研究計画・評価分科会(第75回)議事録

1.日時

令和3年2月3日(水曜日)14時00分~16時00分

2.場所

Web会議

3.議題

  1. 研究開発課題の評価について
  2. 研究開発プログラム評価の新たな仕組みの議論について
  3. その他

4.出席者

委員

栗原分科会長、小池分科会長代理、青木委員、春日委員、辻委員、雨宮委員、五十嵐委員、伊地知委員、小川委員、高梨委員、寶委員、田中委員、塚本委員、土井委員、長谷山委員、林委員、水澤委員

文部科学省

板倉科学技術・学術政策局長、梶原審議官(科学技術・学術政策局担当)、塩田企画評価課長、佐野科学技術・学術戦略官、萩原廃炉技術開発企画官、鈴木原子力基盤研究・人材室長、平田宇宙連携協力推進室長、新地企画評価課課長補佐、葛谷環境エネルギー課課長補佐、ほか関係官

5.議事録

【栗原分科会長】 それでは、ただいまから第75回科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会を開催いたします。
本期の第10期は、令和3年2月14日で終了となりますことから、第10期の研究計画・評価分科会の期間中の開催は、本日が最後になります。
それでは、議事に入る前に、事務局から説明をお願いいたします。

【新地企画評価課課長補佐】 それでは、本日は新型コロナウイルス感染拡大の防止の観点から、ウェブ会議により開催しております。
本日は、評価分科会の委員、臨時委員、24名のうち、現時点で17名御出席いただいておりまして、科学技術・学術審議会令第8条第1項に定める定足数の過半数を満たすことを報告いたします。
次に、事務局に異動がございましたので、御紹介させていただきます。
令和2年10月1日付で、科学技術・学術政策局企画評価課長、塩田剛志でございます。

【塩田企画評価課長】 塩田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【新地企画評価課課長補佐】 ありがとうございます。
それから、令和3年1月1日付で、科学技術・学術政策局科学技術・学術戦略官、佐野多紀子でございます。

【佐野科学技術・学術戦略官】 佐野でございます。よろしくお願いいたします。

【新地企画評価課課長補佐】 ありがとうございます。
最後に、Webexによるウェブ会議の開催に当たりまして、事前にお伝えしておりますとおり、委員の先生方にはお願いがございます。
まず、御発言の際は、手のマークの挙手ボタンを押すようにお願いいたします。御発言後は、再度挙手ボタンを押して、挙手を取り下げてください。
御発言時以外はミュートにしていただき、発言時のみミュートを解除していただくようお願いします。
オンライン上でも聞き取りやすいよう、発言の都度、お名前をおっしゃっていただくようお願いいたします。
御発言の際は、資料を参照する際に、資料番号、ページ番号、ページ内の該当箇所を分かりやすくお示しいただきますようお願いいたします。
最後に、議題の1で、研究開発課題評価の審議案件の説明時間を適切に管理するため、予定時間の終了1分前にベルを1鈴鳴らせていただきます。終了時にも、同じようにベルを鳴らせていただきますので、時間厳守でお願いいたします。
以上でございます。

【栗原分科会長】 ありがとうございました。
それでは、議事に入ります。議題1の研究開発課題の評価についてです。本日は、3つの委員会における中間評価2件、事後評価2件の計4件を審議いたします。
各委員会において取りまとめられた評価結果を、資料1-1-1から1-3-3として配付いただいておりますので、これを基に御審議いただきます。
まず、委員会ごとに説明していただき、それぞれ質疑の時間を取りたいと思います。
説明の際ですが、初めに施策マップを用いて、大目標、中目標の達成に向けた今回の評価課題の位置づけ、意義及び課題間の相互関係等を簡潔に御説明いただき、次に、評価票の必要な部分のみを、また簡潔に説明いただくようにお願いいたします。
なお、説明の際には、1課題につき7分とするようにお願いいたします。
それでは、原子力科学技術委員会から、2件続けて御説明をお願いします。

【萩原廃炉技術開発企画官】 よろしくお願いいたします。原子力課の萩原です。
まず、資料1-1-1に基づきまして、施策マップの簡単な御紹介をいたします。
大目標としては、原子力の利用に資する研究開発を推進するということにしておりまして、その下で2つの柱で中目標を立てております。
1つが、目的に沿った研究開発を行うというもので、福島第一原子力発電所の廃炉やエネルギーの安定供給・原子力の安全性向上・先端科学技術の発展等に資する研究開発をするというもので、こちら目的志向型の研究開発ということで、プロジェクトで進めているものです。
もう一つの中目標の柱が、原子力分野の研究・開発・利用の基盤整備ということで、人材育成でありますとか、原子力の利用を進める上で重要な核不拡散・核セキュリティに関する活動というものを挙げております。今日、この後御説明をさせていただきます中間評価は、こちらの2つ目の中目標の基盤の方から、人材育成に関する事業と核不拡散・核セキュリティに関する事業について御説明をいたします。
まず、核不拡散・核セキュリティの方ですが、資料1-1-2です。最初に、ポンチ絵で施策の概要について御説明をさせていただきます。こちらは2010年にアメリカのワシントンD.C.で開催されました、第1回核セキュリティ・サミットにおいて、我が国の首脳が、日本がしっかりアジア地域における核不拡散・核セキュリティに関する活動のメッカになるということを表明いたしまして、そのための組織として、日本原子力研究開発機構の中に、核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(ISCN)という組織を整備いたしました。そこに対して文科省から補助金を充当して、技術開発と人材育成をやっていただくというものになっております。
実際に今回の中間評価の中身を御説明していきたいと思いますが、幾つかトレーニングをどれぐらい開催できたか、例えば技術開発に関してはどれぐらい研究発表ができたかといったような定型的な指標を基に、全体の進捗を見ていただいています。 まず、人材育成の方ですけれども、こちら自分たちでやっているだけではなくて、例えば国際原子力機関(IAEA)でありますとか、アメリカのエネルギー省(DOE)等々と協力をいたしまして、国際的に人材育成の取組を行っています。こちらは海外からの研修生の方も原子力機構の方に受け入れて、必要な座学であるとか、実地研修というのを受けていただいております。それから、アジア地域の拠点になるということを目指していますので、日中韓で枠組みをつくって、そのネットワークの中でそれぞれ分担しながら、重複のないように研修を行うといったことをしています。こちらについては資料1-1-2の3ページ目に成果として、どれぐらい研修を行ったか、それにどれぐらいの人間が参加していただいたかということが指標として示してあります。
それから技術開発の方ですけれども、こちらIAEAが行うような、例えば保障措置(セーフガード)のために必要な技術開発でありますとか、核テロを防止するための核物質の検知技術の開発、あるいは中性子線を活用した非破壊の検知技術の開発などをしております。主なものとしては、4ページ目に挙げておりますけれども、中性子による非破壊分析でありますとか、核共鳴蛍光非破壊分析技術でありますとか、プルトニウムのモニタリングの開発などを行うとともに、核鑑識というのを進めています。この核鑑識というのは、どこかで核物質が見つかったときに、その核物質がどこの由来のものであるかを特定する技術でありまして、どれぐらいの不純物が入っているかを見定めることで、それがどこの地域に由来している核物質なのかというのを特定する技術です。こちらにつきましてはアメリカと共同で、核テロの脅威に備えて技術の高度化を図っているというところであります。最後に書いてありますのが魅力度の評価ということで、これは仮に核物質が窃取された場合、どれぐらいそれがリスクとして捉えられるべきかということで、アメリカと共同で魅力度の評価というのをやっております。ここで言っている魅力度というのは、テロリストから見たときの魅力度でありまして、核セキュリティ事象がどれぐらいのインパクトのある事象なのかを評価するためのスケール、共通的なスケールというのを開発するというものです。こちらについても、成果としては、研究発表等々の数として挙げているところです。
これらの評価でありますけれども、まず、人材育成につきましては、ISCNの活動は国際社会からの強いニーズがあるもので、特にASEAN諸国やIAEAから高い評価を得ているというところです。それから、毎回研修生を募集する際に、募集枠を超えた応募が常に寄せられているということで、盛況であるということです。それから、研修後にアンケートを取ってフィードバックを取るようにしておりまして、そのときの満足度も非常に高いです。それから実際に研修を受けた方に対して、5年程度を目処にフォローアップ調査というのもしていますが、そこでも実際にその研修で得た知識、知見、経験というのが非常に生きていると評価をいただいているところです。それから先ほども申しましたけれども、類似のトレーニングというのはいろいろなところでやられておりますので、重複がないように、うまく連携しながら役割分担をしてやっているというところです。
次に技術開発についてですが、技術開発については、基本的に求められる技術についてしっかり開発をしていくということですので、IAEAでありますとか、その他、我が方でいえば原子力規制庁、アメリカでいえば、例えば原子力規制委員会のような、そういうニーズを持った方々から、どういう技術が必要となるのかというのをしっかり聞いた上で、それを目指して技術開発をしていくということです。それから北朝鮮でありますとか、イランでありますとか、様々な核の脅威というものが国際情勢の中で言われておりますので、そういった国際動向も踏まえながら、適切な対応をしていくための技術開発をするということをしております。
これらの技術開発は、やはり現場で使っていただかないと意味がないものですので、学会で発表するだけではなくて、例えばIAEA総会のサイドイベントとして、こういう技術があるのでこういうことに使えるんじゃないかということで、実際に現場で核不拡散とか、核セキュリティを担当されている方に対してアピールするような場を設けるといったことで、情報の公開に努めているところです。それからこういう活動を行う場合、例えばプルトニウムを扱わなければいけなかったりしますので、そういうプルトニウムを扱う施設に、やはり原子力機構が持っている貴重なリソースがありますので、そういうのは有効活用をしておるところです。
最後に、今回の研究開発の方向性ということで、資料10ページ目、まとめでありますけれども、核不拡散・核セキュリティ強化の重要性に対する認識というのは国際的に高まっておって、本事業は継続・発展させていくべきだろうと。その際、核不拡散・核セキュリティ分野におけるアジア地域のプラットフォームとして、国内外の行政官、事業者等による人材ネットワークの構築、ほかの国の支援センターとの連携強化をすべきであろうと。それから活動内容の定期的なレビュー、その結果を今後の活動への反映というのは継続的にやっていくべきだということをいただいておるところです。
それから、その他として、これから教育という観点も非常に強い事業ですので、国内の大学との連携でありますとか、福島第一原子力発電所の廃炉に関する技術開発を行っている原子力機構の中の廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)との連携というのも強めていく必要があろうと。それから先ほど申しましたけれども、実際に現場で使っていただくために、技術の社会実装においてどういうことが必要か、そのためにどういう人材が必要かというのも、しっかり一緒に考えていくべきであろうと。その現場に携わる方に対しては、キャリア形成に関するような資料も作って示していくことが重要ではないかという御指摘を頂いているところです。
核不拡散・核セキュリティについては以上です。
続いて国際原子力人材育成イニシアティブについては、鈴木室長の方から御説明を差し上げます。

【鈴木原子力基盤研究・人材室長】 鈴木から、国際原子力人材育成イニシアティブについて説明させていただきます。資料については1-1-3になります。
まず3ページ目に、国際原子力人材育成イニシアティブ事業の概要について記載されております。本事業の課題の実施期間について、平成22年度から実施しておりまして、既に一度中間評価を平成27年度に受けており、今回2回目評価を受けるものです。
2ポツに研究開発の概要・目的が記載されております。この中には平成22年度からやっているもの全てが記載されておりますけれども、今回の中間評価の主な対象といたしましては、3番の機関横断的な人材育成事業になります。機関横断的な人材育成事業においては、関係機関の連携によるネットワーク化を図ること、それぞれの機関が有する人材育成資源を持ち寄り集約的に実施することで、効率的・効果的な人材育成を実施することを目的としています。主に高等教育機関で原子力を学ぶ学生を対象としており、原子力分野では、原子炉等、大型の実習施設なども使うことが必要になりますので、各大学等が連携して実施していくことが必要であるといった認識の下に実施している事業になります。平成22年度から令和元年度までは、期間は3年間、補助金額も2,000万円程度で、各機関から個別にこういったことをやりたいということを提案いただいて、採択するといった形でした。令和2年度、今年度から大きく事業の内容を見直しまして、期間を長く、7年間にするとともに、FSをして、FS後は1拠点当たりの金額を7,000万円にするといった改変を行っております。この背景等については、後でまた詳しく説明します。
4ページ目になりますけれども、4ポツに予算(執行額)の変遷を記載してございますけれども、大体2億から3億程度で予算は推移してございます。
5ページ目の5ポツに課題の実施機関・体制を記載してございます。令和2年度から改変したと述べましたが、PD・PO制を令和2年度からひくことになったという点を反映した実施体制について記載してございます。
6ページ目、7ページ目については、採択課題の一覧を参考に載せてございます。
中間評価票については8ページ目からになります。8ページ目に施策の大目標、中目標等を記載しておりまして、アウトプット指標としましては、課題の件数と新規採択課題の採択率を記載してございます。また、アウトカム指標については、研修等の延べ受講者数を記載しています。この延べ受講者数がアウトカム指標としてふさわしいのかということについては、原子力科学技術委員会の下の作業部会でも意見を頂いたのですけれども、数値的に出せるものというものを探すのが難しいということもありまして、今はこのような形で置いているものです。
9ページ目から評価の結果が記載されてございます。事業全体については、9ページ目の上の方に記載されておりますように、企業や社会から求められる人材を把握し、人材育成事業を有効に活用するような取組が採択されて、補助金の交付が行われてきているのではないかということ、成果物については、各実施機関のホームページの掲載や学会発表等を通じて、公表が推奨されていることを記載してございます。
また、前回の中間評価では、原子力科学技術委員会原子力人材作業部会の検討を踏まえた改善の必要性が指摘されました。この議論については、今期の審議会としましては、研究開発・基盤・人材作業部会という部会に引き継がれまして、ここで改善の方向性について検討が行われました。それについて、まずは我が国全体として、原子力分野の人材育成機能を維持・充実するということは重要であるという御指摘がありました。課題といたしまして、これまでの成果・達成目標について実習・育成対象とする人数に重点が置かれており、採択課題の実施が一過性のイベント開催となる傾向にあり、補助期間終了後に機関が自立的に事業を継続することが困難な要因となっているのではないか、現行事業では、個々の課題の進捗を十分に確認・管理する体制が整備されていないのはないかというような指摘がございました。
これを踏まえまして、令和2年度から、大幅に事業スキームを変更いたしました。まず、我が国全体として、原子力分野の人材育成機能の底上げを図っていくということが重要であるということから、複数の機関が連携した中長期的な取組を支援することといたしました。また、課題の管理については、プログラムディレクター、プログラムオフィサーを置くこととするとともに、7年間の補助期間中に中間評価、FS評価なども実施するということにしてございます。
そういった中で、補助期間中にはコンソーシアムを形成して、補助期間が終了した後も継続的に実施ができることを目指しています。
個別課題の進捗状況については、評価票に記載されているとおりでございます。
各課題の再評価について、10ページ目、必要性等については、エネルギー基本計画、原子力白書で指摘があることや、作業部会の議論があったことを記載してございます。
11ページ目には有効性について評価していますけれども、12ページ目に個別課題の事後評価の結果を記載しておりまして、ある程度評価を頂いているということが分かるかと思います。
13ページ目に効率性を記載しており、PD・POによる進捗管理を今後することや、外部評価による評価を実施してきたことなどを記載してございます。
最後に、今後の研究開発の方向性について、令和2年度に事業スキームを大きく変えたことを踏まえて、着実に事業を実施するということが必要であること、多様な人材養成のニーズに応えていくことが必要であることのほか、アウトカム指標については、育成された人材の取組の定着等を評価するようなやり方についても考えることが必要であることなどが指摘されております。
以上でございます。

【栗原分科会長】 ありがとうございました。ただいまの説明について、御意見、御質問等ありますでしょうか。もし手を挙げているのが見えない場合には、声を上げる、あるいはチャットで知らせていただければと思いますので、よろしくお願いします。
はい。では春日先生、青木先生の順番でお願いします。

【春日委員】 ありがとうございます。春日です。前半の御説明に対して御質問が1つあります。この事業ですけれども、外務省、特に軍縮不拡散科学部や防衛省、それから国連大学等とも、また、在外公館としましては、軍縮代表部とも協力されているでしょうか。これ、育てた人材は、国連等を通して、世界で活躍していただきたいと思います。

【萩原廃炉技術開発企画官】 よろしいでしょうか。原子力課の萩原です。今の春日委員からの御質問に対するお答えですが、こちらの活動ですけれども、基本的に我々がよく協力をしているのは、資源エネルギー庁さんと、外務省の中でも国際原子力協力室と軍縮原子力科学課の2つです。在外公館としては、やはりその対応正面が国際原子力機関でありますので、ウィーン政府代表部の中のIAEAの担当の方とやっています。軍縮そのものというよりは、やはり、核についてはIAEA中心に世界平和利用を目的としたことをやるということになっておりまして、その中で平和利用を担保するための保障措置というのもIAEAが担当していますので、基本はジュネーブというよりはウィーンを見て、我々はやっているところです。
それから民間ともよく協力をしておりまして、原子力事業者である電力会社さんだけではなくて、メーカーさんや日本原燃さんのような加工業者さんとも連携をしているところです。
以上です。

【栗原分科会長】 ありがとうございました。春日先生、よろしいでしょうか。
それでは、青木先生、お願いします。

【青木委員】 ありがとうございます。これはとても大事な取組だと思います。私も以前、核不拡散の教育というところで、一部ある大学に関わったことがあるのですけれども、やはり対面ですとか、本当に授業をする教育というところでは限られてきますので、むしろ核不拡散、今、核不拡散・核セキュリティ総合支援センターでしょうか、そういうところが以前、核不拡散ポケットブックを適宜更新していたんですが、最近少しこの更新状況がよくないようにも思うのです。章ごとのところでも2017年度ぐらいで止まっている。興味のある学生などが、院生ですとか、若い研究者の方などが御覧になっても、余り新しいところが進んでいないと、余り熱心でないような印象も与えかねないと思いますので、有効な資源の使用方法として、ウェブの活用というのでしょうか、そういう資料をどんどん新しくしていただけたらと思います。もう、すばらしい取組だと思います。
これがコメントで、もう一つは御質問なんですけれども、かつて保障措置のアウトリーチということで、インドネシア、ベトナムなどによく協力していたと思うんですが、特にインドネシアは保障措置追加議定書のIAEAからの合格が最初に出たというところもあり、日本は深く関わっていたと思うのですけれども、最近、そういうASEAN諸国ですとか、その他のアジア諸国との保障措置の協力関係というものは、人材育成の観点でどのようになっているんでしょうかと。その点を教えていただけたらと思います。ありがとうございます。

【栗原分科会長】 それではお願いします。

【萩原廃炉技術開発企画官】 青木委員からの御質問とコメントに対してお答えをしたいと思います。
情報発信としては貴重なコメントありがとうございます。なかなかその公表が追いついていないところもありますが、一方でISCNが大学向けに行った講義の内容を、ウェブベースでいつでも見られるように動画で上げておったりもしており、皆さんにいろいろ親しんでいただこうという取組は進めておるのですけれども、まだまだ多分、その広報が足らないということだと思いますので、しっかりやっていきたいと思います。
それから御質問のありましたASEAN諸国との協力という観点ですが、まず、その保障措置の業務そのものについては、現在原子力規制委員会の業務になっていますので、現場で実際にその事業に当たられている方同士の交流というのは、原子力規制委員会においてしかるべく行われていると認識しています。そのための人材育成の取組は文科省の方で担当しておりまして、この事業の中でも、ASEAN諸国からは、特にベトナムやインドネシア中心となっていますが、しっかり研修生を受け入れて、核不拡散・核セキュリティ、あるいはセーフガードに関する人材育成の取組として知識を授ける、座学によって知識を授けるとともに、実際に東海における原子力機構の事業所に来ていただいて、物を触りながら実地訓練をしていただくということもしています。
それから、これとは別ですが、内閣府の原子力委員会さんの方でFNCAという枠組みをやっておりまして、こちら東アジア、東南アジア諸国と原子力の平和利用に関するフォーラムであります。この中でも、ベトナムやインドネシアと協力をして、原子力に関する人材育成をしっかりやっている。その中で特に核不拡散・核セキュリティという観点を重要にするということで、事業を進めているところであります。
以上です。

【栗原分科会長】 ありがとうございました。よろしいでしょうか。

【青木委員】 ありがとうございました。

【栗原分科会長】 私からも質問させていただきたいのですが、前半の人材育成の対象になる方々はどういう方なのか、具体的に御紹介いただけると分かりやすいかと思うのですが、いかがでしょう。

【萩原廃炉技術開発企画官】 ありがとうございます。正にそこは今、原子力科学技術委員会の下の核不拡散・核セキュリティ作業部会の中で、今後どういった人材が必要かという議論をしているところでありますが、幾つか階層があると考えておりまして、例えばその原子力プラントの中で実際に査察を受ける側がやらなければいけない、あるいは原子力安全規制を受ける上でやらなければいけないことというのがありまして、それに関することについて、事業所で働いておられる方が、現場で必要な知識と技能を身につけるという意味のトレーニングがあります。このほかに、技術開発という点では、一般的な化学的な、物理的な分析技術の開発でありますとか、そもそもの核物質の取扱いに関する技術開発などをする研究者人材が必要であろうと。それから、IAEAとか、我が方の原子力規制庁の中で、例えば査察官とか、原子力安全規制の検査官として働く場合に必要な知識になりますので、そういった半行政的な方も含めて、その規制をされる側、規制当局に関係するような方向けの研修なども必要だろうという議論がありまして、なかなか一概に一本道でこうやればいいということではなくて、どういう人材を育てるのか、ターゲットを明確にした上で、それぞれ必要なものをパーツ、パーツ組み合わせて、うまいこと人を育てていかなければいけないだろう。そのためにどういうことをしなければいけないかということを、これから議論をしようとしているところです。
以上です。

【栗原分科会長】 そうしますと、従来はそれほど区別していないけれども、今後はもう少しそれぞれフォーカスしたようなコースをもう少し充実させるという方向性も、議論になっていると理解してよろしいのでしょうか。

【萩原廃炉技術開発企画官】 ありがとうございます。どのように進めるかというのは、リソースの問題もあるので、どこまでできるかはあるのですが、これまではどちらかというと最大公約数的な部分を提供しておりまして、どの道に進んでも最低限必要となるようなことをやっておりました。ただ、それが大体終わってきておりまして、特に海外からも、もう少し中級向けの研修などを提供してもらえないかというようなオファーがありますので、今それをどういった形で提供していけばいいのかということも含めて、今後検討していきたいと考えています。

【栗原分科会長】 ありがとうございます。大変大事な活動だと思います。
ほかに何か御質問、御意見等ありますでしょうか。

【小川委員】 小川ですけれども、手を挙げさせていただきました。

【栗原分科会長】 どうぞ、お願いします。

【小川委員】 小川ですけれども、両活動とも非常に重要だと思います。両活動とも共通するのが人材育成という観点で、人材育成のときに、特に今年度、コロナ禍の状況について教えていただきたいのですけれども。座学でしたらネット環境でできると思うんですが、先ほどのお話で、原子炉実習とかプルトニウム施設とか、そういう実習関係では、なかなか入国等が難しかったと思うんですけれどもいかがだったでしょうか。特に今年度はどうだったのかということと、それからもう1点、先ほど前半の部分の核不拡散関係で、日本人の割合はどのくらいだったのか。この2点を教えていただければと思います。

【萩原廃炉技術開発企画官】 ありがとうございます。今年度については、なかなかほとんど日本に入国いただけることというのは難しくて、ベトナムとか一部の限られた国から、ごく少数の方に来ていただくことはできましたが、多くの方は来ていただくことができなかったので、基本はオンラインベースでの研修をやっております。その中で座学だけではなくて、一応バーチャルリアリティー、VRシステムを組んでおりまして、ウェブベースで、かなりまだ粗いポリゴンなので、現場にどこまで近いかという問題はありますが、一応何となくのシミュレーター的な経験ができるようなことまでは提供できているところです。
この先、どこまでそういったことをやっていくかというのはこれからの課題でありまして、コロナが収まっても、例えば地球の裏側にいらっしゃるような方がいつでも自分の好きなときに参加できるような形で、そういった実地トレーニングに代わるようなコンテンツが提供できるというのはいいことじゃないかと、IAEAとも相談をしておりますので、行く行くはもう少し高度なものを提供できるように開発していければなと考えております。
それから研修の参加人数ですが、研修ごとに変わっていまして、例えばIAEAのトレーニングコースというのは、IAEAから委託を受けてやっている事業ですが、こちらほぼ100%、海外の方が参加しています。一方で、大学に出前授業のような形で、核不拡散関係の条約とか、国際ルールの座学を提供するときは、基本的に相手は日本人です。延べ人数で大体見ますと、半々ぐらいの方を対象にしているのかなというイメージですが、基本的には提供しているものが違うので、一概には比率というのが言いにくいというのが正直なところです。
以上です。

【栗原分科会長】 ありがとうございました。
それでは、あと林委員が手を挙げていらっしゃるので、お願いします。

【林委員】 今までの議論とも関係しますが、1個目、2つ目、両方ともなんですけれども、特に2つ目について、延べ受講者数、5,000人、4,000人、6,000人くらいですか。5,000人とこう、数千なのでかなり人材を育成しているなと分かるのですが、そもそも何人をどういうスキル、どういう知識、どういう技能を持っている人を何人育成しようとしているのかという、それがないとなかなか判断がつかないのですけれども、新しくPO・PMをつけて体制を変えたということですが、そこではそういう議論というのは、しっかりと今なされているというふうに考えてよろしいのでしょうか。
以上です。

【鈴木原子力基盤研究・人材室長】 御指摘ありがとうございます。何をどんな分野で何人つくることが将来的に必要なのかというのは、なかなか、決めるのが難しいところかなと思っております。結局原子力分野が今後どうなっていくのかであったりとか、社会の状況にも踏まえて変わっていくところであるので、具体的にどの分野に何人が必要でどんな技術かという、人数目標をつくるというのはちょっと困難ではないかなと思っております。そのため目標としては、こういった人数というよりも、どれぐらい取組が定着したかであったりとか、新たな参加者がどれぐらい学んだかであったりとか、こういったところから輩出された人材が、企業等に行ったときにどのように評価されているのかであったりとか、そういった評価ができるような形になることを今後ちょっと検討したいと思っております。

【栗原分科会長】 林委員。

【林委員】 分かりました。もちろん細かい数字は無理なのですけれども、桁のオーダーくらいで、例えば大学、今コンソーシアムをつくると言っていますが、例えばどういう形でやっていくのか、モデル的なものを特定のところがつくってそれを広げていくのか、あるいはオンライン型で誰でもが参加できるような形にするのかと、大分やり方も目標の桁によって違う気がするので、事前にそれを設定するのは難しいのはよく分かるんですけれども、やりながら、そういうことをどういうふうに、どのくらいな人数が必要かというのを検討して、やり方も併せて検討していっていただければいいのかなと思いました。
以上です。

【鈴木原子力基盤研究・人材室長】 承知しました。基本的には、原子炉実習であれば、全ての学部の学生、希望する学部の学生が参加できるようなことをやりたいでとか、中級レベル、上級レベルで分けてやるとか、項目ごとに、今いる人数と目標とするものとかを併せて、PD・POや各大学と一緒に検討しておりますので、そういったことを踏まえて目標等も立てられればと思っております。ありがとうございます。

【栗原分科会長】 やはり今後、少しずつ目標を明確にしていくという方向性だと思うので、よろしくお願いします。
ありがとうございました。ほかにもあるかもしれませんが、時間ですので、どうも丁寧な御説明、御回答ありがとうございました。次に進みたいと思います。
次に、環境エネルギー科学技術委員会から説明をお願いいたします。

【葛谷環境エネルギー課課長補佐】 それでは、環境エネルギー課の葛谷より御説明させていただきます。資料1-2-1、まず施策マップから御説明させていただきたいと思います。
本日事後評価の対象となります事業は、こちら、矢柱がありますけれども、上から3つ目の真ん中にございます気候変動適応技術社会実装プログラム、いわゆるSI-CATというものでございます。こちらにつきましては、地域レベルの気候変動適応に関する支援をするための研究開発を実施していくものでございます。
こちらの目標でございますけれども、施策マップ上から4つ目、アンダーラインで記載しているところでございますが、気候変動適応策の立案・推進のため、高分解能の気候変動予測や気候モデルのダウンスケーリング、ダウンスケーリングというのは高解像度化でございますけれども、高解像度化をし、さらにそれらを利用して影響評価、適応策の評価に関係する技術開発等を推進していくものでございます。本日はこちらの事後評価について御説明させていただきたいと思っております。
それでは、具体的な評価について御説明いたします。36ページを見ていただければと思います。
まず、SI-CATの概要というところでございますけれども、こちらは平成27年度から令和元年度の5年間で事業を実施しているところでございます。
次のページです。予算規模でございますけれども、5年間で20億円程度でございます。
研究開発体制、概要につきましては、ページをめくって39ページです。事業の全体像につきましては、大きく3つの機関によって分かれており、左上が技術開発機関、右側が社会実装機関、そして左下がモデル自治体になっているところでございます。本事業の特徴といたしましては、モデル自治体、実際に自治体と一緒に連携をして、研究開発、適応策を推進していくというものでございます。具体的には、社会実装機関がモデル自治体等からニーズを聞き、そして研究開発機関が気候変動予測、例えば、降水量とか、気温とか、あるいはそれぞれのニーズに合った予測情報を創出しまして、その情報を使って影響評価、例えば、気温が上がれば農業にどのような影響を与えられるのか、あと、降水量が増えれば水害はどのような形で増えていくのかなどの評価をし、それを自治体等に提供し、自治体等において適応策を推進していくという事業でございます。
それでは、評価結果の概要でございますけれども、9ページを御覧いただければと思います。
評価結果につきましては、必要性、効率性、有効性の3点で評価しているところでございます。必要性は、国費の研究開発としての意義があるかどうかという点で評価しているところでございます。
こちらについては、43ページを御覧いただければと思います。
本事業を通じまして、気候変動の予測データや、影響評価のような科学的な知見の充実を図っておりまして、また、自治体と一緒に共同して計画をし、自治体と一緒に成果を出していくというco-design、co-productionといった社会実装に向けた取組を実施し、適応計画の社会への定着が図られたところでございます。これに併せて、平成30年に気候変動適応法というものが成立しておりますけれども、この成立にも貢献しているところでございます。また、国のレポートや、気候変動適応法に基づく影響評価の科学的根拠にも活用されているところでございます。
続きまして、次のページ、御覧いただければと思います。
モデル自治体として、岐阜県、茨城県、長野県などが参加しているところでございますけれども、この成果を使って地域における適応センターの設立にもつながっている事例もございます。また、国交省など様々な省庁において、このデータを活用し、気候変動を踏まえた政策を立案しているところでございます。このように、本プログラムにおいては必要性があると認められているところでございます。
続きまして、有効性でございます。有効性につきましては、社会実装に至る取組がされているか、また、人材の養成という点で評価をしているところでございます。
46ページを御覧いただければと思います。
本プログラムにおいては、先ほど申し上げましたとおり、気候変動における治水計画など国交省における政策や、自治体における政策などにも活用されておりまして、気候変動適応策策定の定着に貢献していると判断されているところでございます。また、適応に係る研修、例えば自治体と研究者を一緒に参加する研修などを通じまして、行政と研究者との連携が強化するなどの成果も出ており、有効性があると判断されているところでございます。
そして最後、効率性でございます。効率性につきましては、研究開発の手段、アプローチの妥当性、事業計画実施体制の妥当性について評価をしているところでございます。
次のページ、47ページを御覧いただければと思います。
本事業につきましては、モデル自治体と一緒に事業を進めていくということで、共同で計画し、共同で成果を出し、共同で普及というような、超学際研究手法の下、社会実装に向けた有効な成果を創出するためのアプローチを実践してきていることが確認されております。また、環境の変化を踏まえて、本プログラムの事業体制や計画について見直しを行っているところでございます。具体的には、気候変動適応法が施行されまして、気候変動適応に関する役割が明確化されたところでございます。これを踏まえて、当初本事業で予定しておりました一部事業を環境省の方に移管し、文科省で注力するところを実施するというような体制を見直しているところでございます。以上より、効率性があったと認められているところでございます。
総合評価、評価の概要でございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、必要性、有効性、効率性のところから、本事業の目標は十分達成されたと判断しているところでございます。また、本プログラムを通じまして、適応策に必要な科学的な充実のみならず、研究者と自治体関係者のネットワークの構築に貢献し、今後活発となっていく適応策に向けた重要な取組であったと評価しているところでございます。
最後、今後の展望でございます。気候変動というのは今も進んでいるところでございます。極端事象、大雨、そして台風なども今後強大化をしていくことを想定すれば、今後も引き続き適応策の推進というものが必要になってきます。本事業で得られた成果というものにつきましては、自治体、国においても今後活用されていくことが見込まれていきます。そのため、環境省、そして文科省、そして関係省庁が連携をして、本事業を取り組んでいくことが重要だと考えているところでございます。
環境エネルギー課からの説明は以上でございます。

【栗原分科会長】 ありがとうございました。ただいまの御説明について、御意見、質問等ありますでしょうか。
小池先生、どうぞ。

【小池委員】 小池でございます。大変優れた成果を上げられて、敬意を表します。当初は、始まったときはなかなか難しい枠組みでの御苦労もあったと思いますが、この一気通貫の研究体制と、それから社会とで連携の新しい枠組みをつくられながら進められたことに大変すばらしい成果が上がっていると思います。法律ができたことともリンクして、社会への実装が進むいい研究だったと思います。
私の質問は、今日春日先生もおられますが、これはフューチャー・アースの非常に典型的な事例であると思うのですけれども、インターディシプリナリーなものとトランスディシプリナリーなものがうまく組み合わさって、しかも成果を上げていると。そういう事例は随分御紹介いただいたのですが、この超学際的な視点から手法をまとめるというか、適応を実装していくという立場ではすばらしい成果が上がっていると思うのですけれども、その手法を相互に比較しながら、手法として確立していくような御検討というのは、何かこのプログラムの中でされたのかという質問をさせていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

【葛谷環境エネルギー課課長補佐】 御質問ありがとうございます。こちらについては超学際的な手法ということで、ステークホルダーが一緒になって取り組んでいくというところでございます。こちら46ページにも記載させていただいておりますけれども、とてもシンプルなところでございますが、関係者が一堂に会って議論をしていく場というのを途中から設けまして、関係者間の連携を強化したというところが成果につながった1つの取組だと認識しているところでございます。
以上でございます。

【小池委員】 分かりました。是非今後、こういう手法をレビューして広げるということも、何らかの形でまとまっていくとよいと思っております。
以上です。

【栗原分科会長】 ありがとうございました。それでは、ほかに御質問、寶先生、高梨先生という順番でお願いします。

【寶委員】 寶でよろしいですか。

【栗原分科会長】 はい、どうぞ。

【寶委員】 最終報告については、特に異論はございません。この気候変動問題について、総合的に優れた取組がなされたと思います。
今後の展望のところですけれども、自然災害と感染症の複合災害とか、それから気候変動によって熱波、熱中症とか、それが高齢者が被災しやすいということを考えますと、医療、看護とか、それから福祉、そういったところとの連携も必要になっていくと思いますから、そちらの方も、ちょっとウイングを広げていただいて、更に包括的に進めていっていただきたいというのが私のコメントであります。
それから、細かなところで恐縮ですけれども、38ページの組織の一覧で、38ページの課題3の真ん中から少し下に、国立研究開発法人京都大学防災研究所とあるのですが、これは防災研といいますと、つくばの防災科学技術研究所と、それから京大の防災研と混同されることも時々あるんですけれども、これはどちらですか。国立研究開発法人ですと、防災科学技術研究所つくばですが、京大ですと国立大学法人と書かないといけないと思いますけれども。

【葛谷環境エネルギー課課長補佐】 御指摘ありがとうございます。こちらは京都大学の防災研究所になりますので、修正いたします。ありがとうございました。

【寶委員】 国立大学法人ですね。

【葛谷環境エネルギー課課長補佐】 はい。ありがとうございます。

【寶委員】 私からは以上です。

【栗原分科会長】 ありがとうございました。それでは、高梨委員、お願いします。
お声が聞こえないので、どうぞ、チャットにコメントください。

(チャットにコメント書き込み)

【栗原分科会長】 高梨委員のコメントを読み上げさせていただきますと、社会実装に向けたすばらしい活動だったと評価します。報告書自体に問題ございません。1つ今後の取組、継続性という点で、具体的に何が始まっていらっしゃるか、事例があれば共有させていただきたいという御質問です。お答えいただけますでしょうか。

【葛谷環境エネルギー課課長補佐】 御質問ありがとうございました。49ページの最後のところでございます。継続的な観点は重要と思っておりますが、施策マップを御覧いただければ分かるとおり、本事業について後継事業はございません。ただし、それぞれ今ある既存のプログラムの中に吸収した形で進めていく形を取っております。
例えば予測情報の高度化につきましては、なお書きでありますとおり、文科省、別のプログラムでございますけれども、統合的気候モデル高度化研究プログラムで実施しております。一方、影響評価や社会実装に関する取組につきましては、環境省のS-18という研究などの中で社会実装等が進められているところでございます。
以上でございます。

【栗原分科会長】 ありがとうございました。
それでは、最後に航空科学技術委員会からお願いいたします。

【平田宇宙連携協力推進室長】 航空科学技術委員会事務局の宇宙開発利用課、平田の方から、静粛超音速機統合設計技術の研究開発の事後評価結果につきまして御説明いたします。
資料ですが、資料1-3-1、通し番号で51ページの方を御覧ください。こちら航空科学技術分野の施策マップでございます。
上の点線の方の囲みにありますとおり、航空科学技術の大目標としては、産業競争力の強化等のため、国家戦略上重要な科学技術として、長期的視野に立って継続して強化していくとされております。このため、中目標としては3つございまして、社会からの要請に応える研究開発、それから次世代を切り開く先進技術の研究開発、及び基盤技術の研究開発の3つがございまして、本日、事後評価の御審議を頂く課題は、次世代を切り開く先進技術の研究開発に位置づけられてございます。下の黄緑で囲んだものでございますが、これは我が国の航空科学技術を長期にわたって高めていくために、社会に飛躍的な変化をもたらす可能性のある先進技術の研究開発の1つと位置づけられております。
続きまして、資料1-3-2の「静粛超音速機統合設計技術の研究開発」の概要の方を御覧ください。
本課題は、平成18年度から27年度にかけまして、宇宙航空研究開発機構(JAXA)において実施されました、静粛超速機技術の研究開発において得られました4つの鍵技術、低ソニックブーム、低離着陸騒音、低抵抗、それから軽量化、この4つを機体レベルにおいて統合するシステム設計技術を世界に先駆けて取り組むというものでございます。課題の実施期間は、平成28年度から令和元年度の4年間でございます。執行額の変遷は、ここに記載のとおりです。
続きまして、事後評価結果ですが、アウトプット指標、アウトカム指標は55ページから56ページに記載のとおりですので、説明は省きます。
事後評価票の2ページ目、(1)課題の達成状況ですが、こちらに記載のとおり、研究活動の3つの柱であります民間超音速機実現に必要な国際基準策定への貢献、それから小型超音速旅客機国際共同開発における競争力強化に向けた産学官一体の研究開発体制の構築及び技術実証計画の立案、最後に、鍵技術ごとの技術目標達成のための要素技術研究のさらなる推進、そのそれぞれにつきまして順調に進められまして、57ページから58ページに記載しておりますとおり、初期目標である4つの鍵技術を同時に成立させる機体設計技術を獲得し、システムとしての実現性を示すことを達成しております。
また、各観点の評価でございますが、59ページの必要性についてですけれども、超音速飛行中に発生する衝撃波が地上に到達した際、ソニックブームと呼ばれる衝撃音が生じるわけですが、現在、このため陸域上空での超音速飛行が禁止されております。これに対応して、ソニックブームの強度を低減する全機ロバスト低ブーム設計技術などの、世界に対して優位性を有する研究成果が創出されました。独創性、発展性が高く、科学的・技術的意義の大きいものだったということ、また、60ページに記載のとおり、超音速機の早期の市場投入の可能性が高まっている状況を踏まえますと、我が国が超音速機開発における優位技術を得たことは、社会的・経済的意義の大きいものであったということなどを踏まえて、本課題の必要性は高かったと評価を頂いております。
続きまして、60ページの下の方の有効性でございますが、民間超音速機の実現の鍵になります陸域上空の超音速飛行に関する国際基準、こちらが国際民間航空機関(ICAO)において検討されておりますけれども、我が国がこの基準策定プロセスへ効果的に関与するというために有効な技術であります全機ロバスト低ブーム設計技術などの、非常に独創性が高い成果が創出され、研究開発の質の向上に貢献しており、また、国際基準策定への貢献や、要素技術をシステムとして統合するための設計技術の開発を実施したということは、我が国優位技術の実証、確立に資するものであり、本課題の有効性は高かったと評価を頂いております。
効率性につきましては、63ページに記載のとおり、民間企業や海外公的機関との連携や共同研究によりまして、効率的かつ効果的にJAXA内外のリソースを活用できたことから、計画・実施体制及び研究開発の手段やアプローチの妥当性は高いものであると。また、国が主導すべき課題であるものの、共同研究相手方からも応分の負担を頂いているということから、本課題の効率性は高かったと評価いただいております。
続きまして、63ページ中段の(2)科学技術基本計画等への貢献状況でございますが、こちらに記載のとおり、研究開発計画において定められた取組、本課題を通じて、科学技術基本計画、及び我が国の航空科学技術の発展に大きく貢献する成果を上げたと評価を頂いております。
総合評価、63ページの一番下からでございますが、本課題においては、所期の目標を踏まえて、超音速機市場の開拓に必要なICAOにおける基準策定に対する技術的貢献をしたこと、また、4つの鍵技術を同時に満たす設計技術を獲得して、新たに優位技術として全機ロバスト低ブーム設計技術を創出したということを踏まえて、目標は十分に達成されたと評価を頂いております。
10ページ一番下の今後の展望ですが、騒音基準に適合した次世代の超音速旅客機の開発のためには、JAXAをはじめとする我が国の優位技術が不可欠であることを重要ステークホルダーと共有したこと、また、11ページに、ウィズ/アフターコロナ時代において、この超音速旅客機による移動時間短縮のニーズは高いと考えられますが、今後、生活様式の変化等の影響も考慮して、仕様等に適切にフィードバックしていくということが期待されております。
説明は以上でございます。

【栗原分科会長】 ありがとうございました。ただいまの御説明について、御意見、御質問等ありましたらお願いします。
小池委員、お願いします。

【小池委員】 大変すばらしい成果だというふうに拝見しました。いや、予算がこの程度でこんなすごい成果が出るのかと感心したところです。
1つ質問させていただきたいのですが、実はこの計画・評価分科会でずっと議論してきた、大学院生がこういうところで育って、博士の学生等が育って、こういう研究テーマですので、その人たちが民間企業等に行って活躍するようになるというのは、1つのキャリアパスとしていいキャリアパスというような議論を以前したことがあるのですけれども、このプロジェクトではそういう若手研究者の育成とかいうところに、何か成果があったら教えていただければと思うんですが、いかがでしょうか。

【平田宇宙連携協力推進室長】 御質問ありがとうございます。JAXAにおいて、大学院生の受入れというのは常にやってございます。このプロジェクトの中でも、具体にはちょっと確認はできていないのですが、恐らくそういう大学院生などの教育にも資するような形で、関与いただいているのではないかと思います。ちょっと確認はできていないので恐縮ですが、以上、お答えといたします。

【小池委員】 是非、こういう未来に続く日本の技術の先端のところには、そういう若手の方々が入るような工夫を、JAXAの中でも是非お願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【平田宇宙連携協力推進室長】 ありがとうございます。

【栗原分科会長】 ありがとうございました。ほかに御質問ありますでしょうか。
五十嵐委員、お願いします。

【五十嵐委員】 五十嵐です。すばらしい成果として伺わせていただきました。
少し気になったのが、最後の辺りに、国内外の重要ステークホルダーという表現が何回か出てくるんです。この言い方というのは、これまで共同で研究されたメーカーさんであるとか、いろいろなものが入っていると思うのですが、私の立場からいうと、ステークホルダー、最大のステークホルダーはやはり国民という言い方はちょっと大げさですが、そういうふうに思っています。この分野、せっかくこれだけいい成果を出されているので、もっと情報を分かりやすく、これまでもこの委員会でもよく御意見が出ていたことだと思うんですが、もっと分かりやすく成果を御発表いただけるといいのかなと思います。同じJAXAでも、宇宙開発の方は、国民的なサポーターが増えているような状況の中で、航空機の方は何となく、もちろんすごく好きな方はいらっしゃると思うのですけれども、それだけの波になっていないような印象もあって、せっかくですので、何度も同じことを言いますが、是非広報もよろしくお願いいたします。そういう感想を持ちました。

【栗原分科会長】 いかがでしょうか。

【平田宇宙連携協力推進室長】 ありがとうございます。国民の理解という観点で、宇宙にはちょっと負けているという点は、我々も非常に大きな問題意識を持っております。御指摘の点も踏まえまして、積極的に広報していきまして、特に若い世代に、この航空科学技術、重要な技術であり、それから夢のあるものであるということを理解いただいて、先ほど小池先生から御指摘ありましたが、この分野の研究や技術開発に進んでいただける大学生、大学院生が増えるようにということで努力してまいりたいと思います。ありがとうございます。

【栗原分科会長】 ありがとうございます。よろしくお願いします。
やはり空を飛ぶことは夢のあることだと思うので、是非若い方々にも、今後とも関心を持って技術を高めていただけたらと思います。どうもありがとうございました。
それでは、ただいま御説明いただきました評価案につきまして、分科会としてはこの形で決定したいと思いますけれども、いかがでしょうか。特に文案についてのコメントはなかったように、皆さん大変すばらしいという御意見だったと思います。

(委員了承)

【栗原分科会長】 ありがとうございます。特に反対の御意見もありませんので、それではこの形で決めさせていただきます。分科会としての評価案を決定いたしました。
それでは、続きまして、議題2の研究開発プログラム評価の新たな仕組みの議論について入ります。
それでは、議題2の内容について、事務局から説明をお願いいたします。

【佐野科学技術・学術戦略官】 それでは、佐野より説明をさせていただきます。まず資料ですが、参考資料の4の方を御覧いただきたいと思います。
この資料につきましては、近年の研究計画・評価分科会におきまして、どういう議論があったかというところと、それから青字で、研究開発プログラムにつきまして、どういうふうに議論がされたかという記録を分かりやすくまとめさせていただいております。今見ていただいているもの、これが今期、第10期ということでございますが、この2回ですね。期が始まった1回目、それから昨年の夏に一度、一度ずつ議論がされているという状況でございます。
それから2枚目でございますが、これはその前の第9期でございまして、こちらではかなり議論がされていたという状況になりまして、第10期一番冒頭に、研究開発プログラム評価の試行的実施というふうなことで御議論を頂いて、実際に試行したというのが、今期初めにあったことでございます。その結果、昨年の夏に研究開発プログラム評価の試行的実施に関する議論の取りまとめと新たな取組ということで、この試行的な実施を踏まえて、より新たに取組をしましょうということで事務局より御提案を差し上げて、その結果として、参考資料3の方を見ていただければと思うのですが、この当時の議論を事務局の方で、栗原先生、小池先生の方と非公式な意見交換を基に、事務局の方でまとめさせていただきました。これを昨年10月の科学技術・学術審議会の総会の方に御報告をさせていただいたというところで、これが当時の議論を多分一番分かりやすく視覚的にまとまっているかと思いますので、御紹介をさせていただきます。
大きく分けますと、このときの議論、視点1と書いてございますが、分野別戦略・計画の策定についてということで、その次期2年のうちの最初の1年において、分野別委員会で分野別戦略・計画について審議・議論いただいて、それぞれの委員会で分野別の計画を取りまとめていただいてはどうかということ、それから視点2ということで、次のページございますが、EBPMのベースとなるエビデンスと分野別戦略・計画及び分野別プログラムの関係性についてということで、この当時、エビデンスについてもっと充実させてはどうでしょうかというようなことについての視点ということでまとめさせていただいたというのが、当時のことでございます。
7月の議論については、資料2-1の一番最後のところに、当時、栗原先生にまとめていただいたメッセージというところでございますけれども、この真ん中辺りに、「本日の議論からそれぞれ分野別委員会でどういうことが取り組めるか、御意見と同時にそこを超えたところでどんな取り組みを行って欲しいかなどの意見もいただけると今後の議論が大変助かりますし有意義になる」というようなお言葉を頂いたということを受けまして、我々事務局の方が、各分野別委員会等に御意見を聞いてまとめたというものが、資料2-1とになります。
この資料2-1でございますが、一番冒頭のところには今申し上げたような経緯が書いてございまして、その後ろの方に、それぞれの分野別委員会等の方から頂いた御意見というものが書かれているというものでございます。これについては時間の関係で、詳細な説明は割愛をさせていただきます。
それから、資料2-2の方で、この頂いた意見というのをもう少し分かりやすく整理しようということを試みたものでございまして、左側に委員会の名前、それからそれぞれの検討状況、例えば、委員会で御検討いただいているところに丸がついているものの、それから開かれていないというような理由等で、事務局の方に丸がついているもの、それから、御説明申し上げた資料の視点1、視点2につきまして、どういうふうなお考えかというのを、これは私ども事務局の方でざっくり丸、三角とにつけさせていただいて、大きな方向性について右側にまとめているという資料でございます。資料2-1の方の真ん中より下の方で簡潔にまとめさせていただいているのが、各分野別委員会等からの報告を視点別に大まかにまとめると以下のとおりとなりますということで、事務局の責任でまとめさせていただいているところが、こちらになります。
視点1でございますけれども、この分野別戦略・計画の策定についてということで、分野別委員会において、政府全体を対象とした戦略・計画を引用、活用できるかということにつきましては、各委員会で理解をされつつある状況ではないかと理解をしております。一方、分野を超えた研究開発課題の取扱い、個別課題に閉じたものにならないというための懸念というのも、若干でありますが、示されているという状況でございます。
それから視点2のエビデンスにつきましては、これにつきましても、引き続き議論をしていくというところがございましたが、これも若干でございますけれども、分野を超えた共通の視点というのは、本分科会の課題、にもなり得るということから、この分科会でも引き続き議論が必要ではないかという御意見もあったというところでございます。
それから、資料2-3でございます。こちらは、先ほど申し上げたような、今期、このプログラム評価という意味について、その前の第9期から議論がされ、第10期で試行的に行われたということもあり、本日がこの分科会の期の、最後のフェース・トゥー・フェースの会合でもございますので、本当にたたき台、たたかれ台という意識で、議論をまとめて残しておくということは意味があると思いまして、案を御提示させていただいているというのが資料2-3でございます。
1ポツのところにつきましては、今まで御説明申し上げた、この分科会における議論の経緯というものを書かせていただいており、その最終のパラグラフのところで、研究開発プログラムの評価の新たな仕組みについての提案がなされ、それぞれの分科会から御意見を頂くことになり、その検討結果が本日分科会に報告をされたと書かせていただいております。
それから、この第10期の議論のまとめというところからでございますが、今まで議論を頂いたもの、それから御提示した資料、議事録等から、少しストーリー的になるのではないかというようなところ、それから若干まとめのところから引かせていただいて、たたき台として書かせていただいているものでございます。
まず1つ目は、今までまとめたものから見ると、更に分科会で、状況が様々な状況であるということから現状を認識して、引き続きの議論が必要という状況ではないのかなあと思っております。それから、この新たな仕組みにつきましては、分野別に閉じ籠もった議論にならないようにするためには、分科会としても、さらなる議論が必要ではないか思っております。
それから、次のページの一番冒頭でございます。
こちらは昨年の7月の議論の際に、現行今ある研究開発計画、先ほど議題1において中間・事後評価について御説明いただいている、冒頭に研究開発計画に基づいてということで資料を作っていただいておりますが、この研究開発計画を一時廃止するという事務局案が、昨年の夏の研究計画・評価分科会での議論で出たのですけれども、今集まっている分野別委員会の議論というのが様々であるというとから、ペンディングというのがよろしいのではないかということで、書かせていただいているところでございます。
その次のところにつきましては、更に分野別計画についても御審議を頂くということで、検討をお願いするという点では、やはりまだ引き続き変わらないのかなと思っているところでございまして、最後、下から2つ目のパラグラフでございます。
これにつきましては、エビデンスというところで、第6期科学技術・イノベーション基本計画の議論が今なされておるというところでございます。第6期の当該基本計画の議論を踏まえまして、次期の大綱的指針というのが通常であれば改定をされるということですので、その大綱的指針の改定等を踏まえまして、引き続きの仕組みの在り方検討というのが要るのかなと考えております。それから最後のパラグラフの、CSTIの動きについて若干御紹介をさせていただいているのですが、これにつきましては、若干の参考情報として、参考資料5に記載しております。今年の1月に開催をされました第8回統合イノベーション戦略推進会議の中で紹介をされている基本計画のところで、本分科会に関係をするところを少し御紹介させていただいております。この資料の中で、真ん中の方、アンダーラインを引かせていただいておりますが、「基本計画について、指標を用いながら進捗状況の把握、評価を評価専門調査会において継続的に実施し」ということでございますので、今のところ、まだ最終的には決まっているものではございませんが、大きな方向性としては、進捗状況評価について指標を用いるということの議論というのは行われている状況でございます。
私の方からの説明は以上でございます。

【栗原分科会長】 ありがとうございました。1月の初めに御着任になって、大変短期間に今期の議論、それから各分野別委員会での議論等を大変コンパクトにおまとめいただき、感謝いたします。どうもありがとうございます。
それでこれから、25分程度できるかと思いますが、ただいま御説明いただいた内容について、意見交換をお願いします。特に、まとめとして案を作っていただいている、資料2-3について御意見いただければ、次期の委員会への引継ぎになると思いますので、まず、そこについていかがでしょうか。もちろん他の部分についても御意見いただければと思います。よろしくお願いいたします。
伊地知先生、お願いします。

【伊地知委員】 コメントというよりも、御説明いただいた資料2-3でしょうか、質問させていただきたいのですが。文中、「CSTI評価」ということがあったかと思うのですけれども、そこで参照されている参考資料5は基本計画に関することであるので、そうすると、内閣府設置法上の総合科学技術・イノベーション会議が行う大規模研究開発等に係る評価とは別の、基本計画としての進捗の確認等ということになるかと思うので、そこのところは誤解がないような表現にする必要があるかなと思った次第です。

【佐野科学技術・学術戦略官】 ありがとうございます。少し表現を考えます。

【栗原分科会長】 活動についての視点も総合的になる部分もあるのでしょうし、適切な形に検討いただければと思います。
ほかに御意見ありますでしょうか。

【小池委員】 小池ですけれども、よろしいですか。

【栗原分科会長】 はい、どうぞ。

【小池委員】 大変よくおまとめいただき、ありがとうございます。いろいろなことを深く議論する機会が十分ではない中で、今までこの分科会で議論したことと、各分野別で議論いただいたことを非常に構造的にまとめていただいて、大変有り難いと思います。
1か所、お尋ねになるのかもしれませんが、この取りまとめの文書の2ページ目の2つ目の丸で、次期2年のうちの最初1年間において各分野別で議論いただき、それで戦略・計画を取りまとめて、次期の後期を活用して分科会を取りまとめということは、何というか、ボトムアップ的にやりますということで、そうすると、なかなかこう、先ほど丸、三角というのがありましたが、そこのボトムアップと、全体的な取りまとめの方向性で、どういうふうにキャッチボールしながらやるのかがちょっとはっきりよく分からないのですけれども、文科省の方では、事務局の方では今どういうふうにお考えなのでしょうか。

【佐野科学技術・学術戦略官】 ありがとうございます。本議論、今回取りまとめをするに当たっても、各委員会の事務局といろいろと情報収集、現状の把握など行ったところでございます。それで1つ、今後の進め方はまたちょっと、よく内部でも相談をしていくと思っておりますが、1つ考えていくべきところというのは、今動いている、第6期科技イノベ基本計画との関係というのは少し考えて進めるべきかと思っております。今回この参考資料を提示させていただいた理由といたしましては、この分科会の議論が、フェース・トゥー・フェースでの議論が最後になるということで、何らかの引継書的なものがあった方が、次の期に対して、先生方に対して、現状をより把握していただけるのかなと思ったところから御提案をさせていただいたところでございます。次の期が始まるときまでに、おそらく少し現状が進んでいる部分もあるのかなと思っております。例えば委員会が開催をされるというように聞いているところもございますし、先ほどの話で基本計画の関係を気をつけるべきという伊地知先生からの御指摘もあったかと思いますが、そうはいっても見ていく部分もあるかと思っておりまして、周辺状況を次の期が始まるまでに、更に事務局の方で整理をさせていただきまして、この引継書が必要だということで本分科会で御了解を頂く、若しくは修正をする等々いただき、基本計画の周辺状況における進捗状況を踏まえ、次期の分科会におきまして、新たな進め方について再度御議論をいただければと思っております。

【小池委員】 私もそういうふうに思っておりますので、最初の1年で審議しと記載がありますが、少し書き過ぎているかなと思っており、もうすこし丸めて記載してもいいのではないかなと思っています。今正にお話になったように、いろいろなものが進捗し、また期も変わるので、こういうふうにおまとめいただいたことは、次の期の議論のスタートの重要な視点になると思いますので、これを基に具体的に戦略をキャッチボールしながらやるとか、何かそういう、もう少し丸めて記載してもいいのではと思っておりました。

【佐野科学技術・学術戦略官】 分かりました。ありがとうございます。そうしますと、その時系列の具体的なところにつきましては、おっしゃるように丸めた表現に修正をさせていただきまして、次の期の先生方がより柔軟に議論をしていただけるような形で修正案を作らせていただきます。

【小池委員】 ありがとうございました。以上です。

【栗原分科会長】 ほかに御意見ありますでしょうか。

【青木委員】 すみません。手を挙げております。

【栗原分科会長】 はい、どうぞ。

【青木委員】 ありがとうございます。2ページ目の最初の丸ポツのところです。これはすごく適切な見解であり、非常にきちんと説明されていると思うのですけれども、注意書きのところで、可能でしたら典拠となる文書のページ数なり、情報なりがありましたら、より深く、どのような仕組みで研究開発計画というものが位置づけられ、つくられていくのかということが分かるのではないかと思います。ということを申しましたのは、私初めてこれを読みましたときによく分からなくて、これしばらくの間はずっと続くのだろうかというようなこともちょっと考えてしまいました。その後でちょっといろいろ調べるというところがありましたので、可能でしたら典拠ページなどがありましたらと思います。よろしくお願いいたします。
以上です。

【佐野科学技術・学術戦略官】 ありがとうございます。研究開発計画という言葉、おっしゃるとおり一般的な言葉のように少し誤解をされるというところもありまして、多少なりとも説明を入れたつもりでございますが、更にもっと分かりやすくすべきというような御指摘だと思いますので、事務局の方で考えて、より詳しく記載をするようにいたします。

【栗原分科会長】 ほかに何か御意見ございますか。今、小池先生がおっしゃった2ページ目の2つ目の丸のところと、それからその次に書かれている「第10期としては」というところは、非常に密接に関係していると思います。各委員会に検討をお願いする部分と、この分科会で議論するところについては、やはり分野別委員会での議論をこの分科会が支援できるように、少しずつ進んだ形が、もちろん分野別委員会から出てくる場合も、この分科会が提案することもあると思うので、特に最初の1年のキャッチボールは重要だと思います。多少そういうところを考慮することが必要という記載ですが、何かもう少しアクティブな形が出るとよいかと思っています。
例えば今回の議題1の、研究開発課題の評価のところで、施策マップの説明を頂いておりますけれども、このような活動も少し充実させることも、この分科会からお願いすることもあるかと思っておりました。

【佐野科学技術・学術戦略官】 ありがとうございました。先生、それは文章を少し修正した方がよろしいでしょうか。

【栗原分科会長】 2つ目の丸の文章を少し丸めると同時に、これは分野別委員会に検討をお願いするという文章だと思いますので、この分科会としては何を検討するのかが、その次に書いてあることとですので、そこに、取組を充実させることを考慮することが必要から、もう少し議論を進めることが必要という書き方もあると思います。

【佐野科学技術・学術戦略官】 もしその書き方でよろしければ、今おっしゃったような、取組を充実させ議論を進めると記載いたします。

【栗原分科会長】 次期分科会への申し送りという資料でしたら、その点を目指すことが必要というようなことの記載、の方が分かりやすいかなと思いますので、小池先生の御提案と併せて修正をお願いします。

【佐野科学技術・学術戦略官】 分かりました。

【小池委員】 小池です。大変賛成です。よろしくお願いします。

【栗原分科会長】 林先生、手を挙げていらっしゃいますか。

【林委員】 はい、林です。ちょっと久しぶりにこの議題、先ほど事務局が説明されたように、この分科会ではそんなにこの議論をしていなかったと思うので、なかなか理解がまだついていかないところもあるのですけれども、まず質問は、例えば資料2-3の2ページ冒頭にある丸で、最後で、新たな仕組みによる分野別戦略・計画と分野別研究開発プログラムが策定され云々なのですが、この書き方だと、戦略・計画という文書とプログラムというものは別物ということと理解できるんですけれども、そのときに戦略・計画とプログラムというものがどういう区分けになっているのかというのは、もしかしたら、今までそういう議論をしてきたのかもしれないですが、ちょっといま一つ覚えていなくて、この2種類というのがちょっとよく分からないなというのが1つの質問です。それから、先ほど議論があった、2つ目の丸の次ですね。「第10期としては」のところなのですけれども、そのプログラムというものの在り方云々について、今後5年をかけて検討すると書いてあるのですが、ここも、戦略・計画とどのくらいこのプログラムというものが重複するものなのか、別物なのかによるのだとは思うのですけれども、ただ、やはり分野別にエビデンスを持ってしっかりと検討したり、計画を立てたり、あるいは実績を評価していこうというのは、第6期基本計画にも様々なところで書かれているものであって、5年をかけて検討していこうというよりは、恐らく第6期の流れの中で、5年間で進んでいくことだと思います。第6期基本計画は、例えばライフとか各分野の内容は第5期に比べるとかなり薄くなって、それは内閣府の中の分野ごとの委員会があって、そこでいろいろな計画とかを立てているので、恐らくそれゆえに基本計画に余り書いていないと思うんですけれども、その分野ごとの内閣府がつくるような計画だって、別に、私は分かりませんが、恐らく内閣府が勝手につくっているわけではなくて、当然ながら文科省からいろいろなことを情報として上げていきながら、議論をしながらつくっていっているのだと理解していますが、やはりそういう中でも、例えば文科省の今の取組についてのエビデンスを上げていき、そして内閣府はいろいろな府省の状況を見ながら、文科省だけじゃなくてほかのところの省庁の取組も見ながら、またエビデンスをもって考えていくということだと思うんです。そうすると、やはり文科省の方でも、そのエビデンスを基にいろいろと議論していくという取組を早めに進めていかないと、そういうところに上げていって議論をする素材がないのではないのかなと思います。そのため、5年をかけてというのが、やや悠長な感じがするなと思います。
さきほどのプログラム評価については、各分科会から半ば屋上屋で大変だという話があったというのはよく理解したので、プログラム評価について、ある種の様式を埋めるような、そういう取組というのはあまりしてもしようがないというか、そういうことは分科会、各分野別委員会からの意見だと理解していますので、やはりそれぞれのところでエビデンスを持って、これまでもいろいろな議論をされてきたのだと思いますけれども、そういうところにエビデンスを持ってやっていくということを次の期の頭からできるだけ早く考えていくということなのではと理解をいたしました。
以上になります。

【栗原分科会長】 ありがとうございます。今の点についていかがですか。

【佐野科学技術・学術戦略官】 御指摘ありがとうございます。用語につきましては、実はこのペーパーのよりどころとなっている用語の使い方が参考資料3ということで、過去に科学技術・学術審議会総会で、事務局の方でまとめたペーパーの3ページの言葉遣いをなるべく生かした形で書かせていただいているところでございます。
今の御指摘の分野別戦略・計画という言葉遣いにつきましては、視点1のところで使われている言葉でございまして、プログラム、分野別プログラムという言葉につきましては、視点2のところで使われている言葉となってございます。視点1のところで、ここは分野別の戦略・計画をつくってもらえませんかということを言っておるのですが、視点2のところにつきましては、このプログラムというものの定義がされてございまして、ここのプログラムといいますのは、「各分野別委員会やプログラム担当課室の意向を踏まえて作成され、以下の1~3のエビデンスが盛り込まれるが、特に」云々という表現になっており、過去に整理をされた言葉を使って書かせていただいているというものでございます。
この言葉につきましては、いろいろな方、いろいろな委員会等で、言葉遣いが微妙に変わるということはあり得ることかなと思っておりますので、もしよろしければ、この分科会では過去にこのような形で定義を試みているということで、このまま使わせていただいて、次の期の議論のときには、再度言葉の定義というものを、ほかのところでの議論等を踏まえまして、再度この定義でよろしいのか、若しくは、少し現状の議論を踏まえて再定義をした方がよいのかということにつきましても、少しお時間を頂きながら整理をさせていただければなと思います。
それから2点目の5年間云々というところにつきましては、正に御指摘どおりかなと思ってございまして、ここにつきましては、先ほどの御指摘、小池先生からの御指摘の、少しぼかした言い方にするというところを少し応用させていただいた形で、年限を具体的に区切らないような形で今後議論していくとか、周辺の状況を勘案しとか、そういう言い方に修正をさせていただくのがよろしいかなと思います。

【栗原分科会長】 ありがとうございます。おそらく下の2つのパラグラフは、次期の分科会開始時より、分野別のプログラムや、新たな分野別戦略計画等に関して議論を速やかに開始して、継続的にブラッシュアップしていくことが必要という意図で書かれていると思いますので、今後5年をかけてを省き、開始時より議論するということでよろしいような気もするのですけれどもいかがでしょうか。

【佐野科学技術・学術戦略官】 はい、分かりました。

【栗原分科会長】 それから、最後のパラグラフは、今後俯瞰的・客観的なエビデンスに基づくような評価や分析の在り方が大事だということを、ここの分科会でも大分議論したところでもありますので、そういう視点を入れておきたいということは、多分皆さんも御賛成になると思います。この下から3行目のところに各省庁等という言葉があるのですが、これを当分科会における評価としてもよろしいと思いますが、いかがでしょうか。CSTIのコメントを踏まえて、当分科会でもエビデンスベースの客観的・俯瞰的な評価の観点や分析の観点を入れて、評価や戦略・計画等に生かしていきたいというようなことを次に申し送るというのは、前回、大分このエビデンスベースのところについて議論しましたので、今の林委員の御意見もそういうところだと思います。もう少し主体的な形で意見を残す。ただ、次の活動を縛らない程度に残すということでいかがかと思いますが、よろしいですか。

【伊地知委員】 伊地知ですけれども、繰り返しになりますがよろしいでしょうか、発言させていただいて。
先ほど質問させていただいたのですが、ここでの評価ということが研究開発評価に限定をされていればよく分かるのですけれども、単純にこういう今の原案のような書き方になっていると、政策評価、あるいは政策評価の枠組みにも入らない行政上の評価というようなことも含意されているのかどうなのかという点があるので、そこのところを事務局の方でよく整理していただいて、適切な形にしていただけたらよろしいのかなと思います。

【栗原分科会長】 それは大変貴重な御意見だと思います。どこまでカバーするのかによって、大分エビデンスの集め方とか、考え方が違うと思うので、どうもありがとうございます。

【五十嵐委員】 すみません。五十嵐ですが、よろしいでしょうか。

【栗原分科会長】 どうぞ。

【五十嵐委員】 私も、栗原先生、伊地知先生がおっしゃったとおりだと思います。今回の議論が始まったのは、まず分野別ありきではなく、エビデンスの重要性であったと考えています。この最後の文章のようなことをしていくためには、実は分野別で議論、計画、評価をしていく方がよりふさわしいんじゃないかというところで出てきたものだと私としては理解していて、その理解は間違っているのかもしれないのですけれども。そういう前置きでないと、研究開発計画も、各委員会で物すごく苦労してつくったものをまとめたので、また同じ作業になってしまわないかという懸念があります。うまくその辺が次の議論に引き継がれるようにしていただけるといいなと思います。

【佐野科学技術・学術戦略官】 御指摘ありがとうございます。先生のおっしゃるとおり、この議論につきましては、私がこの書類を追って、議事録等を拝見させていただいている限り、まずプログラム評価というものの必要性というところから、もともとは出てきており、かつ、特に昨年夏の議論では、非常に各委員会の作業等が大変だったというようなところ、それからエビデンスの議論というようなところが、おっしゃるとおりあるのかなと思っておりまして、少しまとめ方を少し考えないといけないかなと思っておりますが、屋上屋を重ねないということにつきましては、分野別プログラムの策定・活用や評価、負担軽減、評価の屋上屋排除、評価スキル・ノウハウの習得云々というところで、若干は負担が増えないようにというふうなことについては議論もあったかと思いますので、言及をさせていただいているかと思いますが、もし、更にということでしたら、少し検討させていただきます。

【栗原分科会長】 時間が大分押してきましたので、絶対に意見を伝えておきたいという方がいらっしゃれば、お受けしたいと思いますが。もしなければ、まだ御意見あるかとも思うのですが、取りあえずこの辺りまでということにさせていただければと思うのですけれども、いかがでしょう。よろしいですか。
それでは、本日いろいろ具体的な御意見いただきまして、ありがとうございます。研究開発プログラム評価の新たな仕組みについては、次期の第11期の研究計画・評価分科会に引き継ぎまして、また次期ではより具体的な取組に向けて順次進めていただきますよう、事務局においてはよろしくお願いいたします。今の御意見の出たような点に関して、観点やこの分科会としての活動というところに、もう少しフォーカスしたような書きぶり等お願いできればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
続きまして、議題3、その他になりますが、事務局から何かあれば説明をお願いします。

【新地企画評価課課長補佐】 事務局です。その他の議題は特にございません。

【栗原分科会長】 それでは、本日の議題は以上となりますが、その他皆様から何か御意見等ございますでしょうか。
よろしいですか。それでは、事務局から事務連絡等をお願いいたします。

【新地企画評価課課長補佐】 それでは、本日の議事録につきましては、後日事務局よりメールで送付いたしますので、御確認いただきますようお願い申し上げます。
最終的には栗原分科会長に御了承いただいて、文科省のホームページに掲載させていただくようになっておりますので、よろしくお願いします。
なお、本日の開催をもちまして、第10期研究計画・評価分科会は期間中の開催は最後になりますので、事務局を代表しまして、大臣官房審議官、科学技術・学術政策局担当の梶原より御挨拶申し上げます。

【梶原審議官】 皆様、本日は活発な御議論いただきまして、ありがとうございます。審議官の梶原と申します。
この第10期の科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会の終了に当たり、事務局を代表として一言御挨拶申し上げます。
委員の皆様におかれましては、これまで御多忙のところ、御議論を積極的に御参加いただき、厚くお礼申し上げます。特に栗原分科会長におかれましては、分科会長として分科会を支え、また、分科会の取りまとめに多大な御尽力を頂きまして、誠にありがとうございました。
第10期の研究計画・評価分科会におきましては、文部科学省における研究及び開発に関する評価指針を踏まえた研究開発課題の評価、研究開発プログラムの評価の試行的実施を踏まえた研究開発プログラムの評価の新しい仕組みなどに関して御議論いただきました。
次期、第11期におきましては、分野を超えた研究開発課題の取扱いや、分野別研究開発プログラムの策定・活用・評価の在り方について、各施策を進める上でも有効なものとして確立するよう、引き続き検討を進めてまいりたいと思います。
また、文部科学省としましては、今の本日の御議論にもありましたように、我が国の科学技術推進というシステムを含めた全体を見た中で、この分科会や分野別委員会の役割分担、役割がどういう位置づけにあるかということを考えて、しっかりとその上での議論が必要かと。それをしないと、やはりいろいろな重複みたいなものですとか、いろいろなことが起こってくると思いますので、その辺も整理して検討していきたいとは思いますので、今後とも引き続きよろしくお願いします。
また、今後とも委員の皆様方とは、様々な機会を通じて問題意識を共有し、我が国の科学技術イノベーション政策の推進のために御指導御鞭撻賜りたく、引き続きよろしくお願いいたします。
最後になりましたが、改めて本委員会の皆様方のこれまでの御尽力に感謝申し上げるとともに、皆様方のますますの御活躍を祈念して御挨拶とさせていただきます。
どうもこれまでありがとうございました。

【栗原分科会長】 どうもありがとうございました。今日の議論も含めて、先に続くようなまとめも頂きまして、大変本日の議論の最後として、我々としては心強いお言葉を頂きまして、本当にありがとうございます。感謝いたします。

【梶原審議官】 いや、こちらこそ、本当にいろいろとお世話になりました。ありがとうございます。

【栗原分科会長】 それでは、これで科学技術・学術審議会第75回研究計画・評価分科会を終了いたします。
2年間にわたり、委員の先生方におかれましては、科学技術に関わる研究と開発に関する評価や推進の重要事項について御議論いただきまして、本当に活発な御意見を頂いてありがとうございました。
三島前分科会長より引き継ぎまして、途中からで至らないことも多かったかと思いますが、皆様の活発な御意見で、この委員会の議論が少しずつ前へ進んだことを大変幸いに思っております。本当に重ねてお礼を申し上げます。
それでは、以上で閉会いたします。ありがとうございました。
 

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