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総合政策特別委員会(第22回) 議事録

1.日時

平成30年11月15日(木曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省3階 3F1特別会議室

東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 総合政策特別委員会における検討の進め方について
  2. 特に議論が必要な論点について

4.出席者

委員

濵口主査、庄田主査代理、大橋委員、川端委員、新保委員、知野委員、土井委員、冨山委員、永井委員、橋本委員

文部科学省

渡辺科学技術・学術政策局審議官、勝野科学技術・学術総括官、角田政策課長、井上企画評価課長、山﨑文教施設企画・防災部技術参事官、小野山企画評価課課長補佐、ほか関係官

5.議事録

科学技術・学術審議会 総合政策特別委員会(第22回)


平成30年11月15日

【濵口主査】
  それでは、お時間になりましたので、ただいまより科学技術・学術審議会総合政策特別委員会を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中を御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 それでは、事務局より出席者の説明をお願いいたします。

【小野山企画評価課課長補佐】
  それでは、まず事務局より出欠について確認させていただきます。本日は、新井委員、小野寺委員、五神委員、白石委員、菅委員、角南委員、竹山委員、塚本委員、西尾委員、松本委員が御欠席となっております。その他の委員については御出席いただいております。
 加えて、到着が遅れておりますが、事務局の方で人事異動がございまして、10月16日に文部科学事務次官に藤原が着任しております。また、8月10日より、科学技術・学術政策局審議官に渡辺が着任しております。
 以上になります。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
 それでは、会議開催に当たりまして、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

【小野山企画評価課課長補佐】
  資料については、お手元の議事次第の裏にありますとおり資料1、資料2、資料3、それから委員提出資料をまとめたPDFと、参考資料1~4をまとめたPDFをお手元のパソコンの中に入れております。また参考資料1、参考資料2については、机上のピンクのファイルでございますけども、そちらに紙でも御用意しております。そのほかに机上配付資料が2枚ございます。欠落等の不備がございましたら事務局までお知らせください。
 以上になります。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
 本日は議題1、総合政策特別委員会における検討の進め方についてとして、事務局より検討の進め方について御説明いただきます。続いて議題2、特に議論が必要な論点についてとして、各委員より御意見を頂きたいと思います。
 それでは、事務局より資料1、資料2、資料3の説明をお願いします。

【井上企画評価課長】
  ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 今回、会議の資料1、資料2という形で一つのファイルにまとめております。
 それでは、まず資料1をお開きいただければと思います。第5期以降、第6期科学技術基本計画への検討の全体のスケジュール感を御説明したいと思います。1.にありますように、この委員会の第9期の終了時期である来年1月までに検討の論点とその方向性を御審議いただければと考えております。そして2月以降、この委員会としては第10期に入るわけですが、その第10期に引き継いでいただき、9期の成果を基に肉付けを行い、来年9月を目途に総合政策特別委員会としての一定の取りまとめを行っていただければと考えているところでございます。
 本委員会の論点、そしてその方向性を取りまとめた段階で、各分科会や、関係局課への具体的方策の検討を依頼いたしまして、その様子を総合政策特別委員会にフィードバック、共有していただきまして、本委員会の議論に反映していただくということを考えております。
 また、省外の第一線で御活躍されている関係者の方々にもヒアリングを行いまして、その様子等も総合政策特別委員会において事務局より報告させていただき、審議に反映していただくことを考えております。
 2.ですが、本委員会のところにありますように本日を含めまして1月までに4回開催させていただければと考えてございます。具体的日程ですが、既に日程等をお聞きいたしまして、御参加いただける人数が一番多い日を設定させていただいておりまして、それが別紙2ですけれども、あと3回予定させていただいております。
 資料1につきましては、各分科会、所管課等の観点等からも説明しています。
 引き続きまして、今回委員の先生方に特に議論が必要な論点につきまして御意見を頂戴するに当たり、まず経緯等を事務局より御説明させていただきたいと思います。
 今回大きな視点からのお考えを先生方から表明いただくに当たりまして、先生方の思考のきっかけにもしていただければと思い、事務局で検討したペーパーを事前に送付させていただいておりました。それが資料2でございます。
 その後、事務局でも更に日々議論を続けておりまして、日々改変しながら我々も頭を耕しながら進んでいますが、現段階のものを資料3に掲載させていただきました。少し変化しております。資料2については、既に送付させていただいてお目通しいただいておりますので、ここでは資料3について補足させていただきます。
 資料3を御覧いただきたいと思います。資料3の冒頭の部分ですが、前提となる背景の部分は変更がございません。その上で、細字から太字に変わっていく部分ですが、現状の認識に関する部分等を再整理してございます。小見出しとして、これからの未来社会における「人類社会」の変化としていますが、一つ目として科学技術の進歩が予測できないほどの進展スピードで進んでいっていること。2番としてAI等革新的技術の進歩がこれまで以上に経済、社会、政治に影響しているということ。3番として、括弧書きで書いておりますような人類存続上の「制約要因」というものがはっきりと現れてきているということ。そして4番としてステークホルダーの多様化・複層化が見られるということ。5番として未来社会に「何を望むか」の課題設定や意思がますます重要になってきているという点。6番目として未来社会における「科学技術」と人間活動の役割ということをしっかり捉えていかなければならなくなっているという点、これらのことが社会的な変化として見られるのではないということ。
 そして次の2番目のチェックマークのところですが、その際、受け身の予測ではなく、「こうしたい」という意志も含めてあるべき未来社会ビジョンを主体的かつ共創的にデザインする仕組みの構築が必要ではないかという問いを書かせていただいております。
 二つ目の小見出しですけれども、共通的な「科学技術システム」の在り方についてです。「科学技術システム」について、「研究」と、「人材」、そして最後に「環境・基盤」という主要な三つの要素があるのではないかという点。それぞれ、それらに対して先手を打って改革していくべきではないかという問いでございます。
 そしてそれらの観点に関しまして、我が国の現場の強みを生かしたイノベーションシステムを構築すべきではないかという問いを記載させていただいております。
 次のページ、小見出しとして、国家として重要なものと文部科学省が果たす役割と書かせていただいておりますが、これらのような情勢を踏まえまして、国家として、我が国として究極的に重要なものは何かという点、そしてその中で文部科学省はどのような役割を果たしていくべきかという問いを記載しております。その際、単一のシステムではなく、多種多様な研究開発・イノベーション、一点突破型のイノベーションであるとか、アッセンブリーなタイプのイノベーションであるとかということですが、そうしたそれぞれに最適化したシステムが必要ではないかという点。その際、イノベーションのどの部分まで文部科学省は役割としてしっかり担っていくべきであろうかという点を書かせていただいております。
 2ページ目の下の部分ですけれども、何においても文部科学省としてはしっかり議論して、社会に対して発信していかなければならないと考えている点として基礎研究の重要性がございます。その部分、前提のところで書かせていただきましたが、将来のビジョンの変化が激しくて見えない中で、民間主導では取り組めない長期的なものに文部科学省は投資をシフトすべきではないか、基礎研究こそが我が国としての力の源泉ではないかという問いを立てさせていただいております。
 次の下から2番目の小見出しですが、バックキャストの在り方とさせていただいております。複雑化、多様化する社会課題を抽出し、そしてその解決を出発点としたバックキャスト型の視点ということの重要性が今言われているところですが、具体的にどうしていけばいいのか。そしてもう少し長い視点で見れば、今は、現代社会が目指すべき社会像も一つではなく、また見通すことが難しくなっているという中で、バックキャストそのものの在り方、あるいはバックキャストという言葉が適切かどうか分からないですが、どうアプローチしていけばいいのかというところの検討も必要ではないかという問いでございます。
 最後の小見出しですけれども、人材についてでございます。これも文部科学省としてしっかりと検討を発信しなければならない点ですが、こういう状況の変化が激しい中で、どういった人材を科学技術に関して養成していけばいいのかという点、そのためには柔軟性を持ち、あらゆる変化に耐え得る力を持った人材が求められるのではないかという点について問いを立てさせていただいております。この人材の部分に関しましては、科学技術・学術審議会の人材委員会でも御議論を開始していただいていると承知しております。火曜日も人材委員会が開かれまして、第6期に向けた議論を開始しましょうというお話合いをしていただいていますので、それらの様子も踏まえていければと考えているところです。
 以上、事務局より事前の御説明をさせていただきました。

【濵口主査】
  ありがとうございました。
 それでは、各委員より、特に議論が必要な論点について御意見を頂きたいと存じます。まずは欠席されている委員から提出のあった資料について、事務局より報告していただき、その後、名簿順で大橋委員より御意見をお願いいたします。御準備ほど、お願いいたします。

【井上企画評価課長】
  それでは、まず御欠席で、かつ資料を事前に頂いている先生の資料をかいつまんで御説明させていただきます。資料の順序が飛んでしまいで申し訳ないですが、先ほどのしおりのところの塚本委員提出資料というところをクリックしていただければと思います。
 塚本先生からは議論すべき事項の案として大きく三つ頂いております。記載のとおりですけれども、一つ目が公的資金の使い勝手の効率化についてです。もちろん公的研究資金の確保を図る必要が重要である、これは当然のこととして、公的資金の効率的、合理的使用についても検討を行うべきではないかというお話を頂いております。管理的なコストとなって人手を掛けていた従来の部分などをICTやAIの技術の活用によりワークロードを軽減することなどができるのではなかろうかという点。そして、執行面におきまして、海外事情をしっかり調査して国内事情と比較するということが必要ではないかという点を御指摘いただいております。
 大きな二つ目のポイントですけれども、研究データの管理・マネジメント等として、研究データの在り方について今日的な検討を行うべきではないかというお話を頂いております。そして、その研究データの帰属や管理の在り方についての検討、あるいは研究者がデータを囲い込まないようにするためのインセンティブの設計などを考えていくことが必要ではないかという点を頂いております。
 最後のポイントですけれども、今後成長著しい国との戦略的研究連携等面的イノベーション戦略ということで、RCEP諸国でありますとか、TICAD諸国等とのフレームワークも使いまして、文部科学省主導の学術・研究的イノベーション対話等を実施してみてはどうかという提案を頂いているところでございます。
 資料としまして付けていただいているのは人口の動態の資料でございまして、5ページには世界的な企業の時価総額比較等の資料を付けていただいております。
 以上が塚本先生の資料でございます。
 戻っていただきまして、西尾委員提出資料というところをクリックしていただければと思います。
 西尾先生からはこのA4・1枚紙を頂いております。期間としては2011年からの5年間というこの期間が国際社会、日本にとってどのような、いかなる時代であるのかということをしっかり考えないといけないというところを、最初に頂いております。
 この対象となる5年間というのは、2030年におけるSDGsの実現に向けての期間でもあるということ。そしてそのような世界的潮流の中で日本の科学技術イノベーションがこれから地球規模で取り組む諸課題にいかに対応して、いかに貢献すべきかということは、次期計画の柱の一つとして欠かすことができないんではないかというところを頂いております。
 二つ目の黒ポツのところでございますが、第5期科学技術基本計画では、Society5.0、超スマート社会の実現ということが提唱されたわけですが、その目標としているのは未来社会の姿としてこれを共有し、実現させていくことである、次期の基本計画においても、この先導的な未来への挑戦をどのように具体化させていくべきかと、この視点も重要な柱の一つとなるであろうということを書いていただいております。
 大きな白丸の二つ目でございますが、第5期基本計画におきましては、学術研究というものをイノベーションの源泉と位置付けておりますが、まずこの認識は次期基本計画においても揺るぎないものとして明確にしておく必要があるのではないかというところを大きく頂いております。
 そして西尾先生が分科会長をされております学術分科会の方で、今、夏頃までを目途にまとめの審議を行うということで進めていただいているということですが、人文学・社会科学の役割や振興に関する議論というものも開始していただいており、これらの議論の結果を総合政策特別委員会の方にお示しいただけるということを書いていただいております。
 最後のポツでございますが、人文学・社会科学について、いかなる最先端の科学技術でも、それだけで社会に真のイノベーションを起こすことは困難であるということ。そして人文学・社会科学の学術知が新たな社会構築をリードしていく立場として力を発揮することが求められていると、このことを次期計画においても明確な位置付けとして具体化が必要ではないかという御意見を頂戴しております。
 御欠席で資料を頂いているのはこのお二人でございます。以上でございます。

【濵口主査】
  それでは、大橋委員、お願いいたします。

【大橋委員】
  頂いた資料を拝見させていただいて、日頃思っていることも含めて申し上げたいと思います。
 まず、一つ重要な点は、この論点案にも記されていると思うのですが、科学技術というのはやはり国の基なので、科学技術政策というのは大きな太い幹の中でしっかり論じられるべきなのだろうと。つまり、世の中にいろいろな言葉が出てきたりとか、ファズとかもあると思いますが、そういうものにふらふら揺り動かされたりとか、あるいは毎年の財政当局に説明するために新しい言葉を創って、それで訴えかけるようなものでは本来なくて、数年かけてしっかりとしたものを作り上げていかないといけなくて、科学技術というのは時間を掛けなければいけない、投資の中でも非常に時間の掛かるものなので、そういうことをきちんと財政当局にも理解してもらわないといけないなというところがあると思います。そうでないと、毎年こういうことを繰り返すのは大変だなという感じがします。それが1点です。
 確かに社会としてのレジリエンスとかロバストネスは、今は不確実性だのいろいろあって重要だと思うのですが、だから人材にフレキシシビリティが必要かというと、必ずしもそうではないのではないかなと思います。人材は人材としてアカデミックに、いわば科学技術というのは人なので、しっかり研究成果を上げていただく人を採って、必要があればそういう人を集めてきて組織としてつなげれば多様性は確保できるはずなので、飽くまで多様性というのは人のつなぎ方であって、1人の人が多様性を持っている必要はないのではないかなと思います。
 多分今、文理融合ということで、そこらあたりが少し揺らいでいるが故に、大学側でいうとすごく変な採用が起きているのではないかと。これは結構危機的でアカデミックのディシプリンの根本が崩れるようなことにもなりかねないので、きちんとアカデミックの質というのはしっかり確保していただくというのは、今後論文とかを指標で出していこうという中においても非常に重要なことなので、そこはしっかりしてもらうということかと思います。そこで重要な点は、評価なんです。人の評価の部分、あるいはプロジェクトの評価もあると思いますが、人の評価の部分というのをしっかりやらないとアカデミックが崩れてしまう、文理融合は重要ですが、人と組織を分けて論じることで、しっかりしていただきたいと思います。
 評価に関して、最後に1点申し上げると、今EBPMとかといって証拠を使っていろいろ考えようという流れは非常にいいと思うのですが、それをやり始めるのは証拠を集め始めるわけですけど、私は順番が違うと思っていて、世の中にはデータがたくさんありますけど、データだけ集めてきてもごみばっかりだと思っていて、目的をはっきりした上でのデータ収集だと思うんです。そうすると、科学技術において何を目的にしているのかというところをはっきりしなければいけない。だけど、これは科学技術全体としてはそんな目標なんていうのは多分抽象的にしか書けないので、具体的に何を言っているかというと、SIPなりImPACTなりいろいろあったと思いますけど、そうした政策プログラムがいろいろ多様な評価軸があったが故に、成果を評価できるのかどうかというところが結構難しい問題になっているのではないかなと、個人的は思っています。例えば私がすごくイメージしやすいエネルギー分野で申し上げると、出口は例えばエネルギー効率を何%上げるとか、そういうふうにきちんと言っていただければ、それに向けて研究のリソースも持っていって、結局成果がそこで達成されたのかどうかということも確認できるし、それを使ってKPIとかを作ってその進捗評価もできるのだと思いますけど、出口がぼやっとしていると、とりあえず頑張っていますと聞けば何か評価されたような感じになる、結局何のためにこのプログラムをやっていたのかという根本的なところが問われかねないのかなと。個々のプロジェクト評価というのは、やり過ぎるぐらいやっていると思います。その個々のプロジェクトを覆うプログラム、ちょっと私の用語なのでこれが正しいのか分からないですけど、個々を覆うプログラムの目標がはっきりしていないことが問題なのかなと。是非国の目標として、それぞれエネルギー分野など素材などいろいろ立てていただいていると思いますけど、そういうような分野の中の目標って何なのかということをきちんと立てていただくと、ここからEBPMが始まるんだと思うんです。是非、人の評価、あとプログラムの評価をしっかりやっていただくことで、次のプログラムはそれを踏まえて更に質の高いものになっているのだと、そうすると何か積み上げた、科学技術も積み上がってよくなっているなという感じが出てくるのかなと思いました。
 済みません、雑ぱくで、なおかつ不適切な発言があったらお許しください。以上です。

【濵口主査】
  ありがとうございました。
 それでは、川端委員、お願いします。資料があるんですね。

【川端委員】
  いや、資料は思い付きを並べたもので、それをベースに少しお話を、私の方ももっと不適切な話をするかもしれません。
 私としては、少しお話ししたいのは、やっぱり科学技術政策というものを誰がどう推進するかという、そこが問題であって、例えば科学技術推進ノウハウは一体どこに蓄積されていくのか。今までの政策は研究テーマであったり、研究者個人であったりというものが中心に動いていました。今は科学技術の対象が多様化して、いろいろな活動をしようとしたときにはそのベースになるのは大学などの組織というものが重要になっています。私はそういう観点でこれからも科学技術は進んでいくんだろうなと思います。
 その上で、先ほどの話にもあった科学技術政策が対財務省であったり、対産業界であったりと、どうしてもラジカルな単語の方が受けがよくて、それに対してヒステリックな大学等の組織の反応が起こったり、そのような文部科学省事業であったりというものが動いている。それはどう見ても大学等の高等研究教育機関の組織が、どう見ても混乱ばかりやっているという気が非常に強くしています。このため、科学技術を高めるための多様なノウハウを蓄積する大学等の期間をどのように強めていくかというものが次の5年間の題材になると思います。研究テーマ的な話もあるでしょうけど、そこはやはり注目していただければと思います。このため、科学技術の推進策としては二つあって、研究領域のテーマというものをどのように見ていくかというのと、それから推進のシステムをどう強化していくかというがあると思います。
 テーマとしては非常に速い速度でいろいろなものが動いていて、AIだってほぼ最近の話であって、こんなにわいわい言っているのは、多分何年か後にはもうほとんどインフラになってしまっているという意味では、そういうテーマを何か掲げるというよりは、それはもうどんどん見直しながら進んでいくもので、ただ一方では倫理の問題であるとか、濵口先生のお得意ですがELSIであるとか、こういうようなことは、科学技術の推進と一歩離れてやる必要がある、それはやはりいろいろな科学技術を社会に実装するもののバリアにもなっていくだろうとも思っています。
 あと、ここ5年と考えたらSociety5.0であったり、SDGsであったりという社会的な問題というもの自体が大きな、これに連動するのが地方創生というキーワードで、日本全体をどうするという話にも連動するかと思います。
 これをやろうとすればするほど、研究者個人の活動ではもう限界があって、そこに組織論の話がどうしても出てくるし、ノウハウ的な話まで含めたら、やはりここは大学というものをどう見直して強めるかということが重要になるかなと思います。
 科学技術という観点で大学の得意なところというのは連動したり、連携したり、世界とつながったり、企業とつながったりといろいろなつながり方をやっていきます。今もやっていますが、それが組織的な話になると、突然人材が必要になってきます。今まで研究レベルで研究者1人だったらできていたのが、それが組織論になると強烈にコストが必要になってきて、そういう人材が必要になる。間違いなく企業でもやっているとはいうものの、企業より物すごく多角的に大学の場合はやらなければならないし、連携の仕方も変わっています。そういう意味で、そういう人材をどう育てていくかといくことまで含めて、若しくは本当にそこまでやる必要があるのかというのは、やらないという判断もあっていいはずで、組織としては。そういう意味では組織の多様性であるとか地域性であるとかというものを大学はもっとしっかり見ていく必要があります。さっきの地方創生という考えでいえば、日本全体が元気にならなければならないという観点でいけば、やはり明治時代に造られた国立大学というものの設置の仕方であるとかそういう原点まで戻ってどう活用すべきか、今は統合したり合体したりという話も出ていますけど、それはそういうのもあるかもしれませんけど、日本全体をと考えたときに、設置された考え方のインフラというものをどう活用していくかという観点でのグランドデザインが必要になってくるだろうと思っています。せっかくですから、そろそろこういうグランドデザインをしっかりと組織的な話をもう一回表明することも重要だろうと思っています。
 今も少しお話ししましたけど、やはりそういう連携のための人材を、今のままだとどうしても、要するに人数一定で動いていますから、教員を減らして、それを増やすという、若しくは事務職員を減らして増やす、入れ替えるという話もありますけど、そういうことまで含めて一体どういうふうに育成していくのかというシステムをもっと持たなければならないだろうなと。
 ファンディングの問題で、当然運営費交付金だけではなくて、産業界との連携だとかいろいろな話が当然ありますし、これから確実に進みます。進んだときに、進み方自体をよく考えながら進めていく、特化した部分だけが大きくならないように、それでいろいろな議論で間接経費の在り方等いろいろな考え方が動いています。それを社会全体で共有しながら進めていくという、そこをもっとコストまで含めたファンディングの多様性については議論であるとか、これもデザインですけども共有化の部分が表に出ればというわけで、ほとんどシステムの話ばかりしていますけど、そういうところを取り上げていただければと思います。

【濵口主査】
  ありがとうございました。
 それでは、新保委員、お願いします。

【新保委員】
  慶應義塾大学の新保です。私からは特に議論が必要な論点として1点のみお話をさせていただきます。AI研究敗北論のように、最近AI研究では既に日本が周回遅れで負け組であるという意見が多くなりつつあります。それに伴い私の周辺の研究者も、AI研究の開発ではもう勝ち目がないという諦めモードに最近は移行しつつあるという実感があります。これは国の政策として、何としてもAI研究敗北論のようなものが一蹴できるような科学技術政策を打ち出していただきたいというのが私の意見であります。
 ところが、これについては明確な解はないと思いますので、三つの観点からこのAI研究敗北論のようなものを一蹴するために必要なもの、意見を述べさせていただきたいと思います。一つ目が科学技術の進歩に対応した制度設計、マネジメントを行う仕組み。二つ目がAIの進化と社会制度への影響も踏まえた科学技術政策の立案の在り方。三つ目がデータの自由な流通と適切な保護を前提とした取組です。
 まず一つ目の科学技術の進歩に対応した制度設計、マネジメントを行う仕組みについて三つ。まず一つ目の項目としては科学技術の進歩に対応した制度設計を見据えた検討を国の政策として立案していただきたい。多種多様な研究開発、イノベーションを促進するための制度設計を行うということが必要である一方で、ルールなきAI研究における弊害というものが、このAIの研究開発において今後懸念される部分が大きいであろうと。これは日本がAI研究開発における原則の策定というものについては、この分野について世界に先駆けて取組を行ってきたという経緯がございます。ところが、研究開発それから研究者への浸透度がなかなか低いという結果、先日、EUが現在このAIの倫理指針策定に向けた具体的な提案を始めておりますけども、日経新聞でこの指針策定の取組が記事として一面で取り上げられました、そこで私も衝撃を受けたのは、国レベルの取組はEUが世界初であるという記事であったわけです。日本がイニシアティブをとって世界に先駆けて取組を行ってきたはずが、日経新聞の一面でさえそういう取り上げ方をされてしまう。こういうことで、もう世間一般の理解はその程度でありますし、研究者にとってもほとんどそういうことは浸透していないということから考えますと、この点について、AIの研究を促進するということについて、今後は世界的にどのような倫理指針を策定するのかということに移行していくことが明らかでありますから、これはもう日本がこの部分についてAI研究開発原則を2016年のG7伊勢志摩サミットでも提言するなど世界に先駆けて取り組んできた部分ですから、まずはこの点をどのように今後の科学技術政策で更に明確に進めていくのかと。
 2点目が技術の進歩に対応したマネジメントを行う仕組み。従来、新しい何か技術開発をすることによって新しい問題が生ずるときにバイ・デザイン的な対応、つまりそれに対してあらかじめどのような問題が生ずるのか、特に私は法律が専門ですので、今後どのような問題が生ずるのかということを予見して、それについて考えていく、ELSIなどはまさにその部分が今まで十分に検討がなされてきた部分でありますけども、果たしてこのAIに関してはバイ・デザイン的な対応が可能かということをまず疑ってかからなければならないと思います。AIの暴走であるとか、どのような形でAIが今後開発によって使われていくのかということは、今の段階では全く分からないわけですから、そもそもバイ・デザイン的な対応が可能かどうかということを踏まえた施策立案が必要だろうと。更にやはり行政主導による検討はどうしても行政主導による検討になっていますので、この点についてはバイ・デザイン的な対応しかできないということになってしまいますから、果たしてそのような対応でよいのかと。
 三つ目が規制の不存在に伴う萎縮効果の解消とガラパゴス化への配慮です。私も法律家として研究開発をされている方からよく言われることが、日本では規制が厳しい、特に自動運転などについては自動運転車の研究開発が非常に阻害されていて自由にできないという指摘を受けることが多いというか、ほとんどそういう指摘であります。では、どこに規制があるのかという話なのです。道路交通法では確かに安全運転義務という抽象的な義務は定められてますけれども、どこにも自動運転を規制するという法規制は逆にないわけであります。これは以前こちらの会議で、例えば法で規制されている研究というのは何があるかということについては、人に関するクローン技術等の規制に関する法律程度であって、それ以外、外為法の輸出規制など安全保障関係で一部ありますけれども、基本的に法で規制されている研究というものはないわけでありますから、したがって、特に自動運転についても研究開発については警察庁の指針が出ておりますから、その指針に基づいて自由に研究ができるという環境があるにも関わらず、そういう規制があるのでできないと。これはやはり研究開発に対する規制が存在しないにも関わらず萎縮効果が生じているという問題を明確に解消していかなければ、研究開発ができるのに、石橋をたたいて渡らないということが繰り返されるおそれがあるのではないか、これが1点目の科学技術の進歩に対応した制度設計、マネジメントを行う仕組みの観点からの懸念事項です。
 残りの2項目は簡潔に、二つ目がAIの進化と社会制度への影響も踏まえた科学技術政策の立案というところですけれども、AIは今後想定外の状況でも動作を続ける必要が逆にある。つまり、想定できないことを前提とした仕組みがAIでありますけども、そうすると様々な選択肢、価値評価、これが適切に実施される必要が出てくるわけですが、そうすると人間の価値観とAIの今後の価値観とでも言いましょうか、そういうものとの関係が乖離(かいり)してしまうと、リスクの発生とか暴走の危険性というものについては人間が予見しているものとは全く違う問題が、例えば将棋についても、どうして最初に王将を前に一歩進めるのかとか、あり得ないような手を持ってきても後で勝ってしまうといったようなところもあるかと思いますけども、こういうところについて社会制度の根幹にも今後関わる問題であるため、一部のステークホルダーのみが影響を受ける問題ではないということも留意した上での検討をすべきではないかと。
 最後に三つ目ですけども、データの自由な流通と保護を前提とした取組。これは個人情報保護の問題だけではありません、あくまでもデータの自由な流通と保護です。どうしても日本の場合はデータ保護というと個人情報保護といったようなイメージで捉えられますけども、そうではなくて、これはバーチャルとリアルの融合、これはSociety5.0において今後どのようにデータの覇権争いをするのかということが重要になってくるわけでありますけども、ここで重要になってくるのがデータの自由な流通と保護をするということが重要な意味を持ってくると。これは逆に言うとどういうことかというと、データの保護とかそういう自由な流通というものは、ルールに基づかずに自由にできるところこそ強いといったような誤解があるわけでありますが、一方で各国の政策として現在、経済政策、安全保障政策との関係でデータの囲い込み、これをデータローカライゼーションと言いますけれども、そういった整備が国際的になされる傾向もあるわけであります。現にロシア、カザフスタン、インドネシア、中国、ドイツは企業に対してデータローカライゼーションを求める法整備を既に行っています。つまりこのデータの囲い込みによってより有利に働いた研究開発を進めたいという動向がある一方で、データの自由な流通と保護というものをどのように維持していくのかということです。そうなりますと日本の科学技術政策においては、このデータの自由な流通と保護を基調とする、これは経済政策にかなり似ていますけども、最近では自国第一主義のようにとにかく国内において何でもやればいいのではないかというのとは違って、日本の場合は一貫して経済政策も自由な貿易を維持するというのと同様に、自由な情報の流通と保護を基調とする原則を、例えば我が国が加盟しているOECDでは理事会勧告としてこの取組を行っているわけでありますから、その考えを基調とした取組を実施することが今後の持続可能で発展的な取組を継続する上での前提となるということを明確に打ち出していただきたいと思います。
 以上、私からは3点であります。

【濵口主査】
  ありがとうございます。貴重な御意見を頂きました。
 それでは、知野委員、お願いします。

【知野委員】
  第6期の基本計画は2021年から26年ということなので、この時代というのがどういう時代なのかということから少し考えてみました。2021年といえば五輪も終わり、今の様々なICT政策などはオリンピックに向けてICT活用というのを目標に掲げてきましたが、それが一段落すると、その先に何があるかという、そのあたりを考える必要があると思います。
 それから、この年はいろいろな節目にも当たっています。東日本大震災からちょうど10年になりますが、あのとき科学技術や、専門家への不信感が突き付けられたと思います。そこにどう応えていくかという問題があります。その後も日本を度々襲う災害やエネルギー問題もあります。また第1期基本計画が始まったのが1996年なのでちょうどそれから四半世紀になります。これもかなり大きな節目に当たりますので、そうしたことも視野に入れて基本計画を作っていく必要があると思います。
第6期基本計画の最終年の2026年には中国が経済成長してアメリカを抜くとかいろいろな予測もありますし、日本でいえば少子高齢化が一層進むでしょうし、コンピュータ、AI、ICTの進歩、それによってたくさんデータが発生する、その取扱いとか、海外から人材も入ってくるなどいろいろな変化が出てきます。
 計画を作るに当たっては、今の話とダブりますけども1番目にこの25年間、要するに日本が科学技術立国を目指して25年間計画を作り、資金も投資してきましたけれども、それによって何が得られたかや、反省点課題など、プラスマイナスを少し振り返ることが先を考える上で必要ではないかと思います。
この25年間政府の研究投資が行われたにも関わらず、様々なデータを見ると日本の科学技術力には黄信号がともっているような感じがいたします。今の第5期計画は総合科学技術・イノベーション会議に改組して初めて作られたもので、イノベーションを強く打ち出されて、産業にしたいというその意向が強く出ていると思います。一方で個々の研究者、それから大学などの基盤となる研究や個々の人の発想で取り組む研究というのが弱くなっているような感じがいたします。それはやはり研究費を獲得できるところで取るしかないという事情があるとは思うのですが、文部科学省としては研究費配分の在り方や仕組みを始め、研究費の在り方を考えていく必要があると思います。
 また、イノベーションとの関係ですけども、今第5期基本計画はイノベーションを強く打ち出していますが、やはりこれは今の時点で描けるイノベーションの姿であり、将来はどうなるか分からない。私たちがICTの進歩によって経験したのは、それまで予想もしなかったものが現れてきて一気に広がることや、こつこつ研究した成果、あるいは独自の発想からパラダイムチェンジが起こってくるということです。先がどうなるか分からない研究、若手、あるいはベテラン研究者でも良いのですが、そういう研究を育てていくにはどうしたら良いか、その意味で文部科学省は基礎研究に力を入れていくということがまさに重要だと思います。そういうこつこつした研究から成果が生まれるためには、今ここでこういう研究が行われているのだと、こういう成果も出ているという情報発信の工夫をしていくことも必要であると思います。
 あと、皆さんも御指摘になりましたけども、あふれてくるデータをどう生かしていくか、第4次産業革命と言われてもまだ幾分掛け声のような感じがしますので、その辺のところも考えていく必要があると思います。
 教育や文理融合、多様な視点で将来を考えていくことが必要だと思います。100年先の姿を想像することは今の時点では無理だと思いますけども、考えながら、変えていきながらやっていくという、そのための力を付けていく教育、科学技術の進歩によって世の中がどう変わるかという、あるいはどんな問題点を生じるか、社会が何を求めているのかなどとを考える、文理融合という視点も必要ではないかと思います。
 人生100年時代と言われていますけども健康医療分野、ここで何かどういう研究ができるか、納税者に還元できるものは何かということで、これも重要テーマだと思います。
そうした全般の基盤となる国立大学や国の研究開発法人の在り方や先ほど申しましたように10年前の科学技術不信に対してどのように応えていくかという、これからどうしたらいいのかということもテーマとして重要だと思いました。
 以上です。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
 それでは、土井委員、お願いします。資料がございますね。

【土井委員】
  ありがとうございます。資料もありますが、知り合いの先生に見ていただいて意見を頂いたものも併せて反映しています。意識としましては、今、先ほども御指摘がありましたけど、財務的もそうですし、研究テーマの作り方も厳しくゴールが設定されたテーマ設定になっていますし、あとELSIのところでもありましたが規制があって、まず規制ありきで考えると、全てが余裕がないんですよね。なので、特に若手から萎縮が始まっているというので、さきに頂いたテーマの設定の仕方は余りにも夢がないと、わくわく感がないというところがまずあります。そういう意味では、今決められたことには対応できる方たちが育って、そういう研究のやり方であればうまくいくという形なのかもしれませんが、やはりこれからは、いろいろ書いていただいていますけど想定外の進展をするはずなんですね。そこに対しては想定外のところに対応できる人、対応できるテーマというのを考えていかないといけないというのが一つあると思います。
 そういう点で一つ出てきたのが、先ほどバイ・デザインというお話もありましたし、きちんと腰を据えて5年ごとに考え直すって、それでは駄目だよというお話もありましたけども、やっぱりそういうことが必要かなと。だからどうやって今の財務的に厳しいという中で余裕を持たせていくかということをきちんと考えていかないといけないのかなと思います。
 その一つ、最初に掲げさせていただいたのはわくわく感という話なのですが、結構今はSTEMという話からSTEAMに、アート的なバイ・デザインという考え方を入れようというのもありますし、工学って、基礎研究というのもすごく大事なのですが、工学の中にもそういう意味では社会と接するところ、あるいは社会からこの技術では駄目だからもう少しどうにかしてほしいというフィードバックを得てデザインし直すといったところに、ある種のわくわく感があります。そういう意味では日本はサイエンスの面でノーベル賞で日本が評価されているというのも事実ですけど、一方、工学のところでも世界最大のIEEEの次期会長に今度福田先生がなられますし、今そこのコンピュータソサエティの会長は早稲田の笠原先生ですし、非常に日本は信頼されているんですね。アメリカとか中国とかちょっと訳の分からないところに引っ張られたくないと思っている人たちが、たくさんそうやって日本の工学者にボーティングしてくださっている、ここはすごく貴重なことで、そういうところに自信を持って進んでいくということが必要で、そういう意味で若い人たちにも是非自信を持っていただけるようなものができるといいなということです。
 やはり時間的に余裕がないので、今インダストリーではデジタルトランスフォーメーション、Society5.0というのはそういうものの一つですけれども、デジタルトランスフォーメーションで時間的に余裕を作るとか、先ほどデータのお話もありましたけども、きちんとそれをバックアップして解析できるようにするとか、そういうことがどんどん進んでいます。学術の世界でも同じようにそれが必要かなと。今バックヤードはペーパーレスに全然なっていなくて、いまだに判を押すとか、民間から移るといろいろ信じられないようなことがたくさんあるのですが、そういうところを各大学、各研究機関に任せるのではなく、国としてきちんと土台を作って、それをみんなが使い回していくような、そういうところも必要ですし、実験に関してもきちんと出てきたデータを集める、それを人手でやるのではなくて、工場で進んでいるように全部の実験機器のデータがそのままクラウドに飛ぶようなやり方をする、そういうところにきちんとお金が行くように、それぞれの機関があなたたちの責任でやりなさいというやり方ではなく、きちんとそこを国として担保できるようなものが必要であるかなと思います。
 あともう一点が、やっぱりテーマですよね。課題解決型というのも非常に重要であり、そういう課題解決というところでどうやるかというのをエンジニアリングのところでは随分学んできて、それでうまくいくようになっています。その一つはJSTが事務局になって進めているCOIだと思います。ただ一方、でもそれをもう一歩進めて想定外、新しいところにどういうことがあるか、想定できないところというのを考える力を若い人に持たせることも必要なので、今のような5年たったら首を切られるかもしれないというような不安定なところでは、やはり5年の間に論文も書け、何もしてということもやらないといけないようなところでは、新しい、誰もが想定しないようなことにチャレンジするという余裕が金銭的にもないし、時間的にもないし、それはやはりすごく間違えていると思うので、そういう意味ではこの分のところはきちんと担保してあげるという、運営費交付金などはそういう意味では有期ではないやり方、有期でももう少し担保された人の雇用、若手の雇用というのをやらないといけないかなと。それを踏まえて、なおかつ想定外に対応できるようなテーマ設定のやり方というのを考えることが必要だと思います。大きなお金を最初から出す必要はないと思うので、サイエンスでもそうだし、エンジニアリングでもそうですけれども、立ち上げというのを、スタートアップ的なところをきちんと担保するということが大事で、そういうわくわく感があるからやっぱり研究するのは楽しいという未来を若手が実感できる、そういうところに是非提案ができればいいなと思っております。よろしくお願いいたします。

【濵口主査】
  ありがとうございました。本当に明るい視点を持てというのは大きなことですね。
 それでは、冨山委員、お願いいたします。

【冨山委員】
  さっきそもそも論的な話が、特にエビデンスベースでという話があったので、今世界の1人当たり購買力平価ベースGDPのランキングを見てみたんです。1位はカタール、2位はマカオ、3位ルクセンブルク、4位シンガポール、以下ブルネイ、アイルランド、アラブ首長国連邦、クウェート、スイス、サンマリノ、香港、ノルウェー、米国、サウジアラビア、アイスランド、オランダ、オーストリア、バミューダ、ドイツ、デンマーク、スウェーデン、日本は出てこないですね、台湾、ベルギー、バーレーン、オーストラリア、カナダ、フィンランド、イギリスで29番目に日本が出てきます。その次がフランスなんです。国の基盤が科学技術にあることは確かなのですが、では、今挙げた中で資源国を除いたときに、そういった国が本当に科学技術で食べているかという問題があります。何が言いたいかというと、それを否定するわけではなくて、日本はもう大国ではないんですよ、宿命的に、中国(ちゅうこく)です、米中という巨大覇権国に挟まれた中規模の国です。さっきちょうど例のデータ規制の問題で先生の方から日本が割と信頼されている、実はその理由は米でも中でないからなんですね、要は二大覇権国ではないから信頼されるわけです。
 何が言いたいかというと、ひょっとするまだまだこの科学技術の問題というのは、日本がずっとある種欧米、特にアメリカに追い付くというモデルの中で、アメリカがやっているかなりの広いラインを全面的に追い掛けるという、それによっていつかアメリカをできれば凌駕(りょうが)しよう、みたいなある種の覇権主義的憧れの中で動いてきている部分がなくはないだろうかという感じを受けるわけです。結局のところ、税金を使う理由というのは最終的に国民一人一人の生活が豊かになっていくことに、それは5年後か10年後か20年後か50年後か知りませんけども、これは何らかの形でつながっていっているわけで、別に1人当たり購買力平価ベースGDPが全てとは言わないですが、でも実現の庶民的リアリティでいったらこの数字は大事なんですよね、やっぱり食べていかなければいけないから、子供たちを大学まで行かせなければいけないから。ということを考えると、その脈絡である種のリアリズム、健全なリアリズムに立脚した戦略性がなければ駄目で、その脈絡で申し上げると、これはさっきの川端先生の話ともつながるんですけど、やはり現代のもろもろの研究開発における競争環境、要はキーワードは一つ、グローバル化の話ですね、濵口先生の資料にもありましたが、やはりグローバル化しているわけです、ゲーム自体が。一国主義だ、何だと言っているけど、この世界は何だかんだ言ってグローバルの力が強いですよ、なぜなら、知というのは必然的に国境を簡単に瞬間で越えるわけですから。そうすると、これはグローバル化の流れは止まらないし、米中が対立しているといったって、アメリカの研究所って中国人だらけですからね。その半分ぐらいは、今は共産党は帰れ、帰れと言っているらしいですけど、一番できるのは帰らないわけですよ、現実問題として、そういうのをぶっちぎって、そして帰化したりするわけですよ、アメリカ人と結婚して。なので、それはもう僕は止まらないと思っています。
 それからもう一つが、今これは土井先生が言われたデジタルトランスフォーメーションの問題だって、これは二つともかなりの破壊性があるわけで、これは別の研究開発だけではなくて、一番初めにやられたのはまさに私が役員をやっているパナソニックみたいなエレクトロニクスメーカーはもう破壊的に、通信もそうですけどやられてしまったわけです。そこも実は、では、経営者がばかだったかと、別にばかではないですよ、みんな流れは分かっているわけです、問題の所在は。だけどさっきの川端委員の話ではないですけど、組織能力的に対応できなかったんですよ。これは組織能力というのは、中のタレントの問題もあるし、構造の問題もあるし、そこの中にいる人々の動機付けの問題、もちろんそれからルールですよね、いろいろな意味でさっきおっしゃっていたレギュレーションの問題、このレギュレーションは一つ動機付けの一番重要なドライバーになってくるので、これが要は日本型の、日本の企業というのは新卒一括採用、日本人がメインのメンバーであって、終身年功制で40年間働きますと。このモデルは同一的連続的組織を作っていくというモデルなので、改良的イノベーションのキャッチアップ型では抜群に強いんです。だからこそ戦後復興に成功したし、加工貿易立国というので高度成長に成功したんですけれども、これはグローバル化とデジタルトランスフォーメーションに全く向いてない、要は、多様性と非連続性の戦いなので、向いていないんです。それはさすがのトヨタも気が付いて、今焦り狂っているわけで、中西さんなんて一番やられてきちゃった本人だから、もう新卒一括採用は止めようとか言い出しています。でもこの問題は、実は全ての日本の社会、今我々が扱っている領域も含めて共通する問題のような気がします。これは大学という組織の在り方も含めてですけれども、そうすると、この問題はやはりもうそろそろ真摯に一つのシステムとして真正面から議論しないと、そこを忘れて、確かにさっきおっしゃったように何かキーワードでひょこひょこやっていても、そのキーワードは踊るんです。だから経営の世界でもかつて、何かストラティジックインフォメーションシステムをやろうとか、キーワードはずっと横文字が踊ってきたんですけれども、要はそれで今さっきオープンイノベーションというまたキーワードが踊っていますけれども、でもオープンイノベーションを妨げている問題というのは、実はもっと構造的な理由があるんです、会社の中に。その構造問題というものに自分自身もかなり真剣にメスを向けないと、そこは乗り越えられないという意識を、さしもの経団連さんも最近持ち始めて、だから中西さんが会長になったと思うのですが、ああいう過激なことを言い出したのは、根本のメッセージはそこにあるような気がしていますし、産学連携の問題も、従来のフレームワークはある種まだ大学という比較的オープンだけど、まだ世界よりも日本の大学は閉じていますから、加えて世界で最も閉じた組織なんです、日本の会社というのは。モーストクローズド組織です。だから世界で最も閉じたタイプの法人と、欧米と比べるとまだ閉じている大学とが一緒に何かやるというのは、すごく不得意なやつが不得意なやつがとても無茶なことをやっているような感じがしているわけで、もちろん慶應の湘南とか、一部例外はあるんだけども、全般で言うとほど遠い状態なので、ですから私は是非その問題にこれから光を当ててほしいということと、それから今土井先生から言われた話でああと思ったんですけど、例えばスタンフォード大学のコンピュータサイエンスのPh.D.を取った人間は、恐らくその瞬間、もう自分は一生食いっぱぐれないと思っています、誰に雇用されてようが、されていまいが。私、日本の根本的問題は、例えば日本の一流大学のPh.D.を取ったけれど、その段階で一生食いっぱぐれがないと思える人は恐らく余りいないんです。もしそうだとすると結構問題で、というのは、結局スタンフォードのコンピュータサイエンスのPh.D.を取った本人が、スタンフォードで雇用される可能性は極めて低いです、現実問題として。あるいは大学人として生きている可能性は極めて低いです。だけど、何だかんだいって食いっぱぐれないと思っているんです。食いっぱぐれていないという事実があります。下手をすると大学へ行くよりもベンチャーとかをやった方が金持ちになっている人はごろごろいるわけで、またそこから大学に戻ってくる人もたくさんいます。そうすると、ここももう一つ同じ問題で、そういう例えばPh.D.という一つの世界的に通用する知的プロフェッショナルとしてのライセンスを手に入れた人間が、社会全体としてこの国は結構不幸なんですよ。これはまた少し日本独特の状況が生じていて、それも結局社会的な意味での組織能力構造に問題があって、そうすると、個別にいろいろなどう救おう、ああ救おうというある種クイックフィット的な施策をやることに僕は反対しませんが、根本的な問題はそこにあるということに正面から光を当てないと、Ph.D.を取りたいという人は減ってきますよね。それでどうしてみんなアメリカであれだけPh.D.を取りに行くかといったら、それはそういうことがあるからなんですよ。カーネギー・メロンとかスタンフォードのコンピュータサイエンス、あるいはどこどこのマテサイでPh.D.を取っていれば普通は食いっぱぐれないんで、いろいろな人生、いろいろな道があるにしても、そこはやっぱり是非とも変えていくということは、一つテーマとして私も焦点を当ててもらいたいなと思っております。
 以上です。

【濵口主査】
  ありがとうございました。多分、この前総会の方でしゃべったときに議事録が残らないなと思ったのですが、大学の先生は給料が低い、上げてくださいという話をしています。全体的には構造の問題がありますね。情報もやっぱり、企業側も給料が低いと思います。今日も実は情報の先生と懇談していたんですけども、日本から流出していると、グーグルにどんどん抜かれていると仰っていました。

【冨山委員】
  先生がPh.D.を取っても、例えば今、先ほど慶應の松尾研とか、あるいは東大の原田研というAIの割と人気のあるトップラボにいるPh.D.の人たちにどういうオファーがあるかということをやっていると、Ph.D.の22~23歳、まだ取る前の人で、ちょっと論文ランキングとかに載ったりすると、もう即座にアリババやらグーグルから2,000万円、3,000万円のオファーが来てしまう。

【濵口主査】
  ええ、新卒は1,500万円とかいう話も聞きました。

【冨山委員】
  国内からは今のところ来ないですけど、でも海外から来るので、だからそこのギャップというのを埋めていかないと、この構造問題は簡単には解消しないです。

【濵口主査】
  構造がもう成り立たなくなってくるのではないでしょうか。

【冨山委員】
  ここは完全にグローバルマーケットですから。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
 橋本委員、お願いします。

【橋本委員】
  私、大体これまで皆さんが指摘されたことと基本的に一緒なのですが、現在、私は大学発ベンチャーというところにいて、しかもライフサイエンスという、非常にある意味マイナーな分野におりまして、その観点から少し御意見を述べさせていただきたいと思います。
 今も構造の問題で御指摘がありましたが、やはり今の日本の社会、これまでの日本の社会というのは大手企業があって、しかもそこが大学のトップランキングの学生を新卒で採用していって、そして外資だとか中小企業というのはどうしてもその次のレベルの人しか採用できなかった。ところが、特に20世紀の後半を見ますとそういうシステムがなかなか動かなくて、優秀な人を十分使い切れなかった、非常に組織が膠着(こうちゃく)して変化が起こっているのは分かっているのだけれど変えられなくて、結局今のような状況になったということをすごく感じます。お風呂に入っていて、だんだんお風呂のお湯が冷めていくのだけれど外に飛び出す勇気もなくて、気が付いたら本当に中で凍え死んでしまったみたいなことが起こっていたのではないかなと。
 それで、ちょうどこの科学技術基本計画が1996年からですが、この過去の大体25年を見ると、そういう日本の社会あるいは日本の産業界が大きく構造変化を起こしていたその時期と重なってくるのかなと感じています。まず人口構成が大きく変わって、非常に高齢化して少子化だと、もうとにかく若い子がいない、労働力がないわけですし、いわゆる重厚長大な企業が今までのような輝きを出せなくなった時代というところに重なってきていると思いますので、次の計画を立てるときには、過去の延長の上にリニアに線を引くということはもう多分できなくて、逆に今特にSDGsなどで2030年にどうしたいとか、そこにやるために今何をしなければいけないかという、バックキャストと言われているようなそういう考え方の中で計画を考えていく必要があるのかなと思います。
 そのときに、やはり今の日本ということを考えると、日本の強みは非常にあると思っていまして、私としては日本が持っているこの知の力、知識の知ですね、知の力で地球規模の課題に貢献できる日本になるべきだろうと。要するに物づくりとかそういうものではなくて、今度は知的な力、これは日本にしっかりあると思っています。これを使って世界に貢献できる、そういう国になっていく必要があるかなと感じています。
 そのときに、今の日本というのは皆さん真面目なのでいろいろルールや法律ができて、結局自分で自分の首を絞めているような感じがしています。だけどそこでもっとフレキシブルに、新しいものが出てきたらそれも受け入れてどんどん育てようというような柔らかなシステムを作っていく必要があるのかなと思っています。特に文部科学省に一番お願いしたいことは、やはり大学における基礎研究力、これを充実させていただきたい。今の論文の数などを見ますと非常に寂しいものがありまして、だけど、日本の知の力の源泉は大学にあると思います。例えばベンチャーのような企業も、大学のそういう研究があってこそ新しいベンチャーが生まれてくるわけで、今はどうもその源泉が枯渇しかかっているというところに私は非常に危機感を持っています。ですから、そういうものが生まれてきて、しかもベンチャーが順調に人とお金がうまく回ってそれが育って、それがグーグルのような会社だとか、そういうことが出てくるような柔らかい社会を作るという目標を立てていただければと思います。
 私自身も以前大きな会社におりましたが、大きな組織の変わらない、変化しない力というのを非常に感じていまして、小さい組織がスピードを持って変化できる、こういうのをもっと育てていく必要があるかなと思います。例えば、ちなみに今私がいる会社は50人足らずの小さな会社ですが、例えば女性と男性の比率が男性6割、女性4割ぐらい、それで女性の管理職も多分日本の平均よりはるかに高くて、Ph.D.を持っている人間が全体の3割とか、いろいろな今目標にされているようなものを、ふと気付いてみたらこういう小さい組織だとすぐに実現できるんです。そういうところが本当に元気にならなければいけないのですが、成功していくような形がもっと作りやすいような社会を目指すべきかと考えております。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
 永井先生、よろしいでしょうか、お願いします。

【永井委員】
  私は第4期基本計画のときからこの議論には参加しています。第4期基本計画のときに発言させていただいて、「文化としての科学」ということをもう少し掘り下げるべきではないかということを報告書に入れさせていただきました。それをごらんになった山崎正和さんが、この間叙勲されましたが、論評を書かれて、そもそも「文化としての科学」を語るのに1行とは何事だと言ってお叱りを受けました。第5期基本計画のときはもう少し踏み込んだと思いますが、知るとか、研究する、認識する、何のための科学かということをもう少し掘り下げる必要があると思います。西欧の場合は、ギリシャ、ローマ、ルネサンスの歴史があるわけですが、日本が開国したときは西欧でも革命的なことが起こっているときでしたので、十分準備がないままに最先端を入れたのではないかといわれています。その議論をもっと掘り起こすべきで、研究もメカニズム論的な研究から実学的な研究までいろいろあります。それを全部含めてどういうふうに我々は考えるかということをきちんとまとめて、報告書に入れる必要があると思います。実学とメカニズム論は全く違う立場ですし、そこをいかに調和させるかということが大事です。統計学が偶然論を扱っているのに対し、メカニズム論は必然論を扱っていますから、そもそも水と油みたいな関係です。そこを何とか調和させていく、西欧の学術も苦闘してきたのだと思います。その土壌が必要ですし、当然、ELSIの問題も含まれてきます。あるいは人材育成も同様です。この頃は科学研究もオリンピックのようで、ノーベル賞を取らないとドロップアウトかみたいな話になりかねないわけです。そもそも研究するというのはどういうことか、若い人に安心させてあげないといけないわけで、そこを含めての掘り起こしが必要だろうと思います。
 振り返ってみると、日本の科学技術は2000年頃からおかしくなってきていると思っています。留学する人が減った、大学院の進学者も減ってきた。よく国立大学の法人化がいけなかったといいますが、よく見ればその前から始まっています。その歴史も含めて、現代的な歴史も含めて掘り起こすべきであろうと思います。論文数とかランキング低下の話がありますが、決して頑張っていないわけではないのです。多くの領域では論文は増えていると思います。ただ、世界の方がもっと増えている。それは新しい時代におけるサイエンスに乗れていないということです。情報化や国際化の流れに乗れていないのであって、怠けているわけではないと思います。
 研究領域も、かつてよりもビッグピクチャーを描く時代になっているのではないでしょうか。昔でしたら大風呂敷と言われるようなことが、今研究テーマになり、不可能ではない時代になっています。分子の研究をしながら、社会を変えることができるわけです。そうしたビッグピクチャーをどうやって若い人に描かせて夢を持たせるかということが大事です。そうした土壌とか空気をしっかり教えないといけないだろうと思います。
 若い人たちも実際は迷っていて、自分の道を探すよりも、人間関係の方を気にしていると感じます。俯瞰(ふかん)する能力と、人間関係を作る能力は違うと思います。科学技術の場合にはその両方の能力が必要ですし、特にリーダーには俯瞰(ふかん)する能力が求められています、その教育が非常に弱くて、どうも人間関係の中で若い人が大切な時期を過ごそうとしている。日本が貧しかった時代は多くの人が海外へ飛び出していったわけですけども、そうでなくなったのが2000年頃ではないかと思います。原因の掘り起こしをしっかり行う必要があると考えています。
 大学でも企業でも公的研究所でも組織改革が大切ですが、私は、大学は無理だろうという確信に近いものを持っています。大学は明治以来、戦争、大学紛争などを経て今の形がありますから、大学に自ら変われと言うのは難しく、そうであれば大学に対抗する組織を育てていけばよいわけです。そうした組織と組織を競わせるような環境が必要です。そのためには今よりももっと大きいスケールで競争的環境を作らないといけない。大学が焦って改革しないといけないぐらいのものを作ることを考えるべきだろうと思います。大学に交付金が足りないと言いますが、自らが改革する気のないところに資金を入れるのは無駄だろうと思います。幾ら資金があっても足りなくなるだけですから、これから競争的な環境を作る気のある大学をしっかりサポートしていくべきだろうと思います。それは場合によっては大学の外かもしれないと思います。
 最後に、よく実用化研究と言いますけど、基礎研究がないと実用化研究はできませんので、そこはしっかり押さえていく必要があると思います。
 以上です。

【濵口主査】
  ありがとうございます。大分深いお話を頂きました。
 それでは、庄田さん、お願いします。

【庄田委員】
  第8期に創設された総合政策特別委員会では、第5期科学技術基本計画に文部科学省の視点でどういう内容を盛り込むべきかの議論から始まり、10回ほど集中して議論した記憶があります。結果、第5期科学技術基本計画にはそのときの検討内容が大きく反映されています。その後の総合政策特別委員会では、第5期科学技術基本計画に沿って文部科学省で行われている施策の進捗の把握と分析について、俯瞰(ふかん)マップを使って行ってきました。状況と分析の中では、いわゆるPDCAのC(チェック)の段階には入っていますので、引き続き、施策の改善、見直しなどのA(アクション)についても検討していく必要があると思います。
 2番目は人文学・社会科学との関わりについてです。俯瞰(ふかん)マップの第6章「社会との関係深化」には科学コミュニケーターのことなどが記載されていますが、Society5.0が目指す活き活きと快適に暮らすことのできる超スマート社会の実現に向けて、もう少し人文学・社会科学が主体となって、先端科学技術の社会実装がもたらす社会の意味合いについて議論していくべきではないかと感じています。
 3番目は議論の進め方についてです。統合イノベーション戦略あるいはCSTI中心に政府全体の科学技術政策が議論されている中で、この委員会では、人材、基礎研究、あるいは大学を通じた地方創生など、文部科学省ならではのテーマを深掘りするべきではないでしょうか。
 4番目はターゲットイヤーについてです。資料でターゲットイヤーが2035年とか、100年後と言われていますが、高等教育や社会保障関係の議論では2040年が使われていますので、整合をとったら良いのではないでしょうか。
 最後に、細かい点ですが、ヒアリングに当たっては、産業界や研究部門の管理者からだけではなく、実際の現場の若手研究者からも意見を聞くなど、少し工夫する必要があるのではないかと思います。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
 私からも報告させていただきます。それで、提出書類を作りましたけれども、今皆様方のお話を聞いていて、少し了見がいろいろ狭かったなと反省しておりますけども、この書類を書いたときの気分を申し上げると、一つは今時代認識を大きく変える必要があるかなと思っていて、そのバックグラウンドは1999年のブダペスト宣言にあると思っていますが、科学というのが知識のための科学以外に平和のための科学、開発のための科学、社会における科学、社会のための科学、こういう要素が入ってきたことでかなり変化が大きく、今につながってくる、これはSDGsにずっとつながってきますし、課題解決型の幅広い知識を生かした研究をやる必要があるという認識が生まれてきている基だと思いますが、これに加えて、実は感じているのは、この社会のための科学のほかに社会による科学というのが今要素的には出てきているのではないか、いろいろな方々の意見を、東日本大震災が典型ですけどもしっかり取り込みながら科学を動かしていく機能を持たないと、支持を得られない分野になってくるのではないかということを一つ感じています。
 もう一つはデジタルトランスフォーメーションですね、これが物すごく変わってきますので、これと少子高齢化をかぶせて見ている日本の直近している大きな問題は、あらゆる分野で人材がいなくなってくる時代を迎えることで、質的な問題だけではなくて量的にすさまじい変化が起きていることに対して、我々は対応できないのではないかと思います。ここの部分は、第5期基本計画にはまだシリアスになってきていなかったけれども、これからいよいよ2018年問題が起き始めて、18歳人口が減ることで起きてくる、これをどう科学技術政策に落とし込んでいくかということが大きな今期の課題かなと私は思っております。
 そういう意味で人材育成や、もう一つは第5期基本計画の進捗状況、これまたしっかりレビューしながら近未来予測をしっかり行って、予測調査をしていくということは大事ではないかと思っています。また、新興・融合領域の活性化をどうするかというのがあります。これは世界の潮流として見ていますと、EUでは2021年からHorizon Europeというのが始まりますが、これは数兆円規模の研究費ですが、その半分が社会課題の対応になっています。非常にボリュームが大きい、カッティング・エッジは35%、イノベーションは15%しかありません。それよりも社会課題を解決しようというメッセージです。それからNSFではコンバージェンスが提唱されて、複合の研究領域が一つの社会課題の解決を具体的に図るという点、例えば北極海の研究があります。日本の切り方と全く違う動きが出ていますけれど、そういう意味でも新興・融合領域への展開をしつつ、伝統的な基礎研究をしっかり充実させる、この二正面に取り組まなければいけないのですが、そのコアになる人がどんどん減ってくる、これをどうするのかを考えないといけないと思います。2010年から15年で既に30代の人口は5大都市圏で20%減っている、5年間で5人いたのが4人になっています。ここから10年でまた10%減ります。この急速な変化というのは相当影響があるだろうと思います。それがバックグラウンドで大学院生も減っているというのは、大学院に入る意欲がないという部分もありますけど、一方でネットのボリュームが減っているのではないでしょうか。その割に、実はストレートに言うと大学のサイズが小さ過ぎます、多くて小さ過ぎる。アメリカのステートユニバーシティのサイズを見てみると、いわゆる県レベル、州レベルの大学が年間1兆円。日本のメジャーな国立大学はこの数倍のサイズで動いています。だからシステムをどう変えていくのかということをもう少し考えないといけないと思っています。
 それからELSI、倫理の問題は、新しい時代に対応したものを考えないといけないのですが、文部科学省としてAI、IoTをどうするのか、ゲノム編集をどうするのかというのは、ある程度フレームワークを固めていかないと、現場が萎縮しているのではないかと私も感じています。
 それから国際化、大学改革、科学技術の在り方、価値の維持、このあたりはいろいろ皆さんが言っておられることと共通していると思いますけど、こういうことを踏まえながら、もう一回第4期基本計画をよく見てみて、第6期基本計画へどうつないでいくかというレビューをやっていかないといけないと思いますが、これからあと3回しっかり議論して、その次の本格的な作業に入るということですので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それで、人数が少ないのでどんどん発言していただいた方がいいと思いますが、まだ時間がしっかりありますので、フリーに議論をお願いします。
 冨山委員、どうぞ。

【冨山委員】
  濵口さんの話に触発されて、アメリカのカリフォルニア州、州だけのGDPが何と300兆円あります。要は、もう日本に追い付こうとしているぐらいのGDP規模があって、あそこはだからステートと2種類ありますね、州立大学。だけど全部併せてもそんな何十個もないはずで、今言われていたのは、確かにそうしたら1個当たりが大きくなるだろうと思いました。だから日本のいわゆる国立大学のサイズとカリフォルニアの州立大学を比較されてしまうと、やはりそれは日本の方は細分化されてしまっていますから小さくなってしまうなと思ったのと、それからさっきの繰り返しになりますが、こういう議論をするときに、確かに従来は米国とか、あるいは最近の中国みたいないわゆる覇権大国との関係性を見るというのも大事だと思いますが、要は日本が中規模の国になっていくというリアリティを考えると、先ほど挙げたような、そんなに国は大きくないけど、特に資源もないのに1人当たりGDPというかすごく豊かにっている国があって、ただ共通しているのは、これみなすごく教育に力を入れている国ですよね、教育水準がとても高くて、実は一定の分野で高い技術力を持っているような国が、フィンランドなんかそうですけどそういうのがあるので、要はこれ、多分ちょうど中間的なところに日本がなってきますから、これからいろいろな施策をやるとき、両にらみで見ていった方がいいような気がしています。
 もう一つ、先ほどの議論と絡むのですが、例えばいわゆる社会課題解決型で物事にアプローチするときに、そういう問題を考える人たちの集団というのは、例えば日本の大学でいうと総合政策的な従来の文系的な領域の人なのか、それとも理系の、東大でいうとシステム創成とか、TMIとかそういうところになるのでしょうけど、どっちだろうというところがあって、ただ一つ明確なのは、いわゆる全く技術音痴で技術の言葉が全く分からず、算数なんか苦手で、もうとにかく最小需要語でもうパス、みたいな、そのくらいの人たちが、残念ながらテクノロジーを使った社会課題解決はできないんですよ。やはり基本言語能力がないので駄目なんですね。かといって、極めて狭い領域で掘り下げた研究をやっている人でも駄目なわけで、そうすると現実のイノベーション、あるいはその成果がどこから生まれるかというと、バイリンガル性というか、たまたま現住所文系的な経営者みたいなことをやっているけれど、実は東大のPh.D.でしたといったような、理系のビジューやっていますとか、ロイヤーだけど、実はMBA、MSも持っていますとかいう類型で、これも多分皆さん御案内でしょうけど、シリコンバレーというのはそういう人たちで構成されています。今度日本産業革新投資機構というのができて、そこの第1号案件はカリフォルニアでファンドを立てたんです、西海岸に。その西海岸のファンドはライフサイエンスを中心にした、これはグローバルにやるファンドですけれども、もちろん日本も含めてですが、そこでGPの人を2人雇いました。この2人をヘッドハントしてくれたのは金子恭規さんといって、例のジェネティックの創業メンバーだった、私のスタンフォードの先輩ですが、彼自身がMD/MBAです。慶應の医学部でMBA。引っ張ってきた2人は若者です。ただ若者ですけれども、シリコンバレーでは知らない人はいないライジングスターです。1人はレオン・チェンと仰いますが、彼はスタンフォードの分子生物学のPh.D.で、在学中に先生と一緒にある物質発見して、それでベンチャーを作って、これはもう既に上市されていますけど、2年半ぐらいでそれを350ミリオンぐらいで売却して、その後ビジネスの勉強が足りないと思ったようで、Ph.D.を取ってからスタンフォードビジネススクールに行っています。だから今彼はPh.D./MBAです。もう一人、彼の仲間は、その子というぐらい若いんですれども、これはウォートンのMD/MBAです。あの空間というのは、結局日本的に言うと文系言語と理系言語のバイリンガル、それも中途半端なバイリンガルではなくて本格的な、ほぼ両方ともネイティブに近いような、そういう人間の厚みが日本はとても薄くて、ここは薄い薄いと言って10年、20年経ってしまっているので、真剣にこの問題に取り組んでおかないと、これは10年たっても同じことを言っているような気がするので、今強く改めて思った次第です。

【濵口主査】
  他はいかがでしょうか。永井先生。

【永井委員】
  でも、そういうスターの代表は、私は大谷選手だと思います。ピッチャーでありながらバッターとしても優れている。

【冨山委員】
  スポーツは出てきているんです。

【永井委員】
  多分情報という社会システムがあって、彼はそれが達成できたのだと思います。今まで我々、情報が多くて処理し切れないから、あえてストライクゾーンを狭くして専門分化して、それがよいと思っていたわけです。本当は皆いろいろなことをしたいわけです。でも、昔はできなかった。今はやろうと思えばできる時代です。狭いところで修行しなければという精神性を求めると、若い人は動かない。広い範囲をカバーできる人材をどのように育てるかということが大切です。
MDでMBA、Ph.D.で弁護士は、私の周りにもいますが、やはり勉強しています。日本は非常に勉強熱心というけども、世界的にはそうではないのです、学歴という意味では。しかも最近は大学院に進学する割合が減っていますし、大学院博士課程に進む学生の学部学生に占める割合は、はるかに韓国よりも低い。ですから、文化としての科学・学術をもう少し掘り下げて、いかに若い者にそういうところへチャレンジさせる土壌と雰囲気づくりを、上の世代がしないといけないと思います。大谷選手は例外ではなく、恐らくこれから出てくると思います。

【冨山委員】
  スポーツはどんどん出てきますよ。

【永井委員】
  学術の世界も同じだろうと思います。

【濵口主査】
  他はいかがです。
 先週、JSTでサイエンスアゴラをやりましたが、そこで一番面白かったのはANAのチームを呼んだのですが、彼らはテレイグジスタンスというコンセプトをやっていまして、非常に面白かったのですが、チームがそれ以上に面白いのはバイリンガルの人がそろっていて、それで公的資金に一切頼っていなくて競争的な開発資金を、アメリカがやっているのを取りにいって、それでいろいろな研究者をつないで、自分たちはR&Dのシステムなんか何も持っていないのですが、どんどん物を作っていくんですね。新しいタイプの日本人というのは……。

【冨山委員】
  借り物競走が得意なんでしょう。

【濵口主査】
  ええ、物すごく上手、ちょっと出てきているなという感じがしますけど。

【冨山委員】
  アップルなんて全部借り物ですからね。

【濵口主査】
  そうですよね。プラットフォームを作っているだけ。その方が大きくなるなというのを感じます。
 少し脱線してしまいましたけど、やはり基は文化的問題がすごくあるなというのは、私も永井先生の言うとおりで、これをどう変えるかですね、待ったなしの状態だと思います。
 他にいかがですか、川端先生。

【川端委員】
  文化的という観点は一番弱いかもしれませんけど、ある部分では我々について、さっき言われたようにアメリカに向かっていったり、ヨーロッパに向かっていったり、でも行って帰っていろいろな話をすれば、ELSIもそうですけど、日本の方が発達しやすい領域はたくさんあって、そこの部分がついつい忘れられて外の話に入る。そういうものを含めてどうやって次の人を育てていくかというところで、やはりランキングの話だとか、もうすぐにそれが表に出て、ああ、負けてる、負けてる、という話に、さっき少し言われたもっと元気になるための施策だとかというのは、ベースになるのは大学であったりそういうところでやるべき話であって、最近久しぶりに学部生と話す機会があって、そうすると、そんな先の、食べていけるかどうかなんて考えていないですよ。学部の学生とか、自分は一体生涯賃金幾らなんて言う人は誰もいなくて、大人がひたすら言っている、だから行かないのだという理由付けをしているという、そういう問題ではないところがやはり原点があるのだから、そこからドライブしていくというのが、私たちがやるべきところだろうなというふうに思います。
 それからもう一つは、先ほど言われたように大学というのが今までどおりの部分が、やはり固いです、はっきり言って。でも、研究者をホチキスで留めたのは大学だった時代がそろそろ終わって、大学として何ができるかという時代に今入っているという、そんな気がしています。そのためにも新しい人材が中に入ってきていて、それが加味してまた新しい学問を創っていくという時代に、フェーズに入いりつつあるのかな、それの一番分かりやすいのが社会創生、地方創生であったり、SDGsであったり、Society5.0である、そのキーワードは、僕は一番それに近いところにあるのだろうなと思っています。それに適しているのが日本なのかもしれないなとか思って、今、固い大学をどうやったら変わるのかというような話を議論の土俵に乗せていくのはいいことのように思います。

【濵口主査】
  どうしても自分は暗い話になってしまうのですが、前回のときももう少し明るいところもよく見ましょうという話があって、前進面とマイナス、弱点を並べたのを作りましたが、あれを見ていてもう一回思ったのですが、例えば大学発ベンチャーが今1兆8,000億円ぐらいの会社が出来上がっています。これは、例えば10年前にはなかったことです。だから大学は随分動いている、ただ、その勝ち組と負け組、少し負けている、そういう形に見えています。ベンチャーが出てくる大学が限られている、これを横展開できないのかというのが、実は今の課題なのですが、すごくうまくいっているところも、いっていないところも一緒になって大学が変わってないなと、こういうちょっと粗い議論になっているかなと。だからもう少し我々はそこをしっかり見ながら、どういうふうにして全体をもう少し上げる議論に持っていくべきかというのはちょっと感じているところなのですけど、先生はすごく果敢に今挑戦されているのを知っているので。

【川端委員】
  一大学でできることはやはり限られているし、できる大学というのも限られている。ある部分では個性化という部分が確実に重要なのですが、一方では共通に、今ベンチャーを作りますといったときに、小さな大学は一大学でやっても無理なんです。だからあるエリアでカバーするとかという機能が必要な部分があって、だから日本全体で見たときにどういった施策を打っていくかという部分と、それからもう一つはやはりそれぞれの個性化を徹底的に進めさせる部分と、それの下に研究者の個性化、多様さ、その3レイヤーみたいなものをどう日本全体として構築していくかということをもっと前面にやらなければという、先生が言われるみたいに、間違いなく進んでいるんですけどね。ただ論文数にしても進んでいますが、どこかと比べられると突然何か見劣りしたりいろいろなことをするんです。

【冨山委員】
  あれ、トータルで比較するのは、僕はナンセンスだと思います。

【川端委員】
  僕もそう思いますけどね。

【冨山委員】
  だって日本はそういう、だから覇権大国志向ではないのだから、もう今や。

【川端委員】
  もうね。

【冨山委員】
  あと1点だけいいですか。

【濵口主査】
  どうぞ。

【冨山委員】
  うちの業界というか、いわゆる資本主義の世界ですね、産業の世界でいうと、今言われたSDGsとかESGというコンセプトに最後の最後まで抵抗して、やっと最近乗ってきたのがアメリカと中国なんです。これもそういうのがよく似ていて、SDGs、ESGに関してもともと熱心だったのはEUで、日本は割とすぐ熱心になれるんですね、いろいろな諸般の環境上。実際問題、とにかく何がSDGsだ、ばかやろう、株主価値の最大化だとずっとつい最近までアメリカは頑張っていたのですが、トランプ大統領が登場するに至り、さすがのウォールストリートも、最近そればかり言っていると革命にってしまうぞと思い始めたみたいで、やっと乗っかってきています。ちなみに今のコーポレートガバナンスとかの指導原理も、かつては株主価値の最大化だったんです。今、日本のガバナンスコードにしても、これはモデルにしているヨーロッパのOECDのガバナンスコード、更にその原点はイギリスのガバナンスコードですが、この指導原理は基本的にはSDGsとかESGに近いかもしれません。要は会社が社会にできる社会的な経済価値を最大化しようという考え方によって立っているので、そういった意味合いでいうと、実は日本的なるものが、ある時期時代遅れのようになっていたのですが、実は1周回って、向こうの方が1周回ってくれたので、周回遅れだと思ったら世の中が逆回転してくれたので、実は意外と周回遅れではないし、これは本当に今そういう空気になっているし、あと投資家もSDGs投資とかそういうところを選んで投資していくという話が出てきたので、今、石炭会社は大変ですけど、でもこれは本当にリアルな流れとして起きているので、そこはむしろこういった議論をするときにうまくつかんでいった方がいいような気がします。さっき先生が言われた知財とか、あるいはGAFA規制とかというのも、実はEUと日本の立場が一番似てくるんです。その理由は簡単で、日本やEUのようなGAGAもなければ、アリババもないしテンセントもないので、むしろデータの利活用に関してはある種パブリックコモンズ化した方が、こういった国々にとっては多分経済的も社会的にも望ましいという状況が出てきますから、そういったもろもろをかなり戦略的に捉えて物事を進めた方が私はいいような気がしていますし、もともと地方創生の議論は、言い出した背景は、実は全部底流でつながっていて、シンプルにグローバリズムというものを経済的に追い掛ける、あるいはデジタルトランスフォーメーションというのをナイーブに追い掛けてきた結果として格差が広がったという事実があり、どの国でも地方が疲弊したという事実があり、でも実際、人口の大半はそこに住んでいるんですよね、人口の大半はグローバルな人ではないんです。その現実に対したときに社会は物すごく不安定になるし、ある意味で社会はこのようにならないわけで、そうすると、何も考えず、ひたすらナイーブにグローバリズムを追い掛け、ナイーブにデジタルトランスフォーメーションをやっていけば、みんながトリクルダウンで幸せになるという、残念ながら新自由主義経済学者の言ったことはどうも全然現実になってないので、幸い日本は幸か不幸かそっちに余り走らないうちにその時代が終わってしまったので、そういった意味でも今の日本というのは、ある種の世界的な指導原理をこの領域で少ないチャンスが実際あると思っていて、そこは野心的になった方が僕はいいような気がしてます。

【濵口主査】
  そうですね。来年、実はブダペスト宣言から20周年で、ワールドサイエンスフォーラムがもう一回ブダペストに戻ります。全体のテーマが、実はESLI&Responsibility in Scienceなんです。恐らくAI、IoTの問題がメジャーになってくるのではないかと。このGAFAの問題なんかもバックグラウンドにはあるだろうと思います。

【冨山委員】
  実はサイエンスを丸々キャピタリズムに代えても同じなんです、Responsibility of Capitalismなんです。

【濵口主査】
  ダボス会議もよく似た発信をほかに出していますね。AIの九つの課題というのを非常にシャープに出しています、オーバーラップしてきました。そこで見えてくるのは、文理融合だとか、基礎か応用かということよりも、この社会をどうデザインして、いって、そこで科学技術をどう展開していくかというようなストーリーが出てきていて、ある種人文社会的な大きな、永井先生が言われる言葉を使えばビッグピクチャーをきちんと描いていきながら、そこで動きを作っていくような作業が必要になってくるフェーズへ、ひょっとしたら入ってきているのではないかと思いますが、新保委員、御意見はございますか。

【新保委員】
  今後の日本の立ち位置が非常に気になるところです。先ほどのAI、何か負けた感が非常に強いような意見がはびこっているというところについては、それを一蹴できるような戦略が必要であると考えておりますけれども、その一方で、悲観的に考えるとそれに対する反発が生まれて逆に進展することもあるかと思います。そのため、余り楽観論も良くないと言えます。例えば私が取り組んでいるロボット法という分野では、日本はかなり楽観論でずっと突き進んできて、例えば具体的にはスマホは、以前、部品はみんな日本製だと、OSとかプラットフォームは確かに海外の事業者に握られているけれども、部品はみんな日本製だと自信を持っていて、気が付くとほとんど今は開けてみると日本製の部品がかなり低下している。同じくロボットも、日本はロボット大国であるということは明らかだと思いますけども、現時点ではロボット大国なのだと思いますが、これもかなりやはり楽観論が非常に今後いい面と悪い面で非常にいろいろと影響が出てくるのだろうと思います。例えば楽観論についてはロボットが、日本はロボット大国なのでという議論で進んでいくと、結果的にそれについてのまさに規制とか倫理とか法規制については今非常に抵抗が強い。まずEUのように制度をきっちりと決めて、倫理的な指針であるとかそういうものも決めるべきだということを言っても、なかなか産業界だけでなく、法学者も経済学者も含めて規制についての抵抗が非常に強い状況です。しかし、ゲームはルールを作った者が勝ちではないかというところがあるわけですから、ここはEUが非常に上手であると思います。GDPRについても、結果的にはこれは将来的に場合によっては非関税障壁にもなり得るわけですから、こういったところからこういった責任、規制、倫理といったような問題も改めて日本の立ち位置をどうやって考えるかということを考える時期に、ちょうどこのAI、IoT、ロボットという問題が非常に逆に役に立つのではないかと思っています。

【濵口主査】
  非常にダイバーシティのあるいろいろな御意見を頂いております。あと数分ございますので、言い残したということがございましたら、どうですか。

【橋本委員】
  では、2点ほど。まず一つは、若い学生さんたちにいかにサイエンスの方に来てもらうかですが、今いろいろ聞いていると、自分の先輩あるいは研究室の教授を見ていて、あんなふうにはなりたくないと今思っている学生が非常に多い。何かもうつらそうだ、苦しそうだ、時間がない……。

【濵口主査】
  貧しそうだ。

【橋本委員】
  貧しそうだ。そうすると、やはりああなりたいと思わないと、なかなかその分野には人が来てくれないと思います。ですから、金銭的なインセンティブもそうですが、何か楽しそうに研究しているというのは見せる必要があるのかなというのが一つです。
 それともう一つは人材の流動性ということで、大分議論もされていますが、日本の場合は非常に流動性が低いと思います。私自身も海外にいましたし、外資にもいまして、そこで見ていると本当に人はしょっちゅう動くんですね。例えば大きな企業がリストラをすると、日本だと大騒ぎになりますが、そういうときに結局企業を助けるのではなくてそこにいた人を助ける、その人たちが次の仕事に就けるようないろいろなトレーニングをしてみたり、サポートすると、そこが非常に発達しているわけです。そうすると、そういう人たちがまたある企業から出てきても、小さい会社を作ってみたり、フリーランスで活動したり、そうするとある意味で日本の大手企業が抱え込んでいたようないろいろなノウハウ、知識が外に出ていくんですね。そうすると、そういう人たちが集まって何か新しい会社を作ってみたり、新しい技術を発展させたり、そういうときにフリーの流動的な層がどれだけあるかというところが次のものが出てくるスピードの違いかなと思っています。今、日本でこういった小さいベンチャーが幾つか出てきていますが、いざこうやると例えば、人を採用するときにどうしようかとか、財務をどうしようかとか、いろいろな会社として必要なファンクションがあって、そういう人たちを全部集めてくるのは随分大変で、なかなかベンチャーに来てくれない。人材流動性を上げて、そういう流動的な層をどれだけきちんと抱えておくかということが、新しいものが出てきて動き始める活力になるかなと思っていますので、何かそういうものもこの中に入れていただけるといいのかなと思いました。

【知野委員】
  1点、付け足したいのですがよろしいですか。

【濵口主査】
  どうぞ。

【知野委員】
  一般の人は科学技術に特に関心を持っているわけではないと思います。事務局から頂いた資料を読みながら感じたのは、すごく難しい言葉が多い、新しい言葉、片仮名系とかアルファベットとか、今ここで議論してもそういう言葉が多くて、多分新聞記事なんかでは使えない言葉がたくさん並んでいると思います。第6期科学技術基本計画ができ、紹介するときにこれではちょっと難しいかなと思うので、そのあたりのかみ砕き方、わかりにくい内容は片仮名とかアルファベットにしてしまいがちですが、その本質をもう少し捉えて書いていくというのが、議論の過程でも出していけるといいと思いました。
 以上です。

【濵口主査】
  ありがとうございます。すごく貴重な、大事なポイントですね。

【冨山委員】
  共通していますよね、政府の言っていること。

【濵口主査】
  中身を分からなくしたいのかなと思うときが度々あるんです。

【冨山委員】
  済みません、これは未来の話でしょう、本質的に科学って。この前、財務省の財政審でも同じ問題があって、財務大臣に建議を出すんです、半年に1回。また難しいのが並んでいて、読売の老川さんも出ていますけど、みんなマスコミの重鎮も出ているわけです。基本的にはそれは報道してもらおうと思って重鎮にも入ってもらっているのですが、結局中でどんな議論しているかというと、経済学のややこしい議論をしているのです、この言葉の使い方がいいとか悪いとか、学術用語の。だけど恐らく、それで最後の最後の締めが、要するに財政審というのは将来世代の代理人としてこれ以上の財政の悪化を踏みとどめる、体を張って止めなきゃいけないとか書いてあるんです。ところが、将来性の話は、多分あれを読んでも全然分からない。だから題にされている方がびっくりするような中身なので、まさに知野さんが言われたように、結局、将来世代、今の30代、20代、場合によったら10代ですよね、彼らにどうアピールというか伝えられるかというのがないと、きつい言い方をするとインテリのおじさんとおばさんが集まって何か自己満足に浸っているみたいなものになってしまうので、ここは私も全く同意見でどう伝えるか、それからメディアですね。例えば、残念ながら将来世代の人たちは余り新聞を紙では読んでいません。テレビもひょっとするとリアルタイムは見ていない。ドラマとかは録画で見ているだけだったりするので、そうすると、要は国民全般の、もちろんだから割と比較的高年齢層はまだ新聞も読んだり、テレビも見ていますが、こういう未来の話をする、それからあときょう出ているように若い人たちがサイエンスの領域に行きたいと思うかどうかというのは、まさにロールモデルは今ないんです。だけど、例えば今回のアメリカで僕も経験したのは、結局若い才能のある人への殺し文句は、今はそこそこ貧乏にはならないという前提がクリアできるとすると、change the world in be a better placeなんです。俺と一緒に世界をよくしようぜ、俺と一緒にこの地域をよくしようぜ、俺と一緒にこの会社をよくしようぜというのが殺し文句なんです。そこが明らかに人々の気分は若い人ほど、逆に言うと豊かな時代の若い人たちというのはそんなに飢えていないので、むしろさっき先生が言われたように余りそういうことは実は気にしていないんです。でも、そんなことよりも仲間から「いいね」してもらいたいんです。要は自己実現というか、やっぱり俺たちが新潟県をよくしているのだとか、俺たちが和歌山県を、うちの田舎は和歌山ですけど、よくしているんだということをやっていることが目に見えた形でできると、きっとすごくリスペクトされるという感じに対する欲求感は、逆にそれは強いんです。そういう意味でいうと、彼らは自己承認欲求が満たされてないんです。日本という国はむしろ満たされにくい時代に今はなってしまった。だからそこは彼らにそういう、いろいろな意味でこういった話というのが彼らにとってそういう自己実現のチャンスがむしろいっぱい転がっているのだと、これからの時代、そこを伝えていくということが物すごく大事で、そうすると、さっき永井先生が言われているような、だからむしろ彼らにビッグピクチャーを伝えて、その中でこんなにチャンスがあるということを教えてあげるというのは、僕はすごく大事なような気が、あなたの発言を取ってしまって悪いのですが、仰るとおりだと思います。

【永井委員】
  そういう意味で、科学も生き方もそうだと思いますが、不確実さに立ち向かう精神が大事です。科学はややもすると合理的精神を追求してきたのですが、不確実な世界に立ち向かう科学技術が、非常に重要になってきていると思います。AIにしても、インフォマティクスにしても、日本の場合、そうした不確実さに立ち向かう精神や科学技術の考え方が、弱かったのではないかと感じます。そこを一つ大きな枠組みとして、報告書に打ち出していただきたいと思います。AIも推測のツールですから、確実な科学ではありません。そうした動きを、新しい科学技術として受け入れるところまで、日本は成熟していないのではないかという気がします。

【濵口主査】
  ありがとうございました。議論は尽きせぬ思いがありますけど、最後の方で非常に貴重なお言葉も頂いたと思います。今日のお話をまとめていただいて、次回以降の3回はもっと掘り下げた議論ができればいいと思いますし、第5期基本計画のレビューも少しもう一回思い出す議論を入れていただいて。でも、課長さんたちに余り長い説明をしていただかなくてももう結構なので、なるべく議論ができるような環境にしていただいて、本当に12月、1月はお忙しい時間ですけどもなるべく確保していただいて、参加していただくようにお願いしたいと思います。
 それでは、事務局に事務連絡をお願いしたいと思います。

【井上企画評価課長】
  事務連絡を行う前に、本当に本日は幅広い御知見、視点から様々な御意見を頂きましてありがとうございました。今濵口主査からもありましたように、この総合政策特別委員会、一つの科学技術・学術の分野を持っているわけではありませんので、本当に広い視点から御議論いただいて、余り事務局からの説明は長くせず、先生方から頂くことによっていろいろな宝物が出てくるのかなと感じております。
 先ほど御意見を頂きました伝え方ですね、言葉が難し過ぎると。これはもう本当に公務員人生を通じて反省すべき点ですけれども、ということは、まだまだかみ砕けていないということの反証でもあると思っていますので、それを我々自身も先生方とキャッチボールをさせていただきいながらやっていきたいと思います。最初に私が申しました、庄田先生からも御指摘いただいた文部科学省として何を議論すべきか、だからこそ議論すべきことをこの場でやっていきたいと考えておりますので、よろしくお願いします。
 次回の会議が12月21日になりますが、それまでもこういう会議に出てこういう情報があったとか、こういう視点、論点というのがあるのではないかというところがありましたら、数行のメールでも結構ですので頂ければと思いますし、先ほどありましたインタビューの際には上の方だけではなくというお話もありましたが、こんな面白い人がいたので、事務局は聞きに行ったら、というようなこともありましたら、随時御連絡いただいて進めていければと思っておりますので、是非よろしくお願いいたします。
 事務的な連絡はこの後させていただきます。

【小野山企画評価課課長補佐】
  本日の議事録は後ほど事務局より皆様にメールでお送りさせていただきますので、お手数ですけども御確認いただいて、その上で文部科学省ホームページに掲載させていただきます。
 事務局からは以上になります。

【濵口主査】
  ありがとうございます。
 それでは、本日の総合政策特別委員会を終了いたします。12月にまたお待ちしておりますので、どうぞ御出席いただけますよう、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

お問合せ先

科学技術・学術政策局 企画評価課

(科学技術・学術政策局 企画評価課)