研究計画・評価分科会(第72回)議事録

1.日時

令和2年6月11日(木曜日)14時00分~16時00分

2.場所

Web会議

3.議題

  1. 研究計画・評価分科会の運営等について(非公開)
  2. 研究開発課題の評価について
  3. その他

4.出席者

委員

栗原分科会長、小池分科会長代理、青木委員、春日委員、辻委員、雨宮委員、五十嵐委員、伊地知委員、小川委員、長我部委員、小林委員、高梨委員、髙村委員、寶委員、塚本委員、土井委員、永井委員、長谷山委員、林委員、水澤委員、山口委員、李家委員

文部科学省

菱山科学技術・学術政策局長、梶原審議官(科学技術・学術政策局担当)、合田科学技術・学術総括官、横井企画評価課長、山下科学技術・学術戦略官、新地企画評価課課長補佐、ほか関係官

5.議事録

今回の議事は、分科会長の選任、分科会長代理の指名等があったため、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会運営規則(平成13年2月27日決定)第6条の規定に基づき、開会から議題1までは非公開。

【議題1「研究計画・評価分科会の運営等について」】
  はじめに、資料1-1について、情報通信機器を利用したWebでの会議出席を、出席者とみなせるよう令和2年5月7日付で研究計画・評価分科会決定となった旨事務局より報告がなされた。
次に、科学技術・学術審議会令第5条第3項の規定に基づき、委員の互選により、栗原委員が分科会長に選任され、また同第5条第5項の規定に基づき、小池委員が分科会長代理に指名された。

以降、運営規則第7条の規定に基づき議事録を公開。

【栗原分科会長】 どうぞよろしくお願いいたします。それでは本分科会の会議をこれより公開といたします。よろしいでしょうか。

【山下科学技術・学術戦略官】 会長、準備が整っておりますので大丈夫でございます。よろしくお願いいたします。

【栗原分科会長】 それでは今年度、初めての研究計画・評価分科会の開催ですので、菱山科学技術・学術政策局長より一言御挨拶をお願いいたします。菱山さん、よろしくお願いいたします。

【菱山科学技術・学術政策局長】 文部科学省の菱山でございます。先生方、栗原先生はじめ、お忙しい中どうもありがとうございます。最近ウェブ会議がほとんどですけれども、まだまだこの運営、ソフトによって違ったりしていろいろ御迷惑をお掛けするかもしれませんが、本日もよろしくお願いいたします。
特にこういう、この新型コロナによって、テレワークやウェブ会議が多くなって、地理的な距離が不利な条件とかディスアドバンテージではなくなってきたと思っています。正にこれは科学技術によって、こういう会議が非常に効率的になっていくのではないかと考えております。今日は様々な研究開発課題の評価を御議論いただきますが、評価の方法についてもこういう時代に即した形で、どんどん進化していけばいいのではないかと思っております。今後ともよろしくお願いいたします。

【栗原分科会長】 どうもありがとうございました。新分科会長として御選任いただきましたので、私からも一言御挨拶させていただきます。このたび三島先生が御退任されたことから、全く思いがけず分科会長を務めさせていただくことになり、大変緊張しております。どうぞよろしくお願いいたします。研究計画・評価は、大勢で行う研究活動、プログラム、プロジェクトの入り口と出口を扱う大変大事なものだと思っております。研究の計画と評価、どちらも対象により、様々な観点もあり、手間も掛かり、評価疲れなどという言葉も聞かれるところです。その中で現場の活動の応援になるような評価、あるいは当分科会なりの観点を明確にしながら、研究の進展を柔軟に見て、よい活動を評価することが大事ではないかと考えております。
当分科会には様々な分野のエキスパートの委員の方々が参加されていらっしゃるので、議論の中でその御意見、御知見やお考えをお聞かせいただくことが、そのような評価には大切なことと思いますので、どうぞ活発な御議論をお願いいたします。
後半をまとめさせていただくこと、非力ですけれども努力してまいりたいと存じております。どうぞよろしくお願いいたします。以上でございます。それでは小池分科会長代理からも一言御挨拶を頂きたいと思います。よろしくお願いします。

【小池分科会長代理】 準備しておりませんでした。先ほど、栗原分科会長からお話がありましたように、私も青天の霹靂でこの代理を務めさせていただくことになりましたが、分野横断的な研究ということを少なからずやらせていただいてきたことが、今回のお役を、大任を拝命することになったと伺いました。いささかではありますけれどもその経験を生かして、非常に幅の広い、明らかに自分の領域をはるかに超えたところの入り口と出口をしっかり固めるという役柄でございますので、皆様の御協力いただきながら、これを進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。

【栗原分科会長】 どうもありがとうございました。
それでは委員の皆さんこれから今期末までどうぞよろしくお願いいたします。
今年度の研究計画・評価分科会は初めての開催ですし、このようなウェブ開催ということで、皆さんお互いの顔が見えない状況での開催ですので、一言ずつ御挨拶を頂ければと思います。
それでは配付資料1-2-1の名簿の上から順にお願いいたします。青木先生からよろしくお願いいたします。

【青木委員】 慶應義塾大学の青木節子と申します。分野横断的なところというところで、私は宇宙法を専門としているのですけれども、これは非常に文理融合、分野横断的なところで、少しずつ分かるような分からないような、何が分からないかということだけを分かっていきたいというように努めてまいりました。微力ながら頑張っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【山下科学技術・学術戦略官】 事務局にてお名前を、次からお呼びさせていただきます。雨宮委員、よろしくお願い申し上げます。

【雨宮委員】 雨宮です。私は本分科会の下にある量子科学技術委員会の主査を務めています専門は放射光科学です。現在、SPring-8/SACLAの利用支援・研究課題選定を行う高輝度光科学研究センターの理事を務めています。よろしくお願いします。

【山下科学技術・学術戦略官】 大変失礼いたしました。こちらが間違ってございました。次、五十嵐委員お願いいたします。

【五十嵐委員】 五十嵐です。どうぞよろしくお願いいたします。今期も様々な議論があるかと思いますが、微力ながら尽くしてまいりたいと存じますのでどうぞよろしくお願いいたします。

【山下科学技術・学術戦略官】 ありがとうございます。それでは次、伊地知委員お願いいたします。

【伊地知委員】 伊地知寛博と申します。どうぞよろしくお願いいたします。科学技術イノベーション政策論を専門としております。特に評価ということに関しましては、研究システムに関する分析等をしておりますので、そういった知見をこちらの会議でも生かせていただくことができればと思っています。よろしくお願いします。

【山下科学技術・学術戦略官】 ありがとうございます。続きましては小川委員、お願いできればと思います。

【小川委員】 小川と申します。私は核融合科学技術委員会の主査を務めております。核融合というものをより広く、科学技術の一環として、皆様と広く議論させていただければと思っておりますのでよろしくお願いいたします。

【山下科学技術・学術戦略官】 ありがとうございます。次、長我部委員お願いできればと思います。

【長我部委員】 日立製作所の長我部と申します。先ほど分科会長もおっしゃっていましたけど、現場や研究開発システムに役立つ評価が、ここに参加してできたらと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【山下科学技術・学術戦略官】 ありがとうございます。次、春日委員、よろしくお願いいたします。

【春日委員】 国立環境研究所の春日文子と申します。私は長いこと食品安全に関わってきて、今は環境学や、それから国際研究プログラムのマネジメントを行っていますけれども、そのほかにも創薬関係の研究評価にも関わっております。研究のマネジメントやファシリテーションという観点からも、微力を尽くせればと思います。よろしくお願いいたします。

【山下科学技術・学術戦略官】 ありがとうございます。続きまして小林委員、お願いしたいと思います。

【小林委員】 小林傳司と申します。よろしくお願いいたします。私は、専門としては科学技術社会論、科学哲学のような、やや文系的な分野をやっておりますが、委員会としては科学技術社会連携委員会の主査を務めております。こういう公共的な、公的な資金で行われる研究と社会のインターフェースについての、いろいろな角度からの議論に意見を申し述べたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【山下科学技術・学術戦略官】 ありがとうございます。続きまして高村委員、お願いできればと思います。

【髙村委員】 ありがとうございます。髙村でございます。東京大学の未来ビジョン研究センターに勤めております。専門は青木先生と同じです。国際法学、そして環境学でございます。私は環境エネルギー技術委員会の主査の任で、こちらの分科会にも出席をしております。特に科学技術の革新、非常に速い速度での技術の展開が起きていること、それから今の正にコロナの問題も含めた、環境問題に関わる様々な社会が求める解決にどう貢献できるかということで、かなりいろいろな研究の在り方自身を、環境エネルギー技術委員会でも議論をしております。是非分科会でも、御一緒に議論が深められたらと思っております。どうもありがとうございます。

【山下科学技術・学術戦略官】 ありがとうございます。続きまして寶委員、御発言をお願いできればと思います。

【寶委員】 寶馨と申します。京都から参加しております。この3か月ほど、1回も新幹線に乗らないような生活が続いております。
私が所属しております総合生存学館といいますのは、リーディング大学院プログラムでできましたオールラウンド型の正に学際融合の大学院でございます。今年で8年目になります。どうぞよろしくお願いします。専門分野は防災と水の分野でして、どちらも学際的なことが必要な分野であります。どうぞよろしくお願いいたします。

【山下科学技術・学術戦略官】 ありがとうございます。続きまして塚本委員、お願いいたします。

【塚本委員】 ありがとうございます。ただいま御紹介いただきましたキャタピラーの塚本と申します。企業枠、しかも外資系ということでかなり門外漢ではございますが、議論の幅を広げるような観点から、何かお役に立つことができればいいなと考えております。ウィズコロナということで、たった3か月でイージャパン戦略以来、19年間全然できなかったことが、教育でも政治の世界でも、あとは医療の世界でも起こってきているということで、この辺の変化がどのように変わっていくのかということに個人的にも興味を持っておりますので、皆様からいろいろと学ぶことができればいいと思っております。よろしくお願いいたします。

【山下科学技術・学術戦略官】 ありがとうございます。続きまして辻委員、お願いできればと思います。

【辻委員】 NTTアドバンステクノロジーの辻でございます。よろしくお願いいたします。私は情報委員会の委員もさせていただいております。情報通信の観点から、少しでもお役に立てるよう頑張ってまいりますのでよろしくお願いいたします。

【山下科学技術・学術戦略官】 ありがとうございます。続きまして土井委員、お願いできればと思います。

【土井委員】 土井です。私、前職ではずっと情報の中のヒューマンインターフェース、どうやって使い勝手をよくするかという研究をしてまいりました。退職後は監事や理事など、どちらかというとガバナンスとしての立場でやっております。とはいえ、イノベーションに関しては、引き続きいろいろ頑張っていければと思っております。よろしくお願いいたします。

【山下科学技術・学術戦略官】 ありがとうございます。続きまして永井委員、お願いします。

【永井委員】 自治医科大学の永井でございます。専門は内科学・循環器病学ですが、ライフサイエンス委員会の主査をしばらく務めてまいりました。どうぞ。

【山下科学技術・学術戦略官】 ありがとうございます。それでは長谷山委員、続きましてお願いいたします。

【長谷山委員】 北海道大学情報科学研究院の長谷山でございます。マルチメディア、AIを専門としております。広く多様な研究分野に利用される領域の視点から、少しでもお役に立てるよう貢献できればと思っております。よろしくお願いいたします。

【山下科学技術・学術戦略官】 よろしくお願いいたします。続きまして林委員、お願いできればと思います。

【林委員】 政策研究大学院の林と申します。専門は科学技術政策になります。研究評価は科学技術政策の研究の中でも一つ、重要なトピックですので、分科会長がおっしゃったように、評価が徒労や形骸化したようなものではなくて、意味がある評価になるような仕組みというのを皆さんと一緒に考えていければいいなと思っております。よろしくお願いいたします。

【山下科学技術・学術戦略官】 ありがとうございます。続きまして水沢委員、お願いできればと思います。

【水澤委員】 国立精神・神経医療研究センターの水澤と申します。医学で精神科・神経内科の研究所でございます。文部科学省では脳科学委員会の主査を務めております。どうぞよろしくお願いいたします。

【山下科学技術・学術戦略官】 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。続きまして山口委員、お願いできればと思います。

【山口委員】 山口でございます。所属は東京大学です。専門は原子力工学で安全工学を主にやっております。現在、原子力科学技術委員会を務めておりまして、御承知のとおり原子力工学というのは総合工学ということですので、研究と科学技術というものがうまくマッチングしていくように頑張っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【山下科学技術・学術戦略官】 ありがとうございます。続きまして李家委員、お願いできればと思います。

【李家委員】 東京大学航空宇宙工学専攻の李家と申します。航空科学技術委員会の主査を務めておりまして、今期またそこで務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

【山下科学技術・学術戦略官】 先生方ありがとうございました。全て終わりましたので栗原会長にお返ししたいと思います。よろしくお願いいたします。

【栗原分科会長】 皆さんいろいろな御意見ありがとうございました。
それでは議題2の研究開発課題の評価についてです。本日はライフサイエンス委員会の研究開発課題に関わる事後評価1件、中間評価6件、計7件を審議いたします。
ライフサイエンス委員会において取りまとめられた評価結果を、資料2-1から2-15として配付しておりますので、これを基に御審議いただきます。 まずは資料について、事務局から説明をお願いいたします。

【新地企画評価課課長補佐】 事務局の新地です。資料の2-1を御覧ください。ライフサイエンス分野の施策マップでございます。
2019年度に評価対象となっている研究開発課題で、現時点で分野別委員会において評価を終えている研究開発課題が、今回評価いただく対象になりますので、緑色の枠で囲っております。
なお、今回の対象外の研究開発課題については、次回以降の研評分科会で評価いただきます。
また審議の都合上、施策マップの研究開発課題の記載順と本分科会資料の審議順が異なっておりますが、今回の対象となる研究開発課題名の冒頭に記載している数字の順に御審議いただくことになりますので、よろしくお願いいたします。以上でございます。

【栗原分科会長】 ありがとうございました。今日評価するもの以外にも、今期評価する、ここでまとめるものがあるということで、本日はこのグリーンに囲われている7件について審議するということでございます。
まず、ライフサイエンス委員会から、事後評価1件と中間評価丸1 及び丸2 の2件を15分で説明していただき、その後、15分間の質疑の時間を取りたいと思います。全体として件数が多いので、二つに分けて行い、そのあとに中間評価丸3 から丸6 の4件を20分で説明していただき、その後20分間の質疑時間を取ります。
資料は各委員宛てに事前に送っていただいておりますので、説明は評価票の必要な部分のみを簡潔にお願いいたします。
これだけのものを5分ずつでというのは大変無理なお願いではありますが、よろしくお願いいたします。
それではライフサイエンス委員会主査の永井委員から、事後評価と中間評価丸1 、丸2 の御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

【永井委員】 永井でございます。事後評価1課題と中間評価が2課題ございまして、3課題、15分で説明させていただきます。
最初に事後評価、感染症研究国際展開戦略プログラムでございます。概要はお手元の資料を御覧いただきたいと思いますが、ページ数につきましては、右下に通し番号がございます。それを御覧になってください。資料2-2の12ページを御覧ください。
この感染症研究国際展開戦略プログラム、J-GRIDといいますが、これはアジア・アフリカの海外研究拠点におきまして、相手国機関の協力の下に、現地であるいは診断治療薬等の基礎的研究を推進し、感染制御に向けた予防診断治療に関する新しい技術開発、人材育成を図ることを目的としております。
本事業が、平成27年度から昨年度までの5年間の期間を終了いたしました。事後評価を行いましたので御報告いたします。
評価結果は13ページ、3、評価結果(1)課題の達成状況から、観点ごとに御説明いたします。
初めに必要性であります。これは13から14ページに記載しております。感染症が非常に重要な脅威であると、先進国、途上国を問いませんが、これは今回のCOVID-19によって改めて認識されたところであります。
感染症流行地に研究拠点を整備し、現地で感染症研究を推進するという事業でございます。このような社会的ニーズから我が国における感染症対策に貢献することが強く求められておりますし、政府の方針にも合致し、今回のパンデミックを通じても必要性は非常に高かったと、評価いたしました。
有効性につきましては14から15ページに記載がございます。この事業では、各海外研究拠点が現地で築いたネットワークを活用し、感染症流行地で疫学調査、検体等を活用した基礎研究を実施することによって、多くの成果を上げてまいりました。
また、人材育成につきましては、これに参画した若手研究者の多くが、感染症研究者として国内外の研究機関で研究員となるなど、着実な感染症研究者の育成につながっていると考えられます。
このほか多くの大学におきまして、現地国からの留学生を受け入れるなど、現地国の人材育成と研究レベルの向上に貢献し、信頼関係のさらなる強化が図られてまいりました。
以上のことから、事業の有効性は高かったと評価いたしました。
効率性については、15から16ページに記載してあります。多くの海外研究拠点では、現地国研究機関とのネットワークが構築されており、速やかな感染症情報の共有、大規模かつ継続的に検体を収集する体制が整備され、効率的に研究成果を生み出しております。
また、各海外研究拠点と、国立感染症研究所をはじめとする国内の研究機関との連携を図るため、各拠点が整備する病原体のゲノム情報を集めたデータベースを活用する研究も推進し、多くの成果が上がっております。
さらに、海外研究拠点での安定的な研究の継続に向けて、現地国での政府研究費の継続的な獲得、国際グラントの獲得等の努力がなされております。
以上のことから、本事業の効率性は高かったと評価いたしました。
以上を踏まえた総合評価は16ページに記載してあります。本事業は着実な成果を上げており、今後の発展が期待できるとともに、総合評価として必要性、有効性、効率性、いずれも非常に高かったと評価しております。
そのほか、今回のCOVID-19に関して、本プログラムが支援した取組、研究成果につきましては、事後評価結果の取りまとめ時期と重なる形で進行したものが多いため、今回の報告書には十分反映されておりませんので、主なものを御紹介いたします。
初めに、中国に拠点を設置する東京大学におきましては、これまで推進していた、中東呼吸器症候群、MERSコロナウイルスに関する研究の成果を踏まえて、新型コロナウイルス感染症の治療薬候補として、ナファモスタット、フサンという薬ですが、これを同定しております。
また、本事業で拠点整備を行った長崎大学ベトナム拠点を中心とした中国及び東南アジアの6拠点の研究者が、昨年度末より科研費、特別研究促進費によって、蛍光ランプ法による新型コロナウイルスの検出技術を確立しております。
このように、有事に対応するという点においても、海外に研究拠点を設置し、現地国との信頼関係を構築する上で感染症の研究を推進していく意義は非常に大きいと考えております。
このプログラムに関する説明は以上でございます。
続いて、中間評価の丸1 、感染症研究革新イニシアティブについて御説明いたします。概要は資料2-4、右下の通し番号で21ページを御覧ください。
感染症研究革新イニシアティブ、J-PRIDEといいますが、これは我が国における感染症研究機能の強化と、感染症の革新的医薬品の創出を図るため、BSL4施設を中心とする感染症研究拠点に対する支援と、病原性の高い病原体等に関する創薬シーズの標的探索研究を行うために、平成29年度から開始した10年間の事業であります。
今回、事業開始から3年間の中間評価を実施いたしましたので御報告いたします。
評価でありますが、課題の進捗状況は25ページ、3、評価結果(1)課題の進捗状況を御覧になってください。
長崎大学の感染症研究拠点については、エボラウイルスやラッサウイルス等の病原性の極めて高い病原体の研究と、それを支える人材の育成、高い安全性を備えた研究設備の整備等への支援を推進してまいりました。
また、創薬シーズの標的探索研究につきましては、26ページ1行目から記載しているテーマを設定し、若手感染症研究者が行うライフサイエンス分野以外の研究者との分野横断的な連携や、斬新な視点・発想等に基づく創薬標的の発見につながる基礎的研究を推進してまいりました。
このことにより、異分野の研究者や臨床医が連携した研究チームにおいて革新的なアイデアによる成果の創出が見られたほか、長崎大学の感染症研究拠点におきましては、BSL4施設の稼働を見据えた準備緊急における成果の創出や、施設を取り扱う人材の育成が進められてまいりました。
以上のように、目標に対して着実に進捗しているということから、本事業は適切に進捗していると、評価いたしました。
続いて(2)の各観点の再評価に関して、必要性、有効性、効率性の項目別の評価を説明いたします。
まず必要性ですが、26から27ページを御覧ください。社会的ニーズや政府方針に合致し、我が国における感染症対策に貢献することが強く求められておりますので、必要性は高いと評価いたしました。
有効性につきましては、27ページに記載がございます。創薬シーズの標的探索研究におきましては、支援した課題の多くで新規性のある異分野融合研究が試みられており、今後の感染症研究におけるさらなる可能性が示されたと考えられます。
また、長崎大学の感染症研究拠点においては、国内の大学との連携の下、準備研究が進められ、病原性の高いウイルス感染症の迅速診断や治療薬の開発につながる成果が出ているとともに、それらの研究に多くの若手研究者が従事すると、人材の育成も着実に進んでおります。
このことから、本事業の有効性は高いと評価しております。
続いて効率性ですが、28ページに記載がございます。研究者間の交流促進による競争力と協調力の向上を目指した様々な取組の実施や、研究者層の厚みと幅を広げるために、分野横断的な研究グループの参画を促進するための公募などを通じて、効率的かつ効果的に実施されていると考えております。
以上より、本研究の効率性は高いと評価いたしました。
今後の研究開発の方向性でございますが、これまでの評価を踏まえ、本課題は継続する方向性で取りまとめております。
なお、今年度からは、本事業と先ほどの感染症研究国際展開戦略プログラム、J-GRIDを発展的に統合し、新興・再興感染症研究基盤創生事業として実施しております。
その他でございますが、COVID-19のような新興感染症や再興感染症に対する備えとして、最新の知見に基づいた基礎的研究を実施する研究基盤を構築し、こうした研究に携わる研究者を継続的に育成することは、今後の我が国の感染症対策を考える上で極めて重要でございます。
今年度以降も引き続き事業を推進することにより、有益な研究成果が生み出されることを期待しております。この件に関する説明は以上でございます。
もう一つ、中間評価がございます。老化メカニズムの解明・制御プロジェクトであります。
このプロジェクトは、平成29年度から令和3年度までの5年間の事業期間で、今回、開始から3年間の中間評価を実施いたしましたので御報告いたします。
このプロジェクトは、通し番号33ページ、上段の図のとおりでございます。
大阪大学原拠点、又は東北大学片桐拠点を中心とする二つの研究開発拠点と、その研究開発を技術的に支援する神戸医療産業都市推進機構を中心とする研究推進・支援拠点鍋島拠点において、老化そのものを加齢関連疾患の基盤ととらえて、老化のメカニズムの解明、制御を目指した研究開発等をAMEDの一貫した支援推進体制の下で実施しております。
各観点の再評価に関して、必要性、有効性、効率性について評価を御説明いたします。
まず、必要性でございます。これは41ページを御覧になってください。本年5月に開催された「ニッポン一億総活躍プラン」フォローアップ会合等におきまして、引き続き老化メカニズムの解明と制御を目指す基礎研究や、その研究基盤の整備等を推進するとされておりまして、現在も政府の方針に従っております。
第4段落に創出された代表的成果を3点挙げており、先ほどの政府方針との整合性に関する点も含めまして、必要性への要求事項は満たしていると評価しております。
有効性ですが、42ページを御覧ください。このプロジェクトは基礎研究を体系的に実施強化するため、各開発拠点を専門的な解析技術等による支援と拠点間の意見交換等の連携を推進するということで、研究推進・支援拠点を設置したとしております。
第3段落にこの推進・支援拠点は、国内の優れた研究基盤を持つ大学機関が参加する解析支援チームの設置、その他、意見交換、人材交流など連携を推進したとしております。
また第4段落で、研究推進・支援拠点の解析支援等、老化メカニズムや制御につながる成果例を示しております。有効性の評価を満たしていると評価しております。
効率性も、43ページですが、第2段落に基礎研究、また解析支援連携の拠点、それぞれ役割を分担して効率的につながっているとしております。
さらに、AMEDにおけるPS、POによる進捗確認、予算配分等を遂行しており、人材交流も行われており、日本の老化研究の、非常に効率的な推進を図ったということで、効率性の要求事項を満たしております。
今後ですが、本プログラムは、継続することが妥当と判断されました。理由は各観点の再評価で述べたとおりで、国あるいは国際的に競争力が非常に高いとしております。
その他でございますが、事業終了時に、治療に資するシーズ等の創出を行い社会還元すること、また各拠点が存続されるよう検討が進められているということで、またAMEDの課題管理等で、ほかの事業との連携姿勢によって、老化という未知の病態のメカニズムの発見などに発展するということが記載されるとしております。以上でございます。

【栗原分科会長】 ありがとうございました。ただいまの御説明について御意見、御質問等おありでしょうか。手を挙げていただくのですけれども、私が気づかない場合もあると思いますので、その場合には声を掛けていただければと思います。
土井先生、春日先生、手を挙げていらっしゃるので、その順番でお願いします。

【土井委員】 ありがとうございます。土井です。ただいま御説明いただきましてありがとうございます。今回、中間評価ということで、特にJ-GRIDとJ-PRIDEですか、非常に今の時期に合っている研究だと思うのですが、今後、COVID-19の影響によって、海外拠点との連携は研究の進め方が難しくなっていると思うのですが、その辺りどのように、課題やそれぞれの研究、プロジェクトのところから、何かこういう新しい支援が必要だなど挙がっているものがあれば教えていただければと思います。

【永井委員】 まず私から、このJ-GRIDは事後評価になりますけれども、かなり深い、研究者間の人間関係が築かれているように思います。若手人材あるいはアプローチプロジェクトの交換と、ある意味で信頼関係ができているということで、全体の流れは変わっていないと思います。変わらないと思いますし、また新しいプロジェクトにも対応できるのではないかと思います。事務局からもう少し詳細を御説明いただけますか。

【栗原分科会長】 事務局の方いかがですか。

【山下科学技術・学術戦略官】 少しお待ちください。

【ライフサイエンス課(佐藤)】 ライフサイエンス課でございます。感染症担当が今、アクセスが落ちてしまっているということですので、復帰し次第そのタイミングで挙手発言をさせていただければと思いますがよろしいでしょうか。

【栗原分科会長】 分かりました。それでは、春日先生、今の御質問はお戻りになったときにお答えいただくということで。御質問をどうぞ。

【春日委員】 ありがとうございます。私もこの感染症に関する質問が2つございます。
今回の新型コロナウイルス感染症などのように、新たな病原体による非常に甚大な事態が起きたとき、それから、流行の動態や流行地が、これまでの研究対象から大きく外れたような場合、今後、J-GRIDとJ-PRIDEが統合された形の研究プロジェクトの中では、柔軟な対応が可能なのでしょうか。それが1点。
それから、特にJ-PRIDEで既に進められている長崎大学、BSL4施設ですけれども、準備の研究に非常に有効に、こちらが動いているという御説明でしたけれども、BSL4施設稼働後の、実際の施設を運用しての研究費にも、こちらの研究事業の研究費が使われる予定でしょうか。この2点、伺いたいと思います。

【永井委員】 最初の御質問ですけれども、もちろん連携しているところとその流行地が合致するのは実際は珍しいわけでして、大事なことは政府間、それと研究者間の信頼関係を作るということだと思います。それについては、これらのプロジェクトで十分達成されています。お互いに尊敬し合う関係を作ってまいりましたので、情報の共有を柔軟に行う、あるいは資料の交換を行う体制は作られていると思います。
BSL4の予算の使い方につきましては、事務局からお願いできますか。

【戦略官付(岩崎)】 事務局です。 最初に、今の春日先生の御質問からお答えさせていただきますが、確かに流行している場所と今やっていることの取組に差が出た場合というのはあると思いますけれども、今回、先ほど永井主査から御説明ありましたとおり、迅速にCOVID-19に関しても、検体を頂いて、ウイルスの分離に成功したりなど、そういった成果を上げてきております。
また、BSL4に関しましては、実際出来上がってからBS4として使えるまでに少し時間がございます。その間は準備研究ということで、BSL3施設として使いながら研究をしていくことになるかと思います。
また、BSL4稼働後の研究費につきましては、検討中でございますので、今後考えていくことになろうかと思います。
また、最初に御質問いただきました海外拠点が、今この状況下ではなかなか向こうに行くことができないなど、そういった問題があるのではないかという御質問を頂きました。どうもありがとうございます。
この点につきましても永井主査から御説明ありましたとおり、まずは信頼関係があること、またこのウェブ会議のようなシステムで、海外拠点と定期的にミーティングを持ちながら、研究を遅れさせることなく進めておると聞いております。以上でございます。

【栗原分科会長】 ありがとうございました。よろしいでしょうか。この長崎大のBSL4の施設は、国内唯一のものだと聞いていますので、いろいろな方が使えるような体制が、今後も育っていくことが大事ではないかと思い、そういう点も大事だと思って伺っておりました。よろしいですか、春日先生。では次、小池先生、林先生、どうぞ。小池先生からまずどうぞ。

【小池分科会長代理】 2つの質問があります。
まず1つ目のJ-GRIDです。大変すばらしい成果を上げておられると思います。
私がすばらしいと思いましたのは、現地での若手の育成ということで9か国とやっておられることと、それから情報ネットワークを使っておられるということです。実は日本学術会議の課題別委員会で私は防災の国際展開の委員会をやっているのですが、この現地での、そういう研究分野をリードする方々、あるいは社会との橋渡しをする方々、これをファシリテーターと言っているのですけども、そういう方々の育成と、情報を共有するシステム、これは委員会ではオンラインシンセシスシステムと言っておりますが、こういうものを組み合わせて国際協力を進めていく必要があるとうたっております。このプログラムはもうそれを地で行っておられて、大変すばらしい。
しかも現地で活動しておられるということで大変すばらしいと思うのですが、質問は、国をまたいで、要するに今9か国で各大学が担当してやっておられますが、この9か国が総合的に情報交換やあるいは人材育成の経験を交換されるような場があるのかということを一つ質問したいというのが、1点目です。
2点目は老化メカニズムの御報告ですが、2つ驚いたことでありまして、1つ目はアウトプットカム指標、アウトプット指標はなしと書いておられて、これを最終的におまとめになるときにこういう指標なしでは心配なところがありますということと、それから前の感染症関連の2つは、若手の育成ということを非常に強く出しておられるのですが、この中間評価には、若手という言葉が一切出てこないのですね。
この期が始まったときに、博士課程の学生数が減っており、その育成の重要性がこの期の委員会の最初に議論されたことであったと思うのですが、私それが頭にこびりついているもので、この今の御報告の中にそういうものがなかったということが少し気になっております。
その2点について、この老化メカニズムから、何かしらお考えいただければ有り難いと思います。以上です。

【永井委員】 永井でございます。最初の御質問、9か国の相手国、相互の連携、私もそこは承知しておりません。申し訳ありません。それは事務局でまた御説明いただければと思います。
それから老化のアウトプットの問題ですが、私の理解をしているところではこれは従来の大型研究と同じように、もちろん論文であるとか、若い人たちがどのくらい先端的な研究を行ったか、あるいはキャリアを形成したかということで、恐らく取り立てて老化固有の指標というよりも、従来の指標を踏まえているという意味であえて明記されていないのではないかと思います。この点についても、事務局から追加していただければと思います。

【栗原分科会長】 事務局の方いかがですか。

【戦略官付(岩崎)】 それでは感染症から先にお答えさせていただきます。拠点間の連携ということは確かに重要だと考えておりまして、実は事業が始まった途中から拠点間で連携するような研究を推進してまいりました。例えばデング熱の研究など、共通の課題に関して拠点間で連携しながら共同で研究を進めるというようなやり方を実施しております。以上でございます。

【栗原分科会長】 そういうのも付け加えた方がいいというような御意見なのか、私も実はこれ、大学間の一対一の研究が推進されているので、拠点間連携はどうかというのは拝見していて思ったので、特に今後、感染症研究にはネットワークの形成が非常に大事と思うので、せっかく拠点間で連携してなさっているのであれば、少しそういうこともお書き加えになったらいかがでしょうか。

【戦略官付(岩崎)】 ありがとうございます。ではそのようにさせていただきたいと思います。

【栗原分科会長】 よろしいでしょうか。それでは林先生。

【林委員】 ありがとうございます。私からも2点御質問したいのですが、3つの事業、共通してですけれども、特に事後評価のところです。
恐らく、この事業の中で各大学と国がペアリングしてあって、それぞれ6つだか7つだかあったと思うのですけれども、AMEDあるいは文科省では個々の大学というか、個々のプロジェクトごとの評価もしているのではないかと思うのですけれども、よくこういう事業の評価だと、その下で行われている個別のプロジェクトと言っていいのか分かりませんけど、そういうものの評価結果の分布がこうなっていて、特に優れた評価が得られたところはこれこれの理由であり、そしてそれがどういうやり方をうまくやったからこうなったんだみたいな、何かそういうインプリケーションが出てくるような話がよくあります。
このプログラムの場合、そのような個別の課題プロジェクトと言っていいのか分かりませんけれども、そういうものの評価が行われているのか、あるいはそこからの有効なやり方のインプリケーションというのが得られているのかというのはいかがでしょうというのが1点目です。
それから2点目は、先ほどの小池委員の御質問と近いのですけれども、例えば事後評価のところを見ても、本当に研究であったり人材育成だったりネットワークだったり、様々なアウトカムが出ているというのは非常によく分かるのですけども、それが例えば、当初考えていたものよりもとても進んだのかとか、有効であるとは書いてあってもそれがどの程度有効なのかというのが、なかなか読んでいても分からないところがあるんです。
例えば事前に目標としていたものがあって、それに対してより進んだ結果が出ているとか、何かその辺りの程度と言っていいのか分かりませんけれども、そういうものというのはあるのでしょうかというのが2つ目の質問になります。

【永井委員】 永井でございます。個別評価は中間評価あるいは最終評価とそれぞれ個別に行われております。それを踏まえての評価であるということでございます。
それから、成果がどのくらいインパクトが大きいかということは、想定外の成果が大事と思います。例えば今回、十分反映はされておりませんけれども、COVID-19に対する対応というのは、J-GRIDの基盤があってのことです。成果というのは、正にCOVID-19自体も想定外でありましたし、それに関する研究も行え得たということが私は想定外の成果に挙げられるのではないかと思います。
老化に関してはまだこれからの段階ではないでしょうか。最終的に想定外だったのは何かということは当然問われると考えております。以上です。

【栗原分科会長】 ありがとうございました。よろしいでしょうか。それではあとお2人手が挙がっているので、そこまでにさせていただきたいと思います。水澤委員お願いします。

【水澤委員】 J-GRIDの話がございました。途中回線が乱れていて、もしかしたらお話あったかもしれませんが、J-GRIDではアフリカや東南アジアは非常によくカバーされていると思うのですけども、中南米の拠点というか、そういうのはあまり書いてなかったように思うのですが、今後の予定としてはそちらまでカバーされるような予定なのかをお聞きしたいと思います。

【永井委員】 J-GRIDはもう終了しましたので、これは事務局から説明をお願いいたします。

【戦略官付(岩崎)】 御質問ありがとうございます。新規事業におきましては、アジアやアフリカなどということで公募しておりまして、アフリカはもう1か国増えてございます。他方は南米もスコープに加えるかという話も議論としてあったのですけれども、実際その拠点を持っているところというのがなかなか、今後この事業の中で拠点を持っているところが積極的に参加できるような研究の枠組みなど、そういったものを考えていきたいとは思っております。以上でございます。

【水澤委員】 ありがとうございました。例えば少し前にジカ熱といったものがあったと思いますので、南米、中南米もかなり重要かと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

【栗原分科会長】 それでは小林先生、最後の質問ですがよろしくお願いします。

【小林委員】 これは質問というかコメントでございますが、特にJ-GRIDは事後評価でこれで終了したということで、先ほどこれの取りまとめのときにコロナの問題が起こっていたのだということで、それが事後評価に反映されていないため、永井先生から補足の説明を頂いたと思います。
先ほども想定外の問題が起こって、それに対応できたのだというお話がありました。
それで、これはテーマからいって、J-GRIDなどというのは、社会、国民から非常に関心が高まるようなタイトルのプログラムでございます。
そして実際にコロナに関する一定の関係、貢献があったのだということであれば、何かサプリメントでもいいですから、そういう、先ほど説明されたような内容を併せて公表するとかそういうことはできないのでしょうか。それが社会に対する一つのアカウンタビリティーではないかと思います。以上でございます。

【永井委員】 ありがとうございます。今回、COVID-19が起こったので、この領域が注目され評価されているのですね。起こってなかったら、ほとんど皆さん関心を持たれないというのがこの領域の宿命のようなところだと思います。そういう意味で、私自身は、よくやっていたと思います。きちんと文科省も支援をしてきました。
しかし先生がおっしゃるように、具体の成果というものはきちんとここで述べるべきだと思います。以上です。

【栗原分科会長】 そうすると必ずしも、ここで追加にしても、そういう事象について書かない方がいいというのが永井先生の。

【永井委員】 いえ、しっかり書くべきだと思います。COVID-19に関する研究そのものというよりも、そこに至る道のりですね。

【栗原分科会長】 私も全く同感でして、そこで準備がきちんとできていたからこそ、ほとんど終了と同時に起こったようなことに短期間で対応できたというのは、きちんと書かれた方がいいのではないかと思います。
私もこの点をコメントしたいと思って考えているところだったので、小林先生ありがとうございます。
それでは、幾つか書かれていない点について質問を頂いて、それについては活動されていることが随分多かったので、加えていただくということと、特に今回、コロナウイルス関係の御活動は、非常にこういう蓄積があったからこその対応で、このプログラムが非常にきちんといい時期に動いていたということでもあると思いますので、書き加えていただければと思います。
それでは続いて、中間評価丸3 から丸5 について、永井委員から御説明をお願いいたします。

【永井委員】 永井でございます。4つ、中間評価の報告があるのですが、最後は私自身が関与し利害関係者となっておりますので、事務局から御説明いただきます。
それでは中間評価の丸3 番で、創薬等ライフサイエンス研究支援基盤事業でございます。資料2-8、47ページを御覧ください。概要は48ページにございます。
この事業は通称、BINDSと呼んでおります。我が国の優れた基礎研究の成果を医薬品等としての実用化につなげるため、創薬等のライフサイエンス研究に資する高度な技術や施設等を供用する先端研究基盤を整備・強化しまして、大学・研究機関等による創薬標的探索研究、作用機序解明に向けた機能解析研究等を支援する事業でございます。平成29年度から令和3年度まで5年間行います。
今回、平成29年度と30年度の2年間の評価を行いました。中間評価として実施しました。
進捗でございますが、49ページにございます。この事業で実施する全てで、59件の研究開発課題において外部研究者を支援することが事業の特徴でございます。
50ページに外部研究者への支援件数の推移を示しています。平成29年4月の事業開始から件数は順調に伸びておりまして、昨年9月で1,700件を超える支援事業を行っております。
進捗でありますが、59ページを御覧ください。 多くの創薬研究課題に対して支援件数、表3-1にございますが、2017から18年の2年間で累積5つの支援ユニットで、合計1,465は高いと評価できるとしております。
有効性は59ページでございます。学術成果として2年間の論文が126件ございました。また、サイエンスに立脚した革新的創薬手法を作り、それを技術基盤として実装し、特許出願が合計44件に及んでおります。有効性は高いと評価できると思います。
効率性は61ページでございます。定例のPSPO会議、あるいはユニット・領域ごとの情報交換により、事業の運営を戦略的・効率的に推進しております。
また、化合物ライブラリー等のアーカイブ化等にも取り組んでおります。事業の効率性は高いということでございます。
62ページに総合的な評価でございますが、継続して実施すべきと評価しております。
そのほかの留意点でございますが、まず研究成果がオープンサイエンスに寄与できるよう、終了後の適切な時期に特許による公開、オープンアクセスがなされる論文として発表し、またデータの公開、あるいは新規技術、あるいは高度化された技術が社会実装されるように努めるべきということ。
もう一つは、基盤的支援事業ですので、他のAMED事業とも積極的に連携し、幅広いライフサイエンスの支援基盤として機能することが望ましいという点を挙げております。
この件に関する説明は以上でございます。
続いて、ナショナルバイオリソースプロジェクトについて、資料2-10、67ページを御覧になってください。
これはライフサイエンス研究を支える基盤として、国が整備することが重要な実験動植物、あるいは微生物等のバイオリソースの整備を行うものであります。平成29年度から令和3年度まで5年間の事業で、第4期となります。令和元年度までの3年間の中間評価を実施いたしました。
進捗です。各プログラムにおいて、着実な進捗が見られます。全体として順調であると評価しております。着実にバイオリソースの整備が進んでおり、計画どおりあるいはそれ以上の収集・保存・提供の実績を上げております。
バイオリソースの品質管理、保存技術の向上、さらにバイオリソースの付加価値を高めるための技術開発等も成果が上がっており、順調であると評価しています。
必要性でございますが、69ページでございます。「中核的拠点整備プログラム」は着実にバイオリソースの整備が進んでおり、計画どおりあるいはそれ以上の実績を上げております。
また、情報センター整備プログラムは、各リソースのデータベースの更新を随時行っており、またアクセシビリティーを向上させるということで、利用アクセスは着実に増加しております。
「基盤技術整備プログラム」及び「ゲノム情報等整備プログラム」は、バイオリソースの品質管理と保存技術の向上、更にバイオリソースの付加価値を高めるための取組を行っており、これらのバイオリソースが、我が国のライフサイエンス研究の進展に必要不可欠な基盤であり、今後も着実に整備することが重要である。
したがって、本事業の必要性は高いと考えております。
有効性は70ページにまとめてございます。「基盤技術整備プログラム」「ゲノム情報等整備プログラム」におきまして向上、付加価値を高めるための技術開発が行われております。
成果論文ですが、4期中の年間平均で約2,500件が出されております。インパクトファクター10以上の雑誌に掲載された成果論文も、3年間の年間平均で約150件であり、質・量ともに着実に成果を上げております。
このため、事業の有効性は高いと評価できます。
効率性は71ページでございます。各研究者が維持管理する負担が何よりも軽減すると、そして質の高いリソースを利活用できるため、時間、労力、研究費の有効利用に貢献しております。
「中核的拠点整備プログラム」はリソースごとに運営委員会を置き、研究ニーズを踏まえた運営を行っております。「情報センター整備プログラム」では、実施機関、関連データベースとも連携して情報を集約し、公開も迅速に行っております。
事業運営もPS・POが定例の会議だけでなく、メール等で連絡を密とし、各プログラムの連携協力推進の調整を行っております。また現状を把握するため、サイトビジットも実施しているということ。これらの理由で、効率性は高いと評価できます。
今後の方向性ですが、72ページを御覧ください。指標評価を勘案し、継続して実施すべきと評価しております。
微生物、ヒト由来試料まで、実にリソースは多彩でございます。どのようなリソースが求められるか、研究動向・社会情勢の変化を踏まえて、ユーザーのニーズを的確に把握することが重要であるという点が指摘されております。
この件は以上でございます。
もう一つ私から、医療分野国際科学技術共同研究開発推進事業について御報告いたします。右下の通し番号で77ページでございます。
この事業の概要、目的についてですが、医療分野における先進新興国、開発途上国との国際共同研究等を戦略的に推進し、最高の医療提供、地球規模課題の解決に貢献することで、国際協力によるイノベーション創出、科学技術外交の強化を図るものであります。
この事業には、複数の国際共同研究プログラムが含まれており、現在継続されているものとして、ODAとの連携により、アジア等の開発途上国と感染症分野等における地球規模課題の解決につながる医療分野の国際共同研究を行うSATREPS、それから相手国の合意に基づく感染症分野の国際共同研究を推進し、我が国への医療分野の研究開発振興に貢献することを目指すSICORP。さらに、アフリカにおける熱帯病の予防、診断、創薬、治療法開発、成果の社会実装を目指すNTDs、これらの対策のための国際共同研究プログラム。そして世界から若手研究者を公募し、メンターの指導の下に医療分野の難題課題の解決に向けた研究計画立案、国際共同研究を実施するInterstellar Initiative、これらの事業、プログラムがございます。
評価ですが、88ページにございます。必要性は、国が策定した科学技術基本計画、健康医療戦略等において、国際共同研究の推進、地球規模課題への対応、国際的医療貢献、我が国の医療水準向上と、こうした点が求められており、本事業はそれらに対応することを目的としており、必要性が高いという評価となっております。
有効性は89ページでございます。本事業の個々のプログラムにおいて、多数の成果が上がっており、会議運営の政府からも高い評価を得ております。
1例ですが、SATREPSはベトナムとの国際共同研究におきまして、フードチェーンからの耐性菌感染経路を解明し、功労記念賞が授与されております。
ケニア、タイではそれぞれ、政府の疾病サーベイランスシステムと国の結核対策ガイドラインに研究成果が採用されています。
更にSICORPですが、これはメコン川流域のタイの肝吸虫、肝臓に取りつく寄生虫ですが、これによる胆管がんの新規診断法を確立しております。
NTDs対策のための国際研究プログラムでは、ザンビアにおいてハンセン病の高感度かつ高精度の検査方法を確立いたしました。
いずれのプログラムも、国際共同研究の成果が日本の研究水準の向上にも裨益しており、有効性は高いとされています。
90ページに効率性について述べております。事業の実施に当たり、PS・POを導入していると、これはもちろんでありますけれども、国際レビューアをお願いして、レビューの質の向上も図っています。
TICAD会議の機会にシンポジウムを開催して成果を紹介して、横展開に向けた取組も行っております。
さらに、国際共同研究の公募手続を行うに当たりまして、リードエージェンシーという、一方の国がまとめて公募手続を行うことによる手続の簡素化について導入を検討しており、これらの点から効率性は適切であるとしております。
以上の評価を勘案しまして、本プログラムは継続することが妥当と判断いたしました。
その他の点でありますが、91ページに今後の研究開発推進の留意点が述べられております。国際共同研究プログラムの拡充と、国内向け研究の国際化で連携を図っていくこと。SATREPSについては、研究成果を途上国において社会実装につなげるスキームを構築していくこと。Interstellar Initiativeにつきましては、事業で採択した研究者同士のネットワークのフォローアップを行っていくことの3点を挙げております。
私からは以上、中間評価3つについて御説明させていただきました。以上でございます。

【栗原分科会長】 ありがとうございました。それでは資料2-14の中間評価丸6 について、永井委員が利害関係者でいらっしゃるために、事務局より説明をお願いいたします。

【濱田基礎研究推進室専門官】 文部科学省基礎研究推進室の濱田と申します。中間評価丸6 、革新的先端研究開発支援事業について説明させていただきます。資料95ページを御覧ください。
革新的先端研究開発支援事業は、革新的な医薬品や医療機器、医療技術につながる画期的シーズの創出・育成を目的としています。国が定めた研究開発目標の下、大学等の研究者から提案を募り、組織の枠を超えた時限的な体制を構築して、先端的研究開発を推進しています。
JSTで実施していた戦略的創造研究推進事業のプログラムのうち、医療・創薬をターゲットとする研究領域がAMED発足時に移管され開始された事業です。
終了年限が決まってない事業ではありますが、今回、中間評価を実施しましたので結果を御報告させていただきます。
本事業はチーム型研究のAMED-CREST、個人型研究のPRIME、それらの成果を企業導出等に向けて加速・深化させるLEAP等から成ります。本事業は、文部科学省が設定する目標の下、AMEDが研究開発領域を定め、更に領域のマネジメントを実施していただく研究開発の先生を選定します。
PS・POの下、将来、医療・創薬に革新的なインパクトを及ぼす優れた研究課題を採択し、バーチャルネットワーク型研究所として運営していただくという事業です。
96ページ下段から97ページに掛けて、最近のインパクトの高い成果事例がまとめられております。
また特に97ページの下段にありますように、本事業で優れた基礎研究が行われていることの証左として、三大科学誌に多数の論文が投稿されております。
また特許数が、平成30年度末までで90件、またAMEDの他事業に移行した件数は23件であり、基礎研究が応用フェーズにつながっていることが伺えます。
評価票の101ページ(2)各観点の再評価に関して、必要性、有効性、効率性の項目別の評価について御説明いたします。
まず必要性について、国が関与する必要性・喫緊性があるか、社会的・経済的な要請に合致しているかという評価基準で評価しております。
学術研究から生まれ、優れた成果を医療・創薬につなげる研究については、市場原理に委ねるのみでは十分に取り組まれないことから、国として取り組む必要性が高いと評価しております。
またAMEDは、基礎から応用まで一気通貫に取り組むという理念で運営されておりますが、その中で最も基礎側の研究に取り組む事業として、AMEDの他事業にシーズを提供するという面でも着実に貢献できていると考えております。
次に有効性について、102ページを御覧ください。科学的・学術的に質の高い成果を創出しているか、将来の革新的な医薬品や医療機器、医療技術等につながる成果を創出しているか等を基準に評価しています。
科学的・学術的な面では、インパクトファクター10以上の国際科学誌への掲載数が、平成28年度が141報、平成29年度122報と着実に成果を上げていると考えております。
また、平成27年度のAMED設立以降、累計90件の特許が申請・登録に至っているなど、社会的・経済的価値の創出に向けても着実に貢献していると考えております。
最後に効率性については、制度設計、運営体制、またAMEDによるマネジメントは適切かという観点で評価しております。
PS・POによるサイトビジットや領域会議の開催、AMED-CRESTに参画する若手研究者同士の合宿によるネットワークの形成等のマネジメントが着実に実施されております。
加えてLEAPについては新たに応用研究、臨床研究等の研究者とのマッチングフェーズを設ける等、成果の最大化に向けて適切な運営がなされていると考えております。
以上の諸評価を勘案し、本プログラムは継続することが妥当と判断されました。
説明は以上です。

【栗原分科会長】 ありがとうございました。それでは、ただいまの中間評価丸3 から丸6 の説明について、御意見、御質問等ありましたらよろしくお願いします。青木先生、どうぞ。

【青木委員】 ありがとうございます。どれも希望の持てる御報告で、すごくうれしく存じました。
質問は1つです。ナショナルバイオリソースプロジェクトについて、具体的には71ページになります。71ページで、国内外共にデータベースの利用アクセスが増えて13万件とございます。この内訳は、国内・国外どのぐらいの割合なのかということはお分かりでしょうか。そして国外については、どこの国からのアクセスがどの程度なのかということも、御存じなのでしょうか。それが分かることによって、国際協力などがどう進んでいるかということも分かるのではないかと思っての御質問です。
2点目、もう一つあるのですけれど、バイオリソースについて様々なものがあると思います。中には機微性があるもの、軍事転用が容易なものもあると思うのですけれども、輸出管理、外為法上の技術の取引になっていないかどうか、データベースを出すときにその辺りの注意はどのようになされているのでしょうか。この点をお伺いしたいと思います。ありがとうございました。

【永井委員】 ありがとうございます。これは事務局からお願いできますか。

【栗原分科会長】 では事務局、お願いします。

【ライフサイエンス課(辻山)】 事務局ですが、アクセスの内訳等については申し訳ありません、今現在、具体的なデータを持ち合わせておりませんので、また改めて調べた上で御報告させていただければと思います。
外為法の関係につきましては、基本的にはそれぞれの所属する研究機関などで適切に対応していただいているという認識でおります。事務局からは以上です。

【栗原分科会長】 ありがとうございました。よろしいでしょうか。

【青木委員】 はい、結構です。ありがとうございます。

【栗原分科会長】 それでは、春日先生お願いします。

【春日委員】 ありがとうございます。SATREPSに関して、2つ御質問があります。
資料の91ページ、こちらにSATREPSの課題について少し記述があります。もともとこのSATREPSは、途上国のニーズ等、地球規模課題の解決と将来の社会実装に向けた研究ということですけれども、そうは言っても、社会実装のステークホルダーとの間にギャップが存在するという評価が書かれています。
これは目的から考えますと、最初からステークホルダー巻き込んでいったはずではないかと思うのですけれども、どこがネックになっているのか、何がギャップの原因なのか、そういう分析はされているでしょうか。
それから2点目ですが、SATREPSは基本的に一対一のプロジェクトなわけですけれども、そこから得られたり引き出されたりする成果というものは、必ず他の地域、又は世界、グローバルな観点からも応用可能な、適用可能なものがあると思います。
それをどうやってコモナイズするのか、またほかの地域への実装に役立てていくのか、この事業全体としてのお考えはどのようになっているのでしょうか。以上です。

【永井委員】 これも事務局にお願いできますか。

【栗原分科会長】 それではよろしくお願いします。

【福島国際戦略官付室長補佐】 1つ目の御質問ですけれども、ステークホルダーとのギャップについてでございますが、これは基本的に研究が始まる前に、国内の研究者と相手国側の研究者でよくすり合わせをして、プロジェクトの実施合意文書を交わして、出していただくという形になっているのですが、研究を進めていくうちに、相手国側の前向き度に、若干ばらつきが出てくるような状況でございます。
その点に関しましては、例えば相手国の中でしっかりステークホルダーへのつなぎ役をやるようなコーディネーターを入れたり、あとはワークショップを開催したりしまして、ステークホルダーにも参加していただいて、研究の成果を広く知っていただくというような取組を、AMEDと検討させていただいている状況でございます。
それから2つ目の御質問、成果のコモナイズでございますけれども、これにつきましても研究成果について広くワークショップ等を開きまして、特に近隣国で同じような課題を抱えている国がたくさんあったりしますので、ステークホルダーや関係国の省庁の担当者等にも出ていただいて、こんな成果がありましたということを広くお伝えするということを進めているところでございます。

【春日委員】 ありがとうございます。そのような取組を是非、評価書の中にも書いていただければ良かったのではないかと思います。読み逃していたら申し訳ないです。そういうことを含めていただけると、今後のためにも役に立つのではないかと思います。

【福島国際戦略官付室長補佐】 ありがとうございます。書きぶりについて再度検討させていただきます。

【栗原分科会長】 同じページに書いてある上の項目の国際共同研究の抜本的強化として、こういう共同研究プログラムとともに、国内向けの研究費を活用した国際共同研究の推進を両輪としてと書かれているのですが、これは国内向けの研究費においても、国際連携を強調した例えば審査を行うとか、そういうようなことを意識して書かれている文章でしょうか。
具体的なプラクティスというか、何を、どのような活動を推進するというという点について具体的なイメージがあれば伺えればと思います。

【福島国際戦略官付室長補佐】 分かりづらくて恐縮でございますけれども、当事業で実施している国際プログラムのほかにも、従来国内向けのプログラムというのはいろいろあるわけでございまして、そういった中でも今、これは医療分野だけに限らず国際協力や国際共同研究にも使えるような支援を広げていこうという検討を省内では進めております。そういったところとの連携を進めていくということでございます。
あと先ほど、春日先生から御質問いただいたように、研究成果を国際的に広げていくだけではなくて、それをきちんと国内の研究にも還元していくという意味で、国内の医療水準の向上にもつなげていくということをしっかりやっていく必要があるだろうという指摘を頂いておりますので、そういった意味で書かせていただきました。文章が分かりにくいと思いますので、こちらも書きぶりを改めて検討させていただきたいと思います。

【栗原分科会長】 ありがとうございます。両輪は使いやすい言葉ですが、ここでは具体的なイメージがわかりにくいと思いましたので、質問させていただきました。ありがとうございます。よろしくお願いします。それでは、長我部先生どうぞ。

【長我部委員】 ありがとうございます。バイオリソースプロジェクトに関して質問があります。
(5)のその他のところに、本事業を継続していくには、持続的に関わる若手研究者、技術者、その育成やキャリアパスや後継が大事ですという指摘があります。このような共通基盤的なリソースプロジェクトもそうですし、機器の共用などのプロジェクトにおいて、携わる研究者のサービス的な側面と、自分も成果を出さなければいけないという、その折り合いがなかなか難しく、審査の過程で、実際にこうしたプログラムに関わる方々から問題意識が出てきます。こうした問題に対して何か有効な手立てが打てそうか、その辺りの感触が評価の過程で分かっていましたら教えていただけますか。以上です。

【栗原分科会長】 いかがでしょうか。

【永井委員】 これは非常に難しいところで、毎回同じような指摘が出るのですが、しかしその中でも着実にそれぞれの研究者も伸びていますし、またリソースのクオリティーも非常に高まっていると伺っております。
具体的な対策というところ、細かい評価委員会での意見については、事務局からお願いしたいと思います。

【栗原分科会長】 よろしくお願いします。

【ライフサイエンス課(辻山)】 事務局からです。例えば、論文の著者として積極的に関わっていただくなどというのが取組の一つだと思います。
そのほかについては、今こちらで具体的に事例を出すのは難しいです。

【長我部委員】 ありがとうございます。永井先生がおっしゃったように非常に難しい問題ですが必ず出てくる問題で、指摘するばかりでなくて共に考えて、なんらかこういうところに手を打っていかないと基盤的なものが弱くなりますので、お話させていただきました。御回答で大体分かりました。ありがとうございます。

【栗原分科会長】 ほかにいかがでしょうか。細かいことですけど、先ほど丸3 番の課題ですが、BINDSというのが評価書の中にはたくさん書いてあったのですけど、先ほど永井先生が、通称BINDSとおっしゃったんですけども、どこにも書いていないですよね。だからどこかに通称BINDSというのを書いておいていただきたいと、形式的なところのコメントで恐縮ですが、お願いできればと思います。
あと、この中で、非常にクライオ電子顕微鏡についての成果が上がっているということで、非常にたくさんの成果が書かれているのですけれども、おそらくクライオ電顕は非常に新しい技術なので、評価指標のようなところは、放射光を使ったたんぱく質の構造解析というところでアウトプットの成果数を数えられています。クライオ電顕はたんぱく質を結晶化しないで評価できるという意味では非常に新しい有効なツールですし、同時に使いこなすのはなかなか難しい技術でもあって、このようなネットワークの研究対象とするのは非常に大事なことではないかと思います。データの解析が難しいと聞きますので。
このテーマに対して、非常に丁寧に報告いただいているのですが、何か今後、評価指標等のところについて御検討されるような予定はあるのかと思って、質問させていただければと思います。

【永井委員】 永井ですが、評価指標は何よりも想定外の件ということだと思います。既に幾つか、世界的な発見や教科書を書き換えるような、いろいろな新しい知見が得られておりますので、その点についてはあまり心配しておりません。
ただ、このクライオ電顕はこの数年、急激に導入されてきた設備ですので、まだ試行錯誤しながら運用を考えているというところではないかと思います。拝見していて、非常に短期間に多くの成果が上がっているように思います。
BINDSの事業というのは、クライオ電顕以前からケミカルライブラリーや、あるいは化合物の結合たんぱくの探索、あるいは毒性の試験など、いろいろな研究がBINDSで行われておりますので、そういうところも含めまして、今後、評価指標をよく考えて、評価していきたいと思います。
ただ現場では、いずれのプログラムも非常に高い評価を得ているということを伺っております。私からは以上でございます。

【栗原分科会長】 ありがとうございます。化合物ライブラリーも非常にうまく使って、ヒト化合物もたくさん出ているということで、本当に先端的な基礎研究の成果がうまく生かされているプログラムだと拝見します。
ほかに御質問ありますか。水澤委員、お願いします。

【水澤委員】 ありがとうございます。

【栗原分科会長】 最後の質問でお願いします。

【水澤委員】 全体に関わることですけれども、非常にすばらしい成果がつながっていると思います。
そういう印象と、よくメディア等で、日本の研究力が落ちてきているということをしばしば見ることが多いと思うのですけれども、きょうのような、こういった話はほとんどないわけです。
これはもちろん最先端の成果だと思いますけれども、これを正しく、メディアの方々等に伝わっていないのではないかと思うのですが、何かの工夫ができるのではないかと思うんですけど、特に事務局でしょうかね。どうでしょうか。

【栗原分科会長】 どちらの事務局の、ライフサイエンス課なのか企画評価課なのか。せっかくこんなにプログラムが成功しているのに。

【水澤委員】 そうですね。

【栗原分科会長】 必ずしも伝わってないのではないかという御質問ですが、いかがでしょうか。

【山下科学技術・学術戦略官】 それではまず企画評価課からお答えさせていただいて、ライフサイエンス課も付け加えがあれば答えていただくようにいたします。
まず企画評価課で考えています研究力は、かなり客観的なエビデンスが取れるようになって、ここ10年ぐらいだと思いますけれども、国総体で見たときに、あるいはライフ分野もそうかもしれませんけれども、世界各国に比べて例えば論文数の総量や、被引用度の高い論文のシェアが落ちてきていると。
絶対的な数は日本の論文数は増えているわけですけれども、少なくとも世界的シェアが減っていたり国際共著が減っていたりと、それが少しマクロには見えるのですけど、確かにおっしゃるように、こういう支援事業がなされているものについての成果はきちんと丁寧に見ると成果が残っていると。
この辺りのひもづきやあるいは分野融合的な部分がどう発展していくのかというのは、更に少し、マクロあるいはメゾぐらいの視点から見ていく視点図を、こういう一つ一つのプロジェクトで取り上げられる中の、文脈も含めた研究成果だとか、社会へのインパクトですとか、そういったものをいかにつなげていけるか。
あるいは先生方にもきちんと御理解いただいて、見ていただけるような形でお示ししていけるかというのは、非常に大切な課題であり、我々としても今後、何らかの形で努力させていただく、まだ工夫の余地がたくさん残されていると認識してございます。必ずしも答えになっていない面もございますけれども、以上でございます。

【水澤委員】 ありがとうございました。是非よろしくお願いします。

【栗原分科会長】 ライフ課の方、何かありますか。

【ライフサイエンス課(佐藤)】 ライフサイエンス課の佐藤と申します。山下戦略官、ありがとうございました。正に御指摘いただきましたように、例えば今回のBINDSの成果でありますとか、革新センターの成果のように、点と点という意味においては、世界トップレベルの成果が引き続き日本は創出できていると承知をしております。
ただそれが線になり面になり、全体統計というようになると、先ほど正に山下戦略官がおっしゃったような捉えられ方、そしてデータの見せ方ということになってしまうと思います。
実際ライフサイエンス課におりましても、こういった研究成果が出てということは日々接しているわけですけれども、そういった一点一点のすばらしい成果、それと全体の結びつきというところをどう見せていくかというところは、ライフサイエンス分野ももちろんですけれども、全体の見せ方と調整をさせていただきながら考えていければと思っております。以上です。

【水澤委員】 ありがとうございました。

【永井委員】 永井です。今の点、ライフサイエンスにしても医学研究にしても、進め方が変わってきたように思います。いろいろな技術が進歩したために、かつて物理学や化学がたどったように、ライフサイエンスが大型化しております。
そういう意味で、今の時代は、個別の研究室で研究を進めるよりも、学術的な横断性であるとか、中核と拠点をうまくネットワーク化するという、こういう研究が求められているわけで、そうした動きに我が国が対応するようになったのはまだ今回の報告が最初ぐらいではないかと思います。
そういう意味で、この動きを更に推進してより成果を上げていけば、日本のライフサイエンスもまだまだ力があるし、新しい人材も育つのではないかと思います。
そういう変わり目のときの最初の御報告と私は考えます。以上です。

【水澤委員】 ありがとうございました。

【栗原分科会長】 ありがとうございました。大変、最後に貴重なディスカッションができて、いろいろ御意見を伺えてよかったと思います。
それでは、もう大体時間ですので、今回のこの報告、事後評価と中間評価ですが、⓪の事後評価の課題については、この新型コロナ関係のCOVID-19の関係の成果をこの基盤として、そういう基盤ができたということの一つの大きな証拠というか明確な成果として書き加えていただくとか、あとは個別研究だけではなくてネットワーク化できるというところを付け加えていただく。
それから丸5 番目については、国際連携のところと、今後について春日先生の御質問のところについて書き加えていただくというところで、コメントのあったところは大体そういうところだと思います。あとはこの形で、今回の評価をこの分科会として決定したという形でよろしいでしょうか。
事後評価と中間評価の中のこの2つの課題については、頂いた御意見を基にして、事務局において修正いただき、永井先生に確認いただいた上で、私が分科会として確認させていただいて、本分科会の決定として決定したいと思いますが、そういう手順でよろしいでしょうか。
ほかに、ここをもう少し付け加えたらという、たくさん御意見ありましたので、今のところが大体主なところかと思うのですが、落ちているところなどありますでしょうか。なければそのように進めさせていただきたいと思いますがよろしいでしょうか。
ありがとうございます。皆さんが顔を振っていただいているので、了解いただいたと理解して、ここでの決定としたいと思います。
続きまして、議題3がその他になりますが、事務局から何かあれば御説明をお願いいたします。きょうは永井先生、本当に長い説明ありがとうございました。

【山下科学技術・学術戦略官】 事務局山下でございます。特にございません。

【栗原分科会長】 それでは、事務局から次回の予定等についてお願いいたします。

【山下科学技術・学術戦略官】 引き続き山下でございます。次回の分科会につきましては、既に御案内させていただいておりますけれども、7月16日の14時から16時となっております。今回と同様にウェブ会議での開催を予定してございます。
詳細についてはまた改めて御案内いたしますけれども、きょう御議論いただきました正に分野融合ですとか研評分科会、各分野別委員会の御議論を少し考えていくために、昨年やっておりました研究開発プログラム評価の試行の結果辺りは、御報告あるいは御審議、御議論いただけるかなと思ってございますので、御出席いただける委員の皆様におかれましてはよろしくお願いいたします。
資料はできるだけ早めに皆様にも共有させていただきたいと思っております。
加えて中間・事後評価も少し御審議いただきたいと思ってございます。
なお補足でございますが、政府の中で概算要求の手続の期限が1か月後ろ倒しになってございます。従来8月末ということで、これに向けて、特に新規課題の評価は必ずきちんとやっていくと、これは政策評価法に基づく手続として必要な部分でございますけれども、今年度は9月の下旬になりましたので、新規課題を特に中心に御議論いただく分科会につきましては、7月16日以降は9月に1、2回程度、課題数が分かりませんが、それを予定してございます。
こちらの日程につきましてはまた御調整させていただいた上で、会長の了解も頂きまして、皆様に御案内させていただきたいと思います。
また本日の議事録につきましては、後日事務局よりメールで送付させていただきますので、御確認いただければと考えてございます。
最後に、最終的には、栗原分科会長に御了承いただいて、冒頭の非公開議事を除きまして、文部科学省のウェブページに掲載させていただきたいと考えてございます。
本日は、御審議ありがとうございました。御協力ありがとうございました。

【永井委員】 ありがとうございました。

【栗原分科会長】 それではこれで科学技術・学術審議会の第72回研究計画・評価分科会を終了いたします。
ウェブでこういう評価という重たい課題を審議するのは大変緊張しましたけれども、皆様の御協力で大変活発な御議論を頂きまして、本当にどうもありがとうございました。
これで終了いたします。

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科学技術・学術政策局企画評価課

(科学技術・学術政策局企画評価課)