我が国の地球観測の基本戦略は、「地球観測の推進戦略」(平成16年12月27日付け総合科学技術会議意見。以下「推進戦略」という。)に示されており、人類の持続的可能性と福祉を確保するための健全な政策決定に資するものとして、また、地球観測に関して先導的な立場にある我が国の役割を考慮して、1.利用ニーズ主導の統合された地球観測システムの構築、2.国際的な地球観測システムの統合化における我が国の独自性の確保とリーダーシップの発揮、3.アジア・オセアニア地域との連携の強化による地球観測体制の確立の3つの柱からなるものとされている。
上記の基本戦略に基づいて統合された地球観測システムを推進する体制を整備するため、関係府省・機関の緊密な連携・調整の下で、地球観測の推進、地球観測体制の整備、国際的な貢献策等を内容とする具体的な実施方針を策定することが「推進戦略」の中で求められたことを受けて、文部科学省において科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会に地球観測推進部会が設置され、統合された地球観測の実現に向けた実施方針についての調査審議が行われることとなった。
本部会は、昨年「平成18年度の我が国における地球観測の実施方針」(平成17年8月24日)を取りまとめたが、その過程では検討における時間的な制約があったことなどから、各分野における地球観測の在り方等について十分に検討した上で実施方針を取りまとめるべきであるとの指摘がなされた。
このような状況を踏まえて本部会は、平成19年度の実施方針の策定に関して、まず、平成19年度に取り組む必要があると考えられる観測や技術開発等の課題について整理するプロセスを加えるとともに、特に、「利用ニーズ主導の統合された地球観測システムの構築」を目指して戦略的重点化を図り、我が国の有する地球観測に係る資源を有効に活用する方針を具体化する観点から、国内の観測活動において分野間又は府省・機関間の連携を促進する施策について重点的に調査審議することとした。
具体的な審議過程として、「平成19年度の我が国における地球観測のあり方」(平成18年5月25日科学技術・科学技術審議会研究計画・評価分科会地球観測推進部会報告。以下「あり方」という。)を取りまとめた後、分野間及び府省・機関間連携施策について関係府省・機関から詳細な説明を求めるとともに、「あり方」に対する関係府省・機関における観測等事業の検討状況を把握した上で、基盤的事項、5つのニーズに対応した重点的取組、15分野における地球観測の推進のそれぞれに関連する関係府省・機関の取組について審議し、平成19年度の実施方針を取りまとめた。
この実施方針は、第1部においては、分野間・機関間連携の意義を記述するとともに、分野間・機関間連携を図る施策に関する実施方針について、施策の内容及びこれに関する本部会の見解を記述している。第2部においては、基盤的事項、5つのニーズに対応した重点的取組及び15分野における地球観測の推進に関する実施方針について、平成19年度概算要求の中で「新規」又は「拡充」で要求される施策を記述するとともに、「継続」で要求される施策を別表に整理している。
この実施方針に盛り込まれた観測等の中には、長期継続的に実施される観測や実利用分野における観測も含まれている。このような観測については、関係府省・機関において平成20年度以降も着実に実施されることが望まれる。
この実施方針の具体化によって、「利用ニーズ主導の統合された地球観測システムの構築」に向けた関係府省・機関の連携と協力がより深まり、我が国における全球地球観測システム(GEOSS)を構築するための取組がこのような連携・協力体制の下で着実に推進されることを期待するものである。
科学技術・学術政策局政策課
-- 登録:平成21年以前 --