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1.課題名: e-Society基盤ソフトウェアの総合開発

2.課題概要: 世界最高水準の高度情報通信システム形成のための鍵となるソフトウェア開発を実現させ、いつでもどこでも誰でも安心して参加できるIT社会を構築。

3. 評価の検討状況
(1)課題設定の妥当性(必要性)
1 国の方針との適合性
  我が国が世界最先端のIT国家を実現し、国際競争力を強化するためには、今後益々その重要性・必要性が高まる、社会・経済的ニーズの高いソフトウェアの研究開発と研究者の養成が急務である。
   ソフトウェアに関する技術については、「平成15年度科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針」、「情報科学技術の研究開発に関する推進方策について」に、特に重点的に推進すべき技術領域として取り上げられている。
  本課題は、重点的に推進すべき技術領域における以下の領域の研究開発を早急に実施し、社会の基盤となるソフトウェアを実用化し、新製品・新サービスによる経済活性化、及び研究者の養成を図るものであり、国の方針と適合する
  ・ 高い生産性を持つ高信頼ソフトウェア作成技術の開発
情報の高信頼蓄積・検索技術の開発
人とコンピュータの対話技術の開発

2 リーディング・プロジェクトとしての妥当性
プロジェクトの基本的性格
  社会の基盤となるソフトウェアを実用化し、新製品・新サービスの創出を図る課題であり、比較的短期間で実用化が期待される。
研究開発成果の持つ経済活性化効果等(実用化された場合の社会・経済へのインパクトを含む)
  本プロジェクトで開発される、高い生産性を持つ高信頼ソフトウェア作成技術、情報の高信頼蓄積・検索技術、人とコンピュータの対話技術はいずれも、次代を先導するブレーク・スルーをもたらす技術であり、次代の社会・経済の発展の原動力となる技術課題をクリアするものである。情報ソフト、情報関連サービスの全般にわたる市場が前倒しされることにより、6.9兆円の年間市場規模の増加が見込める。また、人とコンピュータの対話技術は、情報格差解消技術として、コンピュータの容易な利用を目指すもので、高齢化社会への対応に貢献することが期待できる。
研究開発成果の目標とスケジュール
  研究開発成果の目標は、企業による商品化・プロトタイプの開発・中核技術の開発であり、スケジュールは、開発・実用化のための実証等、5年間で実用化レベルの技術開発を目指すものである。目標、スケジュールともに適切であると考える。
大学等と産業界の役割
  ソフトウェア技術に関する最先端の研究開発を実施している大学・研究所や企業の研究者がプロジェクトリーダーのもとで集中研究を行う体制となっており、大学等が持つ技術シーズが有効に活用される。また、5年間総額の国の負担額200億円に対して59億円の参加民間企業による貢献が明確に示されており、かつ、参加企業による成果の製品化が計画されており、産業界からのコミットメントは妥当と考える。
政府部内における既存制度における研究開発課題及び他経済活性化プロジェクトとの関係
  「人とコンピュータの対話技術の開発」の領域は、関連した研究を行う総務省「ネットワーク・ヒューマン・インタフェース」との連携が示されており、適切である。他の「高い生産性を持つ高信頼ソフトウェア作成技術の開発」「情報の高信頼蓄積・検索技術の開発」については、研究開発の内容・目的が類似するプロジェクトがないことから、独自の施策として実施することを適切と考える。

(2) 手段の適正性(有効性・効率性等)
1 研究体制の妥当性
研究責任者(プロジェクトリーダー)の適否
  3人の研究責任者は、それぞれ3つの領域をリードする研究者として世界的に認められていること、産業界の在籍経験があることから、産業界における同分野の動向にも精通していることからプロジェクト遂行に必要な研究能力・リーダーシップを持つと判断できる。また、本課題に50%従事することを予定しており、エフォートについても適切と考える。
研究体制及び研究運営方法の妥当性
  プロジェクトリーダーには、プロジェクト構想(実施内容、実施体制等)の決定、予算配分の決定等、本プロジェクトに関する決定権等の責任と権限が与えられていること、各課題毎に大学の研究代表者のもとでの、企業の人的・資金的負担を伴う集中方式が計画されていることから、研究体制及び研究運営方法について妥当と考える。
   
2 研究計画の有効性・効率性
費用対効果
  研究開発成果を用いた情報ソフト、情報関連サービスの全般にわたる市場が前倒しされることにより、6.9兆円の年間市場規模の増加が見込めるとしており、十分な費用対効果があるものと考える。
知的財産の取得・活用方針
  文部科学省と研究代表の大学との間では委託契約を想定。この契約に基づき、産業活力再生特別措置法第三十条等の規定に従い、成果については、受託者に帰属させて積極的活用を図る。当該大学と参加する企業の間では共同研究で研究開発の実施を行うこととしており、成果物については双方で所有することを基本とする。また、その成果を基に参加企業が製品化を速やかに行うこととしている。

4. 評価結果
課題設定の妥当性(必要性)より早期に実施すべき課題と判断する。また、上記の通り、手段の適正性(有効性・効率性等)についても、現段階での計画として十分検討されているものと判断する。

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