資料3-1 「平成23年度数学・数理科学と諸科学・産業との連携研究ワークショップ」の開催結果について

1.ワークショップ開催の概要
(1)主催機関
 平成23年度において文部科学省は、数学・数理科学と諸科学・産業との連携研究ワークショップ(全22件)を大学や公的研究機関(下記)と共催した。
北海道大学1件、東北大1件、理化学研究所1件、統計数理研究所1件、東京大学3件、明治大学2件、名古屋大学1件、北陸先端科学技術大学院大学3件、大阪教育大学1件、岡山大学1件、九州大学6件、北海道大学・東北大学・理化学研究所合同1件

(2)開催期間
 比較的短期間のもの(1~2日間程度)が18件、比較的長い期間のもの(3日間~1週間程度)は4件開催された。

(3)テーマ
 ニーズ(諸科学・産業において数学・数理科学の力を活用して解決したい課題)に対応するという観点からテーマ設定をしているワークショップと、シーズ(課題の解決に活用できる数学・数理科学的理論や手法)を提示して諸科学・産業への応用の可能性を探るという観点からテーマ設定をしているワークショップとがある。
○ニーズ対応型
  ・クラウドコンピューティングに対応した情報セキュリティ暗号
  ・地球環境流体研究(気象予測、気候変動メカニズム解明等)
  ・ポスト金融危機への対応
  ・社会的リスクの予測と制御
  ・サービス・イノベーション
  ・人工原子と光の相互作用を利用した量子デバイスモデリング
  ・産業界からの課題提供によるスタディ・グループ研究集会
○シーズ提示型
  ・応用トポロジー
  ・ウェーブレット理論
  ・最適化理論(SDP:半正定値計画問題)
  ・複雑系揺らぎデータ分析・制御
  ・マルチスケール数学
  ・機械学習法
  ・数理論理学

 

2.ワークショップの開催によって得られた事項
(1)課題の発掘及び今後の展開
 各ワークショップにおいて議論を行った結果、今後更に解明・展開すべき課題が明らかになった【資料3-2参照】。既に連携相手の諸科学分野や産業の研究者との議論が積み重ねられ、具体的な課題や研究テーマが明らかになり、研究の可能性について検討する段階のものもあれば、まだ諸科学・産業の研究者との議論を積み重ねる必要があるものもあり、それぞれの状況に応じた対応が必要である。

(2)連携ワークショップの企画運営方法
 今後、このような連携ワークショップの開催を通じて数学・数理科学が役立つような課題の発掘につなげていくには、数学・数理科学の力が発揮でき諸科学・産業側にとっても大きなメリットがあるようなテーマをうまく設定し、適切な講演者・発表者を選ぶとともに、数学・数理科学と諸科学と諸科学・産業の研究者との間で適切なコミュニケーションを図り問題意識を共有した上で議論を進めるなど、適切な企画運営が行われるようにする必要がある。
 このため、今後の連携ワークショップの企画運営の参考とするべく、適切な企画運営方法等について、23年度に開催した各ワークショップの運営責任者(オーガナイザー)及び参加者へのアンケート調査や、「オーガナイザー会議」(平成24年3月26日開催)における議論などを踏まえ、整理した【資料3-3参照】。

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