研究計画・評価分科会(第79回)議事録

1.日時

令和4年1月26日(水曜日)16時00分~18時00分

2.場所

Web会議形式で開催

3.議題

  1. 研究開発課題の評価について
  2. 研究DXの推進について
  3. 分野別研究開発プラン(仮称)について
  4. その他

4.出席者

委員

岸本分科会長、高梨(弘)分科会長代理、春日委員、濵口委員、明和委員、村山委員、安浦委員、五十嵐委員、出光委員、上田(正)委員、上田(良)委員、上村委員、佐々木委員、高梨(千)委員、田中委員、塚本委員、林委員、原澤委員、水澤委員、宮園委員、李家委員

文部科学省

千原科学技術・学術政策局長、寺門科学技術・学術総括官、塩田研究開発戦略課長、佐野科学技術・学術戦略官、川口参事官(情報担当)、福田防災科学技術推進室長、須藤宇宙連携協力推進室長、久保研究開発戦略課専門官、吉元環境エネルギー課課長補佐、先光宇宙開発利用課課長補佐、ほか関係官

5.議事録

【岸本分科会長】  皆様、こんにちは。
 それでは、ただいまから第79回科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会を開催いたします。
 まず、議事に入る前に、事務局から御説明をよろしくお願いいたします。
【久保研究開発戦略課専門官】  本日は、研究計画・評価分科会の委員、臨時委員22名のうち21名に御出席を頂き、科学技術・学術審議会令第8条第1項に定める定足数の過半数を満たすことを御報告いたします。
 それでは、初めに、事務局に人事異動がございましたので御紹介いたします。
 科学技術・学術総括官に寺門成真が就任しております。まだ出席はしておりませんが、後ほど出席する予定になっております。
 また、本日は、科学技術・学術政策局長、千原も出席しております。
 次に、Webexによるウェブ会議の開催に当たりまして、委員の先生方にお願いがございます。御発言の際は、手のマークの挙手ボタンを押していただくようお願いいたします。御発言後は、再度挙手ボタンを押して挙手を取り消してください。次に、御発言時以外はミュートにしていただき、御発言時のみミュート解除を御選択いただくようお願いいたします。オンライン上でも聞きやすいように、御発言の都度、お名前をおっしゃっていただくようお願いいたします。御発言の際、資料を参照する際には、資料番号、ページ番号、又はページ内の該当箇所などを分かりやすくお示しいただくよう、御配慮をお願いいたします。
 事務局からは以上です。
【岸本分科会長】  それでは、議事に入りたいと思います。まず、議題(1)の研究開発課題の評価についてです。本日は、3つの委員会における事後評価4件を審議いたします。各委員会において取りまとめられました評価結果を資料1-1-1から1-3-3として配付しておりますので、これを基に御審議いただきます。
 まずは、本日評価を行う4件の利害関係に関して確認いたします。
 それでは、事務局より確認をお願いいたします。
【久保研究開発戦略課専門官】  では、参考資料2、通しページで資料の100ページを御覧ください。そこの4.(1)の利害関係者の範囲を御覧ください。ここに丸1 から丸4 まで書いてありますが、丸1 から丸3 に該当となる方はいらっしゃらないでしょうか。
 特にお返事がないようですので、利害関係者はいらっしゃらないということを確認いたしました。
 以上でございます。
【岸本分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、次に、本分科会における研究開発課題の評価に関する評価票のポイントについて、事務局より御説明をお願いいたします。
【久保研究開発戦略課専門官】  では、次は参考資料1を御覧ください。ページ番号は通し番号で95ページになります。
 この資料は、参考資料2の、本分科会で決定いたしました第11期研究計画・評価分科会における研究開発課題の評価についてから、必要な部分を抜き出したものでございます。本日は事後評価でございまして、まず、共通事項として評価は、当該研究開発課題の必要性、有効性、効率性等の観点から行います。
 次に、個別の事項でございますが、2.の(3)を御覧ください。本日は事後評価でございますので、事後評価につきましては、丸1 「3.評価結果(1)課題の達成状況」というところで、課題の所期の達成度の判定とその判断根拠を明確にすること。当初設定された必要性、有効性、効率性の各観点における評価項目及びその評価基準の妥当性を改めて評価し、必要に応じてその項目・基準の変更を提案する。そして、新たに設定された場合には、その評価基準の要件を満たしているかを評価するとなっています。
 そして、丸2 「3.評価結果(3)総合評価」におきましては、どのような成果を得たか、所期の目標との関係、波及効果、倫理的・法的・社会的課題への対応状況等を記載するということになっております。この点に御留意いただければと思います。
 最後に、研究開発課題の評価の審議に当たりましては、説明時間を適切に管理するため、予定説明時間の終了1分前と終了時点で事務局よりチャットで全員にお伝えいたしますので、時間厳守でお願いいたします。
 事務局からは以上です。
【岸本分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、評価票を御説明いただき、その後質疑の時間を取ります。1つの委員会の質疑を終えましたら、次の委員会の説明に移るという形にしたいと思います。
 また、説明の際は、初めに施策マップを用いて、上位施策や大目標・中目標の達成に向けた、今回の評価課題の位置づけ、意義及び課題間の相互関係等を簡潔に御説明いただき、次に評価票の評価の観点における評価項目や評価基準に触れながら、必要な部分のみを簡潔に御説明いただくようにお願いいたします。なお、1課題につき5分で御説明をお願いしたいと思います。
 それでは、環境エネルギー科学技術委員会から、2件の課題についての御説明をお願いいたします。
 原澤委員、お願いできますでしょうか。
【原澤委員】  原澤です。
 環境エネルギー委員会の方から2件、御報告いたします。
 まず、施策マップでございますが、3ページと4ページに記載されております。3ページが大目標、大目標達成のために必要な中目標の記載があって、今回の場合は地球環境情報プラットフォーム構築推進プログラムについての事後評価でございます。
 2件目が、4ページ、省エネルギー社会の実現に資する次世代半導体研究開発ということであります。
 最初の事後評価について御報告いたします。本プログラムの概要ですが、資料の7ページを御覧ください。本プログラムは、平成28年度から令和2年度の5年間の事業であります。これまで、文部科学省は、気候変動対策、水害対策をはじめとした様々な社会課題解決に資する成果を創出するために、データ統合・解析システム(DIAS)を中核とした地球環境情報プラットフォームの構築に向けて取り組んでまいりました。本プログラムは、地球環境情報プラットフォームの構築課題と、地球環境情報プラットフォームの利用拡大のための共通基盤技術開発の課題で構成されております。
 8ページに参ります。予算額につきましては5年間で約36億円です。
 続きまして、事後評価の内容について御説明いたします。10ページを御覧ください。アウトプット指標の本プログラムにて提供された共通基盤技術(アプリケーション等)では目標値を上回る成果実績を出しており、11ページに記載のアウトカム指標のDIAS利用者数も目標値を大幅に上回る成果・実績を出してございます。
 続きまして、評価結果について、12ページ以降に記載してございます。まず、必要性の評価につきましては、評価項目として科学的・技術的意義などの3点で評価しております。
 本プログラムでは、ICT専門家による利用支援や多くのデータセットの公開など、地球観測予測情報を用いた研究開発の発展に貢献しており、科学的・技術的意義があったと評価しております。
 また、スリランカ等においては洪水氾濫予測システムの運用が既に開始されるなど、社会実装につながる成果を生み出しております。国内におきましては、水力発電ダムの効率的管理システムの商用利用における概念実証という成果も得られております。
 これらのことから、社会的・経済的意義があり、また科学的・技術的な意義も認められたことから、国費を用いた研究開発としての意義があったと評価しております。
 続きまして、有効性でございます。13ページを御覧ください。評価項目については、資料に記載の新しい知の創出や、研究開発の質の向上への貢献などの3点で評価しております。
 本プログラムでは、積極的なユーザーサポートやデータポリシー等の規約の整備に取り組むとともに、各種データダウンロードシステムを整備するなど、ユーザーが効率的に研究開発を行うことができる共通基盤技術を開発し、新しい知の創出や研究開発の質の向上へ貢献しております。
 また、ユーザー数の大幅な増加や、水力発電ダムの効率的管理システムの商用利用における概念実証等の成果が得られたことから、実用化・事業化や社会実装に至る全段階を通じた取組、知的基盤の整備への一定の貢献や寄与があったこと、さらに、民間利用のユーザー数の大幅な増加や、社会実装につながる成果、商用利用における概念実証という成果が得られ、本プログラムで開発されたアプリケーション等の共通基盤技術の成果や波及効果は有効であったと評価しております。以上により、有効性はあったと評価してございます。
 次に、14ページを御覧ください。効率性についてであります。計画・実施体制の妥当性などの2点で評価しております。
 本プログラムでは、プロジェクトマネジャーとサブプロジェクトマネジャーによる実施体制の取組、アドバイザリーボードの設置、各種分科会や代表者会議において進捗管理を行うとともに、電力等の維持管理費、特にコンピューター等の負担軽減などに積極に取り組んだところであります。以上から、効率性はあったと評価しております。
 続きまして、最後に17ページを御覧ください。(2)の貢献状況につきましては、地球規模の社会課題の解決に貢献する多くの研究成果を創出しており、第5期科学技術基本計画に貢献しているところであります。
 (3)の総合評価につきましては、これまで御説明したように必要性、有効性、効率性の観点から妥当であり、科学技術基本計画及び施策目標の達成に大きく貢献したと評価しております。
 (4)の今後の展望につきましては、本プログラム実施期間中にDIASのユーザーは大幅に増加しており、効率的なシステム運用に向けた取組が必要となっております。
 また、提供データセット数やアプリケーション数は着実に増加しておりますけれども、DIASの利活用促進に資する収益化モデル構築などに向けたさらなる取組が望まれるところであります。
 なお、本プログラムではユーザーコミュニティの形成に力を入れてきましたが、外部のコミュニティと積極的に連携し、概念実証例とともにその先の社会実装・商用利用の実施例を確実に積み上げていくことが望まれるところであります。
 第1の説明は以上であります。
 続きまして、第2の事後評価結果に参りたいと思います。資料1-1-4、事後評価結果丸2 、19ページから記載されております。省エネルギー社会の実現に資する次世代半導体研究開発の事後評価について説明いたします。
 本事業の事後評価につきましては、この分野の専門家によるワーキンググループを設置して評価を行い、自己評価の案を作成した上で、環境エネルギー委員会において審議を行いました。
 21ページに本事業の目的が書かれております。この事業は、窒化ガリウムという半導体をパワーデバイスとして活用することを目指して、材料創製からデバイス化・システム応用までを一体的に行うこと、研究拠点を構築して、理論やシミュレーションをベースに実用化に向けた研究開発を加速することを目的として本プログラムはスタートいたしました。
 本事業では研究開発の中核拠点を名古屋大学につくり、そこではトータルのマネジメントと材料創製の研究という基本的な話と併せてデバイスを開発するパワーデバイス・システム領域、レーザーデバイス・システム領域、高周波デバイス・システム領域、デバイスの評価領域の大きく5つの領域で研究開発を5年間進め、総額67億円程度で推進しております。
 次に、24ページに成果のアウトプット、アウトカム指標をまとめております。当初の目標を上回る特許や論文が発表され、十分な成果が上がっていると評価しております。
 個別の成果といたしましては、特に従来不可能、困難と言われていた窒化ガリウム結晶をイオン注入によって局所的にp型化することを、高温高圧下でアニール処理することで実現できることを実証して、あわせて、そのメカニズムを材料研究、分析評価解析、プロセス研究のいろいろな視点から連携して解析していることが優れた成果の1つと考えております。
 26ページに参ります。必要性でありますが、次世代半導体を用いたパワエレやレーザー照明、高周波通信機器は、電力消費のうち大きな割合を占める動力と照明、情報通信機器の消費電力の低減に大きく寄与すると期待されていますが、これらの分野へ窒化ガリウム等の次世代半導体を本格的に展開するには、大電力で使用する際の耐圧などの性能面と価格競争力の面で大きな課題が存在しております。このため、これまで以上に欠陥が少なく高品質かつ低価格の窒化ガリウム結晶基板を育成する技術や、その基板の上で結晶を成長させるような研究開発、次世代半導体の材料としてデバイスやプロセス技術の研究が必要不可欠であります。従来のシリコンなどに比べて消費電力を劇的に低減できるという画期的なものですので、大学における基礎的研究段階から支援し、いち早く社会実装することを重点的に推進する必要があると考えております。
 次に、27ページの有効性についてであります。本事業では、トータルのマネジメントを行うために、企業出身者あるいは大学の著名な先生方全体を取りまとめるプログラムディレクター、各領域をマネジメントするプログラムオフィサーという体制をしき、また、中核拠点、名古屋大学ですが、そこを中心に全体の事業化とトータルの連携、いろいろな調整を行う体制をしいております。この体制を活用した窒化ガリウムコンソーシアムといったものも整備して、関連大学や物質・材料研究機構(NIMS)、産業技術総合研究所、メンバー企業群と窒化ガリウムものづくり拠点を形成して活動するといったことも特徴であります。さらに、このコンソーシアムにつきましては49の企業が参画しているということで共同研究が進められている状況で、今後のさらなる成果が期待されているところであります。
 29ページの効率性のところです。本事業により、企業・大学が広く利用できる国内の中核拠点を名古屋大学に整備し、拠点においてチップ供給可能な体制を進めた点は、本分野において非常に大きな動きとなっております。例えば中核拠点で作成された結晶を、物材機構を中核とした評価基盤領域において評価するといった各領域の連携が加速し、各領域ともに社会実装に向けてインパクトのある優れた研究成果を上げることにつながっております。これらの取組につきましては、企業・大学へのチップの供給を可能とする一体型の拠点形成とつながり、大学発のユニークで新しいアイデアのデバイスを形にすることを可能にするものとして認められます。
 以上から、委員会といたしましては、31から32ページにまとめておりますが、各領域ともに社会実装に今後展開し得る優れた研究成果を上げているほか、研究開発のテーマ数、特許出願数、デバイス試作数、論文数のいずれも目標値を下回った年度がなく、本事業は窒化ガリウム系デバイスの技術力向上に大きく貢献したと考えております。また、領域間連携を行いつつ、新たな研究拠点の形成にも十分な配慮の下に事業が進められたと認められます。加えて、博士課程学生の本事業への参画等、若手の人材育成も進められたと認められます。
 一方、今後、炭化ケイ素などを超える技術として確立するためには、ここで得られた技術を統合化して縦型パワーデバイスとしての実用性を高める研究など、さらなる研究開発の進捗が必要であると考えます。
 説明は以上です。
【岸本分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問等がありましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 では、春日委員、お願いいたします。
【春日委員】  春日です。
 原澤先生、御説明ありがとうございました。
 まず、DIASについてコメントを出させていただきます。必要性、有効性、効率性の面、いずれの面からも大変優れた成果を上げられたと思います。特に目標値を上回るユーザーの増加があったこと、また、国内だけではなくてスリランカの例を御紹介いただきましたが、ほかにも大変優れた国際貢献をされたこと、そういう点で評価できると思います。
 DIASについては、地球観測推進部会でもSDGsへの貢献という点で大変期待しているところです。今後更にユーザーのニーズを酌み上げて、ユーザーコミュニティの形成を更に促進していただくこと、それから、この運用に当たって省エネに工夫されているということでしたけれども、更に電源の脱炭素化、つまり再生可能エネルギーの構成を増やす等の努力も加えていただければと思います。
 以上です。
【岸本分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、続いて村山委員、お願いできますでしょうか。
【村山委員】  同志社大学の村山です。よろしくお願いします。
 後半の窒化ガリウムの研究開発ですけれども、これは極めて重要度の高い研究だと思うのです。特に今は半導体の競争力というのが非常に大きな課題になっていまして、これが1つの鍵を握る分野だと思うので、是非ともここは基礎研究から、最後は社会実装にまでつなげていただきたいと思います。
 ただ、この種の研究は往々にして社会実装に行くまでに壁があるので、それをいかに乗り越えるかということなのです。具体的に言うと、実際に使っておられるところにいかにこの成果を技術移転するのか、この技術移転メカニズムが日本は弱いところがあるのでそこをしっかりやるということと、そこに財政的な手当てをするということが重要だと思うのです。これは内閣府が推進している経済安全保障推進プログラムにもフィットする分野だと思いますので、この経済安全保障の分野は、内閣府のプロジェクトというのは社会実装を意識したところもあるので、こういうところとも意見交換や協力しながら社会実装に確実につなげていただければと思います。
 以上です。
【岸本分科会長】  ありがとうございます。
 ほかに委員の方から御質問、御意見等はございますでしょうか。
 今のお二人の委員からのコメントについて、原澤委員から何かコメントはございますでしょうか。
【原澤委員】  ありがとうございます。
 春日委員のコメントは、非常に重要なコメントと思います。一つはユーザーニーズを的確に捉えるということで、発表の中では余り詳しく触れなかったのですけれども、ユーザー数は7,000を超えるということで、そのうちの1,000が民間ユーザーだということで、非常にユーザーが広がってきているということであります。それだけデータに対するニーズが高いということでありますし、かつ、データ量が非常に大きくなっているということで関連する機器の消費電力も増えてきているということで、ここが2050年のカーボンニュートラルを目指して、再エネ等を使った電力でより脱炭素なDIASにしていく必要があるということで、この辺については関係者も認識しておりまして、常日頃からそういったことにも注力して進めているということであります。
 ただ、なかなか膨大なデータ量が日に日に増えてくるというところで、データのディスクの問題とかいろいろ頭を抱えているところでありますけれども、様々な関係者と連携を取りながら対応しているということであります。
 村山先生の御指摘も大変大事で、このプログラムは、様々な連携を考慮した立てつけになっております。具体的には、委員会を3層構造につくりまして、それぞれが連携しながら、かつ頻繁にコミュニケーションを取りながらやっているということ、窒化ガリウムのコンソーシアムということで、発表の中でも御紹介しましたけれどもかなりの数の民間企業が入ってきているということです。オールジャパンの体制で窒化ガリウム半導体の基礎から社会実装に向けて活動して、非常にいい成果が出ているということで、更にこれを進めていく必要があると思います。また、いわゆる民間だけでなくて、国の協力。資金援助が大切でありますし、村山先生がおっしゃったように内閣府との連携も必要になってきているのではないかと思います。
 事務局の方、追加で何かございますでしょうか。
【吉元環境エネルギー課課長補佐】  環境エネルギー課の吉元です。
 基本的には原澤先生が申し上げたとおりではございますけれども、この分野のこの事業というのは単に研究開発するということではなしに、拠点形成ということで、企業等も含めて連携するような枠組みができてきたというところが大きいかなと思います。その中で、半導体というものがますます重要性を増していく中で、我々は集積回路も含めて今年から事業を始める予定でございますけれども、それも含めてかなり経済産業省とか環境省、内閣府とは連携して進めていますので、その点は引き続きしっかり進めていきたいと考えています。
 ありがとうございます。
【岸本分科会長】  ありがとうございます。
 ほかの委員の方から何か追加の御意見、御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 このプログラムは、それぞれについて後続のプログラムが走り始めていると思いますので、今日のような御意見も生かしながら次のプログラムが動いていくといいのかなと私も思いますので、よろしくお願いいたします。
【原澤委員】  ありがとうございます。
【岸本分科会長】  それでは、原澤委員、どうもありがとうございました。
 それでは、次に移りたいと思います。次は、防災科学技術委員会になります。
 上村委員、よろしくお願いいたします。
【上村委員】  上村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 資料の34ページを御覧ください。施策マップがございまして、中段、緑色の矢印の施策であります日本海地震・津波調査プロジェクトについて、昨年7月に事後評価を実施し、課題の所期の目標は達成されていると判断いたしました。本日は、本プロジェクトの事後評価結果について御報告いたします。
 資料の37ページを御覧ください。まず、簡単にプロジェクトの概要について御説明いたします。
 本プロジェクトでは、多数の活断層があるにもかかわらず、震源断層モデルや津波波源モデルを決定するための観測データが十分に得られていなかった日本海側の地域を対象として、モデル構築、シミュレーション及び地域の防災リテラシー向上の3つのサブテーマを連携して推進することで同地域の地震・津波防災対策に資することを目的としまして、平成25年度から令和2年度の8か年のプロジェクトでございました。
 事後評価結果につきましては41ページを御覧ください。(1)課題の達成状況としまして、調査が不十分であった日本海側の地域において、地震資料の収集や地質調査・構造調査が着実に進められ、津波波源モデル・震源断層モデルの構築と、これに基づく津波波高予測や強震動予測がなされ、地震発生ポテンシャルの評価についても着実に進展したと判断してございます。
 また、得られた成果を地域の防災リテラシー向上に役立てるため、行政、研究者、ライフライン事業者等からなる地域研究会を立ち上げまして活動を行ってまいりました。その際には、地方自治体の方からも高い評価をいただいております。
 39ページに示しますアウトプット指標、アウトカム指標の達成状況や、41ページ以降の必要性、有効性、効率性の観点からの評価を踏まえ、課題の所期の目標は達成されたと考えてございます。
 続きまして、43ページ、(2)科学技術基本計画等の貢献状況でございます。第5期科学技術基本計画では、自然災害への対応が重要な政策課題として設定されておりました。その解決に向けた取組の1つとして、災害を予測・察知してその正体を知る技術の研究開発を推進してまいりましたが、本プロジェクトでは、日本海側の地震・津波に関する分野横断的な調査研究を推進することで取組に貢献できたと判断しております。
 続きまして、44ページ、(3)総合評価でございます。本プロジェクトでは、調査観測分野、シミュレーション分野、防災関係分野が互いに連携し、さらには文理工融合の研究を実施して、地震・津波対策に資する基礎資料を提供できたことは高く評価しております。また、地域研究会の取組により、地方自治体などとの議論を通じて地域の防災力向上の貢献につながったり、様々な分野や組織の連携の重要性を示すことができたりした点は、学術の成果の社会への還元という観点からも大きな意義があったと評価しております。
 最後に45ページ、(4)今後の展望でございますが、本プロジェクトの8か年の取組の成果として、日本海側の観測データの不足という最大の課題についてはおおむね解消されております。今後は、本プロジェクトで得られたデータを用いた解析のさらなる高精度化としまして、構築したモデルと近年発生した地震・津波との対比分析などによるモデルの改訂や、波源・断層モデルと日本列島規模での応力場シミュレーションによる個々の断層の地震発生ポテンシャル評価など、地震発生の長期評価手法の高度化に貢献するため、研究の継続が望まれるとしております。また、成果の社会還元に引き続き取り組むことが重要と考えており、プロジェクト終了後も得られた研究成果を地域に周知する努力が必要としております。
 以上でございます。
【岸本分科会長】  御説明ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
 内容的な質問になってしまうのですけれども、評価票の中で、文理工の研究者の連携により分野間の相互理解が深まったというような評価をされていらっしゃるのですが、具体的にはどういうところが成果として見えてきているのでしょうか。科学技術・イノベーション基本計画の中でも総合知ということがうたわれていて、これからいろいろな取組もしていかなければいけない中で参考になるのかなと思いまして御質問させていただきました。
【上村委員】  ありがとうございます。非常に重要なポイントを御指摘いただきまして、ありがとうございます。
 説明の中でも申し上げておりますけれども、地域研究会という形で、日本海沿岸の各地域におきまして自治体の協力を得ながら広く参加者を募りまして、インフラの関係者、行政の関係者、研究者、地元研究者等と研究成果をそこで共有して、皆さんにお話をするという機会をつくっております。その際に、いわゆる理工系の知見を皆さんにお伝えするというところでとどまらないように、人文系の先生方にもその運営というところでかなり入っていただいておりまして、どういう内容で、どういう伝え方をしたら地域の皆さんに御理解いただけるのかというところの企画段階から関わっていただいておりました。ですから、理工系の先生がまともに研究成果を発表すると難解になってしまいがちなのですけれども、そのあたりをうまくサポートしていただけたかなと思っております。
【岸本分科会長】  ありがとうございます。サイエンスコミュニケーションだとかそういうところにもすごく関係してくることですね、ありがとうございます。
 ほかの委員の方々からはございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、どうもありがとうございました。
 それでは、次に移りたいと思います。最後になりますが、航空科学技術委員会からお願いしたいと思います。
 李家委員に御説明をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【李家委員】  李家です。
 航空科学技術委員会から、環境適合性・経済性向上の研究開発・低騒音化技術(航空機)の事後評価結果について御説明いたします。
 資料1-3-1、47ページ、航空科学技術分野の施策マップを御覧ください。本日、事後評価の御審議を頂く課題は、研究開発計画の中目標で掲げられている社会からの要請に応える研究開発で、その下の黄緑色で囲まれております環境適合性・経済性向上の研究開発のうち低騒音化技術(航空機)です。
 続きまして、資料1-3-2の環境適用性・経済性向上の研究開発の概要、50ページを御覧ください。この課題は、国際的に空港周辺地域の騒音低減のボトルネックになっている着陸時騒音の主音源であります高揚力装置及び降着装置について低騒音化デバイスの設計手法を確立して、将来の旅客機開発並びに装備品開発に適用可能な段階まで成熟度を高めることを目指すもので、宇宙航空研究開発機構(JAXA)において、平成25年度から令和2年までの8年間で実施されました。
 続きまして、事後評価票です。52ページの3.評価結果の(1)課題の達成状況に記載してありますとおり、騒音源となる高揚力装置と降着装置からの剥離流を抑制・制御する低騒音化デバイスを設計して、JAXAの実験用航空機「飛翔」に適用して飛行実験を行った結果、設定した目標値を大きく上回る騒音低減量を達成しています。
 また、予定していた三菱航空機の三菱スペースジェット、MRJと呼ばれていた機体ですが、それを用いた飛行実証を行う予定でしたが、メーカー側の開発計画の変更により、それは中断されました。その代替として三菱スペースジェットでの実用化を考慮した低騒音化デバイスを設計し、高揚力装置と主脚で騒音低減量の目標値が達成できることを風洞実験で確認しております。
 さらに、当初の計画にはなかったものですが、中型旅客機を対象とした脚騒音に関わる現象理解と低騒音化に向けた議論を行う共同研究を米国のボーイング社と行い、飛行実証する枠組みが新たに構築されるといった成果も得られました。
 また、本課題の中で開発した音源計測技術を活用して音源ごとの寄与度を推算可能な旅客機の騒音源モデルを構築し、このモデルを空港騒音予測に用いられる国土交通省航空局のモデルに適用して精度向上を図ることで、実際の空港騒音の予測でも活用される見込みを得るといった付随的な成果も得られています。
 続きまして、各観点の評価です。まず、53ページの必要性についてですが、騒音低減という普遍的な課題に取り組んで新たな装備品市場の創出も期待されるなど、本課題は騒音低減により世界を先導し、航空産業の活性化・高度化に貢献するものであり、国や社会的ニーズと合致することから必要性は高かったと評価しております。
 続きまして、54ページ下段の有効性については、既存機に適用可能な低騒音化デバイスにより抑制・制御するという独自の低騒音化コンセプトによって、我が国の優位となる低騒音化技術について飛行実証し、独創性・発展性のある成果が得られ、先ほど申し上げた海外の機体メーカーであります米国のボーイング社と飛行実証する枠組みが構築され、社会実装に向けた体制ができたことなどを踏まえて、本課題の有効性は高かったと評価しております。
 それから、効率性については、57ページに記載されていますとおり、研究開発の課題や目標を設定する段階から研究開発成果の受け手となる国内航空機装備品メーカーとの共同研究体制で実施され、責任分担に応じて負担する費用構造で適切な実施体制が取られており、計画変更等に関して柔軟性を持って対応して、研究成果をより広く社会実装につなげるものであったことから、本課題の効率性は高かったと評価しております。
 続いて、59ページの中段にあります科学技術・イノベーション基本計画等への貢献状況です。第4期科学技術基本計画におけるグリーンイノベーションの推進(環境・エネルギー技術の一層の革新、航空機の高効率化)に貢献するとともに、第5期科学技術基本計画においては、国家戦略上重要な基幹技術の推進として産業競争力の強化、経済社会的課題への対応に加えて、我が国の存立基盤を確固たるものにすることに貢献するなど、科学技術基本計画及び我が国の航空科学技術の発展に貢献する成果を上げたと評価しました。
 最後、59ページの下側の総合評価のところです。本課題においては、当初挙げられていた目標の一部は外的な環境の変化によって達成できなかったものですけれども、設定した目標値を超える騒音低減効果を風洞試験及び飛行試験により確認できたことから、実用化に必要な設計技術を獲得するという目的は達成されたと考えています。また、その成果に基づいて低騒音化設計技術及び派生技術の社会実装につながる新たな体制を構築できており、想定した以上の成果が得られたものと評価いたしました。
 最後に、60ページ下段の(4)今後の展望です。新たに構築された海外機体メーカーとの飛行実証をする枠組みによって成果を社会実装につなげること、それから、騒音予測モデルを活用して航空行政の施策に貢献することを期待しているところです。
 私からの説明は以上です。
【岸本分科会長】  御説明ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして御意見、御質問等がありましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 明和委員、よろしくお願いします。
【明和委員】  明和です。
 李家先生、御説明ありがとうございます。
 私は、先ほどの防災のこととも絡むのですけれども、人間の心的な機能について研究している者で、総合知の観点からどのように低騒音にするということを実現していくかということを、物理現象ではなく、主観としての心ですね、幾ら低騒音にしても、そういったものに対して脳が非常に反応しやすい方、心が反応しやすい方、様々いらっしゃると思いますので、物理としての予測モデルではなく、人間の心的な主観的な評価としての低騒音モデルといったことも尺度として入れながら、総合的に評価軸をつくっていただければなと思います。よろしくお願いします。
【岸本分科会長】  まず、委員の方から御質問をお受けしてから、まとめてコメントがあればと思います。
 それでは、続いて塚本委員、よろしくお願いします。
【塚本委員】  御説明、どうもありがとうございました。
 MSJの計画が倒れる中で、上手にボーイングさんとの社会実装を進めていったというのは、日本の様々な関連する産業の人たちにとっても非常に心強い成果になったのではないかと思います。
 50ページの予算(執行額)の変遷があるのですが、予算額に比べて執行額がとても少ないように見えます。これはどうしてでしょうか。差し支えない範囲で教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
【岸本分科会長】  ありがとうございます。
 ほかに御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、李家委員から、お答えできるようであればお答えしていただくということでよろしいでしょうか。
【李家委員】  ありがとうございます。
 最初にいただいた御質問ですけれども、心理的な面、特に空港周辺の騒音というのは近隣住民にとってもかなりのものですし、そういったところの騒音、それから、これは今日の話からは少しずれますけれども、超音速機の場合は独特の騒音が出ると、そういったものを人間がどう受け止めるかということも考えながら研究はされているようです。そのように理解しておりますけれども、今日頂いた御意見は重要なものだと思いますので、今後もそういったことに気をつけて考えていきたいと思います。
 それから、2番目の予算額の件は、すみません、事務局から答えていただいた方がいいと思いますので、お願いできますでしょうか。
【先光宇宙開発利用課課長補佐】  航空科学技術委員会事務局です。
 御質問いただきました予算額は、JAXAの運営費交付金のうち、「航空環境及び安全技術の研究開発」という少し大きなテーマの予算額の内数として記載しておりまして、今回の低騒音化技術はこの一部ということで、該当する執行額を記載させていただいております。
【岸本分科会長】  御回答ありがとうございました。
 ほかに委員の方々から御質問等はございますでしょうか。
 私から一つ、内容になってしまうのですけれども、ここで成果として出された低騒音化技術というのは当該の機体にとっての特殊な技術なのでしょうか、それとも新しい汎用技術として成立していくものなのでしょうか。機種を対象にしながら研究されていたのでその辺が少し分かりにくかったので、今回の成果というのはどういう位置づけと考えたらよろしいのでしょうか。
【李家委員】  ありがとうございます。
 確かにMSJとかそういったものでの試験になっておりますけれども、現象としては物理現象で、流れの剥離等に関連するものですので、空気があるところでは騒音が出ますので、それに関しては汎用的なもので、ほかの機体でも、それからまた別の移動するような物体でも同じようなところに適用できると考えられます。このようなお答えでよろしいでしょうか。
【岸本分科会長】  結構でございます。
 ほかはいかがでいらっしゃいますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、この件については以上で終わりにしたいと思います。
 李家委員、どうもありがとうございました。
【李家委員】  どうもありがとうございました。
【岸本分科会長】  それでは、以上で議題(1)の全ての研究開発課題評価の審議案件の説明が終了いたしました。それでは、審議内容について御意見、御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、ただいま御説明いただきました評価票につきまして、この内容について本分科会として決定したいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
 どうもありがとうございました。それでは、分科会としてこの評価案を決定したいと思います。
 それでは、続きまして、次の議題に進みたいと思います。議題(2)研究DXの推進について、でございます。
 内容について、情報委員会から御説明をお願いしたいと思います。
 安浦委員、お願いできますでしょうか。
【安浦委員】  情報委員会の主査を務めております安浦でございます。本日は、お時間を頂きましてありがとうございます。
 研究DXの推進につきましては全ての委員会に関係すると思いますので、是非御紹介したいと思いましてお時間を頂いております。
 それでは、次のスライドをお願いいたします。
 研究のデジタル・トランスフォーメーション、すなわち研究DXの考え方をまとめた図になっております。新型コロナウイルスの感染症を契機に、社会においてデジタル変革、DXが進むとともに、研究分野においてもデジタル化が大きく進んでおります。一方、世界においてもオープンサイエンスが進行しております。このような状況を踏まえまして、研究の在り方そのものにも大きな変革期が到来していると考えます。
 中心となる考え方は研究データの共有・利活用であり、これによりAI・データ駆動型研究が経済社会や科学を大きく動かす可能性があります。本日の先ほどのDIASの話や、防災科学技術委員会からの御報告などにもこういう考え方が流れていると思います。
 続いて、次のスライドをお願いします。
 研究DXのアプローチとしましては、研究データの共有・利活用の推進と、それから研究データ基盤の整備の2つの問題がございます。まず、研究データの共有・利活用の必要性につきまして御紹介いたしまして、その後で情報委員会で取り組んでおります研究データ基盤の整備について、皆様方からも御意見をいただければと思っております。
 続きまして、次のスライドをお願いします。
 こちらは、文部科学省の科学技術・学術政策研究所(NISTEP)が実施しました日本の研究者によるデータと論文の公開状況や、それに対する認識を明らかにするための調査のうち、研究データを公開することによって得られるポジティブな影響に関する調査結果を抜粋したものでございます。左側の円グラフですが、研究データを公開した経験がある方の中で「公開によって良い影響があった」と回答された方が23%ほど、「特になし等」という方は6.7%という結果になっております。この質問は自由記述になっていたそうですので、そのことを考えますと、データ公開のメリットを確かに感じておられる研究者がかなりいらっしゃるということを表していると考えております。
 右側の表では、研究データ公開の良い影響として回答された内容の詳細をまとめております。共同研究や交流のきっかけになったという回答や、引用の増加、認知度の向上につながったという回答があったようで、研究データの公開が研究活動にとって確かに良い影響を与えるということを表した結果になると考えます。
 次のスライドをお願いします。
 科学技術・イノベーション基本計画でも、研究力を強化するためにオープンサイエンスやデータ駆動型研究等を推進していく、それによって付加価値の高い研究成果を創出し、我が国のプレゼンス向上を目指していくとされておりまして、赤で囲んでおりますように研究データの管理・共有・利活用に取り組んでいくことの必要性が指摘されております。
 次のスライドをお願いします。
 世界的に見ますと、例えばEUではEU全体でのEOSC(European Open Science Cloud)やドイツのNFDI(Nationale Forschungsdateninfrastruktur)、あるいはフランスのRDG(Recherche Data Gouv)といった研究データの共有・利活用を推進するための基盤の構築が進められております。そのほか、ファンディングエージェンシーのポリシーにより研究データのオープン化を求めたり、データ駆動型研究を推進するための投資を行ったりするなど、研究データの共有・利活用やAI・データ駆動型研究の推進に取り組んでおります。右下にありますように、そういう投資において日本はかなり遅れているという状況でございます。
 次のスライドをお願いします。
 ここまで御紹介したような背景を踏まえまして、研究データの共有・利活用の重要性について、昨年10月の科学技術・学術審議会総会で紹介したものがこのスライドでございます。研究データの共有・利活用を通じましてデータ駆動型研究を推進することで、研究プロセスの変革や革新的な成果の創出が期待されます。国際的にも、1つ前で御紹介した諸外国での取組のほか、新型コロナウイルス感染症の拡大を背景にウイルス研究の研究データの提供が論文掲載の要件となったり、世界的な出版社やIT企業が研究データに対しビジネス対象として関心を高めているなど、研究データに関する取組が活発になってきていると言えます。こうした状況を好機と捉えまして、オープン・アンド・クローズ戦略に基づき研究データの共有・利活用、そして管理をしっかり行っていくことが重要と考えております。
 このために取り組むべきこととして、研究データは戦略的資源であり、その共有が論文執筆と同等以上の価値を持つという基本的認識を学術界全体で共有することが必要と考えます。天然資源が乏しい我が国でも、国際競争力の源泉となり得るのが研究データであると言えるのではないかと思います。そして、学術界全体で研究データの共有を促進し、データ駆動型研究を推進する流れを生み出すことが必要です。これまで、研究データは取得した研究者のグループでのみ使用することが多々ございましたが、これを戦略的に共有し利活用することで、より革新的な成果の創出につなげていくことが期待できます。このような研究プロセスの変革により国際競争力・国際協調力といったものを向上させることで、低下し続けている我が国の学術研究成果のプレゼンスの回復につながるものと考えます。
 次のスライドをお願いします。
 研究データの共有・利活用を通じて研究DXを推進していくには、いろいろなユースケースを示していくことが重要だと考えます。こちらは一例として、マテリアル分野において研究データの創出から統合、あるいは管理、利活用まで一気通貫で研究DXを推進していくためのプラットフォームを構築しようという構想でございます。NIMSの方でいろいろ検討もされていると聞いております。こうしたユースケースの創出について、分野別委員会の皆様とともにそれぞれの分野に対して検討していくことが必要だと考えております。
 次のスライドをお願いします。
 データ共有・利活用を進めるための課題としましては、先ほどお示ししたものをはじめとするいろいろなユースケースの形成と普及、研究者に対する、データを公開する、あるいはきちんと整えるためのインセンティブ、それから分野融合の研究コミュニティの育成といったものが挙げられます。各分野の特性もそれぞれ考慮しながら、学術界全体で議論していくことが必要だと考えております。この後の質疑の時間でもいろいろ御意見をいただければと思いますし、今後、情報委員会と分野別委員会の皆様とで連携して、それぞれの分野に特有の問題を検討することも考えたいと思っております。
 次のスライドをお願いします。
 ここまでが研究データの共有・利活用についての紹介でございますが、それを支援するためには、そのベースとなる研究データ基盤を整備しないといけません。これは情報委員会での重要な取組となります。今後研究データ基盤の整備についての検討を進めていく上で、基盤を利用することとなる分野別委員会の皆様の御意見を伺うことが非常に重要だと考えておりますので、こちらについても少し御紹介させていただきます。
 次のスライドをお願いします。
 こちらは、情報委員会での検討対象の全体像を示しています。左側の方は先端的な情報科学技術の研究開発について検討するものですが、右側半分はあらゆる研究分野の研究開発を支えるデータ基盤も含むデジタル基盤の構築・運用について議論する、これも情報委員会のミッションと考えております。
 次のスライドをお願いします。
 現在整備しております学術情報基盤では、研究データ基盤、スーパーコンピューター等の計算資源、学術情報ネットワークであるSINET、これを一体的に捉えて検討しております。全国の「知」がつながる研究環境を構築し、それらをフル活用することで大学・研究機関におけるあらゆる分野の研究開発を支え、その在り方の変革を促そうと考えております。こういう考え方は、岸田総理が提唱されておられますデジタル田園都市国家構想にも合致するものと考えております。
 次のスライドをお願いします。
 国立情報学研究所(NII)が中心的に整備を進めております研究データ基盤システム、NII Research Data Cloudは、科学技術・イノベーション基本計画でも研究データの管理・利活用の中核として位置づけられております。2023年度以降は、各機関において付与していただいたメタデータにより研究データの検索もできるように体制を整備し、一層研究データの利活用を推進していく環境をつくっていきたいと思っております。
 次のスライドをお願いします。
 NIIの研究データ基盤は、データ管理基盤であるGakuNin RDM、データ検索基盤であるCiNii Research、それからデータ公開基盤であるJAIRO Cloudの3つの基盤から構成されており、オープン・アンド・クローズ戦略に対応した研究データ基盤となっております。今後、データマネジメントプランに基づくデータ管理の支援やデータの来歴情報の管理など、研究者の負担軽減や適切な研究活動を支援するための改良、高度化を行っていくことを計画しております。その中で、各分野で抱える課題も踏まえて検討を行う必要があると思いますので、今後分野別委員会の皆様から、それぞれの分野の特性について御意見を頂きたいと思っております。
 次のスライドをお願いします。
 最後に、本日お話ししたことをまとめさせていただきます。まず、研究の在り方そのものに大きな変革期が到来している中で、研究DXの核となる研究データの共有・利活用を進めることにより、AI・データ駆動型研究が経済社会や科学を大きく動かす可能性があり、科学技術・イノベーション基本計画に位置づけられたり、世界でも様々な取組が進んでおります。そのような中で、我が国としてこれに対応するために研究データを戦略的資源と捉え、より一層研究DXを推進していくことが重要と考えます。
 さらに、科学技術・イノベーション基本計画で取り組むこととされていることも踏まえ、研究者や研究機関等における研究データの管理・共有・利活用に関する取組を適切に評価する仕組みについても検討することが必要と思います。
 また、研究データの共有・利活用と研究データ基盤の整備は車の両輪でございますので、分野別委員会の皆様の御意見も伺いながら、情報委員会ではそれぞれの分野の特性も考えて、皆様方がお使いになりやすいデータ基盤をつくっていきたいと思っております。
 御清聴ありがとうございました。
【岸本分科会長】  御説明ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして御意見、御質問をお願いしたいと思います。特に、御説明の最後にありました研究DXのアプローチであります研究データの共有・利活用の推進でありますとか研究データ基盤整備について、情報委員会と他の分野別委員会との連携で検討していきたいという御提案がございました。これにつきまして、何か具体的な御提案があればお願いしたいということがまず1点です。
 もう一つは、科学技術・イノベーション基本計画において、知のフロンティアを開拓し、価値創造の源泉となる研究力において研究データの管理・利活用に関する取組をさらに促す観点から、2022年までに、これらの取組状況を、研究者プログラム、機関等の評価体制に導入するというような記載がなされております。現在、この分科会で行っている研究開発課題の評価や、次に御相談する議題になりますけれどもプログラム評価などの評価関係の活動に向けて、こういったことにどのように取り組んでいったらいいかということについても御提案などをいただければということであります。主にこの2点について御意見を頂きたいところでありますけれども、様々な観点からも御意見があればということでお願いしたいと思います。
 それでは、今お二人の委員からお手が挙がっているということで、高梨弘毅委員、宮園委員の順番にお願いしたいと思います。
 まずは、高梨弘毅委員からお願いいたします。
【高梨(弘)委員】  東北大の高梨です。ありがとうございます。
 安浦先生、御報告、どうもありがとうございます。
 そんなに具体的な提案があるわけではないのですけれども、マテリアル分野のことが例として出されてもおりましたので、ナノテクノロジー・材料科学技術委員会の立場から少しコメントさせていただこうと思いました。
 ナノテク材料の研究でも、データ駆動型の研究とかデータの重要性というのは非常によく皆さん認識していて、委員会でもたくさんの議論がされています。その中でよく出てきた議論で御紹介したいのは、データを提供する際に、よくないデータというかネガティブなデータというか、要するにうまくいかなかったデータです。そういうのも膨大なデータがあって、ただ、論文発表するのは、ある意味いいことばかりを出すわけですけれども、その下に失敗したというか、うまくいかなかったデータがたくさんある。特に材料などの場合には、こうやったらうまくいきませんよと、いい材料はできませんよというデータもたくさんあるわけです。ところがそういうデータがとても重要で、これからデータ駆動型でいろいろ材料科学をやっていくようなときに、そういうある種ネガティブなデータというのは物すごく重要なのですけれども、これがなかなか外には出てこない、特に企業などは出したくないという面もあると思います。
 ですので、そこら辺をどうやって引き出していくかというあたりは、これはもう大昔からそういう議論はあるのだと思います。ある委員が酸化物超伝導体で、30年以上ですか、40年近く前に、そのときから同様の意見を言ったことがあるということをおっしゃっていた委員がいましたが、その頃から当然そういうことはやらなければいけないとわかっていたのだけれどもなかなかうまくいかないというところで、そこの壁をどう乗り越えるかというのが一つ大きな課題だと思うのです。一つ考えられることは、安浦先生がおっしゃっていたインセンティブを、もう思い切ったインセンティブをそういうデータ提供に対して与えるということは考えられると思うのです。
 それから、文言の中にあって、私が大変いいなと思ったのは、正にデータの共有というのは論文を書くのと同等かそれ以上の価値があると。研究者がそういう意識を持つというのは、単にいい論文を書くということだけではなくて、評価軸としてデータの提供ということに対して評価を与えるということが必要で、そういう体制をつくらないとなかなか壁は乗り越えられないと思うので、そこは本当に分野を超えてそういうような体制をつくっていければいいのではないかなと思います。
 以上です。
【岸本分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、続いて宮園委員、お願いいたします。その後、佐々木委員、水澤委員にお願いしたいと思いますが、時間の関係がございますのでコンパクトに御意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 宮園委員、どうぞ。
【宮園委員】  それでは、宮園です。
 安浦先生、どうもありがとうございました。健康医療分野でもデータの共有ということに関しての重要性は非常に高いと考えておりまして、現在も内閣府の健康・医療戦略推進事務局や、あるいは日本医療研究開発機構(AMED)などで、省庁横断的に検討を行っております。
 安浦先生から何度か「それぞれの分野の特性を考慮して」と言っていただきましたけれども、特にライフサイエンスの分野、ゲノム情報とか疾患情報などは非常に機微な情報で、個人情報保護法や倫理指針などとも非常に密接に関わってくるところがありまして、どのようにするかは、今正にいろいろと議論しているという事情があります。このような状況ですので、研究データの共有・利活用、それから研究データ基盤の整備ということの重要性は十分に理解しておりますが、対応について、すぐに対応することは難しいのかなと思いますので、また事務局と相談しながら情報委員会と御相談させていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【岸本分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、続いて佐々木委員、お願いいたします。
【佐々木委員】  安浦先生、ありがとうございます。
 私からは2点ほど話させていただければと思います。
 まず、今回のこのデータの基盤の話ですが、すごく重要だと私も感じています。ただ文部科学省だけでこの基盤を管理するというのは非常に難しいのではないかと私は感じていまして、そのためにデジタル庁ができたということがあるので、例えば先ほどおっしゃっていたセキュリティーの面とか、あとは例えばユーザーの管理というのはすごく大変になってくるのでそのユーザーの管理とか、ユーザーに対する権限というのが多分必要になってくるはずなので、そのあたりがすごく大変なのです、決めていったり、つくっていったりするのが。ですので、そこを文部科学省だけでつくってしまうと、今後何かの研究で別の省庁につなげなければいけないとなったときには多分非常に難しくなるので、省庁をまたいだような体制の構築をしなければいけないのではないかなと感じていますが、そこについて1点、御意見をいただければと思います。
 それからもう一つが、それに伴い、このようなデータ基盤をつくるに当たり、研究者の方のデータサイエンスの重要性に対する認識が非常に大切なのではないかなと思います。データを使うことによっての自分の研究に対するエビデンスがどれだけたまっていくかということと、自分の研究成果がどれだけスピードを持って世の中に出していって活用されるかという、このスピード感のところというのは、多分データサイエンスの知識とかそういった意識がないと難しいと思うので、DX人材と言ってしまうとそうなのかもしれないのですけれども、それよりも、多分日本の研究者の場合はリテラシーの観点のところからが非常に弱いというのがあるので、まず、これから研究者をどう育てていくのかというのは重要なのかなと思います。
 例えば、例なのですけれども、私がフォローアップしていた日本人の女性でMITに行った学生がいるのですけれども、マテリアル関係の学科に行きまして、そのときに、その学生が泣いて連絡してきたのが、皆さん、世界中から集まってきている人たちというのは、もうプログラミングが当たり前にできると、なのに、自分だけができないと。知識はあるのに、計算するためにプログラムを使えないので統計とかですごく研究が遅れているということをすごく言っていたのです。ですので、その段階でまだ、その方は2年前に卒業したばっかりなのですけれども、まだ日本の研究者というのは2年間でITリテラシーに関する水準が上がっているとは私も思えないので、そこに対する補完というか、若しくは、研究者自身がそこをしなくてもいいと思うのですけれども、例えば補佐ではないですけれども、研究者のフォローアップとしてそういう専門の人間を採用してつけてあげるというような体制ですとか、まとめてそこを処理できるような仕組みというのをつくってあげるというのが必要なのではないかなとお聞きしていて感じましたが、私も全てを知っていて言っていないのでざっくりしたジャストアイデア的な意見で申し訳ないのですけれども、それが私からの意見となります。
 以上です。
【岸本分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、次は水澤委員、お願いいたします。
【水澤委員】  ありがとうございます。
 御説明ありがとうございました。全体として非常に重要な話題で、2つの項目については全く賛成です。
 私どもは医療の分野なのですけれども、先ほど宮薗先生がおっしゃったように全体としてのことはありますけれども、中のそれぞれの領域では、例えばAMED等も当初からデータ共有等を推進しておりましたので、かなり進んでいるところもあろうかとは思います。
 私どもから御質問というかお願いは、先ほどの御質問の中に言葉があったのですが、セキュリティーのことです。お話はそんなには多くなかったかと思うのですけれども、これはすごく重要になると思います。特に、これも宮園先生がおっしゃったのですけれども、我々は医療データを扱いますので、この問題はとても重大になってくるということがあります。実際にいろいろなことを運用しようとしたときに、セキュリティーの担保に物すごくお金がかかるのです。これは皆さんも御経験されていると思うのですけれども、そういったところをデータ管理そのものと一緒に面倒を見るというような、リーズナブルな値段できちっとした質の高いセキュリティーを提供できるようにしていかないと、なかなかこれは発展しないのではないかなと思いますので、その点は是非入れていただきたいと思っております。
 以上です。
【岸本分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、次の議題もありますけれども、あとお二方から手が挙がっていますのでお願いしたいと思います。
 明和委員、林委員の順番でお願いいたします。
【明和委員】  御説明ありがとうございます。
 私もこのDXの推進は賛成なのですけれども、宮園先生、水澤先生がおっしゃるように、人間を対象としてデータを扱っている者としては難しい問題がたくさんあるなと思っております。特に現在、個人の生体試料などをオープン化していくと、今の段階ではそれが個人にひもづかないデータであっても、テクノロジーの進歩によってそれが将来ひもづいてしまうというような可能性も出てくると思います。つまり、今ここを超えた発想でそのデータがどう発展するかという視点も含めてオープン化していくということ、ここも非常に重要ではないかなと思います。
 以上です。
【岸本分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、林委員、お願いいたします。
【林委員】  評価に関して、次の議題でもありますが、研究開発課題の評価のところでDXの推進というのを、例えばデータをアウトカムとして評価するであるとか、あるいはDXの推進というのを一つの評価項目に入れるということは考える必要があると思います。これまでは研究開発計画をつくるときに、人材育成というのを共通の視点として考えようということで過去進んできたと思いますけれども、恐らくそれと同じような並びでDX、それから佐々木先生が言われたようにDXのための人材育成というのを各課題の中でどう考えているのかということはしっかりと見ていく必要があると思います。これが1点です。
 それとともに、ヨーロッパ等の状況を見ると、特にリサーチャーのキャリア、若手研究者のキャリア評価をするときに、オープンサイエンスのような項目をちゃんと入れているかということをかなり各国で調査して、それを変えていくべきだという議論がなされています。我々は文部科学省と一緒に、実は去年NIMSさんにヒアリングさせていただいたとき、既にレポジトリにデータを入れるようなことをしていれば研究者評価の中で加点するという取組をしているような話は聞いていますが、ただ一方で、普通の大学であるとかそういうところでの研究者評価の中でこういうデータのオープン化の取組がどれほど評価されているかというと、恐らく今はほとんど評価されていないと思います。それとともに、オランダでは大学評価、例えば国立大学法人評価みたいなものですけれども、大学評価をするときに既にオープンサイエンス戦略という項目が評価項目として立っているという状況があります。このように、ここで扱っている研究開発課題だけではなくて、組織・機関の評価及び研究者の評価、全部が一体となって進まないと、例えば研究開発課題で雇用されているポスドクの評価となったときに、課題評価のところではDXを進めたいと思っても、そのポスドクを評価する組織では全然そこが見られないというようなチグハグが起きてしまいますので、是非文部科学省の中でも部、課とか室をまたいでこういう議論を一体的に進めていっていただきたいと思います。
 以上です。
【岸本分科会長】  ありがとうございます。
 この今日の話題については非常に大事なことだろうと私も思っていまして、今、林委員がおっしゃったように評価の中に取り入れていくと、具体的にどういう形で取り入れていくかについては、この委員会でも慎重に考えていかなければいけないと私も思いますけれども、方向性としては評価の方でもしっかり取り入れながら、今日委員の方々からいろいろな課題についても御発言いただいたので、課題解決と両輪で進める必要があるのかなと思うところであります。
 それで、冒頭でありました分野別委員会と情報委員会との協働については、それぞれの委員会の立場というのもあるかと思いますので個別に進めていくということと、もう一つは、共通課題があればまたこういうところか、あるいは別の場で御議論いただくような場をつくって進めていけるといいのかなと思いますけれども、いかがでしょうか。
 今までのことにつきまして、安浦委員の方から改めてコメントということはございますでしょうか。
【安浦委員】  いろいろな御指摘、どうもありがとうございます。2点だけ申し上げます。
 水澤先生から御指摘がありましたセキュリティーの問題は、これは我々も重要な問題と考えておりまして、管理というのはオープンにするものとクローズにするもの、そこをきちっと分けて、クローズにするものはきちっとクローズにして、オープンにしていいということになった時点でいつでもオープンにできる、そういう形をきちっとつくっていかないといけないという発想で、今いろいろ検討しているところでございます。
 それから、最初に高梨先生の方からお話がございましたネガティブデータ、これも物すごく重要な話で、今はやりのAIでは負のデータをどれだけ用意するかということがいかにAIを賢くするかということにつながっていくわけでございますから、それをどういう形で集めて、そのデータを公開したことに対してどういうインセンティブなりフィードバックを与えるかを議論する必要があると思います。こういうことはある意味でアカデミア全体の考え方を変えていくポイントになっていくのではないかと思いますので、また一緒にいろいろと検討させていただければと思います。
 今日はいろいろ貴重な御意見ありがとうございました。
【岸本分科会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、今日頂いた意見も踏まえてこの委員会としてどのように対応していくかについては、事務局とも相談しながら進めてまいりたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、この議題については以上とさせていただきまして、次の議題(3)分野別研究開発プラン(仮称)について、に入ります。
 8月27日に開催されました本分科会におきまして、分野別研究開発プラン(仮称)及び分野別研究開発プログラムについて御議論いただき、また、プログラム評価のフォーマットの素案についても示していただいて、御検討いただいたところであります。
 この分科会での御議論を踏まえまして事務局案を一部修正した形で、各分野別委員会と事務局に対して分野別研究開発プラン(仮称)及び分野別研究開発プラン、更に当該プランのフォーマット案について、意見を照会させていただいたところであります。
 本日は、事務局より、この照会の結果を御紹介いただくとともに、可能であれば、今日の分科会で同プランの進め方についての方向性を決定していただければと思っております。
 また、同時に、プログラム評価の進め方についての御意見も頂いておりますので、それについても事務局から御紹介いただきまして、それについての御意見もいただければと思っております。プログラム評価の進め方については、今回頂いた御意見を踏まえて、次回の本分科会で具体的な案について事務局より御提示いただくことを予定しております。ということで、方向性の内容については、できれば今日決めていただき、具体の詰めについては次の委員会等でまた御議論いただくというようなことを考えております。
 ということで、事務局から説明をお願いいたします。
【佐野科学技術・学術戦略官】  ありがとうございます。
 それでは、資料3-1から御説明させていただきます。
 今、岸本分科会長から御説明のあったとおり、前回の8月27日にプラン、プログラムにつきまして御審議いただいたということで、修正させていただいた資料につきましては参考資料4と5として本日の資料に準備しております。その修正させていただいたものにつきまして、各分野別委員会等において御議論いただいた結果について、本日は御報告させていただきます。
 まず、資料の二パラグラフ目のところでございます。各分野別委員会等において御議論いただいた結果ということでございますが、まず、研究開発計画というものを分野別研究開発プランに変更するということにつきましては、大筋で理解を得られたと私どもは考えております。
 しかしながら、ここに書いてあるような、例えば分野別研究開発プラン作成の意義、それからフォーマット案、目標や評価軸の考え方等々につきましては意見を頂いたところでございまして、この2ページ目の方にまとめているところでございます。それぞれの委員会の中で意見を頂いておりますが、事務局の方で幾つかの項目に分けてまとめております。
 2ページ目をお願いします。
 まず、幾つかに分けさせていただいておりまして、(1)のところでございますが、プランの基本的な考え方についてということで、幾つかの委員会からは大筋で了承が得られたということを頂いているところでございます。
 それから、丸5 丸6 のあたりでございますが、丸5 は負担軽減の話、それから丸6 丸7 については、研究開発の特性についてどう捉えるかというところを御指摘いただいたかと思っております。
 それから(2)のところ、プランフォーマット案1枚目についてというところでございます。例えば、研究開発計画の中目標のために重要な推進すべき研究開発の取組について、もう少し具体的に記入できる余地を設けてはどうかというような御意見を頂いているところでございます。
 それから、今のプランフォーマット案の2枚目につきまして、もう少し簡潔にしてはどうかというような御意見を頂いています。それから、「アウトカムを記載」というのはどうなのかという御意見等を頂いているところでございます。
 それから、(4)のところは、横断的な領域について少し記載できるようにした方がよろしいのではないかという御意見を頂いております。
 それから、(5)のところは、目標や評価軸設定の考え方についてという形でまとめさせていただております。例えば大目標の中で幅広い分野での活用が期待され、他の分野プログラムにおける研究開発の加速にも資するなどを明示した方がよろしいのではないかということ。
 それから、丸3 のところでございます。課題ごとの指標ではなくて、全体のアウトプット指標、アウトカム指標を統一的に出してはどうかという御指摘、それから、丸4 のところでは、萌芽的な予想外のことも起こるというのが研究開発だと、次の萌芽も生まれるというようなこともあるという御指摘で、やむを得ない障害なども出てくるかもしれませんので、その全ての発見、経験などを次に生かし、事前に記載された目標の達成や評価軸にとらわれることがないようにしていただきたいという御意見、それから、丸5 として、コミュニケーションとなるアウトリーチ活動も指標として入れた方がいいのではないか、丸6 のところは、指標について大くくり化する方がよろしいのではないか、それから、(6)については業務量の軽減策ということで、施策マップということでの別のファイル形式を用いてもいいのではないかというような御意見を頂いているところでございます。
 これを踏まえまして、私どもから御提示させていただいたこの進め方、プランのつくり方につきまして、少しフォーマット等を変えた形のものをつくらせていただいておりまして、各分科会の事務局等にも御照会させていただいているというものでございます。具体的には資料3-2が、今回のこれらの御意見を踏まえて具体的に修正させていただいたものでございます。この資料だと、どこをどのように修正したか分かりにくいものですから、冒頭の3ページのみでございますけれども、修正点が分かりやすいように資料3-3として修正の部分を青字にして記載させていただいているところでございます。
 最初のところに策定の意義というのを少し書かせていただいた方がよろしいかということで、1つ目の丸、2つ目の丸というところは今までの歴史、それから3つ目の丸のところにつきましては、今回のプランにつきまして、研究開発計画の考え方を踏襲して政策評価体系を可能な限り整合させるということ、それからプランを毎年度見直すということを書かせていただいているものでございます。
 基本的な考え方というところにつきましては、ほぼそのまま踏襲させていただいているところでございますけれども、目的というところで、各分野において重点的・戦略的に推進すべき研究開発の取組や推進方策を定めるということを少し追記させていただいております。
 それから、研究開発の評価というところで、後ほどまた御説明させていただきますが、政策評価との関係についても幾つか御意見を頂いているところもありまして、政策評価の意義、それからプログラム評価の意義というところで、政策評価の意義ということは法律から抜粋したものを記載しており、説明責任の徹底を目的とするということでございます。プログラム評価につきましては質の向上、それから運営改善、計画の見直し等につなげることを目標とするというところにつきまして、評価指針に書かれているところを抜粋しております。
 それから、2枚目でございます。これにつきましては、御意見を踏まえて少し修正させていただいているところでございます。具体的には、例えば施策概要のところでございますが、政策評価における施策の概要というもの、これは今まで「転記」と書いてあったのですが、ここを「参考に記載する」ということで、そのまま書くのではなく、それぞれの分科会の御議論を反映できるような形にしているというところでして、これはプラン、プログラム同様でございます。
 それから、その下のところ、上位施策でございます。幾つか上位施策となる政府全体の戦略計画等以外にも、必要に応じて独自の計画等を策定するとこういうことができることを明記しているところでございます。
 それから、備考といたしまして、プランと関わる可能性がある横断的な分野についてということで、具体的には記載しておりませんが、そういうことも記載することができるということを書かせていただいているところでございます。
 それから、3枚目でございます。この3枚目のところは、特にフォーマットを少し簡素化するということでございまして、このフォーマットの中に目標案、それから指標等を課題ごとに記載していただくというのが当初案でございましたが、資料3-2を少し見ていただければと思うのですが、資料3-2の方にその概要のところにつきまして、例えば4ページ目のところにありますが事前評価資料の1枚目等々のところをそのまま添付していただくということで、追加の作業が発生しないというような工夫を提案させていただいているところでございます。
 それから、個々の指標を課題ごとに書くというだけではなくて、プログラム達成の評価のための指標ということでアウトプット指標、アウトカム指標というものについては記載いただくというような形を御提案させていただいているところでございます。
 具体的にこの3枚目、資料3-2の方でございますが、このあとに今申し上げたようなそれぞれの事前評価、中間評価、事後評価の中の最新の評価結果の概要部分を添付するというような形で作業量を減らすということを提案させていただいているところでございます。
 よろしければ、このプランの進め方につきまして、本日お決めいただくという形にさせていただければと思っているところでございます。
 それでは、続きまして、資料3-4でございます。ここまではプラン、プログラムの方でございますが、プログラム評価の進め方につきましても併せて御意見を頂いておりますので、これも御紹介させていただきます。
 1枚目が幾つかの議論のポイントということで書かせていただいておりますが、2枚目の89ページ目のところから、これも私ども事務局の方で幾つかのカテゴリーに分けて記載させていただいております。
 まず、研究開発プログラムの評価に関することということで、負担軽減について御意見を頂いております。毎年進捗状況報告というのが必要なのでしょうかということ、なるべく過度な負担を防ぐ配慮が必要ではないかという御意見を頂いているところです。
 それから、(2)でございます。プログラム評価のフォーマットについて、例えば事前分析表という、これは政策評価の方で使っているフォーマットを参考までに本日の参考資料の中にも入れさせていただいておりますが、そういうようなものと合わせるということで工夫してはどうかというようなことを頂いているのが(2)の部分でございます。
 それから、(3)につきましては、計評分科会提案以外の形での評価の取扱いということで、例えば量子の分野におきましては量子技術イノベーション戦略が定められているということで、そういうところのフォローアップの結果を分科会で報告することで対応してはどうかということ等々につきまして御意見を頂いているところでございます。
 それから、(4)プログラム評価の被評価者ということで、それぞれ評価の主体というのは審査委員や文部科学省のみならず第三者(マスコミや一般社会)も含めるべきという御意見を頂いているところでございます。
 それから、(5)でございます。軌道修正の仕組みについてということで、環境等の変化を考慮して第三者が軌道修正できる仕組みが必要ではないかということ、それから、目標を達するための指標等を当初のものに固定するのではなく、柔軟に追加できるようにしてもよろしいのではないかといただいております。
 丸3 のところは、予定どおりの成果を評価するだけではなく、想定から大きく乖離した成果なども肯定的に評価できるような形が望ましいのではないかということ、それから、(6)は、そもそもプログラム評価の必要性ということにつきまして、丸1 の最後のところでございますが、「評価」よりも有識者委員等が助言する仕組みとし、名称もそれに合わせたものにできないかという御意見、それから、その次のページの評価結果の取扱いということで、指標の分析については、例えば論文数の指標に関して、より解析すると状況が見えてくるのではないかということで、論文をサンプリングなどにより収集して分析するというものを指標に入れてはどうかという御意見を頂いていると、それから、定量評価に偏らない評価の工夫についてということで、これは御意見を今頂いているというところで、かなり端折って申し訳ございませんが御紹介させていただきます。もしお時間があるようでしたら1枚目のところで、例えば負担軽減策についてというところでの評価の頻度、フォーマット、それからほかの評価を利用することにつきましても先生方の御意見を頂いた上で、次の回に事務局案を提示させていただきたいと思っております。
 それから、資料3-5は今後のスケジュール(案)というものでございます。本日は、このプラン、プログラムにつきまして御議論いただくということでございます。
 次回につきましては、申し上げましたように評価の今後の進め方、それからフォーマットにつきまして、事務局案を出させていただければと思っております。
 これがもしよろしければ、また下の委員会等で御議論いただいて最終的に決定していくと、それと並行いたしまして実際のプランを、また次の8月頃に決定していただくというような形での案を考えております。
 長くなりましたが説明は以上でございます。
【岸本分科会長】  御説明ありがとうございました。
 その他の案件で数分かかりますので、20分弱でしょうか、御議論させていただきたいと思います。
 まず、最初に説明がありました資料3-2について、資料3-3が見え消しの方になっていまして、分野別研究開発プラン、今までは仮称ということで検討してきたところですけれども、分野別委員会の方から御意見を頂いて、それを踏まえて修正した形で提案させていただいているところであります。これについて御意見を頂き、もしよろしければ、今日この委員会としてこの形で確定していただければということが一つです。
 それと、あと資料3-5、後ろの方になりますが、これからのスケジュールもおよそこれでいいということで皆さんの御了解を頂いたらば、次回の委員会等も含めてこのスケジュールでいきたいということでございます。そのことについて、まず御意見を頂きまして、その後、研究開発プラン評価の進め方について、時間の許す限り皆様から御意見を頂きたいと考えております。
 ということで、まず、資料3-2について、こういう形で進めてよろしいかどうかについて御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
 李家委員、お願いいたします。
【李家委員】  ありがとうございます。李家です。
 研究開発プランですが、もともとあった研究開発計画はかなりの長文になっていて、各分野でどういうことをやられているかが詳しく書いてあって、それはそれでよかったのですが、ただし全体として何をやろうとしているかとかを見ようとすると、なかなか他分野ですと分かりにくいということがありました。今回、例えば見え消し版で言うと86ページで研究開発プランのフォーマット案を出していただいていますが、それを1枚でまとめるというようにしていただいているので、言ってみればここに全てが書かれるということと理解しております。
 前回の委員会で最初に出していただいたときの感じから言うと、今度は逆に余りに簡潔過ぎて、本当に何をやろうとしているかが分からなくなってしまうのかなと思いまして意見を出させていただいていたところですけれども、今日の御回答にもあったように各分野の委員会での考え方によると思いますが、この中である程度かなり自由に書かせていただけるということで、私が最初に申し上げたように、ある分野でどんなことをやっているかということがすぐに分かるように簡潔に、かつ必要なことは情報が書いてあるという格好で書けるような提案をしていただいておりますので、このフォーマット案でいければよいかと私は考えました。
 以上です。
【岸本分科会長】  ありがとうございます。
 ほかの委員の方々はいかがでしょうか。分野の方とも大分やり取りしながらということですけれども。
 佐々木委員、お願いいたします。
【佐々木委員】  佐々木です。
 このフォーマットって、データは何なのでしょうか。そのデータも決めているのですか、例えばワードにするとかエクセルにするとか、そういうことが決まっているのでしょうか。
【佐野科学技術・学術戦略官】  お答えしてよろしいでしょうか、後がよろしいですか。
【岸本分科会長】  ほかに御質問があればと思いますけれども、よろしいですか。
 では、事務局の方から、今の件についてお答えいただけますか。
【佐野科学技術・学術戦略官】  ありがとうございます。
 今御提示しているこれ自体は、パワーポイントのフォーマットを使わせていただいております。ただ、同じような内容、同じような形のものであれば、それぞれ使いやすいものがあるかと思いますので、そこはそれぞれのところでのやり方でよろしいかと思っております。
 以上です。
【岸本分科会長】  ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 次は、出光委員、お願いいたします。
【出光委員】  原子力の方からですが、コメントの方でかなり過激な書き方になっておりまして、自分たち自らに、天に唾をするような書き方になっているところもございまして、一部反省もございます。例えば指標等が、要はそちらが本来の目的ではなくて、指標を達成することが目的のようになってしまっていないかと、そういう反省がありまして、目的と達成についてもう少しよく考えようと、そのような話でございました。ということで、御提示いただいたプラン等について、特に問題があるというわけではございません。
 以上でございます。
【岸本分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、原澤委員お願いいたします。
【原澤委員】  すみません、原澤です。
 1点確認です。今日も、安浦先生の研究DXの推進についての説明は非常に参考になったのですけれども、そこで、今回の場合は分野横断的といいますか、横のつながりみたいなものがある程度出てきたものを参考に事務局の方でまとめられたのかどうか、そこの確認です。
【岸本分科会長】  事務局の方からお答えできますか。
【佐野科学技術・学術戦略官】  ありがとうございます。
 おっしゃっていただいているのは、これと別に横串のものをつくる予定でしょうかという御質問でよろしいでしょうか。
【原澤委員】  そういうことです。
【佐野科学技術・学術戦略官】  ありがとうございます。
 そこは、現在御提案させていただいたのは、それぞれの委員会ごとの形でございまして、今までの分野別の形のものでございます。少し考えていたのは、そういう横串的なものは、例えばですけれども今のフォーマットの2ページ目の備考のところで、それぞれの委員会の御議論で書いていただくことができるものであれば書いていただくということがすぐできることかと思っておりました。
 今の情報DXの話は少し大きな話でございますので、事務局の方でこの形でつくるのは、多分すぐにはなかなか難しいかと思っておりますので、今の今日のお話も含めまして、私たち、この分科会でどのような形で議論できるのかというのは、また機会があれば御議論させていただきたいと思っております。
 以上でございます。
【岸本分科会長】  それでは、次ですが、林委員、お願いします。あと、最後に上田委員、お願いします。
【林委員】  ありがとうございます。
 分科会で御議論いただいた結果がこういう形になったということで結構だと思いますけれども、先ほど最初の委員からありましたように、ある程度分野ごとの自由度というか、それは担保していただければというのが、まず思っているところです。
 これは政策評価から転記するという記述ぶりが多いのですけれども、そもそも政策評価ってある種表面的、外形的なチェックをするところなのですよ。つまり、例えば各研究開発課題とかそういうものが問題なく普通に動いているということを、その分野の専門家でない素人の委員会とかがチェックするという非常に外形的なものなのです。だから、外形的なものをここに転記するというのは本末転倒というか逆で、専門家の分科会で内容まで含めていろいろと議論していただいたことが結果として政策評価のところのような、そういう外形的な表に反映されるというのが普通の流れだと思いますので、転記するという意味で、今もうあるようなそういう外形的、表層的なものを持ってきて一丁上がりという、そういう話ではないと思うのです。結局、分野ごとの先生方が分野ごとの委員会で、今の各分野の中の課題は何であって、そしてここの施策マップにあるような、どういう研究開発課題群をやっていくことが重要であるのかという御議論を、恐らく今でも各部会でもう既に通常されていると思うのですけれども、そういうもののある種のサマリーがプログラムのところの概要というかそういうところに出てくるということだと思うのです。なので、特に分野ごとの部会で議論される先生方に意識していただくことがきっと重要なのかなと思います。その結果として、先ほど自由度と言いましたけれども、1枚にまとまり切らなくてもきっといいのではないのかなと私は思っております。
 それとともに、これは酷な要望なのかもしれないのですけれども、研究開発課題、例えば我々が前半で議論したような研究開発課題というレベルよりも1個上の、ある種分野としてのまとまりを議論するという、その1個上のレベルのプランなわけですけれども、そうすると、例えばナノにしてもライフにしても研究課題、開発課題として立っているもの以外にも、例えば科研費でもナノの材料の研究をされているし、ほかのファンドでもされているという状況があって、そうすると、分野単位のプランとなったときに、必ずしもここの部会とかで扱うというような課題だけの集合ではないと思うのです。
 なので、本来ならば研究開発プランを考えるときに、分野ごとにより広い視点でどういう課題があるかということを御検討いただいた上で、その中で我々がここで議論する対象になっているのは重点的に取り組むべき課題としては何であるのかという、そういう流れにきっとなるのだと思いますので、そこの上下関係というか、今やっている課題をまとめ上げて、それで研究開発プランだという流れというのは、それも逆だということなので、そのあたりの議論の仕方というのを文部科学省の方でかなり誘導してというか、コーディネートしてやっていっていただく必要があるのかなと思いました。
 以上になります。
【岸本分科会長】  ありがとうございます。
 それでは、上田良夫委員、お願いいたします。
【上田(良)委員】  核融合科学技術委員会の上田です。
 簡単に1点だけ、研究開発プログラム評価の頻度についてというところで、毎年の進捗状況報告が必要なのかどうかということについて検討をお願いしたのですけれども、結局この進捗状況報告というのは、事前評価、中間評価、事後評価という基本的にその3回の評価でよいと考えていいのですか。毎年の進捗状況報告について書かれていなかったような気がしますので、その点をお伺いしたいと思います。
【岸本分科会長】  今のコメントは、分野別開発プラン、この資料3-2ではないですね。次の資料3-4の方の御意見として承りますが、頻度をどうするかというお話ですね。
【上田(良)委員】  すみません、そういうことでございます。失礼しました。
【岸本分科会長】  ありがとうございます。
 そうしましたら、分野別開発プランの策定の進め方については、今、林委員からの書き方の細かいところで、転記も可とかと書いてしまうとまずいのではないかというような御指摘もあったので、そこは事務局でもう一度改めて見ていただくことにしたいと思いますけれども、全体としては分野別委員会の御賛同が得られているということなので、この資料3-2については、細かいところは後で修正することも含めてお認めいただいたということでよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 それと、資料3-5のスケジュールについては特に御意見がなかったようなので、スケジュールとしてもお認めいただいたということでよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 それで、あともう残りの時間が少ないところなのですけれども、資料3-4のところで、今度は研究開発プログラム評価の方です。プログラム評価の負担軽減策についてということで、先ほど上田良夫委員から頻度について御質問がありましたが、そのあたりについてほかの委員からも御意見があるかと思いますので、この頻度について何か御意見があればお願いしたいと思います。どういう形でやっていくのが望ましいのかということです。
 このことについては、今日は少し時間が限られているので、また次回でも議論する機会を設けられるということで、事務局、よろしいですか。
【佐野科学技術・学術戦略官】  結構でございます。場合によっては御意見等をメール等で頂く形で、また次の検討のための材料をいただけると大変有り難いと思っております。
【岸本分科会長】  そうしましたら、資料3-4、研究開発プログラム評価の負担軽減策について、頻度がどうなのか、フォーマットについてはどうなのか等々ございますので、これらについては、今日の限られた時間の中では皆様の御意見を全部頂くことができないと思いますので、事務局からございましたように、御意見がございましたらメール等でいただければと思います。どういう形が望ましいのかということであります。
 上田良夫委員からの頻度についての御質問について、今、事務局でお答えができるようであればお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
【佐野科学技術・学術戦略官】  ありがとうございます。
 当初案といたしまして毎年という形で御提案させていただいた趣旨だけを御説明させていただければと思います。
 このプログラム評価につきましては、まだまだ新しい、それから、何度か過去にやった場合でもなかなか負担が大きいというようなことで御意見を頂いたところでございます。
 そういう意味では、今回、なるべく簡単な形でまずはスタートするということを御提案させていただいた上で、毎年という御提案をさせていただいたのは、ある程度回数を実施しなければ、何がよくて、何が悪いということがちょっと見えにくいのではないかというところ、それから、プラン、プログラムにつきましては、例えば私どもが事前に事務的に見たところでは1プラン・1プログラムというところもおそらくあるのではないかと想定しております。そういう意味では、プログラム自体がなくなるということはなかなか考えにくいという状況があるのかと思っておりまして、最初はある程度の頻度で評価を実施し少しずつ経験を積み重ねていくというようなことで、その上で、ある程度形が固まってきたら少し頻度を下げていくというような形がもしかしたらよろしいかということで毎年の御提案をさせていただいたところでございます。ただ、御意見を頂きまして、またいろいろと考えたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【岸本分科会長】  ありがとうございます。
 まだ御意見はあるかと思いますけれども、本日は時間が限られたところでございますのでこのあたりとさせていただき、メール等で御意見を賜ればと思います。
 なお、分野別研究開発プランの進め方等々については今日お決めいただきましたので、来年度の8月に開催する本分科会において各分野別委員会等で作成いただいた分野別研究開発プランを御報告いただくような形にして、その内容を踏まえて決定していくという段取りで進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、終了時刻になっておりますけれども、あと一つだけさせていただければと思います。議題(4)その他についてです。科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会の公開の手続についてということで簡単に御説明いただきまして、御了承いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【久保研究開発戦略課専門官】  では、資料4の93ページを御覧ください。こちらは分科会で決定しております公開の手続についてでございますが、文部科学省が昨年10月に組織改編をいたしまして、研究計画・評価分科会の担当課が「企画評価課」から「研究開発戦略課」に名称を変更しております。そのため、この手続の中に書いてある課の名称を変更するというものでございます。
 説明は以上です。御審議をお願いいたします。
【岸本分科会長】  ありがとうございます。
 よろしゅうございますでしょうか。担当課名が変わったということで、こちらでお認めいただくという手続が必要だということで諮らせていただきました。
 ありがとうございます。
 以上で御用意しました議題は全て終了させていただきました。
それでは、事務局の方から事務連絡等をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【久保研究開発戦略課専門官】  本日はどうもありがとうございました。
 次回の分科会につきましては、御案内しておりますとおり令和4年3月3日の10時から12時までということで、オンラインで開催いたします。また御出席いただければと思います。よろしくお願いします。
 また、本日の議事録については、後日事務局よりメールでお送りいたしますので御確認をお願いいたします。最終的には岸本分科会長に御了承いただいて、文部科学省のウェブページに掲載いたしますのでよろしくお願いいたします。
 事務局からは以上です。
【岸本分科会長】  それでは、以上で第79回科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会を終了させていただきたいと思います。お忙しい中を御出席いただきまして、どうもありがとうございました。

お問合せ先

科学技術・学術政策局研究開発戦略課

(科学技術・学術政策局研究開発戦略課)