感染症研究の推進に関する作業部会(第3回)議事録

1.日時

令和8年3月13日(金曜日)16時00分~18時00分

2.場所

文部科学省17階研究振興局会議室(+オンライン形式でも開催)

3.出席者

委員

大曲主査、川上委員、小柳委員、鹿野主査代理、鈴木委員、舘田委員、多屋委員、山野委員、渡辺委員

外部有識者

杉浦 亙(国立健康危機管理研究機構臨床研究センター長)

文部科学省

佐藤戦略官、秋野企画官、南専門官、森田専門官

4.議事録

【大曲主査】  それでは、定刻となりましたので、ただいまから、ライフサイエンス委員会、第3回感染症研究の推進に関する作業部会を開催いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
 本日の作業部会の議事でありますが、ライフサイエンス委員会運営規則第4条に基づいて公開となっておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、議事に入る前に、事務局から、本日出席されている委員の先生方、そして、資料などの説明をお願いいたします。
【森田専門官】  本日、事務局を務めさせていただきます、森田でございます。
 まず初めに、本日の御出席の委員について、御報告いたします。オンラインで御参加の先生方もいらっしゃいますので、通信状況の確認も踏まえて、お名前を申し上げますので、一言、お返事をいただければと思います。
 まず、現地で御参加の大曲主査。
【大曲主査】  大曲です。よろしくお願いします。
【森田専門官】  川上委員。
【川上委員】  よろしくお願いします。
【森田専門官】  小柳委員。
【小柳委員】  小柳です。よろしくお願いします。
【森田専門官】  鹿野委員。
【鹿野主査代理】  鹿野です。よろしくお願いいたします。
【森田専門官】  鈴木委員。
【鈴木委員】  鈴木です。よろしくお願いします。
【森田専門官】  多屋委員。
【多屋委員】  多屋でございます。よろしくお願いいたします。
【森田専門官】  山野委員。
【山野委員】  山野です。よろしくお願いいたします。
【森田専門官】  渡辺委員。
【渡辺委員】  渡辺です。よろしくお願いいたします。
【森田専門官】  以上、8名の委員に御出席いただいております。なお、舘田委員に関しては、遅参されての御出席と伺っております。
 現時点で作業部会の委員8名が御出席となりますので、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会ライフサイエンス委員会運営規則第3条に基づき、会議は成立いたしますことを御報告申し上げます。
 また、本日は、参考人として、国立研究開発法人日本医療研究開発機構感染症プロジェクト「新興・再興感染症研究基盤創生事業」プログラムスーパーバイザーの杉浦亙先生、国立研究開発法人日本医療研究開発機構感染症研究開発事業部、伊藤部長に御出席をいただいております。
 続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。資料1から3を御用意しております。資料の不足等ございましたら、事務局までお知らせください。
 特に問題ないようでしたので、事務局からの御説明は以上となります。
 大曲主査、お願いします。
【大曲主査】  ありがとうございます。
 それでは、早速、議事に入りたいと思います。まずは、議題(1)であります。第2回感染症研究作業部会の振返りの説明を事務局からお願いいたします。
【秋野企画官】  事務局の秋野でございます。第2回の本作業部会における皆様方からの御意見を事務局にてまとめさせていただきましたので、御説明申し上げます。お手元に資料1を御用意ください。
 第2回の作業部会におきましては、感染症研究人材育成とモニタリング体制の強化についての取組に関するヒアリングを通じて、これまでの本事業の取組に対する御評価並びに今後の課題等について、多岐にわたる御意見を頂戴いたしました。
 2ページ目でございます。文部科学省で行う感染症研究支援の必要性につきまして、この事業が開始した20年前と比べて現地国の経済状況や発生する感染症も変化しており、拠点それぞれの研究に対するスタンスや現地国との関係が異なることを踏まえて、この事業を考えていかなければいけないのではないか。その上で、何をこのプログラムで目指していくのかというところをいま一度検討すべきという、事業の在り方に関する御意見をいただいております。
 それから、その下、海外研究拠点の役割と対象地域につきまして、人材育成や感染症インテリジェンスに海外拠点を活用してほしい一方で、全ての拠点で実施することは難しく、国としての方向性を踏まえて、拠点をどうしていくか、議論が必要ではないかという御意見をいただいております。また、最近のグローバルヘルス研究は、低・中所得国における研究開発力の強化や、研究の脱植民地化の流れ、公的資金の不安定化を踏まえ、現地の対等なパートナーシップを基盤とした研究開発の視点の必要性と、感染症インテリジェンスや人材育成の取組を実施するには拠点のキャパシティーが不足しているが、一律に強化するのは困難なため、1か所選定した拠点に対して長期滞在型・常駐型のPIを集中的に配置することで拠点機能を重点的に強化するアプローチと、各研究拠点の調整機能やロジスティクス機能を底上げしつつ、臨床やフィールドの研究者を中央にプールしておき、必要に応じてコンサルテーション対応や短期・中期派遣を行うという、分散型・機動型のアプローチが考えられるのではないかという御意見をいただきました。
 3ページ目を御覧ください。第2回のヒアリングにおきまして、舘田委員から感染症研究人材の育成についての御発表をいただきました。感染症研究人材の育成、特に拠点の活用について、拠点を持たない大学が医学部生を海外拠点に同行させて研究を行ったという事例があるという御報告をいただきました。そして、医学生に基礎的な研究に興味を持ってもらえるような取組を組織的・戦略的にやるのはどうか。臨床家も含む海外のフィールドで研究をしたいという人たちと、拠点の先生方のマッチングの場をつくっていく必要があるとご意見をいただいております。また、研究も可能な若手教育研修担当者の雇用を公募要件に含め、拠点内外の若手研究者・学生が参加できる感染症研究人材育成事業等を立て、研修を提供する拠点への人員面でのインセンティブを与えるとともに、拠点に参加する若手研究者・学生の所属機関に対して渡航費・滞在費を含む教育研修経費を支援できるような仕組みをつくったらどうかという御意見をいただいております。
 次に、臨床人材につきまして、感染症を専門とする医師が育っておらず、特に若手が不足している。臨床だけではなく、基礎研究者も含めて育っていないのではないかという御懸念をいただきました。一方で、感染症の専門医や研究人材は増えてほしいが、感染症は患者がパンデミック時と平時とで増減するため、感染症の研究を中心にやる人材を増やすと同時に、感染症の研究や感染症の臨床ができる人材が平時にはほかのところで活躍しつつも、有事には感染症に対応できるというような人材をいかに増やしていくかという視点も重要だという御意見いただきました。それから、日本小児感染症学会では若手の学会員は増えている。一方、日本では麻疹や風疹の症例が減り、感染者を診察した経験がない医師が増えている。海外からの輸入症例は依然としてあり、渡航費や滞在費などを支援する仕組みがあれば、拠点に行きたい若手は多いのではないかという御意見をいただいております。
 4ページ目でございます。若手の人材の育成につきまして、多数、御意見をいただきました。現在の医師のキャリアパスでは、大学院に入学して、特にウエットの研究に取り組む頃には30歳を超えてくるような現状があり、大学院への入学を前倒しする仕掛けの必要性という御意見。それから、製薬企業でも若手人材の留学希望が減っているという現状に関する御意見をいただきました。一方で、感染症専門医としてのトレーニングの中で、日本にない感染症につきまして海外で経験する必要があり、海外に興味を持つ若者も多く、海外に行ける機会をつくることが課題であるという御意見をいただきました。また、こういった海外でフィールドワークをしたいという人もいる一方で、拠点のある場所によって旅費が全く違うため、アフリカや南米といった拠点に連れていくには予算が課題であるということ。それから、博士課程や海外拠点に行きたいという希望があっても、経済的な理由が制約となっており、J-GRIDの枠に収まらないという可能性もあるけれども、若手育成のために、研修という形で1週間なり2週間、現地の拠点について知ってもらうような事業を提供してはどうかという御提案をいただきました。そのほかに、アカデミアに興味を持つ若者について、将来のポストに不安があるので、受皿が必要ではないかという御意見もいただいております。
 5ページ目でございます。舘田先生のほうから、海外拠点連携大学院の構想について、お話しいただきました。感染症専門医の取得のために、修練期間に海外拠点での研修期間を含めることができるような取組ができないかという提案でございます。一方で、長崎大学で行われた、拠点を活用した研究と臨床の指導が実施可能な環境を構築できたことについては、現地で常駐の人員が信頼関係を長年積み重ねた結果であり、海外拠点連携大学院の構想には賛成するものの、実施するには相当な投資が必要ではないかという御意見もいただいております。
 それから、日本感染症学会等との連携という視点でございます。日本感染症学会でもこの海外拠点の活動については一部でしか知られていないという現状があるということで、共にこの拠点についての普及・啓発を図ってはどうかという御意見でございます。
 6ページ目でございます。JIHSの齋藤先生から、モニタリング体制の強化に関するヒアリングをさせていただきました。モニタリング体制について、平時の小規模の情報マネジメントについては比較的うまくいき始めた一方で、パンデミックの情報の洪水に対応するためには、平時とは別に、有事の際のプラットフォームを考えていかなければならないのではないかということ。また、有事の混乱を最小限にして活動できるように、平時からシミュレーションも含めた体制整備を考えていく必要があるという御意見をいただきました。そして、感染症モニタリングのさらなる展開では、各設置国との関係を深めながら、拠点の実施するモニタリング業務をしっかりその拠点の業務として評価していけば、意義のあるものになるのではないかということ。また、現地とのパイプを太くして、いざというときに深い連携が取れる国を一つでも増やしていけば、この取組は非常に有用なものになるのではないかという御意見をいただきました。
 7ページでございます。研究者の安全につきまして、インテリジェンスという表現が諜報活動のような形で取られかねず、誤解を生まないようにする必要があるということ。また、研究者のリスクマネジメントの方針を考えておく必要があるということ。そして、できるだけモニタリングという言葉を使っていくことが大事ではないか。また、研究拠点が現地の保健衛生に貢献できるような、そういう下支えをしていることを前面に押し出して、活動として現地の方に認知していただくということが必要ではないか。また、現地で得られたクローズな情報については、必ずカウンターパートから了解を取りながら情報共有を丁寧に進めていくのが原則であるという話をいただきました。
 第2回でいただきました主な意見をまとめさせていただきました。
 事務局からは、以上でございます。
【大曲主査】ありがとうございます。
 それでは、先生方、事務局の御説明に関しまして、御意見、御質問、ぜひよろしくお願いします。
 よろしいですかね。最後に総合討論もありますので、そこで発言していただければと思います。
 それでは、先に進めてまいります。ありがとうございます。
 続きまして、議題(2)に行きます。長崎大学BSL4施設を中核とした研究の取組及び海外研究拠点におけるパンデミック等に対する取組についてのヒアリングでございます。これは、PSの杉浦先生から、お話を伺えればと思います。
 それでは、杉浦先生、よろしくお願いします。
【杉浦PS】  それでは、始めさせていただきます。今、御紹介ありましたけど、私は、この事業のプログラムスーパーバイザーを務めております、杉浦でございます。
 では、早速、資料2に基づいて、説明をさせていただきたいと思います。
 飛ばして、4ページに行っていただきまして、まず、「新興・再興感染症研究基盤創生事業」についてですけれども、本事業は、スライドに示す四つの柱から構成されております。今日は、そのうち、スライドの左下に赤枠で示しております、長崎大学BSL4施設を中核とした研究の推進事業について、お話をさせていただきたいと思います。
 スライド、次をお願いいたします。
 まず、この事業の背景と経緯から御説明したいと思います。2014年8月、今からおよそ10年前になりますけれども、文部科学省科学技術・学術審議会におきまして、日本においても感染症に対する社会的関心が大きく高まっていること、さらには関連学会や大学をはじめとする広範な関係者からの支持が得られていることを踏まえ、病原性の高い感染症に関する研究の必要性が明確に認識されております。すなわち、我が国としても高病原性病原体に対する研究能力を確保していくことが、科学技術政策上、安全保障上、極めて重要な課題であると位置づけられたわけであります。新興・再興感染症は、この5年間、新型コロナで経験しましたように、一度出現すれば、国民の生命・健康のみならず、社会機能や経済活動にまで、多大な影響を及ぼします。そうした感染症危機に対して、平時から科学的知見を蓄積し、研究基盤と人材を備えていることは、非常に重要な課題でございます。このような認識の下、幾つかの議論と検討を経て、2017年度には、感染症に関わる基礎研究能力の向上並びに危険性の高い病原体等の取扱いについて精通した人材の育成を図るため、長崎大学においてBSL4施設を中核とした感染症研究拠点を設置することが決定されました。BSL4施設は極めて高い安全性と厳格な管理の下で我が国が高病原性病原体に関する研究を遂行し得る能力を担保する基盤であり、同時に、その運用を支える高度専門人材の育成拠点としても重要でございます。したがって、本事業はハードとしての施設整備とソフトとしての研究推進・人材育成の双方を不可分なものとして築いた点に大きな意義があるかと思います。
 スライド、次をお願いいたします。
 そして、関係者の長年にわたる多大な御尽力の結果、施設は無事に竣工し、また、2025年1月24日には、長崎大学BSL4施設が特定一種病原体等所有者として、厚生労働大臣の指定を受けるに至りました。このスライドは、そのときのプレスリリースを示したものでございます。なお、この指定はあくまでも特定一種病原体などを所持することができる法人として指定されたということでありまして、特定一種病原体などを輸入または譲受けをするためには、厚生労働大臣の指定または承認が別途必要であることを申し添えたいと思います。
 スライド、次をお願いいたします。
 以上が、本事業の背景並びにこれまでの経緯でございます。
 続きまして、具体的な取組について、御説明したいと思います。
 スライド、次をお願いいたします。
 本取組では、スライドにお示ししておりますように、複数の課題に取り組んでおります。本日は、この中で、赤枠で囲っております項目を中心に、お話ししたいと思います。
 まず、上のほう、エボラウイルス病、ラッサ熱などに対するワクチン・治療薬の開発研究であります。ここでは、病原体の増殖機構や病原性発現に関わるウイルス学的な理解を深めるとともに、そこから得られる知見を基盤として、治療薬及びワクチンの開発へとつなげる研究を進めております。
 二つ目、こちらのほうは、BSL4施設使用スキルを有する、研究者、施設管理者並びに関連するスタッフの育成プログラムの開発にあります。高病原性病原体を扱う研究には、先ほど申し上げましたけど、安全管理、標準作業手順、緊急時の対応、バイオリスク管理などを含めた、総合的な能力が求められると思います。その意味で、人材育成はこの事業の中核の一つとして位置づけられております。
 スライド、次をお願いいたします。
 このスライドは、これらの取組の成果をまとめたものでございます。まず、エボラウイルス病、ラッサ熱などに対するワクチン・治療薬開発についてでありますが、ここでは、長崎大学のみならず、長崎大学が公募により選定した国内の大学・研究機関とも連携しながら、一種病原体などに関する基礎研究を推進してまいりました。BSL4施設が本格的に稼働するまでの段階において、当然ながら全ての研究を病原体そのもので進めることはできません。そこで、本事業では、病原性の高い感染症研究を、BSL2環境下でも可能な、レベルダウンした各種代替実験系の構築を進めております。その成果として、ウイルス増殖を制御する宿主因子候補の同定や、抗ウイルス活性を有する新規加工物の同定などの成果が得られております。これは、将来のBSL4施設の本格運用を見据えた極めて戦略的な準備でありまして、BSL4施設の稼働後には、これまで代替系で得られてきた知見を速やかに実際の病原体を用いた本来のバイオ系や動物モデルで検証することが可能となり、研究の効率的な加速が期待されると思います。つまり、今までの期間というものはBSL4本格活用後の研究展開に向けた周到な助走期間であり、その準備は着実に整ってきていると思います。
 こうした研究成果は、研究論文としても着実に表れております。2017年から2023年までの6年間に、国際誌においては実に41報の論文発表がなされております。これは、BSL4施設の本格的な稼働前でありながら、基礎研究の面で高い成果創出がなされてきたことを示すものと思われます。この点につきましては、後ほど、改めて御説明したいと思います。
 人材育成の面においては、BSL3などで豊富な実験経験を有するJIHSとの連携を強化し、BSL4施設の活用に向けた体制整備と人材育成が推進されております。
 スライド、次をお願いします。
 次に、本研究の実施体制について、御説明したいと思います。本研究には国内の複数の大学が分担研究機関として参画してまいりました。研究開始当初の2017年度から2020年度までの4年間においては、北海道大学、東京大学、大阪大学が参画をし、さらに、2021年度からは、オールジャパンでの研究実施体制を整備するという観点から、長崎大学が実施した公募により選定された大学が分担研究機関として参加をしております。これまでに、8機関・20課題が公募により選定されております。
 スライド、次をお願いいたします。
 このスライドは、論文発表の概要をまとめたものでございます。第一種病原体などに関しては、フニンウイルス、ラッサウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルスなどを対象とした論文が発表されております。特にエボラに関するものが多いようでございます。なお、論文を御覧になりますと、発表された成果の中で実際の生ウイルスを用いた実験もあるんですけれども、それらに関しては、このスライドの下部に示してありますように、海外のBSL4施設で実施されたものになっております。
 スライド、次をお願いいたします。
 次の2枚のスライドでは、代表的な病原体ごとの研究成果をまとめております。それぞれ詳しくは申し上げませんけど、まず、エボラウイルスとクリミア・コンゴ出血熱ウイルスに関しては、病原体の増殖や感染成立に関わるウイルス因子あるいは宿主側因子の同定、さらに、新規抗ウイルス薬候補化合物の同定など、多岐にわたる成果が得られております。基礎的なメカニズムの解明と創薬に結びつくシーズ探索が並行して進められている点は、本事業の一つの特徴かと言えるかと思います。高病原性ウイルスに対する研究では、病原体そのものの理解を深めることと、最終的に介入可能な標的を見いだすことをいかに橋渡ししていくことが重要になります。その意味で、本事業における研究成果は、将来的な治療薬・ワクチン開発へつながる基盤治験として評価されるべきものではないかと考えております。
 スライド、次をお願いいたします。
 ラッサウイルス、アレナウイルス、マールブルグウイルスなどについても、同様に重要な成果が得られております。先ほどの繰り返しになりますけれども、BSL4施設の本格稼働後には、ここでお示ししましたような成果を改めてより実践的な系で検証することが可能になるということが期待されるかと思います。
 スライド、次をお願いいたします。
 続きまして、このスライドはJIHSとの連携強化による人材育成の取組を示したものになります。長崎大学と感染研は、令和2年より学術交流や人材育成などに関する協定及び覚書を締結しております。令和7年度の取組としましては、同年9月に札幌で開催された第29回日本ワクチン学会・第66回日本臨床ウイルス学会合同学術集会におきまして、バイオセーフティの啓発・普及を目的としたシンポジウムも開催されております。さらに、それ以外にも、病原体輸送に関する協議、BSL4実験室における不活化に関する基本方針の相互確認、また、感染症法における滅菌と不活化の解釈整理などについて、継続的に意見交換を行っているところです。
 今後の方針としては、感染症研究所の研究者が長崎大学BSL4実験室を使用し、教育訓練を受講できる体制を整備すること。そして、BSL4実験室に関連する相互の経験を共有し、長崎大学のBSL4設における一種病原体などを用いた研究並びにバイオリスク管理について、相互協力体制をさらに推進していくことを目指しております。これは、単に人を派遣し合うということだけではなくて、得られる経験・知識・判断、そして安全文化を共有しながら、我が国として高病原性病原体研究を支える人材を継続的に育てていくことを目指しております。
 以上、本日は、長崎大学BSL4施設を中核とした研究推進事業について、その背景、研究の進捗、論文成果、人材育成、連携体制の整備という観点から、御説明させていただきました。今後、BSL4施設の本格活用の下で、さらに実効性の高い研究成果が創出されていくことが期待されるかと思います。
 長崎大学BSL4施設を中核とした研究推進事業については、以上となります。
 では、続いて、「新興・再興感染症研究基盤創生事業」におけるパンデミック等対応の振り返りについて、お話をさせていただきたいと思います。
 次、お願いいたします。
 本日お話ししたい点は、大きく三つあります。第一に、パンデミック対応として、2009年から2010年にかけて発生したインフルエンザA(H1N1)、いわゆるSwine flu(豚インフルエンザ)への対応でございます。第二に、2020年から2023年にかけて、私たちがまさに経験したCOVID-19パンデミックにおいて、海外拠点が現地の公衆衛生にどのように貢献したのか。さらに、それを起点として、どのような研究活動が展開されたかについて、お話ししたいと思います。そして、第三として、過去10年におけます、Public health emergency of international concern、すなわちPHEICへの対応について、簡潔に振り返りたいと思います。
 では、スライド、次をお願いいたします。
 まず、インフルエンザA(H1N1)への対応です。
 次、お願いいたします。
 このスライドはまとめたもので、詳細は、次のスライドをお願いします。
 まず最初に、北海道大学ザンビア拠点です。こちらのほうでは、PCRによる鑑別診断体制を整備したということで、ザンビア保健省からの診断依頼に基づき、新型H1N1ウイルス感染症であることを確定し、その検査結果などをザンビア保健省を通じてWHOへ公式情報として報告しているということで、このような形で現地に貢献しているということです。また、東北大学フィリピン拠点のほうでは、H1N1の検出系を立ち上げ、フィリピン熱帯医学研究所と共有をしているということです。さらに、当該地域の保健省、先ほど言いましたフィリピン熱帯医学研究所、そして、JICAと共同で、感染症予防キャンペーンなども実施したということであります。
 このように、海外拠点は現地においても中心的な役割を果たしながら、H1N1の診断体制を立ち上げ、現地における公衆衛生に貢献してまいりました。
 加えて、東京大学及び長崎大学では、スライドの右側で示しておりますように、関連する研究成果や知見を速やかに論文として公表しておりまして、当該感染症の病態理解にも大きく貢献をしております。
 スライド、次をお願いいたします。
 続いて、COVID-19パンデミックの対応です。御承知のように、COVID-19パンデミックは、今申し上げましたH1N1とは比較にならないほど、規模が大きく、深刻さを伴う、極めて大きなパンデミックでありました。重症度、感染者数、社会への影響、そのいずれを取っても桁違いであったと言っていいかと思います。
 そのような状況の中で、多くの海外拠点では、2020年初頭に現地駐在員を帰国させざるを得ないような状況になりました。ただ、その中でも、大阪大学タイ拠点、神戸大学インドネシア拠点、長崎大学ベトナム拠点の3拠点に関しては、若干名の駐在員が、帰国することなく、常駐を継続しておりました。帰国を余儀なくされた拠点においても、厳しい状況下にあっても現地雇用のスタッフと連絡を取りながら研究活動を維持し、現地の公衆衛生への貢献を続けるとともに、COVID-19という新たに直面した病原体に対する理解を深めるための研究を進め、成果を上げてまいりました。
 スライド、次をお願いいたします。
 このスライドはまとめておりますけれども、まず、海外拠点による現地の貢献という点では、北海道ザンビア拠点、東北大学フィリピン拠点、長崎大学ベトナム拠点の3拠点が、COVID-19の診断法の開発、技術提供ということで、重要な役割を果たしております。また、長崎大学のベトナム拠点は、これまでベトナムにおける感染症対策に貢献したことが評価されまして、令和3年に外務大臣表彰を受賞しております。
 スライド、次をお願いいたします。
 また、研究面では、海外拠点のメンバーを中心としまして、大阪大学、神戸大学、長崎大学などが、病態理解に資する様々な論文を発表してまいりました。このことは、海外拠点において育成されてきた研究者が、COVID-19パンデミック下において、診断法の開発や病態解明のための基礎研究において重要な役割を果たしたことを示していると言えるかと思います。
 スライド、次をお願いいたします。
 さらに、令和2年度第1次補正予算、感染症対策のための環境整備に基づく補助金の交付を受けまして、本事業のほうでは、ベトナム、フィリピン、中国、タイの海外拠点を中核として、他の研究拠点とも連携をしながら、新型コロナウイルス感染症に関する研究を集中的に実施しております。スライドに記載しておりますように、診断技術の開発や創薬研究が推進され、一定の成果が積み上げられてまいりました。ただ、薬剤開発に関してはパンデミックの期間中に直ちに実用化に至る成果を得ることはできませんでしたが、そこで蓄積された知見は、次のパンデミックに備える、プリペアードネスの観点から極めて重要な財産であるのではないかと考えております。先生方は御存じのように、COVID-19パンデミック下で実用化された治療薬の多くは、それ以前の、例えばエボラウイルスなどの感染症に対する研究で得られていた知見を土台としていたことからも、この点は十分に期待できるのではないかと考えております。
 スライド、次をお願いいたします。
 続きまして、PHEICへの対応について、お話ししたいと思います。このスライドにお示ししておりますように、ポリオウイルス、西アフリカ及びコンゴ民主共和国におけるエボラ出血熱、ジカウイルス感染症、エムポックスなどに対して、海外拠点では、その都度、現地への貢献と研究開発の双方を進めてまいりました。
 スライド、次をお願いいたします。
 これは現地への貢献と研究成果を一覧としてまとめたものであります。
 スライド、次をお願いいたします。
 北海道大学ザンビア拠点点では、エボラ出血熱及びエムポックスに対する検査法の開発や、地元機関からの診断依頼への対応などを通じて、現地の公衆衛生上の課題解決に貢献してまいりました。また、東北大学フィリピン拠点では、エムポックスに対する迅速診断法の開発を行うとともに、現地への技術指導なども実施していたということでございます。
 スライド、次をお願いいたします。
 研究成果の面でも、この表に示しておりますように、2016年のジカウイルス感染症、さらには2022年に発生しましたエムポックスなどを対象として、研究成果を公表し、病原体に対する知見の共有に努めてきております。このように、PHEICへの対応においても、海外拠点の研究者は日本のグローバルヘルスへの貢献を担う中心的な存在として役割を果たしてきたと言えるかと思います。
 スライド、次をお願いいたします。
 さらに、海外拠点は、現地への貢献のみならず、日本への貢献という点においても重要な役割を果たしてきました。このスライドでは、COVID-19パンデミック並びにPHEICへの対応において、海外拠点からもたらされた貴重な感染症情報について、整理をしております。COVID-19に関しては、東京大学中国拠点からは、武漢市における原因不明肺炎の発生情報が速やかに日本国政府と共有されております。また、東京科学大学ガーナ拠点からは、西アフリカ諸国における発生状況に関する報告がなされております。さらに、大阪公立大学コンゴ民主共和国拠点では、独自に開発した血清学的診断法を日本国内の抗体保有率調査に役立てるなど、COVID-19パンデミック初期において多面的な貢献をしてまいりました。
 エムポックスの流行に関しても、北海道大学ザンビア拠点からはウイルスの遺伝子情報が提供され、大阪公立大学コンゴ民主共和国から、ここがエンデミックな地域であったこともありまして、PHEIC宣言に先立つ段階で流行情報が日本と共有なされております。
 以上のように、海外拠点は、日本の公衆衛生学的対応に対しても直接的かつ間接的に重要な貢献を果たしておりまして、この拠点の必要性と重要性は疑いのないものと思われます。
 次のスライドをお願いします。
 最後に、拠点から挙がってきた、パンデミック対応から得られた幾つかの課題について、少しお話ししたいと思います。
 これらは拠点から挙げられてきたものですけど、情報共有体制の整備並びにMOUに基づく活動上の制約などが挙げられております。
 1番目の情報共有体制の整備につきましては、ネットワークコア事業の中で、先ほど第2回のいろんな御意見の御説明がありましたけど、その中でありましたモニタリング体制ですね。このような体制整備が進められているということで、今後は解決されるのではないかと思います。
 また、このMOUによる活動の縛りに関しましては、今回のCOVID-19の経験を踏まえまして、締結の際にはより包括的な内容で締結していくということで一定程度の課題解決は可能であると考えております。
 以上、「新興・再興感染症研究基盤創生事業」におけます、パンデミック等対応の振り返りについて、お話しさせていただきました。
 どうも、御清聴、ありがとうございました。
【大曲主査】ありがとうございます。
 それでは、先生方、今の御説明に関しまして、御質問、御意見、ぜひよろしくお願いいたします。小柳委員、お願いします。
【小柳委員】小柳です。よろしくお願いします。
 杉浦先生、ありがとうございました。質問というよりも補足ですけど、BSL4について、ちょっと意見というか、常識的なことを述べさせていただきます。
 杉浦先生の御説明にありましたように、現実的にはBSL施設を日本はまだ稼働してないのは、我々が知っている国のレベルとしては、日本は非常に遅れているということを強調したいと思います。アメリカは、アトランタにCDCがありまして、そこにBSL4がありますし、先ほどお話しになられました、北のほうにあるロッキーマウンテン研究所並びにのほうにあるテキサス大学の研究施設、それぞれが稼働しております。これは、アメリカだけではなくて、中国並びに台湾。それから、お話にありましたマールブルクウイルスでありますが、これはドイツのマールブルグの町で見つかったウイルスです。これはもともと、アフリカから来たサルから分離されて研究者が感染してしまったというものでありますから、その町の名前をつけたウイルスとして知られております。私が申し上げたいことは、こういう危険なウイルスは、海外から人あるいは動物を介して入り得るということを我々は知らなきゃいけない。もちろん、それは危険性が分からない状態だからこそ我々の世界に入ってくるわけですから、危険性が分かった時点でこういう特殊な施設を持ってなきゃいけないという理屈で、各国はこれを準備しております。そういう意味で、日本の中では、これがいまだに準備されていない。これはスタンダードとして持っておかなきゃいけないという意識は、我々は持っていなきゃいけない。これは感染症の常識として申し上げたいと思います。
 それから、もう一つ、最後にお示しいただいたスライドのところですが、最初、COVID-19は、僕らHIV研究をやっている人間にとっては、変異は少ないだろうと見ておりました。それのオミクロン株というものが南アフリカ共和国から出てきたわけですが、そして、コンゴ民主共和国とか、そういうお話をしていただきましたけど、南アフリカから出てきたオミクロン株を見つけた人はHIV研究者です。というのは、南アフリカにはアメリカのサーベイシステムがありまして、次世代シーケンサーを持っているんですね。そういう研究者が配列を見たら、とんでもなく変異しているものが出てきているぞということを報告したんです。我々、東京大学の医科研の人間も含めて、この配列を見てびっくりしたんです。こんなウイルスが出てくるんだという現実世界を見せつけられて、その後、急速に広まったということで、論文がありましたが、南アフリカから、イギリス、あるいはアメリカも含めて、見つかったときには既に広がっていたということも分かっています。そういう意味で、どこをサーベイするかは、もちろん全てはできませんが、いいサーベイシステムを持っていた研究施設が南アフリカだったということを強調しておきたいと思います。
 以上、追加のコメントになります。ありがとうございます。
【大曲主査】  小柳委員、ありがとうございます。大変重要な御意見だなと思って、私は伺っておりました。
 そのほか、先生方、いかがでしょうか。
 鹿野委員、お願いします。
【鹿野主査代理】  ありがとうございます。BSL4のところのお話を伺っていて思ったんですけれども、トレーニング、人材育成、これから具体的に進めていかなくてはいけないというふうに思いますが、実は、うちの大学の話で恐縮なんですけども、うちの大学では、医薬品製造に関わる従事者のトレーニング用のVR(バーチャルリアリティー)で、いろいろな無菌操作であったり、非常に管理されている環境下での製造作業の訓練をするプログラムとかを開発しております。BSL4はさらに厳重に管理された場所になるかと思いますので、そういうところで不慣れな人が作業するというリスクもありますし、環境を汚染するというリスクもありますので、よろしければ、VRを使ったようなトレーニングプログラムの開発も御検討いただければいいのかなと思いました。
 以上です。
【大曲主査】  鹿野委員、ありがとうございます。
【杉浦PS】  今の御意見、私も全くそのとおりかと思います。いろんなトレーニングの方法があるかと思いますが、中に入るのもなかなか大変ですので、多分、設備を模倣した形でVRを作るので、そこには当然、また別の意味でのセキュリティはかける必要がありますけれども、ただ、安全にそういうトレーニングを行うという意味では、VRというのはその一つとして、重要な御提案じゃないかなと思いました。どうもありがとうございます。
【大曲主査】  ありがとうございます。
 それでは、渡辺委員、お願いします。
【渡辺委員】  御発表、ありがとうございます。BSL4のことに関してなんですけども、これは多分、コメントというか、感想というかではあるんですが、先ほど小柳先生もおっしゃっていましたけど、BSL4は非常に重要だと思いまして、感染症研究、高病原性のものを研究できる施設、あと、ワクチンとか治療薬の開発につながる研究、そういったものって、多分、国として、インフラのようなものとして考えていくべきものかと思いまして、国防というか、そういうものにもつながるので、非常にこれは重要だと感じています。
 あと、先ほど鹿野先生も人材のトレーニングのことをおっしゃっていましたが、本当にトレーニングってすごく重要だと思いまして、私、BSL4では実験したことはないんですけど、BSL3のほうではすごくよく研究をしているんですが、長時間、そこで働くとか、実際に扱ってやるというのを、かなり時間をかけてトレーニングして、研究従事者が感染しないで実験できる、病原体を外に出さないという、本当にトレーニングが非常に重要だなというふうに考えておりますので、こちらのほうもすごく重要なことだと思います。
 ちょっとBSL4とは外れるんですけど、これは私の単なる意見なんですが、BSL3に関しても、いろんな大学とかでBSL3施設があって、新型コロナを契機としてBSL3で働き始めた研究者も多かったんですけど、それぞれでレベルがかなり違ったというのがあったので、BSL3とか、そういったところでも、日本国内で標準をそろえたような、そういったトレーニングみたいのを行っていく必要もあるんだろうなというのは考えています。
 すみません、取り留めのない意見ですけど。
【大曲主査】  ありがとうございます。
 鈴木委員、お願いします。
【鈴木委員】  鈴木です。資料の御説明、どうもありがとうございました。私は、BSL4というより、後半のパンデミック対応あるいはPHEIC対応という観点から、海外拠点をどのようにしていくかという点について、個人的なコメントをさせていただきたいと思います。
 19ページなどで例えばSwインフルエンザ発生時の拠点での研究成果なども幾つか挙げられていて、その一つの長崎大学ベトナム拠点での新型インフルエンザのインパクトに関する研究論文は、私も大学院生を指導しながら論文書いたというものでございます。これは拠点の開始当初から呼吸器感染症サーベイランスを継続的に立ち上げて実施していたからこそ実現したという観点から、そもそもパンデミックに備えてやっていたというわけではありませんが、特定の研究目的だけではなくて、継続的にサーベイランスのようなものを続けておくということが結果的にこういったパンデミックを評価するというようなものに活用されるという観点から、続けて研究をしておくことが非常に重要なんだということを、改めて資料を見ながら思った次第です。
 一方で、正直に申し上げると、当時、私自身も含めて海外拠点で研究をしていた者がどこまでパンデミックあるいはPHEICに備えて研究をしていたかというと、ほとんどそういった認識はなかったんじゃないかというふうに思います。これは、海外拠点だけじゃなくて、そもそも我が国の感染症の研究者がどこまでそうした認識を持っていたかというところにも関わるので、今さら言ってもしようがないというところはあろうとは思います。ただ、今回のパンデミックを踏まえて、我が国の研究者、そして、当然ながら海外拠点での研究者も、それだけではないとしても、そうした意識を持ちながら研究をしていかなくてはいけない流れにあるんだろうなということは、改めて認識をしたところです。
 ただ、30ページにあるように、研究という部分と、前回、齋藤智也先生が発表されたようなモニタリングとかインテリジェンス、要するに公衆衛生的な機能というのはちょっと違うところがあって、研究は研究倫理に従って研究をするわけですが、一方で、公衆衛生の枠組みで現地で調査を行ったり、現地の公衆衛生当局と連携をしながら感染症のリスクアセスメントをしたりといったことになってくると、今度は、情報のセキュリティとか、あるいは、国際的には、IHRとか、Pandemic Accordとか、そうした枠組みの中で動かなくてはいけないので、現状で海外の研究拠点がそこまで両方を見据えながら、つまり、研究は研究としてやり、一方で公衆衛生的に貢献していくというところは、多分、なかなか難しいだろうなと思いますので、パンデミックに備えて海外拠点を強化していくというときには、この両方の部分を強化していくということに注視しながら投資をしていく必要があるのかなというふうに思いました。
 以上、コメントです。
【大曲主査】  ありがとうございます。全くそのとおりだと思って、伺っておりました。国内の臨床対応・公衆衛生対応は、いわゆるパンデミック対応、反省を基にプランB的なところをやっていますけども、同じことは研究という観点でも要るんだなあと、今、お話を伺っていて思いました。ありがとうございます。
 そのほか、委員の先生方、いかがでしょうか。
 鹿野委員、お願いします。
【鹿野主査代理】  度々、すみません。ありがとうございます。
 今の鈴木委員の御発言、そのとおりだと思うんですけども、今回のCOVID-19もそうですし、それに至るまでのPHEICでも、感染症は一旦広がると、地域限定かもしれませんが、グローバルに、かなり広い範囲広がっていくものですので、モニタリングは非常に重要だけども、研究者がそれをできるかというと、専門性も違いますし、そこは負担が少ないように、むしろ、そういう専門の、例えば疫学の専門家等が関与できるような体制にしておくのがいいのかなと思います。もちろん、現地に行って作業するということはあまり現実的ではないので、そういう方々がそういう情報をタイムリーに入手して専門的な見地で解析もするような、そういうような体制を国内に準備していくというのも検討してもいいのかなと、伺いながら思いました。
 以上です。
【大曲主査】  齋藤参考人も有事のモニタリングに関してのサージキャパシティーの確保というところを課題に挙げていらっしゃったと思うんですけども、そこにも係ってくる話かなあと思って伺っておりました。ありがとうございます。
 山野委員、お願いします。
【山野委員】  ありがとうございます。企業の立場としても、少しコメントさせていただこうかと思います。
 BSL4施設の重要性というのは我々も非常に強く感じている部分もありまして、当初、BSL4施設が立ち上がったとき、企業としても、どういう使い方ができるのかというのも、かなり多く政府系のほうにも相談いただいたという経過がございました。ただ、残念ながら企業のほうでBSL4施設というのを定常的に使うのはなかなか難しいところがございます。一方、コロナのようなところが発生した場合には直ちに評価する必要があるんですけども、こういう施設でしっかり機能したものがないと企業のほうも立ち行かなくなるというところは現実でございます。このようなものをしっかり立ち上げておくというのは、将来、何かあったとき、企業のほうもいざというときのためという形になってしまいますが、こういうものを利用できるというところは非常に大きいものだと感じております。
 また、モニタリングについても同様でして、モニタリングというところも、サーベイランスという形で言うと、研究的にも評価されない部分が一部あるときもあるんですけども、定常的に行うというところの重要性というのは強く感じておりまして、薬剤とかを企業のほうでソースできた場合にも、それが本当に継続した効果があるかどうかというところも含めてモニタリングというのは非常に重要ですので、そういう面でもモニタリングの重要性というのも同様に貴重かと感じるところですので、その2点、コメントさせていただきます。ありがとうございます。
【大曲主査】  ありがとうございます。伺っていて思ったのは、モニタリングについても非常に重要だと、委員の先生方もおっしゃっていますし、一方で、研究者の先生方からすると、ふだんの活動とはちょっと違うというところもある中でどうするかというのは、今、まさにその議論の真っ最中だと思うんですけども、専門家の先生に入っていただくというのも一つだったと思いますし、別の切り口で考えると、そこに対する評価といいますか、頑張ってくださっているところに対する評価というものも、実効性というか、現実的にモニタリングの活動をワークさせる意味では大事なのかなあと思って伺っておりました。ありがとうございます。
 小柳委員、お願いします。
【小柳委員】  ありがとうございます。これはまたコメントです。
 実験をやる人間にとって、既に、病原体が同定された時点でBSL4でやらなきゃいけないという、初期対応では必要な施設であります。一方、科学が進みますと、例えば、エボラもそうですが、遺伝子が分かって複製系が分かれば、それに対する複製を止める系はしっかりありますので、それを全て……。実は、今、エボラウイルス、あるいはマールブルグウイルスの遺伝子を扱うだけで、大臣確認実験になります。20年以上たってもそれで、既に安全性は担保されているはずなのに、毎年ではないのですが、3年か5年に一度、それを大臣に確認しなきゃいけないということは、非常に事務処理を増やしております。これを海外の研究者に聞いたときに、そんなことをまだやっているんですかというふうに言われます。イギリスでも言われます。ドイツでも言われます。そういう意味で、ちゃんと科学的に分かっているものを切り分けていただきたいというのが、基礎研究の人間からの意見表出であります。ですから、エボラウイルスの研究は全てBSL4でやるわけではありません。実際にBSL4でやっているのはごく一部の実験系だけでありまして、長崎大学にそういう施設があれば、それはちゃんとした成果として発表できるし、国民にも貢献できるだろう。そういう意味で、代替施設、あるいは、ほかの似たようなウイルスで、複製系は全く一緒の系で、BSL4を使わなくてもいいというものはどんどん見つかっておりますので、そこまで規制を広げてほしくない。ほしくないというよりも、広げても意味はないということを言いたいと思います。
 以上です。
【大曲主査】  小柳委員、ありがとうございます。
 僕自身は専門ではないので自分の頭の整理のために確認をさせていただくと、現状ですと、扱う微生物、例えばエボラウイルスを扱うということ自体が、日本の枠組みの中では、すごくざっくりな言い方をしますと、イコールBSL4の環境下でやるということになってしまっていると。でも、それはもろもろの手続等の関係で非常に煩雑であると。現実的には、複製を止めるような系というのは確立しているので、海外の例を見ると、それはBSL4でなくてもできると。そういったものは海外に倣って日本でも同じようなやり方、必ずしもBSL4を使わないとか、そういうやり方でやっていくべきではなかろうかと。そういう御意見だと思って、私は伺っておりましたが……。
【小柳委員】  まさしくそうです。
【大曲主査】  ありがとうございます。この場で扱い切れるかどうか、自信がないのですが、ただ、私は非常に重要な御意見だと思いましたので、この会議の記録として、しっかりと承っておきたいと思います。
 渡辺委員、お願いします。
【渡辺委員】  ここで話すことでもないのかもしれないんですけども、小柳先生がおっしゃっていたところにちょっとかぶせたいんですが、日本が少し遅れているというのは本当でありまして、例えば、本物のエボラウイルスを使おうと思ったらBSL4なんですけど、増殖に必須な遺伝子を欠損させたようなもので、海外のほうでは手続を経てBSL2レベルまでレベルダウンしているものを日本に持ってこようとしたときに、まだBSL4のものとなってしまう。今、厚労省のほうと話し合いは進めているんですけど、そういったところが日本はなかなか進まないなというのがありまして、そういった代わりのものを使えると、高病原性のものも少しレベルダウンしたところで研究を進められるのに、そういったところが進まないというところは日本の問題だと思うので、国レベルで進めていっていただけたらなというふうに考えました。
【大曲主査】  ありがとうございます。
 これは研究の促進という観点で非常に重要な課題であると、今日、よく勉強しました。既に議論も始めていらっしゃるというところで、私としては期待したいと思います。先生、御提示、ありがとうございます。
 鹿野委員、お願いします。
【鹿野主査代理】  すみません、度々。今のお話はまさに重要で、病原体の管理がちゃんと整理されてないと、ワクチンとか治療薬の開発にも影響があるんですね。臨床試験も実施できないケースもあります。実際、現在問題になっているケースもありますので、厚労省の管轄だとは思いますが、ぜひ、病原体の管理レベルの扱いについては、この機会に一度整理をしていただかないと、今後も大きな問題になり得ると思いますので、議事録等に残しておいていただければと思いました。
 以上です。
【大曲主査】  ありがとうございます。
 小柳委員、お願いします。
【小柳委員】  これは我々も反省したんですけど、コロナのときに、未知病原体だということで、大臣確認になっちゃったんです。それで、会社は手を出せないし、大学も手が出せないし、大臣確認をそれぞれ出さなきゃいけないから、タンパク質もできなかった。じゃあ、診断薬はできないな、血清アッセイはできないなということで、ひたすらオリゴを作って、それからタンパクを作るかという、変な議論になっちゃったんです。それを文科省の間でも振り返られて、ウイルス学会も働きかけて、新たなものが出てきたときには迅速に判断しますというふうにお言葉をいただきましたので、それは改正されたというふうに聞いていますが、コロナの場合は初動が完全に遅れました。というのは、コロナの配列が出たときに、あの夜に世界中に配列が飛び回って、構造解析をやっている人は、その夜にプラスミドを作ったんです。ただ、日本は、それを作ったら、大学から怒られる。つまり、犯罪行為になってしまうのでできなかったという反省があります。
【大曲主査】  小柳委員、ありがとうございます。伺っていて、これは極めて重要な話だなと思っておりました。パンデミック対策の議論に関わって聞いていると、とにかく研究開発は急げという話が出てくるわけですが、僕がぼんやりしていただけなのかもしれませんけども、こういう観点でのバリアが生じる、あるいは実際に生じたということがまともに議論されている場って、私は見たことがないんです。ですので、この議論は非常に重要な議論だと思いますので、今日、こういう御意見が出ているということをしっかり記載して、省をまたぐ話だと伺っておりますけども、何らかの形でこれを伝えるということは非常に重要だと思います。例えば、パンデミック対策の会議が内閣感染症危機管理統括庁で行われていますけども、そういうところへJIHSとして出すとかっていうことも重要かなと思って伺っておりました。ありがとうございます。
【秋野企画官】  大曲先生、よろしいですか。
【大曲主査】  お願いします。
【秋野企画官】  ありがとうございます。小柳先生も、ありがとうございます。
 小柳先生の御紹介の中にもございましたけれども、文科省としても、カルタヘナ法の対応について、省令を改正して、一昨年度から取り組んでいるところでございます。政府対策本部が設置されるような感染症の場合には、二種の取扱いについて大臣確認の適用除外とすると、令和6年12月に告示を制定しております。
【大曲主査】  12月ですね。分かりました。
 このような対応がなされているということで、情報を共有いただきました。
 そのほか、委員の先生方、いかがでしょうか。
 よろしいですかね。
 じゃあ、ついでに私も所感だけ少し加えさせていただくと、パンデミック対応のところはすごく参考になりました。繰り返しになりますが、研究拠点、研究という観点からもパンデミック対応の準備って要るんだろうなあと思ったのが、まず感想です。そういう意味では、既にお話が出た点は幾つかあったと思います。例えば、いわゆる研究としてのサーベイランスモニタリング活動が役に立つんだということは鈴木先生からもお話しいただきましたし、僕、情報をいただいた中で、いざというときに取り扱う微生物等の対象を迅速に柔軟に広げられるという意味では、それらも包含した上でのMOUを結んでおくとかはなるほどと思いましたし、あとは、いわゆる情報という観点のモニタリング活動では、齋藤参考人もおっしゃっていたように、サージキャパシティーが非常に重要だということでしたので、そこを具体的にどう支援をするのかということも大事だと思いました。そういう意味では、拠点それぞれにお願いするのか、AMEDさんにお願いするのか、あるいは、現状ですと、J-GRID+、JIHSが調整の拠点になっていますけども、そういうところが受けるのかというのはありますが、有事対応のときのサポートといいますか、準備とそれのサポートといったものも、いざというときに拠点に十二分に御活躍いただくという意味では大事なのかなと思って伺っておりました。ありがとうございます。
 それじゃ、この点はよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、次の議題に進めてまいります。
 議題(3)でございます。他事業連携に関するヒアリングでございます。本日は、構成員の小柳委員に、AMED感染症プロジェクトのPDの立場から、お話を伺えればと思います。
 それでは、小柳委員、よろしくお願いいたします。
【小柳委員】  ありがとうございます。小柳でございます。私、AMEDのプロジェクトディレクターという立場でもありますので、今日は、AMED内の事業間連携について、お話しさせていただきます。
 では、次のページ、お願いいたします。
 非常にビジーなスライドで申し訳ないんですが、このスライドは、昨年5月にAMED内の会議がありまして、私がAMEDの幹部の間で共有したスライドでございます。これは、感染症プロジェクトの推進方針として、上に書いておりますような内容で、AMED内で共有させていただきました。杉浦先生に御説明いただきましたように、海外拠点11拠点、それから、先ほどのBSL拠点を中核にしてというお話をいただきましたが、右側のアニメーションでは、それが「新興・再興感染症研究基盤創生事業」として成り立っております。
 今日の説明の主なポイントは、その上にあります「新興・再興感染症に対する革新的医薬品開発研究事業」と、一番下にあります「エイズ対策実用化研究事業」と「肝炎等克服実用化研究事業」、これは具体的には厚労省管轄のお金でAMEDが運営しているものでございますが、その内容について左側にそれぞれテキストベースで書いておりますけど、赤字のところ、つまり、薬剤耐性とか、重点感染症、HIV感染症、肝炎ウイルス、新興・再興感染症の発症機序等と、それから、ワクチン開発拠点についてはSCARDAのお仕事でありますので、そういう内容の話をAMED内で私が把握しているということで、その中の連携をどうするかというのが、AMED内での私の仕事でございます。
 ちょっと話は戻りますけど、アニメーションの上のほうの、「新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業」、我々は革新的医薬品と言っておりますが、それについては後のスライドで御説明いたしますので、今はこういう事業をやっているということを御理解いただければと思います。
 左側の下のエイズ対策事業、それから、我々は肝克あるいは肝炎克服と言っておりますが、右側の肝炎対策、それぞれについて簡単に紹介させていただきます。
 次のスライドをお願いいたします。
 私はプログラムディレクターという立場で、それぞれの事業にはPS・POの方がおられますので、それぞれの採択、あるいは事業内の運営については、それぞれのPO・PSがやっておられるということで、私は全体的な横の流れをつくるという立場の人間でございます。今、赤で囲っておりますように、プロジェクト内での事業連携並びに外の、外という意味は、一番下の赤枠内にありますように、AMED内の感染症プロジェクト以外の事業、創薬ブースター、ARISE、ASPIRE、AMED-CRESTというのがございますけど、そういうものとの連携についても担当するということで、実は私は、情報を集めて、皆さんがどういうことをやっているかというのを把握する人間なんです。ですから、いろんな会議に出ていて、いろんな会議の資料を見せていただくということで、目的は、真ん中にありますような、革新的なシーズを見つけて、出口志向という意味は、我々にとっては、薬を作れるか、あるいは診断薬を作れるか、それがAMEDの大きな目的になっておりまして、文部科学省の感染症拠点事業は基礎分野のものでございますが、そこからシーズを基に創薬あるいは診断法を開発するというのが、我々の使命でございます。はっきり言えば、私の使命でございます。
 次のスライドをお願いします。
 今回対象になっております、杉浦先生に御説明いただいた「新興・再興感染症研究基盤創生事業」の予算規模は20億でございますが、今日、私が説明するのは、オレンジ色の「新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業」「エイズ対策実用化研究事業」「肝炎等克服実用化研究事業」、それぞれの予算額枠は、20億、5億、33億というふうになっております。下のほうは、SCARDAの「感染症危機対応医薬品研究開発プラットフォーム」、ワクチンプラットフォーム拠点のお話でございます。
 エイズに関しては、私の頭の中に入っているので細かい資料はここでお見せしてないんですけど、具体的に、私、エイズ対策事業は40年弱やっておりますが、エイズというのは、薬で完全に抑えられる病気で、克服できる途中であります。ただ、ワクチンはまだです。今、完全に抑えることができる薬が開発できて、日本の製薬会社のシオノギが作っているドルテグラビルというインテグラーゼ阻害剤、これを1日1回飲んでいただければ完全に抑えることができるし、満屋先生が作られたAZTで抑えることができる。こういう合剤でちゃんと抑えることができる段階に達しております。ただ、一度感染してしまうと、その人はずっと飲み続けなきゃいけないということで、今、6か月に1回注射すればいいという薬も製薬会社が作っておりますから、そういう意味で、薬の開発がどんどん進んでいる領域でございます。
 一方、肝炎に関しては、御存じのC型肝炎は、いい薬ができました。実は、脇田先生がウイルスの複製系を作られたので、世界中でこれを使って評価できて、C型肝炎を克服する薬がアメリカで開発されたということで、日本は大きな貢献があります。
 肝炎に関しては、もう一つ、B型肝炎というのがございます。スライド、2ページに戻っていただけますか。「肝炎等克服実用化研究事業」では、我々、肝炎の「肝」と克服の「克」を取って、「肝克」という名前の班を持っております。それから、テキストの右側にB型肝炎とありますが、B型肝炎の薬は、いいものはありますが、まだ完全に抑えることはできないということで、「B創」と僕らは言っていますが、B型肝炎の薬を作るという目的でそれぞれの研究班を持っておりまして、それなりのお金が出ております。そういう意味で、肝炎は非常に進歩している領域で、臨床試験も非常に活発にやっておられる領域です。
 ちなみにもう一つ、エイズ対策については、実は、この「エイズ対策実用化研究事業」によって、日本の拠点病院、それから、社会医学の整備ができました。昔は血友病の方がエイズになられたわけですが、そういう方々をどうやって社会に復帰させるかということは、このエイズ事業で、日本でなされた仕事であります。
 5ページをお願いいたします。
 「新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業」、具体的にこれは何かといいますと、名前のとおり、医薬品を開発するための20億のお金でございます。各項目はそれぞれ、一番下の左側から、公衆衛生、臨床体制確保、ワクチン、MCM、MCM対応というのは重要なもので、まだ危機対応の薬もない、それから、分からないような、エボラウイルス、ラッサウイルス、ニパウイルス、そういうものに対する医薬品開発でございまして、今年度採択されたもので6件とか、そういうもので、大体、それぞれ2,000万円ずつ出ております。
 ネットワークに関する事業として一つ重要なものは、その上の左側に、台湾CDC、中国CDC、インドNICED、ベトナムNIHE、ブラジルLIKA、研究所等が書いてありますが、これは何かといいますと、海外の研究機関との連携をするために、単年度当たり1億円ぐらいのお金が出ております。ただ、これは海外拠点のお金とは違って、具体的には、JIHSの中の感染研が直接、政府間で、研究所と研究所がつながっているもので、人と人のつながりではない、対策研究として出ております。私、PDになってやっと分かったんですけど、文科省の海外拠点研究と厚生労働省からお金が出ております海外拠点研究は、感染研ではつながっているんですが、左側のそれぞれの政府機関と右側の海外拠点研究の人と人とのつながりは実はなかったということが、私が見つけたわけじゃなくて、この図を見て分かりました。そういう意味で、国がそれぞれサポートしているものの中で連携がうまくいってなかったということを、AMEDの中で、我々自身、気づき始めたところでございます。
 次のスライドをお願いいたします。
 AMEDの中で、私が気づいたんじゃなく、AMEDの方々が気づいておられて、「感染症横串の会」というものをつくっておられました。私がPDになって、この横串の会で、真ん中にありますように、とにかく感染症に対してどういうものができるかということで、PDの私を中心に、毎月1回、マッチングあるいはペアリングを、それぞれ研究者の間の共同研究、あるいは、それを薬につなげられるかどうか、何か診断法をつくれるかどうかについて、臨床的な意味合いも含めて、正直に言えば、やり始めたというのが本当のところでございます。いまだ情報交換の段階で、悩みがありまして、AMEDの現在進行形の事業については、それぞれの研究者の特許、あるいは内密にしたいことがありますから、なかなかオープンにはできないんですが、私がなるだけ研究会に出てシーズも含めてそういうものを集めているという段階で、これをデータベース化できればというふうに考えております。参加部署は、下に書いてありますように、AMED内のいろんな部署。海外にもAMEDの事務所がありますから、海外の事務所も含めて、月1回やっております。SCARDAの方も入っておられます。
 次のスライドをお願いします。
 これは横串の会のポンチ絵ですが、真ん中におられるのは研究開発戦略推進部で、それぞれのプロジェクト、私が上におりまして、医薬品プロジェクト、橋渡しプロジェクト、シーズ開発プロジェクト、ワシントン・ロンドン事務所、イノベーション等々の事業で、毎月やっておりますが、ここで分かったのは、今、文科省でやっているこういう事業の中で、基礎研究から出てきたシーズに関して、どういうふうに薬剤を開発できるかということに対して、実はアドバイザーの方をAMEDは持っております。それが、橋渡し・臨床加速事業部、あるいはエコシステム推進事業部というところだと私は初めて学んだんですけど、薬剤を開発するためには、薬理動態並びに動物の問題、副反応の問題、それから、感染症に対する薬の開発というのは、もちろん薬の開発一般にも言えますが、それが市場として成り立つかも含めて重要ですから、そういう意味のアドバイザーがおられます。そういう意味で、AMEDの中でこういう情報交換することは極めて重要だということを理解し始めて、その情報をどうやってつくればいいかというふうに始めたところであります。
 次のスライドをお願いします。
 具体的な例としては、AMED-CRESTという事業が別の予算でAMEDの中で動いておりますから、数年前から「新興・再興感染症研究基盤創生事業」の多分野融合領域と研究交流会をやっておりますし、もう一つのスライドでお示ししますけど、成果に行く手前でございますが、共同研究が始まったということで、真ん中に書いてありますようにお互いに、班会議はそれぞれあるのに、多分野の研究者がAMED-CRESTでしゃべるというふうな形で始めております。その中でいいものがあったら、PSの方に調整費をつけていただくということで、それを強力に推進したいというふうに考えております。
 次のスライドをお願いします。
 これが実際の例で、左側はファージ療法で、これは、感染研の氣駕先生、非常に若い先生ですが、そういう方が昔から始めておられるもので、自治医大の崔先生と共に、もう臨床試験の手前まで来ておられます。
 右側のものは、AMED-CRESTで、高山先生という、我々のiPS研究所におられたんですが、東京科学大に移られて、彼は、iPSのデバイスの中にiPSの肝臓組織を作らせて、東京科学大の石野先生たちと、ヒトマラリアのスポロゾイドを、肝臓で増えますから、そういうものをデバイスの中で作れる評価系をつくったという話を聞いております。
 こういうふうに、私は共同研究をどういうふうに進めてあげるべきかということを差配する立場でもありますし、情報を流して研究者をその気にさせるというのが私の仕事だというふうに考えております。
 話は戻りまして、こういうふうに厚労省から頂いているAMEDの事業と文科省から頂いておりますAMEDの事業をいかにブリッジングするかということは極めて重要ですから、そういう意味の事業間連携について、お話しいたしました。
 以上でございます。
【大曲主査】  小柳委員、ありがとうございます。
 それでは、今御提示いただいた点に関しまして、委員の先生方から、御質問、御意見、いかがでしょうか。
 川上委員、お願いします。
【川上委員】  どうもありがとうございます。この領域間連携はすごくすばらしい取組だと思っていて、私とかも、いろんなプロジェクトに入っていると、最初に提案したときから、新しい技術が出てきたりとか、この人と組むと研究がより進むというのが出てきているんですけれども、後で追加の資金とかが出てこなかったりする場合、なかなかそういう連携が進まなかったりとか、それがリスクになってしまって、この技術を使えばすごくいいことができるのにできないという経験がよくありましたので、こういうところで調整費を機動的につけていただける仕組みというのは、研究者としては、とてもいい仕組みだと思いました。ぜひ、これを進めていければというふうに思います。
【小柳委員】  ロビー活動ではないですけど、特に基礎の研究者、あるいは基礎を知っている研究者、そういう方が臨床につなげる、あるいは産業につなげる、それが今のAMEDの使命だというふうに理事長からきつく言われていますので、そういう意味で、基礎の研究者をどう分からせるかと。何も基礎の研究者が全て知っている必要はなくて、例えば、構造解析した先生がそれをどう薬につなげていくかということを、僕からはアドバイザーの先生たちに、何とかその気にさせてよとか、そういうことを言っております。まず、こういうふうにやるということを知らせることが重要で、こういうふうな道があるということが重要で、私は別の機会で言っているんですが、こういうふうな創薬に向けての道筋、ストラテジー、それをちゃんと学校で教えるべきだというふうに思っています。
【川上委員】  ちょっと関連してなんですけど、もう一つ、コメントをよろしいでしょうか。
 もう一つは、基礎研究と応用と実装の部分というのを、今、その人がどういう段階にいて、どういうところがアウトプットとして求められているのかというのを明確化したほうがいいのかなと思っておりまして、AMED-CRESTとかでも、基礎研究をばりばりやっている人と、割と応用に近いところでやっている人というのは結構混ざっていますので、その辺りのマイルストーンとかゴール設定というのがみんな共通というのは、ちょっとおかしい話なんですよね。ですので、どのレイヤーにいて、どういうことがアウトプットとして求められていて、それを全体の領域としてどういうふうに管理していくのか、ポートフォリオでどこに位置づけられている研究はどのぐらいあるのかということを、管理側も把握しながら進めるのがいいのかなというふうに思っております。
 私が入っておりますワクチン拠点では、3層構造という、アメリカのNSFが採用しているような管理体制というのを導入したことで、基礎研究者は何をやればいいのか、応用研究者は何をやればいいのか、実装のところは何をやればいいのかというのが比較的整理しやすくなったという事例がありますので、それをこういうふうなところでも入れていけると、研究者としても、自分の立ち位置であるとか、何を求められているのかとかが理解しやすいのかなというふうに思いました。
 以上です。
【小柳委員】  まさしくそうです。ありがとうございます。
【大曲主査】  おっしゃるとおりと思いました。
 渡辺委員、お願いします。
【渡辺委員】  小柳先生、どうもありがとうございます。まさに、事業間の連携、そういったことはすごく重要だと思いまして、私はAMED-CRESTのほうなんですけども、先生がおっしゃったみたいに、多分野融合の方々がAMED-CRESTの領域会議で一緒に交わることで、領域会議でグループディスカッションみたいのも行って、そこでかなり、共同研究みたいな、そういった話をして、みんな、どうにかして組んで考えて、それで申請をして、調整費をつけてもらうとか、裁量経費でやっていただくとか、すごくモチベーションが出てきた感じがして、非常にすばらしいと思いました。ありがとうございます。
 あと、先ほど川上先生がおっしゃっていたアウトプットの辺りなんですが、これは、AMEDに言うことなのか、文科省のところで言うあれでもないのかもしれないんですけど、もともと申請時は基礎研究のところも、必ずしもアウトプットが実用化につながらなくてもというので始まったものについても、やっていくうちに、出口が実用化に行かざるを得ないというか、そういったところがかなりありまして、基礎研究やっている者としては、話が最初と少し違うなあって思いながら、それでも出口を目指さないといけないのかなという、そういった葛藤みたいのはあります。
 すみません、感想にはなるんですけども。
【小柳委員】  私自身、年を取ってから分かったんですけど、若い頃って、基礎でとんがっていますよね。これはアメリカでの経験なんですけど、アメリカにいる30代の頃に、自分が取った知財があったらしくて、出したことも、全然、記憶がないんですよ。私のボスが勝手に出したという感じですけど、それがいまだに売れるんですね。だから、若い人にそこを意識させる必要はないと思っていて、上の人間が分かっていれば、ちゃんと特許は取れて、ちゃんとお金になっている。アメリカのボスはそういうマインドをずっと持っていますね。そういうことを経験しました。
【大曲主査】  ありがとうございます。
 舘田委員、お願いします。
【舘田委員】  舘田です。遅れてしまいましたけど、小柳先生のお話、聞かせていただきました。私、知りませんでしたけど、横串の会で多分野の融合・連携を促進するという動きがあるということに驚きましたが、僕も、これは物すごく大事なことだし、日本が今まであまりやってこなかったというか、海外に比べて少し遅れている、そういう方向性なんじゃないかなというふうに感じていた中で、横串の会がAMED-CRESTのような形も含めて動き出しているということは、非常に心強いなというふうに思いました。ただ、どこで新しい化学反応を起こすかというのは、もちろん、ここが一つのキーになってAMEDが中心になってやるというのは分かるんですけれど、できるだけそういうチャンスを多くつくってあげて、いろんなところで、いろんな分野の人たちが、融合する、何か新しいことを見いだすというような、そういうチャンスをいかにつくっていくのかということを、将来、日本の研究とか、科学分野の方向性というか、目指す方向性の一つになるような、そういう活動につなげていくことが多分大事なのかなというふうに思うんですが、先生は海外の状況もよく御存じの中で、異分野融合とか、連携とかいう分野において、日本はタコつぼとよく言われますけれど、なかなかそういうのが進んでない国の一つなので、それが日本の強さでもあり弱さにもなっているようなところがあるのかなと思うんですが、海外と比べたときの日本、そして、将来の日本の在り方に関してということで、先生のお考えを聞かせいただければと思います。
【小柳委員】  ありがとうございます。私がいた海外は、30年以上前の話で、実は今の海外はちょっと違ってきているんですけど、30年以上前のカリフォルニア、ロサンゼルスの大学ですけど、そこの血液内科にいたときの経験がありまして、お話をしますと、当時、カリフォルニアですから、いろんな人種の人間がいました。PIを含めて、それぞれの研究者がそれぞれのことを相談し合うという世界です。はっきり言えば、そこからイノベーションができるというのは間違いなくて、つまり、いろんなことをしゃべるんですね。隣のラボの人間に、こういうデータを持っている、こういうデータを持っているって平気でしゃべる、そういう雰囲気が非常に強い場所でした。あんなにしゃべっていいのかなと思って見ていたんですけど、翌月にはその論文を「Science」とかに出すんです。彼らの力はすごいなと思ったのは、ディクテーションで論文を書いていきますので、とにかく早くぱっぱっと書いてきて、スピードにも負けない。もちろん、グランドの申請書もみんな見ていますから、それはしゃべらないんですけど、自分のデータは自分でやっていますから、しゃべっていいんです。
 ところが、日本は、教授じゃないと、そういう会話はできないですよね。日本の秘密主義というのは、ある意味、イノベーションを阻害しているようなところがあるんじゃないかというので、僕は海外拠点の先生たちに、交流会で若い人にしゃべらせてくださいというふうにお願いして、研究交流会を持たせた。それは本人がやっていることですから責任を持ってしゃべるはずですし、研究交流するはずですから、自分の研究は自分でしゃべりたい、どこまで秘密にするかは本人の意思決定だというふうな意識で彼らに任せているというのがアメリカの姿で、日本もそういう意識を持たせるべきではないかというのが、僕の意見です。
 それはアメリカのカリフォルニアというごく一部の話ですから、イギリスの研究者に聞いたり、フランスの研究者に聞いたりしていると、ちょっと違うなというのはありますが、しかしながら、英語でコミュニケーションを取れれば、そういうふうないいインナーサークルがあるぜということを若い人たちには伝えていますし、そういう海外経験がいい研究の成果として世に出ていくということを、日本の若い人たちにも伝えたいと思います。
 以上です。
【舘田委員】  ありがとうございました。大変勉強になりました。
【大曲主査】  ありがとうございます。
 多屋委員、お願いします。
【多屋委員】  小柳先生、大変すばらしいプレゼンテーション、御説明、ありがとうございました。私も異分野融合といろんな拠点の連携はとても大事だと思っていまして、病原体の後ろには、その病原体が取れた人がいたり、動物がいたり、その人の臨床があったり、動物の臨床があったりなので、基礎、臨床、疫学の融合だけじゃなくて、医学、獣医学、理学、工学、薬学、そういう異分野融合の機会をこの横串の連携というのは持てるんじゃないかなあと思いながら聞いていたところでした。同じ病原体でも違う拠点で研究されているんですが、例えば、統一フォームのようなものをつくって、それにその後ろにある情報を集めるとかしておくと、お互い、比較したり、ディスカッションしたり、検討することもできるのかなあと思いながら聞いておりました。異分野融合連携、拠点間の連携、横串、本当に大事な分野だと思って聞いておりました。
 以上でございます。
【小柳委員】  ありがとうございます。僕は、人と人との情報って限りがありますから、データベースの整備をやるべきではないかというふうに思います。統一的なデータベースがあると、勝手に人が動き始めますので、それが僕の現在の望みです。
【多屋委員】  本当におっしゃるとおりですね。統一フォームで、みんなが同じフォームで集めるというのは、比較にも大事だと思います。
 ありがとうございます。ぜひ、お願いいたします。
【大曲主査】  ありがとうございます。
 山野委員、お願いします。
【山野委員】  小柳先生、ありがとうございます。私も、AMED-CRESTのほうに、評価委員としても関わっておりますし、いろんな形で企業側として議論にいろいろ携わっておりますので、その辺のところからコメントをさせていただきます。
 一つは、川上先生あるいは渡辺先生からもコメントありましたけれども、応用のところと基礎のところのすみ分けというか、そこの境目というのが、なかなか難しいし、ややこしくなってきているかなあというのは感じるところがございます。渡辺先生がおっしゃっていましたように、先生によっては、基礎のところを非常にフォーカスしたい先生、あるいは応用に興味のある先生いらっしゃるんですけども、今回も同じように、基礎から入ったにもかかわらず、どうしてもアウトプットとしては応用のところを求められて、うまくかみ合っていない部分もあるなあと思いながら聞いたりしております。その辺り、もうちょっと大きなポートフォリオで、文科省と厚労省、あるいは基礎と応用という形で、うまい形でステップアップできるような仕組みがもう少し大きい範囲であればいいなあといつも思いながら見ておりますので、その辺りが一つ、コメントになります。
 もう一つは、ここで言うべきかどうかは非常に悩むんですけれども、先ほど皆さんもおっしゃっていただいているような、応用に関するところになります。AMEDさんにしても、感染症薬について、創薬あるいは実用化に結びつけようというところで、かなりいろんな動きをされていまして、企業のほうもいつも相談を受けまして、どうやったらこういうアイデアを企業は受け入れてくれるのというところは何度も何度も聞かれているところではあります。私、こういう異分野融合なんかを聞いていましても、非常に面白いアイデアが出てくるよなあと思うんですが、実際に企業がその時点でそれを受け取れるか、買い取れるかというと、なかなか難しいところがございまして、先生も御存じだと思いますけども、ビジネス面というところで言うと、感染症領域って非常に難しい領域で、なかなか簡単に利益に結びつかないところがありますので、リスクを取った形で踏み込んでいけない。会社としてなかなかゴーサインが出ないものですから、現場が面白いと思っても、なかなか前に進めないというのは多々あります。その辺で、何をどう解決すればいいのかなというところも皆さん悩んでおられるのと同じで、ベンチャー、アカデミアベンチャーの立ち上げというのは海外でも盛んに行われていますが、日本はまだ、そういう文化がないのか、そういう環境にないのかというところは悩むところなんですけども、そういうところがうまく進んでいかないというところもありますし、いろんな形でそういう事業を起こそうとすると、どうしてもたくさんの資金が必要になってきますが、ファンディングのシステムというところが日本は弱いなと思うところもございます。その辺り、全体的なところがうまく改善されていかないとせっかくの技術もなかなか実用化に行かないなあというところで、日々悩んで、いい答えはないんですけれども、せっかくの場ですので、コメントだけさせていただきました。ありがとうございます。
【小柳委員】  私が最近感じていることは、いろんな会議に出させていただいて、企業の方々からはまさにそういう御意見をいただいて、私は今、学部生の留学生を育てるというのが主な仕事なんですけど、海外から来ている、夢を持って来ている学部生ですから、会社をつくるとかって非常に簡単に言うので、それは難しいだろうと思いながら、でも、ああいう冒険的なことを言ってくれる子がいるというのは、はっきり言えば、非常に楽しいです。最近、そういう子たちに言っているのは、じゃあ仮想空間につくればいいじゃないと。というのは、こういうことができればこういうことができる、こういうことができればこのフェーズを乗り越えられるということを言うと、やはり人間って喜ぶ人間ですから、将来設計ができないというふうに否定されると人間はがっかりしますから、仮想でやっちゃえばいいじゃないというふうに学生さんたちには言っています。年寄りの勝手な意見ですけど、がっかりせずに、せめて仮想でこういうことができれば、この段階を乗り越えれば、うまくいくと。そういうふうなシミュレーションをやるというような研究は、これから出てくると思います。それが本当かどうかという意味で、我々の世代は上の先生から、そんなことはできるはずがないと怒られたんですけど、仮想ではできますというふうに言っちゃえばいいんじゃないかなと思って、学生さんたちには言っています。日本の場合、昔は怖い先生から怒られたんですけど、でも、アメリカに行くと、いいねと言ってくれる世界でしたから、イノベーションというのは反発する中で出てくると思いますから、そういう意味では、若い人を元気づけるということも、エデュケーションとしてはいいんじゃないかというふうに思います。
 以上です。
【山野委員】  私、個人的にはすごく賛成で、企業にいますけども、企業の理屈に従っちゃうと何もできなくなっちゃいますので、リスクのあることをやってこそイノベーションだと思っていますから、それがうまいことできるような環境というのがつくれればいいなと。だから、AMEDさんも、企業への導出というのをあんまりゴールにせずに、何か別の形のアウトプットというのをうまく考えるのは必要だなあと思いますので、ぜひ……。
【小柳委員】  実はHIVの研究者と企業の研究者とのつながりはいまだにあるんですけど、その中で勉強させていただいたのは、リード化合物があって、これをどう変えればいいということは、企業はちゃんとファーマコフォアとして人材を育てておられますよね。あれはすごいなと思いました。キレート剤だったんですけど、ここと結合してここの結合を強めればいいというふうなファーマコフォアを日本の企業は育てておられますが、残念ながらアカデミアにはそういう人材がないという日本の現状を憂えています。だから、そういう意味で、うちの薬学部にもいたことがあるので、薬学部の中に企業さんが育ててきた人材はどうやって成功したかということをちゃんと事例として残してほしいなと思いながら見ておりました。
 以上です。
【山野委員】  私も企業の強みはそこだと思っていますので、どういう形でアカデミアと企業がうまく融合できるのかは、ぜひ、またいろいろとお話しさせてください。お願いいたします。
【大曲主査】  委員の先生方、いかがでしょうか。
 よろしいですかね。
 せっかくなので僕も、大して分かってないかもしれませんが、最近考えることがあったので共有させていただきますと、出口の話が一つあって、すごく興味深く伺っておりました。
 最近、内閣府の感染症協議会の提言がまとまって、いわゆるMCMの戦略ができた中で、どうやってそれを成果につなげられるかという話になっていると思うんですね。一つの方向は、TPPとかって言いますけど、ターゲット・プロダクト・プロファイルを定めて、そっちの方向に研究を進めていくという方法なんだと思うんです。でも、そんな単純じゃないんだなって、今日、話を伺っていて思いました。それも多分、最初の基礎研究の過程から、最後の出口、フェーズIII、もっと後のところかもしれませんが、そこまで見渡した上で、プロセスを適切な工程に分けていって、その工程ごとにゴールを決めて、そこを専門とする先生方にそのゴールを目指して研究をしていただく。それをうまいこと、次に、次に、次にとつなげていくということをしないといけないのかなあと思って聞いていました。そうしないと、皆さんが何となくゴールだけ目指さなきゃいけないみたいな、もやもやとした感じが残ってしまうのではなかろうかと思って聞いていました。
 そうすると、川上先生がおっしゃったところはすごいなあと思ったんですけど、管理をする、全体を見渡すということがすごく大事だと思いまして、僕自身はどうやったらそれができるか、なかなかモデルを自分で見いだせなくてもやもやしていたんですが、既にやっていらっしゃるんだということを聞いて、ちょっと勉強してみたいと思いました。
 ちょっと前後しますが、そうやってプロセスごとにゴールを決めて研究をやるという話ですけども、そういうのを次のJ-GRIDの中に組み込んでいく。要は、みんながみんな最終ゴールだけやっているわけじゃなくて、途中までのところを目指してやるというのも当然ありだと。いろんな方がいらっしゃるというのもありではないかなと思って伺っておりました。
 あとは、これも別の場で問題になったんですけど、でも、既に小柳委員が御指摘になったように、つなげていくには情報の共有が必要なわけですが、なかなか場がないし、教えてもらえないしというのがすごく困っていて、そういう意味で、今日、既に始められている取組というのは非常にすごいと思って聞いておりました。やっぱり悩みは、日本だと論文になるまではなかなか話を聞かせてもらえないということがすごく多くて残念だなあと思っていますし、逆に言うと、そこで情報が共有されても、安心して共有されるようなとか、あるいは共有すること自体を評価するとか、そういう場をつくって意識的にやっていくということが大事なのかなあなんて思っていましたし、既に小柳先生が始めていらっしゃいますけども、J-GRIDの中でそういう場をもっと活性化させるというのがいいのではないかなと思って伺っておりました。
 あとは、山野さんがおっしゃったところはすごく共感するところで、そうすると、プッシュ・プルはありますけども、インセンティブの話になるのかなと思いました。でも、アカデミアも、あるいはスタートアップの方々も入って事が進められるような、プロセスごとに適切なインセンティブをつけていくということも、ここの場とは話がずれますけども、すごく大事かなと思って伺っておりました。
 すごく勉強になりました。ありがとうございます。
 そのほか、よろしいでしょうか。
 よろしいですかね。
 それでは、小柳委員、ありがとうございます。
 私がタイムマネジメントを全くできてなかったせいで総合討論の時間が10分弱しかないのですけども、先生方、全体を含めまして御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
 川上委員、お願いします。
【川上委員】  先ほどのNSFの3層構造について、CRDSというJSTの機関が分析したレポートがありますので、それをチャット欄に張っておきました。
【大曲主査】  先生、ありがとうございます。
【川上委員】  そちらのほうを見ていただければ、どういうふうな感じでNSFがプロジェクト管理しているのかというのが分かるかと思います。
【大曲主査】  ありがとうございます。共有させていただきます。僕も勉強します。ありがとうございます。
 先生方、いかがでしょうか。
 舘田委員、お願いします。
【舘田委員】  杉浦先生に教えていただきたいんですが、僕、途中からになっちゃいましたけど、先生が最後のところでおっしゃっていたように、次のパンデミックに備えて創薬に関わるいろんな情報がこれまで蓄積されてきたから、次のパンデミックのときはよい形で創薬につながるんじゃないかというお話を聞かせていただいたんですが、例えば、一時、エボラの流行があって、すごく大きく問題として取り上げられたときに日本の創薬ってどうなっていたのかなと、僕は思っているんですね。例えば、海外の話ですと、レムデシビルなんかはエボラの治療薬として開発されていたものが、コロナで効くという形で非常に迅速に臨床応用されていたというのを聞いたときに、すごいなというふうに思ったし、日本は果たして、それはどうなっているのかなって。20年間、海外拠点でやっているわけですから、いろんなノウハウというか、そこで蓄積があるはずですよね。そういう中で、BSL4だけの問題じゃなくて、いろんな問題があるんじゃないかなと思うんですけれど、先生、エボラの治療薬に関して、日本というのはどこまで来たんですか。
【杉浦PS】  すみません。私、情報を持ち合わせていないんですけど、ただ、はっきり言えることは、今回、コロナのパンデミックで皆さんの関心が感染症のほうに向かっていますが、それ以前は、研究費も含めて、もちろん海外拠点の活動はありましたけれども、そこまで皆さん、投資はしてきてないんじゃないかなと思います。
 一方で、先ほど小柳先生がおっしゃったHIVは、実は日本のお家芸でして、これに関しては企業が相当な力を入れて開発をしているんですね。どうしてかというと、開発したときに得られる利益というんでしょうか、全然、桁違いなわけですよ。例えば、エボラの場合ですと、恐らく、薬が開発されたとしても、一生飲むということはないですよね。多分、1週間とか、10日とか、1か月とか、そういう期間しか服用しないじゃないですか。それに対して、HIVとか、あるいはB型肝炎もそうかもしれませんけど、慢性感染症というものは、一遍飲み始めると生涯ずっと飲み続けるという意味で、マーケット的な大きさが全然違うんだと思うんですね。そういうものに対しては企業も含めて関心を持っていたんですけれども、そもそもエボラは日本にどれだけリスクがあるかということも含めて、なかなか関心は持ちにくかったのかなと思います。ただ、大学レベルでは、例えばポリメラーゼを含めて様々な研究は多分取り組んではいたんだろうと思いますけども、レムデシビルのように、化合物というところまでは皆さんやっていなかったのではないのかなという気はいたします。そういう意味では、富山化学のファビピラビルは、もともとはインフルエンザに対して作られたものでありますけど、一応、RNAポリメラーゼを狙っているということで、実はエボラのほうにも目を向けていたのかもしれませんが、すみません、私も情報があまりないものですから中途半端な回答になりますけど、以上になります。
【舘田委員】  ありがとうございます。先生の今のお話を聞いて、やっていてできないかったんじゃなくて、やっていなかったんじゃないかということを聞くと何となく安心しますけども、そういう意味では、次のパンデミックに備えては少しずつ準備が整っているというふうに理解しました。ありがとうございます。
【渡辺委員】  今のエボラに関してですが、もともと、エボラとか、そういったものだと研究者の数自体が限られてしまうのですけど、とはいえ、北大であるとか、そういったところではやっておられた先生がいて、ちょっと北大の先生に伺ったところでは、抗体医薬でいいものができていたのですが、企業のほうがエボラだと乗ってきてくれなかったというので、そこで止まっている。
 あと、河岡先生のところでもエボラワクチンの研究をしていて、いいものはできたんだけども、研究費がつかないので止めざるを得なかったということをお聞きしています。ただ、2014年に西アフリカで大規模なアウトブレークが起こったときに、そこから止まっていた研究がまた進み始めたというので、エボラなんかは、2014年からのアウトブレークで、現地でのワクチンの臨床試験とか、そういったものがすごく進んで、薬もそうですけど、承認されたワクチンというのも出てきたというのがあります。
【杉浦PS】  ありがとうございます。勉強になりました。
【大曲主査】  ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。
 鈴木委員、お願いします。
【鈴木委員】  鈴木です。ここまでの議論を伺っていて、海外研究拠点という観点からすると、前回も含めて、ワクチンや治療薬の研究開発、研究開発といっても、様々なフェーズですよね。基礎研究から臨床応用のところまで含めてのフェーズが期待されていたり、あるいは、インテリジェンス機能とか、若手人材の育成とか、非常に多くの役割が期待されているんだなというふうに感じているところです。ポストコロナの時代において、感染症研究自体がナショナルセキュリティという観点で非常に重要視されている中では、この流れはある意味避けられないのかなというふうに思います。ただ、海外研究拠点自体の個々のキャパシティーというのは、こんなにたくさんの機能を担うのは現実的に厳しいであろうと思われます。なので、こういった本当に複雑化しているフェーズも、非常に細かく分かれている研究を担っていかなきゃいけない。さらには人材育成とかモニタリングまで求められるのであれば、現状の海外研究拠点の、特に、ロジとか、調整とか、そこの部分をより強化していかなくては、ここまで議論されているような機能を担っていく、期待していくのは難しいんじゃないかなと、そういうふうに思いながら議論を聞いておりました。
 以上です。
【大曲主査】  鈴木委員、ありがとうございます。極めてごもっともだと思います。
 先生方、いかがでしょうか。
 小柳委員、お願いします。
【小柳委員】  鈴木先生の前回からの議論については、私は非常に納得する点があります。海外拠点そのものの使命、あるいは全体の流れを考えますと、例えば、今、それぞれの11拠点は同じ要求基準で設立されていると思うんですが、その要求基準を、この拠点、この拠点で、ある程度階層化していかないといけないかなというふうに考えてもみました。それは、ローカルなものとして、東南アジア、あるいはアフリカにとか、そういう考え方もあるかというふうに思います。全てはカバーできないので、我々はヨーロッパの国とは地域のつながりが全然違いますから、人と人との人材でこの拠点が動き始めたので、それをどういうふうに持っていくかということは、やはり考え直さなきゃいけない時期かなと思います。前回のお話にありましたように、20年を経て、拠点がそれぞれ独立にしていたものをどううまく運営するか、それぞれの機能をセパレートして考え直すべきかというふうに思います。
 以上です。
【大曲主査】  ありがとうございます。
 委員の先生方、よろしいでしょうか。
 今日も、本当に活発な御議論、ありがとうございました。大変、議論が深まったと思います。本当にありがとうございます。引き続き議論はございますが、ぜひぜひ、先生方、お付き合いいただきたいなと思います。
 それでは、本日の議事は終了したいと思います。事務局のほうにお返しいたします。よろしくお願いします。
【森田専門官】  事務局でございます。
 後ほど事務局よりメールを送らせていただきますが、追加の御意見がある場合は、3月18日、水曜日中に、事務局宛てに御返信ください。
 次回の作業部会は、3月17日、火曜日の14時から16時を予定しています。委員の皆様におかれましては、御予定の確保に御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 また、前回同様、本日の議事録は、委員の皆様に御確認いただいた上で、本日の資料と併せて、後日、文部科学省のホームページにおいて公開させていただきます。よろしくお願いいたします。
 本日は、これにて以上となります。ありがとうございました。
  ―― 了 ――

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