社会における複雑な現象に対する(データに基づく)科学的接近【北川委員】 |
1.課題 |
Science for Societyを実現すること |
2-1.数学的手法・理論 |
設計科学の確立に必要なこと |
2-2.数学的コンセプト |
・ モデルを第一原理により与えられたもの,あるいは研究者の才覚により見出されるものと捉えるのではなく,目的,価値を前提に当該分野の理論,経験,データを統合してモデルを構築し,さらに行動・評価・検証のプロセスを経て知識発展(モデルの改良)させるべきものとする.(第4の科学) |
3.もたらされる効果 |
効果 数学へのフィードバック |
22世紀に向けての社会デザイン【西浦委員】 |
1.課題 |
22世紀に向けての社会デザイン |
2-1.数学的手法・理論 |
どのような数学を用いるのか |
2-2.数学的コンセプト |
Social organization とは何かを議論せねばならい.社会を内部ダイナミクスが付与されたノードから成る巨大な動的ネットワークと捉えるならば,全体ダイナミクスは個々のノードのダイナミクスに関わらないグラフ構造から決まるごく少数のキーノードの漸近的挙動から判定できるという手法も開発されつつある.そのようなアプローチは複雑化の泥沼に入り込まず,全体の骨組みを取り出す可能性をもつ. |
3.もたらされる効果 |
個々の諸問題に局限された範囲を超えて,グローバルフィードバックの構造が明確になる.個々の施策の詳細に振り回されない全体として取るべき方向が明確に示すことができる.水平展開というよりも関連するものすべてを取り込む必要がある. |
インフラ、ネットワーク等の自己修復ダイナミクスの解明【西浦委員】 |
1.課題 |
自己修復ダイナミクス |
2-1.数学的手法・理論 |
自己組織化パターンダイナミクス,逆問題,ニューラルネットワーク理論,メカノケミカルフロー,計算トポロジー |
2-2.数学的コンセプト |
局所相互作用から如何に大域情報を取り出すのかという生命における階層的情報の流れを明確にすることにより,外的変化(破壊,傷等)に対し,どう対処するのかという自発的ダイナミクスの数学的コンセプトを打ち出したい.それらの変化が明確に生じる前段階で伏線的に準備されるものをモデリングに組み込むことを考える必要があるだろう. |
3.もたらされる効果 |
問題の趣旨から生命科学,材料科学への応用は考えられる.Wound healing, ips細胞の自発的組織形成などへ.系がもつ自発的破壊箇所の発見とその自己修復ダイナミクスの数理的機構を明らかにすることによりグローバルフィードバック,とりわけ個と全体の相互関係ダイナミクスへの発展が期待される. |
スマートな手法での材料設計手法の開発【小谷委員】 |
1.課題 |
新機能材料のスマートデザイン |
2-1.数学的手法・理論 |
離散幾何解析学。特に、離散的と連続をつなぐ幾何的な枠組み、離散的なパターン形成理論、ネットワーク理論を用いたデータ集合の幾何学、欠陥構造を記述するリーマン幾何学・フィンスラー幾何学 |
2-2.数学的コンセプト |
直感を数値化する幾何学的概念の積極的利用。特に近年開発されている計算トポロジーや、高次元構造を取り込んだ非可換幾何学などは、これまでの数理工学にはなかった新しい視点を提供し、局所データを大域構造に結びつけることを可能にする。 |
3.もたらされる効果 |
材料科学だけでなく、複雑な構造から本質的な幾何構造を取り出す様々な事象に適用可能である。 |
有機材料のミクロとマクロをつなげるマルチスケールモデリング【若山委員】 |
1.課題 |
コストダウンや製造プロセスの効率化、設計自由度などの面で優位な有機エレクトロニクス(有機半導体や有機不揮発メモリ等)において、有機材料はその分子構造を上手に設計することで高機能・高性能化が期待される。ミクロ(分子構造)とマクロ(機能&性能)を繋げるマルチスケールモデリングと呼ばれる物理数学手法を開発することで高機能・高性能有機材料の合成が可能になり、有機エレクトロニクスの発展に貢献する。 |
2-1.数学的手法・理論 |
ミクロな分子構造がマクロな物性に与える影響を以下の物理数学手法で議論する。 |
2-2.数学的コンセプト |
例えば、強誘電ポリマーを用いた不揮発メモリの場合、そのミクロな分子構造と相転移に伴う分極ドメインの動力学的過程や材料物性の変化等々のマクロな物性を調べるのに好適な時間依存ギンズブルグ・ランダウ理論を繋ぐべく第一原理計算の解法や分子動力学の計算を含めたマルチスケールモデリング技術を開発する。 |
3.もたらされる効果 |
・有機材料(特に、有機物のポリマー)の機能・性能設計 |
ナノデバイスの設計解析に好適なカシミール効果の物理数学モデル構築【若山委員】 |
1.課題 |
機能デバイスの微細化が進むなか、ナノ領域における工学/光学デバイスの設計解析に好適なカシミール効果の物理数学モデルを提供することで、今後なくてはならないナノメカニクスの確立に貢献する。 |
2-1.数学的手法・理論 |
・連続体力学(微積分方程式、不変量の理論、テンソル解析、関数解析等) |
2-2.数学的コンセプト |
巨視的量子現象であるカシミール効果の幾何形状や材料物性への依存性を、従来の固体の場の量子論による難解複雑な定式化ではなく、連続体の非局所電磁場理論で体系化し、次世代ナノ/マイクロデバイスの研究開発技術者が自らの設計解析業務において容易に使えこなせる理論ツールを開発する。 |
3.もたらされる効果 |
・極端に少ない摩耗および消費電力で可動するマイクロナノマシンの設計革新 |
デジタル映像メディアにおける感情や個性の定量的表現【安生委員】 |
1.課題 |
・ 国、文化、世代を越えた円滑なコミュニケーションのための「デジタル映像」メディアの構築. 2D, 3D, 立体映像、音声、触覚デバイスを含む統合メディアの実現. |
2-1.数学的手法・理論 |
・ デジタル映像化された人間モデルとその環境を新しい「メディア」として扱うために、感情や個性を定量的に表現する数理モデルの構築.学習理論、制御理論、自然現象のシミュレーション手法、CG表現技術を統合化する数理モデルの構築. |
2-2.数学的コンセプト |
・ 従来では困難であった、感情や個性の定量的表現のための数理モデルの構築. |
3.もたらされる効果 |
・ メディアそのものは、何も生み出すものではなく、ある情報を発信する側と受け取る側を繋ぐインターフェィスである.したがってその活用の仕方によって様々な分野に使われて行くと考えられる. |
リアルで表現力豊かなコンピュータグラフィクスの画像の実現【若山委員】 |
1.課題 |
今後のコンピュータグラフィクスの役割の一つとして、教育や福祉などの現場でそれらのサービスを受ける側のQOLを高めるITツールとして活用されることが期待される。コンピュータの並列化や人海戦術などによって画像をつくる従来のスケールアウトの方向から画像そのものの質や表現力を高めるスケールアップの方向へと変遷しつつあるCGの世界において、質感溢れる画像を創りあげるための様々な手法の理論的体系化、またそれに基づいたさらなる技術的進化を可能にするのが数学の特徴であり役割である。(QOL: Quality of Life) |
2-1.数学的手法・理論 |
・群論 |
2-2.数学的コンセプト |
・ヒトやモノの動きあるいはそれらの質感などに関連して、リアルで表現力豊かな動画を創るべくフレーム間の補間や変換等にそれを得意とする数学を応用する。 |
3.もたらされる効果 |
・水平展開案については上記1.課題参照されたし。 |
人の五感の数理的記述とモノづくりやサービスへの展開【若山委員】 |
1.課題 |
産業界では単に便利なモノやサービスを提供する時代から心の琴線に触れるモノづくりやサービスの提供がビジネスの大きな指針となるような時代に移っている。人の感動体験はモノやサービスとの接点であり、数理モデルを通して人の感じ方を上手に表現することができれば、様々な産業分野でのモノづくりやサービスのデザインに革新をもたらすことが期待できる。 |
2-1.数学的手法・理論 |
・多変量データ解析法 |
2-2.数学的コンセプト |
人は五感を通して様々な感覚を獲得するが、それらの感覚が表出されるまでの過程である脳内の情報処理を数理システムとして記述することで、人間工学の視点で様々なモノづくりやサービスのための設計基盤技術を提供することが可能になる。例えば視覚を通して外部からの刺激に対する反応を被験者の言葉で評価してもらい、そのように取得された主観評価データに基づいてデータ間の関係性を与える構造あるいは特徴を数理科学的に決定することができれば、刺激と反応の関係性が捉えられるため、人の感性に適合したモノづくりやサービスを新たに創造することが可能になる。 |
3.もたらされる効果 |
心の琴線に触れるモノづくりやサービスのためのデザイン革新 |
融合領域研究推進官 粟辻(内線4243)、宮澤(内線4120)
電話番号:03-5253-4111(代表)
ファクシミリ番号:03-6734-4074
メールアドレス:kiso@mext.go.jp