東日本大震災を踏まえた今後の科学技術・学術政策の検討の視点を踏まえた各分科会等における審議状況について(研究計画・評価分科会) 報告

平成24年1月24日
研究計画・評価分科会

第5期に設置された基本計画特別委員会では、S(科学)とT(技術)に、I(イノベーション)を加えたSTIへの転換が提言された。しかしながら、我が国観測史上最大の地震やそれに伴う原子力発電所事故等による未曾有の災害を踏まえ、新たにR(リコンストラクション(再建)、リフォーム(改革))を加えたSTIRを政策の基調とすべきである。

こうした考えのもと、今後、科学技術・学術審議会においては、東日本大震災の現状を踏まえ、科学技術・学術の観点から真摯に検証を行う。その上で、国家的危機の克服と復興、環境変化に強い社会基盤の構築への貢献を視野に入れ、我が国の存立基盤である科学技術・学術の総合的な振興を図るために必要な審議を進めていく。

その際、総会及び各分科会、部会、委員会等においては、これまで以上に「社会のための、社会の中の科学技術」という観点を踏まえつつ、以下の視点に留意し、検討を行う。特に、科学技術・学術の国際連携と、自然科学者と人文・社会科学者との連携の促進には十分配慮することとする。

(総論)

第4期科学技術基本計画(平成23年8月19日閣議決定)で示されている重要課題の達成に向けて、各委員会における推進方策の検討に当たっては、「研究計画・評価分科会における審議事項について」(平成23年2月15日分科会決定、7月21日一部修正、9月27日一部修正)の中で、科学技術・学術審議会から示された「東日本大震災を踏まえた今後の科学技術・学術政策の検討の視点」(平成23年5月31日)に留意して進めることとしている。

各委員会では、「社会のための、社会の中の科学技術」という観点を踏まえ、国際連携、府省間連携、産学官連携、学際研究・分野間連携の重要性について指摘され、例えば、革新的な要素技術の研究開発に加えて社会科学を含むシステム科学等の総合的な推進、新技術の早期の社会実装、被害を受けた後の早期回復力を備えた“しなやかな社会”の実現に向けた研究開発等について、検討を行っている。

例えば、都市や地域のシステムが抱える様々な脆弱性を緩和・解消し、自然災害のみならず、人的や複合的な様々な災害や環境変化に対して、強くしなやかに、かつ持続可能な形で対応しうる社会を実現するため、自然科学と人文・社会科学を融合した実践型研究開発等を平成24年度から新たに実施する。

1.東日本大震災についての科学技術・学術の観点からの検証

震災下において、科学技術・学術の観点から、適確に機能した面、機能しなかった面、想定が十分でなかった面はどういうところか。

これらの検証により判明した震災からの教訓や反省を踏まえ、今後の科学技術・学術政策を進めるにあたって、改善すべき点、取り組むべき点、新たにルール化すべき点は何か。また、研究開発を推進するための環境や体制を変化に強いものにする方策として何が必要か。

(1)的確に機能した面

  1. 全国に整備された地震観測網を活用した緊急地震速報の実用化により、東北地方太平洋沖地震時の鉄道の緊急停止に活かされた。
  2. 都市ガスやLPガスのマイコンメータが普及し、震度5弱以上の揺れで、ガスが自動的に止まるようになったため、阪神大震災のような出火による火災が減少した。
  3. 阪神大震災以降、耐震化が進み、地震の揺れによる公共施設等の倒壊が比較的少なかった。
  4. 航空機による放射線モニタリングや物資輸送等、航空機が被災地支援に多大な貢献をした。 

(2)機能しなかった面、想定が十分でなかった面

  1. 海域での地震観測網の整備が進んでいないことに加え、通信回線の途絶等により津波の高さ等の正確な情報がリアルタイムで把握できなかった。
  2. 想定を超える規模の災害への対応が国や自治体等において検討されていなかった。
  3. 情報通信及びライフラインが長期間途絶するなど、広域複合災害への備えが乏しかった。
  4. 災害に関する古文書の利用や地層分析を最も起こりうる地震に対する視野にとどめたため、より長期的な視野での想定が不十分であった。
  5. 地震・津波、危機管理、情報通信システム、災害時の医療、さらに地震や津波及びそれらの複合災害等に対する設計基準を超えた原子力発電所事故への対応等、数々の課題が顕在化した。

(3)改善すべき点、取り組むべき点、新たにルール化すべき点

  1. 各府省ですすめられている東日本大震災に関する様々な検証や調査を次世代に確実に引き継ぐため、国全体として記録を残すことが必要である。
  2. 伝承を踏まえ、すべきことを科学的な裏付けをもって整理し、独自の判断で高所に逃げるなど実践的な訓練が行われてきた釜石市等の防災教育は効果的に活かされたとされるが、犠牲者が出た他の事例と比較すること等により、成功要因や不適切要素の導出を行うなどの検証を行うことが重要である。
  3. 災害等に強いITシステムの構築、地震・津波等の被害軽減のための高度なシミュレーション、IT統合システムの防災オペレーションへの応用、風評被害等を避けるためのリアルタイムメディア解析技術の構築などを進める。
  4. 巨大海溝型地震に関する基礎研究を強化する。
  5. 古文書等の人文・社会科学的な証拠について蓄積されたデータを共有化し、さらに地形・地質学的な痕跡も徹底的に洗い出し、より長期的な視野で地震活動の歴史的評価を見直す。
  6. 震災の状況及び対応、復興過程を体系的かつ科学的に調査・検証する。
  7. 自然科学と人文・社会科学双方の多様な専門的知識を結集するとともに、その研究活動や知見を統合して状況認識を統一する枠組みを構築する。
  8. ハード面の限界が露呈し、市民の平時の備えと瞬時の判断が生死を分けたことが明らかになった今、国民一人ひとりがなすべき事を考え柔軟に行動し、自分で自身の命を守る力を持つことが重要である。このため、人間行動学などの人文・社会科学との連携がさらに必要となっている。
  9. ハード面に加え、防災・危機管理教育、災害経験の伝承、避難・救急と復旧・復興体制の整備、災害時の情報システム及び医療システムの強化、リスクコミュニケーション等、ソフト面での対策の充実を図り、ハードとソフトが連携した総合的な研究を推進し継続的に見直す。
  10. これまで、生物遺伝資源(バイオリソース)のバックアップに向けた取組が進められてきたが、大震災によってその重要性が再確認された。このため、震災後、緊急性の高いリソースについては一部バックアップ措置を行ったが、特に一度失われると二度と復元できないリソースについて引き続きバックアップ措置を行う。
  11. 東日本大震災による電力供給の問題、施設維持の問題等を教訓に、重要な研究基盤は、リスク分散の観点から複数の拠点に設ける。

2.課題解決のための学際研究や分野間連携

社会が抱える様々な課題の解決のために、個々の専門分野を越えて、様々な領域にまたがる学際研究や分野間の連携がなされているか。特に、自然科学者と人文・社会科学者との連携がなされているか。

また、社会が抱える様々な課題を適確に把握するための方策は何か。課題解決のための学際研究や分野間連携を行うためにはどのような取組が必要か。

さらに、これらを支える人材育成のための方策として何が必要か。

(1)学際研究や分野間の連携

  1. 従来のライフサイエンスやバイオテクノロジーと、ナノテクノロジー・材料科学技術を融合して新しく生まれた研究分野は、「ナノバイオ(テクノロジー)」と呼ばれており、これは、異分野との親和性の高さが発揮され、融合分野が生まれた典型例と言える。

(2)課題解決のための学際研究や分野間連携を行うための取組

  1. 研究者が課題達成に向けた各分野との連携といった一連のシナリオを理解するため、課題毎にどの分野と連携すべきか、課題達成のために留意すべき事項を明確に翻訳する、もしくは明確なシナリオを俯瞰的にきちんとつくる作業が必要である。
  2. 具体的な手法等を活用して社会を構成している人工物から自然まで全部を計測し、社会全体を一体として捉えることが、分野間の連携を推進する具体的な方法になっていくという視点が重要である。
  3. 自然科学と経済社会システム変革の相互関係、環境・エネルギー技術の実効性及び国民ニーズへの適合性、その導入に関しての利害調整、リスクコミュニケーション及びそれを踏まえた国民的合意形成、科学技術面からの外交政策など、人文・社会科学領域との連携・融合を図る。
  4. ネットワークの維持、発展を図るとともに、そこで生み出された優れた成果を組み合わせ、活用を図ることにより、社会が要求する課題に挑戦する姿勢を研究者側から明確に打ち出す。
  5. 研究成果の実社会への活用を見据えて、運用・活用側の社会からのニーズと研究開発側のシーズを把握し、さらにそれを研究成果や研究課題の選定に反映を図る仕組みを構築する。
  6. 研究開発を実施する際には、産学官、各界との人的・知的交流を促進することにより、関連研究機関や産業界、学会等を交えた研究ニーズ、シーズのマッチングを図り、研究開発の方向性を互いに共有する。
  7. 府省間連携や分野を超えたネットワークの構築は、危機管理や震災対応における最重要課題である。特に今回の地震・津波災害、原子力事故後の環境修復においては、従来の土木建築分野に加え、農学、原子力、化学など様々な科学技術で関連分野の横串的な連携の必要性が明らかになるとともに、人文・社会科学系との連携の必要性も強く認識させられたことから、共通の認識を共有できる人づくりをベースとして、各分担者の持分が生かせるシステムを考える。
  8. 自然科学者、人文・社会科学者が一体となり、科学的知見、倫理的知見からの価値判断ができるような科学技術全体の横串連携を実現するネットワークを構築する。

(3)人材育成

  1. 国際的に開かれた人材育成環境を構築し、国際的な人材交流を活性化することにより、社会の多様な要請に応え、広く産学官・市民にわたりグローバルかつ分野横断的に活躍するリーダーを育成する。
  2. 若手のポテンシャルを有する研究者の幅広い方面からの積極的な参画を促し、アクティビティーの高い研究活動と優れた研究成果を生み出すような人材育成機能も併せ持つ研究プロジェクトは極めて有意義と評価できる。
  3. 防災科学技術にとどまらない新たな付加価値を創出し、イノベーションをもたらすことができる人材を産学官連携により育成・確保していく。
  4. 社会の課題解決を起点とした研究開発においては、異分野の人材が集結するネットワークや研究開発拠点において、共用施設・設備等を活用するなど、研究と教育が一体となった人材育成をすすめることが重要である。
  5. 人材を育成するために、若い頃から異なる組織や文化を経験し、複数の分野の知識を活用して問題を解決する多様な視点や発想を柔軟に取り入れられる素養・能力の向上に向けた実践的な演習等の充実を図る。
  6. 一般市民の関心事・情報ニーズを理解し、それを技術者と専門家に伝え、適切な科学情報を分かりやすく伝えることのできる人材を育成する。

3.研究開発の成果の適切かつ効果的な活用

様々な研究開発の成果が、適切かつ効果的に結集され、社会が抱える様々な課題の解決に結びついているか。

また、研究開発の成果が、課題解決のために適切かつ効果的に活用されるためには、どのような取組が必要か。

(1)様々な研究開発の成果が、社会が抱える様々な課題の解決に結びついているか

  1. 政策決定における研究成果の活用が十分に行われていない。
  2. 平常時から科学者と直接的・間接的に関係する全ての人、団体、機関、地域、行政といった利害関係者(広義のステークホルダー)間でのニーズや技術シーズに関する情報交換、情報共有、コンセンサスの形成等の連携・協働が十分でなかった。

(2)研究開発の成果が、課題解決のために適切かつ効果的に活用されるための取組

  1. 平常時から科学者と利害関係者(広義のステークホルダー)間でのニーズや技術シーズに関する情報交換、情報共有、コンセンサスの形成等を行うとともに、その中で、例えば課題解決のために重要なキーテクノロジーは何なのか、必要な技術や条件は何か、という科学技術開発のためのシナリオを明確にすることが重要である。また、課題解決のための技術が出揃った段階では、それら技術を社会実装し、実用化に向けた課題達成を図っておくことが必要である。
  2. 研究機関側も政策の判断を助ける客観的な科学的知見や方法論を積極的に提供することが不可欠であるため、政策及び社会的ニーズを研究活動に反映させるとともに、研究者の知見や研究成果を政策に的確にフィードバックさせるための相互情報交換システムとなる場の形成と活用を進める。
  3. 目標設定の段階から市民、産業界、行政も参加した応用分野の研究者や人文・社会学者との連携の場を設け、あらかじめ課題と関係する領域(セクター)における問題意識、課題を巡る状況、情報科学技術への具体的期待、さらには研究成果に期待される社会的意義や社会的効果、考えられる社会的影響やマイナス面、研究成果を実用化するにあたっての社会制度・システム面での課題等について十分把握し、課題達成としての妥当性を議論し、共通理解を得る。
  4. 今問題になっているのは、我が国は研究開発結果の社会的実装の検証という視点が弱く、遅れていることであり、そのことに留意する必要がある。
  5. 研究成果について、社会の様々なユーザ等の利害関係者(広義のステークホルダー)との連携の強化を図り、研究成果の実社会への活用を見据えて、運用・活用側の社会からのニーズと研究開発側のシーズを把握し、さらにそれを研究成果や研究課題の選定に反映を図る仕組みを構築する。
  6. 今回の震災対応でうまく行かなかった点、問題として指摘された点の分析を行い、それらの課題に対するシステムを構築し、実践的な面からの検証、検証に基づいた修正を行い、システムを強固なものへ築き上げて行くPDCAサイクルを確立する。
  7. 大学等の研究機関でしかなし得ないような希少な事例を対象とした橋渡し研究は重要であり、今後さらなる大学間の協力体制を整備するとともに、社会、企業、行政の協力を得られるような体制を構築する。

4.社会への発信と対話

研究者、研究機関、国等が、科学技術・学術に関する知見や成果、リスク等について、情報を受け取る立場に立った適切な表現や方法で、海外を含めた社会へ発信し、対話できているか。

また、社会への発信や対話を一層促進するとともに、国民の科学リテラシーを向上するためにどのような取組が必要か。

(1)社会へ発信し、対話できているか

  1. 地域の特性に応じて、住民等がリスクをどのような考えのもとに受容して行くかの合意形成を進めておくことが十分でなかった。

(2)社会への発信や対話を一層促進し、国民の科学リテラシーを向上するための取組

  1. 科学リテラシーという言葉あるいは科学という言葉の中に、ややこれまで日本がメカニスティックな科学を重視し過ぎていなかったか振り返ってみる必要がある。特にリスクの評価や将来予測など、古文書まで含めたデータを多数集めて推測していくという、いわゆる統計に基づく推測する科学を日本として見直す契機とすべきである。
  2. 科学的、倫理的視点から社会システムにおける価値判断が可能となるよう自然科学と人文・社会科学の連携を進め、真に国民に必要とされる環境・エネルギー技術の研究開発を推進するため、自然科学、社会科学、人文学の各分野の研究者間で議論する。
  3. 国・自治体・大学・研究機関・企業等が広く参画した防災に関するデータベースを構築し、これを将来の防災に活用するためのシステムを整備するとともに、防災科学技術に関する関係者間の連携を促進する場を構築する。
  4. 我が国において、国際的な協力体制を先導できる人材や国際共同研究プロジェクトを主導できる人材を育成することに加え、将来この分野に貢献する海外からの留学生の積極的な受け入れ等が可能な安定した環境作りを行う。
  5. 特に防災分野では研究活動そのものに一般市民の参加が必要となる場合も多いが、科学リテラシーを向上するため、科学に関する知見や成果、リスク等について、行政機関や地方公共団体との密接な連携の下、早い段階からの教育も含め、一般市民への普及・啓発活動を活発に行いつつ研究を推進する。
  6. 期待される効果、潜在的なリスク等について、国民との認識を共有できるよう、国民を対象とした専門家によるコミュニケーション活動を普及させるとともに、メディアを対象とした普及活動も積極的に実施する。
  7. 「安心文化」の構築には、信頼が重要であり、情報発信者に対する信頼と、科学技術と社会との間における信頼が、安心と強く結びつく。このため、種々の問題を包括する科学技術に関しては、その評価をしっかりと行う体制を整え、科学技術が社会に及ぼす影響について科学界から海外を含めた社会へ常に問いかけと説明を行う。
  8. 東日本大震災を経験して、日本の科学者、技術者が一体これからどうしようとしているのか、この震災をどう総括したかということを積極的に海外に発信すべき。
  9. 科学への信頼の形成のためには、多方面の専門家、職種、考え方の人々の意見を総合し、社会、環境、科学技術そのものについての正しい評価が必要であり、「情報開示→分析・解析→討議→あるべき方向性の模索」というサイクルが機能するよう、教育、講演、実地訓練、公開インタービューなどのコミュニケーションのシステムを的確に設けてゆく。
  10. 国民が、独自に情報を入手するために、関連する知識、専門技術、専門家などの科学技術的知見に関する情報を集約する仕組みを整備する。
  11. 社会科学的な側面から、不安の心理についての要因分析やその形成メカニズムの解析を行い、これを風評被害などの防止に活用する。

5.復興、再生及び安全性の向上への貢献

被災した広範な地域・コミュニティの様々なニーズや、復興、再生にあたって直面する問題をきめ細かく捉えているか。また、それらを踏まえ、科学技術・学術の観点から、復興、再生、安全性の向上及び環境変化に強い社会基盤の構築のためにどのような貢献ができるか。その際、国土のあらゆる地域で自然災害への備えが求められる我が国の地学的状況を踏まえることが必要である。

(1)復興、再生、安全性の向上及び環境変化に強い社会基盤の構築のための貢献

  1. 復興、再生の観点から、特に福島県を中心として環境修復、環境再生、或いは環境創造が重要であり、これらに関連する科学的な研究開発を進める必要がある。
  2. 自然と共生するために、地球観測・予測、統合解析システム等の技術を、社会を支える基盤的情報として位置付け、地球環境の変動を正確に把握し適切に対応する。
  3. 安全・安心を念頭に置いたエナジーセキュリティの研究開発を進める必要があり、例えば、突然の停電や十分な電力源のない場所でも必要最低限の電力確保を可能とするための蓄電システムや、未利用エネルギーを電気エネルギーに変換するデバイスを開発する。
  4. 地震・津波の被害軽減、高度な気象予測、全地球的な長期気候変動予測等のシミュレーションの高度化を進める。
  5. 社会の防災力の向上のための研究開発として、(ア)ハザードを知り予測するための研究開発、(イ)リスクを知り予測するための研究開発、(ウ)災害に対して物理的環境を強くするための研究開発、(エ)災害に対して社会・人を強くするための研究開発を推進する。
  6. 科学技術的手法によって得られた客観的根拠やデータを地域住民に提示・共有しリスクリテラシーの向上を図るとともに、従前の一方向的な「説得」に基づく合意形成から、客観的根拠やデータに基づく双方向のコミュニケーションや熟議を通じた住民主体の「納得」に基づく合意あるいは政策形成へのプロセスの転換を行う。
  7. 持続可能な形で復興及び安全・安心な社会・都市・地域づくりを進めていくべき主体は、各々の地域であり、市区町村などの自治体であるが、一方で、今回の震災においても市町村単位では対応できなかったことも多く、広域的な行政組織が必要だった面もあったことを踏まえ、国の支援のもとで研究開発にはこれら広域的な行政組織を含めた自治体の職員や地域の住民、学校、企業、NPOなどの利害関係者(広義のステークホルダー)が参画し協働しつつ、住民へ専門的知識や研究開発によって得られたデータ等を提供し、また、住民及び政策決定者に対して複数の選択肢や将来予測を提示するとともに、研究開発終了後もその取組みを自律的に継続・発展させる。
  8. 東北メディカル・メガバンク構想(東日本大震災の被災地域の医療復興に大きく貢献する予防医療・個別化医療等の次世代医療実現のため、ゲノムコホート研究(遺伝情報を含む長期疫学研究)等を実施)は重要である。

 

お問合せ先

科学技術・学術政策局計画官付

(科学技術・学術政策局計画官付)