数学イノベーション委員会(第29回) 議事録

1.日時

平成28年6月17日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 17階 研究振興局会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 数学イノベーションに向けた今後の推進方策について
  2. その他

4.出席者

委員

若山委員、合原委員、今井委員、國府委員、小谷委員、高木委員、中川委員、長谷山委員、樋口委員、舟木委員、本間委員、森委員

文部科学省

生川大臣官房審議官(研究振興局担当)、粟辻融合領域研究推進官、長田基礎研究振興課課長補佐

5.議事録

【若山主査】  それでは、定刻となりましたので、ただいまより第29回数学イノベーション委員会を開催いたします。本日は御多忙のところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。
大島委員、グレーヴァ委員、常行委員からは御欠席との連絡を頂戴しています。それから合原委員はおいでになるはずですが、きっと少し遅れてこられるんだと思います。
それでは本日の議事を進めるに当たり、事務局より配付資料の確認をお願いしますが、きょうは一つの節目というか、この後上部の戦略的基礎研究部会での報告書の案を提出するということになっておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、粟辻さん。
【粟辻推進官】  配付資料ですが、座席表、議事次第、委員名簿の後に、資料1としまして本日御議論いただく数学イノベーション委員会の報告書の案を付けております。それから、別冊でございますけれども、その参考資料が付いております。あと、本来の参考資料としまして、参考資料1が前回の議事録、参考資料2が同じく前回の議事の概要でございます。以上でございます。
【若山主査】  ありがとうございます。
本日は、今御紹介ありました資料1に相当します数学イノベーション推進に必要な方策についての報告書(案)、これについて議論したいと考えています。
まずは、これまでの本委員会での議論を踏まえ、戦略的基礎研究部会への報告書の案を事務局の方で作成していただきましたけれども、再度御説明いただき、それから議論、意見交換を始めたいと思います。
よろしくお願いします。
【粟辻推進官】  それでは、まず、簡単に前回の議論を少し振り返らせていただきたいので、参考資料の2をごらんいただけますでしょうか。参考資料2が、前回5月の委員会で議論した際に出た意見の概要を事務局でまとめたものでございます。
最初の1ポツ目が数学イノベーション拠点の「見える化」と、いわゆる相談窓口的なものが必要ではないかという御議論をさせていただきました。その中で、中核拠点だけで全部対応できるのかという問題があるという御意見があり、むしろ各拠点に相談窓口を設けて、それに「統一的な名前」を付けて認知度アップをするというのがいいのではないかとか、あるいは相談は中核拠点か否かに関わらず各拠点で受けて、全ての拠点で情報共有しながら数学へのニーズをうまく処理するというようなことが必要ではないか、あるいは相互に情報共有することが必要ではないかといった御意見が出ました。
それから、その下の情報集約ですけれども、いきなり数学者に会うというのはなかなか敷居が高い部分もあるので、その前にワン・クッションあるといいということで、例えばホームページなどでライブラリー的なものがあるといいのではないかというような御意見がございました。
それから、その次がシーズの売り込みの関係で、一種の御用聞き的なものが、例えばドイツのフラウンホーファー研究所などでやっていて、それにはシニアな人材が必要だとか、あるいはシーズの売り込みはなかなか難しいので、シーズをニーズに合わせて翻訳することが必要で、シニアな人材のサポートが必要だというような御意見がございました。
それから、次のページに行っていただきまして、2ポツが必要な人材でして、いわゆるコーディネーター的な人材について意見交換をさせていただきました。東北大学の事例なんかだとそういったところで雇用したポスドクは、皆その後アカデミアにポジションを見付けているというお話ですとか、あるいは産業界とのニーズがつながっていないというような御指摘、シニアな人材の場合は、中にそのような人材がいなければ外から採ることが必要でないかという御意見がございました。
3ポツが人材育成でして、中核拠点に相談窓口を置くなら、そこに人材育成機能を担わせるのが良いのではないかとか、あと、評価の問題で、学生へのインセンティブを与えることが必要だとか、あるいは諸科学や企業との連携をした人には何らかのステータスが与えられると良いのではないかとか、あるいは数学の中でもっと評価されるようにしてあるのが良いというような御意見がございました。
それで、次のページに行っていただきまして、4ポツ目が人工知能とかビッグデータなどとの連携の関係で、人工知能も根源的な難しさというのは数理的なものであって、そこでのブレークスルーには数学がまさに貢献できる部分だというような御意見ですとか、あるいは企業の方は、AIをとにかく利用したいという企業と、改良エンジニアリングをしたいという企業があって、むしろ数学が必要なのは後者の方だとか、あるいは現行のAIでは静的なもののパターン認識はできるけれども、動的なものはなかなかできなくて、そういったものの情報処理には数学が貢献できる可能性があるといった御意見がありました。それから、ツールのコモディティ化が進んでいて、中身も分からずにすごく遠回りしているということがあるようで、数学が入ることでこういった遠回りを避けたいり、解消することができるのではないかというような御意見が出ております。
それから、必要な方策として、AI研究にも優秀な数学者が少人数でいいから入ることが必要ではないかとか、理論研究と社会での応用を双方向で進めていくことが必要だというような御意見がございました。
最後、その他はプログラミングなどの支援も必要で、数学的アイデアというシーズと現場のニーズの間をつなぐためにプログラミングを支援するといったことが必要ではないかというような御意見がございました。
これが前回の議論の概要で、これらの御意見を踏まえて、前回お示しした報告書の案から修正をしたものが資料の1でございます。全体の構成は変わっておりませんが、中身を少し変更しましたので、最初にまずこれを御説明させていただきます。
全体の構成は、「はじめに」が最初にございまして、1ポツが数学イノベーションに関する現状について。4ページ目の2ポツが、数学イノベーションに関する現状の問題点について。6ページ以降の3ポツが、数学イノベーション推進に必要な方策について、というように3つに分けて整理をしています。
それで、最初の1ページ目に戻っていただきまして、1ポツのところに数学イノベーションに関する現状についてというものを記載しております。この部分は特に大きな変更は加えておりませんので、説明は省略させていただきたいのですが、2ページ目の上から6行目のところに(2)としまして、数学イノベーション委員会における検討ということで、これまでの検討の経緯を記載しています。それから、(3)が数学イノベーションに関する取組ということで、これまでに行われてきた取り組みを3つに分けて整理しています。
1つ目が数学・数理科学と諸科学・産業の研究者との「出会いの場」「議論の場」としてのワークショップ等の開催支援ということで、数学協働プログラムを平成24年度から今年度まで5年間の予定で統計数理研究所を実施機関として行っているところです。
2つ目が数学・数理科学と諸科学・産業との協働による研究費、あるいは研究プロジェクトに関するものでして、例えば3ページ目にあるように、JSTの戦略的創造研究推進事業の中で「数学と諸分野の協働によるブレークスルーの探索」という領域が平成19年度から昨年度まで実施されておりました。また、FIRSTにおける最先端数理モデルプロジェクト、JSTの戦略的創造研究推進事業で数理モデリング等の領域が2年前から開始されているところでございます。このほか、AIP:人工知能/ビッグデータ/IoT/サイバーセキュリティ統合プロジェクト、あるいは情報統合型物質・材料開発イニシアティヴ、こういった数学・数理科学を活用した研究プロジェクトも開始されているところでございます。
3つ目が、このような数学・数理科学と諸科学・産業との連携による研究の拠点の整備ということで、大学共同利用機関法人の統計数理研究所のほか、共同利用・共同研究拠点として認定されているところが、もともと認定されていた京都大学の数理解析研究所のほかに、九州大学マス・フォア・インダストリ研究所とか明治大学の先端数理科学インスティテュートが、ここ数年で新たに認定されているところです。また、そのほかの大学にも様々な組織が整備されており、また理化学研究所におきまして理論科学連携研究推進グループの中に数理科学連携プログラムというものが今年度より新たに始まっているところでございます。
このような活動を通じて、研究者間のネットワークの構築や、諸科学・産業との連携ノウハウの蓄積が一定程度進展しているところです。また、協働による研究が行われ、一定の研究成果も生まれているところです。
参考資料として付けているものの1枚表紙をめくっていただきまして、参考1が今申し上げた数学・数理科学と諸科学・産業との連携研究拠点の現状の状況を地図で示したものでございます。それから、1枚めくっていただきまして、参考2が、どんな研究が行われてどんな成果があるのかを示す事例を整理したもので、これは2年前に数学イノベーション委員会でまとめた報告書に付けられていたものを、その後の進展を踏まえてアップデートしたものです。1ページ目が、複雑な現象のメカニズムを数学で記述するもの、2ページ目が数学による将来の変動の予測やその前の予兆の解明のようなもの、あるいは熟練者の経験による判断の定式化や記述といったもの、3ページ目がデータからは見えないものを抽出して可視化するようなもの、あるいはコンピュータグラフィックによる豊かな表現といった事例を幾つか記載しております。
本文の方に戻っていただきまして、本文の4ページ・5ページが、こういった現状の問題点を記載している部分でございます。現状の問題点として、(1)、(2)というふうに2つに分けて整理しています。(1)が数学・数理科学研究者の姿が外から見えづらいということ。具体的には、諸科学とか産業から見てどんな問題の解決にどのような数学・数理科学の力が役立つのか分からないとか、何か役に立つのではないかと思っても誰に相談すればいいのか分からない、あるいはどの程度具体性のある問題を相談すればいいのか分からない、といった問題があります。(2)がこのような数学イノベーションを担う人材の層がまだまだ厚くないということで、具体的な問題点として、大学等において数学・数理科学と諸科学・産業との連携を担う人材の育成が十分ではないということ、例えば、大学の数学専攻では、数学の外に目を向けさせるような機会が乏しいというようなことがあります。また、数学専攻学生、特に博士課程の学生のキャリアパスが非常に限定的であるというようなことですとか、あるいは数学界の外から見た場合の「数学」、特に大学における「数学」、あるいは「数学者」に対するイメージが非常に限定的で、特にこれが高校教員とか高校生にもうかがえるというような話があります。
このような問題点を解決しながら、今後更に進めていくには何が必要なのかということを整理したのが、6ページ以降の3ポツの数学イノベーション推進に必要な方策の部分です。
(1)で必要な方策を取りまとめております。全国の幾つかの大学で、数学・数理科学と諸科学・産業との連携研究拠点が整備され、各々の特色を生かした活動が行われるようになっていますが、個別の拠点がそれぞれ独自に活動するだけでは、このような問題を解決する上では十分ではないということで、それでは、個別の拠点が活発に活動することと併せて、このような様々な拠点の活動を全体としてまとまった形で外から見えるようにして認知度を向上させること、それから個別の拠点の資源だけでは十分な対応が困難な活動について拠点間の協力を促すことなどが必要であろうということです。
具体的には、次のA、B、Cと3つに分けて整理していますが、このような機能を備えた全国の数学連携研究拠点とこれらの拠点によって構成される全国的な体制が必要で、以下3つの機能に分けて整理をしています。
1つ目のAの機能が、諸科学・産業からの相談に対応する総合診断機能と書いていますけれども、これは今申し上げましたように、諸科学・産業から見て自分たちの抱える問題がどんな「数学の問題」になるのか、誰に相談すればいいのかというようなことはなかなか分からないので、諸科学・産業の関係者と数学・数理科学の研究者との間をうまくつなぐために、以下のような機能が必要だという形で整理をしています。
1つ目が個別の数学連携研究拠点に必要な機能で、いわゆる相談窓口機能、これは諸科学とか産業との接点になって相談された問題を「数学の問題」に翻訳して、主に当該拠点の適切な数学・数理科学研究者につなぐ機能ということです。当然、その後の共同研究を実施する機能、あるいは研究成果の実装や実用化を支援する機能といったものも必要になってくるということです。
2つ目が、個別の拠点だけではなかなか十分ではない、あるいは全体として見えるような形にする必要があるということで、全国的な体制に必要な機能を整理しています。具体的には、個別の数学連携研究拠点に相談があった問題を拠点間で共有して、拠点間での議論を通じてその問題を「数学の問題」へと翻訳する機能。それから7ページに行っていただきまして、このような問題の解決に必要と思われる数学的シーズを拠点間の議論を通じて抽出し、全国から適切な数学・数理科学研究者を紹介する機能。それから、このような最初に問題を提示した諸科学・産業の関係者と紹介した数学・数理科学研究者との議論の場、いわばニーズとシーズのマッチングの場を拠点間の協力により設定する、といったことを通じて、実際の共同研究へと発展することを支援する機能です。4つ目が、国内外の研究動向を分析し、数学・数理科学の力を発揮できる重要な研究テーマを抽出する機能ということです。
全国の各拠点の機能、あるいはこのような拠点によって構成される全国的な体制の機能というものが必要だということですが、このような相談窓口に来る前の段階で、諸科学とか産業側から見て情報を容易に収集できるようにする必要があるという御意見が前回ございました。そこで書き換えたのがこの部分で、今は各拠点とか各研究者に散在しているような研究情報とか研究者情報の集約・見える化を図って、これらの情報を外から容易に利用可能にする機能が必要だろうということです。例えば、以下に挙げるような情報を整理して、ライブラリーとして公開することなどが考えられるということで、例えばこういった諸科学とか産業の問題に取り組んでいる数学・数理科学研究者の名前、それから所属、こういった研究者の研究テーマ・研究成果、といった情報を整理してライブラリーなどとして公開することが考えられるのではないかということを記載しています。
その次のBが数学的シーズの共有あるいは発信機能で、Aの総合診断機能により、諸科学の関係者と数学・数理科学研究者との間をつないだ後は、当然こういった協働による研究に発展することが期待されるわけですが、このような研究を通じて得られた「このような問題の解決に、このような数理的な手法や理論が有効だ」といった情報を研究に従事した数学・数理科学の研究者、あるいは拠点間で共有して有効に活用すること、それから諸科学や産業に向けて発信することが必要であろうということで、具体的な機能として、個別の数学連携研究拠点に必要な機能としては、企業の技術者・研究者、あるいは高校生や高校教員向けに数学・数理科学の応用事例や数理的手法を御紹介するような講習会を開催する機能を記載しています。
8ページが全国的な体制に必要な機能で、1つ目に、全国の数学・数理科学研究者が諸科学・産業との研究の成功事例、あるいは諸科学・産業の問題の解決に有用な数学的シーズを共有して意見交換する場を設定する機能を記載しています。これにより、例えば特定の分野の問題の解決に有用な数学的な手法が全く別の分野の問題解決に応用されるといったことにもつながるのではないかということです。2つ目が、全国の数学者・数理科学研究者の協力を得て、諸科学・産業の研究者・技術者向けに問題解決に有用な数学的シーズの講習会を企画・実施したり、あるいはそういう数学的シーズの売り込みをするような機能ということでございます。
Cが人材の育成機能で、数学・数理科学のバックグラウンドを持って諸科学・産業との協働を担うような人材、この育成には数学・数理科学専攻の若手研究者や学生に実際の協働の場に参加する機会を与えて、経験を積ませることが効果的だということと、諸科学・産業側における数学力の強化も重要だということで、以下のような3点に分けて整理をしています。
1つ目の個別の数学連携研究拠点に必要な機能としては、数学・数理科学専攻の学生に協働に参加する機会を提供することを通じた人材育成機能として、例えば共同研究だとかあるいは問題提示型の研究集会や演習などへの参加や、ほかの分野の研究室への派遣が考えられるということです。また、数学・数理科学専攻に限らず、様々な専攻分野の学生に、数理モデリングやデータ科学などを履修する機会を与えたり、現代数学について知る機会を提供するような機能ということです。3つ目が、数学・数理科学専攻以外の学生の基礎的な数学力の強化を図る機能で、このようなものが個別の拠点では必要ではないかということです。
B、全国的な体制に必要な機能として、1つ目が、数学・数理科学専攻の若手研究者や学生に、諸科学とか産業の問題に触れる機会を提供することを通じた人材育成機能ということで、例えば個別の拠点でも問題提起型の研究集会が行われているわけですが、このようなものを拠点間で共同開催するとか、あるいはほかの拠点の活動への参画、といったものを通じた人材育成などが考えられるということです。また、2つ目は、日本に滞在中の外国の第一線の研究者と直接交流する機会を与えることによる人材育成機能です。9ページ目が、このような若手研究者や学生に、企業の関係者と直接交流して相互理解を深めるような全国規模の機会を提供することによる人材育成機能で、このような機能が人材育成としては求められるということです。
以上述べてきましたAからCまでの3つの機能を発揮していくに当たって、この数学・数理科学の研究者と諸科学・産業との間をつなぐコーディネーター的な人材が必要です。特に、このようなコーディネーター的な人材の若手の人材を育成することが求められるということで、各数学連携研究拠点の協力体制の下、幅広い視野と経験を備えた者と、将来の諸科学・産業との協働を担う若手研究者を適切に配置することが重要です。また、このような全国的な体制を支える事務局機能も必要であるというふうに整理をしています。
ここまでが(1)の必要な方策でして、(2)で(1)のような方策をとることでどのような効果が期待できるのかというものを例示として整理をしてみました。1つ目がビッグデータの背後にある数理的な構造の本質的な部分の抽出や、人工知能研究の数理的基盤の強化、といったものにつながることが期待できるということです。2つ目が、複雑な現象の背後にある構造を捉えることで、変化が起こる前の兆しを検出することができるのではないかということ、3つ目が、産業界をはじめとする様々な現場における熟練者の「経験と勘」による判断の背後にある構造を、数学・数理科学の知見を用いて定式化・定量化することが期待できるのではないかということです。
(3)が留意すべき事項で、いわゆる既存の数学を応用するだけではなくて、将来の大きなイノベーションにつながる可能性を包含する新しい数学を生み出す基礎的研究の支援も重要だということ、それから、このような活動によって数学自体の発展につながる可能性もあることをを重視しておく必要があるというということを記載しています。
最後の、この次のページのポンチ絵は、今御説明しました、主に3ポツの数学イノベーション推進に必要な方策を少し絵にしてみたものです。内容は重なりますので余り説明しませんが、一番上の部分に産業界とか諸科学における数学への潜在的なニーズがあって、これはまだまだ埋もれているというイメージです。これに対して、ではどういうふうにそのニーズを受け止めるのかという体制が必要ではないかということで、Aとして整理しているのが右上にある数学イノベーションライブラリーのようなものと、真ん中の黄色い部分にある総合診断機能のようなものでございます。各数学連携拠点に相談窓口のようなものを設けて、相互で情報共有をしながら相談があった問題を数学の問題に翻訳して、適切な数学・数理科学研究者を紹介して、議論の場を設定して共同研究への発展を支援していくといった機能、これがAの部分です。それから、Bが数学的シーズの共有・発信機能、Cが人材育成機能。このような機能を複数の拠点間が協力し連携しながら発揮していくということで、この黄色い部分の機能が新たに必要ではないかということを整理したものでございます。このような活動を支えるコーディネーター役の人材、経験のある人材とか若手研究者の配置と、事務局の存在が必要であるということで、それを下の方に記載をしております。
これが報告書の概略でして、先ほどちょっと触れました参考資料の方は、参考の1、2はすでに説明したとおりです。参考の3が昨年の11月にまとめた数学協働プログラムの中間評価の報告書でして、これの最後のページ、7ページの一番後の今後の継続性・発展性というところに、「数学・数理科学と諸科学・産業との協働が定着するには時間が掛かるため、今後も現在の活動を継続・発展させることが望ましい。今後は、統計数理研究所と協力機関が、各機関の特色に応じて役割を適切に分担しながら、数学・数理科学と諸科学・産業との協働に向けた大きな成果を生み出していくことを期待する」といった評価が出されておりまして、今の数学協働プログラムが今年度までということなので、この後継に向けた姿としてどういうものが必要なのかというのを、この報告書で今回取りまとめさせていただきたいと思っております。
私の説明は以上になっております。
【若山主査】  どうも丁寧に説明していただきましてありがとうございます。
今も粟辻さんから御説明がありましたように、きょうこの報告書案を見直していただきまして、それを7月に予定されている戦略的基礎研究部会に上げまして、それをベースに今御説明あった統数研が中心となってされている事業の後継を進めていくことになります。できましたら、それが数年間のみの予算のみならず、ある意味で長期的にシステムとしてサステーナブルなものにしていきたいというのがベースにございます。
きょう、今から御議論いただきたいことは幾つかありますけれども、最初にこの報告書案を中心にいきたいと思いますが、最初の2ページ、3ページまでに現状認識が書いてあります。4番目に現状についての記述と、それからその後その認識に基づいた問題点について、5ページに出ていますけれども書いてあります。まず、そこについて少し御疑問とか付け加えるところとかございましたら、御意見を頂戴しまして、その後その問題認識を何とかよい形で解決するために、先ほど御説明ありました相談に対応する診断機能と書いてありますが、総合診断機能であるとか、それからシーズの共有とか発信、それから人材育成機能、これについて順次御意見を賜りたいと考えております。
ある程度これまでも現状については御意見を頂いておりますので、書けば幾らでも書くことはありますけれども、ある程度短いものにしようと思っておりますので、それでも必要だということがございましたら、御意見いただきたいと思います。
【小谷委員】  私、他機関のことなので正確に理解していないんですが、理化学研究所について数理科学連携プログラムというふうに書かれていますが、iTHES-MATHという組織が立ち上がったと思うので、確認していただいて、組織が立ち上がったのであれば、そちらを書いてはいかがでしょう。2か所あって、3ページ目と参考資料の方ですね。
【若山主査】  じゃあ、そこは。
【粟辻推進官】  確認します。
【若山主査】  よろしくお願いいたします。
ほかにございませんでしょうか。
それでは、数学イノベーション推進に、5ページまでのことに基づきながら順次やっていきたいと思います。
最初に、Aのところに当たる部分です。諸科学・産業からの相談に対応する総合診断機能として幾つか箇条書にしています。まず、機能について1、それから体制について2ということで、その中にも細かく箇条書にしておりますが、ここについて機能と仕組みについて追加、あるいは修正もあるかもしれませんけれども、御意見頂戴できればと思います。いかがでしょうか。
【今井委員】  質問なのですが、前回まで中核拠点について議論してきたと思いますが、それが今回この中にはないように見えます。中核拠点はどのような扱いになったのでしょうか。
【粟辻推進官】  中核拠点というのは、前回の資料には明記されていたんですが、中核拠点で外からの問題をそこで一元的に受け付けて、そこで全て処理をして、適切な数学者・数理科学研究者を選んだ上で個別の拠点につないでやるというようなことを前回は記載しておりました。ただ、そういう一元的にどこか一つの窓口を設けて、そこに集約をしてというのは余り現実的ではないというような御意見や、むしろ個別の拠点にそういう窓口を設けて情報共有をしながら検討していくのが良いという御意見があったものですから、中核拠点というのは表現上は出さずに、幾つかの大学の拠点に相談窓口を設けて、そこに来た相談の内容を共有しながら、全国的に適切な数学者を選んでうまくつないでいくという形に少し修正をしているものでございます。今の中核拠点のような、、全体を差配するという意味ではないんですが、義務的な部分を支える事務局機能は必要だろうということで、これは報告書の最後の方の部分に記載しているところでございます。
【若山主査】  ありがとうございます。
【合原委員】  僕も全く同じ疑問を持ったんですけれども、全国的な体制というところを具体化するときに、多分中核拠点の役割とか出てくると思うんですよね。その部分が少なくともこの必要な方策の部分では中核拠点という言葉が出てこないので、そこはこれからどういうふうに話を進めていこうと考えられているんですか。
【粟辻推進官】  前回中核拠点というものを明確に書いたのですが、余りよろしくないのかなという御意見が多かったものですから、それは明確にせずに、拠点間でそういう情報共有だとか意見交換だとか、そういったことができるような体制を組む方がいいのではないかということで、今回は整理しているところです。ただ、実際の活動でどこが何をやるのかというのは見えない、分からないとうまく進まないでしょうから、お金を流したりとか、あるいはコーディネーターの配置とか、そういったところで実質的に音頭をとる、中心になるようなところというのはもちろん出てくると思いますけれども、制度上、ここが中核拠点でそれが残りの拠点を従えて活動するというような形には、この報告書ではしていないということでございます。
【合原委員】  それは中核拠点を大きく作るということが否定はされていませんよね。いろいろな意見が出たと思うんですけれども、全国的な体制ということをどう実現するかというところでは、もう一度その議論をしなければいけないかなと僕は思っていますが、そこはどうなんですか。各拠点が分散してあるだけでは、この全国的な体制というのは作りにくいんじゃないかという可能性もありますよね。そこの議論は詰めきれていないような気がするんですけれども。
【國府委員】  これは例えば、個別の連携拠点の中から代表者を出して、中央委員会のような形でやるというようなイメージでしょうか。
前の委員会では、たしか中核拠点は必ずしも1つである必要はなくて、機能ごとに幾つかに分散することもあり得るのではないかというお話があったような気がするのですが。例えばそのようなイメージで、連携拠点からの情報をしっかりと共有する仕組みは作らないといけないと思うのですが、それを中核拠点と呼ぶのか、あるいはもう少し違った形で行うと説明するのかという問題なのでしょうか。
【小谷委員】  中核拠点を実際どういう形で実現するかということや、その機能や規模についてはいろいろな意見がありましたけれども、中核拠点が必要ないと合意できたということではなかったように思います。この絵を、今までの議論を全く聞かずに見ると、逆に分かりにくいんじゃないですか。何でこんなにたくさん数学連携拠点が必要なのかと言われかねません。中核拠点があって、そこが取りまとめをするのかサービスをするのか分かりませんけれども、更にそれぞれの機関でそれぞれの強みがあって、その強みを生かすために全国ネットワーク組織が必要なのであるというロジックがないと。この絵だけではなぜこういう組織になっているのか全く分からないと思う。中核拠点という名前は検討するにしても、全体を取りまとめるところと、それからその下に各拠点の強みを生かす連携機関、括弧して産業とか統計とか生命とか材料とかくらいは書かないと、意図が伝わらないと思うのですが。
【長田課長補佐】  ちょっと1点補足させていただきます。
ちょっと書き方の問題も多少あって申し訳ないんですが、我々も先生方のおっしゃっている思いとは正直いって変わらないんです。ただ、課内でちょっと議論したのは、この全国的な体制に必要な機能というところで、前回までイメージをしていた中核拠点としてやっていただきたいことを機能として書いています。それを今中核拠点という名前にするのか、又はライブラリーとか結構事務的な作業も発生するので、幹事役、取りまとめ役というのか事務局というのか、名前のところは、数学の拠点といってもいろいろな機能とか強みを持った拠点がいろいろある中で、中核という名前を使うとそれが全ての、いろいろな機能の代表という印象を与えてしまうのではないかと。これはどちらかというと数学を外に見える化、産業とのつながりを持つという意味での全体のネットワークの中の取りまとめなので、それをどういう文言で言い表すのがコミュニティー等の中でも最も適切かというところはちょっと議論があるかなと思いまして、中核という言葉は今書いておりませんというのが、一つの正直なところでございます。
ただ、今御意見いただいたような問題で、全体を取りまとめる何らかの機能というのは必要だと思っていますし、それをもうちょっと分かりやすく、名前をどうするかは今後考えるにしても、絵とか文言上にも書くことというのは検討して対応したいと思います。
【森委員】  私が持っていたイメージは結局数学協働プログラムでやっていたようなものかなと思ったんですね。ただ、中核拠点1か所というのはやっぱりイメージしにくいものの、事務局は要るだろうとは思います。それで、数学協働プログラムのときは統計数理研究所がやってくださっていて、運営委員会があったわけですよね。だから、何かそんなようなイメージを僕は持っていたんですけれども。
【小谷委員】  それを何と呼ぶかということですよね。責任を持つところがどこか1カ所ないと難しいと思いますので。
【森委員】  もちろん、それは。
【小谷委員】  そのことが図の中に描かれないと、何でこんなにたくさん必要なのか分かりにくいと思います。
【今井委員】  もう一つ、よろしいでしょうか。産業界が個別の数学拠点の特色を理解し、適切なところを選び、そこに相談をするのはやはり難しいと思います。どこに相談をしたらいいか分からない人にとっては、どのような相談でも聞いていただける場所がどこかにないと困るのではないでしょうか。前回議論したような機能を持っているところがやはり、必要ではないかと思います。前回は、中核拠点ということの名前のイメージと内容がよく分からなかったのでいろいろな意見が出てきたと思うのですが、名前をどうするかは別として、議論してきたような機能をもつ場所がこの図の中に一つおき、組織が外から見えるようになっていないと、相談したいけれど、誰に相談したらよいか分からないという現状が変わらないように思います。
【粟辻推進官】  これは各拠点に何か相談窓口的なものが統一的な名前であって、それをうまく見えるような工夫をするというのでは、なかなか企業などから見るとやりづらいということですか。
【小谷委員】  これまで指摘があったのは、どこに相談していいか分からないということです。ピンポイントでここに相談すればいいと分かっていればそもそもこのような数学連携支援は必要ないわけです。数学に関する質問があるけれど、どこに聞いたらいいか分からないというと問合せに対応する窓口は必要です。問いをきいて、それなら九州大学が強いですよとか、シニアコーディネーターにさばいていただきたい。ここに聞けば何とかなるという核があった方がいいといます。
【若山主査】  それプラスもう一つは、例えば九州大学に相談が来ても、確かに乗れるけれども、あそこにはもっといい人がいるという場合があります。そういうところをサービスしてくださるところがあると、いちいち丁寧なメールを書いて気を使いながら誰々に頼むというんじゃなくて、さっとできてしまうと。そこがポイントですね。
それともう一つ、多分先ほど長田課長補佐がおっしゃったことにも関係するのは、違うかもしれませんけれども、私も数年前にマス・フォア・インダストリ研究所を共共拠点(共同利用・共同研究拠点)に申請するということでいろいろと御相談をしたときに、他の共共拠点との関係で、デマケーションの観点から非常に厳しいこともたくさん指摘されたわけですが、やっぱりそういうところを含め結局共共拠点というのはどうあるべきかという議論がずっと行われています。このようなネットワーク型にしなさいとかばらばらにやってはいけないとかいろいろな動きがある中で、今回の連携、中核という枠組みの在り方により、共共拠点等の機能と重なって誤解されてしまわないようにも気を付けないといけないのかなと、そんなところがあります。
ほかに、この点について。
【合原委員】  いいですかね。前回の議論はやっぱり何らかの意味の中核があって、そこと全国のいろいろな持ち味があるところとネットを作って全体でという、これがこの全国的な体制ということだったと思います。中核拠点の重さというのは多分いろいろあり得て、森先生が言われたのは割と軽い中核拠点ですよね。他方で、例えばAIPぐらいのスケールのものが作れれば、それはそれでかなりやりようはあって、そこにしっかりした機能を持たせるということは可能性としてはあり得ます。予算が取れればですけれども。だからやっぱり中核拠点をどれぐらいのものにするかというのは、やっぱりきちんと議論する必要があるかなということを感じています。
【若山主査】  WPI程度のお金が概算要求で取れるのか、やっぱり1億ぐらいなのか、そういうことにもやっぱり現実感を持って……。
【合原委員】  例えば、AIPは人工知能の中枢にするためにいろいろな大学の人と連携して、ある意味集約されようとしていますよね。そんな形でもしAIPに対応するものがあって、全国の各数学拠点の人が、例えば兼職とかクロスアポで連携が取れればかなり強力なものにはなるわけですよ。だから、それは予算が絡むことなので、実現可能性は予算次第なんですけれども、ただ、そういうことを目指すのか、それともすごく軽い中枢を目指すのかで大分今後の展開が変わるので、そこはきちんと議論したいなと、そういうことですね。
【森委員】  それは確かに大事なポイントで、何か特定の方向に向かって進むのか、全体を見るのかですよね。そこは確かに大事ですけれども、私が持っていたイメージは、多様性ですね。そうすると、さっき小谷先生がおっしゃったように、全部名前がなくてこれがあるだけでは分からないというのと、あと共同利用・共同研究拠点の性格を弱めてしまうのはまずいと、そういう意味で一つ一つに強みを書くというのはすごく大事だなと思う。そうすると、一個一個に顔が見えるので。そうすると、どのぐらいの強さの中核拠点かと言われると、一個一個の顔が見えるそういうレベルでの、今の合原委員の言葉で言えば軽めの中核拠点が私のイメージですね。もちろん。何か方向がはっきり決まってくれば、それに対しては集中的にやるのは当然だと思いますけれども。
【合原委員】  ただ、中核拠点が強くても、個々の各拠点の顔が見えるような作り方はできるので、そこは矛盾しないと僕は思いますけれども。
【森委員】  どうですかね。つまり、参加している共同利用・共同研究拠点がほかのところに牛耳られているという意識を持たれたら困ると思うかもしれないから、そこは何とも。
【小谷委員】中核拠点は、そこがリードするということではなくて、むしろサービス機関というイメージだと思います。
【森委員】  世話役ですかね、なるほどね。
【小谷委員】  例えば、数学の博士課程の学生と企業の出会いの場を作ることは、現在は数学会がやっていますけれども、全体に共通なので中核機関が取りまとめてくださると有り難いです。そういうことを各拠点でやるのは結構大変ですし。統計数理研も大変な御尽力いただいて、これまで取りまとめをやってくださったわけです。共通できるサービスを提供する場とかライブラリーとか相談の差配とか、その責任の場があるのがよいのではないでしょうか。
【森委員】  それであればもちろん。
【小谷委員】  ここに書いておくと、後でまた大きなものに化ける可能性もありますので書いておいていただけないでしょうか。
【若山主査】  ほかに。議論がここに集中していますが。あと、大事なことなので。
【小谷委員】  別の話です。ずっと訪問滞在型の研究所が必要であるという話はされていたと思います。国際的に新しい手法がどんどん生まれているので、最先端の情報を取り入れ議論をして作っていくための場所が必要だということをずっと議論してきました。今回の報告書には全く書かれていないので、報告書の1パラグラフを割いていただきたいし、この絵の、この横並びのところでも構わないと思うんですが、滞在研究所と書いていただけると有り難いです。文科省の委託事業で調査した報告書においても訪問滞在型研究所が必要であるということははっきり書かれていました。議論がすっぽり抜けているような気がします。
【粟辻推進官】  いや、一応報告書に訪問滞在型研究所とは銘打っていないんですけれども、8ページのCの人材育成機能の一環として、一番下のところの丸2の全国的な体制に必要な機能の2つ目のポツのところに、若手研究者や学生に、日本に滞在中の外国の第一線の研究者と直接交流する機会を提供することを通じた人材育成機能と書いていまして、これが実は訪問滞在型の研究所の活動への参画を通じた人材育成という文脈で訪問滞在型研究所の必要性を少し意識して書いているという部分なんですけれども。
【小谷委員】  ちょっと分かりにくいので、1パラグラフ程度書いていただけませんか。あと、このポンチ絵にも是非載せてください。
【粟辻推進官】  ポンチ絵にはこのの枠組みの一環というような整理の仕方が良いのか、それとはまた別という整理が良いのか、どちらでしょうか。
【小谷委員】  例えば、この横に並んでいる拠点と同じ高さぐらいに訪問滞在型研究設備と書いていただけたらと思います。
【若山主査】  名前がなくなってしまうと困るので、どこかに工夫をして入れていただければと思います。
【合原委員】  あと、必ずしも人材育成だけではないですよね。
【小谷委員】  むしろ研究の最先端の開発だと思いますが。
【舟木委員】  あと一つ、関連して御質問してよいでしょうか。
リーディング大学院についてはここで全く議論がないのですが、やはりリーディング大学院の後継というか、若手育成、それから産業界との連携ということでは欠かせないものだと思います。今、東大数理では採択していただいて非常によいと思っているのですが、そういうことも、この委員会では全く議論がないので、違うところで議論されているのかなと思ったりはするのですが、報告書に入れていただいた方が有り難いと思います。
それと、一番の問題は、私は数学者自身にあるんだと思います。ここに余り書かれてないのですけれども、問題点というところで、少し書いてあるんですかね。数学・数理科学と諸科学・産業との連携に参加している研究者の広がりも必ずしも十分ではないのが現状であると書かれていますが、多分ここが一番大きな、数学の側から言うと問題でしょうね。例えば、数学会の年会等で、統数研・文科省でやっていただいている数学協働プログラムを基礎にして数学連携ワークショップを開催していますが、ほとんど参加者はなくて、ぱらぱらとしか来ません。私の研究科でも時々こういう議論をするんですが、やはり本当に一部の人が関わっているという印象です。私も数学者の一人としては、なかなか研究の方に時間が掛かるというか、生半可なことでは研究は進まないですから、そちらの方へ頭が回っているので、数学者を無理やりにこちらに向けるというのはなかなか難しいと思うんですが。どうやって解決すればいいかというのは分からないのですけれども、一番の問題点というのは、恐らく数学者の側から言うとそういった点にあるんじゃないかと、ここに明確に書かれていませんけれども、思います。ただ、解決するのにどうすればいいとか、そういう案が特にあるわけではないのですけれども。
【森委員】  それに関して私ももちろん解決策があるわけではないんですけれども、2ページ目にある「出会いの場」とか「議論の場」とかってありますよね。それを私は今数理研を離れているけれども、数理研のような共同利用研究集会の機能を使って提供し続けるのが大事だとは思います。それで全て解決するとは思わないけれども、それがなくなってしまうと取っ掛かりがなくなってしまうので。
【中川委員】  私も是非それをやっていただきたいです。例えばスタディグループをしても大体出てこられるメンバーというのは分野が決まっています。特に、純粋数学というジャンルに属している人たちがもっと連携の集会に参加して、議論ができるような場になれば、数学連携のさらなる発展が期待できると思います。
【合原委員】  今の点、すごく大事だと思うんですね。だからこそ全国的な体制が必要かなと思っていまして、適材が各大学に少しはいるんじゃないかと思うんですよ。だから、その少しの人たちをうまくネットワークを作って、それをスタートすればそれを基にしてちょっとずつ広げていくということは見えてくるかなという気がしていて。だから、スタートの時点の構造ですね。個々の大学にそんなにいっぱいこういうのに興味を持つ数学者はいないとは思うんですけれども、少しはいるのでそこをうまくつなぐという、その体制を作るのがここで言う全国的な体制で、それでスタートしてそれをだんだん広げていきましょうということじゃないかと、僕は理解しています。
【若山主査】  多分、今までしてきたこともそういうことだと思うんですけれどもね。統計数理研究所でずっとお世話になってやってきたこともそうですし、数理研でいろいろな意味での、幅広い分野の研究集会を開いていただいたり、そこが大事なところだったと思います。私自身はそこを一番悩んで10年ぐらい活動してきたわけですけれども、やっぱり学生たちを見ていると、御指摘があったように先生が実際研究の方をどうするのかというのを見て、これは先生がこっちの方に行っているとこれももちろんいいんじゃないかなと思う傾向が強いことがわかります。ところが、こんなにここに面白い問題があると言いつつも先生が向こうを向いていたりすると、何か違うのかなと学生は思うような印象を持っていました。いずれにしても、このイノベーション委員会の当面の一番大きなところは、関心をエクスパンドしていくというところに置かれているので、それがやりやすい形になればいいと。
ただ、これまでと違って、今回冒頭に申し上げましたけれども、主査をしていまして思うのは、確かに徐々に状況はよくなっていると思うんですけれども、まだ先がどうなるのかちょっと分からない。予算の点でも6年間というふうなことがあって、そこがもう少し持続できるという形で、確かに予算は6年間ごとかもしれないですけれども、そこが無理なくできるような展望を持てる形の概算要求をやっていただければいいなと個人的には思っているところです。
ちょっとこのあたりも含めて、ポンチ絵も修正いただき、舟木委員がおっしゃったことを書き込むというのはなかなか難しいことなんですね。
【舟木委員】  そうだと思います。
【若山主査】  それから、あとリーディングの後継という意味では、私の理解ではその大学院がそのまま移るというわけじゃないですけれども、今度の卓越大学院ですか、そちらの方をうまく数学・数理系でも何か利用して各大学がそういう部分を拓(ひら)いていっていただくというのも、結局大きな力になっていくのかな。特にリーディング大学院をお持ちのところはそこをベースとして卓越大学院というか、それは、例えば専攻とは限らずアメリカみたいにプログラム制みたいなことでも十分対応できるような仕組みになっていると思いますので。
【森委員】  そこに関して質問なんですけれども、今のリーディング大学院というのは高等教育局の管轄なんですか。
【若山主査】  そうですね。
【森委員】  よく分からないんですけれども、これは研究振興局ですね。
【若山主査】  はい、そうです。
【森委員】  大事な話というのは局に無関係にあるわけで、それをどう局ごとの概算要求に絡めるかというのは難しい話ですね。手段はないんですか。すごく本当は大事なのに、それで1個個別にしてしなくちゃいけないって苦しいですよね。
【若山主査】  ただ、前も言ったかもしれません、局長が研究振興局から高等教育局へ異動されているというのはちょっと救いかなと。
【森委員】  現在はいいと。
【生川大臣官房審議官】  基本的には数学イノベーションの関係で振興していくために必要なことを書いていただければいいということだと思うんですね。この委員会は研究振興局長の諮問機関なので、基本的に我々が期待していることは研究振興局として対応できることではあるものの、ただ、そこをはみ出す部分があるのであれば、それはお書きいただいた上で、我々としては必要な調整をしていくということはあり得るということだと思いますので、そういう理解のものとお考えいただければいいのかなと思います。
【森委員】  じゃあ、安心して。
【若山主査】  今年の概算要求が最終的にどうなるかは別としまして、今文科省の資料を拝見していても、高等教育局の専門課の方から出ていますけれども、数理と情報の人材をあらゆるディシプリンにまたがる普通の人材、それプラス専門人材というところも強調したようなプランというか企画が高等教育局から出ていますので、もう完全につながっていると思います。ですから、そこは……。
【長田課長補佐】  そこは両局間でもコミュニケーションを図りながらやりたいと思います。
【森委員】  それはすばらしいね。
【若山主査】  ですから、各大学でそういう意味ではそういうところもお考えいただくのが大事だと。
さて、今一番ポイントになるところを御議論いただいたわけですけれども、そのほか、総合診断機能でここに書いてあること、それから共有・発信機能、それから今人材育成機能というのがたまたま話題になりましたけれども、ここについて改めて御意見……。
どうぞ。
【高木委員】  今、御議論されたことと人材育成機能に一番絡む話ですが、人材育成で前回も議論になりましたけれども、インセンティブというか評価というか、これはやはり人に育て育てといってもそれを評価してくれなければ誰も育たないわけですよね。この報告書では、評価の仕組みに関して何も変えないということなのか、そこに全く触れてないというのがやはりちょっと。そういうことをすれば産業界で評価してくれるかもしれないというのでは、やっぱりちょっと何か他人任せのような感じがしますので、やはりアカデミックとしてもそういうものをどう評価していくのかということがないと、人材育成というのは成り立たないんじゃないかと思いますね。
それから、もう一つそれに関連しまして、やはりインセンティブで一番大きいのはポジションだと思いますけれども、先ほどの議論でいろいろな機能が必要だと、全部機能という言葉でまとめられていて、それはそれで上品に書かれていて大変結構だと思うんですが、一つ心配しますのは、機能というときに何かある程度の予算がついて、何かその機能を実現するために人なり組織なりができるとしても、結局ポジションが任期付きのポジションしかないんだと、やはり何かうまくいかないんじゃないかと思うんですね。ですから、機能という書き方でもいいんですけれども、やはりそこに何かある常設の、あるいは常勤のポジションというものを確保していくような仕組みが入ってないと、単に機能を何かテンポラリーに実現するようなことになっていってはよくないと。そういう意味で、評価の仕組みということとポジションということをもう少し書き込んでもいいんじゃないかなと思いました。
【國府委員】  高木先生と同じようなことを、考えていたのですが、2の「数学イノベーションを担う人材の層が厚くないこと」の中の、数学専攻の学生のキャリアパスが限定的であると書かれています。それを解決するための必要な方策の中で、まず若手のコーディネーターというのは一つのテンポラリーなポジションという位置付けで、そこに一定の任期のポジションがあって、それを経験するということで次のステップにつながるという仕組みになっていて、それに予算が付いて、一定の人がそこで活躍できるようにするということだと思います。それについて前回、申し上げたことですが、そういう人たちに何らかのステータス、例えば数理連携コーディネーターでもいいと思いますが、そのような名称のステータスを付けることによって、一つのキャリアパスとして認められ、企業でそのような人を採用することがやりやすくなり、それによって次のステップにつながるという可能性があると理解したのですが、そうであればそれをきちんと書き込んで、2で挙げられた問題をそういう形で解決するのだということを明確に示せば良いと思います。
そのときに、先ほど高木先生が言われたような常設のポストでそのような役割を継続的に行うことができる、あるいは数学以外のところでもそのような人たちを積極的に採用できる仕組みを書き込めるのであれば更によいと思います。そのようにして、いろいろなキャリアパスに広がっていくということを明確に書いていただくのがよいのではないでしょうか。
更にもう一つは、人材育成機能のところで、相談窓口機能とか診断とか問題解決をするときに、学生を巻き込むということもきちんと書いていただくとよいのではないか。学生がそういう経験を積むことで、次のステップでより積極的にそういう問題に関わっていく人材が育成されるという教育の機能が果たせるのではないかと思います。この3つを入れていただいたら良いのではないかと思いました。
【樋口委員】  私の発言は高木先生、国府先生の流れに沿うもので、もう少し具体的な考えなんですけれども、やっぱりアカデミアにおいては分野をつなげるような人とか、あるいはコーディネーションできるような人材というのは非常に貴重に思われています。小谷先生が前回か前にも御発言ありましたし、本研究所もそうですけれども、そういうタイプの方々の就職はアカデミアにおいては非常に良好なんですね。私はその方向に関しては非常に明るい期待感を持っていますが、やはりそうした人たちに産業界に行ってもらうためにはブランディングが必要だと思います。ですので、そういう新しいタイプの人間、本来ならばサーティフィケーションまでいけば望ましいんですけれども、なかなか急にはそこまでいかないと思うので、何らかこの事業内でブランディングができるようなもの、そういうタイトルなり何かを持った人は産業界からも注目されるような人材になるんじゃないかと思います。
【若山主査】  ありがとうございます。
常設のポストとかインセンティブについても私自身も全くそう思ってやってきましたけれども、こう時代が進んで、今うまく説明すると自然な流れとして数学をバックグラウンドに持つ人が活躍できるということがあるといえます。実際、アカデミアにおいても必ずしも理学部数学科でなくてもポジションがあったり、それを生み出していける可能性は出てきていると思います。そういうのを促していくというふうにしないと、例えば今の数学、いわゆる理学系の数学教室で常設ポストを今までと違う方向に動かすというのはなかなか難しいところがあると思います。もちろん、それをやる必要があるときは別に皆さんが合意すればやったっていいと思うんですけれども。そういう意味で、どこまで積極的に書けるかというのは、実は舟木委員がおっしゃったように、どこまで数学者がどう見るべきだと書けるかということと同じ根っこのところがありますね。そこがやはり、一つはこれを出すことによって概算要求の基礎資料にしていただきたいわけですけれども、やはり広い意味での数学者がこういう流れもよしというふうなところを持っていただければ、結局は進むのかもしれないというので、少し生ぬるい書き方になってしまっている。粟辻さんを含めも、文科省の方も少しそこに気を使ってくださっているんだなという印象を持っているんですけれども。もう少し書いてもいいかもしれませんね。
ほかにございませんでしょうか。
【樋口委員】  学協会としても、このような方向性というのは非常に真剣に考え、後押しあるいは支援しているということをエビデンスを持って示すためには、小谷先生が中心となって、私も少し協力させていただきましたけれども、学術会議の方に日本数学会、日本応用数理学会、統計関連学会連合が一致して提案したものは一つの大きなエビデンスもあり、本気で考えているという証しじゃないかと思います。これは、この夏から秋に議論されていきますけれども、これらの動きと連動すると、あるいは書ける部分があったらここの中に入れるといいんじゃないかなと思います。
【若山主査】  ありがとうございます。
ほかに。
長谷山委員、そろそろ発言の時間じゃないですかね。
【長谷山委員】 私がこの委員会に最初に出席した時に、数学が不要だと思っている研究者も企業人もいないにもかかわらず、このような状態になっているのは、見える化が足りないからだと申し上げました。本日の報告書案にあるような見える化の工夫と努力により、前進できるものと思っています。ところで、見える化と言うのは、数学者を内部と呼んだ場合に、外部つまり数学を使う研究者や開発者へ向けて行うものです。報告書案の取りまとめのこの回に、一点お話しさせてください。それは、数学を学ぶ学生や若手研究者のマインドセットについてです。数学を研究する若者が自分自身に多様なキャリアパスがあって、広く活躍の場があると言う意識を持っていて初めて見える化の工夫の成果が継続するのだと思っています。内部にこのような意識がない場合、例えば、次の予算でポジションが与えられても、それがインセンティブとして働く間しか成果が出ません。今回の報告書案から、次のプロジェクトが始まったとして、プロジェクトの後も成果が継続するためには、内部のマインドセットも重要なカギになると思います。若手研究者のマインドセットは、我々の世代にも責任があると考えると、我々が自身の責任としてしっかりと捉える必要があると感じています。
【若山主査】  ありがとうございます。
本間さん。
【本間委員】  冒頭議論していただいた中核の組織のことは私も気になっていたところです。言葉を中核にするのか、全国のある意味1つの窓口にするのか、ちょっと規模の問題と言葉の問題というか関係するのでここではすごい繊細だと思いますが、中核の組織がないとちょっと企業の方がやっぱり困ると思います。先ほど言われたように、一応ラベル上はここの大学はここが得意でと書いていても、今産業界側で起きている悩みというのは、実は既存の学問体系によらないことがあります。そもそもこれ物理なのか化学なのかすぱっと分かれているということはまずなくて、両方だけれども、しかも相当重箱の隅をつついたような研究をしている可能性が高いので、これは組成の話なのか、そもそも構造体の話なのか全く分からないけれどもどうなの?というところから多分悩んでいるわけです。産業界側は本当に自分の悩みを素直・丁寧に説明できない状態のときに一番相談したいわけです。ある意味、アカデミアの方とディスカッションしていく中で問題をよりシャープにするというところが、今回の仕組みのどこかにないと、多分企業側が、相談に行けないと思います。
今、割と企業側で数学をうまく使えている研究所がある会社というのは、実は数学を会社の中でやれる人材がいる会社であって、今僕たちが向かうのは、そういう人材がいない会社でも産業を復活させたり伸ばす、会社に対してよりサポートするとするならば、やはり企業側の明確になっていない質問をよりシャープにして、であればどういうフォーメーションで問題を解決するかという部分がやっぱり相当強くないと、恐らく全然誰も相談には行けなくなります。ここが、一個相当危惧しているところです。それは冒頭で今日お話をすごいされていたので、僕はそこの部分は意見が全く一緒なので、是非それは中核の組織について明確に書いていただきたいのです。あともう一つ、実は僕も産業界に来てしまった後に大学に戻るまで相当、15年ぐらい掛かって戻りました。産業界側に入った若手研究員の人たちが数学者と時間を組む時間というのは意外と今なくて、企業の仕事に相当ヘビーに巻き込まれると思うんですけれども、ある意味今回のこういう取り組みの中では、若手企業研究家の方たちとアカデミアの研究家の方のワークショップって大学ごとに幾つかやられてはいるんですけれども、それがもうちょっと明示化するような活動体が、先ほどのそれが中核の部屋を造るのか建物を造るのかは別としても、何かそういうところで合宿形式で何かディスカッションができるようなことがもっと頻繁に起これば、多分それはアカデミアの人たちにとっても自分の将来あるべき姿を少し理解することになるでしょうし、企業側の若手もこうやって質問を持っていけばいいんじゃないかというトレーニングにはなるので、是非若手の何かそういう活動というのはどこかに盛り込んでいただけるととても有り難いんじゃないかなと思います。
【粟辻推進官】  複数の企業の人が参加するという意味ですか、それとも特定の会社だけ参加するということでしょうか。
【本間委員】  それはやり方でいいと思います。以前テーマ別でやっていたワークショップって結構あったと思うんですけれども、そういう形でもいいでしょうし、この中でも説明されているマス・フォア・インダストリである企業の方たちと一緒にやっている形式でもいいと思うんですけれども、それは全然選び方は気にはしていないんですけれども。
【若山主査】  ここに書き込むことではないんですけれども、今のことで少し御参考にしていただければいいと思うのは、いろいろな良くも悪くもたくさんプロジェクトというのがあって、大きな大学であればいろいろな分野の人たちがいろいろな大きなプロジェクトを申請されるというところがあるんです。そういうときに、多く、普通は数学の人は入ってないんですけれども、数学的要素というのは必ず――必ずとは言えませんけれども、かなりあるんですね。そういうところに入っていく方がいて、やりだすと面白くなることが結構多いと思うので、そういうのもこういう活動を拡大していくときには非常に重要だなと思います。いろいろな大学でそういうふうにしていただけるとうれしいなと思っていますけれども。
【中川委員】  よろしいですか。先ほどの問題も含めてですけれども、企業の問題は丸投げしたんじゃ絶対うまくいかないと思います。それは数学だけでなく工学の場合も同様です。企業側が問題をちゃんと整理して、この問題だったら誰と連携するというような、問題の仕分のできるような能力は、数学側ではなく、数学を使う側の教育の問題ですね。そういうのも非常に大事だと思います。
例えば、コーディネーターといったときに、数学者なのか、数学以外の人なのか、どちらが適任かというのは、まだ漠然としていると思います。
【若山主査】  そこで数学者なのかそうでないのかということを議論しなきゃいけない状態だというのがまたいろいろ難しいところだと思うんですが。
そういう意味だと、物理出身の人たちというのはアカデミアに職がなかったかもしれないし、実験が嫌いでも実験も少しは知っているということがあっていろいろなところで数理科学者として活躍されてきた人がたくさんいるような気がしますね。
【合原委員】  マイナーなんだけれども、数理工学はまさにそういう学問でして、だから、我々にとっては非常に自然にできるんですよ、数学と産業と両方知っているので。そういう人が余りいないという、学生も含めて。そこが日本の問題ですね。
【若山主査】  そうかもしれませんね。
それでは、いつもこの委員会は時間いっぱいまでしておりますけれども、時には早く終わってもいいかなと。
それで、きょう頂いた御意見を反映する形でこれを少し修正していただいて、それでまだ少し書面ぐらいで回すという時間はありますかね。
【粟辻推進官】  はい。
【若山主査】  はい。
【森委員】  いつも発言するのが遅くなるんですけれども、ちょっとお願いがあって。
参考2の研究の成果例ですね、これとこちらの9ページの期待される効果との対応がいつも気になるんですけれども、期待される効果の方で、熟練者の「経験と勘」による判断の背後にある構造を数理化するという話がありますけれども、例えばこの中でそういう形の成果というのはどれかあるのか。もしあればそれを明示したいと思うんですけれども。
【粟辻推進官】  今の参考の2だと、参考の2の2ページ目の、ちょっといろいろなことの研究成果にいろいろな側面がありますので、無理に整理しているところもあるんですけれども、参考の2の2ページ目の下の部分……。
【森委員】  ああ、済みません、なるほど。ちゃんと書いてあったんですね。
【粟辻推進官】  当たるものとしてイメージして書いてます。
【森委員】  なるほど。でも、そうするとそれに対応した書き方がこの期待される効果の方にあってほしいんですけれども、それは対応しているんですか。
【粟辻推進官】  ちょっと実は対応してはいないので、対応させた方がよければそういうふうに書きます。
【森委員】  やっぱり数学者にしても何ができるのかというのを分かっているのはいいと思うので、そういう成功例というのと対応していてほしいと。それだけです。
【若山主査】  そうですね。作ったときが違うので、今の……。示していこうということなんですよね。それはとても、ありがとうございます。
それでは、まず、図もありますので、少し時間を頂いて、戦略的基礎研究部会は7月中旬ぐらいと聞いていますから、今月末ぐらいに一度御意見を頂いて、ただ、確かに書き入れるべきことはたくさんあるかもしれませんけれども、そこはある程度最終的には私の方に御一任いただいて、粟辻さん、基礎研究振興課とお話しして戦略的基礎研究部会に上げさせていただきたいと思います。一度委員の皆さんにはメールで御相談申し上げるということで、よろしいでしょうか。
どうもありがとうございました。それでは、これで終了したいと思います。
【粟辻推進官】  最後に事務局から。事務局を代表して審議官の生川より一言御挨拶したいと思います。
【生川大臣官房審議官】  報告書案の取りまとめを頂きましたので、研究振興局を代表して一言お礼を申し上げたいと思います。
委員の先生方におかれましては、昨年の4月から12回にわたって審議を頂いたということで、きょうもそうでしたが非常に熱心な御議論を頂きまして、まずは感謝を申し上げたいと思います。
本日も特に非常に中身の濃いコメントを頂きましたので、その中身を今若山主査もおっしゃっていただきましたけれども、しっかりと報告書案に反映をさせていただきたいと思っております。それも含めて非常にいい報告書案を作っていただいたと思っております。若山主査を始め委員の先生方に改めてお礼を申し上げたいと思います。
文部科学省としては、このまとめていただいた報告書案の中身をしっかりと、先ほど来からもお話が出てまいりましたけれども、来年度以降の予算要求にしっかりと反映をさせていただきたいと考えております。
研究振興局でこの数学の問題について検討をさせていただいたのは多分10年くらい前だと思うんですが、それ以来いろいろな御議論を頂きながら文部科学省としてもいろいろなことをさせていただいてきたということであろうかと思います。この間、数学に対する認識が向上され、状況が改善をしてきたということではあろうかと思うのですが、私どもとしては引き続き努力をしていく必要があると考えておりますので、今後とも委員の先生方の御指導、御支援、御協力を頂きながら、私どもとしてもしっかり頑張っていきたいと考えておりますので、是非よろしくお願いを申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。
【若山主査】  よろしくお願いします。
【粟辻推進官】  それでは、本日の資料は机に置いておいていただければまた郵送させていただきますので。
では、ありがとうございました。

―― 了 ――

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