研究計画・評価分科会(第82回)議事要旨

1.日時

令和4年8月18日(木曜日)15時00分~17時10分

2.場所

Web会議

3.議題

  1. 分野別研究開発プランについて
  2. 分野別委員会等の所掌に属さない研究開発課題の評価について
  3. 研究開発課題の評価について
  4. その他

4.出席者

委員

岸本分科会長、高梨(弘)分科会長代理、春日委員、明和委員、村山委員、安浦委員、五十嵐委員、出光委員、上田(正)委員、上田(良)委員、上村委員、佐々木委員、田中委員、林委員、原澤委員、水澤委員、宮園委員、李家委員

文部科学省

佐野科学技術・学術戦略官、奥ライフサイエンス課長、岡部ライフサイエンス課ゲノム研究企画調整官、須藤宇宙連携協力推進室長、久保研究開発戦略課専門官、佐々木参事官(国際戦略担当)付参事官補佐、根橋ライフサイエンス課課長補佐、葛谷ライフサイエンス課課長補佐、佐々木参事官(情報担当)付参事官補佐、長田参事官(ナノテクノロジー・物質・材料担当)付参事官補佐、山田地震・防災研究課室長補佐、ほか関係官

5.議事要旨

【岸本分科会長】  それでは、ただいまから第82回科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会を開催いたします。
 それでは、議事に入る前に、事務局から説明をお願いいたします。

【久保研究開発戦略課専門官】  本日の研究計画・評価分科会は、科学技術・学術審議会令第8条第1項に定める定足数の過半数を満たすことを御報告いたします。
 次に、Webexによるウェブ会議の開催に当たりまして、委員の先生方にお願いがございます。
 御発言の際は、手のマークの挙手ボタンを押すようお願いいたします。御発言後は、再度、挙手ボタンを押して挙手を取り消していただくようお願いします。御発言時以外はミュートにしていただき、御発言時のみミュート解除を御選択いただくようお願いいたします。
 オンライン上でも聞き取りやすいように、御発言の都度、お名前をおっしゃっていただくようお願いいたします。
 また、御発言の際、資料を参照する際には、資料番号、ページ番号またはページ内の該当箇所などを分かりやすくお示しいただくよう御配慮をお願いいたします。
 それから、本日の議題3につきましては、研究開発課題の評価でございますが、事前評価が含まれておりますので、研究計画・評価分科会運営規則第6条第1項第3号により、事前評価の審議から非公開とさせていただきます。なお、公開部分は議事録として、非公開部分については議事要旨として文部科学省ホームページに掲載いたしますので、御承知おきくださいますようお願いいたします。
 事務局からは以上です。

【岸本分科会長】  それでは、議事に入ります。
 まず議題1の「分野別研究開発プランについて」に入ります。
 研究計画・評価分科会では、主に第5期科学技術基本計画に関する研究開発課題に対応するため、平成29年に「研究開発計画」を取りまとめ、当該計画に基づき研究開発課題を実施してきました。
 一方、近年、政府全体での分野別の戦略・計画が策定され始め、かつ第6期科学技術・イノベーション基本計画が閣議決定されたことから、当分科会においては現行の研究開発計画を改定することではなく、分野ごとのまとまりで実施する取組・推進方策を「分野別研究開発プラン」として、分野別委員会ごとに作成し、研究計画・評価分科会で決定することとしておりました。
 本日は、各分野別委員会等により担当する分野の分野別研究開発プラン及び研究開発プログラムを御提出いただきましたので、資料1のとおり「分野別研究開発プラン(案)」として取りまとめております。審議の上、可能であれば「分野別研究開発プラン」を決定したいと考えております。
 つきましては、初めに各委員会からそれぞれの「分野別研究開発プラン」について、恐縮ですけれども、3分程度御説明いただきます。
 次に、その内容について御審議いただきたいと考えております。
 それでは、まず、ライフサイエンス委員会主査の宮園委員から御説明をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【宮園委員】  宮園です。それでは、ライフサイエンス分野の研究開発プランについて御説明いたします。
 資料1、右下の通し番号で5ページをお願いいたします。こちらのプランは、本年6月3日のライフサイエンス委員会において審議し、了承したものになります。プランを推進するに当たりましての大目標として、政策評価における健康・医療・ライフサイエンスに関する課題への対応、施策目標9-3というのを設定し、プランの下に6つのプログラムを設定しています。
 この6つのプログラムは、令和2年3月に閣議決定されました第2期健康・医療戦略において定められた統合プロジェクト単位をベースとしておりまして、文部科学省の事業数に合わせて設定しておりますが、2-1、医薬品・医療機器・ヘルスケアプログラム、2-2、再生・細胞医療・遺伝子治療プログラム、2-3、ゲノム・データ基盤プログラム、2-4、疾患基礎研究プログラム、2-5、シーズ開発・研究基盤プログラム、この5つのプログラムと、それから内局事業の一つのプログラムとして、2-6のバイオリソース整備プログラムにて構成しております。
 各プログラムに含まれます事業、プログラムごとのアウトプット指標、それからアウトカム指標の詳細は6ページ以降になっておりますが、1つの例として、9ページをお願いいたします。2-4の疾患基礎研究プログラムについて簡単に御説明いたします。
 疾患基礎研究プログラムでは、医療分野の研究開発の応用を目指し、脳機能などの生命現象の機能解明や、様々な疾患を対象にした疾患メカニズムの解明等の基礎的な研究開発を行うということとしておりまして、第2期健康・医療戦略における統合プロジェクトの疾患基礎緊急プロジェクトに対応しています。
 プログラム全体のアウトプット指標としては、科学誌に論文が掲載された研究成果の数、アウトカム指標としてはシーズの導出件数を設定しました。これらの仕様は第2期健康・医療戦略に即して策定された医療分野研究開発推進計画において、疾患基礎研究プロジェクトの成果目標の指標として定められているものになります。研究開発プランを策定する際のライフサイエンス委員会の議論では、特にアウトカム指標については、数値以外の目標も含めていくべきではないかという意見がありましたので、最後に申し添えさせていただきます。
 以上になります。よろしくお願いいたします。

【岸本分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、続いて、原澤委員から御説明をお願いいたします。

【原澤委員】  原澤です。環境エネルギー科学技術分野の研究開発プランについて御説明いたします。通しページですけれども、68ページを御覧ください。
 当委員会では、環境・エネルギーに関する課題への対応という大目標の下に、環境エネルギー科学技術分野として2つの研究プログラムを設定しております。
 まず、2-1ですけれども、気候変動対策の立案実施に資するようなその根拠となる科学的知見の創出を目指す、気候変動研究をテーマとしたプログラム。2-2といたしまして、カーボンニュートラルの実現に向けて、温室効果ガスの抜本的な排出削減などに資する革新的な技術など、GXグリーントランスフォーメーション技術をテーマとしたプログラムを推進することとしております。
 上位施策といたしましては、第6期科学技術・イノベーション基本計画等の科学技術全般の計画・戦略のほかに、地球温暖化対策等の、いわゆるカーボンニュートラル政策全般に関わる計画・戦略を位置づけております。69ページから70ページにかけて、特に関連している内容を抜粋して記載しておりますが、ここでは省略いたします。
 続きまして、研究開発課題の体系図でございます。71ページを御覧ください。まずは気候変動研究に関する研究プログラムについて、重点的に推進すべき取組、研究開発課題の体系図を作成いたしました。現在、気候変動対策の基盤となる科学的知見の創出のための気候変動予測研究と地球環境データを統合的に解析し、データを提供するプラットフォーム、DIASの研究開発課題を実施しており、国、自治体、国際機関、企業等が気候変動対策について検討する際に活用いただくことをアウトカムとして、これらの取組を推進してまいります。
 続きまして、72ページであります。GX技術に関する研究開発プログラムについても同様に、重点的に推進すべき取組等の体系図を作成しております。ここでは地域のカーボンニュートラルの取組に必要な基盤的な知見を提供するための、大学等による研究開発と、飛躍的な省エネに貢献する次世代半導体技術の創出に向けた基礎・基盤的な研究開発に重点的に取り組むことにしております。技術の創出につながる論文や特許数をアウトカムとして、各課題を着実に推進してまいりたいと思っております。
 これら2つのプログラム推進に当たりましては、各研究開発課題の評価結果等を参考にするとともに、国内外の政策動向も注視しながら、事情の変化等があれば適宜見直しを図り、柔軟かつ機動的に取り組んでまいりたいと考えております。
 説明は以上です。

【岸本分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして、ナノテクノロジー・材料科学技術委員会主査の高梨委員から御説明をお願いいたします。

【高梨(弘)委員】  高梨でございます。ではナノテクノロジー・材料科学技術委員会として1件、ナノテクノロジー・材料科学技術分野研究開発プランを委員会で決定しておりますので、当該プランについて御説明を申し上げます。右下の通し番号で85ページを御覧いただければと思います。
 初めに、本プランの構成を簡単に御説明いたします。未来社会を見据えた先端基盤技術の強化という大目標の下で、文部科学省の政策評価体系に沿って、ナノテクノロジー・材料科学技術分野研究開発プログラムを設定しております。
 本分野は多分野の研究開発を支え、幅広い応用が期待される重要な基盤であることを明記し、中長期的な視点での研究開発の戦略的な推進や、実用化を展望した技術シーズの展開、最先端の研究基盤の整備強化等に取り組むことにより、革新的な材料の創製や研究人材の育成、それから、社会実装等につなげることとしております。
 上位施策といたしましては、第6期科学技術・イノベーション基本計画と、それから、マテリアル革新力強化戦略を位置づけております。詳細な説明は割愛いたしますけれども、ここでは特に関連している内容を抜粋して記載しております。これら2つの上位施策も一体的に進めていくプランとなっております。
 対象となる研究開発課題としまして、令和4年度7月時点では、資料の最下部に記載している5つの研究開発課題を対象としておりまして、これらについて施策マップの様式に体系的に記載しておりますので、続いて御説明いたします。
 次のページ、86ページを御覧ください。重点的に推進すべき取組と、該当する5つの研究開発課題、事業の体系図を年表式に作成しております。それぞれのアウトプット、アウトカム指標に関しては、事前分析表、行政事業レビューといった文部科学省における政策評価体系と対応させております。このうち令和4年度では、令和3年度で終了したナノテクノロジープラットフォームと元素戦略プロジェクトの事後評価を実施。重点的に推進すべき取組といたしましては左側に記載している3点、ナノテクノロジー・材料科学技術を支える基盤の強化・活用及びデータの活用、それから、未来社会における新たな価値創出に向けた研究開発の推進、広範な社会的課題の解決に資する研究開発の推進を掲げております。
 現在進行している2から4の3つの研究開発課題、各事業に関して1と5の事後評価結果についても運営の参考としながら、右側に記載している将来のアウトカムにつなげてまいります。
 なお、右下のピンクの枠の中に囲まれた部分に記載しておりますけれども、予期せぬアウトカムが得られた際には、その都度本様式に反映し、本分野の発展を推進してまいります。そういうふうに記載されております。これはナノテク・材料の委員会で、特に真に革命的な研究成果というのは、予想外のアウトカム、予想しないアウトカムから出てくるから革命的なのであって、全てに予想されるアウトカムを求めるのはおかしいという意見がございまして、当初予想しなかったアウトカムについても適切に評価することも必要であるという判断から、このピンクの枠の中のものを入れさせていただいています。
 それから、87ページから99ページまでは各プロジェクトの概要でございますので、割愛いたします。
 以上でございます。

【岸本分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、続いて、防災科学技術委員会の上村委員から御説明をお願いいたします。

【上村委員】  防災科学技術委員会、上村でございます。通し番号の100ページを御覧ください。本委員会では大目標としまして、安全・安心の確保に関する課題への対応ということで掲げてございまして、その下に2-1、2-2と2つのプログラムを立ち上げております。
 2-1のプログラムについては、自然災害を観測・予測することによる人命と財産の被害を最大限予防し、事業継続能力の向上と社会の持続的発展を保つため、国土強靱化に向けた調査観測やシミュレーション技術及び災害リスク評価手法の高度化を図ると。それと自然災害発災後の回復、復旧・復興によって社会機能を維持し、その持続的発展を保つために「よりよい回復」に向けた防災・減災対策の実効性向上と社会実装の加速を図るということでございます。
 2-2でございますが、地震調査研究を推進し、成果を活用するということで、具体的には南海トラフ海底地震津波観測網の構築というテーマを掲げてございます。
 上位施策は第6期科学技術・イノベーション基本計画、第2章、1、(3)の内容がこれに当たります。
 以下、次ページ以降の詳細については、事務局のほうから説明をお願いしたいと思います。

【山田地震・防災研究課室長補佐】  こちら、防災委員会事務局、山田でございます。よろしくお願いします。101ページを御覧ください。
 プラン、プログラムの全体を俯瞰し、それぞれの研究開発課題の評価を時系列に整理したものでございます。令和4年度の評価は、令和3年度、研究開発が終了しました首都圏を中心としたレジリエンス総合力向上プロジェクトの事後評価を実施いたします。また、次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトの中間評価を実施いたします。この次世代のプロジェクトにつきましては、実施期間が10年でございますので、2019年度の中間評価に続きまして、今年度7年目に当たりますので、中間評価を実施いたします。また、この中で防災対策に資する南海トラフ地震調査プロジェクト、あと情報科学を活用した地震調査研究プロジェクト、そして南海トラフ海底地震津波観測網の構築の3つの研究課題につきましては、中間評価を省略させていただいております。これは計評分科会でお示しいただいた、研究開発課題の評価の進め方の中間評価を省略できる条件に基づきまして、防災委員会で検討させていただいたものでございます。
 また、それ以降、個別の研究課題については記載がありますけれども、時間の関係上、省略させていただきます。
 以上、防災委員会事務局から御説明いたしました。

【岸本分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、次にいきたいと思いますけれども、次は、航空科学技術委員会主査の李家委員から御説明をお願いいたします。

【李家委員】  航空技術委員会のほうから報告させていただきます。それでは、右下で言いますと119ページを御覧ください。航空科学技術分野の研究開発プランについて御説明いたします。
 航空につきまして、産業競争力の強化や経済・社会的課題の対応等、我が国の重要な基幹技術として、継続的な強化を図っていくことが必要と考えております。その重要な柱として、ここに書いてあります上位施策となりますが、前回の計評で御審議いただきました航空科学技術分野研究開発ビジョンに示された3つがございます。
 1つ目が、既存の航空輸送・航空機利用における安全性、信頼性、環境適合性、経済性などの観点から、社会の流れを踏まえた要求への対応に必要な研究開発。2つ目として、ドローンなどの無人航空機や空飛ぶクルマといった次世代モビリティ・システムによる、さらなる空の利用に必要な研究開発。3つ目として、持続可能な航空産業への転換、国際競争力強化に必要な基盤技術の研究開発です。
 次の120ページを御覧ください。今申し上げた3つの柱に、今年度から整理した関係で、2022年の真ん中のピンクのところから一斉にスタートしたように見えますけれども、その前のこれまでの研究開発とのつながりを持ちながら、図右側の黒の太線で囲んだテーマについて、より具体的に推進できるようにしております。特にこれまでの蓄積でようやく出口の見えてきているテーマは矢印を短くし、技術移転を進めたり、まだまだ要素研究が多くて実用に至らないテーマについては矢印を長く設定しておりますけれども、その節目節目で継続性について確認していくことといたしました。
 今後、この研究開発プログラムを着実に進めていくことが重要ではありますが、一方で重要なのは、これをただ継続するのではなく、他分野での技術革新や新たなニーズへの対応、社会の変化も捉えながら、定期的に見直しを行っていくこととしております。
 私からの説明は以上となります。

【岸本分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、次に、原子力科学技術委員会主査の出光委員からお願いいたします。

【出光委員】  原子力科学技術委員会のプランの説明させていただきます。通し番号でいきますと125ページになります。
 原子力科学技術委員会ですが、国家戦略上重要な基幹技術の推進という目的の中で、特に原子力ということで、この基幹技術を継続的に強化していくということを目的としております。
 プログラムは大きく2つに分けておりまして、1つは福島第一原子力発電所の廃炉に関するもの、それから、将来の技術となるもの、非常にオリジナリティーのある先端技術と、これの研究開発の発展に資するものが1つでございます。もう一つは、原子力分野の基盤整備を図るということを目的としております。
 126ページをお願いいたします。こちらのほうにプランの計画が書かれておりますが、それぞれのプログラムですが、さらに2つずつに分かれておりまして、プログラム2-1、先ほどの福島第一と先端技術等の話ですが、2つのうちの1つが原子力システム研究開発事業と申しまして、こちらのほうで特に安全研究、それから先端研究、こういったものを発展させようというふうに計画をしております。それから、もう一つは福島第一がメインになりますが、英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業ということで、こちらは原子力研究開発機構のほうでCLADSという組織がつくられておりまして、そちらと協力をしながら、全国からいろんな大学・研究所の力を結集して、技術開発と人材育成を図っていくというものになっております。
 それから、もう一つのプログラム2-2のほうですが、こちらも2つに分かれておりまして、1つが国際原子力人材育成イニシアチブということで、国際的な人材を育成していくということを目的としております。もう一つが国際協力で、特に核不拡散・核セキュリティー関連の業務というのがございまして、こちらを継続して人材育成並びにいろいろな測定、検知、鑑識技術の開発を実施しております。
 私のほうの説明としては、以上となります。

【岸本分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして、核融合科学技術委員会主査の上田良夫委員から御説明をお願いいたします。

【上田(良)委員】  大阪大学の上田です。核融合科学技術分野研究開発プランについて御説明申し上げます。この内容につきましては、6月21日に行われました第30回核融合科学技術委員会で承認をされたものでございます。
 まず、140ページを御覧ください。プランを推進するにあたっての大目標ですが、これは概要の2行目のとおり、環境・エネルギーの諸問題を科学的に解明するとともに、国民生活の質の向上等を図るための研究開発成果を生み出す、とさせていただいております。それから、2番、プログラムの概要でございますが、国際協力によるITER計画及び日欧協力による幅広いアプローチ(BA)活動を推進しつつ、原型炉開発のための技術基盤構築に向けた戦略的取組を推進する。さらに核融合理工学の研究開発等を進めることにより、核融合エネルギーの実現に向けた研究開発に取り組む、というようにさせていただいてございます。上位施策につきましては、第6期科学技術・イノベーション基本計画、第6次エネルギー基本計画、統合イノベーション戦略2022及び経済財政運営と改革の基本方針2022により、核融合について書かれた部分を抜粋しております。
 次に、141ページを御覧ください。「重点的に推進すべき取組」と「該当する研究開発課題」ということでございますが、まず、その下の表を見ていただきますと、国際協力に基づくITER計画及びBA活動というのが大きな柱となってございます。ITER計画というのは国際協力により、フランスに大きなトカマク装置を建設して研究を行うというものでございます。それから、BA活動というのは、日欧協力により、主に日本で装置を建設し、研究を進めていくというものでございます。アウトカム指標といたしましては、ITER建設作業の進捗と計画の着実な進展への貢献。それから、JT60SAについて先進プラズマ研究開発のプラットフォームの構築、JT60SAというのは、日欧協力によるBA活動の下に日本で建設しているトカマク大型装置でございます。それから、核融合科学研究所のLHDの実験結果のITER計画と原型炉設計の進展への貢献、原型炉の工学設計に向けた見通しの把握及び核融合エネルギー実現に向けた社会の理解と支持基盤の構築というものをアウトカム指標として考えてございます。
 次の142ページから144ページは参考資料でございますが、ITER計画等の概要についてまとめております。詳細は省略させていただきます。

【岸本分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、次に、量子科学技術委員会主査の上田正仁委員から御説明をお願いいたします。

【上田(正)委員】  量子科学技術委員会主査の上田でございます。量子分野の分野別研究開発プランについて御報告いたします。
 まず、光・量子技術分野研究開発プランについて御説明いたします。右下のページで145ページを御覧ください。
 1、プランを推進するに当たっての大目標は、文部科学省の施策目標、未来社会を見据えた先端基盤技術の強化としております。プログラム名は、光・量子技術分野研究開発プログラムとし、量子コンピューターをはじめとする量子科学技術の研究開発などを推進することとしております。
 本プランの上位施策としましては、本年4月に策定しました量子未来社会ビジョンなどを挙げており、研究開発や人材育成を通じて貢献してまいります。次のページを御覧ください。
 本プランの実行に当たって、具体的な施策を示しております。現時点で実施している事業は、一番下の光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP)のみとなります。10年間の長期にわたるプロジェクトでございますので、量子委員会におきましても、適切にフォローしながら進めてまいります。
 3枚目以降は、各事業の直近の評価書の概要ページを添付したものです。詳細は割愛させていただきます。
 続きまして、量子ビーム分野研究開発プランについて御説明いたします。155ページを御覧ください。
 1、プランを推進するに当たっての大目標は、文部科学省の施策目標、オープンサイエンスとデータ駆動型研究開発等の推進としております。
 2、プログラム名には、量子ビーム分野研究開発プログラムとし、大型研究施設、SPring-8、SACLA、J-PARC、Nano Terasuなどの整備・共用を推進することといたしております。
 本プランの上位施策としましては、科学技術・イノベーション基本計画などを入れており、大型施設の整備・共用などを通じて貢献してまいります。次のページを御覧ください。
 本プランの実行に当たっての具体的な施策を示しております。一番上の次世代放射光施設につきましては、整備を着実に進めるとともに、2番目、3番目の施設につきましては、運転時間の確保及び利用環境の充実に努めながら、着実に運用を図っていくことといたします。
 3枚目以降は、各事業の直近の評価書の概要ページを示したものですので、説明は割愛させていただきます。
 私からの説明は以上でございます。

【岸本分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、最後になると思いますけれども、情報委員会主査の安浦委員から御説明をお願いいたします。

【安浦委員】  情報委員会の安浦です。詳細は、事務局のほうから説明させていただきます。

【佐々木参事官(情報担当)付参事官補佐】  ありがとうございます。情報委員会事務局の佐々木と申します。私から、情報分野研究開発プランについて御説明させていただきます。
 情報分野においては、文部科学省の政策目標8-3に応じて、オープンサイエンスとデータ駆動型研究等の推進を、プランを推進するに当たっての大目標として設定いただいております。これに基づきまして、このプランにおいては4つプログラムを設定させていただいているところでございます。
 ここにありましたように、2-1のAIP:人工知能/ビッグデータ/IoT/サイバーセキュリティー統合プロジェクトというプログラム1と、Society5.0実現化研究拠点支援事業というプログラム、AI当の活用を推進する研究データエコシステム構築事業という名前のプログラム3、革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の構築というプログラム4の4つのプログラムを設定いただいているところでございます。
通し番号、右下161ページ目でございますが、次の162ページ目を御覧いただければと思います。
 このプランにおける上位施策としましては、第6期の基本計画、第2章の2の(2)に、新たな研究システム構築(オープンサイエンスとデータ駆動型研究等の推進)というものがございまして、ここで書かれている内容を実施する上位施策として位置づけているところでございます。後ほど、関係するところがございますので、ここの部分に、基本計画の中で設定されている目標についても、ここで引用させていただいているところでございます。
 ページおめくりいただきまして、右下通し番号163ページを御覧いただければと思いますが、こちらで重点的に推進すべき取組と該当する研究開発課題を示させていただいております。
 まず、プログラムにつきましては、情報分野においては、事業を単位としてプログラムを設定しておりまして、その事業ごとに行政事業レビューシートというものを文部科学省のほうで作成しておりますので、そこで使用しているアウトプット指標、アウトカム指標をそれぞれのプログラムのアウトプット指標、アウトカム指標として設定いただいているところでございます。
 この中で重点的に推進すべき取組は、下の左の箱のところにございますが、新たな研究システムの構築(オープンサイエンスとデータ駆動型研究等の推進)、これを重点的に推進すべき取組としておりまして、ここに位置づけられる該当する研究開発課題として、5つのものを挙げさせていただいております。
 プログラム1、2、3につきましては、それぞれ研究開発課題とプログラムが、一対一に対応しているような状況でございます。プログラム4につきましては、2つの研究開発課題がございまして、HPCIの運営と「富岳」成果創出加速プログラムの2つの研究開発課題を位置づけているところでございます。これらによって、右の箱にございますとおり、研究者が必要な知識や研究資源に効果的にアクセスすることが可能となり、データ駆動型研究等の高付加価値な研究が加速されるということを得られるアウトカムとして設定いただいているところでございます。
 説明は以上でございます。

【岸本分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、これまで御説明いただきました内容について、御意見あるいは御質問ございますか。
 それでは、五十嵐委員からお願いいたします。

【五十嵐委員】  ありがとうございます。五十嵐です。各委員会から御説明ありがとうございました。
 こうして全体を拝見しますと、それぞれの研究分野が、どういう上位施策の下で進められているのか、各プログラムがどういう位置づけになるのかが一覧できて、すごく分かりやすいものができたかと思います。各委員会の先生方、また事務局の皆さん、まとめられるのが大変だったと思いますが、ありがとうございます。
 その上で質問です。分野別研究開発プランということで、今後運用していくことになるかと思うのですけれども、かなり大部のものになっておりまして、ちょっと取り違えているかもしれないのですが、全体のこれに目次がついて、まえがきなり、そういったものがつくイメージを持っていいのでしょうか。また、分野別それぞれ御説明の中で、近々の状況ということで、図や研究プログラムの内容について詳しい資料をつけていただいていて、その分量というのは各委員会によって分量が違ったのですけど、そういったものは今回の御説明としてついているだけで、分野別開発プランにはつかないのかどうか。この文書がどういう形の最終的になるのか、また、その運用について、伺いたいと思いました。
 ナノテクノロジーのところでしたでしょうか、こういったプランというのは今後、新しい発見などがあれば変わっていくものなので、見直していくということを加えたという御説明がございました。それはどの分野も同じだと思うのですが、そういった全体に関する説明というか、この文書の活用や運用については、別のところで説明があると理解してよろしいのでしょうか。すみません、ちょっと長々となりましたが、よろしくお願いいたします。

【岸本分科会長】  ありがとうございます。
 まず、公表の仕方についてという御質問なのですけれども、これについて事務局のほうから、今の考えておられる状況を御説明いただけますでしょうか。

【佐野科学技術・学術戦略官】  ありがとうございます。少し説明が足りませんで、大変失礼いたしました。
 今回このような形で1つにまとめさせていただいておりまして、すみません今、資料1の一番最初目次、まず1枚目を出していただいてよろしいでしょうか。この資料1という形で、分野別研究開発プラン(案)ということで全体をまとめさせていただいておりまして、この次のページに、現在目次というもので、今、御説明をいただいた委員会の順番に、プラン、それからプログラム名というものを一覧の目次の形にさせていただいているところでございます。
 今回、私ども事務局、これは分科会事務局のほうが考えていたところでございますけれども、まず過去につくられた研究開発計画という、参考資料のほうに入れさせていただいておりますが、こちらは非常になかなか改定がされにくい状況であったという状況がございまして、今回は改定をしやすくするということが1つ頭にございます。ここにもどこかに書いていたかと思うのですが、基本的には毎年見直すと。
 大体同じこの時期に見直すというようなことを考えてございまして、参考資料1の、これは過去、計評の分科会でも、1月26日に進め方についてということで御報告をさせていただいているものでございます。これの上のほうの丸の3つ目を見ていただければと思いますが、当該プラン作成に当たっては、基本計画、研究開発計画の考え方を踏襲し云々とありますが、2行目のところです。プランを毎年度見直すことにより、より時宜に合った内容とすることとしたと考えてございます。
 そういう意味で、前書のようなものを書くと、毎年毎年更新のたびに前書を変えたりする必要が出てくるということもございまして、恐らく今回、今御説明いただいたそれぞれの委員会からの事業の内容をお聞きしておりますと、必ずしも毎年変更する必要はないものもあるかと思いますが、毎年度見ていただいて、変更の有無があるということを確認をいただいて、あれば、またこの時期に恐らくなるのがよろしいかと思っておりますが、当該部分を改定したもので、またこのような形で計評分科会で、皆さんにお目通しいただくということを考えておるところでございます。
 この説明は以上でございますが、よろしいでしょうか。

【岸本分科会長】  御説明ありがとうございました。まず1つ、公表の仕方については、皆様の御了解が得られたら、本資料では(案)となっているのを外した形で、これを公表するというのがまず1つで、もう一つは、今年度についてはこういう形でつくられていて、また来年については、その時点での状況を見ながら、改定すべきところは改定していこうという運用にしていったらどうかということでございます。
 五十嵐委員、そういう御回答ですけど、いかがでしょうか。

【五十嵐委員】  ありがとうございます。ちゃんと理解していなくてすみません。よく分かりました。

【岸本分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、ほかの方から御意見ございますか。
 一番最初に御説明された宮園委員から、アウトプット指標、アウトカム指標について、いわゆる定量的なものでなくてもいいのではないかというような御発言がありましたけれども、その点について、全体を見通してみると、必ずしもそういうふうなものでないような表現になっているところもありましたので、統一されているというわけではないという理解でよろしいでしょうか。

【宮園委員】  分かりました。そういうことでよろしくお願いいたします。

【岸本分科会長】  今期以降修正していくかということと、今、御議論がありましたように、これを毎年見直していくので、その時点でやはりふさわしいものに改定していくということも考えられるかと思いますけれども、そういうような運用でいかがでしょうか。

【宮園委員】  結構です。よろしくお願いいたします。

【佐野科学技術・学術戦略官】  すみません、分科会事務局のほうから少し補足させていただいてよろしいでしょうか。

【岸本分科会長】  お願いします。

【佐野科学技術・学術戦略官】  ありがとうございます。今回、私どもの形式的なところでございますが、各委員会から御提出をいただいたアウトプット指標等についても拝見をさせていただいているところでございます。私ども、先ほど少し御説明を申し上げました過去の「研究開発計画」、かぎ括弧つきの研究開発計画のほうにもアウトプット指標と記載されておるところでございまして、基本的にはそちらのほうも定量的指標ではなくて定性的なものもございましたし、それから、政策評価等のほうでも定性的な指標も認められているというところもあります。ここはいかに説明的に分かるようになるのか、それから質を改善できていけるのかという、そこを先生方のほうも含めて、しっかりと設定をしていただくというふうな形がよろしいかと思っておるところでございます。
 説明は以上でございます。

【岸本分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、林委員から手が挙がっていますので、御発言をお願いいたします。

【林委員】  ありがとうございます。林です。
 私も各分科会からの御報告をお聞きして、やはり先ほどの五十嵐委員のコメントと同じように、プラン、そしてその下のプログラム、そして事業という、その階層構造、さらにその上にある上位施策との関係というのが非常に分かりやすくなって、何を目指して事業やプログラムを行っていくのかということの整理が進んでいるのだということを理解いたしました。
 その上で、今の指標の話とも絡むところですが、各分野によってプログラムという単位を、政策評価等の施策と達成目標があって事業という、いろいろ階層構造があるのですけれども、達成目標にしているところが多いのかなというふうには見ていたのですが、全部がそうなのかどうかまではちょっと私、分からないのですが。達成目標になっていると、恐らく政策評価のところでは、定性でもいいのですけれども、量でもいいのですけれども、常にモニタリングをしていくような指標というのが決まっていて、さらにそれに対して目標値というか、そういうのが決められていると思いますので、その目標値についての記述は、ほぼ今日お示しいただいた様式にはなかったと思うのですけれども、恐らくそういうところで目標値もあってモニタリングしていくのだろうと思って、まず理解していました。
 その上で、やはり今の定性のところなのですけれども、いろんなところのプログラムの図というか、時系列というか、2014年から始まった図がいろんなところのプログラムで皆さんおつくりになっていて、その一番右側が、恐らくそれぞれのプログラムによって、本質的に何をしようとしているのかのアウトカムが書かれているボックスが右側のところについているのが多いのではないかなと思って見ていたのですが、そこは必ずしもアウトカム指標として挙がっているものと同じではなくて、それよりはもっと本質的なものを挙げている分野が多いのではないかなと思って見ていました。
 恐らくそれがきっとこういうふうにつくっていただいたからこそ、先ほど御説明いただいたように、毎年プランの見直し等をしていく中で、そもそもその設定しているものがよいのかというのを、恐らくきっと上位施策との関係で、例えば、分野別プランが内閣府とかで決まっていれば、やはりそこで求められているものが、ここの右側のところのボックスでちゃんと適切なものが上がっていて、そして、それに対して目標とするレベルまで十分にできているのかという、そういう議論をきっと今後、各分野でされていくのだろうなと見ておりました。
 ちょっと今日の時点はコメントというか、期待を述べているようになってしまうのですけれども、非常に分かりやすくなったとともに、だからこそアウトカムのところの質的な議論を、ぜひ各分野別の分科会のところで継続してやっていただくと、きっと上位施策に対してどう本質的に貢献をしているのかというところが見えやすくなってくるのではないかなというふうに思いました。
 以上であります。

【岸本分科会長】  ありがとうございます。
 あと、文科省の根橋さんから手が挙がっていますけれども、お願いいたします。

【根橋ライフサイエンス課課長補佐】  すみません、ちょっと先ほど補足をさせていただこうと思いまして、この間のライフサイエンス委員会の意見の趣旨なのですけれども、実は会議の際に、そのプログラムを使って、今後モニタリングしていく指標についてのフォーマットを示させていただきました。そのときに、アウトカム指標とかアウトプット指標が、必ずしも全てではなくてもいいのかもしれないですけど、年度ごとにスイッチを入れるようなフォーマットになっていまして、かつ各研究開発課題名のところに実績値とか目標値というふうに書いてあって、そこはスイッチを入れなきゃいけないような形になっていたので、そのような御意見があったというようなところでございます。なので、基本的にフォーマットを見ながら、ちょっとそういう御意見があったというようなところでございますので、そこだけちょっと追加で補足させていただきました。

【岸本分科会長】  ありがとうございます。
 事務局のほうからお願いいたします。

【佐野科学技術・学術戦略官】  ありがとうございます。今御説明ありましたフォーマットでございますけれども、恐らく前回、3月かと思いますが、この計評分科会で少しお示しをさせていただいた、方向性を決めていただいたプログラム評価についてのフォーマットとのことをおっしゃっているかと思います。すみません、ちょっと今日の参考資料にはつけておらないのですけれども、当時のフォーマットでございますが、おっしゃるとおり数値目標のようなものを書く欄が多かったというところでございます。ただ、欄に入らないものについてはどうするのですかという質問も、こちらも事務的に受けておりまして、これにつきましてはすみません、フォーマットがお示しできないので御説明が少し不十分かもしれませんが、下のほうに補足の欄がございまして、こちらのほうに書いていただくということがよろしいのではないかと思っておったところでございます。
 これも今回、3月のときにお決めいただいたときに試行というふうなことでございますので、そういうことも含めて委員会のほうで御議論いただいて、私ども事務局のほうもそういうことをなるべく受け止めて、我々が思っているのはより質をよくするためにどういうことがよいか、そのためになるべく事務量も減らし、先生方にもしっかり見ていただくためにはどうしたらいいかということを考えてございますので、御意見をいただければと思います。
 以上でございます。

【岸本分科会長】  ありがとうございます。
 ほかの方からよろしいでしょうか。
 それでは、いただいたコメントについては、継続的に改善の方向で考えていくことといたしまして、今分科会として御説明いただきました「分野別研究開発プラン」を原案のとおり可決したいと思いますけれども、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
 それでは、本分科会として決定することとしたいと思います。
 また、本決定に伴いまして、平成29年度に作成しました「研究開発計画」は、これをもって廃止ということでよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。こちらのほうは廃止して、これからは「分野別研究開発プラン」を基に運用していくという形になるということでございます。ありがとうございます。
 それでは、続いて議題2に入りたいと思います。議題2の「分野別委員会等の所掌に属さない研究開発課題の評価について」です。事務局から御説明をお願いいたします。

【久保研究開発戦略課専門官】  では、資料2につきまして御説明をします。資料は、180ページを先に御覧いただければと思います。
 本分科会では、その所掌に関する研究開発課題の評価について、評価の進め方等を定めております。これは資料から抜き出したものでして、全体の資料は参考資料5としても配付しております。
 そこで、基本的には各分野別委員会等で評価を実施した上で、本分科会で決定をするという流れになっておりますが、この中の4.留意事項(4)のところで、分野別委員会等の所掌に属さない課題の評価というのを定めておりまして、その場合には、必要な専門家から組織される評価委員会を分科会に設置し、当該評価委員会について評価を実施することを基本とするとしております。
 資料は179ページに戻っていただいてよろしいでしょうか。今回、御審議をいただきたいのはこれに該当する案件になるのですが、新しくここに示しております、分野が特定されない国際共同研究の研究開発課題の評価を実施するに当たって、科学技術・学術分野の国際活動に関しては、総会の直下に国際戦略委員会がございます。ですから、新たに本分科会に評価委員会を設置するということではなく、国際戦略委員会で評価した結果を基に、本分科会で評価を実施するということとしてよいかということになります。こちらについて御審議のほど、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

【岸本分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、ただいまの説明に対しまして、御意見、御質問等ございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、資料2については原案のとおり決定したいと思いますので、よろしゅうございますか。
 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、議題3の「研究開発課題の評価について」です。
 本日は、4つの委員会から提出された事後評価3件と、事前評価5件の合計8件の評価をしていただきます。各委員会において取りまとめられた評価結果を資料3-1-1から3-4-2として配付しておりますので、これを基に御審議いただきます。
 なお、冒頭でも事務局から説明がありましたが、今回は事前評価が含まれているため、ライフサイエンス委員会から提出されている事前評価以降は非公開とさせていただくので、それでよろしいでしょうか。
 そういうことで、まずは本日、事前評価を行う8件の利害関係に関して確認いたします。それでは、事務局より確認をお願いいたします。

【久保研究開発戦略課専門官】  では、参考資料5の4.(1)利害関係者の範囲というところを御覧いただきたいと思います。参考資料の138ページです。
 事前に各委員会事務局に確認いたしましたところ、本分科会の委員の方々で利害関係者に該当する委員はいらっしゃらないという報告は受けておりますが、念のため、まる1からまる3、ここに書いていますが、課題に参加されている方、課題の代表者と親族関係にある方、その他利害関係を有すると御判断される方に該当される方はいらっしゃらないでしょうか。
 では、いらっしゃらないようですので、利害関係者はいらっしゃらないということを確認いたしました。
 以上でございます。

【岸本分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、続いて、本分科会における研究開発課題の評価に関する評価票のポイントについて、事務局より説明をお願いいたします。

【久保研究開発戦略課専門官】  資料は参考資料4を御覧ください。こちらに留意点としてまとめておりますが、まず共通事項といたしまして、評価は当該研究開発課題の「必要性」、「有効性」、「効率性」等の観点から行います。
 次に、評価票の様式についてですが、評価票の様式は、先ほども説明いたしました参考資料5として配付をしています「第11期研究計画・評価分科会における研究開発課題の評価について」において定めています。これは本年3月に改定をしていますが、主な改定事項は、この資料に記載しております。
 まず1点目、主な変更点は、まる1、分野別研究開発プラン策定に関する変更。本日も御審議いただきましたが、「研究開発計画」に代わって「分野別研究開発プラン」を記載できるよう変更しています。それから、科学技術・イノベーション基本計画への対応に関する変更。これはこの基本計画でまとめられています研究データの管理・利活用に関し、関する取組方針等を記載できるよう変更しています。そして、評価結果の活用促進のための変更ということで、指摘事項があった場合には、指摘事項のフォローができるよう改定しています。
 なお、本日御審議いただきます課題の一部につきましては、評価スケジュールの都合上、旧様式のほうも使用しておりますので、その点については御承知おきいただければと思います。
 それから、様式についてのもう少し詳しい説明になりますが、(1)のところで、本日、事前評価も行いますが、事前評価票につきましては、こちらに記載しておりますとおり、「必要性」、「有効性」、「効率性」のところで適切な評価項目を設定し、評価基準を明確に設定するということ。中間評価は本日ありませんので省略いたしまして、次のページに事後評価票について記載しています。事後評価においては、課題の所期の達成度の判定と、その判断根拠を明確にするということ。設定された「必要性」、「有効性」、「効率性」の各観点における評価項目及びその評価基準の妥当性を改めて評価するということですとか、まる2のところでは、総合評価でどのような成果を得たか、所期の目標との関係、波及効果、倫理的・法的・社会的課題への対応状況等を記載するということにしております。こういった点に御留意をいただければと思います。
 それから、最後に、研究開発課題評価の審議に当たっては、説明時間を適切に管理するために、予定説明時間の終了1分前と終了時点で、事務局よりチャットで全員にお伝えいたしますので、時間厳守でお願いいたします。なお、今回の課題評価より、各委員会から御提出いただいた評価票と併せて、審議を行った委員が分かるよう、研究計画・評価分科会の委員名簿を決定後に付するということにさせていただきます。
 説明については以上です。よろしくお願いします。

【岸本分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、最初に、事後評価を実施したいと思います。
 まず、委員会から評価票の説明をしていただき、その後、質疑の時間を取ります。複数の事後評価がある場合は、まとめて説明をお願いいたします。1つの委員会の質疑を終えましたら、次の委員会の説明に移るという形で進めさせていただきます。
 次に、全ての事後評価の審議を得ましたら、事前評価を実施いたします。こちらにつきましても事後評価と同様に、委員会ごとに行います。説明の際は、最初に分野別研究開発プログラムにおける当該課題の位置づけが明確となる当該ページを用いて、上位施策や大目標、中目標の達成に向けた今回の評価課題の位置づけ、意義及び課題間の相互関係等を簡潔に説明いただき、次に、評価票の評価の観点における評価項目や評価基準に触れながら、必要な部分のみを簡潔に説明するようにお願いいたします。
 説明につきましては、1課題につき5分でお願いいたします。
 それでは、ナノテクノロジー・材料科学技術委員会主査の高梨委員から説明をお願いいたします。

【高梨(弘)委員】  高梨でございます。
 ナノテクノロジー・材料科学委員会において事後評価を行いましたナノテクノロジープラットフォームの評価結果について御説明をいたします。
 まず、事業の位置づけに関して、分野別研究プランの中の位置づけ、これが181ページから182ページ、資料3-1-1にございます。未来社会を見据えた先端基盤技術の強化という大目標の下で、ナノテクノロジー・材料科学技術は他の様々な分野の研究開発を支える基盤となる重要な分野として、広範な社会的課題の解決に資する研究開発の推進などに取り組むこととしております。その中で、今回事後評価の対象となっておりますナノテクノロジープラットフォームは、ナノテクノロジー・材料科学技術を支える基盤の強化、活用の役割を担う事業として平成24年度から開始いたしまして、令和3年度、本年3月で終了しております。
 それで資料の3-1-2ですが、183ページから始まりますけれど、最初は表紙で、184ページ、185ページは名簿ですのでここは飛ばしまして、186ページから事業の概要でございます。本事業は、ナノテクノロジーに関わる最先端の研究設備とその活用のノウハウを有する機関、全国25法人・38機関という体制で、全国的な研究基盤(プラットフォーム)を構築するとともに、産学官の多様な利用者に対して共同利用を促進し、最先端の計測、評価、加工設備の利用機会を高度な技術支援とともに提供することを目的として事業を行ってまいりました。
 187ページは概要としての「必要性」、「有効性」、「効率性」ですが、188ページ、189ページは予算、実施体制を記載しておりますけれども、ここは省略いたしまして、事業評価票が190ページからになります。
 190ページは概要説明と重なるので省略いたしまして、191ページ、192ページ。詳細な説明はここでも割愛いたしますが、192ページの図面を見ていただきますと、アウトプット指標の利用件数と利用料収入につきましては、利用開始から利用が拡大しておりまして、直近では新型コロナウイルスによる一時的な落ち込みはあったものの、持ち直してきております。また、アウトカム指標の利用者による論文数、特許出願数については、10年間で論文は約1万報、特許出願は約700件となっておりまして、また、産業界からの利用によるものに関して、実用化や製品化につながった事例もございまして、最先端研究への支援及びイノベーション創出にも貢献しているというふうに評価しております。
 また、人材育成に関しましても、全25法人が相互提供する技術研修や技術講習会、また技術スタッフの海外派遣や職能名称の付与制度等を通して技術スタッフの育成やキャリア形成にも貢献したと評価しております。
 それから193ページから195ページは、各プラットフォーム及びセンター機関の個別の評価ですのでここは割愛しまして、195ページのちょうど下のところから196ページに必要性が記載されております。
 第一に、毎年安定して利用者を獲得し、大学や企業等バランスよく利用件数を積み上げていること。それから、第二にコスト構造の分析や利用料収入による統一的な財務マネジメントの考え方を導入したことで、大学等における設備共用に関する意識が高まり、共用システムの改革を促進したこと。それから、第三に技術スタッフへの職能名称の付与制度、これは先ほど申し上げましたけれども、それから表彰制度、海外研修などの取組により、技術補助を通じた利用者の研究力向上など、人材育成の効果があらわれたことなどから、必要性の評価項目を十分満たしていると評価いたしました。
 それから、次に有効性については、196ページの中程から197ページに記載しております。第一に、全国25法人・38機関の研究設備をオープンに利用できるようにしたことで、装置を有さない研究者と技術スタッフが連携して最先端の研究機器を使用しながら、多くの研究課題を遂行し、我が国の研究力の底上げに大きく貢献したこと。それから、第二に、産業界からの利用者が全体の30%を占めておりまして、さらに企業との連携によってアカデミアとしても新たな研究課題が発掘され、企業・アカデミアの相乗効果が生まれていることなどから、有効性の評価項目も十分に満たしていると評価いたしました。
 それから、効率性に関しましては197ページの中程に記載しておりますが、3つのプラットフォームの取りまとめ機関としてのセンター機関を配置することで、事業全体の浸透、調整、広報的な取組の重要性を理解して、効果的な運営がなされまして、センター機関と3つのプラットフォームの協力体制により、分野融合や産学官の連携が図れたことなどから、効率性の評価項目も十分満たしているというふうに評価いたしました。
 それから、198ページには、中間評価時の指摘事項とその対応。ここでは詳細を割愛しまして、このような対応がなされているということでありまして、それから、199ページが総合評価でございます。
 これまでに御説明したとおり、当初の事業目標を達成し、特に研究機器の共用の文化を根づかせ、研究者の意識改革を起こすことに成功したことは特筆すべき成果でありまして、高く評価するといたしました。加えて、優秀な若手研究者がプラットフォームの設備利用を通して活躍していることや、技術スタッフ等の処遇やインセンティブの向上等、人材育成の観点からも評価されます。実際に、ナノテク・材料委員会の席上で多数の委員から高く評価する声が寄せられました。
 最後が200ページですけれども、今後の展望といたしまして、後継の事業であるマテリアル先端リサーチインフラが令和3年度より開始されたところでございますので、本事業が蓄積した技術的・人的資産を生かしながら、我が国のマテリアル研究開発の中核を担う基盤として、データ駆動型研究開発の時代をリードする研究環境を構築することへの期待などについて言及しております。
 以上でございます。

【岸本分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等ございますか。安浦委員、お願いいたします。

【安浦委員】  どうもありがとうございます。すばらしい成果を上げられていると思います。
 1つお伺いしたいのですけど、技術スタッフのいわゆる処遇をよくするという、その視点で見たときに、旧来の国立大学における技術員とかそういった人たちの、特別な設備を扱える能力によって、いわゆる給与体系とかそういった処遇面まで含めた改善がなされたのかどうか、その点についてちょっと教えていただきたいのですけど。

【高梨(弘)委員】  給与面等まで、そこまで改善されたかどうかということは、私は明確に把握しておりませんが、技術スタッフの処遇については、かなり委員会の中でも議論があって、そこは重要視しています。それで実際に、職能名称の付与制度というのをインセンティブとしてつけているわけですけれども、これが一種の国家資格のようなものとして、本当にキャリアとしてきちんと認められるようなものにすべきではないかとか、そういう御意見も委員会の中で出ておりますし、統計的なものはまだないと思うのですけれど、やはり追跡調査として、結構多くの方が実際に任期なしの正規の技術職員となって活躍されているような方も結構いますし、もう少しそこら辺の統計的なデータをきちんと示すことができればいいと思っています。
 給与まで改善されたかというのはちょっと私、よく分かりませんが、事務局から補足いただけますか。

【長田参事官(ナノテクノロジー・物質・材料担当)付参事官補佐】  事務局のナノ材参事官付の長田と申します。安浦先生、ありがとうございます。
 我々もこの事業を進める中で、先ほど高梨主査から説明いただいたとおり、表彰制度等を設けて技術支援スタッフのインセンティブを高めるということを行ってまいりました。その中でも、PD・PO等からサイトビジット等の際に、大学側に対して技術支援スタッフに対する処遇面に関してしっかり反映してほしいというようなことは申し上げているところです。
 ただ具体的に各大学が個別にどの程度、処遇面に関して対応されたというところまでは追えていないですが、御指摘の技術スタッフの処遇面に関してできる限り配慮して進めてほしいという趣旨で本事業を行ってまいりました。
 以上です。

【岸本分科会長】  ありがとうございます。
 ほかの委員の方から御発言ございますか。よろしいでしょうか。
 文科省全体で進めている研究設備の共用化事業というのがございますけれども、そこでもいろんな検討を進める中で、このプログラムがこういったいい成果を出していただいたのは、大きなインパクトがあるのかなというふうに思いました。これがほかの分野にも広がっていくことも期待されるのかなというふうに思います。

【高梨(弘)委員】  ありがとうございます。

【岸本分科会長】  ほか、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
 それでは、どうもありがとうございました。

【高梨(弘)委員】  ありがとうございました。

【岸本分科会長】  続きまして、ライフサイエンス委員会の事後評価2件になります。
 それでは、主査の宮園委員から御説明をお願いいたします。

【宮園委員】  それでは、ライフサイエンス委員会から、事後評価2件について御審議をお願いいたしたいと思います。
 今回の評価対象は、資料3-2-1のライフサイエンス分野研究開発プランに沿って紹介いたしますが、老化メカニズムの解明・制御プロジェクトの事後評価と、再生医療実現拠点ネットワークプログラムの事後評価ということになります。
 それでは、207ページをお願いいたします。老化メカニズムの解明・制御プロジェクトの事業評価についてまず御説明いたしますが、このプロジェクトは、「分野別研究開発プラン」のライフサイエンス分野の疾患基礎研究プログラムに位置づけられておりまして、健康・医療戦略等に基づき研究開発が行われてきました。本年6月3日にライフサイエンス委員会で審議が行われまして、老化研究の成果、若手の人材育成など、幅広い議論が行われております。
 では、続いて218から219ページ、資料3-2-2をお願いいたします。このプロジェクトは、平成29年から令和3年度の5年の事業でございます。予算総額は、5年間で約68億円でした。
 次、220ページに行ってください。事業の概要ですけれども、本プロジェクトは、健康寿命の延伸ということを目的として、老化のメカニズムの解明、それから、老化の制御、そして加齢関連疾患等の予防・遅延・克服ということで包括的に実施しました。
 では、次に課題の実施体制について御説明いたしますが、このプロジェクトはAMED補助金の事業でありまして、3つの拠点により、研究が実施されました。
 221ページをお願いいたします。研究開発拠点におきましては、老化機構・制御研究拠点と、個体・臓器老化研究拠点の2つがあります。これらの拠点に対しまして、加齢マウスの提供や解析技術などの支援を行う老化研究推進支援拠点というのを設置しまして、3つの拠点が連携して研究が進められました。
 では、評価結果について観点別に御説明いたします。まずは226から227ページ、必要性についてですけれども、政府方針に合致しているかなどの基準で評価しております。超高齢社会に突入している我が国にとって、健康寿命の延伸は喫緊の課題であり、健康・医療戦略においても老化研究の重要性が示されているということで、必要性はあったと評価しております。
 続いて、有効性に関する評価、227から228ページをお願いいたしますが、画期的なシーズを創出しているかという基準で評価しております。具体的な成果の例は1つ目にございますけれども、例えばハダカデバネズミという非常に特殊なネズミ、これは30歳、30年ぐらい生きるという、普通のネズミの10倍ぐらいの寿命を持っているネズミですが、このネズミはがんなどの老化関連疾患に耐性でありまして、こういう老化関連疾患の予防等につながる成果が創出されております。ハダカデバネズミの写真で御覧いただきますと、毛がない裸で前歯が2本出っ歯になっているというのでこういう名前がついておりますけれども、老化の研究に貴重なものとして研究が進められております。
 また、加齢関連疾患の新たな治療法などの開発につながる研究成果も創出されておりまして、以上から有効性はあったと評価しております。
 次が効率性、228から229ページに記載しておりますけれども、効率的に研究が推進されているかなどの基準で評価しております。このプロジェクトでは、解析支援などを一括して行う支援拠点というのを設置することで、効率的に老化研究が推進されました。それから、PS・POによる進捗管理等も随時行われておりまして、以上から、効率性はあったと評価しております。
 続いて、中間評価時の指摘事項及び対応状況は、229から230ページに記載しております。対応といたしましては、中間評価時の指摘を踏まえまして、共同研究の推進やニーズを踏まえた解析支援の拡充などで対応しております。
 そこで総合評価となりますけれども、各評価を踏まえまして、230から231ページに記載しておりますが、総合評価は、本プロジェクトは、老化メカニズムの解明、老化制御や加齢関連疾患等の予防・遅延法・克服に貢献するとともに、老化研究の推進拡大にも貢献したということで評価しております。
 今後の展望は231から232ページに記載しておりますが、老化研究については、ライフサイエンス委員会の作業部会での議論を踏まえまして、後継プロジェクトは設定しませんでしたが、今年度よりAMED、CREST/PRIMEとJSTさきがけを立ち上げまして、新たな老化研究を推進しています。老化研究は社会的ニーズは非常に高く、継続的に研究を推進していく必要があるということで意見がまとめられております。
 本事業については、以上です。
 続きまして、もう一つの事後評価ですけれども、再生医療実現拠点ネットワークのプログラムの事後評価について御説明いたします。
 ちょっと戻っていただきまして、205ページを御覧いただきます。このプログラムは、ライフサイエンス分野研究開発プランの再生・細胞医療・遺伝子治療プログラムに位置づけられておりまして、健康・医療戦略等に基づき研究開発が行われてきました。
 それでは、245ページに進んでください。資料3-2-4、概要となります。
 再生医療実現拠点ネットワークプログラムは、我が国の優位性を生かし、世界に先駆けて臨床応用するべく研究開発を加速することを目的として、平成25年から令和4年までの10年にわたり支援を実施してまいりました。今年度での事業期間終了に当たりまして、事後評価をいたしましたので御報告いたします。
 評価結果につきましては、247から260ページの3.評価結果を観点別に御説明いたします。
 まず、課題の達成状況を説明しますが、247ページ、3.の評価結果、課題の達成状況(1)を御覧ください。iPS細胞の実用化については、当初の展望が不明瞭であったということから、研究の進捗に問題が見られた課題が複数ありましたが、適切な進捗管理が行われたことで、プロジェクト全体としては順調に進捗したと評価いたしました。iPS細胞中核拠点におきまして、我が国のiPS細胞研究を牽引し、細胞の初期化や分化誘導法等において優れた成果を発表するなど、大きな成果を得ました。ほかのサブプロジェクトにおいても多数の研究課題が臨床研究や治験に進んだことなどから、本事業の成果は優れていると評価いたしました。
 次に、必要性は252から254ページに記載しておりますが、患者さんが臨床でその恩恵にあずかることができるまでには、まだ幾つかのステップが必要でありますけれども、iPS細胞研究中核拠点を中心に先導的な研究開発が多数支援されまして、複数の課題が臨床研究または治験に移行するとともに、ドラッグリポジショニングということで、薬剤候補も医師主導治験に移行するなど、社会還元に向けた研究が進みました。以上から、本事業の必要性は優れていたと評価いたしました。
 続いて有効性のほうですが、254ページから257ページに記載しております。国際共同研究、若手育成、異分野融合等が効率的に行われまして、再生医療の分野に大きなインパクトを与えました。生命倫理や規制科学面からは、被験者保護や倫理的課題に関する会議を数多く実施して、臨床研究・治験を支える体制を教育的な観点でサポートしてきました。以上から、本事業の有効性は優れていたと評価いたしました。
 次に、効率性は257ページから258ページに記載しておりますが、PS及びPO並びにAMED事務局による進捗管理に加えて、拠点長会議や研究交流会で研究進捗や臨床計画の共有が行われたということは、研究の効率性を高める上で評価できます。また、PDが厚生労働省や経済産業省が所管する、実用化・産業化に関する事業も併せて統括する体制をつくったことも評価されました。
 一方、異分野研究者の参画の促進や企業とのマッチングについては、さらに工夫や検討が必要という指摘もありました。以上から、本事業の効率性は妥当であったと評価いたしました。
 以上の各点を踏まえました総合評価は、259ページに記載しております。再生医療の実現に資する多くの研究成果を生み出し、必要性や有効性においても優れていると評価できることから、本プロジェクト全体の総合評価は優れていると評価いたしました。
 最後に今後の展望についてですけれども、再生・細胞医療・遺伝子治療は我が国の生命科学の将来において極めて重要であり、画期的な研究開発や臨床で見いだされた知見のリバーストランスレーショナルリサーチ、実用化に向けた技術開発の積極的な支援が重要となります。今後も若手研究者の育成支援を継続するとともに、異分野研究者の参画促進やアカデミアと産業界及び関係省庁間のさらなる連携により、基礎研究から社会実装への切れ目ない支援が必要と考えております。
 本事業については以上です。どうぞよろしくお願いいたします。

【岸本分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問等ありましたらお願いしたいと思います。
 水澤委員、お願いいたします。

【水澤委員】  宮園先生、どうも御説明ありがとうございました。老化メカニズムのほうも再生のほうも非常にすばらしい研究成果が上がっていて、大変心強く思いました。
 2つあるのですけれども、これはできればということなのですが、老化のメカニズムのほうは、ところどころに具体的な成果例という記載がありまして、非常によく分かると思いました。再生のほうはそれがないので、できればもし可能であれば、この具体的な成果例みたいのを書いていただくとよろしいのではないかなと思いました。
 特に再生のほうはメディアで紹介されたような、例えば私の領域ですとパーキンソン病のiPS細胞を使ったセルセラピーとか、そういったこととも関連していますし、目の黄斑変性といったことも、皆さん、国民が関心を持っているような状況だと思いますので、ぜひそういったものを加えていただいたらよいと思いました。
 もう1点は、これは老化のほうも再生のほうも関係するのですけれども、実績のほうで論文の数とか、それから特許は書いてあるのですけれども、企業への導出というのでしょうか、得られたシーズを企業が関心を持ってきちっと共同研究へ入っていくというか、導入していただくというか、そういった数がもし出せたらよいと思いました。その辺もし、これはどうでしょう、事務局のほうでしょうか。分かればうれしいと思いました。
 以上です。

【岸本分科会長】  いかがでしょうか。

【宮園委員】  どうもありがとうございます。2つ目の企業導出は、事務局、どうでしたでしょうか。ちょっと私の記憶がはっきりしません。

【葛谷ライフサイエンス課課長補佐】  ライフサイエンス課の葛谷と申します。御質問ありがとうございます。
 ページでございますけれども、222ページを御覧いただければと思います。今このページですね。まず老化について、企業導出の実績の数については、ちょっと残念ながら把握はできていないという状況でございますけれども、この中で特許申請登録等という成果の1つには、共同研究によって、実際に社会実装を進めているという研究成果もあると伺っておりますので、老化プロジェクトの中で、実際に成果に結びつくような成果も出てきているということで承知しております。
 老化については以上でございます。

【岡部ライフサイエンス課ゲノム研究企画調整官】  続きまして、再生医療研究につきまして、事務局の岡部より説明をさせていただきます。
 再生医療研究の企業導出のでございますが、文科省の事業では基礎から非臨床研究まで、その後、ヒトに投与する臨床研究は、厚労省事業にしっかりと移転をして、今、臨床研究、治験を進めているという段階でございます。
 この中で先生方は、御自身でベンチャー企業を立ち上げて連携をしている場合や、大手のメガファーマーと連携をしながら細胞を作ってもらっている場合がございますが、明確にまだ企業導出というところまでは、データとしては集計できていないというのが現状でございます。
 一方、後ほどの事前評価票で次期事業につきまして御審議をいただきたいと思っておりますが、今後、企業導出というところもしっかりと考えていきたいと思っておりますので、また後ほど御議論いただければと思っております。
 また、1点目の具体的な成果例のところでございますが、非常に成果が沢山あって、どれをピックアップしていいか事務局も非常に困りまして、ワードファイルの事後評価票に、成果を書かせていただきました。 例えは、248ページの「プロジェクトの進捗状況についてと」いうところを御覧いただきますと、例えば、2つ目の黒丸の疾患・組織別実用化研究拠点で、神戸アイセンター病院では、試験管内での立体網膜の作製や、半年後のマウスでの生着の機能性評価、眼杯の形態が形成される仕組みの解明等を行っていますということを記載してございます。
 また、こちらは臨床フェーズに進んでおりまして、厚労省事業に移転をしております。そのようなことも、このパラグラフの一番最後の拠点Aについての4課題全てにおいて臨床研究治験段階へ移行したという形で書かせていただいているところでございます。以上でございます。

【水澤委員】  内容的にはよく理解しているのですけど、私に近いところもありまして。ただ同じような報告が2つ並んでいて、1つのほうは項目が別にちゃんとあって、そこにたくさんある中から代表例をピックアップして書いておられるので、その辺のところを少し統一してもらったらよいいかと、コメントさせていただきました。どうもありがとうございました。

【岸本分科会長】  ありがとうございます。
 ほかに御意見いかがでしょうか。
 それでは、以上としたいと思います。以上で研究開発課題評価のうち、事後評価の案件の説明は終了いたしました。全体を通じて、御意見、御質問ございますか。
 それでは、ただいま御審議いただきました評価案について、本分科会として決定したいと思いますけれども、ただいま再生医療のところについては、書きぶりを少し検討してはというコメントをいただいたところでもありますけれども、どうでしょうか。可能な範囲で、もし可能ならば見直していただくということもありますが、いかがでしょうか。
 必要があれば事務局のほうでもう一度見ていただいて、御意見いただきました委員と私で確認した上で本分科会の決定としたいと思いますけれども、そのあたり、評価をされた方からするとどうでしょうか。

【宮園委員】  やはり数が非常に多かったということもありましてこういうことになりましたが、また事務局と相談して御返答させていただければと思います。

【岸本分科会長】  最終的に主査と関係者でまとめるということで、このままでということもありますけれども、よろしゅうございますか。
 それでは、そういったところも踏まえて本分科会として決定したいと思いますが、よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、以上で評価案については決定したというふうにしたいと思います。
 それでは、続きまして、事前評価に移ります。これから先は、さきにも御説明しましたとおり非公開とさせていただきたいと思います。
 それでは、一部の配信の停止等、事務局のほうでお願いいたします。
 
以下、研究計画・評価分科会運営規則(平成13年2月27日決定)第6条第1項第3号の規定に基づき、非公開。
 
次の事前評価について各委員会より概要の説明があり、質疑応答が行われた後、事前評価結果が決定された。
・ライフサイエンスに関する研究開発課題の事前評価結果
・航空科学技術に関する研究開発課題の事前評価結果
・国際戦略に関する研究開発課題の事前評価結果

お問合せ先

科学技術・学術政策局研究開発戦略課

(科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官(制度改革・調査担当)付)