世界最先端IT国家実現重点研究開発プロジェクト
【光・電子デバイス技術の開発】
次世代のフォトニックネットワークを実現するためのキーデバイスの開発という、社会的ニーズを捉えた目標の達成に向け、産業界と強固かつ適切に連携した実施体制を築き、通信波長帯における単一光子発生器の実現に世界で始めて成功するなど、国際的にも優位な成果を実用化への道筋をつけつつ当初計画の前倒しで実現しており、非常に高く評価できる。今後とも、インパクトのある成果が生み出されるよう、研究開発の更なる加速を期待する。
【高機能・超低消費電力メモリの開発】
国内外の研究開発動向等から、1ギガビット級のスピンメモリの実現を目指すという達成目標は適切であると判断できる。目標達成に不可欠ないくつかの開発項目において、世界に先駆けた成果を達成しており、高く評価できる。今後は、1ギガビット級スピンメモリの実現に向けて、産業界との連携をより強めつつ、製品化を視野に入れた研究開発を進めることを期待する。
【超小型大容量ハードディスクの開発】
製品となるハードディスクの記録密度の向上の速さが、プロジェクト開始当初と比べて鈍ってきており、本プロジェクトの成果の重要性がますます高まる中、世界最高の記録密度を実現する要素技術の実現に目処をつけ、現在試作に取り掛かっていることは、高く評価できる。今後は、記録密度1テラビット 平方インチを目指した要素技術開発の努力を継続しつつ、記録密度500ギガビット 平方インチの確実な実証を期待する。
【次世代モバイルインターネット端末の開発】
達成目標及び中間目標は、学会における無線LANの標準化の動向に沿っており適切である。無線端末用LSIを開発試作するなど、研究開発は着実に進捗している。LSIの設計を進めつつ、中間目標である通信速度300メガビット 秒の無線端末の試作機を実現したことは、評価できる。今後は、達成すべき目標をより明確化し、特許や標準化のための活動に注力すべきである。
なお、参加企業との間で、知的財産権の取り扱いについて適切に整理することが不可欠である。
【戦略的基盤ソフトウェアの開発】
開発するシミュレーションソフトウェアは、産業界からのニーズがあり、ソフトウェア開発から普及までを見据えて、強固な産学連携体制を構築していること、すでに公開したソフトウェアが数多くダウンロードされ、量子化学分野等の実証計算において世界的に注目される成果が得られていることは、高く評価できる。今後は、産業界等との連携をより強化して成果の普及を促進するとともに、特に実用性が見込まれるソフトウェアの開発へより重点化させ、インパクトのある成果を生み出すことを期待する。
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