1.はじめに

 情報通信分野は、第3期科学技術基本計画(平成18年3月閣議決定)において、ライフサイエンス分野、環境分野、ナノテクノロジー・材料分野と並んで、第2期に引き続き、特に重点的に研究開発を推進すべき重点推進4分野とされている。また、総合科学技術会議は政府研究開発投資の戦略的重点化を進めるため「分野別推進戦略」(平成18年3月)を決定した。そこでは、上記4分野および推進4分野(エネルギー、ものづくり技術、社会基盤、フロンティア)に関して、今後5年間に政府が取り組むべき重要な課題(重要な研究開発課題)、重要な研究開発課題の中から今後5年間に集中投資すべき科学技術(戦略重点科学技術)、各分野の研究開発や成果の社会・国民への還元を円滑に進めるため今後取組を強化すべき方策(推進方策)が明確化されている。
 これらと並行してIT戦略本部により、いつでも、どこでも、誰でもITの恩恵を実感できる社会の実現を目指す「IT新改革戦略」(平成18年1月)が決定された。そこでは、我が国が世界をリードする分野の競争力を維持するため、また、次世代のIT社会の基盤を構築するため、戦略的な研究開発に対する一層の取り組みを行うこととしている。
 科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会では、文部科学省における情報科学技術に関する研究開発計画の作成及び推進に関する重要事項の調査検討を行うため、第2期に引き続き、情報科学技術委員会において第3期科学技術基本計画及び分野別推進戦略等を踏まえて情報科学技術の研究開発推進方策について検討した。
 本報告書は委員会におけるこれまでの検討結果を踏まえ、下記を目的として、情報科学技術の今後10年程度を見通した当面5年程度の文部科学省において重点的に推進すべき研究開発課題及び研究開発の推進方策等を示したものである。

○今後5年間程度を目途とした具体的な重点領域、研究開発課題の設定と計画的な推進
 「分野別推進戦略」と同様に今後5年程度をターゲットとし、文部科学省が推進すべき重点領域、研究開発課題を設定し、計画的に推進する。

○各大学、研究機関の適切な役割分担を明確にし、各機関の有する研究ポテンシャルを最大限活用
 トップダウンに重点領域を定めるだけでなく、関連する研究機関でどのような技術シーズが育ちつつあるか見極め、それらを最大限活用し、また研究機関間での役割分担を明確にすることにより、効率的・効果的な計画の実施を図る。

○持続的な研究ポテンシャルの維持のための計画的な研究情報基盤の整備と人材の養成
 情報科学技術は基盤性を有しており、他の科学技術の研究開発の推進における基盤、社会経済活動における基盤を形成するために使われることを強く認識し、科学技術の研究開発現場に情報科学技術の成果を積極的に適用する。それにより、連続的なイノベーションを発現させ、科学技術領域における我が国の競争力強化を実現する。
 科学技術の持続的な発展を支えるため、スーパーコンピュータに代表される高性能計算機、研究に必要な文献情報や研究データへのアクセスを可能とするネットワーク、研究者がリソース・データ等を相互に共有・連携し研究開発の促進に資するグリッド、すべての活動において効率的かつ高い生産性を維持するために不可欠なソフトウェアなど研究情報基盤の高度化を計画的に進める。あわせて、研究情報基盤の高度化を支える人材を養成する。

お問合せ先

科学技術・学術政策局計画官付

(科学技術・学術政策局計画官付)