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1.課題名: ナノテクノロジーを活用した人工臓器・人工感覚器の開発
−ヒューマン・ボディー・ビルディング−


2.課題概要: ナノテクノロジー、バイオテクノロジー及びITを融合して、ヒトの機能を代替・補助する生体適合性材料・五感センサ等を開発し、医療産業力の強化を図る。

3. 評価の検討状況
(1)課題設定の妥当性(必要性)
1 国の方針との適合性
  本分野においては、ナノテクノロジーとバイオテクノロジー等との融合により、必要となる要素技術の開発及び、その統合による製品化までを一つのプロジェクトとして総合的かつ戦略的に推進すべきであり、強力な産学官連携のもとに、政府主導で開発を行う必要がある。
  また、本プロジェクトは分野別推進戦略、平成15年度資源配分の方針及び研究開発推進方策において位置づけられており、国の方針と合致する。

2 リーディング・プロジェクトとしての妥当性
プロジェクトしての基本的性格
  中長期的には新産業を創出する成果が見込まれ、かつ、比較的短期間でも実用化が見込まれる成果がある。

研究開発成果の持つ経済活性化効果等(実用化された場合の社会・経済へのインパクトを含む)
  本プロジェクトの成果については、医療分野のみならず、その技術の応用には大きな波及効果が見込まれる。

研究開発成果の目標とスケジュール
  本プロジェクトは中長期的展望でプロトタイプの開発を目指すものであるが、本分野は世界的に競争が激しい分野でもあるので、我が国においても乗り遅れることなく取組みを進めていく必要がある。

大学等と産業界の役割
  本プロジェクトは、大学及び公的研究機関のシーズを産業界及び医療・医学関係者と連携して実用化につなげる試みであり、これまで行われてきたような断続的な取組みに比べて高い成果が見込まれる。
  また、東レ、オムロンをはじめとする産業界からの人的及び資金的貢献が表明されているところ。

政府部内における既存制度における研究開発課題及び他経済活性化プロジェクトとの関係
  すでに人工骨等の生体材料については、物質・材料研究機構において取り組まれているが、今回はこの実績を活かし、人工肝臓や人工心臓、人工視覚などについて総合的に取り組むもの。また、経済産業省のプロジェクトについては、医療産業用分析技術等を開発するプロジェクトであるため重複はしないが、必要に応じ、相互に連携を取りつつ進めていくことが重要と考えられる。

(2) 手段の適正性(有効性・効率性等)
1 研究体制の妥当性
研究責任者(プロジェクトリーダー)の適否
  ナノ・バイオ融合分野の第一人者であり、かつ、産業動向にも精通していることから、責任者として妥当と考えられる。

研究体制及び研究運営方法の妥当性
  外部有識者を含むプロジェクト推進委員会による評価を受けながら適切に研究開発が進められると考えられる。また、産業ハイウェイ委員会を設置することにより、常に実用化・産業化を意識しながら研究開発をすすめることにより、より効率的・効果的な取組みが期待できる。

2 研究計画の有効性・効率性
費用対効果
  本プロジェクトの成果には大きな波及効果が見込まれるものであり、高い費用対効果が期待される。

知的財産の取得・活用方針
  本プロジェクトの推進により関連分野の基本特許群の取得が期待される。

4. 評価結果
  ナノテクノロジーとバイオテクノロジーの融合を強力に推進し、究極のナノテクノロジーである人の機能の模倣に挑戦していくという点で、リーディングプロジェクトとして取り組むことがふさわしいものと考えられる。
  一方、研究開発の成果が総花的な印象を受けるため、実用化される製品の目標とその開発スケジュールについて、さらに明確化することが必要である。その際、適切な医療関係者との連携が重要である。

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