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資料7−2−2

「革新的シミュレーションソフトウェアの研究開発プロジェクト」事業評価(案)

1.課題名 革新的シミュレーションソフトウェアの研究開発プロジェクト

 

2.課題概要  わが国のもつ、世界最高水準の基盤的な科学技術用ソフトウェアを活用し、さらに、創薬などの設計を加速化するための「知的ものづくり」が必要な産業分野、人体の疾病予防などの「高度医療化」が必要な医療分野、災害時などの都市における安全性評価・予測など「科学的未来設計」が必要な環境などの分野において、高性能コンピュータ上での先進的シミュレーション技術の確立を目指し、革新的シミュレーションソフトウェアの研究開発を行う。
 さらに、研究開発された革新的シミュレーションソフトウェアについて産業界への実用化を促進し、プロジェクト終了後も継続発展可能な体制作りを目指す。
 なお、本研究開発は「次世代IT基盤構築のための研究開発」のプロジェクトのひとつとして、競争的資金の枠組みのもと、文部科学省が大学等の研究ポテンシャルを有する研究拠点を公募し、外部有識者等を含めた審査検討会により審査を行い、当該拠点を中心とした産学官連携体制により推進する。
3.評価の検討状況
(1) 課題設定の妥当性(必要性)
1 目標と達成手段
 「知的ものづくり」「高度医療化」「科学的未来設計」などを可能とする革新的シミュレーションソフトウェアを実現する。そのために、マルチスケール(複数の時間)やマルチフィジックス(複数の物理現象)などの多様な解析を可能とする先進的シミュレーション技術の確立を図る。技術確立を行う上で、方法論の研究開発や産業界のもつ実問題を適用し、ソフトウェアの有用性の検証などを行うべく、産学官連携体制を構築して、効率的かつ効果的な研究開発を実施する。

2 必要性
 計算機によるシミュレーションに代表される計算科学技術は、伝統的な科学技術研究の方法であった理論と実験に加え、新たに「第3の方法」として、現代科学技術の発展に大きな役割を果している。
 革新的シミュレーションソフトウェアは、「知的ものづくり」によってナノ・材料やバイオ分野をはじめとする広範かつ高度な科学研究の産業分野への適用や自動車やジェットエンジン等開発費のコストダウン等における国際競争力の強化に資するとともに、気象・災害予測や災害の都市におけるライフラインへの影響予測といった「科学的未来設計」による安全・安心な社会の構築に貢献するキーテクノロジーである。
 また、「第2期科学技術基本計画」(平成13年3月閣議決定)、「分野別推進戦略(情報通信)」(平成13年9月総合科学技術会議)において、広範な研究開発分野のための基盤技術として、シミュレーション等を行う計算科学技術に関する研究開発を推進していくとされている。さらに、「平成17年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針」(平成16年5月総合科学技術会議)において、平成17年度に特に推進していく重点領域として、自然現象等の複雑な現象をコンピュータ上で模擬する手法である計算科学技術が指摘されている。

3  期待される効果等本研究開発により、マルチスケール(時間等)やマルチフィジックス(複数の物理現象)などの多様な解析を可能とする最先端シミュレーション技術を確立する。本技術を活用することにより、創薬での「知的ものづくり」を活用した新薬開発の加速化、循環器疾患予防などの高度医療化の実現が可能な循環器系シミュレータへの活用や気象・災害予測や災害の都市におけるライフラインへの影響予測といった「科学的未来設計」ヘの利活用が可能となる。

(2) 手段の適正性(有効性・効率性等)
1 研究体制及び研究運営方法の妥当性(大学等と産業界の役割)
 本研究開発は「次世代IT基盤構築のための研究開発」のプロジェクトのひとつとして、競争的資金の枠組みのもと、文部科学省が、大学等の研究ポテンシャルを有する研究拠点を公募し、外部有識者等を含めた審査検討会により審査を行い、当該拠点を中心とした産学官連携体制により推進する。

2 研究開発成果の目標とスケジュール
 革新的シミュレーションソフトウェアの研究開発を実施するためには、産業界が必要とする実問題を解決可能な大規模かつ先進的シミュレーションの方法論の研究開発や産業界等の持つ実際の問題を適用し、ソフトウェアの有用性の検証などを行う必要があるため、3年程度の期間を必要とするものと判断する。

3 既存施策との関係性
 平成14年度から開始した文部科学省ITプログラム−世界最先端IT国家実現重点研究開発プロジェクト−(平成16年度予算額:27億円)では、世界最高水準の基盤的な科学技術用ソフトウェアの開発を実施してきたが、成果が前倒しで得られた為、成果のとりまとめを行い、終了する予定である。
 本研究開発では、わが国のもつ科学技術計算用ソフトウェアを活用し、さらに、「知的ものづくり」「科学的未来設計」など、産業や安全・安心に資するための実問題の解決を目指すことに、新たな重点を置くべきと考え、競争的資金の枠組みのもとに革新的シミュレーションソフトウェアの研究開発を実施するものである。

4. 評価結果
 課題設定の妥当性(必要性)より早期に実施すべき課題と判断する。また、上記の通り、手段の適正性(有効性・効率性等)についても、現段階での計画として十分検討されているものと判断する。




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