資料3 「数学イノベーション戦略(仮称)」に盛り込むべき項目について(案)

平成23年9月22日

 

1.数学イノベーションが必要とされる背景

(1)数学イノベーション
○数学イノベーションによりもたらされるブレークスルーへの期待
 ◆諸科学・産業における特定の課題の解決
 ◆様々な分野・産業への波及(成果の水平展開)
 ◆これまでにない新しい価値の創造
 ◆数学・数理科学への刺激(新たな視点の発掘・提供、新しい理論構築)

(参考)数学イノベーションをもたらし得る研究テーマの例
 ・グリーンイノベーションをもたらし得るテーマ
 ・ライフイノベーションをもたらし得るテーマ
 ・安全かつ豊かで質の高い国民生活の実現をもたらし得るテーマ
 ・産業競争力の強化をもたらし得るテーマ
 ・諸科学分野の研究におけるイノベーションをもたらし得るテーマ

(2)数学・数理科学の重要性の高まり
○社会の情報化・複雑化や計算機性能の飛躍的向上による、大量・複雑なデータから有益な情報を抽出し活用することの重要性の高まりに伴い、更なる数学・数理科学的アプローチが必要
○数学・数理科学が直接使われる分野の社会的インパクトが増大(多くの最適化問題、シミュレーション、暗号による情報セキュリティ、コンピュータ・グラフィックスなど)

(3)近年の数学イノベーションをめぐる動向
○我が国における状況
 ◆我が国の数学・数理科学研究をめぐる状況
 ◆数学・数理科学と諸科学・産業との連携・協力の進展
  ・大学、公的研究機関等における取組事例
  ・産業界における取組事例
  ・JST戦略的創造研究推進事業
   「数学と諸分野の協働によるブレークスルーの探索」領域
   (平成19年度~:さきがけ、平成20年度~:CREST)
  ・連携ワークショップ(平成22、23年度)

○我が国における数学イノベーションを取り巻く社会的状況
 ◆第4期科学技術基本計画における位置付け
  ・「科学技術の共通基盤」、「領域横断的な科学技術」として、充実、強化を図るべきものとして明記
 ◆東日本大震災を踏まえた今後の検討の視点(科学技術・学術審議会決定)
  ・震災からの教訓や反省を踏まえた改善すべき点や取り組むべき点
  ・社会が抱える様々な課題の把握、課題解決のための学際研究や分野関連
  ・研究開発成果の課題解決への適切かつ効果的な活用
  ・科学技術・学術に関する知見や成果、リスク等の社会への発信や対話

○諸外国における状況
 ◆欧米諸国や中国等をはじめとする諸外国における近年の動向

2.現状の問題点

(1)数学イノベーション推進に当たっての基本的問題
○数学・数理科学の特質:ものごとを高度に抽象化すること
 ◆研究成果の水平展開(様々な分野・産業への波及)が可能
 ◆数学・数理科学的知見により解決が期待できる課題は諸科学・産業に潜在的に存在するが、諸科学・産業では必ずしも十分に認識されていない
 ◆このため、課題の発掘、研究テーマの抽出が必要

(2)数学イノベーションを生み出す仕組みにかかわる問題
○数学・数理科学研究者と諸科学・産業の研究者との”偶然”の幸運な出会いの確率を高め、”必然”にする仕組み
 ◆数学・数理科学と諸科学・産業との協働による研究のテーマ(諸科学・産業からの数学・数理科学に対する具体的ニーズ)が不明確
 ◆出会いの場、議論の場(研究集会 等)が不足
 ◆その後の具体的研究推進への支援が不足

○数学・数理科学と諸科学・産業との協働による研究から数学イノベーションへつなげるための仕組み
 ◆数学・数理科学研究者と諸科学・産業の研究者との間をつなぐ人材(例:モデリングのできる人材等)が不足
 ◆両者の相互理解を深めるために必要なノウハウ等が不足
 ◆数学・数理科学側でも諸科学・産業側でも、協働による研究に携わる人材が不足

○研究成果の水平展開(全く別の分野・産業への波及)を促進するための仕組み

(3)その他
○研究に必要な基盤的事項にかかわる問題
○知的財産権にかかわる諸問題(研究成果の特許成立性、学会・論文発表等への制約等)

3.数学イノベーションの推進方策

(1)数学・数理科学と諸科学・産業との協働による研究へ導くための方策
○数学・数理科学との協働による研究のテーマ(諸科学・産業からの数学・数理科学に対する具体的ニーズ)を抽出するための方策
○研究集会等の企画・開催(テーマ設定、参加者等の人選など)の支援方策
○研究集会等の後における具体的研究への発展の支援方策

(2)協働による研究から数学イノベーションへつなげるための方策
○数学・数理科学研究者と諸科学・産業の研究者との間をつなぐ人材の育成方策
○両者の相互理解を深めるために必要なノウハウ等の効果的な抽出・活用方策
○数学・数理科学専攻学生の視野の拡大、新たなキャリアパス構築(企業へのインターンシップ等)、視野の広い学際的研究者の育成方策

(3)研究成果の水平展開(全く別の分野・産業への波及)を促進するための方策

(4)その他
○研究に必要な基盤的事項の改善方策
○知的財産権に関わる諸問題への対処方策

お問合せ先

研究振興局基礎研究振興課/数学イノベーションユニット

電話番号:03-5253-4111(内線4120)