参考資料7

(2)「重要課題解決型研究等の推進」公募要領

※平成18年度公募要領からの抜粋

1 目的

 国民のニーズに対応する国家的、社会的に重要な政策課題であって、単独の府省では対処が困難であり、政府として速やかに取り組むべき課題について、産学官の複数の研究機関による総合的な推進体制の下で、具体的な達成目標を設定し、研究開発を推進する。また、科学技術政策に必要な調査研究を実施する。

2 対象とする課題

(1)重要課題解決型研究

1知の創造と活用により世界に貢献できる国の実現

(課題1−1) 科学技術情報の国際的流通促進に関する研究開発

 アジア諸国には様々な分野において各国言語で記述された科学技術文献が存在する。アジア諸国における科学技術の発展及びアジア諸国の知見も活かした我が国の国際競争力の強化のためには、工学だけでなく人文科学の知見も活用して、科学技術情報の広範な流通及び母国語によって閲覧できることが必要である。このため、現実社会の大量の科学技術文献を対象にする言語翻訳の基盤技術として、文献データベースの構築、科学技術用語辞書の整備、言語翻訳技術の向上等の多言語翻訳のほか、英語を介しない個々の母国語での検索及び実証システムの研究開発を行う。

(課題1−2) 地下構造の統合化データベースの構築

 様々な目的の調査・研究によって得られた地下構造データは国民共有の国家財産であるにもかかわらず、これまで統合、共有化が十分図られていない。安全・安心な社会の実現に向けた研究開発に資するためにはこれら知的資産の統合、共有、利活用の促進が必要である。このため、大学、研究機関、地方自治体等に散在する大量の地下構造データの有機的な統合を図り、地震防災対策等の具体的研究ニーズに対して利用が可能な統合化データベースシステムを構築する。

2国際競争力があり持続的発展ができる国の実現

(課題2−1) デジタルコンテンツ創造等のための研究開発

 映画、音楽、アニメ、ゲームソフトをはじめとする我が国の強みであるコンテンツの国際競争力確保のため、技術革新の進展に即応したCG等の映像技術、ブロードバンドにおける流通技術等を活かした高品質なデジタルコンテンツの制作・流通等が円滑に図られるよう、それに必要な先端的な技術に関する研究開発を行う。その際、内容に応じ標準化が必要なものについては、研究開発と一体的に進める。

(課題2−2) 持続可能な流域圏環境管理技術の開発

 人口減少時代を迎え、持続可能な社会の構築に向け、都市構造・国土構造を見直す必要性が高まっている。流域圏は、森林・農村・河川・都市等の要素を含み、環境管理を行うべき基本区分となり得るものである。流域圏の環境管理を実現するためには、地域住民・地方自治体・関係各省等の協力の下、流域圏の将来の在り方を検討する環境アセスメント技術の確立により、流域圏の将来の在り方を明確にすることが必要である。このため、物質循環や生物生態系等のメカニズムを考慮した影響評価技術を用いて、あらゆる視点からの幅広い流域圏利用の在り方に対し総合的に評価できるアセスメント技術の実証的研究を行う。

3安心・安全で質の高い生活のできる国の実現

(課題3−1) 国民の健康障害に関する研究開発

 生活環境や労働環境に依存して不特定の国民の健康に脅威を与え得る疾患のうち、現在発症機序が不明で有効な対処方法のない疾患について、早期にその脅威を低減・除去するために、発症機序の解明を進めるとともに、早期診断や治療に関する技術の開発に結びつく研究を実施する。その際、研究開発の迅速な展開のために臨床情報等の共有を図るとともに、統一的な基準のもとでの診断法・治療法の開発を目指す。

(課題3−2) 情報セキュリティに資する研究開発

 情報通信技術を取り巻く状況は急速に変化しており、最近では、携帯電話へのコンピュータウイルス攻撃や情報家電を踏み台にしたネットワーク攻撃のように多様で広範囲な脅威が新たに顕在化してきている。また、電子マネー機能を有する携帯電話端末やタグによる小学生の登下校管理のように新たな情報通信の利活用の形態が出現している。こうした中で、悪意ある脅威としてのサイバー攻撃等によって、情報通信インフラが中断され社会生活・経済活動に深刻な影響を与えるおそれがあるため、安定な情報通信サービスの提供、個人認証及び個人情報の保護が重要な課題である。これらの課題への対策及び新たに発生する問題の予測・予防の方策について、情報通信の安全性・信頼性向上に資する研究開発を行う。

(課題3−3) 国際テロ・犯罪からの安全を確保する先端科学技術研究

 国際社会におけるテロ発生の危険性とその対策の緊要性は高い。国民生活、社会経済の安全・安心を脅かす国際テロ・犯罪対策においては、情報収集・分析、水際対策など未然防止とあわせて、万一の事態発生における人命救助と被害拡大防止に備えておくことが肝要である。このため、テロ発生時の初動対処に活用可能な、化学剤及び生物剤の現場検知、除去技術について、実証的な研究開発を行う。

(課題3−4) 減災対策技術の研究開発

 人工的な国土環境の改変に伴う土砂災害、海岸浸食、地盤沈下等は近年社会的な問題となっている。国土環境の保全・再生の観点による対策とともに、これらの環境変化に伴って地震・津波等に対する被害の増大が懸念されているため、減災の観点からの対策が必要とされている。このため、有効な減災対策と国土環境保全に資することを目的として、地域の自治体・企業等と連携を行い、先端技術を活用して、減災対策の実証的な研究開発を行う。

(課題3−5) 人工降雨を中心とした渇水対策に関する研究

 地球温暖化に伴う気候変動により、豪雨や少雨といった極端な気象現象が今後頻発するとの見込みが指摘されているため、少雨等に伴う渇水対策の新たな取組として、人工降雨技術の研究開発を行う。人工降雨技術を用いた渇水対策としては、冬季の雪雲を対象として山岳地に積雪の形で確保する方法が効果的と考えられるため、直接観測による雲の内部構造・降水機構の解明、人工降雨に適した雲の観測・判別手法の開発、人工降雨実験によるシーディング効果の評価等を中心とした実証的研究を行う。また、降水予測技術の精度の向上、及びそれと連動した渇水緩和のための水資源管理技術の研究開発を行う。

(2)科学技術政策に必要な調査研究

(課題1) ライフサイエンスやナノテクノロジー等の先端科学技術が社会に与える影響の調査研究

 ライフサイエンス推進において、生命倫理は避けて通れない課題である。我が国では、ヒト胚の取扱いの基本的考え方が示されているが、関連する国際的な政策の動向や再生医療を巡る研究開発動向の把握は引き続き重要である。また、欧米等において、エンハンスメント(運動能力増進等の増進的介入)など、新たな生命倫理の課題も取りあげられつつある。こうした状況への対応に必要な情報を収集するため、国際的な政策や研究開発の動向の把握、及び国民の問題意識の調査等の調査研究を推進する。
 ナノテクノロジーは、IT、ライフサイエンス、環境・エネルギー、医薬・バイオ等様々な分野で次世代産業を担う新科学・技術として大きな期待を担っているが、その半面、予測しない環境・健康影響等の負の側面について懸念する報告があり、こうした漠然とした社会不安が産業化の障壁となっている。このため、今後のナノテクノロジーの健全な発展を促進するため、ナノ材料の健康や環境影響、倫理や法律、ナノテクノロジーの標準化やテクノロジーアセスメントの在り方等、社会受容高度化のための調査研究を府省横断の産学官の協力体制で行う。

(課題2) 統合・代替医療の科学的評価手法の調査研究

 いわゆる西洋医学以外の漢方、鍼灸、整体などの療法やこれらを西洋医学と統合した療法について、その有効性を科学的に評価する普遍的手法を開発する。これに基づき有効性を認められたものについては、統合・代替医療として投薬や手術などの過剰な実施を防止し、患者の選択の幅を広げ、保険財政の負担軽減につながるため、そうした統合・代替医療の在り方について基礎的な調査研究を行う。

3 対象機関

(1)重要課題解決型研究

 大学、国公立試験研究機関、独立行政法人、民間等の研究機関その他研究能力を有する国内の機関すべてを対象とする。
 ただし、産学官の複数の研究機関を結集するなど総合的な推進体制を構築するほか、研究を総括し、課題全体に係る責任を有する機関(以下「責任機関」という。)及び責任機関に所属し課題全体に係る責任を有する者(以下「研究代表者」という。)を設定することとする。このとき、研究代表者は研究遂行上の実質的な代表者であることとし、単に組織の代表者を形式的にその任につけてはならないこととする。なお、明確な目的意識の下で効率的かつ効果的に研究開発を推進する観点から、1課題当たりの参画機関は真に必要な機関に絞ることとし、原則として5機関程度とする。

(2)科学技術政策に必要な調査研究

 大学、国公立試験研究機関、独立行政法人、民間等の研究機関その他研究能力を有する国内の機関すべてを対象とする。
 ただし、調査研究の中核となる機関(以下「中核機関」という。)及び中核機関に所属し課題全体に係る責任を有する者(以下「研究代表者」という。)を設定することとする。

4 実施期間

(1)重要課題解決型研究

 原則3年間とする。ただし、特に必要と認められる場合には、5年間を限度とする。
 実施期間が3年を超えるものについては、業務開始後3年目に中間評価を行い、中間評価の結果に応じて、計画の変更、業務の中止等の見直しを行う。なお、中間評価においては、3年目までの目標が達成できているかどうかについて確認した上で業務継続の可否を決めることとし、優れた成果が挙げられていないものについては、原則として業務を中止することとする。

(2)科学技術政策に必要な調査研究

 原則1年間とする。ただし、特に必要と認められる場合には、2年間を限度とする。

5 費用

6 提案書類等

(1)重要課題解決型研究

 提案書類は、様式2−1から2−9によるものとする。本プログラムによる課題の実施を希望する研究機関は、責任機関及び研究代表者を決定する。責任機関及び研究代表者は参画する産学官の機関(以下、「参画機関」とする。)と調整し、研究終了時(3年間を超えて実施する場合は研究中間時及び研究終了時)の「具体的な達成目標」(以下「ミッションステートメント」とする。)を作成した上で、上記の様式に必要事項を記入し、責任機関から科学技術振興機構に提出することとする。

(2)科学技術政策に必要な調査研究

 提案書類は、様式2−1から2−9によるものとする。本プログラムによる課題の実施を希望する研究機関は、中核機関及び研究代表者を決めた上で、上記の様式に必要事項を記入し、中核機関から科学技術振興機構に提出することとする。

7 実施課題の選定

8 業務の実施