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1.課題名: 高度即時的地震情報伝達網実用化プロジェクト

2.課題概要: 主要地震動(S波)の到達前に、発生した地震の位置、時間、規模等を関係機関に伝達し、自動的に防災措置を講ずることを目指す

3. 評価の検討状況
(1)課題設定の妥当性(必要性)
1 国の方針との適合性

  主要地震動到達前の防災措置が実用化すれば、新たな市場が生まれ、経済活性化に寄与すると期待される。
  本課題は、地震調査研究推進本部「平成15年度の地震調査研究関係予算概算要求について」(平成14年8月28日)及び中央防災会議「今後の地震対策のあり方に関する報告」(平成14年7月4日)にもその推進が盛り込まれている。また、平成15年度資源配分の方針の社会基盤分野における「過密都市圏での巨大災害対策」及び「超高度防災支援システム」に該当する。

2 リーディング・プロジェクトとしての妥当性
プロジェクトの基本的性格

3〜5年以内の実用化を目指す。

研究開発成果の持つ経済活性化効果等(実用化された場合の社会・経済へのインパクトを含む)

  本プロジェクトにより、新たな市場の創出が期待され,さらに経済損失の回避の効果もあり、経済活性化に十分寄与する。
21世紀前半にも襲来が確実と想定されている大都市大震災による社会基盤の喪失と大量死傷者発生の低減をはかることにより、経済活動と市民生活、自治体運営の安定的発展に大きく貢献することが期待される。

研究開発成果の目標とスケジュール

  本プロジェクトの目標はプロトタイプの開発である。この開発に当たり3〜5年の研究期間を見込んでいるが、解析処理技術の開発に限らず、地震情報のニーズ調査や実証実験も含まれており、実用化のスケジュールとしては実現可能な計画となっている。

大学等と産業界の役割

  大学において行われている都市災害の軽減化の研究成果を参考にした開発を進めることとしている。
  リアルタイム地震情報利用協議会を活用し、プロトタイプの開発に企業等の共通ニーズを反映するとともにユーザーごとの個別のニーズに即したシステムの開発を企業が行うこととしている。

政府部内における既存制度における研究開発課題及び他
経済活性化プロジェクトとの関係

  国土交通省の「リアルタイム災害情報の開発」及び総務省との「次世代GISの実用化に向けた研究」と連携して行うこととなっており、各省の連携及び役割分担は明確である。

(2) 手段の適正性(有効性・効率性等)
1 研究体制の妥当性
研究責任者(プロジェクトリーダー)の適否

  本研究の第一人者であり、外部での研究関連状況もよく把握している。

研究体制及び研究運営方法の妥当性

  防災科学技術研究所、気象庁及び企業が各々の役割に沿った部門に配置されており、十分な成果が期待される。一方で各機関の連携が重要であり、早期の連携体制の強化が望まれる。

2 研究計画の有効性・効率性
費用対効果

  防災の分野においては、費用対効果については経済活性化の効果だけでなく、経済損失回避と双方合わせた形での評価が必要。

知的財産の取得・活用方針

  防災といった公共性の高い分野での研究であるため、開発者のみならず広く国民に還元されることが前提である。

4. 評価結果
  プロットタイプの開発に際しては、地震災害時にわが国として守るべき対象(中枢機能等)を明確に意識すべきである。すなわち、研究期間終了後も、わが国を支える政治・経済・社会の基幹システムで実際に利用されると同時に、将来新たな利用者が参入できることを前提として、情報利用の標準フォーマットを確立し、その仕様に基づく利用のプロトタイプ・システム構築を成果目標とすべきである。
  また、本プロジェクトの開発により、他の中長期的な、官民の地震対策が不要となると受け取られないよう留意すべきである。

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