研究計画・評価分科会(第67回)議事録

1.日時

平成31年2月13日(水曜日)16時00分~18時00分

2.場所

文部科学省15F特別会議室

3.議題

  1. 研究開発プログラム評価について
  2. 研究開発課題の評価について
  3. 部会等からの報告
  4. その他

4.出席者

委員

大垣分科会長、栗原分科会長代理、甲斐委員、春日委員、白石委員、辻委員、長我部委員、小林委員、高梨委員、田中委員、土井委員、永井委員、三島委員、山口委員、李家委員

文部科学省

松尾科学技術・学術政策局長、菱山サイバーセキュリティ政策立案総括審議官、渡辺大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)角田科学技術・学術政策局政策課長、井上企画評価課長、山下科学技術・学術戦略官、齊藤参事官(ナノテクノロジ・物質・材料担当)、横地環境エネルギー課長、国分企画評価課課長補佐、ほか関係官

5.議事録

【大垣分科会長】 それでは、時間になりました。寒さは戻ったのか、始まったのか、よく分かりませんけれども、非常に不思議な天気でありますが、ただいまから第67回科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会を開催いたします。
議事に入る前に、配付資料等について、事務局から説明をお願いいたします。

【國分企画評価課課長補佐】 初めに、事務局に人事異動がございましたので、御紹介いたします。科学技術・学術戦略官(制度改革・調査担当)の山下恭範でございます。

【山下科学技術・学術戦略官】 山下でございます。よろしくお願いいたします。

【國分企画評価課課長補佐】 本日は、研究計画・評価分科会の委員・臨時委員25名のうち、現時点で13名に御出席いただき、科学技術・学術審議会令第8条第1項に定める定足数の過半数を満たすことを御報告いたします。
なお、永井委員から遅れて到着されるとの連絡を頂いております。
また、今回もペーパーレス会議を実施させていただきます。本日の配付資料につきましては、配付資料一覧のとおりで、全ての資料はタブレットPCで御覧いただけます。タブレットに不具合が生じた場合や操作方法が不明な場合などは、事務局に適宜お申し付けください。
今回は研究開発課題評価の審議案件が9件ございますので、審議時間がタイトになります。関係事務局には説明時間をお伝えしてありますので、本日は予定説明時間の時点で呼び鈴を1回、更に1分を過ぎた時点で呼び鈴を2回鳴らすようにしますので、時間厳守でお願いいたします。
以上です。

【大垣分科会長】 時間厳守、よろしくお願いします。
それでは、議事に入ります。議題1の「研究開発プログラム評価について」であります。事務局から資料について説明をお願いします。

【山下科学技術・学術戦略官】 ありがとうございます。それでは、お手元のタブレットの資料1-1というファイルを開いていただけますでしょうか。題名が「研究開発プログラム評価について」、資料1-1となっているものでございます。
それでは、説明をさせていただければと思います。こちらにつきましては、これまで2回ほど御審議を頂いておりましたけれども、これまでの議論も踏まえつつまとめさせていただいたものでございます。
2ページになります。2ページを御覧いただければと思いますが、ここに書かせていただいていますように、次の第10期、2019年の2月から2021年の2月の2年間を予定してございますけれども、研究開発計画、直近では昨年の29年8月に改訂いただいておりますけれども、ここに掲げられている「大目標達成のために必要な中目標」の単位で研究開発課題等の取組全体を束ねたものを研究開発プログラムとしております。そして、この研究開発プログラムの評価を試行的に実施させていただきたいという内容にて、まとめさせていただいてございます。この2年間の試行を通じまして、「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」、きょう紙ファイルの方にもとじさせていただいております、最後に付いておりますのが評価指針でございますけれども、この指針との関係性を考慮しながら、評価者の評価疲れに十分配慮し、柔軟に見直しを行い、実効性のある評価の仕組みの確立を目指すということとさせていただければと思ってございます。
お手元には資料がないのですけれども、実は平成25年の3月に当局の局長の諮問機関で研究開発評価推進検討会というのがございまして、そちらでまとめた「研究開発マネジメントにいかす評価」という報告書がございます。この中には、例えば、分野がたくさんにまたがるもの、新分野に関する部分につきましては、多様性のマネジメントが必要であり、そういったものを評価する際には、分野の特性に合わない評価基準を一律に当てはめることがないような工夫をする必要があること、また、こういったなかなか難しい評価につきましては、評価プロセスの中で、一方的な査定という視点ではなくて、建設な意見交換の場を設定し、あるいは、評価委員会ではなくアドバイザリー委員会などの形を別途設けるということが適切ではないかといったような指摘があります。これまでの議論の中での御示唆を頂いていることと併せて、後ほど御説明の中で申し上げますけれども、考慮した内容としてまとめさせていただいてございます。
資料に戻りまして2ページでございます。本分科会と分野別委員会等、あるいは事務局の中での体制に関しての役割について整理させていただいてございます。こちらに書かせていただいておりますとおり、内部部局の方でございますが、分野別委員会をそれぞれ所管している事務局、担当課がそれぞれ各局各課にございます、そちらの担当課が専ら対象になると思ってございますけれども、研究開発計画に掲げられている中目標を単位とした研究開発プログラムの運用を担うこととしております。実際に複数の研究開発課題のマネジメントを実施しておりますので、研究開発プログラムの自己評価をやっていただく実施主体として取り組んでいただくとしております。
その上で、分野別委員会におきましては、研究開発プログラムの外部評価の評価実施主体という形で外部評価を担っていただくという整理としております。その上で、当分科会におきましては、研究開発プログラム全体の横串の視点から、各研究開発プログラムへの助言を頂くことや、あるいは、研究開発プログラム自体の評価の仕組みがうまく機能するかどうかという視点で、全体の視点からレビューを頂くとしております。そのような役割分担で進めさせていただければという内容になってございます。
1ページおめくりいただきまして、3ページを御覧いただければと思います。今申し上げた役割分担に基づきまして、3ページの左側の「研究開発プログラム評価の試行的実施の方法(案)」というところを御覧いただければと思います。1ポツに書かせていただいていますとおり、「プログラムを構成する研究開発課題等」と書いてございますけれども、この「等」の趣旨は下に書いている部分があるからでございますけれども、中目標の達成に必要となる事業で構成されるものとするとしております。したがいまして、中目標に適合する研究開発課題を基本とするという形をとらせていただきますけれども、必要に応じて研究開発法人において運営費交付金等により実施されている事業を含めることとするとしております。これは目標との関係で、事業全体が俯瞰できる事業構成を考えていただくという内容にさせていただければと思ってございます。
2ポツでございます。研究開発課題の評価や研究開発法人において運営費交付金等により実施されている事業等の評価は、既に評価の仕組みが一定程度定着しており、プログラムの評価に当たっては、必要に応じてこれらの評価結果を活用するとさせていただいてございます。
3つ目でございます。内部部局が行うプログラムの自己評価におきましては、個々の研究開発課題や事業等の評価そのものではなくて、それらを総覧・俯瞰した上での気づきの記載に力点を置くとさせていただいてございます。
4点目でございますが、分野別委員会が実施する外部評価におきましては、内部部局が実施した自己評価結果に基づきまして、全体を総覧・俯瞰した上での留意点や気づきについて検討することに力点を置くとともに、評価結果を取りまとめて、分野別委員会にもう一度お戻しするというような形をとらせていただきたいと思います。
スケジュールとともにフローを御覧いただければイメージがわきやすいかと思います。4ページを御覧いただければと思います。4ページに「試行的実施のスケジュール(目安)」と書かせていただいてございます。本日ここで御紹介させていただいて、もう一度改めまして次の期の初めに分科会で確認をとらせていただければと思ってございますが、その上で、一番下に「分科会開催」と書いていますのがそこに当たる部分でございますけれども、その後、分野別委員会の事務局で自己評価をやっていただいて、さらには分野別委員会で外部評価をやっていただくと。これを2019年の間に、どの時期にやるかというのは少し御相談しながらだと思ってございますが、いずれにしましても、それらを取りまとめたものを約1年後の1月から3月の分科会を開催する際に、プログラム全体を総覧し、御助言を頂き、ここで御意見を頂いたものを紙にまとめるイメージを考えてございますが、併せて仕組みのレビューも行いたいと。その結果をフィードバック、また分野別委員会、あるいは事務局の方に戻させていただいて、2回サイクルを回して考えさせていただくことを考えてございます。
ただ、ここ、ちょっと書き切れてございませんが、このプロセスの中で、特に自己評価ですとか外部評価を実施する際の分野別委員会を開催するプロセスの前に、我が局に設置しています検討会の先生に少し御助言を頂くような形をとりまして、どちらかといえば一緒に作っていくことが大切であると考えております。研究開発プログラムの評価を、どのようにしていくのかということを一緒に考えていくということを実質的にはプロセスの中に組みこむことが大切であると考えてございまして、そこの具体はもう少し我々の方で詰めさせていただければと思います。ただし、それは査定という視点ではなくて、むしろ一緒に、どうやっていろんなものがたくさん束ねられているものを評価するのかということを考える仕組みを2年間の試行を通じて研鑽・洗練させていただきたいということとさせていただいてございます。
5ページは、評価の指針にもございます「『研究開発プログラム』の範囲のイメージ」という図を再度掲載させていただいてございますが、今回対象にしますのは、一番右側にある、中目標という単位で基本的には研究開発プログラムを評価する仕組みを考えていきたいと、このように位置づけてございます。
それでは、少し具体的な様式等につきましては、資料1-2になりますけれども、國分の方から御説明をさせていただければと思います。

【國分企画評価課課長補佐】 では、資料1-2を御準備いただければと存じます。私からは資料1-2の「第10期における研究計画・評価分科会における研究開発プログラム評価の試行的実施と研究開発課題の評価の実施について」の案を御説明申し上げます。
これは何かと申しますと、次回、第10期の計評分科会の初回において決定したいと考えている案でございます。今回は決定の前に一度御審議いただきたいという趣旨でお示しするもので、頂いた御意見を適宜反映してまいりたいと考えております。
これまでは研究開発課題の評価の実施についてのみ決定しており、資料1-2の7ページ目以降、別添3が毎年度決定しておりました「研究開発課題の評価の実施について」でございます。こちらにつきましては、評価の様式に多少修正はございますが、基本的に変更はございません。
では、また1ページ目に戻っていただけますでしょうか。「研究開発プログラム評価の試行的実施」ということで、先ほど山下から説明申し上げた内容が記載されてございます。
(4)の分科会の役割を書いた部分ですけれども、様式を設定しております。分科会は、研究開発プログラム全体の横串の視点から、各研究開発プログラムへの助言を行い、評価全体の仕組みのレビューを行うとしており、これをどのようにまとめるかという様式を、括弧の別添1としてお示ししております。こちらは、3ページ目を御覧ください。
分科会における研究開発プログラム評価の試行的実施に関する議論のまとめということで、横串的に見て気づいた点を1番にまとめまして、評価の仕組み自体をレビューしたことを2番にまとめるという形で、これを毎年まとめて蓄積していくというようなイメージで考えてございます。
文部科学省に設置されている別の審議会であります国立研究開発法人審議会においても同じように気づきを取りまとめ、評価の改善に生かす取組をされており、良い取組だと思いますので、同じようにまとめさせていただければと考えております。
次、また1ページ目に戻っていただきまして、(5)を御覧いただきますと、次に分野別委員会のことを書いてございます。分野別委員会は、研究開発プログラムの外部評価の評価実施主体となります。分野別委員会の事務局が実施した自己評価結果に基づいて、全体を俯瞰した上での留意点、気づき等について検討いただき、別添2を参考にプログラム評価票を作成するということにしてございます。
その様式案4ページ目でございます。こちら、研究開発計画の最初の情報科学技術分野の中目標を抜き出したものでございます。前回までは大目標単位で一覧としておりました。例えば中目標が大目標の下に3つありましたら、3つ並べて記載したものをお見せしていたのですが、分野別委員会ごとに議論いただくことになりますと、それぞれの中目標ごとに分かれていた方が議論しやすかろうということで分けさせていただきました。
こちら、計評分科会で評価したそれぞれの個別の課題評価を一覧にまとめたものでございます。ただし、先ほど山下からも申し上げましたように、当分科会で評価していない事業、例えば運営費交付金等による国立研究開発法人の事業等であっても、中目標を達成するための取組に該当するものであれば追加してよいということにさせていただきたい、もともと研究開発計画も運営費交付金等による国立研究開発法人の事業も含む作りになってございますので、そのような形にさせていただけたらと思います。
また、事業を開始したのが現在の研究開発計画よりもかなり前で、今の中目標には合致しないけれども、事後評価等を実施したがために入ってきてしまうような事業というのもあると思います。そういうものについては、中目標を達成するための取組には該当しないということで、委員会の判断で削除するようにしてはどうかと考えてございます。
こちらを総覧いただきまして、5ページ目の下の方、あえて評価と書かず、「研究開発プログラムの評価に当たっての気づき」ということにして、まずは俯瞰していただいて気づいた点を記載いただきたいということで、委員会後ごとにまとめていただこうと考えております。
留意すべき点をここに幾つか書いてございますけれども、私どもとしましては、それぞれの研究開発課題の結果を羅列するのではなくて、あくまでも総覧して気づいたことを記載していただきたいと考えてございます。
また、評価に当たりましては、これまでもこの分科会の中で大分話されてきたことではございますが、論文数などの数値のみに安易に頼らずに、研究開発プログラムの性格、内容、規模等を考慮しながら、目標達成への貢献状況の全体を把握すること、これはまさに分野別委員会やその事務局ができることだと思いますので、そちらに努めていただきたいと思います。
同じく重要なこととして、実施したプロセスの妥当性、副次的効果、理解増進や研究基盤の向上、次代を担う若手研究者の育成にいかに貢献したか等、ポジティブなことをできるだけ幅広い視野から捉えて、気づきとして書いていただけたらと考えてございます。
最後の部分ですけれども、一般的にプログラム評価を実施するときに、外部機関、例えばシンクタンクのようなところに依頼する場合があるように聞いておりますので、私どもも分野別委員会事務局と相談しながら実施していきますが、場合によっては、民間の外部機関等を活用しながら実施する方向も考えていきたいと考えてございます。
私からは以上です。

【大垣分科会長】 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明に関しまして御意見、御質問ありましたら、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。

【李家委員】 昨年度のことを思い出すと、私が担当しておりますのは航空科学技術委員会ですけれども、研究開発プログラム関係の評価で、ちょうど来年度に航空委が順番で割り当てられておりまして、そのためにすぐに対応しなければならないのかなということで本件は、よく覚えているのです。その後、去年の夏に大分方法が変わって、事務的に作業をするだけになったというお話だったと思っておりました。今伺った話ですと、もう一度航空委のような分野別委員会でいろいろ議論して、こちらにあるような資料を作成して、それを計評分科会の方に上げて、最終的に認めていただく、あるいは決定していただくと、このような流れになっていると思えばよろしいのでしょうか。

【山下科学技術・学術戦略官】 御質問どうもありがとうございます。昨年までの経緯という意味では、今先生おっしゃっていただいたような形で御審議いただいてきた経緯があると承知しております。その意味では、今回少し変更させていただければと思ってございますのは、あくまでも外部評価を実施する機関については、分野別委員会で御審議いただいたものを計評分科会でオーソライズするということの部分に重きを置くのではなくて、分野別委員会が外部評価を実施する機関として役割を果たしていただくということ自体も含め、試行させていただくと整理とさせていただいております。分野別委員会の役割としては、担当事務局とともに一緒に評価を作っていただいており、やや自己評価と外部評価の中間的な役割を担っていただき、それを外部評価実施機関としての計評分科会がオーソライズするという役割分担で取り組んでいることは承知しておりますものの、この研究開発課題を束ねた研究開発プログラムの評価については、新しい取組になりますので、分野別委員会は、あくまでも担当事務局が行った自己評価に対する外部評価を実施するとの役割で、御審議いただければと考えております。
したがいまして、計評分科会は、研究開発プログラムの評価結果をオーソライズするという役割ではなく、分野別委員会で評価いただいた外部評価の結果に対して、気づきとしての意見をとりまとめ、それを分野別委員会にフィードバックし、あるいは、研究開発プログラムの試行的な評価の仕組み全体について、本当にこれでうまく回せるのか、具体化できるか、フィジビリティーがあるのかなど、恐らく多くの多様な視点があろうかと思ってございますけれども、それを検証していくという役割で、研究開発プログラムの試行的な取組全体を俯瞰するという形をとらせていただきたいというのが事務局の案でございます。
【李家委員】 分かりました。そうすると、今も御説明があったように、例えば個々のプロジェクト等を実施した結果を計評分科会で評価していただいている話とは別に、これまで表に出てこなかった運営費交付金関係での実施結果がまとまられて表に出てくるということで、そのために文科省で行われている研究全体が俯瞰できるということで非常に分かりやすい資料になると思います。ところで、以前に、研究開発計画をいろいろと議論していたときのことを思い出すと、研究開発計画の中で「研究開発プログラムの評価」を実施するというように書かれていますけれども、その記述との整合性はとれているということでよろしいでしょうか。
【山下科学技術・学術戦略官】 おっしゃってただいたとおり、研究開発計画に記載される内容との整合性については、検証する必要があるのではないかという問題意識はもってございますので、本日、御審議いただき、次回、次期の計評の分科会の、最初に改めて御審議いただく際には、研究開発計画の変更の必要性も含めて検討させていただき、改めて案を提示させていただければと考えてございます。

【李家委員】 分かりました。ありがとうございます。

【大垣分科会長】 ほかにはいかがでしょうか。

【栗原分科会長代理】 私、研究開発法人の評価を長くやっておりますが、今回出てきている提案は、かなりそれの運用に近いものだというように拝見しました。評価者の方がどういう視点から見るのかというところを議論する機会は非常に有効だと思っています。そういう場があるということは、一歩踏み込んだ、より形式的でない、質的な気づきという言葉でおっしゃいましたけれども、実質的に新しい視点等を入れていくのには有効だと思います。

【大垣分科会長】 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
ありがとうございました。それでは、今回頂いた御意見を踏まえて、事務局は次回、第10期になるわけでございますが、の計評分科会に向けて、研究開発プログラム評価の試行的実施について、各委員会事務局とも調整しながら、来期から実施できるように引き続き検討をお願いいたします。よろしくお願いします。
それでは、議題の2に移ります。「研究開発課題の評価について」であります。今回は中間評価6件、事後評価3件、合計9件を審議いたします。各委員会において取りまとめられた評価結果を資料2-1-1から2-6-3としてタブレットPCに入れておりますので、これを基に御審議いただきます。
まず委員会ごとに説明していただき、それぞれ、質疑の時間をとりたいと思います。資料は各委員宛てに事前に送っていただいておりますので、説明は時間厳守で、評価票の必要な部分のみを簡潔にお願いをいたします。
それでは、環境エネルギー科学技術委員会から中間評価について2件続けて説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

【横地研究開発局環境エネルギー課長】 環境エネルギー課長の横地でございます。本件は、分科会運営規則第4条8項の規定に基づいて、環境エネルギー科学技術委員会における中間評価の結果を報告するものでございます。
本日は、環境エネルギー科学技術委員会の主査、髙村ゆかり臨時委員が御欠席だということで、委員会の事務局である当課から御報告させていただきます。
報告の対象は、地球環境情報プラットフォーム構築推進プログラム及び省エネルギー社会の実現に資する次世代半導体研究開発、この2件でございます。どちらも2018年12月20日、定足数を満たして開催された第6回の環境エネルギー科学技術委員会において、利害関係者の議論への参加を認めることなく評価を実施したものでございまして、議事録については既に文部科学省のホームページ上で公開しております。
それでは、それぞれのプログラムについて御説明させていただきます。まず、資料2-1-1、2-1-2でございます。地球環境情報プラットフォーム構築推進プログラムで、資料2-1-1の上から2段目がこれの施策マップになっています。本プログラムは、地球規模課題の解決に貢献するため、地球観測データや気候変動予測結果、社会経済データ等のビッグデータを統合解析して、科学的・社会的に有用な情報を創出するための共通基盤となる地球環境情報プラットフォーム、これは私どもDIASと呼んでいますけれども、これを構築するものでございまして、実施期間は2016年から2020年となっています。
続きまして、資料2-1-2を御覧ください。この資料については、1ページになりますけれども、東京大学の住明正特任教授を主査とする中間評価調整グループによって取りまとめられた評価の原案を環境エネルギー科学技術委員会で評価したものでございます。
2ページ以降、御説明させていただきます。研究開発概要・目的でございますけれども、中段にございますように、「科学技術イノベーション総合戦略2015」において、気候変動等に貢献する社会基盤として長期運用体制に移行することなどが求められているなど、2ページから3ページにかけての記載のとおりとなってございます。
また、3ページ以降、研究開発の必要性等、それから予算の変遷、課題実施体制など、3ページから4ページにかけて記載されております。
また、5ページでございますけれども、施策の目標として、地球環境情報プラットフォームの構築とされておりまして、その下での各目標については5ページの記載のとおりとなってございます。
また、同じ5ページ、アウトプット指標、アウトカム指標が載ってございますが、それぞれ目標値を実質的に上回っているという結果でございます。
6ページ以降、評価結果について御説明させていただきます。課題の進捗状況でございますけれども、良好に進捗しており、データ駆動型社会を支える重要基盤の一翼として、Society5.0の実現やSDGSの達成への貢献が期待されるということ。
それから、気候変動に関する政府間パネル、IPCCの第5次評価報告書の作成に必要な科学的知見の提供元として貢献しており、第6次の報告書に向けても期待されているということが記載されております。
7ページ目の研究開発体制、それから7ページ目から10ページ目にかけて、研究開発の進捗状況について記載されております。これは記載のとおりでございます。
また、10ページ目、「研究開発の成果及び波及効果」というのがございます。DIASに実装された水課題のアプリケーションが国内外での様々な課題に応用されているほか、アジア開発銀行の事業を介した国際貢献や、また民間との連携による新たな成果の創出と利活用が進展しているということで記載がございます。
また10ページ以降、事前評価以降の状況を踏まえて、そこに記されているようなマル1からマル3の各観点から再評価を実施しており、本プログラムの重要性、必要性、有効性が高まっているという評価を頂いております。
結果、12ページになりますけれども、DIASは、様々な研究開発を支えるとともに、気候変動や防災・減災、健康等の社会課題の解決に資する成果を創出していると評価されております。
また、情報基盤として長期的・安定的な利活用に向けた運用体制の整備を進めており、今後とも地球環境分野はデータ連携基盤構築を牽引する分野の1つとなるということが期待されるということで、継続と評価をされております。
続きまして、資料2-1-4、それから2-1-5に従って御説明をさせていただきます。省エネルギー社会の実現に資する次世代半導体研究開発でございます。資料2-1-4の下段でございます。本研究開発は、エネルギーの安定的な確保と温室効果ガスの抜本的排出削減、これを実現する省エネルギー社会の実現に向けて、次世代半導体の材料創出からデバイス化・システム化までを一体的に加速するため、産学官が結集した研究開発を推進するもので、実施期間は2016年から2020年となっています。
続きまして、資料2-1-5になります。これについては、地球環境産業技術研究機構の山地憲治理事・研究所長を主査とする中間評価調整グループによって取りまとめられた評価原案を環境エネルギー科学技術委員会が評価したものでございます。
3ページ目以降、御説明させていただきます。研究開発の概要・目的でございますけれども、研究拠点を5つ設けて、そこが連携して研究開発を推進するなどと記載されているとおりでございます。
また、3ページ目以降、研究開発の必要性、予算の変遷、課題、実施体制等が記載されております。
また、6ページでございますけれども、施策の目標として、創・蓄・省エネルギー等に係る革新的な技術の研究開発の推進とされておりまして、その下の各目標については6ページの記載のとおりでございます。
また、評価指標でございますけれども、各指標の目標値が記載漏れをしておりまして、この点、お詫び申し上げます。改めてこの場で御説明させていただきたいと思います。
まずアウトプット指標、これは研究開発テーマ数でございますけれども、2016年度については9件、17年度は14件というのが当初見込みでございまして、実績はこれを上回っております。
また、3つあるアウトカム指標についても、それぞれの目標値、マル1については特許出願累積数、これは2016年度が1件、17年度が7件、それからマル2については、2016年度は横棒、17年度が3件、またマル3については、16年度が1報、17年度が13報という目標値でございますけれども、実績はいずれもこの目標値を上回ってございます。
評価結果でございます。7ページ以降になりますが、産学官の協力体制の下で研究開発を進め、例えば欠陥の少ない結晶成長法を開発するなど、世界初・世界最高水準の成果を得ています。
原案作成時にパワー領域とレーザー領域で研究の進捗に一部遅れが見られるとされていますけれども、世界的に見てもチャレンジングであると認識されている課題であって、全体としては、研究は順調に進捗しているという評価でございます。
また、8ページ以降、事前評価以降の状況を踏まえて再評価を実施しており、本研究開発の必要性、有効性及び効率性は引き続き高いと評価をされております。
したがいまして、11ページの研究評価の結果としては、本事業は継続して実施すべきと評価されておりまして、そこに5点留意点が付されておりますけれども、そのような結果になってございます。
以上でございます。

【大垣分科会長】 ありがとうございました。それでは、ただいまの2件の説明につきまして、御意見、御質問ありましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

【春日委員】 ありがとうございました。DIASについて1つお聞きしたいんですけれども、地球観測推進部会においてもDIASの重要性は大変強く認識されていて、その点が強調されている評価結果ということは大変喜ばしいと思っております。
部会の方でも議論があったんですけれども、データを使う側との連携ですね、それから、使った先で実際に、特に防災の場面で人が行動に移していただくところにまだまだ大きな課題があると思うんですけれども、DIASそのものではないかもしれませんけれども、DIASが活用される先でそういう課題を更に考えていくべきというような観点での記載もあるんでしょうか。

【横地研究開発局環境エネルギー課長】 ありがとうございます。先生がおっしゃるように、活用していただくのが大変重要であるということでございますので、今後、民間利用も含めてしっかりと活用していただきたいと思っておりまして、その旨もしっかりと評価していただいております。

【大垣分科会長】 よろしいですか。

【春日委員】 はい。

【大垣分科会長】 ほかには。

【土井委員】 ちょっと調べていて、2つ目の省エネのデバイスということなんですが、質問は、留意点のところに書いていただいている2つ目ですが、2030年の実用化に向けて知的財産のポートフォリオを確認するというふうに書いてあって、これは非常に重要だと思うのですが、一方で、2030年まで半導体デバイスの関係って、日本のメーカーが本当に生き残れるのかというのがちょっと心配になるんですけれども、そういう意味で、文部科学省としては、基礎的な研究するというのはそれでいいと思うんですけれども、2030年になって気がついたときには、実際に物を作れるのは日本になくて中国だったりする可能性もあるわけなので、そのあたりは、こういう知財戦略のところではどういうふうに検討されるんでしょうか。

【渡辺大臣官房審議官】 半導体は、御指摘の点は大事だと思っていますが例えば2030年とかを見通したときに、その半導体は、今の(技術による)半導体なんでしょうかという問題もあります。積層化も出てきていますから、モアムーアがまだあるいうアメリカの方向性が1つありますが、別の、量子、スピントロニクスを使った新しい方式もあります。そのような方向性になっているときに、知財はもちろんですけが、今の取組を超えて本当はやらなければいけないこと、その際、現在の半導体産業の水平分業の状況をアメリカと中国が垂直統合しようという動きもある中で、日本がとり得る道は限られているように思います。そういう点について、先生はどのようにお考えでしょうか? 知財はもちろんですが、技術の方向性を見定めて、全体を見ていって、その中で日本が何を押さえていくということを、私は本当に考えなければと思っているんですがいかがでしょうか。

【土井委員】 そういう意味では、ガリウムナイトライドは、半導体自身が新しいんですよね。それで今コンソーシアムに参加されている実際にガリウムナイトライドを作れるところって、まだメーカーとしては小さい、ベンダーとしては小さいので、そういうところをいかに維持しつつやっていくかというのも課題でありますし、一方で、基礎研究をやることも大事なんですが、例えば、すいません、こういう言い方をするともしかすると誤解を抱かれるかもしれませんが、本庶先生がなさった基礎研究を小野製薬が受け継ぎ、青色LEDに関しては日亜化学が受け継ぎ、大村先生の研究はアメリカの製薬会社が受け継ぎという形で、ある意味うまくリレーができていったわけですよね。なので、やっぱりガリウムナイトライドも、新しいデバイスで、大手のメーカーはなかなか手を出すのが難しく、ここを本当にどうやってやるかというのは、文科省だけでなく、やっぱり経産省も、バトンタッチ、リレーの仕方を、今までのようなシーケンシャルにやっていくようなやり方ではなく、作りながら、生産工程どうするかというのをインタラクティブにやりながら、アジャイルというんですか、そういう形もやっぱりこの半導体のところは重要かなと思うので、是非そういうのも、この2030年までの、文科省として支援することも大事だとは思うんですが、産業としていかに死の谷を作らずにバトンタッチしていくかというのも非常に重要だと思います。

【大垣分科会長】 どうぞ。

【長我部委員】 本件は環境分野で半導体の中でもパワーデバイス中心ということで、十分に日本にもチャンスがあると思うので、今の議論のような方向でいいと思うんですが、この留意事項の5点目に、「より先を見据えた研究開発に向けた戦略的な検討」というこの文章は、何を指しているのかというのが若干曖昧で、パワー半導体なのか、それとも半導体デバイス全体を考えなさいと言っているのか、評価を受けた人が理解できるかどうか気になるんですが、ここをもう少し補足解説していただけますか。

【横地研究開発局環境エネルギー課長】 それでは、私の方から幾つかお答えさせていただきます。まずこのプログラムですけれども、2030年の社会実装に向けて2020年までに成果をまず出そうというのが目的になっています。その中で、半導体の研究開発をどういうふうに進めていくかということですが、今、長我部委員からもありましたように、パワー半導体も当然ですけれども、レーザー、それから高周波、こういったことも視野に入れながら進めていくということになってございます。
それから、1点目の御質問にあった、そもそも日本にどのくらい余力があるのか、今後大丈夫なのかということですが、現時点で実はコンソーシアムを非常に強固にこのプログラムは作っておりまして、昨年10月の段階では民間企業49社、既に入っていただいて、共同研究を進めるという形で事業を進めております。
ガリウムナイトライド自体については、おっしゃるとおり、まだまだ先端的な研究分野でございますが、ここについては、日本企業の例えば特許のシェアなども含めて見ると、相当の力があるだろうということで、日本が一歩も二歩もリードしているような状況なので、このまま突っ走ってまいりたいと考えております。
その上で必要になってくるのが、やはり知財戦略ということになりますので、ちゃんとポートフォリオを作って、どこを押さえることが最も効率的なのかということも見定めながら、事業を無駄なく効率的に進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。

【長我部委員】 そうしますと、5ポツ目の解釈としては、ガリウムナイトライドデバイスに関して、パワー応用だけではなくて、レーザーそのほかの応用も含めて、戦略的な検討をしなさいという意図でございますか。

【横地研究開発局環境エネルギー課長】 はい。

【長我部委員】 了解しました。

【大垣分科会長】 ありがとうございます。今の御発言は修正を御提案でしょうか。

【長我部委員】 いいえ、被評価者の意図が分かれば良いことですので、例えば別の方法で補足されるなどでも構わないと思います。

【大垣分科会長】 ありがとうございます。ほかにはよろしいですか。
それでは、どうもありがとうございました。
それでは、次のナノテクノロジー・材料科学技術委員会から中間評価について説明をお願いいたします。

【齊藤研究振興局参事官】 ナノ材、材料担当課長の齊藤でございます。事務局の方から御説明させていただきます。資料2-2-2をお開きくださいませ。2012年から10年間にわたるプロジェクトでございまして、2回目の中間評価ということでございます。3ページ目に、今回中間評価の御検討いただいた、名簿ございますけれども、本分科会の委員でございます栗原先生に主査ということでお願いしてございます。
簡単に、元素戦略プロジェクト、概要をお示ししたのが次のページにございます。今申し上げましたとおり、10年間ということで、終期は2021年度でございます。中間評価、27年度、そして今年度ということでございます。
研究開発の目標・概要でございますけれども、元素の機能の理論的解明から、新材料の創製、特性評価までを一体的に推進する拠点を形成するということで、平成30年度以降は、物質の原子レベルから解析等々の理論を得られた候補物質を対象に材料創製を取り組むというフェーズになってございます。
全体の必要性等でございますけれども、必要性といたしましては、括弧書きのところ以下でございますけれども、資源再生技術の革新、レアメタル、レアアースの代替材料の創出に向けた取組を推進するというもの。
そして有効性につきましては、4拠点ございますけれども、拠点ごとに3グループを位置付けてございます。電子論グループ、材料創製グループ、解析評価の3つのグループの下に一体的研究するという仕組みになってございます。
効率性でございますけれども、これは前回の中間評価で御指摘のあったところでもございますけれども、元素戦略運営統括会議というものを、機動的かつ密な連携を求めるために、プログラム運営委員会ということに変更いたしまして、その下にやっておると。さらに、基礎から応用につながるということで、文部科学省の元素戦略プロジェクトとともに、内閣府、経産省の関連事業との連携を、ガバニングボードの設置で図っているというものでございます。
次のページ以降、予算等ございますけれども、5ポツの研究課題実施機関・体制ということで、4つの拠点、領域というものがございます。1つは磁石材料拠点ということで、物質・材料研究機構、そして、触媒・電池の拠点、これは京都大学、そして電子材料、これは東工大の細野先生のところ、そして構造材料、これも同じく京大というものでございます。
次のページの6ページはポンチ絵でございますけれども、これは今申し上げたこと、そしてこれから述べますので、これは割愛させていただきます。
本文、中間評価票でございますけれども、大目標、中目標、これは御覧のとおりでございますので、真ん中辺ですね、「重点的に推進すべき研究開発の取組」ということで、特にナノレベルの理論解析等々、そういったことで、以下の研究成果も上がっておるというところで、数字的なものございますけれども、それぞれ1.5倍程度、前回の中間評価から1.5倍程度というものになってございます。
課題の進捗状況でございますけれども、研究体制につきましては、先ほど申し上げましたプログラム運営委員会というものを起動させ、有効的に機能させているというものでございます。
それぞれの取組でございますけれども、各拠点の再評価ということで、10ページ以降になりますけれども、それぞれ必要性等を示させていただきまして、12ページにお進みください。(3)の研究開発の方向性ということで、材料開発の根幹となる元素戦略の必要性は高まる一方であり、成果も順調に上がっているということ。また、先ほどのプログラム運営委員会等の運営等々ございますけれども、事業運営、研究開発体制も妥当であるということで、本課題は継続すべきであるという結論に至っております。
ただ、その他、御意見といたしまして、これからが材料創製の時期というところでございますので、一層の知財管理、戦略についてはやる必要があるだろうというところも頂いております。
説明は以上でございます。

【大垣分科会長】 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明に関しまして、御意見、あるいは御質問ありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。

【土井委員】 ちょっと細かいことで教えていただきたいんですが、9ページのところの3番目ですね、研究開発体制というところに書いていただいているんですが、4つの分野があって、そのうち3つの分野では定期的に合同シンポジウムをやっていると。せっかく4分野あるのに、3分野だけが定期的にやっているというのは、何かわざわざそういうふうに説明されると、どうしてなんでしょうかと聞きたくなってしまうんですけど、すいません、教えてください。

【齊藤研究振興局参事官】 類似のプログラムが経産省、内閣府にあるところは、合同シンポジウムをやっていると。単独で存在しているところは単独でやるしかないので、やっているということです。

【大垣分科会長】 よろしいですか。

【齊藤研究振興局参事官】 経産省、総務省、それぞれ例えば電池であれば、そういうプロジェクトがあるんですけれども、そこは連携してやる必要があるので、合同シンポジウムがある。電子材料については、ほかの省庁でやってございませんので、単独で、それも異分野も集めた形でやっておりますけれども、各省との連携による合同シンポジウムはやっていないと、そういう意味でございます。
【土井委員】 訂正するほどではないとしても、せっかくそうやって、内閣府、経産省と一緒にやっていないかもしれないけど、異分野とはそういう交流を図っているのであれば、交流を図っているというのが一言入っていると、ちゃんと電子分野も材料分野もやっているんだなというのが分かるんですけれども。

【齊藤研究振興局参事官】 三島主査、いかがでございましょうか。

【三島委員】 いわゆる府省連携というか、いろんな特定の材料に対する動きがあるものに対して連絡をとっていくという、SIPなんかでもそういうことをやっている状況なので、これでよろしいのかなというふうには思いますが。

【栗原分科会長代理】 あと、次のページの10ページのところに、電子材料拠点については東工大の重点分野に位置付けられていて、拠点化が着実に進捗しているという記載の中には、拠点ですので、当然そういう活動は幅広くやっておられるので、そういうニュアンスは書き込まれていると理解しています。

【土井委員】 はい、ありがとうございます。

【大垣分科会長】 それでは、よろしいでしょうか。じゃあ、どうもありがとうございました。
それでは、次に原子力科学技術委員会から中間評価について2件続けてお願いをいたします。

【三野補佐】 研究開発局の原子力課でございます。資料2-3のシリーズに基づきまして、原子力科学技術委員会において実証していただきました2つの事業の中間評価につきまして説明をさせていただきます。
なお、本委員会の主査を務めていただいております山口先生、本日も御出席いただいてございますけれども、本事業に参画をしていただいております関係等から利害関係者に当たりますので、恐縮ですが、事務局の方から説明をさせていただきます。
それでは、まず資料2-3-2をお願いいたします。英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業の中間評価となってございます。
3ページ目をお開きください。本事業の概要がございます。本事業につきましては、事故を起こしました東電の福島第一原発の廃止措置の加速に向けまして、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させることにより、基礎・基盤的な研究開発や、産学が連携した人材育成の取組を推進するものでございます。
記載の3つのプログラムを中心に実施がなされてございます。8ページ目に飛んでいただきまして、評価がございます。(1)課題の進捗状況の下の段落でございますけれども、本事業の目的であります国内外の英知の結集につきましては、東電福島第一原発の廃炉に向けた課題や現場のニーズを明確にし、国内研究や国際共同研究の公募を行い、国内外の英知の結集を図ることができていると評価を頂いてございます。
また、9ページでございますけれども、機関や分野を超えた連携に関しましては、原子力損害賠償・廃炉等支援機構と言っておりますNDFですとか、国際廃炉研究開発機構でありますIRID、また、企業を交えた研究会やセミナー、ワークショップ等におきまして、研究者同士の連携・競争を奨励することにより、ニーズとのマッチングの調整、新たな研究の方向性の発見、研究の深化などを図ることができていると評価を頂いてございます。
そのページの下の方、「以上のことから」というところでございますが、本事業は、原子力を支える技術基盤の確保・充実のため、大学等の研究機関における基礎・基盤的な研究開発を推進し、我が国の原子力研究の裾野の拡大を図るとともに、東電福島第一原発の廃止措置等に向けた研究・人材育成に貢献していると御評価を頂いてございます。
(2)各観点の再評価の必要性でございます。10ページになりますが、政府が策定をしております東電福島第一原発の廃止措置等に向けた中長期ロードマップですとか、エネルギー基本計画におきまして、1Fの廃止措置を支える研究開発と人材育成については、国の関与の必要性が提言されているところでございます。
また、NDFにおきまして、今後必要な研究開発課題が示されておりまして、本事業につきましては、これに基づいて運営がなされておりまして、国や社会のニーズに適合しているということになってございます。
以上のことから、本事業の必要性は引き続き高いと評価を頂いてございます。
有効性につきまして、研究開発につきましては、論文数、また発表数につきましても増加傾向にございます。特許を申請している課題、学会賞などを受賞している研究もございます。
また、人材育成につきましては、採択機関によりまして様々な取組がなされ、各採択課題で実施する人材育成プログラム等の受講人数も増加している状況でございます。
11ページの「以上のことから」というところでございますけれども、今後、本事業から1Fの廃炉に資する革新的な技術が創出されることや研究機関や廃炉現場で活躍できる人材が輩出されるとともに、原子力の知見を持った人材が社会に輩出されることが期待され、本事業の有効性は高いと評価を頂いてございます。
効率性のところでございますけれども、「また」の部分でございます。全ての課題につきまして、事業の計画・目標の達成度、成果や発展性について評価を行う評価委員会が設置されておりまして、事後評価も実施をし、PD・POから当該評価に関する意見を受け、本事業の研究テーマの設定、課題管理の在り方の検討に資されていることから、本事業の効率性は高いと評価を頂いてございます。
(3)今後の研究開発の方向性でございます。12ページになります。「これらのことを踏まえ」というところでございますけれども、NDFの廃炉研究開発連携会議等におきまして議論がなされ、我が国唯一の廃炉の研究機関でありますJAEA、原子力機構のCLADS、廃炉国際共同研究センターに知見を集約し、中長期的・一元的な拠点として、CLADSの機能を高める体制を構築することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施することが適当とされてございます。
このことから、事業の運用体制を文科省の委託事業からJAEAを対象とする補助金事業へ移行して実施することとするとされておりまして、平成30年度からこの体制で実施をしております。
また、本事業の運営体制が変わった後においても、課題採択、課題管理、課題ごとの中間評価・事後評価については、PD・PO、外部有識者によるマネジメント体制の下、効率的・効果的な運営を継続して行うことが必要であると指摘がなされております。
また、人材育成につきましても、他の原子力人材育成事業と連携した取組を検討する必要性について指摘がなされているところでございます。
続きまして、別事業について説明させていただきます。

【森島補佐】 引き続きまして、原子力システム研究開発事業につきまして御説明をさせていただきます。資料の2-3-4を御覧ください。まず3ページ目でございますが、目的と概要を簡単に御説明させていただきます。原子力が将来直面する様々な課題に的確に対応し、解決するとともに、我が国の国際競争力の維持・向上のために、多様な原子力システム、原子炉であったり、再処理であったり、もろもろありますが、そういった原子力システムに関しまして、基盤的研究から工学的検証に至る領域における革新的な技術開発を実施するというような中身になってございます。
特に福島第一原子力発電所事故及びエネルギー基本計画、これ、平成26年の4月に第4次の基本計画、そして、平成30年の7月に第5次のエネルギー基本計画が閣議決定されておりますが、それを踏まえまして、大学等の研究機関におけるいわゆる既存施設の安全対策強化等に資する共通基盤的な技術開発や、放射性廃棄物の減容及び有害度低減に資する技術開発を支援するという事業になってございます。
その下にございますが、今申し上げましたような2つの大きな安全基盤研究と放射性廃棄物の減容、有害度低減という技術開発につきまして、期間としてはそれぞれ4年以内ということで研究開発を進めるものでございます。
事業の実施期間としましては、平成17年度から続いているものでございまして、中間評価は平成20年度と25年度の2回頂いております。
また、次の下の段になりますが、予算の変遷と実施体制ということで、予算はこういった形で変遷しておりますし、実施体制といたしましては、文部科学省から事業委託という形で、支援業務受託機関ということで、公益財団法人の原子力安全研究協会の方に平成30年度支援委託をしておりまして、その中でPD・POによる一貫したマネジメント体制をとりながら実施を行っているというものでございます。
続きまして、6ページを御覧ください。6ページに研究開発計画との関係ということでございますが、大目標、中目標、また重点的に推進すべき研究開発の取組ということで記載してございます。
また、その下にアウトプット指標、そしてアウトカム指標ということで、それぞれ研究の論文数や、学会等での発表件数、またアウトカム指標といたしましては、A評価以上の課題の件数割合ということで記載をしてございます。
続きまして、7ページでございます。評価結果ということでございまして、まず(1)ということで、課題の進捗状況でございます。こちらは平成17年度から始まっている事業でございますが、上から1、2、3、4ということで4つのプログラムということで進めてございました。マル1に関しましては、基礎基盤研究開発分野ということで、平成17年度から25年度まで実施、またマル2としましては、特別推進分野ということで、平成18年度から25年度まで実施してございます。
また、マル3、マル4に関しましては、現在も続けておりますが、マル3に関しましては、先ほど申し上げました安全基盤技術研究開発分野ということで、原子力システムの更なる安全性向上のための技術開発が急務ということ、社会的要請も踏まえまして、安全性向上に資する基盤技術の更なる強化、実現、充実のための研究開発を推進してございます。こちらは平成24年度からの実施でございます。
また、マル4に関しましては、こちらは原子力発電所等で使用されてきました多数の使用済燃料が今使用済燃料プール等で保管されている状況でございますので、これを将来、処理・処分することが必要となるという状況でございます。その際に放射性廃棄物に係る減容や、有害度低減に係る研究開発を推進するというものでございます。
下にございますが、マル1、マル2の分野に関しましては、福島第一原発事故を踏まえまして、平成23年度以降の新規の募集は停止してございます。
一番下にございますが、平成17年度からの公募の平均倍率といたしましては6倍程度ございます。また、多数の応募があるということによって競争性が生まれているという状況でございます。
個別研究課題につきましては、先ほど申し上げましたようなプログラムディレクター、プログラムオフィサーによる事業の計画、課題採択、課題管理、また中間評価、事後評価までの一貫したマネジメント体制をとってございますし、中間的なフォローをプログラムオフィサーの方に行っていただき、外部有識者で構成される審査会において中間評価、事後評価等も実施してございます。
以上のような取組から、基盤的研究から工学的検証に至る領域における革新的な技術開発に貢献しているという御評価を頂いております。
また、各観点の再評価ということでございますが、まずは必要性ということでございますが、こちら、安全性の高度化に貢献する技術開発を行っているということで、国が主体的に取り組むべき事業であるという評価を頂いておりまして、また、直近5年間における公募の平均倍率は8倍程度であり、ニーズが高いということも示しているという評価を頂いております。以上のことから、本事業の必要性は高いという評価を頂いております。
また、有効性に関しましては、こちらは評価基準ということで、A評価以上の課題件数割合ということでございますが、こちらも成果実績は成果目標に十分見合ったものとなっているということでございますので、本事業の有効性は高いと評価を頂いております。
また、効率性に関しましても、先ほど申し上げましたPD・POによる進捗管理や、中間評価・事後評価等を行っておるということで、効率性を確保しているということで、事業の効率性も確保できていると評価を頂いております。
最後に10ページでございますが、研究開発の方向性ということでございまして、こちらは継続ということで、人材育成や、国民の生活や経済を支えるエネルギーの安全で安定的な確保につながるものであるといったような評価を頂いておりまして、評価としては継続して実施すべきものであるというような評価を頂いております。
以上でございます。

【大垣分科会長】 ありがとうございました。それでは、ただいまの2つの報告に関しまして、御意見、御質問をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

【小林委員】 後者の方の今説明いただいたやつなんですが、これ、大変大事な研究だというのはよく分かったんですけれども、有効性といった評価の項目を立てておられていて、ちょっと気になったのは、マル4の減容ですね。これは、減容の研究の有効性というのは、論文が出ているということで評価していいんですかという問題なんですね。やっぱり減容の技術というのは本当にできれば、これは廃棄物処分にとっては大変大きいわけですが、そんなに簡単じゃないということは皆さん御存じのとおりですね。そこに関して、学術論文が出ていることによって有効性と評価するというのが適切な評価なのかというところの議論はなされたのかどうかというのを伺いたいです。

【森島補佐】 今の点、お答えさせていただきます。まず有効性の評価の評価基準ということでございまして、こちらはいわゆる中間評価・事後評価の中でA評価以上のものがどの程度あるかということで測るということになってございます。
また、今回の原子力システム研究開発事業でございますが、こちら、まさしく大学等で実施するような基盤的な研究開発ということでございますので、そこの種という部分がまずは大事かと思っています。その中で、研究成果の国内外の学術誌への公表や、学会等への公表と。大学等でやっておるものでございますので、そこがまずありますし、それをいわゆるその先の実用化につなげていくというための基盤的な研究ということでございますので、まずは測るといところでは、研究成果の国内外の学術誌や、学会等での公表というところで測っていただいているという状況でございます。

【大垣分科会長】 よろしいですか。

【渡辺大臣官房審議官】 基盤的な段階という説明でしたが、委員御指摘のとおり、基盤的な研究、あるいは学術的な研究であっても、目的がこれははっきりしているわけでございますよね。何かの学理を追求するということではないので、そのあたりをどういうふうに追求していくのかというのは、やはりプログラムを進める上で視点として入れていただくと。そのことの是非を、分かっていらっしゃるとは思いますが、一度プログラムを実施する側で御検討いただくべきと思いますが、よろしいですか。

【森島補佐】 はい。プログラムディレクターとプログラムオフィサーの方とも御相談をしながら進めていきたいと思っております。

【大垣分科会長】 この文章はこのままでいいんですかね。よろしいですか、御意見。

【小林委員】 今渡辺さんが適切にまとめていただいたので。国民の期待は非常に大きいものであって、基礎研究であるということはよく理解しますが、やはり下手をするとモラルハザードになりかねないものですから、このあたりは目的というものと研究とのつながりは常に意識していただくようにということは是非お願いしたいと思います。

【大垣分科会長】 じゃあ、よろしく伝えてください。ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。

【土井委員】 その1つ前のところで、うまく理解できてないので教えていただきたいんですが、今後の研究開発の方向性が方向転換するということで、これは文科省の配下ではなく、JAEAに移るということを意味しているという理解でよろしいですか。

【三野補佐】 御質問ありがとうございます。11ページ目にございます。説明が不足しておりまして申し訳ございません。経緯といたしましては、日本原子力研究開発機構に平成27年の4月に1Fの廃止措置に向けた研究開発と人材育成を一体的に行うためのセンターを開設いたしまして、平成29年の4月に福島県の富岡町にその中核となる国際共同研究棟が開所したところでございます。
また、これまで1Fの廃止に向けてどういったところに課題があるのかというところが分かっていなかったというところがございますけれども、それがNDFによってあらかた示されたということもございます。
そういった経緯を踏まえまして、今後JAEAの方に予算を集中させまして、これまで国が委託事業で直接行っていたものをJAEAの方に補助金という形で交付をして、JAEAから必要な研究開発を公募していっていただく。それによりまして、JAEAの方に必要な知見を集中させて1Fの研究開発を進めていこうと、そういうふうに考えてございます。
以上でございます。

【土井委員】 分かりました。ありがとうございます。

【大垣分科会長】 私からよろしゅうございますか。平成30年度にもう既に移行しているんじゃないですか。そうじゃないんですか。

【三野補佐】 はい。おっしゃるとおり、平成30年度から移行させていただいております。今回の中間評価の期間が平成25年から29年ということでございましたので、こういうふうな評価にさせていただいてございます。

【大垣分科会長】 分かりました。よろしいでしょうか、今の。ほかにはいかがでしょうか。
それでは、どうもありがとうございました。
それでは、次に航空科学技術委員会から、今度は事後評価でありますが、2件続けてお願いいたします。

【李家委員】 航空科学技術委員会から本日2件御説明させていただきます。最初に資料2-4-1を御覧ください。これの施策マップの一番上に緑色の枠で囲まれた航空安全技術の研究開発の事後評価結果について御説明いたします。
次に資料2-4-2の3ページ目、航空安全技術の研究開発の概要を御覧ください。この課題は大きく3つの研究開発で構成されています。1つ目が晴天時の乱気流を検知し、乗員への情報提供を行う乱気流事故防止機体技術、2つ目が乱気流中の機体の揺れを抑える機体動揺低減技術と雪氷等の外的要因から機体を防御する機体安全性マネジメント技術、それと3つ目が、災害時に救援航空機を効率的かつ安全に活用する災害対応航空技術です。
課題実施期間は平成25年度から29年度の5年間となっております。
では、4ページ目を御覧ください。事後評価案については、まず課題の達成状況を必要性、有効性、効率性の各観点から評価しております。
次の5ページ目の必要性については、乱気流事故防止機体技術における世界最高性能の乱気流検知技術や災害対応航空技術における災害時の救援航空機の効率的かつ安全な運航等の社会的要請に応えるための革新的技術を獲得していることから、本研究開発の必要性は高いと判断しております。
6ページ目の有効性については、従来の気象レーダーでは検知できなかった晴天乱気流を検知可能な機器を世界で初めて開発・実証するとともに、現在、実用化に向けた安全認証に向けた取組につなげたことや、災害時の救援航空機の統合運用システムが実災害で活用されており、科学技術の高度化に貢献したものであることから有効性が高いと判断しております。
この同じ6ページの一番下からの効率性についてですが、乱気流事故防止機体技術における関係機関との産学連携、航空安全における先進技術におけるエアライン、メーカー、研究機関等との連携体制、災害対応航空技術における関係省庁や地方自治体との協力体制を構築したことで、限られたリソースにより最大限の成果を出すように取り組まれたことから効率性が高いと判断しております。
以上を踏まえて、8ページ目に総合評価を取りまとめております。本研究開発は、航空機の運航の安全性向上による社会生活のリスク低減のための技術課題の解決を目的として、産学官の連携の下で効率的・計画的に取り組むことで、技術的に優れた成果を得るとともに、災害対応航空技術の製品化や実災害への活用など優れた成果が得られており、適切に進められて、課題の解決に大きく貢献したと評価しております。
最後の12ページ目に今後の展望を取りまとめております。今後は、個々の技術ごとに既に構築されている産学官の連携体制を維持、発展させつつ、メーカーによる安全認証の取得を含む実用化に向けた取組の支援やユーザー側のニーズに応じた更なる技術成熟度の向上を図ることが期待されること。それから、得られた成果を知的財産の供与等により他分野に応用することや、基盤技術として蓄積することを十分に検討すべきとしております。
航空安全技術の研究開発に関わる事後評価案は以上です。
続きまして、先ほどの資料2-4-1の施策マップの今度は上から2つ目の緑色の枠で囲まれた航空環境技術の研究開発、これの事後評価案について御説明いたします。次は資料2-4-4を御覧ください。それの3ページ目、航空環境技術の研究開発の概要です。この課題は、高効率軽量ファン・タービン技術実証プロジェクト、機体騒音低減技術実証プロジェクト、航空環境に関する先進技術の研究開発、以上3つの研究開発で構成されています。
このうち2番目の機体騒音低減技術実証プロジェクトは、2020年度までの事業であるため、2021年度に事後評価を実施する予定としていますので、今回は残りの2つについて評価を行っております。
今回の評価対象の2つの研究開発のうち、1つ目の高効率軽量ファン・タービン技術実証プロジェクトは、エンジンのファン及び低圧タービンの差別化技術について、国内メーカーが次の国際共同開発において設計分担を担えるレベルまで技術成熟度を高めるも、それから、2つ目の航空環境に関する先進技術の研究開発は、次世代旅客機における燃料消費の低減と排出物の低減等を実現して、機体とエンジンに関わる優位技術を獲得するものです。
これらにより、研究開発の開始から約10年後までに、燃費の向上で30%以上、離着陸騒音や有害排出物の低減で世界トップレベルの要素技術を確立して、我が国産業の優位性・競争力を確保すると、それに貢献することとしています。
課題実施期間は先ほどと同じく平成25年から29年度の5年間となっております。
この資料の4ページ目を御覧ください。まず課題の達成状況を必要性、有効性、効率性の各観点から評価しております。
最初の必要性については、5ページ目からありますが、CO2排出の国際基準が新たに策定されるなど、環境負荷低減に資する技術の重要性が増す中、高効率軽量ファン・タービン技術実証プロジェクトにおいて、最新開発エンジン比で1.5%以上の燃料消費量の低減を実現する技術が開発されたことや、航空環境に関する先進技術の研究開発において、ジェットエンジンの効率改善技術、炭素繊維強化プラスチックの薄層化による強度向上、軽量化等によって、環境負荷低減に資する革新的技術が獲得されたことから、本研究開発の必要性は高いと判断しております。
次の6ページ目の有効性については、高効率軽量ファン・タービン技術実証プロジェクトにおける国内メーカーの実用化の検討につながる成果等が得られたことや、今後の実用化が期待されていることから、科学技術の高度化に貢献したと言え、有効性が高いと判断しております。
6ページ目の下の方の効率性については、2つの課題とも、研究開発内容に応じたメーカー、大学等の連携体制を構築し、適切な研究管理体制の下で進捗管理を行うことで、限られたリソースによって最大限の成果を出すように取り組んだことから効率性が高いと判断しております。
以上を踏まえて、8ページ目の総合評価を取りまとめております。これまで述べたように、低燃費化技術や排出物低減技術が開発されたことなどの成果が得られており、我が国航空産業の競争力強化につながる研究開発成果が得られたと評価できるとしております。
最後に12ページの一番下から今後の展望をまとめております。特に今後は、ますます国内企業等との連携を行って、設計や開発技術の高度化を目指した研究や実用化に向かう研究を更に推進すべきとしております。
それと全体に関連するものとして、平成31年にJAXAが導入予定のF7ジェットエンジンを共用のテストベッドとすることで本研究開発の成果を最大化し、我が国航空産業の開発分担獲得につなげていくことが必要であるとしております。
航空環境技術の研究開発に関する事後評価案は以上です。

【大垣分科会長】 ありがとうございました。それでは、ただいまの2件の説明に関しまして、御意見、御質問をお願いいたします。いかがでしょうか。

【高梨委員】 御説明ありがとうございました。質問ですが、2-4-2の6ページ目、「災害対応航空技術(D-NET)の研究開発では」の段落にアンケート調査の例が出てきています。アンケート調査で非常にいい結果が出たというのはすごく喜ばしいことだとは思いますが、数字が出てきてしまうと、一体どういう調査を行ったんだという疑問が出てきてしまうので、むしろ数字はここでは出さない。出すのであれば、明確にこれこれのアンケート調査を行ったということが言及されていないといけないかと思いますが、いかがでしょうか。

【李家委員】 ありがとうございます。御指摘のとおりだと思いますし、細かいことは確認させていただきますが、ここは今御指摘いただいたように修正させていただくということでよろしいでしょうか。

【大垣分科会長】 それでは、後ほど修正を確認して、私と最後取りまとめるということでよろしいでしょうか。

【李家委員】 はい。

【高梨委員】 はい。

【大垣分科会長】 ほかにはよろしいですか。

【土井委員】 2つ目の2-4-4のところの抵抗低減技術なんですけれども、ページ数でいうと12ページですかね、のところにいろいろなアウトカム指標を出していただいているのですが、2つ目の研究開発成果利用数というところがゼロなんですね。もう一つの方は幾つか提供があるんですが、せっかく産学連携で受託共同研究もされているのに、ここがゼロというのは何か理由があるんでしょうか。

【李家委員】 この点、実は前々回のほかの課題の評価のときも御指摘いただいた点で、その際は、私が誤解しておりました。ここは特許やその他の供与数ということで、JAXAの保有している知的財産、もう既に持っていているものですが、それを他の機関に供与した数を数えるというようになっております。今回の研究開発課題に関しては、JAXAの方では特許の出願等が確かに行われていまして、環境技術の方ですと特許出願が15件ぐらい出ております。ただし出願の段階ですので、実際に他の機関に供与されるには至っていないことになります。最初の安全技術の方は、報告いたしましたように、実社会で実際の実災害等にもかなり使われているので、そういう意味で供与数というのが資料の中でカウントされています。このような性質のものでないと研究開発課題を実施して評価を受けるときに、他の機関に供与した数として、すぐにここにカウントされるというのはなかなか難しいのかなというのが、実際に評価を行ってみた率直な感想でございます。

【大垣分科会長】 要するにデータとしてはゼロのままということで。

【李家委員】 はい。

【大垣分科会長】 よろしいですか。

【土井委員】 はい。

【大垣分科会長】 どうぞ。

【山口委員】 少し関心があって、教えていただきたいんですが、2件目の2-4-4の資料の最後の今後の展望のところで、13ページですか、ここに書いてあるところは、国際民間航空機関で環境規制の厳格化が進んでいると。したがって、このような状況を踏まえて技術を開発すると、我が国のいろんな分野への、まだこれまで取り組んでいない分野への進展が期待できるという、そういう文脈なんですけれども、質問は、国際民間航空機関の中の環境規制の方にも日本としてどういうふうに関与しているのかというのを教えていただけますか。

【李家委員】 今御指摘いただいた点は、例えば2050年にはCO2の排出量が世界全体で2010年度比で半分にするといった目標が出ておりますこの50%低減というものを決めたときに日本がどのくらい関与していたかまでは分かりません。現在もこれがほぼその目標で進んでいるので、航空機メーカー、研究開発機関、それからエアラインも併せてこのCO2の排出量を削減できるように守っていくということで、世界で協力してやっていくといったことだと思います。

【山口委員】 ポイントとしては、こういう環境規制の数字というのが技術の開発目標になっていると、そういうことであるわけですか。

【李家委員】 はい、御指摘のとおりです。

【山口委員】 分かりました。

【大垣分科会長】 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、次に、ライフサイエンス委員会から事後評価について御報告をお願いいたします。御説明をお願いします。

【永井委員】 ライフサイエンス委員会、資料2-5-2、ライフサイエンスに関する研究開発課題の事後評価結果を御覧になってください。ライフサイエンス委員会で革新的バイオ医薬品創出基盤技術開発事業の事後評価を行いました。
PDFで3枚目に背景が書かれています。4枚目に評価結果がありますので、御覧ください。概要を御説明いたしますが、いわゆるバイオ医薬品の開発に関することで、まず市場規模が非常に大きくなっていると。本庶先生の御研究に代表されると思いますが、本事業は、アカデミアにおける基盤技術開発を推進し、我が国発の革新的バイオ医薬品等の創出に資することを目的として平成26年度から実施しております。
特に革新的基盤技術の確立、それから企業導出を必達目標としております。例えば核酸医薬の効果・成果・安全性向上、細胞内標的を創薬ターゲットとする技術、特定の組織や細胞にバイオ医薬品を送達する技術、抗体医薬品を低分子化あるいは高機能化する技術、糖鎖構造の分析技術等の先端創薬基盤技術に関する26件の技術開発課題を推進いたしました。
評価の視点は、論文、知財、企業導出、ベンチャー創出・育成というところに置いております。
企業導出する上での必要な体制としまして、PS・PO推進委員会を置くとともに、知財戦略課題を採択いたしまして、各技術開発課題をハンズオンで管理、支援する体制を作っております。
特筆すべき技術開発成果事例ですが、これは5枚目、6枚目に記載しております。
評価でありますが、PDFで6ページ目の中段にございます。必要性、有効性、効率性の3つの観点から御説明いたしますが、まず必要性については、医療、産業の両面で重要であり、我が国発の革新的なバイオ医薬品を創出するための基盤技術開発であると。また、知的財産、ノウハウの企業への導出を実施した本事業の必要性は高かったと評価しております。
有効性でありますが、先ほど申しましたように、導出件数、企業出願件数、学術論文の発表件数、ベンチャー企業創設数を書いておりますが、目標をはるかに上回る、例えば35件の企業導出。当初目標は3件でありましたが、35件達成しています。61件の特許出願を達成していますし、インパクトファクター10点以上の論文は35件ございました。総合的に本事業の有効性は非常に高かったと評価しております。中には、医師主導治験に進みつつある案件もありまして、想定外の成果かと思います。
効率性につきましては、PS・POを中心としたAMEDスタッフ、知的財産戦略課題推進委員会が有機的に連携して、課題管理、支援を丁寧に行っております。本事業の成果を次の段階に進めるために、AMEDの他事業への申請を推奨した結果、3件の課題が採択されており、本事業の効率性も非常に高かったと言えるかと思います。
総合評価でありますが、ただいま申し上げました視点から、革新的医薬品開発に資する研究開発を着実に実施することで、この計画推進に大きく貢献したと評価しております。
9ページ目に(3)今後の展望がございますが、本事業の取組と成果を踏まえまして、これを次期事業、先端的バイオ創薬等基盤技術開発事業につなげ、そこで遺伝子治療、核酸医薬、ゲノム創薬、バイオ医薬品の高機能化等、新しいモダリティ、要素技術が多様化しておりますので、我が国がその変化に適切に対応しつつ、国際的な競争力を確保するとともに、まさにアカデミア創薬に関する技術的な基盤を更に強化する予定としております。
以上でございます。

【大垣分科会長】 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明に関しまして御質問、御意見ありましたら。どうぞ。

【辻委員】 7ページのところで、企業導出が当初目標3件に対して35件という非常に高い成果を出されたというところなんですけれども、2点質問がございまして、1つは、なぜそれだけ本当に桁が違うだけの件数の導出ができたのかという、そこの大きな要因は何であったのかというのが1点と、もう1点は、もしかして目標設定の仕方について何か問題はなかったのだろうかというところ、2点お聞かせいただければと思います。

【小野寺専門官】 事務局からよろしいでしょうか。ライフ課でございます。後ろの方から失礼いたします。ただいまの御質問につきまして、なぜそれだけ大きな成果が出たかということでございますけれども、こちら、PS・POの先生方、非常に熱心にやっていただきまして、全てのところにサイトビジットに行ったりですとか、3か月に1回マイルストーン管理したりして、かなり各課題の先生方も大変だったというのは実際のところ聞くんですけれども、いい結果が出たということで、熱心にやってくださったというのが一番大きなところではないかと思います。
目標設定につきましては、文科省でバイオ医薬品の関係で研究開発そのものをやるというのが初めての事業でございまして、当初、5年前は目標をどの程度に設定するのが適切なのかよく見えなかったというところが正直なところで、こういった目標設定にしたというところでございます。

【永井委員】 私からもよろしいでしょうか。私も脇で見ていましたけれども、要するに、この領域が革命的だということなのです。例のCRISPR-Cas9とか、ゲノム編集、遺伝子治療、あるいは、JDreamの創薬など、革新的なプロジェクトは論文も出るし、ベンチャーも知財も生まれます。ただ、研究してみないと分からないですから、多分初めは3件というモデストな数字を挙げたんだと思いますけれども、35件ということは、期待どおりの領域展開をしていたということではないかと思います。

【辻委員】 すばらしい結果であると思います。どうもありがとうございます。

【大垣分科会長】 どうぞ。

【甲斐委員】 大変すばらしい成果が出てよかったと本当に驚いています。実を言うと、この分野で日本がすごく遅れていると常に言われているのですが、実はシーズとしては、日本は全然遅れていないと私は感じており、非常に優れた良いシーズがたくさんあります。それで、実際に死の谷を今渡っている身として感じるのですが、最初に特許出願とか、ペーパーを書くことはできます。AMEDのお金があれば特許出願、PCT出願までは行く。これはすごくよく分かるのですが、その後の企業導出は本当に楽ではなくて、例えば小さな抗体薬とか、初期の企業導出、小さなコラボレーションが始まったりするまでは行くのですけれども、実際に医薬品になるために企業が乗ってくれるときというのは、フェーズ2までいい成果が出たときというのが日本の企業の実態だと思います。でもそのようなものは、ほとんどありません。ものすごくたくさんあるシーズの中で1件、2件ぐらいしかとってくれないのです。多分日本の企業に体力がないからだと思いますが。
だとすると、こういう小さなコラボレーションが本当の目的なのかと思うと、日本はもっとすごく優れているので、もう少し将来的な展望で考えていただけないかなと思っております。これだけの成果が出たので、多分明るい未来があるのだろうと思いますけど、今後の展望のところを読みますと、一番後の方に、次期事業ではビジネスに行けるように体制を整えてあげることが不可欠であるというディスカッションが書かれています。一番後、8ページの最後の方に、今後の展望のところに問題点として、更に有意義な事業展開をするためには、知的財産の専門家のみならず、プロジェクトマネージャーとか、いろいろなもので、実際にビジネスに行けるように持っていく体制を整えるべきだと書いてあります。それも大事なんですけど、恐らくそれだけではうまくいかなくて、フェーズ1、フェーズ2以降は、巨額なお金がかかってくるんですね。AMEDにはそれぐらいのお金がないのです。AMEDのお金は確かにすばらしいのですけれども、アメリカと比べると、そこら辺の死の谷にかけているお金は、企業と半々なのです。日本は全額政府。ですから、やっぱりどこまで行っても限りがあるものなので、それでフェーズ2まで行けば企業は買うよというのはちょっと甘えているかなと思います。企業は、やっぱりそこの危険は冒させるというか、半分出して、その人たちに最後のいいところ、おいしいところはプライオリティーがあるというようなシステムを作っていくことは大事じゃないかと思います。
そういう意味で、ここまでのプロジェクトはすばらしいと思うんですけれども、今後本当にそういうことを考えるのであれば、企業に参加させるような体制を政府の方から持ちかけて、もう一段アップしていかないと、これをビジネスにとか、戦略としてというのはいかないのかなと思います。
現実に医薬品ですごい数のすばらしい成果があるのだけど、そのうちの日本発は2個だけだと書いてありました。しかし、あれは違うと思います。日本のアイデアとかシーズを欧米の企業が買って、それを製品にして、それを日本が買っているというのがものすごくあるのです。実は日本の成果だったという。日本はそのぐらいすばらしいシーズがあるんです。
だから、今1兆円ぐらい医薬品に出しているお金の中の75%が輸入なんです。ですから、それで保険料が高いとか何か言われているんですが、実は日本の発明がいっぱい入っているんですね。外国から買わなきゃいけない。せっかくここまでいい成果がAMEDと先生方の御努力で来たので、政府としてもう一段、企業から半分出す工夫をしていただけると、更に大きなステップに行くのかなと。将来的にお願いしたいと思います。

【永井委員】 勢いがある領域ですから、次につなげていくということと、それをこうした研究の進め方のモデルに更に活用していくということが大事と思います。

【大垣分科会長】 どうぞ。

【菱山サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官】 私は、ついこの間までAMEDにおりました。5年ぐらい前はまだ低分子化合物以外、なかなか企業は手を出さなかったのが、この事業によってバイオロジクスに対して、企業も相当目が向いてきたということと、それから、企業の方たちは、誰かが扱ったよりも、誰も手を付けていないもっと前の段階のシーズを見たいというのもあるので、そういったマッチングの機会も今設けるようにしています。
それから、企業と国で研究費を半々で出すという話ですが、そういった事業、これは文科省の事業ではなく厚労省の事業ですけれども、企業半分、AMEDが半分といった事業も数年前から始めています。
そういった中で、今甲斐先生がおっしゃったように、日本の企業の研究開発の体力が少し落ちているというのもあるので、日本のアカデミアの関心も、外資に向いているということもあります。日本の企業もオープンイノベーションの中で、日本のアカデミアの研究にかなり関心を強めつつあります。そういった機会を捉えて産業界とアカデミアが協力する仕組みを今どんどん作っています。ただ、お金がなかなか限られていますので、大盤振る舞いはできませんけれども。

【甲斐委員】 よろしくお願いします。

【栗原分科会長代理】 この中の研究者のお名前を拝見すると、御自分でベンチャーをなさっている先生も入っておられるので、そういうところが成果の数というところには大分反映しているのかなと思います。

【大垣分科会長】 ありがとうございます。大変盛り上がったんですけれども、時間もありますので。それでは、よろしいでしょうか。ほかに御意見、よろしいですか。
ありがとうございました。それでは、最後になりますけれども、脳科学委員会から中間評価についてお願いいたします。

【吉田専門官】 本日、主査の樋口委員が御欠席のため、事務局、ライフサイエンス課から御説明いたします。
資料2-6-2に基づいて説明いたします。脳科学に関する研究開発課題の中間評価結果です。今回は、脳科学研究戦略推進プログラムのうち、5か年計画の3年目に当たります臨床と基礎研究の連携強化による精神・神経疾患の克服の中間評価となります。なお、本事業については、略称で融合脳と呼んでおりますので、以後、本事業名を用いる場合には略称で失礼いたします。
資料の10ページを御覧ください。本事業は、以前まで実施してきた脳プロの認知症、発達障害・統合失調症及びうつ病・双極性障害を対象に得られた成果を生かしつつ、より臨床試験に結び付く成果を得るためにネットワーク型の研究体制を構築して、基礎研究から臨床研究まで融合して研究を実施する事業でございます。
また、脳科学の研究推進に必要な研究の試料、成果などのデータ・リソースの効率的利用と支援の推進のために、支援体制の整備についても実施しております。
本事業は、日本医療研究開発機構、AMEDの一貫した支援、推進体制の下、2016年から2020年度までの5か年計画で実施する予定でございます。
課題の進捗状況については、時間の関係上、説明は省略いたします。
各観点の評価について御説明いたします。11ページを御覧ください。必要性の観点につきましてですけれども、本事業の認知症チーム、発達障害・統合失調症チーム及びうつ病・双極性障害チームの各グループにおいて、基礎研究と臨床研究が連携した体制を構築して、疾患克服の出口を見据えた研究が推進されております。
例として、うつ病・双極性障害チームにおいては、患者血液サンプルの収集・解析による患者層別化技術の開発、ニューロフィードバックによる治療効果の検証、うつ病モデルマウスの解析による診断・治療法の研究開発等が、研究開発代表者を中心として推進されております。
以上より、事前評価で示しました必要性の事項は満たされていると評価いたしました。
続いて12ページを御覧ください。有効性の観点についてでございます。本事業の一部研究グループにおいて、AMED内での中間評価等により、事業期間中の目標達成が困難と考えられる課題も認められておりますが、精神・神経疾患の診断・治療に貢献し得る成果を上げております。
主な成果としては、認知症においてパーキンソン病を含むレビー小体型認知症の発症を促進する脂肪酸たんぱく質に着目した診断マーカー及び根本治療薬候補が開発されており、臨床試験に向けた代謝・安全性研究等を含めて計画どおり進捗してございます。
以上より、事前評価で示しました有効性の評価基準を満たしていると評価いたしました。
続いて、12ページ、13ページを御覧ください。効率性の観点についてでございます。本事業においては、各チームの各研究開発グループ内では、目標達成に向けて役割分担を明確にし、基礎研究と臨床研究の融合を図り、認知症性疾患の早期発見に向けた脳脊髄液中の疾患バイオマーカーの測定法の探索、自閉スペクトラム症の治療に向けたオキシトシンの多施設臨床試験の実施、うつ病治療に向けたR-ケタミンの導出、神経科学研究推進に向けた日本ブレインバンクネットを介した検体の提供などの研究開発等が進められております。
また、PD・PS・POらによる定期的な進捗の把握、適宜、外部有識者を加えた中間評価を実施し、先ほど有効性の方で説明しましたように、事業期間内の目標達成が困難と考えられる課題に対しては、適宜に中止を含めた研究計画の見直し等の対応が図られているとしております。
以上より、事前評価で示しました効率性の評価基準は満たしていると評価いたしました。
続いて13ページを御覧ください。今後の研究開発の方向性についてですけれども、本課題については継続としております。その理由ですが、本事業の効率性の項で述べたとおり、基礎研究と臨床研究の融合を図り、各研究開発グループの目標の達成に向け、各グループ内での研究分担を明確にし、効率的な研究開発が進められることにより、成果を上げつつあると考えております。
また、健康・医療戦略においても、認知症等の発症に関わる脳神経回路・機能の解明に向けた研究開発及び基盤整備を強力に進めることが明記されているところでございます。
同ページに記載しましたその他留意事項といたしまして、脳科学研究戦略推進プログラムは、社会に貢献する脳科学の実現を目指し、実施されていることから、産学機関においては引き続き成果を創出し、対象とする疾患の克服を目指すことで社会への還元を行うことが重要である。また、学術的な観点からも、国際的に評価される成果が得られることを期待するとしております。
以上でございます。

【大垣分科会長】 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明に関しまして、御質問、あるいは御意見ありましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。

【土井委員】 どうも御説明ありがとうございます。10ページ目のところの評価結果のちょっと上のところにアウトプット指標とアウトカム指標を書いていただいているんですが、実際にこの知見の蓄積ということに関しては、どのような評価項目を用いて評価されて、目標に対してどのような成果が上がっているのでしょうか。ほかのものはみんな数値的な記述がどこかにあるんですけれども、この報告書はそれがないんですけれども。

【吉田専門官】 御質問ありがとうございます。こちら、研究開発計画の方でも、アウトプットの指標としての数字的な目標というのは掲げていないというのが現状でございます。今回は、知見が集積されたかどうかという点については、今回の評価の中で、各研究課題を評価するに当たって、それぞれの課題において知見が集積しているということと、あとはAMEDで実施している研究については、基本的にはいずれ公開というような形になってきますので、そういったところで公開も進んでいるというところも含めて評価させていただいているところです。

【土井委員】 具体的にどのようなものが知見として公開されているのでしょうか。

【吉田専門官】 基本的には、どういった研究が採択されているかということと、具体的に手持ちの資料なくて申し訳ないんですけれども、最終的には、単年度ごとに実施します成果報告書が必ず実施した研究課題実施者から提出されますので、それらについても基本的にはAMEDホームページ上で公開しているという形になっています。

【土井委員】 今のお話だと、でも、それはこの研究課題に限らず、ほかの研究課題でも報告書は公開されますよね。多分国民としては、このようなアウトプット指標があれば、やはり発達障害とか、ディメンシアとか、そういうところで関心持たれている方は、是非そういう知見を見たいと思われると思うので、今の御説明だと、アウトプット指標に合致したものが公開されるという期待ができないのですが、いかがでしょうか。

【吉田専門官】 まず必要性の項目につきましては、疾患克服の出口を見据えたネットワーク型の研究体制の構築がなされたかというような形で説明させていただいております。具体的な件数などは、まだ中間評価の段階でございますので、どの程度の成果が出てきたというところまではなかなか言いづらいところもございますが、今後、そのときの事後評価などの機会で、そのような具体的な数字などを示せるように努力してまいりたいと思っています。

【土井委員】 是非よろしくお願いします。

【大垣分科会長】 よろしいですか。ほかにはよろしいですか。
それでは、どうもありがとうございました。以上で、中間評価、それから事後評価が終わりました。
修正すべきものが2件ございまして、1つは、2-1-5の環境エネルギーのところのデータを加えるという話がありましたね。資料2-1-5にデータを加える。
それからもう1点は、航空科学の2-4-2のアンケートのところの表現の仕方です。これは相談させていただくということで、その2点だけだったと思いますが、ほかにお気づきの点ありますか。よろしいですか。
それでは、その2点に関しましては、御意見を基に事務局において修正しまして、委員会の主査と私で確認した上、本分科会として決定したいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【大垣分科会長】 それでは、ありがとうございました。分科会として中間評価・事後評価案を決定したいと思います。どうもありがとうございました。
あともう一つ議題がありますけれども、事務局から、分科会長、何か一言をと促されたものですから、仕方なくしゃべりますと、一言申し上げますと、研究開発のいろんな面で、ライフサイエンス、情報通信技術、あらゆる分野が急激に革新して変化しているというのは事実ですが、それはもう皆様御存じのとおりですが、そのほか、社会的には人口減少とか、地球環境規模の気候変動だとか、大きな構造的な社会的な変化があります。加えて、先ほども出ていましたけれども、産業経済分野の構造的な変化もある。それから、これは構造的な変化じゃなく、不連続な変化ですが、各所の災害が多発しているというような社会状況の中で評価をしているということを改めて感じました。
そういう意味で、今後第10期に、先ほど最初に説明のありましたプログラム評価を試行していこうとしているわけですけれども、それ自体は大変結構なことだと思いますが、今やりましたように、各原課が事務局となって、分野別委員会がレポートを出すという、それが基礎ですので、そこの質を高める、あるいはそこを確実に作っていくということが重要ではないかなと、改めて、横串ももちろん重要で、俯瞰も重要なんですが、そこの部分が、大専門家が集まって分野別委員会を構成しておりますので、そこをできるだけ原課と一緒により良くすることが重要なのではないかと思っております。
それから、もう一つ提案のありました資料1-1の、2-1かな、気づきという言葉がたくさん出てくるんですが、何となく分かった気がするけれども、私自身はちょっとよく理解し切れてないなというのがありまして、その意味は、気づきを書いて、それをどう研究現場にフィードバックするのかという課題です。気づきですので、散文的な表現になると思いますが、それをどうフィードバックするのかなというのが、それがまた評価をいろいろ、評価の評価が変わるのではないかという気がいたしまして、最後に気が付いた点を申し上げて、第10期に期待したいと思いますけれども。
要は、評価は大変難しいという。世の中全部そうです。ということでございまして、一言申し上げました。
さて、もう一つだけあります。議題3、「部会等からの報告」であります。今回は科学技術社会連携委員会より1件、報告事項がございます。それでは、科学技術社会連携委員会から説明をお願いいたします。

【小林委員】 科学技術社会連携委員会の主査をしている小林でございます。資料の方は3点ございます。きょうは、時間の関係もございますので、3-1だけを見ていただければと思います。3-1の資料、1枚紙でございますが、これを見ていただきますと、この2年間で2つの取りまとめを作ったということがわかります。そこで、それを御報告したいと思います。
1つは、昨年の2月に「新たな科学技術の社会実装に係る研究活動における人文社会科学と自然科学の連携の推進について」でございます。もう一つは、「今後の科学コミュニケーションのあり方について」。これは相互に連動した形の内容になっております。
左側の方ですが、通常、人文社会科学と自然科学の融合が大事であるといった議論は多ございますが、我々はあえて融合という言葉は使わずに連携という言葉にしております。やはりそれぞれの固有の役割があるということは尊重し、安易に融合はできないだろうと。
そこでどのような問題群があるのかということなんですが、今、委員長もおっしゃいましたように、研究のタイプが非常に多様になってきていると。ラボで閉じない研究とか、社会そのものが実験フィールドになるような研究とか、それから、社会実装が求められる研究、あるいは社会的課題から研究を立ち上げなくてはいけないと、そういうもののウエイトが非常に大きくなってきている段階になっているだろうと。
そこで、概要のところにも書いてございますように、いわゆるシーズプッシュ型といいますか、技術的なアイデア、成果から社会に適用しようとするという方向と、それから、社会から課題を頂いて研究をするというものは、やはり相補的な役割をする必要があるだろう。
それと、これも単純に二分されているのではなくて、技術的な成果から社会に持っていって実装すると、そこから新たな課題が生まれて、それがまた基礎研究に戻るというふうな、そういう非常に多くの循環がございますので、そういうところをきちっと見据えなくてはいけないだろうと。
その場面では、多様なステークホルダーが関与していくということが、特に社会的課題に触れた場合には必要になるということ。そして、それについては、人文社会科学の研究者は一日の長があるので、こういう方々をきちっと巻き込むことが自然科学系の研究者にとっても恩恵になるはずであるという、そういうことを述べたものでございます。
ですので、この新しいタイプの連携の研究の仕組みというものをこれからどうやって設計し推進していくかを是非考えていただきたい。これが左側の方の取りまとめの趣旨でございます。
右側は、その中で、第4期、5期と基本計画の中でもサイエンスコミュニケーションというものがうたわれてきたわけですが、科学技術の在り方が変わり、そして社会の求めている課題が変わると、科学コミュニケーションの在り方も変わるのだということを述べたものであります。
つまり、従来は、いわゆるアウトリーチという形で、研究者が社会に対して研究を説明するというところに力点がありました。そして、これは今も大事な点ではありますが、それだけではもはや済まなくなってきている。先ほどの脳研究のところでも、倫理グループなどというふうなものが入っておりましたけれども、違った分野の方々が研究に参画をしていくときに、往々にして見られるのが、言葉が通じないということなんですね。そういう意味で、科学コミュニケーションというのが、知識の翻訳作業というものを結構やらなくてはいけない。それから、社会的合意形成という言い方をしますが、人々が新しい科学技術を受入れるためには、どういう仕組みで議論しなくてはいけないのかというところも、かなり技といいますか、工夫が要るし、能力も要ります。それに加えて、やはり社会が何を求めていて、どういう研究が世の中に必要なのかということのアジェンダセッティングのレベルを研究者だけに任せてはおけなくなってきている。そうすると、そういう場面においても科学コミュニケーションの役割はこれから大事になるだろうと。
そういったことを総合的に展開するということと左側のものとを組み合わせるというのがこれからの科学技術の健全な発展には非常に重要ではないかということを提言したということでございます。詳細は資料3-2と3-3の方で報告書としてはまとまっておりますので、御参照いただければと思います。私の方からの説明は以上でございます。

【大垣分科会長】 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明に関しまして、御意見あるいは御質問ございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。

【田中委員】 多分この中で唯一文系の人間じゃないかと思うんですけれども、人文社会系と自然科学の連携というのは、先生御指摘のとおりだと思います。ただ、逆に言うと、2つ大きな課題が、自分自身が関わっていて感じます。第1に、余り人文社会系にメリットがない。ある学会で、人文社会系は〇〇先生方の走狗ではないと申し上げたことがありますが、自然科学に必要な役割を果たしてほしいという発想をやめてほしいいうのが1つあります。
それからあともう一つ、もっとまじめな話をすると、人文社会系が社会課題を設定するということは多分できるんだと思いますが、それを技術仕様というか、技術開発課題にウェルディファインドなものとして定義することは非常に難しい。
そういう面では、かなり本腰を入れてこの領域の人材を育てないと、非常に難しいと思っています。ある意味、それぞれの先生方が人生を捧げてきた研究開発ある一定レベルまで、少なくともコミュニケーションできるレベルまで人文社会系の知識背景を持っている人がポテンシャルを上げていかないといけないんですね。これは相当大変なことだと思っています。
加えると3番目に、例えば災害の分野だと、ある意味これまでいろいろな災害情報、気象をはじめとして出されてきています。技術的に可能になるので、出てきますね。ドップラーレーダーで竜巻が分かるとかですね。ただ、実際にそれを使っていただくためには、かなり人間の研究に基づいてこういう情報を出してくれという仕様まで踏み込んでいかないといけないんだと思います。
そういう意味で、ここにまさに、知識翻訳というよりも、かなりコミュニケーション能力自体が要るし、技術開発課題に対するウェルディファインドな能力をどう育てていくのかということ。これは是非御検討いただければと。私からの遺言でございますので、よろしくお願いします。

【小林委員】 ありがとうございます。今おっしゃっていただいた論点は実は議論をしておりました。人文社会科学は理工系のツールとしてのみ機能するという問題ではなくて、科学技術をきちっと発展させていくためのコドライバーというふうなプライドを持たないといけないし、責任もあるのだということ。それから、人文社会科学が全てこういうことをやれという意味ではもちろんないと。ただ、今までこういうことに人文社会科学は余りコミットしてこなかったなと。人類にとって極めて大きな営みである科学技術に対する人文社会科学的な研究をもうちょっとちゃんとやった方がいいんじゃないかという提案も含めて、単なるツールではないということ。そういう意味では、融合という言葉を安易に使わなかったということもございます。
御指摘のようなポイント、もう少し深めて提案できるようにしていきたいと思います。非常に貴重な御意見ありがとうございました。

【大垣分科会長】 ありがとうございました。ほかには。

【白石委員】 私も実は文系ですけれども、1つ、ひょっとしてきょうの小林先生の話に直接関係しないのかもしれないんですけれども、先ほども例えば脳科学の報告聞いていまして、ものすごく安全保障に関係する分野なんですね。そういうところで、どこまでオープンにして、どこまでクローズドにするか。これは分野ごとに違うというのはよく分かっていますけれども、そういうことをどこかできちっと判断して、ある程度合意を作って、政策的に実施するということはどこかでやられているんでしょうか。

【松尾科学技術・学術政策局長】 全体の問題として、内閣府総合科学技術・イノベーション会議の方で音頭をとるということになろうかと思います。
今先生御指摘の技術流出の話については、法律上では外為法があり、法関連があるわけでありますけれども、それを超えて、例えば人の受け入れ・流出をどうするのかとか、特に、AI戦略、バイオ戦略、それから、量子戦略を作るということになっていますけれども、そこの中でのオープン・クローズ戦略をどうずるのか。それから、どこまでどの分野に人を受け入れていいのかということを含めて、検討課題かと思います。ただ、例えば国の研究機関と外国企業との共同研究の在り方については、今、ガイドラインを作成するということで、年内を目標に作成するということで、今、いろんな研究機関のヒアリングを内閣府中心に、我々も参加しながらやっているところであります。
ただ、どこまでどう守り、どこまでどうするかというのは、これは分野分野によって随分違ってきますし、相手の国によっても多分違ってくると思いますので、そこはよく精査しながら検討するということになるかと思います。

【大垣分科会長】 ありがとうございます。よろしいですか。

【白石委員】 はい。

【大垣分科会長】 それでは、時間もあれですので、よろしいでしょうか。
議題自体はこれで以上ですけれども、そのほか、皆様から何か御発言ございますか。
よろしいでしょうか。
それでは、最後に事務局から事務連絡等をお願いいたします。

【國分企画評価課課長補佐】 本日の議事録につきましては、後日事務局よりメールで送付させていただきますので、御確認いただきますようお願い申し上げます。最終的に分科会長に御了承いただきまして、文部科学省のウェブページに掲載させていただきますので、よろしくお願いいたします。
なお、本日の開催をもちまして第9期研究計画・評価分科会は期間中最後になります。事務局を代表しまして、科学技術・学術政策局長の松尾より御挨拶申し上げます。

【松尾科学技術・学術政策局長】 本日で第9期の計評分科会の最後になります。先ほど分科会長からは御挨拶いただきましたので、最後の御礼を事務局の方からさせていただきたいと思います。
第9期、2年にわたっての期でございますけれども、積極的、活発な意見を賜りまして、本当にありがとうございます。特に大垣分科会長におかれましては、いろんなところでお世話になっておりまして、かつ、この分科会も5期10年という言葉に尽くせぬ思いであり、改めて御礼申し上げたいと思います。
特に第9期につきましては、研究開発計画の改定、特にプログラム評価についての御示唆、御支援を頂きました。私ども、第10期にその方針をしっかりと体現させていただきたいと思っています。評価につきましては、研究者の方々、プログラムを実施しておられる方々をエンカレッジする評価でなくてはならず、しっかりと現場と意思疎通しながら実施させていただきたいと思っております。
特に最後、白石先生、小林先生、田中先生からもありましたが、人文社会科学の取扱いについても検討しなくてはいけない課題と思っていますいずれにしても、みんなが総力戦で科学技術イノベーションに取り組むということが一番大事だと思っています。次の期では、特に第6期科学技術基本計画の議論をせねばならないところでありますので、とにかくゲームチェンジが起こっている社会にどう立ち向かっていくのかという視点で検討しなくてはいけないと思っております。ここにおられる先生方には引き続き御支援いただければ有り難いと思っています。
最後になりますけれども、大垣分科会長を始め、皆様方には今期、活発な御議論を頂きまして、ありがとうございました。また、引き続きお願いする先生方もおられますし、いろんなところで御支援、御助力頂ければ有り難いと思っております。本当に本日はどうもありがとうございました。

【大垣分科会長】 一言。心優しい委員の方々と事務局に大変助けられました。ありがとうございました。御礼まで。
以上で、科学技術・学術審議会第67回研究計画・評価分科会を閉会といたします。どうもありがとうございました。
 

お問合せ先

科学技術・学術政策局企画評価課

(科学技術・学術政策局企画評価課)