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1.課題名: 次世代型燃料電池プロジェクト

2.課題概要: 燃料電池の本格的普及に向け、高性能・低コストの高温運転型次世代燃料電池を実現する革新的材料開発と電池性能の実証を行う。

3. 評価の検討状況
(1)課題設定の妥当性(必要性)
1 国の方針との適合性
  巨大市場が見込まれ世界的に激しい開発競争が展開されている本分野で今後、世界をリードするには技術開発の一層の加速と重点的な人的・資金的資源投入が不可欠である。産業へ波及性、発展性等経済活性化の観点から重要な施策であり、推進方策及び資源配分方針にも合致している。

2 リーディング・プロジェクトとしての妥当性
プロジェクトの基本的性格
  本プロジェクトは次世代燃料電池の実現に必須となる次世代用革新材料の開発を目指すものであり、メーカーでの実用化が5〜10年後となるが、次代の産業基盤の構築に資することが期待される。

研究開発成果の持つ経済活性化効果等(実用化された場合の社会・経済へのインパクトを含む)
  燃料電池の本格的普及に資するものであり、2010年までに国内で約1兆円が見込まれる巨大市場で関連産業、雇用への大きな波及効果、競争力強化が期待される。

研究開発成果の目標とスケジュール
  5年間で次世代燃料電池の中核となる革新的材料開発・性能実証を終えるものであり、燃料電池実用化戦略研究会の答申(2001年8月)等に示された実用化・普及に向けた技術シナリオにも沿ったものである。

大学等と産業界の役割
  大学の革新的材料に係るシーズを活用し、自動車・定置用燃料電池、材料開発等に係わるトップメーカーとの連携の下に開発・性能実証するものであり、参加企業による人的・資金的コミットおよびその後の実用化開発が見込まれる。

政府部内における既存制度における研究開発課題及び他経済活性化プロジェクトとの関係
  経済産業省のプロジェクト等において燃料電池に係る要素技術開発が取り組まれているが、1本プロジェクトリーダーは次世代燃料電池用材料開発に係る全ての技術開発課題に取り組んでいるとともにその課題解決の基盤となる具体的成果を得ていること、また、2各要素技術を組み合わせたスタック作成からその評価に渡る全体的な技術、経験を有していることから総合的な取組みが可能であることなどから、実用化を展望した本制度の対象とすることが適当と考えられる。
  なお、これまで実施されているJST戦略的創造研究推進事業の高温メタノール直接型燃料電池の開発(H11〜15年度)での成果の活用、及び経産省の事業とは実施主体の重複はなくアプローチも異なるが、情報交換等十分行いつつ効率的に推進することが必要である。

(2) 手段の適正性(有効性・効率性等)
1 研究体制の妥当性
研究責任者(プロジェクトリーダー)の適否
  本プロジェクトに係る課題に長年取組んできており世界的にも最先端となる研究成果をあげ産業界からの高い評価やこれまでのプロジェクト等でのリーダーとしての実績、エフォート等から適任である。

研究体制及び研究運営方法の妥当性
  H15〜17年度は主に大学が拠点となり材料開発、H18〜19年度は各企業サイト、大学が拠点となり模擬セル等による試験を実施するもので、これまでの大学の開発シーズを有効に活用できるとともに、遂行に必要な産学連携体制のもと効率的な研究開発が見込まれる。また、世界的に開発競争が行われ急進展も見込まれる課題のため、H17年度に評価を行う等柔軟に進めることとしており、運営も妥当なものである。

2 研究計画の有効性・効率性
費用対効果
  大きな経済波及効果が期待され投資に見合うとともに、経済活性化の観点から大きな効果が期待される施策である。

知的財産の取得・活用方針
  本プロジェクトに係る基幹特許は取得済であり、開始後に取得する知的財産権は国と民間が共有する方向とのことであるが、適切な知的財産権の保護と成果の活用に当たっての制約の緩和という両面について考慮することが必要である。

4. 評価結果
  本プロジェクト実施に当たっては、本分野は進展が著しいことから、常に最新の動向を分析・評価し、プロジェクトの方向性を検討しつつ推進する体制が重要である。

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