情報通信分野における研究開発の進展は、情報通信産業やハイテク産業など知識集約的な産業の創出・拡大や、ものづくり技術の新たな展開など既存産業の革新のために重要である。また、電子商取引、電子政府、在宅勤務、遠隔医療及び遠隔教育の実現・普及など、産業のみならず日常生活までの幅広い社会経済活動に大きな変革をもたらすもので、国民が安心して安全な生活を送るための重要な基盤となりつつある。
情報通信分野の研究開発水準については、我が国は、携帯電話、光通信技術、情報通信端末などで欧米より優位であると言われているが、米国は、パーソナルコンピュータ関連技術等での標準化戦略で先行し、またソフトウェア技術で我が国より優位である。
特に、この分野はニーズが多様で、技術革新が急速に進行しているため、機動的な研究開発を推進する。また、誰もが、自由な情報の発信・共有を通じて、個々の能力を創造的かつ最大限に発揮することが可能となる高度な情報通信社会の実現に必要な基盤技術に関する研究開発を推進することが重要である。具体的には、
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ネットワーク上であらゆる活動をストレスなく時間と場所を問わず安全に行うことのできるネットワーク高度化技術 |
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社会で流通する膨大な情報を高速に分析・処理し、蓄積し、検索できる高度コンピューティング技術 |
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利用者が複雑な操作やストレスを感じることなく、誰もが情報通信社会の恩恵を受けることができるヒューマンインターフェース技術 |
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上記を支える共通基盤となるデバイス技術、ソフトウェア技術 |
等の推進に重点を置く。
情報通信分野の推進に当たって、国は、この分野は多様性と技術革新の速さといった特性を持つことを踏まえつつ、市場原理のみでは戦略的・効果的に達成し得ない基礎的・先導的な領域の研究開発に重点を置く。さらに、革新的なアイディアを有する研究者個人に着目した研究開発にも重点を置くとともに、民間の優れた人材の教育現場での活用などにより、優れた研究者・技術者の養成・確保を図る。また、ネットワーク上での安全・安心な活動を担保するための制度等の整備、技術開発のためのテストベッドの提供、標準化等の国際的な取組、国民が情報通信技術を活用することができるようにするための教育及び学習の振興等に取り組む。さらに、コンピュータの誤作動・機能不全による災害、ネットワークを介した不正行為による社会システムの機能停止への対策や、プライバシー等の情報管理の在り方の検討、情報格差の是正について留意する。 |
<「第3期科学技術基本計画策定に向けた情報通信分野における重要領域について(案)」及び「第3期基本計画のポイント(案)」について検討後に記述予定> |