研究計画・評価分科会(第83回)議事録

1.日時

令和4年11月16日(水曜日)13時00分~15時00分

2.場所

Web会議

3.議題

  1. 研究開発課題の評価について
  2. 分野別研究開発プランの変更について
  3. 第11期の活動状況について
  4. 最近の研究開発評価の動向について
  5. その他

4.出席者

委員

岸本分科会長、高梨(弘)分科会長代理、春日委員、明和委員、村山委員、安浦委員、五十嵐委員、出光委員、上田(正)委員、上田(良)委員、上村委員、田中委員、塚本委員、林委員、原澤委員、水澤委員、宮園委員、小杉委員

文部科学省

柿田科学技術・学術政策局長、阿蘇大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)、北山科学技術・学術総括官、佐野科学技術・学術戦略官、久保研究開発戦略課専門官、ほか関係官

5.議事録

【岸本分科会長】  ただいまから第83回科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会を開催いたします。
 議事に入る前に事務局から説明をお願いいたします。

【久保研究開発戦略課専門官】  本日の研究計画・評価分科会は、科学技術・学術審議会令第8条第1項に定める定足数である過半数を満たすことを御報告いたします。
 また、本日は、議題1の関係で量子科学技術委員会から量子ビーム利用推進小委員会主査であります小杉信博委員が出席しております。
 続いて、事務局に人事異動がありましたので御紹介いたします。
 科学技術・学術政策局長、柿田恭良でございます。
 同じく、科学技術・学術総括官、北山浩士でございます。

【北山科学技術・学術総括官】  北山でございます。よろしくお願いいたします。

【久保研究開発戦略課専門官】  柿田局長から御挨拶をいたします。よろしくお願いします。

【柿田科学技術・学術政策局長】  9月から科学技術・学術政策局長を務めております柿田でございます。
 岸本分科会長をはじめ委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、この分科会に御参画いただきまして、また本日も御出席いただきまして大変ありがとうございます。
 これまで、当分科会におきましては、多くの研究開発課題の評価に加えまして、研究開発プログラムの評価等につきましても精力的な御議論をいただいておりまして、厚く御礼申し上げます。本日も研究開発課題の中間評価など多くの議題となっておりますが、何とぞ御審議をよろしくお願い申し上げます。
 以上です。

【久保研究開発戦略課専門官】  ありがとうございました。
 続いて、Webexによるウェブ会議の開催に当たりまして、委員の皆様にお願いがございます。
 御発言の際は、手のマークの挙手ボタンを押していただくようお願いします。御発言後は、再度挙手ボタンを押して挙手を取り消してください。御発言時以外はミュートにしていただき、御発言時のみミュート解除を御選択いただくようお願いいたします。
 オンライン上でも聞き取りやすいように、御発言の都度、お名前をおっしゃっていただくようお願いします。
 御発言の際、資料を参照する際には、資料番号、ページ番号またはページ内の該当箇所などを分かりやすくお示しいただくよう御配慮をお願いします。
 説明については以上です。

【岸本分科会長】  それでは、議事に入ります。
 まず、議題1の「研究開発課題の評価について」です。本日は、2つの委員会から提出された中間評価3件を行っていただきます。各委員会において取りまとめられた評価結果を資料として配付しておりますので、これを基に御審議いただきます。
 まずは、本日中間評価を行う3件の利害関係に関して確認したいと思います。

【久保研究開発戦略課専門官】  では、参考資料2の4.留意事項(1)利害関係者の範囲を御覧ください。参考資料の7ページでございます。事前に各委員会事務局に確認したところ、マル1の評価対象課題に参画している委員はいらっしゃらないとの報告を受けております。それも含めまして、マル1からマル3に該当となる方はいらっしゃらないでしょうか。
 それでは、利害関係者はいらっしゃらないということを確認いたしました。
 以上でございます。

【岸本分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、次に、本分科会における研究開発課題の評価に関する評価票のポイントについて、事務局より説明をお願いいたします。

【久保研究開発戦略課専門官】  参考資料1を御覧ください。こちらに留意点をまとめております。
 まず、共通事項です。「必要性」、「有効性」、「効率性」等の観点から行うということになっております。
 2.の評価票の様式でございます。こちらは、本分科会で策定しております「研究計画・評価分科会における研究開発課題の評価について」において定めております。こちらは参考資料2として配付しております。
 また、本日は中間評価でございますので(2)の中間評価のところを御覧ください。中間評価においては、マル1のところで「課題の所期の目標に向けての進捗、進捗度の判定とその判断根拠を明確にする」ということ。また、マル2のところで「当初設定された「必要性」、「有効性」、「効率性」の各観点における評価の基準」の妥当性なども改めて評価した上で、その評価基準を満たしているかを評価するということになっております。特にこの点に御留意をお願いできればと思います。
 最後に、研究開発課題評価の審議に当たっては、説明時間を適切に管理するため、予定説明時間の終了1分前と終了時点で事務局よりチャットで全員にお伝えいたしますので、時間厳守でお願いいたします。
 説明は以上です。

【岸本分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、評価に入りたいと思います。まず、委員会から評価票の説明をしていただき、その後質疑の時間を取ります。複数の研究開発課題がある場合はまとめて説明をお願いいたします。1つの委員会の質疑を終えましたら、次の委員会の説明に移ります。
 説明の際は、最初に分野別研究開発プログラムにおける当該研究開発課題と位置づけが明確となる該当ページを用いて、上位施策や大目標、中目標の達成に向けた今回の評価課題の位置づけ、意義及び課題間の相互関係等を簡潔に説明いただき、次に、評価票の評価の観点における評価項目や評価基準に触れながら、必要な部分のみを簡潔に説明するようにお願いいたします。説明時間につきましては、1課題につき5分でお願いいたします。
 それでは、量子科学技術委員会主査の上田正仁委員から御説明をお願いいたします。

【上田(正)委員】  量子科学技術委員会主査の上田でございます。このたび、量子科学技術委員会におきまして2件の研究開発課題の中間評価を実施いたしました。私からは1つ目の課題、「光・量子飛躍フラッグシッププログラム」について御報告させていただきます。
 通し番号の004を御覧ください。本課題は、光・量子技術分野研究開発プログラムにて推進しております。御覧のとおり現在進行中の研究課題は本課題のみであり、プログラム推進の中核を担う課題となっております。
 通し番号の005からが中間評価の結果となります。
 それでは、通し番号006を御覧ください。今回の中間評価におきまして、米印を付した委員は利害関係者のため、評価には加わらないことといたしております。
 通し番号007から011は、評価を実施した研究開発課題の概要となります。通し番号の009と010のポンチ絵を使って説明させていただきます。
 課題名は「光・量子飛躍フラッグシッププログラム」、通称Q-LEAPと呼んでおります。令和4年度の予算額は36.5億円です。
 事業の概要としましては、社会的な重要課題に対しまして、量子技術を駆使して非連続な解決を目指すものであり、量子情報処理、量子計測・センシング、次世代レーザー、人材育成プログラム開発の4領域を設定し、例えばスーパーコンピュータを凌駕する計算能力を持つとされる量子コンピュータの開発などを推進しております。
 通し番号010を御覧ください。本事業の運営・実施体制を示しております。プログラム全体のマネジメントを行うガバニングボードの下に、運営総括としてプログラム・ディレクター(PD)及びPDへの助言・補佐を行うアドバイザリーボードを設置しております。
 通し番号011は各研究開発課題の一覧でございます。説明は省略いたします。
 通し番号012を御覧ください。これ以降が中間評価結果の案となります。施策目標としましては、未来社会を見据えた先端基盤技術の強化として位置づけられ、量子科学技術の研究開発及び成果創出を目指す事業となっております。
 評価指標であるアウトプット指標、アウトカム指標は論文数について設定し、事業開始以降順調に伸びており、その質の高さも評価できます。
 通し番号013を御覧ください。評価結果について御説明いたします。マル1、課題の概要は先ほどの説明と重複するので省略いたします。
 マル2、課題の進捗状況につきまして、複数の研究課題を実施しておりますが、開始5年目及び8年目にステージゲート評価を行うことといたしております。今年は平成30年度に開始した課題のステージゲートの評価を実施しました。その結果、表に示すとおり評価対象課題全体の約81%が評価項目を満たすA評価以上となりました。この結果とさっきの評価指標を踏まえ、本事業の進捗状況は順調であると評価しております。
 通し番号014を御覧ください。本ページの中段以降は、本事業を必要性、有効性、効率性の3つの観点から再評価しております。
 まず、必要性についてです。科学的・技術的意義、社会的・経済的意義、国費を用いた研究開発としての意義を評価項目としております。
 必要性の評価ですが、本事業が開始された平成30年以降、令和2年に政府全体の量子戦略が策定され、重点領域として位置づけられ、それから、次のページですが、今年の4月には新たな国家戦略も策定されるなど、量子技術は国益に直結する科学技術分野の1つとして位置づけられております。これらを踏まえて、本事業の必要性については極めて高いと評価しました。
 続いて、有効性です。研究開発の質の向上への貢献、人材の養成を評価項目としております。ガバニングボード等による重層的なマネジメント体制による進捗確認を行うとともに、先ほど申し上げましたように課題の8割以上がA評価以上となりました。
 通し番号の016を御覧ください。中段に記載のとおり、人材養成に関する取組として人材育成プログラム領域を新たに立ち上げ、カリキュラム開発やオンライン講座実施など着実に成果が出ております。以上から、本事業では有効な取組を展開していると評価いたしました。
 通し番号017を御覧ください。最後は効率性についてです。計画・実施体制の妥当性、目標・達成管理の向上方策の妥当性を評価項目としております。
 効率性につきましては、技術が急速に変化する中で、関係者による適切な役割分担の下、定期的なレビューを実施し、目標などの適正化を図っていることを踏まえ、事業全体で適切な体制が組まれていると評価しております。
 通し番号018を御覧ください。最終的に以上で述べたことを総合的に判断し、本事業は継続すべきと評価しております。
 また、本課題の改善に向けて、10年間の長期事業であることから、事業途中で予見困難な課題が発生することも想定されるため、柔軟に実施内容の変更を検討することが重要であるとの指摘がございました。これにつきましては、本事業を担当する量子研究推進室におきまして適切な対応を期待いたします。
 私からの説明は以上です。

【岸本分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、量子科学技術委員会の小杉委員から御説明をお願いしたいと思います。

【小杉委員】  量子ビーム分野の評価です。量子科学技術委員会の中で、量子ビーム施設関係は下の小委員会のほうで詰めて検討するということになっておりますので、私、小委員会主査の小杉から御報告いたします。
 量子ビーム施設は、御存じのように大量の実験データを創出しますので、その解析等を含めてオープンサイエンスとデータ駆動型研究開発の推進という枠の中に入っておりますが、上位施策を見ていただいたら御理解できますように、社会問題も含めていろいろなイノベーションに貢献する量子ビームの施設ということになっております。
 次の022のところに対象とする量子ビーム施設が並んでおります。一番下のJ-PARCは中性子の施設です。それから、真ん中のSPring-8、SACLAは、放射光でも構造を中心としたX線の施設になっております。この辺りは運用も既に始めておりますが、今回対象としたところは官民地域パートナーシップによる次世代放射光施設、名前が最近決まりましてNano Terasuという施設の評価になっております。事前の評価も踏まえて2019年から予算がついて5年間、2023年来年度まで建設期になっております。今回の中間評価は最初の3年の状況を把握するというところです。2024年以降は運用に入ってきますので、その辺りも含めた評価をしております。
 次、委員は若干利害関係者がおりますが、除いて進めております。
 それで、026にポンチ絵が1枚入っております。官民地域パートナーシップというのは、国は量子科学技術研究開発機構(QST)が担当します。パートナー側は5つの機関が入っておりまして、代表は財団法人になっております。それで、どのように役割分担しているかというと、整備スケジュールの下のほうに色分けで線表が書かれておりまして、加速器は国側で整備すると、それから、建物・土地はパートナー側で整備すると、ビームラインはそれぞれ国側とパートナー側で分担を決めながら進めるということになっております。
 それでは、029、これが評価票の結果になっておりますが、その下に進捗状況の評価結果で加速器、これは国側が担当するところですけど、当初の3年間で75%進んでいるというところです。
 それから、ビームラインのほうはパートナーと国側で分けて担当しておりまして、加速器ができてからのビームラインの建設ですから半分を超えたというところです。
 それで、評価の内容は次の030に書かれておりますが、全体の状況はコロナの影響もあって少し遅れはあるのではないかと見ていたところ、順調に進んでおります。一部前倒しで進んでいるところもあるぐらいです。
 それで特徴は、量子ビーム施設というのは放射線の管理区域になっていろいろ立入りが難しい、実験する場合でも難しいところがあるのですけれど、ここでは国で初めて立入りまで放射線の管理区域じゃないというところの方向性が出ておりますので、建設後に認可を受けるというところだと思いますが、そういう方向性が出ています。
 開発ビームラインは既に御説明したとおりです。
 産学連携、人材育成というのはこれからのところがありますので、今後頑張ってくださいというところです。
 国内外の連携については、加速器の建設に関しては既に連携をやっておりますが、今後運用に向けての連携というのは違う観点で連携が必要ですので、その辺りを指摘しております。
 必要性や有効性、効率性については特に変更はなく、妥当であるということを確認しております。
 最終的に結論は、033にございますように順調に進んでいるということもありまして継続が妥当であるというところで、引き続き着実に整備を進めていくべきであるという評価結果です。
 御説明は以上です。

【岸本分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問等がありましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 五十嵐委員、手を挙げていらっしゃいますか。

【五十嵐委員】  ありがとうございます。五十嵐です。よろしいでしょうか。

【岸本分科会長】  お願いします。

【五十嵐委員】  御説明ありがとうございました。2つとも順調に進んでいるという高い評価で、とても素晴らしいことだと拝聴しておりました。
 それで、少し気になった点が、この委員会の冒頭でも利害関係のお話があったのですが、それで見ますと、今回頂いた資料の6ページでしょうか、フラッグシップのほうの評価で量子科学技術委員会の先生方、国内の第一線の先生方が集まっていて、またこのプログラムはオールジャパンで取りかかるということで、量子の領域は非常にいままさに発展している領域ですからこういうことは当然あるかと思うのですが、ぱっと見まして、利害関係者で評価に加わらないという方のほうが多いというのが若干気になりました。今回の評価が問題だったというわけではなく、こうしたことへの配慮はどうなっているのかという説明は必要なのかなと感じましたので、ちょっと申し上げたいと思いました。
 失礼いたします。

【上田(正)委員】  それでは、私のほうからお答えしてよろしいでしょうか。

【岸本分科会長】  お願いいたします。

【上田(正)委員】  御指摘ありがとうございます。御指摘のとおりオーバーラップが大変多くなっていることは事実でございます。
 この理由は2つのことに起因しておりまして、まず、量子科学技術委員会をアポイントするときに本施策の、我が国の非常に重要な施策をしないといけないということで、現在量子科学に関する本当のトップの知見を有している方を中心に選定いたしました。それがこのリストのとおりになっております。他方、Q-LEAPのフラッグシッププログラムにつきましても、同じような趣旨からやっぱりトップの方々を選定するということになりまして、セレクションはインディペンデントになったのですが、結果としてこのようなオーバーラップになってしまったということでございます。ただし、評価におきましては利害関係者が直接加わらないような形で適切に行いました。
 以上でございます。

【岸本分科会長】  ありがとうございます。
 いかがでしょうか。

【五十嵐委員】  ありがとうございます。私も先ほど申し上げたように、そのとおりと理解しているのですけれども、やはり今後は評価というときになってくると、別の方に加わっていただくようなことも考えていく必要が出てくるのかなと思いましたので、よろしく御検討をお願いいたします。

【上田(正)委員】  そのとおりでございます。御指摘どうもありがとうございました。御指摘の線に沿って行っていきたいと思います。どうもありがとうございます。

【岸本分科会長】  そうですね、このプロジェクトに限らず、オールジャパンでやるときにどういう形で委員会を構成し、また評価していくかというのは、今後またこの委員会だけに限らず検討していく必要があるのかなと受け止めました。今後の課題として残しておくというのがいいかなと思います。ありがとうございました。
 ほかの委員の方々はいかがでしょうか。
 私からは、最初のフラッグシッププログラムにつきまして、人材育成について非常に積極的にされているということは、これからこの分野を伸ばす上で非常に大切だなと思っていますので、中心になって担う方々の育成と、あと裾野を広げるための人材育成と両方あるかと思いますけども、その辺りも進められているということで、非常に期待しているところでございます。

【上田(正)委員】  御指摘、大変ありがとうございます。量子科学技術というのは、半導体も含めて裾野が現在非常に急速に広がっておりまして、そのニーズが今や国家的ないろいろなレベルでますます必要とされております。そのような分野で今後十数年にわたって活躍する人材を考えますと、現在の量子だけをやっているという人材からのリクルートでは恐らく不十分で、もっと広い観点から、AIとかも含めて広い観点から人材を募り、彼らを育成していくことがますます重要になると思います。そのような点も御指摘の点を留意しながら進めてまいりたいと思います。御指摘どうもありがとうございます。

【岸本分科会長】  どうもありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。
 ほかの委員の方々からはよろしいでしょうか。
 それでは、ありがとうございました。次に、進みたいと思います。
 次は、防災科学技術委員会の中間評価になります。それでは、主査の上村委員から御説明をお願いいたします。

【上村委員】  上村でございます。よろしくお願いいたします。
 防災科学技術委員会では、54ページにありますプランに基づきまして、次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトにつきまして9月に中間評価を実施いたしました。今後の研究開発の方向性として本課題は継続すべきという評価をいたしましたので、このことについて御報告します。
 まず、58ページを御覧ください。プロジェクトの概要について御説明いたします。本プロジェクトでは観測・予測・対策の一体的な火山研究の推進と、理学にとどまらず工学・社会科学等の広範な知識と高度な技能を有する火山研究者の育成を目的としたプロジェクトであり、他分野との連携・融合を図り、一体的な火山研究を推進する次世代火山研究推進事業と、コンソーシアムを構築して大学間連携を強化し、体系的な教育プログラムを提供する火山研究人材育成コンソーシアム構築事業の2事業から成っております。平成28年度から令和7年度の10か年のプロジェクトとなります。
 63ページを御覧ください。中間評価票でございます。初めに、分野別研究開発プランや上位施策との関係ですが、本プロジェクトは、安全・安心の確保に関する課題への対応を大目標として、防災科学技術分野研究開発プログラムの達成目標2と3の対象課題となります。
 関係するアウトプット指標につきましては火山データの一元化と査読付論文数、アウトカム指標につきましては被害の軽減につながる予測手法の確立となります。各指標の過去3年度の状況はこの表のとおりとなります。
 続いて、64ページの3.評価結果を御覧ください。(1)の進捗状況について、本プロジェクトのうち次世代事業では一体的な火山研究を推進し、各課題において成果が得られているということに加え、プロジェクトの後半年度に入り設計・開発フェーズから実用試験・実用化フェーズに移行しており、課題間連携などによる成果の創出もなされていると評価しております。
 また、人材育成事業の進捗については、受講生の順調な受入れの下、各種セミナーや実習が精力的に実施され、修了生の約75%が火山研究や防災等の職に就職するなどしていることから、人材育成が着実に進んでいると評価しております。
 続いて、66ページ、(2)各観点の再評価となります。各観点の評価項目と基準については、従前からの変更の必要性はないとしております。
 まず、必要性については事前評価時から変わることなく、最近でも国内外で大規模な噴火が発生するなど、火山研究や人材育成に関する社会的要請は引き続き高いと評価しております。
 続いて、有効性については、各課題の技術開発の成果は噴火の切迫性評価や推移予測の高度化を行うものであり、自治体等の防災対策を検討する上での科学的バックグラウンドになるだけでなく、気象庁の噴火警報等の判断に活用され、説明会等を通じて住民の火山災害に対する理解の向上につながるなど、社会の防災力向上に資するものと評価しております。
 また、人的基盤の拡大については、人材育成事業による火山研究人材の育成のみならず、関連分野の研究者の参加など火山防災への研究の裾野の広がりも見られており、火山研究の人的基盤の拡大と、さらなる成果の創出に資するものと評価しております。
 続いて、効率性については、分野間連携による共同研究等を通じて、お互いの成果の活用や課題間連携が進められているほか、人材育成事業において学際的な火山学を系統的に学ぶだけでなく、工学、社会科学等のセミナーや、自治体等実務者との議論やインターンシップを実施するなど、効果的・効率的な取組がなされていると評価しております。また、データ一元化システムの開発にあたり、ユーザーとの議論を踏まえ開発が進められているなど、利活用促進に向けた取組も適切に進められております。
 続いて、69ページ(3)科学技術・イノベーション基本計画への貢献状況となります。本プロジェクトは、記載の各項の取組により、レジリエントで安全・安心な社会の構築に貢献するものと評価しております。
 70ページ、(5)今後の研究開発の方向性については、進捗状況、必要性、有効性、効率性の評価を踏まえると火山災害の軽減に資する我が国の火山研究推進のために不可欠な取組であり、本課題は継続と評価しております。
 最後に、(6)その他では、研究開発を進める上での留意事項として、課題間のさらなる連携の強化や、事業終了後の利活用を見据えた研究開発を行うことと記載しております。
 以上でございます。

【岸本分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問等はありますでしょうか。
 明和委員、よろしくお願いします。

【明和委員】  明和でございます。重要な課題を進めていただいてありがとうございます。私からは「総合知」について、今後ぜひ積極的に御勘案いただきたい点について述べさせていただきます。人材育成について、でございます。
 今お話しいただいた点は、防災等の研究者になる人をどう育成するかに重点が置かれていたかと思います。これに加え、私のような脳科学の専門家から見ると、一般市民の方を対象にいかに防災に対する感性を強めるかについて考えることも重要であるように思います。その点でいえば、まさしく思春期が大切です。脳が環境の影響を強く受けて変容するこの時期に、どれだけ身体で体験するかということが、その人の生涯において防災への意識を強める非常に重要な鍵になります。そういった意味におきまして、防災教育の側面をもう少し低年齢化し、この年齢層をしっかり巻き込みながらこの課題を発展させていただけると、非常に日本国にとってよいのではないかと思いました。提案です。
 以上です。

【上村委員】  お答えしてよろしいでしょうか。

【岸本分科会長】  お願いいたします。

【上村委員】  すごく大事なコメントをいただいたと思っております。今回は火山研究の報告でございましたけれども、防災全般に関わるお話、御提案かと思います。まさに重要なところでございまして、この火山研究に関しましても非常に長い10年間というプロジェクトの中で、当初はまさに火山研究が主だったのですけれども、非常に人的な広がりも見せておりまして、火山防災の社会全体というところへの広がりが非常に出てきているというところを我々委員会でも評価しているところでございます。
 学生さんも、学会員になって勉強してくれる方が非常に増えているというよい傾向も見えておりまして、ただ、今御提案いただいたようにさらに低い年齢の皆さんに体に感じるような経験をしていただきながら学んでいただくというのは今後非常に重要な方向になってくるかと思いますので、委員会のほうでもまた考えていきたいと思います。ありがとうございました。

【岸本分科会長】  ほかに御意見、御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、どうもありがとうございました。以上で中間評価の説明が終了いたしました。全体を通じて御意見、御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、ただいま御審議いただきました評価案につきましては原案のとおり本分科会として決定したいと思いますけども、いかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
 どうもありがとうございました。それでは、分科会として評価案を決定したいと思います。
 それでは、次に、議題2の「分野別研究開発プランの変更について」です。前回の本分科会で分野別研究開発プランを決定したところですが、ライフサイエンス分野研究開発プランを構成する研究開発課題について中間評価実施時期の変更希望がありましたので、御審議をお願いいたします。
 それでは、ライフサイエンス委員会主査の宮園委員から御説明をお願いいたします。

【宮園委員】  宮園でございます。ライフサイエンス委員会より、ライフサイエンス分野研究開発プランの変更について御説明いたします。
 資料2-1、通し番号で73ページを御覧ください。変更箇所は、ライフサイエンス分野研究開発プランにおける新興・再興感染症研究基盤創生事業の中間評価時期となります。
 具体的には、通し番号で76ページを御覧くださいますでしょうか。当初は、新興・再興感染症研究基盤創生事業の中間評価は令和4年度及び令和6年度に実施としておりましたが、これを令和5年度に変更したいと考えております。その理由は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックを受けまして、令和3年6月のワクチン開発生産体制強化戦略の閣議決定、それから、今年度末をめどとしました国際的に脅威となる感染症対策の強化に関する基本計画の改定に受けた作業、さらに内閣感染症危機管理統括庁(仮称)の設置の検討など、研究開発を含めまして政府全体で新興・再興感染症に係る政策が大きな転換期を迎えております。このため、当該事業の中間評価におきましては、このような政府全体における新興・再興感染症に係る政策の方向性を踏まえた議論を行う必要があるということから、中間評価時期を変更させていただきたいと考えております。
 以上になります。どうぞよろしくお願いいたします。

【岸本分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問等はございますでしょうか。特によろしゅうございますでしょうか。
 それでは、ただいま御審議いただいた変更案につきまして、変更を反映した資料2-2のとおり分科会として決定したいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、この案のとおり決定したいと思います。ありがとうございました。
 それでは、次の議題に移りたいと思います。次に、議題3の「第11期の活動状況について」です。第11期の本分科会の活動については、昨年8月に開催した本分科会で、取り組むべき活動を御議論いただきましたが、今期最後の科学技術・学術審議会総会において、それを踏まえた活動実績の報告を求められております。つきましては、その報告内容について御審議をお願いしたいと思います。まず、事務局より報告の案について説明をお願いいたします。

【佐野科学技術・学術戦略官】  ありがとうございます。それでは、説明させていただきます。
 資料3-1、267ページをお願いいたします。この資料におきましては、11期の活動状況についての案をつくらせていただいております。まず、真ん中の下の辺り、今は点線になっているところでございます。こちらが当時、66回、昨年10月の総会で、この本分科会からの活動案ということで報告させていただいたものでございます。内容的には計画等の審議、研究及び開発の計画等の審議、研究開発課題の中間・事後評価、プログラム評価の導入、それから総合知の創出に向けた観点が含まれているということを意識するということを報告させていただいたところでございます。
 今回、これを受けました本分科会の活動を踏まえまして、この上のほうに書かせていただいている案を作成させていただいております。内容的には、まず、1つ目のポツでございます。この分野別研究開発プランを策定いたしまして、その各分野において重点的・戦略的に推進すべき研究開発の取組や推進方策を定めた、とあります。
 それから、2つ目でございます。このプラン等に位置づけられた研究開発課題について、引き続き事前・中間・事後評価を実施した、とあります。
 そして、3つ目でございます。この基本計画、基本計画というのはこの第6期の科学技術・イノベーション基本計画を指しているところでございますが、この基本計画に記載されている研究データの管理・利活用に関する取組、それから総合知の創出・活用に向けた取組を促す観点等から、研究開発課題評価の評価票の見直しを行った、とあります。
 それから、4つ目でございます。これはこれからのことも少し含ませていただいておりますが、研究開発プログラム評価については、既存の資料や評価体系を活用することで屋上屋排除、それから負担軽減に配慮する形で試行を開始することとしたと。そして、この試行においては、まず分野別委員会等においてプログラム全体の状況を把握し、分科会に報告いただくというようなことで、今後プログラムの進捗状況を確認するというように書かせていただいているところでございます。
 それから、少し下に下がっていただけますでしょうか。ありがとうございます。こちらは、活動状況に加えまして、今回資料の参考資料の40ページを出していただければと思いますが、前回の本分科会で、総会で議論された資料ということで、第6期の科学技術・イノベーション基本計画に記載の目標・主要指標と科学技術・学術審議会の分科会等の活動についてという資料を紹介させていただいたかと思います。この辺りの指標との関係についても、でき得れば少し議論していただきたいということがございまして、事務局のほうで、すみません、あっちこっちへ行って恐縮でございますが、本体資料の資料3-2、ページで言うと268ページです、こちらについて事務局で、今の参考資料から、本分科会に関係する部会及び委員会に関係する内容について整理させていただいたものを出しております。ちょっと字が小さくなって大変恐縮でございますが、この表の左側が第6期科学技術・イノベーション基本計画の中で本分科会に関係する部会、委員会の関係するところの目標、それからその目標に位置づけられている取組のうち本分科会に関係ある取組について並べさせていただいたものでございます。そして、その右側には、先ほど変更を加えていただきました分野別研究開発プランの中での分野別委員会等について、ここのページはちょっと分かりにくいので、次のページに移っていただけますでしょうか。このような形で委員会と、それから研究開発プランに記載の当該分野におけるアウトプット指標、アウトカム指標というようなものを少し整理していただいたものというのを用意させていただいております。本日はこれを議論するというよりも、この前のページに戻っていただきまして、267ページでございます。
 これの一番下のほうにあるように、状況を少し整理させていただいたことを踏まえまして、なお書きで少し書かせていただいておりますが、この基本計画に記載の目標のうち、科学技術・学術審議会第12期の準備活動において、基本計画の目標達成に向けて当分科会で議論を進めていく活動についてということで少し書かせていただいておりますが、今期内にプログラム評価の試行の結果も踏まえ、基本計画との関係も見ながら、必要に応じ、評価の指標についての議論も進めていくということで、これは今後の話でございますが総会のほうから下りてきた宿題ということで、書くとしたらこういうことかということで案をつくらせていただいております。
 事務局からの説明は以上でございます。

【岸本分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明について、御意見等はありますでしょうか。いかがでしょうか。
 この分科会についてはまだ開催の予定がありますけれども報告のほうが先になってしまうので、書きぶりについて終わらせたものと、まだ少し宿題、これからやるものとか交ざっており、最後のところについては今後進めていくところも含まれております。このような形で報告ということでよろしゅうございますでしょうか。
 特に報告内容については御意見がございませんでしたので、この形で御報告するということで了承していただいたということにしたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、次に、議題4に移りたいと思います。議題4は「最近の研究開発評価の動向について」になります。本日は4件の御報告がございます。まず最初に、研究データの管理・利活用に関する取組状況の評価体系への導入についてです。公的資金による研究データの管理・利活用に関する取組は、第6期科学技術・イノベーション基本計画で評価体系に導入することが記載されており、本分科会で実施する研究開発課題評価でも様式に取り入れているところであります。このたび、関係府省における導入に際しての参考となる指針が取りまとまりつつあるということで、内閣府から赤池参事官にお越しいただきました。
 それでは、赤池参事官から御説明をお願いいたします。

【赤池内閣府参事官】  よろしくお願いいたします。まず、こういうプレゼンテーションの機会を与えていただきましてありがとうございます。内閣府で研究データの管理・利活用を担当しております。
 それでは、画面を共有させていただきます。よろしいでしょうか。
 今、公的資金の研究データ管理・利活用という図を共有させていただいております。大変恐縮なのですけれども、関係各省と一部調整がありまして、まず今日は投影だけとさせていただいて、近日中にサイト上にアップさせていただきます。
 基本計画におきましても研究データの管理・利活用は大事な項目として入っておりまして、統合イノベーション戦略や、これはナショナルデータポリシーと呼んでいますけれども基本的考え方を示しまして、今鋭意進めています。
 どんなことかといいますと、NIIで研究データ基盤システムを中核的な基盤システムとして整備していただいていますので、これの上で研究データをまずは検索できるようにしようという体制を整えていこうというのが基本計画の目的でございます。それをどうやってやるかというのは、まず左側でございますけども、大学や研究機関の研究者の方に管理対象データの範囲を特定していただいて、メタデータをつけて管理リポジトリの上に載せてもらいます。そうすると研究データが基盤システム上で検索できるようになりますので、まず左側としてはそれをやっていただくということをお願いしているところです。
 右側のほうは、今、マテリアルも防災もそれぞれデータプラットフォームをつくっていらっしゃいますので、そこと横の連携でカバーの範囲を広めていくということを行っております。ただこれはまさに始めたところでして、これに対するインセンティブが極めて重要でございます。インセンティブの1つとして、私どもは取組状況の評価を導入するということを基本計画や基本的な考え方に書いています。それで、FAにも協力いただきまして、フォーマットの中に入れていただいたり、様々なことをやっているところです。
 それで、今ムーンショット研究開発プログラムで試行的な運用をやっているところですけれども、その実務的な必要性だとか、あと各省さんから緩やかなりとも何か考え方を示してもらえるとありがたいという御要望もありまして、今回、非常に簡単ながら研究データマネジメントの評価への導入に対する考え方というものを少しまとめております。
 その前に申し上げますと、研究データの評価の体制はどのような形になっていますかというと、まず組織と資金配分機関からの競争的資金などの両方の要請が入ってくるということでございます。この縦の機関のほうは機関の持っているデータポリシーで管理されるということ。この横のほうは、公募要領だとか契約だとか実施要項の中で研究データをどう管理していたかということと重なっている部分をメタデータの共通項目として定めて、こういう管理をしてくださいということをお願いしていることをやっていますかということで評価しているという形になっています。それで、これは今まさに本当に簡単な2枚ぐらいの紙でございまして、こういうタイトルのもので、本当にあと数日内でフィックスして公開する予定でございます。
 用語の定義等は割愛します。
 対象としては、ここに書いていますけれども、この前にお見せしたのと、縦のですね、機関としての評価をどうやっていただくかという話と、FAからの競争的資金等の評価をどう考えていくかということでございます。ここで書いているのは、どう具体的にやるかというところはまだ発展途上で紙に起こし切れていないところは多々あります。ですが、少なくともまだメタデータの数をカウントしたりだとか、利用実績を比較したりだとか、まだそういう段階まで来ていないところもございますので、まずそういう管理をやっていただいているかどうかという取組自体を評価してくださいという思想で考えております。
 例えば、観点としては研究評価のためにやっていただいていますかだとか、ちゃんとDMPを策定していますかとか、適切にメタデータを付与していただいていますかだとか、ちゃんとオープンアンドクローズ戦略に基づき、何でも公開、何でもクローズとか漫然というのではなくて、考えた上でやっていらっしゃいますかというようなことをやってくださいという話になっております。それで、もちろんメタデータはカウントすることは一応できますけども、そこに対する数字そのものを評価の対象とするものではありませんということも留意点として述べているところでございます。
 そのほか、例えば個人情報や企業秘密だとかそういうことに関する留意点などもお示しするとともに、関係文書の参照などもお示ししているところでございます。
 ということで、極めて発展途上でもありますし、文部科学省にも協力いただいて今までの事例の積み重ねをしていきたいと考えているところでございます。
 私からの説明は以上です。

【岸本分科会長】  御説明ありがとうございました。
 ただいまの御説明について、御質問はございますでしょうか。では、高梨委員、林委員、安浦委員の順番でお願いしたいと思います。
 まず、高梨委員からお願いいたします。

【高梨(弘)委員】  高梨です。御説明ありがとうございます。
 一つフォローできなかったのですが、インセンティブの話が出たと思うのですが、結局どういうインセンティブをお考えなんでしょうか。そこのところが具体的によく分からなかったのですが。

【赤池内閣府参事官】  インセンティブはいろいろございます。まずは、支援体制を整備してやっていただくということもインセンティブですし、あとは取組状況の評価の中で、研究データのマネジメントをしていただいていくことをプラスに評価するということを評価の仕組みの中に導入しようとしています。
 それから、あとは将来的には例えば研究費を取るときの実績の中にそういうもの、研究データ、今は論文とかプレプリントなんかも少し入り始めていますけれど、そういう評価体系の中に研究データのマネジメントということも将来的に入ってくると望ましいのではないかと考えていまして、そのように総合的に研究データをマネージしていただくことに対するインセンティブにしていきたいということで考えているという趣旨でございます。

【高梨(弘)委員】  だからその機関の評価にプラスになるという、結局はそういうことですね。

【赤池内閣府参事官】  そうですね、それもございます。評価はいろいろございます。例えば各省が研究機関を評価するというのもありますし、あとは機関が、所属している研究所、あるいはその中のプロジェクトを評価するというのもあります。それで、あと資金配分機関がそのプロジェクトを評価するなどいろいろなものがありまして、これは全部研究開発評価ですけども、今回のペーパーで特にまとめたのは、それぞれの機関が自分のところで行う研究開発のプロジェクトや、プロジェクトを行うに当たっての評価についての留意事項をまとめたというところであります。
 ですので、各省がFAを評価するだとか、あるいは人事評価的なものだとか様々な評価がありますが、そのところはまだ入れていません。まだ現時点ではちょっと文書ができていませんということでございます。

【高梨(弘)委員】  ありがとうございます。

【岸本分科会長】  それでは、林委員、お願いいたします。

【林委員】  ありがとうございました。
 今の話にも絡むところなのですが、横と縦の先ほどの軸があって、この分科会は資金配分機関ではないのですが、横で研究開発課題を今日も前半でやっていたみたいな事後・中間評価するときとかにこういうデータの扱い等についてもしっかりと見ていってほしいという、そういうことだと理解しました。
 縦なのですけれども、これは研究開発法人ならまだいいのですが、大学に関して、各国はもう既に様々な評価でこういうオープンデータの、まさに赤池さんが御説明されたようなところで、ある種その管理ができているかというのを見ているのですが、文部科学省高等教育局としっかりと連携していただくことに期待します。特に日本の大学の場合は国立大学法人評価とか、あるいは公立大学法人評価は各地方自治体でやりますけれどそういうところに入れるか、認証評価の中で、認証評価は教育中心ですけれども、そこでこういう研究データについても環境の評価として見ていくかという、しっかりとどこにどう入れていくかを具体性を持って議論しないと、なかなかこういう議論が高等教育局がやっているような議論の中に入っていかないなと思ってずっとこの数年見ていました。ですので、赤池さんは文部科学省にも内閣府にも両方関わっていて、いろいろと発言を行っていくところだと思いますので、ぜひ高等教育局とも連携しながら進めていただければと思います。
 以上になります。

【赤池内閣府参事官】  ありがとうございます。御指摘の点は大変重要だと思いますので、今の事務局の科学技術・学術政策局、高等局と一緒にやっていきたいと思います。
 それで、今先行的にやっているのはムーンショット研究開発プログラムとか次期SIPに入れようと思っているのですけれど、そういうところの経験なども踏まえて、あるいはそのときの機関の御意見なども踏まえてやっていきたいと思っています。
 まず、第一段階として、評価以前の問題として研究データのデータポリシーを大学につくっていただきたいということが最初のポイントとしてあります。まだ残念ながら今のところ数大学しか策定していないところですので、そういうものがはっきりするとこういうデータポリシーに基づいてこういうデータマネジメントをする、では、その評価としてどうであるという議論ができるところになりますので、まずはそこからお願いしたいなと考えているところでございます。
 ありがとうございます。

【岸本分科会長】  それでは、安浦委員、お願いいたします。

【安浦委員】  情報委員会の安浦でございます。
 趣旨は非常によく分かって、情報委員会のほうでもこれを実現するための方策についていろいろ議論はやっているところでございますけれども、一番問題なのは、実際、大学の研究者は今の仕事だけでかなり厳しい状況にあって、その中で新たな仕事を入れていくときにどうやるかという問題が一番大きな問題で、特に大学において図書館、それからURA、あるいは情報基盤センターみたいな情報部門、こういったところがどのようなサポートができるか、それによって研究者の負担をどこまで抑えられるか、これが実現できるかどうかの極めて大きなポイントになってくると思います。
 そういう視点から見たときに、ムーンショット等で試験的に行われる中で、大学に対してこういうことをやることに前もっての資金的な援助とか、あるいは構造改革に対する支援といったものをどのように施策全体として考えていただいているかということを教えていただきたいのです。

【赤池内閣府参事官】  極めて大事なところでございます。今示しましたけども、公募型研究資金からのアプローチというのはすぐ手がつきやすいところなのですが、この2番目の資金からのアプローチというところで、今、先生の御指摘のとおり支援体制というクリティカルな問題がございまして、まず、審議対象者はCSTIで研究に専念できる時間の確保ということで、例えば機器、設備の利用だとか、あとURAの体制なども、あるいは評価だとか、大学の試験だとかそういうことも含めて大学のマネジメントを全体としてもうちょっとよい形にできないかという議論はさせていただいております。
 あともう一つ、より実効性を高める措置として統合イノベーション戦略2022にも少し書いたのですけども、例えば大学ファンドだとか、あとは地方大学のパッケージといった、
大学そのものの経営改革を促すような仕組みの中に、場合によっては要件ですとか、あるいは、きっと大学からするとそれに対するプラスアルファの予算だとか評価ということがあるかもしれませんが、いずれにせよそういう具体的な制度と連動させながらやっていくべきではないかという議論もありまして、まだ統合イノベーション戦略に簡単に書いただけなのですけど、その具現化に関しては今文部科学省各局と議論させていただいているところでございます。その辺りは非常に大事なポイントだと考えております。もちろん、今でもNIIが研修をやったりだとか、あと、これは先ほどCSTIの木曜会合で京大の引原先生をお呼びするのですけど、京大では機関リポジトリだけじゃなくて、それに対する支援体制なども一緒に整えるような取組をやっていますので、そういう好事例などの御紹介も含めてやりながら、組織を大学や研究機関の中にしっかり定着させていくというのは極めて大事なことだと考えております。
 ありがとうございます。

【安浦委員】  ありがとうございます。大きな大学は、いろいろそういう支援体制を組んで人を張りつけることがある程度可能になってくるんじゃないかと思うのですが、中小の大学においてはなかなか個々にそれをつくるのが難しいので、大学が連携して、組織をまたいでサポートする体制とか、そういったものも併せて検討できるような方向性も、ただ各大学でやりなさいというだけではなくて御指示いただければ、また各大学が協働して動くことがやりやすくなると思いますので、その辺もお考えいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【赤池内閣府参事官】  ありがとうございます。

【岸本分科会長】  あと、春日委員がお手を挙げていただいているかと思います。お願いいたします。

【春日委員】  国立環境研究所の春日と申します。地球観測推進部会の部会長を務めており、またフューチャー・アースという国際研究プログラムの事務局にも関わっております。
 その観点からお尋ねしたいのですが、今回のデータポリシー、データマネジメント、またデータプラットフォームの基本的な考え方において、国際的な同様のポリシーですとかプラットフォームとの連携関係はどのように整理されているんでしょうか。

【赤池内閣府参事官】  お答えします。国際連携も極めて大事なテーマでございます。まず、NIIのほうで、私どもはメタデータの共通項目と入れていますけども、国際的なメタデータ、様々な分野のメタデータの共通部分ですけども、そういうものが国際基準に合うようにというようなテクニカルな意味での設計は、一応留意しつつやっております。
 また、国際的なプラットフォーム間の連携も非常に大事でして、我々のカウンターパートとしてEuropean Open Science Cloud(EOSC)という取組がございまして、そことのメタデータの統合といいますか、そのレベルでの協議を今やっておりまして、来年日本でG7をやりますけども、そこでもそういうプラットフォーム間の相互運用性の確保ということを1つのテーマとして議論していきたいと考えております。
 また、各分野、これは多分先生の環境の分野もそうですし、それから防災、あとは高エネルギー物理学など国際ネットワークが既に非常に進んでいるところもございますので、そういうところとの横連携も非常に大事だと思います。ただ、意外と細かいところの仕様に合わせるというのは本当に難しくも大事なことでありますので、今ちょっと丁寧にやっているところです。いずれはAPIを介して自動的にやれるような状態になるといいんでしょうけど、今はまずコンセプトの共有、メタデータの共有とだんだん順序を追って進めているところであります。そんな現状でございます。

【春日委員】  ありがとうございます。連携に加えてセキュリティーの問題もあると思いますし、また言語の違いによる本当に困難なところは多々あると思うのですけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

【岸本分科会長】  ありがとうございました。
 ほかに御質問、御意見はございますでしょうか。
 私からは、ぜひこれがきちんと定着していくといいなと思っておりますので、今日の御説明、本当にありがとうございました。

【赤池内閣府参事官】  ありがとうございました。

【岸本分科会長】  あと、強いて言うと、これを順番につくっていくということが非常に大切なのですけども、出来上がったときに、今度はそういったところでどういう活用法が考えられていて、これがどんなメリットが研究者の方々、皆さんに有効に働いていくのかという姿を見せていくと、つくっていこうというような機運がもっと高まるのかなと思いますので、そういった見せ方もみんなで考えていかなければいけないのかなと思いましたので、よろしくお願いしたいなと思います。

【赤池内閣府参事官】  ありがとうございます。今、事例も集めて分かりやすい形でという取組も始めておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

【岸本分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、赤池参事官、お忙しい中、御説明いただきましてどうもありがとうございました。
 それでは、次に移りたいと思います。次は、次回の本分科会で予定しております分野別研究開発プログラム評価の試行がございます。そのための情報提供といたしまして2件の報告をいただき、その後まとめて質疑応答の時間を取りたいと思います。
 まず、「研究開発プログラム評価のためのエビデンス構築の試行」につきまして、林委員から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【林委員】  ありがとうございます。私から、10分程度で御説明させていただきます。
 次のページをお願いいたします。私から何を説明するかなのですが、今、我々と、それからこの計評を担当されている文部科学省の部局で、ここにSciREXとアルファベットで書いてありますが、そういう研究プロジェクトをやっています。それが何かというと、科学技術・イノベーション政策においてEBPMをどうやって推進できるかということを検討しています。
 真ん中のポツにありますが、その中で我々が特に焦点を置いているのが、プログラム評価の中でエビデンスと言えるようなものをどうやってつくっていけるだろうかということで、それを模索しているということです。下に赤字で書いてありますが、プログラム評価では具体的にどういうエビデンスの形成が望まれるのか、あるいはそれが実際に可能なのかということを試行しているものになります。
 このプロジェクトでは、ここにあるようにナノテクノロジー・材料分野をケースとして焦点を置きながら検討しているものになります。それを今日、御紹介させていただくものになります。
 次に行ってください。一般的に、ほかの国も見て、研究開発プログラムに何が必要なのかということをここに書いてあります。ただなかなか悩ましいのが、日本あるいは文部科学省のこの計評で言う「プログラム」というものと、ほかの国とかで使っている「プログラム」というのはやや概念の違いもあります。ほかの国ですとファンディングプログラムという表現をよく見るのですが、そうすると我々の中では研究開発課題のところ、そこも個別の研究チームやプロジェクトにファンディングをしている枠組みになりますので、そういう課題もファンディングプログラムとほかの国では呼んだりもするのですが、ここで全てひっくるめて一般的な研究開発プログラム評価ということで書いています。ほかの国の状況等を見ると、大体視点としてはこういうものがあるかと思います。
 まず1つ目は、そもそも評価しなさいと言われているから評価するのですが、ただそれだけだと評価結果は何にも使われないことも多いですので、評価を通じて何を学習しようとしているのかというその問いの設定をしっかりやりましょうというのがまずあります。
 それから2つ目、(1)と書いてあるところです。セオリー評価と呼ばれるもので、我々、課題評価をやるときも必要性を見ますが、なぜそういう施策・事業を行うのかということを検討すると、そこでエビデンスをどうつくるかという話があります。
 それからプロセス評価ということで、実施の仕方がプログラムの目的と整合しているように進んでいるのかということ。
 それから、3つ目でアウトカム評価ということで効果が得られているかということ。
 それから、4つ目、科学技術・イノベーション政策ですので、そのときそのときのアウトカムが出たという話だけではなくて、今日も人材の話がありましたけれども、継続して研究が進展していくような基盤がちゃんとできているのかと、そういう視点を見ながらプログラム評価をやるというのが一般的なものかと思います。
 その次に行ってください。これを踏まえつつ、さらに最近の状況を見ると、こういう今お示しします政策階層からの視点というのが必要ではないかと思っています。現在、昔と比べまして各分野ごとの戦略というのは文部科学省だけじゃなくて上の内閣府、CSTIのほうでつくるというのが増えてきています。上にオレンジ色で分野別戦略と書いてありますが、そういった国全体で分野別の戦略をつくると。その下で、文部科学省のここのところで、我々のところで議論しているように研究開発プラン、プログラムを考えるのですが、それは国全体の戦略を踏まえつつも、文部科学省としての戦略を検討するというところになります。
 その中でプログラムをつくり、そしてその中に個別の事業があるわけですが、さらに、それが当然ながら研究実施をするのは文部科学省ではないので、一番下に書いてあるみたいに具体的な大学、研究機関の研究現場というのがあります。右横に赤字で書いてありますが、これまでの研究課題やプログラムの評価というのは、例えば赤字の3つ目、事業あるいは研究課題として目標があって、それが達成されたのかというものに焦点を置かれてきました。新しく我々の中でもプログラムという言葉が出てきましたので、1つ上にありますように事業群の連携のようなある種相乗効果というか、そういうものが生まれるような形になっているかというのが新しい視点として出てきています。
 ただ、それだけではなくて、その1個上にありますように、先ほど申し上げたように内閣府が分野別戦略をつくるようになってくると、そもそも文部科学省のやっているプログラム、そして個別の事業群は内閣府がつくっている戦略の一体どこにどれほど貢献できたのかと、そういうことを示すことが求められるようになると考えられます。今までは事業が目指していたものが出来上がっていたらよかったというか、そういう評価をしていたわけですが、今後は内閣府が分野別戦略をつくっていく中で、文部科学省は一体どこに貢献しているのかというのをどうやってエビデンスで示せるのかと、あるいは評価の中でそれをちゃんと評価できるのかと、そういうところがより重要になってくると思います。
 さらに、4つ目の赤字のポツに書いてありますが、ほかの国の議論を見ても、個別の研究開発課題にしても、例えば拠点をつくるやり方もあれば、プロジェクト型でファンドをするようなやり方もありますので、どういうやり方をすることで実際の研究現場に、研究活動の成果にいかなる影響が出ているのか、効果が出ているのかと、そこの確認をしていくという視点も生まれてきています。こういうような視点を踏まえながら、我々のほうも今検討をしてきているところです。
 この後は、時間もありませんので、ある種ショーケース的にどういうエビデンスができているかというのを幾つか見ていきたいと思います。
 次のページをお願いいたします。まず、今申し上げたように分野別戦略というものがあって、その中で文部科学省の事業があるという枠組みになってきています。そうすると、実際に内閣府がつくっている分野別戦略というのはどういう範囲のものであって、そこの中で文部科学省の事業はどこに位置づくのかをいかにエビデンスで示せるかということを検討してできているのがこの図になります。この図はちょっと見にくいのでイメージだけ持っていただければいいのですが、この2次元の中に幾つか、ここではマテリアル戦略を使っていますが関係するキーワードが、ポツ、ポツ、ポツと入っています。緑色で大きくくくられているのが、内閣府がつくっているマテリアル強化戦略の中にあらわれているキーワード群をカバーする範囲になります。下のほうに横長で青く書いてあるのが、これはかつて文部科学省でつくっていたナノテクノロジー・材料科学技術研究開発戦略のキーワード群がカバーしている範囲になります。これを見ると、その中で三角が幾つかあるのですが、これは文部科学省だけじゃなくて国全体の関係する事業をプロットしてあります。関係する事業がキーワードに近いところにプロットされる形になっています。そうすると、今まで文部科学省の青い横の丸がありますが、その中心にあるのが文部科学省のナノテクの、我々の今の言葉で言えばプログラムに相当するところですので、昔の文部科学省の戦略で言えばその中心に位置していたというものなのですが、今やもう内閣府のマテリアル戦略を見ると、緑の枠の中の下のほう、特に基礎研究とかそちらをやるところの部分にそれは位置していて、それ以外の経済産業省や環境省、国土交通省とか、そういう関連の事業群が上にあるというポジショニングになっているというのが見えてきます。
 次のページへ行ってください。それが見えてくると、実際にそういう関連事業群の間で文部科学省がやっている事業とほかの経済産業省や国土交通省との間の橋渡しの構造というのは一体どうなっているんだろうかという議論が今後はできるようになってくるし、しないといけないと思っています。ただなかなか現状はその橋渡しの関係も不明ですし、あるいはTRLと書いていますが、研究開発のステージも各事業ごとにどのステージをやっているのかというのはクリアでないのでなかなか図を描きにくいのですが、このイメージですけれども、こうやって各事業群の間でどういう関係になっているかというのを見ていくということが、一つ上の政策との関係でエビデンスとして出てくるところだと思います。
 次へ行ってください。それに加えて、個別のプログラムや個別の事業を見てみると、今幾つかの事業についてはロジックモデルをつくるということが求められています。最初のポツに書いてありますように研究開発のところで、研究開発が社会経済効果を生むというような一本線のロジックモデルをつくると、評価委員会で社会経済効果が出たのかということを評価されてしまう。しかし、そんなに短期間にはなかなか出ないというのが通常ですので、自分で自分の首を絞めるというか、そういう状態になってしまいます。科学技術・イノベーション政策に適したロジックモデルというのもまた新たに検討していかなければいけないということで、我々のほうは科学技術・学術的な価値と社会経済的な価値、それから研究基盤・エコシステム、その3本の軸の下でロジックモデルをつくるということを今検討しています。
 次に行ってください。そういう3つの下で、3本の並行の下でどういう事業が展開しているかというのを見るということが必要であるということです。
 さらに次へ行ってください。こういうロジックモデルをつくる中で、先ほど評価が評価のためのものではなくて、評価を通じて何を学ぶかということが重要だと申し上げたのですが、実際こういうロジックモデルをつくる中で行政官の方とお話をする中で、一体評価をする中でどういうことが見たいのかというのがここにあるように見えてきて、今元素戦略という事業を1つの対象にしているのですが、例えば物理学、それから材料工学、それから大規模な実験施設と、そういうようなグループの間で本当に融合関係ができているのか、そういう事業でしたので、そういうのができているかということを確認したりとか、Learning Agendaと言いますが、そういうところを明確にするということがこのロジックモデルをつくるプロセスの中から検討できます。
次のページですがこの辺りも細かいので、イメージだけつかんでいただければと思いますが、今申し上げたようにLearning Agendaが物理学、あるいは化学のような研究者と材料工学の研究者が融合するような研究が展開しているのかというのが問いであるとすると、ここの右で元素戦略、左で元素戦略以外の科研費を取っているような研究者を分野ごとの集合をプロットしています。図で上のほうが物理学の研究者、左の下が化学、右下が材料工学ということなのですが、実際に科研費と比べると、その間に線がたくさん引いてあると思いますけれども、やはり元素戦略の中では通常の科研費の研究者と比べると分野をまたぐような連携がかなり起きているということが見えてきています。
 さらに次へ行ってください。その連携関係も拠点ごとに大分異なるというので図をつけています。
 次に行ってください。また同じように、例えば数理物理、計算物理のような方がマテリアルサイエンスのジャーナルに論文を出すようになってきているのかということを見ても、ここに赤い線が引いてありますが、2008年から2012年、元素戦略が始まる前に、元素戦略に参加した研究者が始まる前に書いていた論文は3割、4割ぐらいがマテリアルサイエンスだったのですけども、元素戦略の中で始まった後に書いてあるのはそれが5割、45から50%近くに伸びていると。下に青い線が書いてありますが、元素戦略以外の科研費の研究者だと、数理物理の研究者は別に材料ジャーナルに出していない、そんなに出していないというような差が見えますので、元素戦略によって融合が増えているというのが見えてきます。
 時間もないので少し飛ばしながら、同じようにTop10%論文が増えているかというのも科研費の研究者と元素戦略で比較しています。
 これは元素戦略4拠点でどのぐらい引用数の多い論文が出ているか。
 さらに次のページに行ってください。冒頭でも、例えばナノサイエンス全体の中で文部科学省のやっている元素戦略、あるいはナノテクプラットフォームもそうですが、一体どのぐらいのポジションにあるのかというのを、先ほど政策文書は見たのですが、これはナノサイエンス分野全体の論文の中でどのくらいの位置づけにあるかというのを論文数で見ています。当然ながら科研費のほうが資金規模は大きいですので、実際ナノサイエンスの分野でも科研費による論文というのが多くを占めていて、この元素戦略というのは数としてはそんなに、そこから出てくる論文は多くないです。
 次に行ってください。ただし、それが引用数Top10%論文になると、元素戦略は青い線で書いてありますけれども、全数で見るものよりはかなり多くなっていて、2019年時点では8%を占めているような形で、日本の中でもTopの論文を出すような効果は出ている。
 さらにその次に。ただ、研究者というのは必ずしも1つのファンドだけで研究活動しているわけではなくて、これはCRESTとかJSPSフェローとかさきがけとか書いてありますが、同じ1人の人がどのファンドを同時に持っているかというのを示しています。こういう状況を見ながら、例えばナノテクプラットフォームのファンドもありながらCRESTのファンドを持っているとか、あるいはSPring-8を使いながらとか、そういう関係が見えてきますので、研究開発プログラム全体を見るときにどのようにファンド間の連携が起きているかということも見ることが可能になっています。
 さらに次へ行ってください。結局のところ、こういうような融合とかが展開された結果、日本のナノサイエンス分野がどういう傾向を海外と比べて生み出しているのかですが、ナノサイエンスの論文全体で見るとそんなにはっきりしないのですが、ナノサイエンスの中のTop10%論文で見るとPhysicsのジャーナル論文がかなり多くて、その中でも14%に元素戦略が貢献しているということで、元素戦略を展開することで日本のナノサイエンスの分野というのがほかの国と比べて少し違う特徴を示している、そういうところに効果を及ぼしているというのが見えてきます。
 ということで、やや後ろのほうのショーケースみたいなところはテクニカルな話が多かったと思いますが、お話ししたかったことは、国の上の内閣府の戦略との関係、それから具体的に研究活動にどういう影響が及ぼされているかと、この上下のレイヤーとの関係を意識したエビデンスをつくっていくことで、プログラム・事業の重要性を評価のところでも検討できるようになるということがEBPMとして必要ではないかということで、我々の中では調査を行っています。
 以上になります。ありがとうございます。

【岸本分科会長】  御説明ありがとうございました。
 それでは、続きまして、「科学技術指標2022」について御説明をお願いしたいと思います。これは科学技術・学術政策研究所において毎年作成されているものですけども、本日は御担当の科学技術予測・政策基盤調査研究センターから伊神センター長にお越しいただきました。
 それでは、伊神センター長から御説明をお願いします。

【伊神科学技術予測・政策基盤調査研究センター長】  御紹介ありがとうございます。政策研の伊神でございます。
 それでは、次の295ページをお願いします。今の御紹介にありましたが、この科学技術指標は、2つ目のポツにありますように科学技術研究活動を研究開発費、研究開発人材等の5つのカテゴリーに分類して、約170の指標で日本及び主要国の科学技術活動を見ているものでございます。今日御紹介するのは主に国、部門レベルのマクロなデータではございますが、今後の分科会での議論の際に御参考としていただければと考えてございます。
 次のページをお願いいたします。こちらは主要な指標における日本の動向をお示ししております。上のほうから研究開発費、研究者ということで部門別に示しております。マクロで見ますと、日本の数というのは多くの指標で米国、中国に続く第3位または第4位になっております。下のほう、アウトプット系の論文数や注目度の高い論文数を書いてございますが、こちらは前年と比べると順位がやや下がっているという状況になります。一つポイントは、ほかの国に比べると、現状の日本の伸びという点で他国に比べて伸びが小さいという状況になってございます。
 その1つの象徴的なデータとしまして、次のページを御覧ください。297ページです。これは大学部門と企業部門の研究開発費をお示ししております。これは使用した額です。赤い線が日本で青い点線が米国、オレンジが中国となってございますが、日本は2000年代に入ってからほぼ横ばいということです。右の大学部門を見ていただきますと、ここ数年前ですがドイツが日本を上回っているということで、この辺りのインプットの状況が違う様子が見えているということになります。
 少し飛ばしていただきまして300ページをお願いいたします。先ほど来御議論がございますが、科学技術人材の育成というのは非常に大事な視点だということで、ここに修士と博士学生の入学者数をお示ししております。右が博士課程の入学者でございます。日本の状況を見ますと2003年度をピークに長期的に減少傾向です。ただ、これは分野によって状況が違いまして、保健とかその他の分野については増えている一方、理学や工学では減っているということになります。
 こちらは、では、その他は何かということで専攻名を見ますと環境とか人間、情報、国際等の言葉が出ておりますので、その辺りでは増えているということです。
 あと、右を見ていただきますと社会人の学生は増えているというような、分野による濃淡が見えているということが分かります。
 続いて、スライドの303をお願いいたします。少し毛色が違いますが、左は大学発ベンチャーの状況をお示ししております。こちらを見ますと1980年代から着実に増えていて、2010年代に入ってベンチャーの数は3,300社に達しているということになります。
 ここで御紹介したいのは、この右の図を見ていただきますと、ベンチャーの従業員に占める博士学生の割合というものは16%になっております。他方で、一般企業の研究者における博士保持者の割合は4%ということで、これはベンチャーが増えるというのはある事業であり、プログラムのアウトプットなのですが、実はキャリアパスの多様化というものにもつながっているということで、先ほどお話がありましたが、事業・プログラム間の関係性というお話と関係していると思いまして御紹介いたしました。
 続いて、304ページを御覧ください。こちらは論文数ということで、指標でもよく取り上げられるものです。こちらで御紹介したのは分数カウント法による結果でございます。分数カウント法というのは、例えば米国と日本の共著の場合は2分の1、2分の1と数えるような方法です。上のテーブルが10年前、下のテーブルが最近で、左から論文、真ん中が注目度の高いTop10%、右がTop1%となっております。日本の数を見ますと論文数は増加、Top10%、Top1%は分数カウントでは減少ということです。また、ポジションについても相対的に低下している様子が分かります。
 次のスライドをお願いします。ただ、これはカウント方法によって若干様相が違いまして、こちらは整数カウント法です。整数カウントというのは、日本と米国の共著の場合、両方とも1と数える方法で、これはある種、研究への関与を見ております。こちらは論文数Top10%、Top1%のいずれも増えているということです。なので、日本の状況を見るときに論文への貢献を見るか、そうではなくてネットワークへの関与を見るかというところで見え方の様相が違うというのが見えております。ただ相対的な順位というところは低下しているということになります。
 これは年の区切りが粗いデータですので、307ページを御覧ください。これは過去40年にわたって日本の論文数がどう変化してきたかを分数カウント法でお示ししております。赤い線が日本です。これを見ますと、2000年代半ばから論文数は一旦減少しておりますが、最近はやや上昇していると。Top10%は低下していたのですけども、やや下げ止まりに見えて、Top1%は横ばいです。他方で、他国が非常に上がっているので相対的な順位は低下しているというような形になります。
 308ページを御覧ください。こちらが整数カウントです。関与という面では、上昇の仕方は年代によってやや違いますけども数は非常に増えてきている、数は増えている状態にあるということです。冒頭、日本の大学のインプットが諸外国に比べ伸び悩んでいるということを申しましたが、それを見ると整数カウントの日本の論文数というのは健闘していると言えると思います。
 続いて、309ページを御覧ください。過去40年間、実は日本の中の分野の構造というのも変わってございます。左を見ていただきますと、40年前は比較的化学の割合が高かったのが、化学、基礎生命科学、物理学の占める割合が低下して臨床医学が増加しているという状況で、日本全体としてはこのような形で分野の構造が変わっているということになります。
 次のスライドをお願いします。各分野において日本のシェアがどうなっているかというのを示したのが左の図で、黒い線が20年前です。赤い線が最近で、20年前の日本を見ていただきますと化学、基礎生命科学、材料、物理が出っ張った構造をしておりましたが、中国等が増えている影響でシェアは下がってきているということです。現状、日本のシェアが高いのは物理学と臨床医学です。先ほど物理学の存在感は日本の中では減ってきていると言いましたが、世界で見るとまだシェアは高いということです。なので、指標の見方も国内で見るか、世界で見るか、また数で見るかというところで見え方が違いますので、先ほど林委員からありましたが、我々が何を見たいのかというところを踏まえて見ていく必要があると思われます。
 スライド19をお願いいたします。もう少し出口寄りの指標ということで、これは特許出願の特徴をお示ししております。特許出願は国際比較が非常に難しい指標ではございますが、ここではパテントファミリーという2か国以上の国への出願を見ております。日本はパテントファミリーでは現状世界1位で、10年前から1位を続けている状況でございます。ただこちらも技術分野ごとに濃淡がございまして、真ん中のほうにありますが、日本は電気工学や情報通信、一般機器、この辺りが大きかったのですが、オレンジの線が最近で、ここも中国が多くなってシェアが低下している状況です。シェアの絶対値で見ますとバイオ・医薬品とか医療機器の辺りがへこんでいるのですが、シェア自体は維持しているということです。なので、これもシェアというもので見ると相対的な形が出てくるということになります。
 続いて、314ページを御覧ください。今までは論文と特許を別々に議論しておりましたが、そのつながりというのも分析上は可能でございます。これはサイエンスリンケージというものを見ておりまして、左、日本の各分野、化学、材料、物理学の論文がどの国の特許から引用されているかというものを見ております。これを見ますと、日本の物理学の論文や材料科学の論文というのは日本の特許から多く引用されているようすが分かります。一方、臨床医学や基礎生命だと米国の特許がたくさん引用しているということです。科学知識というのはオープンですので自由に引用されるわけですけども、知識がどこに流れているかということで若干濃淡が見えてくるということになります。
 続いて、315ページを御覧いただけますでしょうか。こちらは文部科学省の事業とは直接的には関係ないかもしれませんけども、産業貿易額の推移ということで左がハイテクノロジー、右がミディアムハイテクノロジーということになります。現状、日本はハイテクノロジーでは入超、輸入が大きくなっており、ミディアムハイテクノロジー、自動車等では出超になっているということで、出口まで見るとこういうような指標もあるということになります。
 以降、319ページを御覧ください。冒頭で申しましたが、科学技術指標には170の指標があるということで、319、320、321ページを見ていただきますとこのような形でいろいろな指標がございますので、御参考にしていただければと思います。ただ、170の指標はございますが、我々が見ることができるというのは非常に限られてございますので、こういうような定量的なものに加えて定性的な視点というのも必要だと思いますし、先ほど林委員からありましたようにこれは日本全体しか見えていませんので、事業との関係がどうなっているかというのは全く見えません。この辺りをどうするかというのは、我々も課題として持っております。
 それで関係するデータを1つ御紹介しますと、324ページを御覧ください。この箱書きの中ほどにございますが、CSTIが論文謝辞等における研究費に係る体系的番号の記載ということで、各種の事業に対して体系的な番号の付与というものが進んでございます。これをうまく使っていただきますと、論文の謝辞を見るとどの事業から生み出された論文かというのは少なくとも分かるということで、参考としまして327ページを御覧いただきますと、通常論文の謝辞というのは物すごい表記揺れがあって分析しづらいのですが、この課題番号を使えばこういう事業レベルの分析が可能になります。ただ現状、研究者の方々は体系的課題番号を網羅的に書いてくださっておりませんので捕捉率は非常に低いのですけども、こういうデータをしっかり整理していくということ自体もプログラムであり、事業評価において大事だと思いますので最後に御紹介いたしました。
 私からは以上です。

【岸本分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明いただきました2件について御質問等はございますでしょうか。いかがでしょうか。
 それでは、村山委員、お願いいたします。

【村山委員】  同志社大学の村山です。よろしくお願いいたします。
 後者のデータで詰めていくというのは非常に重要だと思います。それで、これから押さえておかなければならないポイントとして、中国と欧米、日本を加えたところのデカップリングが学術界にどういう影響を与えるかということもデータで押さえておくべき問題だと思うのです。この辺りというのは意識されてデータ分析の方向性として持っておられるんでしょうか。

【伊神科学技術予測・政策基盤調査研究センター長】  持っております。今回御紹介した、316ページは出ますでしょうか。こちらはハイテクノロジー貿易で、それぞれの国がどこの国から輸入し、どこの国から輸出しているかというのを見ております。下の輸入額に注目していただきますと、日本、米国ともこのオレンジ色、これは中国の割合が非常に増えてきている様子が見えております。これを今後継続していくと何が起きているかというのが見えますし、あと、例えば論文ですと共著関係で米国と中国、日本の関係がどうなっているかという分析なども進めております。

【村山委員】  ありがとうございます。この学術界におけるデカップリングというのは、これから共著論文だとかの数に大いに影響を与える可能性がありますので、ウオッチしておいていただければと思います。

【伊神科学技術予測・政策基盤調査研究センター長】  分かりました。ありがとうございます。

【岸本分科会長】  それでは、原澤委員、お願いいたします。

【原澤委員】  原澤です。御発表、どうもありがとうございました。
 林先生の279ページのマテリアル強化戦略の図を非常に興味深く拝見しました。それで質問は、この279ページの図なのですけど、縦軸と横軸に数字が書いてあるのですが、この軸の意味を教えていただきたいのと、あとは、その前のページで国全体と文部科学省の研究開発の階層性の話があって、これも非常に興味深く拝見したということで、この丸の政府系と文部科学省系の関係性が、現状としてこれがいいのかどうかという話と、先生のお考えの重層性をさらに高めていくためには文部科学省系のこの楕円がもう少し内閣府の中に入っていくのか、あるいはある程度のオーバーラップを持ちながら独自の拡張をしていくのかと、この図から将来的にどうしていったらいいのかということで、もし御意見があればお聞かせ願いたいなと。
 あと、これを将来的に、いろいろな技術開発の分野があったりするので、そういったところに分野を広げてこういった図を描かれるのかどうか、その辺を簡単に教えていただければと思います。よろしくお願いします。

【林委員】  ありがとうございます。
 まず、軸の意味なのですが、これはコレスポンデンス分析というもので、分散が大きくなるように図がつくられていますので、軸にこちらから何か意味を持たせているということはなくて、データで分散が大きくなっているように表示されているので、逆に分析者のほうが一体この軸は何を意味しているんだろうというのを見なければいけないというところでございます。恐らく縦軸は先ほど出たような下のほうが基礎で、上のほうが応用寄りだろうなと思うのですけども、横軸のほうはなかなかまだ判断がつかないところです。
 それから、関係性なのですが、私のようなこういう材料の専門家でもない人間がこういったエビデンスをつくっておりますので、そうすると、こういうものを見て、まさに文部科学省のナノ材の委員会がどうお考えになるかという、そのお考えになる際の材料にしていただきたいというのがどちらかというと我々の趣旨でして、このように下にあるのは過去つくっていた文部科学省の戦略で、恐らく今後は内閣府のほうでマテリアル強化戦略というのをつくっているので、文部科学省としての戦略という形ではつくらないのかなと思いながら見ていたのですけれども、もしそうだとすると、この次の図にあったように文部科学省でやるような事業が、文部科学省の中でもほかの事業はあると思いますし、各府省の事業との関係をどのように考えてつくっていくのかと、その検討のための材料にしていただければいいと思っています。
 それから、これは材料分野でつくりましたが、当然ながら同じような方法を使えば別の分野でもつくれるわけでございます。なかなか全部を一遍にするときっとごちゃごちゃしていてよく分からない図になるんだと思いますが、方法としてはどの分野でも同じです。

【岸本分科会長】  それでは、続いて安浦委員、お願いします。

【安浦委員】  どちらもすごく興味ある御発表をいただきまして、ありがとうございました。
 伊神センター長の300ページの、これはよくある博士課程の学生が少ないという、伸び悩んでいるという問題なのですけど、この出口の議論でいつも産業界と学術界・アカデミアの話だけが出るのですけど、林先生のお話とかを聞いていると、もう政策立案の中にかなり専門的知識を持った人が入っておかないといけない時代になっているのではないかというように常々感じております。
 それで、そういう意味からして、行政あるいは政府関係の総合職的な役割に博士人材をもっと生かしていくという必要性があるんじゃないかと、私、個人的には考えているのですけど、その辺を調べるような、その辺が諸外国と比べてどうなのかというようなことを表したようなデータというのはお取りになっていないんでしょうか。

【伊神科学技術予測・政策基盤調査研究センター長】  御質問ありがとうございます。
 スライドの301を御覧いただきますと、これは分類が粗いデータなのですけども、修了者がどの業種に就職したかというのは日本では見ることができます。今、これはサービス業とかその他とか非常に粗くしておりますが、この中で行政を見ることは可能ですが、霞が関の公務員になっているかどうかまでは現状では追えない状況です。
 ほかの国につきましては、実は我々も非常に興味を持っておりまして、データをいろいろ探してはいるのですけども今のところ見つけられてはおりません。博士のキャリアは非常に重要な問題ですので、今後もデータは探索を続けていきたいと考えております。

【安浦委員】  私、今JSTのSPRING事業で6,000人に生活費を渡す事業にも関わっておりまして、そこの出口の話のときに、なかなか産業界とアカデミアだけのことしか普通出てこないので、やはり国の政策として議論ができる博士人材を入れておくことが林先生の分析なんかとも関連して非常に重要になってきている時代じゃないかというように感じておりますので、ぜひそういう情報も集めていただければ幸いでございます。
 以上です。ありがとうございました。

【伊神科学技術予測・政策基盤調査研究センター長】  ありがとうございます。

【岸本分科会長】  それでは、高梨委員、お願いいたします。

【高梨(弘)委員】  原子力機構の高梨です。ありがとうございます。
 まず、今の安浦先生の意見には全く同感であります。非常に重要なことだと思います。
 それで、私が申し上げたかった意見はまた別な観点なのですが、林先生のお話の中でちょっと気がついたことといいますか、292ページの資料で、林先生はナノテク材料、それから元素戦略といった観点で非常に詳しい分析をしていただいて、それで292ページを見るとPhysics、Multidisciplinaryのところが突出して日本は高くて、これが元素戦略が14%ということでその寄与を物語っているとおっしゃっていたのですけど、アメリカもこれが高いのですよね。これはきっとマテリアルゲノムの影響があるのかなと。結局何を言いたいかといいますと、そういう国家プロジェクトをうまくやるとこのように数値にはっきり出てくるのかなということを非常に強く感じたもので、ちょっとそれをコメントさせていただきました。
 以上です。

【林委員】  ありがとうございます。そのとおりと私は思っていまして、マテリアルゲノムが元素戦略も見ながらアメリカが進めたと聞いておりますので、恐らくそういう国の考え方、イニシアチブの仕方が結局研究活動、研究の状況に影響するのではないかと思っております。

【高梨(弘)委員】  どうもありがとうございます。異分野間の連携みたいなものというのも国家プロジェクトが非常に有効だということを物語っているのかなという気がいたします。どうもありがとうございます。

【岸本分科会長】  ほかはいかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
 時間があればもっとたくさん議論したい話題かなと思いますけども、本日は時間の関係でここまでにさせていただきたいと思います。お二人の方々、御報告どうもありがとうございました。
 各委員会で分野別研究開発プログラムの評価を今試行しているところだと思いますけども、そういった中で、本日の報告も参考にしながら御議論を進めていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、最後になりましたけども「研究開発評価を巡る国内外の状況」について、事務局から説明をお願いいたします。

【佐野科学技術・学術戦略官】  ありがとうございます。
 それでは、国内外の状況ということで御説明させていただきます。この説明の背景でございます。資料4-3-2のほうで、335ページでございます。これは前々回の本分科会において文部科学省の研究開発評価指針の関係の調査分析について少し御報告させていただいたかと思います。本日、若干アップデートさせていただいているデータもあるので改めてこの資料をお載せしておりますが、この背景となる情報ということで資料4-3-1、329ページで御説明させていただきます。
 まず、次の330ページをお願いいたします。まず、国外における研究評価の状況というところでございます。この研究評価に関しまして国際的な文書、御存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、1つ目が研究評価に関するサンフランシスコ宣言、DORAと言っておりますがこういうものがあると。11月現在で159か国から署名されている、日本においては10機関が署名しているというところでございますが、日本の国の機関の署名はないという状況です。それから、ライデン声明という文書があるというところでございます。
 欧州で最近少し動きがあるというところでございまして、この1)で少し前の2019年に欧州の調査がありましたというところでございまして、丸の1つ目でございます。参考1にも少し載せさせていただいておりますが、研究評価を行う場合に重視している観点としては研究出版物が最も重視されていると、オープンサイエンスとオープンアクセスは比して低いと。それから、せんだって報告させていただいたジャーナルインパクトファクターやh-indexにつきましては、特にジャーナルインパクトファクターについては非常に高い75%ということで、参考1、次のページでございますが、具体的なデータも出ていると、このようなデータが出ているということで御紹介させていただきます。
 それから、また1つページを戻っていただきまして、すみません、あちこちへ行って大変恐縮でございます。今のところの3)でございます。昨今、研究評価改革に向けた合意書というのが取りまとめられているというところでございまして、この研究評価改革のためのドラフトの最終版というのが今年7月に関係国会議で公表されているということになってございまして、この内容につきましては改革の原則、コミットメント、変革をともにする実施連合体というものをつくるということなど、原則の実施に向けたタイムフレームが含まれたものが出されているというところでございまして、この合意書の署名が開始されていまして、現段階で180以上の機関が署名しているというところでございます。
 この内容でございますが、参考3、333ページに概要を書かせていただいているところでございます。この署名者というのは以下の原則に基づいて行動するということが1というところで、2には「以下のコミットメントを実施する」という記載がございます。特にせんだっての調査との関係で言いますと、2.のところでございますが、研究評価というのは主にピアレビューを中心とした定性的な評価に基づきまして、定量的評価を責任を持って使用することでサポートするとか、3.では、研究評価においては、ジャーナルや出版物に基づく評価基準、特にジャーナルインパクトファクターやh-indexの不適切な使用をやめるといったような10項目にわたるコミットメントを実施するということになってございます。3のところでは、この記載の原則に沿って、連合体を組織し、運営することとなっておりまして、これが先ほど申し上げた現段階で180以上の署名が行われていると、そういう状況が欧州で行われているということでございます。
 次は334ページでございます。こちは、既にこの分科会でも御説明している内容と少しかぶるところでございますが、国の評価に関する大綱的指針につきましては、内閣府のほうでは、現在改正の必要が生じたときは指針を改正するというようなことが決定されているところで、第5期に策定されたものがそのまま今も使われている状況であるということ。
 それから、2つ目の丸のところでは、この基本計画に沿いまして、この計評分科会で研究データの管理・利活用に関する取組の記載を求める等のことを行っているというところ。
 それから、3つ目の丸は、昨年度、官房政策課において、政策評価から俯瞰する研究評価の論点検討会というのを開催してまとめましたというところ。それから、せんだって御説明させていただいた文部科学省の評価指針の活用状況についての調査を行ったというところでございます。
 それから、資料4-3-2です。これはせんだって御説明させていただいた内容とほとんど一緒でございますが、新しく付け加えさせていただいているデータだけ御説明させていただきます。
 343ページでございます。業績評価の活用状況というもので、これは私どもがほかのところでも御説明していく中で幾つか質問を受けておりますので、パワーポイントに付け加えさせていただいているデータでございます。「貴機関・学部等における業績評価は、何を活用していますか」ということへの回答状況でございます。多くは給与、賞与・一時金・報奨金、それから昇任が多いというところで、特に少なかった内容といたしましては、研究者の一部業務の免除というところは非常に少ないデータになっているというところでございます。
 私からの説明は以上でございます。

【岸本分科会長】  ありがとうございました。
 ただいまの御説明について、御質問はございますでしょうか。いかがでしょうか。
 今回は欧州の状況を中心に、それとあと日本でのデータということで御説明いただきました。今後こういったことを踏まえながら、この分科会でも評価の指標について議論をしていくというような考えで進められればなということですけども、事務局、そんな考えでよろしいでしょうか。

【佐野科学技術・学術戦略官】  ありがとうございます。このような状況も踏まえまして、必要がありましたらまた御議論いただくということかと思います。

【岸本分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、明和委員、お願いいたします。

【明和委員】  御説明ありがとうございます。
 私自身もぜひ考えていきたいところなのですけれども、「総合知」と前面に看板を出しているからには、人文社会科学の業績をどう評価していくかという点についてもう一歩議論を進めないといけないと思っております。本当に難しいとはわかっているのですけれども、例えば各諸国で人文社会科学の業績がどのように評価され、扱われ、そして日本が目指す総合知創出のような取組にどのように生かされているのか、この辺りの情報を私たち研究者に提供していただければ大変ありがたく存じます。よろしくお願いいたします。

【佐野科学技術・学術戦略官】  ありがとうございます。総合知に関しましては、本分科会だけではなくて、関係するほかの科学技術・学術審議会の会議でも少し議論が行われているというように聞いておりますので、そちらの状況なども踏まえながら、御提供できるものがありましたら説明の機会を設けさせていただければと思います。
 以上でございます。

【岸本分科会長】  ほかはよろしいでしょうか。
 それでは、ありがとうございました。
 それでは、最後に議題5、「その他」になりますが、皆様から何かございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、事務局から事務連絡等についてお願いいたします。

【久保研究開発戦略課専門官】  次回の本分科会につきましては、御案内しておりますとおり来年1月31日16時から18時にオンラインで開催する予定です。御出席いただくようお願いいたします。詳細は、日程が近くなりましたらまたお知らせいたします。
 また、本日の議事録は後日事務局よりメールで送付いたしますので、御確認いただくようお願いします。最終的に岸本分科会長に御了承いただき、文部科学省のウェブページに掲載いたします。
 事務局からは以上です。

【岸本分科会長】  それでは、これで科学技術・学術審議会第83回研究計画・評価分科会を終了いたします。皆さん、御出席いただきましてありがとうございました。

お問合せ先

科学技術・学術政策局研究開発戦略課

(科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官(制度改革・調査担当)付)