研究計画・評価分科会(第92回)議事録

1.日時

令和6年3月6日(水曜日)14時00分~15時15分

2.場所

Web会議

3.議題

  1. 分野別研究開発プランの変更について
  2. 研究開発課題の評価について
  3. その他

4.出席者

委員

観山分科会長、五十嵐分科会長代理、相澤委員、菅野委員、栗原委員、田中委員、明和委員、村岡委員、村山委員、出光臨時委員、上田臨時委員、大森臨時委員、上村臨時委員、佐々木臨時委員、高梨臨時委員、土屋臨時委員、長谷山臨時委員、原澤臨時委員、宮園臨時委員

文部科学省

髙橋科学技術・学術戦略官、井上研究開発戦略課専門官、横井研究振興戦略官付専門官、小野ライフサイエンス課ゲノム研究企画調整官、ほか関係官

5.議事録

観山分科会長】  皆さん、こんにちは。ただいまから、第92回科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会を開催いたします。
 それでは、議事に入る前に、事務局から説明をお願いいたします。

【井上研究開発戦略課専門官】  事務局でございます。本日の研究計画・評価分科会は、科学技術・学術審議会令第八条第1項に定める定足数である過半数を満たすことを御報告いたします。
 続きまして、Webexによるウェブ会議の開催に当たりまして、委員の皆様にお願いがございます。一つ目、会議中は常にビデオをオンにしてください。二つ目、御発言の際は、参加者リストの御自身のお名前の横にある、手のマークの「挙手ボタン」を押していただきますよう、お願いいたします。御発言後は、再度「挙手ボタン」を押して、挙手を取り消してください。三つ目、御発言時以外はミュートにしていただき、御発言時のみ「ミュート解除」を御選択いただくよう、お願いいたします。四つ目、議事録作成のため、御発言の都度、お名前をおっしゃっていただくよう、お願いいたします。五つ目、御発言の際、資料を参照する際には、資料番号、ページ番号、またはページ内の該当箇所などを分かりやすくお示しいただくよう、お願いいたします。
 事務局からは、以上でございます。

【観山分科会長】  それでは、議題(1)、分野別研究開発プランの変更についてです。
 本日は、核融合科学技術分野研究開発プランについて、変更希望がありました。初めに、核融合科学技術委員会からプランについて3分程度で御説明をいただきまして、次に、その内容について2分程度で質疑応答の時間を取らせていただきたいと思います。
 それでは、核融合科学技術委員会主査の上田委員から、御説明をお願いいたします。

【上田委員】  上田でございます。それでは、核融合科学技術分野研究開発プランの変更について、御説明させていただきます。
 資料といたしましては、今、画面に出ております資料の4ページ目からです。この分野別研究開発プランの変更については、2月7日に開催されました核融合科学技術委員会での審議を経て、本日、研究計画・評価分科会で審議をお願いするものでございます。
 資料の5ページ目(資料1-1の3ページ)、プログラム達成状況の評価のための指標につきまして、変更したところは赤字で書いているところでございます。この部分を変更させていただきたいと思います。
 まず、アウトプット指標のマル3ですが、「LHDにおける超高温プラズマの世界最高時空間分解能の計測」につきましては、当初の指標ですと「LHDにおける1億2,000万度の高性能プラズマの生成」となっておりました。しかしながら、この目標につきましては既に達成され、超高温プラズマの内部現象を計測する精度で世界最高性能を持つに至っております。したがいまして、そのような現状を鑑みまして、指標を変更することが適切であると考えてございます。
 その他の指標の変更については、表現の適正化のための変更ということになります。例えば、アウトカム指標のマル5のところは赤で「フュージョン」と書いてありますが、内閣府が策定いたしました国家戦略で核融合エネルギーは「フュージョンエネルギー」という呼び方にされておりますので、それに倣ったものでございます。
 本件につきましては、以上が御説明になります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

【観山分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明について、御意見、御質問がある方は、Webexの「挙手ボタン」を押して、お知らせいただければと思いますが。
 よろしいでしょうか。これは随分順調に進んでいるということでございますね。
 ありがとうございました。それでは、ただいま審議いただいた変更案につきまして、変更を反映した資料1-2のとおり、分科会として決定したということにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。
 では、次に、議題(2)、研究開発課題の評価についてです。本日は、三つの委員会から提出された中間評価5件及び事後評価1件の、計6件の評価をしていただきます。
 まずは、本日評価を行う6件の利害関係に関して、確認をいたしたいと思います。
 それでは、事務局より、よろしくお願いいたします。

【井上研究開発戦略課専門官】  事務局でございます。ページといたしましては、参考の174、参考資料4、「第12期研究計画・評価分科会における研究開発課題の評価について」の4ポツ、(1)利害関係者の範囲を御覧ください。
 事前に村岡委員から、環境エネルギー科学技術委員会の中間評価「地球環境データ統合・解析プラットフォーム事業」については、利害関係者に該当するとの申告を受けています。なお、各委員会事務局からは、事前に確認をしましたが、利害関係者に該当する委員はいらっしゃらないとの報告を受けております。
 その他に、マル1からマル3に該当する方はいらっしゃらないでしょうか。
 それでは、いらっしゃらないということを追加で確認いたしました。
 なお、村岡委員につきましては、当該課題の審議においては御発言をお控えいただくよう、お願いいたします。
 以上でございます。

【観山分科会長】  ありがとうございました。
 次に、本分科会における研究開発課題の評価に関する評価票のポイントについて、事務局より説明をお願いします。

【井上研究開発戦略課専門官】  事務局でございます。資料につきましては、参考の169ページ、参考資料3、「研究開発課題の評価について(留意点)」でございます。
 まず、1ポツ、共通事項でございますが、評価につきましては、当該研究開発課題の「必要性」「有効性」「効率性」等の観点から行います。
 続きまして、2ポツですが、評価票の様式につきましては、「第12期研究計画・評価分科会における研究開発課題の評価について」において、定めております。
 続きまして、真ん中辺りでございますが、(2)中間評価票についてでございます。マル1でございますが、課題の進捗状況につきまして、課題の所期の目標に向けての進捗、進捗度の判定とその判断根拠を明確にすることとしております。また、マル2でございますが、各観点の再評価といたしまして、当初設定された「必要性」「有効性」「効率性」の各観点を改めて評価し、各評価項目について、その評価基準を満たしているか、評価をすることとしております。
 続きまして、(3)事後評価についてでございますが、マル1、課題の達成状況につきましては、課題の所期の達成度の判定と、それから、「必要性」「有効性」「効率性」の各項目について、その評価基準の要件を満たしているか、評価することとしております。また、マル2でございますが、総合評価におきまして、所期の目標との関係、波及効果、倫理的・法的・社会的課題への対応状況等を記載することとしております。
 評価に当たりましては、以上の内容を御留意いただければと思います。
 事務局からは、以上でございます。

【観山分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、初めに中間評価を実施いたします。まず、委員会から評価票の説明をいただき、その後、質疑の時間を取ります。複数の中間評価がある場合は、まとめて説明をお願いします。一つの委員会の質疑を終えましたら、次の委員会の説明に移るということにいたしたいと思います。
 次に、全ての中間評価の審議を終えましたら、事後評価を実施したいと思います。説明の際は、最初に分野別研究開発プログラムにおける当該課題の位置づけが明確になる該当ページを用いて、上位施策や大目標・中目標の達成に向けた、今回の評価課題の位置づけ、意義及び課題間の相互関係等を簡潔に説明していただきまして、次に、評価票の評価の観点における評価項目や評価基準に触れながら、必要な部分を簡潔に説明するようにお願いいたします。
 説明時間につきましては、1課題について、5分程度でお願いします。また、それぞれの説明の後に質疑時間を5分取らせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、まず、環境エネルギー科学技術委員会主査の原澤委員から、御説明をお願いいたします。

【原澤委員】  環境エネルギー科学技術委員会の主査を担当しています、原澤です。よろしくお願いします。委員会から、2件の中間評価(案)の説明をいたします。
 まず、地球環境データ統合・解析プラットフォーム事業の中間評価についてであります。資料2-1-2、174ページ(3ページ)、175ページ(4ページ)に事業の概要を示しております。文部科学省におきましては、地球環境ビッグデータを蓄積・統合解析する「データ統合・解析システム(DIAS)」を開発しております。本事業は、このDIASについて、気候変動対策をはじめ、地球規模課題解決に向けた情報基盤として社会貢献を実現するデータプラットフォームとして、長期的・安定的な運用の確立を目指すことを目的としております。令和3年度から令和12年度までの10年間の事業でございます。
 176ページ(5ページ)からの中間評価票に参ります。176ページを御覧ください。アウトプット指標といたしましては、二つございまして、共通基盤技術の件数につきましては、令和3年度が2件、令和4年度が1件、データセットの登録累積件数は、令和3年度が356件、令和4年度が365件です。アウトカム指標につきましては、DIASの利用者数を挙げておりますが、令和3年度が9,774名、令和4年度が1万1,615名であり、利用者が着実に増えているということが示されてございます。
 続きまして、全体的な課題の進捗状況として、177ページ(6ページ)から記載してございます。三つございます。一つ目は、防災・減災に役立つアプリケーションに関する研究開発であります。「気候予測データセット2022」の公表、浸水予測システム等の研究開発を着実に実施しておりまして、目標を順調に達成しております。二つ目は、オープンプラットフォームの構築であります。DIASのデータ利活用の促進のための取組を進めるとともに、DIAS解析環境の外部利用制度に関する取組として、令和4年12月に共同研究課題の募集を開始し、令和5年4月に2課題を採択しております。三つ目は、DIASの長期的・安定的な運用体制の確立であります。利用環境の整備やシステム維持管理に関する取組を通じまして長期的・安定的な運用体制の確立を目指すとともに、ユーザーアンケートの結果を反映したウェブサイトの改修ですとか規約等の見直しも行いまして、ユーザーニーズも反映したDIASの維持管理及び運用を着実に実施してございます。
 続きまして、各観点、「必要性」「有効性」「効率性」についての再評価でございますけども、180ページ(9ページ)から182ページ(11ページ)にかけて「有効性」、182ページ(11ページ)から183ページ(12ページ)にかけて「効率性」等々を記載してございますが、詳細は、説明が長くなりますので、割愛させていただいて、次に進めたいと思います。
 183ページ(12ページ)から、上位施策への貢献状況を記載してございます。「高精度な気候変動予測情報の創出や、気候変動課題の解決に貢献するため温室効果ガス等の観測データや予測情報などの地球環境ビッグデータの蓄積・利活用を推進する。」といった、「第6期科学技術・イノベーション基本計画」の目標の達成に十分貢献してございます。
 184ページ(13ページ)から、今後の研究開発の方向性についてでございますが、今後の研究開発の方向性として、これらのDIASの再評価を踏まえて、継続としております。理由といたしましては、本事業の進捗状況や「必要性」「有効性」「効率性」の観点から、「気候予測データセット2022」の公開サイトの構築をはじめ、防災・減災に役立つアプリケーションの研究開発等により、国内外の気候変動対策等に資する成果が認められることがございます。また、国際的にも、DIASは、GEO(地球観測に関する政府間会合)ですとか、その下で構築されていますGEOSSという観測システムを構成し、IPCCの議論の基礎となるような国際研究プロジェクトに日本の気候変動予測データを提供する役割を果たしているなど、地球規模の課題解決に向けて大きく貢献しているということが挙げられます。
 なお、本課題の改善に向けた指摘事項といたしましては、サーバーやストレージの増強と維持管理、外部との連携推進、地球環境データを用いた新たな研究の推進や、国際的な成果の発信と国際連携の推進を挙げております。
 以上が、最初のDIASの説明となります。
 引き続きまして、2番目の中間評価であります。188ページ、資料2-1-4に参ります。革新的なパワーエレクトロニクス創出基盤技術研究開発事業の中間評価(案)でございます。190ページ(3ページ)から192ページ(5ページ)にかけて、事業の概要を示してございます。簡単に御紹介いたしますが、本事業は、あらゆる電気機器の省エネ・高性能化につながる革新的パワーエレクトロニクス技術を創出するために、回路システム、パワーデバイス、受動素子等の一体的な基礎基盤研究開発を推進する事業であります。実施期間としましては、当初予算としては令和3年度から令和7年度までの5年間を予定しており、それに先立ち、令和2年度に補正予算の措置がございました。190ページから192ページにかけて、少し長くなりますが、課題実施機関・体制の一覧を記載しております。また、その他といたしまして、経済産業省との連携、公開シンポジウム等を通じた成果発信・活用の取組を実施してきております。
 193ページ(6ページ)から、中間評価票でございます。アウトプット指標といたしまして、パワエレ回路システム、パワーデバイス、受動素子等の研究開発テーマ数については、令和2年度にパワーでバイス領域1件、令和3年度にその他14件を採択し、現在、15件を支援しております。アウトカム指標につきましては、研究の進捗により、論文、特許出願といった研究成果が創出されるとともに、分野横断の共同研究件数として、事業内の領域間・テーマ間の連携もできてございます。
 続きまして、194ページ(7ページ)から、課題の進捗状況を記載してございます。本事業で設定した、パワエレ回路システム、パワーデバイス、受動素子、次々世代・周辺技術の各領域において、研究開発を着実に実施しており、論文、特許出願のほか、国際学会での採択など、世界をリードするような成果を創出し、目標を達成してきております。
 続きまして、各観点の再評価ということで、195ページ(8ページ)には本事業の「必要性」、196ページ(9ページ)では本事業の「有効性」、同じく196ページから197ページ(10ページ)にかけて「効率性について」の再評価を行っておりますが、各観点とも高い再評価をいただいてございます。
 続きまして、上位施策への貢献ということで、197ページに参ります。「第6期科学技術・イノベーション基本計画」では、「省電力、高信頼、低遅延などの面でデータやAIの活用に適した次世代社会インフラを実現する。」、あるいは「量子技術、半導体、ポスト5GやBeyond 5Gの研究開発に取り組む。」などが示されており、本事業はその達成に大きく貢献してございます。
 198ページ(11ページ)に今後の研究開発の方向性について記載しておりますが、今後の研究開発の方向性として、評価結果を踏まえ、継続としております。特に本事業は、窒化ガリウム(GaN)等の次世代パワー半導体の特性を最大限に活用したパワエレ機器等の実現に向けて、回路システムや受動素子も含めたトータルシステムとしての統合的な研究開発に取り組んでおります。それぞれの領域において、優れた成果を上げてございます。事業の後半年度の実施に当たっては、回路システム領域を軸とした領域間の連携をより一層強化いたしまして、各デバイスの性能向上と機器トータルとしての性能向上を両輪で進め、産業界や関係府省とも協力しながら、出口を見据えた研究開発が推進されることが重要であると、評価しております。
 以上で、説明は終わります。ありがとうございました。

【観山分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明について、御意見や御質問等がある方は、「挙手ボタン」を押していただければと思いますが、いかがでしょうか。
 大森委員、お願いします。

【大森委員】  量子委員会の大森でございます。御説明、どうもありとうございました。
 御説明中、量子技術に関しての貢献に御言及があったと思うのですけども、もうちょっと具体的に、どういった形に貢献していかれようと思っておられるのか、その辺を簡単に説明していただけるとありがたいです。

【原澤委員】  量子分野にということでございますね。

【大森委員】  量子技術が貢献の対象となる取り組みの一つとして挙がっていますので、具体的にどのように貢献しておられると考えておられるのか教えてください。

【原澤委員】  2番目のパワエレのほうですね。

【大森委員】  はい。

【原澤委員】  事務局のほうで、お答えはできますでしょうか。

【清家環境エネルギー課エネルギー科学技術係長】  環境エネルギー課の清家と申します。科学技術・イノベーション基本計画等の上位施策への貢献状況というところに関しまして、質問いただいたものと理解しております。この中で、先ほど原澤委員からの報告にもありましたけれども、「量子技術、半導体、ポスト5GやBeyond 5Gの研究開発に取り組む。」ということが基本計画に記載されておりまして、この中の、特に半導体の研究開発に取り組むというところに本事業が貢献しているということを示させていただきました。

【大森委員】  だから、その半導体でどうやって貢献されようとしているのかという質問なのですけども。

【清家環境エネルギー課エネルギー科学技術係長】  失礼いたしました。パワーエレクトロニクス、パワーデバイスという、この事業での領域を設けているのですけれども、パワーデバイスの主たる材料が窒化ガリウムなどの次世代のパワー半導体となっております。その研究開発に取り組んでいるというところになっているのですけれども、回答になっておりますでしょうか。

【大森委員】  いや、なってないです。いいです。今分からないのだったら、また。あんまり時間を取ってもしようがないので、いいです。

【観山分科会長】  担当課から、メールか何かで追加の回答はありますかね。

【大森委員】  そうですね。もし可能であればでいいですけど。興味があったので、お尋ねしただけです。

【観山分科会長】  ほかによろしいでしょうか。
 DIASのほうですが、ユーザー対応に対してアンケートを取ったりして、いろいろ対応しているということでありましたけども、アンケートの結果、どの程度、反響というか、対応があったのか。それから、それに基づいてどれぐらい、そういう件数か何かが、ちょっと細かい話しですが、すぐ出てきますでしょうか。

【原澤委員】  ありがとうございます。182ページに、ユーザーニーズ把握の取組ということで、具体的な件数は後で事務局のほうから御説明いただきたいのですけども、DIASの場合は、ユーザーのニーズをしっかり把握して、それをシステム改善につなげていくというところが大きいのではないかと思います。その上で、今、非常に使いやすくなってきているということです。問題は、データ量が非常に増えていますので、データのダウンロードだけでも結構時間がかかってしまうというようなことがあって、私が聞いている話では、DIASの中に入って、そこで計算をして、結果だけを取り出すみたいな、そういうユーザー対応もしているということで、ユーザーの利用範囲が非常に広がっているのと、あと、外国のユーザーもかなり増えているということで、件数については、事務局のほうで御存じでしたら、ちょっと回答をお願いいたします。

【観山分科会長】  もし分かればですけども、今の御回答で対応がうまくできているという状況が分かりましたので。

【原澤委員】  本当に、そういう意味ではユーザーオリエンテッドなシステムになりつつあるということだと思います。

【観山分科会長】  ほかにいかがでしょうか。
 五十嵐委員、お願いします。

【五十嵐委員】  委員の五十嵐です。DIASのほう、様々な応用が進んでいるということで、大変面白いと思いました。上位概念といいますか、地球温暖化の話ですが、今、IPCCが様々なアニュアルレポートやスペシャルレポートを出して、そのたびに世界がいろいろと対応に迫られています。恐らくIPCCともかなり絡んでいると思うですが、その辺りはどうでしょうか。具体的には、委員会の先生がいろいろなIPCCの分科会に入って活動していると思うのですが、もし簡単に説明いただけましたら、お願いします。

【原澤委員】  先生がおっしゃったように、DIASに関わるのは、非常に幅広い研究者、特に地球環境関係の研究者も入っておりますけども、そういった方は、今、IPCCの委員という形で参画されております。それと同時に、IPCCの場合、非常に重要なのは気候モデルの開発ということで、これについてはCMIP(結合モデル相互比較計画)という国際的な別の計画が動いておりまして、IPCCとCMIPが車の両輪のような形で、地球環境の、特に温暖化関連の研究開発等を進めているということになります。そういう意味で、日本の研究者も、DIASを使いながら、結果をDIASに入れて、また、DIASに入れた結果が世界中の研究者に使われて、いろいろな方が論文を書くと、それをIPCCが集めて文献課題をして最新の情報としてまとめるということです。去年の7月から第7次のIPCCの活動が始まっておりまして、日本の研究者も多く参画すると同時に、こういったDIASのデータも世界中の研究者に使われて、それが論文という形でまたIPCCに返ってくる。そういう面でも日本の貢献というのは非常に大きなものになってきているのではないかと、その核にDIASがあると理解しています。

【五十嵐委員】  ありがとうございました。すばらしいと思います。

【観山分科会長】  ほかによろしいでしょうか。
 ありがとうございました。
 それでは、次に、核融合科学技術委員会の中間評価を行いたいと思います。同委員会の主査の上田委員から、御説明をお願いいたします。

【上田委員】  それでは、私のほうから説明をさせていただきます。核融合科学技術委員会による研究開発課題の中間評価結果についてです。
 これにつきましては、資料2-2-2、203ページのところから本文があります。これ、結構長くて、説明箇所が飛んでおりますので、全体の簡単なまとめの書類を用意させていただきましたので、そちらを使って説明をしたいと思います。これは、中間評価の概要、参考資料5、ページ数で言いますと202ページの横長の図です。ここにエッセンスをまとめさせていただきましたので、これを見ながら説明をさせていただきます。
 核融合科学技術分野研究開発プランに基づき、研究開発課題「ITER計画(建設段階)等の推進」の中間評価を本年度に実施いたしまして、実施に当たっては、課題の実施機関である量子科学技術研究開発機構(QST)からのヒアリングを行った後、委員会において審議の上、評価結果を決定したものでございます。
 研究開発課題は、1番のITER計画と、2番の幅広いアプローチ(BA)活動の二つがございます。それぞれについて、概要を説明いたします。
 まず、ITER計画のほうからですが、ITER計画は、日本を含めた世界7極による国際約束に基づき、核融合実験炉ITERの建設及び運転を通じて、核融合エネルギーの科学的・技術的実現可能性の確立を目指すものでございます。現在は建設段階にあり、日本が担当する機器の調達製造につきましては、95.6%の調達取決めを締結するなど、日本が調達責任を負う機器の製作・納入が順調に進んでいると、評価することができます。
 一方、ITER機構において、新型コロナ感染症等による遅延からの回復など、運転開始に向けてよりよい組立工程が検討されているところでございまして、これに関しましては、今後、留意していく必要がございます。
 それから、三つ目のポツでございますが、日本は、職員をITER現地サイトに派遣して、ITERの組立工程の最適化やプロジェクト管理構築にも貢献しており、引き続き、準ホスト国として責任を持って対応することを含め、ITER計画の推進を支援すべきであるというふうに評価してございます。
 これらを踏まえ、ITER活動については、日本が調達責任を負う機器の製作・納入が順調に進捗しているというふうに、評価をいたしました。
 続きまして、右側の2番、BA活動のほうを説明いたします。BA活動は、日欧の国際約束に基づき、ITER計画を補完・支援するとともに、ITERの次の段階として発電実証を行う原型炉に向けた必要な技術基盤を確立するための先進的研究開発を実施するものです。
 材料照射施設の工学実証・工学設計活動(IFMIF/EVEDA)は、重陽子ビームの短パルス加速試験に成功して、超パルス試験を実施中でございます。
 二つ目のポツですが、国際核融合エネルギー研究センター(IFERC)では、低放射化フェライト鋼のデータベース整備など、原型炉設計・研究開発活動が進展しております。
 それから、三つ目のポツですが、さらに、サテライト・トカマク計画(STP)におきましては、世界最大のトカマク型超伝導プラズマ実験装置、JT-60SAが令和5年10月に初プラズマ生成に成功いたしました。これらの知見をITER機構に共有し、研究開発のリスク低減に貢献するなど、BA活動は着実に進展していると評価しました。
 以上を踏まえまして、BA活動につきましては、JT-60SAの初プラズマ生成など、着実に進展していると評価いたしました。
 続きまして、各観点の再評価、左下のところでございます。まず、「必要性」につきましては、ITER計画において主要機器を担当するともに、BA活動を通じて原型炉開発に必要な取組を行っていることから、必要なコア技術を獲得するためには、両活動を引き続き推進することが重要であるというふうに、評価させていただきました。
 続きまして、「有効性」ですが、超伝導コイルなど、世界初となる機器の製作に加え、大型装置の統合設計や組立てのための技術開発を伴うため、将来の核融合炉に必要となる知見の蓄積や製作技術の発展が期待されるというように、評価いたしました。
 そして、三つ目の「効率性」については、ITER計画は、7極の首席政府代表等で構成される理事会の下、バラバスキ機構長や、鎌田副機構長、これは日本人の方ですが、執行部として実施体制を構築し、BA活動は、日欧の首席政府代表等で構成される運営委員会の下、プロジェクトを日欧共同で推進しており、効率的な実施体制となっていると評価いたしました。これらは、評価基準を十分に満たしているというふうに認められます。
 以上を踏まえまして、本課題は継続することが妥当というふうに評価いたしました。
 本課題により、ITER計画等を通じてコア技術を獲得することや、将来の原型炉開発を見据えた研究開発を加速するとともに、産業化に向けた他国の動きに後れを取ることなく、ITER計画等で培った技術の伝承・開発や産業化、人材育成を見据えた取組を強化していくことが重要でございます。
 最後に、留意事項でございますが、令和6年(今年)、ITER機構より、「ベースライン」更新に係る提案が行われる予定です。「ベースライン」というのは、計画のスケジュールやコストを記載している、計画の一番基礎となる書類でございますが、この状況を受けて、核融合科学技術委員会などにおいて、提案の妥当性や原型炉研究開発ロードマップ等への影響など、フュージョンエネルギーの推進に向けた活動全般について、俯瞰的な観点から、別途、補完的に議論を行う必要があるということで、これを留意事項に記載させていただいております。
 以上が、中間評価結果(案)についての説明でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

【観山分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明に関して、御意見、御質問がある方は、「挙手ボタン」をお願いいたします。
 今、最後にあった、ITERからの「ベースライン」の変更については、もう出されたのですか。これからの話ですか。

【上田委員】  ITER機構の中で現在検討中ですが、もう検討の最終段階に来ております。6月のITER理事会にて審議された後、提案がなされるというふうに聞いてございます。

【観山分科会長】  なるほど。
 ほかに、御意見や御質問はよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。
 それでは、次に、ライフサイエンス委員会の中間評価2件であります。同委員会主査の宮園委員から、御説明をお願いいたします。

【宮園委員】  それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、新興・再興感染症研究基盤創生事業の中間評価について、御説明いたします。資料2-3-1の220ページを御覧ください。本プログラムは、分野別研究開発プランのライフサイエンス分野の疾患基礎研究プログラムに位置づけられており、「健康・医療戦略」等に基づき、研究開発が行われております。
 次に、資料2-3-2の225ページを御覧ください。本事業は、海外及び国内の感染症研究拠点等の研究基盤を強化・充実させるとともに、これらの拠点と国内外の大学・研究機関をつなぐ感染症研究ネットワークを展開し、我が国における新興・再興感染症制御に資する基礎的研究の推進と研究活動を通じた人材育成の推進を目的としております。
 海外拠点研究領域では、海外に研究拠点を整備し、現地の大学や研究機関等と共同研究を実施しています。また、BSL4拠点形成研究は、長崎大学BSL4施設を中核とした研究基盤の整備を、海外拠点活用研究領域は、海外研究拠点で得られる検体や情報等を活用した研究を、そして、多分野融合研究領域は、多様な視点からの斬新な着想に基づく研究を推進しております。
 続きまして、評価結果について、観点別に御説明いたします。
 まず、247ページの「必要性」についてです。海外研究拠点を活用することで、現地でなくては得られない情報や検体へのアクセス、現地のカウンターパートと協力して研究することで得られる科学的成果や国際的な交流等は貴重な財産となっております。新たなパンデミックへの備えとして、平時にこそ、感染症基礎研究の継続と、海外研究拠点を活用した感染症関連情報の収集と、各国の関係者との信頼の構築、そして、BSL4を用いた取組を実施することの意義は高く、国費を投じる意義は十分にあることから、本事業は、「必要性」は高いと評価しております。
 続きまして、248ページ、「有効性」についてです。海外拠点研究領域における、日本国内ではアクセスできない情報や、現地のカウンターパートとの共同研究による研究成果等は、我が国における感染症対策にも貢献します。また、長崎大学のBSL4施設を用いた研究や取組は国として大変重要であるとともに、海外拠点活用研究領域及び多分野融合研究領域においては、感染症分野における幅広い基礎研究を推進及び人材育成にも有効であることから、本事業は、「有効性」は高いと評価しております。
 最後に、250ページの「効率性」についてです。本事業では、日本国内の一つの研究施設における研究では得ることのできない、質の高い研究成果が得られています。研究課題の研究目標は感染症や研究のトレンド等が適切に反映されておりまして、本事業は、「効率性」は高いと評価しております。
 続きまして、事前評価時の指摘事項及び対応状況です。251ページを御覧ください。
 事前評価時の指摘を踏まえまして、バイオセーフティ・バイオセキュリティに関して、本事業の公募要領や研究契約において、法令、ガイドライン、倫理指針などの遵守について、適切な対応を求めています。また、BSL4拠点形成研究においては、長崎大学において対外的な説明を継続的に行っております。
 最後に、各評価を踏まえた今後の研究開発の方向性ですが、以上より、本事業は継続すべきとしております。
 加えて、本事業を継続するに当たり、さらなる成果導出の期待を込めて、指摘事項を付すということを考えております。まず、海外拠点研究領域は、本事業の主軸であり、他の研究領域の研究遂行の根幹に関わるものとなっていますが、本研究期間は令和6年度までとなっております。海外研究拠点の研究期間を本事業の期間と同等となるように令和8年度まで延長すべきであると、指摘しております。加えて、研究課題間や、AMEDの他の事業等との連携によりまして、より効果的かつ革新的な研究を実施すること、また、本事業は感染症有事における対応への貢献も期待されていることから、幅広い基礎的研究と人材層の確保の推進にも資する戦略的研究を実施するスキームの追加を検討すること、ということを提案しております。
 本事業については、以上です。
 続いて、ゲノム医療実現バイオバンク利活用プログラムの中間評価について、御説明いたします。
 資料2-3-1、218ページを御覧ください。本プログラムは、ライフサイエンス分野研究開発プランのゲノム・データ基盤プログラムに位置づけられており、「健康・医療戦略」等に基づき、研究開発が行われてきました。
 続きまして、資料2-3-4、257ページを御覧ください。本事業は、ゲノム医療の実現に向けて、我が国のバイオバンクを維持・発展・連携させるとともに、日本人における疾患関連遺伝子の同定や、多因子疾患の発症リスクの予測、個別化医療の実現を目指す、研究開発等を実施しております。東北メディカル・メガバンク計画、ゲノム研究バイオバンク事業、ゲノム医療実現推進プラットフォーム、次世代医療基盤を支えるゲノム・オミックス解析をゲノム医療実現バイオバンク利活用プログラム(B-cure)として統合した事業になります。
 続いて、中間結果について、観点別に御説明いたします。
 まず、271ページの「必要性」についてです。国や社会のニーズに適合しているかなどの基準で評価しております。ゲノムなどに関する解析技術や、それを活用した研究開発の急速な進展により、遺伝要因による個人ごとの違いを考慮した予防・診断・治療への期待が高まっていることなどから、「必要性」はあると評価しております。
 続きまして、273ページ、「有効性」についてです。構築した基盤や人材育成等の観点から、個別化医療・予防等の次世代医療の実現に貢献したかなどの基準で評価しています。
 次世代医療実現に必要な人材として、ゲノム医学研究コーディネーターなどの育成を進めております。また、コホート参加者に対して遺伝情報や疾患リスクの回付を行い、その影響について調査を行なう実証研究を実施するなど、社会実装に向けた取組を実施していることなどから、「有効性」はあると評価しています。
 最後に、274ページの「効率性」についてです。プログラム全体の計画・実施体制は適切だったかなどの基準で評価しております。
 AMEDのマネジメントとして、プログラムディレクター(PD)、プログラムスーパーバイザー(PS)、プログラムオフィサー(PO)による評価、進捗管理等を行っています。また、PD及び各サブプログラムのPSが参加するB-cure連絡会において、研究の進捗状況や課題などを共有し、事業運営に反映させていることなどから、「効率性」はあると評価しています。
 最後に、各評価を踏まえました、今後の研究開発の方向性です。本事業は、「必要性」「有効性」「効率性」のいずれも認められることから、継続すべきであると評価しています。ただし、バイオバンクの利活用が十分とは言い難いことから、今後は社会実装を見据えたバイオバンクの利用のモデルとなるような研究成果の創出が必要であるとしています。使われるバイオバンクとしての機能を強化し、アカデミアのみならず、医療関係者や製薬・健康関連企業など、幅広い層に有効活用を促す取組が必要としております。
 本事業については、以上です。どうぞよろしくお願いいたします。

【観山分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの二つの中間評価に関して、御意見、御質問がある方は、「挙手ボタン」をお願いいたします。
 感染症研究基盤の国際的展開ということで、11か所でしたか、拠点が海外にあるということですが、これは海外の研究機関と協力されて実施されているのでしょうけれども、多様な状況があるのでしょうが、日本の研究者が向こうに行かれて研究をされているというケースもあるのでしょうか。

【宮園委員】  そうだと思います。事務局から、補足をお願いできますでしょうか。

【横井研究振興戦略官付専門官】  文部科学省研究振興戦略官付でございます。御質問いただき、ありがとうございます。
 日本の大学の研究者が現地で常駐しております。現地で常駐している研究者及び現地の研究者等と協力しながら、研究を進めております。

【観山分科会長】  分かりました。ありがとうございました。
 明和委員、お願いします。

【明和委員】  御説明、ありがとうございました。私からは、今後の課題として1点教えていただきたく存じます。今回の感染症の問題についてですが、日本では心身が成熟した成人対象として研究が進められてきたわけですが、免疫系の成熟には十数年かかると理解しています。欧米圏では、子どもの感染症対策は、大人の感染症対策とはわけて検討されているなど基礎研究の知見が反映されているように思います。この分野の門外漢ではありますが、日本では子どもを対象とした調査研究はほとんどみあたらなかったように思います。今回のCOVID-19は、子どもへの重症度がきわめて低いというレアなケースだったのですが、今後の対策としては未成熟な者、子どもを対象とした研究はいっそ強化しなければならないのではないかと感じます。この点について、御意見をいただけますと幸いです。

【宮園委員】  大変貴重な御指摘、ありがとうございます。御指摘ありましたとおり、COVID-19の場合、小児は症状が出ないということで、感染の根源となった、広がる原因となったということもありますので、私たちもその点については大変重要なポイントと考えております。
 事務局のほうから、補足がありましたら、よろしくお願いいたします。

【横井研究振興戦略官付専門官】  事務局でございます。御質問、ありがとうございます。
 本事業は、研究者が自発的に、やりたい研究、基礎的な研究を支援する事業でございますので、これまでは政府から戦略的にこれをしなさいというようなことはしておりませんでした。しかし、今回、今後は、本事業、感染症有事における対応も含めて、行政的に重要度の高い戦略的研究においても目標・目的を定めて実施することが重要であると御指摘をいただいたおりますところで、先ほど委員からもいただきました御指摘も踏まえまして、どのような点を戦略的に行っていくか検討してまいりたいと思います。どうもありがとうございます。

【観山分科会長】  ありがとうございました。
 栗原委員、お願いします。

【栗原委員】  ありがとうございます。2点ございます。1点目は、最初の新興・再興感染症研究基盤創出事業の指摘事項について、一つは海外研究拠点の研究期間の話と、もう一つは他の事業との連携というのがありました。この指摘事項あるいは課題は、中間評価の後の本事業において研究計画の見直しをされることなのでしょうか。特に、スキームの追加を検討するということがありましたので、非常に大きいことだと思いますので、意図を教えていただきたいというのが1点です。
 それから、もう1点は、ゲノム医療実現バイオバンク利活用プログラムですけれども、このプログラムとは別に、日本全体で全ゲノム解析の推進に関して、ゲノム解析を患者還元に生かしていこうという実装の動きがございます。そういう動きとこのバイオバンクの利活用はどのように関係し、また、この成果をうまく活用していくのかということも課題になるかと思いますけれども、それについては何か議論されているのでしょうか。

【宮園委員】  どちらも事務局からお願いいたします。

【横井研究振興戦略官付専門官】  御質問いただき、ありがとうございます。まず初めに、感染症事業について、お答え申し上げます。
 御質問いただきました、今後、計画を見直すのかという点でございますが、今回、研究計画・評価分科会で御指摘いただきました内容も踏まえまして、中間評価以降の、令和6年度からの事業について、より良い事業となるように、補助金にて事業を運営しておりますAMEDと共に、スキームを検討していきたいと考えております。特に、追加でおっしゃっていただきましたスキームの追加という部分については本年度、ネットワークコア拠点という、全部の拠点をつなぐ拠点を採択したところでございます。ネットワークコア拠点と一緒に協力しながら、何ができるかと考えていきたいと考えております。ありがとうございます。

【宮園委員】  それでは、ゲノムのほう、お願いいたします。

【小野ライフサイエンス課ゲノム研究企画調整官】  ライフサイエンス課の小野と申します。御質問、ありがとうございます。
 御質問いただいたとおり、厚労省のほうで、がんと難病を対象にした全ゲノム解析の事業を実施していると認識しております。一方で、このB-cureの事業ですと、東北でやっているのは一般住民を対象として、バイオバンク・ジャパンでやっているのは多因子疾患を主に対象として、バイオバンクを構築していると認識しております。それらで出てきたデータをつないで利用していく動きが内閣府中心に動いておりますのと、それらのデータを横断的に使った研究事業も別途ありますので、そういったものを進めて、連携を進めていきたいと考えております。
 以上です。

【観山分科会長】  よろしいでしょうか。

【栗原委員】  よろしくお願いいたします。

【観山分科会長】  ほかに。
 よろしいでしょうかね。ありがとうございました。
 以上、研究開発課題評価のうち、中間評価の案件、5件ほど説明が終了いたしましたけれども、全体を通して、御意見、御質問がある方は、「挙手ボタン」をお願いしたいと思いますが。
 高梨委員。

【高梨委員】  途中でお聞きすべきだったのかもしれないですけれど、全体にも関わることなので、一つお話ししたいのですが、環境のところの革新的パワーエレクトロニクスの中間評価がありましたけれど、ちょっとここで感じたのですが、パワーエレクトロニクスの場合は、まさに数値目標みたいなものがプロジェクトの中にあるのではないかと思うのですけれど、例えば、どのぐらいの周波数とか、どのぐらいのパワーを達成するかとかですね。そういうようなものが現実に今どのぐらい進捗しているのか、そういう評価というのはされているのかどうか。
 それから、前回、私のほうでナノ材の発表もしましたけれど、そのときもどなたかから、定量指標はどうなっているか、定性的と定量的な評価が、委員会によってばらばらですねというような御指摘があったと思うのですが、そこら辺のところというのは、これは全体の話なのですけれど、確かにもう少し統一感を持ってもいいのかなという感じがします。中間評価なのでそんなに厳密にやる必要はないと思う一方で、そういう定量性というものをもう少し、それぞれのプロジェクトで考えたほうがいいのではないかなと。
 パワーエレクトロニクスのところは、私も自分の専門がそれほど遠くないものなので、特に気になるのですけど、定量指標とその進捗状況について、具体的にお聞きしてみたいというところでございます。

【観山分科会長】  では、まず、パワーエレクトロニクスの観点で、定量的数値目標的な部分での評価とかは議論になったのかどうかというのは、よろしくお願いします。
 原澤委員。

【原澤委員】  原澤です。御意見、どうもありがとうございます。
 この中間評価の段階では、既にアウトプット指標とアウトカム指標というのが出されておりますので、それを中心に議論して、今、先生がおっしゃったように、個別の、例えばプロジェクトレベルではいろいろ、進めるに当たって、当然、目標は定量的なものをつくってやっていらっしゃると思うのですが、そこまで議論の中では言及していなかったというのが実際のところだと思います。
 先生がおっしゃるのは、アウトプット指標とかアウトカム指標の中にそういった定量的な、技術の進展、あるいは目標達成度が分かるようなものを入れた上で、このプログラム全体の評価をするという意味でおっしゃったということですか。

【高梨委員】  そういうものが計画の中にはっきりあるのであれば、この程度まで達成されたとかいうのがあると。

【原澤委員】  プロジェクトレベルではそういった目標設定をして、何年、幾らかけてどこまで行ったかというのは、今は、定量的な指標で目標設定・進捗管理というのは普通だと思うのですが、プログラムレベルで幾つかのプロジェクトが走っている中で全体を定量化するというのは、評価の面でなかなか難しい面もあったりするので、検討をしていかなきゃいけないと思います。

【高梨委員】  細かい、テクニカルなことをここで聞き過ぎたのかもしれないのですけど、ちょっと難しいのは、そのようなテクニカルな指標に加えて、ここで出てきたような論文数とか、場合によっては特許数とか、そういうようなことの指標というのもあると思うのですね。評価としてそこら辺をどういうふうに整理するかというのはあると思うのですけれども、パワエレの場合にはテクニカルな数値目標がよりはっきりしているのではないかと思って、ちょっとお聞きしてみました。どうもありがとうございます。

【観山分科会長】  非常に重要な指摘だと思います。特にアウトカムに関しては、今までの例に比べて、これは事前の目標設定のところでのことに関わるかと思いますけども、可能な分野においては、しっかりと目標を数値化・定量化して、それがどれぐらい達成できているのか、示すことは重要と思われます。例えば、中間評価の段階で、50%、60%、いやいや、10%ぐらいなのかということが分かれば、進捗の状況がよく分かることになります。一方で、なかなか難しい課題も、要するに目標設定として数値的に対応できるのは、非常に難しい課題もあろうかと思います。その場合は適切に定性的に進捗状況を示されることも大切です。一般に事業の推進に関して、広く理解を得ることは大切ですので、そういう観点というのは非常に重要でございますので、今後、特に事前評価とか、そういうときのアウトカムの捉え方、どういうものを目標にするかというところでは、できるだけそういう定量的な部分を示していただくということが大切だと思います。もちろん、論文数とか、定量的な数の面でのアウトプットがありますが、其の先にどの様なアウトカムもあるか等です。可能な分野においてはそういうことがしっかり示していただくことは大切だと思います。一方、科学技術の分野ですので、いろいろな状況が起こります。進展の課程で新たな方向に進む場合もあります。ただ、こういうプロジェクトとか、こういう課題をつくっていくときに、そういう定量的な目標を立てるということは、適切な分野では重要なことだと思います。ありがとうございます。

【高梨委員】  どうもありがとうございます。

【観山分科会長】  ほかにいかがでしょうか。
 栗原委員。

【栗原委員】  ありがとうございます。今の高梨委員の発言を受けまして、私も同じように思うことがございます。中間評価なので途中の段階ではあるので、最終ゴールではないとしても、この段階で、順調に行っているのか、あるいは計画そのものを見直す必要があるのかなど評価すべき重要なポイントだと思いますので、先ほど質問させていただいたような、例えば、期間の見直しや仕組みの見直しのような事項が途中で出てくることも重要だと思います。それから、今まであまり見ませんけれども、計画値そのもの自体を変更するようなこともあり得ると思います。また、「順調」などの評価の根拠をもう少し評価票の中で表現していただけるといいのではないかと思いました。
 以上です。

【観山分科会長】  ありがとうございます。変更に関しては、変更がもしも必要であれば、委員会で変更の可否を認めるということもありますけれども、全般的にそういうふうに進捗が割と広い分野でも分かるような状況にするということは、非常に大切なことだと思います。
 非常に重要な指摘を受けましたけども、この報告書そのものについて変更するということではなかったと思いますので、今後の状況とか、今後の計画をつくるところでの重要な視点と思って、議事録には残したいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、評価案につきましては、このとおり、この委員会で認めるということでよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。
 それでは、もう一つありまして、事後評価に移りたいと思います。ライフサイエンス委員会の事後評価、1件です。引き続き、宮園委員から、御説明をお願いいたします。

【宮園委員】  それでは、先端的バイオ創薬等基盤技術開発事業の事後評価結果について、説明させていただきます。
 資料は2-3-1で、まず、通し番号217ページを御覧いただければと思います。本事業は、ライフサイエンス分野研究開発プランの医薬品・医療機器・ヘルスケアプログラムに位置づけられておりまして、「健康・医療戦略」等に基づき、研究開発が行われてきました。
 それでは、続きまして、資料2-3-6、通し番号280ページを御覧ください。バイオ医薬品は、世界市場において大きな割合を占めるようになっており、我が国の競争力を確保するためにも、アカデミアの優れた技術シーズを用いて革新的基盤技術を開発し、企業における創薬につなげていくことが必要です。そのため、本事業では、バイオ創薬等に係る基盤技術開発や要素技術の組合せ、最適化により技術パッケージを確立し、企業導出を目指しました。
 課題の達成状況につきましては、286ページを御覧ください。本事業では、(i)から(v)に示します技術領域を対象とし、個別要素技術に関する研究開発課題と大型・複合型研究開発課題を推進いたしました。また、本事業では、支援班を設置することによりまして、アカデミア発の技術やシーズ等の企業導出の一層の促進につなげました。
 287ページの表1を御覧ください。この表に示しますように、昨年12月時点で企業導出を達成した課題数は13課題となり、本事業のKPIの目標値が達成されました。また、企業導出の総件数としては、58件となりました。
 続いて、評価結果について、観点別に御説明いたします。
 まず、287ページの「必要性」についてですが、革新的な新技術やシーズを育成するとともに、企業における創薬につなげていく必要がありました。本事業では、数多くの独自技術の育成が行われ、論文発表や企業導出につながりました。また、数多くの特許を出願することで知的財産の形成が行われたとともに、ライセンス契約の形態などでの企業導出も行われました。
 以上より、本事業の「必要性」は高かったと評価いたしました。
 続きまして、288ページの「有効性」についてです。表2及び表3に示しますけれども、幅広いバイオ医薬品関連技術において、企業導出が達成されました。多くの特許出願及び論文発表が行われまして、令和5年7月時点において、特許出願数は99件、論文発表数は775件と、前身の事業の実績を上回りました。成果の事例も挙げておりますので、御覧いただければと思います。
 以上より、本事業の「有効性」は高かったと評価いたしました。
 最後に、292ページ目の「効率性」についてです。支援班によるマイルストーン管理や知財戦略及び導出戦略の策定支援が行われました。また、企業導出にもつながった、事業内連携や事業間連携も行われております。
 以上のことから、本事業の「効率性」は高かったと評価いたしました。
 続いて、293ページの(2)を御覧ください。上位施策である「第6期科学技術・イノベーション基本計画」や「健康・医療戦略」に大きく貢献しました。
 また、(3)に示しましたように、中間評価結果時の指摘事項については、事業間連携を推進するなど、対応を行っております。
 以上の観点を踏まえまして、(4)において、本事業の総合評価は、優れていると評価いたしました。
 最後に、今後の展望です。294ページを御覧ください。本事業の取組と成果を踏まえまして、「スマートバイオ創薬等研究支援事業」を開始する予定です。この次期事業は、前身事業から三つ目の事業となりまして、採択課題について臨床試験まで移行させることを支援の対象とする段階を迎えております。そのため、早期の企業連携などが求められると考えております。
 本事業については、以上です。ライフサイエンス委員会からの説明は、以上となります。どうぞよろしく御審議をお願いいたします。

【観山分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまのライフサイエンス委員会の事後評価の説明について、御意見、御質問があります方は、「挙手ボタン」をお願いしたいと思います。
 よろしいでしょうか。
 それでは、ただいま御審議いただいた評価案につきましては、本分科会として決定したいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、分科会として評価案を決定したということにさせていただきます。
 それでは、最後に、議題(3)その他になりますが、皆様のほうから何かございますでしょうか。
 先ほど高梨委員が話されたことは重要な項目だと思って、メルクマールにしなければいけないと思いますが、ほかに。
 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、事務局から、今後の開催予定を含めた、事務連絡をお願いいたします。

【井上研究開発戦略課専門官】  事務局でございます。まず、本日の評価結果に関しまして、各委員会から御提出いただいた評価票と併せまして、審議を行った委員が分かるように研究計画・評価分科会の委員名簿を付することとさせていただきます。
 続きまして、今後の当分科会の開催予定でございますが、次回、第93回研究計画・評価分科会の日程につきましては、後日、事務局にて調整をさせていただきます。
 また、本日の議事録につきましては、後日、事務局よりメールで送付いたしますので、御確認いただきますよう、お願い申し上げます。最終的に、観山分科会長に御了承いただいた上で、文部科学省のウェブページに掲載いたしますので、よろしくお願いいたします。
 事務局からは、以上でございます。

【観山分科会長】  それでは、これで第92回科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会を終了させていただきたいと思います。今日は、御出席、御協力、どうもありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

お問合せ先

科学技術・学術政策局研究開発戦略課

(科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官(制度改革・調査担当)付)