研究計画・評価分科会(第76回)議事録

1.日時

令和3年4月21日(水曜日)13時30分~15時30分

2.場所

Web会議

3.議題

  1. 分科会長の選任及び分科会長代理の指名について(非公開)
  2. 研究計画・評価分科会の議事運営等について(非公開)
  3. 第11期研究計画・評価分科会における研究開発課題の評価について
  4. 研究開発課題の評価について
  5. 研究開発プログラム評価について
  6. 科学技術・学術審議会での議論について
  7. その他

4.出席者

委員

岸本分科会長、高梨(弘)分科会長代理、春日委員、濵口委員、明和委員、村山委員、安浦委員、五十嵐委員、出光委員、上田(正)委員、上田(良)委員、上村委員、佐々木委員、高梨(千)委員、塚本委員、長谷山委員、林委員、原澤委員、水澤委員、宮園委員、李家委員

文部科学省

行松サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官、板倉科学技術・学術政策局長、梶原審議官(科学技術・学術政策局担当)、佐野科学技術・学術戦略官、橋爪参事官(情報担当)、宅間計算科学技術推進室長、久保企画評価課専門官、ほか関係官

5.議事録

今回の議事は、分科会長の選任、分科会長代理の指名等があったため、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会運営規則(平成13年2月27日決定)第6条の規定に基づき、開会から議題2までは非公開。

【議題1「分科会長の選任及び分科会長代理の指名について」】
分科会長は、科学技術・学術審議会令第5条第3項の規定に基づき、委員の互選により岸本委員が選任された。分科会長代理は、科学技術・学術審議会令第5条第5項の規定に基づき、高梨(弘)委員が指名された。

【議題2「研究計画・評価分科会の議事運営等について」】
以下の資料について事務局より変更箇所を中心に説明があり、案については承認された。
・科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会の概要(資料2-1)
・科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会運営規則(資料2-2)
・科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会の議事運営について(資料2-3)
・科学技術・学術審議会に設置された委員会における議事又は調査の経過及び結果の研究計画・評価分科会への報告等について(案)(資料2-4)
・科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会の公開の手続について(資料2-5)
・科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会における部会・委員会の設置について(案)(資料2-6)
・科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会組織図(案)(資料2-7)

以降、運営規則第7条の規定に基づき議事録を公開。

【岸本分科会長】 よろしいでしょうか。それでは始めさせていただきたいと思います。第11期科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会の発足に当たり、科学技術・学術政策局長より御挨拶をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【板倉科学技術・学術政策局長】 ありがとうございます。科学技術・学術政策局長の板倉でございます。第11期科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会の開催に当たりまして、事務局を代表いたしまして一言御挨拶を申し上げたいと思います。
まず、委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、委員の御就任をお引き受けいただきまして誠にありがとうございます。
前期の第10期のこの分科会におきましては、文科省における研究、それから研究及び開発に関する評価指針を踏まえた研究開発計画課題の評価、それから研究開発プログラム評価の試行的実施などに関しまして、活発な御議論を頂いたと伺っております。
今回11期では、この研究開発課題の評価ですとか分野別研究開発プログラムの議論のみならず、この3月に第6期科学技術・イノベーション基本計画が政府全体の計画として閣議決定されておりますので、これを踏まえまして、各部会、分野別委員会において、所掌分野の推進・振興に向けて将来像を描いていただきまして、それを実現するために具体的な施策に関する本質的議論が進められるということを期待しているところでございます。
委員の皆様におかれましては、この議論に精力的に御審議いただきまして、我が国の科学技術・イノベーション政策の推進のために御助言を賜ればと思いますので、よろしくお願いいたします。
簡単でございますが、私からの挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

【岸本分科会長】 どうもありがとうございました。 それでは、私からも一言御挨拶させていただきたいと思いますが、前期で、いろいろな評価についても御議論があったということでありますが、局長からお話がありましたように、4月から科学技術・イノベーション基本計画が新たにスタートするということで、その中でもしっかり評価をしていく。ただ、評価のための評価ではなくて、しっかり科学技術計画が推進するための評価を進めていこうということで、評価についても新たな視点でやっていくということがうたわれております。
私たちのこの分科会においても、文科省で行われている様々なプロジェクトについて、きちんとした計画が立てられ、きちんとした成果が出るための評価の在り方についても議論していければと思っております。
評価をするというのは非常に難しいことだと思いますが、皆様とともに一緒に考えて、文科省としてのあるべき形の評価ができ、実際のプロジェクトがうまくいくように、その一助になればと思っておりますので、是非皆様とともにこの分科会を進めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議題の3、第11期研究計画・評価分科会における研究開発課題の評価についてに入ります。まず、事務局から説明をお願いいたします。

【佐野科学技術・学術戦略官】 それでは、私から説明をいたします。資料3-1、3-2を基に説明をいたします。
まず資料3-1でございます。こちらの資料につきましては、従来、期の最初、若しくは年度の最初に、課題評価というものについて、フォーマットや方法につきましてお示しをさせていただいて、その方法について御審議を頂いて、それに従って課題評価をしていただくというものでございます。
資料3-1につきましては、今、赤字の修正が入っておりますが、こちらにつきましては2年前に御審議を頂いている研究開発課題の評価とプログラム評価の実施についてという資料がございますので、そちらに見え消しの形でお示しさせていただいているものでございます。
内容でございますが、主な変更点につきまして御説明をいたします。
まず表題のところを見ていただきますと、「プログラム評価の実施」というところにつきまして少し消しております。
これは、前期の一番初めにつきましては、プログラム評価の実施ということも含めて、具体的な案がこの中に入っていたというところでございます。しかしながら今期は、課題の評価だけにつきまして、まずはこのペーパーにてまとめさせていただきたいとことで整理をしているところでございます。
この紙につきましては、文部科学省の評価指針に沿いまして、事前、中間、事後に行うとしております評価につきまして、別添様式1、別件様式2、ページで言うと20ページ辺りから、別添様式1、これが事前評価結果につきましてのフォーマットになります。それから別添様式2が、研究開発課題の中間評価結果のフォーマットとなってございます。それから、別添様式3ということで32ページのあたり、研究開発課題の事後評価結果のフォーマットとなってございます。
このようなフォーマットにつきまして御審議を頂いているというものでございます。今回、大きな変更点といたしまして、先ほど申しました課題評価というところが1つでございます。
それから、最初に戻りまして資料の1ページ目でございます。この本分科会の所掌する課題というところにつきまして、少し変更を入れてございます。
この分科会が対象とする課題といたしまして、下の方に赤字で修正を入れておりますが、従来は研究開発計画というもの、これは参考資料の方に入れておりますが、過去にこの分科会におきまして決定をいたしました計画がございます。
今日は詳しく御説明をする時間がございませんが、この計画といいますのが、中身を見ますと「第5期の科学技術基本計画の2章及び3章に関する研究開発課題に対応するもの」という記載となっているところでございまして、御承知のとおり、この4月から第6期の科学技術・イノベーション基本計画が開始されていることを踏まえまして、この研究開発計画ならず、ほかの第6期に即した課題についても対象とできるような形で修正を加えているというところが1点でございます。
それに伴いまして、先ほどの課題の表等につきまして、従来は研究開発計画のみに対応していた記載方法というのを、ほかの計画も読める形に修正を行っているというのが1点でございます。
2点目でございます。これはこの資料の3ページ目を御覧いただければと思います。
ここの3ポツのところ、評価の進め方というところがございます。ここで評価票の様式ということでお示しをさせていただいていて、先ほど少し御紹介をさせていただいた評価票に従って記載をしていただくという形を以前から取っているところでございます。今回、新しく令和4年度の新規課題のうち、要求額が10億円以上のものにつきまして、行政事業レビューで求められるロジックモデルというものを入れた形で説明をさせていただくということで、より分かりやすい形での説明をすることを考えているところでございます。
それから、資料3-2に行っていただければと思います。こちらにつきましては、この研究計画・評価分科会における審議の効率化について(案)でございまして、形式的には、技術的な修正を加えていただいているというものでございます。
内容といたしまして、記載しております評価結果(案)の事前送付というところを御覧いただければと思います。
この評価結果(案)の事前送付というところで、私どもの事務局で、この課題評価につきましては、遅くとも分科会開催の7日前までに先生方にお送りするということにさせていただきたいと考えてございます。お忙しいとは思いますが、是非事前にお目通しをいただいて、当日の説明の時間はなるべく短くした形にさせていただいて、より多くの内容のある議論をしていただきたいと思っているところでございます。
今回大きく変更になったところは以上の点でございます。

【岸本分科会長】 御説明ありがとうございました。
ただいまの御説明につきまして、御質問等ございますでしょうか。いかがでしょうか。
原澤委員、お願いいたします。

【原澤委員】 原澤です。今御説明のあった3ポツの評価の進め方のところのロジックモデルの関係なのですが、「令和4年度の新規課題のうち」と書いてあるのですが、実際にこのロジックモデルの情報を入れるのは、令和4年度の新規課題以降なのかどうか。
そうなってくると多分、事前評価ということになるかと思うのですが、事前評価の様式に、このロジックモデルの項目は付け加えるような形になるのでしょうか。それとも参考資料的になるのでしょうか。
あと、ロジックモデルはどなたがつくるという前提なのか、ちょっと細かな点ですが教えてください。
以上です。

【岸本分科会長】 ありがとうございます。事務局から御説明をお願いいたしたいと思います。

【佐野科学技術・学術戦略官】 ありがとうございます。まず対象でございますが、今回から対象とするものは事前評価のものと考えてございます。
別添様式1というのが研究開発課題の事前評価結果につきましてのフォーマットとなってございまして、この評価票の中に、観点につきましても、以前から評価指針に沿いまして、必要性、有効性、効率性を踏まえまして総合評価をしていただくという形でのフォーマットということで、従来行っているところでございます。
ロジックモデルにつきましては、これら説明をするところの中で、説明資料として一緒につけるということを想定しているものでございます。
こちらにつきましては、それぞれ従来この分科会で審議を頂く前に、本日、先ほど決定をしていただきました分野別の委員会というものがございます。こちらで議論をした上で、資料が上がってきたもので、こちらの分科会で審議・決定をしていただくという流れになってございまして、資料の作成につきましては委員会の事務局で作成をするということを想定しております。
以上でございます。

【岸本分科会長】 御説明ありがとうございました。
原澤委員、いかがでしょうか。

【原澤委員】 分かりました。ありがとうございます。

【岸本分科会長】 どうもありがとうございます。ほかはいかがでいらっしゃいますでしょうか。
よろしゅうございますでしょうか。それでは、特に御質問もこれ以上ないようですので、第11期の本分科会における研究開発課題の評価はこのとおりに行いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、次に議題の4に進みたいと思います。研究開発課題の評価についてに入ります。
本日は情報委員会の研究開発課題における中間評価2件、事後評価2件の計4件を審議いたします。情報委員会において取りまとめられた評価結果を資料4-1から4-5-2として配付しておりますので、これを基に御審議いただきます。
まず、本日評価を行う4件についての利害関係に関して確認いたします。それでは、事務局より確認をお願いいたします。

【久保企画評価課専門官】 資料3-1の4ポツ(1)のところに、利害関係者の範囲というものを記載しております。丸1から丸4まで挙げておりますが、こちらに該当となる方はいらっしゃらないでしょうか。
特によろしいですかね。では、利害関係者はいらっしゃらないということを確認いたしました。
以上でございます。

【岸本分科会長】 ありがとうございました。それでは、情報委員会から4件続けて御説明いただき、その後、質疑の時間を取りたいと思います。
説明の際は、研究開発課題の概要を簡潔に説明いただいた後、中間評価については、委員会において今回の総合評価に至った道筋について、事後評価については、委員会において今回の総合評価に至った道筋について、説明をお願いいたします。
なお、説明の際は、恐縮ですが1課題3分とするようにお願いいたします。
それでは、情報委員会から御説明をお願いしたいと思いますので、お願いいたします。

【安浦委員】 それでは、情報委員会におきまして実施した4事業の評価について、安浦から説明させていただきます。
まず、資料の4-1を御覧いただきたいのですが、情報委員会で関係しております様々なプロジェクトについてまとめたものでございます。2ページ目の、まずは3つの計算科学関係事業の中間評価及び事後評価で、これらはそれぞれ別事業ですが内容が密接に関連しておりますので、全体像を説明したいと思います。いずれも、文部科学省研究振興局に設置されておりますHPCI計画推進委員会で評価票を作成し、情報委員会で審議したものでございます。
資料4-1の2ページ目の線表の1つ目と2つ目が、スーパーコンピュータ「京」の運営の事後評価でございます。「京」の開発については事後評価が終了しておりますので、今回は平成24年度から令和元年度までの7年間、「京」の運用及び利用の促進、これを通じた成果の創出などについての評価を行っております。
2つ目は、この「京」を中核としつつ、国立大学や研究機関のスパコンを学術基盤ネットワーク「SINET」でつないで一体的に運用しております革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラストラクチャー、HPCIと呼んでおりますが、これの運営の中間評価でございます。「京」もHPCIの一部として運用されていますので、さきの「京」の運営の事後評価とも深く関連しております。
3つ目は、令和元年度に終了いたしました、ポスト「京」で重点的に取り組むべき社会的・科学的課題に関するアプリケーション開発・研究開発の事後評価でございます。「京」を活用してアプリケーション開発を行った事業ですのでこちらも「京」の運営の事後評価と関連しております。
これら事業の成果は、後継事業としてこの3月より共用を開始しましたフラッグシップコンピュータ「富岳」の開発、運用、あるいは「富岳」を活用した研究成果とつながっています。これら3つの事業について、情報委員会としては、全体として必要性・有効性・効率性の観点から審議して、高く評価しております。
各事業の評価について、主な点を御説明いたします。資料4-2-1が「京」の運営の事後評価票でございます。評価の概要は、事後評価票の18ページの総合評価にまとめております。
本事業は、我が国に初めて設置されました10ペタFLOPS超級の汎用スーパーコンピュータの安定的な運用及び中立・公正な利用促進と前例のない事業でございます。
平成23年6月及び11月には、世界のスーパーコンピュータランキング、毎年2回発表されますが、そのトップ500で1位を獲得しまして、その後、平成24年9月より共用が開始され、令和元年8月まで、革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラストラクチャー(HPCI)の中核として、他の計算資源と一体的に運用されてまいりました。
864個の筐体と、その中に8万2,944 CPUノードを有する、当時、世界でも類を見ない大規模スーパーコンピュータでございましたが、計算機科学に基づく技術的な裏づけ、運用の工夫、継続的な改善等を通じまして、運用期間を通じて極めて安定的・効率的に運用され、中立・公正な利用者選定や利用促進により、大学・国研等の研究者のみならず、産業界を含む広い利用者に活用されたスーパーコンピュータであったと言えます。
「京」の安定的かつ効率的な運用、高い汎用性を生かしまして、物質科学、気象、防災、生命科学、ものづくりなど、広範囲な分野において国際的にも評価の高い、「京」でなければ成し得なかった画期的な成果が多数創出されております。
「富岳」を活用した新型コロナウイルス対策研究が広く報道されております。「京」を活用してアプリケーションが開発されていたからこそ、緊急的に、正資金用前の「富岳」を利用して前倒しで早期に成果を上げることができました。これは計算機科学の視点からも高く評価できると考えております。
「京」の開発・運用を通じ、人材育成、産業連携、国際連携等が進んでおります。また、「京」を活用したアプリケーション開発・利用により、各研究分野において画期的な研究成果が創出されるとともに、計算機科学分野の人材が育成されております。
時の経過とともに「京」を上回るスーパーコンピュータが世界各国で生まれたものの、計算科学の研究開発の推進、異なる分野の連携や産学連携の推進に当たり、中心的な役割を継続的に果たしたと考えます。これらにより、「京」が計算科学及び計算機科学全体の発展に果たした役割は大きいと評価しました。
今後につきましては、「京」のノウハウを「富岳」にも生かすべきこと、引き続きHPCI全体として緊密に連携すべきこと、「富岳」での検証が更に次世代基盤の検討に生かされることを期待します。
続いて、資料の4-3-1を御覧ください。こちらはHPCI運営の中間評価票でございます。
評価の概要は、この評価票の14ページの今後の研究開発の方向性にまとめております。
本事業は、「京」及びその後継の「富岳」を中核としまして、国立大学、国立研究開発法人のスーパーコンピュータやストレージを高速ネットワークSINETでつなぎ、シームレスな計算環境を構築するものでございます。平成24年度から開始した事業で、今回は2回目の中間評価となります。
システムは継続して安定的に運営されており、各構成機関による計算機の追加や更新により、計算資源の多様性、あるいは計算力の総量も拡大を続け、利用が増えております。
HPCIにより、我が国全体で研究ニーズと計算資源のマッチングが可能となったことで、基礎研究から産業応用まで幅広い分野で多くの優れた成果が上げられております。
「京」から「富岳」への端境期は、約1年半ございましたが、その他の機関の「京」以外の計算機が計算資源を補填したことで、我が国全体としては計算科学の研究の継続性が担保されたこと、新型コロナウイルス感染対策に対する課題を臨時公募するなど、柔軟性も持った運営がなされたことも高く評価した理由でございます。これらにより、引き続き我が国の科学技術・学術の発展を支えるインフラとして継続すべき事業と評価しております。
今後については、HPCIの利用による優れた成果の創出が続けられるよう、計算科学技術を担う人材の育成、異分野間の連携、産業界における利用者の一層の拡大を期待しております。
続いて、資料4-4-1を御覧ください。ポスト「京」で重点的に取り組むべき社会的・科学的課題に関するアプリケーション開発・研究開発の事後評価票でございます。この評価票の概要は18ページの総合評価にまとめられております。
本事業も、ポスト「京」、現在の「富岳」、において重点的に取り組むべき社会的・科学的課題の解決に必要なアプリケーションプログラムをシステムと協調して開発することを目的として、平成26年度から令和元年度まで実施されたものでございます。
Society 5.0社会の実現、基礎科学の進展等のために、実社会で得ることが不可能な、あるいは現実的に取得困難なデータを得ることができるシミュレーションを行うことができ、「富岳」に代表される最先端スーパーコンピュータとその性能を最大限に引き出すアプリケーションの必要性がますます高まっています。この9つのターゲット・アプリケーションの開発では、「富岳」においては目標とした性能倍率を超えた性能が達成できたものでございます。これにより国際的にも極めて高い評価が得られており、「富岳」にも「京」の経験が受け継がれているということでございます。
今後につきましては、本事業の成果に引き続き、「富岳」を活用した成果の継続的な創出や社会実装が進み、「富岳」の成果を国民がいち早く実感できるようにすること。今後の我が国の計算基盤について、「京」や「富岳」の開発で培われた技術や経験が継承できる人材育成や体制の構築を期待しております。
以上3つが、計算科学関係事業の評価票についての説明でございます。
4番目も続けてよろしいですか。

【久保企画評価課専門官】 はい、お願いします。

【安浦委員】 最後、これはSociety 5.0実現化研究拠点支援事業の中間評価でございます。本事業は開始当初から進捗をフォローしていただき、指導・助言を行っていただいておりますSociety 5.0実現化研究拠点支援事業推進委員会が作成した評価票を原案として、情報委員会で審議を行ったものでございます。
この事業は毎年最大7億円を補助しているもので、大阪大学のライフデザイン・イノベーション研究拠点が採択され、取組が進行中でございます。
この拠点では、人々の心や身体の健康の増進、安全で快適な居住環境、学生の学びの3つのカテゴリにおいて様々な生活関連データ等により社会課題を解決し、Society 5.0の姿を見せるような実証実験を行っております。
たまたま新型コロナ感染の問題で、昨年1年間、難しい状況でございましたが、大阪大学としては学生の学びの環境変化に合わせてターゲットを少し変えたりして、社会情勢の変化に合わせながら柔軟に事業を進めておられます。
大学は収集した高品質な研究データを、データ提供者の再同意を得ることで民間も含めて2次利用することにより、新たなイノベーションを起こすことを目指しております。
また、新しいデータ流通の仕組みの構築についても順調に進められておりまして、この4月から実運用に入る段階にまで至っております。こういうことで、産学官の多くの機関と連携した事業として、高い評価を行っているということでございます。
この事業は、その結果は「継続」と判定させていただいております。情報分野は非常に変化が速いという特性を有しておりまして、今後も社会情勢や技術変革を踏まえ、柔軟に事業を遂行すること等を今後の期待として評価票を作成しました。

【岸本分科会長】 よろしいでしょうか。ちょっと通信の関係で時間遅れがございましたが、安浦先生、ありがとうございます。4件続けてということで、本当に時間のない中、御説明いただきましてありがとうございます。
情報委員会で評価いただいたものの御説明ということになりますが、皆様から何か御質問、御意見ございますでしょうか。
4つの内容について、中間評価、事後評価を情報委員会でしっかりやってくださったという御報告とともに、内容そのものについても、しっかりプロジェクトが動いてきたというふうなこと。中間評価については、いずれも継続がふさわしいのではないかとまとめていただいていると思いますが、いかがでしょうか。
どうぞ、林委員でしょうか。お願いいたします。

【林委員】 林でございます。安浦先生、評価委員会というよりも、情報担当の文科省の方に質問するという形になるかと思うのですが、安浦先生のところの情報委員会でまとめられたように、スパコンを使える人材の育成というのが課題であるという認識をお示しされていました。
スパコンの人材育成に関して、例えばJSTの人材コンソーシアム事業等で補助金を得てやっていたと思うのですが、そこも当然時限なので、スパコンの人材育成が今後どういう形で進んでいくという、文科省としての事業、あるいは施策としてどうやって進めていくつもりなのか。正に安浦先生のところの情報委員会が御指摘したような人材の課題をどう進めていくように考えていらっしゃるのかということについて、文科省から御説明が是非いただければと思います。
以上です。

【情報委員会事務局】 よろしいでしょうか。計算科学技術推進室長の宅間と申します。ただいま御質問いただきました人材育成に関しまして、当方の事業におきましては、例えばスパコンの利用促進という観点で各種講習会ですとか、そうしたもので人材の育成をさせていただいているということと、あと、例えば「京」の利用枠などでも、若手研究者のための枠を用意することで、そうした人材に積極的に使っていただくような工夫ですとか、又は理化学研究所計算科学研究センターを中心といたしまして、例えば大学院生等のインターンシップなどもすることによって人材育成をしているところでございます。
また、アプリケーションの開発という中でも、それを通じて人材が育成されるところかと思いますので、私どもとしては、計算科学の振興を進めることによって、それを通じて人材が育成されるということを併せてしていきたいと考えております。
お答えとして、以上でございます。

【林委員】 ありがとうございました。今おっしゃったように、「富岳」等の開発とかの中で、ちゃんと人材育成のところまで踏まえて事業を進めていっていただければと思います。ありがとうございます。

【安浦委員】 安浦から一言よろしいですか。林先生の御指摘は非常に重要なポイントで、委員会等でも極めて重要な問題として考えております。
人材育成というのは2つ大きな柱がありまして、1つは各分野でスーパーコンピュータを使って計算科学を進めることができる人材を育てる話と、それから、次世代のスーパーコンピュータなり新しい計算基盤をつくれる人間を育てる人材育成でございます。
特に問題として考えておりますのは、各分野における計算科学の必要性は叫ばれておりますが、このスーパーコンピュータにもアプリケーションの事業がございましたが、これの後継の事業につけられる予算が漸減していっているという現状がございまして、そういうことになりますと、若手の方が安定したポジションを得ることができないということで、そういう問題も含めて、プロジェクトが走るということ自身が人材育成につながるという、その視点も忘れないようにしていく必要があると考えております。

【岸本分科会長】 ありがとうございます。ほかに意見はございますでしょうか。
それでは、この報告書の内容につきましては、特に文言の修正だとか、内容の修正について御意見がなかったと思いますが、このとおり、中間評価案2件、事後評価案2件について、本分科会として決定したいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【岸本分科会長】 ありがとうございました。それでは、分科会として評価案を決定いたします。

【安浦委員】 ありがとうございます。

【岸本分科会長】 ありがとうございました。
それでは次に、議題5の研究開発プログラム評価についてに入ります。
事務局から御説明をお願いいたします。

【佐野科学技術・学術戦略官】 それでは、資料5につきまして御説明をいたします。
まず、この資料の位置づけにつきまして、少し説明をいたします。この資料につきましては、前期であります第10期の分科会で行われました研究開発プログラム評価につきまして、10期の分科会としてまとめられたという位置づけのものでございます。
この研究開発プログラム評価というものの概念でございますが、実は科学技術基本計画の第4期のところでその概念が示されているところでございまして、従来、基本計画ができたところで、それを受けて大綱的指針が改定をされるということが行われておりまして、その流れで、各省の評価指針、つまり文部科学省の指針についても改定をしてきたという流れになってございます。その流れで、現在の文部科学省の研究及び開発に関する評価指針につきましても、プログラム評価につきまして現在でも記載があるという状況でございます。
このような状況がある中で、この研究計画・評価分科会につきましては、プログラム評価の議論が今まで行われていたという状況でございまして、この資料の真ん中辺りを見ていただきたい、コメ印の辺りでございます。
ここに書かれているものでございますが、実は第9期のことを少し書いているという状況でございまして、第9期の最終回の議論でございまして、先ほどちょっと御説明しました研究開発計画という、この分科会で過去に作成いたしました計画の中で、その大目標のために必要な中目標という単位がございまして、この単位で研究開発課題等の取組全体を束ねたものを研究開発プログラムと言っており、第10期、つまり前期の2年間に試行的に実施をするという形で、第10期に引き継がれたという状況がございます。
これを踏まえまして、この1ポツのところ、分科会の議論の経緯と書かれているところでございますが、この引継ぎを踏まえて、初回の分科会において、このプログラム評価について実際にやってみましょうということで取り組んだというようなことございます。
昨年の7月に、この決定に基づいて、各分野別の委員会等においていろいろな報告がされているところでございますが、非常にプログラム評価というものについての評価作業が困難だったというような意見が多く示されたという状況は、分科会に報告をされたところでございます。
その回におきまして、その状況を踏まえて、また、更にプログラム評価の新たな仕組みということで提案がなされまして、分科会で議論がされた結果、その仕組みについて各分野別の委員会から御意見を頂くということになりまして、この資料の日付である2月3日、前期の一番最後の分科会の日でございますが、その状況が分科会に報告をされたということがございました。
この報告の内容というのが、この資料の、資料番号が同じ資料5となっていて区別がつきにくくて大変申し訳ございませんが、薄く資料2-1と、薄く資料2-2という形で書かれているところで、この資料をもちまして、各分科会の検討状況が報告されてまとめられたというものでございます。
この報告を171ページ目のところを見ていただくと、大きくまとめると、当時、視点が2つ提示されていたところでございます。1つが分野別の戦略・計画を策定してはどうかというところ、それから視点2ということで、EBPMベースとなるエビデンスと分野別戦略・計画及びプログラムの関係ということについても御議論を頂いたところでございますが、どちらについても引き続きの議論が必要ではないかということについて、大まかにまとめると報告がされたという状況がございます。
この状況を踏まえまして、169ページの2ポツのところ、第10期の議論のまとめというところで、当時の分科会の先生方のお考えとして、事務局がお手伝いをさせていただいてまとめたものということで、以下のとおりとすることが適当と考えるということでございまして、169ページ目の下の丸2つでございます。
1つ目のところが、分野別委員会等の御議論について、様々なものであったということで、分科会においても更に状況を認識し、引き続きの議論が必要ということ。それから2つ目で、新たな仕組みとして分野別に議論することは重要であると認識をされたものの、分野を超えた研究課題、それから個別分野に閉じ籠もった研究開発にならないためにどうすべきかということについて、分科会として引き続きの議論が必要というようなことが共有されたところでございます。
次のページでございます。ちょうど真ん中から下の辺りでございますが、「第10期としては」という段落のところで、これまでの検討状況を踏まえまして、分野別プログラムの在り方、その内容については、分科会開始当時より基本計画、それから通常であれば基本計画に基づいて大綱的指針が改定されるという状況がありますので、そういうことを踏まえまして、引き続きの検討、議論が適当と書かれていて、その下のところ、これは全体的な、上のCSTIの議論ということで、大綱的指針についての当時の活動の状況が書かれているものでございます。
前期の分科会が2月3日に開催をされているところでございますが、この分科会の開催後、これは公開されている状況でございますが、CSTIの動きといたしまして、評価専門調査会というものが2月26日に開催されているということがございまして、CSTIが実施すべき評価の仕組み等々について議論が行われていたという状況でございます。その中では第6期の基本計画のフォローアップについても議論が始まっているという現状が、この分科会開催後に行われているということがございます。
そういうことを踏まえまして、前期の引継ぎということで、プログラム評価につきまして議論を続けていくということがあるところでございまして、我々事務局といたしましては、まだCSTIでいろいろ議論がされているという状況でございますので、まず、そちらの状況を見ながら、本分科会において議論を深めていく。まずCSTIの状況を見ていくということが重要ではないかと思っているところでございます。
説明は以上でございます。

【岸本分科会長】 御説明ありがとうございました。第10期における議論の、特に研究開発プログラム評価についてのまとめでございます。
今期どういう形で検討していくかにつきましては、次の議題のところで皆様の御意見を伺いたいと思いますが、まずこの10期のまとめにつきまして、内容の確認ですとか、10期に委員をされていた皆さんもいらっしゃるので、コメントを頂くとかいうことで、この内容について御質問、御意見があればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
原澤委員、お手が挙がっているということでよろしいでしょうか。お願いいたします。

【原澤委員】 原澤です。今御説明のあった点で幾つか質問なのですが、最初のページ、169ページ目に、いわゆるプログラム評価の試行等をやったけれども非常に大変だったというお話をされて、後ろの各委員会の報告を見ると、必ずしも大変だったということは書いてはいなくて、むしろ継続的に審議が必要だというような表現が多かったと思うのですが、具体的にプログラムの試行でどんな点が大変だったかというのを教えていただければと思います。
2点目は、後ろの表、179ページ目の表ですが、同じく資料5と書いてありますが、検討状況のところで、委員会でやった場合と事務局でやった場合を分けて書いていらっしゃるのですが、そういう意味では、委員会と事務局のやり方の差みたいなものはないのかどうか、そのやり方がどうだったかというのを確認させてください。
以上2点、質問です。

【岸本分科会長】 ありがとうございます。
事務局から御説明をお願いできますでしょうか。

【佐野科学技術・学術戦略官】 ありがとうございます。少し私の説明がはしょって、分かりにくい説明をしてしまったようで申し訳ございません。
御説明の中で、実は行ったことというのが2段階ということになってございます。まず、期の当初におきましては、ここに書いてある試行的なプログラムの評価というものにつきましては、この研究開発計画という、参考資料を見ていただければと思うのですが、参考資料4にお配りしております研究開発計画というものがございます。
これの目次を見ていただければと思うのですが、目次のところで、先ほど少し説明の中で触れさせていただきました大目標という、例えば第1章というところを見ると大目標というところがございまして、大目標のために必要な中目標というものが、情報科学技術分野、それからナノテクノロジー・材料分野、量子科学技術分野というふうな形で分けられているというのが、この研究開発計画のつくりになってございます。
期の当初にこの分科会で決めて、フォーマットも当時出ているというものでございますが、この研究開発分野ごとにかなり細いフォーマットを決めまして、それでフォローアップしよう、プログラム評価をしようという試行をやったのが、この期の当初となってございます。
その結果として、それ自身は、今回の資料には入れていないのですが、かなり大変だったというような報告がなされたというのが昨年7月の段階でございます。
そういう状況を踏まえまして、この形でのプログラム評価というのは事務負担が非常に大きいというような議論になりまして、当時の議論といたしまして、今回の資料として全部お配りしていなくて大変申し訳ないのですが、多分一番分かりやすい資料が、資料5の「各分野別委員会等による検討状況」という事務局名の資料でございます。
この資料の中で、視点というやり方というのはかなり無理があるのではないかというようなことで、少し違う提案をその時にさせていただいたというものでございまして、それが、研究開発計画という1つの大きな計画ではなくて、分野別戦略計画という、それぞれの分野別につくっていただくというような形の方がよろしいのではないかということと、それから戦略計画というものについて、更にそのプログラムというものについて、EBPMのベースとなるエビデンスを入れていただくような形で進めていただいてはどうかというような議論がここでなされて、それを各分野別の委員会で御議論いただいてフィードバックを頂いたというのが、この薄い資料2-1、それから資料2-2というものでございます。
そして、先ほど2つ目の質問の中で、委員会と事務局の違いでございますが、これはそれぞれの分野別の委員会で、委員会を開くタイミングとか議論が進んでいるタイミングというものがありまして、期が終わっていくという中で、私ども、分科会の先生方に1つまとめとして報告することが必要かなということで、当時のその時点での議論が進んでいる状況をとりまとめて報告を頂いたものでございまして、これについては、委員会で議論されたものは委員会で、事務局のみで議論されているものは事務局でということが分かる形で、報告の形をそろえたというものでございます。
以上でございます。

【岸本分科会長】 御説明ありがとうございました。
原澤委員、よろしいでしょうか。

【原澤委員】 はい、ありがとうございます。大変だったという中身が分かれば、次を検討する際の非常に大きなヒントになるかなということでお聞きした次第です。どうもありがとうございました。

【岸本分科会長】 どうもありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。
それでは、ディスカッションについては次の議題のところでさせていただきたいと思いますので、第10期における議論については以上のとおりということで、皆さんと情報共有したということでございます。
それでは次に、議題6の科学技術・学術審議会での議論についてに入ります。御説明をよろしくお願いいたします。

【佐野科学技術・学術戦略官】 ありがとうございます。第11期の総会につきまして御説明をさせていただきます。
第11期の科学技術・学術審議会の総会でございますが、3月18日に開催をされているという状況でございます。本日、御出席を頂いております濵口委員が会長に選任されております。
その中で幾つかの議論がされているところでございますが、この中で今期の審議事項についても議題となったという状況がございます。今期の審議事項ということで、その際に使われた資料がこの資料6-1でございまして、これとともに、参考資料として概要を配付しております第6期の科学技術・イノベーション基本計画、これは概要のみということでポンチ絵1枚、本日の資料に入れております。
それから、NISTEPから出されました新型コロナウイルスの感染症等に関する日本の科学技術への影響と科学者・技術者への貢献に関するアンケート調査の結果、それから、約10年前でございますが、東日本大震災を踏まえた今後の科学技術・学術政策の在り方につきましての建議などについて説明がされた上で、総会では自由討議がされたというようなことがございました。
資料6-1に少し書かせていただいてございますが、本年4月1日から施行されております科学技術・イノベーション基本法というものつきましては、この中に人文・社会科学も含まれることとか、従来「科学技術基本計画」と言っていたものにつきまして、「科学技術・イノベーション基本計画」という形で「イノベーション」も含まれることになったという、少し今までと違う状況が生じているということ。それから、この基本計画の中には、この資料に少し記載をさせていただいておりますが、自然科学の知、人文・社会科学の知の融合である総合知というような言葉が出てきているということでございまして、このポストコロナ禍の中で、科学技術・イノベーション政策の在り方についての留意が必要ということで、濵口会長から、この科学技術・学術審議会において、今期どのようなことを報告、議論いただくのかということを分科会・部会・委員会で検討いただいて、次の総会で報告を頂きたいという発言を頂いたという状況でございます。
これを踏まえまして、それぞれの分科会・部会・委員会で並行して議論が行われている状況かと思っているところですが、本分科会におきましても、先ほど設置を決めていただいた部会・委員会におきましても議論を進めるというようなことをしてはどうかということを考えて、フォーマットを御提示させていただいているところでございます。
資料6-3がフォーマットの案とでございまして、それぞれの分科会の下の部会・委員会におきまして、この活動につきまして、例えばですが、いろいろ御議論を頂いて、例えば記載例ということで、この基本計画に資するものとして位置づけを御議論いただいたり、どういうふうに推進していくのかとか、新しい基本計画が始まっているからということを念頭に置きながら、どういうことを御議論いただくのかについて御議論を頂きまして、それをまた分科会で議論を進めるということにしてはどうかということで、御提案させていただいているところでございます。
それからフォーマットで、真ん中より下のところに書かせていただいているところでございますが、分科会の下の委員会で、どちらかというと個別の事項になるかと思うのですが、先ほどのプログラム評価でも少しありました共通的な思考というものが必要とされるようなこともあるのかなと思ってございまして、個別の分野ではなくて、分科会で共通なものとして議論するというようなものがもしあるのであれば、それについても少し御提示を頂くということでどうかということで、フォーマットをつくらせていただいております。
それで、資料6-2でございますが、こちらにつきまして、1つの案としての今後の流れについて御提示をさせていただいているところでございます。
まず本日でございますが、この研究計画・評価分科会の初回ということで、先ほどプログラム評価の御説明をさせていただいたとか、非常に簡単で恐縮でございますが、科学技術・学術審議会総会での議論につきまして説明をさせていただいたというところでございます。
その後、この計評の下にある分野別の委員会等でこの議論について共有していただきながら、この総会、分科会の議論を踏まえまして、それぞれの分野別委員会等の活動、それから共通的に議論するべき内容がもしあれば御議論いただいて分科会に報告を頂き、通常であれば夏に、事前評価の関係でこの分科会を開くというのが通例でございますので、その辺りに再度議論を頂くと。それから、その後に開かれるであろう総会への報告というものについて議論をしていただくというような流れでどうかという形で御提案をさせていただいております。
その後の分科会の開催状況等につきましては、また状況を見ながら御相談をさせていただきたいと思っているところでございます。
雑ぱくではございますが、以上でございます。

【岸本分科会長】 御説明ありがとうございました。
この議題ですが、この分科会として今期どんな形で取り組むかということが含まれておりますので、御質問もございますでしょうし、御意見もございますと思いますので、まず皆様から自由に御発言いただきたいと思います。御意見、御質問のある方はお手を挙げていただければと思います。ある程度頂いたところで、事務局からの回答があれば回答いただくという形で進めてまいりたいと思いますので、まずは皆さんからの御発言をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
では、濵口先生からまずお願いいたします。

【濵口委員】 濵口です。今期、実は一番大きな、また難しい課題が、科学技術基本計画が科学技術・イノベーション基本計画になって、「イノベーション」というキーワードが入っていることと、それから「人文・社会科学を除く」を除いて、そこに新しく「総合知」というキーワードが入ったわけです。
この総合知という概念が、これからしっかり具体的に、研究計画・評価のプロセスまでどれぐらい具体化できるかというのはかなり難しい問題だと思います。相当困難を感じております。
私も長いこと大学におりましたので、「文理融合」というキーワードは20年以上前からあるのを知っているのですが、なかなか、典型的なその融合型の研究がしにくいということと、一方で、SDGs等を乗ってみますと、課題解決型の研究、複合的な分野が融合して1つの課題を解決するという研究スタイルがかなり今、広がっておりまして、EUのホライズン・ヨーロッパが今期から始まりますが、10兆円規模の大きなプログラムをEUが動かしておりますが、そのほぼ半分、5兆円規模で、社会課題の解決というのを掲げております。
アメリカのNSFも「コンバージェンス」という概念を2年ほど前から主張しておられて、前のコルドバ長官が提案されて、パークス長官も今、それを引き継いでおりますが、社会課題を、産業界も含めて複数の多様なバックグラウンドの方々がディスカッションして、研究をして、それを実際に社会へ実装していくということ進めるという話になっていまして、全体として世界のトレンドになりつつあると思うのですが、文理融合的な研究をきちっとやって社会課題を解決すると。
ただ、これをどう具体化し、どう評価していくかというのは、相当実験的な作業になってくると思いますので、御議論をしっかり頂きたいなと勝手に思っている次第であります。よろしくお願いします。

【岸本分科会長】 ありがとうございます。
それでは、続けてまず御意見を伺うということで、李家先生、お願いいたします。

【李家委員】 李家でございます。航空科学技術委員会を担当させていただいております。
先ほど御説明がありました、議題5のところで話が出ていたものだと思いますが、第10期の議論のまとめのところで、どうやって今後議論していくかという中に、「分野を超えた研究開発課題への対応や」といった文言がありましたが、そういった第10期で指摘されたようなことは、今の議題6の各分野別委員会に与えられているフォーマット、そこでまた議論して書くようなものなのでしょうか。それとも、前の議題は全部もうクリアされて、新たに分野別委員会の中で議論するというものなのでしょうか。その辺のことが分からなかったので、教えていただきたいです。
以上です。

【岸本分科会長】 ありがとうございます。
その点について、いかがでしょうか。事務局からお答えいただけますでしょうか。

【佐野科学技術・学術戦略官】 ありがとうございます。今の御質問の点につきましては、第11期ということで、今回メンバーも、御参加している先生方も代わってきているところでございますので、新たに新しいメンバーも含めて御議論を頂きまして、今回のフォーマットの中で御議論、御提案をいただければと思っているところでございます。
以上です。

【岸本分科会長】 ありがとうございます。よろしゅうございますでしょうか。

【李家委員】 はい、分かりました。ありがとうございました。

【岸本分科会長】 それでは、続いて明和先生、お願いいたします。

【明和委員】 明和です。よろしくお願いいたします。今期からですので、いろいろ理解していないところがあると思うのですが、175ページのところで、ライフサイエンス委員会の検討結果の最後のところに、この委員会では「健康・医療分野にとどまらず、ライフサイエンス全般に係る議論が幅広く行われるよう、留意いただきたい」とあるのですが、私は全くここは大事だと思っておりまして、先ほど濵口先生がおっしゃいましたように、やはり日本は少子高齢化が進むという中で、そういったものを科学の知としてどんなふうに解決していくかということを、しっかりとライフサイエンスに位置づけて取り組むということが、今後一層求められるかと思います。
こういったことが第11期でしっかりと位置づけられればいいなと思っているのですが、具体的に第10期で、じゃあ、どんな分野を更に広げていくことがいいのかというふうな、何かキーワードとか議論というもの、そういった資料はございますでしょうか。

【岸本分科会長】 よろしいでしょうか、事務局。

【佐野科学技術・学術戦略官】 すみません、御質問を少し確認させていただきたいのですが、今の御質問につきましては、過去の第10期において、この分科会においてどのような形で議論がされたのかということについて、情報がもう少し欲しいということでよろしゅうございますでしょうか。

【明和委員】 これまでの先生方の知もしっかりと引き継ぎながら、新しい取組というもの、総合知というものを生かした取組というものを目指したいと思っております。
今、前の先生が御質問されましたが、前期までの議論がどのぐらい生かされるべきかという御提案についてお話がありましたが、それについては第11期から新たにやればいいよというふうな御回答を頂いたので、それもありかなと思ったのですが、前回の議論も、何か得る情報があれば有り難いなと思った次第です。

【佐野科学技術・学術戦略官】 ありがとうございます。私の御説明が少し正確でなかったようなのですが、前期からの引継ぎは引継ぎとして、認識をまず頂くと。それを踏まえた上で、必要があれば前も振り返りながら、それから現状を含みながら御議論いただいて、どういう形がいいのか御議論いただくということがよろしいのかなというふうに考えているところでございます。
過去の議論、本日御提示をさせていただいたのは、プログラム評価に関しては過去にしっかりと議論を、私も事務局としてもまとめさせていただいたところでございまして、これは引継事項ということで御説明をさせていただいたという状況でございます。
ほかに過去の議論ということになりますと、若干細かくて大変申し訳ないのですが、議事録等をそれぞれの委員会ごとに、それからそれぞれの回ごとに作っていると。それから公表しているという状況でございまして、それをきっちりまとめているというところまでは、大変申し訳ございませんができていないという状況でございます。

【岸本分科会長】 よろしゅうございますでしょうか。ありがとうございます。
それでは、続いて高梨千賀子委員、その後、安浦先生の順番でお願いいたします。

【高梨(千)委員】 (1分30秒ほど音声不良)……あるわけです。そうなってくると、どうやってこの総合知というのをつくり出していくかというと、やはり知識を、まずどこにあるのかという探索を行うというのと、そこで物すごい探索を行うときにコストがかかってしまうと、もう探すだけでやれやれという感じになってしまって、結合は起こらなくなってしまうというのが一つ懸念であります。ですので、どこにどういうふうな知識が存在して、それをやりたいと思っている、いわゆる、あるものを解決したいと思っている人たちが利用できるようにしておくことが必要なのかなと思いました。
それで、我々の分科会がやることというと、1つは評価ということになると思うのですが、こういった知の共有みたいなものの取組というか、そういうものを評価するという在り方はあるのかなと思いました。
以上でございます。ありがとうございました。

【岸本分科会長】 ありがとうございます。
それでは安浦先生、お願いいたします。

【安浦委員】 少し視点が変わるかもしれませんが、今回のコロナ禍を1年間、我々は経験して、まだ収まる方向も見えないわけですが、社会のベースの在り方が大きく変わったということを認識したわけです。この会議自身がこうやって、集まらずに行われているということもありますし、大学におられる先生方は遠隔講義を経験されたわけですし、今年からはGIGAスクールで小中学生も端末は持てる状況になっているので、工夫すれば小学校や中学校の教育まで全部変わっていくわけです。
あるいはSociety5.0という表題も、実は情報の技術だけでできるものではなくて、全て社会のルールも変えながら、それぞれの分野の知識をうまく融合して、よりよい社会をつくっていくということです。コロナ禍は本当にある意味で、災害ではあるのですが、目に見えてそれを克服するための社会変革を我々はできるということも体験してきている、その状況下に、この10期から11期の転換というのはあっているので、これをうまく生かしたような新しい提案とか、あるいはそれぞれの専門分野での、今までにない問題を異分野も含めた今のテクノロジーでどういう風に解決できるのかを考える良いタイミングだと思います。高梨先生のおっしゃったように状況が本質的に変わっておりますので、それをどこまで活かすかというような問題意識を持って、各分野の戦略や評価を変えていくある意味でいいチャンスであると思います。Soriety5.0の活動というものをもう一度考え直し、科学技術で社会が変わると同時に制度や規則も作り直すことを意識した新しい社会の仕組みの在り方、その中で人々の生活の在り方を考え直すことも必要だと思います。
以上です。

【岸本分科会長】 ありがとうございました。
それでは続いて林先生、お願いできますでしょうか。

【林委員】 プログラム評価のお話からですが、まず、前期も私は出ていましたので、まず私の理解しているところは、文科省では分野単位をプログラムと呼んでいる。さっき御説明があったように、ナノテクノロジー・材料であるとかライフサイエンスであるとか、そういう単位をプログラムと呼んで、これまでやってきた。
ただ、前期の試行で分かったことは、ペーパーワークを課されても、そんなものは無意味であって、やっても意味がないということが分かったということが1点だと思います。
それから、プログラムの概念が、前期まとめたペーパーを見ても、「分野別の戦略」と「プログラム」というのが併置されているのですが、プログラムというのは事業の固まりみたいなものなので、何かそれが独立の文章であるかのように書いてあるのもちょっと変なので、なかなかまだプログラムという考え方も、委員の中でまとまっていないのだというふうに、私は理解しています。
その上で、今期どういうことを考えるのが必要かなと思っているのですが、恐らく昔、何年か前に分野をプログラムと呼んで研究開発戦略というのをつくったことは、内閣府の中に、さっきの健康・福祉何とか室であるとか、ナノの室であるとか、そういうのがなくて、内閣府が分野戦略をつくるというような状況はなかったと思うのです。
ただ、今は、まずそういう分野別の戦略も内閣府が持っていて、さらに、ちょっと難しいのは、先ほどから議論が出ているように、科学技術・イノベーション基本計画が、逆にそのライフとかナノとかそういう話はなくなって、かなりトランスフォーマティブなというか、社会変革に関わるような、分野横断的な社会課題にかなり重点が置かれて書かれているという状況があると思います。
そうすると、もし今までどおりこの分野別の委員会をやるのであれば、内閣府でつくっている政府全体の分野別戦略と、新しくなった科学技術・イノベーション基本計画、そこは分野を横断する社会課題が書いてありますが、その両方を見ながら、文科省の分野別の委員会として何をするのか、何をすべきであるのかということの計画を立てる。それこそがきっとプログラムなのだと思います。
岸本分科長は内閣府の委員会もやっていらっしゃいますが、恐らく内閣府では基本計画のモニタリングとかをしていく。要は計画がどう実現されているかを見ていくわけですが、そうすると文科省としてはどういうことをやり、どういう形で国の計画に対して実績を出してきたのか、貢献してきたのかということを説明しなければいけなくなってきますので、そういう意味でも、文科省の委員会は計画を立てるとともに、どういうふうな実績を上げてきたのかというのを自ら把握するというのが、まず1点、プログラムの評価とか計画として必要なことなのだと思います。
もう1点は、一方で、文科省の中でも、例えば先ほどのHPCIで人材育成が必要だと言っても、じゃあどういう分野のスパコンを使う人材が必要で、どのくらいの人数が必要かとか、やっぱりそういうエビデンスって全然なくて、でも人材は必要だねと、何となくぼんやりと今議論していると。
そういうところについて、今やっている文科省の施策事業が、どういう具体的な目標があって、どう有効であるのかないのかという議論は、文科省の中での議論として、エビデンスを使ってもっとあってしかるべきであって、恐らくプログラム評価のもう一個の側面は、今まで以上にエビデンスをちゃんと収集して、文科省がやっている施策の効果を示していくということなのだと思います。
もちろん、それを事務局がやるというのはもうオーバーワークなので、そういうところも外部の知恵を借りながら、いろいろと調査等をしながらきっと取り組んでいくということになるのだと思うのですが、そういうエビデンスに基づく施策の効果把握と、そして内閣府等の計画に対して文科省の計画をどう位置づけるかという、その両面を議論していける体制を何年かかけてつくっていくということが課題なのかなと、私は理解しているところでございます。
以上になります。

【岸本分科会長】 ありがとうございます。ほかに御意見ございますでしょうか。
資料6に関して、事務局の案といたしましては、審議会での課題という検討事項、このことを踏まえて、まずはこれから立てました委員会に、それぞれの活動について考えていただき、8月頃にそれを持ち寄って、また議論するということになっているかと思いますが、その中で、まず分科会から部会・委員会でどういう議論をしていただくかという、このペーパーについて記載事項が書いてあるのですが、今までの御意見を伺うと、課題としては難しいかもしれないですが、総合知との関係だとか、あるいは科学技術・イノベーション基本計画の中で書かれていることに対することと、もう1つは、それとは独自にやらなければいけないことは何なのかということを分けて聞いていくというのも1つあるかなと思います。
全てについて答えを求めるというよりは、そういう観点で考えていただいたものを持ち寄るというのが、進め方の1つだと私は理解しました。また、もう1つは、林先生からもお話がありました、文科省としてどういう評価にこれからしていくのか。それを、どういう形でこの部会・委員会・分科会として検討していけばいいのかについて、8月の後でもいいのかもしれませんが、事務局とも相談して準備していくというのが必要かなと思いました。
特に研究開発プログラム評価に新たな仕組みの検討ということになりますと、この分科会が開かれるのもそう数が多くないとすれば、何かそれに対しての枠組み、委員会をつくるなり、ワーキングをつくるなりして、比較的少人数の方にお願いするというのも一つあるかもしれません。特に総合知からの検討という、濵口先生もおっしゃった非常に難しい課題がある中で、いろいろな考え方を議論する場が必要かなと思いましたので、その辺りは事務局とも相談して進めたいと思いますが、いかがでしょうか。
ほかに御意見いかがでしょうか。
それでは、今期は今日からスタートということですので、いろいろな難しい課題がありますが皆さんと考えて、成果を出すという形に持っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
それでは、もし御意見、今日を踏まえてお考えいただいて、メモでも結構ですので、是非事務局に、こんなポイントがあるぞとか、こんなふうに進めたらいいぞというのをいただければ非常に有り難いと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、最後になりますが議題7、その他になります。事務局から何かあれば御説明をお願いしたいと思います。

【久保企画評価課専門官】 特に議題としてはございません。

【岸本分科会長】 皆様から、改めて何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、事務局から事務連絡等についてお願いいたします。

【久保企画評価課専門官】 次回の分科会の開催につきましては、8月頃を予定しております。日程につきましては、後日事務局で調整させていただきます。
また、本日の議事録は、後日事務局よりメールで送付いたしますので、御確認いただきますようお願いいたします。最終的には、岸本分科会長に御了承を頂きまして、文部科学省のウェブサイトに掲載いたしますので、御協力をお願いいたします。
以上です。

【岸本分科会長】 それでは、これで科学技術・学術審議会第76回研究開発・評価分科会を終了いたします。
皆様どうもありがとうございました。これで終了したいと思います。

お問合せ先

科学技術・学術政策局企画評価課

(科学技術・学術政策局企画評価課)