第2章 原子力研究開発の推進

[1]基礎的・基盤的な研究開発

1.原子力基礎・基盤研究開発

 原子力基礎・基盤研究開発は、原子力利用に係る技術基盤を高い水準に維持するとともに、新たな知識や技術を創出し、人材の養成等我が国の原子力の利用と発展を支えるものとして重要である。
 これらの基礎・基盤研究開発の実施に当たっては、高い研究開発目標を掲げ、研究者の意思を尊重しつつ、研究開発の柔軟性を確保して進めることが必要であるが、その際には、国の研究開発方針にも十分に留意することとすべきである。
 具体的には、核工学(炉物理・核データ)、炉工学、材料工学、安全工学、原子力シミュレーション工学、分離・変換技術等の分野における研究開発を着実に進め知見を蓄積することにより、原子力の研究、開発及び利用の基盤形成と、新たな原子力利用技術の創出を図ることが重要である。

2.量子ビームテクノロジー研究開発・利用推進

(1)大強度陽子加速器施設(J-PARC)・RIビームファクトリー(RIBF)の整備の進捗と今後の研究開発計画

 J-PARCは平成18年度初頭の時点で建設の約7割が完成しており、今後は物質・生命科学実験施設(J-PARC/MLF)での平成20年度の中性子ビーム供用開始及び平成21年度のニュートリノ実験開始に向け、平成18年度末までにリニアックのビーム試験を開始する予定である。特にJ-PARC/MLFの世界最大の強度を持つパルス中性子源を用いる実験研究は、学術研究から産業利用まで幅広い分野からの注目を集めており、確実な実現を図るべきである。
 RIBF計画は、その種類と強度において現在の世界水準を遥かに凌ぐRIビーム生成能力と独創的な実験設備を用いて、究極の原子核モデルの構築や元素起源の解明等を主な目的とした研究であり、産業界のRIビーム利用を通じて学術研究・産業利用の両面において我が国の技術水準を向上させ、国際競争力強化に貢献することが期待される。平成18年度中のRIビーム発生系施設完成とファースト・ビーム発生を目指して装置類の整備が進められている。

(2)量子ビーム施設の利用システムのあり方

 最先端の大型量子ビーム施設におけるビームラインについては、施設設置者(以下、施設者)による整備や、大学、地方自治体等による整備の他、競争的資金を活用した機器開発・整備も有効であるが、諸外国における先行事例も参照しつつ、資金助成期間終了後の取扱いも考慮した上で、これらの機器に係る運営体制の構築、運転・管理経費の確保に留意する必要がある。
 施設の共用に当たっては、コスト回収の一環として利用形態に応じた適正な料金の徴収が重要となる。その際には、SPring-8等の国内先行施設や海外施設における利用体系を見極めた上で、効率的・合理的な利用体系の下、透明性のある分かりやすい料金体系を構築し、施設者が海外の同種施設に対して十分な国際競争力を有するよう留意することが重要となる。
 また、産学連携等を通じた基礎―応用―開発のリンケージを強化していくためには、産業利用と学術研究利用とのバランスのとれた展開を行うことが必要であり、裾野の広い応用研究を促進するための多様なビームラインを整備することが望まれる。量子ビーム利用における学術研究の成果をベースに産業利用の拡大を図っていく上では、その「橋渡し」の役割を果たす産学連携・協同による個別具体的テーマに係る応用研究の効果的な編成・推進が特に重要であると考えられる。
 J-PARC/MLFの中性子実験施設は、世界最大のパルス強度をもつ最先端の大型研究施設であり、また、利用受入れの許容量も十分に大きく、産学官及び海外の幅広いセクターの研究者の共用に供し得る国際公共財である。以上のことから、J-PARC/MLFは「特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律」(共用促進法)における「先端大型研究施設」に相当すると考えられ、共用促進法の対象とする意義は高い。国際公共財としての中性子実験施設を内外の一層多くの分野の研究者に利用できるようにするため、共用促進法の適用対象として検討していくことが重要である。共用促進法によりビームラインが整備されることで、専ら外部共用に供する装置の整備等の予算や運営体制が確保され、専門知識を有しない利用者に対する支援環境の着実な整備が可能となり、産学官にわたる幅広いセクター・分野において利活用が促進されると期待される。一方で、共用促進法の適用に当たっては、法人固有のミッションと共用部分の切り分け、所有者の異なる装置が混在する中での円滑かつ効果的な課題審査を行う仕組みの構築等を検討していくことが必要となる。

(3)各種ビームの横断的利用を支えるプラットフォーム整備と人材育成

 各種量子ビームの相補的な利用によって対象物質の構造・機能を俯瞰した、より高度な計測・分析・加工等が可能となる。このような利用方法の普及を通じて、研究開発・利用等の大きな発展を実現させるためには、ビーム利用を横断的に進める産学官の「プラットフォーム」の整備が重要である。
 量子ビームの主たる供給源となる加速器等に係る研究開発・技術の更なる高度化や、多様化するビーム機器の整備・運用に当たっては、高度な技術・知識を有する研究者・技術者等の専門人材の育成・確保が継続的に必要となり、大学・大学院教育の充実・強化及びポスドク制度等の活用等が必要である。こうした人材育成の観点からも、「プラットフォーム」を整備し、育成のための共通基盤として活用することが不可欠である。
 また、「プラットフォーム」に係る大型共用施設等では、外部ユーザーが成果を上げることが重要であり、そのためには、複数の専門分野や多様な最先端分析技術等のスキルと産業界における課題の理解・解決に向けての高い意欲を持ったコーディネータ等の支援人材を配置することが重要である。こうした支援人材の確保のために、1第一専門・第二専門等複数の専門技術の習得、2分析技術と産業利用課題の理解、3早期の成功体験の仕掛け、等の育成方策が有効である。今後の課題としては、評価指標の設定が困難なユーザー支援業務に対する業績評価、特定施設に固定されがちな従事者の将来の処遇等についての検討が必要である。
 一方、産業界を始めとする一般を対象にした量子ビーム利用の意義・有用性に係る啓発・プロモーション活動の更なる強化は、一般の関心・理解を深化させると同時に、新たな利用ニーズの顕在化をもたらすものと期待され、各種メディア等を通じて、タイムリーに分かりやすい形で発信していくことも重要である。

[2]革新的な技術概念に基づく技術システムの実現可能性を探索する研究開発

1.核融合研究開発

(1)ITER(イーター)計画及び幅広いアプローチについて

 核融合燃焼を工学的に実証するITER(イーター)計画は、核融合エネルギーの実現にはなくてはならない計画である。本年5月に、計画の実施主体となる国際機関(ITER(イーター)機構)を設立するための国際協定についてイニシャル(仮署名)が行われる等、早期建設開始に向けてITER(イーター)計画は着実に進展している。我が国の核融合研究を発展させるためにも、ITER(イーター)計画の成功に向けて積極的に取り組んでいく必要がある。
 具体的には、ITER(イーター)機構の設立までは、国際協力によるITER(イーター)移行活動に参加するとともに、ITER(イーター)建設のために我が国が分担することとされている機器の調達準備を行う必要がある。さらに、ITER(イーター)機構設立後は、スケジュールに沿って建設が進むよう調達活動を着実に行うとともに、必要な人員を派遣するなどITER(イーター)機構を支援していく必要がある。
 また、日欧協力による幅広いアプローチは、将来の原型炉を目指してITER(イーター)と並行して国内で実施される核融合エネルギーの実現の鍵を握る重要プロジェクトである。我が国としては、幅広いアプローチを契機として、国際的に開かれた核融合研究開発拠点を構築し、日本の多くの研究者の参加を得て、原型炉の研究開発を先導していくことが重要である。
 具体的には、国内に国際核融合エネルギー研究センターを整備し、大学等や産業界の連携の下、原型炉の設計や予備的な研究開発、ITER(イーター)の遠隔実験、スーパーコンピュータを用いたシミュレーション、国際核融合材料照射施設(IFMIF)の工学実証・工学設計を行うとともに、JT-60を超伝導化し、ITER(イーター)を支援・補完する研究開発を行う。
 ITER(イーター)計画や幅広いアプローチを進めるに当たっては、国内関係者の力の結集が重要であり、日本原子力研究開発機構、自然科学研究機構核融合科学研究所、大学、産業界が十分に連携・協力するとともに、我が国全体で計画に参画できる体制を構築することが必要である。

(2)核融合研究の重点化について

 国内の核融合研究については、科学技術・学術審議会学術分科会基本問題特別委員会核融合研究ワーキング・グループが平成15年1月に策定した「今後の我が国の核融合研究の在り方について(報告)」で示された重点化課題(トカマク、炉工学、レーザー、ヘリカル)を着実に推進し、必要な人材養成についても積極的に進める。
 このうち、トカマクについては、日本原子力研究開発機構のJT-60を超伝導化することによって、幅広いアプローチにおけるサテライト・トカマクの機能に加え、原型炉で必要となる高ベータ定常運転に対する機能を持つトカマク国内重点化装置へ転換する。
 炉工学については、原型炉に向けた炉工学技術開発の研究拠点を形成するとともに、大学等においても幅広い炉工学の基礎研究を総合的に推進する。
 磁場閉じ込め方式とは原理的に異なる方式であるレーザーについては、当面は、大阪大学レーザーエネルギー学研究センターが高速点火方式レーザー核融合の原理実証を目的として実施しているFIREX第1期計画を着実に推進し、核融合科学研究所と協力して核融合点火温度(5千万度-1億度)の達成等の研究成果をあげることが必要である。
 ヘリカルについては、自然科学研究機構核融合科学研究所の大型ヘリカル装置(LHD)を共同利用・共同研究のための重点化装置として活用し、更なるエネルギー増倍率の改善を進めながら、定常・無電流環状プラズマの総合的理解と核融合炉心プラズマの実現に向けた学術研究を行うため、プラズマ加熱機器及び計測機器の整備・増強、装置の改良を進める必要がある。

(3)その他の諸課題について

 大学等における研究者の自由な発想と課題設定を基礎として、独創的な計画・方法によって行われてきた学術研究が、今後とも普遍的な成果をあげていくため、核融合科学研究所を中核機関として実施されている大学等の共同利用・共同研究を引き続き推進するとともに、特徴あるプラズマ領域を実現できる斬新なアイデアに基づく中小規模のプラズマ実験装置を用いた研究についても幅広く進められることが、核融合に関する学術研究の多様な広がりを図る観点から重要である。
 また、核融合分野以外の研究分野との連携・協力も含め、大学等、研究機関、産業界の連携・協力が不可欠であり、早急にその推進方策について検討する必要がある。
 さらに、核融合エネルギーは、実現に至るまで長期間を要する課題であり、人材育成に努めることが重要である。このため、学校教育や産業界における人材確保等も視野に入れつつ、幅広い観点から検討する必要がある。

2.高温ガス炉等の革新的原子力システム技術

 革新的原子力システムの研究開発の推進により、核燃料資源の有効利用や原子力の多様な利用等を図ることは、我が国のエネルギーの安定確保や地球環境問題に対する技術の多様性・柔軟性を確保する観点から重要である。
 革新的原子力システムの一つである高温ガス炉は、発電と、高温の熱源を利用した水素製造を同時に行うことができるため、これらのコジェネレーション化により、経済性に優れた発電手段となり得るとともに、万一の事故に際しても炉心温度の変化が緩やかで、燃料の健全性が損なわれない等の固有の安全性を有していることから、今後も長期的な視野に立ち、水素社会を巡る動向も踏まえ研究開発を推進していくことが重要である。
 具体的な研究開発計画としては、平成22年頃までに、高温工学試験研究炉(HTTR)による950度の高温連続運転等を行い、高温ガス炉技術基盤を確立するとともに、熱化学ISプロセス(900度程度の熱で水を分解する水素製造技術)を確証し、その研究成果を基に実用化像を確定する。

3.重粒子線がん治療研究

 生活の質(QOL)の維持が可能で治療効果が高く、その成果が国際的に注目されている重粒子線がん治療法の治療成績の向上等に向けた取組みが必要である。
 放射線医学総合研究所において、難治がん(膵臓がん等)の治療法を開発するための臨床試験を行うとともに、多様な条件に柔軟に対応して従来以上に線量を集中させることができる呼吸同期可能な3次元スキャニング照射法等の次世代の治療照射システムの要素技術の開発を推進することが重要である。
 なお、粒子線治療においては特に加速器技術者と医師の間に立って高度な治療計画の立案や照射条件の設定等を担う医学物理士の育成が不可欠であり、そのための制度やプログラムの設計・検討を更に進める必要がある。

[3]革新的な技術システムを実用化候補にまで発展させる研究開発

1.高速増殖炉(FBR)サイクル技術 

 使用済燃料を再処理し、回収されるウラン・プルトニウム等を有効利用する高速増殖炉サイクル技術の確立は、環境への負荷の低減及び長期的なエネルギーの安定供給の実現を可能とするものであり、第3期科学技術基本計画においても、国の存立基盤・エネルギー安全保障の観点から、国家基幹技術として位置付け、国による大規模かつ長期的な支援が必要な技術開発に位置付けているところである。
 高速増殖炉サイクル技術開発については、日本原子力研究開発機構と日本原子力発電より本年3月末に報告された「高速増殖炉サイクルの実用化戦略調査研究」のフェーズ2の成果を基に、今後国が策定する研究開発方針にしたがって、研究開発を計画的に進めることとされている。
 近年では、高速増殖炉サイクルに関する国際的な開発動向も踏まえ、また、2050年より前に高速増殖炉(FBR)サイクル技術を確立することを目指して、関連する高速増殖炉サイクルの実証施設の運転開始時期を2025年を目途とする必要があり、そのため、研究開発の一層の加速が必要である。
 研究開発の実施体制については、国が主導する一貫した推進体制が構築されることが望ましく、その下で、基礎・基盤的知見を提供する大学及び関連研究機関の協力を得つつ、研究開発主体である日本原子力研究開発機構、実用化時に利用主体となる電気事業者、プラント建設を行う製造事業者が一丸となって開発を行う環境の確立が、研究開発の成功のためには不可欠である。また、研究開発と並行して、実証段階への円滑な移行に向けた課題等についても検討を行うことが重要である。このため、早期に文部科学省、経済産業省、電気事業者、製造事業者、日本原子力研究開発機構による協議の場を設けることが必要である。
 国が策定する研究開発方針においては、高速増殖炉サイクルの実用化に向け、高速増殖炉サイクルが担うべき役割を明確化し、国内外の開発動向を踏まえつつ、目指すべき研究開発の方向性を示すべきである。その中では、高速増殖炉サイクル(具体的には高速増殖炉及び燃料サイクル)において、将来の軽水炉に比肩する1「安全性」及び2「経済性」を満足すること、また、長寿命核種であるマイナーアクチニド(MA)を燃料に混ぜて燃焼させること等により、3「核拡散抵抗性」を高めるとともに、放射性廃棄物中に長期に残留する放射能量や放射性廃棄物発生量の低減を図り、4「環境負荷低減性」を向上させること、さらに増殖比1.2程度を達成し、持続的に燃料となるプルトニウムを生産可能とすることで、5「資源有効利用性」を向上させるといった5つの開発目標を置くことが適切である。
 現時点では、これら5つの開発目標を満たすことが可能で、かつ現在の知見で最も実現可能性が高いと考えられる実用システム概念は、ナトリウム冷却高速増殖炉に先進湿式法再処理、簡素化ペレット法燃料製造の組合せであると考えられるので、これをベースに、2015年までの研究開発計画と研究開発の進め方について検討すべきである。具体的には、2008年頃までに、高速増殖原型炉「もんじゅ」の運転を再開し、その後10年程度以内を目途に、発電プラントとしての信頼性の実証、ナトリウム取扱い技術の確立等の所期の目的を達成することにより高速増殖炉システム設計技術を実証することとすべきである。また、これまで日本原子力研究開発機構と日本原子力発電が実施してきた「高速増殖炉サイクルの実用化戦略調査研究」は、戦略調査のための研究から、実用化に向けた研究開発にその性格を変えることとすべきである。変更後の研究開発においては、実証段階の高速増殖炉サイクル施設の設計・建設に活かすべく、2010年頃までに、高速増殖炉サイクルの実用施設に採用する可能性のある革新的な技術について、小規模試験を通じて技術的成立性を確認し、採用する革新的な技術を決定するとともに、高速増殖炉サイクルの実用施設の概念設計研究を実施することを検討すべきである。なお、原子力委員会において、2010年頃から予定されている、中間貯蔵された使用済燃料及びプルサーマルに伴って発生する軽水炉使用済MOX燃料の処理の方策の検討に資する知見についても、確実に蓄積していくべきである。さらに、2015年頃までには、革新的な技術の工学規模の試験や燃料の高燃焼度化の実証等を実施し、得られた成果を反映した高速増殖炉サイクルの実用施設の概念設計の最適化を行うことが必要である。また、今後、国が策定する研究開発を行うことが可能なように、十分な資金の確保が必要である。
 加えて、高速増殖炉サイクルの実用化のために、広く国内から提案される優れた革新的な高速増殖炉サイクル技術を活用することも重要であることから、競争的研究資金制度を活用した研究開発を進めることとすべきである。
 なお、研究開発を行うに当たっては、我が国が開発を進める高速増殖炉サイクル技術を国際標準とするべく、また研究開発資源の効率化の観点からも、第4世代原子力システム国際フォーラム(GIF)や国際原子力エネルギー・パートナーシップ(GNEP)等の国際的研究開発の枠組みを活用し、情報交換や参加国間での議論、研究開発等を通じ、国際的な開発動向を常に踏まえ、研究開発計画に必要なフィードバックを行うべきである。また、高速実験炉「常陽」、高速増殖原型炉「もんじゅ」を国際的な高速増殖炉研究開発協力の拠点、人材育成の場としても活用することを検討すべきである。

[4]革新技術システムを実用化するための研究開発

1.高レベル放射性廃棄物等の地層処分技術

 高レベル放射性廃棄物等の地層処分技術に関する研究開発は、処分実施主体である原子力発電環境整備機構(NUMO)による処分事業と、国による安全規制を支える技術を確立し、高レベル放射性廃棄物等の最終処分を進める上で不可欠であり、着実に推進することが重要である。また、得られた研究開発成果は、海外の知見も取り入れつつ、地層処分に係る最新の知識基盤として整備・維持し、最終処分事業や安全規制において有効に活用できるようにすることが必要である。
 具体的には、使用済燃料を再処理する過程で生じる高レベル放射性廃棄物等の地層処分に資する深地層の科学的研究、地層処分技術の信頼性向上や安全評価手法の高度化等に関する研究開発等を進めるとともに、2010年頃までに、幌延、瑞浪の2つの深地層研究施設において中間深度までの調査研究を行い、知識基盤として体系化するべきである。また、2008年~2012年を目途とする精密調査地区選定から、2033年~2037年頃までを目途とする高レベル放射性廃棄物の最終処分開始に至る処分事業や安全規制に必要な技術基盤を整備する。

2.使用済燃料再処理技術(軽水炉関係)

 民間事業者における軽水炉使用済燃料の再処理を技術的に支援するため、民間事業者の直面した技術的課題を克服するための研究開発を行うことが重要である。
 具体的には、日本原子力研究開発機構と民間事業者との共同研究により、軽水炉の高燃焼度使用済燃料の再処理試験の研究を2010年頃までに開始することが必要である。また、日本原子力研究開発機構は、これまでの知見を活かし、六ヶ所再処理施設の安全性、信頼性、経済性の向上に資するため、新型転換炉「ふげん」の使用済燃料や高燃焼度使用済燃料等の再処理試験を行い、これらを通じた再処理施設の運転及び保守に係る技術を2015年頃までに移転し、またガラス溶融炉の改良等の技術開発を2030年頃までに行い、技術移転を図るべきである。

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