研究計画・評価分科会(第81回)議事録

1.日時

令和4年7月8日(金曜日)15時00分~17時00分

2.場所

Web会議形式で開催

3.議題

  1. 航空科学技術分野に関する研究開発ビジョンについて
  2. 部会等からの報告
  3. 分野別研究開発プログラム評価の今後の進め方、プログラム評価のフォ ーマットについて
  4. 科学技術・学術審議会での議論について
  5. 最近の研究開発評価の動向について
  6. その他

4.出席者

委員

岸本分科会長、高梨(弘)分科会長代理、春日委員、村山委員、安浦委員、五十嵐委員、出光委員、上田(正)委員、上田(良)委員、上村委員、佐々木委員、高梨(千)委員、塚本委員、長谷山委員、林委員、原澤委員、水澤委員、李家委員

文部科学省

千原科学技術・学術政策局長、阿蘇大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)、神谷研究開発戦略課長、佐野科学技術・学術戦略官、工藤参事官(情報担当)、須藤宇宙開発利用課宇宙連携協力推進室長、久保研究開発戦略課専門官、甲斐環境エネルギー課専門官、ほか関係官

5.議事録

【岸本分科会長】  それでは、ただいまから第81回科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会を開催いたします。
 それでは、議事に入る前に事務局から説明をお願いいたします。
【久保研究開発戦略課専門官】  本日の研究計画・評価分科会は、科学技術・学術審議会令第8条第1項に定める定足数の過半数を満たすことを御報告いたします。
 初めに、事務局に人事異動がございましたので、御紹介いたします。7月1日付で科学技術・学術政策局研究開発戦略課長に神谷考司が着任をしております。
 また、本日は、千原科学技術・学術政策局長、阿蘇科学技術・学術政策局担当審議官も出席しております。
 次に、Webexによるウェブ会議の開催に当たりまして、委員の先生方にお願いがございます。
 御発言の際は、手のマークの挙手ボタンを押すようお願いいたします。御発言後は、再度、挙手ボタンを押して挙手を取り消してくださるようお願いします。御発言時以外はミュートにしていただき、御発言時のみミュート解除を御選択いただくようお願いいたします。
 また、オンライン上でも聞き取りやすいように、御発言の都度、お名前をおっしゃっていただくようお願いいたします。
 御発言の際、資料を参照する際には、資料番号、ページ番号またはページ内の該当箇所などを分かりやすくお示しいただくよう御配慮をお願いいたします。
 説明は以上です。
【岸本分科会長】  それでは、議事に入ります。
 議題1の「航空科学技術分野に関する研究開発ビジョンについて」です。
 航空科学技術委員会では、分野の現状や今後推進すべき研究開発の方向性等について検討し、個別具体の研究開発課題とその取組方策をとりまとめられました。本日は、その内容について御審議いただき、分科会として決定できればと考えております。
 それでは、航空科学技術委員会主査の李家委員から御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
【李家委員】  航空科学技術委員会の主査をしております李家でございます。今日は、資料の1-1に基づいて、ただ今御紹介いただきました航空科学技術分野に関する研究開発ビジョンの最終とりまとめについて報告させていただきたいと思います。
 資料といたしましては、今、画面に出ております3ページの1枚紙の資料、概要ページと、次の4ページからの本文になっております。これは、第6期科学技術・イノベーション基本計画の策定ということで、それに向けてこれまでの研究開発計画を見直すということで、3年ほど前から作業を始めておりました。2年ほど前に中間とりまとめをしたのですけれども、ちょうどその頃、COVID-19の影響で大きく社会情勢が変わりました。ということで、その情勢変化を取り込んでもう一度検討し直しまして、このたび最終とりまとめということで資料を作成したと、そういう経緯になっております。
 では、以後は、資料につきまして事務局のほうから細かい説明をさせていただきたいと思います。
 事務局のほうから、よろしくお願いいたします。
【須藤宇宙連携協力推進室長】  航空科学技術委員会事務局から今回のとりまとめにつきまして御説明させていただきます。
 今、李家主査から御説明のありましたとおり、本件、経緯から申し上げますと、3年ほど前に、第6期科学技術・イノベーション基本計画の策定に向けて、航空科学技術分野における大きな方向性の調査・検討を行っておりまして、令和元年10月に中間とりまとめを行いました。その後さらに調査・検討を重ねて、今回、大きく変わっているところといたしまして、資料1-2のほうを御覧いただき、次のページが目次となっておりまして、ここの「5.未来社会デザイン・シナリオを実現する具体個別の研究開発の取組」という部分を追加してございます。
 まず、「2.我が国の航空分野の現状」から御説明をさせていただければと思います。
 6ページを御覧いただければと思います。既に御存じのとおり、長引く新型コロナ感染症の影響により、航空需要は大幅に減少しております。現在、回復傾向は見られておりますけれども、今後もその推移を注視していく必要があります。
 他方で、航空機は、既に経済社会の発展及び国民生活の向上のために必要不可欠な社会インフラでありまして、また、安全性や信頼性に関して非常に厳格な要求がなされるため、開発には高い技術が要求されます。特に最近の大きな動きとしましては、各国でカーボンニュートラルを目指す動きが加速しており、社会ニーズも踏まえた研究開発に取り組んでいく必要があります。
 さらに、産業界・学術界から期待されている役割についても、7ページから9ページにかけて記載をさせていただいてます。
 右下のページの9ページ目でございます。「3.航空科技術分野における未来社会デザイン・シナリオの実現方策」です。
 ここでは、航空の未来像を想定し、議論を進めてまいりました。今後のグローバル化、またIoT技術の進展が考えられ、CO2などの排出削減の要求が一層強まることも予想されています。この10ページ目の6行目にありますとおり、こうした将来においては、安全性、信頼性、環境適合性、経済性などの社会共通の要求への対応が追求された上で、「より無駄なく」、「より速く」、「より正確に」、「より快適に」といったユーザー個々のニーズに細かく対応したサービスが提供されることに加えまして、オンラインによるコミュニケーションが一般化し、特に「量」の必要性から、「質」への要求へのシフト、すなわち、移動に対するコストや環境に対する意識の変化が増大するであろう。これらの点については、時間的制約の緩和にどれだけニーズがあるかを見極めつつ、航空機の経済性・環境適合性の向上により対応していく必要があり、これまで我が国において蓄積してきた航空科学技術にデジタル技術やデータ活用技術などを高度に融合させていくことが求められることが記載されてございます。
 また、少子化、過疎化による担い手不足の深刻化も想定されます。右下のページで10ページ目ですが、下から2行目でございます。今後、ドローンなどの次世代モビリティ・システムが持続可能な人間中心の交通ネットワークの実現とともに、災害対応や農林水産業、離島や山間部、過疎地の物流サービスやインフラの維持管理をはじめとする様々な分野においてもニーズを満たすような性能を持ち、かつ安全な運航を可能とする技術が、電機産業・自動車産業分野の技術などとも融合しつつ確立されていくということが予測されています。
 こういった航空の未来像を実現する方策について、11ページから13ページの間に記載をさせていただいております。「我が国の優位技術を考慮した研究開発戦略」、「異分野連携も活用した革新技術の創出」、それから「出口を見据えた産業界との連携」といった、この3つの視点から整理し記載してございます。
 そして、これらの方策を的確に進めるためのシステム改革の方向性につきまして、14ページから15ページ目に記載してございます。
 そういったこれまでの議論を踏まえまして、「未来社会デザイン・シナリオを実現する具体個別の研究開発」について今回の最終とりまとめとして整理しましたのが16ページ目となります。
 ページ中ほどでございますけれども、航空機のCO2排出低減技術に関しましては、燃費低減と環境負荷低減において競争力のあるコアエンジン技術、ジェットエンジンと電動エンジンを組み合わせた電動ハイブリッド推進システム技術などに取り組むとしております。
 それから、静粛超音速機技術に関しましては、2020年代後半に予想される超音速機の国際的な騒音基準の策定、その後の国際共同開発に向けた開発を進めるとしております。
 その後の運航性能向上技術に関しましては、特殊気象の影響を検知し、回避しながら運航効率向上に資する研究開発を行うとしてございます。
 17ページの中ほどでございます。「次世代モビリティ・システムによる更なる空の利用に必要な研究開発」に関しましては、有人機・無人機と混在した状態において、安全で効率的な運航に資する研究開発に取り組むとしております。さらに、2030年代の“空飛ぶクルマ”の実用化を念頭に、マルチエアモビリティの高密度運航の実現を目指した研究開発にも取り組むとしております。
 最後に、17ページ目の一番下でございます。「デザイン・シナリオを実現するための基盤技術の研究開発」として、航空機の設計・認証・製造・運用・廃棄というライフサイクル全体のデジタルトランスフォーメーションにより、新たな航空機の創出に資する技術の研究開発に取り組むとしております。
 下のほうに行きまして、「6.おわりに」でございます。従前から、社会的課題に加えまして、この新しい観点で航空科学技術行政に求められる課題を見直しながら航空の未来像を想定いたしました。その実現に向けて、今後、文部科学省として推進すべき具体個別の研究開発についてとりまとめを行いました。今後、このビジョンを実現していくことが重要と考えておりまして、現在、審議の進んでおります研究開発プラン、研究開発プログラムにも反映してまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【岸本分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの内容につきまして、御意見、御質問がありましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。御意見のある方がいらっしゃいましたら、「手を挙げる」ボタンを押していただくか、画面上で手を挙げていただいても分かるかなと思いますけれども、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
 私のほうから1点なのですけれども、19ページのところに年度計画が出ていたかと思いますが、この中で多くの技術が、「技術移転」と書いているところなのですけれども、この技術移転の先というのは民間企業等と考えてよろしいのでしょうか。
【李家委員】  はい、そのとおりに考えております。例えば、2030年代に向けての次期の航空機等の開発の計画が立ってきますので、そういったものに使えるように技術移転をしていくということで考えております。
【岸本分科会長】  ありがとうございます。そうしますと、産学で連携しながら研究も進めていき、ある程度成熟したところで技術移転というような考え方で進められるということでしょうか。
【李家委員】  はい、おっしゃられたとおりです。
【岸本分科会長】  はい、分かりました。どうもありがとうございます。
 ほかの委員の方々からはよろしいでしょうか。
 それでは、特に御意見等ございませんでしたので、ただいまの研究開発ビジョンにつきましては本分科会として決定したいと思いますが、よろしいでしょうか。
 どうもありがとうございました。
【李家委員】  どうもありがとうございました。
【岸本分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、議題の2のほうに進みたいと思います。議題の2は「部会等からの報告」です。
 本日は、地球観測推進部会による「地球観測・予測データの活用によるSDGsへの貢献」中間とりまとめについて御報告いただきます。
 それでは、地球観測推進部会部会長の春日委員に御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【春日委員】  はい、承知しました。それでは、地球観測推進部会より「地球観測・予測データの活用によるSDGsへの貢献」の中間とりまとめについて御説明します。
 資料は、21ページから資料2-1として中間とりまとめの概要、そして23ページ以降、資料2-2として中間とりまとめ本体を御用意しています。
 まず、本体です。資料では24ページになりますが、こちらを御覧ください。本中間とりまとめは、まず、SDGsへの貢献やデータプラットフォームの現状について示し、続いて課題と方向、さらに今後の施策への提言をまとめる形となっています。
 次に、1ページ飛んで26ページをお願いします。作成の経緯ですけれども、地球観測推進部会第8期(令和2年8月)にとりまとめられた「今後10年の我が国の地球観測の実施方針のフォローアップ報告書」、こちらにおいて、SDGsへの貢献として、SDGsの各評価指標やポストSDGsへ向けた目標設定に関して、地球観測データの利活用の推進が示されました。科学技術・イノベーション基本計画における「STI for SDGs」、地球観測データがSDGs指標に活用されつつある状況を踏まえ、地球観測・予測データによるSDGsへの貢献をテーマに、今期第9期の地球観測推進部会で議論を進めているところです。
 次、27ページをお願いします。今後10年の我が国の地球観測の実施方針で示された地球観測が貢献すべき8つの課題というものがあります。ここでは、その8つの課題とSDGsの17の目標、ゴールですね、この関係を整理しています。ここで示すように、地球観測が貢献すべき課題はSDGsの目標とも結びついており、地球規模課題の解決や政策判断などのために必要となる科学的根拠として極めて重要な役割を果たします。
 続いて、29ページをお願いします。本報告書では、SDGsへの貢献に向けた気候変動分野での取組、地球観測・予測データに関するデータバリューチェーンに関する検討を重視しています。そして、今後10年の我が国の地球観測の実施方針フォローアップ報告書で示された、「地球観測情報をデータ利活用の現場に繋ぐ取組の強化」、「課題解決を志向した地球観測インフラの長期性・継続性の確保」、「予測情報の高精度化」、そして「共通的・基盤的な取組の推進とイノベーションへの貢献」、この4項目に沿って、地球観測・予測データの利活用における課題や方向を整理し、今後の施策に向けた提言を行いました。
 それでは、地球観測・予測データの活用事例及び国内外のデータプラットフォームの現状について御説明します。資料は34ページを御覧ください。
 まず、左側です。地球観測データがSDGsの指標のモニタリングに活用されている例を示しています。まず、SDGs6、ターゲット6.6、そして、そのグローバル指標である6.6.1、これは水関連生態系範囲の経時変化、これについての指標となります。JAXAの全球マングローブマップのデータが国連環境計画(UNEP)の公式データとして採用され、UNEPのウェブサイトから公表されています。
 次に、SDGs15.4.2、こちらは山地グリーンカバー指数についての指標です。この指標は、総務省が開催するビッグデータ等の利活用推進に関する産官学協議のための連携会議、こちらに設置された観測データ利活用検証ワーキンググループにおいて、JAXAの衛星であるALOS、これによる高解像度土地被覆図を用いた試算及び検証を実施し、日本域についての数値が公表されています。
 では、35ページを御覧ください。こちら左側は、SDGs14.3.1、海の生態系に大きな影響を与える海洋酸性度についての指標です。こちらの指標については、海洋気候観測船によって取得された二酸化炭素分圧等の観測データ及び温室効果ガスの観測データを基に算出・公表されています。また、気象庁の海洋の健康診断表、この中でも情報を公表しています。
 次に、ちょっと飛びます。38ページを御覧ください。気候変動予測データであるd4PDF/d2PDF、この活用事例を示しています。d4及びd2PDFというのは、産業革命以前と比較して全球の地表温度が4度あるいは2度上昇した世界の気候について、計算条件を変えながら多数将来予測したデータセットであり、気候変動による影響について統計的な評価が可能となっています。気候予測データは、国土交通省の治水対策への活用、民間における気候変動財務リスク評価などでの利用が進んできているところです。このように、衛星観測データや海洋観測データ、気候予測データといった地球観測・予測データが、SDGs指標や気候変動対策に活用されるようになってきています。
 それでは、また少し飛びますが、42ページを御覧ください。ここでは、海外のデータプラットフォームのデータ提供スキームについてまとめています。例えば、米国のNOAA Big Data Program、それから欧州でのCopernicus Programmeを通じて、産官学連携によりプラットフォームの整備が進み、産業界によるデータの利活用の拡大が進んでいます。
 次のページをお願いします。43ページになります。こちらは日本国内のデータプラットフォームの現状をまとめたものです。例えば、文部科学省のDIAS、経済産業省のTellusなどを通じてデータ提供が行われ、産業界によるデータの利活用も進みつつあるところです。このように、地球観測予測データを様々なデータと組み合わせ、計算機で解析を行える環境を提供すべく、国内外において地球観測・予測データに関わるデータプラットフォームの整備が進められています。
 では、課題と方向、提言については、概要の資料のほうを用いて御説明します。ちょっと戻っていただきますが、資料の2-1、21ページを御覧いただけるでしょうか。こちら、中段の課題と方向の部分を御覧ください。
 まず、左から、1番目として、「現場に繋ぐ取組の強化」についてです。エンドユーザーは、そもそも地球観測・予測データをどのように活用できるか分からない。また、データバリューチェーンが形成できていないために、エンドユーザーが十分にデータ利活用できる環境が整っていないという課題が認識されました。したがって、しっかりとデータがSDGsに貢献できるサービス(現場)、そういうものを特定し、データからインテリジェンスを生み出せる「主体」、「技術」、「サービス」を創出・形成することが求められます。そこで今回、データが利活用できる主要領域として気候サービス産業の形成を挙げ、取組を進めていくこと、そのほか、データの利活用が見込まれる重点領域、重点課題の設定を提言しました。図の左下のほうになります。
 次に、2番目の「長期性・継続性の確保」については、利用者ニーズが多様であり、観測継続の評価・意思決定が難しいといった課題が認識されます。長期性・継続性が予見できるよう、動機づけとして、Future Earth等、SDGs関連の取組を活用していくことを提言しました。
 3番目、「予測情報の高精度化」です。気候予測情報については依然として大きな不確実性が存在し、不確実性に対する利用者の理解が十分でないという課題があります。観測データを活用して不確実性の低減を図っていく、これは大変重要なことですけれども、それとともに、データ利活用に関する情報提供をさらに強めることを提言しました。
 4番目、「共通的・基盤的な取組の推進とイノベーションへの貢献」です。利用したいデータが国内外のサイトごとに分散し、データへのアクセスが複雑といった課題があります。利用者が利用しやすいプラットフォームの形成とオープンデータ化、プラットフォームの利用者と運営者がアプリケーションとプラットフォームを共同開発する、そのような仕掛けをつくっていくことを提言しました。
 次に、22ページを御覧ください。こちらで今後の施策への提言のポイントを図示しています。
 図の下部にある「地球観測インフラの長期性・継続性の確保」や「予測情報の高精度化」、これらを基盤に据え、まず、データ提供者とエンドユーザーをつなぐ立場であるサービス提供者の必要性を認識しました。地球観測・予測データからエンドユーザーが必要とするインテリジェンスを提供するためのデータバリューチェーンを形成すべく、そのサービス提供者の有力な候補として、気候サービス産業、この形成を例として提案しています。こちらは、気候変動対策に関わる意思決定や投資判断に用いるインテリジェンスを提供する産業領域と想定しています。そして、この気候サービス産業がいわゆる翻訳者となり、エンドユーザーにデータが生み出したインテリジェンスを提供することによってデータの利活用を促進させます。
 次に、このデータバリューチェーンを形成する取組として、中段から下方になりますが、まず、左にありますデータ利活用に関する情報提供として、気候予測データセット2022・解説書の策定、また、中央にありますデータからインテリジェンスを生み出す主体・技術・サービスを創出・形成するため、関係省庁連携プロジェクト、文部科学省の地球環境データ統合・解析プラットフォーム事業DIAS、環境省の気候変動適応情報プラットフォームA-PLAT、このような事業を活用し、産官学で気候変動インテリジェンスを生み出す技術開発とプラットフォームを形成すること。そして、右側にあります気候変動に関する情報を利活用する関係者でのコミュニティー形成を充実させるため、サービス提供者のコミュニティーである気候変動リスク産官学連携ネットワークや、エンドユーザーのコミュニティーであるTCFDコンソーシアムの連携を進めること、これらを提言しております。
 今後、第9期地球観測推進部会の後半の議論において、生物多様性、自然資本等、その他重点課題の設定について議論し、令和4年度中に最終とりまとめを策定し、公表する予定です。
 以上について、中間とりまとめについての説明を終わります。お時間いただきましてありがとうございました。
【岸本分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいま御報告いただきました内容について、御質問等ございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。高梨委員、手を挙げられていらっしゃいますでしょうか。
【高梨(弘)委員】  はい、高梨ですが、よろしいでしょうか。
【岸本分科会長】  はい、お願いいたします。
【高梨(弘)委員】  どうもありがとうございます、御説明。ちょっと質問させていただきたいのですが、このデータプラットフォームは、各省庁でいろいろ国内ではプログラムがあるようで、ちょっと御説明、途中されたかと思うのですけれど、この省庁間の連携というのはすごく大事なように思うのですが、43ページに各省庁のものが出ていて、あと22ページの御説明でも環境省と何か連携が、何かちょっとおっしゃっていたかもしれないのですけれど、この省庁間の連携みたいなものはどのようにお考えになって、どのぐらい進んで、やっていく御予定なのか、ちょっとお聞かせ願えますでしょうか。
【春日委員】  ありがとうございます。地球観測推進部会では、衛星観測、海洋や地上、全ての地球観測を所掌していまして、毎年、各省庁からそれぞれの取組の現状について情報を御提供いただいています。ですので、この部会を通して各省庁の取組を横断的に把握する、そういう仕組みになっています。
 さらに、先ほどちょっと御説明しましたけれども、関係府省の連携の委員会、ちょっと名称を失念してしまったのですが、関係府省の連携の会議体もあります。環境エネルギー課の事務局の方、名称、分かりますでしょうか。関係府省横断的なネットワークをつくりたいというふうに、今、提言したと思うのですけれども。
【甲斐環境エネルギー課専門官】  環境エネルギー課地球観測推進部会の事務局をしております甲斐と申します。
 資料の中ですと、ちょうど53ページのところに記載がありますけれども、関係府省庁連絡会議というものがありますので、そちらのほうと情報等の共有といったところをやっていきたいと考えておるというところになります。
【高梨(弘)委員】  分かりました。どうもありがとうございます。決して縦割りでばらばらになっているわけじゃないということで、どうもありがとうございます。
【甲斐環境エネルギー課専門官】  はい。
【春日委員】  ただ、御指摘の点、推進部会の中でも議論がありまして、そういう連携の仕組みをつくってそういう努力はしているものの、まだまだ連携はもっと強化しなければいけないという、そういう意見が部会からも上がっております。
【高梨(弘)委員】  ありがとうございます。よろしくお願いします。
【岸本分科会長】  それでは、続いて、原澤委員、お願いいたします。
【原澤委員】  原澤です。御発表どうもありがとうございました。コメントと質問が1個ずつです。
 地球観測データ、従来はどちらかというとデータオリエンテッドな進め方だったと思うのですが、今回はSDGsと結びつけて社会の中の地球観測データという位置づけで、かなりうまくまとめていただいたなという感じがします。さらに、現状について、活用事例とか、国内外のプラットフォームを引用されていて非常に分かりやすかったと思います。今、我々がやろうとしている総合知にもつながるようなアクティビティーかなと思いました。
 質問は、ちょっと細かな話になるのですが、42ページ、43ページに、御説明の中でも国内外のデータプラットフォームとありまして、この中でデータを有償・無償で提供しているかというようなことが分かるようになっていて、日本も外国も有償の部分と無償の部分があったりして、基本的に国費でやっている地球観測データは無償が前提だと思うのですけれども、外国では民間企業を入れて有償でデータを配布しているという事例もあるようです。それで、もし分かったらということですけれども、例えば、諸外国でデータを有償の場合は、そのデータそのものの価値をもって有償としているのか、あるいはデータをコピーするとか、そういうような手数料的な僅かな料金を取って有償としているのかどうか。日本も同じように有償の事例があったりするわけですけれども、その辺、データの有償化による予算の確保みたいな点でちょっと質問をさせてください。
 以上です。
【春日委員】  ありがとうございます。ちょっとそこまで詳しいことになると私も承知していないのですが、こちらも、甲斐さん、お分かりになるところはありますか。
【甲斐環境エネルギー課専門官】  海外のほうでデータの有用性に応じて有償になるとか、そういったところに関しては私もちょっと把握はできておりません。国内の話になりますと、たしか経済産業省のTellusというプラットフォームの中では、民間の事業者がTellusの中で有用なデータをつくり出して、それを提供するときに有償で提供できるような形になっているというものがあったかと記憶しております。
【春日委員】  ありがとうございます。もう少し調べて、分かる範囲でまたお答えできればと思います。
【原澤委員】  ぜひよろしくお願いします。
【岸本分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、続いて高梨千賀子委員、その後、佐々木久美子委員の順番でお願いしたいと思います。
【高梨(千)委員】  高梨千賀子です。先ほど高梨弘毅委員のほうから連携について御質問があったかと思います。私のほうは、その連携に関連することではあるのですけれども、プラットフォームについて、連携をさせるという意味で、技術的な課題というのが今見えているのかどうかというのを確認させていただければと思います。それぞれ異なるプラットフォームになっていて、人々の連携というのはあるかと思うのですが、プラットフォームを連携させるということで何か課題があるのではないかと。それに対して、もし既に御認識があるようでしたら、それをどのように取り組んでいくのかということをお聞かせいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【春日委員】  ありがとうございます。これも具体的なところまで踏み込むとそれぞれの担当にお聞きしないといけないのですけれども、確かに部会の中でも、先ほどちょっと回答の中で触れましたように、連携がどうしても十分に行き着いていないという、行き渡っていないという指摘が実際ありましたので、課題はあるのだと思います。ただ、個々の事例になりますと、実際、どこがバリアになっているのか、それは個別に違うと思いますので、一般的にはなかなかお答えできないのですけれども、こちらも文部科学省のほうで何か具体例をお聞きになったり把握されていたりしますか。
【甲斐環境エネルギー課専門官】  具体例というとまたちょっと抽象的なお話になるかなと思いますけれども、データプラットフォーム間をまたいでデータを利用しようとした場合に、個別のところにアクセスするというような形になっていて、なかなか利用がしにくいというようなところが一つ課題としてあるという話は伺っております。そういったところに対して何かしら取組ができないかというところがまず挙げられるのかなと認識しております。
【春日委員】  ありがとうございます。
【岸本分科会長】  よろしゅうございますか。
【高梨(千)委員】  ありがとうございました。
【岸本分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、佐々木委員、お願いいたします。
【佐々木委員】  佐々木です。私たちも、自分たちのAIとか量子コンピューターのお仕事をしていますが、気象庁のデータは利用させていただいております、有料で。そのときはSDGsという観点ではなく、我々民間からすると、気象はどうなるかと。気象の予測データと、例えば店舗の販売予測に使ったりですとか、故障の原因になるのではないかという予測をしたりとか、ということにデータを使いますので、多分、民間でオープンデータとしてデータを使うときのヒアリングがよくできていないのではないかなと思いますので、これを進めるに当たっては、我々のような実際にデータを使っているような企業にぜひヒアリングしていただければなと思いました。
 あと、それとは別に、さっきの高梨委員のお話とほぼ似ているのですけれども、このプラットフォーム間の連携というところでは、私たちからするとそんなに難しくないのだけれども、結局、いろいろ縦割りの、このデータを使おうとすると、どこかに聞かなければならないとか、誰々の承認を取らなければならないという、利用するまでの過程がすごく大変でして、利用するのは多分データとしてはこちらのほうでデータプレップすればいいだけなので、技術的には大したことはないはずなのですけれども、要は、データを使うまでの承認フローがとても複雑過ぎまして使いづらいというのはあるので、横の連携は技術的な話ではなく、単純に縦割りになっているところの問題で、皆さんがおっしゃっているデータ連携に行き着くまでの、多分、人的な縦割りならではの承認フロー的な、誰が責任取るのとか、データが流出したらどうなるのといった、ルールが決めづらくて使えないということが多々あると思うので、そういったところが問題なのではないかなと思うのですけれども、それは正しい認識でしょうか。
【春日委員】  また最後の御質問は難しい御質問なのですが、まず、前半のコメント、ありがとうございます。実は地球観測推進部会の部会委員の中にはユーザー側の委員も多数入っていらっしゃいます。民間の方も入っていらっしゃいますし、その中には本当に様々な産業の方、金融部門の方もいらっしゃいます。ですので、まず第1段階としては、部会の中で様々な立場の方からの御意見を聞くということをしていますし、部会外の方に入っていただいてヒアリングも進めていますので、その中でより一層ユーザー側の声を今後もお聞きするようにしたいと思います。貴重な御指摘ありがとうございます。
 それから、実際の使い勝手ですけれども、本当に使う目的やお立場によって様々なところで多分壁があるのだと思います。まず、アクセスする先が分からないという、そういう難点もありますし、アクセスはできたけれども、今御指摘いただいたように何らかよく分からない闇ルールがあって、そこの承認が難しいということをあるかもしれません。さらにもっともっと大きなプラットフォーム同士の連携というメカニズムもあるかもしれません。ですので、それぞれの課題をやはりもう少し丁寧に聞き取って、できる限りの解決に向かうような提言に結びつけられればと思います。どうもありがとうございます。
【岸本分科会長】  ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。安浦先生、お願いいたします。
【安浦委員】  今の件に関して、ちょっと情報委員会の立場からお話しさせていただきたいと思います。情報委員会のほうでは、学術情報基盤ということで、将来的にはこういう気候変動に関する膨大なデータを入れる入れ物の器と、そこへアクセスするための認証基盤、そういったものは共通に提供する準備をしております。あとは、それぞれの分野ごと、この地球環境の部会のほうでルールを定めていただきたいと考えます。それをやっていただければ、そこに載せるいわゆる技術的な側面に関しては、情報委員会のほうの努力で少なくとも5年ぐらいのうちにはきちっと大量のデータであっても受け入れられる、多分気象のデータだったら全部入ると思いますので、それくらいのストレージを用意するような計画を立てております。
 以上です。
【岸本分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、議題2については以上とさせていただきたいと思います。本当にありがとうございました。ほかの部会でもデータ活用ということが非常に大事になってきている中で、参考になるお話になったかなと思います。今後も部会の審議状況について適宜御報告いただければありがたいと思います。どうもありがとうございました。
【春日委員】  ありがとうございます。甲斐さんもありがとうございました。
【甲斐環境エネルギー課専門官】  ありがとうございました。
【岸本分科会長】  それでは、続いて、議題3に移りたいと思います。「分野別研究開発プログラム評価の今後の進め方、プログラム評価のフォーマットについて」に入ります。
 まず、分野別研究開発プランの作成については、1月26日開催の本分科会において御審議いただきまして、毎年度、分野別委員会等で策定し、8月に本分科会で決定することとなりました。次回の本分科会において審議を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
 また、当該プランにおいて設定することとなる分野別研究開発プログラムについては、3月3日開催の本分科会において、プログラム評価の今後の進め方とプログラム評価のフォーマットに関し、分科会案として決定し、分野別委員会等でも御議論いただくこととしたところです。
 本日は、分野別委員会等で御議論いただいた結果を御紹介していただきまして、今期の本分科会でのプログラム評価を行うため、可能であれば、「第11期研究計画・評価分科会における分野別研究開発プログラム評価の試行について」ということについて決定いただければと思っております。
 それでは、事務局から説明をお願いいたします。
【佐野科学技術・学術戦略官】  ありがとうございます。それでは、資料3-1、御説明をさせていただきます。
 この資料3-1、次のページですね、58ページ。今、岸本分科会長から御紹介いただきましたように、各分科会等からいただいた意見についてまとめさせていただいておるところでございます。簡単に御紹介をさせていただければと思います。
 まず、「1.分野別委員会等からの御意見」ということで、実施年度欄のほうに「事前」・「中間」・「事後」を記載するということを行ってはどうかということをいただいております。これは若干フォーマットを変えまして、この事前・中間・事後を記載するということで対応させていただきたいと思います。フォーマットは後ほど御説明をさせていただきます。
 それから、2.のところ、それ以外ですね、私ども事務局のほうに寄せられた御意見ということが幾つかございますので、御紹介をさせていただきます。まず、丸1のところ、定性的な目標の設定の場合はどうしたらいいのかということで、これは「備考」に入れるということにさせていただければと思っております。
 同様に、研究開発課題の名称の書き方がちょっと分かりにくいということになっていたので、分かりやすくしているというところでございます。
 丸3のところでございます。このプログラム評価の中では上位施策への貢献というのが重要であるということで、今、フォーマットにございます「備考」欄というところでございますが、こちらを「科学技術・イノベーション基本計画等の上位施策への貢献」として、そこに書かれる内容といたしまして、既に御審議をいただいております研究開発課題の評価結果の中に、科学技術・イノベーション基本計画の上位施策への貢献状況を記載するという部分がございます。それを活用することが適当ではないかという御意見をいただいてございます。これにつきましては、御指摘のとおり新たに欄を設けてはどうかと思っておりますが、「備考」欄はほかのこともある、特記事項があるかもしれませんので、維持するということにしてはいかがかと思ってございます。
 それから、情報分野のところで、研究開発活動のまとまりを一つの事業としているということで、事業単位とした「研究開発プログラム」を設定することが基本と考えるという御意見も来ておりまして、今回は、対応案といたしましては、今回の試行においては、試行であるということがございまして、御指摘、御提案のとおりの形でまずは行って、この11期の最後に適切な在り方について議論を行うということにしてはどうかと思っております。
 この御指摘を踏まえまして、変更点、資料では別紙2のほうに書いておりますが、分かりにくいので、フォーマットのほうで御説明をさせていただければと思います。フォーマットのほうですね、65ページは変更点が分かるような形のものにしております。これ、前回御説明したフォーマット案のところで変更しているところを青字で書かせていただいております。
 まず、3.のところ、少し青で書かせていただいておりますけれども、指標、それから指標を一体いつから書くのかということを明確にするために、この全体に関する指標については2018年度から現在までの可能な範囲で記載するということを書かせていただいておりまして、この欄が少し小さい場合は「備考」欄に記載するということにさせていただいております。
 それから、添付資料名について、もしあればということで記載できる欄を設けているというところでございます。
 (2)のところでございます。これにつきましては同様に、課題評価のところも、定性的な指標の場合は少し欄が小さい可能性がありますので、その場合は「備考」欄に記載をするということ。
 それから、課題名が分かりやすいように、ここの下段、丸1の横のところに課題名を書いていただいて、重点的に推進すべき取組というものを書いていただくという形にさせていただいております。
 それから、その下のところです。研究開発課題というところで、ここに事前・中間・事後ということを明記させていただいて、見落としがないようにするということを御提案させていただいております。
 それから、下のほうです。ここに、先ほど御指摘いただきました「基本計画等への貢献状況」という欄を新しく設けさせていただいておりまして、課題評価の評価票に記載の上位施策への貢献状況という内容につきまして転記するということを御提案させていただいております。
 以降、課題評価のところは同様の修正でございまして、あと最後のところでございまして、こちらは、いろいろ今回見ていると添付資料が多いということに気がつきましたので、添付資料の名前の一覧をつけるということのほうが分かりやすいかと思っておるところでございます。
 これを踏まえまして、資料3-2のほうでございます。具体的にどうやるのかというところで、少し改めてまとめさせていただいておるところでございます。
 まず、この資料3-2でございます。先ほど岸本分科会長が説明されていましたように、第11期の計評分科会におきまして、プログラム評価の試行について(案)ということにさせていただいております。この計評分科会で行うプログラム評価というものの進め方についてまとめさせていただいております。
 1.のところは、前回3月3日の計評分科会で御説明をさせていただいた進め方ということにつきまして、そのまま入れさせていただいております。簡単に御説明いたしますが、このプランにおいて定められたプログラムごとに、ここに記載のような指標などについて、今御説明いたしましたフォーマットに従いまして状況を把握して、分野別委員会等から分科会に報告をすると。その際に、プログラム全体、課題の状況等が分かる既存の数ページ程度の資料を当該フォーマットに添付すると。指標については、議論を踏まえて適宜変更することができるものとする。そして、11期中には一度実施して、その後は、当面は委員会ごとに隔年で行うと。ただし、その結果についてはこの期の最後にまとめて、今後の進め方の提案も含め、次期に申し送りをするということ、前回のとおりでございます。
 それから、今回新しく少し付け加えさせていただいているのが、今回、いろいろ委員会等に照会をさせていただいている中で、少し留意事項というのを付け加えたほうがいいかということで、新たに少し加えさせていただいております。
 まず、(1)のところでございますが、留意事項といたしましては、このプログラム評価を行う際には、今申し上げたこのフォーマットに基づいて、その最後のところ、フォーマットの最後のところにありますが、「可能な範囲で」と書かせていただいておりますが、全体を俯瞰した留意点や気づき、プログラムの進捗状況におけるコメントについて、「プログラムの現状についてのコメント」欄に記入するということを記載させていただいておるところでございます。
 それから、(2)でございます。また、分野別のプランは次回の分科会で御審議いただくことを予定しておりまして、それぞれ今、委員会のほうでも議論が始まっているという話も聞いてございますが、このフォーマットに記載する研究開発課題というのは、このプランに記載されることになる課題のうち、現在行っている課題、それから前年度に終了した課題ということを対象としてはどうかということを書かせていただいております。
 それから3番目につきましては、この名簿の添付につきまして書かせていただいておるところでございまして、(4)は利害関係者について書かせていただいております。文科省の研究開発の評価指針のほうには、プログラム評価に関する利害関係者につきましても少し言及がされておるところでございます。今回まだプログラム全体の状況をモニタリングするという試行の状況ということを考えまして、現段階では、このモニタリングを主とする試行であるため、利害関係者も排除しないということでどうかと思っておりますが、今申し上げましたこの指針の状況に関しまして、ここに書いてある状況でどうかということを考えております。
 1)のほうでございますが、まず、分野別の委員会等におきましては、このプログラムの趣旨・性格に応じて利害関係者を定めていただくと。そして、その利害関係を有する可能性のある者を加える場合は、利害関係の内容を明確にして、名簿に記載をすると。
 それから、分科会でこの評価結果を決定するに当たりましては、当該関係者と利害関係者の内容を名簿に記載する。この丸1から丸4の場合はこの名簿に記載するということで、丸1は、このプログラムに含まれる研究開発課題に参画する者。それから丸2につきましては、この課題の被評価者と親族関係にある者。それから丸3、利害関係を有すると自ら判断する者。そして丸4につきましては、分科会において、利害関係を有すると判断された者。そういう者につきまして、もしいらっしゃれば名簿に明記をするということではいかがかと思っております。
 (5)につきましては、この報告を受けまして分科会が行うことということで、それを基にプログラムの進捗状況を確認すると、そういうふうなことを書かせていただいておるところで、添付といたしまして先ほど御説明いたしましたフォーマット案をつけさせていただいているところでございます。
 それから、資料3-3でございます。これは事務局のほうが考えておるスケジュールでございますけれども、本日、でき得れば、この進め方等について決定をしていただければと思っておりまして、次回はプランについて決定をしていただくと。そして、1月にプログラム評価について分科会で御審議をいただくと、そういうふうなスケジュールを考えておるところでございます。
 少し長くなりましたが、事務局からの説明は以上でございます。
【岸本分科会長】  説明ありがとうございました。
 ただいまの内容につきまして意見交換をお願いしたいと思います。およそ時間としては最大10分程度を想定していますけれども、御意見がございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 資料3-2のところに記載のような内容で、今期、分野別研究開発プログラムの評価を試行していこうということでございます。フォーマットについては、事務局から説明がありましたように、分野別委員会等で御議論いただいて、そこからの意見をお聞きしたのと、さらに精査して、今回のようなフォーマットでというふうに御提案されているものでございます。いかがでしょうか。大分これまでも議論してきたところですので、まずは試行ということですので、これに従って進めてみて、課題が出てきたら、そこでまたいい方向に考え直していくということでやっていけばいいのかなと思いますけれども、いかがでしょうか。
 それでは、特に修正とかのことについて御意見がございませんでしたので、この案のとおり決定させていただいて試行に入りたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、どうもありがとうございました。
 それでは、続いて、議題の4に参りたいと思います。議題の4の「科学技術・学術審議会での議論について」に入ります。
 4月26日に開催された科学技術・学術審議会総会において本分科会に関連する事項がございましたので、御報告いたします。
 それでは、事務局から御説明をお願いいたします。
【佐野科学技術・学術戦略官】  ありがとうございます。それでは、資料4-1、4-2、4-3に基づきまして説明をさせていただきます。
 まず、資料4-1でございます。
 先ほど岸本分科会長から御説明ありましたように、4月26日に開催されました科学技術・学術審議会の総会におきまして、幾つかのことにつきまして本分科会に関連することがございましたので、御報告をさせていただきます。
 まず、1.のところに書かせていただいています「今期の活動実績の総会への報告」というところでございます。
 これにつきまして、資料4-2の72ページ目のところを開けていただければと思いますが、前回、資料4-2に基づきまして総会事務局のほうから各分科会等の活動について説明があったところでございますが、本分科会につきましては、資料72ページ目のところですね。2つ目のところにございますが、研究計画・評価分科会、主な審議事項ということで活動が報告されたというところでございます。
 併せて御紹介させていただきますが、その前のとき、74ページのところですね。前回、ちょうど1年ほど前の分科会で、本分科会で取り組むべき活動というものを御審議いただきまして、この74ページに書いてあるような活動につきまして、前々回の総会で報告されたというところでございます。
 この前回の総会におきましては、濱口会長のほうから、前回の総会において報告いただいた内容を踏まえて、今期の活動実績について最後の総会で報告をしていただきたいというお話があったというところでございます。
 それから「2.第6期科学技術・イノベーション基本計画に記載の目標について」というところでございます。
 資料4-3のほうを御覧いただければと思います。81ページ目のところを見ていただければと思います。
 これも、総会事務局のほうが、ちょっとビジーな資料で大変恐縮でございますが、事務的にこれを整理させていただいたものでございまして、「第6期の科学技術・イノベーション基本計画に記載の目標・主要指標と科学技術・学術審議会の分科会等との活動について」ということで、一番上のところで項目だけ御紹介いたしますが、2つ目のカラムが、この基本計画に記載の目標について書かれていると。その次のところが、これは事務的にまだ見ているだけのものでございますけれども、この審議会に関係する可能性のある取組というものを少し書かせていただいたと。それからこの次のところが、この審議会、この取組に関係のある可能性のある分科会ということで、これも事務的に可能性として書かせていただいているもの。それから、主要指標というものを一番右側のほうに少し整理をさせていただいたと。こういうような資料を事務的に整理して説明をさせていただいたというところでございます。
 このときに会長のほうから、この目標、この整理につきまして、この基本計画に記載の目標について、この審議会の中でどういうものが次の――今、本審議会は第11期でございますが、次期、第12期に向けてどういうものができるのかということもできれば議論いただいて、最後の総会で報告をいただきたいと、そういうふうな話があったというものでございます。
 これにつきましては、本日はまず御報告をさせていただくという形にとどめさせていただきまして、次々回のこの分科会で、特に1.の総会への報告事項というものを中心に御議論いただくということを考えておるというところで、御報告をさせていただきたいと思っております。
 あと、御参考でございますけれども、参考資料のほうに入れさせていただいておりますが、参考資料の6-1、6-2ということで、総会のほうで配付をさせていただいた「我が国の研究力に向けたエビデンス把握について」という資料、丸1、丸2ということで参考までに配付をさせていただいております。この中のこの分科会で各分野別のところで関係あるものとして、参考資料6-1、57ページ目のところなには少し分野別の情報も出ているというところでございますので、もし御興味があるようでしたら後ほど御参照いただければというところでございます。分野別の論文シェア数等、情報が入っているというところでございます。
 私からの説明は以上でございます。
【岸本分科会長】  ありがとうございました。
 御説明の中にあった検討すべきことについては、11月頃に開催予定の分科会で改めて皆さんと御議論したいと思いますが、ただいま御報告いただきました内容について、御質問等ありましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 私のほうから。83ページでしたか、表にまとめていただいたものがありますけれども、科学技術・イノベーション計画と、それに関係した分科会等ということで事務局案が出てきていますが、この内容についてまた見直していると議論が行ったり来たりしてしまいますので、次回の議論についてはこのまとめに即して議論していこうということでよろしいですか。
【佐野科学技術・学術戦略官】  はい。どのような形で議論すると、より先生方の御意見を取り入れることができるかということにつきましては、この表だけでは少し難しいかと思っておりますので、どういう資料を作るのかというのは、まず、事務的にも各分野別の委員会事務局とも相談をさせていただいた上で分科会長とも御相談をして、議論の場に持っていきたいと思っております。
【岸本分科会長】  そうですね。関係する委員会がすごく多いかなと思いますので、そことも連携しながら議論できるといいなと思いましたので、そういうふうにお願いしたいなと思います。ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。それでは、特にないようでしたら、今御説明いただいたような方向で次回以降議論していくということで進めてまいりたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、議題の5に移りたいと思います。議題の5、「最近の研究開発評価の動向について」に入ります。
 最近の動向について2件御報告いたします。
 まずは、令和3年度に総合科学技術・イノベーション会議が実施した国家的に重要な研究開発の評価について、事務局から説明をお願いいたします。
【久保研究開発戦略課専門官】  では、資料5-1-1、84ページを御覧ください。令和3年度に総合科学技術・イノベーション会議が実施した国家的に重要な研究開発の評価について御説明いたします。
 総合科学技術・イノベーション会議は、国費総額が300億円以上の研究開発のうち、同会議評価専門調査会において評価すべきと認めたものを、大規模研究開発として評価を実施しております。前回の分科会でも、評価方法が変更されて評価が進められているということを御報告したところです。
 令和3年度においては、対象課題のうち1件がこの分科会にも関係する課題であったので、結果を御報告いたします。
 2.で対象課題を書いておりますけれど、それの(1)の「AIP:人口知能/ビッグデータ/IoT/サイバーセキュリティ統合プロジェクト」、こちらが文部科学省の研究開発となっておりまして、中間評価が行われました。
 3.で評価の経過を書いておりますが、昨年12月に評価専門調査会で大規模研究開発評価ワーキンググループが設置されまして、本年の2月7日にそのワーキンググループが開催されました。3月8日には評価専門調査会でワーキンググループの結果を踏まえまして評価結果の案がとりまとめられて、3月31日に総合科学技術・イノベーション会議で評価結果が決定されたということでございます。
 次ページ以降が評価結果として通知された資料でございますが、95ページを御覧ください。これが評価結果となっております。こちらに書いてありますように、「適切な体制で評価されており妥当」という評価、おおむねほかのところも妥当という形になっておりますが、1点だけ、「各評価基準に対して、客観的な評価がなされているかについては、やや不明な点がある」という御指摘を受けているところです。これについては、情報委員会のほうで対応を検討いただいております。
 報告については以上です。
【岸本分科会長】  ありがとうございました。
 ただいまの報告について、御質問ございますか。五十嵐委員、お願いいたします。
【五十嵐委員】  御説明ありがとうございました。最後におっしゃった点について、情報委員会の安浦先生がいらっしゃるので、その辺、どういう御議論になっているのか、今のところの状況を教えていただければと思いました。よろしくお願いします。
【安浦委員】  安浦ですけれど、よろしいでしょうか。
【岸本分科会長】  はい、お願いいたします。
【安浦委員】  まだこれについて細かな検討は委員会としてはやっておりませんけれど、今後、これを受けまして、おっしゃっている意味は大体分かりますので、どういうふうに考えていくかというのを次回の委員会で諮って進めていきたいと思っております。
【五十嵐委員】  すみません、ありがとうございます。これからの御議論だと思うのですけれど、非常に関心も高い分野ですので、大変重要だと思いましたので、よろしくお願いいたします。
【安浦委員】  はい。ありがとうございます。産業界ともかなり絡んでおりますので、他省庁との関係とかも、あるいはデジタル庁とか新しい流れとの関係とかもございますので、その辺も考慮しながら議論させていただきたいと思います。以上です。
【岸本分科会長】  ありがとうございます。
 ほか、いかがでしょうか。
 そのコメントのところについての印象なのですけれども、書かれているコメントが少し曖昧に書かれているので、受け取り方によっては違う受け取り方になるといけないかなと思いますので、ここに書かれた真意は何かというのをきちんと確認して対応するというのが必要かなと思った次第です。「客観的な評価がなされているかについては、やや不明な点がある」というので、どこが不明なのかが具体的に書かれていないので、きちんと評価された側に対して適切な回答になるかどうかということを考えたときに、何が不明なのかというのをもうちょっと明確にしてから進めたらいいのかなと思いました。
【安浦委員】  ありがとうございます。その辺は事務を通して向こうの意図をしっかり伝えていただいて、対応策を練りたいと思います。ありがとうございます。
【岸本分科会長】  ぜひよろしくお願いいたします。
 林委員、お願いします。
【林委員】  すみません、私、CSTIのほうも関わっているので。今、委員長おっしゃられたこと、まさにそのとおりでございまして、いろいろと委員はコメントをしていて、ただ、ここの11ページにあるように、評価結果というものは、非常に悪いところがなければしっかりやられていますという、公式な評価結果というのは基本的にそういうものでございます。ただ、一方で、裏でいろいろなコメントというか、それはついているところでございますので、それを見ていただいて、ただ、もちろんそれは、委員のある種、個人的なというか、その人の感じたコメントですので、それを含め委員会のほうで御検討いただければと思いますし、基本的には、今回から発想としては屋上屋の評価はしないということで、こちらの文科省のほうでしっかりと評価を行っているかを確認するとともに、評価を行ったことに対してどう対応されているのかというところでメタに確認をするというフレームになっていますので、ぜひ文科省の中、それからCSTIのコメントに対してどう対応していくのかというところ、また次の評価でもきっと論点となりますので、ぜひ御対応、御検討いただければと思っております。
 以上になります。
【岸本分科会長】  ありがとうございます。ここに書かれた以上の内容があると思いますので、繰り返しになりますけれども、よくコミュニケーションを取っていただいて、改善の方向が示されるようであれば改善していくということにしていってはどうかと思います。ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。それでは、この件についてはどうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、令和3年度「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」の活用状況と課題に関する調査・分析について、事務局から説明をお願いいたします。
【佐野科学技術・学術戦略官】  ありがとうございます。それでは、資料5-2に基づきまして説明させていただきます。
 まず、この資料でございます。文部科学省は毎年、評価関係、研究開発評価ということでいろいろ委託調査を行わせていただいているところでございますが、令和3年度につきましては、この記載のような形で、文部科学省の評価指針の活用状況と課題に関する調査・分析をお願いしたというところでございます。その結果、今回、報告書自体は500ページぐらいの大変大部なものでございますが、その中からダイジェストということで御説明をさせていただければと思っております。
 それでは、99ページのほうに移っていただけますでしょうか。まず、この調査の目的というところでございます。今冒頭申し上げましたような、文部科学省の研究開発評価指針というものが、これは第5期の基本計画の改定を受けまして内閣府のほうの大綱的指針が改定されたと。それで、その後に、平成29年度にこの文科省の指針が改定されて、その後、改定がされていないという状況があるところでございます。この評価指針の改定時から周辺状況が変わっているというところにありまして、現在の研究開発評価をめぐる状況について実態と課題を把握する必要があるということで、調査をする必要があるということで委託調査を行わせていただいたというところでございます。問題意識としましては、例えば定量的評価が過度に用いられたりとか、この機関評価と研究者個人の研究業績の評価が連動されることで定量的な指標が一律に用いられたりしているのではないかとかいうことにつきまして調査をしたというところでございます。
 この調査でございますが、委託先のほうで検討会をつくっていただいておりまして、検討会委員の名簿、この資料の後ろのほうにつけさせていただいておりますが、本日、参加をしていただいています林先生もこの検討会のメンバーとして御参加をいただいたというところでございます。
 今回、アンケート調査をこの委託調査で行うということをさせていただいたところでございます。ここに記載の研究開発機関等―大学、それから文科省関係の大学共同利用機関、国研等につきましてアンケート調査を行ったというところでございますが、内容といたしましては、指針の活用状況、課題とか、この指針の中でもいろいろカテゴリーがございますが、この中で特に研究者の研究業績の評価というようなものに着目して調査を行ったということで、任期なし、テニュアトラック研究者、任期付きの研究者に分けて、評価の実施目的、活用方法、評価項目、課題等を調査したと。それからそのほかに、若手教員・研究者の採用時に行っている事項・評価項目についても併せて調査をしたと、そういうところでございます。
 それを踏まえまして、ヒアリング・意見交換等も併せて行ったという内容になってございます。
 それでは、101ページ目のほうに移っていただけますでしょうか。アンケート結果、いろいろ結果ございますが、まず、大きなところということで、業績評価の実施状況、目的や評価方法による違いということでまとめさせていただいております。これにつきましては、質問項目として「どの単位で評価の方法等が決定されていますか」ということを聞いたところでございますが、右側に書かせていただいておるとおり、研究者個人の業績評価を実施している場合は全体で75.7%、そして、その単位というのは、機関全体の割合というのが全体で61.6%であったというところでございます。
 下のほうに、この業績評価の実施状況、目的や評価方法等における違いということが、任期なし、テニュアトラック、任期付きの研究者というところで書かせていただいておるところでございますが、この中で評価を実施しているというのは、任期なしの場合は90.1%、テニュアトラックの場合は34.6%、任期付きの研究者の場合は72.4%と。ただ、Bのところ、右側を見ていただくと、少し割合が少ないのは、テニュアトラックの「研究者が存在しない」とお答えになられているパーセンテージが高いということになっておるところでございます。
 それでは、少し飛んでいただきまして、103ページ目のほうに移っていただければと思います。業績評価における評価項目ということで、「業績評価では、どのような項目について評価していますか」ということを、任期なし、テニュアトラック、任期付きの研究者ということで分けて少し整理をさせていただいているものでございます。B、Cにつきましては、AもしくはAとBと異なる場合だけ整理をさせていただいております。少し回答数が少ないという形になっておるところでございますが、ここに記載されているような形で回答が来ておるというところでございます。
 それから、104ページ目のほうに移っていただきたいと思います。こちらは「若手の教員・研究者を採用する際に、考慮している評価項目」というものでございまして、これは、少し見やすいように研究開発機関等全体と国立大学だけ少し絞って記載をさせていただいておるところでございます。ここに書かせていただいている黄色と赤の部分につきましては、それぞれ、お互いのトップ10に入っていない項目ということで書かせていただいておりまして、研究開発機関等の中で国立大学の中に入っていない項目としては、「講義・演習担当数」、「研究室・ゼミの学生の指導」、逆に国立大学のほうでは、「国際共著論文」、それから「特許・実用新案の出願・登録・ライセンシング」というものが片方の項目に入っていないと、そういうものになっているかと思います。
 それからその次、106ページのほうに飛んでいただければと思います。ここからは、先ほど御紹介いたしました検討会のほうで分析等をしていただきまして、そちらの分析を中心に整理をさせていただいております。
 まず、評価指針の認知状況/活用状況というものでございます。この評価指針を「活用していない」と回答したものが3分の2ということで、この左のちょっと今隠れている下のところですね。ここが全体でいうと3分の2となっていると。ただし、右側のほうで活用していない理由というものを聞いたところ、「当機関では、研究開発評価を実施していない」と、そういう回答をされているところが全体の半分を占めているというところ。それから、この少し下のところですね、「文科省の『評価指針』とは別に、自機関で評価指針を設定している」というお答えもあると。これが17%程度あるということであったということでございます。
 それからその次、108ページ目のほうに移っていただければと思います。こちらは、任期なしの研究者の研究業績評価における評価項目というものについて調べたものでございます。全体のものとして、今、丸で5つ見えているかと思いますが、こういうものにつきましては、例えば、「学会発表・講演」とか、「競争的資金など外部資金の獲得」が8割以上となっているというところ。それ以外にもここに書いてあるような部分の割合が高くなっているというところでございます。若干、私どもが気にしていたインパクトファクターというのが一体どう使われているのかというのを少し気にして見ていたところでございますが、これにつきましては左の下のほうにございますけれども、全体で21.9%であるというところで、国立大学ではその中でも37.3%と比較的高いという分析がされているところでございます。あともう一つ、「研究データの管理・公開・利活用」というもの、右側のほうでございますけれども、ここについては全体で8.7%と相対的に低いと、そういうふうに分析をしていただいているところでございます。
 それから、次のところでございます。任期なしの研究者の研究業績における評価項目ということで、これは学問分野別のところでございます。ちょうど今書かれているところですね。ジャーナル・インパクトファクターは少し気にしていたところでございます。左側のところ、下にございますけれども、ここで保健の割合というのが黄色いところになりますけれども、全体が32.7%であったのに対して47.5%と、かなり高い割合となっていると分析をしていただいたところでございます。
 それから、次のページでございます。任期なしの研究者の研究業績評価における評価項目を設定した際に参照したものということでございます。こちらは、「研究者の業績評価における評価項目を決めたときに何を参照しましたか」と聞いたところでございまして、結果的には、ここに赤丸で囲ませていただいているもの、1番で言うと、真ん中のところの「機関内の組織単位の評価における評価項目・指標」というのが全体で言うと一番高かったというところでございまして、研究開発機関等が受ける評価における項目・指標が大体2割程度の割合で参照されているというところでございました。この中で国立大学は参照した割合というのが全般的に高いというところでございますが、特に「国立大学法人・公立大学法人評価における評価項目・指標」というのが42%ということで、最も高くなっているという状況であったというところでございます。
 次のページでございます。こちらは、研究者の業績の評価項目を設定した際に影響を与えた代表的な項目ということで3つ具体的に聞いたというところの結果でございます。これにつきまして、全体で言うと、上から言うと、「競争的資金など外部資金の獲得数」、「日本語の論文・総説」、「成果の学術的価値」というのが上位と。国立大学では「競争的資金など外部資金の獲得数」というのが上位ということであったというところでございます。
 それから、次のページでございます。現在の業績評価方法における課題というものについてお答えいただいたものでございます。左側は研究開発機関等合計、右側のほうは国立大学のほうだけ少し選んで書かせていただいておるところでございます。この中で、「評価実施の負荷」と回答した割合が相対的に高いと見ておりまして、全体では3位、37%、国立大学では1位となっておりまして、割合的には71.2%と、そういうふうな状況になっておるというところでございました。
 それから、次のページでございます。こちらは、ジャーナル・インパクトファクターのところで少しクロス分析をしていただいたところでございまして、DORA(評価に関するサンフランシスコ宣言)とか、ライデン声明という評価に関する国際的な文書がございまして、こちらを「知っている」と回答した研究開発機関の方のほうが「知らない」と回答した機関よりも研究者の業績評価の項目にインパクトファクターを含めている割合が高いという、我々は一見矛盾していると見ている、そういうふうな結果が得られたというところでございます。真ん中より下のところで、ただ、業績評価の項目数を少し調べていたところ、このジャーナル・インパクトファクターを含めている、そういう研究開発機関のほうが含めていないものよりも多いということで、丸を描かせていただいていますが、ジャーナル・インパクトファクターを含んでいるほうが約25であったのに対して、含めていないというものは20であったということでございまして、上のほうのことにつきましては、検討会からの分析といたしましては、状況を把握するためには今後さらなる分析が必要ということを言われていまして、下のほうにつきましては、数多くの評価項目の一つとしてインパクトファクターを利用していると推察できると、そういうふうな分析をいただいているところでございます。
 それから、115ページ目のほう、これは少し話題が変わりまして、研究者の採用のときの考慮している項目というものでございます。こちらにつきましては、全体で、「日本語の論文・総説」、「学会発表・講演」、「英語の論文・総説」に次いで「成果の学術的価値」というのが高いと、そういうふうな結果になっておるというところ。
 それから次のページ、116ページのところでございます。これは、どういうふうに採用のときに審査を行っているのかという事項を調べたものでございます。こちらにつきましては、左側のほう、採用時に行っている事項(審査委員会の構成等)というところでございまして、一番多かったのは、「審査委員会の構成員に学部等の教員・研究者を含む」という割合が83.6%であったと。真ん中より下のところですね、「構成員に海外の他機関の教員・研究者を含む」というものについては全体で0.3%であったと。それから、右側のほうでございますが、審査委員会構成員以外からのレビュー情報なんかを収集していますかというものにつきましては、3つ目のところでございますが、「海外の他機関の教員・研究者にレビュー書類(意見書)作成を依頼する」というものは1.7%と低い状況であったということで、検討会におきましては、この採用に関しては定性的な判断を重視されていることが確認されたものの、さらに質を重視して採用を行うには、その方法について検討の余地があるということを言っていただいているというところでございます。
 それから、118ページ目のほうです。これはヒアリング・意見交換等の概要というものをまとめさせていただいております。対象の機関といたしましては、3つの機関にヒアリングを行っていただいたところでございまして、まずは、沖縄科学技術大学院大学(OIST)の事例ということで、特徴的なところだけ御紹介させていただきますと、2つ目のポツのところで、採用や昇進、テニュアの審査のところでございますけれども、学外評価者によるピアレビューを重視する方法を取っているということが書かれていると。他方というところで4つ目のポツでございますが、教員の毎年の業績評価については、必要最低限のものとし、めり張りをつけているということであったと。
 それから、2つ目の東京医科歯科大学の例ということで、これは少しジャーナル・インパクトファクターのところだけ御紹介させていただければと思いますが、3つ目のポツのところでございます。研究に関する評価指標としてジャーナル・インパクトファクターを設定しているけれども、そのまま用いるのではなく、一定の数値の範囲で複数のジャーナルを同一レベルとして捉える等、用いるとしても悪影響が出ないように留意して慎重に用いているということをおっしゃっていたというところでございます。
 それから、分子科学研究所の事例ということで、特徴的なところとして、1つ目のところで太字で書かせていただいておりますが、分野発展のための採用人事を研究業績評価の要としているというところでございまして、教授・准教授の公募に関しては内部からの応募を原則認めないと。助教については、6年をめどに転出することを推奨していると、そういう話があったというところでございます。
 それを含めまして、120ページのところ、分析・提言ということをいただいておるところでございます。ちょっとこれ、もう時間がございませんので、簡単に項目だけ御紹介させていただきますが、今までのようなデータ等を含めまして、評価指針の効果的・効率的な活用の在り方に関する分析・提言ということを2点いただいているというところ。それから、2ポツ目のところ、教員・研究者の業績の評価の在り方に関する分析・提言というところで、ここに記載の3点のこと、それから次のページのところも含めまして5点のポイントを分析・提言をいただいていると、そういうふうな状況でございます。
 私のほうの説明は以上とさせていただきます。
【岸本分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、本委託調査に関与されました林委員から、もし補足等ありましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
【林委員】  ありがとうございます。今回の調査、指針の活用状況とともに、大学あるいは研究機関での研究者の業績評価、基本的には、例えば毎年度やるようなそういう評価ですけれども、そういうものをメインに調査しました。実は教員の評価の調査というのは3回目でして、四、五年に1回くらいやっています。これで3回目ということで、これまでもこの調査で基本的なファクトが得られているということで、幾つかのところで引用されている形になっていますので、最新の情報が得られたという、そういうものになっています。
 その上で、今回の調査で何に焦点を置いたかというと、先ほど佐野戦略官からもインパクトファクターの話がありましたが、インパクトファクターの話、一部の先生方はもうそんな論点は聞き飽きたと、そういうところはあると思うのですが、特にヨーロッパのほうで大分状況が変わってきていて、それを日本でどう考えるかと、そのための情報を取ったというところもあります。インパクトファクター自体は、ジャーナルという論文を載せる媒体を指標化することはあんまりよくないと、そういう議論で、先ほどもあったようにDORAが2010年前後ぐらいにあって、そういう議論はずっとあったのですが、今、それが、特に欧州はこの議論が大分変わっていて、オープンサイエンスを推進するために、そういうジャーナル指標みたいな昔からの伝統的な指標じゃなくて、さっきもプレプリントとかありましたし、あるいはデータの公開というのを評価項目に入れているかという調査も今回したのですけれども、今日の委員会でもデータのオープン化、共用の話がありましたが、そういうのをどうやって評価の項目に入れていくことで推進できるかと、そういう議論を今欧州はしていて、日本は大分そういう議論からは距離があるというか、そういう状態になっていて、まずはそういう議論を日本でしていくべきかどうかということも含めて基礎情報を取ったというのがまず1つです。
 それから、オープンサイエンスの話だけではなくて、さらに欧州は今、欧州内で研究評価の改革の協定をつくろうとしていて、議論は、どうも世界大学ランキングみたいな、ああいう指標の競争みたいなゲームからもうみんなで一斉に下りようということで、そんな指標ではなくて、やはり質を重視するような評価を検討するであるとか、あるいは研究の質だけではなくて、例えば教員自体も教育重視・研究重視とか多様なので、そういう多様性を重視した指標をつくるとか、当然、分野によっても多様だという、それも含めて評価の改革をしようと、そういう議論があります。それもちょっと日本、我々、そんな評価の改革ってそれほど重要な論点として見ていないので、ちょっとそこも距離があって、それをどう考えていくのかというところは今後の課題だと思っています。
 先ほど申し上げましたように、今回はある種、事実を今確認したというところでございまして、恐らくこの結果を踏まえて、当然ながら文科省の中でもしかるべきところでいろいろ検討が進むと思いますし、あと学術会議のほうも、私、そちらの評価の委員会にも関わっているので、そこにもぜひこの結果はインプットして、学術会議のほうでも研究評価あるいは教員の評価の在り方をさらに検討していただきたいと思っております。そういう形で今後進められたらと思っております。
 以上です。
【岸本分科会長】  ありがとうございました。貴重な調査について御報告いただき、林委員からはコメントもいただき、ありがとうございました。
 それでは、委員の皆様から御質問、御意見ありましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。高梨委員、お願いいたします。
【高梨(弘)委員】  高梨弘毅です。ありがとうございます。
 まず、すごく膨大なデータで、これを本当に林先生はじめ関係者の方々でおやりになったというのは、本当にお疲れさまというか、頭が下がるといいますか、そのような気持ちです。短時間の中でこの膨大なものを御説明いただいて、ちょっと完全にフォローはし切れなかった部分はあるのですけれど、ただ、林先生がおっしゃっていた観点というか、視点はとっても重要だと思いますし、それから、私が一番思ったのは、せっかくこれだけのアンケートを取られて、データを整理されていて、どう生かされていくのかなというところが一番気になって、せっかくなので本当にいろんなところで生かしていただけるように、林先生、いろんなところに配られるようなことはおっしゃっていましたけれども、もっとこれ、本当に生かしていくということを真剣に考えるべきじゃないかなと。
 あと、大学自身が、それぞれの大学がこの結果とかというのはどうやって知るのですかね。その辺をちょっと思ったのですけれども、本当にその生かし方というのを十分検討していければいいのではないかと思いました。いろいろ拝見していて思うことはあったのですが、取りあえずそれについて御意見いたしました。
 以上です。
【岸本分科会長】  ありがとうございます。
 そうですね、あと塚本委員からもコメントいただいてから、お答えいただければお答えするという形にしたいと思います。塚本委員、いかがでしょうか。
【塚本委員】  どうもありがとうございます。莫大な500ページにわたる資料をコンパクトにまとめていただきまして、どうもありがとうございました。知らないことばかりで、なるほどと大変感心させていただきました。
 その上で、素人質問で大変恐縮なのですが、111ページや115ページに出てくる成果の学術的価値という話に関し、これはどのようにメジャーするのか、属人的に評価が変わるものなのか、それともなんらかのインデックスのようなものがあるのか、教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
【岸本分科会長】  それでは、今、塚本委員のお話について先に答えていただいて、その後、高梨委員からのコメントについて御意見あればお願いしたいなと思います。
【佐野科学技術・学術戦略官】  ありがとうございます。
 まず、おっしゃっているところの成果の学術的価値というところでございます。先生おっしゃるとおり、実は聞いているのはこの言葉で聞いているという状況でございまして、それぞれの大学、研究機関等がそうであると思ったかどうかと、そういうふうなデータの取り方を現在はしておるところでございます。出したほうの意図としては、いわゆる質の評価ということをやっているのかということを答えていただいているのかなと、すみません、これはちゃんと事務局内で統一的な見解ではないのですが、私はそのように取っておるというところでございます。
 それから、高梨先生のほうの御指摘でございますけれども、実はこれ、非常に膨大な資料でございまして、私たちも、もちろん検討会の先生にも見ていただきましたし、事務局も見ていて、正直、やっとこれだけ必要な情報を形にしてお見せできる段階になったというところでございます。本当に様々なデータがございまして、今日御説明しなかった観点も、私たちも貴重な非常に面白い内容も含まれていると思っておりますが、そこの分析等は我々の中でも議論もしていきたいと思いますし、それから、逆に、本日この場で御紹介させていただいたものもそういうふうな状況でございますが、まず先生方にもお見せして、様々に御意見をいただきたいというところの一環であったというところもございます。これもまた、アンケートをさせていただいたところの機関につきましてはもちろんお返ししたいと思っておりますし、それから、いろいろなほかの機関等も御要望に応じて御説明する等して、この結果について活用していきたいと思っているところでございます。
 私からは以上でございます。
【岸本分科会長】  ありがとうございます。
【林委員】  林ですが、よろしいですか。
【岸本分科会長】  はい、お願いします。
【林委員】  塚本委員の御質問なのですけれども、そうですね、これだけ見るとよく分からないところがあって、実は2回目までは調査で「どういうやり方で評価をしていますか」ということを聞いていて、単純には、ポイント制でやっているというのと、あと、学部長が個別の先生方に面談をして、「1年間どういうことを目標にされますか」とか「実績どうですか」って面談をされるとか、やっぱり大学の、特に規模によってタイプが違って、面談をされるというやり方をやっているところは、まさにこの学術的価値で「面談の中でどういう成果が上がっていますか」ということを学部長の方がお聞きしながら評価をすると、そういうタイプのものでございました。今回、そこの調査項目がなくなってしまったので、塚本先生に質問されると、確かに分かりにくいなと思いましたので、そういう意図であったということでございます。
 それから、先ほどの生かし方ですね、おっしゃるとおりでございまして、これまでもシンポジウム等の形で情報提供はしていたのですが、やはり先ほど申し上げたようにちょっとヨーロッパの状況等が変わってきつつありますので、日本の中でどう考えるかというところは少し以前よりは積極的にちゃんと考えたほうがいいと思いますので、学術会議だけじゃなくて、いろんなところで少し議論の材料になればいいと思いますので、積極的に情報を私も文科省のほうも提供できればと思っております。
 以上になります。
【岸本分科会長】  ありがとうございます。
 ほかの委員の方から御意見、御質問ございますか。高梨委員。
【高梨(弘)委員】  林先生の御説明を聞いて、ちょっと付け加えさせていただきたいのですけれど、だから、それを生かすときに、林先生が後で何かまとめられてというか、観点をおっしゃっていた、そういう観点で少し整理し直して出されると分かりやすいというか、あまりにも膨大で、これ、非常に貴重なデータなのだけれど、これだけだと何かどうしていいのか分からないというか。林先生が注目されていた観点が分かるように、分かりやすくデータを整理されてその部分が出てくるとよりいいのかなと。そのデータの部分とか、それからインパクトファクターの部分にしても、これまでの動向と今後の予測なんかも、ちょっとそこら辺なんかも含めた上での分析が出てくると、より生かしようがあるというか、有用なのかなと思いました。
 以上です。
【岸本分科会長】  水澤委員、お願いいたします。
【水澤委員】  ありがとうございます。林先生、御説明ありがとうございました。
 それで、2つ目の欧州の状況として、これまでのランキング等のようなやり方をやめて、改革する方向として質を重視するということをおっしゃったと思うのですけれども、それはもちろんよく分かるのですが、どのように質をはかるかということが結局問題になってくると思うのですね。もうちょっと具体的に改革の方向というのはどのようなものなのかということがもし分かっていらっしゃれば、教えていただければと思います。
【林委員】  よろしいですか、すぐにお答えしてしまって。
【岸本分科会長】  はい、お願いします。
【林委員】  幾つか取組は出ていて、1つは、ナラティブCVというものがあって、イギリスのロイヤル・ソサエティがつくって、ほかの国でも今使っているのですけれども、CV、日本の感覚だと、例えば採用のときにCVにいろいろとこれまでの実績が文章で書いてあるというのは普通のことだと思うのですが、どうも議論を見ていると、向こうのCVは研究業績にインパクトファクターが書いてあってとか、そういうのがどうも多かったようで、そういう数字ではなくて、やっぱり、各研究者が一体何を目指してきて、そしてどういう実績が出てきたかということを文章でCVに書いて、そういうものを、採用、あるいは補助金、研究費の配分のときの必要書類にも求めていくという、そういう数じゃなくて質的な文章をというのが一つの動きですし、それから、やはり論点となっているのは、特に学術面を超えるような社会経済的な効果みたいなものをある種事例的にでも積極的に、やっぱりこれもある種、文章というか、ケースの説明になりますけれども、そういうものをちゃんと求めて、評価のところで求めていくようにするとか、やはりナラティブとか文章とか、何かそういう表現の下での議論が多いように感じております。
【水澤委員】  ありがとうございます。1つ質問ですけれども、そういうときに、これまでのようなというか、例えば論文等、我々研究者がリストアップして提出する、そこにインパクトファクターがあるかどうかということは、今、問題にされていると思うのですけれども、そういうリストはもちろん提出するわけですね。
【林委員】  リストをつけないというものもあります。主要なものだけであとは文章でという、そういうふうに変えるというのもあります。特に若い人とか、そういうことも考えると、ということもあるようですけれども。
【水澤委員】  恐らくここにおられる方々は、皆経験があって、同じような経験をされている方が多いと思うのですけれど、私、先ほど事例が挙がっていた東京医科歯科大学に長くおりまして、その教育改革というのをずっとやってきました。それで、その一環としても業績評価というのを導入してやるようになりました。そこに書いてあるように、何年もかけていろいろ工夫をしてきてやってきました。例えば自分の業績をみても、なかなか客観的に自分のことを見るということはできないのですけれども、そういう評価で質問されている項目を実際に見てみると、自分のことですら初めてかなりよく分かると思いました。そのようにしてみないとなかなか分からない。ほかの研究者の内容も非常によく分かるということは実感として感じています。そのような客観的な資料を基に、余力があれば面接等するといった形で、今いる施設では面接等も行っていますけれども、何かそういう基礎となるようなデータがやはりないとなかなか難しいかなというのは実感として感じております。また参考になることがあったら教えてください。ありがとうございました。
【岸本分科会長】  ありがとうございます。
 時間が大分迫ってきているのですけれども、原澤委員、手を挙げていらっしゃったので、簡単にお願いいたします。
【原澤委員】  アンケートに関する質問ですけれど、先ほど林先生が3回目ということで、1回、2回、3回と共通の質問があると経年的な変化も分かるのではないかと思ったのですが、3回目の質問項目と1、2回目の項目はどうなっているかというのを簡単に教えていただきたいのと、あと、アンケートの回答率が平均44.5%で、私立大学は36.8%でちょっと低いと思ったので、ただ、この手の類いのアンケートでは回答率としてはいいほうなのか悪いほうなのか、その辺の感触をお聞きしたいのですけれども。
 以上2点です。
【林委員】  私のほうからよろしいですか。
【岸本分科会長】  はい、お願いします。
【林委員】  調査項目については、基本的には同じものを使うようにしています。特に、どういうデータで業績評価をしているかというのは同じものを使って、さらにそこに例えばデータのオープン化とか、最近の流れに即した項目を付け足した形になっています。ただ、1回目、2回目と比べて、指針の活用状況とかほかの案件も一緒にやっていたので少し調査内容を減らしてしまったというところがあって、それで先ほど塚本先生の御質問にもあったようなところは減ってしまったというところになっています。
 それから、回答率でございますが、国立は8割なので結構高くて、私立は、前回、前々回もそうなのですが、あまり研究を重視していないような大学はそもそも回答してきませんので、教育重視の大学は回答してきませんので、そういうこともあって、比較的研究を重視している私立大学が回答してきているということだと認識しております。
 以上です。
【岸本分科会長】  ありがとうございました。
【佐野科学技術・学術戦略官】  補足1つよろしいでしょうか。
【岸本分科会長】  はい、どうぞ。
【佐野科学技術・学術戦略官】  すみません。質問項目でございますが、今、125ページ目のほうに、今回の質問項目の項目自体ではないのですけれども、少し出させていただいておりますので、少しイメージが分かるかと思います。このような形で調査項目というものを出させていただいております。
 以上でございます。
【岸本分科会長】  ありがとうございました。
 まだ御意見、あるいはもっとディスカッションしたいことが多いのではないかなと思いますので、また何か機会がありましたら皆さんとディスカッションするような場をつくって、よりよい評価の仕方というのに向かっていければと思いますので、本当に本日は貴重なデータも含めて御紹介いただきましてありがとうございました。
 この件については以上とさせていただきます。
 それでは最後に、議題6、「その他」について、事務局から説明をお願いいたします。
【佐野科学技術・学術戦略官】  ありがとうございます。それでは、資料6でございます。今後の本分科会のスケジュールということで御説明させていただきます。
 第11期までの事務局が考えている今後のスケジュール案ということでございます。8月、11月、1月ということで現在考えているところでございます。また近くなりましたら日程照会等させていただくことになるかと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【岸本分科会長】  ありがとうございました。
 そのほか、皆様から何かございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、事務局から事務連絡等についてお願いいたします。
【長谷山委員】  北海道大学の長谷山です。発言させていただいてよろしいでしょうか。
【岸本分科会長】  どうぞ。
【長谷山委員】  本日の議論には賛成致します。最後に確認させて頂きたいのですが、資料の3-2の61ページの(4)に、「利害関係を有する可能性のある者を評価に加える場合」と書かれています。利害関係者を評価に加えることは、一般ではないと思いますが、『文部科学省における研究及び開発に関する評価指針』を勘案し妥当であると書かれています。読み手にその妥当性が明確に伝わるよう、利害関係者を評価に加えることが問題とならない理由を明示しておくべきかと思います。誰もが見ることのできる資料となりますので、配慮が必要と思います。
 以上です。
【岸本分科会長】  ありがとうございます。
 現時点でコメントありますか。
【佐野科学技術・学術戦略官】  ありがとうございます。おっしゃいました評価指針のほう、手元に今、文書ございますので、それにつきまして、もしよろしければ少し読ませていただきますが、このプログラム評価につきましては、おっしゃるように、「公正で透明な評価を行う観点から、原則として利害関係者が評価に加わらないようにする」と書いてあると。「やむを得ず利害関係者」、途中飛びますが、「利害関係者とみなされる懸念が残る者を排除できない場合は、その理由や利害関係の内容を明確にするとともに、当該評価者のモラルの維持や評価の透明性の確保等を図らなければならない」と評価指針に書かれております。この記載を勘案しまして、今回は、評価、いい悪いという形でもなく、まずはモニタリングで状況を把握するということを主とする試行であるということで、記載をさせていただいているとおり、評価指針、評価の基準ということも含めてでき得れば御議論いただきたいということを考えまして、その段階であれば、利害関係者というのを排除はしないということがより次につながるのではないかということを考えて事務局案を策定しております。
 御指摘を踏まえまして、今のこのプログラム評価の参考の部分につきましてはここに記載をさせていただくということを考えております。また具体的な記載方法につきましては岸本分科会長と御相談等させていただいて、必要があれば委員の方々にも御照会をさせていただければと思います。
 以上でございます。
【岸本分科会長】  ありがとうございます。
 今回の評価に関しては、ある種、自己点検的な要素があるので、関係者も含めてまず点検してみようということで、利害関係者も含めて議論して、その内容については、また客観的に第三者評価が必要であればしていこうというふうに考えていったらどうかという整理をしているところです。その辺も明確になるように、今回ちゃんと整理していければと思います。御指摘ありがとうございました。
 それでは、事務局のほうから御説明をお願いしたいと思います。
【久保研究開発戦略課専門官】  次回の分科会につきましては、御案内しておりますとおり、令和4年8月18日15時から17時にオンラインで開催いたしますので、御出席をよろしくお願いいたします。
 また、本日の議事録は、後日、事務局よりメールで送付いたしますので、御確認をいただきますようお願いいたします。
 最終的には分科会長に御了承いただき、文部科学省のウェブページに掲載いたしますので、よろしくお願いします。
 事務局からは以上です。
【岸本分科会長】  それでは、ちょっと司会の不手際で延びてしまいましたけれども、これで科学技術・学術審議会第81回研究計画・評価分科会を終了したいと思います。本日はどうもありがとうございました。

お問合せ先

科学技術・学術政策局研究開発戦略課

(科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官(制度改革・調査担当)付)