資料3 数学イノベーション推進に関する論点について

1.数学へのニーズの発掘
数学協働プログラム(平成24年度~、統計数理研究所に委託)において、数学者と諸科学・産業との「出会いの場」「議論の場」として、連携ワ―クショップ、スタディグループ等を開催している。
<現状の課題>
・これらのワークショップやスタディグループへの参加者が固定化し、あまり広がっていないのではないか。
・潜在する数学へのニーズに十分応えられていないのではないか。
<論点>
○より多くの数学者が自発的に諸科学・産業との議論の場に参加するようにするにはどうすれば良いか。
・既存のワークショップやスタディグループの件数を増やせばよいのか。
・何か別の仕掛けが必要か。
○諸科学・産業の数学へのニーズを引き出すにはどうすれば良いか。
・ワークショップやスタディグループへの参加を促すだけで十分か。
・数学への相談窓口を設け、どこに、どのようなレベルの問題について相談をすればよいかを明らかにすることが有効か。

2.数学と諸科学・産業との協働による研究の推進
以下のような研究費により、数学と諸科学・産業との協働による研究を支援。
・JST戦略的創造研究推進事業
・数学協働領域(さきがけ)、数理モデリング領域(CREST)(26年度~)
・ビッグデータ関連領域(25年度~)
・科学研究費補助金 特設分野研究「連携探索型数理科学」(25年度~)
<現状の課題>
・数学研究者と諸科学・産業との協働による研究を通じて、諸科学・産業の課題が解決できている(例えば、研究成果を諸科学・産業の研究者が「使いこなせる」ようにはなっている)とまでは言えないのではないか。
・ある研究分野の問題の解決に使われた数学的手法・理論が別分野の問題の解決にも用いられること(研究成果の水平展開)が不十分ではないか。
<論点>
○諸科学・産業の課題解決を実現するには、どのような方策が必要か。
・研究費を充実させることで実現可能か。
・数学的アイデアの実装(プログラミング、ソフトウェア化等)を支援する人材の配置やそのための体制が必要か。
○研究成果の水平展開を促進するためには、どのような方策が必要か。
・諸科学・産業の問題に取り組む数学者間のネットワーク構築、情報共有等が有効か。
・それを当事者の自主的取組に委ねるので十分か。
・支援が必要だとすれば、どのような支援が必要か。

3.数学イノベーションに必要な人材の育成
以下の例のとおり、数学イノベーションに必要な人材育成がなされつつある。
・実践を通じた人材育成
・連携ワークショップ、スタディグループ等への参加
・さきがけ研究者、CRESTメンバーとしての活動
・各大学の連携拠点における活動
・大学の数学関係学科等における育成
・九州大学大学院 博士後期課程 機能数理学コース(18年度~)
・明治大学 総合数理学部(25年度~)
<現状の課題>
・実践的取組に参加している学生や若手研究者は全体の一部にとどまっているのではないか。
・大学における育成の取組も、一部の大学にとどまっているのではないか。
<論点>
○社会からの数学・数理科学へのニーズや期待に応えられる数学人材を育成するにはどのような方策が必要か。
・実践的取組への参加を呼びかけるだけで十分か。
・大学における教育カリキュラム等の改善が必要か。
・複数の大学が協力して実施するような活動が必要か。

4.必要な体制
以下の例のとおり、数学イノベーションに必要な体制が整備されている。
・統計数理研究所、京都大学数理解析研究所に加えて、九州大学マス・フォア・インダストリ研究所、明治大学先端数理科学インスティテュートが共同利用・共同研究拠点に認定。
・このほか、各大学で数学と諸科学・産業との連携拠点が設けられている。
<現状の課題>
・各大学の自主的な取組だけでは限界があるのではないか。
<論点>
○数学イノベーションの推進体制として、どのような姿を描くことが必要か。

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