参考 用語解説

イメージングデバイス

CCD、CMOSセンサー、2D画像を3D画像に変化する立体映像変換システム、単板カラーカメラの色分離など、画像の入力・変換をするためのデバイス。

X線自由電子レーザー

X線は波長が0.01nm(ナノメートル)程度の電磁波であり、コヒーレント光源であるレーザー発振の波長をX線領域にまで短波長化したレーザーの総称。現在、数十nm(ナノメートル)近辺の極端紫外域においては飽和増幅が認められるまでに至っている。

カーボンナノチューブ

カーボンナノチューブ(Carbon Nano Tube:CNT)は、炭素によって作られる六員環ネットワーク(グラフェンシート)が単層あるいは多層の同軸管状になったもの。単層のものをシングルウォールナノチューブ(SWNT)、複層のものを多層カーボンナノチューブまたはマルチウォールナノチューブ(MWNT)という。

環境触媒

現在社会問題となっている、窒化酸化物、硫黄化合物、フロン、一酸化炭素などの環境汚染物質を除去し、環境浄化・保全に資する優れた特性を有する触媒。

近接場光

光の波長よりもずっと小さい直径の粒子からなる物質に光を当てたときにその物質表面の周辺10ナノメートル程度の範囲にのみ発生する、回折限界を超えた光を近接場光という。

金属人工格子

2種以上の異種の金属をナノメータースケールで人工的に積層した物質を金属人工格子という。金属人工格子は、巨大磁気抵抗(GMR)効果や垂直磁気異方性、磁気光学効果の増大など、優れた磁気機能性を示すことが知られている。

金属内包フラーレン

フラーレンは炭素クラスターの総称で、最初に発見されたのがカーボン60(C60)である。C60は、炭素原子60個からなるサッカーボール状のナノ粒子である。同様の構造を持ったドームのデザイナーであるバックミンスター・フラーの名をとって、この構造はバックミンスターフラーレン、バッキーボールなどと呼ばれる。フラーレン内部に金属原子を内包させたものを金属内包フラーレンといい、様々な機能の創出が行われている。

再生医療

機能障害や機能不全に陥った生体組織・臓器に対して、細胞等を積極的に利用して、その機能の再生をはかる医療。

3次元可視化技術

立体的な解析をする手法であり、ナノテクノロジー分野において、物質の構造解析などにおいて大きな期待がかかっている。

自己組織化

物質の構造単位が集合して、より高度な構造を自発的に形成する現象をいう。生物系では広く見られ、たんぱく質や脂肪分子が集合して小器官を形成し、それがさらに細胞へと組織化するのは代表的な例である。

シリコンエレクトロニクス

シリコンを中心に幅広く展開されている現状のエレクトロニクス。

スーパーコンピュータ

大規模な科学技術計算に用いられる超高性能コンピュータ。原子力、自動車、船舶、航空機、高層ビルなどの分野で設計やシミュレーションに使われ、最近では、分子設計や遺伝子解析などバイオ、化学分野でも導入されている。

スピン

固体中の磁性を主に担っている量子。これまでの電子の電荷を利用するエレクトロニクスに対して、電子のスピンを利用するものをスピントロニクスという。

セルセラピー

セルセラピー(Cell Therapy:細胞治療)とは、幹細胞移植、細胞免疫療法、再生治療など、ヒト細胞を輸注、移植したり、遺伝子や薬剤などを標的細胞に選択的に導入することによって細胞レベルでの治療を行う方法論の総称。

第一原理

実験結果によるパラメータの利用やパラメータの調整を行わずに計算を遂行し、電子状態や平衡状態の原子位置を求める手法。

中性子線

原子核の構成要素の一つである電荷を持たない中性子の粒子線のことをいう。結晶構造解析、特に磁気構造の解析に用いられる。

テラビット記録デバイス

現在のメモリの1,000倍程度の超高記録密度の記録デバイスを示す。情報記憶媒体の大容量化、高機能化が情報化社会の進歩では欠かすことができず、ナノテクノロジーを利用したテラビット記録デバイスの実現が期待されている。

オーダーメード医療

DNAの一塩基が個人により異なるため、病気のかかりやすさ、副作用の有無など薬の効き方は個人により異なる。個人の体質に応じた投薬や治療を行うことをオーダーメード医療という。

ドラッグ・デリバリー・システム(DDS)

目標とする患部(臓器や組織、細胞、病原体など)に、薬物を効果的かつ集中的に送り込む技術。薬剤を膜などで包むことにより、途中で吸収・分解されることなく患部に到達させ、患部で薬剤を放出して治療効果を高める手法。

ナノソフトマシン

分子性物質で構成されるナノ集合体は、様々な自由度を持つために「柔らかな系」の意からナノソフトマシンと呼ばれる。ナノソフトマシン分野は、タンパク質等の生体分子ナノマシンの自己構築・動作原理を解明し、そこから様々な応用ナノマシンを実現することを目的としている。

ナノ粒子

少なくとも1方向の大きさが概ね500nm(ナノメートル)未満の微粒子。アプリケーションによって、粒子状物質、エアロゾル、コロイド、ミセル、ナノコンポジット、ナノ粉体、ナノセラミクス等と呼ばれるものもナノ粒子の一種である。

MEMS(Micro-Electro Mechanical System)

微小な機械構造をもつデバイスであり、マイクロマシンとも呼ばれる。半導体プロセスなどにより、機械的動作を行う微小立体構造を形成する。高周波や光信号などのエレクトロニクス応用や圧力・加速度などの機械的特性のセンサー、流体制御や生化学分野の計測・分析用途、医療用デバイスなどに用いられる。より微小な構造を有する場合をNEMS(Nano-Electro Mechanical System)と呼ぶ。

燃料電池

燃料電池は水の電気分解と逆の原理、水素と酸素を電気化学反応させて電気を作る。従来の火力発電と異なり燃料を燃焼させる必要がなく、排出も水のみである。従って効率が高く環境に優しい発電装置として注目されている。

燃料電池用ナノ構造制御材料

燃料電池の実用化に向けた開発が進む中、一層の効率化の実現のためには、ナノオーダーでの構造制御を行った材料が求められている。ナノ構造制御材料とは、これらの課題を解決するために研究・開発が進む材料の総称。

バイオインスパイアードナノデバイス・システム

バイオミメティクス(生体模倣技術)、自己組織化、分子認識の応用をさらに進めて、生体系の発想を源とし、それに触発されてさらに生体系の機能を凌駕する技術を目指すナノ材料及びそのシステム。

バイオナノマテリアル

ナノマテリアルの中でも、生体や生体成分と接触して利用される人工材料及び生体由来材料のこと。医療分野への展開などナノテクノロジー分野とバイオ分野との融合領域において、新しい機能が期待される。

パワーデバイス

電力の発生(発電)、蓄積、輸送と電力の消費を最適化するパワーエレクトロニクスにおいて、小型(高温動作)かつ高速制御可能な電力変換器のキーコンポーネントとなる電子デバイス。シリコンカーバイド(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、ダイヤモンドなどのワイドバンドギャップ半導体は、シリコンの物性値限界を超えたデバイス性能を有し、低電力損失、高温動作、高速制御可能な電力変換器を実現できる。

光触媒

酸化チタンなどの特定の化合物が、太陽光や照明灯などの光によって、その化合物表面が活性化されて、接触する物質に作用を及ぼすにもかかわらず、それ自身は変化することのない物質である。実用化されている光触媒機能には、酸化還元機能(分解反応)と超親水発現機能があり、前者の応用例としては、酸化チタン光触媒を表面に担持することにより抗菌・殺菌、防カビ、防汚染、脱臭・消臭などの機能を付加できる。

不斉触媒

L-アミノ酸のように可能な光学異性体のうち一方の絶対立体配置を持つ光学活性な分子のみを合成するための触媒。

フラットパネルディスプレイ(FPD)

筐体が板状で画面が平面になっているディスプレイ機器。液晶ディスプレイ、LED(発光ダイオード)ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、プラズマディスプレイ(PDP)などがある。

プログラム自己組織化

DNAの塩基配列が持つプログラムのように、生体分子などが持つプログラムを利用した自己組織化技術。プログラム自己組織化を用いることで、高機能物質・デバイス・システムをボトムアップの簡便な方法で製造することができる。

分子動力学

2体の原子間ポテンシャルのもとに、古典力学におけるニュートン方程式を解いて、系の静的、動的安定構造や動的過程(ダイナミクス)を解析する手法。

マルチスケールシミュレーション

物質・材料の現象の解明や予測・設計のために、電子・原子レベルから構造物のスケールでのモデリングを関連づけた統合解析のこと。マルチスケールシミュレーションは、物質の大規模な複雑現象の高精度な解析のために、様々な物理法則を連成させた統合シミュレーションといえる。近年の技術進歩でその基盤は整いつつある。

ムーアの法則

米国インテル社の創設者ゴードン・ムーア(Gordon Moore)博士が1965年に経験則として提唱した、「半導体の集積密度は18~24か月で倍増する」という法則。

有機EL発光材料

蛍光体物質が励起源から受け取ったエネルギーを発光して放出することをルミネセンスという。電界により励起するものがエレクトロルミネセンス(EL)であり、発光体にジアミン類などの有機物を使うものを有機ELという。

量子計算

量子計算とは、従来の2値変数(ビット)に基礎をおく計算とは全く異なり、量子力学的概念で、キュービット(qubit)に基礎をおく計算である。量子計算の実現には、量子状態の制御という難しい問題が存在するが、量子計算が実現すれば、計算速度が飛躍的に向上した量子コンピュータの構築につながる。

量子ドット

電子を3次元的に閉じ込める構造で、主に半導体量子ドットを指す。固体中の電子とは振舞が大きく異なり、特異な光学的・電気的特性を持つ。量子ドットは微細加工や結晶成長で造る数十nm(ナノメートル)程度の粒で、量子ドットを搭載したデバイス群は、従来のバルク半導体・量子井戸半導体の性能限界を越えた高性能の実現が期待されている。

量子メモリ・量子中継

量子メモリとは、量子状態を保持するメモリを指し、量子コンピュータを実現する上で不可欠なものである。量子メモリには、量子演算の時間に比べ長い保持時間を有することが要求される。一方、遠距離の量子通信を実現するためには、古典通信と同じように中継技術が不可欠であり、量子中継とはその技術を指す。方法としてテレポーテーションあるいは量子もつれ合いスワッピングを多段階に接続することにより実現する方法が提案されている。

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科学技術・学術政策局計画官付

(科学技術・学術政策局計画官付)