研究計画・評価分科会(第68回)議事録

1.日時

平成31年4月17日(水曜日)14時00分~15時30分

2.場所

文部科学省3F1特別会議室

3.議題

  1. 分科会長の選任および分科会長代理の指名について(非公開)
  2. 研究計画・評価分科会の議事運営等について(非公開)
  3. 第10期研究計画・評価分科会における研究開発プログラム評価の試行的実施と研究開発課題の評価の実施について
  4. 研究開発課題の評価について
  5. その他

4.出席者

委員

三島分科会長、栗原分科会長代理、青木委員、春日委員、小池委員、白石委員、辻委員、雨宮委員、五十嵐委員、小川委員、長我部委員、寶委員、田中委員、塚本委員、長谷山委員、林委員、水澤委員、李家委員

文部科学省

松尾科学技術・学術政策局長、磯谷研究振興局長、菱山サイバーセキュリティ政策立案総括審議官、渡辺審議官(科学技術・学術政策局担当)、角田科学技術・学術総括官、小林科学技術・学術政策局企画官、井上企画評価課長、山下科学技術・学術戦略官、奥研究開発基盤課量子研究推進室長、新地企画評価課課長補佐、ほか関係官

5.議事録

今回の議事は、分科会長の選任、分科会長代理の指名等があったため、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会運営規則(平成13年2月27日決定)第5条の規定に基づき、開会から議題2までは非公開。

【議題1「分科会長の選任及び分科会長代理の指名について」】
  科学技術・学術審議会令第5条第3項の規定に基づき、委員の互選により、三島委員が分科会長に選任され、また同第5条第5項の規定に基づき、栗原委員が分科会長代理に指名された。

【議題2「研究計画・評価分科会の議事運営等について」】
  以下の資料について事務局より変更箇所を中心に説明があり、案については承認された。特段の意見等はなかった。
・科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会の概要(資料2-1-1)
・研究開発計画の策定について(資料2-1-2)
・文部科学省における研究及び開発に関する評価指針(概要)(資料2-1-3)
・科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会運営規則(案)(資料2-2)
・科学技術・学術審議会に設置された委員会における議事又は調査の経過及び結果の研究計画・評価分科会への報告等について(案)(資料2-3)
・科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会の公開の手続について(案)(資料2-4)
・科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会における部会・委員会の設置について(案)(資料2-5)
・科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会組織図(資料2-6)

以降、運営規則第7条の規定に基づき議事録を公開。

【三島分科会長】 それでは、ここからはこの会議を公開といたしたいと思います。もし傍聴者の方がお出ででしたら入室を許可したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

(傍聴者入室)

【三島分科会長】 それでは、第10期の科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会の発足に当たりまして、科学技術・学術政策局長より御挨拶をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【松尾科学技術・学術政策局長】 改めまして、文部科学省の科学技術・学術政策局長の松尾でございます。
本日は、お忙しい中、お集まりいただきまして、本当にありがとうございます。また、三島先生、栗原先生はじめ、各委員の先生方におかれましては、研究の計画・評価、この分科会に限らず、いろんなところでお世話になっておりまして、本当に心から感謝申し上げたいと思います。引き続きどうぞよろしくお願いします。
冒頭三島先生からもありましたけれども、この第10期でございますけれども、これは研究開発プログラム評価の試行をするというミッションをお願いしたいと思っておりますし、また、時期的に申し上げますと、第5期の科学技術基本計画から第6期に移る、ちょうどその1年、2年というところでございますので、しっかりと御議論いただきたいと思います。
そしてまた、政府の動きを申し上げますと、今、国立大学法人の在り方についての法案が審議をされておりますし、奨学金の関係でも三島先生にもお世話になって、その法律も出させていただいております。また、昨年暮れにはイノベーションということで法律の改正をさせていただきました。
そういった中で、新たな第6期を考えるに当たっては、栗原先生からありましたけれども、やっぱり危機感を持つと。危機感だけ持っていてもいけないですけれども、やっぱり危機であり、そして全員でぶち当たるというようなこと、そして、そうなるとやっぱりつなぐということが非常に重要になってきます。
したがって、いろんな分野で研究計画を作っていますけれども、それをどういかにつないでいって、それを有機的に実施していくかということが重要でございますので、そういった点も加味しながら、先生方には研究計画、そして評価について御議論いただきたいと思っております。
特に、先ほど小池先生からもありましたけれども、やはり現場とか研究者が元気の出るような、説明責任とともに元気が出るような形での評価の在り方というのが非常に重要になってくると思いますので、よろしく御議論いただければ有り難いと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【三島分科会長】 どうもありがとうございました。それでは、私からも一言御挨拶申し上げたいと思いますが、私は、先ほど春日委員が御紹介をしてくださいましたけれども、第8期、第9期とナノテク・材料の委員会の主査をさせていただいておりまして、やはり第5期の科学技術基本計画で、いわゆる将来のあるべき姿、超スマート社会という言葉も使われますけれども、科学技術基本計画5回目で非常に大きな目指すべき社会というような計画が打たれたというのは、私、非常に格調が高くていいなと思っているんですけれども、それがいよいよ第6期になってくるときに、今、いろんな、先ほどもちょっと申しましたけれども、情報系のこと、AIだとかいうようなことも含めると、ものすごく社会が大きく展開していくというところで、日本が本当にその中でリーダーシップをとったり、あるいは、世界の人たちといろんな話をしながらよりよい社会を作っていくというような役割ができるのか、本当に今度の第6期の計画が正念場ではないかと私も思っておりますので、是非この委員会でも委員の皆様の御協力を頂いてしっかりと議論していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
では、栗原分科会長代理もお願いいたします。

【栗原分科会長代理】 先ほど総力戦と申し上げましたが、この委員会では個別の科学技術分野の計画や評価について基本的な考え方等を議論するという、非常に大事な役目を負っていると理解しております。特に今期はプログラム評価を試行的に実施する予定と伺っていますから、その中で、評価は、する側もされる側も大変なのですけれども、具体的なプロセスの中で、評価のための評価ではなくて、実際に実施する側がよりいい活動ができるようになるということを心がけて、いい評価のプロセスというものを、形が徐々にできていけばいいと思っておりますので、今期は、具体的なスタートになると思いますので、少しでもお手伝いできればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【三島分科会長】 それでは、こういうメンバーで2年間どうぞよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。
それでは、早速でございますが、プログラム評価の試行について、ここについて入ってまいりたいと思います。議題の3でございます。「第10期研究計画・評価分科会における研究開発プログラム評価の試行的実施と研究開発課題の評価の実施について」に入りたいと思います。まずそれでは、山下戦略官から資料について御説明いただければと思います。

【山下科学技術・学術戦略官】 ありがとうございます。それでは、お手元にタブレットの方、資料4-1をお開きいただけますでしょうか。「研究開発プログラム評価について」というパワーポイントのポンチ絵でございます。前期から引き続きの委員の方々には、前回御説明させていただきましたが、新しい方もいらっしゃいますので、改めてもう一度御説明をさせていただければと思います。
表紙の次のページ、2ページをごらんいただければと思います。「第10期における研究開発プログラムの評価の試行的実施について」というタイトルのものでございます。ここに書かれておりますように、研究開発計画におきまして、先ほど資料2-1-2で御説明をさせていただきましたものでございますし、もし初めての方は、お手元の緑のファイルの一番初めの資料が研究開発計画そのもの、オリジナルになりますので、これも適宜御参照いただきながらお話を聞いていただければと思います。できるだけ資料を御覧いただかずに、話を聞いていただきながらお分かりいただけるように御説明申し上げたいと思いますが、ここの中で書かれております中目標という単位を1つの束ねとしまして、この中に含まれる研究活動全体を俯瞰した形で評価をすることを今回研究開発プログラムの試行的評価という位置付けで書かせていただいているものでございます。
今期2年間でございますので、2年間で試行させていただきたいと思ってございます。精緻に、なかなか調べることができていませんけれども、内閣府を始め、実はどの省庁もこの研究開発プログラムの評価というものにはチャレンジをしたり、あるいはなかなかうまくいっていなかったり、できていないということもありますので、完成形を最初から目指すのではなくて、試行という形で、どういうフレームワーク、あるいは枠組み、評価の仕方ができるのかということを少し考えさせていただくというものでございます。
分科会と分野別委員会、あるいは事務局の方の役割を簡単に2ページの下の方で記載させていただいてございますが、この研究計画・評価分科会におきましては、評価自体をやるという仕組みよりも、各分野別委員会で評価をやっていただくという前提で進めさせていただいて、あくまでもそれに対しての助言でございますとか、全体の評価の仕組みがうまく機能するものなのかということをレビューいただくということを御検討いただきたいと思ってございます。
分野別委員会の方では、研究開発プログラムを外部評価の実施主体として試行的に外部評価をやっていただき、内部部局、いわゆる各分野別委員会の担当事務局でございますが、こちらの方が実際にプログラムを運用してございますので、運用とともに自己評価をやっていただくと。これ、一連の仕組みを試行させていただくという形になってございます。
パワーポイント自体は1ページ送っていただいて3ページを御覧いただければと思います。今申し上げたようなこと、これをフローで書いているのが右側で、左側はそれを文章で少し補足しているものでございますが、特に大切なポイント、幾つか申し上げさせていただきますと、2つ目の「研究開発プログラム評価の試行的実施の方法(案)」というところの1ポツに書いてございますけれども、「プログラムを構成する研究開発課題とは、中目標の達成に必要となる事業とする」と。研究開発課題は、この研究計画・評価分科会で事前評価、中間評価、事後評価をやっていただいてございますが、こういったものを中目標の達成のために必要となる事業で構成するというふうに書かせていただいてございます。
このため、中目標に適合する研究開発課題を基本としつつ、必要に応じて研究開発法人において運営費交付金により実施されている事業等を含めることとする。ここはちょっと難しいんでございますけれども、端的に申し上げますと、研究開発課題というのは、文部科学省の中でプログラム化されて、実際に公募の制度でございますだとか、いろんな形で実施されている研究開発活動そのものでございますが、研究開発法人が運営費交付金の事業でやっていらっしゃる事業につきましては、別の仕組みで実は評価をしてございます。国立研究開発法人審議会という審議会がございまして、こちらの方で別途評価をしてございます。したがって、屋上屋を架する評価をするということではないんですけれども、中目標という単位で考えていく際に、独法の事業も併せて全体を理解する、俯瞰するということがやはり全体を理解する上では大切な視点になりますので、屋上屋の評価をするということではないので、独法の事業を評価することそのものではないんですけれども、それを俯瞰した上で中目標というものをどのように評価できるのかということを考えていくという意味で、研究開発法人の事業も必要に応じて含めることができると書かせていただいてございます。
更に3ポツにございますように、自己評価というのは、これ、既に研究開発課題自体は、事前評価、中間評価、事後評価、こちらの計評分科会の方でやっていただいてございましたので、その評価をもう一度やるという趣旨ではございませんで、それらを総覧して、俯瞰して、気づきを記載したり、どういった点が大切なのか、めり張りを付けることが大切なのか、全体の関係性がどうなのか、横串の視点がどうなのかということを評価するというようなことをできればさせていただきたいと考えてございます。
更に1ページおめくりいただきまして、実際試行的実施を進めていくスケジュール感でございます。ここで書かせていただいておりますとおり、今期、本日でございますけれども、分科会を開催させていただいて、できればこのフレームワークをこれで進めるということをお決めいただきたいと思ってございますが、この後、それぞれの分野別委員会で、自己評価、あるいは分野別委員会での外部評価をやっていただきます。ただ、これは分野別委員会だとか内局の事務局に任せ切りということではなくて、別途、この計画・評価分科会の中にいらっしゃる先生も含めましてですけれども、有識者の方々のお力を借りまして、どのように進めていいのかの助言を頂いたり、アドバイスいただいたり、一緒に作業をさせていただくような場をこちらの方で設けさせていただきたいと思ってございますけれども、そのような場を通じて少し研鑽をして、作り込みをさせていただきたいと思っています。ある程度、どの段階でどういうものができるのかはちょっと分かりませんけれども、自己評価なり分野別委員会での外部評価を一度こなしていただいたものをこちらの分科会の方にフィードバックいただきまして、それを踏まえて御審議を頂きたいと思ってございます。これを2回繰り返すということを現時点では考えてございますけれども、このあたりは、できるだけ作業のための作業にならないように、意味のある作業のように、先ほど松尾の方から申し上げさせていただいた中にもございましたが、現場がやっぱり改善にいい兆しを築いたり、元気になれるような仕組みとしてうまく回せるようなことをできるだけ目指して作業を進めていきたいと考えてございます。
資料4-2でございますが、こちらは、今申し上げましたようなことを研究開発プログラムの試行的実施をするためのどういう手順でやるのか、様式はどういうものかというものを一通りまとめさせていただいてございますが、これも基本的にはこれに即してやらせていただきますけれども、形を作ることを前提とせずに、できるだけ意味のあるものを試行できるように考えていきたいと思ってございます。
資料の4-3をおめくりいただけますでしょうか。「研究計画・評価分科会における審議の効率化」(案)というものでございます。こちらにつきましても、これまで前期までにお決めいただいた内容と実質的に変わってございません。変更点を申し上げますと、1行目に書かせていただいてございますように、「第10期」という言葉を例えば加えましたという部分でございますとか、「研究開発プログラム評価の試行的実施」という言葉はこれまでございませんでしたので、この試行的実施というものと研究開発課題の評価、これはこれまでやっていただいたものでございます。この2つを並列で書かせていただいてございます。
あともう1点、(1)に、これまでは「評価結果(案)の事前配付」と書いてございましたものを「研究開発課題の」という言葉を加えさせていただいてございます。今回から2つ、研究開発プログラムの評価の試行的な実施と研究開発課題の評価と2つ走りますので、言葉をきちんと入れて、誤解がないようにさせていただいているというものでございます。
説明は以上でございます。

【三島分科会長】 御説明ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に御質問、御意見がございましたらどうぞ。今までやっていたのとどこが違うかというところ、お分かりいただけたでしょうか。

【雨宮委員】 分かっていない部分の確認をします。今までは研究開発課題の評価だったわけですけれども、それに研究開発プログラムの評価と、基本的なことで恐縮なんですが、研究開発課題と研究開発プログラムの関係と、ちょっともう一度、どこを見ればよろしかったでしょうか。

【山下科学技術・学術戦略官】 御質問ありがとうございます。先ほどの資料4-1の5ページを御覧いただけますでしょうか。5ページに研究開発プログラムの範囲のイメージというものを記載してございます。こちら、文部科学省の評価指針の中にも実はある図なんでございますけれども、今回まさにやりますのは、この一番右側にある中目標3というところの吹き出しにありますとおり、これまでやっていただいていましたのは、研究開発課題という、行政でいうプログラム、プログラム、ちょっと言葉がややこしくなりますが、例えば事業一つ一つの評価というものをこれまで評価を頂いてございました。ただ、ここの上位概念の中にそれを束ねる中目標というものが研究開発計画にはございまして、更にそれの大きい施策目標、これは先ほど新地からも御説明させていただきました行政評価の施策目標という単位と実は一致するんでございますけれども、上位概念がございます。この研究開発プログラム評価というのは、研究開発課題を束ねた中目標の単位で全体を俯瞰するという形でございまして、位置関係としましては、研究開発プログラム評価に含まれる研究開発課題が幾つかあるというような関係性になってございます。

【雨宮委員】 そうすると、中目標単位で評価するという言葉とどこが違うんでしょうか。

【山下科学技術・学術戦略官】 中目標単位で評価するということと同じでございます。同じでございますが、中目標単位でがちっと評価できるかということ自体も実は難しいかなと。いろいろ課題があるのかなと我々も思ってございまして、例えばそれぞれの研究開発課題はスタートするタイミングが違ってございましたりだとか、あるいは、1個1個の課題自体は、連携しているものもあれば、なかなか実は中目標の中でそんなに有機的に連携を目指しているというものでないものがあったりもする場合もあったりしますので、中目標の単位を基本とはしつつも、まとめて俯瞰して評価できる単位というのは再定義が必要なケースもあったりもするかなということもございまして、中目標単位を基本とするというふうに書かせていただいているということでございます。基本は一緒でございます。

【雨宮委員】 どうもありがとうございました。この補足があって理解しましたけど、今後同じ質問が出てくるかもしれないので、研究開発プログラムというところをエクスプリシットにコンセプトが共有できるような絵がある方がいいかなと思いますので、御検討をお願いします。

【三島分科会長】 ほかいかがでございましょうか。
それでは、「第10期の研究計画・評価分科会における研究開発プログラム評価の試行的実施と研究開発課題の評価の実施について」、これをこのとおり決定してよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【三島分科会長】 ありがとうございます。それでは、次に議題の4でございますが、早速評価が出てまいりますが、「研究開発課題の評価について」ということで移ります。きょうは量子科学技術委員会の研究開発課題の事後評価2件、それから、中間評価1件の審議を行います。量子科学技術委員会において取りまとめられた評価結果の案、これは資料5-1から5-8まででございますが、これを基に御審議を頂きたいと思います。
まず、量子科学技術委員会の事務局から3つ続けて御説明を頂いた後、質疑の時間をとりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。資料は各委員宛てに事前に送っていただいておりますので、説明は評価票の必要な部分のみを簡潔にお願いしたいと思います。では、量子科学技術委員会からよろしくお願いいたします。

【山下科学技術・学術戦略官】 すいません、1点だけ申し訳ございません。前回から導入させていただいていますとおり、時間の進行をきちんとやらせていただきたいと思っておりますので、御説明時間が終了しましたら呼び鈴を1回、1分超えましたら2回鳴らせていただきたいと思いますことをあらかじめ御了承いただければと思います。

【三島分科会長】 よろしくお願いします。

【雨宮委員】 奥室長の方からこれから御説明いただきますが、私はこの分科会の中にぶら下がっている量子科学委員会の主査をしています。その委員会にまた量子ビーム利用推進委員会というのがありまして、そこの主査も兼ねているのですが、きょうこれから奥室長に説明していただくのはその内容です。時間厳守という立場で、私よりも奥室長の方がいいということもありまして、よろしくお願いいたします。

【奥研究開発基盤課量子研究推進室長】 ありがとうございます。それでは、時間厳守で御説明させていただきたいと思います。
まず資料5-1を御覧いただけますでしょうか。量子科学技術関係で我々が今取り組んでいるプロジェクトを俯瞰的にまとめたものになっています。今回評価結果として取りまとめたのは緑囲いにしている3つでして、最先端の光の創成を目指した研究拠点プログラム、それと光・量子融合連携研究開発プログラム、それと大型放射光施設SPring-8・X線自由電子レーザー施設SACLAの整備・共用、この3つになります。
上の2つについては、それぞれ2017年度、一昨年度でプログラムは終了しておりまして、それの事後評価という位置付けになります。
SPring-8とSACLAについては、共用開始からSPring-8は特に20年を経過したということで、中間的な評価を行わせていただいております。
これらについて、それぞれ簡潔に御説明をさせていただきます。
資料5-2を御覧いただけますでしょうか。2ページ目、3ページ目のところで、量子科学技術委員会と、その下にぶら下がっております小委員会の名簿を書かせていただいております。
4ページ目です。この光・量子融合連携研究開発プログラムにつきましては、平成25年度から29年度まで5年間のプログラムとして実施をいたしました。
光・量子ビーム技術について、分野融合も含めて様々な可能性へのチャレンジによって境界領域を開拓していくということで、既に我々が有する施設・設備を横断的に活用する先導的な研究を行う、それと将来を俯瞰した基盤的な技術の開発を推進するということを目的として実施をしたものであります。
必要性、有効性、効率性については、それぞれページに書かせていただいていますが、後ほどの説明と重複しますので、ここは省略いたします。
6ページ目のところで、課題の実施機関につきましては、横断的な利用研究、基盤的な技術開発、この2つを合わせて9プロジェクトが今回走っておりました。
7ページ目のところ、真ん中にあるように、本課題で関係するアウトプットの指標として、成果・論文発表実績、5年間で1,400件以上の実績を有しております。
駆け足で恐縮ですが、8ページ目に評価結果をまとめております。必要性につきましては、光・量子ビーム技術の連携による先導的な技術開発や利用研究が行われたかどうか。将来を俯瞰した基盤技術の研究開発が行われて、波及効果があったかどうかという観点から評価結果を取りまとめております。
個別の研究課題の評価については以下に示すとおりですが、時間の関係上、省略をさせていただきます。
10ページ目です。有効性については、分野融合、境界領域を開拓して、施設・設備等の基盤施設の高度化による研究開発の質の向上に貢献したかどうか等について評価をしております。
また、効率性については、10ページ目の下にあるように、総括PO・POによるプロジェクトマネジメントが妥当であったかどうか等について評価を行いました。
11ページ目にこれらの評価結果をまとめた総合評価を書かせていただいております。ここについて簡単に申し上げます。真ん中の総合評価の2段落目ですね、基盤技術開発については、物性の測定への適応が期待される極短パルスレーザーの開発が進展した、あるいは、小型の中性子源の利用可能性を高めて中性子利用の需要拡大に貢献したというのが代表的な成果として挙げられます。
また、横断的な利用研究については、構造生物学に貢献するようなタンパク質の解析成果、あるいは、光・量子ビームを活用した高分子分野研究への貢献等、我が国の共用施設・設備に貢献できるような多くの成果が上げられたと評価をされています。
また、人材育成に関しては、本プログラムによる産学の研究者の交流というのは、高度な研究人材の育成に加えて研究者の裾野の拡大にも貢献をしたと。
また、産学連携研究の進展、あるいは光・量子ビームの産業利用による実用化に向けた研究等への展開が図られたということで、高く評価を頂いているところであります。
最後、12ページ目のところになります。今後の展望として、今回、このプログラムで実施した研究開発を通じて、我が国の研究基盤の高度化、あるいは光・量子ビームの利用者の裾野拡大、産学連携が進むことで我が国の研究力、産業競争力の強化への貢献を期待したいということを書かせていただいています。
また下から2つ目の段落にありますように、我が国において新しい軟X線向けの高輝度放射光源、これは東北に整備される次世代放射光施設ですけれども、こうしたところに今回のプログラムの成果もきちんと反映をしていくということが期待されますということを書かせていただいております。
これが1つ目の評価結果であります。続いて、駆け足で恐縮ですが、2つ目の評価結果を説明します。資料5-4を御覧いただければと思います。「最先端の光の創成を目指したネットワーク研究拠点プログラム」の評価結果になります。
3ページ目を御覧ください。本プログラムについては、平成20年度から29年度までの10年間のプログラムとして実施をいたしました。
概要・目的については、光科学技術の中で、特に今後求められる新しい発想による最先端の光源や計測手法の研究開発を進めると同時に、こうした最先端の研究成果の利用を行える人材育成を行うということを目的として実施いたしました。
この拠点については、2つの拠点を今回整備をしております。3ページ目の下半分にありますように、先端光量子科学アライアンス、APSAと呼んでいます、融合光新創生ネットワーク、C-PhoSTと呼んでいますが、この2つの拠点、東の拠点と西の拠点2つを今回は整備をいたしました。
5ページ目に事後評価結果をまとめております。先ほどと同様、本課題が関係するアウトプット指標を中段あたりに書かせていただいております。近年の論文数でも毎年200件以上の成果が上がっているというものです。
評価結果につきましては、先ほどと同様、必要性については、光科学技術に関して、新しい発想による最先端の光源・計測手法の研究開発が推進できたかどうか、あるいは若手人材の育成がなされたかどうかという観点から評価をしております。
6ページ目のところ、APSAについてですけれども、研究開発については、世界最高精度の光格子時計、ネットワーク接続が実現されたこと等、若手人材育成については、10年間という長期の事業の特長を生かして、世界市場から公募した優秀な若手研究者が成果を上げて昇進をした等々の成果が上がっております。
またC-PhoSTについては、日本独自の技術である高品質のフォトニック結晶レーザーの高出力化と、その学理的な基礎が確立された等の評価がされています。また、産業界と交流を図るような光科学フォーラムサミットを実施したところでございます。
また、有効性については、6ページ目の下にあるように、光科学技術に関する高度なポテンシャルを有する研究機関が、明確な役割分担の下に緊密に連携する体制が構築されたかどうか、また、若手研究者を育成するためのプログラムが効果的に作成されたかどうかという観点で評価をしております。
7ページ目に具体的な成果を記載しております。APSAについては、複数の参画機関の下で、広帯域のコヒーレント光源「フォトンリング」を実現をしたこと、あるいは、先端光量子科学アライアンスセミナーであるとか、企業の参加によるコンソーシアムの形成等、多々産学間の連携体制が構築された等の成果があがっています。
またC-PhoSTについては、世界で最も効率的なレーザープラズマの加速を実現した等々の画期的な成果が上がっております。また、光科学に関する部局横断の教育カリキュラムや、高校への遠隔授業の配信等を実施したことを成果として記載しています。
また、効率性の部分ですけれども、適切かつ効率的な計画実施体制であったかどうか等について評価をしています。これについては、総括POとPOがそれぞれ役割分担の下で、各拠点において研究の進捗管理、あるいは研究計画検討などを適切に実施をしたこと、また予算配分についても、各POの監督の下で適切にされたこと、更に合同のシンポジウムを開催するなどを通じて相乗効果を発揮している等の評価を頂いているところであります。
最後、8ページ目のところですけれども、総合評価、評価の概要は今申し上げたものを簡潔にまとめているものであります。
今後の展望としては、この2つの拠点で作られた様々な成果というのが、光・量子飛躍フラッグシッププロジェクト、これが昨年度からスタートしたプロジェクトですけれども、これに適切に反映されているということで、引き続きこの光技術の発展を期待したいということを評価いただいているところであります。
続いて3つ目の評価に移ります。資料5-6を御覧いただければと思います。SPring-8とSACLAについての中間評価の結果になります。
2ページ目、3ページ目に評価委員会の名簿を付けさせていただいています。
4ページ目にSPring-8とSACLA、それぞれの概要を書かせていただいています。御承知のとおり、SPring-8については、世界最高性能を持つ放射光施設であり、SACLAについては、世界最高性能のX線自由電子レーザー施設で、いずれも産学官の共用に供しているところであります。
5ページ目が中間評価の結果をまとめたものになります。まず課題の進捗状況のところですけれども、SPring-8については、5年前の中間評価の指摘事項への対応、それと共用開始後20年以上が経過したということで、次の20年を見据えた評価を行ったものであります。
課題の進捗状況にありますように、前回の中間評価における指摘事項については、おおむね着実な取組が行われており、両施設において安定的な共用運転に基づく質の高い研究成果が出ていると評価を頂いています。
前回の指摘事項への対応というのは、5ページ目以降、7ページ目まで、それぞれ具体的に記載されておりますが、ここは省略をさせていただきます。
また、各観点の評価について、必要性、有効性、効率性について様々な観点で評価をしていますけれども、これについてもそれぞれ意義がある取組だったと評価を頂いています。
また(3)のところで、今後の研究開発の方向性ですけれども、量子ビーム利用推進小委員会ではここを中心に御議論を頂き、今後の重点的な課題及び推進方策として御提言を頂きました。8ページ目のところですけれども、下にあるように、SPring-8、SACLAの政策的な位置付けと発展の方向性につきまして、9ページ目の上にあるように、諸外国においては様々な硬X線の施設が整備をされている状況です。こうした中、施設の高性能化を含むSPring-8の位置付け、発展の方向性を検討する時期に来ている。また次世代の放射光、先ほど申し上げた東北放射光施設の整備を踏まえて、高輝度の放射光、SPring-8が得意とする硬X線の領域、それと次世代の放射光施設が得意とする軟X線の領域、これを相補的に利用する研究開発を推進することが大事だと評価を頂いています。
またSACLAについては、諸外国のXFEL施設との差別化を図るとともに、利用環境、利用ニーズに応じたユーザー支援等を通じて世界最先端の成果創出ができるような研究基盤とすべきだとされております。
両施設における具体的な推進方策として、経営基盤の強化、それとイノベーション・エコシステムの形成、国際連携・協力について、それぞれ具体的な取組内容、方向性を提示しております。
また、研究成果の最大化については、成果指標の検討、それとオープンデータ、オープンアクセス、10ページ目に移ります、ビームラインの改廃及び高度化の実現、それとビームラインの有効利用による研究成果の最大化等について具体的な方向性を提示頂いたところであります。
また、産学官共用による利用促進のところですけれども、利用者本位の施設運営ということで、産業界が更にこの施設を有効に利用しやすい環境整備、あるいは支援の在り方を検討すべきだということ。
また、利用のニーズが多様化しているような状況に鑑みて、オープンイノベーションに関する取組を推進すべきということを御提言いただいています。
また、新たな研究領域の開拓、利用者の拡大についても努めるべきという評価を頂いています。
人材育成、国民理解の醸成につきまして、特に人材育成については、施設の高度化、ビームラインの改廃の計画とも関連させた戦略的な人材育成確保に努めるべき、あるいは施設を支える研究者、技術者のモチベーションを維持してアクティビティを向上させることが重要だという評価を頂いています。また、情報発信については記載のとおりです。
この中間評価の結果を取りまとめた報告書を資料5-7で配付をさせていただいています。こちらについても御参照いただければと思います。
すいません、長くなりましたが、以上です。

【三島分科会長】 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの評価の御説明でございますが、御質問、御意見を頂ければと思いますが、いかがでしょうか。

【雨宮委員】 質問ではなく補足なんですが、私、量子科学技術委員会主査をしていまして、その下の委員会の主査もして、これを取りまとめているんですが、かなりディテールなことも含めて、もちろん俯瞰的な立場でいろいろ議論しています。そのときに、計評分科会、ここに載せるために、今御説明のあった必要性、有効性、効率性というところでくくるときに、この分科会のメンバーとしては、どういうコンセプトかというのが分かっていて、整理されているんですけど、下の委員会に持っていくと、委員も替わりますので、こういうコンセプトでくくるということにいつも説明をしないと議論がかみ合わなくて、もちろん一つ一つ、必要性、有効性、効率性と、今までここで議論していて、それが悪いというわけではないんですが、何かもう少し分かりやすい、パラフレーズした、インターフェースする言葉がある方が、そこの連結がいいなという印象を持ちました。これはコメントです。ほかの委員をされている先生方、どう感じておられるかもあると思いますが。

【三島分科会長】 その3つだと、相互に絡んでいるから、どうやって切り分けるかということですよね。

【雨宮委員】 そうそう。必要性というと、意義があるか、目標設定の妥当性みたいなことですよね。有効性は、その結果、アウトカムが出てきたかどうかが問われていて、効率性というのは、その体制がどうであったかというように、目的性、それからアウトカムがあったかどうか、それから体制がどうだったかというふうにも読み替えられるんですよね。そうだと分かりやすいんだけど、必要性、有効性、効率性と言うと、もうちょっと抽象概念になって、そこの交通整理を下の委員会でやるときに、かなり主査が説明しないと、同じ質問がくるくる回ってしまうことがあったということだけです。ほかの委員会でそういう問題がなければ話は別ですけど。

【三島分科会長】 ほかの委員会で御経験のある方で、今の点で何か御意見ございますでしょうか。

【栗原分科会長代理】 私は昨年、ナノテクのところで元素戦略のプログラム評価をしましたが、観点をもう少し具体的な言葉で、実際かみ砕いた言葉で視点を作った上で評価をしたので、この言葉をそれぞれの課題に対して具体的にはどういう視点で見るかということをあらかじめ考えるということが、それぞれの委員会で大事なのではないかと思います。今、おっしゃった件ですが、それぞれによって少しずつ違うのかもしれないので、ここでは比較的抽象的概念であっても、やる場合には、かなり具体的な形にしていかないと分かりにくいのかなと思います。

【三島分科会長】 そうすると、非常に具体的な項目に分けて、皆さんが分かりやすいような形で書いて、この形に最後は落としてここへ提出するという意味ですね。

【栗原分科会長代理】 そうです。

【三島分科会長】 二重の手間にはなるかもしれませんけれども、その方が下の委員会でやるときは分かりやすいかもしれませんね。何か事務局の方で、その辺、サジェスチョンがございますか。

【渡辺大臣官房審議官】 今栗原先生がおっしゃったことでほぼ網羅されるんですが、特に量子技術分野は、これから国全体としての戦略を作りますよね。それで、その中で文科省としてやっていくところというのが当然焦点になっていて、ということで、具体の戦略に基づいてやっていくことですから、必要性というのは、個々のテーマの必要性は説明するとしても、それに基づいた形で具体の中身ということを読み替えていただいて、あとは、栗原委員がおっしゃったように、この委員会での共通言語に少し結び付けるところをどういうふうに落とすのかと考えていただけると、いろいろとスムーズに進むのではないかと思います。

【山下科学技術・学術戦略官】 ありがとうございます。今審議官がお話しさせていただいたことに加えまして、釈迦に説法かもしれません、緑のファイルをお手元に開いていただければと思いますが、この中の一番後の資料に、先ほど冒頭に新地から申し上げました大綱的指針を踏まえて、文部科学省における評価の指針というのを最後の部分に、青い冊子になりますけれども、設けさせていただいております。
この中で、研究開発プログラムと研究開発課題のそれぞれの評価についてのやり方だとか評価の観点だとかを書いているページがあるんですが、その中の36ページを御覧いただければと思います。36ページが、評価の観点3つ、必要性、有効性、効率性、どういうコンセプトの部分を観点として考えているのかということを、具体化が余りできていない面もあるかもしれませんけれども、書き下しているものでございまして、ちなみにこれ、研究開発プログラムも別なものがあるから、これは研究開発課題の評価の観点なんですけれども、ア必要性、イ有効性、ウ効率性ということで、いわば科学的・学術的な意義ですとか、国プロとしての意義というのはどちらかというと必要性、有効性というのは、これも釈迦に説法でございますが、質の向上ですとか波及効果みたいなもの。効率性というのは、計画実施の体制の部分ですとか、プログラム全体をきちんと妥当な形でやっていますかという、そういうことで、一応分類はこうなっているんですけど、ただ、やはりおっしゃっているように、相互関係する面もございますので、栗原先生がおっしゃっていただいたような視点も踏まえて、少しかみ砕いて御理解を賜れればとは考えてございますけれども、御意見としては承って、また今後考えていく視座にはさせていただければと思ってございます。

【栗原分科会長代理】 私はこの冊子の作成にも関わっておりまして、せっかく作ったこの冊子を評価の現場で活用すべきだと思いましたので、そのときには、担当の事務局の方にもそのことを申し上げて、具体的なものを作りました。これは非常に議論して作られたものですので、やはり現場でも参照していただきたいし、参照したいと思いまして、そのように申し上げました。

【山下科学技術・学術戦略官】 全くそのとおりだと思います。これがあれば、私がこんなコメントというか、感想を述べなくてもよかったんだと思います。ありがとうございます。

【三島分科会長】 ほかの観点からでも結構でございますが、何か御意見ございますでしょうか。

【小池委員】 初めてなのでちょっとよく分からないんですが、この1つ前で議論いただいた中目標の達成状況の評価も只今併せて行っていただいたと理解してよろしいんですか。このページの量子のところに、指標だとか、推進すべき研究開発の取組とかというのが書かれていて、これが分野横断的にうまく融合して進んでいますということを今御報告になったんでしょうか。

【奥研究開発基盤課量子研究推進室長】 今回の評価結果はあくまでそこでいう研究開発課題の評価ですので、プログラム評価ではありません。これを例えば量子科学技術という単位で評価をするときに、それがプログラム評価になるんだと御理解いただければと思います。

【小池委員】 分かりました。まだそこへ行っていないということですね。

【奥研究開発基盤課量子研究推進室長】 個別研究課題の評価です。

【三島分科会長】 ほかにいかがでしょうか。

【栗原分科会長代理】 1点、細かいことですが、SPring-8の5ページのところに、老朽化施設の高度なメンテナンスを実施して、施設運営の効率化1%未満の低いダウンタイムの維持により運転時間を確保ということが書いてあるのですが、ダウンタイム率が1%未満って大変高い数字だと思うのですけれども、このあたりは御努力というか、やはり少し注目すべき運転パフォーマンスだと思うので、何かこういうところについて、どういう御努力をされているのか御紹介いただきたいと思います。

【雨宮委員】 日本の放射光技術、特に加速器の定常運転に関しては、日本のハードウェア、ソフトウェアの技術が非常に高いという、レベルの高さもあると思います。外国に比べても、ダウンタイムが少なくて、非常に効率よくオペレーションをされていると思います。一方、ほかの外国のファシリティに比べれば、トータルな運転時間が若干少ない。それは予算の制限で来ています。
ということで、どこのファシリティももっと運転時間が確保できるような予算が欲しいという事情はあります。このような事情がダウンタイムを少なくするという方向につながっているかもしれませんが、とにかく1つはレベルの高さで、これは我が国の誇ることだと思っています。

【栗原分科会長代理】 そういうところも非常に高度な保守点検がされているということもあって、運転時間もまだ足りないところもあるということですね。ありがとうございました。

【三島分科会長】 ほかいかがでございましょうか。

【小川委員】 この分野、昨年のノーベル賞の対象になったりしていて、非常に成果が上がっていますし、SPring-8の幅広い共同研究・共同利用は非常に活発に行われていると思うので、評価自身は妥当だと思います。
ちょっと教えていただきたいのが2点ありまして、1点目が、最初の2つのプログラムが終了して、次のQ-LEAPというプログラムですか、これにつながっていくということですけれども、申し訳ないですけれども、Q-LEAPというのがどんなのか、ちょっと知らなかったので、つながりを教えていただきたいと。
それからもう1点が、先ほど事務局の方からちょっとお話あったんですけれども、量子科学は、これに限らず、国の大きな施策としてもっと大きな土俵で議論をされるという話ですけれども、どういうところで、どう行われているのか。私、加速器だったらば、今の東北の加速器とかは知っているんですけれども、量子科学全体として、国として、どういうものが、今、どういう議論がされていて、どこで議論されていて進んでいるのか、その辺を教えていただければと。この2点です。

【奥研究開発基盤課量子研究推進室長】 1点目の御質問ですけれども、光・量子飛躍フラッグシッププログラム、Q-LEAPというのは、昨年度からスタートしたプロジェクトで、年間22億円の予算を計上しています。領域として4つ立てていまして、1つ目は量子情報処理、いわゆる量子コンピューター、量子シミュレーションの領域。2つ目が、量子計測・センシングの分野です。3つ目が、次世代光源、レーザーの開発ということで、アト秒光源の開発と加工用のレーザーの開発、これを合わせて4つの領域。レーザー2つを1つにまとめているんですが、合計で3つの領域を立てています。
特にレーザーの分野というのは、ここの光の光源とかで開発されたものがそのまま延長線上で活用できるんじゃないか。延長線上という言い方は変ですけれども、発展的に活用できるんじゃないかということで、このプロジェクトの中に取り込んでいるところであります。これが1つ目です。
2つ目は、国全体としての量子戦略を作っていこうという動きが今ありまして、昨年12月の統合イノベーション戦略推進会議という、官房長官が議長で全閣僚が入っている会議体があるんですが、その下で官房長官から、次世代を担う技術として、AI、バイオに次いで光・量子の分野についても早急に有識者会議を設置して検討を開始しなさいという御指示がありました。それを受けて、内閣府の方に量子を専属に扱うチームを設けていまして、私がそこの一応ヘッドを兼任しています。そこで量子のイノベーション、量子技術を基にしたイノベーション戦略を作っていこうということで、これまで1月から3月にかけて国内の約7、80人の方々にヒアリングをさせていただき、その結果をベースとして、先月3月29日に第1回の有識者会議を開催いたしました。そこで、量子技術に関して、国としての国家戦略を議論するためのスタートとなっていますけれども、対象としては、量子コンピューターと、あと量子のセンシング、それと量子の通信暗号、ここが主要領域で、それ以外に我が国が強い材料の分野であるとかというのも取り込んだ形でうまく戦略を構築しようと考えています。
これについては、今年の5月、6月ぐらいに中間的なまとめをした上で、年末に最終報告を取りまとめるというスケジュールで今動いているところであります。

【小川委員】 そうすると、それは文科省だけじゃなくて、科学技術・イノベーション会議の方でまとめてやるという、ほかの省庁も含めて。

【奥研究開発基盤課量子研究推進室長】 統合イノベーション会議で全閣僚が入っているというところもあるんですが、内閣府に置かれたチームの中には、内閣府、総務省、経産省と文科省、この4省が主なメンバーとなったチームとして構成されていまして、単純に文科省とか総務省だけじゃなくて、国全体を見渡した戦略として構築するということを検討しています。

【小川委員】 分かりました。ありがとうございます。

【三島分科会長】 渡辺審議官、何か追加ございません? 大丈夫ですか。

【渡辺大臣官房審議官】 室長の説明で大丈夫です。

【三島分科会長】 ありがとうございます。ほかいかがでございましょうか。

【小池委員】 大変すばらしい御報告で、こういうプログラムというのはこうやってやるんだなと改めて感じさせていただきました。私は、地球観測とか、地球環境の予測とか、そういうことをこれまでやってきたときに、プログラムで若い研究者が育ち、プログラム終了後に、彼らが次どこへ行くかという点で非常に難しい思いをしてきました。この場合は新たに発展的な課題が設定されて次が立ち上がり、育った方々がそこに移行しつつというのは素晴らしいと思います。
それから、先ほど議論にありましたように、民間と非常によくリンクしてやっておられるという点も素晴らしいと思います。ここで育った博士を採った人たちが、民間に入って、それぞれ活躍されている事例があったら教えていただきたいと思います。

【奥研究開発基盤課量子研究推進室長】 例えば東京大学では、このプロジェクトの中で光に関する産学官のコンソーシアムを作っています。その中で、産業界の方、アカデミアの方が密接に対話するという環境を作っていって、その中に若手の学生、研究者も入っている。そういう人たちがコンソーシアムでの議論を通じて参画する企業の方にどんどんどんどん出ていくという、相乗効果をうまく生み出していると思っています。
そういうものも、ここでこのプログラムが終わってしまって、それで終了だともったいないということで、次の発展的なプログラムの方に改組した上で、そちらの方でもうまくつなげるようにという取組はさせていただいております。
それはもちろん東大だけじゃなくて、西の方だったら、阪大、京大等が同じような取組をされていると承知をしています。

【小池委員】 先ほど栗原先生のお話に総力戦でというお話がありましたが、こういうような事例を是非いろいろなところで御紹介いただいて、研究のサイクルをうまく回わし、人が育ち、かつ民間とも協力して活躍できる場をつくる体制がいろいろなところできていくと、博士の入学者が減るような問題も解消していくんじゃないかと思いますので、是非広めていただければと思います。どうもありがとうございます。

【三島分科会長】 今のような御意見、非常に重要で、この計評というのは、委員会がずらっと並んだところから1つずつ、そのときに事後評価とか中間評価のものが出て、それをみんなで質問をして終わるんですけれども、それに関連した国としての動きだとかいうようなものもここに出していただいて、その上で考えないと、何となく1つずつの話がそれだけで完結してしまうので、もちろん専門分野、全部が分かるわけではないかもしれないんですけれども、でも、やはりそういう研究のこういう事業が、国としてどういう方向を向いているかというようなものを見るのは非常に重要だと思うので、そんなことを少し気をつけながら、今回の計評での評価をやっていきたいなと、今伺いながら思いました。
ほかに何かございませんでしょうか。
それでは、以上でございますが、事務局の方からその他何かございますか。残り時間ももう数分になりましたが、ございましたらどうぞ。

【山下科学技術・学術戦略官】 今回、最初の期でございますので、初めての先生もいらっしゃいますので、各先生から、一言で結構でございますので、お言葉を賜れればと思います。

【三島分科会長】 分かりました。私もどうしようかなと思いましたけれども、時間も余りないんですけれども、それでは、せっかくでございますから、お一人、一言、二言で結構ですので、自己紹介でも何でもやっていただければと思います。では、順番はどうしましょうか。じゃあ、青木委員からどうぞ。

【青木委員】 私、十数年前に1回ここでお世話になったことがあるんですけれども、その頃から比べましても危機的な状況というものは進んでいると思いますし、評価の仕方というところにも進歩も感じました。勉強しながらやってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【三島分科会長】 ありがとうございます。

【雨宮委員】 前回に引き続きですけれども、最近、日本における科学技術の凋落ということが話題になっているときだからこそ、大局・俯瞰的な視点で議論することが大切で、あまり細かなところに、ローカルミニマムに落ち込まないような議論ができればと思っています。どうぞよろしくお願いします。

【三島分科会長】 五十嵐委員、お願いします。

【五十嵐委員】 既に何期かお世話になっているんですが、評価というのは本当に難しくて、ようやく少しずつ分かってきたかなというところがございます。そういう経験を生かしまして、これからも、新聞社出身ということで、研究者の先生方とは違う視点かと思いますが、議論に参加させていただいて、いい方向を目指せればと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【三島分科会長】 小川委員、どうぞ。

【小川委員】 先ほどの私の質問に対して三島分科会長がうまくまとめていただいたように、個々の研究プロジェクトをも含めて、全体的に国としてどういうのが動いているのかというのを時々紹介していただきながら、その中で、このプロジェクトはどういう位置付けでどう評価されたかというので俯瞰していきたいと思いますので、是非とも今後ともよろしくお願いいたします。

【三島分科会長】 ありがとうございます。長我部委員、どうぞ。

【長我部委員】 先期に引き続いてお世話になります。評価に関しましては、内閣府の大綱的指針を作るところからいろいろ関わらせて頂いておりますが、今期は、人材育成、やはり評価の結果、人が育っていかないと結果が生まれないということで、そういったことにポイントを置いて意見を述べさせていただければと思っております。よろしくお願いします。

【三島分科会長】 ありがとうございます。春日委員、お願いします。

【春日委員】 ありがとうございます。私も前期から引き続き委員を務めさせていただきます。俯瞰的、それから横串という言葉がありましたので、個々の評価がほかのプログラムとどう関係があり得るのかとか、科学技術基本計画の中でどういう位置付けを、意味付けを持つのか。それから、もう少し手前に、基礎研究であれば、何がどういうふうに明らかになったのか。それから、もう少し応用的な研究であれば、それが社会にとってどういう価値を持ち得るのかということを分かりやすく説明として加えていただければと思います。

【三島分科会長】 ありがとうございます。では、小池委員。

【小池委員】 この3-2の資料を事前にダウンロードして読ませていただいたんですが、少し暗雲たる思いを持って来ました。私自身は環境エネルギーの分野でプログラムを担当させていただいてきて、計評分科会でどういう評価であったというのを聞くのが一番ぴりぴりするところだったんですけど、違う立場にならせていただいて、改めて評価がプログラムの実施者に与える影響、あるいはそれに関わる多くの人に与える影響が非常に大きく、大変重責だと思っております。一生懸命やらせていただきたいと思います。

【三島分科会長】 ありがとうございます。白石委員、どうぞ。

【白石委員】 今期から評価のユニットが1つ上の方に上がるということで、先ほどの奥室長の国レベルでどういうことを考えているのか。あれ、やっぱりものすごく大事なので、是非これから評価のときに、ああいうことが常に入っているというのが大事だと思います。是非よろしくお願いします。

【三島分科会長】 ありがとうございます。寶委員。

【寶委員】 寶でございます。私、防災科学技術分野の担当でありますけれども、防災の分野は学際的でもありますし、社会とも密接に関係する分野でありますので、やはり言葉遣いといいますか、用語が分野によって異なるのですけれども、それを分かりやすく伝える必要があります。今回のこの評価委員会でも、防災分野の事柄について、社会の皆さんに分かってもらえるように報告していかないといけないと思いますし、そういった評価をしていっていただきたいと思っておりますが、そういったことで、学際的なことと、それから、社会と連携するというような観点でその他の分野のことについても意見を述べさせていただきたいと思っております。

【三島分科会長】 ありがとうございました。田中委員、どうぞ。

【田中委員】 このたび、数少ない民間からの参加で参りました京セラグループの田中と申します。私どものグループの中でも幾つか、今回のテーマ、領域の中で関連する事業領域があります。非常に興味深く参加させていただきたいと思います。ビジネスパーソンとしての視点がお役に立てれば幸いでございます。よろしくお願いいたします。

【三島分科会長】 ありがとうございます。塚本委員、どうぞ。

【塚本委員】 ありがとうございます。キャタピラーの塚本でございます。よろしくお願いいたします。人材委員会ですとか総合政策特別委員会とかでちょっとお世話になっていたんですけれども、今回、評価は初めてで、全く何の役に立つんだろうかと自分でも自問自答していたんですが、きょう初めてお話を伺って、行間を教えていただくと、いろんなストーリーがあって、今、人材委員会の中でも若手のドクター離れをどうするとかいう話をしているんですが、こういう話があると、ああ、そうかと、将来結構明るいなとなったりするので、個々の点と点をつないでうまくストーリーにするですとか、広報的な視点等で少しお役に立てればいいなと思っております。よろしくお願いいたします。

【三島分科会長】 ありがとうございます。辻委員、どうぞ。

【辻委員】 NTTの辻でございます。前回から引き続きでよろしくお願いいたします。私は、情報科学技術委員会ですとか学術情報委員会、今回はそれが合わさって情報委員会という形になりましたけれども、情報とかデータとか通信とかというのはどの分野にも関わっていくものだと思っておりまして、そういった形でいろんな方々に関わり合いを持つ分野をやっている者としていろいろと意見を述べさせていただければと思っております。評価は何か測るものではあるんですけれども、現場が元気が出るような形のものにしていけると非常にいいなと思っております。よろしくお願いいたします。

【三島分科会長】 ありがとうございます。林委員、どうぞ。

【林委員】 政策研究大学院の林でございます。今回、私、初めて出ているんですが、研究評価に関しては、毎年各国のファンディングエージェンシーとか府省が始まる研究評価の会議があって、そこに何度か出させていただいて、日本はどうしてもプロジェクト評価や個々の研究の評価は得意なんですけれども、まさに始めようとしているプログラム評価ができていない。プログラム評価の対象は、研究者じゃなくて、この場合だと文科省ですので、文科省が、例えば研究助成をするときに拠点を作るだとか、プロジェクト型のファンディングをすると、どういう仕組み、どういう政策を打ったら、どういう効果が出ているのかと、そういう視点の評価というのが、ほかの国はしっかりやっているんですけれども、日本はなかなかうまくできていなかったというところが、何度か海外の人のお話を聞いて分かっているところでございます。
また、最近は特に、データを使って分析をしてその効果を測っていくというのが今の流れでございますので、そういうものを今回始めようとしているプログラム評価のところで実施していただければと思いますし、また私も協力させていただければと思っております。よろしくお願いします。

【三島分科会長】 それは非常に大事なことだと思いますので、また委員会でいろいろ発言していただければと思います。じゃあ、次、水澤委員。

【水澤委員】 水澤でございます。今回初めてでございまして、出身は、出身というんでしょうか、所属は脳科学委員会でございます。なかなか全体がよく見えなかったのですけれども、きょういろいろ御説明お伺いいたしまして、全体がよく分かりましたので、こちらの方でもお役に立つようにと思っています。
脳科学委員会の中の評価に関しては、こちらの手引きですね、先ほど話題になりましたが、それを用いて、必要性、有効性、効率性の3軸といいましょうか、いろいろなものを評価しておりますので、活用はされていると思います。
以上です。

【三島分科会長】 ありがとうございます。最後、李家委員、どうぞ。

【李家委員】 李家でございます。航空科学技術委員会の主査をしております。航空科学関係では、いつも研究開発課題の評価の報告をさせていただいております。先ほど三島先生や小川先生からもお話しがありましたけれども、この分野では重要ではありますが、全体で見るとかなり細かいことを議論しているようなところもありますので、先ほどお話があったと同じように、航空科学全体としてどうであるかということをいろいろと議論してまとめられると良いかなと思いました。特に今回、研究開発プログラム評価ということで、中目標の単位で議論させていただけることになりましたので、そのときに我が国全体としてどうなっているかとか、そのような観点からも考えていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【三島分科会長】 どうもありがとうございました。初回から大変いい方向性が出るかなと思いました。ありがとうございました。
それでは、事務局の方、最後お願いいたします。

【新地企画評価課課長補佐】 次回の分科会の開催につきましては、8月頃を予定しております。日程につきましては後日事務局にて調整させていただきます。
また、本日の議事録は後日事務局よりメールで送信させていただきますので、御確認の程、よろしくお願い申し上げます。最終的には三島分科会長に御了承いただき、文科省のホームページに掲載させていただきたいと思います。御協力よろしくお願いいたします。
以上でございます。

【三島分科会長】 それでは、本日の研究計画・評価分科会をこれまでとさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

 

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科学技術・学術政策局企画評価課

(科学技術・学術政策局企画評価課)