総合政策特別委員会(第24回) 議事録

1.日時

平成31年1月31日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省3階 3F1特別会議室

東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 論点とりまとめ
  2. その他

4.出席者

委員

濵口主査、庄田主査代理、大橋委員、小野寺委員、川端委員、菅委員、角南委員、竹山委員、知野委員、塚本委員、土井委員、冨山委員、西尾委員、橋本委員

文部科学省

山脇文部科学審議官、松尾科学技術・学術政策局長、菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官、渡辺科学技術・学術政策局審議官、千原研究振興局審議官、勝野科学技術・学術政策局総括官、角田科学技術・学術政策局政策課長、井上科学技術・学術政策局企画評価課長、原研究振興局参事官(情報担当)、小野山科学技術・学術政策局企画評価課長補佐、坪井科学技術・学術政策研究所長、ほか関係官

5.議事録

科学技術・学術審議会 総合政策特別委員会(第24回)


平成31年1月31日


【濵口主査】
  それでは、お時間になりましたので、ただいまより科学技術・学術審議会総合政策特別委員会を開催させていただきます。委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席賜りまして、誠にありがとうございます。
 それでは、まず事務局より出席者の紹介をお願いいたします。

【井上企画評価課長】
  ありがとうございます。今、通常国会が開始しまして、途中で出入り等がございますので、御了承いただければと思います。
 それでは、出席者について御紹介いたします。

【小野山企画評価課課長補佐】
  出欠の確認でございます。本日、新井委員、五神委員、白石委員、新保委員、永井委員、松本委員が御欠席となっております。冨山委員は、少々遅れてございます。その他の委員につきましては、御出席いただいております。
 また、事務局の方で人事異動がございましたので、紹介させていただきます。サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官に菱山が着任しております。

【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】
  菱山でございます。よろしくお願いいたします。

【小野山企画評価課課長補佐】
  以上になります。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
 それでは、会議開催に当たりまして、事務局から配布資料の確認をお願いします。

【小野山企画評価課課長補佐】
  資料については、お手元の議事次第の裏にありますとおり、資料1と参考資料1から4をまとめたPDFをお手元のパソコンの中に入れております。また、参考資料1、2につきましては、机上ファイルにもございます。欠落等の不備等がございましたら、事務局までお知らせください。以上になります。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
 本日、議題は、議題1、論点とりまとめとして事務局より御説明していただき、それについて御審議をお願いします。昨日、科学技術・学術審議会の総会がございました。この論点取りまとめに関しては、かなりいろいろな視点からの意見がございましたので、今日しっかりこの議論をもう一回いただいて、まとめたいと思いますので、よろしくお願いします。
 続きまして議題2、その他として、第9期最後の総合政策特別委員会ですので、今回は委員の皆様から一言ずつ御発言をいただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
 それでは、事務局より資料1の説明をお願いいたします。

【井上企画評価課長】
  ありがとうございます。
 それでは、資料1、この会議での肝となる資料でございますけれども、御審議いただいて、取りまとめが形になってまいりましたが、前回からの修正点等を中心に御説明させていただければと思います。
 資料1が基本ですが、どこが修正されたかということを分かりやすいように赤字で示したものが、「(説明資料)論点よりまとめ」という資料にまとめましたので、そちらをごらんいただければと思います。
 それでは、その資料に基づきまして説明させていただきます。まずタイトルの部分ですが、新時代・新世代の科学技術システムという言葉がありますが、前回は次世代と短くしておりましたけれども、これは造語的な使い方でございましたので、ポツで結んでいるという部分でございます。
 1番が、我が国の立ち位置及び今後の方向性と、科学技術な担う役割ということで現状の認識あるいは我々の立ち位置、科学技術の役割というものを言及した土台となる部分でございました。2つ目のポツのところで、IoT、AIという言葉を裸のまま略語で使っておりましたので、丁寧に説明的な日本語を追加してございます。そういった意味では、少し飛びますが、3つ目のポツのGDPと生で使っていた部分を、国内総生産とさせていただきましたし、後ほど2ページ目で述べますELSIに関しても説明的な日本語を追加しているという部分でございます。
 そして、社会が変わってきているというところが、2ポツ目のところですが、サービスが価値の中心となる知識集約型への大転換が起こっているという部分の提起をいただきましたので、その部分を追加してございます。
 3つ目のポツでございます。日本語の問題として、団塊世代の方々が高齢者となって、その人たちが介護者になると、介護離職をするというふうに読めるような文章でございましたので、正確にそこで一旦区切って、「後期高齢者となり、多くの介護離職を生むおそれ」ということにさせていただいております。
 そして、そのページの一番下のポツでございます。新たな社会を形成するための資金循環を創出するという下から2行目がございます。その後に、社会のことを考えた場合には、社会との対話でありますとか社会の理解を得る努力という視点が重要で、明確にした方がいいんじゃないかという御意見を提出いただきましたので、社会への理解と、漢字が間違ってございます。申し訳ございません。受入れという受容でございますが、受容してもらうための活動を推進する。
 2ページ目でございます。今後の研究の在り方とそれを支える科学技術システムの考え方。はじめ「への転換」となっておったんですけれども、基本的な方針・考え方というのを示したページになりますので、システムの考え方とさせていただいています。
 後ほどの総会での御意見にも出てまいりますし、この総合政策特別委員会でも非常に御意見をいただきました学術研究の重要性ということがございましたので、当然第6期においても、文部科学省としてその重要性を訴えていくということでございますので、学術研究という言葉を入れさせていただいております。
 そして、科学技術の国際連携という視点が重要ではなかろうかと。科学技術は国境を越えたものであるけれども、他方、一国主義に陥るおそれがあったり、現在の状況で言いますと大国間の対立という部分もございますので、真理の探究は人類社会全体の課題であることから、研究における卓越性の追求には国際的な連携が必須という部分を入れてございます。
 後ほど総会での議論も御紹介いたしますが、人文学・社会科学との分離脱却という言葉がこのページの一番下にもございましたけれども、それだけではなくて、自然科学の中でも融合という部分が、課題があるんじゃないかという御意見をいただきましたので、自然科学の中も含めた融合や交流が重要であるという文言を追加してございます。
 2番目の大きなまとまり、研究者が挑戦(失敗)できる環境という部分でございます。文言を分かりやすくしているとともに、一番下のポツでございます。俯瞰的視点を持った人材の育成が必要であると記述しておりましたけれども、ダブルメジャーであるとか、T型、Π型の人材という部分というものも非常に重要ではないかという前回会議で御意見をいただきましたので、それに並べて、複数の専門分野において高度な知識を持った人材の育成が必要とさせていただいております。
 次の大きなまとまり、柔軟性と即時性を兼ね備えた共創システムとしていましたが、柔軟性と即時性、フレキシブルとアジャイルという意味で使っているのならば、即時性というより即応性の方がより表しているのではなかろうかという御意見をいただきましたので、即応性というタイトルと、ポツの中でも使わせていただいております。
 研究のステージ、側面という部分の御議論も頂きましたので、発明、発見、開発、イノベーションという段階への記述、そして基礎研究、応用、開発というふうな部分のステージの記述を追加させていただいております。
 そして、人材の受入れあるいは流動性等にも関連して、我が国だけではなくという意味で、必要に応じて国内外を問わずという観点があるのではなかろうかという御意見を踏まえて、修正させていただいております。
 2ページ目の最後のまとまり、未来社会デザインとシナリオへの取組ということでございます。未来社会デザインとシナリオという形にしていましたが、この中でデザイン、シナリオ自体を今回具体的に提示しているわけではございませんので、今の段階では、シナリオへの取組ということで、スタンスを示すという意味でタイトルを修正させていただいております。第5期で我々が目指すべき社会の様子として、やはりSociety 5.0というものを打ち出しましたし、それは5期で終わるものではなく、6期においてもその実現に向けてまだまだ取り組んでいくと。その際にはSDGsという考え方が大きく出てきたということは、この会議の場でも御議論いただきましたので、そこのところを追記しております。
 そして、このまとまりの位置付けとして、そういう考え方をしっかりやっていかないといけないということで、1つ目のポツの最後が、より良い社会、新しい社会への突破口、糸口となるという表現でありますとか、その次のポツの締めくくり、その実現に向かって取り組んでいくというような表現を付け加えさせていただいております。
 一番下のところは、先ほど申しましたELSIが裸で使われていた部分の説明でございます。
 3ページ目、今後の検討項目及びその方向性の部分でございます。タイトルのところ、研究力向上に向けたシステム改革というふうに修正させていただいております。大学改革と一体となったという表現がございましたけれども、大きな部分として人材、資金、環境の部分を記述している部分ですので、そういう形にいたしました。その部分の前書きのところですが、研究分野で改革といった場合、現場での実態、実現、そして関係者の気持ちというものもしっかり把握しながらやっていくという意味でも、現場の自由度や柔軟性、動機にも十分留意するという表現にさせていただいております。
 研究人材のところで、博士課程へ進む人間の減少、学生の減少ということがありましたが、その部分でわくわく感という言葉を使っていましたが、文章的にどうかというところがございましたので、研究者を魅力的なものにするため、研究者になりたいという形に持っていくためというふうに修正させていただいております。
 その部分の一番下のところ、大学改革と言った場合、国立大学をイメージして書かれている部分が多いんじゃないかという。しかし、公立・私立の大学も同じように全体として取り組んでいくということが重要であり、アスタリスクを付けるとともに、まさに組織という意味では国立研究開発法人における見直し・改革というところも重要であろうかと思って、追加してございます。
 そのページの右側の上の四角のところでございます。先ほど申しましたように、「への取組」というタイトルにさせていただくとともに、留意事項の中に、裕度という言葉。余裕があるの「裕」に「度」と。裕度という言葉を使っていましたが、なじみがない言葉でしたので、自由度や柔軟性という形にさせていただいております。
 それぞれの分野、科学技術の名称については、ここで十分に議論した作られたものではまだございませんので、項目イメージ、イメージとし、よりそれを明確にするために、今後具体的に検討というところを入れてございます。
 一番下のところ、ELSI等々につきまして、社会の需要と。この場合の需要はこの需要ですけれど、意味・内容を考えると、要請という方が分かりやすい部分があるのではないかという御意見を提出いただきましたので、社会への要請・需要とさせていただいております。
 以上が前回からの修正、前回の会議及びその後先生方に、もしありましたらメール等でお送りくださいとお願いしていた部分等を踏まえまして、修正させていただきました。
 それでは、昨日の総会の様子でございます。「(説明資料)総会における御意見」という資料をまとめさせていただきました。全体的に及ぶ御意見もありましたが、一応今御説明した資料1の1、2、3ということで便宜的に区分して、まとめさせていただきました。1番の立ち位置、そして役割の部分でございます。最初ペーパーに、世界の状況を見ると、我が国が置かれている立場への危機感が少し出ていないのではないかという御意見を複数の委員の先生からいただきました。
 その点については、この会議でも前向きな部分をしっかり表出していこうと、ポジティブな部分をということがあって今の形になっているという部分がございました。それについて、3つ目の白丸でございます。これ、実は主査からそこをフォローいただいたんですが、危機感については共有するところだけれども、前向きに進んでいくということをやっていく必要があるのではないかということを返していただいたという部分でございます。これまでにない良い部分を今後どう展開、誘導していくかが重要ではなかろうかという点。それに付け加えて、プラス面のダイナミックな変化があり、我々自身それを捉え切れていない部分がまだまだあるのではないかという御意見を頂きました。
 下から2つ目の丸。学術研究の多様性と融合ということが重要ではないかと。自然科学の中での連携、倫理観は大事であると。先ほどと関わりますが、いいところを伸ばしていく。改革という文脈の中では、いいところを伸ばしていく戦略的な取組というのが必要ではないかという御意見。
 最後の白丸でございます。社会課題解決からのゲームチェンジなど、日本ならではのものを考えていってほしいという御意見がありました。
 そして資料1の2番の研究の在り方についてでございます。1つ目の丸、選択と集中ということが少し行き過ぎている感じがしていると。学術に関しては、多様性とその蓄積ということが重要ではなかろうかという点。
 2つ目の丸、日本の良さとして、社会的、世の中として、民主主義、自由が確保されているということ。研究においても、したがって自由な学術研究ができるということが大切なので、そこをしっかり前に出していくべきではないかというところ。
 大学改革について、複数御意見をいただきました。大学改革、大学の状況というのは、非常に深刻になっているという御意見でございました。その中にあって、先ほどと同じ観点ですが、学術研究はその根本であって、それを基本計画でもしっかり明記すべきであるということ。そして、自然科学の中でも融合が進んでいない部分があるので、自然科学と人文学・社会科学との分離脱却だけではなくて、自然科学の中も考えていかないといけないのではないかという御意見。
 下から2つ目の大学改革についてのところ。いろいろな観点がもっとほかにもあるのではないかということをいただきました。
 最後の丸につきましては、博士課程への進学が少なくなっている。大学院自体が魅力的になるということが必要ではないかという点。
 この資料の2ページ目へ行っていただいて、資料1の3の部分についての意見ではなかろうかというところをまとめさせていただいております。
 大学改革については、これまでのものとの違いや方向性を明確にして進んでいくべきではなかろうかという点。地球環境や災害への危機感などへの対応について、科学技術サイドの責任ということも考えていってほしいということ。
 3つ目の丸として、デザインとシナリオについては、文部科学省だけではなく他省庁も描いている。そういうのもよく共有して、検討していってはどうかという示唆をいただきました。
 その下の丸です。これまでの基本計画では、どういう社会を実現するか。第5期ではSociety 5.0でしたが、そういう大きな目標の下に策定されてきたので、第6期というものは、それをどうしていくのかということが重要ではなかろうかという御意見をいただきました。
 その下のアカデミックエクセレンスと書いてあるところです。デザインとシナリオということ。両方重要であるけれども、相反する部分もあって、そこをうまく考えていかないといけないのではなかろうかという示唆。
 その次が先端基盤研究、技術開発については、安全保障的な管理、オープンアンドクローズという点も非常に必要ではないかという点。
 3ページの国際優位性のあるインフラという記述がありますが、それについては民間企業も非常に知見を持っている。オペレーションやメンテナンスについて日本は優位があるので、連携が必要ではないかという点。
 人文学・社会科学について、2つほど御意見をいただいております。その重要性と人文学・社会科学との分離脱却という表現については、もう少し考えた方がいいのではないか。多様性というところも必要ではないかというところです。この点につきましては、本当に何々との分離脱却とちゃんと書かないといけないのかなということがありますので、この部分をどうこなすかというところ、少しこなし切れていないので、事務局の方でも考えまして、濵口主査とも御相談したいと思っております。
 下から2つ目の丸でございます。今の第5期の計画について不断の見直しを行って、PDCAを回していって、いい芽については第5期の後半の見直しにもつなげていってほしいということ。そして、是非文部科学省らしいものを検討して打ち出していってほしいという御意見。
 研究力向上に向けたシステム改革、それぞれの改革の項目を今、頭出ししていますが、どうしても既視感があると。もう長年やってきて、なかなか実現できていないと。実際に実現していくということをやっていくという段階に来ているのではないかという御意見をいただきました。以上でございます。

【濵口主査】
  ありがとうございます。以上が昨日の議論でありましたが、この議論を受けて、論点取りまとめの意見をいただきたいと思います。どうぞ、御自由に御発言いただければと思います。いかがでしょうか。
 どうぞ。

【菅委員】
  説明資料の2ページ目。私がコメントしたところを非常にうまく対応していただいて、ありがとうございます。
 1の真理の探究のところからずっと下ですけれど、真理の探究は人類社会全体の課題であることから、研究における卓越性の追求には国際的連携が必須と国際的連携を先に持ってきていますが、これ、後に持っていった方が良いのではないでしょうか。最初に人文科学と社会科学の分離脱却あるいは自然科学も含めた融合・交流が重要であって、さらに国際的連携というのも視野に入れるべきであるとした方が分かりやすい。お願いします。

【井上企画評価課長】
  ありがとうございます。

【濵口主査】
  御指摘のとおりですね。
 ほか、いかがでしょうか。
 一番昨日の議論で強調された言葉は、もう少し危機を強調すべきでないかという意見がありましたが、この点先生方の御意見をしっかりお聞きしたいと思うんですね。トーンが少し全体の委員会と比較すると弱いのではないかと、危機に対する認識。いかがでしょうか、これ。
 総合政策特別委員会としては、このスタンスで行くということでよろしいでしょうか。

【川端委員】
 すいません。

【濵口主査】
 どうぞ。

【川端委員】
  自由な……。

【濵口主査】
  どうぞ。

【川端委員】
  何かこのままで行くと、だんだん沈み込んでくるような。すいません。自由に話させていただきます。
 1つ目の危機という観点は、いろいろな危機があって、社会的な危機にしても、混乱している危機にしても、資本主義の危機にしても、いろいろな危機があるという中で、それをここに捉まえて、一体何をどうしゃべるかだけでもものすごい量がないと理解できない。その中で、言われたように我々がやるべき前向きなところから始めてという、僕はそれは賛成だと思っています。
 もう一点は、総会で最後に昨日だと思うのですけれど、これ、わーっと出されている話って超リアルな話。どれを取っても、そうだ、そうだと言いたくなるような話が一杯あって、これって結局論点のこちら側にはどうフィードバックできるのか、されるのか。しないのかというところが、僕はこの最初の資料1の論点まとめをずーっと読んでいて、総会の話を聞いて、もう一回論点まとめを読んでも、どこにどう反映されたかというのはよく分からないのですが、その辺に関しては、これはどう取り扱うのかをお聞かせいただけると。

【濵口主査】
  いかがでしょう。

【井上企画評価課長】
  ありがとうございます。
 まず、昨日の総会とこの資料の関係ですけれども、完全に昨日の総会の意見をこなし切って、本日の資料1になっていると言い切れない部分がございます。一部明確な部分、例えば先ほど申しましたように、人文学・社会科学との分離脱却だけでなく、自然科学の中でもそれを考えていくべきだというところは、論点として明確に記述されていなかったので、そこは入れていますが、基本的にはまだ全てをこなしていない状態でございます。
 これまでの総合政策特別委員会でも御説明しましたが、今回主な論点とその方向性を1月までにまとめていただくということがございました。そして2月以降、新しい期になりますが、それを肉付けして、夏の終わりぐらいまでを目途に肉付けした取りまとめをして、それを公表、基本計画作成主体である内閣府CSTIの方にも打ち出していくということを考えております。その中で、文章にしていく中で、今まで総合政策特別委員会でいただいた意見、総会でいただいた意見、本日いただく意見の神髄は何かということをもう一度見直して、ここ、短いワードでとんとんとんとやっている資料なので非常に無理があって、初めての人が読むと筋が飛んでいる部分もあろうかと思いますが、そういう部分を含めて肉付けしていきたいなとは思っております。可能な限り、今日いただいた意見も事務局の方でこのレベルで反映できるものは反映をしまして、最終的には9期の会議自体が本日までになりますので、そこは主査とも御相談させていただいて対応したいということで考えております。

【濵口主査】
  よろしいですか。
 はい、お願いします。

【渡辺科学技術・学術政策局審議官】
  昨日も、局長から少しお答えをしたところですが、この総会で指摘されたことというのが、今ざっと並べてあるのですが、具体的に記述していくときに気を付けていくべきことや、整理学上どのようにしたら分かりやすくなるかなど、具体のところでどう反映するかということもございます。
 他方、基本計画の骨格、入れる骨格をどうするのか、第6期に向けて何を入れていくのか、もう少しめり張りを付けようといった御意見もあるので、どこをどのように反映していくのか。それから今の骨子を、今後の考え方として入れておくべきところはどこかということで、全てを今反映するというところでもないと思いますので、今の考え方の中に特に反映しておくべきことということで少し集中していただいて、総会の御意見の中で、今後注意しながら入れていくことは、これは御意見としてずっと傍らに置いていくことだと思っております。

【濵口主査】
  どうぞ。

【塚本委員】
  ありがとうございます。
 これ、スピード感というと、どれぐらいの時間軸を考えるんでしょうか。結構人材とか、ドクター人材、20年前と比べますと企業にいらっしゃっている人材も全く変わってきているので、改革疲れとかデジャビュとか同心円の中に入ったみたいとかいろいろあるんですけれども、確実にやってらっしゃることは、成果は出ていると思うんですね。非常に評価しづらいと思うんですけれども。
 この中でスピード感と言ったときに、クオータリーではないと思うんですけれども、危機をさんざん言ったところで、短期・中期・長期と考えると、どれぐらい軸を考えたら良いのでしょうか。

【濵口主査】
  やはりこれは5年がベースだと思いますね。中期計画ですので。どこまで達成するか。もう少し具体的なイメージを従来よりは出していくべきかなというように、昨日の議論も踏まえて感じておりますけれど。
 それから総会後、委員の方とお話ししていて感じたことですけれど、意外と今、改革が進んでいることが世の中に知られていないということを何人かの方も言っておられました。例えば典型は、ある企業のトップの方が、ポスドクというのは無給だと思っていたと。そんなことはないんですよ。ぎょっとするような誤解が、実はある。これ、実は我々の責任でもあるのですが、こう変わって、こうなっていますよということをもう少し具体的に社会に語らないと、すごい認識のずれがあって、そのずれを前提にして大学はいかんという話が出ているのではないかというのが少しありました、昨日。
 そういう意味でも、もう少し定量的にもきちっと説明しながら、広報もちゃんとやる必要があるなというのが昨日の反省点でもありますが。そのために5年後どうするのかというのを、今どうなっていて、どうするのか。昨年かなりデータ的にもいろいろそろえていただいたので、具体的に語れる時代になってきているのではないかなと。
 それが危機感をどう扱うかという議論にもなっているのですけれど、もう一つ昨日の議論で、これ、難しい問題だなと思ったのが、学術研究の多様性が重要であるという視点と、未来社会をデザインしてシナリオを書くというのは、これ、矛盾していないかという御意見がございました。これをどうお考えになりますか。御意見をいただきたいなと思いますが、いかがでしょうか。特に社会科学の方に御意見をいただきたいのですけれど、いかがですか。大橋先生。

【大橋委員】
  矛盾は必ずしもしないのだと思います。つまり、シナリオを1つしか描かないというのだとあれですが、恐らくこれだけ不確実な世の中なので、多分複数のシナリオを検討されるということではあると思います。そういう意味で言うと、必ずしも画一的な目標を立てて、それに向かってというよりも、もう少し緩やかな形なのかなというのが、シナリオの私のイメージですけれど、それでよろしいですか。

【濵口主査】
  文部科学省は、現時点ではどうお考えなのでしょうか、ここで。お願いします。

【松尾科学技術・学術政策局長】
  これもお答えになるかどうかですけれども。やはり幾つかの考え方があって、シナリオの複数化と、その苗床ということだと思います。あとシナリオと言ったときも、やはり苗床というか多様性がないといろいろなシナリオも書けませんし、そこから何がどう出てくるかというのは、多分5年後の社会、1年後に何が出てくるかというのは予測できないわけで、そうするとやはり多様性があって初めて芽が出てきたものをうまくつないで、それが実は国なりどこかがシナリオを書くというよりは、自然に発生するかもしれませんし、そこをどう引っ張っていくかというのは、多様なものがあって初めて多様なシナリオを書いて、どういくのかということだと思いますので、矛盾するものではないと思っております。

【西尾委員】
  よろしいですか。

【濵口主査】
  先生、お願いします。

【西尾委員】
  今、先生から御質問いただいた件をどう考えるかという場合に、東日本大震災を契機として、研究のタイプあるいは種類を体系付けようということで、3類型というのを定めて、特に文部科学省関係及び関連諸機関での議論は、その類型をベースにして行ってきたことと結構深く関連するのだと思っています。
 要は、研究のタイプとして、学術、戦略、要請という3つのタイプを考える。学術というのは自らの発想、いわゆるキュリオシティードリブンで進めていく研究。戦略というのは、まさに濵口先生のところで進めておられるCREST・さきがけ・ERATOに代表されるものです。未来社会をデザインして、そこである種のあり得るべき社会を考えて、それを実現するための何かの目標が立てられて、それに伴う科学技術の研究が後に進められるというときに、それは戦略研究の類いになる可能性が大きいです。
 ですけれども、戦略研究をいかにして実装していくかというときに、戦略目標としてすごく具体的で狭いテーマではなくて、縛りがきつくない戦略目標を立てながら、その中で学術研究的なことをどれだけ展開できるかの知恵をどのように出していくのか、ということは重要であると私は思います。
 もう一つの軸である研究の種類については、基礎、応用、開発と類別されており、戦略研究であっても基礎研究は可能であるという観点は重要だと考えます。今後、学術研究というものを一方できっちりと守りながらも、戦略研究をどのように動かしていくのかは知恵の出しどころかと思います。

【濵口主査】
  ありがとうございます。本当に非常に重要な点を御指摘いただいたと思います。9次元のマトリックスですね。あれをもう一度、皆さんしっかり認識する必要がありますね。

【土井委員】
  いいですか。

【濵口主査】
  はい、どうぞ。

【土井委員】
  今の御指摘も踏まえて、先ほど、何に留意してほしいかという意見が欲しいというお話もあったので、もう一度見直してみたときに、1つやはり今のところで言うと、2ページ目の今日即応性という言葉に変わりましたけれど、アジャイルということの意味だと思います。
 企業ですと、昔はイノベーションのために投資をして、構造改革をして投資をして、そうするとある程度広がるのですが、今度はコストを掛け過ぎたといって、またコストを削減するという、それをシーケンシャルにやっていたんですね。ところが今はそんなことを言っていられなくて、イノベーションとコスト削減って同時並行に行われていく、企業の中では。そういうところがうまくいっているわけです。
 ある意味大学もというか、大学含め研究開発をしている機関もそういうことの考え方が必要で、ですから、イノベーションを起こすための基礎研究も必要だし、効率化をするための応用研究とか、もっと出口を見据えた研究も必要ですし。
 一方で、未来社会へのシナリオと言ったときには、やっぱり出口を見たときのシナリオを考えて、バックキャスティングしていくというのも必要ですし、一方では、そこに至るまできちんと研究機関、民間の機関もそうですけれども、生き延びるためのエコシステム、プラットフォームが必要なわけですよね。経営的にもうまくいくような。
 それを作らない限り、どんなにいいものを作っても、不採算だけ抱えて、いい特許とかあるかもしれないけれど破産してしまうという形になるので、そこにならないようにするということは、やはりシナリオとしてデザインしなければいけないものは出口であり、それを支えていくプラットフォームなわけですね。それを実際に実行していくところが、それに耐え得るだけの人と効率的な環境を用意できるかという、そこに懸かってきているんだと思います。
 言っていることは変わらないんですけれど、今まではそういう意味ではシーケンシャルにやろうとしていたので、第1期はこれやりましょう、2期やりましょうと言っていたんですけれど、多分第6期はそういうことを言っていられなくて、みんな一緒に考えながらやりましょうと。ただ、インフラに当たるところを1つの大学の機関だけとかやっているとあまりにも効率が悪いので、そこはもう少しデータも含め、考えていかないといけないという時代になってきているんだと思います。

【濵口主査】
  ありがとうございます。今の御意見、先ほどのスピード感を持ってということの具体的な例示ですね。

【土井委員】
  そうです。

【濵口主査】
  どうぞ。

【冨山委員】
  今のと脈絡がつながるかもしれないんですけれども。
 産業構造全体の議論で言うと、実は、30年前、40年前よりも、例えばこれはある意味でシリコンバレーモデルはそうなっているんですけれど、要するに大学や国研でやっている知的生産活動と、それがお金になる距離感は縮まっているんですよ、時間的にも距離的にも。割とストレートになっちゃうんですね。それ以前は、恐らくもう少しリニアなモデルになっていて、要は量産化してたくさん作って、大設備投資やってというパスがあるのですが、デジタルの世界って、いきなりお金になってしまう。一番それが極端なのはAIなんですけれど。
 何が言いたいかというと、私、JSTの審査委員なんかもやっていても思うんですけれど、これも以前、1回申し上げたと思うんですけれど、基礎研究、学術研究という枠組みで、まさにキュリオシティードリブンでいろいろなことをやりますと。それがある日突然めちゃめちゃお金になってしまうことが起きるわけです。
 そうすると、そういうある種スパイラル構造になっているとすれば、もう一つの観点として、ここに書くのが、品がいいかどうかありますが。要は、稼げるものはすぐに金にしてしまおうというマインドは僕、大事だと思っていて。何が言いたいか。そのお金で別にお金持ちを作る必要はないわけで、そのお金で結局、学術研究にフィードバックを掛けられるわけですよ。そのサイクルを作れたのがスタンフォード大学の勝因で、僕は、そのことはそろそろタブー視しないで前面に出した方がいいような時期に来ているような気がしていますし、それが今のアジリティーとつながると思っています。
 要は、企業もある種アジリティー勝負になっているし、この研究開発の領域もある種のいい意味でのアジリティー勝負があって、これが変な方に行っちゃうと困るんですよ。みんなが、自分が個人的にお金持ちになるために頑張られちゃうと、話がゆがんでしまうんですけれど。私は大事なことは、それがやっぱり大学や国研や研究機関の学術研究にフィードバックされる、戻ってくることが大事だと思っているので、その視点というのは、そろそろ僕は前面に出した方がいいような気がします。
 前回申し上げましたけれど、残念ながら霞が関周辺でこの辺をいくら掘ってもお金は出てこないので、国はウルトラ貧乏で、とにかくこの瞬間もどんどん借金は積み上がっていまして、皆さんの子供や孫からこれはお金を借り続けている状態なので、そこでもっとお金よこせと言うと、自分の子供や孫に申し訳ない感じがするので、そこは今回どうか分かりませんけれども、そういう視点が入ってくると、何か革新性があるような気が、個人的にはしております。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
 どうぞ。

【橋本委員】
  今のお話の延長になるかもしれませんが、前から私も柔軟性ということを申し上げたと思うんですが、やはり基礎的な学術的な研究と、それから未来デザインのあるシナリオを作るというところは、私もこれは別に矛盾するものではないと思うんですね。やはり今の社会がいろいろ抱えている、より複雑になった問題を解決するには、昔のように、何かこの技術ができたら全て解決するという、それほど単純な構図ではなくなってきていると思うんですね。
 そうすると、基礎研究でいろいろやっているところの幾つかの研究成果を組み合わせることによって、今までなかったソリューションが新たに生まれると。こういうことがこれからは期待されると思うんですね。
 そうした場合に、やはり特に今の大学の研究分野の割り方。例えば理学部だとか農学部。これが今の社会の課題解決とは何か随分ずれてきていると思うんですね。そういう意味でも、専門分野というのがあるんですが、これをあまり枠にはめないで、これを超えたところの異分野の交流がもっとされていく必要があって、それをやはり今の大学というところは、もっとそれを促進していく必要があるかなと。そういう意味でも柔軟性というところをもう少し強調していただければと思います。
 この文章をもう一度見ておりまして、1ページ目の最初のところですが、大きなサブタイトルで「近代社会の終焉、時代は変わった」とあるんですが、いきなり近代社会って、いつからの話なのかなと。少し違和感を覚えまして、多分この20年、30年でも、かなり社会の構造ですとか、あるいは研究の在り方って変わってきていると思うんですね。
 ですから、近代社会と言わずに、もう少し短いスパンでのやはり構造変化というのを言って、しかもそこにおいて今の日本のやっぱり学術レベルがいろいろな形で落ちていると。これはみんなで危機感を持ったと思うんですね。それをベースに、では、次どうしましょうということで、もう少し短いスパンのお話をされてもいいのではないかなと思いました。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
 では、角南先生。

【角南委員】
  御意見をいただいている中で、やっぱり第6期の話があると思うんですよね。やはり御存じのとおり、Society 5.0の最初に超スマート社会ということで、ここからこういった新しいビジョンを作り上げてきた発信地になっているわけですよね。ですから、この中から何となく第6期に向けて、にじみ出るようなメッセージというのかな。そういうのが今課題のところと危機感のところが、もう既に政府の中で語られていることが出ていて、何か第6期にこういうものが何となく出てくるのではないかというイメージが少し分かりづらいと思うんですね。
 1つ、私最近思っているんですけれど、Society 5.0について、いろいろな国から話をしてくれという機会が非常に増えています。御存じのとおり、私、昨日は台湾で実はSociety 5.0を台湾とドイツの学術機関が一緒になったシンポジウムに、彼らがSociety 5.0日本の取組というのをやっていて、日本の人はあまり関わっていなかったんですが。それで、台湾でも入れたいのだと。こういう考え方をやっていきたいという話になっています。今後ベトナムでもSociety 5.0を取り入れたい。その成長モデルにしたいということで、非常に何とか版Society 5.0というのが広がっていくんだと思うんですね。
 今度第6期に、日本に何を期待するかというと、そのSociety 5.0というのは非常にいい概念ですねと。だけど、よく外で言われるのは、要するにこういう新しいIoTとかAIとかになったときに、いわゆる労働というか人を置き換えてしまう。これ、日本では人口減少というのが出発点だったので、あまりこういったものを導入することによって、誰かが仕事を失ったり誰かが生活を失ってしまったりとか、そういったことはないんですか。そういう議論はないんですかと。日本は、割とそういうことじゃなくて、むしろそれを助けるという観点で入ってきているのだと思います。
 そこで次の多分一つ重要なテーマというのは、インクルーシブネスだと僕は思います。インクルーシブネスのところで、日本でやはり力を入れなければいけないのは、女性の科学技術におけるところがあまりにも低い。誰も残さない、取り残さないと。Society 5.0で入れるというけど、今回これを見て、人文社会科学からも人が入ってくるようにしますよと言ったときに、若い人達の増ですよね。女性とか留学生とか。
 いわゆるインクルーシブネスという観点で少しどこか入っていく、具体的に記述があった方が、何となく第6期では、多分そういうことは、かなり入試システムも変わりますし、多分何か具体的な案として、文部科学省らしいビジョンにつながっていくような気がします。Society 5.0を更にスーパーSociety 5.0にしていくためには、日本では、やっぱり外から見ると、女性とか、本当に民主主義と自由だとかというのが強みだと書いているんだけれど、どうなんですかといったときに、そこの取組はもっと重要になってくるような気がします。

【濵口主査】
  ありがとうございました。

【西尾委員】
  よろしいですか。

【濵口主査】
  どうぞ、先生。

【西尾委員】
  今の御意見に結構賛同するところがありまして、意見を述べさせていただきます。現在、企業でも、企業の品格ということを示すために、プレゼンテーションの最初にSDGsと関連して自社が推進していることを話題にされます。というように、次の基本計画においても、それ全体を覆うような格調の高さというか、目指すところの高さが大切だと思っています。
 人文学・社会科学系の重要性ということも昨日の科学技術・学術審議会総会でも出てきました。これはやはりもう少し人間を中心に、社会のいろいろな複雑な問題に関してきっちり考えましょうという動きの表れだと思います。そこで、未来社会デザインと言われますと、私は大阪にいますので、すぐ万博のスローガンである「いのち輝く未来社会のデザイン」を思い起こしますし、また、SDGsも命に関わることが本当にたくさんあります。
 ですから第6期の基本計画では、命をどう守るのかとか、どう育むのとか、どうつなぐのか、というようなことに科学技術がどう資するのかということを考えることが重要に思います。命が輝こうとしたら、今先生がおっしゃったように、女性が輝かないとそのことにつながりません。また、いわゆるインクルージョンのことも達成できません。ですから、未来社会デザインを大きく考えるとき、第6期基本計画では、命の問題をどう考えるのかというような視点をもつと、タイミング的には大阪万博それからSDGsとうまくつながっていきます。そのようなマイルストーンを踏まえながら考えていくことは大切と思いました。
 どうぞ、お願いします。

【小野寺委員】
  皆さん方がおっしゃっているのはそのとおりだと思うんですけれども、今回の論点取りまとめのこの2点目のところで、まさしく「これまで以上に経済、社会、政治に影響を及ぼすようになり」と。これ、そのとおりだと思うんです。ただ、その後で言っているのは、これは実は産業社会の話だけなんですね。ここで資本集約型からサービスが価値の中心になる知識集約型への大転換が起こっていると。これは事実ですし経済界にとっては非常に大きな問題だと。これはもうまさしくそのとおりなんです。
 では、それがここで言っている社会とか政治にどういう影響を及ぼすんだと。ここのところは、残念ながら書かれていないんですよ。というか、ここの先ほどから議論になっている中で、西尾先生もおっしゃったように、政治を含めた社会に対する影響。人に対する影響。ここのところがますます重要になってくるにも関わらず、残念ながらここのところが今のところなかなか書けないと。特に政治と簡単に書くんだけれども、政治のことをどう書くかとなったら、皆さん、本当に困っちゃうんだと思うんです。
 こんなことを言っていいかどうか分かりませんけれども、この政治の問題というのは非常に大きな問題だと私は逆に思っていて、今の政治システムでいいのかという議論は、社会科学の先生方の一部の方からは既にお話が出ていると思います。こういうところにもう今の科学技術がどういう影響を及ぼしていくんだと。こういうところをもう少し本当はやらないといかんのだと思います。
 今回の論点取りまとめにそこまで書き込む必要はないと私は思っているんですけれども、実は第6期のときには、西尾先生がおっしゃっているように命の問題。命の問題ということだけで済むのかと。経済についても経済界はもうさんざん言ってきたので、いろいろなことを書き込んでいただいている。出口についてもいろいろ書き込んでいただいているので。だけれども、では社会、政治について、何か今まで書き込んできたかというと、書き込んできていないと。だけど、そこが非常に大きな問題になりつつあると思っています。
 したがって、今回の論点取りまとめがどうのこうのではなくて、先を見つめて、第6期を見るのであれば、その辺のことを、社会科学の先生方からももっと御意見をいただいて、何が正しいかではなくて、どういうところを変えていかないといかんのだと。それに対して、科学技術はどういう役割をするべきというか、できるんだということを何か書き込んでいただきたいなと思います。以上です。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
 どうぞ、お願いします。

【川端委員】
  皆さんが言われているのを、僕、そのとおりだと思いながら。この段落を見ても、今、小野寺委員が言われた話にもつながるんですけれど、要するに2つ目の段落というのは、確かに人工知能とかAIとかIoTだとかって技術的な話で、その次の段落になるとこれはつながらなくて、基本的に前の10年とか15年で大学というものと何がつながったかというと、産業界がつながったのが前の15年掛かったんですよ。次にSocietyが出てきて、社会との関係という話で、そこにまず接着剤になっているのがIoTとか情報系の話。
 でも、実際やってみたら、少しリアルな話をしますと、例えばものづくりの中小企業を考えたら8割が中小企業になっていて、その8割のほとんどはアナログ機械なんですよ。デジタル機械なんて入っていないんですよ。それをデジタルでつないだって、つながらないんですよ。では、SocietyはSociety 5.0とか何とかって言うんだけれど、AIも何もどうやって中に入れるのというところから始まると、その先にあるのは人の話になるんですよ。人をどうつなぐかだったり、彼らの持っている意識をどう変えるかであったり、その拠点になるのが大学の人材育成というような考え方。
 だから、何かというと、社会を新しい社会に、ましてや人が少なくなっていくような社会の中で、一体どんなものをSociety 5.0も含めて社会が目指すかというところの基軸の中にあるのが、やはり人と人のつながりであったり、町を作ったりという、最先端技術で済まない世界というのがそこにはあるんだろうな。それがないと、多分これは実現しない。技術だけが出来上がって、結局ある一部のところが収れんして終わったという世界になるんだろうなと思って、次のフェーズではそういうリアルな世界を、先ほど何人かおられた、要するに実証化したり実現化するための取組という話。
 だから、簡単にこの技術でとか、この最先端の何とかでって解決できない世界というものが、取り組まなければならない世界なのかなと。そんな気がしています。以上です。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
 どうぞ。

【菅委員】
  すごく話が高尚になって、社会的な問題とかそういうところに関わっているので、ここの実際に書いてあることで加えられることというのを少し言わせていただきます。
 先ほど冨山委員がおっしゃったことに非常に私は同意するところもあって。大学のエコシステムというんですか。産業とやってイノベーションを作ったときに、そのイノベーションの成功をどう返してくるかということが、あまりここに書かれていないので、それを書いていただいた方がいいかなと思うんですが、それは私自身が思うことで、特許料とかいろいろものが私の作った会社から大学に入っても、それはどこかに消えてしまうんですね。全然エコシステムとして、新しい産業を創る、イノベーションを創るという方に見えないです。自分の懐に入ってくる特許料を自分のところに寄付したり入れたりして、自分ではやっていても、大学に入ったお金は僕と同じぐらいあるはずなのに、どこに行ったんだ、あれはという話なんですよ。
 つまり大学としてのエコシステムの考え方が全然できていなくて、産業から出てきたお金を大学の運営費に使ってしまうということをやっていたのでは、全然イノベーションにつながっていくエコシステムとしては動かないということになるんですね。だから、こういうところでそれをクリアに書いていただくといいのかなというように先ほど思いました。それがうまくいっているのが、先ほどおっしゃったようにスタンフォードとかハーバードとかMITとかがそういうことをうまくやっているので、そういうことがクリアにないと、どうしても棚ぼたのお金はどこかに消えてしまうというパターンをずっとやると、もう何も生まれてこないかなという気がします。

【濵口主査】
  ありがとうございます。

【菅委員】
  すいません、高尚なところで。

【濵口主査】  今の菅さんの御意見と冨山さんの御意見を聞いていて、ふと思ったのは、意外と法人化の問題で、皆さん法人化成功だとか失敗だとか議論がありますが、法人化で実はすごく成功しているのは大学病院なんですよ。収益がすごく上がっています。それから、私の記憶では、例えば名古屋大学の病院は500億ほど借金があったんです、法人化するとき。国鉄と違って、それを丸抱えのまま法人化したのですが、今ほとんど返してあります。それから看護師が500人しかいなかったのですが、今1,000人いるんです。患者サービスがものすごく上がって、たくさんの方が集まるようになってきています。IT化もすごく進んでいるんです。
 すごく病院単体で見てみるとエコシステムがプラスにどんどん動いていて、どうしてこれが横展開できないのかなというのが、実は私フラストレーションをずっと抱えながら見てきているのですけれど。どうしたらいいかというのを、そろそろきっちりデザインしていかないといけないのではないかと思うんですね。要するにキャッシュフローがポジティブに動いて、次の生産を促して、大学が強化されていくような構造を、どうしたらできるのだろうということだろうと思います。
 はい、知野さん。

【知野委員】
  昨日の委員会で出た御指摘ですけれども、世界の状況についての記載がない、危機感が分からないということに関してですが、これは、二、三行書き足せば済むことではないかなという気がします。というのは、そこを分析することがここのテーマでもないので。日本がSociety 5.0に関して遅れぎみであるというようなことは、皆ある程度思っていることでもありますが、それを文の頭に書いておくことで解決するのではないかなと思いました。
 それから、これまでの科学技術基本計画を、1期から5期まで見ていますと、重点分野はこれであるとか、今度ここに資金をたくさん出しますとかいろいろなことが言われてきましたが、一般の人にとってはこれは科学者の世界のお話で、自分たちとはあまり関係ない世界だったように思えますが、今回の第6期に関しては、第5期でSociety 5.0を打ち出し、それを受けてこれから何を実現し、自分たちの暮らしがどう変わっていくかという点で、非常にある意味身近なものになってきていると思います。将来のお話であっても。
 その意味では関心も高いと思いますので、若い人がどれだけこの世界に入ってきて、自分から変えていこう、新しいものを作り出そうとするか、そこが重要だと思います。一部そうした記述もありますが、更にこれからの社会を変えていく人たちへのメッセージや支援というようなものを一言うたった方がいいかなと思っております。以上です。

【濵口主査】
  ありがとうございました。
 どうぞ。

【井上企画評価課長】
  ありがとうございます。
 知野先生、危機感についても二、三行気の利いた言葉で大丈夫という具体的な言葉をいただきまして、ありがとうございます。若者へのメッセージという部分も、何かお知恵がありましたら、また後ほどで結構ですので、教えていただければと思いますし、菅先生に御指摘いただいたエコシステムというか回転のところ。それは会議でも御意見を以前、今の御意見じゃないですけれどいただいたところを踏まえて、1ページ目ですが、入れるとしたらどこかなと考えながら先生方の御意見を聞いています。ここのところを共創、強調。守るべきところ、創造するところを見極めて、資金循環を創出するというぐらいしか書けていないんですけれど、入れるとしたらこの辺りなのかなと思いつつお聞きしていましたが、また、先ほどの冨山先生の御意見も含め、何か言っていただいた御趣旨を、取っ掛かりを今後の肉付けに生かすことがありましたら、また後ほどで結構でございますので、教えていただければと思います。

【濵口主査】
  では、お願いします。

【庄田委員】
  先ほど角南委員が話されたように、第5期科学技術基本計画の中の「Society 5.0」の概念の出発点がこの総合政策特別委員会の提言であったことを私も記憶しております。その際の中間取りまとめの段階では「超サイバー社会」、最終報告書では「超スマート社会」の表現でした。委員会の提言の中でのもう一つ重要な点は、学術研究がイノベーションの源泉であることを明確に記載したことです。その点は第5期科学技術基本計画の中にもしっかりと盛り込まれました。一方、昨日の科学技術・学術審議会総会でも発言があったように、基礎・学術研究への国の投資が一層求められているというのが現状です。
 本日の「論点とりまとめ」は、この総合政策特別委員会で、これからどの点に焦点を当てて議論していくかをまとめたものです。ポスト第4期に向けて、平成27年9月に当委員会で提言をまとめていますので、その提言に今一度立ち戻り、提言のポイントの中で何ができて何ができなかったのかを検証していくこと、また、当時ほとんど議論されていないポイント、例えば、先ほど菅委員が指摘された大学における資金循環のエコシステムや、「論点とりまとめ」にある未来社会デザイン等の新しい視点の議論を加えていくことが必要であると思います。

【濵口主査】
  大橋先生。

【大橋委員】
  ありがとうございます。今回の取りまとめについて、特段意見するものではないのですけれど、少し思っていることだけ申し上げて、途中で退席しちゃうこともあって、最後の感想になっているのかもしれませんけれど、すみません。
 先ほどの人文系とか社会科学系を融合していこうと。それでシナリオも書いていこうというお話ですけれど、たまたま今日総長が来ないので私が言うんですけれど、東大と日立がやっていて、日立東大ラボというんですかね。最近も『Society 5.0』という本をたしか出したんじゃないかと思うんですけれど、ある意味そこには人文系の人も、あるいは社会科学系の人も、みんな取り混ぜていろいろなシナリオを書いていこうということでやりました。ただ、これははっきり言って学術研究と捉えている人はいないんじゃないかと思います。人文社会系あるいは社会科学系で言うと。余技にしかすぎないと捉えられているのではないかと思います。何でそういうふうに捉えられているかというと、それは人の評価なんだと思います。研究者の評価の仕方がそうなっているからだと思います。
 私は経済学の分野でしか分からないのですが、研究者の評価の多様性が必要ですが、実際には専門誌に載せることが評価軸になっている。そして、その引用数がどのくらいあるのかということが、やはり評価軸になっているんだと思います。やはりシナリオをいろいろ書くのは重要だと思うんですが、それが実地に落ちてくるときに評価と結び付く、あるいは彼らのアウトカムの評価をどうするのかというところと、併せてセットで議論しないと、多分絵を描くだけで終わるんだろうなという感じはしています。
 ただ、このサイテーションの話なんですけれど、ここも世の中がすごく変わってきているのではないかと思っています。つまり、知識の流通の仕方が、従来と随分変わってきたなという感じがします。研究者の8割以上は、多分グーグルスカラーとかを使っているのではないかと思うんですけれど、そうした形で文献検索するので、それが公正中立かどうかという話もあるのかもしれませんが、結構サイテーションも非常に偏りが見られるような感じになっているというのが1つ。
 あと、人文社会学系の特徴って、本当は日本のことをきちっとやってくれる人が育ってくれるというのは非常に重要だと思うんですけれど、評価がそっちの方へ偏ると、日本のことを研究しなくなる傾向が非常に強くなっています。つまり、アメリカのデータを使って、アメリカの研究をした方が専門誌に載りやすいからです。あるいは理論の研究をした方がよりユニバーサルに訴えやすいので、だから東大経済学部で言うと、いまだに非常に優秀な学生が理論系に引き寄せられる傾向があるし、実証をやる人でアメリカのことをよく知っている人もたくさんいますが、日本のことを知っている人というのは非常に心もとないという状況になっています。
 本当にそうしたことでいいのかという。つまり日本の科学技術の評価軸を完全にグローバルに一致させるとそういうことが起きると思いますが、そうしたやはり評価をどうするのかというところをしっかり論じていかないといけないのではないかということを強く思っています。今回これを紙に入れるかどうかは別にしてですけれど、そういうことを感じていますということだけお伝えしたかったということです。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
 少しお時間が押してきていますので……。

【西尾委員】
  実を言いますと、学術分科会で、人文学・社会科学の振興ということで集中的に議論した中で、今先生がおっしゃったことは意見として相当出ました。したがいまして、評価の仕方についてもいろいろな配慮が必要です。例えば、人文学・社会科学系では論文よりもむしろ著書の重要性に関する意見が多く出まして、それは審議のまとめの中できっちりと明記しております。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
 竹山さん。

【竹山委員】
  いろいろな評価のことで、さっき遅れているという言葉、終えんや何やらといろいろあったと思うんですけれど。要するに問題点って、例えば論文の数が最近減っているとか。それは随分文部科学省のいつも一番初めに何か落ちている。自分の首を絞めるようなやつばっかり出していてと、それはよくありましたよね。そんなのは関係ないと。ほとんどヨーロッパなんかは、EUになって共著論文が増えるのは当然の話で、というようなこと。日本が減っているというか増えていないのは、共著論文の国際論文だから、それは地の利的に言って非常に難しい問題があって、そこを頑張れと言って、そこにお金を出しているはいいんですけれども、逆に数値があるので少ないということは明言できるんですけれど。
 さっき遅れている。例えばSociety 5.0の中身にしても、スタートが日本だったんだったら、日本がこの中身を作っていて、では、誰と比べる。要するに遅れているとか少ないというのは、どこかがあって、それに対して遅れているというお話になると思うので、自分が作ったビジョンとか社会の科学技術の進展の速さから考えると、早くしなければいけませんよねというのとは少し違うと思うんですね。遅れているというのは、誰との比較で遅れているというように皆さんがおっしゃっているのかなという。
 例えばそれが、日本が世界のリーディングポジションを取って進めていこうとしているビジョンの実現可能時間軸に対して、やはりいろいろな制度設計や日本特有の縦割りだったりということがあって、なかなかいかないので、自分たちが作った目標に対して遅れているのか。世界と比べたときに、もうあまりに日本が遅いよという、スタートの何かそこの部分があるのかが、少し私の中でだんだん分からないなという。
 まして、最先端のことをやっていることになると、日本は勝っているところももちろんあるし、負けているところもあるし。女性問題に関しては、もうグローバルで同じなんですね。日本だけの話ではなく、例えば最近だと情報系の方は、アメリカのスタンフォードが女子学生の情報化のあれを作りましょうといって、ソサエティーを作って、日本にも置いてとかいうのがあって、私たちも参画させられているんですね、実は。何か突然やれと。というような状況で、それはもうグローバルな話なので、日本が遅れているのじゃなくて、では、そこで日本流でどうするかと。という話だけなので、もっと悲壮なところを書けと言われても、いや、そこは私はどうなのかなというのはあります。
 いや、本当に明確に日本が特徴的に負けていて、もう本当に大きく改革をしなければいけないところと、世界のみんなが持って抱えている、社会として、要するに日本の社会でなくて地球全体として汎用していくに当たって、解決しなければいけないというような次元の遅れているというのと、少し違うと思うんですね。そこら辺がですね。
 あと、このコメントなんですけれど、概要。この会議でさんざん言っていた内容が、ここにまた好きなことを言うという、あれですよね。が、書いてあるような感じがあって。今回まとめてあることに関して、そんな書けるわけがないので、あれを見たら当然出てくる質問ばかりなんですよね。これを入れていると、あれが10枚ぐらいになっていくわけで、皆さん飽きちゃいますよね、聞いていて。だから、そんな全部にどうのこうのという話ではないと思いますので、本当にキーになるところだけを明確に。やっぱり日本におけるプレゼンスというのを、どことのスタンダードで駄目だと言わせたいのかが、私には少し分からない。
 あと論文の数がどうのこうのというのは、そこには論議が結構あったので、それで負けているとかいう話だったら、中国どうするんですかという。だから、みんなお金をくれという話にすぐ即結しちゃうわけですよ。お金をくれたら、論文が増えるに決まっているんですから。ですよね。ということで、すいません。
 あと、先生がさっき病院はうまくいったのに大学はうまくいかなかったというのは、もう明確だと思うのは、大学はみんな中小企業の人たちが集まっているようなところなので、トップダウンは利かないんですが、病院ははっきりしていて、人の命を救うとか、もう明確じゃないですか。組織体だから、まあ、いかないだろうなと。同じようなやり方だといかないだろうなということがありました。感じました。
 あと、自由研究の話、違いが分からんというお話がさっきありましたよね。私たちはいろいろなエコシステムを本当に環境ということでやっていると、例えば海にしろ何にしろ、そこはもう資源の塊だというふうに見ているわけですね。それはもう自由研究であって、もう山のようにそこには資源があるけれど、でも何が出てくるか全く分からないので、一生懸命ゲノムを読んだりとかするわけですけれども、当たり外れも多いわけですよ。でも、大事にしている。
 日本なんかだと、周りは海が一杯あって、海からどうやって資源を取るか。でも、この海を何とかしようと、EEZで闘うわけじゃないですか。そこに何があるか分からないから。でも、確保しようという。そこでしかないので、ミッションオリエンテッドのやる明確なものと、そういうものはバッファーとして資源なんですね、研究は。自由研究は資源なので。そういう一言でいいんだと思うんですよ。資源を大事にしなかったら。だって、日本なんて資源ないんですから。というようなくくりで言えば包含的な言葉なので、多分皆さんお分かりになるのではないかなとは思いました。

【濵口主査】
  ありがとうございます。

【井上企画評価課長】
  すいません。

【濵口主査】
  たくさん貴重な意見をいただいて。
 では、どうぞ。

【井上企画評価課長】
  1点だけ。ありがとうございます。
 論文のお話が出ました。論文というか評価指標をどうするかという問題。これは今回のまとめとはまた次元が違う話でございますが、今後基本計画をどうしていくのか、具体に書いていく。そうすると、計画ですから、評価をきっちりやるというところもセットで議論が行われると。第5期の議論でも、政府全体の議論ですが、最後のかなりの部分が、その評価軸をどうするかということの議論に費やされたと聞いております。必ずまたそういう形になる際に、第5期では、議論をしたけれども次善の策といいましょうか。この形かということで、引用論文数というところが1つ柱としてあったというふうに理解しております。
 今後それをどうするかというのは、大きな問題として事務局も悩んでいるところでございます。そういうところをまたお話を今後お聞きしたり、知恵をおかりしたりしながら進めていきたいと考えております。以上です。

【濵口主査】
  少しお時間が足りなくて悩んでおるんですけれど、議論が尽くせないんですが、今日は第9期最後の総合政策特別委員会となりますので、議題2のその他として、委員の皆様にこれだけは言っておきたいという一言、ワンフレーズをいただきたいと思っております。お一人2分でも28分、30分近く掛かりますので、シャープにお願いしたいと思いますけれど。
 大橋先生からお願いできますか。

【大橋委員】
  さっき申し上げたので、ほどほど、あれですけれど。シャープですよね。
 やはりこの文章の中に動機という言葉があるんですけれど、恐らく結局は人の問題じゃないかと思っています。どちらかというと、お金を付けるという方が若干色濃く出ているかなと思いつつ、ただ、アウトカムを評価するということもすごく重要だと思いますし、そうした中で、彼らのインセンティブって、どう付けてあげるのかというところも重要だと思います。必ずしもインセンティブってお金だけではありません。当然学者は、お金でも動いている人はいるかもしれませんが、ピアからの評価というものも非常に大きいので。そうしたところは、やっぱりシステムとして回す上では、きちっとインセンティブということは考える必要はあるのではないかと思っております。以上です。ありがとうございます。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
 それでは、小野寺委員、お願いします。

【小野寺委員】
  私もこの総合政策特別委員会に出させていただいて、産業界としてという話になるんですけれども、実は経団連でも今までずっとものづくりとしか言わないんですよね。実は、私はものづくりだけではないとさんざん言ってきて、委員長になったのが多分6年くらい前だと思います。誰も賛同してくれないんですよ。ここではっきりと「製品が価値の中心であった資本集約型から」と書いていただいて、私、これ、すごくうれしくて、これで少しは産業界も見方が変わるかなと。
 実は、変わってきているのは事実なんです。ただ、相変わらずものづくりと言わないと、通らないですよね。私、これ、実はトヨタの内山田さんと一緒に委員長をやっているときに、見えるものづくりと見えないものづくりと。見えないものづくりと言えば、少しはものづくりって入っているから通るんじゃないのと言ったら、内山田さんがそれはいいなと言って、何回か使っていただいて、経団連の会報に2回ほどは使っていただいたんですけれど、まあ、それっきりですね。
 そういう意味で、産業界の方が、私は見方が遅れていると思います。その中で、経団連の中でも見ていて、もう各企業の目指すところが、高度成長期はみんな同じ方向へ走っていればよかったんですけれど、今みんなばらばらですから。未来産業・技術委員会で提言をまとめようと思っても、正直言って各企業の提言や要望を、はっきり言うと並べるだけになっている。
 そういう意味で、むしろ皆さんの方が、学の方がもうかなり変わってきていると。それに対して、先ほども少し昨日の審議会のお話がありましたけれども、産業界の方がむしろ変わっていないのではないか。というか、意識が変わっていないのではないかと思います。特に上の方の人の。大学、国研含めてですけれども、かなり変わっていただいたと私は思っています。むしろ学校側が、学が変わっているに対して、産業界が例えば採用問題もそうなんですが、変われていないんですよ。
 私は、学の先生方にはよく申し上げるんですけれども、産業界に今まで言われっ放しなので、今度逆にどんどん言ってくださいよと申し上げているんですが。そういう意味で、こういう場をもっともっと使っていただいて、産の言うことを聞くって、これもうずっとやっていただいて、そこはいい方向にどんどん来ているんですけれども、逆に産が変われないところを皆さんの方から言っていただいた方が、私はいい場になるのではないかなと思っていました。ありがとうございました。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
 それでは、川端委員、お願いします。

【川端委員】
  すいません。シャープにというので。
 1点は、この会議に入って、この次元なので、やっぱり更にもっとメッセージ性がしっかりしたものを出さないと駄目なんだろうな。中教審だとかいろいろな部会に出させていただいていますけれど、やっぱりこの次元まで上に上げて言うべきことというのがあるんだろうなと思いながら、先ほどから少しコメントをさせていただいています。
 もう一点は、やっぱり日本というか世界もそうなんでしょうけれど、やはり源泉となっている人の話。社会を形成する人の話。それからアカデミアで言えば、アカデミアの中の科学技術を担う人たち。そういうところの最も必要なのが、やっぱり次の時代を創るリーダーを作らなければならないんですけれど、それに対する魅力がともかく落ちているという。だから博士離れも起こりますし、地方創生だと言いながら、ある商品はできるかもしれないけれど、その先を担うリーダーが育っていかない。だからショット的な動きを刈り取っているという姿が強いので、やはりそういうものの拠点に、大学であり、そういうものがもっともっと機能すべきところなんだろうな。そういう観点からも大学はデザインを、我々もしなければならないし、社会と一緒にデザインしなければならないんだろうなと、そんなような気がしています。
 最後、あともう一点だけ言いますと、やっぱり評価の仕方なんです。先ほど出ましたけれども、大学で言えばランキングあたりから世の中ややこしくなってしまって、分かりやすい数字だけが振り回されている。本当はもっと多様性を考えれば、そういう数字で表せないものが山盛りあって、大切にしなければならないものはそういうものなんだろうなと。そういう意味で、評価、アカウンタビリティーがやっぱりわあわあ言われるためにも、数字でというのは簡単なんでしょうけれど、それで済まないものは一体どういうふうにして説明なりアピールをやっていくのかというのを、もっともっと真剣に考えなければならないなと。そんなことをここで皆さんとお話しすればするほど、そう思いながらでした。ありがとうございました。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
 それでは、菅委員、お願いします。

【菅委員】
  シャープに3つ。
 1つ目は、就職期間の長期化です。これはもう私はずっと言っていますけれども、就職期間の長期化が起きていることによって、特に修士課程の学生になるんですけれども、彼らの教育が十分できない。それから、それによる研究活動ができない。つまり、日本の科学技術の低下が起きているという事実をしっかり認識して、この長期化をどう解決するか。
 これはもう実は大学がやらないといけないことなんですけれども、ただ、大学がやるだけでなくて、それに伴って社会が変わっていかないといけないので、それに合わせて企業もそういうふうにしていかないといけないし、全体的にそうすべきだという方向に向かないとなかなか変わらないということで、私の提案は、もう今日は話しませんけれども、今度2月2日に、私の視点で朝日新聞にまた私のコメントが出ます。先週も、先々週ですかね。毎日新聞にも出させていただいたんですけれども、そういうところを変えていかないといけないと思っています。
 それの一番悪影響を受けているのは、実は地方大学、私立大学だと思っています。東京大学ですらかなり影響を受けていて、それに加えて地方大学はもっともっとシビアな影響を受けていると思っています。私は日本の科学技術が全体的に上がるためには、今はランキングで議論していますけれども、ランキングというのはもう1大学だけです。これ、日本の科学全体をリプレゼントしているものではないと思います。だから、中国とか幾つかすごくいいランキングがあっても、ほかが全然駄目だと、多分それほどの大きな国力にはならない。日本の大学は全体的に地方大、私立大も含めて実力がある程度あって、日本の科学技術を支えているので、この就職の長期化によって、影響を一番受けているのが地方大で、彼らの科学技術力が落ちるのは、非常に日本の国全体にとって大きいという認識を持って、この問題に文部科学省として取り組んでほしいと思います。
 最後は、私、イノベーションに関わってきているので、イノベーションとよく言いますけれども、実はイノベーションをやったところで、私の学術の研究は、レベルは全く下がっていません。むしろ上がっているというふうに自分では思っているぐらいです。
 なので、イノベーションと学術の研究というのが、アメリカとかだと、みんなすばらしい研究をしている人がもう会社を作ったり何とかしているのを、ああと見るんですけれど、日本でそれをやると、何だ、あいつはというふうな目で見られがちなんですけれども、決してそういうことはないということを私自身は証明したくて、そういうことをやってきているわけです。それができるだけ浸透するように、それをエコシステムとしては大学の中でうまくそれが活用できるようなものというのは、やはり今後日本の大学が成長していく、右肩上がりで行くためには不可欠かなと思っています。以上です。

【濵口主査】
  ありがとうございます。シャープにいただきました。
 角南委員、お願いします。

【角南委員】
  そこまでシャープにできるかどうか分からないんですけれども。
 先ほどもうお話ししたとおり、やはりSociety 5.0の次というメッセージを考えるということだと思うんですね。そこは、やはり1つは人を中心とした社会というのが、皆、多分これから世界的にも注目されていくんだと思うんですが、日本はほかの国に比べてもとにかく少子高齢化ということと、それから社会保障費がものすごく負担を掛けているというところで、やはりSociety 5.0が実現していく中で、この問題をどう捉えていくのか。
 結局それは先進国だけでなくて、途上国も今後必ず来る問題だと彼らは認識しているので、日本を見ていますので、日本が成功すれば必ず世界のモデルになるということで、日本はこれは科学技術外交的な観点でもあるんですけれども、先ほど西尾先生も話したように命とか健康長寿みたいなところ。
 そして、それを生かしていくために、地球そのものが健康でなくてはいけないということですから、そういったところに我が国の科学技術は貢献していくというか、そういうふうに世界から見られるところにやっぱり何となく行くのかなと。そういうメッセージ性かなと思っていますので、是非またここは次期第6期に向けての出発点として、この委員会からこういったメッセージが出ていくことを期待しています。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
 それでは、庄田さん、お願いします。

【庄田委員】
  科学技術・学術審議会総会に加えて、文部科学省として科学技術政策全体をじっくり議論する場が必要ということで、この総合政策特別委員会ができたと理解しています。
 科学技術・学術審議会の各分科会を跨るようなテーマ、例えば、オープンサイエンスなどのテーマが取り上げられてきました。
 第5期科学技術基本計画に沿った文部科学省としての政策・施策のPDCAサイクルをしっかり回すという意味で、俯瞰マップの策定というアプローチがとられました。この俯瞰マップを活用することによって、改革のいい芽が出ているものをいかに後押しするか、或いは、現在進めている政策・施策自身で見直しを要するものは何かを判断できると思います。
 第6期科学技術基本計画を議案するに当たっても、この俯瞰マップを十分に活用してPDCAのアプローチを進化させていただきたいと思います。次期の科学技術基本計画の議論の出発点として、本日の「論点とりまとめ」に沿って、この委員会で、特にメッセージ性の強い議論が行われていくことを期待しています。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
 それでは、竹山委員、お願いします。

【竹山委員】
  この委員会に出させていただいて、何か最近文部科学省の委員会がおもしろいというふうに感じ始めたところです。多分本音トークで、皆さんぼんぼん話をなさるので、なかなかふだん聞けない話を一杯聞かせていただくのと、勉強させていただくというのはあると思います。
 やっぱりそれぞれの先生方が、大学の中でどこのポジションにいらっしゃるかというのは、結構大きいと思うんですね。やっぱりトップの上で動かしている先生方が思うことと、現場で割と、昔は上の人たちもラボを持ってやっていたと思うんですけれども、やっぱり政治的なところからの見地と、私たちみたいにまだまだ下で毎日あくせくしている。そうすると、先ほどあったみたいに就活問題とか、やっぱり身にこたえてくるので、やっぱり論点が少し変わってくるんです。
 なので、それがちょうどここでは両方出てくるので、皆さんで共有できる部分というのはあると思うんですけれども、実際ここでいろいろなことが決まったり、いろいろと難しい文言のところは、実は現場の先生はあまり知らないですね。前も少しお話ししましたけれども、下手するとSDGsって何となくというような状況で、申請に必要だから分かったみたいな。SDGsの前にSTIと付くと、何だってなっちゃうわけですよ。
 文部科学省として調べたんですけれど、ホームページにもうそれがSTIって、これがSが何で、Tが何で、Iなんていうのはもう当然知っていると思っていて、もう書いてないんですよね。それをまた引っ張って、引っ張って、引っ張ると、どこかに出てくるんですけれど。そういう状況なので。でも、皆さんが思っているほど現場には浸透していないことがすごく多いと。だから現場は疲弊するんですよ。やらされ感満載だから。
 だから、いわゆる大学の上の人たちじゃない人たちがこういう話を聞きながら、それもメディアに依存する部分はあるんですけれど、やっぱり必ずしもちゃんとしたことが全てに入るかというとそうでもない部分があるので、さっきありましたよね。どうやって発信するんだと。それは、学生にも発信がされるべきなんですね。学生もこういうところに興味を持つ学生もいるし。
 だから、広い意味で私たちが情報を共有し、それで疑問を持ち、かつ、ああ、そうなんだ。日本はそういうことを考えているんだというのが、どうやったら細部にわたっていけるのかということが、やっぱり大きいと思うんですよ。上からがんがんやるから評価だ何だとなって、いろいろなことでこういうマイナスな話が出るんですけれど、知ることというのは重要だと思うので、是非それを今後していってほしいなとは思いました。
 もう一つ。さっき西尾先生が、企業の品格と言ったときには、もう本当にああ、そうだと思いました。品格なんですよね。お金の追求だけじゃなくて、品格というものを持つときにやらなきゃいけない貢献というのがあって、それはもう教員の品格もあるのかなと。いろいろな本で何とかの品格って一杯出ていたんですけれども、読んでいて、ああ、今日、そうなんだともう一回見直しちゃいました。すいません。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
 それでは、知野委員、お願いします。

【知野委員】
  今回の論点取りまとめで注目されるのは、研究者が挑戦(失敗)できる環境という項目が挙がったことです。日本の研究者は、割と小粒な、必ず答えが出るようなものに研究テーマが偏っているというような指摘がされてきました。失敗を恐れずに研究できるようにしたらいいのではないかということが随分出ていましたので、今回ここでうたった意義は大きいと思います。
 ただ、失敗、「曖昧さゆえの失敗ではなく」と丸括弧ですごい条件が、制限条件が付いていて、先ほどから評価の重要性というのが指摘されていますけれども、こういう取組をするときの評価ということがかなり重要で、どうやってそのシステムを作っていくのかというあたりが論議される必要があるなと思いました。
 というのは、研究の中には素人目に見ても、これだけお金を使ってこんな粗末な実験をしていたのかというようなことが幾つか表にも出てきていますので、それは科学技術に対する不信につながったりもしますので、ここのところをしっかり議論する必要があるのではないかと思います。以上です。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
 それでは、塚本委員、お願いします。

【塚本委員】
  ありがとうございます。
 竹山委員と近い広報的な話なんですけれども、先ほども申し上げましたが、やはりほかのいろいろな省庁と比べると、文部科学省は全体的に謙虚な感じがいたしますので、もう少しできたことはできたとぶち上げてしまってもいいのではないかなと思います。
 それから、今回で科学技術の影響力・役割が拡大してSocietyまで広がるということなので、先ほどおっしゃった先生や学生さん以外にも市民まで伝えるとなると、皆さん、ほとんどは知のプロフェッショナルではないので、文部科学省さんから出るやつは量が多かったりですとか、データがたくさん入っていたりして、多分なかなか読みづらいので、A4一、二枚程度ぐらいの形でまとめていただいて、どんどんこうやってやっていることを世の中から理解が得られるようにしていったら、もっとよくなるような気がいたしました。
 どうもありがとうございます。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
 それでは、土井委員ですね。ごめんなさい。

【土井委員】
  ありがとうございます。
 3点あります。1点目は、先ほどから指摘されていますけれども、資金循環とか評価システムということで、それらをきちんとやったエコシステムができるということが、大学、国研含め、できることが重要かと思います。
 2点目は、結構新しい科学技術基本計画を作るときに、前の計画をかなり否定的に言うとかそういう傾向がどうも日本はあるんですけれども、先々週か、ドイツに行って、向こうでワークショップをやってきたときに、Industry4.0、必ずしもうまくいっている面ばかりではないんですよね。だけど、向こうはメディアがたたかないと。ということで、やはりある意味前向きに、だからSociety 5.0のPDCAをやって、それのいいところはいいところとして広報し、まずいところはこういうふうに直していくんだというのをやっていくというところが、いい方向に向かっていくんだと思います。そういう意味では、前向きに考えるというのは非常に重要で、今回失敗できるというのを入れていただいたというのも、その一つの前向きな方向かなと思っております。
 あともう一つが、やはり先ほどから人間ということが議論になっていますけれども、知に基づいて議論するって結構難しくて、人文社会、理工とか生命の方とか一緒に合わせてやろうとするとすごく難しいので、そこは既に出ているデータとかをビジュアライズして、共通言語を持つような形でやっていくというのがようやく今できるようになってきているんだと思います。そこに、特に政府は正しい統計情報を提供していただくということが、先ほどの政治に関わるところでは非常に重要であるので、そういうことをよく考えていただいていくというのが、やはり非常に重要なインフラ作りかなと思います。
 以上です。ありがとうございます。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
 それでは、冨山委員、お願いします。

【冨山委員】
  さっきの竹山先生と少し絡むんですけれど、全般のトーンとして、どうしても、どっちかというと日本のこういう議論って、割とみんなMなので、割と自虐的なんですよね。僕たち、こんな駄目駄目とか、危機感って大好きなんですけれど、それが大事かどうかって、少し疑問を持っています。
 これ、さっきの工業化社会か知識社会かとも絡むんですけれど、例えば社会全体で言うと、大量生産モデルって一番能力の低い人に全体が律速されてしまうんですよ。なので、Mの方はいいんですよ、これ。欠点を埋めるということは極めてクリティカルなので大事なんですけれど、社会構造が要するに知識ベースになってしまうと、そうじゃなくなるんですよね。むしろ多様性とか一部とがっていることが大事ということになるので、多分全般にそういう時代になっているとすると、やっぱり我々が持っている比較優位であったり、コアコンピタンスであったりというのをもっとエンカレッジした方がいいような気が、私はしています。
 SDGsの議論って、私も一応ビジネスマンなんですね。私も経済団体の経済同友会というところの一応ナンバー2なので、経団連とは少しスタンスが違う団体なんですけれど。私が経済の世界で生きていてつらつら思うのは、ちょうど私がスタンフォード・ビジネス・スクールに留学した頃のアメリカというのは、ある意味ではすごく典型的に新自由主義的な時代で、特にスタンフォードは牙城だったので。要するにヒューマンセントリックというか自分セントリックなんですよ。自分の現在価値の最大化を追っ掛けることが、結果的に人類社会全体によくなるという世界観なんですよ。ということなんですね。
 確かにアメリカもそれで行ったんですよ、この20年間ぐらい。それで、逆に言うとジャパンアズナンバーワンだった日本をまた再逆転するという時代があって。ところが、それはやってみたらすげえ金持ちがたくさんシリコンバレーに生まれたんだけど、何か知らないけれど全然金持ちにならない人がたくさんいて、その人がトランプに入れてしまうわけですよね。で、おいおい、どうしたことかと。要するに、あの当時と比べてGDPは2.5倍ぐらいあるんですよ、アメリカ。2.5倍になっているんだけれど、ホームレスが増えているんですよ。という問題が起きてしまって、おいおい、これだけじゃうまくいかねえぞというのが、アメリカではあるんです、明らかに。
 そうすると、例えばさっきの現在価値、自分の価値で言ってしまうと、人一人一人があるいろんな経済行動でも何でもいいんですけれど、いろいろな行動なりイノベーションを起こすときに、未来価値をどう考えるかという問題なんですね。ファイナンスの世界で、現在価値をDCFという、今取引をする、会社もそうなんですけれど価値を測る方法があります。
 これ、皆さん、理系の人が多いのですぐ分かるんですけれど、20年後のキャッシュフローは、どう計算してもほとんどゼロです。要は、累乗でキャッシュフローをディスカウントしてしまうので、もう20年後、30年後の1,000億円なんて、現在価値はほとんどくそみたいな価値なんです。だから要は、現在価値法って、20年ぐらい先には責任を持たないというバリュエーション法なんです。でも、それでやってきたんですよね。
 そうすると、まさに資源の問題なんかそうなんですけれどね。先食いしてしまって、今消費してしまった方が現在価値を最大化するので、おまえ、これ、まずいんとちゃうかいということにさすがのアメリカも最近ついになってきて、遅ればせながらeESGっぽいことを言っているんですけれど、でもどちらかというと未来価値を気にする文化って、日本には昔からあったわけですよ。もったいないの思想なんかそうなんですけれど。多分それは少資源だったことも関係あると思っているんですけれど。
 そういうふうに考えていくと、今の未来価値を大事にする。あるいは自己価値だけでなくて他者価値を大事にするという世界観は、むしろ日本的なんですよね。それが、別に単なる、私が言いたいのは、何かヒューマニズムとかそういう問題でなくて、経済的にも合理的になりつつあるということです。社会全体の経済価値を持続的に最大化するときに、むしろ他者価値や未来価値を意識した方が、むしろバリュー・マキシマイゼーションができるんじゃないのというのが、ある意味では投資の世界でもSDGsを言い出した背景なんですよ。これが矛盾したら、絶対言いません。絶対言いません、そんなことは。
 なので、実はここに正反合が起きて、アウフヘーベンが起きているので、そういった意味で言ってしまうと、私は日本にもある種比較優位が明らかに浮かび上がってきているので、それは科学技術の世界でも同じ脈絡があると思うので、そういう意味ではあまりMだけにならないですね。むしろ自分たちが潜在的に持っている強みとか良さとか得意領域というものをアピールした方がいい、むしろ出していった方がいいし、それが若年層にとってエンカレッジブだから。
 あまり日本負けてる、ダサい、遅れてるだけ言われてしまうと、若い人は余計来なくなってしまうんで、このフィールドに。俺たちいけてるぜ、本当はいけるんだぜというのを、やっぱり私はもっとアピールしていってもらいたいし、そういう意味では、すごく今若い人はディスカレッジされてしまってしますから。
 だけど、当たり前だけれど生物学的に僕らの時代よりも若い子が才能がないわけないんですよ。だって同じDNAを引き継いでいるわけだから。同じ出現率ですごい人が出てくることは同じなので。そうすると、それを本来のポテンシャルを彼らが発揮するように、人生のいろいろな選択をしたり頑張っていくということをエンカレッジするということを考えると、そういう意味での未来価値が大事なので、やっぱりこの辺の全体のトーンについて、くどいようですけれど産業界の人も割とMな人が多いので、産業界って大体危機だとか、俺たちは駄目だとかって言いたがるんですけれど、やっぱりそこは私ももっとポジティブなトーンを出していってもらえるといいなと。以上です。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
 それでは西尾委員、お願いします。

【西尾委員】
  今日の資料の中で、総会のまとめの1ページ目で、もし可能だったら訂正いただきたいことがあります。小野寺様が意見を言ってくださったことで、私もお願いする勇気が湧きました。つまり、現在、大学は改革については真摯に考え、行動していることを認識していただきたいのです。それに対して、ここの1ページの最後の方で、「大学改革の状況は深刻」と書いてありますと、全く何もしてないと捉えられるので、例えば「大学改革の推進については」とか、そういう表現にしていただけると誤解がないと思いました。
 それで、今日の論点のまとめなどを読んだときに、一つの頻繁に出てくるキーワードがあり、それは「共創」、「コ・クリエーション」です。私は、第6期の基本計画ではこの考え方は非常に大事であると思っています。大学の立場で言いますと、第1世代の大学というのは、中世においてコインブラ大学とかボローニャ大学などで、専門職人材をきっちり育てる中で、教育をベースにしながら一方で研究もしていました。第2世代は、1810年にベルリン大学ができたときに、今度は研究を中心にして人材を育成することになりました。これは研究室、講座という概念が核になっており、明治期にその制度を日本に導入しました。第3世代は1876年に創設された米国のジョンズホプキンスに大学院制度が設けられたことにはじまります。これは何のためかというと産学連携を推進するためなのですね。つまり、米国の産学連携は、大学院生が主役であるということです。
 私は、現在、第4世代の大学ということを提唱しており、その鍵となるコンセプトが「共創」だと思っています。最近、企業のトップの方々と話した時、産業構造の大きな変化の中で、企業が何を作っていいのか、どういうサービスしていいか分からない、ということをしばしば聞きます。したがって、大学において、企業が抱えている大きなテーマについて関係する研究者を集めて一緒になって創造活動を展開してほしい、つまり、「共創」をしてほしいと言われます。
 そうなると、大学には良いことがあります。今までの産学連携は、企業で7割方もう問題解決しているのだけれど、最後の二、三割のところでどうしてもブレークスルーが得られないので、そのことに関して深い知見を有している大学の研究者に連携を依頼して来られる。これは点と点の連携です。
 ところが、先ほどお話したような連携は企業と大学の面と面の連携でありで、基礎レベル段階からの議論できる大きなテーマを与えられることになります。そういう事例を我々は推進しており、ある大きな課題をいただき、その解決にどのようなテーマに取り組むか、という段階から考えてほしいと言われ、25のプロジェクトを立ち上げました。これが、これからの第4世代の大学の有りようであり、第6期の基本計画の期間には、必ずそういう形態で大学が進化していくと思っています。
 そういうことを社会のいろいろなステークホルダーと大学とが一つのグローバルな空間の中で共創活動を展開していきつつ、その中で日本の科学技術を振興する。加えて、先ほどから冨山先生などがおっしゃったように、その過程で資金は必ず大学へ入ってきます。そのような循環を実現するモデル、あるいはエコシステムをどのように構築するのかが、第6期の基本計画期間中では非常に重要であると思いました。共創、さらに共創システムということを第6期基本計画では是非進めていただければと思いました。以上です。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
 それでは、橋本委員、お願いします。

【橋本委員】
  この委員会に参加させていただいて2年で、本当に最初に参加したときに、皆さんそうそうたるメンバーの中で、私がこんなところにいていいのかなと思いながら参加してまいりました。多分、私に期待されているのは、現在大学発のシーズを産業化する、ベンチャーの立場にいるというところからのコメントということかなと思います。本当にこれまでいろいろ議論されてきたところで、ある意味で産と学のはざまに落ち込んでいるところでございます。
 やはりこれからのことを考えると、いわゆる大手企業ではなく、そしてしかも学でもない。だけれども学から出てきたもので、何かぴかっと光るものを事業化して、そこで稼げるようになるというのが多分ベンチャーの役割だと思うんですが、実際に活動していますと、いろいろなところで見えない縛りですとかルールとかがあって、感覚としては、前に進めと背中を押されているんだけれども、足を引っ張られていると。そういう非常に難しいところにいて悩んでいたんですが、ここでこういう議論をしていると、本当にもっと大きなレベルでもいろいろなところで問題があって、しかも現在の問題をきちんとかなり定量的なデータとしても示されて、その上で議論がされているというところで、日々何となく感じていたものが、あ、そういうことだったんだなと、逆に私もいろいろ勉強させていただいております。
 この中で、もし次のところで私の立場から言うとすると、1つはやはりこの30年で日本の世界における存在感、ポジショニングが非常に下がってきたんですね。私自身、昔、外資におりました。当時は、日米欧と三極体制というのを大体どこも言っていたんですが、気が付いて見ると、今、日本はアジアパシフィックのグループの下で、大体レポートはシンガポールとか北京にレポートするみたいな構造、組織にもう変わってしまっているんですね。
 やはりこれをまた取り戻して、日本の強さをもっと日本から外へ発信して、日本がちゃんと外で稼げると。そういうことを今後もっと考えていくべきだと思っております。そのためにも日本の中のアカデミアでのいろいろな研究、しかもそこで研究する人たちがそういう視点でもって外に出て行って、外で活躍するぞと。そういうことを思うようなやはりシステムというのを作っていく必要があると思うんですね。
 単純に言うと、今の日本の社会のシェアって大体世界の10%。今10%を切ってしまったんですけれども。ということは、外に行けば10倍以上売れるわけです。外の市場を取りに行くと。そういうこともこれからの日本が生き残るところに非常に大事な視点かなと。そうすることによって、最終的には社会全体が幸せになる。先ほどから命とか人の問題というふうにいろいろキーワードが出てまいりましたが、その人が最終的に幸せになることが大事かなと思っております。

【濵口主査】
  ぴったりお時間になりました。ありがとうございます。
 一言だけ、主査として2年間お付き合いいただきまして、本当にハンドリングが悪くて、議論がなかなかうまく収束していかない部分もかなりあったと思うんですけれど、本当にいろいろな視点で貴重な御意見をいただいたと思います。
 私の個人的な実感を一言だけ申し上げると、ほとんどの今の日本の問題点というのは、実は高度成長期に持っていた強みが弱点になっている状態だろうと思うんですね。そこの変換のための苦しみをずっとこの数年味わっているのではないかと。去年ずっと調べていただくと、やっぱりかなり変わってきていて、改革も出来上がってきて、芽も見えてきているので、ここをもっと自信を持って進める時期へ入ってくるんじゃないかと。
 ポイントは、やっぱりこの2ポツの「柔軟性と即応性を兼ね備えた共創システム」と書いてありますけれど、これは言い換えると、高度成長期の縦割り社会をどう変えていくかという問題。いろいろな分野でサイロ化しているところを、サイズを小さくしつつも効率的にやるためには、やっぱり横のつながりをどう作るか。これは、すごく次の大きな課題かなと。その中心は、やっぱり大学になってくるんだろうと。大学は、一定の成功体験をしている時代を経てきていると思いますので、引き続き10期に議論をつないでいただければと思います。
 すいません。お時間になりましたので。もう一回確認ですけれど、論点取りまとめについては、本日いただいた御意見を考えさせていただいて、私と事務局の方に一任させていただけますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【濵口主査】
  ありがとうございます。今後この論点取りまとめを基に、各分科会・部会における第6期基本計画に向けた具体施策に関する議論も踏まえ、取りまとめに向け検討することを第10期に引き継いでいきたいと思います。
 それでは、最後に事務局より事務連絡をお願いします。

【小野山企画評価課課長補佐】
  今期最後になりますので、文科審の山脇の方から御挨拶をさせていただきます。

【山脇文部科学審議官】
  もう最後ですけれども、第9期ということで、総合政策特別委員会、進捗状況取りまとめ、分析や次の方向に向けた議論をいろいろいただきまして、本当に感謝申し上げます。
 私も3年前、内閣府に行ったときに、第5期Society 5.0の概念などで、最初はSociety 5.0の説明をするのに、海外へ行っても国内へ行っても10分掛かって、それからどうしていくかということをしなければいけなかったのが、やっとSociety 5.0ってこんなものかなという共通認識や、海外からも注目されてきているという状況にはなったかなとは思っています。ただ、Society 5.0の実現に向けては、まだ道途上ということなので、その中にあって、第6期、次に目指して何をやるのか、非常に知恵が必要だというところだと思っています。その点を含めていろいろ御議論いただいたのは、非常に参考になったと、私自身感想を持っています。
 また、いろいろ課題はありますが、変化の兆し、芽が出てきているというのは、おっしゃるとおりだと思いますし、大学エコシステムは大事です。その芽が出てきていると。これをどのように拡大していくかというのが非常に重要ですし、博士人材の問題はありますが、大学の努力によって、人材育成のシステムやカリキュラム、中身とかどんどん変わってきている。それを、どのように広げていくのかと。それからオープンサイエンス、新しい時代の流れというものが出てきている。そういう変化をどのように次につなげていくのかというのは、今日も議論がありましたけれども大事な点かなと。
 また、変わらず大事な点、不易の点というのもあって、学術は国力の源泉という点。前回の第5期に向けた提言でもありました。そこのところは多様性の苗床として、重要性は変わらないのだろうというようにも考えています。
 また、次の若者へのメッセージ性のあるような計画提言にしなければいけないというのはおっしゃるとおりで、何を目指しているのか見えないというような御批判もいただいているところもあります。また、海外の話もありましたけれども、例えばヨーロッパは、次のHorizon Europeという7年間の計画に向けて、同じ2021年から、やはり基礎研究、イノベーションあるいは社会問題解決に向けた、同じような問題意識でいると。
 そこは、日本と欧州は組めるところもある。アメリカはどうなるか、いろいろ議論はありますが、そこは先取りしてやるべきではないかというようなことも考えながら、今日いろいろ参考になる意見、前向きの意見をいただきましたので、是非元気の出るメッセージを出すというところは、非常に私も共感するところであります。
 また、この総合政策特別委員会、非常に本音ベースで議論していただいて、私もはらはらどきどき感もありますし、おもしろいなと思いますし、かつ、本質ベースの議論というのもやっていただいたと思っているので、この本音で本質議論するという伝統は引き続き守っていきたいと思います。よろしくお願いします。どうも本当にありがとうございました。

【濵口主査】
  どうもありがとうございます。お褒めと感慨というか。思います。

【山脇文部科学審議官】
  時々しゃべらせてもらって。

【濵口主査】
  それでは、以上で総合政策特別委員会を終了させて……。

【小野山企画評価課課長補佐】
  すいません、もう一点事務的な説明ですが、本日の議事録は、後ほど委員の皆様にメールでお送りさせていただきます。皆さんに御確認いただいた上で、文部科学省のホームページに掲載させていただきますので、よろしくお願いします。以上になります。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
 どうも長時間ありがとうございました。

お問合せ先

科学技術・学術政策局 企画評価課

(科学技術・学術政策局 企画評価課)