研究計画・評価分科会(第64回) 議事録

1.日時

平成30年4月13日(金曜日)15時~18時

2.場所

文部科学省3階3F1特別会議室

東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 平成30年度研究計画・評価分科会における研究開発課題の評価の実施について
  2. プログラム評価における参考指標(我が国全体の状況を把握する指標)について
  3. 研究開発プログラム評価の実施方法について
  4. 研究開発課題の評価について
  5. 部会等からの報告
  6. その他

4.出席者

委員

大垣分科会長、栗原分科会長代理、春日委員、辻委員、雨宮委員、五十嵐委員、小川委員、長我部委員、北川委員、高梨委員、髙村委員、土井委員、長谷山委員、樋口委員、松田委員、山口委員、李家委員

文部科学省

藤野サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官、坪井科学技術・学術政策研究所長、佐野科学技術・学術政策局長、松尾大臣官房審議官(科学技術・学術政策局担当)、勝野科学技術・学術総括官、齊藤参事官(ナノテクノロジー・物質・材料担当)、犬塚科学技術・学術政策研究所総括上席研究官、松岡科学技術・学術政策局企画評価課長、國分科学技術・学術政策局企画評価課課長補佐

5.議事録

【大垣分科会長】  それでは、大変暖かい気候になってまいりましたけれども、新年度の第1回でございますが、ただいまから、第64回科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会を開催いたします。
 議事に入る前に、配付資料等について、事務局から説明をお願いいたします。

【國分企画評価課課長補佐】  科学技術・学術政策局企画評価課の國分でございます。
 初めに、事務局に人事異動がございましたので、御紹介いたします。
 大臣官房審議官、松尾泰樹でございます。

【松尾大臣官房審議官】  松尾でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【國分企画評価課課長補佐】  本日は、研究計画・評価分科会の委員・臨時委員25名のうち、現時点で14名に御出席いただき、科学技術・学術審議会令第8条第1項に定める定足数の過半数を満たすことを御報告いたします。なお、高村委員、高梨委員、松田委員から、遅れて御到着されるとの連絡を頂いております。
 また、今回も、前回に引き続きペーパーレス会議を実施させていただきます。本日の配付資料については、配付資料一覧のとおりで、全ての資料はタブレットPCで御覧いただけますが、一部の主要な資料については、紙でもお配りしております。
 タブレットPCですが、卓上にスタンドを立てた状態で置いてあります。スタンドの角度は自由に変えられるようになっております。タブレットPCに不具合が生じた場合や操作方法が不明な場合などは、事務局に適宜お申し付けください。
 また、今回は会議時間が3時間と長時間にわたりますので、16時30分頃を目途に、議題3が終了したところで、10分程度、休憩を取らせていただく予定です。

【大垣分科会長】  ということで、少々長丁場の会議になりますが、よろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入ります。
 議題1「平成30年度研究計画・評価分科会における研究開発課題の評価の実施について」であります。
 まずは、事務局から、資料について説明をお願いします。

【國分企画評価課課長補佐】  お手元に印刷しました紙の資料1-2を御準備いただければと存じます。
 今年度の計評分科会における研究開発課題の評価の実施方法等について御審議いただき、本日決定したいものでございます。昨年度からの変更点を中心に御説明いたします。
 評価は、机上配付資料にございます「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」を踏まえて行うこととしておりまして、この「(平成30年度研究開発・評価分科会における研究開発課題の)評価の実施について」では、評価の区分、評価の進め方、留意事項、その他にまとめてございます。
 1の評価の区分につきましては、変更はございません。
 事前評価につきましては、総額10億円以上のものが対象となりますので、今年度も漏れのないようにお願いいたします。
 1枚おめくりいただいて、2の評価の進め方でございます。
 (1)は、分野別委員会ごとに研究評価計画を策定するということで、変更はございません。
 次のページ、(2)を御覧いただけますでしょうか。
 マル1の「分野別委員会における評価の実施」については、実施する内容に変更はございませんが、文言の修正をさせていただきました。
 1つ目が、1ポツ目、個別課題評価の際に添付する施策マップについて、これまでは「俯瞰(ふかん)図」としておりましたが、「施策マップ」として定着しておりますので、「俯瞰(ふかん)図」という表現をやめて、「施策マップ」という表現に修正させていただきたいと存じます。
 また、2ポツ目、委員会における評価結果について、これまでは計評分科会からの視点で、「評価(案)」とさせていただいておりましたが、「委員会としての評価結果」と修正させていただきました。これは、前回の計評分科会から、委員会としての評価結果を報告していただき、それと同じ内容の案を計評分科会で決定する評価結果の案として審議するものであるということが明確になるように、資料の構成を変更させていただきましたので、それに合わせた修正でございます。
 マル2についても、マル1の修正を受けた修正でございます。様式につきましては、変更はございません。
 最後のページ、23ページ目を御覧いただけますでしょうか。こちら、評価の様式の後ろに別紙として、評価に関する留意事項ということで付けてございます。各委員会におかれましては、この別紙の部分をよく御覧いただきまして、研究開発ごとに特に重視すべき項目について、評価委員との間であらかじめ共有しておいた上で評価を行っていただければと存じます。
 事務局からは、以上です。

【大垣分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明について、御質問等ありましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 特段ないようでしょうか。失礼、どうぞ。

【栗原分科会長代理】  今、最後に御説明いただいた別紙のところですが、よく評価のときには22ページまでが出てきて、別紙は出てこない資料のときもあるので、是非、留意点も含めて共有の上やっていただくように、各委員会にお願いしていただくようにお願いいたします。

【大垣分科会長】  何か事務局で考えていることはありますか。

【國分企画評価課課長補佐】  こちらも、事務局に様式等を配付する際には、この別紙まで含めるようにお願いしたいと思います。

【大垣分科会長】  ありがとうございました。
 ほかにはよろしいですか。
 それでは、今後の対応としては、そのように別紙を間違いなく配るようにしていただいて。

【栗原分科会長代理】  意外とここは議論としては長い議論をされているところが別紙にまとまっているので、よろしくお願いしたいと思います。

【大垣分科会長】  あるいは、もう少し分かりやすい場所に入れるとか、方法があるかも分かりませんね。
 それでは、「平成30年度研究計画・評価分科会における研究開発課題の評価の実施について」という資料をこのとおり決定することとしてよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【大垣分科会長】  どうもありがとうございます。それでは異議ないものといたします。
 それでは、議題2「プログラム評価における参考指標(我が国全体の状況を把握する指標)について」に移ります。
 まずは、事務局から、資料について説明をお願いいたします。

【國分企画評価課課長補佐】  こちらも紙の資料で、資料2を御準備いただけますでしょうか。タブレットの方は、参考資料2、参考資料3になります。プログラム評価における参考指標(我が国全体の状況を把握する指標)(案)についてでございます。
 前回、研究開発計画で設定しているアウトプット指標、アウトカム指標では、文部科学省の事業だけの成果・進捗を測定することになってしまうことから、プログラム評価を実施するに当たっては、これらに加え、それぞれの分野に関する我が国全体の状況を把握するための指標を参考指標として設定し、国際比較等により国内の状況を踏まえた評価をしようというものでございます。
 前回、12月の計評分科会において、事務局から、可能な限り既存の資料を用いるということで、指標の候補として2つの提案をさせていただきました。1つ目が、中段あたりにございます候補1、各分野のサブジェクトカテゴリごとの論文数、もう一つが、下の方にございます候補2の社会・経済的に生み出される価値の内容等による指標でございます。
 前回の議論では、我が国全体の状況を把握するための指標の設定は、課題が多いものの試行的に設定することとして、各委員会で問題点を含めて指標の候補を検討いただき、今回の分科会において改めて議論することとしておりました。後ほど、各委員会における検討状況について御説明いただきたいと思いますが、私からは、6ページの中段から下の方、4の指標の活用及び留意点を御説明申し上げます。
 ここに記載しております事項は、前回の資料と内容はほぼ同じでございます。前回、御意見にもございましたとおり、指標の活用に当たっては、研究開発の成果・効果となるまでのタイムラグを考慮する必要があることですとか、特定のサブジェクトカテゴリでは捉えられない分野もあること、新興領域等はなかなか拾えない等の留意点がございましたので、4の(5)にまとめて、マル1、マル2、マル3と記載させていただきました。
 また、(4)を御覧いただきたいのですが、現在検討中の我が国全体の状況を把握するための参考指標は、今述べたような課題もございますので、各委員会におかれましては、評価に当たっての参考材料の一つであることを意識されて、指標をどのように使っていくかを考えるとともに、他の定量的・定性的なデータ、国際的な学会の情報等から、研究開発の特性や規模に応じて、対象となる研究開発の国際水準を踏まえたプログラム評価を実施していただきたいと存じます。
 続きまして、7ページ目、5のプログラム評価における指標の取扱いでございます。我が国全体の状況を把握する参考指標は試行的に導入するものであり、各委員会及び分科会においては、3の参考指標案を国際比較、国内状況の把握に活用しながらプログラム評価を実施していきたいと考えております。その後状況を見ながら、別の指標あるいは、より良い評価の方法といったところを検討し、段階的に充実化を図っていくこととしたいと存じます。
 本日は、各委員会から指標案について御説明いただき、御審議いただきまして、次回の計評分科会で一旦取りまとめたいと考えております。
 なお、各委員会の検討状況の報告について、資料中にコメントを付している委員会と付していない委員会がございます。これは、事務局の方から特に指定をしなかったためですので、本日は、各委員会において議論になったこと等ございましたら、この場で御説明いただけると大変助かります。
 事務局からの説明は、以上でございます。

【大垣分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、次に、委員会ごとに作成いただいている我が国全体の状況を把握する指標案について説明を頂きます。
 資料2の順番に従って、担当する各委員会から、指標案の内容と、選定した理由を中心に手短に説明していただきたいと思います。
 ただし、高村主査が遅れて御到着する予定ですので、環境エネルギー分野のみ飛ばさせていただき、最後に御説明をお願いしたいと思います。
 それでは、まず情報科学技術委員会から説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

【北川委員】  情報科学技術委員会主査の北川でございます。情報科学技術分野は、資料2の2ページの上半分でございます。
 情報科学技術分野の評価については、候補1の各分野の研究内容の論文数の変化の状況を指標としております。具体的なサブジェクトカテゴリは、5行記載していますが、前回と違いますのは、最後の行の後ろから3つ、「工学、電気電子」「数学」「統計、確率」を追加いたしております。
 ただし、この件の審議の過程で、委員会では非常にたくさんの意見や懸念の表明がございましたので、その一部を御紹介させていただきたいと思います。
 まず、政策が求めているような情報科学技術を用いた異分野の融合、共創(Co-design)等の成果を、この指標では適切に把握できないのではないかという意見がありました。
 また、Web of Scienceが情報科学技術の分野を網羅できているとは限らないほか、カテゴライズ自体も時々変更されますので、国の施策が一企業の掲げる指標に引きずられる形になるのは適当ではないのではないかという意見もございました。
 それから、論文数というのはそもそもアウトプットであって、指標をそれだけに偏重することは、論文数市場主義になって研究不正を誘発しかねないのではないかという意見もございました。
 それから、オープンソース、オープン・プラットフォームの開発・公開が非常に重要になっていて、これが機械学習やAIの現在の爆発的な普及・発展を支えております。情報科学技術の応用では、論文を通した効果よりも、そういうオープンソース等を公開することによって、現在の発展が起こされているという状況があります。それに関連して、研究成果の公表の仕方、社会への貢献の仕方は急激に変化しつつありますので、それらを適切に評価することも重要であるという強い意見がございました。
 少し補足させていただくと、論文の成果の公表の仕方が変化しつつあります。具体的には2つありまして、1つは、かなり前から、情報関連の分野の一部ではその方がいろんな意味で情報の分野では効果的であるということからジャーナルの論文よりもプロシーディングスの方を優先されています。
 もう一つは、もっと大きな問題として、ビッグデータの流れの一環として、ジャーナルのパブリッシュの仕方自体が一部では急速に変わっております。一番有名なのは、コーネル大学のarXivですが、情報、数学、統計、物理、計量ファイナンスなどの分野では、査読を経て出版するのではなくて、無査読で全て公開して、多数の読者に自然に評価を定めてもらうという流れが起こっております。
 実際に論文の投稿数というのも、1日に500ぐらいの論文が情報科学分野で公開されていて、その中で自然淘汰(とうた)されていくという状況になっております。このように現在、論文の在り方自体も非常に急速に変わっているので、今後、是非、その点も注意していただきたいということであります。
 そういう状況ですので、情報科学技術委員会としては、指標の活用の仕方については、非常に慎重に御議論をお願いしたいというところでございます。
 以上です。

【大垣分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、続いて、ナノテクノロジー・材料科学技術委員会、お願いいたします。

【齊藤参事官】  ナノテクノロジー・材料科学技術委員会でございます。三島主査が御欠席でございますので、事務局参事官齊藤から御報告させていただきます。
 ページ2のそのすぐ下でございますけれども、ナノテク・材料分野におきましては、科学技術分野に関する論文全てを参考指標として設定することといたしたいと思います。
 ただし、ナノテクノロジー・材料科学技術委員会でいろいろな意見がございました中で、今回設定する指標については、あくまでも参考指標であり、その他の定量的なデータについてもしっかり確認しながら、適切に運用すべきであるという御意見が多数ございました。
 委員会から頂いた御意見を整理いたしますと、3つにまとめられるのではないかということで、1点目、新しく生まれてくるような領域をどのように評価するのか、2点目、社会実装につながる成果をきちんと評価する視点についても考慮すべきではないか、3点目、研究の生産性や効率を測定することも重要ではないか、でございました。
 そして、改めて申し上げることになりますけれども、最も重要なものは、指標をいかに運用していくか、プログラム評価において、今回設定する指標をどのように活用するか、さらに、導入すべき指標としてどのようなものがあるか等を、引き続き計評分科会等において御検討いただけるようお願いしたいという御意見がございました。
 以上でございます。

【大垣分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、次に、量子科学技術委員会、お願いします。

【雨宮委員】  それでは、雨宮が報告いたします。
 量子科学というのは、非常に広い分野で、物質の粒子性と波動性の2つを兼ね合わせているものが量子で、ミクロの世界では、全ての存在が量子性を持ってくるので、非常に広い分野になり、どこまでカバーするかということが大きな議論になります。
 結果として、少し幅広にピックアップするというような議論になり、少しサブジェクトカテゴリ数が増えました。その中で、今後どういうサブジェクトカテゴリが量子科学の典型的なものになるかは分かりませんが、幅広にということで議論した次第です。
 以上です。

【大垣分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、続いて、核融合科学技術委員会、お願いします。

【小川委員】  核融合科学技術委員会で議論しました。やはり核融合科学技術委員会としては、共通指標案として、各分野のサブジェクトカテゴリごとの論文数で評価するのが良いのではないかということになりました。
 前回は、割合狭いカテゴリの候補のみを例示させていただきました。核融合は目的志向の研究開発ですけれども、やはり核融合というのは、非常に難しくチャレンジングな分野ですので、いろいろな幅広い科学技術分野の総合的な寄与が必要です。したがって、核融合分野の目指す方向性や、今までどのような分野と連携してきたのか、また、今後どのような分野と連携する可能性があるのか、さらには、波及効果がどこに期待できるのかというような観点で見直しました。そこで、ここにありますWeb of Scienceに出ているジャーナルで、核融合関係者が投稿している論文が掲載されているジャーナルをピックアップしました。その結果、どの分野で我々が論文を出しているのかというのを見ることができ、今回挙げました全部で28件になりました。したがって、28件のサブジェクトカテゴリが適当ではないかということで、挙げさせていただきました。
 それから、委員会でこの件に関してもいろいろ議論しましたけれども、Web of Scienceを見ますと、例示されているカテゴリが割合典型的及び古典的なものであって、最近及び今後目指すべき分野融合的な科学技術研究に対応していないのではないかと。それから、ある意味では分野間の例示の項目にややばらつきがあるのではないか等の意見が出ていましたので、御紹介させていただきます。
 いずれにせよ、核融合科学は、未来環境や地球科学、エネルギーにも関連している様々な分野に応用的に貢献している分野であるということを、このようなサブジェクトカテゴリで例示させていただきました。
 以上でございます。

【大垣分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、次に、ライフサイエンス委員会、お願いします。

【高城企画官】  失礼いたします。本日は、ライフサイエンス委員会の永井主査が御欠席のため、担当課より御説明させていただきます。資料2の4ページの上から2つ目のポツのライフサイエンス分野でございます。
 ライフサイエンス分野に関する我が国全体の状況を把握するための指標につきましては、平成30年2月19日に、ライフサイエンス委員会において御審議いただいたところでございます。
 研究開発における健康・医療・ライフサイエンス分野の中目標は、医薬品・医療機器開発への取組から、国際的な視点に基づく取組まで、広範囲にわたっているところでございます。このため、これらにまたがる指標といたしまして、Web of Scienceにおける臨床医学分野、基礎生命科学分野、この両分野のサブジェクトカテゴリごとの論文数の推移を参考指標として用いてはどうかということでございました。
 また、ライフサイエンス委員会での議論においては、ここに記載できておりませんが、論文数のみならず、論文の引用数に着目した指標を設定すべきとの意見が多数ございました。
 簡単に具体意見を御紹介いたしますと、今後、研究者の数や予算が増えると楽観視できない中で、日本のサイエンスの競争力を適切に評価する指標といたしましては、論文の数だけではなく、引用数などの論文の質が分かる指標の設定が必要ではないかという御意見や、論文数が少ないからといって、その分野の活力がないということにはならないのではないかという御意見、また、論文の引用数が一番多くなるのは、多くの場合2年後というのが多いようでございます。その後、各年度に出された論文の引用数を毎年フォローしていけば、論文や分野の評価が分かるため、評価指標になり得るのではないか、こういった意見を頂戴しているところでございます。
 全体といたしましては、論文の数は重要であり、一定程度活動を反映するという御意見もございましたが、それだけで終わらないようにとの御意見がございましたので、引き続き検討させていただければと考えているところでございます。
 以上でございます。

【大垣分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、次に、脳科学委員会、お願いします。

【樋口委員】  脳科学委員会の樋口でございます。
 資料2の4ページのところを御覧いただきたいと思いますが、4月6日の脳科学委員会がございまして、そこで健康・医療分野の中目標に関する指標として議論をいたしました。
 事務局の方から、下記の中目標に対する共通指標として、先ほど来出ております科学技術・学術施策研究所がまとめている「科学研究のベンチマーク2017」の臨床医学分野、基礎生命科学分野の研究内容、サブジェクトカテゴリごとの論文数という提案がございましたけれども、前回の委員会において、各委員から様々な意見、あるいは懸念が示されましたことから、現時点では、まだ結論的なところに至っておりません。ペンディングとして議論を継続するということになっております。
 各委員から示された意見のうち、主なものを二、三挙げてみますと、他のところから出た御意見と共通しておりますが、インパクトファクターや引用数、あるいは、掲載誌のクオリティなど、論文数に加えて質を担保するような方策が必要ではないかという意見。
 それから、外国の一企業が掲げるカテゴライズによって我が国の研究の潮流が左右されるのではいかがか。採用に当たっては慎重であるべきであるという意見。
 あるいは、異分野融合的な研究分野や、新たに創出される研究分野をこの指標で評価できるのかという点については疑問があるというような意見がございました。
 こういった議論も踏まえ、また、きょうのこの分科会での御議論も踏まえて、次回以降の脳科学委員会で引き続き検討してまいりたいと思っております。
 以上です。

【大垣分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、続いて、防災科学技術委員会、お願いいたします。

【田中防災科学技術推進室室長補佐】  防災科学技術委員会でございます。田中主査が本日御欠席ということで、事務局の防災科学技術推進室田中から御報告申し上げます。
 防災科学技術委員会でございますが、前回の委員会で提出したものから、指標とする場合の例の数の例示がまず増えております。ただ、こちらの防災に関する分野でございますが、我が国固有のものが多く、また、論文数自体も少ないということでございますので、Web of Scienceのサブカテゴリの指標で測るのは難しいのではないかといった御意見がございました。
 ただ、前回出したものだけですと、また更に他のものがあるかということで、幅広に御提示するということで、防災科学技術研究所が平成23年から28年までの間に投稿した論文に該当するものということで、幾つかピックアップしておりますので、前回から数が2~3倍近く増えているところでございます。
 また、御審議いただいた中での御意見の中では、例えば、このサブカテゴリごとの論文数だけでなく、この分野に関しましては、オープンデータの利用数とか、そういったものも指標にできないかという御意見も頂いています。
 ただ一方、そのオープンデータの利用数というのも、ダウンロード数とかのカウントがちょっと難しいのではという御意見もまたございまして、本日の御審議、あるいは、防災科学技術委員会での今後の議論を踏まえて、また検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
 以上です。

【大垣分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、次に、航空科学技術委員会、お願いします。

【李家委員】  航空科学技術委員会の主査の李家です。
 航空科学技術分野においては、そこに書いてありますように、国際競争力強化ですとか、産業の振興ですとか、そういったことを中目標としているために、論文数だけで状況を把握できるものではないため、前回の委員会でも御提案いたしましたけれども、社会・経済的に生み出される価値の内容等による指標ということで、「我が国の航空機生産高の推移」というものを1つの指標として挙げさせていただきました。
 ただし、前回の委員会でも御意見いただきましたが、こういったものには時間的なタイムラグがあるでしょうということで、もう1点、同じ指標のところで、「航空分野の特許出願数の推移」というものも確認するということを検討いたしました。
 それだけでは、今度は研究内容等を評価できませんので、もう一つの各分野のサブジェクトカテゴリごとの論文数を検討しました。前回、この論文数の方を案として出せなかったのは、航空という分野でサブジェクトカテゴリがはっきりとしていなかったためですが、もう一度検討いたしまして、航空宇宙のサブジェクトカテゴリがありますので、それを使うこととしました。ただし、その中には宇宙という別の分野の論文も含まれているので、5ページの下から3行目にありますように、幾つかのキーワードを使って航空関係の論文をできるだけ抜き出すこととしました。そうやって、そのキーワードの下で出ている論文を抽出して、推移を確認するという、そのような考えに至りました。
 ただし、委員会の中でも若干意見がありまして、新しい航空科学技術の分野の中ですと、このキーワードだけでは足りないということで、もう少しこのキーワードも検討が必要ではないかという意見も頂いておりますので、今後も検討を続けていきたいと思っております。
 以上です。

【大垣分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、続いて、原子力科学技術委員会、お願いいたします。

【山口委員】  原子力科学技術委員会の主査を務めております山口でございます。
 原子力科学技術委員会は、スケジュールの関係で開催できておりませんで、中間的な御報告ということで、御了解ください。
 まず、原子力科学技術委員会の中でこれまで議論していた内容として、今後どういう方向に研究開発を引っ張っていくのかということでは、重点化すべき項目として、今後の主要事項、全部で7点挙げてございます。
 1つ目、福島第一の原子力発電所事故の対処に係る、廃炉等の研究開発。
 2つ目、原子力の安全性向上に向けた研究。
 3つ目、基礎基盤研究。
 4つ目、次世代炉であります高速炉の研究開発。
 5つ目、少し他の機関とも関係するような研究開発に近いんですが、放射性廃棄物の処理・処分に関する研究開発等。
 6つ目、原子力施設に関する新規制基準への対応等に係る研究。
 最後に、核不拡散・核セキュリティに資する技術開発等ということでございます。
 このように、原子力科学技術分野では、非常に社会あるいは産業界との接点が強い中で研究開発を進めているということ、それから、極めて技術分野の裾野が広い、多様な技術分野を扱わないといけないということでございます。したがいまして、今後、研究炉等の研究施設の運転再開に向けた取組、それから、原子力の主要な分野になる廃止措置の取組、それから、福島第一原子力発電所の廃炉の取組、こういったものは、論文数ということで、必ずしもその成果、アウトカムが評価できるものではないと考えてございます。
 以上のことから、候補の2番目の社会・経済的に生み出される価値の内容等による指標の方が適当であると判断してございます。
 一方で、当然、論文数ということにも重要な価値はあるわけでして、多様な研究の基盤を支えるというのが原子力科学技術分野の1つの特徴でありまして、その中には、構造材料の研究、シミュレーション等の研究、そういった広分野に裨益(ひえき)することを踏まえた評価を行うという観点では、論文数も当然参照すべきというところでは考えてございますが、そのときに、しっかりと社会に対してどういう成果を出していくかということを踏まえた複合的な指標というものが適切ではないかと考えてございます。
 以上が現段階での考えでございますが、今後、委員会の中で議論を深め、また、本日の意見交換、審議も踏まえて検討を続けていきたいと考えてございます。
 以上です。

【大垣分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、最後に、環境エネルギー科学技術委員会、お願いします。

【高村委員】  環境エネルギー科学技術委員会の主査を務めております高村でございます。本日遅れて到着しまして、失礼いたしました。
 環境エネルギー分野につきましては、中目標を3つ立てております。1つが、温室効果ガスの抜本的な排出削減の実現、2つ目が、正確な将来予測に基づく温暖化対策目標・アプローチの策定、そして、3番目に、様々な社会・経済的な課題解決等を図るプラットフォームの構築の3つでございます。
 前回の分科会におきまして、事務局案として、この中の1つ目の中目標、温室効果ガスの抜本的な排出削減の実現については、候補2として指標案で挙がっておりました、社会・経済的に生み出される価値の内容等による指標に該当いたします、日本の温室効果ガス排出量を指標とし、ほかの2つの中目標については、サブジェクトカテゴリの中から絞って候補を挙げるということで出していただいていたところです。
 それに基づいて、1月22日ですけれども、環境エネルギー科学技術委員会で検討いたしました。その中で、1番目の中目標であります温室効果ガスの抜本的な排出削減の実現についても、ほかの2つの中目標と同様に、サブジェクトカテゴリの中から選んでいった方がいいのではないかという意見、そして、各中目標につきましても、事務局案に加えて、少し幅広に指標を選んだ方がいいのではないかという意見が出ております。
 その上で、再検討いたしまして、メール等々を使いまして更に審議をいたしましたけれども、本日の資料2に提示していただいておりますが、中目標の1点目、温室効果ガスの抜本的な排出削減の実現について58個、中目標の2、正確な将来予測に基づく温暖化対策目標・アプローチの策定について39個、そして、最後の中目標でありますけれども、様々な社会・経済的な課題解決等を図るプラットフォームの構築については44個のサブジェクトカテゴリを選定しております。
 なお、議論の中で、やはり今回、特に温室効果ガス、温暖化対策等々に関わる領域でございますので、幅広のサブジェクトカテゴリを選定いたしましたけれども、やはりこの分野も、科学技術の展開ですとか、社会ニーズ、あるいは、社会システムの変化・転換に伴って、適切なサブジェクトカテゴリというものが変わっていく可能性があるということも意見が出ておりまして、そういう意味では、そうしたことも見ながら、やはり適宜、追加・見直しが必要だろうと考えております。
 以上でございます。

【大垣分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ここまでのそれぞれの説明に関しまして、御意見、あるいは御質問等ありましたら、お願いしたいと思います。
 論文数に関しては、共通の懸念が示されたりしておりますし、また、分野ごとの特性があるということもよく分かりましたけれども、何か御質問、御意見ありましたら、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。どうぞ。

【土井委員】  ありがとうございます。
 今、大垣先生も御指摘になったように、それぞれの委員会がもろ手を挙げてこれに賛成しているわけではないということがよく分かりました。それはそのとおりだと思います。
 1点、きょうの中で、航空科学技術委員会から、出願特許数、知財について触れていただいていますが、これは非常に重要な観点であると考えます。ただ、この知財を、今候補になっている論文数相当にするのか、あるいは、それの社会・経済的に生み出される価値とするのか、そこはいろいろそれぞれの委員会で御意見が分かれるところではあると思いますが、今後、知財に関しては、カテゴリの分け方がまた違いますので、十把一からげにはできないので、引き続きこの指標に関しては検討していく中で、是非、知財についても検討いただければと思います。
 2点目ですけれども、そういう意味では懸念が示されたということで、やはりこのそれぞれの委員会のところから出していただいたカテゴリで論文数がまとまったとして、それがどういうカテゴリから生み出された論文数なのかという、その出典元なしに、論文数の数だけが一人歩きすることがないようなことを、是非今後とも考えていただければと思います。是非よろしくお願いいたします。

【大垣分科会長】  ありがとうございました。
 ほかには。どうぞ。

【李家委員】  航空ですが、今御指摘いただいた知財の関係で。
 航空科学技術委員会では、中目標に関する議論でアウトカムを検討したときに、その中に知的財産とか、そういったものを入れておりました。もともと社会への影響という観点を中目標に入れていましたので、必然的に、最初に挙げた航空産業の発展高の推移と一緒のカテゴリに入れさせていただきました。

【土井委員】  ありがとうございます。

【大垣分科会長】  ありがとうございます。
 ほかには。では、栗原委員。

【栗原分科会長代理】  今回、いろいろなところから、サブジェクトカテゴリでの論文数の数え上げに対して、必ずしもスムーズにやれるかどうかということで、懸念が出ている中で、航空科学技術委員会がキーワードを自ら考えられて、それに対して検討されたということは、大変今後に参考になる活動ではないかと拝見いたしました。
 このサブジェクトカテゴリは、例えば、化学とか、物理とか、非常に大きな領域でして、その中の実際に対応する研究に対して、どうその中からよりふさわしい形でデータを取り上げてくるかということに対して、今後の工夫の一つを示していただいたと思って、大変参考になる御意見を頂いたと思っております。

【大垣分科会長】  どうぞ。

【李家委員】  どうもありがとうございます。
 我々の方でも、例えば、きょう各委員会が挙げられたサブジェクトカテゴリの中で、広く考えますと、物理学の流体ですとか、熱力学ですとか、そういったところにも航空関係はいろいろ入っていると思われたのですが、逆に言うと、全く別の分野の論文も入ってしまうので、そこまではできないなということで、絞ることとしました。
 ただし、懸念しているのは、先ほども申し上げたとおり、絞りすぎますと、例えば、最近発展が著しい例として、航空管制の分野でいろいろと運航管理関係を議論する論文が増えているのですが、今のところ、それをどうやって捉えるかということがまだはっきりしていないところもあります。先ほど申し上げたように、もう少し検討を続けていきたいと考えております。
 以上です。

【大垣分科会長】  ありがとうございました。
 ほかに御意見、御質問ございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、ないようですので、各委員会は、本日の御意見を踏まえるとともに、計評分科会事務局とも連携しながら、引き続き指標案について検討を行い、次回の分科会で御報告いただきますようお願い申し上げます。よろしくお願いいたします。
 それでは、続けて、議題3の「研究開発プログラム評価の実施方法について」に入ります。
 まず、事務局から、資料について説明をお願いいたします。

【國分企画評価課課長補佐】  お手元の紙の資料の資料3、資料3(参考)を御準備いただけますでしょうか。タブレットの方は、参考資料4から9までが関係いたします。
 初めに、資料3(参考)の1枚紙の資料を準備いただけますでしょうか。研究開発プログラム評価の実施方法に関する検討状況について、これまでの復習になりますが御説明申し上げます。
 研究開発プログラム評価の目的を改めて御説明いたしますと、文部科学省の取組が施策目標の意図する方向に進んでいるかを、研究開発プログラム単位で研究開発過程の有効性や効率性を確認し評価することで、研究開発プログラムの改善、研究開発の質の向上や計画の見直し等につなげることでございます。
 研究開発プログラム評価の単位についても改めて御説明いたします。お手元の机上配付している緑の資料集を開けてすぐ研究開発計画が入っていると思います。この5ページ目、情報3のところを参考にご覧いただきますと、プログラム評価の単位は、、数字の1ポツのところ、「大目標達成のために必要な中目標」でございます。中目標に向かって、文部科学省として取り組んでいる事業、取組がありますけれども、その取組全体を含めて、この中目標の単位で評価するというのがプログラム評価になります。
 これまでの議論についてまとめたものですが、2の(1)、(2)につきましては、前回の資料から変えておりませんので割愛させていただきます。
 (3)に、前回、12月の計評分科会で頂いた主な意見をまとめさせていただきました。マル1からマル4までございますけれども、まず、中目標の全てを定量的に測ることができるのかといったような御意見がございました。例えば、1つのB評価で総合評価が一意に決まってしまう。1個でもBがあったらBになってしまうというようなことがないような評価にする必要があるという御意見。
 2つ目が、評価項目において「有効性」というところで進捗度も含めていたのですが、進捗度よりも有効性の部分については、効果がどうであったかを評価する必要があるという御意見。
 「必要性」については、単なる必要性の有無だけではなく、文部科学省等の取組の結果、必要性を充足した、このため必要性がなくなってきたというような観点もあるという意見もございました。
 また、アウトカム指標のランク付けと判定基準については、妥当であるかの検討が必要であるという意見を頂きました。
 裏側に行っていただきまして、検討が必要な事項でございます。前回の資料と変わっておりませんが、検討が必要な事項として、(1)から(6)まで挙げさせていただきました。前回は(1)から(3)まで検討いたしました。今回は、5年に1回策定される文部科学省の政策評価の基本計画が策定されましたので、これを踏まえて、今回は(1)から(6)まで全て審議したいと考えてございます。
 次に、資料3を御準備いただけますでしょうか。研究開発プログラム評価に関する主要な論点をまとめさせていただきました。前回からの変更点を中心に御説明したいと存じます。黒字部分につきましては、前回から変更のない部分でございます。
 評価の単位につきましては、先ほど御説明したとおりでございます。
 次に、2ポツの評価の時期ですが、研究開発計画策定後2~4年後を目安に実施いたします。評価の負担軽減のため、可能な限り政策評価の事後評価と実施時期を調整することとします。
 別紙を御覧いただけますでしょうか。後ろに付けてございます横の1枚紙になります。
 今回、先ほど申し上げましたとおり、5年に一度の文部科学省の政策評価基本計画が策定され、今後5年間の政策評価の実施計画が示されました。これを受けまして、計評分科会におけるプログラム評価の実施時期の案を作成いたしました。
 政策評価の事後評価は、例年、4月下旬から5月にかけて作業を実施いたしますので、プログラム評価は、可能な限り前年度の下半期に実施したいと考えてございます。このプログラム評価の結果を政策評価に活用することにしたいと思います。
 2ポツ目ですけれども、第6期の科学技術基本計画の策定までに全分野の中間評価を行い、この結果を第6期の科学技術基本計画、あるいは、次期の研究開発計画に反映させていきたいと考えてございます。
 また、プログラム評価の実施時期は、これで決定ではなく、今後の政策評価の動きも踏まえ、柔軟に見直しながら検討していきたいと考えてございます。
 下の図に、2018年、2019年、2020年、2021年、2022年とありますが、2021年度に第6期の科学技術基本計画が策定される予定でございます。黒丸の部分が、政策評価の事後評価の実施時期でございます。星印が計評分科会におけるプログラム評価の実施時期の案でございます。それぞれ、政策評価の前年度の下半期に実施したいと考えてございます。
 ただし、一番上の情報、ナノ材、量子につきましては、政策評価では、今のところ2022年度に事後評価の予定になっておりますけれども、ここは「Society5.0」にも関わるような先端基盤技術の強化で、非常に重要な部分が含まれておりますので、第6期科学技術基本計画策定の前、2020年度にプログラム評価を実施させていただきたいと考えてございます。
 この予定のとおり、今年度の下半期に、防災、航空、原子力、この3分野についてプログラム評価を実施していきたいと考えてございます。
 次に、3ポツ目、評価票の様式でございます。こちら、評価票の様式は、3ページ以降になりますが、後ほど、実際の様式を御覧いただきながら御説明申し上げます。
 4番の判定基準、これには3種類ございまして、1つ目がアウトカム指標の判定基準、2つ目が評価の観点、必要性・有効性・効率性といった評価の観点ごとの評価基準。3つ目が、総合評価の判定基準です。これらの基準を決めていきたいと考えてございます。これも様式の説明の際に、併せて御覧いただいた方が分かりやすいと思いますので、後ほど御説明申し上げます。
 次に、5番目、評価の実施体制でございます。個別の研究開発課題の評価と同様に、分野別委員会における評価を実施しまして、次に分科会における評価を実施していきたいと考えてございます。
 分野別委員会におきましては、施策マップ、政策評価における施策ロジックモデル等を活用し、時間軸に沿った「道筋」を意識して評価を行うと書かせていただきました。
 机上配付の資料で、道筋のイメージを1枚紙で配付させていただいております。国の研究開発評価に関する大綱的指針には、プログラム評価をするに当たって、道筋をしっかり考えて評価するということが示されております。
 この道筋というのは何かということですが、政策や施策等の目的に対して、現状がどうなっているか、施策・政策等の目的と現状のギャップを埋めるために、どんな活動をどの順番で行うか、成果の受け手側で発現することが期待される効果・効用等を時間軸に沿って描いたものとされております。
 下に図が書いてございますが、政策目的に向けた現在の状態というところから、インプットを書いているのが、施策ロジックモデルです。これは参考資料7に入れさせていただきましたが、目的に向かってどういう事業が行われているかということ等が確認できるものになっております。
 次に、活動群でございますけれども、活動群につきましては、個別課題評価のときに作成いただいている施策マップの中に、時系列で中目標に向かって取り組まれている研究開発課題が列記されておりますので、施策ロジックモデル、施策マップを見ながら、道筋を意識して評価していただきたいと考えてございます。
 それと、個々の研究開発課題の評価の結果、政策評価における事前分析表、国立研究開発法人等の事業実施状況評価、行政事業レビューシート、これらは参考資料6から9として掲載してございますけれども、これらを活用しながら、4により研究開発プログラム評価の様式を使用しまして、評価結果案を作成いただきたいと考えてございます。
 次に、当分科会における評価でございます。分科会におきましても、施策マップ、施策ロジックモデル等によりまして、「道筋」の妥当性ということを確認しながら、分野別委員会の報告を基に審議し、評価結果を決定していきたいと考えてございます。
 次のページに参りまして、6番、評価結果の活用でございます。
 研究開発プログラムの目標に対する達成状況、プロセスの妥当性、副次的効果等を確認しまして、プログラムの継続・中止・方向転換の判断に活用いたします。また、研究開発の質の向上、機関運営の改善等にも活用したいと考えております。
 政策評価の事後評価等に活用するとともに、次期科学技術基本計画や次期研究開発計画にも反映していきたいと考えてございます。
 次、7番、評価に当たっての留意事項でございます。留意事項につきましては、3点挙げさせていただきました。利害関係者の範囲、評価に係る負担軽減、評価結果の公表でございます。
 利害関係者の範囲につきましては、個別の研究開発課題の評価と同様で、課題の部分をプログラムに置き換えたものでございます。
 評価に係る負担軽減につきましては、国の研究開発に関する大綱的指針や文部科学省の評価指針でも言われており、科学技術基本計画と同じサイクルである5年に1回実施される政策評価の事後評価と実施時期を調整するなど、できるだけ合理的な方法により負担の軽減に努めたいと考えてございます。
 評価結果の公表です。公表を基本といたしますけれども、個人情報の保護、知的財産の保全等にも配慮することを忘れないようにということで、それを明記させていただきました。
 続きまして、3ページからの様式について御説明申し上げます。評価に係る負担軽減のため、ベースを参考資料5に付けております政策評価の事後評価票にいたしました。ただし、黄色に色付けされている部分をプログラム評価用に追加してございます。黄色の部分は、4ページ以降に出てまいります。
 政策評価の事後評価票と全く同じにできれば、省力化できて良いのですが、研究開発は、必ずしも目標を達成しなくても、副次的な効果が得られて、そこから新たな施策が必要になったり、研究基盤の向上、次代を担う若手研究者の育成に貢献したりするなど、必ずしも目標の達成度合いだけでは測れない成果がございます。このため、幾つか記入欄を追加させていただきました。
 前回からの変更点は、赤字でお示ししております。3ページ目は、政策評価と共通でございます。
 この中段以降にございますアウトカム指標の判定につきまして、御説明したいと思います。
 アウトカム指標の判定基準については、最後のページを御覧いただけますでしょうか。「目標達成度合いの測定結果の判定について」と書いてございますページになります。ここの1番、「中目標達成状況の評価のためのアウトカム指標」達成状況の判定基準。こちらは、政策評価と共通でございまして、政策評価がこの基準で判定するということで、これにつきましては変更しないことにし、逆に、政策評価でここの判定基準が変われば、こちらの方も合わせて変更するという形にさせていただきたいと思います。
 次に、4ページに移りまして、参考指標の欄でございます。先ほど議題2で検討いたしました参考指標を来記入する欄でございます。参考指標につきましては、あくまでも参考でございますので、AとかBとかCとか、そういった評価はいたしません。前回からの変更点としまして、前回は例としまして、サブジェクトカテゴリごとの論文数と書いていたのですが、論文数ではなくて、実際に見るのは論文数の推移等になってきますので、そこを誤解のないように、推移と追記させていただきました。
 次に、中目標に関する評価結果の欄に参ります。これは政策評価の様式にもございまして、前回は、中目標の達成度合いの測定結果ということで、記入をいただくことにしていたのですが、政策評価においては、実際には、この中目標を複数合わせたものをトータルで政策として目標を達成しているかしていないかを評価をするために、この欄を設けており、私どもの行うプログラム評価は、中目標1つだけの評価になってしまいますので、指標が1つしかないような場合もで、指標1つでここを判定するというようなことになってしまいますので、適切ではないのではないかと考え、この欄は削除させていただきたいと考えてございます。
 その代わり、総合評価の欄にまとめて、定性的に記載するという形にしたいと存じます。ここに、中目標達成状況の評価のためのアウトカム指標の判定に加えまして、総括的な分析、研究開発計画に定めている研究開発の企画・推進・評価を行う上で留意すべき推進方策への対応状況、その他定性的な評価を総合的に評価した結果を簡潔に記載するということにしたいと思います。記載例も、こちらに記入してございます。
 続きまして、5ページ目でございます。5ページ目に、必要性・有効性・効率性を記載してございます。この判定基準は、7ページ目、8ページ目に記載いたしました。
 前回の御意見を踏まえまして、必要性のA判定のところには、「必要性は高まっている」だけではなくて、研究開発の成果等によって必要性が低下してきているというようなケースもございますので、それがCになってしまわないように、当初想定していた必要性をもう充足してしまったということを追記させていただきました。
 次に、有効性の部分につきましては、ここでは進捗度よりも効果の方をしっかり評価することが大事であろうという御意見を踏まえまして、前半部分の「進捗しており」という部分を削除いたしました。
 効率性につきましては、変更はございません。
 それでは、また5ページにお戻りいただけますでしょうか。必要性・有効性・効率性の下に、中目標に係る問題点・今後の課題等を入れてございます。こちら、政策評価の事後評価書の様式に前回は合っていなかったので、今回、政策評価の事後報告書の様式と合わせてございます。
 次に、5ページの下、黄色の欄でございます。研究開発計画に掲げた研究開発の企画・推進・評価を行う上で留意すべき推進方策を記載してございます。これらへの対応状況もきっちりチェックしようということで追加してございます。
 この部分につきましては、ABC評価にしてはどうかとの御意見もございました。事務局としましても検討いたしましたが、一律に判定基準を設定することが難しいということがございまして、定性的に記載させていただくこととしたいと思います。
 次のページです。6ページに参りまして、その他定性的な評価というところで、チャレンジングな研究開発の中で実施したプロセスの妥当性、副次的効果等を評価するような場合、研究開発が社会に与える可能性の影響(倫理的・法的・社会的課題及びそれらへの対応)の評価等、上記以外に特筆すべき観点を定性的に記述できる欄を設けました。
 その他につきましては、変更ございません。
 以上でございます。

【大垣分科会長】  ありがとうございました。
 前回までの議論を踏まえて、本分科会における研究開発プログラム評価の実施方法、実施時期、評価基準、評価票の様式等について、前回からの修正点を中心に説明を頂きました。
 それでは、ただいまの説明について、御質問ありましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。
 いろいろ多岐にわたって、いろんなレベルの話が出てきますので、整理しにくいかも分かりませんが、いかがですか。どうぞ。

【土井委員】  口火を切らせていただきますが。いろいろ御検討いただいてありがとうございます。
 まだなかなか消化できていないのですが、1点、先ほどのサブカテゴリの論文数というところで、それぞれの委員会からいろいろコメントなどございましたが、その中で、新規分野とか融合分野に関してのアウトカム、あるいはアウトプットというのが、この形では測れないという御意見がございました。なので、そういうものを、例えば、評価票の4ページの総合評価のところでやっぱり書いていただくことが重要かなと思います。
 なので、ここでは、顕著な成果とか将来的な成果というような形で書かれていますが、そういう新規分野の創出とか、融合分野で他分野のやったという、そういうようなことを積極的に書くというような形で、是非キーワードを加えていただければと思います。よろしくお願いいたします。

【大垣分科会長】  ありがとうございました。
 ほかにはいかがですか。よろしいでしょうか。どうぞ。

【春日委員】  非常に多岐にわたる御説明だったので、全体を理解するのが難しかったのですけれども、最後のところで引っかかったことがありまして、コメントさせていただきます。
 資料3の6ページ、黄色く枠を囲んでいただいた最後のところなんですけれども、その他定性的な評価の中で、研究開発が社会に与える可能性のある影響、ここに研究の悪用、あるいは、セキュリティ的な課題ということも含めていただいてはどうかと思います。
 というのは、これはもう既に5年以上前から日本学術会議で議論してきたことなんですけれども、科学の本来の目的と違って、場合によってはテロリスト等に悪用されることが科学者が意図しない形で起こり得るということを、科学者、それから、研究を推進している側も常に念頭に置いておくということを指摘しています。それを受けて、こちらでもそういう観点を盛り込んでいただければと思います。

【大垣分科会長】  ありがとうございました。
 どうぞ。

【松田委員】  ちょっと教えていただきたいんですけど。机上配付資料のところで道筋の話が出てきたんですけど、これは、今までの研究開発プログラム等の論点の中で、この道筋という概念は今まであったものなのか、それとも、今回初めて出てきたものかというのが1つ目の質問。
 もう一つは、この道筋に関して評価というところで、研究開発プログラムの受渡しの後、受け手がどういうふうにするかということまで含めて評価をすると書いてあるんですけど、これを評価するには、そもそも道筋を作るところが正しくなされているのかどうかということが必要で、それは逆に言うと、今度は政策立案側のプロセスとして、どれだけしっかりした形で政策立案というのがなされるかというところが必要になってくるんですけど、それも含めて、道筋をベースに評価するという仕組みというのができているんだろうかというのが非常に大きな疑問なんですけど、その辺はいかがでしょうか。

【國分企画評価課課長補佐】  道筋ですが、国の研究開発評価に関する大綱的指針で、道筋をしっかり作ってやりましょうということが、第5期科学技術基本計画が出された約1年後に示されました。私ども計評分科会では、この大綱的指針が出される前に第5期科学技術基本計画を基に、研究開発計画を検討してまいりました。それで、ほぼ研究開発計画ができた時点で、この道筋という話が出てまいりましたので、本当は、研究開発計画を考える段階でしっかり道筋を作るのが筋だったのですが、何とかそれを補えないかということで、時系列を追って(研究開発の)取組を示している施策マップですとか、政策評価の方で目標に対しての取組とそれを測定する指標を取りまとめました施策ロジックモデル、そういったものを生かしながら、きれいに道筋というように示せていないのですが、道筋を意識した形で評価をしていきたいと考えてございます。
 第6期の科学技術基本計画ができて、次の研究開発計画を策定するときには、しっかり取り組んでいかなければいけない課題ではないかと考えております。

【松田委員】  分かりました。ありがとうございます。

【大垣分科会長】  よろしいですか。ありがとうございます。
 それでは、ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。

【山口委員】  私も少し同じ点が気になっていて、今、資料3の1ページ目に、5ポツの評価の実施体制のところを見ますと、分野別委員会は、道筋を意識して評価を行うと書かれておりますので、各委員会では、道筋というものを前提に成果を評価していく。それで、その次に、(2)で、分科会では、政策マップ、ロジックモデル等により道筋の可能性を確認しながら審議・評価すると書かれております。
 ここは非常に難しいなと思いながら聞いていたんですが、先ほどの御説明だと、まだ必ずしも今の研究計画と道筋というのは整合していないので、今回は、5ポツにある評価の実施については、余りこの体制のところで道筋というのは意識しないでやるのか、あるいは、もう既に18年度から航空、原子力は評価をやっていくわけなので、そのときに道筋を評価の中にどう取り組んでいけばいいのか。そこの前後関係が明確でなくて、当面は分野別委員会で道筋を意識して評価を行うというところをやるわけですが、もし道筋が明示的に研究計画と整合していないとすると、具体的にどういうふうな進め方をすればいいのかというのがよく分からないんです。そのあたりを、お考えを教えていただければと思います。

【國分企画評価課課長補佐】  本来ですと、このロジックモデルのような形で、目標に向かってどういう取組をしていくかという道筋を作ってくださいというのが一番簡単です。ただ、ロジックモデルを作るのは、なかなか大変な骨の折れる作業だとも聞いておりますので、今できることは何かということで考えた結果が、この施策マップと施策ロジックモデルを使った道筋のイメージの仕方でございます。
 どの事業も無駄にやっているわけではなくて、目標に向かって、例えば、施策マップの中では、この時点までに、何年度までにこれを実現させましょうということを意識して実施されているはずなんです。なので、目標に向かってきちんと進んでいるか、遅れているか、進んでいるかなどを見ながら評価していただくということでございます。例えば、この事業は社会的な課題として重要になってきているので、もっと加速すべきであるというようなことですとか、そこまで喫緊の課題になっていないので、少し抑えて、別のところに重点的に取り組もうといったことを俯瞰(ふかん)して考えていただきたいということでございます。

【山口委員】  それで、分野別委員会としては具体的にどうやるかということなんですが、机上配付の資料の今の道筋のイメージを見ますと、研究開発プログラムの実施者自らが行うプロセスというところは、インプット、活動群、成果と。それから、その下の研究開発プログラムとしての評価対象というところでは、成果のアウトカム、ビジョンというところが出てきていますので、基本的には今の評価の仕方を特に変える必要はなくて、ただ、この図をイメージして評価をしてくださいという理解でよろしいでしょうか。

【國分企画評価課課長補佐】  はい。

【山口委員】  分かりました。

【大垣分科会長】  よろしいでしょうか。
 こちら机上資料の上の方の文章にも少し概念は言葉で書いてあって、今言われましたように、同じような内容なのではないかなと思いますが。
 ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。

【五十嵐委員】  すみません。いつも同じような御質問を差し上げていて、申し訳ないのですが、確認させてください。
 今までの御議論などを伺っていると、計画の段階で評価の項目までもよく考えてプログラムしなければいけないと感じます。第1の質問は、もし研究を進めている間に、もともと計画していなかった別の成果とかが出てきた場合は、そういうものはどこに入ってくるのかということです。
 もう1点は、昨年度検討を進めました研究開発計画の中では、各分野で社会との連携が大事だということをずっと議論させていただいたかと思います。そういう社会との関係深化のような項目は、この必要性などといった中のどの項目に書いて、それを評価していくようになるのでしょうか。今、例示していただいている中に、社会的・経済的意義というような形では書いてあるんですが、例えば、アウトリーチ活動であるとか、そういうものの評価はどこでやるのか、教えていただければと思います。

【國分企画評価課課長補佐】  新たな成果が出まして、例えば、新たな分野について研究開発を進めるとなった場合ですが、プログラム評価を実施して、5ページ目の中目標に係る問題点・今後の課題等の欄に、中目標とは別に新たに施策として取り組んでいかなければならないということをこの欄に書いていただくことを想定しております。例えば、翌年度の概算要求に載せていくというような対応が考えられます。
 2点目の社会との関係深化ということでは、6ページ目の上から3番目。もともと留意すべき推進方策のところに、社会との関係深化も項目としてございますので、しっかり見ていきたいと考えてございます。

【大垣分科会長】  よろしいですか。

【五十嵐委員】  はい。

【大垣分科会長】  それでは、高村委員。

【高村委員】  ありがとうございます。
 既に先ほど松田委員、山口委員がおっしゃった点に関わっていると思いますけれども。ちょうど評価の時系列的に考えると、既にこういう評価をすると決める前に走り出した既存のプログラムについて、これを新しい要素といいましょうか、先ほどの道筋が典型的でありますけれども、を追加する際に、やはり実際にプログラムの中で、本来、もともとの枠組みで研究を実施されているところへの配慮が必要だと思っておりまして。その意味で、新しく今後立ち上がるものについては、恐らく事前にこうした内容についてきちんと了解をした上で評価が可能だと思いますけれども、繰り返しになりますけど、現在既にもう走り始めているプログラムの評価については、柔軟な対応をするということを前提としての、こうした評価というものを、少しずつといいましょうか、試行的に始めていくということでお願いできればと思います。
 以上です。

【大垣分科会長】  特にいいですか。分かりました。
 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、ありがとうございました。研究開発プログラム評価は本年度末から実施していくとのことですので、事務局は、ただいま頂いた御意見を踏まえつつ、次回の分科会で評価票、実施方法が決定できるよう、引き続き各委員会と連携し、案の作成を進めていただくようお願いいたします。
 それでは、少し早いですが、最初申し上げたとおり、10分ほど休憩を取りたいと思います。16時30分過ぎから始めます。

( 休憩 )

【大垣分科会長】  再開してよろしいでしょうか。それでは、議題4ですが、「研究開発課題の評価について」に入ります。今回は中間評価3件、事後評価6件ございます。
 各委員会において取りまとめられた評価結果を資料4-1-1から4-6-3としてタブレットPCに入れておりますので、これを基に御審議いただきます。
 まず、委員会ごとに説明していただき、それぞれの質疑の時間を取りたいと思います。また、時間が許せば、全ての委員会からの説明が終わった後に、全体を通した質疑の時間を設けるという手順で進めたいと思います。
 資料は、各委員宛てに事前に送っていただいておりますので、説明は、評価票の必要な部分のみを簡潔にお願いいたします。
 それでは、情報科学技術委員会から、中間評価と事後評価について、2つ続けて御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

【北川委員】  情報科学技術委員会の北川でございます。
 まず、資料4-1-1を御覧いただきますと、ここに情報科学技術分野の全体像が書いてございます。このうちの黄緑色の2つが、今年度評価を行う中間評価及び事後評価でございます。
 まず、早速ですが、ポスト「京」の開発に関する委員会における中間評価結果を御説明させていただきます。恐縮ですが、資料が変わりまして、4-1-2でございます。このうち、事業の概要については、6ページを御覧いただければと思います。横向きになっておりますが。
 スパコンのポスト「京」は、神戸の理化学研究所にございます現在の「京」の後継機として、我が国が直面する科学的・社会的課題を解決するために不可欠な研究情報基盤として、平成26年度から開発を進めているものでございます。研究開発の主体は理科学研究所で、開発の担当企業は富士通でございます。
 ポスト「京」では、システムとアプリケーションを協調的に開発するCo-designを行うことで、最大で「京」の100倍のアプリケーションの実効性能を実現することを目指しております。そのアプリケーションの分野の例として、6ページの資料の下半分の6つを挙げております。 次に、中間評価票の案については、大変恐縮ですが、17ページまで飛んでいただきます。
 平成25年度の事前評価の段階では、「国として着実に推進することが適当」という評価を頂いております。その後、システムについては、半導体製造の世界的な遅延によりまして、12か月から24か月のスケジュール延伸がありましたので、今回は、システムとアプリケーションのうち、アプリケーションのみの中間評価を行っております。システムに関しては、本年度の秋頃に中間評価を実施する予定でございます。
 まず、研究開発計画との関係がその下に書いてございますが、大目標に関して、超スマート社会サービスプラットフォームの構築に必要となる基盤技術という位置付けでございます。
 それから、アウトプット指標としましては、論文数、それから、アウトカム指標として、社会実装された研究開発の数ということになります。
 具体的な評価結果でございますが、課題の進捗状況が18ページで、最初の丸に書いてございますように、本事業の進捗状況は、おおむね妥当と評価されました。
 4つ目の丸に書いてございますが、本事業では、ポスト「京」の超並列・大規模シミュレーションのための手法開発が着実に進展しており、論文に関しても、そこに書かれてございますように、着実に増加しております。最終年度の論文数が少ないように見えますが、これは四半期の部分だけを書いたからでございます。
 5つ目の丸に書いてございますように、コンソーシアムの活動によって、産学官連携も積極的に進められているというものでございます。
 それから、(2)各観点の再評価でございますが、重点課題が9分野、それから、萌芽(ほうが)的課題が8分野、合計17の課題という非常にたくさんの課題がございますが、ここでは、それぞれについて個別に必要性・有効性・効率性を論じるのではなくて、17の課題を一つにまとめて評価いたしております。
 まず、必要性に関しては、19ページを御覧いただきたいと思います。我が国において喫緊の課題とされる健康長寿社会の実現や防災分野への対応等が重要とされておりますけれども、本事業では、ポスト「京」を用いた大規模シミュレーションによって、多大なコストがかかる問題や実空間で再現が不可能な現象について、それを可能にしてまいりました。そういうことで、国や社会のニーズへの適合性は極めて高いと判断されました。
 次に、20ページが有効性でございます。2番目の丸を御覧いただきたいと思いますが、我が国が強みを持っております材料科学やものづくりの分野において、実験をシミュレーションによって革新したり、あるいは代替することによって、研究開発の質や生産性を向上できるようになっているということを挙げて、有効であると判断しております。
 次に、22ページが効率性に関してですが、外部有識者等からの指摘をまとめますと、外部有識者のコメントや産業界の要望・提言・助言等を取り入れて、シミュレーションの開発でも積極的な取組が行われており、最終目標、実施計画を策定して対応するとともに、適切な進捗管理が行われていると認められ、効率的であったと判断しております。
 それから、23ページが今後の研究開発の方向性でございますが、今後の研究開発の方向性については、本課題は継続すべきものと評価しております。
 その理由としては、先ほどの必要性・有効性・効率性に関する評価結果に加えまして、国連のSDGsとか「Society5.0」への貢献が期待されるということを挙げております。
 最後に、(4)その他ですが、引き続き今後も成果の発信を分かりやすくすることが必要であると指摘されています。それから、Co-designにより蓄積したノウハウを他のアプリケーションやシステム開発に展開し、成果の早期創出を図ることが必要であるということを指摘しております。
 ポスト「京」については以上ですが、続けてよろしいですか。

【大垣分科会長】  続けてお願いします。

【北川委員】  それでは、次は、資料4-1-4でございます。これはイノベーションを創出する情報基盤強化のための新技術開発の事後評価でございます。
 まず3ページに、この事業の研究開発の概要と目的が書いております。本事業は、平成24年度から28年度末まで5年間実施したものでございます。この事業は、東日本の大震災を契機として開始されておりまして、地震・津波の発生時においても、システムの途絶や情報の喪失が生じないように、機器・システムの耐災害性を強化するとともに、障害が起こっても柔軟な運用の切り換えが行えるような機能を持った、信頼性の高い情報処理・管理システムの実現に必要な新技術の開発を目指したものでございました。
 4ページに研究組織が記載されていますが、公募によりまして、「高機能高可用性情報ストレージ基盤技術の開発」と「耐災害性に優れた安心・安全社会のためのスピントロニクス材料・デバイス基盤技術の研究開発」の2課題が実施されております。
 次に、事後評価について、情報科学技術委員会の審議結果を説明させていただきます。
 必要性の観点についてが7ページから8ページでございます。そこに書いてございますように、メモリデバイスからストレージシステム、実用的アプリケーションに至るまで、耐災害性を持った信頼性の高い情報システムのニーズを踏まえた、独創性・優位性を有する研究成果が得られており、事業の必要性は依然として高いと評価しております。
 次に、9ページに有効性について記載しております。10行目ぐらいですが、コスト面について詳細な検討が更に必要という課題はございますが、50%の機器が損壊しても90%の情報にアクセスできる情報ストレージ基盤技術や、スピントロニクスを活用した不揮発性メモリデバイス等、信頼性の高い情報システムの実現に有効な基盤技術が開発されており、本事業は有効であったと判断しております。
 次に、10ページに効率性について記載しております。これも10行目付近ですが、各分野の専門家や企業を結集するとともに、地元企業・団体とも密に連携した体制を構築しており、基盤技術の研究開発から実証試験まで効率的に推進されたと評価いたしております。
 最後に、11ページが総合評価でございますが、これまで述べましたように、多少課題はございますが、全体として着実に事業の目的を達成したと評価しております。
 特に、スピントロニクスメモリ素子については、近年減少傾向にある国内半導体企業の復活の起爆剤として期待されると考えております。
 以上でございます。

【大垣分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明について、御意見あるいは御質問ございますでしょうか。いかがですか。特によろしいですか。
 それでは、ありがとうございました。
 それでは、次に、ナノテクノロジー・材料科学技術委員会から説明をお願いいたします。

【齊藤参事官】  ナノテクノロジー・材料科学技術委員会でございますが、先ほどと同様、三島主査の代理といたしまして、事務局担当参事官齊藤から御説明させていただきます。
 まず、資料4-2-1でございます。ナノ材関係の事業は4つございまして、そのうちの2つが、今年度の審議の対象、そして、今般御説明させていただきますのが、2つ目の「東北発素材技術先導プロジェクト」というものの事後評価になります。
 次に、資料4-2-2を御覧ください。本事業は、東日本大震災復興基本法に基づき策定された東日本大震災からの復興の基本方針により、東北の大学や製造業が強みを有するナノテクノロジー・材料分野において、産学官協働による研究開発拠点を、東北大学をその中核といたしまして形成するものでございます。
 拠点につきましては、3つございます。「超低損失磁心材料技術」、「希少元素高効率抽出技術」、そして、「超低摩擦技術」でございます。この3つの研究開発を推進してまいりました。
 続きまして、6ページをお開けください。評価結果につきましては、3つの技術領域ごと、及び、事業推進に当たって重要な役割を担いました東北大学産学連携機構の4つに分けて御説明させていただきたいと思います。
 領域の1つ目でございますけれども、超低摩擦技術領域でございます。本領域は、産業界のニーズに裏付けられた技術課題に向かいまして、低摩擦化技術では60%の摩擦低減の実現、水潤滑技術では廃熱発電システム開発・実用化への貢献、そして、摩耗耐久性を向上いたしました樹脂複合材の開発におきましては、従来品の1割の摩耗量を実現いたしまして、設定された目標を十分に達成されていると評価されました。また、地域との関係でございますけれども、東北経済産業局や東北経済連合会との連携活動によりまして、復興に対する地域連携や産業界との連携強化が復興に有効に作用しているという評価もございました。
 続きまして、超低損失磁心材料技術領域でございますけれども、新たなナノ結晶軟磁性材料「NANOMET」の東北での事業化を目指すという目標の下、応用実証研究で目標を達成するなど、研究成果は高く評価されました。また、先ほどの「NANOMET」でございますけれども、大学発ベンチャーを設立し、成果を継続発展する見通しが明瞭、東北におきまして新産業創出につながっているという評価もいただいております。
 続きまして、最後の領域でございますけれども、希少元素高効率抽出技術領域におきましては、「物理選別」、「新規化学精製」、そして、「応用技術開発」の3つの目標に対しまして、目標は十分に達成されているとの評価をいただいております。そして、宮城県や福島県の中小企業を中心に支援を実施するなど、復興への顕著な貢献が認められております。福島、宮城両県におきまして、リサイクル関連協議会を設置するなど、事業終了後のサイクル事業構築を目指し、活動も活発に行われているという評価を頂いたところでございます。
 最後に、全体の取りまとめを担ってきた東北大学の産学連携機構でございますけれども、効率的な産学連携や地域連携の推進の下、3領域のサポートに尽力し、本事業全体の高い評価に貢献しているということでございます。
 最後に、8ページを御覧ください。事業の総合評価でございますけれども、真ん中の方にございますが、3領域とも、設定された目標に対する達成度は十分であるとともに、地域企業との共同研究、事業終了後の体制が構築されており、今後の復興への貢献が期待できるというものでございます。
 そして、東北大学産学連携機構におきましても、全体的な後方支援活動をしていることが認められ、今後も拠点に対し積極的な貢献、創造的な戦略の立案が期待できるというものでございます。
 なお、本プロジェクト、平成24年度から28年度でございますけれども、産学連携機構におきましては、このプロジェクトの寄与もあり、平成27年度に再編・設立いたしました。東北大学として、世界に目を向けるだけではなく、きちんと地域イノベーションの方も推進していくという姿勢を明らかにするきっかけとなったという表明もございました。5年間の研究・地域連携活動の中で創出いたしました成果を今後につなげ、事業の目的である東北素材産業の発展を牽引(けんいん)し、震災復興に資することを念頭に研究を続けていくという方針を明らかに示されているところでございます。
 説明は以上でございます。

【大垣分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明に関しまして、御意見、御質問あれば、よろしくお願いします。いかがでしょうか。どうぞ。

【土井委員】  いろいろ東北地方のところで頑張ってやっている研究だと思うのですが、先ほど御説明のあったリサイクルのところで、中小企業も巻き込んで協議会を作ってというお話があったのですが、そういう場合に、知財の取りまとめなどは、この東北大学産学連携機構が行って、それぞれの中小企業に対してライセンスをするという形になっているのでしょうか。

【齊藤参事官】  知財、大事な問題でございますので、産学連携本部が担うということで、おっしゃるとおりでございます。

【大垣分科会長】  よろしいですか。ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。

【五十嵐委員】  復興支援ということで、非常に重要な研究だと考えます。今後については、地域で引き受けていくということだと思いますが、その辺、ちゃんと継続できるという、手当てというか、リソースとか、その辺は問題ないのでしょうか。

【齊藤参事官】  先ほど東北大学産学連携機構のお話を申し上げましたけれども、あわせて、平成29年4月、昨年度の4月でございますけれども、地域イノベーション推進部というのを設置いたしました。そこで継続的に推進していただきたいと思っております。

【大垣分科会長】  よろしいですか。ほかにはいかがですか。
 どうもありがとうございました。
 それでは、次に、環境エネルギー科学技術委員会から、中間評価と事後評価について、2つ続けて説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

【高村委員】  ありがとうございます。本日は、今ありましたように、環境エネルギー科学技術委員会から2件報告をいたします。
 最初に、気候変動適応技術社会実装プログラム(SI-CAT)の中間評価についてでございます。資料でいきますと、4-3-2に該当いたします。
 既に配付いただいておりますので、要点だけ御紹介してまいりますけれども、この事業は、国の適応計画にもありますように、気候変動のリスク・影響に対する適応策の促進という観点から、地域において気候変動への適応策の立案を支えるような気候変動予測情報等の創出・提供を可能とする技術の開発というところに大きな目標がございます。
 この事業は、平成27年度から5年間の計画で実施しているプログラムでありまして、平成29年度は3年目に当たり、本年1月にその中間評価を環境エネルギー科学技術委員会で議論したということでございます。
 お手元の資料でいきますと、6ページからがその評価になってまいりますけれども、最初のところで研究開発計画との関係を整理しております。実際の課題の達成状況については、7ページ以下となります。
 中間評価時点において目指していた大きな目標というのは、このプログラムは、手を挙げていただいたモデル自治体、当初は10、その後更に追加しておりますけれども、これらの自治体のニーズを、地域における適応策構築をしていく際の重点エリア等々のニーズを基にして、今後の技術開発方針を定めて、それに必要な種々のデータセットを作っていく、それから、それを活用した影響予測・評価、準備体制を整えていくということが、中間評価時点での到達目標でございます。
 7ページに記載しておりますけれども、平成29年度の頭に、先ほど言いました技術開発方針を取りまとめまして、現在、データセットの創出に力を入れているところでありまして、そういう意味では、影響評価・予測に必要なデータセットモデルに向けて、着実に順調に進捗していると評価をしております。
 続いて、13ページのところから、各観点の再評価のところになりますけれども、プログラム初期と比しても、気候変動の影響に対しての、例えば、台風の強力化等々、国内外の適応策への関心の高まりは非常に大きくなっておりまして、本事業の必要性・有効性は更に高まっていると評価しております。
 同じく、文部科学省の事業でありますDIASとの連携ですとか、あるいは、地方公共団体、そして、その地域にあります研究機関との協調ということが、この事業を通じて進んでおりまして、そういう意味でも、プログラムが、この分野における効率的な研究の進捗、研究の開発という点からも貢献をしていると考えております。
 最後に、14ページ以下が、本事業の今後の研究開発の方向性を記載している箇所になります。政策、あるいは、地域の社会ニーズの観点から、非常に重要なプログラムであるということは言うまでもありませんけれども、1つ付言いたしますと、まさに研究の設計の段階から、地域あるいは社会のニーズを踏まえて課題を設定し、連携してそれを解決していく。まさにFuture Earthの枠組みにも合致するプログラムとして、大変重要であると思っております。
 若干繰り返しになりますけれども、特に適応計画が策定されてから、政策的・社会的意義が開始時と比べても非常に高くなっておりまして、したがって、幾つか環境エネルギー科学技術委員会でも議論になりましたのは、今のモデル自治体での成果事例の展開を見据えて、できるだけその他の自治体に拡大をしていきやすい、汎用性の高い技術開発課題が何か、あるいは、裾野の広い、活用の範囲の広い技術開発課題が何かということを意識しながら、必要に応じて、このプログラムの中での研究課題の見直しということも行うことが必要ではないかということを言及しております。そうすることで、本事業が社会のニーズ、地域のニーズを踏まえつつも、さらに、より幅広い成果の社会実装、利用の拡大ということが可能になる、このプログラムの最適化を更に進めていくということをここでは付しております。
 それと、もう一つ、やはりこれも委員会で強く言及があったことでありますけれども、こうした分野については、文部科学省以外の、例えば、環境省との連携ですとか、あるいは、この適応分野での様々な事業展開やサービスを提供されている企業等への利活用の拡大の取組を更に進めていくということが重要であるということを書かせていただいております。特に都市開発等の適応策に関心を持っていらっしゃる民間企業さんもいらっしゃいますので、こうした企業との連携についても、今後働きかけ等を検討していくということに触れております。
 2つ目の気候変動リスク情報創生プログラムの事後評価に移ってまいりたいと思います。こちらは、資料4-3-4でございます。
 この事業は、平成24年度から5年間実施しまして、中間評価を経て、今年1月に事後評価を環境エネルギー科学技術委員会で行ったものでございます。
 この事業は、いわゆる創生プログラムと略称しておりますけれども、記録的な猛暑ですとか、巨大な台風の襲来などに代表されるような気候変動リスクに対する社会的関心が高まる中で、こうしたリスク情報を適切に提供し、国民がそうしたリスクに対応し適切に行動できるような情報、あるいは、そうした政策立案に資する情報を創出するということを大きな目標としておりました。同時に、これは気候変動に関する国際的な枠組み、つまり、5年ごとに全体の進捗を評価し、その進捗を科学的に評価しながら、更に次の対策を採っていくという、そうした国際的なプロセス、それから、IPCCを代表としますような、国際社会における日本の科学コミュニティのプレゼンスの向上といったことにも貢献するというものでございました。
 6ページから事後評価になっております。初めに、研究開発計画の関係を整理しております。7ページ以下、特に7ページから8ページにかけてが、課題の達成状況を記載しているところでございます。
 先ほど申し上げましたように、政策的な観点からも、気候変動対策の基盤となる科学的知見の充実が要請されておりまして、この事業を通じて、気候モデルが抱えている様々なチャレンジングな課題に取り組んできたということでございます。
 詳細は、そちらにどのようなモデルが開発されたか等々については書かれておりますので、見ていただければと思いますけれども、その結果、適応策、あるいは、排出削減策等、国際的な政策も含めた幅広い活用につながるような様々な成果が出てきております。同時に、論文数に表れているように、学術的な貢献も大変大きなものでございました。したがいまして、この評価では、国内外における気候変動対策の基盤となる科学的知見の充実に貢献したということを評価しております。
 それから、この事業に関しましては、気候変動予測、影響評価、そして、社会・経済の展開のシナリオとの連携を深化させるというのが1つの研究課題でもございました。これは本事業の中でももちろん、外とも協力して、こうした課題に対処を始めたということも、評価できる点として触れております。
 8ページの後半から総合評価の部分になりますけれども、この事業では5つのテーマを設定して、全球からの日本領域までのスケールでの気候変動に伴うリスクの把握ということを目指しておりました。その観点から、事業期間の5年間において、気候変動リスクのマネジメントに必要な基盤的情報を創出し、また、先ほど紹介しました社会・経済シナリオ分野との連携にも取り組み、将来の気候変動のリスク影響に関する評価を行ってまいりました。
 その成果というのは、これも繰り返しになって恐縮ですけれども、実際に予測情報を精緻にする、高度化する、適応策への活用に結び付ける、そして、科学的なアウトプットとして、日本から大きな貢献を示すことができたとして、科学的・政策的に非常に意義のある貢献ができた、成果を収めたと評価をしております。
 最後、12ページのところでございますけれども、今後の展望として、この事業で得られた成果というのは、今後の気候変動に関する研究はもちろんですけれども、政策的な基盤をなす科学的な知見となり得るということでございますけれども、それを更に適応策等々の検討を含めて、具体的に社会に還元されるような工夫ということが期待されるというふうにまとめております。それは国の気候変動対策、あるいは、適応策の推進の中でも活用されるように、関係する省庁との連携を一層深めていくということが引き続き大切であるとまとめております。
 こうした成果及び課題というのは、既に今年から始まっております統合プログラムの中で、そうした内容について反映していくということでございます。
 以上でございます。

【大垣分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明に関しまして、御意見、あるいは御質問ありましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。どうぞ。

【山口委員】  最初の方の社会実装プログラムの方で、ちょっと質問をさせていただきたいと思います。
 大変意義ある自治体への展開とか社会実装ということをお話になっていて、私、原子力科学技術委員会にいるんですが、こういった自治体との関係というのは非常に関心があるところでもあるのですが。こういう社会実装ということをテーマにしてやられるときには、やはり当初から、将来適応されるであろう自治体の方がこういう研究に関わってくるかというのが大変重要だと思うんですが、その辺、どういう工夫をされているのか、あるいは、今までそういう実績があるのか、そのあたりを教えていただければと思います。

【高村委員】  ありがとうございます。補足があれば、事務局からお願いしたいと思いますけれども。
 今回のこのSI-CATの取組は、最初からこういう研究開発を行うということをある意味で決めないで、自治体と話合いをしながら、その自治体にとって一番関心がある、例えば、気候変動の影響分野が何かといったところ、まさに研究課題の設計のところから一緒にやっていくということをやっております。ですから、自治体さんには最初に手を挙げていただいて、そうした取組に関心があるところに手を挙げていただいて、それをモデルとして今実施しているというところであります。
 仄聞(そくぶん)しますに、そうした研究機関と自治体との間で、どういう研究課題、どういうところに焦点を当てて進めていくかというところで、やはり議論がなかなか難しい場合もあるとは聞いておりますけれども、特に、このSI-CATのところでは、コーディネートするプログラムダイレクターを含めて、こうした地域、対象となっているモデル自治体と研究機関との連携がうまくいくような支援といいましょうか、補佐というものに心を砕いていただいていると聞いております。
 もし事務局から何か補足がありましたら。ありがとうございます。

【大垣分科会長】  よろしいでしょうか。

【山口委員】  はい、ありがとうございます。

【大垣分科会長】  ほかにはいかがですか。どうぞ。

【春日委員】  御説明ありがとうございました。
 まさに高村先生におっしゃっていただいたように、この考え方自体、Future Earthの考え方そのものだと思います。そのことに関連して、具体的な研究の進め方について、ちょっとお尋ねしたいんですけれども。
 そもそもの研究課題を共創的に設計していくとなると、研究計画をその都度見直したり、それから、研究班に入ってくる専門家も、課題によって見直すことが必要になるのではないかと想像するんですが、そのあたりは実際にどういうふうにされたんでしょうか。

【高村委員】  できましたら、事務局から、具体的な例がもしありましたら、御紹介いただけると有り難いと思いますけれど。

【佐藤環境科学技術推進官】  本プログラムでは、社会実装するためには何が必要なのかということをモデル自治体と研究開発機関で相談し、必要に応じて課題設定を見直しながら推進してきているのが実態であります。春日先生がおっしゃるとおり、研究計画を見直して中止した課題もあれば、やらなくてはいけないということで研究課題を追加したところもあります。そうやってモデル自治体と技術開発機関が協力しながらプログラムを実施してきたのが実態であります。

【春日委員】  すみません、確認のためにお尋ねしますが、やめたり加わったりというのは、それは共同研究機関ということでしょうか。

【佐藤環境科学技術推進官】  研究機関ではなく研究課題です。具体的には、本プログラムの研究課題の一部を、気候変動適応策について中心的な役割を担う環境省に移管した研究課題があります。具体的な研究課題は手元にありませんけれども、関係省庁や機関と相談しながら進めているということで、大変いいプログラムになっています。
 以上です。

【春日委員】  ありがとうございました。
 実は、2番目の課題についても質問させていただきたいんですが、続けてよろしいでしょうか。

【大垣分科会長】  どうぞ。

【春日委員】  ありがとうございます。
 2番目は、これは気候変動による災害というふうにも位置付けられるかと思いますし、御説明の中で、人々がどうやって行動したらいいかというところにまでつなげたいという、そういう御説明があったかと思います。
 そうしますと、この計評分科会でカバーしている防災のグループとも非常に関係が強くなるのではないかと思いまして。防災のコミュニティは、やはり市民一人一人がどう行動できるかというところまで踏み込んだことを、日本国内で特に研究を進めた上で、海外にもそれを実装していこうという活動を活発にされているとお聞きしています。ですので、このプログラム、あるいは、プロジェクトの段階でどう連携ができるか、すぐには分かりませんけれども、いずれ文部科学省全体として、そういう分野を超えた連携を考えていくいい機会になるのではないか、事例になるのではないかと感じました。

【高村委員】  ありがとうございます。
 先生御指摘のとおりでして、例えば、これは先ほどありましたテーマDの中の1つのテーマとなっておりますが、防災も1つの研究要素として入っております。防災分野の先生方に参加していただいていたわけでありますけれども。そういう意味で、プログラムを超えた連携という点については、今後の文部科学省としての課題でもあると思います。
 具体的な人の行動の変化というところまで具体的につなげていくという点では、今後、成果として、そちらに還元させていくということが、課題として挙げさせていただきましたけれども、d4PDFといいます、4度の気温上昇に整合するような場合の影響の予測データというのが取れるようなプラットフォーム、データのプラットフォーム、そうしたものを作っておりまして。ですから、地方自治体がそれを利用しやすいような、そうした情報プラットフォームを作ったりしております。
 そういう意味で、実際に使われるところまでいっているケースもございますけれども、やはりそれを拡大していくというのが、このプログラム、そして、後継の統合プログラムの課題だろうと思っております。
 最後、もう一つ、海外への展開についても、このプログラムについて中心を担っていただきました先生の一人でもあります木本先生等が、こうした知見を海外にどう展開するかといった点について、例えば、国際的な温暖化交渉の場面でも御紹介いただくなどしておりまして、こうした海外への展開というのも、後継の統合プログラムについても、やはり1つの課題として考える必要があると思っております。
 以上です。

【大垣分科会長】  よろしいですか。

【春日委員】  関連して、長くなってすみません。
 特に2番目のプログラム、ここで具体的に出てきているCMIPですとかCORDEXというのは、WCRPのワーキンググループだったり、プロジェクトだったりするんですね。ですので、多分、そこで既に先生方は国際的な共同をされていると思います。

【大垣分科会長】  ありがとうございました。どうぞ。

【土井委員】  どうもありがとうございます。
 プログラムの評価としては、こういう評価になるということは理解できたのですけれども、資料4-3-1のところにあるマップで見ると、この下のSI-CATの話というのは、今、春日委員からも御指摘がありましたように、その自治体にとって何のために気候変動を知りたいかというと、やはり防災とか、そういうところにつながるわけで。なので、このSI-CATが2019年度までですか、終わったときに、そこが、この政策自身をどこに引き継ぐか。
 評価の中では環境省という話もありましたけど、一方で、防災ということを考えると、ここの中の防災の委員会という話もありますし、あるいは、防災関係は総務省ですので、そこに引き継ぐのか。そういう意味では、政策として、文部科学省での役割を終えたものをどういうふうに引き継いでいくかというのは、やはり検討していくことが必要かなと感じます。よろしくお願いいたします。

【大垣分科会長】  ありがとうございます。特にコメントありますか。

【高村委員】  ありがとうございます。
 もう先生のおっしゃるとおりだと思っておりまして、まさに出口を政策の中に展開しようと思うと、そういう省庁間の連携というのは確実に必要になると思いますので、こちらの評価の中にも言及させていただいておりますけれども、その点、やはりプログラムの運営上、今後課題として検討してまいりたいと思います。ありがとうございます。

【大垣分科会長】  ありがとうございました。
 よろしいでしょうか。どうもありがとうございます。
 それでは、次に、ライフサイエンス委員会の説明をお願いいたします。

【高城企画官】  失礼いたします。ライフサイエンス委員会の永井主査が御欠席のため、事務局より御説明させていただきます。資料の方は、4-4-1及び4-4-2で御説明させていただきます。
 初めに、資料4-4-1を御準備いただきたいと思います。御覧のとおり、疾患領域ごとの取組といたしまして、ライフサイエンス委員会関連では、現在、3つの事業があるというところでございます。本日は、緑囲いしております感染症研究国際展開戦略プログラム、こちらの中間評価について御説明させていただきます。
 資料4-4-2を準備いただきたいと思います。
 こちらについて、まず事業の概要でございます。2ページ目をお開きいただきたいと思います。こちら、上の方に書いてございますように、本事業につきましては、アジア・アフリカの感染症流行(りゅうこう)地に設置いたしました研究拠点を活用いたしまして、相手国機関と共同で、現地でなければ得られない検体、情報を活用した疫学研究、診断治療薬等の基礎的研究を推進しております。また、感染制御に向けた予防、診断治療に資する新技術の開発、専門人材の育成を図ることも目的としているものでございます。
 本事業につきましては、平成17年度に第1期を開始しておりまして、平成29年度は平成27年度からの第3期の3年目、中間年ということでございました。現在は、図のとおり、9か国に9つの大学がそれぞれ拠点を設置いたしまして活動しており、日本への侵入リスク、世界での患者数、疾患の重篤度などを考慮した4課題、真ん中に書いてございますけれども、4つの疾患を重点的に考慮いたしまして、研究を進めているというところでございます。
 次に、評価について御報告したいと思います。おめくりいただきまして、資料の3ページになります、評価結果、(1)の課題の進捗状況でございます。
 先ほど御紹介のとおり、現在、3期目でございますが、この中で、1課題につきましては、第3期からスタートしたというところで、現地国との交渉、それから、研究環境の整備、こちらの方が中心となったために、研究開発自体の成果の創出という点では不十分ではあるものの、目標に向かい着実に進んでいるということでございます。そのほかの8課題につきましては、これまでに構築されてきた現地国との信頼関係の下、成果が確実に蓄積されているということなどから、本事業の進捗状況は適正という評価を頂いているところでございます。
 次ページに参りまして、次に、(2)の必要性・有効性・効率性についてでございます。
 この必要性につきましてですが、感染症対策は、感染症の温床となっております途上国における流行(りゅうこう)状況をいち早く把握し、対策を進めることが必要と言えるものでございます。感染症流行(りゅうこう)地に日本人研究者を常駐させ、現地の研究者との信頼関係を構築しながら研究を進める必要性があるということから、必要性は高いと評価を頂いているところでございます。
 また、次の5ページ目になりますが、有効性についてでございます。こちらにつきましては、これまでの研究の状況として、資料に記載しているような具体的な成果が得られているところでございます。また、人材育成といたしましては、日本人及び現地国の新たな若手研究者が参画していること、また、若手研究者に対する海外拠点を活用した研修等の取組が進められていることなどから、有効性も高い評価を頂いているところでございます。
 次に、効率性でございます。PD・PS・POという専門家の方々の活動を通して、研究をより促進するため、関係機関との連携に向けた助言などが行われているところでございます。さらには、感染症対策、厚生労働省も事業を持っておりますけれども、こちらとも合同シンポジウムを開催いたしまして、成果の相互理解、連携の推進を図るなど、効率的かつ効果的な事業運営に向けた精力的な取組が実施されており、効率性は高いとの評価を頂いているところでございます。
 これらを踏まえまして、(3)にございます今後の研究開発の方向性といたしましては、継続との評価を頂いたところでございます。
 最後に、今後の留意点といたしまして、各拠点においては、研究の選択と集中を図ること、事業としては、機関間の連携、それから、海外拠点で得られた情報などをより多くの研究者に活用していただけるような仕組みを検討していくことが必要といった御指摘を頂いているところでございます。
 以上でございます。

【大垣分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明に関しまして、御質問あるいは御意見ありましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。どうぞ。

【春日委員】  すみません。この分野もやはり、特に他分野との連携が今まさに必要となっている、もう全地球的に必要となっているホットトピックスだと思います。気候変動によって感染症の流行(りゅうこう)パターンは大きく変わってきますし、気候変動によって、人の動き自体も変わって、それによって、また感染症の流行(りゅうこう)パターンも変わってきます。そういう視点をより一層含めていただいて、One Health、それから、Planetary Healthという概念が今進みつつありますので、そういうところにも配慮したような研究を進めていただけると大変よろしいのではないかと拝察いたします。

【高城企画官】  ありがとうございます。
 ただいまの御指摘、非常に重要な視点かと思っておりますので、PD・PS・POの先生方にいろいろ助言を頂いているところでございますが、事務方といたしましても、いろいろと打合せをしながら進んでいるところでございます。ただいま頂いた視点も踏まえながら、より良いものにしていきたいと思います。ありがとうございました。

【大垣分科会長】  ほかにはよろしいですか。
 それでは、どうもありがとうございました。
 次に、脳科学委員会から、事後評価2件、続けて説明をお願いいたします。

【樋口委員】  それでは、脳科学委員会から報告をさせていただきます。お手元資料4-5-2に基づきまして、説明いたします。4-5-1は施策マップでございますので、御覧いただければと思います。
 脳科学に関する研究開発課題の事後評価でございます。今回、2課題ございまして、脳科学研究戦略推進プログラムというところの中で2つの課題、1つは、「ブレイン・マシーン・インターフェイス(以下、BMIと略しますけれども)技術を用いた自立支援、精神・神経疾患等の克服に向けた研究開発」でございます。他の1つは、「霊長類モデル動物の創出・普及体制の整備」、この事後評価であります。
 まずは、「BMI技術を用いた自立支援、精神・神経疾患等の克服に向けた研究開発」の事後評価について説明をさせていただきます。資料は、4ページを御覧ください。
 本事業は、身体機能の回復・代替・補完による自立支援や精神・神経疾患の革新的な予防・治療法の開発につなげることを目的として、新たなBMI技術の開発、臨床応用及び実用化に向けた研究等を実施する事業でございまして、平成25年から29年度までの5か年計画で実施されております。このうち、平成27年4月よりAMEDに移管されている事業でございます。
 評価について申し上げます。9ページを御覧いただきたいと思いますが、各観点の評価について御説明いたします。
 まず必要性の観点についてでありますが、本事業において、脳卒中片麻痺(まひ)患者向けのBMIリハビリテーション技術を開発しまして、臨床研究から治験、医薬品医療機器等法承認の道筋をつけるとともに、世界で初めて汎化された自閉スペクトラム症をはじめとする各種精神疾患のバイオマーカー及びこれに基づいた新たな治療法となり得る技術開発が行われました。以上より、事前評価で示した必要性への評価基準は満たしていると評価いたしました。
 続いて、10ページを御覧ください。次に、有効性の観点でありますが、本事業においては、BMIリハビリテーション技術や筋萎縮性側索硬化症という難病の患者を対象とした低侵襲のBMI技術の開発など、多くの成果が研究開発段階のフェーズから臨床応用、実用化のフェーズに移行しており、企業への技術移転や製品化へ向けた進捗が見られております。以上より、事前評価で示した有効性への評価基準は満たされていると評価いたしました。
 続いて、その下の効率性の観点でございますが、本事業において、チーム長が各グループをまとめて、各分野に強みを持つ多数の研究者が密接に連携して新規技術の開発と臨床応用に向けて総合力を発揮して、効率的に研究開発が推進されました。以上より、事前評価で示した効率性への評価基準は満たされたと評価いたしました。
 続いて、11ページを御覧ください。総合評価であります。総合評価について概要をまとめますと、研究成果は、ハイインパクトジャーナルを含む多数の論文として発信され、我が国の脳科学研究の発展に貢献するとともに、特許出願も多く、様々な企業と実用化・事業化を目指した取組が具体化されておりまして、当初の目標と達成していると判断しております。
 同じページに記載しました今後の展望といたしましては、本事業で開発を進めた技術の多くが研究開発段階から橋渡し、実用化に向かっていることに加えて、BMI技術は我が国が世界的に強みを有する分野であり、今回の優れた成果が国際標準へとつながることが望まれているといたしました。
 続きまして、2つ目の事後評価であります「霊長類モデル動物の創出・普及体制の整備」についてであります。
 12ページを御覧ください。本事業は、脳科学研究を推進するための基盤としての遺伝子改変マーモセットの普及、供給体制の整備を目的として、そのために必要な技術等の高度化・効率化を行い、低コストでの供給・普及に向けた研究を実施する事業であります。平成25年度から29年度までの5か年計画で実施されまして、これも同様、27年4月よりはAMEDに移管されております。
 評価でございます。資料の14ページを御覧いただきたいと思いますが、各観点の評価について御説明いたします。
 必要性に関しましては、本事業において、マーモセットを脳科学研究のモデル動物として活用するための技術基盤を生み出すとともに、継続的に安定した遺伝子改変マーモセットの供給に目途をつけました。以上より、事前評価で示しました必要性の評価基準は満たされたと評価いたしました。
 続いて、15ページでございます。有効性の観点については、本事業において、遺伝子改変マーモセットの創出と普及を推進し、他の研究プロジェクト等と幅広く連携することで高次脳機能の解明等に関する研究が進捗し、脳科学研究の発展に貢献いたしました。このことから、事前評価で示された有効性への評価基準は満たされたと評価しております。
 効率性の観点につきましては、本事業では、他の研究プロジェクト、あるいは、海外研究機関、企業との連携が積極的に展開されるとともに、本事業で培った技術を活用して他の研究プロジェクトが推進されておりまして、有機的な連携によって資源の効率的な活用が図られたところでございます。以上より、事前評価で示した効率性への評価基準は満たされたと評価いたしました。
 続きまして、16ページを御覧いただきたいと思いますが、総合評価でございます。総合評価の概要でありますが、脳科学研究を飛躍的に発展させる可能性のある遺伝子改変マーモセットの普及を目指して、その技術の高度化、低侵襲化、あるいは、低コスト化を果たすとともに、継続的に安定した遺伝子改変マーモセットの供給に目途をつけ、よって当初の研究開発目標を達成したと考えております。
 以上を踏まえて、今後の展望といたしましては、今後、遺伝子改変マーモセットの持続的な普及、脳科学や創薬研究への応用などの社会還元等を検討しつつ、我が国の強みとしての国際的な連携研究の基盤になっていくことが望まれております。
 以上でございます。ありがとうございました。

【大垣分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明に関しまして、御質問あるいは御意見ございましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。
 よろしいですか。それでは、どうもありがとうございました。
 次に、防災科学技術委員会から説明をお願いいたします。よろしく。

【田中防災科学技術推進室室長補佐】  防災科学技術委員会でございます。田中主査が御欠席でございますので、引き続き事務局の方で防災科学技術推進室田中から御報告申し上げます。よろしくお願いいたします。
 資料でございます。横の施策マップ4-6-1でございますが、緑でカバーされている地域防災対策支援研究プロジェクトが、今回事後評価ということで御審議いただくことになっております。
 資料4-6-2でございます。地域防災対策支援研究プロジェクトでございます。平成25年から29年までの5か年で実施いたしました。中間評価を平成27年度、28年2月、事後評価を先の2月に行ったところでございます。
 概要は省略いたしますけれども、東日本大震災を契機としまして、大学等の研究開発の成果と自治体等の行う防災対策をいかに結び付けていくかという問題意識で始めた事業でございます。課題1が、大学・研究機関で行っている防災に関する研究のデータベースを作成するということ、課題2は、次のページを見ていただいた方がよろしいかと思いますけれども、実際に各地域で大学等が実施しております研究成果を地域の防災活動に生かして、実践事例づくりをしていくということでございます。また、この成果は、課題1のデータベースの方に戻って、新たに取り組みたいという方の参考にしていただくというようなものでございました。
 そして、実際実施したのは、5ページでございますが、課題1については防災科学技術研究所、課題2というのが、課題によりまして3か年から5か年やったものとございますが、全部で11地区やっております。
 そして、評価でございます。まず6ページでございますが、研究開発計画との関係ということで、中目標の予測力・予防力の向上に資するものということで対応しているところでございます。
 評価結果のところでございます。必要性・有効性・効率性とございますが、まず必要性に関しましては、課題1のデータベース、Webサービスに関しましては、もちろん構築はしたところでございますけれども、それ以降につきましても、アンケート調査、市町村を対象にした公開実験等を行いまして、担当者の意見を集約することでより高いものにしていき、連携を図っているということでございます。
 課題2、各地で実施しているものでございますけれども、地方公共団体等と連携して地域との信頼関係を築いている。また、各地域での防災に関するニーズに応じた社会実装を目指した実施体制を構築しているということがございます。
 本事業の必要性に関しましては、地域の防災対策における研究者と地域とのマッチング、実施体制の構築という目標はおおむね達成されたものとして評価しているところでございます。
 有効性に関してでございます。課題1に関しては、地域が必要とする情報や課題の解決策等を容易に入手でき、地域の防災力向上への効果は非常に大きいということ、さらに、次のページに参りますが、防災リテラシーの向上や、中目標、予測力・予防力の向上ということが1つでございましたが、もう一つの方が対応力の向上ということになっておりまして、それに対しての基盤づくりが達成されたと言えます。
 課題2に対しましては、防災力の向上同様に、対応力の向上にもつながっているということでございますが、防災力の向上と併せ、人材育成・防災教育の効果も期待でき、自発的な行動を啓発する効果も見込まれ、今後につながる取組である。地域の防災力向上への寄与が認められたということでございます。
 研究期間が3か年、4か年で終了したものもございましたので、それらにつきましては、地域への貢献度に関して聞き取り調査なども行っております。その後、プロジェクトが終わった後も官学民連携の枠組みが継続し、本事業の有効性についても客観的に確認されているところでございます。
 課題でございますが、ハードウェアの維持管理が必要なものについて、事業継続をどうするかということがある。また、成果展開を更なる情報発信をすべきであるといった御指摘も頂いております。
 御指摘、一部課題は頂いているところでございますが、有効性の観点から、おおむね妥当という評価を頂いているところでございます。
 それから、効率性に関してでございます。事業継続性の担保が図られるべきであるという御指摘、また、協力体制モデルを構築している、人材育成を行っている、次のページへ参りますが、組織形成、普及活動を図っており、人材育成とともに強固な体制が地域に構築されているということでございます。
 また、課題もございまして、今後とも人材育成、成果の活用につながるような仕組みづくりを進めていくこと、地域住民を巻き込んで実施していくこと、そのためにマニュアル等を作成し公表していくこと、地域・人材に応じた手法を更に発展させるべきであるといったことを御指摘いただいております。
 課題はございましたが、効率性の観点からは、限られた予算の中で地域特性に応じた成果を効果的に上げており、おおむね妥当という評価を頂いております。
 総合評価の部分でございます。課題1に関して、データベースの構築だけでなく、利用者の視点で情報整理がなされ、ニーズに合わせた効率的な情報提供を可能とするようなプラットフォームが構築されております。
 課題2については、11地域を対象としておりましたが、全体を通じて、様々な関係者、ステークホルダーを通じて体制構築・維持、ノウハウのマニュアル化、勉強会等を通じて人材育成・教育の推進など、特色ある成果が効率的に得られており、費用対効果が高い取組であるということでございます。
 課題でございます。技術開発に重点が置かれたものについて、地域への貢献が不十分であったものもあったということがございますが、これらについても、今後しっかり典型を図っていくこと、ほかの地域への横展開も図っていくといったことにより、中目標である予測力・予防力の向上だけでなく、対応力の向上に向けた基盤づくりも達成されるなど、成果を上げていると評価していただいています。
 評価の概要でございます。やや似たことを示しておりますけれども、システムの構築、しっかりした地域での実施体制が構築されているところで、特色ある成果が得られたと評価を頂いております。継続性確保についての課題も御指摘を頂いております。
 今後の展望のところでございます。やはり得られた成果を分かりやすく発信していくということが重要であるということで、Webサービスについて継続して運用していくべきであること、それから、課題2については、より一層その地域、あるいは、他の地域への展開を図って定着をさせていくということ、継続的に地域防災活動への支援に寄与し、広範囲に展開されていくべきものというふうな期待をしていただいているところでございます。
 以上でございます。

【大垣分科会長】  ありがとうございました。
 ただいまの説明に関しまして、御意見あるいは御質問ございますでしょうか。どうぞ。

【土井委員】  課題2の方なんですが、こういう地域に対してというのは、先ほどの環境のところでもありましたが、関わるところはあると思うのですが、少し理解できないところがありまして。ノウハウのマニュアル化とか、そういう人材育成、それは防災という面で見ると必要だということは理解できるのですが、文部科学省が担うべき人材育成なのかというところは、少しよく分からないのですが。こういうものは、それこそ自治体で何か災害が起きたときに、そこで実際に働いていただく方で、そういうことに関しては、消防庁とかもやっていますよね。なので、そういう意味では、国全体から見たときに、同じところに予算が投じられているように見えてしまうのですが、そのあたりはどのようなすみ分けになっているのでしょうか。

【田中防災科学技術推進室室長補佐】  よろしいですか。ありがとうございます。
 そのあたりはやはり常に議論になるところかと思いますけれども、我々、文部科学省の立場からいたしますと、本件については、研究開発であるという立場で考えております。
 つまり、地域の防災力を高めるためにはどうしたらいいかということで、もちろん、実際の場面になれば、地方公共団体の上という意味での総務省とか、あるいは、内閣府とか、そのあたりが担当していくことになるかと思いますが、実際に対応する前に、いかに効率的にやるにはどうしたらいいかということは、まだ研究開発する分野があるのではないかと考えております。したがいまして、例えば、この案件をずっと我々、文部科学省がサポートしていくかというと、それはそうではなくて、研究を行って、その成果を実装していただく、出口戦略を、役所で申しましたら、他府省が担当していくということになるかと思います。

【土井委員】  その論理は、文部科学省の立場からの論理はよく分かるのですが、地方自治体は、そういう意味では、今いろいろなところで人材不足ですけど、まさに本当に人がいないんですよね。だから、熊本地震のときでも、本当にもういろんな人をかき集めても、それで間に合わなかったというようなところなので、人材教育をこうやって行っていくことも必要なのですが、やはり人材教育に掛けるコストパフォーマンスも考えないといけないので、いろいろな省庁が関係するからといって、それぞれの論理で人材育成とか教育を行うというのは非効率なので、やはり地方自治体から見たときに、きちんと自分たちの立場に立って考えた人材教育が行われているという施策に、是非、国としては、文部科学省だけではなく、省庁連携という意味で、きちんとやっていくということも必要だと思います。
 ますます少子化になるので、ますます地方には、特に若手人材、こういうときに実際に動ける方がいなくなるので、人材を育成するだけではなく、ロボットを導入するとか、そういう別のことも考えないといけないので、是非、そういうもっと広い視点で考えていただくことも重要かと思います。

【大垣分科会長】  ありがとうございました。

【田中防災科学技術推進室室長補佐】  ありがとうございます。

【大垣分科会長】  ほかになければ……。どうぞ。

【長谷山委員】  今の土井委員のお話に関係するかと思いますが、ノウハウのマニュアル化という言葉の定義が少々曖昧なものと思います。ノウハウの伝承ですとか、ノウハウの体系化でしたら分かるのですが、ノウハウはそもそもマニュアル化が難しいものと思います。それゆえ、文部科学省でマニュアル化に取り組む必要があるとおっしゃっているのであれば、他で行われる取組との差異も明確になるのではないかと思います。ノウハウのマニュアル化というものの定義が曖昧で、何を行うものなのか分かりにくいものになっていると思いますので、検討していただくのが良いと思います。
 以上です。

【田中防災科学技術推進室室長補佐】  すみません。確かに用語は適切でなかったかもしれないのですけれども、心としては、この地区ではこうやってうまくやっているという事例をみんなで共有できるような形に書き起こしていくというか、そういった活動でございます。このあたり、防災の分野はとても難しいところでございまして、皆さんは分かっているんですけれども、結局、やっぱり何でその地区になるとうまくできないのか。例えば、熊本だったら、また一からやらないといけなかったのかとか、やっぱりそのあたりが難しいというのを表現したかったところでございます。
 ただ、いずれにせよ、御指摘は踏まえて、今後も進めてまいりたいと考えております。

【高梨委員】  よろしいでしょうか。関連したお話なんですけれども、ノウハウと言っている部分がどこの部分を指しているのかというのが私自身も分からなくて、例えば、こういう事例がありました、ありましたというふうな形でデータベースに上げられています。それを、どういうふうに、どういう観点で分析して、自分の自治体にどういうふうに適用していったらいいかというところまで含めてのノウハウなんですか。
 結局、自治体の方々は、そういうところが分からなくて、事例はたくさん出ているけれども落とせないよねというふうなところで悩んでいらっしゃるように思うんですけど。

【田中防災科学技術推進室室長補佐】  ありがとうございます。まさにおっしゃるところでございまして、例えば、自治体の話にいたしますと、やっぱり自治体の職員も、人事異動でたまたま防災担当になったりして、しかも、担当一人とかいう状態で、どうしたらいいかということになったときに参考にしていただくとか、あるいは、自治体だけではなくて、その地域でボランティア的に担当している方、やっぱり意識の高い方がおられて、それをみんなでやりたいとかいうときに、ほかのところでどうやってやるのかなというふうに参考にできるような知見を集めたいと思って、今進めているところです。

【大垣分科会長】  よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
 以上で個別の説明は思ったのでありますが、先ほど、時間がありましたら全体の御意見をということを申し上げたんですが、時間が余りなくなってまいりました。何か特に全体を通じて御意見、御指摘点ありましたら。どうぞ。

【栗原分科会長代理】  意見交換でもあったところですが。今後の展望のところに、先行的取組を他に広げるとか、得られた知見の普及というようなことがいろいろな領域で言われていたと思いますので、融合など、いろいろな視点が大事だということは、今回の事例報告の中で随分明確になったと思うので、今後、評価の中で気を付けていけたらと思います。

【大垣分科会長】  そうですね。ありがとうございます。
 ほかになければ。よろしいでしょうか。
 それでは、どうもありがとうございました。いろいろ御指摘もございましたが、特に修正が必要なものはなかったと理解しておりますが、今の全体の中間評価・事後評価案につきまして、本分科会として決定したいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【大垣分科会長】  どうもありがとうございます。
 それでは、分科会として、中間評価・事後評価案を決定したいと思います。
 それでは、ちょっと時間も遅くなりましたが、議題5であります。「部会等からの報告」について、今回は量子科学技術委員会より1件、報告事項がございます。それでは、量子科学技術委員会から説明をお願いいたします。

【雨宮委員】  それでは、量子科学技術委員会からの報告をいたします。資料5-1のパワーポイント5枚ありますが、主に1枚目を使って御報告いたします。
 量子科学技術委員会の下にある量子ビーム利用推進小委員会で議論された内容が、量子科学技術委員会で承認されたものですが、その内容についての御報告です。
 新たな軟X線向け高輝度3GeV級放射光源の整備等について。まずポイントのところに4つ丸がありますが、それが4つのポイントです。
 我が国において、新たな軟X線向け高輝度3GeV級放射光源(次世代放射光施設)の早期整備が必要。
 国の整備・運用主体は、国立研究開発法人の量子科学技術研究開発機構(QST)が適切。
 整備・運用に積極的に関わる地域及び産業界とともに、財源負担も含め、官民地域パートナーシップにより計画を推進することが適切。
 次世代放射光施設をプラットフォームとして、「組織」対「組織」で共同研究を行うことなど、本格的産学連携を実践していくべきです。この4つがポイントでございます。
 もう少し具体的な報告書の概要が、(1)から(5)までです。
 次世代放射光施設の科学技術イノベーション政策上の意義。
 物質の「構造解析」に加えて、物質の「機能理解」ということができる、高輝度の軟X線利用環境の整備が必要であるということがポイント。
 2つ目が、2010年代に入ってから、米国、台湾、スウェーデン等において、高性能の軟X線向け高輝度放射光源が稼働を開始しているけれども、我が国においては諸外国と互角に競争する環境が整っていない状況。
 3番目には、学術研究のみならず高い産業利用ニーズが見込まれる次世代放射光源は、我が国の多岐にわたる研究開発分野の研究力、産業競争力に大きな影響を与えることから、学術、産業界の各界から高い期待が寄せられていて、その早期整備が必要であるということです。
 2番目は規模ですが、「先端性」と「安定性」を両立した上でのコンパクトな施設であること。
 3番目は、先ほどポイントにありましたけれども、大型プロジェクトの整備・経験を有し、なおかつ、産学官の連携活動を積極的に進めるビジョンを持った量子科学技術研究開発機構(QST)が適切ということです。
 (4)が、整備・運用に当たっての基本的な考え方、マネジメントですが、マル1からマル4、特に重要なところが、官民地域パートナーシップにより研究を推進することが適切ということです。
 (5)は整備・運用経費ですけれども、そこに書かれた340億程度、年間29億、5年で整備、こういうようなものが概要になっています。
 
 2枚目以降は、この次世代放射光施設でどういうことができるかということで、大きく4つのポイント、触媒化学、創薬、磁性・スピントロニクス材料、高分子材料ということで、そこにまとめられております。
 3枚目は、従来あるSpring-8と今回の次世代放射光施設の違いを表にまとめてあります。
 4枚目、5枚目は、国内外の動向ということで、参考資料として付けていますが、時間も迫っていますので、見ていただいて、何か御質問があればお受けしたいと思います。
 以上です。

【大垣分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明に関しまして、何か御質問等ございますでしょうか。どうぞ。

【辻委員】  官民地域連携ということでうたっておられるわけなんですけれども、特に、官民のところはよく分かるところもあるんですが、地域というところのポイントを教えていただければと思います。

【雨宮委員】  そこの(4)のマル4のところで、リサーチコンプレックスということで、研究機関がそこに集まってくるような求心力があるかどうかということです。4枚目、5枚目に海外の例があるのですが、例えば、5枚目を見ていただくと、台湾のTPSの例だとか、スウェーデンのMAX-IVの例。この辺は、放射光施設のあるところにいろいろな民間の研究所等が集まってきて、リサーチコンプレックスを作っている。そういう形で、単に学術だけではなくて、産業界が非常に敷居が低くなって、使えるような仕組みがあって、国策としてやっていると。だから、日本でやる場合も、こういう条件をきっちりと課した上で進めるべきであるということでございます。

【辻委員】  ありがとうございます。

【大垣分科会長】  ほかになければ……。簡潔にお願いします。

【高梨委員】  分かりました。
 同じところなんですけど、財源負担を含めてと書いてありますが、具体的に教えてください。

【雨宮委員】  ここにはトータルで340となっていますが、もうちょっと細かい資料でいきますと、そのうちの150ぐらい、半分弱ぐらいを、国以外の組織が出せるような協力体制が必要であろうということです。
 数値については、事務局の方からお願いします。

【大榊量子研究推進室室長補佐】  失礼いたします。事務局の量子研究推進室でございます。
 今御指摘いただきました内容でございますが、資料5-2の25ページをお開きいただければと思います。資料5-2本体の25ページに記載してございますけれども、加速器、基本建屋、ビームライン、研究準備交流棟に加えまして、整備用地を分類してございまして、この分類に基づきまして、役割分担をそれぞれ示しているところでございます。
 加速器につきましては、研究開発の要素がございますので、国が役割分担を担うということになってございまして、その他、基本建屋、ビームライン等につきましては、パートナー、また、研究準備交流棟につきましても、パートナーが整備をしていくということで、全体340億円程度のうち、国の分担としましては、190~200億円程度を予定しているところでございます。

【大垣分科会長】  よろしいですか。

【高梨委員】  はい。

【大垣分科会長】  どうぞ。

【長我部委員】  同じ視点ですが、これまで、こういった施設で、ビームライン単位で民間が持つという形式はありましたが、全体をPPP的なスキームでやるということは初めてかと思います。そこで、公共的施設としての性格が担保されるか、また、データの公開/非公開などの調整、バランスはうまく取れるように計画されるのでしょうか。

【雨宮委員】  今までは企業ごとにビームラインを作っていますが、それだと、企業が1つの装置しか使えない、効率が悪いであろうということで、複数のビームラインを1つのセットにして、そこに複数の企業が入るということで、ビームラインではなくて、ビームタイムをシェアするというコンセプトでの産業利用を想定しています。

【長我部委員】  ポイントは、公共性が損なわれないだろうかという点です。全体が企業と民間のパートナーシップでできるということによって、公共性が損なわれないかと、そこの心配です。

【雨宮委員】  そこが非常に重要な点で、公共性と、投資する企業側のメリットが両立する仕組みが必要だと考えています。また、企業秘密が守られるかということは重要で、いい仕掛けを構築することが重要であると考えています。

【大榊量子研究推進室室長補佐】  1点、事務局から補足させていただきますと、委員御指摘のとおり、企業のビームラインが整備されるという可能性がございまして、そういったところにつきまして、今、パートナーシップのパートナーの募集を行って、その後、調査検討を進めて、審査を行っているところでございますが、今後、パートナーが決定しまして以降、QSTと一緒に、そういった点も含めて、詳細を調整していくことになろうかと思います。

【長我部委員】   ビームライン単位で区切れば、公共的なものとプライベートなものをうまく分けて、両方バランスが取れると思っていたらいいですね。

【大榊量子研究推進室室長補佐】  はい。加えまして、民間企業等が整備したビームラインの一部を公共に使うということにもなりますので、そういったところは担保されているのかなと思っております。

【長我部委員】  分かりました。

【大垣分科会長】  よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
 それでは、本日の議題は以上となりますが、特に皆様からなければ終了したいと思いますが、よろしいですか。
 それでは、事務局から次回の予定等についてお願いいたします。

【國分企画評価課課長補佐】  次回の分科会の開催につきましては、8月の中から下旬頃を予定しております。日程につきましては、後日、事務局にて調整させていただきます。
 また、本日の議事録は、後日、事務局よりメールで送付させていただきますので、御確認いただきますようお願い申し上げます。
 本日の資料は机上に置いていただければ、送付いたします。
 以上です。

【大垣分科会長】  どうも熱心な御討議ありがとうございました。
 それでは、これで科学技術・学術審議会第64回研究計画・評価分科会を終了いたします。
 どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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科学技術・学術政策局 企画評価課

(科学技術・学術政策局 企画評価課)