研究計画・評価分科会(第70回議事録)

1.日時

令和元年8月28日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省3F1特別会議室

3.議題

  1. 研究開発課題の評価について
  2. その他

4.出席者

委員

三島分科会長、栗原分科会長代理、青木委員、五十嵐委員、伊地知委員、小川委員、長我部委員、小林委員、高梨委員、寶委員、田中委員、土井委員、永井委員、長谷山委員、林委員、水澤委員、山口委員

文部科学省

菱山科学技術・学術政策局長、真先文部科学戦略官、角田科学技術・学術総括官、横井企画評価課長、山下科学技術・学術戦略官、工藤地震・防災研究課長、新地企画評価課課長補佐、ほか関係官

5.議事録

【三島分科会長】 ただいまから第70回の科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会を開催させていただきます。お忙しい中、委員の皆様にはお集まりいただきましてありがとうございます。
それでは、議事に入る前に配付資料等について事務局から御説明をお願いいたします。

【新地企画評価課課長補佐】 本日は研究計画・評価分科会の委員、臨時委員25名のうち、17名に御出席いただき、科学技術・学術審議令第8条第1項に定める定足数の過半数を満たすことを御報告いたします。
また、今回もペーパーレス会議を実施させていただきます。本日の配付資料については配付資料一覧のとおりで、全て資料はタブレットパソコンで御覧いただけます。タブレットパソコンに不具合が生じた場合や操作方法が不明な場合などは、事務局に適宜お申し付けください。
今回も研究開発課題評価の審議案件の説明時間を適切に管理させていただくため、既にお伝えしている予定の説明時間、6分ですけれども、6分の終了1分前で呼び鈴を1回、終了時点で呼び鈴を2回鳴らさせていただきますので、時間厳守でお願いいたします。
以上でございます。

【三島分科会長】 よろしゅうございましょうか。ペーパーレス会議ということでございますので、タブレットPC、横に目次が出ておりますので、それを見ながら、そこをタップしていただければ資料が見られるということでございます。
それでは、早速議事に入りたいと思います。
議題1は、研究開発課題の評価についてということでございます。本日は中間評価が5件、事後評価1件、計6件の審議をいたします。
そして、本日は事前評価がないので公開で審議を行うということにさせていただきます。
各委員会において取りまとめられた評価結果でございますが、資料1-1-1から1-5-2としてタブレットPCに入ってございます。
それでは、委員会ごとに説明をしていただき、それぞれ質疑の時間をとりたいと思います。よろしくお願いいたします。
資料につきましては、各委員宛てに事前に送っていただいておりますので、説明は評価表の必要な部分のみを簡潔にお願いしたいと思います。
それでは、最初に防災科学技術委員会から御説明をお願いしたいと思います。資料が1-2-2ですかね。じゃあ、よろしくお願いいたします。

【寶委員】 寶でございます。
資料1-1に全体のプロジェクト等の流れが書いてございますけれども、そのうち緑で記載されているもので、今年度に相当するものが、首都圏を中心としたレジリエンス総合力向上プロジェクトと次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトでございます。詳細については、事務局の方から御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。

【工藤地震・防災研究課長】 地震・防災研究課の工藤と申します。よろしくお願いいたします。
お手元の資料、配付資料1-1-2、6ページ目を御覧ください。
次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトの概要でございますけれども、本プロジェクトにつきましては、課題の実施期間が平成28年から令和7年度、約10年間、中間評価につきましては、令和元年度、本年度と4年度の2回を予定してございます。
事業概要につきましては、こちらにありますとおり、プロジェクトリーダーの強力なリーダーシップのもと、他分野の連携・融合を図り、観測・予測・対策の一体的な研究を推進するとしております。
具体的には、先端的な火山観測研究の開発、火山噴火の予測技術の開発、それから、火山災害対策技術の開発の3本柱でやっております。
また、大きな柱といたしまして、もう一つ、人材育成の部分ございまして、こちら火山研究人材育成コンソーシアムを構築し、大学間連携を強化するとともに、最先端の火山研究と連携させた体系的な教育プログラムを提供していただいております。
資料の方を数ページちょっとめくっていただくんですが、13ページ、通番で申し上げると、済みません、失礼しました、通番で14ページ、この前段階から中間評価表が2ページ前から始まっておるんですけれども、その内容はこの評価結果とかなり重複してございますので、時間の関係上、評価結果の14ページから御説明させていただきたいと思います。
課題の進捗状況につきましては、この先端的な火山観測技術の開発に関しましては、先駆的な技術で宇宙線を用いた火山観測の高解像度化、高頻度で地殻変動や火山ガス組成等を把握可能な可搬型観測装置の開発、それから、水蒸気噴火発生前に観測される諸現象を包括的に説明できるような準備過程モデルの提案等が行われております。
また、火山観測に関する新たな技術開発といたしましては、ドローンと空中マイクロ波送電技術を活用しまして、遠隔で観測機器からのデータ回収や観測用ドローンへの電力供給を行う技術開発を行っております。
あとは、光センサーを用いた振動観測システムという技術開発を進めておりまして、これにつきましては野外実験がなかなかできないという部分ございますけれども、その予備実験等で良好な観測結果が得られておりますので、着実に進歩していくと言えます。
また、火山噴火の予測技術につきましても、多数の火山、掘削調査や火山噴出物、こちらの調査を行いまして、過去の噴火履歴や噴火推移の詳細な把握というのが進んでおります。
また、火山対策の技術につきましては、ドローンやレーダー等を用いまして、火口周辺付近の噴出物や噴煙の状況をリアルタイムに把握する技術開発を行っております。
実際に、この火山噴火において実用された実績もございまして、こういったことからもこの技術について進捗が進められていると思います。
また、これらの技術開発を進めるだけではなくて、地質学分野も含んだ火山の物理情報その他を、火山観測データネットワークを構築しておりまして、こうしたデータネットワークは各大学、それから、研究機関で共有することによって、多分野の研究者による検討というのが進められているというものでございます。
また、全国の大学や研究機関に、先ほど申し上げたもう一つの柱でございます教育につきましても、全国の大学や研究機関で構築されたコンソーシアムにおきまして、専門科目の授業、それから、フィールド実習、最先端の火山研究、火山防災等に関するセミナー、関係機関におけるインターンシップ、こういったものが精力的に行われてございます。
次のページを御覧ください。
各観点の再評価の点でございます。事前に当初設定されております必要性、有効性、効率性につきまして、再評価の方を防災学術技術委員会の方で行っていただきました。
この中で御紹介しておきたいのは、評価基準につきましてですけれども、必要性につきましては、従前の火山研究の裾野を広げ、人材の多様化に資する事業になっているか、それから、社会のニーズに応えるための災害低減に資する火山研究を実施するものになっているかの2点が掲げられてございます。
この点につきまして、当該ページの一番最後の方になりますけれども、本プロジェクト開始以降も草津白根山(元白根山)や霧島山硫黄山で水蒸気噴火が発生するなどしており、引き続き火山研究への期待・社会的要請は高い。また、現状のままでは大学等の火山研究者の高年齢化が今後更に見込まれる中、若手研究人材の育成ともに、計算科学やドローンなどの技術の進展を火山噴火災害の軽減に生かすことが求められていると。多分野との連携、融合も含む人材育成の必要はますます高まっているということをここで認めていただいております。
続きまして、次のページ、有効性でございますが、こちらについても、研究成果が社会の防災向上に資するものになっているか、火山研究の人的基盤の拡大に資するものになっているかが評価基準になってございます。それぞれ先ほど申し上げた進捗状況と若干重複いたしますけれども、これらの火山観測・予測・対策、それぞれについて技術的成果、知見が得られておりまして、これについて、火山活動評価のための情報として活用されております。
また、自治体等の防災担当者向けの火山防災に関する研修プログラムの開発というのも進めておりまして、研究成果は社会の防災力の向上に資するものとなってございます。
このほか、火山分野の博士、それから、修士課程の学生数の増加、火山学会の学生会員の増加というのが見られるなど、人材育成コンソーシアムが実施する火山特別セミナーへの自治体職員の参加など、火山研究の人的基盤の拡大に資するものとなってございます。
最後に、効率性でございますけれども、異分野の連携により火山研究の実施や人材育成のための適切な手段が講じられているかにつきましても、この点につきまして、桜島の火山灰ハザード評価手法の開発における火山学と気象学の分野間連携、こういったものを含めて同一の火山を多様なアプローチで解釈を試みることによって、この基準にございますところの異分野の連携による火山の適切な手段を講じられていることになってございます。
最終的に、この評価につきましては、継続という形で御評価を頂いております。また、ちょっと資料のページを最初の方に若干戻させていただきますけれども、このアウトプット、アウトカムにつきましても、この評価表に記載してございまして、資料で12ページ、それから、13ページにそれぞれ本課題が関係するアウトプット指標でございまして、予防力の向上、対応力の向上、それから、同じくアウトカムについても、同一の項目につきまして、それぞれ先ほど申し上げた進捗状況を踏まえた実績というものを記載してございます。詳細については時間の関係上割愛させていただきます。
私の方は以上です。

【三島分科会長】 御説明ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明に対して御質問、御意見がございましたらどうぞ。

【土井委員】 済みません、よろしいでしょうか。

【三島分科会長】 はい、どうぞ。

【土井委員】 どうも御説明ありがとうございます。そういう意味では、観測データをオンライン化してやっていくというのは非常に重要なことだと思いますが、データを観測している地点に関してはどういう御議論がなされたのでしょうか。なぜこういう質問をするかというと、たしか白根山は観測対象外のところから噴火したと伺っているんですけれども、そういう意味では、やはり適切な場所で観測をしないといけないと思いますが、そういうところの最近たくさん噴火増えていますけれども、見直しとか、そういう御議論は委員会の方であったのでしょうか。

【工藤地震・防災研究課長】 一般にそのような御意見があることというのは重々承知をしているんですけれども、火山観測につきまして、今回観測技術の高度化、新たな観測技術を開発するという形でこのプロジェクトをやっております。
他方、一般に火山に対する防災上の観点というのにおける観測点の設置につきましては、原則としてそれは気象庁さんが行っているものでございまして、それからするとちょっと本プロジェクトの対象からは外れているかなと考えております。

【三島分科会長】 ほかにいかがでございましょうか。
どうぞ。

【小林委員】 大変重要な研究かと思います。一つ教えていただきたいんです。こういう経年的にずっと観測をし続けるということ自体が大事な研究テーマでございますね。最近インパクトファクターとか、そういう形の研究評価がどんどん増えてきているんですが、地道にこういうふうなデータを蓄積していくという作業とか、研究活動そのものに参加する研究者の方にとって、適正な評価の在り方はどういうものかというのは何か議論されているのでしょうか。実はこういうのはいわゆる新規性とか、ああいう基準では必ずしも評価できないんだけれども、ものすごく大事なものだと思うのですが、そのあたりはどんな考え方なのか教えていただきたいと思います。

【寶委員】 災害研究というのは、もう私ども30年ほどやっているんですけれどもね、災害研究はなかなか難しい面がありまして、災害事象が起こらなければなかなか成果が出にくいというところはあるんですけれども、ただし、そういう、何というんですかね、起こるか起こらないかということだけではなくて、やはり観測技術とか、情報技術とか、それから、それをいかに防災につなげていくかというところの研究開発は事象が起ころうが起こるまいがやっていけるわけですね。そういった方面で、コンスタントにやはり技術開発でこういう新しいものができましたということを論文にしてもらって、我が国の科学技術の進展を着実に成果を出していただくと。事象が起こったときには、それがこのように役立ちましたということで、更にそれがいい形で報告できると、そんなことで、事象に依存して研究成果が出ないということでは困るんですね。ですから、例えば、雪のことをやっていて、修士論文をやりたいと。ですけれども、雪が降りませんでした、修論が書けませんでしたと、これじゃいかんですね。
ですから、そんなことで、防災研究というのは事象が、この場合ですと火山ですけれども、火山噴火がなければ研究できないのかと、そういうことではなくて、やはり技術開発はやっていけるわけでして、そういうことで成果を上げていくということになると思います。

【小林委員】 いや、それはもちろん分かるんですが、事象が起こらなくてもデータはとにかく蓄積し続けること自体に価値がありますよね。そういう価値を評価する仕組みというのがあるのかということ。

【寶委員】 近年ちょっとよく言われるんですけれども、必ずしもその、何というんですか、新規性とか、ちゃんと検証できたかどうかということで評価される論文もあれば、一方、やはりデータベースを作り上げるとか、それから、観測ネットワークをうまく作ってそれが機能できるようにしましたというような感じの論文も評価していくべきだということは、そういうすう勢にはなっているんですね。ですから、査読する先生方もそういった観点で査読していただけると大変有り難いと思っておりますが。

【小林委員】 ありがとうございました。別にこれは地震研究に限ったことじゃなくて、環境問題研究一般に常にそういうのがあるので、それを我々は適正に評価しているのかという問題意識があったので、一言申し上げました。ありがとうございました。

【三島分科会長】 なるほど。ありがとうございます。
ほかいかがでございましょうか。
それじゃあ、五十嵐委員、まず。

【五十嵐委員】 いいですか。済みません。ありがとうございます。若手の人材育成が非常にうまく進んでいるということで、若手の人材というのは分野にとどまらず、ほかの分野でも非常に重要で、それぞれの分野で苦労されていると思うんですが、特にこの分野でうまくいっている理由を、こういうことが特にうまくいっているなど、お聞かせ願えればと思いますが。

【工藤地震・防災研究課長】 うまくいっているという点につきまして申し上げると、火山についてはそれぞれの火山で大学ごとにそれぞれエリアを持って研究を進めてきたというのが、教育も含めて進めていった歴史があったんですけれども、このプロジェクトを行うに当たり、そういった枠を取り払って、各大学が協力してプログラムを作り上げて、各大学から学生さんに参加していただいて、それを教育して、それを実際の単位認定も含めて行っていくという仕組みを作り上げましたので、そういう点におきまして、なかなか異分野とか、大学の枠を超えた取組というのが見える形で残ってないところ、出てきているというのが、恐らくうまくいっている点ではないかと我々としては推測しております。

【五十嵐委員】 ありがとうございます。今の点も大変参考になるんですけれども、大学だけじゃなくて、それ以前に必要な部分もあるかと思うんで、そういう点で広報活動とか、そういうことはこのプロジェクトには入っていないんでしょうか。

【工藤地震・防災研究課長】 広報活動もやっております。ただ、広報活動が我々としてほかのプロジェクトとどう違ってどういういい点があったかということについては、まだその解析はできておりません。

【五十嵐委員】 済みません、長くなるんで。

【三島分科会長】 それでは、伊地知委員。

【伊地知委員】 通しの12ページ、13ページでアウトカム指標についてなんですけれども、こういった課題についてアウトカムを把握しようという、非常に重要な取組をされているのではないかなと思いますが、ただ、ここに書かれている内容を拝見すると、例えば、資料を提供したというようなことで、もしこれ、課題の当初から想定している活動の中のことであるとすると、これはアウトカムというよりかはアウトプットではないかなとも思われますので、ちょっとこのあたりについてはもう少し精査していただいて、本当にアウトカム指標にふさわしい内容で御評価いただくといいのかなと思います。

【三島分科会長】 それに対して何かコメントございますか、よろしいですか。
ほかにいかがでございましょうか。よろしゅうございますか。ありがとうございました。
それでは、次でございますが、今度がライフサイエンスでございます。永井主査から2件よろしくお願いいたします。

【永井委員】 まず、資料1-2-2の2ページを御覧になってください。橋渡し研究戦略的推進プログラムの研究課題開発に関する中間評価でございます。
この橋渡し研究戦略的推進プログラムは、全国の大学等の橋渡し研究支援、トランスレーショナル・リサーチの拠点においてアカデミア等の優れた基礎研究の成果を臨床研究・実用化へ効率的に橋渡しができる体制を構築しようとするものであります。
平成29年度から令和3年度、5年間の事業でして、3年目の本年に中間評価を実施いたしました。
まず、評価でございます。9ページ御覧ください。
橋渡し拠点において支援しているシーズの総数が着実に増加しています。シーズパッケージ制度により次の段階へステージアップするプロジェクトが着実に増えております。
本プログラムの目標というのは治験届提出数でございまして、2年間で既に7拠点が目標を達成しておりますし、事業終了までに全ての橋渡し拠点で達成可能見込みでございます。
また、企業へのライセンスアウトの数について、目標達成可能見込みの橋渡し拠点は6つございます。製造販売承認、保険医療化に成果を上げております。また、人材育成でありますが、研究開発を支援する人材育成について様々なプログラムが行われており、本プログラムの進捗は優れているという評価となりました。
続いて、(2)各観点の再評価についてです。必要性、有効性、効率性の項目別の評価を御説明いたします。
必要性、10ページでございます。支援した課題数、治験開始した課題数、製造販売承認を取得した課題数は十分にあり、実用化が十分に図られているということで、科学的・技術的意義、社会的意義は高いと評価しています。
次に、有効性は11ページでございます。シーズの着実な橋渡し及び医薬品・医療機器の実用化がなされており、橋渡し拠点のみならず、拠点外も含めた実用化研究に関する人材・ノウハウ供給の仕組みが構築されています。以上より、有効性は高いと評価いたしました。
続いて、効率性は11ページと12ページであります。橋渡し拠点において課題評価が適切に行われており、効率的な研究推進のための適切な実施計画体制が形成されています。また、AMEDによる戦略的なシーズの評価、育成、中止決定等を含めた進捗管理が適切に行われており、効率性は高いと評価いたしました。
最後に、12ページでありますが、これらの評価を勘案いたしまして、本プログラムは継続して実施すべきと評価いたしました。
ただ、幾つか留意点がございます。
まず、橋渡し拠点の自立化であります。着実に進みつつありますが、基盤整備費によらない運営が可能となるよう、更なる収入の多角化を図っていただきたいということ。また、基礎研究から臨床応用展開を支える基盤づくりが効率的に達成できたと評価いたしますが、その成果を更に有効活用し発展させるためのバランスを考慮しつつ、各橋渡し拠点の強みを生かした特色化が必要であるということであります。
このプログラムの終了後、実用化の基盤としての人員を自立して整備できるかが懸念されているところでありますが、人材育成は継続して取り組む必要があり、また支援人材の育成、キャリアパスには更なる文部科学省の支援が望まれているところであります。
シーズの採択・選考プロセスにおいては、科学的裏付けに加えて、現在必ずしも十分でないと考えられるビジネス評価の観点、あるいは、アンメットニーズの観点からの評価が必要であり、これについては、第三者の意見を取り入れるなど、適切な評価体制の確保が必要であるということであります。
また、本プログラム以外においても数多くのシーズが臨床研究、実用化へ橋渡しされつつあります。ほかのプログラムとの連携について、AMEDの事務局を中心に検討をすることなどが挙げられております。
以上です。

【三島分科会長】 御説明ありがとうございました。
それでは、御意見ございましたらどうぞ。

【小林委員】 よろしいですか。

【三島分科会長】 はい、どうぞ。

【小林委員】 今の留意点、13ページのところですけれども、これが多分一番第一のこのプロジェクトにとって今後非常に大事なポイントかと思うんですね。シーズの選考プロセスでは科学的な裏付けが確実に必要であってという、そこは比較的大学は得意のところだと思うんですが、恐らく2行目のビジネス評価の観点やアンメットニーズの観点からの評価がまだ不十分と。そして、ベンチャーキャピタルや患者等の第三者の意見を取り入れることも重要であるという、極めて重要な指摘がなされているんですが、これ具体的にこのプロジェクトの中ではどう取り組んでいるかということについては何か検討されているんでしょうか。
【ライフサイエンス委員会事務局】 事務局から説明させていただきます。
まず、拠点の方ではアカデミアの先生方がアカデミアの観点から評価を頂き、また知財担当者、産学連携担当者が実用化の面から評価を行っております。さらに、AMEDの方ではPD・PS・POや、産学連携について知識を持っている評価委員の先生方に評価を頂いているということに加えて、更にこの評価委員の先生方を厚くしていくということを検討しているということを申し添えさせていただきます。

【小林委員】 ここ日本が一番弱いところだというので、長らく指摘されているポイントだと思うんですね。そのときに、研究者は科学をやっていて、そして、それとは別にビジネス評価とかという、この分業体制の構築だけでよいのかという問題が多分あって、やはり研究の一番の意味が分かっている人が同時に少しはビジネスも分かるというタイプの人材を作ることが多分大事であって、それが今どうも日本は分業体制で行ってしまっているような気配があるんですが、そこももう少し戦略的には取り組んでいくべきではないかと思います。

【永井委員】 私は東大で第1期の橋渡しの責任者をしたのですが、当時に比べてみると随分良くなったと思います。意識が大分浸透していますし、いろいろな大学から拠点に相談するようになってきました。地方大学にはもったいない研究があります。そういう研究をこの拠点のビジネスの分かる方につなぐシステムとして、相談体制を作る必要があると思います。

【三島分科会長】 長我部委員、どうぞ。

【長我部委員】 私も13ページの留意点のところで、特に最初の自立化、収入、知財のところで御質問が2件あります。コメントの下から2番目のところで、企業がリスクを避けてなかなか受け取らないということで、インセンティブを検討すべきとあるんですが、これは評価側として具体的な例があるかという点が1点目です。それから、最後のコメントの一番下のブレットで、海外からの資金というくだりがございます。これは成果の海外移転を前提にした言葉と受けられるんですが、国のプロジェクトに対して海外への成果移転ということに関してコンセンサスができているのかというあたりを、済みません、よく分かっていないもので教えてください。

【ライフサイエンス委員会事務局】 事務局よりお答えさせていただきます。
先生御指摘のまず1点目、リスクを避ける企業が多いために、企業に大学発のシーズの連携を奨励するには企業へのインセンティブを検討すべきであるという点に関しましては、現行事業の中で具体的なビジョンがあるかという点については、今まさに検討している段階なので、なかなかお答え申し上げにくい点ではございます。一方では、我々AMED事業を預からせていただいておりますけれども、そのほかに産学連携のACT-Mと言われる、企業の方と大学の先生とがタッグを組み、企業リソースを活用しながら公費を投入するというような、マッチングファンドまでは行かないのですが、それに類する事業も持っております。そういった事業の枠組みも参考にしながら、現行では大学の先生だけへの支援であり、企業への支援はあまり考えていない事業の建て付けになっておりますけれども、我々としては評価委員の御指摘を踏まえて、産学連携というところも、何かできないかを今後考えていきたいと考えてございます。
もう一つ、先生御指摘の、海外からの資金を含めて技術移転等に対するコンセンサスにつきましては、経産省が主に取りまとめられているところです。技術流出や安全保障の観点については、もちろん国のルールとして遵守しつつ、それに加えて、どうすれば日本でとった特許を海外に流出しないようにできるのかといったことを考えるべきでないかというような御指摘を受けております。現状ではその辺は我々の所掌の話もございますので、コンセンサスはないかと考えております。
ただ、こういった技術を輸出していく中で、オールジャパンに必ずしも限らないのですが、せっかく公費を投入したものについては、日本のためになるように考えていかないといけないなと考えている次第でございます。

【三島分科会長】 よろしいですか。

【永井委員】 日本の企業がリスクをとらないといわれており、企業の開発力が相当落ちているという感じがいたします。その一方で今度は大学側が十分に知財の権利を取得できていない場合もあります。この辺は試行錯誤しながら一定の方法を作っていかないといけないと思います。

【長我部委員】 まさに先生おっしゃるとおりで、両側の問題として、やはり相互に認識を持って変えていく必要がある問題だと思います。是非2点とも大事な問題だと思うので、評価しっ放しというよりは、ちゃんとコミットして考えてあげるということで解が出ればと思います。

【永井委員】 この橋渡し研究拠点のヒット率は非常に高いですね。その辺もよくアピールしながら進め方を協議する必要があると思います。

【三島分科会長】 じゃあ、栗原先生。

【栗原分科会長代理】 私も似たようなことを質問したいと思ったのですが、その上に書いてある、評価基準として従来は知財の数だったんだけれども、今後は知財の数でなく質を評価すべきというのは、そのとおりだと思います。しかし質の評価基準は知財収入とか、あるいはライセンス数や、ライセンスアウト数だということになると、それにかかる期間というのが評価基準とするのに適切か、プロジェクトの期間と評価基準を変えていくことがうまく合っているのかが少し気になります。そういう形で活動が発展していくことは大変大事なことだと思うんですが、この基準という考え方になるとどう考えていくのかなと思い質問いたします。

【ライフサイエンス委員会事務局】 事務局です。貴重な御指摘本当にありがとうございます。
確かに、これまで出願数ですと、出願した時点で当然カウントできますし、また、2年たった時点でオープンになるということもあって、表に出やすいという点がありました。確かに質で、収入とか、ライセンスアウト数ということになりますと、本当に時間がもっと何年後、数年後ということになりますので、時間の点を考慮して今後評価基準としていく必要が本当にあるかと思います。貴重な御指摘ありがとうございます。

【三島分科会長】 それでは、どうぞ。

【伊地知委員】 課題の中での個々の活動までは把握していないのでよくわからないのですが、ちょうどこの間、今対象としている期間で言うと、臨床研究法が制定されて施行されたかと。そうすると、様々な制度、仕組みが導入されたかと思うのですが、それのもし影響があったとしたら、それは良い面、悪い面あり得るのではないかと。もしあったとすればどういったものになりますか。

【永井委員】 臨床研究法はがん研究と小児医療の研究にかなり影響が出ていると聞いています。橋渡し研究については把握していません。もともと橋渡し研究は企業からの支援を前提としていませんので、影響は少ないのではないかと思います。

【伊地知委員】 あともう1点補足してよろしいですか。

【三島分科会長】 はい。

【伊地知委員】 いわゆる努力義務がかかっている範囲のところがあり得るのかなと思ったのですけれども。

【永井委員】 慎重に進めているようです。データが出たらお知らせしたいと思います。

【三島分科会長】 ありがとうございます。
まだあるかと思いますが、もう1件ございますので、今度は資料1-2-4でございますかね。

【永井委員】 はい。資料1-2-4を御覧ください。再生医療実現拠点ネットワークプログラムの中間評価です。
この再生医療ネットワークプログラム、平成25年度から令和4年度までの10年間の事業でございます。今回平成28年度から平成30年度の3年間の評価を行いました。これは2回目の中間評価となります。
この目的は、本事業の目的は、臨床用iPSストックを製造供給する京都大学iPS細胞研究所、CiRAを中核拠点とした研究機関の連携体制を構築し、iPS細胞を用いた革新的再生医療・創薬をいち早く実現することとなっておりますけれども、この中間評価では再生医療に資する課題が評価対象となっております。
評価の概要は10ページでございます。
事業のアウトカムでありますが、iPS細胞等の幹細胞を用いた課題の臨床研究への累積移行数をアウトカム評価としております。中段にございますが、順調に増加しているということであります。
11ページから13ページに、本プログラムにおいて日本人の約40%をカバーする臨床用iPSストックの提供が開始されたということが示されております。また、複数の研究課題での臨床研究が開始されました。
さらに、シーズ育成、若手育成への積極的支援を行い、幾つかの優れた成果が既に創出をされているということで、進捗は優れていると評価いたしました。
各観点の再評価でございますが、必要性は13ページに記載されております。
このプロジェクトにおいて、iPS細胞を用いた臨床研究が世界に先駆けて開始され、関連して国際的学術誌への掲載、知財取得につながっており、社会的・経済的意義が高いことから、必要性は高いと評価しております。
有効性でございますが、14ページにございます。
本プロジェクトにおいて、臨床用iPS細胞ストック構築はおおむね順調に進捗しており、ストックを用いた複数の臨床試験と研究開発が加速されております。
また、若手研究者育成シーズ開発を支援する体制も新たに整備されたということで、有効性は高いと評価しています。
効率性でありますが、15ページにございます。
AMED事務局では、文科・厚労・経産3省の事業を統括するPDを中心に情報共有を図り、効率的・効果的に運営を実施したということは評価できるということでございます。
一方で、本プロジェクトの成果、技術等が他の事業の研究者に必ずしも十分に利活用されたとは言えないということ、また、AMED事務局においては引き続き柔軟な審査、管理体制の構築が望まれるということで、一部課題が見られるということですが、効率性はおおむね妥当と評価しています。
最後に、17ページでございます。
諸評価を勘案いたしまして、全体的に本プログラムは継続することが妥当と判断されました。
幾つか留意点がございます。
京都大学iPS細胞研究所、CiRAにおいて、ゲノム編集技術等の新しい技術を積極的に取り入れるとともに、臨床用iPS細胞ストックを利用する研究者の裾野を拡大するということ。再生医療の実現、あるいは、国際競争力の強化等に向けて重要な研究テーマへの柔軟な支援をする事業運営を検討するということ。さらに、再生医療分野の研究が異なる分野の研究と連携・融合していく仕組みを検討するということ。これには細胞治療等、いろいろ含まれております。
また、再生医療分野の基礎研究を戦略的にもっと推進するとともに、このプログラムで支援を受けた研究者が得た知見を次の若手研究者に引き継げる効率的な体制が必要であると、これを検討していただきたいということ。
また、臨床応用に向けては、研究段階の早期から実用化を見据えて、プログラム内又は各省事業との連携を強化する必要があるということ。また、国民が理解できるような情報発信を継続的に実施し、研究者コミュニティに対しても同様に周知が必要であるということ等が挙げられております。
以上でございます。

【三島分科会長】 御説明ありがとうございました。
それでは、御質問、御意見ございましたらどうぞ。いかがでしょうか。非常に盛りだくさんの成果がございましたが、いかがでしょうか。

【水澤委員】 よろしいですか。

【三島分科会長】 どうぞ。

【水澤委員】 大変順調に研究が進んでいるということで、すばらしいと思いましたけれども、本事業で支援されているiPS細胞を使った研究と、それから、それ以外の研究の比率はどのような考え方に立って、具体的に実際どれぐらいなのでしょうか。ほとんどiPS細胞による研究課題でしょうか、それとも、それ以外のES細胞も含めた細胞等も支援されているのでしょうか。

【ライフサイエンス委員会事務局】 本日の資料には含まれてはおりませんが、本事業において、再生医療の臨床応用を目指す研究課題として文科省で現時点で支援されているものに関しまして、やはり半分程度、iPS細胞を用いた課題を支援していますが、他では、ES細胞については基礎から臨床手前までのフェーズで2件、残りは体性幹細胞と、最近だとダイレクトリプログラムといいまして、ベクターを用いた遺伝子治療に準ずる研究課題も複数支援しております。現在では、必ずしもiPS細胞に限らず、多様な細胞種を支援してすることで、なるべく多くのシーズを発掘し、若手育成を含めて実施し、それを厚労省事業に引き継いで再生医療の実現を目指しているという状況です。

【水澤委員】 ありがとうございました。質問したのは、よく言われるように、日本は割とiPS細胞に偏っていて、諸外国はそれ以外のところも進んでいるといった話がありましたので、御質問いたしました。安心いたしました。

【永井委員】 これについてはワーキングでも少し議論がありました。臓器が丸ごとよみがえればよいのですが、それはなかなか難しいわけです。しかし再生医療の当初の目的として、機能的再生や細胞を用いた機能的再生がうたわれております。そういう面の基礎研究、特に遺伝子治療やゲノム編集などの技術を用いた再生医療研究がもっと行われてしかるべきではないかという指摘がございました。

【水澤委員】 ありがとうございます。

【三島分科会長】 長我部委員、どうぞ。

【長我部委員】 コメントですけれども、17ページのところに、再生医療は新しい分野であって、時間もかかるので、性急な成果を求めることは適当ではないというくだりがあります。私は再生医療の産業団体であるFIRMの副会長を務めておりますが、産業界としても時間はかかると考えていて、進まないからこの分野は駄目なんだという議論になることをすごく恐れています。国としてもかなりiPSにはお金を投じていて、それがなかなか産業として結果にならないということに我々FIRMに属している企業も認識していますが、将来に医療を変える分野と考え長期的視点で進めているつもりです。
ですから、短期的な流れに負けないで、iPS以外のほかのESとかいろいろ見るということも大事ですけれども、じっくり進めていただきたいということで、私としてはすごく大事なコメントだと思いました。

【三島分科会長】 ありがとうございます。
ほかに御質問、御意見ございましょうか。よろしゅうございますか。
それでは、ライフサイエンスの2件の中間評価につきましてはここまでとさせていただきまして、次が脳科学委員会からの御説明でございます。これは水澤主査からですね、よろしくお願いします。

【水澤委員】 それでは、脳科学委員会の御報告をさせていただきます。
資料の1-3-2を御覧ください。通し番号では67ページかと思います。
今回の脳科学研究戦略推進プログラムの中の行動選択、環境適応を支える種を超えた脳機能原理の抽出と解明の中間評価でございます。
以下、脳科学研究戦略推進プログラムにつきましては脳プロ、行動選択・環境適応を支える種を超えた脳機能原理の抽出と解明につきましては環境脳、環境適応脳という略称を使わせていただきます。
まず、概要でありますけれども、資料の75ページを御覧ください。
本事業は行動選択・環境適応を支える脳機能原理の解明に資する研究開発を実施しておりまして、その破綻によって生じるとも考えられます依存症、心的外傷ストレス障害(PTSD)、睡眠障害などの疾患メカニズム及び病態の解明並びに創造性の基盤となる脳機能の理解等への貢献を目指しております。
平成29年度から令和3年度までの5カ年計画でありまして、日本医療研究開発機構(AMED)の一貫した支援推進体制の下で実施しております。
評価でございます。課題の進捗状況につきましては時間の関係上説明を省略させていただきます。
76ページを御覧ください。(2)でございます。各観点の評価について御説明をいたします。
まず、必要性でございます。本事業におきまして、人の意思決定の脳機能の原理の解明に向けて、まず任意の神経細胞の活動の調節とイメージングを同時に実施できる世界初のPETトレーサー、2光子カルシウムイメージングを応用し、げっ歯類と霊長類の脳機能原理を種間で比較するための世界に先駆けた計測・解析技術が新たに開発されております。これはポンチ絵のところで73ページの上段と下段にございます。
以上のように、事前評価で示した必要性の評価基準は十分満たされていると評価いたしました。
続いて、同じく76ページの有効性の観点についてでございます。本事業におきましては、ヒト及び非ヒト霊長類を対象に脳機能を計測するグループと計測したデータの解析・モデリングを実施するグループとの連携など、参画機関それぞれの高度な技術を相互に活用するための効果的な連携体制を構築して実施しております。
その上で、報酬による意思決定機構と社会的な意思決定機構における神経細胞の活動を検出・解析し、種間で比較検証することで、意思決定に関与する脳領域を絞り込むなどの成果を上げております。
こういうことにより、事前評価で示した有効性の評価基準は満たされていると評価いたしました。
続きまして、77ページを御覧ください。
効率性の観点についてでございます。本事業におきましては、有効性の項で御説明いたしましたように、これまで各チームにおいて構築された研究基盤や新たに開発された計測・解析監視について、チーム間で交流を図り、一体的に研究を進める取組がなされております。
また、AMEDにおきましても研究開発運営の改善及び支援体制の改善を踏まえ、中間評価を実施し、各研究開発課題の進捗状況及び成果等の把握などを遂行することで研究が効率的に推進されているところでございます。
したがいまして、事前評価で示した効率性への評価基準は満たされていると評価いたしました。
続きまして、77ページを御覧ください。
(3)科学技術基本計画等への貢献状況でございます。本事業におきましては、各チームが独創的・先駆的技術を開発・駆使しながら、着実に成果を上げております。このことから、健康・医療戦略に即して策定されました医療分野研究開発推進計画の達成目標のうち、精神疾患の客観的診断法の確立、精神疾患の適正な治療法の確立、及び認知症の診断・治療効果に資するバイオマーカーの確立などに向けて貢献していると考えております。
続きまして、78ページを御覧ください。
(4)で、今後の研究開発の方向性についてであります。本課題は継続と判断しております。その理由でありますけれども、本事業は各観点の再評価の項で今御説明しましたとおり、各チームが独創的・先駆的技術を開発・駆使しながら着実に成果を上げ、研究開発の効率化のため、チーム間の交流に努めております。
また、精神・神経疾患の予防、診断、治療への貢献が求められる中で、前述のとおり、医療分野研究開発計画に達成目標が明記されているということからも、本事業は継続して実施すべきものであると判断しております。
その下の(5)そのほかの欄を御覧ください。
今後ヒトの精神・神経疾患の症状や問題行動の重要な原因である意思決定の障害のメカニズム解明に向けて、チーム同士の効果的な連携がより一層図られるということを期待することといたしまして、本事業終了時には学術的な観点からも、国際的に評価され得る成果が得られることを期待するといたしております。
以上でございます。

【三島分科会長】 御説明ありがとうございました。
それでは、御質問、御意見がございましたらどうぞ。
どうぞ。

【小林委員】 これから大変大事になる研究だろうと思うんですけれども、一つ教えていただきたいのは、社会的意思決定のところに問題があるという設定で、研究がされていると。それで、霊長類の社会的意思決定の場面のメカニズムと、それから、そうでないタイプの部分の意思決定というのを研究されているというのはよく分かったんですが、マウスとマーモセットの研究というのはその文脈の中でどういう位置付けになるのかをちょっと教えていただきたいんです。

【水澤委員】 そうですね、私の分かる範囲では、例えば、このポンチ絵を見ていただきますと、主たる研究成果4のところにございまして、マウスと霊長類、これはマーモセットかと思いますけれども、同じタスクを課して、その関連する部位を同定するということがあるかと思いますが、そういうふうに比較検討の一つの対象として、げっ歯類もかなり重要な役割を担っているのではないかというようには私は思います。

【小林委員】 つまり、マウスが社会的意思決定を霊長類と同じようなレベルでやっているという仮説があるわけではなくて、ある行動パターンの選択におけるメカニズムを調べて、それと霊長類の社会的意思決定と、それから、霊長類のそうじゃないものとの間で対照を知るということですか。

【水澤委員】 そこは私も詳しくはありませんけれども、おっしゃるような内容が含まれていると思いますし、マウス等も複数で飼育して、その中で社会性を見るということは実際行われておりますので、もちろんレベルはかなり違っているとは思いますけれども、それぞれが社会性という面では共通している部分があるかもしれないと思います。これから結果が出てくるかとは思いますので、それには期待したいと思います。
事務局では何かありますか。補足がもしあれば。いいですか。

【三島分科会長】 ほかにございますでしょうか。よろしゅうございますか。
それでは、どうもありがとうございました。脳科学分野は以上でございます。
次が環境エネルギー科学技術委員会からでございます。資料1-4-2でございます。これは事務局から。

【葛谷環境エネルギー課課長補佐】 事務局の環境エネルギー課から説明させていただきます。
まず、資料1-4-1でございますけれども、今回は一番上にあります統合的気候モデル高度化研究開発プログラムの中間評価になります。
中目標でございますけれども、上から2つ目のポツにありますとおり、気候変動予測に活用されるような気候モデルの高度化を進めて、より正確な将来予測に基づく温暖化対策目標値アプローチ、いわゆる適応策の策定に貢献するといったものでございます。
プログラム内容につきまして、気候モデルの高度化を通じて、国内外における気候変動対策に活用できるような気候変動メカニズム等の解明や、併せて高精度予測情報、こちらにつきましては、全球から日本地域レベルの予測情報でございまして、21世紀末の気温や降水量の予測情報を創出しているものでございます。
それでは、資料1-4-2の87ページを御覧いただければと思います。
本研究の全体概要でございますが、統合的高度化研究プログラムということで、全4つのテーマに分けて研究をしております。1つ目がAで、全球モデルの開発ということでございます。続いて、Bで、炭素循環や気候感度、大気中のCO2濃度が2倍になったときの気温上昇量等の科学的な解明をしております。右の方のCで、日本レベルの気候モデルを作成して、日本域に関する高精度な予測情報を創出しております。それらを使いまして、最後Dで、高潮・洪水等のハザード予測をしています。
これらの成果につきましては、下の方にございますけれども、各省庁における適応策、具体的には気候変動の影響評価の基盤として活用されているところでございます。
それでは、続きまして88ページを御覧いただければと思います。
本中間評価は今年の6月現在のものをまとめてございます。下の方にございますけれども、主なアウトプット指標につきましては、査読付きの論文数、そして、アウトカム指標につきましては、国際共同研究等の海外連携実績を設定しており、御覧のとおりになっております。
続きまして、89ページを御覧いただければと思います。
課題の進捗状況でございます。こちらにつきましては、先ほど御説明しましたAからDの4つのテーマごとにまとめているところでございます。
まず、領域テーマAでございます。全球規模の気候変動予測と基盤的モデル開発でございます。こちらにつきまして、主な成果について説明させていただきます。90ページの上を御覧いただければと思います。本気候モデルの中で作成いたしました河川流の氾濫サブモデルというものがございますけれども、こちらにつきましては、世界最高の気象機関と言われておりますヨーロッパの中期予報センターの次期モデルへの採用も決定されるなど、世界的な評価を得ているところでございます。中ほどにIPCCへの貢献というものがございますけれども、IPCCで昨年出ました1.5℃特別報告書にも活用されているところでございます。
続きまして、領域テーマBにつきましては、次のページを御覧いただければと思います。一番上にCMIP6実験向けとございますけれども、こちらにつきましてはIPCCが気候モデルごとの実験をしておりますが、そこに向けた地球システムモデルを開発しているところでございます。この中で、ダスト、いわゆるごみの輸送過程の改良などによって、工場などの燃料消費などに使われる鉄分が海水に溶けやすいということを示す研究成果を出しておりまして、それが『サイエンス』に掲載されているところでございます。あわせて、これらの成果を使いまして、窒素や鉄などの栄養分が生体系に取り込まれる過程を取り入れた地球システムモデルの開発を完了したところでございます。
続きまして、下の方に行きまして、領域テーマC、統合的気候変動予測、こちらは日本域の気候変動予測でございます。
92ページを御覧いただければと思います。
こちらにつきましては、真ん中の方にございます日本付近の詳細な気候変動データの創出というものがございます。2キロメートルメッシュということで、世界的に見ても先駆けた試みである予測データの創出を進めているところでございます。あわせて、下の方にございます東南アジア等への展開と国際貢献でございまして、東南アジアにおける気候変動予測シナリオの作成とともに、キャパシティービルディングを実施しているところでございます。
最後にDでございますけども、93ページ御覧いただければと思います。
中ほどに社会課題解決の貢献がございますけれども、本テーマで得られた研究成果が国土交通省の検討会等において活用され、具体的な適応策を検討されているところでございます。
94ページですけれども、以上を踏まえまして、本プログラムの現時点の進捗状況は適正と評価しております。
続きまして、各観点の再評価でございます。必要性につきましては、現時点でも喫緊の課題であり、気候変動適応法が施行されているなど、更なる取組が求められているところでございます。
あわせて、下の方でございますけれども、気候変動適応に関する懇談会などにおいて、各適応分野におけるニーズにかなう予測情報の必要性が示され、産業分野においても予測情報の必要性が高まっており、これらも考慮していくことが必要だと示されております。
また、科学的な観点でございますけれども、全球モデルの開発を通じて気候変動メカニズムの解明が行われておりまして、これらの成果がインパクトの高い総合誌に掲載されており、国際的な観点では、IPCCへの貢献、あわせて、本プログラムの予測データにつきましては国交省等の事業へ活用されています。
以上を踏まえまして、本プログラムの必要性は引き続き高いと評価しているところでございます。
続きまして、有効性でございます。96ページを御覧ください。
本成果につきましては、国交省等への適応策に貢献、社会実装に至る取組になっており、あわせて、国際貢献の点につきましては、キャパシティービルディングなどを進めております。また、本成果はDIASなどを通じて国内外の研究者へ展開しています。以上を踏まえまして、有効性も引き続き高いと評価しているところでございます。
次に、効率性につきましては、PD・POリーダーシップの下、双方向のコミュニケーションによって連携できる研究体制が構築されています。以上を踏まえまして、効率性も引き続き高いと評価しております。
最後に、方向性でございますけれども、必要性・有効性・効率性の観点から、引き続き継続と整理しております。
最後のページでございます。その他につきまして、留意事項として、気候変動適応法が平成30年に施行されておりまして、気候変動は引き続き喫緊の課題であり、適応策のニーズを踏まえた予測情報の創出が今後必要になるということで、これらを踏まえた予測情報を創出することが必要だということが言われております。
以上でございます。

【三島分科会長】 御説明ありがとうございました。
それでは、委員の皆様、御意見、御質問ございましたらどうぞ。

【伊地知委員】 コメントになります。
ここの本課題が関係するアウトカム指標、指標としては示されているのですが、それ以外に評価の内容を御報告いただくと、ここの研究活動として出されたアウトプット以外に、その成果が実際の活用されるモデルとして採用される等のことがあって、そういった面では多方面なアウトカムが出ている、そういった課題ではないかと拝見いたしました。

【三島分科会長】 ありがとうございます。
ほかいかがでしょうか。どうぞ。

【山口委員】 少し質問なんですけれども、こういった地球規模的な気候変動の問題は時間のスケールが多分重要で、ここの中には非常に短期的なスケールでの災害に対する対応という観点、それから、もう少し時間的には長い軸について予測していくという問題、それはむしろ国内というよりも国際的に取り組む課題、ちょっとそういう2つの観点で整理をしてみると、こちらの方は少しその位置付けがどちらに偏っているのか、あるいは、両方なのかというのが曖昧のような気もいたしまして、ちょっとその辺の考え方、時間について短期的な問題ともう少し長期的な2050年とか、そういうその先に向けての問題と、どう取り組んでおられるのかというのを御説明いただけますでしょうか。

【葛谷環境エネルギー課課長補佐】 御質問ありがとうございます。
本プログラムにおいては、長期的な予測を中心にしております。基本的には21世紀末の予測情報を創出いたしまして、その結果を踏まえて世紀末の状況を見据えて適応策を検討していくということを念頭に置いております。
国土交通省における治水に関する検討会におきましては、本研究の成果を用いまして、実際に50年、60年先の治水計画をどのようにしていくのかというところの適応策の案が先月末に取りまとめられたところでございます。
一方で、短期的なところも重要だという認識はございまして、当然、長期的な過程の中で短期的なところも見られますので、そこは各省のニーズに合わせて予測情報を創出しているというところでございます。

【山口委員】 この成果は非常に重要で、気候変動に関する報告に反映されているとか、いろいろな予測のプログラムに反映されているという、それは分かって、もう一つ、短期的なものは、じゃあ、どういう形で反映していくのかとか、それは一つは国民から見ても目に見える形で出てくるわけなので、そのアウトカムの反映の仕方というか、活用の仕方を少し是非意識して進めていただければと思います。大変成果も上がっていますし、重要な研究だという認識は全く異論ございませんので、是非よろしくお願いいたします。

【三島分科会長】 よろしいですか。いいコメントをお二人から頂きました。
ほかにございますでしょうか。

【長我部委員】 大変重要な研究だと思うんですけれども、この中で「京」は使われているんですか。

【葛谷環境エネルギー課課長補佐】 予測情報はJAMSTECの地球シミュレーターを用いたスパコンを使って計算しております。

【長我部委員】 分かりました。第69回で「京」から「富岳」への話があり、「富岳」の成果の議論がありました。この分野で「富岳」ができることによって研究が質的に進むような議論というのはなされていないんですか。

【葛谷環境エネルギー課課長補佐】 当然関心がございますので、今後検討していきたいと思います。

【長我部委員】 多分スパコンの大きな使い道の一つだと思うので、やはりこういうところから「富岳」ができたことによって質的な研究の成果が出ると、向こうのプロジェクトにとっても大変プラスだと思いますので、是非検討を進めていただければと思います。

【栗原分科会長代理】 はい。

【三島分科会長】 どうぞ。

【栗原分科会長代理】 私から補足すると、重点のポスト「京」のアプリケーション開発のワーキンググループに入っておりまして、海洋研究開発機構の方々は重点課題としてシミュレーターの開発をやっておられています。ここの中とは多分切り分けがされているんだと思うのですが、技術的基盤的なところは底でつながっているのではないかと思います。

【葛谷環境エネルギー課課長補佐】 この課題につきまして、JAMSTECも入ってございますので、連携しているところでございます。

【三島分科会長】 よろしいでしょうか。
ほかいかがでしょうか。
どうぞ、土井委員。

【土井委員】 先ほども御指摘ありましたけれども、IPCCとかに採用されているというのをもう少し広報してもいいのではないかなと思います。メディアの扱いが、そういう意味であまり日本がどこまで貢献しているかというのが一般の方に伝わるようになっていないので、どうやったらいいのかというところも含めて、せっかくいい成果が出ているので、御検討いただければと思います。

【三島分科会長】 ほかよろしいしょうか。
それでは、どうもありがとうございました。
それでは、次はナノテクノロジー・材料科学技術委員会からでございますので、私から統合型材料開発プロジェクトでございますが、事後評価結果について御説明申し上げます。
ナノテクノロジーの方の施策マップが資料1-5-1でございまして、その中に記載がございますナノテクノロジー材料関係の4事業のうち、ナノテクノロジーを活用した環境技術開発、これが当初の名前でございますが、それは統合型材料開発という形に途中で変更になりましたけれども、その事後評価について御説明いたします。
まず、通し番号で104ページを御覧いただければと思います。
本事業は環境技術に関する産業界のニーズ、課題の解決を強く意識して、基礎・基盤研究に取り組む研究拠点を物質材料研究機構(NIMS)を中核として形成するものでございます。
具体的には、もう太陽光エネルギーから出発するエネルギーフローに係る一連の材料技術ということで、太陽電池、蓄電池、燃料電池、この3つを主軸に考えて、これを10年間、35億円を投資したというプログラムでございます。
106ページからが事後評価の本文に入ります。
まず、研究開発計画との関係といたしましては、計画内に掲げております広範な社会的課題の解決に資するナノテク材料科学技術を活用して、社会ニーズを踏まえた技術シーズを生むという中目標の下実施された事業でございます。
また、関係するアウトプット指標として、オープンラボの実施件数、アウトカム指標として、論文数、特許出願数、それから、民間共同研究費などが示されてございます。特に事業終盤では民間共同研究費が顕著に増加しているということでございます。
そして、107ページの評価結果につきまして、必要性、有効性、効率性の観点から個別に御説明申し上げます。
まず、必要性でございますけれども、本項目は拠点形成についての取組の評価でございます。マネジメント面では、拠点長の強いリーダーシップによる運営が高く評価されているところでございます。10年プロジェクトの過程で、体制や研究課題の見直しを不断に行いつつ、目標に沿った拠点運営がなされてきたということでございます。
大テーマである太陽電池、燃料電池、蓄電池などを横串で結びつける界面現象の理解という共通基盤研究を軸に据えた拠点形成により、世界的にも優れたレベルに成長したと評価されております。産業界を初めとする外部機関との連携強化に取り組んだ結果、外部研究者との連携・協力による出口を意識した目標設定や、出口側の技術課題から抽出された基礎研究の課題設定にも貢献をしてまいりました。
一方で、拠点形成に関する数値目標の明瞭性、出口にどのように結び付いたかを具体的に示す評価方法には今後も工夫が必要と、そんな意見もございました。
続いて、有効性でございます。108ページでございます。こちらは主に研究開発の中身についての評価でございまして、アンダーワンルーフの下で材料・計測・理論計算を融合して実施する先進的な拠点形成の取組により、合理的材料設計を可能とし、高い独創性、優位性を示す多数の研究成果を創出してございます。
これは計算・計測・材料創製を三位一体とした技術ノウハウが無形資産として物質・材料研究機構に培われたことを意味しておりまして、高く評価されております。
特に特別推進チームを発足させ実施した全固体電池、リチウム空気電池、それから、ペロブスカイト太陽電池研究においては、質の高い論文を多数発表しており、他機関と比べ突出した世界トップレベルの先端的研究へと進展してございます。
事業終了後においても、出口を見据えた産業界との連携を進めるとともに、原理原則を解明する基盤プロセスについての研究の進展を期待するという意見もございました。
109ページ、効率性でございますが、こちらは実施体制の妥当性という評価項目となってございます。中核機関、参画機関の連携体制や拠点研究者への支援体制について評価されました。
オープンラボの充実により、外部研究者の先端装置利用への技術的支援を行い、協力・連携体制を築いております。特に長期滞在や継続訪問型を重視するなど、独自の取組を行ったことが評価されております。
また、平成26年に運用を開始した蓄電池基盤プラットフォーム、これを活用して、産業界を含む外部研究者への教育支援、研究支援に大きく貢献したことも評価されております。
最後に、109ページの本事業の総合評価、今後の展望について御説明させていただきます。
本事業では拠点長の強いリーダーシップの下、強固な拠点形成及び産業界との連携体制が構築され、また、拠点内外の研究教育支援にも大きな貢献が認められております。計算・計測・材料創製という技術ノウハウは無形資産として認知され、他の事業においても取り入れられるなど、大きな波及効果がございました。基礎・基盤研究を軸に据えた材料開発研究拠点を確立したことが高く評価されてございます。これらを踏まえ、本事業の目標は十分に達成されたと考えられます。
今後の展望として、物質・材料研究機構としては、本研究拠点をエネルギー・環境材料に関する恒久的な世界のハブ基幹としての研究拠点に発展させることを目指すとのことでございます。引き続き出口を見据えた産業界との連携を進めるとともに、我が国の科学技術の基盤を支える機関として、萌芽研究の中から将来的なニーズを見据え、新たな課題へと発展させる方策も今後期待されているところでございます。
御説明以上でございます。
では、御質問、御意見等頂ければと思いますが。どうぞ。

【栗原分科会長代理】 これ大変後半において民間との共同研究費が大きく、80億でしたか。単位が違う。

【三島分科会長】 8億円です。

【栗原分科会長代理】 8億円も非常に大きな金額ですし、また、恒久的な拠点としても活動されるということで、非常に成功したプログラムだと思います。そういう意味では大変評価できるプログラムだと思います。
それで、1か所気になる点がありまして、書き振りをできれば検討していただきたいのですが、7ページの下から3行目に、「これらの取組は従来基礎研究を重視していた物質・材料研究機構において、出口を意識した技術的特色の創出にも貢献したと言える」と書いてあるのですが、物質・材料機構は従来から非常にたくさんの実用材料を開発してきている機関であり、例えば、構造材料だったらジェットエンジンのタービン材料とか、建築だったらダンパー材料、実用化されているもの、蛍光物質とか、非常に多岐にあるので、その機構に対して、やはりこれはあまり適切ではない表現ではないかと思います。物質の方は基礎研究、そして、材料は使われてこそ材料という姿勢で、基礎研究と出口をやはり両方いい形で研究推進してきている機構だと、そう理解しています。非常に特許料収入も多いという、その機構の実績からしても、知らない人にとっては誤解されると思うので、ちょっと書き振りを検討いただければと思います。

【三島分科会長】 ありがとうございます。

【栗原分科会長代理】 非常に短期間でデバイスを横に見ながら研究をされたという意味だと思うので、そういう意味では普通の材料の、構造材料や何かの研究とは多少違うのかもしれないんですけれども、普通の人が読むとそういう違いは分からないと思いますので、よろしくお願いします。

【三島分科会長】 ありがとうございます。
ほかいかがでございましょうか。
土井委員、どうぞ。

【土井委員】 アンダーワンルーフでこのような拠点が形成でき、企業からもきちんと収入が入るという形で、エコシステムができたというのは大変すばらしいことだと思います。
一方で、いろいろなところでこのようなエコシステムを作りたいと思っているのですが、多分産業界から、先ほどもリスクテイクをなかなかしないということで、それが難しくなっている。ですが、この分野ではなぜこれができたのかというのを解明していただいて、そのノウハウをほかのところにも是非広げていただくということも重要かなと思います。
ですから、もしかすると何回も書かれている拠点長の強いリーダーシップがそれだったのか、あるいは、また違うものがあったのか。今これだけ読むと、拠点長の強いリーダーシップだったのかなと読めるのですが、本当にそうなのかどうか。そうすると、じゃあ、今度リーダ-が変わってしまうとその拠点な運営がうまくいかなくなるのかとか、そういうことも気になりますので、是非うまくいっているというところを解明していただいて、この知見をほかにも生かしていただければと思います。

【三島分科会長】 ありがとうございます。そうですね、こういうものがうまくいったことのエッセンスみたいなもので、それがほかに横展開できるような形に持っていけるようなことを考えなきゃいけないというのはごもっともかと思います。また、委員会の方で検討させていただきます。
ほかいかがでしょうか。
どうぞ。

【山口委員】 特許の話をお聞きしたいんですが、こういう材料の研究は多分特許が非常に重要なあれだと思うんですが、この本文にも書いてあるんですけれども、「戦略的に数を絞って」と書いてあるんですが、それにしても年間1件、2件ぐらいの数で、ちょっと少ないなという印象があるんですが、その特許について少しこの研究の中での考え方がありましたら教えていただけますか。

【三島分科会長】 まず私から申し上げると、今おっしゃったように、特に強い特許のみを厳選するというような方針があったことは確かでございますけれども、更に並走したALCAの低炭素、ALCA-SPRINGという事業がございまして、これ電池関係のプロジェクトで、ここで新物質探索にフォーカスを当てているために、一応そことすみ分けをしたということも言えるんじゃないかと思います。
事務局から何かございますか。

【ナノテクノロジー・材料科学技術委員会事務局】 そうですね、事務局からですけれども、当日のナノテクノロジー・材料科学技術委員会でもお話がありまして、NEDOの方で事業を担当されている方のコメントなどもありましたけれども、そちらではまず最初に特許を出すように強制しているといいますか、そういったことで件数を稼いでいるということはありましたが、このプロジェクトにおきましては、NIMSの方での強い特許だけを出すという方向性を意識してやられたということでございました。
今三島主査からお話がありましたけれども、ほかの事業、ALCA-SPRINGの方とのすみ分けというのも確かに存在していると思います。

【三島分科会長】 もう一つつけ加えると、この事業での出願件数だけじゃなくて、そこから派生した企業特許みたいなものもカウントして高評価をするというやり方もあるかなと思いますので、こういう事業の評価の仕方についてはいろいろ工夫が要るかなというふうに思います。

【山口委員】 やはりこの報告がこう出ていくと、そういう目で見られるので、そういう背景もやはり追記しておく方がいいのではないかなと思います。

【三島分科会長】 ありがとうございます。
ほかいかがでしょうか。ありがとうございました。
それでは、今日の審議事項は以上でございますけれども、今までの、中間評価がほとんどでございましたけれども、何か、例えば、この評価書の文言であるとか、今栗原委員からナノテク材料のところの文言を少し考えてほしいということございましたけれども、ほかにそういう点がございますでしょうか。
ほかに特別になければ、じゃあ、ナノテクのただいま御説明した今後の展望部分のところのNIMSのファンクションみたいなところの書き方についてはちょっと検討させていただきたいと思います。

【栗原分科会長代理】 よろしくお願いします。

【三島分科会長】 ありがとうございます。
それでは、基本的にはこの分科会としてこの評価案を決定したいと思いますので、よろしゅうございましょうか。ありがとうございます。
それでは、議題としては以上でございますが、委員の皆様から何か御意見、御発言がございましたら伺いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、事務局から次回の予定等について御説明いただければと思います。

【新地企画評価課課長補佐】 それでは、次回の分科会の開催につきましては、後日事務局にて調整させていただきます。
また、本日の議事録は後日事務局よりメールで送付させていただきますので、御確認いただきますようお願い申し上げます。
以上でございます。

【三島分科会長】 それでは、第70回の研究計画・評価分科会を終了とさせていただきます。御協力ありがとうございました。
 

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科学技術・学術政策局企画評価課

(科学技術・学術政策局企画評価課)