総合政策特別委員会(第31回) 議事録

1.日時

令和元年11月7日(木曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省3階 第1講堂
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 最新の研究開発動向について
  2. 我が国の強みを生かした研究戦略の構築について
  3. その他

4.出席者

委員

濵口主査、橋本主査代理、新井委員、越智委員、川端委員、菊池委員、郡委員、五神委員、白石委員、新保委員、菅委員、竹山委員、知野委員、塚本委員、土井委員、十倉委員、畑中委員

文部科学省

山脇文部科学審議官、村田研究振興局局長、田口サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官、増子研究振興局審議官、林研究開発局開発企画課長、菱山科学技術・学術政策局長、梶原科学技術・学術政策局審議官、真先文部科学戦略官、角田科学技術・学術政策局総括官、横井科学技術・学術政策局企画評価課長、大洞文部科学戦略官、中澤企画評価課企画官、磯谷科学技術・学術政策研究所長、湯本経済産業省産業技術環境局総務課長、倉持JSTCRDS副センター長、中山JSTCRDS企画運営室長、吉田JSTプログラム戦略推進部調査役

5.議事録

科学技術・学術審議会 総合政策特別委員会(第31回)


令和元年11月7日


【濵口主査】
 お時間になりましたので、ただいまより、科学技術・学術審議会総合政策特別委員会を開催させていただきます。委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 それでは、会議開催に当たりまして、事務局から資料の確認と出席者の紹介をお願いいたします。

【中澤企画評価課企画官】
 資料につきましては、お手元の議事次第の裏に資料の一覧がございますので、御確認ください。資料については、お手元のタブレットの中に入ってございますけれども、紙の資料として、資料2と参考資料1、参考資料2、それから、もう一つ、五神委員から御提出いただいた資料、A4・1枚について、机上にも配付させていただいてございます。欠落等、不備ございましたら、随時お知らせください。
 それから、参考資料2でございますが、本委員会で前半議論させていただいたものについて、中間取りまとめとしてまとめさせていただいてございます。既に各委員の皆様方にはメール等で御報告させていただいてございますが、最終的な御意見を踏まえた上で、濵口主査の御了解を取った上で、正式なものとしてホームページ等で既に公開させていただいてございます。また、先日の内閣府の総合科学技術・イノベーション会議の基本計画専門調査会の場でも御報告させていただいているところでございます。
 また、本委員会、本日以降、後半の議題であります「我が国の強みを生かした研究戦略の構築」ということで進めさせていただきますが、経済産業省においても、本検討と関係が深いというところもございますので、本日より、経済産業省からオブザーバーで参加いただくこととさせていただいております。今回、産業技術環境局の湯本総務課長にお越しいただくことになっておりますが、本日は公務の都合により、遅れての参加ということになってございます。
 また、経済産業省の産業構造審議会でも研究開発・イノベーション小委員会がございます。こちらの方にも文部科学省からオブザーバー参加するというような形になってございます。
 事務局からは、冒頭、以上でございます。

【濵口主査】
 ありがとうございます。
 いよいよ今回から研究戦略の構築という一番コアパートのところを御議論いただくことになりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、議題(1)として、最新研究開発動向の関連調査の報告を科学技術振興機構研究開発戦略センター及びプログラム戦略推進部より御説明いただきます。また、議題(2)として、我が国の強みを生かした研究開発戦略の構築についての論点案について、しっかり御議論いただきます。
 それでは、まず科学技術振興機構、倉持副センター長、中山企画運営室長及び吉田調査役から、資料1-1、1-2について説明をお願いいたします。

【倉持JSTCRDS副センター長】
 ありがとうございます。
 まず冒頭でございますけれども、4月の本委員会で、私どもの俯瞰の概要、あるいは、中国の政策動向について御報告させていただきまして、その問題意識も、ここにお配りいただいている中間取りまとめに盛り込んでいただき、本当に感謝申し上げます。また、今日は改めて報告の機会を頂きまして、感謝申し上げます。
 あの俯瞰を通じて感じますことは、分野の動向をきちんと押さえることの重要性と、どのような構造でその動向を把握するかということは、その分野によって異なるということが本当に感じるところでございます。
 また、私ども、研究戦略プロポーザルというのも提案させていただいておりますけれども、分野横断的な視点、これは極めて重要でございますし、研究開発戦略の立て方というのも、プログラムの階層性を考慮したものにする必要があると認識しているところでございます。
 今日は、まず分野別の注目動向につきまして、中山室長の方から報告申し上げます。よろしくお願いします。

【中山JSTCRDS企画運営室長】
 JST研究開発戦略センターの中山と申します。よろしくお願いいたします。
 前回は、横串とか横断的なこと、あるいは、システム的なことが中心でございましたが、今回は、研究開発の動向に関して御説明を申し上げます。
 1枚おめくりいただきまして、そうは言っても、全体の流れが分からないと全体も分かりませんので、潮流等に関して御説明させていただきます。
 まず、何を言っても、情報技術によって研究開発そのものが大きく変貌を遂げている。また、研究開発の発想の拡大、分野を超えた動き等にも十分に配慮しながら進めなければいけない。また、それによって、科学技術が大きく変わってきているという現状がございます。
 また、ELSI/RRIの流れとか、あるいは、STI for SDGs等、きちんと検討しなければいけないこと、また、諸外国では安全保障、あるいは、技術覇権に関わる分野、そういうところに対しての巨額の投資もなされており、当然、注視しなければいけません。
 そういう中で、一個人、一機関、一つの国、あるいは、一分野、一つのイシュー、そういう一か所に閉じるような研究開発ではなくて、分野の横断・融合、産学官・国際連携、そういうイノベーションのエコシステムのようなものをしっかりどう構築していくかということが全体一貫したストーリーにはなってございます。
 我が国の位置付けでございますが、言わずもがなでございますが、国際的な地位の向上を頑張っていかなければいけない。また、人材の確保、研究開発基盤の整備等もしっかりしていかなければいけません。
 その右側でございますが、ざっくりとした研究開発の動向でございます。この後、少し各論には参りますが。ライフサイエンスにおいては、データ駆動型研究の流れ、そういう中で、どういうふうに拠点化、そのネットワーク化をしていくか。これも一か所に閉じずに、競争力を追求する、求心力のあるような取組をどう構築していくかというのが大きな鍵であろうと思います。
 環境・エネルギー分野に関しましては、エネルギーの需給とか、その最適化、あるいは、脱炭素化に向けた、あるいは、低炭素の流れに向けた方策に関して、しっかり取り組まねばなりません。
 システム・情報科学技術は、もちろん、各分野を貫くドライバーのような位置付けでございます。また、情報技術と広範な社会との連携、研究との連携、融合・横断、その新価値創造を創る流れの中心として、しっかりと取り組むべきであろうと思います。
 ナノテクノロジー・材料関連でございますが、素材・デバイス・製造技術の国際競争力の優位性の確保、これは、これまで我が国がどうやって食べてきたかということを考えれば、最優先に取り組まなければならないということであろうかと思います。また、研究開発から価値創出までのエコシステムをどう構築するか。ここでも、前半の議論であったように、ラボ改革とか、あるいは、医工/産学連携、標準化とか、ELSIとか、そういうものもしっかりと構築しなければいけないと考えます。
 その下は分野横断的な話ですので、今回は割愛させていただきますが、見ておいていただければと思います。
 次のページでございます。これは主要国の科学技術イノベーションの動向、これは、これに近い資料を前回の会議でも出させていただきました。アメリカではAI、あるいは、我が国でもしっかり取り組もうとしている量子、あるいは、5G、先進製造、このあたりを4つの未来産業として大事にしております。
 そういう中で、中国では、「中国製造2025」、「AI2030」、量子科学に対する巨額の投資等がなされて、ここで技術覇権という流れが急に加速している。そういう中で、我が国としては、どういう分野にどういう投資をしていくかということを戦略的に考えねばならないと思います。
 片や、ヨーロッパを見れば、こういう新しい「Horizon Europe」を形づくるため、これは7年間で約12兆円ぐらいのお金が投資されると。そういうことに対して、当然、注視せざるを得ないと思われます。
 イギリスでは、AIとか、高齢化社会とか、クリーン成長とか、モビリティとか、そういうしっかりとした分野を創って、グランドチャレンジとして構築され、また、ドイツでは、「ハイテク戦略2025」というのが出されております。Industry4.0というのは、少し前のハイテク戦略で出たものですが、その色は相当薄まっており、今、AI、量子、蓄電池等に舵を切って、割と技術覇権的な方向に舵を切っているように思われます。そういう流れの中での、我が国としての科学技術をどう進めるか、分野をどう進めるかということであろうかと思います。
 次のページを見ていただきまして、まず各論に参ります。「ライフサイエンス・臨床医学」でございます。
 これもICTの進展によって、社会に存在する様々なデータを活用することが現実的になる。ありとあらゆるデータを活用し、それをビジネスにつなげていく、あるいは、研究開発につなげていくという大きな流れでございます。また、世界的に大きなトレンドである個別化医療、バイオエコノミー、それらは、その中での最たる例であろうかと思います。
 下のカラムに行っていただきまして、近年の技術革新。ここに挙げてあるようなものは、ほかにもあるかもしれませんけれども、様々な技術革新が行われ、それらをどう駆使していくかというところでございます。
 その右側にちょっと小さめのポンチ絵があるんですが、こういうDesign、Build、Test、Learn、こういうところ、我が国は結構一か所ずつ、一つの拠点、もしくは、一つの研究室、一か所の中の更に一部分、そういうところをばらばらと分散的に行われている。でも、大きな流れとしては、それらを一か所、あるいは、ネットワークを組んで、ぐるっと一回転させるような、そういう大きな運営がなされているというのが世界的な潮流であろうかと思います。
 下に書いてありますが、ライフ・バイオは一細胞オミックス、質量分析、イメージングとか、バイオエンジニアリングとか、データ解析とか、そういう技術領域はございますが、そういう総合への期待、複数技術を統合して、更に付加価値を高めていくようなことが大事であろうかと思います。
 また、ライフサイエンスの研究スタイルの変化、これも目に見えて顕著になってきております。生命の時空間階層と基礎から応用まで広く見る、今までは一か所ずつ見ていたところを、全体を見れるような道具立て、あるいは、手法立てが整ってきて、こういうこと全体を見ながら研究開発を進めていかなければいけなくなったというのが現況であろうかと思います。
 そういう中で、あとは、研究単位当たりのハイスループット化、高コスト化、「ビッグサイエンス化」ですね。これは機器が買えない問題とかはここでも議論されたと思いますし、最近、一か所の研究室、あるいは、ちょっとしたファンディングではもう重要な機器が買えなくなっている。あるいは、買ったとしても、それが外国の機器で、我が国としての機器ではない。そういう問題をどうしていこうかというのが、ライフサイエンスの大きな問題としてクローズアップされてきております。
 下の方にございますが、米国のブロード研究所とか、英国のフランシスクリック研究所、こういうラボと、コア技術と、そのネットワークと、そこに人を呼び込むような仕組みと、そういうオープンなアンダーワンルーフ――オープンと言っても、そこにはどうやって競争力をそこに持たせるかという様々な工夫がなされているようなものが運営されております。
 右側へ行っていただきまして、我が国の強み/弱みということでございますが、個別の免疫、植物、あるいは、イメージング、基礎研究は強みはございます。ただし、データ駆動型のビッグサイエンス化が進んだようなところでは、なかなか弱さも目立ってきているというのが我が国であろうと思います。その下、強み、弱みを記述しておりますが、強いところ、弱いところをしっかりと見極めた上で、ライフサイエンスに対する投資がなされるべきであろうと思います。
 繰り返しですけど、下に書いてありますが、日本は、人、金、技術・機器の資源が分散しているんですね。分散してたこつぼ化していると。でも、諸外国は、いろんなアカデミックエクセレンスを中心としたイノベーション・エコシステムを回そうという概念が非常に強く働いているやに思います。
 注目すべき課題としては、下、1から4に書いてありますが、世界的なトレンドになっている個別化、あるいは、層別化医療へ向けた研究開発、例えば、治療用デザイン細胞とか、そういうものに向けた技術開発等が、次世代創薬、競争が加速しているやに思います。
 また、バイオエコノミー、スマート・持続可能な農業、こういうあたりも注目です。
 また、生命の時空間階層のブリッジング。いろんな階層のデータとか、例えば、ゲノムとタンパクと細胞と組織、大きなものから小さなものまでをしっかりとブリッジングして対応していくようなライフサイエンス、あるいは、それを育むにはどうしたらいいかというエコシステムの話でございますが、全体を構築していかなければいけないという、大きなライフサイエンスの流れがあります。
 次のページへ行っていただきます。「環境・エネルギー」の注目動向でございます。
 地球の持続可能性に関する懸念、これまで以上に高まっているというのは、皆様、肌で実感していると思います。もちろん、エネルギーの需給は最適化しなければいけません。そのときには、しっかりとした科学技術を構築し対応していく。また、SDGs、パリ協定に代表されるような気候変動対応、また、循環型社会もしっかりと形成していく。そういうところに対して、科学技術を総動員で取り組む必要性が高まっていると。今までもそうでしたけれども、よりそれが強くなっているかと思います。逆に言うと、それらを持っているところが、ビジネス的にもしっかり優位に立てるというような分野であろうかと思います。
 エネルギー分野では、温室効果ガスを正味ゼロに移行するにはどうしたらいいかとか、あるいは、当然ですが、再生可能エネルギーをどういうふうに研究開発していくか。また、導入拡大に伴う課題はたくさんございます。それらをどう科学技術で解決していくかということも大事です。
環境分野では、社会的要請への応答、これも当然ですね。ビッグデータ・ビッグサイエンス、データの高度利用等も大事だと思います。
 主要国の政策動向を見ていただきますと、日本でも、もちろん多くの議論がなされています。重点化する技術の特定とか、社会実装に向けた技術開発の検討等がいろいろ行われて、実現に向けた政策の在り方等も、今盛んに府省連携で議論されていると聞いております。
 米国では、国家安全保障及び国内産業の保護・強化をかなり強烈に進めるような流れ。その中で、エネルギー分野に関しては、相当全方位的に行われています。若干、環境分野に関しては消極的だなと思うところもございますが、かなりのお金をかけて進められていると。
 欧州では、再生可能エネルギー導入拡大、そして、エネルギーの安全保障というところにもフォーカスされております。そして、「循環型経済」というところも、非常にフォーカスがなされていると思います。
 中国ですが、観光と経済の両立。中国、結構びっくりするぐらい、環境に関してのお金の投資、あるいは、気配りがなされているのが昨今であろうと肌で感じておられる方もいるかと思います。それらに対する研究開発の投資は、かなり全方位的に行われていると思います。
 右側へ行っていただきまして、我が国の強み/弱みでございます。エネルギー分野の強み、化学エネルギーの利用、熱利用、燃焼、トライボロジー等の基礎工学分野は強いとは思われます。環境分野では、観測、あるいは、浄化、メンブレン等に代表されるような処理、きれいにするピュアリファイの処理等も強いと思われます。ただし、弱みもたくさんあって、全体をシステムとして考えるようなところ、あるいは、ソフトウェア・データベース・シミュレーション、あるいは、データを統合するあたり、そういうところに対しての弱みもあって、弱みと強み、どういうふうに投資の配分をしていくかということは大事であろうかと思います。
 下へ行っていただきまして、注力すべき課題ということで、化学エネルギーの活用強化、これはもう言わずもがなでございます。
 また、気候変動へしっかり対応していくこと。サーキュラーエコノミー、循環型社会、これらに対しての対応も急務であろうと思います。
 また、ここでも研究開発のエコシステムと出てきますが、それら観測と、理論の構築と、モデル化と、シミュレーション、研究開発全体をどうつなげて、社会に更につなげていくかという、そういう再構築をするような流れが必要であろうと思います。また、環境・エネルギー分野というのは、工学的なところ、その基盤が非常に大事だと思います。もちろん、他の分野でも大事ですが、こういう下支えするような工学の基盤をしっかりしておかないと、環境・エネルギー分野の全体が支え切れないというような大事な問題があると考えます。
 次へ行っていただきまして、「システム・情報科学技術」でございます。
 最初に申しましたが、情報技術の進展によって、多くの分野、ほとんどの分野、研究開発そのものが大きく変貌を遂げています。そういう中で、この分野の技術トレンドは、「スマート化」「システム化・複雑化」、そして、「ソフトウェア化・サービス化」等だと考えております。
 その下のカラムへ行っていただきまして、主要国の政策動向でございますが、日本では、量子に対する戦略とか、あるいは、内閣府が打ち出したSociety 5.0、あるいは、AI戦略等、多くの施策が打たれております。
 そういう中で、アメリカでございますが、例えば、ホワイトハウスで5Gサミットが行われたり、あるいは、AIイニシアティブ、量子イニシアティブ、あとは、先進製造国家戦略等、相当なお金が各役所からつぎ込まれている。また、DARPA等のそういう防衛系のお金も非常に多く入っているのが見てとれます。
 欧州では、AI、量子等に重点投資されていますが、Horizon 2020からHorizon Europeにだんだん移行するわけでございますが、その中で、各国の投資の上に、必要な投資がEUからなされるということで、我が国としては、この重層構造の投資に対して、しっかりと目配せをしなければいけないと思います。
 中国では、製造業の高度化、そして、ICTの重視、その産業化、非常に大きなお金が支出されております。
 下は、システムとか情報技術の広がりということで、ハードウェア、そのシステム化、ソフトウェア化、スマート化という流れでございます。その最先端にあるのがAIですね。ハードウェアがだんだん進歩してきて、その次の新しいものというので、量子が出てくるということで、量子、AI、そのあたりが最先端の両極端のところにあるというような位置付けであろうかと思います。
 右側へ行っていただきまして、我が国の強み/弱みでございます。産業用ロボットとか、スパコンとか、生体認証とか、個別技術では強みのあるものもたくさんあるということだと思います。また、AIとかIoTに関しては、一部に強みがありますが、産業として国際競争力が非常に高いというところまでは至っておりません。個別技術は強いですけれども、それらをつなげるところ、あるいは、新たなビジネスモデルにするところは、やっぱりちょっと弱いのかなというのが見てとれるところだと思います。
 その下は、注力すべき課題を書き連ねております。上の方は、ビッグデータとかAI関連のところ、しっかり対応すべきだと思います。
 また、ロボティクス関連も大事。人間と機械をどう共生させるかというのは、ICT、システム・情報だけではなくて、その他の分野も総動員で行かなければいけないところかと思います。
 あとは、コンピューティングアーキテクチャですね。もちろん、今のコンピューティングも大事ですが、その先、新しい非ノイマン型と言われるところ、量子コンピュータ等もそうでしょう。あるいは、ニューロモルフィックとか、新コンピューティングのいろんな形を創っていかなければいけないと思います。
 その他に行きますが、結局、新価値の創造につながる情報技術といろんな分野との融合で新しいものを創っていく、そういう情報の流れをどう読んで、次に投資するかということが大事だろうかと思います。
 次のページへ行っていただきまして、「ナノテクノロジー・材料」でございます。
 これも米中のハイテク覇権争いが急に加速しているところでございます。特にAI、半導体、5G、そして量子、この辺に対する投資は加速いたしております。また、特にアメリカとかヨーロッパでは、希少資源確保への対応も活発になっております。これは「脱中国依存」ということを強く意識された流れかと思います。
 そういう中で、データとAIがキーになって、さらに、その先の量子への期待というような大きな流れがあるかと思います。
 また、ナノテクノロジー・材料では、SDGsの話は非常に親和性も高く、大事で、それに貢献する科学技術であろうと思います。
 また、そういう中では、データ科学の重要性が増している。
 そして、研究プラットフォーム・インフラ、こういうものがしっかりとワークして、例えば、部材は我が国は強いですけれども、そういうところを支える分野として、しっかりと機能しているところもあるかと思います。
 左下へ行っていただきまして、主要国の動向でございますが、日本、特に電池の話とか、元素戦略とか、Q-LEAPとか、あるいは、研究インフラ、特にナノテクプラットフォーム等、こういうものが善戦しているところだと思います。そういうものに対して、次々と新しいものが打てるかどうかというのが焦点かと思います。
 アメリカは、国家ナノテクイニシアティブは、まだまだ継続している。しっかりとした投資が行われている中で、ハイテク覇権に対して、国を挙げてチャレンジしているというのがアメリカ。ハイテク覇権を握ろうとしているわけですね。そういうことかと思います。
 欧州では、Horizon 2020で、材料をKETsと書いてありますが、Key Enabling Technologiesです。そこにナノテクとか先端材料を位置付けて、これは産業競争力上大事だよということが明示的になされて、投資がなされております。
 中国は、中国製造2025、これはもう半導体及び部品、材料に対して、世界の覇権を握ろう、過半数のシェアを中国で取ろうという戦略かと思います。そういう戦略に対して、特に部材のあたりは、我が国がこれまで食べてきて、今後も食べていかなければいけない大事な分野であろうかと思いますが、そういうところに対して、中国はしっかりと投資がなされております。また、量子に対してもしかりでございます。
 我が国の強み/弱みでございますが、長年の技術蓄積、これは大事にしなければいけない。ここに対して、失うようなことがないようにということだと思います。
 また、注力すべき課題としては、国際競争力の優位性を確保するようなところ、量子の話とか、IoT、デバイス等をしっかりとやっていかなければいけません。
 また、豊かな生活に貢献する戦略的取組の実行、これはマル2でございますが、これは世界から求め続けられるコア技術をしっかりと持っておきましょうと。これで我が国は食べていくという意思も大事かと思います。特に半導体とか、部素材とか、電池とか、量子とか、こういうところに対しての投資は大事かと思います。
 また、研究開発の価値創造へ向けたエコシステムのようなものも、しっかりと、横串の話でございますが、大事にしましょうというのがこの紙でございます。
 もう最後の方でございますが、次へ行っていただきまして、次は参考と書いてありますね。その次、ちょっとだけ参考資料でございますが、こういうデジタルデータのハイスループット化がライフサイエンス、先ほどビッグデータ化と言いましたが、例えば、Cancer Genome Atlasとか、神経コネクトームとか、Cellアトラスとか、非常に大きな技術体系が世界中で回っている。これは、実は、一か所の研究ではなくて、いろんな多くの分野の人が集まって、さらに、データを使いながら、オープンプラットフォーム、アンダーワンルーフ型の異分野研究プラットフォームを作りながら、巨額のお金をかけてみんなプラットフォームを作ろうとなされていると。そういったことに対して、我が国としてどう対応するか。
 また、次のページでございますが、これは、例えば、オミックス医療とか、創薬とか、これもプラットフォームビジネスそのものになりつつあると。また、バイオバンク、例えば、アメリカのNIHの“All of Us”、非常に面白い語呂合わせかと思うんですけど、そういうものでいろんな情報を集めて、それがだんだんビジネスになっていく。
 あるいは、ヘルスケアからビジネスへの流れで、例えば、「Digital Health Innovation Action Plan」のようなものがFDAから出される。これはデジタルとライフをしっかりつなぎ合わせて、それが産業競争力に対して貢献できるようなものでございます。実際に、Apple、Google、Amazon、平安保険グループというのは、これは中国で世界最大の保険会社、こういうところがヘルスケアビジネスに入ってくると。実際には、こういうところで、今、GAFAがICTのプラットフォームで巨額のお金をもうけているわけですが、こういうのがもうほとんど医療、あるいは、ヘルスケア、ライフサイエンス研究開発そのものに入ってきているというような流れの中で、我が国はどういうふうに今後政策を構築していくかというのは、非常に大事な視点かと思います。
 私は、以上です。

【吉田JSTプログラム戦略推進部調査役】
 引き続きまして、同じくJSTのプログラム戦略部の吉田と申します。私は、プログラム戦略部の中で、エビデンス分析を担当するチームにおります。本日は、エビデンス分析の取組について御紹介したいんですが、特に現在では、クラリベイト・アナリティクスが提供しているリサーチフロントというツールをメーンで活用しておりますので、それについての取組について御紹介させていただきます。
 最初のスライドを御覧いただきたいんですが。

【中澤企画評価課企画官】
 資料1-2を御覧ください。

【吉田JSTプログラム戦略推進部調査役】
 1-2の最初のスライドをお願いしたいんですが。
 私どもの問題意識といたしましては2点ありまして、エビデンスからエマージングを予測できるかという点、それから、もう1点は、その中で、特に日本の強み、弱みを分析できるか、そういうことにトライしております。
 本日の報告のコンテンツなんですが、大きく4つに分かれておりまして、冒頭申し上げたリサーチフロントとはどういうものかということについて簡単に御説明差し上げまして、特に我々は材料科学に焦点を当ててリサーチフロントを活用してトライしておりますので、その材料科学のリサーチフロントについての分類・体系化をした試みについて報告します。それから、現在、エビデンスのまとめ方についても試行錯誤しておりますので、こういったようにまとめますということを御紹介させていただき、最後に、発表のまとめと今後の取組について述べたいと思います。
 では、リサーチフロントとはということですが、3枚目のスライドになります。これは計量書誌学(bibliometrics)の中の共引用という概念に基づいたツールでございます。共引用というのが定義が2つございまして、これは1973年にアメリカのヘンリー・スモールという方が提唱された手法になります。それで、ここに絵が書いてありますけれども、AとBというのは別々の論文になります。このAとBの間には、お互いに特に引用関係がない、別々の論文だとお考えいただきたいんですが、それを第3の論文、それが、後年になって、aと書いてありますけれども、同時にAとBを引用したとします。つまり、aのリファレンスの中にAの論文とBの論文が両方書かれている状況になりますが、その瞬間に、このAとBには共引用(Co-citation)という関係があって、このCo-citationの関係にある論文同士というのは何らかの関係があるというのが前提になります。
 それから、もう1点は、この共引用に基づいて、クラリベイト・アナリティクスはリサーチフロントというツールとして提供してくれているわけなんですが、私ども、2018年度版を手元に持っているんですが、これは直近6年間の高被引用論文、引用数が中でTop1%相当の高被引用論文、これは約10万報あるんですが、これを、今申し上げた共引用の手法によりましてクラスター化します。その際に、頻度によって適当な閾値を設けて減らすんですが、10万報が、これによって3万報に減ります。3割ほどになります。この3万報の論文が、実質2,400ぐらいのクラスターになります。ですから、リサーチフロントというのは、ある意味固有名詞なんですけれども、もう少し一般的に言うと、共引用クラスターということになります。
 このリサーチフロントの強みについて簡単にまとめたのが、次のスライドになります。政策立案者の方々にしてみますと、公平性とか俯瞰性というのは非常に重要なファクターになると思うんですが、そういう点で、このリサーチフロントというのは、バイアスがないという強みがございます。
 あと、私どものようなファンディング機関といたしましては、重要な科学技術を見出したり、それから、新興的なエマージングな科学技術を見出したりするということは非常に重要なんですが、そういう点につきまして、リサーチフロントというのは、科学コミュニティにおける最先端領域が形成されている。Top1%論文のそのまたトップ層ということで、クラリベイトさんはトップ・オブ・トップという表現をされていますけれども、そういう世界であるということが強みだと思います。
 一方で、構造的な弱みも有しておりまして、下の方に簡単に挙げたんですが、3つほどあるかなと思っております。
 まず1つは、サイテーションに基づいておりますから、論文が出版されて直ちにリサーチフロントになるわけではなくて、やはり後年に論文が引用してもらうことによってできるものなので、必然的にタイムラグが生じるという点があります。
 それから、分野の特性がありまして、今回やった材料科学、あるいは、生命科学というのは、比較的このアプローチというのは有効ではないかなと思っているんですが、AIをはじめとした新興的な技術分野については、必ずしもこの方法だけでは太刀打ちできないのではないかというようなところも感じております。
 それから、もう1点は、やはりサイエンスとして非常に注目されているもの、重要なものが出てくる一方で、社会問題解決型、環境、例えば、海洋プラスチック問題ですとか、そういったものに関するテーマというのは、この手法だとちょっと見つかりにくいのではないかというような感触も抱いております。
 次のスライドなんですが、今申し上げたことのまとめに近いんですけれども、このリサーチフロントというのは、自然科学の全論文、2018年版でありますと、直近6年間ですから、2013年から2018年まで出版された全論文、これが約1,600万報あるわけなんですが、これを被引用数の中でTop1%論文ということに限定しますと、約10万報になるわけです。これをリサーチフロント、共引用クラスタリングすることによって、10万報あったTop1%論文が、実質約3万報になると。この約3万報というのは、2,400個の共引用クラスター、リサーチフロントになるというところです。
 ここからは、また材料科学に特化した話に移らせていただきますが、このリサーチフロントなんですが、2,400ありまして、2018年度版ですと、材料科学で330ございます。非常に数が多いので、その中で大きなもの、コアペーパーのサイテーションの総数が大きいものということで、機械的に見たものがこれです。2013年から2018年まで時系列に見たんですが、これを我々なりに内容的に流れというか、つながりのようなもので分類して模式化したものがこの図ですが、材料科学が大きく6つぐらいの潮流に分かれるかなという感触を抱いております。太陽電池、二次電池、2次元物質、光触媒・水素発生、有機合成という流れです。
 特に太陽電池というものにフォーカスインしたものが、次の図になります。リサーチフロントの特に太陽電池に関するものの系譜です。先ほどの図の中では、比較的大きいリサーチフロント、クラリベイトではホットリサーチフロントという表現をしていますが、ホットリサーチフロントだけで書いたんですが、この図では、それに加えて、エマージングリサーチフロント、構成しているコアペーパーという言い方をするんですが、そのコアペーパーの出版年が特に比較的新しいものに絞ったものです。こうして見ますと、太陽電池の中で、やはり右下の方に、特にペロブスカイト型の太陽電池に関する潮流が、リサーチフロント上で現れていることが分かります。
 ただし、御存じのように、これは桐蔭横浜大学の宮坂先生が2009年にジャックス(Journal of the American Society)に論文を書かれて、その後、2011~2012年ぐらいに、イギリスとか韓国のグループが、エネルギー変換効率を上げて、ペロブスカイトが大きく注目されるようになったということで、恐らくサイエンスの世界では、2011年とか2012年ぐらいがペロブスカイトのエマージングの年だと思うんですが、このリサーチフロント上ですと、2015年にエマージングリサーチフロントとして出てきたわけなので、若干、3年ほどの遅れがこの場合現れているのではないかなということも分かりました。
 材料科学の330のリサーチフロント、2018年度版なんですが、それについて分類・体系化してみようということをしまして、これが8枚目のスライドになります。リサーチフロント、材料科学関係で330あるわけですが、その330のリサーチフロントに対して、我々のチームで端的なラベルを付しました。これはグラフェンに関するものですとか、これはリチウムイオン電池に関するものといったような要領でラベルを付しました。そうしますと、その330のものは、いわば必然的に同じものが出てきますので、同じものは同じものでまとめるような分類をしますと、80個ぐらいに集約されました。これを我々は小分類と呼んでおります。グラフェンですとか、ポストグラフェンとか、それぐらいの粒度のものが80個できます。そういった80個のものを眺めていると、電池関係のものですとか、光触媒関係のものというように、これも非常に自然に分類できましたので、それが20ぐらいのレベルになります。これを我々は中分類と呼びまして、さらに、その20分類のものをまとめますと、6個ほどになるということで、1つ分類・体系化が材料科学のリサーチフロントでできたということで、イメージが右下の方に書いてありますけれども、こんなような体系図みたいなものを作ることができました。
 我々も精緻な分類が目的ではなくて、ざっくりこういう分類をすることによって、次のステップに進みたいと考えておりまして、これができたことによってどういうことができるかというサンプルが、9枚目のスライドになります。
申し上げましたように、一番小さい単位ですと、グラフェンとかポストグラフェン、そういったものがあって、こういったものは2次元物質というように括れるかなということで、中分類で2次元物質。その下にいろいろ複合材料とかありますけれども、要するに、材料・物質に関するものということで、大分類ということで、物質・材料とまとめているわけです。
 この単位で構成しているコアペーパーの著者の所属の国を比較することによって、いわばコアペーパーにおける国別の著者なんですが、比較ができると言うことができます。それで、単純にコアペーパーの著者の数だけ比べますと、中国、アメリカのように研究人口が多いところには当然かなわないんですが、国別に、日本だったら日本で80個ある中で、上位10個のものは一番濃い色、11~20位までのものは次に濃い色というように色で塗りまして、その上で差異を比較することによって、国別、必ずしもここは中国の中では強くないとか、この分野は日本の中では比較的強いとか、そういった点で国同士の比較ができるのではないかというような試みをしております。
 それから、実際に作業してみて、直感的に2次元物質に関するリサーチフロント、コアペーパーが多いなという感じはあったんですが、実際にコアペーパーの著者キーワードで調べてみますと、確かに、グラフェンとか、MoS2、そういったものが数的にも上位、相対的に上位に来ておりますので、このリサーチフロントの材料科学の中では、やはり2次元物質というのが量的に非常にマジョリティというか、多いということが確かに明らかになりました。
 ということで、次のスライド2枚は、エビデンスのまとめ方の例なんですが、そういったことで、2次元物質、特にグラフェン後の2010年ぐらいから、MoS2をはじめとしたポストグラフェン物質というものが世界中で合成されたり、研究されておりますので、そこら辺がリサーチフロント上では重要に見えましたので、こういったように、まずポストグラフェン、2次元物質の歴史的経緯に関して簡単にまとめたり、それから、やはりどういう研究者がいる、どういう技術があるという、そこまで考察を深めないと、実際のファンディングには使えないだろうということで、対になるような形で、12枚目のスライドなんですが、実際にコアペーパーの日本人著者にはこういう方々がいます、実際にこういうテーマをやっていますというような整理を具体的にしております。こういう要領で、他の重要技術についてもまとめていきたいと考えております。
 最後のスライドで、まとめとさせていただきます。
 今回、特に材料科学に関するリサーチフロントの分類・体系化をしまして、トップサイエンスにおける重要トピックが浮き彫りになってくるような様子が確認できました。著者に着目することで、国際比較が可能ではないかと考えております。さらに、キーになる研究者の方とか研究機関も、この手法で見えてくるということも分かってまいりました。
 今後に向けてですが、今回、材料科学にフォーカスしましたけれども、同じ要領で、ライフサイエンスとか、化学、物理などについてもトライしてみたいと思っております。それから、2018年のものを深掘りしましたけれども、今、2019年のものも準備中ですが、これは時系列の変化というものも見ていきたいと思っております。
 それから、リサーチフロントというのは、あくまで手がかり、足がかりとして考えておりますので、他の手法で補完することも必要だと思っておりまして、1つは、やはりサイテーションになってしまうんですが、ホットペーパーという、直近2か月でサイテーションが伸びている論文についてクラリベイトが提供してくれているものがありますので、それを最近見て補完するようにしております。それから、論文から離れて、学会とか、他のファンディングの論文以外の動向も重ねていきたいと考えております。
 以上でございます。

【濵口主査】
 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの2つの発表に関して、御意見、御質問ございましたら、お願いいたします。
 よろしいでしょうか。間違いないと。どうぞ、土井委員。

【土井委員】
 どうも、御説明いただきまして、ありがとうございます。
 今日御説明いただいた中で、医療と、あと、いろいろなところで、データベース、データドリブンというお話があるのですけれども、情報の分野でもビッグデータということで、データサイエンティストは圧倒的に必要とされているのですが、情報分野だけではなく、やはりデータを自ら知っていらっしゃる方が、AIとかも大分ツール化されてきていますので、それを使ってやっていくということも非常に必要かなと思います。
 そういう意味では、データサイエンティストとして、研究とか、ビジネスの場で実績をお持ちの方が、それぞれの分野だけでなく、別の分野でも少しコーチングするというんですか、そういう形でやはりデータを知るという。データをもともと知っていらっしゃる方が、ツールとしてのAIとか、そういうものを活用していくということも非常に重要かなと思います。

【濵口主査】
 ありがとうございます。何か御意見がありますか。

【畑中委員】
 非常に興味深いお話、ありがとうございました。
 ただいまの点に関しては、当社のようなヘルスケアを扱っているところですと、データはもう既にいろいろなところで非常にたくさん蓄積されていますが、それらがコーディングされておらず、また、連携していないという問題もあります。一方で、世界中にはいろいろなデータが存在するので、それらを柔軟に利用しています。
 もう一つ、当社の話をしますと、今まで、例えば、社内でデータサイエンスという、臨床データの統計をやっていた人間、あるいはマーケティングをやっていた人間、また、社外でデータを扱っていた人間などを一つの組織に集めています。そこにAIを専門にやっている人間も加えて、実際にデータを知っている人間と、AI技術を保有する人間が一緒に働くことによって、いろいろな形でデータを扱えるようなケイパビリティが出てきておりますので、土井委員がおっしゃられたことは非常に重要な点だと私は思います。

【濵口主査】
 ありがとうございます。
 今、一番コアになる問題点を指摘いただいたと思うんですけど。どうやってつないでいくか。これを、特に日本全体でどうやったらそういうシステム開発できるかというのは、かなり大きな課題が今見えてきているように思いますけど、ほかに御意見いただける方ございますでしょうか。どうぞ。

【五神委員】
 エビデンスベースで様々な政策を考える際に、こういったデータを使うことは非常に重要だと思います。私自身、長年研究をしてきて実感することですが、これらのデータというのは、どんなデータにしても、ある種の意図を持った切り口で収集されるものです。ゆえに、そのデータを皆が活用することになれば、意図して切り取ったデータを元々持っていた人たちがとても有利になるということは、データイズム(データ至上主義)という言葉で説明されています。
 あるデータに意味があるかどうかは、複数の視点による評価が必要です。例えば、2018年のデータをいま分析するだけでは分からないことがあります。それに加えて、2008年の時点で収集したデータについて、10年経った今ではどう分析できるかという視点で当時なかったAI等のツールを用いて多面的に評価する手法をとる研究者が増えています。
 何かに予算をつけたことを国民に広く説明するために、この手法を用いるのは良いことであるとは思います。しかし注意すべきは、こうした数値の評価だけでは、決して研究の評価はできないということです。例えば、論文のサイテーションというのは、研究者の中の閉じた世界で行われるものです。すなわち、一部のグループで引用しあってサイテーションが増えていても、そのグループの研究は全体からみたら重要性を認められていない可能性もあります。そこは誤認しないようにしなければなりません。こうした数値の評価だけをうのみにして、若い研究者が影響を受けてしまうのは、大きな損失です。データによる評価を行うならば、何をどのように評価するかという視点をあらかじめ持たなければプロとしての評価にはなりません。東京大学にはそのようなことを研究しているプロもいるので、協力が必要であれば惜しみませんので、是非お問い合わせいただければと思います。評価はしっかりとやるべきだと思います。
 論文の評価に関してもう一つだけ言うと、アップル社の研究者は論文を書くことは難しいと聞きます。しかしながら、驚くほど最先端研究が進んでいます。彼らにとっては、論文を書かずとも自身の行いたい研究を実現できるのでハッピーなので、優秀な人たちが集まります。そういう研究者集団が今、ここ数年の間にでき上がりつつあるということも、頭に入れておかないと、科学技術に対する投資戦略として一面的な判断になってしまうと思います。また、このような企業の研究環境も参考にできるところはすべきだとも思います。

【濵口主査】
 ありがとうございます。非常に貴重な御意見いただきました。
 では、お願いします。

【新井委員】
 1-1の資料の方で少し。御提示いただいた資料については、確かにそうだなと思えるところが多いんですけれども、実は、こういうところが重点として必要なんじゃないんですかとか、量子とかというような物自体が、実はやや古い概念なのかなと思っています。
 というのは、どういう意味かと言うと、今、まさにここで強調されているような形で、データサイエンスを使って、研究コミュニティが、いろんなレイヤーの人が参加して、何か同じものを使いますみたいなことになっているんですけれども、その同じものを使いますと言ったときに、データと、例えば、計算資源と何とかですというだけでは実はないんですよ。
 何ですかと言うと、例えば、AWSとかグーグルクラウドみたいなところになりますと、セキュリティを全部面倒見ますから、このような形で、例えば、フレームワークとかデータベースとかをこういうふうに使って、こういうふうにソフトウェアを組み上げてくれれば、そこの中で、例えば、セキュリティの問題であるとか、そういうものはケアフリーにしてあげますというようなフレームワークの提供の仕方をしているんですよ。
 私なんかも何か大きいものを作ろうとかと思ったときに、オープンソースを使うとなると、今時だと、100も200もオープンソースをいろんなものを使いこなして、ものを作っていかなければいけない。例えば、リサーチマップなんか、まさにそういうわけなんですけれども。
 そうしたときに、リサーチマップみたいに、日本で作ろうとすると、全部オープンソースなので、100とか200のものをずっと監視しながら、セキュリティホールがないかとか、バッチをどうとかしなければいけないかなどということを考えながらやらなければいけないんだけれども、グーグルとかAWSを使えば、そこのところは全部面倒見てくれますみたいな話になってくると、そこでバンドルされてしまう。
 多分、今、既に、そういうAI系の業界だと、AWSか、Azureか、グーグルクラウドの提供するような、単にクラウドではなくて、フレームワークであるとか何とかという、そういう仕組み自体を、言語も含めて、そういうものにバンドルされてしまうので、そこで仮に量子とかというような一部分がうちであったとしても、ずっとそこのところはバンドルされているので、ある程度の料金をずっとそこに払い続けなければならないという、そういう根雪ビジネスを今彼らはやろうとしているんだけれども、そこのところが日本は空白だというところが、今、ここの視点には抜けているかなと思いました。
 以上です。

【濵口主査】
 ありがとうございます。いろいろ貴重な御意見いただいていると思いますが、ほか、いかがでしょうか。菊池さん、お願いします。

【菊池委員】
 恐らくここに挙げられたようなデータをベースにしていますと、結局は、後追いのものにしかならないのではないかなと。ただ、それでも、どうしても後追いでもやらなければいけないというようなことを見つけ出すには、非常に客観的な、そして、余りバイアスのかかっていない評価ができるのではないかなと。
 でも、恐らく私たちが目指さなければいけないのは、後追いの部分と、やはりビジョンドリブンというか、まだ量子、こういうふうなデータに表れていない何か大きな社会課題を解くような、もしくは、何か今までにないものを創り出す、やるということから導き出される領域と、両輪を政策のところに持ってこないと、やっぱりどうしても後追いの部分だけ強調してしまいますと、あんまりイノベーティブな形にはなりませんし、やはりイノベーティブなことをやろうとすると、この日本が目指すべきもののビジョン、そのビジョンドリブンのものと、そこは恐らくこういったようなデータの中には出てこないんじゃないかなと。むしろその国の意思というものが反映されなければいけないもので、データにはまだなっていないと思っていますので、こういうものの使い分けが重要かと思います。

【濵口主査】
 ありがとうございます。
 多分、一番抜けている部分が、社会ニーズだと思うんですね。そういう意味でも、経済産業省側の御意見を聞きたいなというのはありまして、もう少し連携をする必要があるなという状況にありますが。
 ほか、いかがでしょうか。どうぞ。

【竹山委員】
 資料1-1ですが、注目動向で、ライフサイエンス・臨床医学がありますね。我が国の強み/弱みをどういうふうに考えて、ここに記述しているのかを教えていただけますか。その分野にいると、この大きな括りで言いづらいところがあるかと感じます。また日本が強みを有する基礎研究領域として、プロジェクト化されている研究名やキーワードが散見されますが、それで良いのでしょうか?

【倉持JSTCRDS副センター長】
 ありがとうございます。
 確かに、ここは説明が足りなくて申し訳ないのでございますけれども。基本的に私ども、この分野を俯瞰するときに、ある研究領域というものを幾つか、今日御説明したもの全てで100幾つの領域に分けまして、主として、それが今どういう状況にあるのかということを、文献、あるいは、専門家のインタビューを通じてやっております。
 本当は報告書を見ていただきたいんですけれども、確かに、これ、一律にここがぼこっと強いというわけではなくて、それぞれこういう動きがあって、ここが評価されるみたいな、どちらかというと研究者視点が強いんですけれども、そういう形で書いてございます。
 ですから、これを一般論として、満遍なく、ここが全て強いというふうに取られてしまうと、ちょっとミスリーディングかもしれません。そこは申し訳ないと思いますけれども。それぞれ、この領域の中で、日本としてきらりと光るものがありますよということを、一応そのヒアリングなりディスカッションを通じて、我々として抽出したものとしてまとめさせていただいております。

【濵口主査】
 ほか、いかがでしょうか。どうぞ。

【越智委員】
 五神委員がもう指摘されたこととちょっと重なるんですけれども。やはりこのリサーチフロントというのは、客観性のある、私はいいデータだろうと思うんですが、例えば、これを時系列で見たときに、2018年、2015年、2013年の時点にさかのぼって見たときに、それがどのぐらい正確に評価ができていたのかというようなデータはお持ちなんでしょうか。
 それがかなりあるのであれば、後追いであっても、このデータに基づいてある程度資金が提供されるというのは適切ではないかと思いますが、振り返ってみたときに、あんまりうまくいっていないのであれば、あまりこれにこだわる必要はないと。
 もし後追いでも、できるだけ先端の動向をということで、学会も重要視しているというふうに最後にちょっと言われたんですけれども、やはり論文になって出てくるのはかなり遅れますので、我々も実際に医療の立場でみるときは、やはり国際学会とかアメリカの学会に行って、今どういうところがどういうふうになっているかということを非常に重要視していますので、それらをどう組み込んでいくかというようなことも、後追いであっても重要ではないかと思っています。

【濵口主査】
どうぞ。

【吉田JSTプログラム戦略推進部調査役】
 ありがとうございます。
 まず、過去のものにさかのぼってという点で、その問題意識は我々もありまして、今、その手法を考えているところですが。差し当たってできたのは、6枚目のスライドにお示ししましたように、クラリベイトの過去のレポートを基に、2013年から2018年までの系譜みたいなものは作っております。
 そうしますと、ちょっと説明の中でも申し上げたんですが、ペロブスカイト太陽電池の例で言いますと、実際の我々が感じているエマージングよりも3年ほど遅れているというのが1つ分かってまいっております。
 そういうわけで、出てきたものがタイムリーかどうかという点と、それ以前に、それが本当に重要だったものかどうかというのは、今後、そういう目で過去のものについて考察していって、妥当性とか有効性が確認できたところで、またさらに、今度は将来の予測の方に使っていきたいなと思っておりまして。
 もう1点は、今回、こういう形で、我々、エビデンスということで、リサーチフロントを前面に出しましたが、今後の方針で申し上げましたように、これが全てではなくて、あくまで端緒という位置付けで、おっしゃるとおり、学会に最初の前兆というのが現れるはずだというのは、我々も直感的に分かっておりまして。一方で、ツールとしては、こちらの方が既に整備されているので、まずはこちらに手を着けておりますが、学会動向、そういったものもチェックしようというのはありますし、あと、これを参考に、呼び水に、実際に研究者の方々と意見交換をして、正しいかどうかとか、これに見えていないこういうものがあるというような、議論がより具体的になる、そういうような助剤になるのではないかという期待で取り組んでおります。

【大洞文部科学戦略官】
 今回、資料1-2を出していただいた趣旨を御説明させていただきますと、資料1-1のように、ちょうどCRDSの資料1-1の12ページを開けていただけると、どういうふうにこの俯瞰報告書というのが作られているかというのが書いてあるんですが、非常に多くの専門家のインタビューとか、ワークショップを通じて最新の研究者の方の意見を集めて、これが作られています。
 それ以外に、論文などの定性的なところで、データで見るところが少し弱いかなと考えておりまして、そこをどう補強していけるかという観点で、今、JSTと一緒に新たなツールをいろいろ探索して、使い始めているところですので、決してデータだけでその領域を決めていこうとか、範囲を決めていこうという趣旨で今回御紹介させていただいたわけではございません。
 むしろ、この総合政策特別委員会の議論で、今後、いろんなデータとかエビデンスの基に判断していくわけですけど、その一つのデータからの側面を補うものとして、このツールから出てきたデータをさらに深掘りして提供できたと思って、今回説明していただきました。
 以上です。

【濵口主査】
 ありがとうございます。
 では、土井さん、もう一回。

【土井委員】
 今のお話に絡んで、サイテーションということで申しますと、少しうがった見方で恐縮ですけれども、仲間内、特にそういうような形で引用するというのもありますが、特許の世界では決してそういうことは許されないので、是非、特許をきちんと分析していただければと思います。
 特許に関しては、正しく引用していないと登録はされませんので、国内、アメリカの特許のサイテーションをこのような形でやっていただければ、どういうふうになっているのかという構造がよく分かると思いますので、是非、一度それも見ていただく。
 逆に、そういうふうにすれば、今の学術界はかなり論文偏重ですけれども、やはり実際の市場にローンチするためには、ライセンスとしては、特許は非常に重要でありますし、東大、菅委員とかも、それでちゃんと売上げが上がっているわけですので。でも、やっぱりそういうところはすごく重要だと思うので、両輪として知財も考えていただくということも、是非、御検討をよろしくお願いいたします。

【濵口主査】
 ありがとうございます。
 実は、すごく膨大な作業がいっぱいあります。特許も一部見ているんですけど、コンバインしたりというところは、ちょっとやってそのままになったりしていて。全体として、恐らくこれ、論文だけでも5年間で1,600万報ある。この膨大な洪水の中で現代社会は泳いでいるような実感があるんですけど、それを更に社会ニーズもあわせて、いろんな形で見えるツールで、いかにして省力化して、トータルとしてしっかり見えるかというのを、もう少しJSTも研究しなければいけないなというのがありまして。
 CRDSは俯瞰的にきっちり、いろんな研究者のトップレベルの意見をずっと吸い上げる仕事をやっていますし、今日のは、データから見ると何が見えるか、あと、特許、社会ニーズ、ここをコンバインしたときどうなってくるかというのを、もう少し追究させていただかなければいかんなと思っております。どうぞよろしくお願いします。

【知野委員】
 1つよろしいですか。
 注力すべき課題のところですが、システムや情報技術のところに関しては、社会との関係ということをかなり指摘し、これから取り組むということを挙げていますが、例えば、ライフサイエンスなどに関しては、ゲノム編集とか、いろいろ社会に与える影響の大きい技術が次々と、また速い速度で出てきているんですが、その辺の問題についての指摘がなく、あくまで研究者のマインド、科学研究文化の変革など、研究者の方だけに沿っているような感じがします。

【濵口主査】
 それは、もう一つセンターがありまして、RISTEXというところでかなり専門的にやっていまして、そこの情報と今の情報が、まだコンバインできるステージに入っていないというのが、実は正直なところなんですよ。

【知野委員】
 そうですか。このままだと一般の人は、そういう視点がないのかと捉えるので、その辺を加える必要があるのではないかと思います。

【濵口主査】
 ありがとうございます。もうちょっと時間がかかるかなと実は思っております。
 お時間がちょっと押しておりますので、すみませんが、情報の分析のところはこれぐらいで、引き続き、いろいろ御指導いただきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。
 続きまして、それでは、議題(2)についてお諮りしたいと思います。議題(2)を、事務局から、資料2と3について説明をお願いしたいと思います。

【大洞文部科学戦略官】
 では、資料2と3に基づいて、簡潔に説明したいと思います。
 まず資料2ですが、これは机上にもございます。後半の研究開発戦略について議論いただく際に、どのような論点でまとめていったらいいか、まずは基本的な考え方がないと、どういった分野が戦略的に重要かということも言えないということで、基本的考え方を御議論いただく際の論点としてまとめました。
 まず、論点1から説明させていただきます。まず論点1ですが、これはもう今までも議論してきたことですが、価値創造の源泉たる「知」の多様性を確保するためには、特定の分野を定めずに、自由な発想に基づく学術研究と。そういったものに十分な規模の資源を――ここも戦略的にとあえて書いてあるのですが、戦略的にそういう配分をしていくということが重要ではないかと考えています。
 論点2ですけれども、これに加えて、我が国が目指すべき社会的・経済的な価値の向上に資するような重要な領域については、さらに追加的に資源配分を重点的に配分して、先ほどの投資と加えて、これを最適に組み合わせたポートフォリオを考慮したものにすることが重要ではないかという考え方です。
 論点3ですが、重要な科学研究分野につきましては、ここにも基礎研究であっても戦略的な投資を更にして、「知」の投資を加速するというのもあるということと、また、その「知」を一気に価値まで大きく発展させるという、出口を見据えた集中的な研究開発投資の実施というのが必要ではないかと考えております。
 また、論点4ですが、その価値とは一体何なのかというところですが、社会的・経済的価値といたしましては、以下が考えられるのではないか。ただ、その際に、国の置かれた状況、特に地政学的状況とか、グローバルな状況、国のとるべき政策というのをしっかりと考えて、その価値を考えていくことが必要ではないかと考えております。
 まず1つ目の価値ですが、これは我が国の産業競争力の強化により、強い経済を通じて、国民生活を豊かにしていくという価値です。
 2番目は、我が国や世界が抱える課題の解決に貢献して、持続可能な社会を実現するというものです。
 3つ目は、国民の安全・安心の確保ということで、生命、尊厳、財産、国土を守っていくためにするべきもの、それが価値であるというところをまずは整理させていただいております。
 論点5ですが、こちらは、それで領域を絞っていったり、抽出する際の考え方ですけれども、特に取り組むべきものとして、まず(A)の考え方といたしましては、価値の創出に際して、重要な分野であると。具体的には、新たな科学的発見とか、基本的原理の解明、革新的技術の創出、 また、社会システムの変革、これらによって、ボトルネックとなっている技術的・社会的な課題を大きく前進させるようなものが選ばれるべきではないかと考えております。
 また、次のページに行っていただきまして、(B)でございますけれども、また、我が国にとって競争優位性とか国家基盤の存立につながるようなものを選ぶべきではないかと。
 まず(b-1)の類型といたしましては、我が国に優位性があると。それは、基礎研究の優位性もありますし、産業分野、人材、基盤等、いろいろあると思います。
 (b-2)の類型ですが、新興の領域であって、今後は国がここで優位性を確保できる見込みがあると。
 (b-3)の領域は、国民の安全・安心の確保にとって必要不可欠であるため、我が国としては必ず保持すべきものというような類型があるのではと考えております。
 また、(C)といたしまして、様々な科学や産業の発展に貢献する基盤的な分野、これは情報基盤とか、材料とかも入ってくるかもしれませんが、そういったものという観点も必要ではないかと考えています。
 論点6ですが、これらを検討するに当たって、フォアキャスト的なアプローチというのは従来からやっているのですけれども、あるべき将来像から取り組むバックキャスト的なアプローチ、これが重要であると。このバランスをどう取っていくか、それをテーマ選定につなげていくかということが重要ではないかと考えております。
 また、論点7でございますけれども、今日まさに御発表いただいたことですが、これらに当たっては、政府としてエビデンスに基づいた最新の研究開発動向とか、また地政学的な状況を的確に収集分析して、先手を打つことのできる戦略立案体制をしっかり整える必要があるのではないか。
 論点8といたしましては、ただ、変化がありますので、そういった変化に的確に対応するために、一旦選定した領域についても、先ほどの情報収集・分析体制を活用して、見直しを可能とするようなものも必要ではないかということです。
 また、論点9ですが、では、これらの考え方に基づいて、どのように重点的に推進すべきテーマ、領域を考えていくかというところも、是非、御議論いただきたいなと思っております。
 論点10ですが、ただ、分野とか領域を選ぶだけではなくて、関連する研究開発システム、例えば、ファンディング、人材育成、拠点形成、知財戦略、情報管理、また、どこと組むかという国際戦略、こういうところも併せて検討することが重要ではないかというところを是非御議論いただいて、報告書の中に、基本的考え方に記載していきたいと考えております。これが資料2です。
 続きまして、資料3です。3-1を使って説明させていただきます。こちら、科学技術・学術審議会の関係部会から、いろいろ御提案を頂いております。その紹介をさせていただきます。
 1ページめくっていただきますと、目次があります。左側にタブ、しおりのようなものがございますので、そのしおりのアイコンを押していただきますと、目次的なものが出てくると思います。目次でございますけれども、このような委員会から今回御意見を頂いております。
 続きまして、ページ数ですと3ページ目に当たります、量子科学技術委員会のところを御覧ください。量子の現状とか、先ほどCRDSからも報告のあったような形で、各国が投資を拡充していることとか、基礎研究には存在感があるけれども、実用化、産業化、システム化の取組に課題があるというようなところを、現状認識・課題として述べられております。
 2ポツですが、具体的に今後推進すべき取組といたしましては、ここに挙げられていますような量子コンピュータとか、ソフトウェアの話とか、量子計測・センシング、量子通信・暗号、量子マテリアル、さらに、量子の融合領域、AIとか、生命、セキュリティ、それを支える基盤領域というものが重要ではないかというような御提言を頂いております。
 (2)では、それに関連するシステムというところにも言及いただいておりまして、こちらですと、政府レベルでの協力の枠組みとか、一気通貫で行うような拠点とか、また、権利化、オープン・クローズ、国際標準化、人材育成、さらに、量子ビーム施設の整備とか、そういったものを記載しております。
 すみません、言い忘れましたが、こちらは概要でございまして、3-2が、実際、関係部会から頂いた本文でございます。これは全部で100ページ以上ございますので、こちらの概要で説明させていただいております。
 続きまして、ライフサイエンス委員会でございますけれども、これは脳科学委員会と共同で頂いております。ページ数で言うと、4ページになります。
 こちらにつきましても、先ほど現状認識・課題は、まさにCRDSから御報告いただきましたとおり、ビッグサイエンス化が進んでいる、パラダイムシフトが起きているということでございます。
 2ポツの今後推進すべき取組といたしましては、健康・医療戦略に示されている医療分野の研究とか、また、基礎研究の中でも、社会実装を見据えたものと双方を実施していくべきであるということが述べられております。
 研究システムといたしましては、若手のために、いろいろ研究費とか、共用施設を整備するとか、ビッグサイエンス化に対応するような施設整備とか、共用化のようなものが大事だということが述べられております。
 続きまして、ナノテクノロジー・材料、次のページに移らせていただきます。ナノテクノロジー・材料も、まさに先ほど述べられたとおりでございますが、現状認識の2つ目にありますように、マテリアルテクノロジーに関しては、科学技術面と産業面の双方で我が国が大きな強みを持つと。さらに、輸出産業の最重要基盤であるというようなことが述べられております。また、研究開発現場に、様々な人材とかデータ等が蓄積されているということは、ここでも述べられております。
 ただ、若手が不足気味であることとか、社会実装につながる仕組みがまだ課題であるとされております。
 2ポツの今後推進すべき取組でございますけれども、こちら、重要領域をちゃんと抽出して、異分野融合も進めるべきだという御指摘に加えまして、具体的な例として、センサ技術とか、素子・デバイス技術、バイオ材料、電池、極限的な性能の材料、接着・接合技術、分離技術、元素の関係の技術、そして、分子技術とか空間制御の技術といったところが挙げられております。
 また、システム的なところでは、前半でも議論しました、スマートラボとか、データ駆動、そういったところも述べられています。
 続きまして、情報委員会のページでございます。こちら、6ページ目でございますけれども。こちらも、現状認識、先ほどのとおりでございますけれども、最初に、基盤的な分野への研究開発投資や人材育成が不十分ではないかという問題意識が述べられております。また、専門人材の育成と、あとは、情報分野そのものの学術的な研究の深化とその両立が重要ではないかと。また、「富岳」等の計算資源と、それを結ぶSINET等のネットワーク、こういったところの機能強化や活用が重要ではないか。また、データのルール、そういったものが重要ではないかというところが述べられております。
 今後推進すべき取組といたしましては、次世代のAIやデジタル化の基盤技術ということで、例えば、プログラミングとか、アーキテクチャとか、コンピューティング、また、ハードウェアというところが述べられております。
 また、スマート研究プラットフォームの構築と書いておりますが、ここは基本的に基礎から自然科学、人文も含んだ、教育も含んだ、そういった産学官の連携拠点というのが必要ではないかということが述べられております。
 また、AI戦略に基づく人工知能の加速ということで、新しい機械学習手法とか、説明可能とか、信頼性のあるようなAIの研究開発が必要ではないか。
 また、計算資源とデータ基盤、全国ネットワークと、先ほど述べたようなものが、体制整備、強化が必要であるということが述べられております。
 システム面では、やはりデータとかニーズがフィードバックされるようなシステムですとか、専門人材の育成というところが述べられております。
 続きまして、環境エネルギー技術委員会について説明させていただきます。7ページでございます。
 こちら、現状認識としては、まさにSDGs、パリ協定、脱炭素とか、また、社会実装が課題であって、ESG等の投資の後押しも重要であるというようなことが述べられております。
 また、今後推進すべき取組といたしましては、1つに、気候変動対策ということで、地球観測とか、モデル高度化、気候変動メカニズム、ビッグデータの活用というところが述べられていますし、2番目としまして、脱炭素社会の実現に向けた研究開発ということで、先ほどCRDSからも説明があったようなゲームチェンジングな革新的技術というところが述べられています。また、3番目として、環境保全に向けた多角的な研究開発ということで、プラスチックごみとか、あとは、例えば、気候変動と災害対策への活用、こういうことが述べられております。
システムにつきましても、人文社会を含めた分野が重要であるとか、あとは、産学官金が一体となったシステムとか、情報プラットフォームと、そういったところが述べられているところでございます。
 続きまして、宇宙開発利用部会でございます。こちらは8ページでございます。
 現状認識といたしましては、やはり気候変動監視、測位、防災・安全保障に向けた衛星利用とか、そういったものに加えて、さらに、新たな民生利用が広がりつつあると。パリ協定、SDGsの関係もございますので、その課題解決に向けた取組の重要性があると。研究者や宇宙利用者の増加が必要であるというようなことが述べられています。
 具体的に推進すべき課題としては、国家安全保障上の諸課題への対応とか、産業競争力の強化、また、科学技術自体の水準向上・発展に資するような研究開発の推進ということが述べられております。
 2番目といたしましては、地上の先進的な技術、AI等の技術ですが、こちらを活用するとともに、さらに、宇宙技術が地上の技術に活用されていく。こういったものの相互発展が重要であるということが述べられております。
 研究開発システムに関しましては、ファンディングとか、資金の循環とか、あとは、大学と国研のシームレスな連携とか、大型のプロジェクト、研究施設、人材育成というところが述べられているところでございます。
 続きまして、航空科学技術委員会、すみません、長いですが、もう少しあります。9ページでございますけれども。こちら、航空については、恐らくこれから需要がどんどん伸びていくだろう。我が国の強みがいろいろあり、JAXAが持っている技術とか、他の産業技術の電動化技術とか生産技術等で、一定の貢献が果たせるのではないかという観点が述べられております。
 また、中段ぐらいにあるのですが、小型無人機とか、“空飛ぶクルマ”等の次世代モビリティ・システムというところが、これから重要と考えられるということでございますので、最後のポツですが、既存の航空利用形態と次世代モビリティ・システム、この2つが融合した形で、Society 5.0の実現に貢献する分野であるということでございます。
 2ポツの今後推進すべき取組でございますけれども、こちらは技術的有意性を有するものとして、例えば、超音速機の技術とか、エンジンに関する負荷軽減とか、あとは、CFRPの素材技術などが述べられております。
 また、航空機用のドップラーレーダーなど、ヒューマンエラーなど、事故要因に対する技術が重要であるということに加えて、新たな産官学連携の下での航空機電動化とか、無人航空機分野における革新技術、そういったものが重要ではないかということが述べられております。
 続きまして、10ページですが、原子力科学技術委員会でございます。こちら、やはり何と言っても、廃炉とか、放射性廃棄物の減容、また、軽水炉の安全向上というのが非常に重要であるということで、エネルギー基本計画に基づいて進めていくということですが、やはり人材育成が脆弱であるというところ、個別の大学では限界があるというようなところが述べられております。
 2ポツの今後推進すべき取組でございますけれども、こちらは、やっぱり原子力関係のイノベーションを支える基礎基盤技術に戦略的なテーマ設定が必要ではないかというところで、具体的にはどういうものかというのは述べられておりませんが。また、2ポツ目で、廃炉、安全・核セキュリティ、核燃料サイクル、これは引き続き進めるべきということと、やはりシステム的な問題としては、人材で、各大学が連携して、一体的に実施していくような話。また、原子力機構が、その中で中心的な役割を果たすべきではないかということが述べられております。
 続きまして、核融合科学技術委員会、11ページでございますけれども、こちらも、SDGsという観点から言うと、核融合エネルギーというのは非常に重要であるということで、ITER計画に関連するブロードアプローチなど、長期的視点に立った研究開発が必要であるということでございます。
 2ポツのところで、具体的には、ITER計画、BAの実施、原型炉に向けたアプローチを進めるとともに、また、多様性という観点で、ヘリカル・レーザー方式の革新的技術も重要であろうと。
 あと、システムとしては、やはりそういったビッグプロジェクト的なところで、いかに人材を呼び込んで、強みを作って、スピンオフを起こしていって、そういうところに国として継続して投資するようなことが重要であるというようなことが述べられております。
 続きまして、防災科学技術委員会で、12ページでございます。こちら、現状認識としては、もう言うまでもないことですが、地震の問題とか、気象災害も局地化・極端化していることとか、そういったことが述べられて、やはり災害レジリエンスの強化というのが、国民の安全・安心に重要であるということでございます。ハザード(災害事象)への効果的な対応策を、予防の段階から復旧・復興までしっかり行っていく必要があるというようなことが述べられております。
 2ポツの今後推進すべき取組でございますけれども、まず分野別の知をしっかり拡充する。地震火山観測とか、災害別のハザードに対する対応とか、そういったことが必要であるとともに、分野横断的な知の拡充というのも重要であるということで、複合災害とか、あとは、脆弱性やレジリエンス力を評価するような手法とか、あとは、やっぱりデータ基盤のプラットフォームとか、そういったものが重要であるということが述べられています。
 システム的には、情報科学とか、コスト削減効果をどう現していくか、人材育成、そういったものが重要であると述べられております。
 測地学分科会でございます。13ページですけれども。こちらにつきましては、地震・火山噴火と、それに対する調査と、あとは学術研究ということが重要であるということが述べられておりまして、そういったものをしっかり推進すべきと。しかも、学術的な要因にまで踏み込んで、それを実施していくことの重要性というのが述べられております。
 また、システムに関して、やはり人文、また、歴史学や考古学も含めて、そういったところとデータを組み合わせた知見が必要であるというところが記載されております。
 最後になります。14ページ、海洋開発分科会でございますが、海洋につきましては、やはりSDGsの重要な項目として盛り込まれていることとか、北極圏に関する最近の動きというのがありますと。また、MDA体制とか、そういったものが、海洋基本計画の中ではしっかりと書かれているということでございます。
 また、今後推進すべき取組といたしましては、まずは、温暖化、生態系とか、海洋プラスチックごみ等、海洋環境の変化を適切に解析・評価する手法。
 また、2番目といたしまして、北極圏の急激な変化とか、そういったものが与える影響とか、気候変動予測の高度化などの研究開発が必要であると。
 3番目といたしまして、海洋生態系、特に回復力という観点から、そういったものを知見を蓄積していく必要があると。
 4番目といたしましては、海洋生物資源の確保、また、有望な海底、これは鉱物資源も含む、資源の確保とか、賦存量、地震や火山のメカニズム解明、これが必要であると。
 最後は、海洋ビッグデータを読み解くというところで、データを効率的に収集する技術の確立等が重要であるということが述べられております。
 以上、長くなりましたが、一通り説明させていただきました。

【濵口主査】
 ありがとうございます。
 今、経済産業省産業構造審議会からお越しいただいたんですね。

【大洞文部科学戦略官】
 産業技術環境局から、湯本課長に今入っていただきました。よろしくお願いいたします。

【濵口主査】
 よろしくお願いします。
 膨大な情報が今一気に押し寄せて、大変ですけど。まず今日は、資料2の「我が国の強みを活かした研究開発戦略の構築」の検討に際しての論点、これをしっかり見ていただいて、そのバックグラウンドとして、先ほどの各委員会等の報告の要約を頭に入れながら、この論点1から10までのところを、足りないところ、あるいは、ここはこういうふうに表現すべきではないかとか、御意見をまず頂けたらと思いますが、いかがでしょうか。ちょっと抽象的な議論になってしまって、やりにくいかもしれませんが。どうぞ。

【郡委員】
 今日、ずっといろんなことを勉強させていただいたんですが、人材育成という観点のことが余り触れられていなくて、例えば、論点では、10のところに、括弧の中にようやく人材育成とか、あるいは、先ほど御説明いただいた中に、最後に「人材育成の観点から」とか、縦割りで人材育成ということは述べられているんですが、やはりこういう研究をするというのは全て人であるということから、もう少し人をうたうべきではないかと私は思いました。
 これは、今やっている一線の研究者というだけではなくて、ここにも書かれている育成という観点から言いますと、いわゆる大学院生やポスドク、あるいは、若手教員のみならず、これから研究をするという大きなスパンから見ると、まだ大学に入らない方々が、研究あるいは科学というものに興味を持つような社会環境を作らないと思いました。是非、人という言葉は、抜けるというと失礼ですが、もう少し強く打ち出した方がいいのではないかと思いました。
 以上です。

【濵口主査】
 ありがとうございます。非常に重要な点です。検討させていただくということで。
 どうぞ、お願いいたします。

【十倉委員】
 今の御意見の関係で、先日、濵口主査もご一緒でしたけど、基本計画専門調査会に出席して、その資料の中に非常にショッキングなアンケートがありました。
 何かというと、科学技術に対する国民の関心ということで、「機会があれば科学者や技術者の話を聞いてみたいと思いますか」という質問に対して、2010年と2017年とを比較しているんですが、「聞いてみたい」という人が、2010年は62%、それが、2017年には47%と。逆に、「聞いてみたくない」という人は、37%から51%と増えてしまったんですね。
 ここの論点に書かれているように、我々、Society 5.0という社会像は示したんですが、多分、今の地政学的不況を考慮すると、やっぱり日本は何で生き抜いていくのか、日本の国家像みたいなものを示さんとあかんと思うんですね。それはやはり科学技術立国であり、貿易立国であり、特に地政学的に米中がデカップリングな状態になっていて、どちらか迫られるようなときに、日本は何で生きていくかと言ったら、やっぱりグローバルに科学技術でソリューションを見出して貢献できると、そういう国家像だと多分思うんです。
 そういう意味では、科学技術というのは欠かせないものだと思うんですが、ともすれば、僕の小学校時代とか中学時代というのは、もっと科学に興味を起こさせるような本であるとか、映像であるとか、そういうのにあふれていたと思うんです。一方で、そのアンケートにあったように、最近はともすれば、やはりテクノロジーとか、エンジニアとか、アルゴリズムとか、デジタライゼーション、そういうのに行くんですが、もっと原理とか、真理とか、そういうところの根本から興味を若者たちに抱かすような、そういう人材育成というか、その辺からやっていかないと、いずれ人材が枯渇するんじゃないかなと。この議論は多分今まで何回もなされたと思うんですが、改めてそう思います。

【濵口主査】
 ありがとうございます。すごいポイントになっていると思いますけど。
 新井委員、では。

【新井委員】
 先ほど、日本が今、資源が少なかったり、お金も限られている中で、どんな国を目指すんですかというのがない中で、それぞれの委員会に出して、縦割りで出てきたものというのが合算されていても、やはり今、十倉委員がおっしゃったように、いや、その科学には別に国民は関心がありませんみたいな話になっちゃうんじゃないかなと懸念をするんです。
 例えばなんですけれど、「京」というスパコンがありましたけど、じゃ、「京」で問題解決ができましたかというと、「京」って、実は、実際問題解決にそれほど使われなかったというか、非常に使いづらかった。京回を実現することを最優先目標にしてしまったために、実は、非常に使いづらいスパコンだったので、もしも、例えば、シミュレーションであるとか、様々なものに使えたならば、「京」をやってよかったということになったと思うんですけれども、そういうふうになかなかならなかったという残念な感じがあった。
 先ほどからお話が出ているのが、やっぱりデータドリブンであるとか、計算の在り方であるとかというような話になってきていますと。量子ということも非常に重点を置かれています。じゃ、量子をやったらどんないいことがありますかというのが、やっぱり見えないというか。例えば、西森先生の量子アニーリングはどこで実現されましたかといったら、グーグルのD-Waveみたいな話だと、何だかよく分からなくなってしまうということがあって。
 日本は、例えば、量子をするにしても、何をするにしても、それが日本の問題解決、例えば、気候変動による日本の余りにも大きい災害の激甚化というのが、今年だけでもこれだけひどい。去年から考えて、どう考えても、これは定常的にこうなっていくだろうと考えざるを得ない。それだとしたら、大変なシミュレーションが必要だろうとかというようなことがあるんだけれども、それはダムの放流であるとか、そういうものが全部それにくっついているんですかとかといったら、そうではないですとか。
 じゃ、IoTをやりますといったときに、IoTは、例えば、いろいろなところに、博多とか那覇だと大型船が着きますけれども、その人たちがどういうふうに動いて、どういうふうにお金を落としていってくれて、それというのが持続可能なインバウンドなんですかみたいな議論をするのに、まさにこういうところのシミュレーション技術であるとか何とかというのが使えているんですかというと、いや、それは別ですというような、そこのところがくっついていない感じが、やはり科学によって私たちの生活の課題解決がなされるという信頼性の問題に結び付いてくるんだと思うんですね。
 なので、ここで一番になりたいですとか、ここは日本が強みがあったところなので維持したいというだけでは、もう説得が難しい状況になってきていて、じゃ、この量子、あるいは、この材料、材料は割合分かりやすいんですけど、量子にしても何にしても、これをやると、どういうところで本当に使ってもらえるように設計もするし、そういうふうに使われるように横串でやるのかという説得材料が、今の3-1を読んでいると、難しいかなという感じがある。
 以上です。

【濵口主査】
 十倉委員の言われたことも、新井委員の言われたことも、本当によく分かって、それは、恐らく今、世界全体が直面している現実のような感じがするんですね。多分、カッティングエッジの領域をどう攻めるかという、これの国際競争的な部分、それは国の収入に直結してくる部分がかなりあるところと、それと、我々の今、目の前にある苦しみをどう科学が解決してくれるんだと。それが想定外だと、ぽっと行っちゃったりして、がくっとみんな期待を外してしまうような現実があるのと、この2つが、あと、こっちの横の部分、生活に密着したところの問題点から、ソリューションドリブンだというキーワードができたり、STI for SDGsという言葉が出ているんだと思うんですけど、こちらはまだちょっと生煮えで、STIとSDGsの中間層がはっきり見えてこないんですね。どうやったらいいかという。こちらはこちらで、従来型の縦の攻めはある程度できるものですから、どうしても委員会はこちらに走る。だからこそ、だんだん国民の意識からちょっと乖離しているのかもしれないリスクが今見えているところだと思うんです。
 もっと御意見、知野委員、何か言いたいんじゃないですか。じゃ、まず白石委員。

【白石委員】
 今の議論に引っかかるので、3点ほど申し上げたいと思います。
 1つは、これ、中間取りまとめ案を見て、今の議論を聞いていて痛感するんですけれども。私は、日本というのは、超大国ではございませんけど、大国ですので。もし大国という、そういう国際政治経済のゲームから降りると決めない限り、科学技術の分野に投資しないということはあり得ないと思っています。もう21世紀の安全と産業の鍵というのは科学技術になるだろうと。
 そう考えますと、実は、この中間取りまとめ案にあるキーワードが、基礎研究・学術研究なんですけれども、私、この言葉は、あんまりこういう科学・技術(Science and Technology)の重要な意味をつかみ切れない言葉ではないか。むしろ、科学・技術にした方がいいんじゃないのかということです。
 具体的に申しますと、例えば、中間取りまとめ案の7ページのマル3の科学技術イノベーションへの官民挙げた集中投資のところに、2つ目のパラグラフですけれども、上から5行目に、「基礎研究・学術研究の振興や国家戦略上重要な分野の研究開発」という言葉はあるんですけれども、その次の2ポツの方向性に行きますと、この「国家戦略上重要な分野の研究開発」って、一言も入っていないですね。やっぱりこれを入れないと話にならないでしょうと。
 ということは、後の方で、これは実は今日の要点案を見て若干安心したんですけれども、やっぱり章をきちっと立てて、私は基礎研究と先端、新興、国家基盤技術というのをきちっと章立てで扱う必要があるのではないでしょうかと。これは第1点です。
 それから、2点目は、少なくとも中間取りまとめ案には、新興技術、私はもうそろそろ「emerging technologies」というのは、「新興技術」という言葉が定訳になりつつあると思っていますけれども、新興技術という言葉は一切出てきません。それから、この論点のところにも、新興技術という言葉は使われない。新興・融合分野とか、もう一つ煮え切らない。私は、新興技術というのが、これからの日本の安全と産業の鍵なんだということをはっきり言うべきだろうと思います。
 じゃ、emerging technologiesって何なのかというと、恐らく一般的な理解としては、これから何が出てくるのか分からないということがあると思うんですけれども。私のような国際政治みたいなことを見ている人間からしますと、エンドユースが分からないというのが、実は一番大事なことなんですね。エンドユースが分からないから、例えば、量子コンピューティングとか量子センシングというのはすごいなと思う一方、これは安全保障上どういう意味があるのかということが分からないからどうしようという、そういう問題になっているわけですね。結局、そういうものをどう育て、どう守るのかということを、やっぱりきちっと書かないと、私は、この報告書というのはやっぱり極めて中途半端になるだろうと思います。
 その意味で、私は、先ほどの報告2つは非常に参考になりました。やっぱりもっとやるべきで、そのためには、もっとああいうところにもお金を付ける必要があるだろうと思います。その上で、どこでどんなグループがどういう研究をやっていて、それは日本の安全と産業にとってどのぐらい重要かということをきちっと分かって、しかも、それを常にモニタリングをやっている。ということをやらないと、もうこういう極めて国際的な技術の、あるいは、技術覇権みたいなところでの競争から日本は脱落するのではないか。これは2つ目です。
 それから、3つ目は、私、宇宙開発利用部会の座長をやっておりますので、その関係から。宇宙についてですけれども、やはり防衛大綱の中に、陸・海・空・サイバー・電磁波と並んで、宇宙は入っております。ですから、そういう日本の安全保障、防衛で非常に重視されているという、その意味で、やはり宇宙関係の技術、さらには、その基礎をなすような要素技術、先端新興技術に投資するというのは非常に重要なんだということは、是非入れていただきたいのと、それから、やっぱり非常に心配しておりますのは、国の研究機関の方で、JAXAのようなところでやりますと、どうしても人材育成のところと切れていくという。ですから、その意味で、やはり研究者を育てるという意味でも、そこのところも強調していただきたいと思います。
 それから、最後に1つ、これは私が別に関与している分野ではないんですけど、脳科学というのは、恐らく10年経たないうちに、次の安全保障、防衛のドメインになると思っています。ですから、先ほど、ここの脳科学のところを見ましたら、一切そういう記述はないし、恐らくライフサイエンスをやっておられる方は、まだあんまりそういうふうに考えておられないかもしれませんけれども、emerging technologiesというのはそのくらい大変なものなんだという意味では、逆に入れておいた方がいいかもしれないと思います。

【濵口主査】
 ありがとうございます。じゃ、どうぞ。

【橋本委員】
 今回の資料の3-1と3-2を拝見していて、特に3-2で、いろいろな分野の総括がされているんですが、比較的共通する項目があるなと思ったんですね。というのは、どの分野においても、日本は基礎の分野で非常に優れた基礎研究がされている。ところが、それを実際社会実装、あるいは、産業化するところが遅れているというのが、それぞれのレポートの中にあったような気がします。
 そこは多分、今、日本が置かれている、こういう産業化、今後日本が何で食べていくかというところを探すときに重要なポイントかなと思います。いろいろなエマージングなサイエンスが出てきていると。そこで、将来、これをコアにして育てるぞというような何らかの判断をして、そこに集中投資をする、そういった動き。しかも、それを社会実装するときに、先ほどからお話があるように、やはり社会のニーズにフィットするために、これをどう育て上げるかという、そういう視点が必要かなと思うんですね。
 やはりソリューションドリブンで、しかも、今は多分、1つの技術だけで何かそういうものが解決できる時代ではなくて、いろいろな違った分野の技術をどう組み合わせ、どうつなげるかと、そういう判断なり考え方が非常に重要かなと思いますので、そういう視点で、そこの論点をもう一度見直していただきたいなと思いますし、論点としてまとめると、結局、やっぱりこれも大事だけど、こっちも大事だという、非常に総花的な、優等生の作文になりかねないと思うんですね。そこを、優先する課題をこうするとか、優先課題をより早い段階で決めるというようなことをもう少し盛り込んでもいいのではないかなと思いました。

【濵口主査】
 ありがとうございます。
 それでは、新保委員。

【新保委員】
 慶應義塾大学の新保です。私からは4つです。1つは、白石委員の御意見に全く賛同であります。Emerging technology、新興技術の研究開発への戦略的な取組の必要性、2番目が、基礎科学分野の研究活動における情報管理、3つ目が、人文社会科学の研究者との共助、4つ目は、最後に申し上げたいと思います。
 1つ目のemerging technology、私も最近、自分の論文では、なるべく横文字は使いたくないので、新興技術と書くようにしておりますけれども。白石委員が先ほど言っていただいた御意見に賛同であります。
 以前の議事録の繰り返しになってしまいますのが、日本のAI研究敗北論のような、そういった意見が非常に最近よく散見されるところでありますけれども、これはやはりひとえに研究者が頑張って、とにかくemerging technologyに関する分野について頑張りましょうと言いながらも、なかなか戦略的に取り組むことができない部分というところがやはり多いのだろうと。ここについては、やはり新興技術研究開発への戦略的な取組というものを、かなり基本的な部分として重視すべきではないかというのが1点目であります。
 2つ目が、基礎科学分野の研究活動における情報管理の問題です。これは本日の論点の中には特に触れられていないので、当然のことなのだとは思いますが。ところが、基礎科学分野、先端技術、機微技術の管理、それから、新興技術、emerging technologyの情報管理、この脆弱性の対応というものについては、なかなか積極的に取組がなされていないと。
 本日は、経済産業省の産業技術環境局の方も御参加いただいておりますので、この分野について、とりわけ現在の法制度の観点から見ると、基礎科学分野の研究活動について、技術提供する取引については、外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づく、貿易管理について貿易関係貿易外取引に関する省令、この第9条2項10号では、基礎科学分野の研究活動において技術を提供する取引については、除外となっております。これは輸出管理の対象から除外されているだけの話でありまして、これは国際的にも標準的な考え方です。
 特に基礎科学研究は、我が国の持続的な成長・発展、諸課題の解決に当然不可欠なものでありますので、これらの情報が適切に管理されるということは当然のことでありますけれども、さらに、国際的にも輸出管理の対象から除外しているのは、広く共同で研究をしたり、そういったことが積極的になされるということを前提としているからであります。
 しかし、現状を見ると、特に大学と中小企業ですけれども、この管理はかなり脆弱な状況でありまして、せっかくこれほど細かく様々な観点から研究開発を行っても、行った成果がみすみす盗まれてしまったり、漏えいしてしまったりというリスクは非常に高いと。とりわけエマージング、基盤技術含めて、こういった実効性ある管理をするということが、喫緊の課題であると考えております。
 この点については、経済産業省が、安全保障貿易に係る機微技術管理ガイダンス(大学・研究機関用)というものも既に公表しておりますし、さらに、大学における秘密情報保護ハンドブックというものも、これは全ての大学が当然認識をして、研究者も認識をしております。
 しかし、経済産業省が出している指針、ガイダンスは、あくまで大学・研究機関などにとっては参考文献としての位置付けしかなくて、特に大学の関係者にとっても、このガイダンスや指針があることは皆知っていても、あくまで参考文献として参考にしているだけで、例えると、講義で単位を取得する際に必要な教科書にはなっていないという状況かと思いますので、したがって、せっかくこういう取組がなされてきたということから、今後、研究開発戦略においても、教科書的な位置付けでこういうものをとり組むべきだろうと。
なお、ただ残念ながら、情報管理・情報セキュリティ対策は、目に見えない脅威に対する対策で、一方で、目に見える成果が見込まれるものではないんですね。したがって、目に見える成果を求められる研究現場で、積極的な評価対象とはならない対象にはインセンティブが働きませんから、これについては、今後どうすべきかということを検討すべきではないかと。
 3つ目にこれは関連するんですけれども、そのときに、やはり人文社会科学、特に法学系の研究者は、最近、こういったAIとか、emerging technologyも含めて、かなりいろいろな観点から研究をしております。これは技術的な研究ではなくて、それを社会に受容させる、社会において利用すると。そのときに、五神委員の意見書の4番目にございますとおり、法律学であるとか、経済学であるとか、これに更に倫理学の研究者も含めてだと思いますけれども、こういった研究者との共助、これは研究の共助ということだけではなくて、こういった情報の管理であるとか、こういった取組について共助すべきではないかと。
 科研費には、人権の保護及び法令の遵守についての対応項目がありますけれども、これもかなり形式的に記述をするという項目となっておりますので、こういったところについて、インセンティブをどうやって働かせるのかというところは、こういった研究資金の配分においても、こういったところを考慮するということもあり得るのかなと。
 なお、これも以前申し上げたところとして、科学技術基本法では、いまだに科学技術(人文科学のみに係るものは除く)ということで、我々、我々というのもおかしいんですけれども、私のような人文科学研究者は除かれておりますので、振興に関する施策の基本となる事項を定めることを今後も努力していきたいと思いますから、仲間に入れていただきたいというのが話ですね。
 最後は、科学技術イノベーション政策の展開と、用語は使いたくないんですけど、ワンチームというかですね。逆に言うと、今回、ワンチームという用語が入っていなくてよかったなと思います。今後、流行語大賞になりそうな気配ですが、くれぐれも使わない方がいいということは、まず前提としてですね。
 ただ、どういうことかというと、例えば、統合イノベーション戦略2019、CSTIにおける検討などとの連動がどうなっているのか。今後あるべき社会というものが、かなり具体的な提言として提言がなされている一方で、基礎科学も、それに対応して、やはり幾ら基礎科学をしても、それが社会で実現できるかどうか、先ほどアップルの研究者のお話がありましたけれども、やはり社会的な評価というか、その成果が実際に社会で利用されるということについての評価の満足度というものは非常に大きいと思います。ですから、そういったところも含めて、ワンチームというのはあれですけれども、科学技術イノベーション政策の展開も、そういったところの連動とのワンチームというものも検討してもいいのではないかというのが、以上4点であります。

【濵口主査】
 ありがとうございます。3人の方にいろんな宿題を頂きました。
 では、知野委員。

【知野委員】
 先ほどの続きになりますが。先ほど科学者の話を聞きたくないというデータの御説明を頂きましたけれども、やはりこの辺の問題は、人材育成とも絡むところなので、論点として入れてはどうかと思います。
 それは、この中で、一般の人々の理解を求めるとか、対応するとか、そういう内容が入っていないので、閉ざされているような印象を与えますので、そういう意味でも必要だと思います。
 先ほど科学者の話は余り聞きたくないというところで、テクノロジーとか、エンジニアとか、アルゴリズムとか、そういうものはまだいいという御説明がありましたけれども、科学や技術の世界以外の人たちにとっては、やはり勢いのあるものとか、より話題になっているものとか、そういうところに関心を持つということは確かなんだと思うんです。
 その意味で、今年もノーベル賞が決まりましたけれども、最近日本の受賞者がよく出て、そのたびに、一般の人たちにとっては、この技術の裏にこんな基礎研究があるんだとか、そういうことを確認する機会にもなっています。説明を聞いて、「ああ、そうなのか。面白いな」と言い出す人たちも多いので、そういう機会を作っていくことも入れていくことが必要ではないかと思いました。
 以上です。

【濵口主査】
 ありがとうございます。
 じゃ、川端委員に、短く。

【川端委員】
 すみません。初めのタイトルで、私、完全にずっと混乱していてですね。要するに、研究開発戦略の構築ってやっちゃったから、一体この話はどこに行くんだという。このもの自体は、もともと中間でも出ましたように、それはSociety 5.0の実現で世界をリードする国とか、こういうビジョンみたいな形からスタートしていて、そう思えば思うほど、さっき言われたように、社会課題であったり、社会問題であったり、そっち側との話からスタートした方が、これはまとまりがつく。だから、これは逆プロセスで考えようとしているような気がしていて。だから、いろんなことが基礎の部分からいろいろ言われていて、それがどこに収れんしていくかというときのゴールのところを最初に議論した方が、多分、行きやすいのかな。
 もう一つ、データベース・ポリシーメーキングの部分で、これはやっぱり解析を基にと中間報告にも書いていたので、多分、そうなんだろうと思いながら前半戦のお話を聞いていると、将来予測はこれから先、更にもっと時間をかけないとそこまではたどり着かないだろうなという、今の状況なので、それをここに持ち込むわけにはいかない世界かなと思えば思うほど、やはり社会課題だとか、そこからスタートして、こうやっていくのが重要なんだろうなと思いました。
 先ほどから言っていただいているように、私も大賛成で、基礎と新興と国家戦略的なものは分けた方が絶対よくて、でも、一方で、社会の人に与えるインパクトの与え方は全然違っていて、基礎はやっぱり夢に近くて、新興は完全に社会に近くて、国家戦略はリアルに、「一体俺に何してくれるんだ」みたいな話まで行かないと、みんなが幸せにならないだろう。そういう意味で、ここはやっぱりきれいに分けた上で、大きいアドバルーンをSociety 5.0のように、先進的な技術も必要だけど、それを社会に落とすためのシステムや人材まで気を配ったようなまとめ方がいいのではないかなと思いました。
 以上です。

【濵口主査】
 ありがとうございます。
 じゃ、五神委員。

【五神委員】
 ペーパーを出していますので、そこに書き忘れたことを中心に言います。今回は第6期の科学技術基本計画をどうまとめるかという議論だと思います。5年前の2014年と2019年現在を見ると、明らかに大きく地政学が変化していますし、科学技術も相当進歩したところは進歩しています。ジオポリティクス、ジオテクノロジーの観点では、かなり大きな変化があったと言わざるを得ない中で、知識集約型な社会に向かっているのです。Society 5.0というシナリオは良い社会であると同時に、日本の近未来の稼ぎの場でもあるわけです。それに対して、世界各国は技術覇権争いの中で、日本とは比べものにならない規模で投資を始めています。
 そのような中で、今、日本の中で一番お金がないのは国です。アベノミクスの成果で、企業や個人のもとにお金はできましたが、依然として動いていません。今日先ほどから議論があるように、国は何をすべきかということは、明確にしておく必要があります。民間にはいろんなお金があって、中には経営者から見ればそう簡単には動かせるものではないものもあるでしょう。しかしそれを、レバレッジを効かせるメカニズムをどう仕込むかということをまじめにやらないと、もう全然シャビーな話にしかならないし、それで、人も多いし、お金も投入できるところに負けちゃうというか、もう勝負にならないわけですね。
 だから、そこのところをきちんとやらなければいけなくて、そのためには、日本が、どこで大きな価値を日本から出して、国際社会に貢献するのかと。紙ではそういうふうにきれいな形で書きましたけれど、それは、価値を出すということは稼ぐということなので、そこのところをフォーカスしていくべきであると。
 それから、新興テクノロジー、emerging technologyは、明らかにこの二、三年の間に意味合いが相当きな臭くもなっていて、研究内容としては完全に基礎研究になっているものが、emerging technologiesのど真ん中に入っているというのはいっぱい出てきているわけですね。だから、そういう意味では、これはマネジメントはまじめにちゃんとやらなければいけないと。それを、怖いからという話ではなくて、それをまじめにマネージしなければ、お金のフローも起きないわけですよね。だから、そういうところを少し一歩進んで、5年前とは全然違うというところを捉えて書き込んでいくべきであろうと。
 それで、最後、この紙に書いたところの法学、政治経済が大事だということを書きましたけれども、新しいものを社会に浸透させていくためにはどういうルール作りをするかというときに、やっぱりやってみてルールを作っていくというところを、うまく社会受容性のある形で広めないと、とにかく入らないんですね。この4年間を見ても、あれだけデジタルが大事だ大事だと言っても、やっぱり日本は圧倒的にスローですよね。だから、そこのところで、ソフトロー的なところがちょっと学問的にも弱いのではないかなと思っていて、特に東京大学の中で見ていても、そう心配になってきているので、ここはやっぱり意識的に書き込まないと、広めようにも広まらないのではないかと思います。
 以上です。

【濵口主査】
 本当に実装化できないですね。法学の重要性をこれほど実感している時期はないなと思っていますけど。
土井委員、それから、塚本委員。

【土井委員】
 皆様の意見に追加して、我が国の強みを活かしたという、これは少しミスリードのような気がするんですね。もちろん、活かすことも重要なんですが、産業競争力とか、いろいろやると、もうかなり日本は競争力は落ちていますので。特に、今お話があったようなデジションメーキングということでは、すみません、十倉委員、お隣にいらっしゃるんですけど、日本は最下位なんですよね。
 ということなので、ある意味、もっとアジリティをやっていくということも重要だと思うので、強みを作るという、次のことを考えるというのがやっぱり必要なのではないかなと思います。

【濵口主査】
 ありがとうございます。
 塚本委員、どうぞ。

【塚本委員】
 ありがとうございます。
 論点10のところに、whatを決めたらhowも決めましょうということが記載されています。howも決めるというのは、実行、インプリメンテーションのためにはすごく重要だと思います。
 Howを決める際に、具体的に、どういうコラボレーションで取り組むか、チーミングみたいなものも入れておいた方がいいのではないかと思います。先ほど五神委員がおっしゃっておられましたように、例えば、グーグルの量子コンピュータの件も、大学の研究室ごとをマージしたと伝えられています。大体GAFAのような会社というのは、年間5,000億ぐらい研究開発費を使っています。そういったところと競争をしていくという部分もありますので、世の中にあるリソースを適切に使う方法を考えていくべき必要もあるかと思います。オールジャパンでやるものもあれば、メードイン、もしくはメードウィズジャパンで取り組むものもあれば、もしくは、もう少し広めのコラボレーションできるものとかもあるように考えますので、何を達成したいかによってどう組んでいくかというのも論点として入れておくといいかと思います。
 以上です。

【濵口主査】
 日本の組織って、サイズが小さい上に、縦割りで、境界ががちがちなんですよね。これが今の弱点。
 この前も調べたんですけど、86国立大学のうち、運営費交付金100億以下のが6割です。例えば、アメリカのState University、例えば、ミシガン州立大学だと、年間予算1兆円なんですよね。この数字を見ると、こんなものあほくさくてやっておられんなと思うんですけど、大変な時代です。どうもすみません。

【菅委員】
 ありがとうございます。もう余り時間がないと思いますので。
 全体を見させていただいて、これ、何のためにやっているんだろうということを思っちゃうんですよ。資料3を見ると、これはもう全部です。これ、お金かかるなというのがものすごく見える。それから、資料2を見ても、要は、全部書いてあるんですね。文句のつけようがないぐらい全部書いてあります。
 やはり最後のゴールは、もちろん、民間の人たちが研究開発にお金をつぎ込んで、もう少し上げていただくというのはもちろんですけれども、逆に、やはり国家も、お金を科学技術に投資しないと、もう何も起きないよというメッセージが最後伝わらないと、これ、幾らやっても意味がないんじゃないかなと感じていますので、是非ともその辺は配慮しながら、戦略的にやっていただけたらと思います。

【濵口主査】
 全員同意すると思うんですよね。
 お時間が来てしまいましたので、先生、まだ言いたそうですが、すみませんが、次回ということで。
 今日はとにかく、最初の問題設定をさせていただいたというので、論点10を入れていただいた。大分宿題が出ましたので、大洞さん、大変な作業ですけど、もう一回リセットしていただいて、次回以降しっかりとすると。

【大洞文部科学戦略官】
 まさに戦略とは何かと言ったら、国として重点的に投資していくために考え方が必要だということだと思いますので、最後、菅委員がおっしゃったような形で、それを生かしていくための議論を進められたらなと思っています。
 後半の議論は、章立てして、中間取りまとめに加えていきたいと思っておりますので、そのように考えていただいて。
 資料4でスケジュールが示されていますけど、あと3回ほど3月までやらせていただいて、基本的考え方と、具体的にどういった技術分野が重要だというところまで、どこまで示せるのかというのが、実は論点の9ではあったんですが、そこのチャレンジをさせていただくのと、あとは、ELSIとか社会問題についても議論させていただきたいと思っております。
 次回は12月18日でございますので、よろしくお願いいたします。

【濵口主査】
 まだまだ話題満載で、ほとんどその2~3割ぐらいしか今日はこなせていないので、是非、休まないで出てきていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 それでは、事務局に連絡をお願いしたいと思いますが、大体していただきましたかね。いいですね。
 それでは、お時間ですので、どうも今日はありがとうございました。次回も是非出席していただいて、活発に御議論をお願いいたします。
 どうもありがとうございました。

お問合せ先

科学技術・学術政策局 企画評価課

(科学技術・学術政策局 企画評価課)