戻る


1.課題名: 新産業基盤「未踏光学(テラヘルツ光)」開発・創生プロジェクト

2.課題概要: 幅広い分野での利用が期待されている、未踏の光「テラヘルツ光」について、その利用技術の実用化を図るため、テラヘルツ光源の高度化、イメージング検出器の開発、先端的な利用技術等の開発を行う。

3. 評価の検討状況
(1)課題設定の妥当性(必要性)
1 国の方針との適合性
  テラヘルツ光は、その波長領域が開拓されていない光のフロンティアであり、被ばくや損傷が少なく広範な分野においてその利用が期待されている。政府主導の下、産学官で協力してイメージングシステムを開発し、新しい産業基盤ツールとして効率的に全国的な普及を図ることで高い経済活性化が見込まれることから、「経済活性化のための研究開発プロジェクト」の趣旨と合致するとともに、基盤技術の新たな領域開拓につながるものであり国の方針と適合している。

2 リーディング・プロジェクトとしての妥当性
プロジェクトの基本的性格
   本プロジェクトについては、その波長領域の利用が未だ開拓されていないテラヘルツ光について、光源の高度化及びイメージング検出器の開発を行うことにより、幅広い産業分野における基盤ツールとして、5年後の実用化を目指した研究開発を行うとともに、更なる発展のための基盤技術開発を行うものであり、DNAチップの解析の高度化、各種非破壊検査装置への実用化が比較的短期間で期待されるとともに、次代の産業基盤の構築に資するものであり妥当である。
研究開発成果の持つ経済活性化効果等(実用化された場合の社会・経済へのインパクトを含む)
  本プロジェクトにおいて、テラヘルツ光源の高度化、イメージング検出器の開発を行うことにより、各種検査装置等へのその幅広い利用が見込まれており、高い経済活性化効果が期待される。
研究開発成果の目標とスケジュール
  テラヘルツ光源の高度化、検出器の開発、イメージングシステムの開発、基盤技術の開発等を5年間で行う研究計画を作成し実用化を図ることとしており、スケジュールは妥当である。また、テラヘルツ光利用技術の更なる発展が期待されることから、基盤技術に関する研究を併行して行うことには意義がある。
大学等と産業界の役割
  テラヘルツ光の発生・制御に高い技術力を有する理化学研究所、テラヘルツ基盤研究を実施する大学等、テラヘルツ光技術の実用化を目指した民間企業との相互に連携し共同研究を実施することとしており妥当である。
政府部内における既存制度における研究開発課題及び他の経済活性化プロジェクトとの関係
   研究機関、大学等及び民間企業等で基盤的研究を実施しているが、本プロジェクトではそれらの研究ポテンシャルを結集しテラヘルツ光を実用化のための研究開発を行うものであり研究課題として適切である。

(2) 手段の適正性(有効性・効率性等)
1 研究体制の妥当性
研究責任者(プロジェクトリーダー)の適否
   本プロジェクトのプロジェクトリーダーは超伝導素子を用いたテラヘルツ光イメージングに関する専門知識に通暁し、かつ世界的なテラヘルツ光利用に関する動向を見据えて研究開発をリードしている。また、理化学研究所副主任であり、研究開発期間を通してプロジェクトの運営に責任を持って携わることができ、プロジェクトリーダーとして適任である。なお、参加研究者の中には、実用レベルのテラヘルツ光源を開発した実績のある研究者が含まれている。
研究体制及び研究運営方法の妥当性
   テラヘルツ光の発生・制御に高い技術力を有する理化学研究所を中核機関として、参加機関よび参加企業および外部有識者からなる「テラヘルツ光利用プロジェクト推進会議(仮称)」を開催し、運営方法等について検討を行うこととしており妥当である。

2 研究計画の有効性・効率性
費用対効果
   試料に損傷を与えないDNA・蛋白等診断装置、各種製品の非破壊検査装置、人体に安全な各種診断装置、郵便物検査装置、異物(細菌・薬物)の検出装置などのテラヘルツ光を用いたさまざまな新製品およびサービスが創出され、高い費用対効果が期待される。
知的財産の取得・活用方針
   本プロジェクトにおいて創出された知的財産については、特許等を戦略的に取得するとともに、第三者にも広く特許の許諾しその活用を図ることとしており妥当である。

4. 評価結果
  本プロジェクトによりテラヘルツ光技術の実用化を目指しており、我が国発の知的財産を保護しつつ、早急にプロジェクトを実施し、幅広い用途における利用を可能とすることが重要である。

ページの先頭へ