石委員(主査)、角南委員(主査代理)、武田委員、竹山委員、藤巻委員

文部科学省

松尾科学技術・学術政策局長、渡辺大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)、上田科学技術・学術戦略官(国際担当)兼国際戦略室長、進藤高等教育企画課国際企画室長、保田科学技術・学術戦略官(国際担当)付企画官、福島国際戦略室長補佐、吉田国際戦略室長補佐

オブザーバー

渡辺名古屋大学審議役、山村科学技術振興機構研究開発戦略センター(CRDS)フェロー、小林科学技術振興機構(JST)国際部長、増子日本学術振興会(JSPS)副理事、野田日本医療研究開発機構(AMED)国際事業部長

5.議事録

第10期科学技術・学術審議会 国際戦略委員会(第2回)

平成31年4月17日



【白石主査】 それでは時間になりましたので、科学技術・学術審議会国際戦略委員会の第2回目を開きたいと思います。
最初に、事務局から本日の議事及び配付の資料について確認をお願いします。
【福島補佐】 文部科学省科学技術・学術戦略官国際担当付の福島でございます。

―事務局より出席者の確認と資料の説明―

【白石主査】 それではまず、議事に入ります前に、前回の委員会での議論を踏まえて、事務局から報告をお願いします。
【吉田補佐】 それでは、資料1に基づいて、前回の委員会の際に国際活動の推進について御議論いただきましたが、その際の御指摘事項について簡単に御説明させていただきます。お手元のタブレットの第2回国際戦略委員会資料、資料の方のファイルを開いてください。全部で119ページあるファイルの1ページ目になります。
第1回の国際戦略委員会において、国際戦略のどの分野でどういった趣旨の事業がどのくらいの規模であるのかというのもまとめてほしいといった趣旨の御意見がございました。資料1に、前回お示ししました国際活動の推進に関するフォローアップ表を基本として、右側のところにそれぞれの項目に関連事業としてどういったものがあるのか、それぞれの予算規模というのを記載しています。また、近年開始した事業に関しては、開始年度といったものも記載させていただいております。
1ページ目ですが、こちらの方は国内向けの研究費等による国際取組の推進ということで、右側を御覧いただければと思いますが、戦略的創造研究推進事業、また科学研究費助成事業、2016年度より開始しました卓越研究員などの事業を載せてございます。
2枚目を見ていただければと思います。2枚目の方は国際共同研究プログラムをまとめたものです。JST、AMEDで実施しているSICORP、JSPSの国際共同研究事業といったものを記載しております。
3ページ目です。こちらは人材の育成に関するもので、上半分が日本から海外に送り出す事業ということで、2017年度より開始しましたJSPSの若手研究者海外挑戦プログラム、また2018年度よりAMEDで実施しておりますInterstellar Initiativeがございます。下半分の方は、逆に海外からの人材を日本に呼び込むためのものということで、外国人特別研究員事業や、外国人研究者招聘ネットワーク強化、あとはさくらサイエンスプランといったものを記載しております。
4枚目、今度は大学の国際化に関するものです。スーパーグローバル大学創成支援事業、大学の世界展開力強化事業がございます。
5枚目は、今度は国際的な研究ネットワーク、拠点形成ということで、SICORPの拠点形成型プログラムやJSPSの研究拠点形成事業、世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)などがございます。
最後の方に、STI for SDGsの推進に関してはSATREPSを実施しておりますが、これ以外の施策に関しては、後ほど説明しますSTI for SDGs施策パッケージといったものにまとめてあります。
続きまして、資料の6ページ目を御覧ください。こちらの方は国際活動の推進に関する指標の例の資料になります。我々の方で測定指標として使用しております中長期の海外への研究者の派遣者数、海外からの研究者の受け入れ数の推移です。青色の線で示してある、これは派遣者数、日本から海外に行く方ですが、平成12年度より減少傾向になっておりますが、近年はおおむね4,000人から5,000人の水準で推移しているところでございます。緑色の方は海外から来る受け入れの研究者数ですが、平成12年度まで増加の後、多少の増減が見られますけれども、ほぼ並行に推移している状況です。
7ページを御覧ください。こちらは共同研究及び国際共著論文ということで、共同研究の数自体は様々なものが含まれるため、捕捉は難しいところなんですが、一つの例として国際共著論文数というのを見てみますと、一番上にあります日本との共著論文数というのは、各国とも総じて増加傾向にあるというのが見てとれますが、左下の各国の全体の論文数、右下に各国の国際共著論文数、これは日本も含めた全体のものですが、こういったところの伸び率を比べてみますと、日本との共著論文数というのは伸び率が低くなっております。
最後、8ページを御覧ください。こちらは人の移動に関する指標の例として、日本における外国人研究者の比率というのを示しております。グラフの縦軸の比率は異なるのですが、左側が学校基本調査における本務教員に占める外国人の割合、こちらも増加傾向が見てとれます。右側のグラフですが、先ほどお示ししました国際研究交流状況調査というのにおいて非常勤を含む研究者数を調査しております。これと学校基本調査における本務教員数との差分をとって全体の数と外国人の数を比較したものになります。外国人研究者、非常勤の者の割合というところで、こちらの方でも増加傾向が見てとれます。
資料の説明は以上になります。

【白石主査】 こちらについていろいろと質問があると思いますけれども、最初に、科学技術外交の方の報告を頂いて、その上でまとめて議論できればと思います。それでは科学技術外交の概要について、これも事務局からお願いします。
【吉田補佐】 参考資料の方のファイルを開いてください。しおりも付いていると思いますが、参考資料の3というのに、統合イノベーション戦略の国際関係部分抜粋というのがございます。前回の委員会の際に、科学技術基本計画の国際関連部分の説明をさせていただきましたが、昨年6月に閣議決定された統合イノベーション戦略においても関連の記述があるので、簡単に初めに御紹介させていただきます。
65ページあるファイルのうちの5ページ目から中身が始まりますが、目指すべき将来像というところで、ボーダレスな挑戦ということで、国際化、国際的な頭脳循環の中で研究者の流動性が高まるということを目指しておりまして、次のページに方向性とか具体的な主要施策として、人材・研究の両面から徹底的な国際化、国際的な人材の流動性確保、世界の知を取り込みグローバルな視点や発想に基づく国際通用性のある研究の促進と記載がございます。また、下の方に、我が国の大学や国研等が外国企業に戦略的に対応するということで、内閣府の方で海外企業との連携に係るガイドラインを今年度策定するとされています。
次の7ページ目からは、STI for SDGsの記述になっておりまして、SDGsに関する事項の見える化ですとか、SDGs達成を見据えた具体的な道筋を提示するといったことが書かれております。
続きまして、また資料の方に戻っていただければと思います。資料2、全体が119枚あるうちの9枚目です。「科学技術外交について」という資料です。10ページ目から本体が始まりますが、科学技術外交という言葉は、第4期の科学技術計画において初めて位置付けられ、その後、第7期の国際戦略委員会とか外務省の有識者懇談会において、科学技術外交には科学技術のための外交というところと、外交のための科学技術の両方の側面があると。2つの側面から科学技術外交を戦略的に進めていくべきだというふうにされております。第5期科学技術基本計画においても、引き続き科学技術外交というのが位置付けられているところです。
次のページ、11ページ目です。外務省の岸外務大臣科学技術顧問の活動をまとめております。岸顧問は、2015年9月の任命から様々な活動をされており、下の方に報告書・提言というところがありますけれども、最近ではTICAD7に向けた提言、また、SDGsや北極に関する提言などもまとめられております。また、本年4月には、狩野委員が外務大臣次席科学技術顧問としての業務を外務省から委嘱されているところでございます。
次のページ以降は岸顧問のこれまでの活動をまとめた参考資料となっております。

【白石主査】 それでは次に、主要国の科学技術政策の動向について、これはJST研究開発戦略センターの山村フェローからお願いします。
【山村CRDSフェロー】 御紹介いただきました科学技術振興機構研究開発戦略センターの山村と申します。資料3に沿って「主要国の動向」ということで簡単にお話をさせていただきます。
まず上のところ、研究開発の潮流ということで何点か挙げていますけれども、各国において研究の成果を速やかにイノベーションにつなげ、市場創出や社会課題の解決を図るための方策というのを各国が模索して、そのための制度設計というのが各国で進められています。情報技術の進展により、研究開発がこれまでの形とは変わってきて、技術革新のスピードというのが格段に加速してきています。特に安全保障に関わる分野では、国家戦略としてその推進をサポートしていくという傾向が見られます。また、AIであったり生命技術、ゲノム編集とかの利用によって、科学技術と社会の関係というのが密接になってきて、法律とか倫理に関する事項であったり社会科学と自然科学の連携というのがますます重要になってきております。そして、SDGs解決のためのSTI、科学技術に対する期待や、ESG投資への関心の高まりといった科学技術の成果を社会的価値に転換させる動きに注目が集まっています。
こうした状況の中、一個人、一機関、また一か国単体ではなかなかイノベーション創出が難しくなってきたという状況において、分野横断・融合、産学官・国際連携というのが鍵となってきております。
続いて、主要国の動向について詳しくお話します。
まずアメリカです。アメリカは、未来の産業における優位性の確保ということで、ハイテクや新興分野における国家戦略を策定しています。こちらに示してあるとおり、AI、量子技術、通信の5G、先進製造といった分野で次々と戦略を打ち出しています。また、2020年度の予算が最近発表されましたが、研究開発優先項目として、政府機関は基礎研究及び初期段階の応用研究に焦点、また、分野横断研究を推進するということで、その優先領域としては、安全保障、AI、量子、戦略的コンピューティングといったこちらに示す項目を優先領域として挙げています。また、アメリカの最大のファンディングエージェンシーNSFといったところは、2016年からコンバージェンス研究と言われるプログラムで、1分野だけではない融合領域の研究を推進しています。また、DOD(国防総省)においてはデュアルユース研究というのを重視して、その傘下にあるDARPA(国防高等研究教育局)を中心に、半導体、AI、量子科学といった分野に巨額投資を行っております。
中国については、2050年までに世界一のイノベーション強国を目指すということで、国家戦略「国家イノベーション駆動発展戦略綱要」を打ち出しております。戦略的領域に集中した大規模投資というのを行っておりまして、1つは中国製造2025、これは産業力強化によって半導体や部材の自給7割というのを2025年までに達成するということで、これをきっかけに欧米の警戒感が高まり、特にアメリカとは貿易戦争というところが聞かれている状況です。また、AIについてもAI2030という戦略で、AIプラットフォームに5つの企業を認定して、官民協働研究体制の構築推進というのを行っています。また、一番下のところで、海外人材の呼び込みということで、千人計画というのを2008年から始めていて、各種人材の呼び戻し・取り込みというのを積極的に行っております。
続いて右側が欧州諸国です。まず欧州全体のお話で、欧州全体では、Horizon Europeと呼ばれる複数年にわたる研究開発支援プログラムの策定が本格化しています。現在行われているのはHorizon2020というものですが、これを更に拡大する形で、こちらに示す3本柱で支援を行うとされています。ここで特徴的なのは、1つは、特定の社会的課題解決に焦点を絞った分野横断的なミッションというものをここで複数設定するということがうたわれております。また、基礎研究の成果をイノベーション創出につなぐべく、第3の柱、イノベーティブ・ヨーロッパというところで欧州イノベーション会議を新設して、中小企業やスタートアップへの助成支援でイノベーション創出を目指すといったことがうたわれております。
イギリスです。BREXIT問題で揺れているイギリスでありますが、2017年に産業戦略という科学技術を含んだ広範な戦略を打ち出しまして、英国を世界最大のイノベーション国家にするということを目指しています。この中でグランド・チャレンジと呼ばれる重点領域、AI・データ、高齢化社会、クリーン成長、将来のモビリティーという4分野を特定して、これらについて重点投資を行っていくという戦略が打ち出されております。
ドイツについては、同じようにハイテク戦略2025という国家戦略を打ち立てまして、AI、量子、蓄電池といった分野に技術投資、人材育成を行うということがやられています。また、イノベーション創出を支援するために、飛躍的イノベーション庁、安全保障分野のイノベーションを目指すサイバーセキュリティー庁を新設したという動きもございます。
最後はフランスです。フランスは大統領がイノベーション政策を牽引する、大統領主導で物事が幾つか動いておりまして、1つはイノベーションと産業のための基金というものを設置して、基礎研究から産業化まで一気に支援できる体制を整備するという動きがあります。また、こちらも国防イノベーション庁を設置して、民間企業と連携し、デュアルユース研究を推進という動きも見られます。

【白石主査】 では続きまして、文部科学省における科学技術外交の近年の事例について、科学技術・学術政策局の上田科学技術・学術戦略官から説明をお願いします。
【上田戦略官】 資料4を御覧ください2ページ目、昨年1月、前・林文部科学大臣とモエダス委員との会談が一つの節目だったかと思います。その会談の概要が次のページにございます。項目のみになってしまいますけど、2ポツ、若手研究者間の交流拡大、これはERCとJSTの間の枠組み、これは従前にJSPSもこういった枠組みを持っていたので、JSTを加えるという話。3ポツ、量子技術、これは協力を拡大で一致しています。4ポツ、北極科学、これも後ほど出てきますが、北極科学大臣会合といったものについて議論しています。また、5ポツ、最後の方にありますけれども、EUのHorizonと日本の科学技術計画がともに2021年開始という議論もなされています。
次のページはJSTとERCの協力枠組みで、それぞれの支援プロジェクトに参加する研究者の派遣受け入れをマッチングで促進するという枠組みを構築しようとするものです。
その次の状況ですけれども、次のページに参ります。京都で行われましたSTSフォーラムで実施取極に署名し、大臣も立ち会ってございます。こちらの方はこの春ぐらいから開始しているというふうに聞いています。
次のページへ参ります。引き続きの状況ですけれども、量子技術につきましては、早速欧州側から300人集まるワークショップに日本側へ招待があったり、JSTが9月にワークショップを開催したりしています。北極科学につきましては、第2回の北極科学大臣会合、無事日本も参加しました上で、第3回、アジアで初めて日本開催というものを提案して全会一致で了承という結果になっていますし、また、北極科学のEUによる研究公募に日本側も参画して共同支援をするといったことも去年開始されています。また、その他になりますが、理研がブリュッセルに欧州事務所を開設したという動きも生まれてございます。
次は米国でございますが、昨年5月にNSF長官との会談が一つの節目であろうと思います。続きましてメモでございますが、これもほぼ同様の話題をしておりまして、1ポツ北極科学、2ポツ若手研究者間の交流拡大、そしてデジタル分野及び量子分野といったことでございました。
次のページへまいります。フォローアップ状況ですけれども、若手研究者の交流拡大は、同じく京都STSフォーラムで包括協力覚書を署名しています。米国の場合は個々の事業で積み上げた実績を積み重ねようというスタイルだったので、こういうスタイルになってございます。また、デジタル分野においても共同公募の調整中でございます。
その次へ参ります。北極は先ほどと同様で、米国の場合はNSFがこの2018年から特定の国に特定の専門家チームを派遣して協力を模索するというスタイルをとり始めました。そのほぼ第1回目に日本の量子分野が選ばれて、NSFの専門家チームを受け入れてございます。
続きまして欧州、例えばイギリス、ドイツ等でございます。イギリスにつきましては、今年1月の日英首脳会談で新たな協力の促進メカニズムで共同研究をやっていこうということを受けまして、下の方にありますように、日本側の機関、英国側の機関が一緒にこういったことを議論しようという実務者会議を設置することになってございます。
次のページでございます。大学間交流の取組。イギリスの例ということですが、RENKEIという名前の取組がございまして、2012年からですけれども、最近2018年の活動として、近年フォーラムが行われていまして、最近は気候変動ですとか保健といった具体テーマの下に議論が行われるようになっています。
次のページでございます。こういった大学間連携、大学間交流の例でございますけれども、私どもが承知しているものでございますが、ヨーロッパで申しますと、ドイツ、イギリス、スウェーデン、そして東アジア、パシフィックリムといったところにありまして、こういった大学間交流に国も一緒に併走して科学技術外交を重層的にやっていくというスタイルが最近あるのではないかと考えています。
続きましてドイツでございます。ドイツはもう項目のみ、オプティクス・フォトニクス分野の共同公募が2017年、18年から開始されています。AI分野における協力、これは2月にメルケル・安倍首相の会談でこういったことをやっていこうということを受けまして、この共同公募について最終段階の調整になってございます。また、AMEDとの間では神経科学をテーマとしたワークショップを開催したりされています。
続きましてフランスでございます。フランスは、前回御説明しましたけど、国内向け研究費を用いて国際共同研究を実施するという枠組みの初めての相手国でございました。これは、フランスのANRが最近出来たファンディングエージェンシーで、割と柔軟に対応してくれるという側面があったのも大きかろうと私自身は思ってございます。
続きましてスウェーデンでございます。これは写真のみでございますが、平成29年、両首脳の前で大型施設であるJ-PARC、そしてそのカウンターパートのESSの覚書署名がなされたと。また、こういったことも首脳レベルの外交案件になっていくといったことで喜ばしいかと考えます。
次のページでございます。先ほどのイギリスの例でございます。後ほど名古屋大学さんから御説明もありますけど、スウェーデンでのとの間でも大学間交流、MIRAIプロジェクトというものがございます。
次のページでございます。文部科学大臣訪問でスウェーデンを訪問したものでございます。昨年がちょうどスウェーデンとの外交関係樹立150周年の記念でございました。
次のページでございます。それを受けまして、昨年10月、文部科学省としてはこういった形の共同文書署名は初めてになりますけれども、両者の取組を記述した共同文書への署名が行われています。
続きまして中国になります。23ページでございますが、中国で昨今の事例としましては、科学技術協力委員会という協定に基づく委員会、数年に一度のものが昨年日本で開催されています。こちらには両閣僚級が冒頭挨拶に出席といったことも行われました。
続きまして次のページです。これを契機に、日本と中国で国際共同研究イノベーション拠点、これはあらかじめSICORPの中で予算を確保していたものですけれども、これを進めるという協力の覚書の署名がなされ、この4月から支援開始に至っております。
続きましてASEAN・アフリカでございます。これは御案内のとおりSATREPSというプログラムが走ってございます。これは後ほどSDGsのセッションでまた詳しく説明しますが、ASEANはSATREPSの採択課題の半数を占めていまして、イニシアチブの開始を合意しています。アフリカにつきましては、今年のTICAD7の機会を捉えて大臣との対話の会合をしてはどうかという考えを持ってございます。
続きまして分野別、量子技術です。こちらは同じく科学技術学術審議会の量子科学技術委員会で議論された資料をそのまま持ってまいりました。なぜ量子技術かという説明、その次のページが、例えば相手国政府とのコミュニケーションの例ですね。ここで書いてありますのは双方、日本でも量子技術の政策が動いている、両国の協力にポテンシャルのある分野と考えられる、日本の研究者はあなたの国の研究者と長年にわたる交流がある、まだ基礎研究、基盤研究で取り組むべきことが多い、したがって、ワークショップ等の開催等が考えられるのではないか、こういった外交を展開しております。
次のページは、先ほど出てきました欧州に招かれたワークショップ、また、昨今の他国からの関心事例といった資料が並びますが、この辺は割愛させていただきます。
分野別に参りまして、北極科学については1枚資料を参考的に添付しております。北極科学技術外交という資料ですけれども、第2回欧州で開催、第1回はアメリカで開催、そして第3回をアジアでバトンタッチを受けたという形になってございます。北極につきましては、北極評議会のオブザーバー国に我が国は参加していますけれども、その参加に当たって貢献したと考えております。
宇宙につきましても会合がございました。ISEFという名前の会合ですが、こちらは宇宙探査について議論するということも、これも第1回アメリカ開催、第2回日本開催、第3回は欧州にバトンタッチをしてございます。

【白石主査】 それでは次に、大学間交流の具体的な事例について、名古屋大学の渡辺審議役から説明をお願いします。
【渡辺名古屋大学審議役】 このMIRAIというのは、日本の大学とスウェーデンの大学が学術交流、研究交流と若手の研究者の交流を目指したものでして、最初に始まったのが、話の始まりとしては、2015年10月に私ども名古屋大学がホストする形で最初の会議を東京で持っています。このときに、スウェーデン側からもかなり参加がありましたけれども、スウェーデンのSTINT、これはJSPS、JSTに近いんだと思いますけれども、から、なぜ日本との学術交流、研究交流をしたいかという話がありまして、日本とスウェーデンの共著論文というのはそれほど世界から見ると多くないんですけれども、サイテーションとかインパクトを見ると、ある比例関係の中で突出して高いということで、日本ともう少し研究交流をするべきだというのがモチベーションだということが、このときも言われまして、その後も何回もSTINTの資料にはそういうものが出てまいります。このときは最初の会議でしたので、今後議論を続けましょうということで終わりました。最初のミーティングは、スウェーデン側からは8大学4つのオーガニゼーションが入っています。このリストを見ますと主な大学が入っています。それから日本は、14大学とJSPS、文科省が入っています。なぜ14大学かというのは明示的には示されなかったんですけれども、その後の議論で、スーパーグローバル・ユニバーシティーに採択されている13大学と、それからソフィアがVOLVOと共同研究をずっと続けているということで、上智大学を加えた14大学が向こうから指名された大学ということが後で分かりました。そのときの写真が出ております。
その後、2015年10月の会議を受けて翌年16年、京都大学を会場にMIRAIの会議を開いておりまして、このときには実際にやるとしたら何をやるんだというアウトラインを話し合っておりまして、幾つかのテーマをこのときに決めています。それから、このオーガニゼーション、コンソーシアムですけれども、ステアリング・コミッティーのようなものを作って、きちんと運営について両国の代表幹事大学が議論して、きちんとしたルールあるいはガバナンスの下で共同研究を開始しようということがうたわれています。具体的なプロポーズド・アクティビティーとしては、セミナー、ワークショップ、PhDコース、ショートターム・モビリティーなどのようなことをしようということと、主な課題としては、サステイナビリティー、エイジング、それからそれらを支える物質科学というこの3つを中心課題としようということになりました。それから、スウェーデン側はルンドとウプサラとウメオ、それから日本側は名古屋、早稲田、東大が一応幹事になるということで、2017年から最初の3年間をファーストフェーズとしましょうということになりました。
次に行きますと、最終的に14大学が参加しましたけれども、次のページにありますように、日本側からは8大学、それからスウェーデン側からは7大学プラスSTINTということで、このメンバーで会議が始まっております。
最初の全体会議は2017年10月にルンドで行われまして、17日から19日まで3日間ですけれども、初日は様々なオナラブルなプレゼンテーションがありましたけど、実際には18、19と先ほど紹介した3つの分野でセッションが設けられております。これを受けまして、昨年10月、日本で第2回のMIRAIセミナーが開催されまして、10月9日から12日と。ここではノーベル賞受賞者のレクチャーを含めて様々なプレゼンテーションがあったのと、たまたま日本とスウェーデンの修好150周年ということで、学術分野でのアニバーサリーを祝う会合を一緒に行いました。
それから次に、パラレルセッションは、ちょっと資料で11から19となっていますけど、これは11、12の2日間、3つのテーマとそのほかにイノベーションというテーマで会議をやっております。
次のページからは、やや細かい資料ですけど、こういうプログラムでかなり細かく4つのテーマについてやったという話が出ています。ずっとめくっていただくと、最終的に参加者は日本側が202名、スウェーデン側が99名ということで、かなり大勢の方に参加をいただいております。そのときに、実は、このページにありますように、日本・スウェーデン外交樹立150周年における両国の科学技術協力の強化に向けた共同文書というものを作成しまして、スウェーデン大使のローバックさんと文科審の山脇さんに署名いただいておりまして、政府間でも今後学術協力をしようという流れになっております。
こういった大きなイベント以外にも、次のページにありますように、PhD-student courseというのが昨年8月にソフィアで行われておりますし、10月には広島、滋賀、東京を舞台にPhD-studentのためのsustainable water cycleというような議論が行われております。ステアリング・コミッティーを3大学合計6大学でSkypeを通じて数か月に一度やっていますけれども、昨年12月には、今年に関しては11月にスウェーデンのストックホルム・ウプサラで3回目の全体会合をやるということと、このMIRAI、3年間が今年で終わりですけれども、それ以降も続けるということで合意に至っております。ここらの特徴は、スウェーデン側のSTINTが最初の3年間は予算を持っていますけど、日本のサイドは大学からそれぞれ100万円の会費でやっていますけれども、これではサステイナビリティーがないということで、次のページにありますように、様々な共同研究に対して研究費の支援申請をやっています。実際、こういうことをすることで本当に共同研究が進むんだろうと思いますけれども、STINTに対して支援を要請、JSPSにも申請をしています。それから、Erasmus+ International Credit Mobility projectというものにも応募しておりまして、スウェーデン側が6大学、日本側が8大学で、採択されれば8月から始まるというようなことでございます。そういう意味で、主に若手研究者の共同研究をプロモーションしようということで、このセミナーに出てくる皆さんは、基本的にお互いの国の研究者と共同研究をしたいという方々が中心となって参加いただいているということでございます。

【白石主査】 それでは、各委員から質問、コメント等ございましたら、よろしくお願いします。いかがでしょうか。
【狩野委員】 先ほど名前が出たとおりで、外務省の役目もすることになりました狩野です。先般から外務省でどんな役目なのだろうかということを学んできて、外務省の人として発言してはいけないらしいので、個人として言いますけど、中身としては、外務省としては科学技術そのものをするためのお金は持っていないので、上手に文部科学省ほかの皆様と御一緒して進めないといけないということを強く考えているようで、先方も、きょうも1人来てくださっていますけど、手数もそんなにたくさんないので、どうやって実施していくかということは1つ考えないといけないと。それから、きのう、それに関連してちょっと若い人たちと話したのですが、興味がある若い人たちも結構いるので、そういうコミュニティーをもしこれから作るとしたらどんなふうにしていくかということはなかなか考えるに足る内容だなということは1つ思っております。
また、科学技術顧問って結局何ができるのでしょうということになるわけですけど、今のところは、提案を出す、提言をする人ですね。岸顧問も大変頑張っていろいろな大きなものに対して提言を作ってこられたのですが、例えば私が入ったことによって、こちらで必要だけども外務省のチャンネルから出した方がいいような提言がもしあれば、是非今後出していくということができるであろうというふうに考えております。
いずれにせよ、科学技術が社会の中で非常に大きなウエートを占めるようになっているのだけれども、外務省のセンスからいうと、その主なところはやはり通商と防衛に関するところが主な仕事であるので、それに関係があるような顔をして科学技術のことについて語るのが一番影響力はありそうだということなんですけれども、無論、それだけが科学技術の役割ではないので、そのために必要なソフトパワーであるとか、そのようないろいろな面から提案が上げられるといいなと思っております。【白石主査】 ほかにございますか。
【渡辺審議官】 今の狩野委員の御指摘に対してなんですけれども、おっしゃるとおりでして、OECDの先進国グループ、OECDも広がってきましたのでいろんな人たちが入っていますけど、特に先進国間の共通認識としては、国際協力を進めたいけれどもねと。だけれど、文科省の科学技術、国際をやっている人と、ほかの省庁の政策プライオリティー、要するに国内でのイシューのプライオリティーを上げなければいけないと。それから狩野先生おっしゃった、外交的には通商とか安全保障とかというところに絡めていくというのも一つですし、今回、戦略官の上田からもありましたように、最先端の科学技術というところに関して各国のプライオリティーが上がっているところについて、これを外交の場でどう使っていくかというふうに考えていく、そういうことも少しできるようになってきているのかと思います。ということで、科学技術分野で進めたい国際的なイシューをそのほかの分野、そのほかの政策イシューの中でのプライオリティーを上げていくということが一般的に文科省のもうちょっと頑張るべきところかなと。
それから、あとはSTI for SDGsはもともと国際的な問題ですけれども、そのど真ん中にSTIが入っているので、それをどういうふうに、マルチステークホルダーで進めていく方法、文科省的にはほかの国より先んじてSATREPSという制度、もう10年近くになりますかね、で、外交分野つまりODAと科学技術の政策をツインで進めるというフレームは成功しているので、これをどう活用するか、あるいはほかの国、産業界にどういうふうに御参加いただくかというところを考える段階に来ていると。済みません、ちょっとまとまりありませんが、そんなことかと思っております。

【白石主査】 角南委員、この件について何かございますか。
【角南主査代理】 狩野先生に外務省の方に行っていただいているので、外務省とここの文部科学省との連携というのは、ある意味でこういう委員会を通してもスムーズに情報共有がされていくのだろうなと思います。それについて言えば、さっきの若手というところのコミュニティーと、この文部科学省内のコミュニティーとうまくつないでいっていただくのも1つあると思うんですが、そもそもの最初の科学技術外交の議論をした内閣府はどこに行くのかなというのがあって、実質、外務省と文部科学省さんでしっかり連携していただくというところから始めるのかなと思っていますので、是非またいろいろお願いします。

【白石主査】 ほかに何かございますか。
【相田委員】 今の御報告を伺っていて、いろいろなことをやってきたし、いろいろなことをこれからもやっていくのだろうなと思うのですけれども、それの評価指標というか、どういうものでその達成を評価するのかなというような視点で聞いていたんですけれども、きょうの最初の資料の7ページ目あたりに国際共著論文数だとか、研究者の数だとか、そういうものをある程度指標として想定しているのだろうなと思いますけれども、もう少しほかの指標というのは、もし検討しているものがあったら教えていただきたいと思うんですけれども。
【上田戦略官】 科学技術外交という文脈で捉えると、冒頭、定義の説明がありましたけど、外交のための科学と科学のための外交と。科学のための外交ということであれば、冒頭説明したような国際共著論文とかいうのが指標になっていくのだと思います。科学活動が活発になるかどうか。もう一つ、外交といったものをどういった指標で捉えるか、これは政府全体の課題になるのかもしれないなと思います。
【白石主査】 この問題はものすごく難しい問題で、多分いろいろな指標をとらないと、ごく少数のセットのKPIにしますと、逆にそれでもって意図せぬ効果が生まれてしまうというのが、私が非常に強く感じているところです。ですから、実際今我々が関与していますGRIPSのSciREXセンターなんかでもこの問題はかなり真面目にというか非常に真面目に取り組んでおりまして、今のところこれというものは、多分今どころかずっとないのだろうと思います。いろいろ試行錯誤するしかないだろうと。
それから先ほどの科学技術外交について申しますと、やはりサイエンス・フォー・ディプロマシーと、それからディプロマシー・フォー・サイエンスと両方あって、この組み合わせがそれぞれのある意味では分業の基本的な考え方になると。ですから、ディプロマシー・フォー・サイエンスは、これは恐らく文部科学省の所掌でしょうし、サイエンス・フォー・ディプロマシーは外務省の方の所掌になると。だけどこれは常に往復運動しなきゃいけないので、そこのところは多分やはりここも含めていろいろやる必要があるだろうと思います。
【武田委員】 最初の整理で、予算の全体像という前回のこの会議で指摘といって、ちゃんと答えていただいて本当にありがとうございます。というのは、全体像を見れると非常にいいと思うんですが、ちょっと暗算で足したら全体で1,000億ぐらいというのが正しい理解でよろしいですか。今日のところでいうと、3FAで。
【上田戦略官】 文科省の予算は全体で5兆円強ございます。そのうち科学技術予算と呼ばれるものは1兆円弱、9,000億円台ですね。
【武田委員】 そうですよね。では、きょうの最初の国際という範疇はそのうちの1,000億だと思ったらよろしいですか。
【上田戦略官】 これはなかなか難しくて、戦略創造事業プログラム、これは国内向けのCRESTとかのプログラム、これを国際というラベルが張れるかどうか、これまで張られていなかった、しかし最近国際連携の話が進んでいるというグレーな部分があるのは前提とした上で、そういった集計もあり得るかもしれません。
【武田委員】 もちろんそうですね。だから、今の直前の議論とも関連するんですが、じゃあ仮に1,000億だとしたら、これがどういう経済価値を将来にわたって生むのかというのが一番の欲しいKPIですよね。それで、それは途方もない話かと思うのですが、ところが、実は私、随分前なんですが、アメリカのFRBの議長だったグリーンスパンさんから呼ばれて、数人のそういう議論ってアメリカではやっているんですよね。だから、そういうことは諦めずにきちんとやっていくと、まずKPIがちゃんとしたのが生まれたら非常にいいのではないかと。
そのKPIに向かっている施策というのはほかに随分あるのではないかと、今の話であれば1兆円のほかのやつだってみんなそれに向かっているわけですよね。そうすると、そういうのをちゃんとカウントするような国全体の仕組みというのが、大学も含めて生まれるでしょうし、それが出来た瞬間に、今度は他国と比べられるわけですよ。私、ドイツ工学アカデミーとそういう議論をしたんですが、だからやっぱりドイツと日本じゃ科学技術のポートフォリオは全然違いますよね。そこで相互に弱い部分を補うみたいなのが本当の国際協働になろうと思いますし。
それからもう一つだけ言わせていただくと、名古屋大学さんからあったスウェーデンの話ですよね。スウェーデンというのは、多分SDGsはあそこから始まったという面もあって、プラネタリー・バウンダリーはあのストックホルムから始まっていますから。そうすると、そこの話というのは今なかったのですが、私、スウェーデンと共同でやるのだったら、例えばプラネタリー・バウンダリーに集中して共同研究やっていくのではないかと思うようなところもあります、何かそういうメリハリのついた戦略というのは全てそのKPIから始まるのではないかとすら思えるものですから、やっぱりそこは是非努力していただきたいなというふうに思います。
【白石主査】 SciREXセンターでは、スパイアスといって実際に科学研究費から実際パテントに至るまでのデータベースも作っております。ただ、その効果というのは時間のスパンをどのくらいにとるかによっても全然違ってくるものですから、なかなかそう簡単にいかないというのもあると。
【武田委員】 全然簡単ではないのは明らかで、それで、詳細にやっていったらもう切りがない話ですが、非常に桁でどうなっているかというような話を大ざっぱにやるようなところから始めるというのは常道じゃないかなというふうに思うんですね。
【白石主査】 ほかに何かございますか。【小川委員】 今、メリハリというお話も出ていましたけれども、それに関連するんですが、お伺いしていて、科学のための外交、外交のための科学、そこに産業競争力の視点はないのかということを非常に感じました。先ほどJSTさんから主要国の動向を1枚にまとめていただいて、本当に分かりやすくて、そこに、どの国を見ても非常に色濃くそれぞれの国の産業競争力の観点が出ていると思うんですね。で、日本で科学技術外交を進めるときに、ただ外国の研究者と混じり合うことが、多様性が重要と、そこは確かにあると思うんですけれども、それだけで終わらないで、その結果をいかに我が国の競争力に結び付けるかという戦略はすごく重要じゃないかと。特に量子とかAIとか、本当に今各国がしのぎを削っているところで何か一緒にやっていくという話のときには、ただただ一緒にやりましょうではなくて、それをいかに我が国の強みに結び付けるかというところまで戦略的にやるべきではないかというふうに感じました。

【白石主査】 ほかに何かございますか。
【狩野委員】 少しだけよろしいですか。短くですが、武田委員と今の小川委員のお話と関係して、今度は基礎科学者の帽子でしゃべりますと、やはり全部が全部産業用というような位置付けになると非常に苦しい思いをしている基礎科学者はたくさんおりますので、例えば某国の防衛予算の研究費に投じた場合に成功率が何%という決め方をしていますし、あるいは今回のEUのHorizonの次のものについては、何に何%ぐらいという割り当てで考えがまとまっているようでございますので、例えば産業に1年以内あるいは5年以内あるいは10年以内につながるような研究への投資がこれだけ、それからもっと未来に向かった投資がこれだけ、その結果としてのリターンは1年あるいは5年スパンで返ってくるものに関して計算はしますけど他のものはしませんとか、何かそのような決め方が我が国もそろそろ要るかなという気がしております。何かあると、全部がそっちに行って、また全部がこっちへ戻ってくるというのがよく起きますので、少しそのような議論もできたらいいなと思います。
【武田委員】 産業用はそんなに狭義に捉えなくてもよくて、50年後にこんなことに経済価値を生むのだというのでもいいじゃないですか。

【白石主査】 ほかに何かございますか。
【角南主査代理】 これはさきほど小川委員の仰った産業競争力に関連しますけど、やっぱり外交というか国際戦略ということを考えると相対性が全てだと思っています。ですから、今日頂いた資料の中で、共著論文の一部だけはほかの国と比べて云々の伸び率がというのはあるんだけど、絶対的な額とか絶対的な交流事業の規模というのは、伸びていようが減っていようが、要は相手国あるいは世界においてどれぐらいの日本の位置付けがあるのかがあって初めての話なので、少々伸びていても、競争する相手が100倍伸ばしていたら全く意味がなくて、外交的に効果が上がっているのか、国際的な競争力につながっているのかと、全てそこに行くわけですよね。ですから、それこそ河野大臣じゃないけれども、隣の某国のカウンターパートがどれぐらい年間に海外の首脳と会っているのか、それに比べて国会で我々なかなか外に外遊ができない中で、これだけですと、では今日見せていただいた林大臣は、比較的に海外の方とよく会ってこられた文部科学大臣だと思うんですが、それがではどれぐらいの世界の、例えばEUのカウンターパート、NSFのカウンターパートに比べてどれぐらいのあれで効果を上げているのか、あるいは科学技術外交、それぞれ2国間の科学技術委員会をやっていますけれども、それがではほかの国の似たようなものに対してどれぐらい我々が意味があることが効果が上がっているのか、全てやっぱり相対的に見ていかないと、多分ここでの議論につながっていかないので、そうすると何かもっとやれとか、ここがもっと重要だという応援になっていって、で、外務省の方にも響くのかなという気がしました。

【白石主査】 それでは次の議題、STI for SDGsに移りたいと思います。
【吉田補佐】 資料6を御覧ください。119あるうちの82ページ目から始まるものです。「STI for SDGsと文科省における基本方針等について」というタイトルでございます。
2枚目から、まずSDGsについてということで、皆さん御存じかと思いますので簡単に、17の目標と169のターゲットがこういった形で定められておりますということで、次のページから日本政府の取組を紹介しています。総理をトップとするSDGs推進本部というのが設置されており、SDGsの実施指針が決定されております。実施指針は次のページにございますけれども、ここで8つの優先課題のうちの3番目が成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーションということで、優先課題に位置付けられております。
さらに次のページです。同じく推進本部で決定された「SDGsのアクションプラン2019」のポイントということなんですけど、1番目の柱に、SDGsと連動するSociety5.0の推進ということで明確に位置付けられています。後ほどこれに関して小川委員の方からも御発表いただくことになっております。
次の88ページの方からです。これは国連における動きですけれども、国連の方でも国連総会の下にある経済社会理事会に国際ハイレベル政治フォーラムというのがあるんですけれども、これに向けてSDGsのためのSTIに関する国連機関間タスクチームというのがございます。ここに10人委員会というのがございまして、このメンバーに日本も参加しておりまして、日本からはJSTの中村顧問が選ばれております。
1枚飛ばして90ページの方です。中村顧問には、専門家会合ですとかハイレベル会合等に御参加いただいて、STI for SDGsのロードマップの策定の推進活動といったことを行っていただいております。
次の91ページ目からは文部科学省の取組になります。昨年4月ですが、STI for SDGsに関する基本方針を策定しております。政府全体の取組に積極的に参加して主体的に貢献していくこと、また、創造的・革新的技術シーズの創出とバックキャストデザインの効果的な組み合わせによって、多様な専門家が分野等を越えて結集し、新たなアイデアを創出することを促進していこう、人材の育成にも取り組んでいく、そういったところが示されております。
次の91ページからです。文部科学省施策パッケージというものを昨年8月に策定しております。これは施策連携によりどのような成果が期待できるかといった観点から、主な文部科学省のSTI施策というのを整理・体系化したもので、分野横断的・共通的な取組というものと、一定のまとまりごとに捉えられる分野ごとの主要取組というものに分けて整理をしております。共通的な取組においては、STI for SDGsと、あと地域で学ぶ次世代を原動力とした地域社会課題の解決のための取組といったものが新たにスタートしているところでございます。
最後の92ページ目です。STI for SDGs推進による科学技術政策への想定されるインパクトということで考えているところでございますが、まずはそのSDGsというものが共通目標、共通言語になることによって、国際協力のようなものが連携協力しやすくなるということ。そして、モノ作り・モノ消費といったところからコト作り・コト消費への転換によってイノベーション、エコシステムの変換が起こり得ること。また、SDGsに取り組むことによって新たな科学技術の潮流が生まれる可能性がある。そしてこれまで関わらなかったステークホルダーというのをこの科学技術のイノベーションの担い手として巻き込めること、そしてこのSTI for SDGsというのを推進することにより科学技術の活動等が社会的価値という軸が出来ること、こういったことが考えられるのではないかということでまとめております。
以上になります。

【白石主査】 それでは次に、小川委員から、日本経済団体連合会における取組について説明をお願いします。
【小川委員】 STI for SDGsについてということでお題を頂いていますけれども、経団連ではSociety5.0 for SDGsというものを中心課題に掲げておりますので、そのタイトルでお話をさせていただきます。
Society5.0については皆様ある程度御存じだろうと思いますので、ここで改めて詳しくお話しすることはしませんが、経団連の中西会長が昨年新しく会長に就任しまして、中西会長は、政府の科学技術基本計画でSociety5.0を初めて第5期に打ち出したときの委員の一人でもありましたし、また、for・SDGsと言い始めたのも副会長時代の中西さんだったということで、非常に両方とも思い入れが深いという状況です。自分が会長に就任して、改めてこれの普及浸透と実現を図るんだということで、議論をし直して示したのがこちらのSociety5.0というお手元にお配りしている提言になります。日本語版は今日印刷が上がってくるということで間に合わなかったので、お手元のものは英語になっていますけれども、御容赦ください。
この内容ですけれども、前提として、96ページぐらいまで飛んでいただいて、先ほどからの御説明の中にも出ていますように、デジタル技術の飛躍的な進展というような技術的な変化とか、中国の台頭のような地勢学的な変化、それからSDGsとかESGへの関心の高まりといった世界的なマインドセットの変化というものを、こちらを取りまとめるに当たって踏まえております。一言で言えば、科学技術を使って何をしようではなくて、技術の変化というのはもう所与のものであって、既に私たちの産業とか社会とかをどんどんどんどんパラダイムシフトさせつつあるという、この現実はもう逃れられないという前提の下で、ただ、それをそのまま放っておくと必ずしもいい方向には行かないのではないのかと。例えば特定の企業がデータとか富を独占してしまって非常に格差が大きくなるとか、よからぬことに使うとか、実際にそういうことが今起こり始めているわけです。あるいは、政府が集中的に国民のデータを管理して管理社会のようなことになっていく、そういうことが実際に起こりつつあるわけなんですけれども、そういう社会にしていくのではなくて、この技術革新、デジタル・トランスフォーメーションというものをもっとよりよい社会につなげるために使っていくということを打ち出そうではないかというのが今回のSociety5.0ということになります。
つまり、98ページにあるように、そのままにしておいたら技術の進歩というのはどこにつながっていくか分からないけれども、これをより人類が幸せになる方向に使っていきましょうということを打ち出すことで日本の強みにしていこうという考え方が今回のSociety5.0の新しい考え方になります。
それをどういうふうに打ち出したかということですが、大分飛んでいただいて102ページのところになりますけれども、デジタル・トランスフォーメーションをよい社会の方につなげていく、そのときに鍵になるのは、人間にしかない、決してAIとかそういった技術、機械によって代替されることのない、人間ならではのイマジネーションとかクリエーティビティー、そういったもので技術をどのように使ってどんな課題を解決しようかということを考えられるのは人間だけで、そういう多様な人々の創造性によって課題解決とか新しい価値を生み出す、そういう社会を作っていこうと。なので、創造力を使って創造していく社会ということで、Society5.0を私たちは創造社会というふうに新しく名付け直しました。これまでの超スマート社会という語感から、何となく技術を使うことありきみたいな感じで理解されがちで、そうすると、私たちが会員企業などに説明していても、そんな最先端の技術を自分たちは使わないとか、そんな技術オリエンテッドな社会にしたくないとかいったような反応がありましたけれども、したいとかしたくないという話ではなくて、もうそういう技術革新はどんどん来てしまいますよ、そのときに私たちはただそれを受け入れてどんな社会になるんだろうと不安がっているのではなくて、いい社会にしていく責任があるんですよということを経団連として打ち出したつもりです。
いい社会って何だろうというところで、その次の103ページのところにあるような、幸せな社会って人によっていろいろあるので、なかなか一概には言えないのですけれども、大体共通の価値として、効率性よりも価値創造だとか、これまでのような均一性ではなくてもっと多様性が許される社会にしていくとか、さっき言ったようなデータや富の集中ではなくてもっと分散化して格差がない社会とか、リアルにもサイバー的にも強靱な社会とか、持続可能な自然と共生できるような社会、技術革新をそういった方向に向かわせていきたいというふうに私たちは考えるということを打ち出しました。
こうした方向性というのは、次のページにありますように、SDGsが目指しているものと同じなんじゃないかということで、Society5.0を実現することによって、私たちはSDGsも達成していくことができるというふうに考えています。
具体的にはということで、幾つか提言の方では例を書きました。後ほど本文の方をいろいろ見ていただければと思いますけれども、ヘルスケアであればデジタル技術とかデータ、もちろんバイオテクノロジーの進歩なども使って、より個別医療化ですとか治療の前段階の未病からのケアということによって健康寿命を延長できると。それによって日本の超高齢化社会の課題解決だけではなく世界中の健康の問題に貢献できるというふうに考えています。
また、農業の分野でも、農業の生産性向上にいろいろな技術が使えますし、また、いろいろなところのデータを連携することによってフードバリューチェーン全体の最適化も図ることができる、これは日本の国内の農業の問題、食糧の問題にも関わりますし、もちろん世界全体の食糧問題の解決ということにもつながるのではないかと思っております。
経団連としては、こうした考え方を会員企業全体に共有していただこうということで、経団連の会員の憲法のようなもの、お入りいただく際には必ずこれを守ると約束していただく企業行動憲章というものがあるんですけれども、こちらを一昨年改定しまして、もう全編Society5.0 for SDGsに基づいて大きく作り直しました。ということで、会員企業全体がこちらの方向に向かって取り組んでいくということになっております。
108ページにありますように、3月に経団連が東京で主催しましたB20、G20に提言する産業界の会議ですけれども、こちらの方でもSociety5.0 for SDGsを全面的に出しまして、いろいろな議論を行ったところでございます。
その場でもいろいろと具体的な事例の紹介などもしたんですが、これは本年7月となっていますが、昨年7月にこのような企業のSDGsに向けたイノベーションの事例集というもの、本日お手元にお配りしておりますけれども、こうしたものも日本語と英語でまとめておりまして、国連の会議などでも紹介したりしているところでございます。
この中身は一つ一つ説明することはいたしません。言えるのは、御覧いただくと、日本企業は本当にいい技術を持っているなということはお分かりいただけるかなと思います。ただ、その次の資料の110ページのところにありますように、この三角形が重要ですけれども、日本企業は左下の、知を作る、技術を開発していいものを作るというところは物すごく今までもすぐれていたと思うんです。ただそれだけではなかなかSDGsに貢献できません。いいものを作ったけれども売れないとか、ビジネスとして成り立たないというようなことが今までにいっぱいありました。今、データを活用しましょうみたいな話をしていても、こんなデータがとれて、連携するとこんなことができますというんですけど、それは誰がそのお金を払うんですかというところで詰まるみたいな話は今でもたくさんあります。なので、上の四角にありますように、ビジネスモデルがしっかりできていないといけないというところがすごく重要だと思っています。さらには、それでマーケットがきちんと確保できなきゃいけないんですけれども、ここに右下のルールを作るというところが物すごく影響してくると思っています。この部分は本当に日本企業は今まで弱かったかなと思っています。
SDGsというのは何かそれを達成することがいいことだからやっているのではなくて、ルール形成そのものだと思っています。先ほどのJSTさんの各国の戦略の中で、欧州のところの地球規模課題と欧州の産業競争力という言葉が一列に並んでいるのを見て、ものすごく象徴的だなと思ったんですけど、欧州は必ずここをセットで考えてきています。私自身も地球気候変動問題に関わったこともありますし、それからWTOのサービス貿易で環境サービスの自由化というところをやったこともあるんですけど、欧州は必ずここで非常に地球のためということを全面的に打ち出しながら、自国、自地域の産業にとって非常に有利になるようなルール形成を巧みに仕込んでくるというところを本当に肌で感じながら交渉しておりました。SDGsも本当にこれは、先ほどスウェーデン発という話もありましたけれども、私は全く反対するものではありません。地球規模の課題解決、非常に重要なことだと思いますが、そのゴールの設定の仕方のところに色濃く欧州の競争力ということが反映されていると思っております。ただ、これはもう世界の共通言語となりつつあるので、これそのものに反対することはできませんが、これから日本が持てる技術がいろいろな創造力を持って、これをどういうふうに実現するかというところを、逆にSDGsに沿った形で日本がルール化していく、こういうやり方がいいんだよということをルール形成していくというところがこれから非常に重要になってくるのではないかというふうに思っております。
そういうことをするときには、企業が単体ではできません。もう幾つかの企業、同じ業種も異業種も集まって、例えば標準化をやりますとか、いろいろな知財の戦略をやるですとか、そこにはまさに外交も非常に重要な役割を果たします。非常にルール形成の場面も国が前面に出てきて高度な駆け引きをしながら行われていきますので、企業だけでは取り組めません。そこで、政府ですとかアカデミア、企業といったものが一体となって、もちろん外国のいろいろな主体とも連携しながら一緒になって実現していく、それによって地球規模の課題も解決しますし、日本の国際競争力も向上させる、それによって日本はそこで得た利益をまた次のイノベーションにつなげて、また地球規模の課題を解決していくという持続可能な好循環を生み出していくべきではないかと思っております。
以上でございます。

【白石主査】 それでは次に、上田戦略官、よろしくお願いします。
【上田戦略官】 資料8で御説明いたします。これまで発表がございましたように、STI for SDGsには国内の取組あるいは国際取組両方の側面があって、時に一体不可分ということだと思いますが、文科省における国際取組について、ASEAN、アフリカにつきまして今取り組んでいる内容を御説明いたします。ある意味SDGs科技外交とも呼べるかもしれません。
次のページを御覧ください。日ASEAN STI for SDGs ブリッジングイニシアチブというものをASEANと合意して開始しようとしております。背景にございますとおり協力の歴史があり、SATREPSという具体事業を開始して10年になりました。近年では研究フェーズから卒業課題が毎年出てきていて、SDGsへ貢献する事例が見られます。したがって、社会実装の促進に向けて一段階ステップアップする時期と。この社会実装に当たっては、右側にございますように、研究開発のステークホルダー、真ん中に近年の事業を書いております。SATREPS、e-ASIA、CHIRP/JASTIPといった事業がこの10年に文科省として開始してございます。こういった研究開発のステークホルダーと社会実装、これには民間企業、出口省庁、NPO、国際金融機関みたいなものが関係すると思いますが、この間のつなぎ、ギャップの橋渡しをどうしようかといった課題がございますでしょうから、それについてASEANと議論してみたということです。
内容の説明に入ります前に、次のページから具体のSATREPSの事例を御紹介したいと思います。次のページはタイのバイオディーゼル燃料案件です。写真の方で説明しますが、左側にありますように、タイ・東南アジアにはこういったジャトロファといった木があって、バイオディーゼル燃料が取れる。SATREPSで、右にありますようにパイロットプラントまで現地の人と作って、ガソリンのようなバイオディーゼル燃料を作った。これがタイのエネルギー省も参画して実車走行試験まで行われているという科学技術イノベーションの成果があった上で、社会実装の状況、下にありますけれども、タイのエネルギー省のエネルギー計画の中でこの技術が新規燃料として明示された、タイのエネルギー省の資金で実用化事業が実施中、ASEAN地域の展開にも有益と考えられる、こういった事例が出てきているということです。
次のページは、インドネシアにおける二酸化炭素地中貯留、CCSと言われる技術でございますが、赤字のみ説明しますけれども、このSATREPS課題でCCS技術の体系化、知見を獲得し、インドネシアで初の標準作業基準書を作成し、技術的指針まで作った。社会実装の状況にありますが、これにつきましてアジア開発銀行が参画して、東南アジアで初となるパイロット事業に向かうという覚書が締結されています。こういったものもASEAN地域へのCCS普及展開が期待されると。
次のページは、ベトナムのイネ育種技術です。イネゲノム技術を使ってイネの品種改良システムを構築、有望なイネ系統の品種改良に成功、これがベトナム側の国家品種登録というラインにのりまして、サイバー法のガイドラインも作った。こちらについてはベトナムのゲアン省の下でこのイネ系統の作付けが拡大していたりします。
以上3つ事例として御紹介しましたが、こういった事例が毎年10件程度採択しますので、毎年10件程度卒業課題が出てくるという状況にあります。
最初のページに戻っていただきまして、こういった状況をASEAN側と共有して議論したところ、このつなぎのところを一緒にやっていこうということになりまして、本イニシアチブを構成するものとして4つほど、1つはフォーラムを開催しようということです。ASEAN事務局、ASEAN諸国政府の関与による調整を得まして、テーマに応じて出口ステークホルダーも交えたワークショップ形式の会合を開こうと。出口ステークホルダーによる実務検討につながればいいだろうということでございます。
また、2番目として、SATREPS課題に対してビジネスモデルのブラッシュアップ支援を今年度予算から開始することにいたしました。事前の準備という意味合いが強いです。また、ASEANの若手行政官、これは将来のASEANの科学技術政策を引っ張っていく行政官と一緒にこういうことを議論して一緒に学んでいこうという機会設定もいたします。あるいは情報の共有・活用ということですけれども、右側にございますように、このフォーラムは、年1回をイメージしていますが、若手研究者によるピッチ、ネットワーキングだけでなくて、分科会とありますけれども、こういった分科会で、一つ一つの課題で、もしどこか社会実装につなぎたい、つないでいきたいというところがあれば、そこに出口ステークホルダーも呼んで議論してもらうという場を一緒に作る。それに当たっては、右にありますように、政府間調整促進メカニズムというのが今回構築できましたので、誰を呼ぶかというステークホルダーリストを一緒にASEAN側と作成して共有して参加働き掛けを行うことで、ASEAN側の出口ステークホルダーの認識向上にも役立つのではないかと考えています。これにつきましては、右下にございますように、去年10月に合意できましたので、11月の日ASEAN首脳会議にも掲載されました。なお、2019年、今年の10月にタイで第1回のフォーラムを予定してございます。
3ページ飛びまして、次はアフリカでございます。今年は御案内のとおりTICADの年でございます。8月に横浜でTICADが外務省により開催されます。この機会を捉えてTICAD7のサイドイベントとして、文科大臣とアフリカの科学技術関係大臣の対話会合をしてはどうかと考えています。題名はAfrica-Japan Ministerial Dialogue Meeting on STI for SDGsということで、文科省主催、3つのファンディング・エージェンシーに共催に入っていただいて、また、外務省、内閣府も非常に協力的でございまして、中身を連携してやっていこうということになっています。TICADは8月下旬に3日間ありますけれども、その初日のサイドイベントで横浜でやると。議題は、今後企画も含めて皆さんの御理解、御支援を今後も頂きたいんですけれども、まずは岸先生の提言が最近出ましたので、3つの柱の提言を頂いていますので、STI for SDGs、人材育成、そしてICTを通じた社会実装といったテーマでダイアログをしてみてはどうかと現在考えております。
最後のページでございます。現時点の文科省のアフリカに対する協力をどう考えるかというところを1枚にまとめてみました。左側にありますように、現状認識としては、アフリカの成長ポテンシャル、御案内のとおり中国、インドを抜く人口あるいは2050年には世界の若者の4割がアフリカの方、大都市の出現、中国だけでなく新興国もアフリカ進出を今加速している。一方で、アフリカの自己変革への意欲、みずから開発と改革を自分たちでやっていくというのが明言されるようになってきました。それは科学技術イノベーション分野でも見られると考えておりまして、下にありますけれども、NEXTアインシュタインフォーラムというような才能ある若手人材を育てて次のアインシュタインをアフリカから生み出そうといった動きもございます。
こういった中で、今後の方向性として2つぐらいあるのかもしれないなと今考えているものが、1つが社会実装、ASEANでやっているようなことをアフリカでもやっていけばどうか。というのも、日本の研究者は結構現地に入り込みをしている。あと、SDGsが共通言語性があるということで、ちょっと書いてありますけれども、例えばガーナには東京医科歯科大学さんが歴史的に入っていらっしゃいます。ケニアには長崎大、ザンビアには北大、ボツワナには秋田大学さんとかが入っていらっしゃいます。こういったところを足掛かりに社会実装を進めればどうかというのが1つ。もう一つは、人材育成・キャパシティービルディングということで、パンアフリカンのマルチのファンディング機関協力に乗り出せばどうかということを今JSTとAMEDで考えてもらっています。これは東南アジアでは2012年から開始して実績を積み、東南アジアのファンディング・エージェンシーとこの両機関は結構仲よく、かつ向こう側のキャパシティービルディングとなっている状況があるので、それを今度アフリカで、どこか主要国を入口にしながらということだと思いますが、開始してはどうかということを今検討している最中でございます。

【白石主査】 それでは、自由に質問、コメント等ございましたら、よろしくお願いします。
【狩野委員】 今度は自分の足元でSDGsを進めている人の経験の意見ですけれども、やはり足元で進めようと思うとなかなか大変でございまして、管理監督者としてやろうといって旗を振るのは大変簡単なんですけど、実体化するのは難しいなという経験を少し共有させていただきます。
1つ目は、政府アワードを我々の大学は頂いたのですが、それより前は、私がSDGsやろうというと、みんな、は? という感じだったので、やっぱり信頼付与がないと始められないなということが1つございます。この点では今回のJST様がそのようなアワードをまた新設なさっていますので、更に自信を持つ人たちが増えるといいなと思います。
それから次が、箱としてどんなメカニズムがあったらいいのかというのがまたなかなか簡単ではございませんで、大学だけだと当然できないわけでございまして、一応徐々にできてきたのは、周りの市町村とか、経済団体さんとか、あるいは高大連携の一環のような感じもしますけど、近くの高校の方が興味を持ったので大学と一緒にやりたいという話をしてくれて、徐々に出来上がってはきました。問題はそこで、さっき経団連としてのお話がございましたけど、今岡山にいるので、岡山の地域経済の発展にもつながるようにするにはどうしたらいいんだろうということになるわけなんですけれども、これはなかなか簡単ではありませんで、地域の買い物ができる人の人数は限られているので、地域だけで閉じたような話をしてしまうと多分無理なのだと思われます。そのときに、じゃあどうやって外の市場を見付けるかということですけれども、日本国内もさることながら、SDGsは共通言語ということを活用できると、外務省の話ともつながり得るんですが、例えば在外公館なんかからでほかの場所では現地としてどんな課題を持っているのか、それがもし分かって、そういうリストを我々が知っていれば、我々の足元にあるどの課題がほかとつながれるのかということがもし分かってくると、そういう意味では経済をよくすることにもつながるかなということを期待しています。
それから、高校生たちはやっぱり大学生よりも更に柔軟だし、大人よりもっとずっと柔軟なので、これで取組を始めた瀬戸高校というところの学生さんが、最近何か南海トラフがありそうだから、水の補給だけじゃなくて塩の補給も要るよねと。地盤にしょう油屋さんがあるので、一緒に飴を作りましたとかいって、それを備蓄に入れませんかとかいうのを始めたりとか、それからあと、近場で根菜類の余りが多いと。それを練り込んだパンを作って売りますとか、それからもう一つ、桃が有名ですね、桃の余りを使って化粧品を作ってみましたと。それは、そこまで行ったんだけど、あと臨床試験をしなきゃいけないのをその後で気がついて、それには2,000万円お金が要ると分かったので、近くのなんとか銀行というところに行って借りようと思ったら、未成年だから貸してもらえませんでしたという経験をしたとか、いろいろおもしろいことが起きていて、こういうようなことが、今までの学問の世界はそういう意味では何かそういう方向の学問というかチャレンジはおおよそサポートしてこなかったわけですけれども、こういうような科学としてもしかしてすごく未熟かもしれないですけれども、でも理由が付けば非常にいい活動になり得るものというのを学問としてサポートするという側の活動もあるといいななんていうことを最近思っております。
でもそうすると、箱だけではなく中身の話につながってきたのですが、中身の話としては、私はもともと医者なので、相手が何を求めているかちゃんと聞かないと医者として通用しないわけです。お客様としてやってこられた患者様が何に困っているかが分からない医者なんて、ここが痛くてやってきたのに、何か違うことを治されて帰されたとかいう文句の素になるわけです。これと同じことは外交でもSDGsでもあると思っていて、結局のところ、相手は一体何を求めているのか、TICADのこともそうですし、ASEANのこともそうですけど、現場に行ってちゃんと聞いていますかという話は大変大事かなということを思うわけですが。
それと加えて、こういうものに対して科学をやろうと思うと、物質科学だけでは当然返事ができないなと思っていて、今まで日本を含めていわゆる発展してきた国というのは、自然科学を基にして武力であるとかあるいは産業力であるとかを高めてくることによって発展したという道筋をとってきたので、自然科学は非常に大きな支援を受けてきたわけですけれども、実際、成熟して問題だらけになってくると、問題というのは、要は我々の頭の中にあるわけでして、それを解明する学問というのは、物質だけじゃなくて、やっぱり人文社会科学が大変大事になってくるわけですけど、こちらの面がやっぱりまだ弱いなということを今実感中でございます。
ちなみに、産業の話に戻りますと、近年我々の大学のホームページを新しくしたので、見てやっていただければと思いますが、ちょっと投資しましたので。で、その会社さんから教えていただいたのが、関西の企業が、経団連が東京でこれが大事だと言っていても、関西の地場企業はそうだとまだ全然思っていないと。ところが、大阪万博のメーンの主題がSDGsになったので、さすがに乗らないわけにはいかんという話になってきたらしくて、頑張りたいと言っていると。だけどどうやって頑張ったらいいかよく分からないという話になっているみたいで、このあたりが上手にまた回っていくといいなということを思っておりますし、先ほどお話があったとおりで、SDGsに適したルールというのがサイエンティフィックにもし支えられる形で我々から出せれば、説得力を持って先方に伝えることもできるでしょうし、こういうようなことを今後できたらいいなということは思っております。
いずれにせよ、大学でこういうことをやるのは、私の出身である旧帝大では、そんなものお金にならないからやるなと言われそうですけど、今のところ、地方大においてはお金にとにかく困っていますので、何かやって名前が上がるなら是非やってよみたいな感じになっていて、そういう意味では非常にやりやすくていろいろトライをしているところでございまして、何かの先進事例に使っていただければというふうに思っております。ありがとうございました。

【白石主査】 ほかに何かございますか。
【松本委員】 関係するお話になりますけど、WPIの事業とかをやっていて非常に大事だなと思うのは、やっぱり社会ニーズがどこにあるか。意外と知っているようで知らないことがいっぱいあって、まさにその対話の場がどこかにあるというと非常に役に立つなというふうに思います。我々、うちの研究所に関して言えば、実用化を目指した研究をやるのではなく、実用、こういうニーズがあるというものにインスパイアされて、そこに何かつながる基礎研究をやっておけば、何か誰かが使ってくれるだろう、そういうスタンスですよね。やっぱり大学は基礎研究という意味ではそういうスタンスになると思うので、そこを実現するためにはやはりそういう仕組みが欲しい。
それから高校の話もまさにそのとおりで、たまたまSSHで岡山のとある高校の委員をやったことがありますので、思うんですけど、SSHの取組ってすごくよくて、今ここは教育の話までは入ってきてないと思うんですけど、あれをきっかけに、何もないと高校生は何もしないんですけど、ある程度こういうのをやったらどうか、あるいはやれと言われると、動きますよね。すごくいろいろなことを考えて、新しいテーマを考えて、新しい技術、我々だったらまさかそんなことをやらないよねというような突拍子もないことをやるので、そこの施策というのをやはりリンクさせるべきかなという感じは非常にしています。
以上です。
【竹山委員】 今、経団連の中の考え方というのは非常に私たち普通にアカデミアでも感じるところが実はあって、SDGsというと、世界のために何かJICA的な発想がすごく多いと思うんですけど、私たちが例えばバイオの世界へ行くと、それをベースにしたような話で倫理問題が重ねられてしまっていて、例えばヨーロッパで、お化粧品は日本で動物実験しているものはヨーロッパに入らないとか、そういうことが起こるわけですね。その根本には動物実験、いろいろな意味があって使わないとか、それでも法制度としてのっかってしまうと、それに合わせて日本側は日本の中のマーケットへとやはりもっと大きいマーケットを探さなきゃならないので、技術開発をまたしなきゃいけないという、そういうスパイラルが回ってくるんですね。
それと、先ほど戦略といったのは非常に大きくて、日本の中での認可、例えば今ゲノム編集のことも騒いでいますけれども、みんなどうなるかというのは、文科省さんも含めて厚生省とかいろいろなところからの認可の動きを見て、サイエンスの動向とそれに付随するビジネス展開をいうのを考えているじゃないですか。だから、そのときに性善説的に地球にいいSDSのためのSTIということもあるんでしょうけれども、やはりサイエンスも含めてそういう施策的な、特にルールとのマッチングを考えて展開をしていくというところのセンスがないと、もううまくいかなくなってきているという状況はあって、そういうことを考えると、日本は戦略が遅いんですね、いつも。逆に言えば、日本がSDGsにおけるきちんとした方針を出して、それを世界に出そうとする政府の大きな仕組みがあれば、それをにらみながら、ビジネスはちょっと先は走りながら技術開発していけるんですね。それがどうもちょっとずれちゃっていて、いつも後追いになっているので、今みたいな環境ビジネスも後れてしまうし、今、環境ビジネス以上に人関係も含めて健康ビジネスというのはやはり大きいので、ちょっとそこを、Society5.0というのをもう6.0の世界の考え方だと、幾つまで行けばいいのかというのはよく分からないですけれども、ちょっとそこを本当の意味で、別にアカデミアは基礎研究の中にそれも入ってきているので、どこで誰が話をしているのかなというのはちょっとあります。
【岩崎委員】 人文社会系の対応というのは決定的に後れているんじゃないかというふうに狩野委員から御指摘ありましたけれども、それは本当に痛感をしておりまして、先ほどの科学技術外交も、それからSDGsも、今やアートかサイエンスかとかヒューマニティーかサイエンスかなんていうことを単純に分けられない時代ではありますけれども、そうはいってもやっぱりこの一連の議論の中で、大変人文社会系というのは情けない状況にあるということを感じております。だめなものはだめですねとつぶやいてもしようがないんですが、ただ、やっぱり作為的にそこのところをどういうふうに組み立てていくのかということは恐らく必要なのではないかと思います。Society5.0という野心的なある種の歴史像にのっかっていますと、恐らくSociety3.0というのはナショナルカルチャーで済んでいたし、非常に明確に固いナショナルカルチャーでもって対応ができていたし、それで1つの対応関係というかユニバースができていたと思うんですけれども、恐らくSociety4.0が情報化したときに、それは過渡期でいろいろなところできしみが生まれて、いろいろコンフリクションが出てきたと思うんですけど、もしSociety5.0をそういうふうに新しく定義されるとして、しかもそれに向けてSDGsのことを考えていくとすると、そこのところでどういうふうにそもそも、例えば価値創造というときにどういう価値であるのかということですよね。で、全く新興の状態で人間は価値を作ることはないわけですから、やっぱり伝統社会との関係の対話の中で、やっぱり一定のコミュニティーなり一定の価値観の中に埋め込まれた形で形成されるわけで、そのあたりのロジックというのをただ単に個別の研究者に任せておくんじゃなくて、ある種そういう領域もSDGsに巻き込んでいかないと、やっぱり底上げというのはなかなかうまくいかないんではないかなということを、ちょっと伺いながら、まあ結局我々が頑張らなきゃいけないなということを自虐的に言っているだけなんですが。
【藤巻委員】 今の御意見、それから狩野委員の御意見と、大体私も一緒なんですけれども、実はSATREPS自身を、for SDGsというわけではなかったんですが、ちょっと支援をしたことがございます。やはり余りうまくいかなかった、正直言って。理由は、さっきおっしゃっていた人文社会系のところの問題で、技術だけではどうしようもない問題にぶつかったということなんですね。それで実は、大学として全体で支援をしていくというようなスタンスが必要なんですが、それをやっても大学として余り評価をされないと。ですから、是非文科省の方にお願いしたいんですが、大学評価の中にそういった項目を入れていただけると、エンカレッジを我々としてもやらなきゃいけないんだという外圧で、仕組みを作るということがしやすくなるというのは事実かなと思います。
【岩崎委員】 大学関係の中にはSDGsでやろうというのはもう出ていっていますよね。
【狩野委員】 それがですね、この間、韓国にてそのGHAの会議があったんですけど、結果としては、日本の大学はたくさん応募していたんですが全然上位に入っておらなくて、多分これはエルゼビアが出している研究指標を7割方の重みを付けて入れているということは大体指標を見ていると分かるんですが、その中にきっと、それこそ人文社会学系の皆様の日本語論文は収載されていないということも大きく関係しているのではないかなということは思いました。というのは、やはりブリティッシュ・コモンウエルスの大学ばっかり入っているんですね。それはそういう意味かなと思って、今度エルゼビアの人とそういうことができないかしゃべろうと思っていますけれども、彼らもそういう問題意識があるらしいので、はい。よろしくお願いいたします。

【白石主査】 ほかに何かありますか。
【岩崎委員】 さきほど、上田戦略官からアフリカのことについて御説明あったときに、例えばSAJUがやはり既にアフリカの大学と日本の大学とのネットワークを構築しているんですが、それとの連携というかそれとの連関というのは何かお考えになっていらっしゃるでしょうか。
【上田戦略官】 ©SAJUフォーラム、日本・南アフリカ大学フォーラムのことですね。
連携は今度5月に開催されると伺っていまして、また大学間交流のいい事例、そういう大学間交流に国としても協調行動するのがいいことだと考えていまして、文部科学省からも参加しまして、ファンディング・エージェンシーからも参加させていただいて、皆で議論を見守りたいなと考えております。よろしくお願いします。

【白石主査】 ほかにございますか。
【渡辺審議官】 少し補足させていただいて、それに加えまして、是非岩崎委員からの御知見も頂きたいのが、アフリカとの協力をしていくときに、個別の国との長いフィールドワークの関係でつながりが出来ているところが少し大きな力になりつつはあるんですけれども、やはり地域学的に考えたときに、アフリカのコミュニティーの作り方が、やはりフランス系のところと例えばイギリス系のところと、それを基にオーガナイズの仕方が少し違っているとか、やはりそういうまさに地域学的な視点でどういうふうに相手とどこのグループにどういうふうに入ると効率的なのかとか、そういう視点というのは私は常々必要だと思っていまして、現場に入っている方はもう分かっていらっしゃるところはあるんですけれども、外交に結び付けていくときに、大きな課題に取り組むときには、例えばそういう意味では旧宗主国の影響がそれなりにあるのであれば、そういうところと組むとか、もう少し大きな政策としてのフレームも考えられると思います。
それから、そのことに関連しまして、経団連さんの活動と文科省がやっていることのつながりで、済みません、1点だけで申し訳ないんですけど、お持ちいただいた資料の27ページにあるこの蚊帳ですけど、住友化学さんはピレスロイド系か知りませんけど殺虫作用のあるものが徐々にしみ出るように、まあ結構なテクノロジーを組み込んでくださった。これに対してすごくNGO的に活動している人から見れば、もっと安い蚊帳を10個配れるんだからとおっしゃる方もいるんだけれども、これはこういうことで始めたのに加えて、ビジネスとして成り立つということが必要なので、最初出来た一定量のセットを相手国政府だったかアフリカ開銀だったかに買い取ってもらったんですね。そうすると、開発経費――まあちょっとの研究費はもちろんSATREPSで出ていますけれども、開発経費プラス商売として、開発した人も住友化学さんの中でよかったねと言ってもらうレベルになると。そういうビジネスとして成り立つ視点。それから先ほど上田が説明したような、インドネシアでバイオ燃料をやっていくと。これで標準を取ったというところまではありだと思うんですけれども、さらにビジネスとして考えたときには、排出権取引のところまで考えを及ばせるとか、それからこういうクリーンな燃料ですと、バイオデータは必ず取らなければいけないんです。例えばそういうところは今海外のメーカーが全部押さえているんですね。そういうところのセットでビジネスとして、一個一個は利が薄いんだけれど、成り立つモデルを考えていくというのが、やはり経団連さんとして、やっぱりそこは得意分野だと思いますから、SDGsという視点で、いずれは自分たちに返ってくるものとして考えていただけるのはあるんじゃないかなと思っています。

【白石主査】 ほかに何かありますか。
【岩崎委員】 御指摘ありがとうございました。アフリカに関しましては、私が勤めております東京外国語大の場合、例えばポルトガル語の地域のアフリカ研究者とか、それからフランコフォンの人たちとか、アフリカ研究者ってかなり元気にそこに入ってやっているわけです。ただ、長い間、文化人類学は一つのマスターモデルみたいな形でずっとやってきているのが、ようやく今、私どもの方でも政治経済ということにフォーカスをした対応をしていかなきゃいけないとなっていくと、おのずとすみ分けを超えた形の調整を必要としてきておりまして、今少しずつですが、新しいセンターを作りましてやっているところでございます。現代アフリカ地域研究センター、一応社会科学系の経済と政治に特化した形のアフリカに対するセンターとして一つの役割を果たしたいなというふうに思っております。

【白石主査】 ほかに何かございますか。
【竹山委員】 今出たCO2の排出権の件なんですけど、これはすごく大きなビッグマーケットになるということで、日本の中でも何か具体的なところが動いていたはずだったんですけど、その実行が遅れて、私も身近にいたんですけど、もう現地に入っていて、もうこれで、要するにビジネスとリンクしているので、いきそうなところでもう企業の方もペンディングになっちゃったという話をすごく聞くんですけれども、そういうのは、文科省なのかちょっとよく分からないですけど、あと経団連として、必ず企業とマッチングして国からお金をもらって入っていって、その排出権のことを視野に入れた上での現地の産業化をやっているんですけど、そがを途中で本当にみんな立ち消えになっちゃっている部分が結構多いんですね。あれというのは、経団連が支援をするような内容になるんですか。
【小川委員】 個別企業のビジネスなので、経団連としては直接支援というのは難しいです。
【竹山委員】 やはり日本の弱いところは、そういうのを例えば10年先に大きなことになるのを分かっていて、中国なんか、何だかんだ言ってもそこは強いですよね。意外に草の根的に長いことをずっとやっていたりしているんですよ、実は。だから、日本がまずいのはやっぱりそこのところで、SDGsにすごく密接に関係しているけどビジネスにも関係しているというところで、やっぱりちょっと表面的な取組が余りにも多過ぎて現地は悲鳴を上げているという現状があって、それを各企業にと言われても、企業が実はリスクをとれない部分もあって、国の方針によって、すぐ排出権とそれが施行されればすぐそれが動き始めるけど、それがなかなか施行されないというのが現実問題としてあるみたいなので。だからもっとSDGsをやりなさいといっているんだったら、もっと実行力のある、例えばどこかターゲッティングをしてCO2排出権のことだとか、何かもっとフォーカスしてもいいのかなという気がするんですけど。

【白石主査】 ほかに何かありますか。はい、どうぞ。まず武田委員。
【武田委員】 今話題はアフリカとASEANの共同研究で、これは多分欧米とは全然モデルが違って、もっと近いところの経済効果を出さなきゃいけないという話だと思うんですよ。そのときには、きょういい事例を御説明をされたと思うんですが、それができたからじゃあ経団連とか企業ってやっても、なかなか大きな成果にならなくて、多分もっともっと大型化していくところまで文科省さんとしてきちっと踏み込まれるとどうかなとちょっと思ったんですが、それを思ったのは、ベトナムのイネの育種の話をされましたよね。ちょうど私この間、そこにおられる小林さんと一緒にベトナムへ行ってカンファレンスの主催してきたんですが、そのときに、ベトナムのハノイ周辺というのは95%の水が中国から来ていて、そこのかんがいのインテリジェントなコントロールは、育種以上にイネの向こうのGDPを相当稼いでいる食糧産業の相当な部分をコントロールできるから、そこにITを持ち込んで最適コントロールしたら、ベトナムのイネがもっともっといくというのがあったので、そういうのを研究テーマにやったらいいんじゃないかという話をちょうどしてきたところなんですよ、共同研究で。それは私が公募要項の責任があるから、余りそれは、ただの例として聞いていただきたいんですが、そうやってイネの育種の話とSociety5.0の話とこういうものを全部一緒くたにして、じゃあベトナムの食糧問題解決に日本はどんどん大型化していくんだみたいな、そういうめり張りのある戦略が立てられると、本当の意味で短期的な経済価値にどんどん結び付いていくんじゃないかなという気がするんですね。それはただの例なんですが、是非、事例をたくさんどんどん生む話とともに、何かこれはと決めたやつを各国別でいいから大型化するというようなところも一方で検討していただくといいかなというふうに思います。
【上田戦略官】 2点お答えしたいと思います。最初は武田委員おっしゃったことですけれども、私は、文部科学官僚として研究費を出してそこで終わりにしたいと思う方ではございません。やはりいい成果が出来れば、その次にバトンタッチしていく、そこまで文部科学省は目を配るべきだと私自身考えてこのアフリカとASEANのイニシアチブを推進しているんですけど、とはいえ限界はございまして、私どもが多分できるのは基礎研究基盤研究、そしてプルーフ・オブ・コンセプト、これぐらいまでは私ども科学技術政策の範疇で手に負えます。その後、きちんと丁寧につなぎをして、次の資金が現れるあるいはつながるようにしていく、それはJICAなのかもしれませんし、かの国の側の事業資金なのかもしれません。そういったところまで目配りしようというのが今のアフリカ・ASEAN戦略の意識の後ろにあります。その過程でもし大きな問題が見つかれば、それはやっぱり何らかのつなぎなり、相手国、相手省庁への働き掛けなりを私たち文科省としても目配りするべきだという、そんな意識ですね。
2点目、より大きな排出権取引とかの話ですけど、これはちょっと参考情報なのかもしれませんけど、STI for SDGsの動きの中で、国連で各国がロードマップを作るようにという働き掛けを今していて、日本政府としてもそれを受けて内閣府CSTIが日本としてのSTI for SDGsのロードマップを作る。これは作るときに各国の開発計画とかいうものときちんと連動して作ろうというふうに国連は今働き掛けを強めていますね。で、こういったところの中で、SDGsという目標に向けてより大きな社会の仕組みと連動してロードマップが各国で作られていく。そのときに、より重要な国とは日本がちゃんと助言とか意見交換できる形を作って、例えばタイのバイオディーゼルですと、タイのロードマップ作りのところにちゃんと日本発の技術が位置付けられるようにしていく。その際、排出権取引というような構想がひも付けられるようにしていく。というのは個人的にはおもしろそうだなと思っています。だから、まさにマルチステークホルダーの話でして、文科省だけで閉じる話じゃございませんので、少なくとも文科省としては、つないでいく、いろいろな人の努力をつながるような方向に、いい事例があれば目を掛けていくということは必要なのかなと思っている、まあロードマップという話があるということでございます。

【白石主査】 ほかに何かございますか。
【武田委員】 先ほどの渡辺審議官からのお話で、まさにビジネスモデルみたいなお話をされていて、文科省としてもそういうふうにやっていかれるんだというのをすごく僕はいいなと思いました。
【渡辺審議官】 特に国際委員会で、日本ってどこでもそうなんですけど、個別の技術、あと作り込みソフトとかすごい量なんですけど、何かインテグレーションが苦手なんですよね。いつも技術で勝ってビジネスで負ける、いつもとは言いませんけど、勝っているから今があるので。
【狩野委員】 今まで申し上げていない視点なんですけど、外交というとどっちかというと我々が外に出ていって何かをする方をよく考えます。外から呼び込んでくる方はどうだろうかという視点をちょっと提示してみたいんですけど、今までは、こちらにあるものが魅力的だから呼んでくるというセンスでやってきております。我々から見て魅力的だったら人にも魅力的だろうと思っているんですが、例えば今のフィールドワークの話を考えてみると、フィールドワークに行きたくなる魅力もあるはずでありまして、日本はそういう意味でいうとフィールドワークの場所にもあふれている可能性があり、高齢化社会とか、さっき言ったような決定の遅さとかいろいろあるわけですね。それで、こういうものについて是非おもしろいフィールドだから、来て研究しない? といって外から研究者を呼び寄せるようなスキームというのも、SDGsに関連しては実は言えるのではないかと仮説を持っておりまして、これは外務省から、例えば一案ですけど提言にしておいて、科学技術基本計画にも入れて、何かお金も付けて、それで交流を高めるということがもしできるならおもしろいかなと思っておりますが、いかがでございましょうか。

【白石主査】 そろそろもうあと時間が押してまいりましたので、3点ぐらい申し上げさせてください。
1つは、私、1年ほど熊本の方に行っておりまして、ついこの間も、地元の熊本日日新聞という購読者が8割という新聞社の編集陣と食事していたんですけど、SDGsといった途端にもう拒否反応があると。ですから、多くの人たちにすっと入るストーリーというのが要るんだと。私は先ほどの小川さんの経団連のストーリーというのは、これは一つのストーリーだと思いますけれども、やっぱり政府としてのストーリーだとか、あるいは岡山のストーリーだとか熊本のストーリー、こういうのをやっていかないと、SDGs、SDGsといって何のことやというので、そこで終わってしまうという、私は実は非常に強い懸念を持っております。それで、それはどういうことかというと、別の言い方をすると、要するに誰をオーディエンスとして想定するかという話なんですね。そこのところをぼやっとしてやると、多分訳が分からなくなる、これが第1点です。
それから2つ目、SATREPSの話ですけども、これは私、実はJICAのInternational Advisory Committeeコミッティーのメンバーでもあるので、そこでも言ったんですが、JICAにしろ、日本政府あるいは外国、東南アジアあるいはアフリカの政府にしろ、もうけるということを考えるのが余り得意じゃない人ばっかりなんですね。ところが、例えば東南アジアで見ていますと、今40代のプラスマイナスぐらいのところで、日本では考えられないような新しいビジネスモデルをどんどんやっているんですね。ですから、やっぱりちょっと若い世代のビジネスマンを引っ張り込むというのが私は物すごく大事じゃないかなという、これが2点目です。
それから3番目に、先ほど人文社会科学はだめだと、私も人文社会科学の人間ですけれども、これも実はオーディエンスの話がありまして、それは国際的なサイテーションというのが大事かと言われると、私はイエス・オア・ノーなんですね。実際に同業者向けに書くものは全部英語で書きますけど、科研をもらっているのは日本国民からもらっていますから、そうすると当然のことながら日本語で書いて分かってもらわないと意味ないわけですよね。ですから、是非、僕はサイテーションで、これはサイエンスの部分はかなりそれがあるというのは分かっていますけれども、もうエンジニアリングになるとかなり違ってくると思いますし、極端に言うとヒューマニティーなんていうのは英語で全然書かなくたって、必要な人は日本語を勉強して読むんですよね。ですから、ちょっとこの辺は是非ちゃんとニュアンスを持って評価していただかないと、全部英語でというと、何か知らないけれどもどんどんログは出ているけれども誰も読んでいないという、ばかみたいな話になっちゃうので、是非申し上げたいと思います。
【吉田補佐】 事務局から1点。狩野先生とか松本先生から、地域の課題みたいな話でSSHを使えるとか、地方大学の話とかございましたし、岩崎先生、白石先生も人文社会科学のお話がございました。私の説明の中でもありましたけれども、文部科学省の方でも一つ、地域で学ぶ世代を原動力として地域社会の解決のための施策みたいなものをやっておりまして、その辺も次回またございますので、どういった形で紹介できるかというのも含めて、事務局として考えていきたいと思います。


―― 了 ――

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