平成19年5月22日(火曜日)14時〜16時
学術総合センター 中会議室1、2
井上(明)主査、家委員、井上(信)委員、大野委員、小川委員、長我部委員、金子委員、川上委員、駒宮委員、酒井委員、西村委員、福山委員、横山委員、和気委員
永宮J-PARCセンター長
木村量子放射線研究推進室長、他関係官
【駒宮委員】
この人件費はどういうクオリティーの人を何人雇うかということによるのだと思いますけれども、妥当ではないかと思います。光熱費の基本料金18億円は仕方がないと思います。ただし、光熱費の従量料金についてですが、ここに昼とか夜間とか従量料金単価が記述されていますが、これらの比率は分かりますか。比率が分かれば、すぐに従量料金単価の平均を計算することできます。
【永宮J-PARCセンター長】
夏の7月、8月、9月は運転しないということが基本です。だから、夏のアトラクションは非常に小さいタイプです。何パーセントはちょっとわからないですけれども。
【駒宮委員】
平均8円/kWh(キロワット時)としても、44億円ですよね。それよりも大きいですよね。ですから、従量料金単価の平均が幾らかということ、もう1つは230日が妥当かどうかということです。各従量料金単価にそれぞれ何パーセントずつ割り振っているかわかれば、即座に計算できるわけです。これは要するに230日に平均値を掛けて計算したというものですよね。通常100パーセントの効率では運転できないわけですから、この積算の考え方は決して間違っているとは思えません。
【大山J-PARC副センター長】
これは需要率を0.8から1と仮定しまして計算には入っております。今現在、想定している状態での需要率ということを仮定しております。これは実績によって変わるということは当然考えられると思っております。
【駒宮委員】
それは結構ですが、そうするとこの比率さえ出していただければ、この値が妥当かどうかということがすぐ分かると思います。
【大山J-PARC副センター長】
資料が無いので、ここですぐに比率は出せません。しかし、運転パターンを全部積算して数値を出しています。24時間運転の時間帯ごとの料金に全部積算して計算しております。
【駒宮委員】
でも、その割合はどこかで出ないと、これは計算できないわけですよね。
【大山J-PARC副センター長】
電気代は、全期間について積分して積算をしていっています。平均値を使って積算しているわけではないです。
【駒宮委員】
でも、平均は簡単に計算できますよね。
【山崎J-PARC副センター長】
最大電力が108.7MW(メガワット)として、平均を計算すると8.6円/kWh(キロワット時)です。しかし、最大電力が108.7MW(メガワット)ではないときもありますので8.6円/kWh(キロワット時)よりずっと少なくなっていると思います。
【駒宮委員】
8.6円/kWh(キロワット時)掛ける230日掛ける0.8ということですか。
【大山J-PARC副センター長】
108MW(メガワット)はピーク電力なので違います。そこまでこの計算を信用できないとおっしゃられるのであれば各従量料金単価の比率を計算して出してもよろしいですが。
【駒宮委員】
いや、信用できないというではなく、それがわかれば一目瞭然にこの式が合っているかどうかということが分かるという話です。
【井上(明)主査】
これは0.8を掛けていなくて、この比率に対して230日使うと52億円になったと。
【大山J-PARC副センター長】
施設によって0.8を掛けているところと、掛けていないところがあります。
【井上(明)主査】
これだけの金額が精密に積算されますとこれだけになるということです。それでも御理解いただけないというわけですか。
【駒宮委員】
単なる計算ですから、もう少しきちんと分かるような式で書いていただければ、すぐ分かることです。
【井上(明)主査】
御指摘いただいているのは、平均8.6円/kWh(キロワット時)として44億円ですから、まだ52億円とは8億円近い差があるということですね。その点がこの表で示されていないということですね。
【大山J-PARC副センター長】
この表の右から2つ目、電力総量の中に全部積み込まれております。施設ごとの積分値になっていますので、この表から平均値までは読み取れないです。
【駒宮委員】
例えば、夏のピークにほとんど運転しないという場合は、全体として2から3パーセントと。他は何パーセントという数値は簡単に出せると思うのです。それさえ出していただければ、あとは簡単に積算して計算できるので、従量料金の積算が妥当なのかは、すぐ分かる話です。それでそういうものを入れてないで、これは全部いろいろなウエートがかかってやっているものだと仰っていただいても納得できません。基本料金はこれで合っていると思います。しかし、従量料金がかなり大きいのではないかということです。あと、この230日が、どのぐらい現実的かということです。
【永宮J-PARCセンター長】
確かにおっしゃるように、シンプルな数式は書いておりません。しかし、これは我々の専門家チームが電力会社と何回も打ち合わせをして計算した結果です。
【駒宮委員】
電力会社と打ち合わせをして8.6円/kWh(キロワット時)とか9.7円/kWh(キロワット時)とか、こういう数値を決めたわけですね。電力会社が関わってくるのは多分そこだけです。あとはこれが全体として各従量料金単価の比率さえ出していただければ、簡単に計算できると思います。
【永宮J-PARCセンター長】
もう一度数式を全部出せということですか。
【駒宮委員】
各従量料金単価の比率さえ出していただければ結構です。
【井上(明)主査】
前回も類似の質問があり、次回に延ばすわけにいきません。まだ会議終了まで1時間半ほど時間がございますので光熱費の計算を担当した方にファックス等で連絡を入れていただきます。この議論は後回しにして先に他の視点で議論をします。他の視点で御意見等がありますでしょうか。
【井上(信)委員】
先ほど7月、8月、9月は運転を止めるとおっしゃったのですか。止めてもあまり減らないでしょう。空調も止めて、水も止めて真っ暗になっているということではないですよね。
【永宮J-PARCセンター長】
空調もありますし、加速器全体で基礎的に動かしているのがありますので、夏季料金が全くゼロになっているわけではありません。
【大野委員】
正直なところ運転経費200億円の積算が妥当なのかは、担当者でないとわからないと思います。電気代の話も、いろいろな運転モードで計算されているのだから、仮定のもとではかなり正確に近いだろうと思います。それよりも根本的なことをお聞きしたいのですが、この200億円という予算をどこからお出しになるのか。例えば運営費交付金からお出しになるのか、それをJAEAとKEKがそれなりの施設分担に従ってお出しになると一応書いてございますが、KEKの場合、300億円の運営費交付金のうち70億円が人件費です。そうしますと残りが230億円しかない。そこでどのようにお出しになるのか。もしこれが運営費交付金でしかないのだったら、とても大変なことになります。もう既に20年度から運転されるということがタイムスケジュールで決まっているわけです。そうしますと20年度ということは、この夏にも予算要求が始まるということになる。そのあたりは一体どのようにお考えになっているのですか。あるいは運営費交付金でやるかわりに、他のプロジェクトをスクラップ・アンド・ビルドでおやりになるのか、あるいは別な予算を上乗せでお考えになるのですか。むしろ文科省にもお聞きしたいと思います。これは基本的にこの190億円がいいかどうか議論するより、もっと根本的な問題だと思います。
【木村室長】
私から概略お答えいたします。基本的な分担はそれぞれの施設、設置分担、建設分担に基づいて負担をしていくということになります。財源は運営費交付金になっていくと思います。ただ、今議論している190億円、200億円という数字に達するまでは、まだ4年とか5年かかっていくと思います。その間、おそらくKEKあるいはJAEAの中でも、限られた運営費交付金の中でやりくりをする、あるいはプロジェクトのスクラップ・アンド・ビルドをするといったやり方で対応していくことになるかと思います。ただ、こういった大型の研究施設の維持運営にかかる経費を本当にいつまでも運営費交付金の中で見ていくのかということについては、さまざまな意見もあって、こういった維持管理の経費がかかることによって、本来、研究開発独立行政法人、あるいは大学共同利用機関が本来やるべき活動が阻害されるおそれも出てくるだろうという議論も最近出てきております。そういった中で、今までのファンディングシステムが本当に今後も機能するのかということは、前回、前々回になりますか、ちらっと御紹介いたしましたが、まさに議論が始まった段階でございまして、そういった議論の動きも眺めながら、我々としてどういうファンディングのやり方があるのかということも、今後フォローしていきたいと考えています。
【永宮J-PARCセンター長】
おっしゃっている問題は一番大きな問題としてとらえています。それは新しいメカニズムを今おっしゃるようにつくっていっていただかないと、非常に難しいのではないかとは我々も思っています。もちろんJAEAも同じような問題はあるにしても、むしろ全体枠で若干、いろいろ運営費交付金との上げ下げは内部でできるように聞いていますけれども、ITER(イーター)が大きなものとして入って、これとどういうふうに共存していくのかが大きな問題だと思っています。
【木村室長】
ITER(イーター)の問題もそうなのかもしれませんけれども、そもそもJAEAの予算がエネルギー対策費ということで、総枠規制がかかっている。KEKも大学共同利用機関ということで、運営費交付金の総枠規制がかかっている。全体の枠に規制がかかっている中で、何をしていったらいいのかと。実際、これは200億円を本当にフルに埋め込むとしたら、相当きつい状態、おそらく今の両機関の財政状況では、破綻寸前になってくるのだと思います。そういった中で、本来の研究活動が阻害されないように、新しいメカニズムといったものを考えていく必要があるのではないかなとは、我々のほうでも考えています。
【井上(明)主査】
財源は一番重要な問題ですが、まずはこの運転経費について、これが妥当なのかどうか、積算の考え方、定常運転した場合の額がおよそこれぐらいでいいのかどうか、ここにできるだけ絞って議論を進めていただければと思っております。これが妥当で、その次に日数、運転時間だとかいろいろなことはまだ減らしていかなければならないだとか、いろいろなことが起こり得るかもしれませんが、まずは運転経費に論点を絞って御議論してください。前回、活発に御議論をいただきました人件費等についていかがでしょうか。
【小川委員】
人件費に関しては妥当だと思います。しかし、空調とか冷却フィルターとかは、普通の大学の実験室の運営に関係して考えると、規模の違いにもよると思いますが、桁違いに高額です。定期的に1億円もかけてフィルターなどを交換するのですか。それと放射性廃棄物の処分費は、ここに入っていないという説明ですが1年間にどれぐらいかかるのですか。冷却や空調の設備点検や交換等に年間8億円もかかるのですか。
【永宮J-PARCセンター長】
僕がそういう細かいことまで全部把握しているわけではないのですが。
【小川委員】
200億円とか180億円というお金の話のときに1億円なんてと思うけれども、普通の大学では1億円もかからないわけですよ。
【永宮J-PARCセンター長】
わかっています。そういうことを言っているのではありません。
【金子委員】
このような特殊な施設をつくる場合は、本当に特殊なものを使ってつくるということもあって、あまり競争原理が働きません。ある種、つくり手の言い値といったら言い方は悪いかもしれないですけれども、こういう額で買ってくださいと言われたら、それで買わなくてはいけないというところがあります。結構、もともとのコストが高くかかっているのではないかなと思うのです。私は民間企業に所属していますので、同じものであれば、なるべく安い所から買います。そういうことを加味された予算、考え方をされているかどうかというところをお聞きしたいのですけれども。
【永宮J-PARCセンター長】
民間企業からすれば、加速器は儲かるということがない事業です。企業の言い値というよりは、むしろ我々は随分言い値を買いたたいていると思います。だから加速器で儲かった会社はほとんどないのではないかと思います。技術の向上と称して企業にお願いして受注してもらいました。最近そういう企業がだんだん減ってきたために、世界的に加速器をつくりにくくなってきていると思います。それと、これの保守や維持に関しての綿密なディスカウントを考えたようなやり方も考慮の余地がないかという御指摘ですけれども、非常に特殊な機器であるがゆえに、なかなかテレビのように、一度買えばほとんど故障しない、故障すれば捨てればいいというたぐいのものではありませんので、若干、故障率を多目に見ていることはございます。またターゲットなどは、保守点検等々でどうしてもすぐ交換しなければなりません。交換する物と、故障する物と別々に扱っています。最初の見積もりは非常に大きな金額が出てくるのです。それをグループの中で精査して、必要なものだけにするプロセスを1年ぐらいかけてやった後のことなので、我々としてはそれほど厳しいことを言っているわけではないと思います。それから空調設備等々では、プラスマイナス1度という精度で温度コントロールをしなければいけません。そのために、かなりの頻度でメンテナンスをやらなければいけないということはあります。
【大野委員】
SPring-8は第1種管理区域ではございませんが、空調やフィルターなどで年間約6億円近くかかっております。J-PARCは第1種管理区域が圧倒的に多いわけですから、もっと厳しいと思います。私はこの金額に、それほど違和感はありません。
【和気委員】
人件費のところでよろしいでしょうか。前回も御質問申し上げたと思うのですけれども、経営的視点を入れるとすれば、内部資源と業務委託、すなわち外部資源、企業組織内のフルタイムでの従業員がセットで人件費となって、たとえばその内部の人的資源と外部の業務委託の比率をどうするかなどは経営意思決定の対象になるわけです。そういう意味で、職員300名のところが参考数字となっていますけれども、その数字は重要な運営指標になると思うのです。データ公表の仕方の問題ですが、この円グラフがどうも通常の経済評価とはなじまない感じがしてなりません。まずは人件費総額を推計し、それとその他費用項目である電力料金を含めて光熱費とかという中での比率ととらえたほうがいいのではないかと思います。国民の目線から見れば、そういう情報が欲しいと思うのです。前回も同様なコメントを申し上げたので、それでもなおこういうデータが出てくると、何か意図するところがあるのかなというふうに思うのですけれども。
【永宮J-PARCセンター長】
我々、非常に至らないことになっているのは、世間常識の考え方からすると、そういう面がなきにしもあらずだと思います。しかし例えば、加速器の運転を考えますと、ある業務に対して100人要るとします。現在、例えば70人職員がいるとします。経済的な理由などで90人に職員をしたほうがいいと見積もったとしたとしても、その20人をどこから採ってくるかは、加速器の維持、運転管理は、必ずしも自由裁量で人を採ってくればいい業務ではないのです。だから、我々としては、どの業務には業務委託的なものでカバーできるか、単純作業でカバーできるか、それ以外のところはどれだけ必要かという現存人員を見た上で、トータルの何人の中を左右いろいろ動かす自由度は、非常に少ないという言い方かもしれませんけれども、こういう加速器のときはそういうことになるのです。例えば、ロケットの発射などでもそんなことではないかなと思うのですけれども、あるところの特殊調査は、専門家でないとできないし、あるところの操作は外部で委託してもいいという、技術的な観点からそこら辺で外部委託と内部を決めるのです。その辺が経済的だけでなく決められているところがあるので、御理解いただければと思います。
【山崎J-PARC副センター長】
例えばSNSとか、ほかの諸外国の一流の研究所と加速器の人数を比べていただいたときに、我々のほうが非常に少なかったというのは前回お示しました。諸外国で同規模の加速器をつくるとき、運転するときと比べて圧倒的に少ない人数でやっていると思います。むしろ私どもはもっと多くの人がこの加速器にかかわっていかないと、将来の人も育てらないと思います。また、本来であればもっと研究業務に集中しなければいけないところですが、人数が少ないがゆえにどうしても研究業務以外のこともやらなくてはいけない状況です。諸外国のいろいろなマシンと比べたときに非常に少ない人数でやっているということ、それを御理解いただけないかと思っているのです。
【和気委員】
そういうことを申し上げているのではなくて、必要であればきちんと計上し、公表すべきだということです。効率だけではもちろん議論できませんので、もっと人件費を高く見積もってもいい場合もあり得るだろうと思います。情報の出し方に問題があると申し上げているのであって、競争力があるとか、少ない人数で頑張っているとか頑張っていないとか、そういうことを今の議論のなかで申し上げているつもりはございませんので、誤解なさらないようによろしくお願いします。
【井上(明)主査】
経営的な観点からの御意見ですね。
【神谷KEK理事】
御存じだと思うのですけれども、例えば、KEKの場合ですと、人件費は総枠で規定されています。そのため実質上ポスト数は決まっているのです。決まっているポストの数の中からJ-PARCに人を出してやっているということでありまして、そういう意味で、職員に関しては新たな要求、ポストの要求をしているわけではないのです。そういう意味ではないのですか。
【和気委員】
どうしても平行線のような。
【井上(明)主査】
おっしゃられているのは、納税者に対しての理解を求めるために、人件費も含めて事業に必要な総額を示し、さらに内訳の中で総人件費、委託、業務人件費等がこれぐらいかかるという視点で理解を求めていったほうが、よいという御指摘ですね。
【和気委員】
おっしゃるとおりです。
【井上(明)主査】
運転経費や人件費について、大体全体的にこれぐらいの総費用で行う事業ですという視点でのまとめた書類が欲しいということは、確かに前回もおっしゃられていたことだと思いますけれども。
【和気委員】
独法の会計処理をするときに、今はセグメント会計が基本なわけです。例えば、1,000人の独法の職員の中で、この事業にどのぐらいの人件費、内部資源がどのぐらいかかっているかというときに、およそ比率で1人の人が各セグメントに何パーセント程度の関与しているのか案分してセグメント会計で公表しているのです。ですから、このJ-PARCセンターの300人が、どのぐらいの比率でJ-PARCにかかわっているか案分すればセグメント会計的な考え方ができるのではないかと思います。その様な観点から、ぜひ御検討いただきたいと思います。
【神谷KEK理事】
人件費の見積もりはそういう案分を考えて、フルタイム換算で積算しております。
【井上(明)主査】
円グラフの中にこういう整理の仕方もあるし、それらも全部含めた総事業的にという視点の円グラフといいますか、それもまとめ方があってもよろしいのと思います。
【駒宮委員】
この光熱費と装置保守費プラス装置性能向上費が非常に大きいので、今、正当化しろといってもなかなか難しいので、これは恒常的にこれを安くするという努力をしていただくということが非常に重要です。この値を正当化したから、これが我々のお金なのだということではなくして、200億円は先ほど木村室長もおっしゃいましたけれども、これが本当に200億円だと、なおかつ交付金から出るということになると、ほかのことはやるなということになってしまうわけです。そうすると、非常に問題が大きいので、我々はいろいろな分野全体のバランスのこととかいろいろなことを考えなければいけないので、そうすると、これをどのようにして現実的に安くしていただくかということが非常に重要だと思うのです。ですから、頑張って将来的には安くしていただくということを最終的な文言のどこかに書いていただくことが重要ではないと思います。
【木村室長】
前回か前々回か、この運転経費の総額について決して固定したものではなく、毎年の議論の中でそこは文科省と両機関が協議しながら、本当に必要な額を計上していくということになっていくかと思います。その過程で当然、一定の節減努力といったものを求めていくことになりますし、その努力を両機関ともしていただけるものと私は信じております。
【井上(明)主査】
仰ったことはもっともな点だと思います。仮にこの金額がある程度、暫定的に認められたとしても実効削減に努めていただくということは、非常に重要だと思われます。ここで1時間近く積算の考え方等が妥当か御議論いただきました。資料の中の細かい点は、委員の先生方もKEK、JAEAを信頼するということ以外にないと思います。先ほどの後回しにしました駒宮委員の積算の根拠に関しまして、担当者と連絡が取れないということですので、金曜日までに資料を事務局から全員の委員にお配りしていただくということでお願いしたいと思います。それと、先ほどの人件費に関しましても、全体的な経費の中でどれぐらいになるかといったような資料も金曜日までにつくっていただきたいと思います。その積算の根拠等に対する各委員の御意見を来週水曜日頃までいただきたいと思います。
【大山J-PARC副センター長】
電気料金の件で担当者と電話で話をして、平均のようなものを出せるかと聞きました。この積算においての前提条件は、建物が年間通して利用されている。その中で加速器が運転されている。50GeV(ギガ電子ボルト)ではハドロンに行っている時間が半分、ニュートリノに行っている時間が半分といったように非常に複雑なパターンで計算しています。そういう意味で平均値を出すことが困難です。よって簡単な式では示すことは困難ではないかということです。とりあえず金曜日に積算のフォローができるような資料を提出いたします。
【福山委員】
2つあるのですけれども、1つはセンターの位置付けについてです。作業部会の最初のころにもセンターの独自性を両機関との関係の中でどうするかについていろいろな議論がありました。これはすぐに決めるのは難しいですけれども、先ほどおっしゃったような方向性で進めるのが適切かと思います。
もう1つは先ほども議論がありました「6.」の運転経費についてです。運転経費の詳細を理解するのは当然なのですが、その背後にある運転経費の確保の問題の方が、もっと深刻かついろいろ留意すべきじゃないかと思います。この計画の位置付けについて「2.(1)」の最後に「国として取り組むべき重要なものであり、意義が高い」と述べられています。その通りなのですけれども、それより一歩進んで、運営体制になっても、国が実現に向かって十分配慮する、努力する、裏付けをするという強い意思表示があってよいのではないかと思います。
それに関連して、先ほどのお話では運転経費は建設経費の十数パーセントに当たる200億円ぐらいとのことでした。そのようなものだろうと理解しているのですけれども、今の両機関の運営費交付金の枠組みの中でそれを賄えるとは到底思えません。そのために、例えば、KEKの中でJ-PARCとほかのプロジェクトとの関係はどうなのかという議論が出てくる。これは自然だと思うのですけれども、適切ではないと思います。つまり、国としてやるという以上は、運転体制になったときも、国がきちんと運営できるような仕組みを作って、この計画を進める必要があるだろうと思います。先ほども木村室長がお話になっていたように、国としてその制度設計をしないことには、この計画は宙ぶらりんになります。それに関して、国が運転経費の確保に向けての努力をするべきだということがこの報告書に入ることが適切ではないかと思います。運転経費の考え方の背後にある問題の提起です。
【木村室長】
今の運転経費を確保すべきだという御意見ですが、そういう評価結果が出るのであれば、我々はそれを尊重して、精いっぱい努力いたします。この運転経費の確保に当たって、今考えられる最大のツールは共用促進法だと思います。ただ、前回の作業部会でも議論しましたように、一定の利用の中でどれだけその利用の幅が増していくのかということを見ていかないと、まだ共用促進法を全面的に適用するには時期的には早いだろうと思われます。運転を開始してから数年の間に、J-PARCセンターあるいは両機関が努力をしながらどれだけ利用の幅を広げられていくのかというところも見た上で、我々として対応する必要があると思っています。当然、これだけの大型の施設を、建設はしたけれども動かないといったことにだけはしないようにしたいと考えております。
【福山委員】
今の問題に関しては、共用促進法の適用が現時点で一番可能性があることなのでしょうか。
【木村室長】
今考えられるツールとしては、そうなのだと思います。ただ、先ほども御紹介しましたように、そもそも研究独法のファンディングシステムのあり方が変わってくればもう少しドラスティックな解決法が出てくるのかもしれませんが、それはこの場で議論できるような話でもないと考えています。
【井上(明)主査】
この議題に関しましては、もしJ-PARCあるいはKEKあるいはJAEA側にも要望等があるようでしたら、御意見をお出しいただきたいと思います。
【永宮J-PARCセンター長】
これは我々も本当にアイデアがありません。今おっしゃった問題は非常に重要だと思いますので、もし共用促進法が今考えられる唯一のものであるとすれば、この運転経費の創出は非常に重要な課題であり今後共用促進法等を含めて積極的に取り上げて検討すべきである、という感じのセンテンスが入った方がよいのではないかと思います。何らかの新しいメカニズムを出すという意味を書いていただける方がありがたいです。
【井上(明)主査】
井上(信)委員からのコメントの中にもそのような項目が少し触れられておりますので、その辺りについても御意見お願いします。
【木村室長】
共用促進法の名前を出すかどうかも含めて、当然、国は努力していきますので、そういった評価をいただければ、その方向に向けてやっていきます。
【福山委員】
今の問題に関して、新しい法律ができて研究独法に関して枠組みができれば、それにこしたことないのですけれども、それがない今、共用促進法を考えたときに、今共用促進法が適用されているSPring-8、それから、ペタフロップス次世代コンピューター、J-PARCでは活動の内容が少し違います。独自研究のファクターが非常に強いものと共同利用をまとめて全体を共用促進法の対象にするというのは難しそうなところだと思いますが、その克服が難しいのでしょうか。
【木村室長】
今の共用促進法の考え方ですと、少なくとも大学共同利用の部分には適用されないと考えています。大学共同利用については、国立大学法人法の中で、同一の分野の研究に従事する研究者に対しては、その所有する施設設備を開放する、利用させるということができるようになっていますので、基本的に既にオープンの体制になっています。それは大学の研究者に限らず、民間の研究者に対してもオープンになっていますので、そこに共用促進法を適用する意味はありません。ですので、共用促進法の対象になるとすれば、今JAEAが整備している部分に限られると思います。その中で、どこまでが幅広い利用に適した施設になってくるのかということを考えたときに、例えばMLFの中で、ビームラインごとに指定していくのか、あるいはMLF全体を指定していくのか、さらには、MLFにビームを供給するリニアックの部分から対象にするのかということも含めて、今後の利用状況を見ながら考えていかなければいけないのではないかと思います。
【井上(信)委員】
このような国家プロジェクト的なことをやっているときには、最初に、少なくともできてから10年ぐらいの間にやる研究をイメージしています。その間にこのぐらいの成果を上げたいという目標があるわけですから、そこまでセットでの総事業なのだと思うのです。造るところだけがまずあって、あと運営をどうしましょうかという話は本当はおかしいと思います。最初の10年ぐらいの所期の収穫という部分ぐらいは、国が総体的にちゃんとファンディングするという姿勢があるべきだと思います。その後、状況も変わってきて、まだこれを捨てるにはもったいないから使うかという話はまた別の話ということでよいと思いますが、建設の後は別にどこからか資金を引っ張り出す工夫を皆さんが長時間にわたって考えているというのは本当におかしいと思います。
【木村室長】
ファンディングに値するしっかりとした研究のビジョンが出てくることを期待しております。
【野田JAEA理事】
JAEAが法人化する前の原研時代の話から申しますと、実は、平成13年度にこのJ-PARCの建設を開始させていただいたわけですけれども、実はそのときの旧原研の予算枠というのは、約1,300億円でございました。それから毎年、当初のころは約100億円、最近では数十億円少なくなってきまして、現在では約800億円(旧原研の大部分の事業を進めるための経費が出されている一般会計の予算)です。そういう意味では、J-PARCの建設開始のときに比べまして、予算枠が約6割に下がってしまったのです。ところが、実際の事業量と言いますと、例えば、ITER(イーター)の協定、またBA(Broader Approach)の協定の署名も行われ、つい先ごろ国会でも承認されまして、平成19年度からITER(イーター)建設活動やBA活動が動き出そうとしています。これらの事業規模だけでも、この10年だけで見ると、ITER(イーター)だけで500億円を超えますし、BAでもそれに近いものになります。このように、事業量は減っていないのですけれども、全体の予算は減ってしまいました。そのような経緯がありましたので、私どもの立場から申し上げますと、当初J-PARCの建設に関わらせていただいたときには、こういう状況になるということは全く予想しておりませんでした。もちろん、当初からこれは国際公共財と言われておりましたので、当然、私どものためだけということではなくて、日本または国内外のためにきちんと動かすという覚悟でおったわけでございますけれども、先ほどから議論になっておりますように、平成20年度から実際にその予算を確保するのにどうしようかという状況に陥っているというのが事実でございます。そのような状況ですので、先ほど木村室長からも国の方でいろいろお考えいただくということでございますから、ぜひお願いしたいのでございます。ただ、いろいろな施策で当面手当するということも考えられますが、毎年毎年の施策ですと、なかなか安定的な運転が難しいのではないかという懸念をしております。そういう意味では、私どもも当然努力するのだと思いますけれども、いわゆるお国としての利用促進策としての共用促進法をできるだけ早期に適用していただくことが、実際に安定運転をするためには非常によいのではないかと思っております。
【小川委員】
この評価作業部会の報告書の骨子案を読んで、欠けていると思いましたのは、放射線に対する安全対策です。ここには安全管理や情報やシステムのことが書いてあるのですけれども、結局、この機械やシステムを動かして事故が起きたときに、どういう安全を確保しているかということは何も触れられていないと思います。そういった安全対策の点がまず1つ抜けているような気がします。
それともう1つは、原子核や素粒子物理学全体に関して、国民の理解を得るための教育や普及が弱い気がします。例えば、ハワイの天文台を造るとか、宇宙開発事業でロケットを飛ばすというようなことも同じように規模の大きな事業なのですけれども、そういうものが次第に皆に理解されてきたというのは、これらのシステムができたときに、そういう教育や普及の努力をしているからだと思います。そうして、こういう予算を使っても未来が見えるということが国民全体に反映されているのですけれども、そういうことに関しては、この報告書は不十分な気がします。ここに書いてあることは、中性子の利用のことやビームの発生の仕方や基礎研究のことが表に出てきているのですけれども、それをサポートするためには、それがなぜ大事かということをアピールする必要があると思います。
この2点が抜けているので、予算についても何についても、話が細かいところに行ってしまうという気がします。例えば、宇宙でロケットを飛ばすときに失敗して、450億円ほどを使って破片を全部集めました。あのような場合でも、それを集めることで失敗の原因が分かって次の成功につながるということが分かったときに、みんな納得するのです。何だそんな馬鹿みたいなことをする、そこまで基礎研究をやってないのかという意見に対して、それはこういうことをやるためにはこういうことが必要だからだ、ということが伝わるような報告書であるとよいと思います。
【木村室長】
非常に重要な御指摘だと思います。ただ、それをまともに報告書に書き込もうとしますと、J-PARCの安全管理体制等について御審議いただかなければいけなくなるかもしれませんので、精神としてこういう観点が大事だというところは盛り込んでいければと思います。
【横山委員】
今の御意見に補足することになると思うのですが、国際的な広報についてお書きいただいて大変結構だと思うのですが、それに加えて、日本国内の社会の了解を求めるための広報活動も強化するという一文を入れていただくとよいと思います。この10年ぐらいで、国民の研究に対する見方が大分変わってきていると思います。基礎研究であればあるほど、その広報というのは非常に重要になってきて、例えば、国立天文台では広報の人員が30人いると伺っています。それぐらいやっていかないと、基礎科学というもの自体が認められなくなってきています。また、市民科学団体の中でも、こういった予算を詳細に調べていって、JAXA(ジャクサ)がどうだという議論が市民レベルでも始まっているところもございます。自分たちのやっている研究自体が価値があるということをはっきりと示すためにも、国民のためのというより自分たちのための広報活動という視点で、今後の活動の中にそういった一文を入れていただくと大変結構ではないかと思いました。
【西村委員】
井上(信)先生の御指摘のように、これまで2つの機関が相協力しながらこの組織を運営してきたという背景があるので、1つの独立した研究機関とするのは少し時間をかけながら行うべきだということは理解できるのですけれども、将来的にはそのような組織的に持っていかないといけないと思いますので、そういうことは文言としてはっきりと書いておくべきではないかと思います。
それから、私の関わる分野では、特に中性子線による大きな分子の解析などに非常に関心があるのですけれども、例えば、X線では見えないものが中性子線だとこうして見えるということが実際の結果の形で早い時期に出てこないと、先ほどの御指摘のように、お金を出すだけではなかなか国民の理解が得られないのではないかと思います。
【川上委員】
これまでいろいろな仕組み作りという議論を行ってきたわけですけれども、この言葉に関して産学官連携の視点が欠けているかと思います。例えば、コーディネーターを育成して産業界から利用しやすくするということは、とりもなおさず産学の連携ということです。産学連携でも産学官連携でも、目指すものをきちんと書いていないと、自分たちが何のためにコーディネーターを育成しようとしているのかという将来が見えないと思います。
例えば、これまでKEKでは大学の共同利用を行ってきましたし、JAEAの方では、ある程度、産業利用や共用といったことを考えていました。でもその先をもう一歩踏み出していったところに産学連携があると思います。それをきちんとこのJ-PARCではやっていくとうたうべきだと思います。官はどこに入っているかと言いますと、その施設を提供するなり、または例えば地方自治体である茨城県でもかなりサポートしているわけですから、立派な連携になっていると思います。そういったことをきちんとうたっていって、その精神を忘れず、一本筋の通ったものを出していくということが必要だと思います。これまでは、文科省の場合大体「学」中心で来ているわけですから、そこで「産」の人も使ってもいいですという程度ですけれども、今はもうそうではなく、両者が連携して一緒にやっていくべきです。基礎的なところは「学」がやるけれども、応用面は「産」の方が優れているということであれば、その両方を足し合わせれば、日本にとって非常に役立つと思います。そのための施設でしょうから、そういうことをきちんと報告書の中に盛り込んでおく方がよいと思います。
【酒井委員】
この報告書を受け取る側、この報告書を出した先がどなたなのかよく認識していないところもあるのですが、ここに書かれているのを読んでいきますと、言い切っている部分とあいまいにしている部分とがあることが分かります。言い切っている部分はわりと相手に規定を求めている部分だろうと思います。そのように読んでいきますと、「2.」の進捗状況は現状報告ですからよいのですが、「3.」の中間評価における指摘事項の箇所は、前回の中間評価の報告書を私は読んでいないのでよく分かりませんが、多分前回の中間評価の取り残しがあったのだと思います。そのときにリニアックの性能回復というのを指摘されて、今回の報告書骨子(案)を読んでいくと着手は適切と書いてありますので、これはやりなさいと言い切ったということだと思います。その次にある第期計画の部分を読むと何が書いてあるか分かりません。これはまた次回に先送りしたというようにしか私には読めないです。そのように読んでいきますと、私がここに来てお仕事をした意味合いは、もしかすると「6.」の運転経費の考え方を一応承認して先へ進めるということなのかなというようにも読めますが、研究を進める立場として、あるコミュニティーを代表して言わせていただければ、第期計画というのは、我々にとっては、最初から当然あるべきものと思ってやっていますので、この「財政状況等を踏まえつつ、判断していくことが必要」ということは当然踏まえていますが、井上(信)委員が先ほどおっしゃったように、ものを造って最初の10年で成果を上げるために今やっているわけですから、そこまでがセットなわけです。その辺はちゃんと言い切っていただかないと困るような気がしています。
【木村室長】
断定的に言っているところとそうでないところがあるとのことですが、短期的にすぐにやらなければいけないところと、長期的な視野で考えていかなければいけないところの間には、当然、濃淡が出てくるわけであります。御指摘の第期計画のところについては、まず、予算を要求されるであろうKEKの中で、このJ-PARCの施設を最優先でやるのか、それともほかのプロジェクトを最優先でやるのかという議論が実際にどこまで進んでいるのか、我々もはっきりしたことは聞いておりません。多分、この部会の場でも、その話ははっきりとした答えは出されていないと私は感じています。そういうことの結論が出ないうちに、ここを断定的な言い方にするのは適当ではないと考えて、こういう記述にしております。
【酒井委員】
私はKEKの機構長がおられるときに駒宮委員に申し上げたのかもしれないのですが、ゼロセットではないですねということは念押ししたと思います。どういうやり方でやるかという問題はあるのですが、でも、書き方というのがあって、この文章は単に次の評価作業部会に先送りするように思えます。リニアックの性能回復についても、前回の中間評価で指摘されたことを今回に先送りして、今回承認しているわけですから、第期計画の方もそのように思われているのでしょうか。
【木村室長】
次の部会まで先送りしたわけではなく、重要性をしっかりと認識した上で、このプライオリティ付けができれば実施する、というように読めるのではないかと思います。
【酒井委員】
そう読むのですか。
【長我部委員】
茨城県のビームラインのことが触れられていますが、そこに、課題の審査に当たって「合同審査体制の確立に向けた検討が望まれる」ということが述べられています。そのほかにも、例えば利用料金や窓口などについて、J-PARCとしてやる業務と第三者である地方公共団体が入ってきてやるときのルール、地方公共団体の自主性と全体としての規則のすみ分けがはっきりしていないと思うのですが、ユーザーにとって使いやすいという観点で、その辺のルールを明確にしていただけるとよいかと思います。
【木村室長】
茨城県にも独自のポリシーや、地元企業を優先する、あるいは利用料金に配慮するとかという考え方もあると思いますので、そういったところを除いた部分で、どう整合性がとっていくかということについては、J-PARCセンターと茨城県の間でも現在協議が進行していると思います。ですので方向性についてはそういうことで評価いただければよいかと思います。
【横山委員】
3ページ目の「(3)先端研究施設としての幅広い利用への対応について」の2項目で、18年度から開始されたトライアルユースにより頑張ってきたけれども、利用者が増えたと言えないと書かれています。一方その次の項では、それでも現状を踏まえれば、トライアルユースなど既存の制度を最大限活用する必要がある、と書かれています。つまり、トライアルユースは増えなかったけれども、既存のことをやっていく必要があるということを言っていますので、多少説得力に欠けるところがありますので、御配慮いただきたいと思います。実はこの次の4ページ目の(4)のところで、産業利用に関しては、利用者に向けたコーディネーターや技術支援者等の導入が必要ということが書いてあるのですが、この辺は整理された方がよいかなと感じましたので、よろしくお願いいたします。
【大野委員】
反省も込めて、1つだけ産業利用についてコメントさせていただきます。実はSPring-8も建設当初、産業利用を大分標榜いたしました。正直申しまして、五、六年、評判がものすごく悪かったわけです。それはなぜかと言うと、テイクケアなどがほとんどできていなかったからです。要するに、来て使える人しか使えないというような色々な制約がありました。ですから、もしJ-PARCで産業利用を本当に標榜されるのであれば、加速器も、非常に安定でしかも計画的で、1年間の何月何日は運転しないということまで含めてきっちりと動かす覚悟がないと、産業界にとってはいろいろなことができないと思います。そういう意味で、産業界という言葉だけが踊らないように、産業利用はものすごく大変なことであるということを、私どもSPring-8の反省も含めてコメントさせていただきます。
【井上(明)主査】
御意見がほぼ出尽くしたかと思われますが、これは骨子案ですから、さらに本文が追加されていく中で、また表現も少し変わっていく点も出てくるかと思います。今いただきました御意見も踏まえて、さらに次に進めていただくことになるかと思います。ただ、先ほどの議題1、運転経費の考え方につきましては、まだ少し宿題事項が残っておりますので、積算の根拠となるものと、人件費を含むような形での整理方法の2点については準備をお願いしたいと思います。それと委員の先生方で、来週積算の根拠等に関しまして御意見をいただくときに、この2番目の議題に関しましても、もし御意見等があれば、そのときに御一緒に事務局に出していただくということにさせていただければと思います。
それでは、どうもありがとうございました。この議題は時間になりましたので、ここで終了させていただきます。どうもお疲れさまでした。
―了―
(研究新興局基礎基盤研究課量子放射線研究推進室)