令和8年2月17日(火曜日)15時00分~17時00分
文部科学省17階研究振興局会議室(+オンライン形式でも開催)
大曲主査、川上委員、小柳委員、鹿野主査代理、鈴木委員、舘田委員、多屋委員、山野委員、渡辺委員
齋藤 智也(国立健康危機管理研究機構感染症危機管理研究センター長)
佐藤戦略官、秋野企画官、南専門官、森田専門官
【大曲主査】 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、ライフサイエンス委員会、第2回感染症研究の推進に関する作業部会を開催いたします。
構成員の皆様方におかれましては、御多忙にもかかわらず、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日の作業部会の議事でありますが、ライフサイエンス委員会運営規則第4条に基づいて公開となっておりますので、よろしくお願いいたします。
まずは、議事に入る前に、事務局より、本日の出席委員、資料について、御説明をお願いいたします。
【森田専門官】 本日、事務局を務めさせていただきます、森田でございます。
まず初めに、本日の御出席の委員について、御報告いたします。オンラインで御参加の先生方もいらっしゃいますので、通信状況の確認も踏まえ、お名前を申し上げますので、一言、お返事をいただければと思います。
大曲主査。
【大曲主査】 大曲です。よろしくお願いします。
【森田専門官】 小柳委員。
【小柳委員】 小柳です。よろしくお願いいたします。
【森田専門官】 鹿野委員。
【鹿野主査代理】 鹿野です。よろしくお願いいたします。
【森田専門官】 舘田委員。
【舘田委員】 舘田です。よろしくお願いします。
【森田専門官】 渡辺委員。
【渡辺委員】 渡辺です。よろしくお願いします。
【森田専門官】 よろしくお願いします。
そして、現地にて御参加いただいております、鈴木委員。
【鈴木委員】 鈴木です。よろしくお願いします。
【森田専門官】 以上、6名の委員に御出席いただいております。なお、多屋委員、川上委員、山野委員におかれましては、遅参されての御出席と伺っております。
今山野委員が入られました。事務局です。お声、聞こえておりますでしょうか。
【山野委員】 聞こえております。
【森田専門官】 よろしくお願いいたします。
現時点で作業部会の委員7名が御出席となりますので、科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会ライフサイエンス委員会運営規則第3条に基づき、会議は成立いたしますことを御報告申し上げます。
また、本日は、参考人として、国立健康危機管理研究機構危機管理・運営局感染症危機管理部長、齋藤智也先生に御出席をいただいております。
続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。資料1から3、参考資料1を御用意しております。資料の不足等ございましたら、事務局までお知らせください。
特に問題ないようでしたので、事務局からの御説明は以上となります。
大曲主査、お願いします。
【大曲主査】 御説明、ありがとうございました。
それでは、早速、議事に入りたいと思います。議題(1)でありますが、第1回感染症研究作業部会の振り返りの説明、こちらを事務局からお願いいたします。
【秋野企画官】 事務局の企画官、秋野でございます。第1回の本作業部会における皆様の御意見につきまして、資料1でまとめてございます。お手元の資料1をおめくりください。
第1回作業部会では、「新興・再興感染症研究基盤創生事業」に関するヒアリングを通じて、これまでの本事業の取組に対する御評価並びに今後の課題等について、多岐にわたる御意見を頂戴いたしました。
2ページ目を御覧ください。第1回作業部会では、委員の方々よりたくさんの御意見をいただき、ありがとうございました。皆様の御意見を幾つかの項目でまとめさせていただきましたので、御説明させていただきます。
まずは、文部科学省で行う感染症研究支援の必要性についてでございます。第4期の振り返りといたしまして、海外研究拠点では、多くの研究成果を上げ、多くの研究者を巻き込んで、連携しながら発展していること。海外研究拠点がしっかり根づき、その後に始まった拠点活用研究や若手の活用、人材育成により、事業が一層発展した等、高い評価・コメントをいただきました。
また、事業の有用性・重要性としまして、このプログラムは日本にとって非常に重要で大事な基盤であり、財産であること。そこにおいて、インテリジェンスと応用や臨床を含めた研究開発をしっかりやっていくという方向性の重要性。また、新興・再興感染症研究領域は事業性が低く、企業が参入しづらい分野であり、この分野でアカデミア主導での基盤・基礎研究の重要性について、御意見がございました。また、アカデミアに対する継続的な支援の必要性や、感染症分野においても海外研究拠点の活動が知られておらず、情報発信の強化についての御指摘がございました。加えまして、未知の病原体についての研究を奥地の病原体のある村に実際に入って行うことなど、非常に重要な活動であるという御指摘をいただいております。
おめくりいただきまして、3ページ目を御覧ください。海外研究拠点の役割と対象地域につきましては、多くの拠点で、現地の日本人関係者とのネットワーク構築や、現地政府、規制当局等との連携を取ることで構築された信頼関係の重要性についての御指摘や、こういった活動を評価することについて議論すべきという御意見いただきました。また、二つ目の矢羽根でございますけれども、ザンビア拠点を中心としたアフリカ拠点コンソーシアムの取組による拠点間連携の活発化、そして、今後は拠点間の連携も進めながら、他事業との連携についても重要であると、御指摘をいただきました。そして、下のほうですけれども、海外研究拠点での拠点内外の医学部生の実習受入れの取組についても御意見をいただいております。
次のページ、4ページ目でございます。感染症研究人材の育成につきまして、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの際には、厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策本部のクラスター対策班に海外研究拠点で研さんされた人材が加わっていたこと。そして、グローバルな視点と現地のフィールドの視点の双方を兼ね備えた人材が海外研究拠点で育っており、この事業が我が国の感染症有事対応に役立つものであることをアピールしていくべきという御意見もいただいております。また、基礎、臨床、疫学の3分野が共に活動することで、さらなる研究の発展が期待されるため、次期事業での臨床の人材の参入についての必要性や、危機管理人材の育成において、海外研究拠点の活用、拠点活用研究の成果を他分野や若手人材へアピールしていく必要性についても、御指摘をいただいております。
おめくりいただきまして、5ページ目でございます。若手研究者の育成につきましては、環境が重要であり、拠点があるところでは博士課程の頃から拠点で研究することで外向き志向の人材になり得るという御意見をいただきました。その一方で、若手研究者にとっては、研究費の問題があり、拠点活用研究の公募の門が狭く、なかなか採用されない。海外拠点活用の公募の門戸の拡大が若手研究者のよいサイクルになるのではないかといった御指摘もいただいております。
資料、6ページ目を御覧ください。多分野の研究者の育成についてでございます。AI・データサイエンス人材が感染症研究にあまり入ってきておらず、次期事業でのこうした人材を呼び込む仕掛けの必要性や、研究者の持つ様々なデータがデータサイエンティストの力を借りることですばらしい成果につながるといった御意見をいただいております。
そして、基礎研究と臨床医の育成については、臨床医にとって本事業に参加する入り口が見えにくい一方で、一旦参加してみると基礎研究との連携で成果につながっていることや、感染症危機管理の視点から、臨床から基礎医学を目指す人材の重要性についても御意見をいただきました。
7ページ目でございます。海外研究拠点の継続性についてでございます。事業開始から20年が経過し、拠点を立ち上げた世代の研究者から次世代への移行期を迎えている中で、この事業は、拠点構築に関わった研究者が培った人的交流の引継ぎが重要な課題であるという御指摘を複数いただきました。
それから、モニタリング体制の強化につきましては、こちらは本日のヒアリングでも御議論いただきますが、第4期から設置されたネットワークコア拠点において、感染症インテリジェンスについて各拠点からの自発的な報告の体制が整備されつつあることを踏まえ、今後はデータ要求の主体を明確化していくことや、国内の病原体データベースやバイオバンクの整理をネットワークコア拠点が行うことも重要であるという御意見をいただきました。
第1回でいただきました主な御意見をこのようにまとめさせていただきました。
事務局からは、以上でございます。
【大曲主査】 御説明いただきまして、ありがとうございます。
今の御説明に関してですが、先生方から、御意見、御質問がありましたら、ぜひよろしくお願いいたします。
よろしいですかね。あれば、後からでも、よろしくお願いいたします。
続きまして、議題(2)のモニタリング体制の強化についてのヒアリングでございます。こちらは、国立健康危機管理研究機構危機管理・運営局感染症危機管理部長の齋藤先生から、お話を伺いたいと思います。
それでは、齊藤先生、よろしくお願いいたします。
【齋藤部長】 では、「感染症モニタリングの強化に向けて」ということで、お話をさせていただきます。国立健康危機管理研究機構、齋藤です。
私どもは、J-GRID+の中でネットワークコア拠点という活動を行っております。ネットワークコア拠点というのは、日本の感染症インテリジェンス強化につながる現地情報を海外研究拠点から可能な範囲で共有いただき、その情報を適切に活用するモニタリング体制の拡充とともに、海外研究拠点が必要とする支援や拠点間の連携促進をサポートする研究基盤の強化という、二つの役割がございます。本日お話させていただくのは、一つ目のモニタリング体制の拡充という部分の取組になります。
J-GRID+における取組と課題ということでお話しさせていただく前に、国立健康危機管理研究機構(JIHS)の感染症インテリジェンスというところからお話をさせていただき、その中でこのJ-GRID+での取組がどのような位置づけにあるかということをお話しさせていただきます。
昨年4月に設置されたJIHSですけれども、大きく4本柱、四つの機能というのがございます。その中の一つ目が、情報収集・分析・リスク評価機(Disease Intelligence)でございます。サーベイランスや情報収集・分析の実績、国内外の関係機関との協働・連携により、感染症インテリジェンスにおけるハブとしての役割を担います。科学的知見を政府に迅速に提供するとともに、国民に分かりやすい情報提供を行っていくという機能を果たす、そういうミッションを持っております。そのほか、研究・開発、臨床、人材育成・国際協力機能というのもございますが、今回はこの一つ目の話になります。
この感染症インテリジェンスというものですが、情報とインテリジェンスというのは異なりまして、単に情報ではなく、政策課題に対する情報を決定するに当たって、解決するに当たって情報要求というものがあり、それに応える情報と、そして、意思決定につながる情報というのが、インテリジェンスになります。以前は、特にコロナの前は、感染症の発生情報であったり、感染症・病原体に関する情報、こういったものを集めるというのが国立感染症研究所の主な仕事であったわけですけれども、コロナ後に、そしてまた、JIHSとなったことで、この感染症インテリジェンスというのが政策課題に対する情報要求により直結するために、社会的インパクトを含む評価のための情報として、医療・公衆衛生の状況、社会インフラ、政治・経済等の社会情勢であったり、あるいは、MCM、医薬品、ワクチンの研究開発に関する情報というのも求められるようになってきており、この情報の幅も非常に広くなっておりますし、情報の幅も広くなれば、それを統合して情報要求に合わせて科学を翻訳し、そして、コミュニケーションするというところがより重要になってきているところです。
このようなインテリジェンスを実現するためには、様々な情報、広範で深い情報を集めて集約を進め、そして、JIHSの専門家の専門的知見を最大限に活用して評価・分析し、タイムリーに提供する、こういう組織体制というのが必要になってまいります。いかに様々な多方面からの情報を集約していくか。ただ、これは、ある一定のよいインテリジェンスを提供していなければ情報というのも集まってまいりませんので、鶏と卵のような関係ではありますが、よりよいインテリジェンスを出し、そして、よりよい情報が集まってくるようなサイクルをつくれるよう、取り組んでいるところになります。
このJIHSに集まってくる情報というのは、今まで感染研として、サーベイランスをきちんとして、地方自治体の感染症情報センターや地衛研等々から入ってくる情報があったり、地方自治体や病院等からの問合せがあったり、海外専門機関・専門家ネットワーク、学会・際会議・論文等の情報、研究活動等々、こういった主に専門家同士のネットワークというところから入ってくる情報、そして、今回、NCGMと一緒になったことで、臨床サイドからの学会・国際会議・論文といった情報、感染症対策支援サービスに入ってくる情報、指定医療機関のネットワークの情報、GOARN派遣や海外派遣等からの情報、こういったものも集約されてくる形になっております。そのほかにも、Webとか、SNS、メディアといったところから入ってくる情報源というのもいろいろと集めているところですが、いわゆる専門家ネットワーク等からの情報というような情報源の一つがAMEDのネットワークコア拠点、J-GRID+の位置づけになるかと思います。
感染症インテリジェンス中で特に重要な活動の一つが、異常なことが起きていることを早期に検知する、できるだけ早く見つけるということが大事になってきております。そのための活動をイベントベースドサーベイランス(EBS)と呼んでおります。これは、様々な情報源、感染症法に基づく発生動向調査とか、疑似症サーベイランスとか、病原体サーベイランスといった、既存のサーベイランスシステム以外にも、先ほど申し上げたような、メディア情報、WebやSNSの情報といったものも含め、あるいは、WHO等の専門機関や専門家ネットワーク等からの情報、こういったものを全て網羅的にスクリーニングして、その中から何か怪しいというものをシグナルという形で見つけ出し、そして、情報源や、その情報の確からしさなどを評価して、いわゆる対象、評価すべきイベントとして取り上げ、そして、評価を行い、適切な対応に結びつける、こういう活動を日々行っているところです。
Open Source INTelligence、略してオシントと言っておりますが、いわゆる公開されている、特に、ネット等、メディア等で公開されている情報を網羅的に集めるという取組は、まさに世界各国で進んできております。左側にある、ProMED、CIDRAP、HealthMap、Outbreak News、FluTrackers.comといった、キュレイテッドインフォメーションという言い方をしますが、何かしら専門家が手を入れて整理をしているような情報源がいろいろとございます。そのほかに、ウェブやSNS等から情報を集めて、AI等を活用してある程度スクリーニングをして、アラートとなるようなものを見つけ出すような、情報収集ツールというのが多数できてきております。GPHINというカナダ政府が始めたものがこの業界では一番老舗になりますが、WHOが世界各国で使えるようなEIOSというシステムをつくり、民間の会社で、Bluedot、Epiwatchといった会社、それから、最近ではボストン大学のBeaconといったサイトもございます。さらに、データベース化した情報を販売しているような会社もございます。また、SNSのスクリーニングツールというのも大分発展してきておりますし、コロナの間にはオピニオンリーダー的な専門家による投稿というのもしばしば有用でございました。このようなツールを使いながら、オープンの、ネット上にあるような公開されている情報の収集・選別というのは飛躍的に進歩をしております。本当に大量の情報を容易に利用できるようになっています。
この先、シグナルとして見つけたものをリスク評価するわけですが、このリスク評価のときに大きく三つの軸があります。ハザードという、病原体とか、疾病そのものの評価。エクスポージャーアセスメント、どのような人が曝露して感染をしているか、どのような人がリスクグループになるかといった情報。そして、コンテクストアセスメントと言って、感染症がもたらすインパクト、それから、周辺情報といいますか、医療へのアクセスはどうなのかとか、あるいは、対策のための資源が手に入るのかとか、サーベイランスが行われているのかといった、背景を評価するという、大きな三つの軸があります。こういった情報を総合的に見ながらリスクの評価を行って対応すべきものをより分けるということをやっているわけですけれども、先ほど、オープンソースの情報というのは非常にたやすく選別できるようになってきたということを申し上げましたが、かなり大量にある、1日に万とか10万とかというものを数百とかいうところまで絞るようなことはできるようになったんですけれども、最終的にはどうしても人の目での確認というのが必要になってまいります。もちろん、AIでそういったものを選別する方法というのも日々進歩しているところなんですが、やはり、事実関係を確認するとか、ウエットな情報から、ドライといいますか、データとして出てくる情報、あるいは、社会情勢等の情報を統合して解釈するところや、研究とか調査の報告で出てきたものの限界を解釈するといったところ、こういったアナログな評価の部分というのが必ず出てきて、アナリストというのが非常に重要になってきます。
それから、ネットで集められない・集まらない情報も多数あり、その周辺情報、その情報源の確認といったところでは、人と人とのつながり、Human Intelligence、略してヒューミントと呼ばれる、こういったところの要素というのも非常に重要になってきます。そのため、二国間のネットワーク、多国間の国同士のネットワークであったり、感染症専門家同士のネットワークであったり、あるいは、社会情勢とか現地情勢といったところでは、海外駐在者、留学生といった方であったり、国から派遣した現地チーム、やっぱり現地に行ってみないと分からないということがたくさんありますので、こういったものも活用しながら評価をしていくということが重要になってまいります。
海外研究拠点の意義というところを、こういったインテリジェンスを担当している者からの観点で申し上げますと、先ほども申し上げましたが、オシント(Open Source INTelligence)は非常に発達しているけれども、ヒューミント、人から得られる情報というところから、組合せというのが非常に重要になっています。オシントのほうはAIの活用等でまさに日進月歩というところですが、ヒューミントという部分、このネットワークの中で評価の内容をより深くするといった部分については一日にして成らず、そういったネットワークに入る専門家の養成であったり、そういったところでネットワークの一員として認められるようなところというのは、すぐにはできない部分になります。こういった人から得られる情報源というのは、公開情報で得られない情報をまず集めるというところで役に立ちます。公開情報ではあるけれど、例えば、現地で紙でしか配られない日報というのがあったり、あるいは、メールとかで回っているけれども、ごく一部の関係者にしか回らない情報があったり、あと、現地での受け止めというのが、リスク認識、政府や社会の反応、この辺りはなかなか、X(SNS)とかで流れてくるような情報だけでは理解できない、政府の公式発表とか、そういったものだけでは伝わらないところもありますし、メディアで書かれているだけでは、大げさな表現もあったりするわけです。そういったところを確かめる上でも、現地にいらっしゃる方の感覚というのが重要になっています。また、現地で何年にもわたってある疾病の研究をされている方々には、その方々が長年見てきた中で得られる深い分析・洞察というものがあります。こういったものは、現地で長期に研究しているからこそ、あるいは、現地に住んで、現地の方と話しているからこそ分かる感覚というものがあり、こういったものが、評価、リスクアセスメントをする中では非常に重要になってまいります。
そして、専門家としてインナーサークルに入っているということ、これも非常に重要な要素です。それは、グローバルネットワークでもそうだし、ある地域・国とかにおけるローカルなインナーサークルというのもありますし、あるいは専門家のネットワークというのもありますが、こういったところでしか手に入らない情報であったり、洞察・分析というものがやはりございます。そして、そういったところの情報はえてして早いものなので、ここにいかに入るかというところが重要で、そういった意味で、海外研究拠点で研究実績を積まれて、その地域での一員になっている方というのは、こういったインナーサークルに入るために非常に重要な場所になっているのではないかなというふうに思います。
グローバルなインテリジェンスという観点で言うと、コロナ後、こういったものをグローバルに共有していくというのは非常に重要という意識ができてきています。ただ、それぞれの国が世界各国を全部見渡せているわけでは当然ないので、その中で情報交換をしながらネットワークをつくってやっているわけですが、そのような情報交換のネットワークに入るには、この国のことはよく知っている、この国については分析能力が非常に高いといった、何かしら関係性の深い地域・国というものがあるということが非常に大きなアドバンテージになってきます。そういったところがインテリジェンスという点でのJ-GRID+の重要性。専門家を育成するネットワークに、インナーサークルに入っていき、より現地の深い分析・洞察を得られる。そして、そういう専門家を育てていく。そういった意義があるのではないかというふうに考えております。
コロナ禍でどのような取組をネットワークコア拠点というようなことでやってきたかというところを御紹介したいと思います。こちらは、モニタリング体制の拡充に関して、公募時の内容ですが、海外研究拠点からの自発的報告の体制整備、政府の感染症発生情報に係る照会対応等の体制整備、その他窓口業務というのが大枠示されていたところですけど、いわゆる感染症モニタリングという観点で、海外研究拠点でどういう期待があるかというところなんですが、新興感染症が何か発生したのではないかという一報を早く知りたい。感染者や研究者のネットワークの中でいち早く、何かおかしいものが見つかったらしいみたいな話はよく回ってくるかと思います。そういった研究者ネットワークへの期待というのが一つ。あと、そういう情報がメディアとかから得られるかもしれないわけですが、本当にその情報は正しいのかといったことを裏打ちするような情報を見つけていくときに、先ほど申し上げたように、そういったことを報じているメディアは正しい情報を流すメディアなのかとか、あるいは現地でそれはどのように受け止められているのかといったところを知りたいわけですけど、そういったところに現地にいる人たちの強みがある。そして、先ほどリスク評価の中でコンテクストアセスメントというのが重要ということを申し上げましたが、現地でサーベイランス・調査体制、保健・医療制度、関連法・政策、人口・地理、政治・社会情勢、こういったものに通じた方がいらっしゃると、リスク評価の中で重要な情報になる。やはり現地駐在者の方はこういうところの強みがあるので、そういったところと連携していけるといいのかなという期待をしていたところですが、何かあったら情報をくださいと言っても、なかなか情報が集まってくるわけではなくて、段階的な体制構築というのが必要だと考えました。ステップを大きく四つに分けていますが、そもそも、信頼醸成、信頼感がなければ、いろいろと情報等もお伝えできないというものがございます。ある程度信頼感ができたところで、ようやく、どんな情報が欲しいかとか、どういう情報が重要だと考えるかといったところの共通理解、どれぐらいの確度がある情報だったら伝えたらいいのかといった共通理解、こういったものができるようになってくるのかなと思います。そういったやり取りを続けていくと、その次の段階として、自発的にこういうものがあったら報告しようという動きにつながってくる。そこでやり取りをしているうちに、システマチックな情報の集め方とか、現地でのリスク評価の手法とかっていうものを普及できていると、より精度・確度が高い自発的な報告というのができるようになるのかなというふうに考えました。
まずは信頼醸成というところで何があったかというと、どういう情報が欲しいのかというところを知っていただかなければいけないということで、感染症発生情報の提供ということを始めました。まず、情報が欲しいと思っている人がどういうところを特に注目しているのか、そういう関心事項の共有ができればということで考えたのが、インテリジェンスレポートというものであります。これは各拠点国において感染症に関する情報を網羅的に集めて、国別に整理をして、そして、ニュースを選んで週に1回お送りするというものになっております。最初はエクセルに拠点ごとの今週ニュースというのをお送りしていたんですけども、より、目に留めていただけるように、中を見ていただけるように、サマリーをメールの本文中に添付するということをやってみたり、編集後記というのをやって、感染症とは全然関係ないことが書いてあるんですが、こういったことがメールに書いてあると情報を送ってくる側に親しみもわき、また、メールにも目が留まりやすくなる。このような工夫を少しずつしながら、目を留めてもらいつつ、関心事項を知っていただこうという取組を進めてきました。
そういうレポートを配信していく中で、そのレポートに対して、もし何か関連して知っていることなどありましたら教えてくださいというようなことをお願いしております。現地の実態はどうか、拠点で関連している取組があるか、どんな報道内容、こういうことを言っているけど、これはちょっと違うんじゃないかといったことがあれば御連絡いただきたいということで、呼びかけをしております。結構、レスポンスはいただいておりますが、例えば、大使館から現地の人に対してこんなメールが流れていたよとか、こういう調査に出ているようだとか、研究事業で近くのフィールドで活動していて、こんなデータも出ているとか、そういった関連情報をいただいております。逆に、インテリジェンスレポートを拠点での研究活動等に使用しているという話も聞いております。各拠点で専門としている感染症はあるけども、専門としている感染症以外のことは実はあまり見えていなかったりするというところもあり、その国全体で何が問題になっているのかを知るという意味では非常に重要だという声もあります。あるいは、その国から、なかなか感染症のサーベイランス情報が出てこない、ニュースもあまり出てこないけれども、周辺国の感染症発生情報が分かることで間接的に拠点の設置国での流行状況をうかがい知れるというような見方もございまして、そういう意味でも役に立っております。また、例えば国内でのインフルエンザ等の流行状況をニュースから知って、今はこちらの地域ではやっているので、こちらの地域のサンプリングをしてみようと、そういった取組もあるというようなことを伺っており、だんだんとネットワークコア拠点と各海外研究拠点の間でこういったコミュニケーションができるようになってきているところです。実際に、そういった中でそれぞれの海外拠点の先生がどういう事例に関わっているかということを把握できるようになってまいりましたので、厚労省で現地の状況に関心のある方と研究者の方を直接おつなぎして、オンラインミーティングにつながるというような事例もございます。
ということで、今後の方向性ですけど、インテリジェンスレポートは、それぞれの拠点のニーズというところを大分お伺いできるようになってきましたので、フルにカスタマイズするのはなかなか難しいですが、内容の調整というのは大分できて、より有用なものが提供できるようになるのではないかなというふうに思っております。あと、ネットワークコア拠点として、特に公衆衛生に深く関わっているJIHSとして、現地の研究拠点が、研究機関だけでなくて、現地の公衆衛生当局とか、日本から派遣している機関もそうですし、その他、海外の機関もそうですが、そういった公衆衛生系の関係機関との連携を支援するというようなこともできるのかなと思っております。やはり、こういう感染症モニタリングを行っていく上では、海外研究拠点がそれぞれの国でいろいろな関係者とつながっているということは一つ重要だと思っておりますので、そのようなお手伝いができるところはあるのかなと思っております。あと、疫学的視点の組み込みという点では、JIHSが拠点を見学させていただく際に疫学の研究者も同行して、疫学研究、あるいは疫学的視点の導入といったところもお伝えさせていただいているところです。ラボでウエットのスタディーをするところにフィールドからどういう形でサンプリングして検体を取っているかというところがしっかり加わってくると、現地のデータから得られる洞察というのはより深くなってくると思っております。あと一つ、取り組まなければいけないのは、こういった感染症モニタリングという仕事の業績化というところでありまして、こういった研究拠点と評価されているところにおいて、感染症モニタリングという公衆衛生的な実務寄りの取組をどのように評価していくかというところをしっかりつくっていくことで、こういった研究拠点の活動をより正しく評価できるようになってくるのかなというふうに思っております。
私からは以上です。ありがとうございました。
【大曲主査】 齋藤先生、ありがとうございます。
それでは、委員の先生方、齋藤先生に御質問ありましたら、ぜひ、挙手をよろしくお願いいたします。
【大曲主査】 舘田先生、お願いします。
【舘田委員】 齋藤先生、ありがとうございました。先生、ちょっと教えていただきたいのは、これは非常に大事なことだと感じたとともに、おそらく、海外は日本よりももっと、サーベイランスというか、パンデミックの検出に関して進んでいるんじゃないかなと思うわけですが、例えば、アドバイザリーボードなんかでも、新しい情報が出てくるのは、シンガポールとか、イスラエルとか、イギリスとか、そういったところからどんどん出てきていたということを覚えていますけれど、今の時点での海外での取組状況を理解した上で、さらにいいものを日本でどうやって作っていくのか。特に、この海外拠点をどうやって生かしていくのかというところもその視点が大事だと思うんですけど、この辺のところはいかがでしょうか。
【齋藤部長】 どうもありがとうございます。今、拠点を置いている国は、イギリスとか、シンガポールとか、南アフリカのように、いわゆるベッドサイドから集めた情報を迅速にパブリシュしていくという仕組みがあるところはまだ少ないようには思いますけれども、一方で、動物由来の感染症というところをしっかりと研究して、動物からのスピルオーバーを見ることができるような体制を作れてきているところはあるのかなというふうに思っています。そういったパンデミックの一歩前ぐらいの状態の監視という観点では、海外拠点のある国の取組というのは幾つか参考になるところがあるかというふうに考えております。
【舘田委員】 ありがとうございます。僕も、後の人材育成のところでも、海外での状況と、それをいかに参考にしていくのかが大事なのかなと、改めて思いました。
もう1点は、この事業、20年やっているということで、その間に、新型インフルエンザもあったし、SARSもMERSもあったわけじゃないですか。そのときにこの拠点がどういうふうに生かされたのか。もちろん、そのときはまだ体制ができていなかった。でも、何もできないということじゃないでしょうし、その中での反応なりで、よかったところ、足りなかったところなんかで、そういう経験としてあれば、教えていただけますか。
【齋藤部長】 ありがとうございます。私もJ-GRIDに直接関わったのはここ3年ぐらいで、過去20年の経緯をあまり存じ上げないので、MERSとか新型インフルにどれぐらい立ち向かえて関係していたのかというところは私から申し上げることはできないんですけど、拠点設置国が当事国になる場合とならない場合があると思うんですが、当事国にならなくても、当事国の周辺国はそれに対する対応というのをすぐに始めなければいけないところなので、必ず、その拠点というのは、何かしら、支援なり、研究をする拠点として重要になってくるところがあると思っております。今もいろいろ、エボラとか出るたびに、どうやってその地域を支援しようかと考えるところはありますが、当事国の中に入って支援するというのはなかなか難しいんですけど、周辺国のニーズというのは確実に酌み取ることはできますので、こういったネットワークがしっかりあって、直接に深く貢献できるところがあるということは非常に重要なことだと考えております。
【秋野企画官】 大曲先生、事務局でございます。一言よろしいでしょうか。
【大曲主査】 お願いします。
【秋野企画官】 第3回に杉浦先生のほうから、コロナ禍でのこの事業の対応と、ネットワークコア拠点ができる前の、SARS、MERSも含めた、この事業の展開というのを少し御説明いただきたいと思っておりますので、その点をどうぞ含みおきください。
【大曲主査】 分かりました。具体的に情報をいただける機会があるということですね。
【秋野企画官】 はい。よろしくお願いします。
【大曲主査】 ありがとうございます。
舘田先生、よろしいでしょうか。
【舘田委員】 ありがとうございました。
【大曲主査】 ありがとうございます。
では、小柳先生、よろしくお願いします。
【小柳委員】 小柳です。齋藤先生、ありがとうございます。二つ質問させていただきます。齋藤先生のお話にありましたインテリジェンスレポートは、私も読ませていただいて、よくまとまっていると思っておりました。国によって状況は違うと思いますが、現地に研究員がいるとしても、多くは基礎研究者、あるいは全員が研究者の方で、そういう方はいわゆる疫学研究の経験がない状況でやっておられると思います。それとともに、現地の研究員が現地の方だけという拠点でインテリジェンスレポートをまとめ上げるための情報収集は、実際にどうされておられるのでしょうか。それが一つ目の質問です。
【大曲主査】 齋藤先生、お願いします。
【齋藤部長】 ありがとうございます。現地におられる方はもともと基礎研究の方が多いというところは、歴史的にそういう形で評価をされて、そういったところを推進されてこられたので、なかなかすぐには難しかったかなというふうには思っております。ここは、少しずつ意識づけをしていくこと、あるいは疫学研究の視点を入れていくこと、そして、疫学スタディーをそこで立ち上げるという形にステップアップしていくものかなと思っているところです。まずは、先ほど申し上げたような、疫学研究者に現地を見てもらったり、そういうことで最初はスタートしたところなんですが、インテリジェンスレポートのほうは、全て英語の情報で収集をして、そこに日本語の訳をつけているという形になっているので、現地の拠点の方から現地の研究員の方に回していただければ内容は読めるようになっておりますので、そこは問題なく使っていただけているかなというふうに思います。
以上です。
【小柳委員】 ありがとうございます。二つ目は、先生が言われた人材育成のためのインナーサークルという言葉で、私ら基礎研究の人間にとってもインナーサークルということはよく分かります。ちょっと別の表現をつかいますとマフィアみたいなものですけど、研究者の間でも、電話でもすぐつながるような間柄ってあります。そういう形のインナーサイクルに入るための入り口というのは、具体的に疫学の場合はどういうことなんでしょうか。私の場合は、アメリカにいたので、学会のたびにいろんな偉い方に話すとか、そういうことで人脈をつくっていくというやり方なんです。お願いいたします。
【齋藤部長】 ありがとうございます。今、拠点におられる方も、まず基礎研究でそれぞれの拠点で実績を上げられて、学会等を通じて基礎研究の世界でのインナーサークルにだんだんと認知をされて入っておられているのかなと思いますし、例えば、拠点国であれば、現地の公衆衛生学会的なもの、あるいは感染症のサーベイランスの研究会的なもので発表することによって現地で認知されるというふうなことが行われているのではないかと想像します。疫学の世界も結局は一緒なんですが、学会以外にも、同じところにフィールドを持っているほかの研究機関とか海外ネットワークがございますので、そういったところでのインタラクションを通じて認知されていくというようなメカニズムもあるように思います。
【小柳委員】 英国MRC系とフランスのパスツール系とか、そういうふうな理解でよろしいですか。
【齋藤部長】 はい。そういったところもありますし、あるいは、そういったところから出てきた重要なデータをWHOのテクニカルアドバイザリーグループに呼ばれて発表したり、リージョナルミーティングというようなところに呼ばれて発表したりというところが出てくると、そこでだんだんとお声がかかるようになっていくのかなと思います。
【小柳委員】 ありがとうございます。2002年末のSARS-COV-1のときにも、その当時、Webがあまり整備されていない状況でもWHOがWebミーティングをやっていたと聞いております。ありがとうございます。
【大曲主査】 ありがとうございます。
それでは、川上先生、お願いします。
【川上委員】 ありがとうございました。インテリジェンスに関して、すごく戦略的に考えられていて、すばらしいと思いました。
一方で、インテリジェンスという言葉は結構強い言葉で、国によっては諜報活動のように取られかねないという話があるので、そこはちょっと気をつけたほうがいいんじゃないかという意見が、たしか杉浦先生から出たと思うんですね。その辺りをどういうふうに考えておられるのか。あと、現地の研究者にどこまでそういうことをやってもらうのか。場合によっては現地の研究者が逮捕されてしまうとか、そういうふうなリスクもあると思うので、その辺りのリスクマネジメントというか、リスク管理をどのように行っていくのかという方針を伺えればと思います。
【齋藤部長】 ありがとうございます。インテリジェンスという言葉は、外交・軍事のコンテクストと感染症のコンテクストで意味合いが大分違います。基本的に、感染症でインテリジェンスと言う場合には、もう少し平和な、情報共有がされることを前提で、それを深く分析するというところを重視しているわけですけども、なかなかそうは受け止められないというのが実態かと思っております。なので、できるだけモニタリングという言葉を使うことが大事だと思っておりますし、あと、日本にとっての情報を集めているというわけではなくて、あくまで研究拠点が現地の保健に貢献できるような、そういう下支えをしているというふうに見ていただけるのがいいかなと思います。また、本来、それを前面に押し出して、活動として認知していただく必要があるというふうに思っております。
【川上委員】 現地の研究者の安全面の確保であるとか、そういうところに関しては、どういうふうな方針でやっていくのがいいとお考えでしょうか。
【齋藤部長】 例えば、現地の会議に拠点が参加してオープンではないような情報を得たというようなことがあれば、必ず相手に、これは、こういうところで知りたい人がいるんだけど、共有してもいいかというふうに、しっかり了解を取りながら情報共有を進めていくというのが原則だと考えておりますし、我々も追加でいただいた情報などは、どの範囲まで共有していいかというのを必ず確認しながらやっているところです。そういった形で常に情報共有の範囲を確認しながら進めていくということが重要だと思っております。
【川上委員】 ありがとうございました。
【大曲主査】 それでは、鹿野先生、お願いします。
【鹿野主査代理】 どうも、御説明ありがとうございました。平時の感染症モニタリングについて、いろいろなソースから情報を収集されていく体制を構築されているということ、よく理解できました。
私からは、パンデミックのときの対応ですね。私はCOVID-19のときは職場を理科大に移しちゃっていたのでタッチしてないんですけども、2009年のH1N1のパンデミックのときは、各国の大使館から、各国の状況について、外電を通して各省庁の関係者に膨大な情報が日報のようにして回ってきていたんですね。そういうような情報がある中でJ-GRIDの各拠点の先生方にいろいろ無理をしていただいて情報収集するのも効率がよくなかったりとか、あと、パンデミック時は、状況が刻々変わっていって、半日ずれると状況が全然変わってしまう。私も経験があるんですけども、あやうく対応を誤る。入ってきた情報にタイムラグがあって新しい情報の上に古い情報が上書きされたりしたことがあって、かなりリスクの高い状況が発生したりとか、そういうことがあるかと思うんです。ですので、そういうパンデミック時の情報収集と感染症情報の在り方みたいなのは、これから構築される部分でもあるのかもしれないんですけども、そこで何か気を付けておられることがもしあれば、お聞きしたいというのが1点と、そういう状況になると、WHOを中心にいろいろなトピックでグループが立ち上がって、アドホックな情報交換の輪ができていくと思うんです。私はワクチン開発のほうで参加していたんですけど、そういうような動きの中で感染症のモニタリングのトピックのグループももちろん立ち上がったりしていたんですが、そういうところの連携の在り方とか、パンデミック時の担当、そういうものについて、何か御検討されている部分がありましたら、教えていただければと思います。
【齋藤部長】 ありがとうございます。パンデミック時のまさに情報の洪水のような状況は、さっきの話に出てきたクラスター対策班に私もおりまして、昨日の夜は正しかったことが今日の朝は正しくないというような、状況が日々刻々と変わるというのは、よく経験しております。今は、何か怪しい感染症が局地的に起きているというのを一つ一つ丁寧に確認していくという、非常に小さいスケールでは情報マネジメントは比較的うまくいき始めたかなと思っているんですが、いわゆるパンデミックのときのような情報の洪水状態でJ-GRIDちゃんとが情報をさばいて役に立つ情報を同じように拠点に提供できるかというと、まだまだ非常に難しいというふうに思っています。このときは情報のさばき方がかなり変わってくるので、少しずつ大量情報をさばけるようなスケールにやり方を変えていくというよりは、そういうプラットフォームを別に考えていかなければいけないというところには来ていますが、そこはもう少し時間が必要かなと思っております。
WHOのほうは、パンデミックの最中も、例えば、数理モデラーの会合とか、臨床の方の会合とか、最初はスモールスケールにやって、だんだんオープンな場で大きな会合になってというのが幾つも開催されるのを見てきておりましたが、まさにその前の、オープンになる段階から声をかけられて、その会議の場に入っていけるような人材をつくっていくことが非常に重要だと思っていますが、御質問は、その中でどの役割を果たしていくか?
【鹿野主査代理】 そうですね。多分、J-GRIDと直接関係はないのかもしれないですけど、パンデミックを想定した体制の構築、J-GRIDの拠点との関係も含めて整理をしていただければなというふうに思っています。
以上です。
【齋藤部長】 ありがとうございます。
【大曲主査】 ありがとうございます。
では、渡辺先生、お願いします。
【渡辺委員】 齋藤先生、御説明、どうもありがとうございました。モニタリング体制の構築に向けたステップというので、Step1からStep4まで示されていたと思うんですが、多分、Step4で自発的なモニタリングとか報告体制が構築できたらという、それが一番理想的なというところだったと思うんですけど、Step4まで行くまでに、どのぐらいの期間をかけていくのか。いきなりわーっと進めるのか、あるいは、すごく時間をかけていくのか、その辺りをどう考えておられるのかというのが一つと、もう一つは、ちょっと聞き逃してしまったのかもしれないんですが、多分、拠点によってちょっと温度差というか、やっている感染症も違うし、それに向ける情熱みたいのもちょっと違うとは思うんですけど、全体として欲しい感染症の情報みたいのは、地域によって違うのか、あるいは、全世界的に、例えば、これとこれとこれは、基礎的なところは全て情報を集めていきましょうみたいに、統一というか、そういうふうにしていくのか。でも、そうなると、拠点にいる研究者の負担というのが割と重くなるのか、どんなものなのか。さっきお話を聞いていたときに感染研と地方衛研みたいな感じを少し思い浮かべていたんですけど、その辺りのところはどういったイメージなのかというのを教えていただけますと幸いです。
【齋藤部長】 ありがとうございます。タイムラインとしては、今回のJ-GRIDの期間、ネットワークコア拠点が始まって3年半から4年というところですけど、この後期の中で自発的報告というゴールに行くということでやってまいりましたが、この自発的報告というもののレベルもいろいろだというふうに思っております。先ほど先生がおっしゃったような、この疾患に関してみんなで情報を集めましょう、こういう基準でこうやって集めましょう、こういったものが出てきたら報告しましょうみたいなことを一定に動かすという意味での自発的報告というと、そこまで行くのはかなり難しいかなというのは思います。というのは、やはりすごく負担になってしまう。常時、こういう基準でこれをお願いしますというのは、かなり負担だと思っています。それよりは、何か出てきたときに、これは何かおかしいよと言ってもらえるようなところというのが、今のキャパシティーでは妥当なラインかなと思います。そのための報告ラインを温めておく。そして、比較的マイナーな情報はぽつぽつ上げてもらえる。こちらから特にお願いはしてないけども、こんなことありましたと言ってもらえるのが出てくれば、まず、第1期目としては成功なのかなというふうに思っているところです。
【渡辺委員】 ありがとうございました。
【大曲主査】 ありがとうございます。
鈴木先生、お願いします。
【鈴木委員】 鈴木です。1人、現地から参加しております。
齋藤先生、どうもありがとうございます。同じJIHSなので内部での質問になってしまいますけれども、私自身も、前回も発言しましたが、ベトナム拠点育ちということで、J-GRID+のインテリジェンスネットワークを立ち上げるという話を聞いたときにはちょっと懐疑的な部分もあったのが正直なところなんですけど、斎藤先生のこれまでの取組を見ていて、さすがの手腕だなというふうに感銘を受けているところです。
一方で、海外研究拠点は、先ほどの話にあったように、キャパシティーが拠点によって大きく異なりますし、人がいるとしても、必ずしも疫学的な観点をお持ちじゃない方もいらっしゃるという中で、インテリジェンスネットワークを齋藤先生がここまでされてきて、さらにその先、海外研究拠点のネットワークで、インテリジェンス的な機能、あるいは感染症モニタリングの機能を強化していく意義はあるというふうに、先生の観点からはお考えでしょうか。
【齋藤部長】 ありがとうございます。それなりのリソースを注ぐ必要があり、そして、評価体系、そういった業務をしっかりと評価していければ、意義あるものになると思っています。というのは、現地の先生方がどういうところに関わっていらっしゃるかというところが大分見えてきて、こういうことが起きたらこの先生に伺えばいいのかなというのがだんだんと見えてきたというのが、これまでの実感です。このパイプをしっかり太くして組織間の連携として育っていければ、いざというときに、これはどうですかというのを聞ける形はつくれるというふうに思っています。ただ、例えばアフリカ全体の常時モニタリング拠点とか、そういうところまでのものを期待すると、それはかなりのリソースになるので、そこまでやると相当負担になってくるのかなと思います。まず、各設置国における関係を強くして、世界から見ても、日本とこの国のつながり、この分野でのつながり、物すごく深いよねというところを一つでも増やしていければ、非常に有用なものになるというふうには思っています。
【鈴木委員】 ありがとうございます。
【大曲主査】 ありがとうございます。
そのほか、先生方、よろしいでしょうか。
いいですかね。ありがとうございます。
それでは、齋藤先生、ありがとうございました。
【齋藤部長】 ありがとうございました。
【大曲主査】 それでは、齋藤先生からのヒアリングは以上としたいと思います。
次は、議第(3)に移ります。感染症研究人材の育成に関するヒアリングでございまして、今日は構成員の舘田委員からお話を伺えればと思います。
それでは、舘田先生、よろしくお願いいたします。
【舘田委員】 舘田です。よろしくお願いします。私、感染症研究の人材育成について話すようにというふうに言われまして、非常に大事なテーマですし、そして、この海外研究拠点は日本の財産ですから、すばらしい海外拠点ができているわけで、そこでの人材育成をどう進めていくのか。特に、私は医学部ですので、医学部の視点からという形で少しお話しできればというふうに思います。
これは、先生方はよく知っているのかもしれませんけれど、科学技術の指標という形で毎年出されているわけです。これは、すばらしい情報がここに集約されていて、こういうようなものをもっと参考にしながら私たちは活動していかなければいけないなと感じるところです。
例えば、その中のサマリーのところに、赤字のところになりますが、「日本の産学官を合わせた研究開発費、研究者数は主要国中第3位である。論文数は世界第5位、特許は世界第1位である」と書いてあるわけですけども、これが事実であるとしても、感染症領域で見てみると、何となく現場の感覚とのギャップがあるのではないかというのを、個人的には思いました。何が真実なのかということをしっかり把握していかなければいけないなというふうに思っています。
これは、その中の一つ、大学の教員の年齢階層の変化ということで、左が国立大学で、右が私立大学です。見ていただきたいのは青いラインなんですけども、青いラインは25から39歳です。その教員(若手教員)の割合が36年間で40%から20%に減っています。非常に大きな変化がここで起きているなということを感じました。同時に、これは全体で見ていますから、医学部ではどうなのか。感染症領域ではどうなのか。というところを知っておかなければいけないのかなというふうにも思います。
そういう意味で、感染症においての人材育成は、感染症学会というのは一つ大事な責任を担っているわけですけれど、感染症学会は今年100周年を迎えるような学会で、会員数は1万1,000人です。そして、その中の感染症専門医は、この時点で1,690名で、会員の15.3%なんですね。この割合が非常に低い。適正な感染症専門医の数というのは、基幹病院、大学病院、そういう主な病院において感染症専門医を配置するというふうな形で見てみると、3,000人から4,000人ぐらいは必要なはずなのに、それがなかなか達成できていないということが言われています。
これは学会別に見ていて、一番右の専門医の割合というのが、日本神経学会とか日本消化器病学会は60%を超えているのに対し、一番下の感染症学会は15.3%で、なかなか難しい問題に我々は直面しているというふうに思っています。
それと同時に、これは感染症専門医の年齢分布ですけれども、若い世代、30~34歳、35~39歳、その辺の年代がなかなか増えてこないというのは、大曲先生なんかもよく御存じかと思いますが、感染症を専門とする我々にとっての大きな問題じゃないかなというふうに思います。
これは、コロナの第一波のときに、指定病院にすら専門医がいないという状況になっていたわけです。「有事に備え、国の施策として指定医療機関には感染症科を設け、専門医を配置することが望ましい」と、私はちょうど感染症学会の理事長でしたから、そういうようなことを言わせていただいたんですが、何とか乗り越えられたけれど、非常に厳しい状況であったということ。その一つの理由は、感染症を専門とする医師が育っていないということが大きいように思います。それは、決して臨床だけでなく、基礎系の研究者も含めて育ってないということにつながるかと考えております。
これは主たる診療科別の医療施設に従事する医師数ということを示していますけども、一番上の赤いラインですが、医療機関全施設においては32万人の医師が働いているわけですね。多いのは、上から、内科とか、呼吸器とか、循環器とか、消化器とかなんですけども、感染症内科は、12番目にある赤いラインですけども、この時点では594人という形で、非常に少ないということが報告されています。これは我々の間ではよく分かっているわけですけども、なぜならば、内科とか、呼吸器とか、循環器とか、消化器というのは、標榜した形で看板を立てられるわけです。ところが、感染症内科というものが標榜できていないというのは、非常に大きな日本の問題点なんじゃないかなというふうに感じています。
一方で、先生方はよく知っているWHOの2019年の報告によると、トップ10のヘルスイシューとして、その10の中の六つが感染症関連であるということは、かなり大きなインパクトを与えたと思います。グローバルインフルエンザに始まり、AMRの問題、エボラ、ワクチン、デング熱、HIV、10のうちの六つが感染症関連である。そういう危機の中にいる中で、戦略的にそれに対抗するような人材をどういうふうに育てていくのかということが世界の問題として取り上げられてきているところかと思います。
そんな中で、一つ面白い論文があります。2017年に、そういう危機意識を持ったフランスで、いろんな工夫をやることによって感染症領域が一番人気になって、募集枠が充足されたというふうなことが報告されていました。クオリファイしていくことによって、この領域は大事だから人材育成を進めるというふうな形で国がいろんな戦略を打つことによって、増えてきているわけです。そのときの一つの理由、上の選考要因のほうは、感染症科を選ぶ理由として、多臓器関連の面白さ、診断の重要性、感染症科における研修とか医学部教育の面白さと同時に、グローバルな視点とかダイナミズムというものが、若い人が感染症に興味を持つ非常に大事な理由になっているということが分かっています。一方で否定要因としては、アカデミアとか病院におけるポストがない。さっきの感染症科を標榜できないということもあるし、QOLとか、給料とか、ワーク・ライフ・バランスとか、どこでもそうなのかもしれないけど、そういう問題があるという中で、いずれにしても、フランスにおいては、それを克服して、ある意味、集中的に専門性の高い医師を育てるような、そういう方向性に動いているということが報告されているところかと思います。
左側は、先ほどの指標の中で、大学院の博士課程の入学者数の年次推移というものを示したものです。1981年から2024年まで見ているもので、例えば、保健領域を見てみると、過去10年間であまり変わってないように見えるんですね。右側は、社会人とか、社会人以外という形で見ているけれど、社会人、社会人以外の方も、過去10年間であまり大きな変化がないように見られるわけですが、じゃあ医学部において博士課程の入学者の推移はどうなっているのか。我々、現場で見ていると、博士課程に行く人が非常に少なくなっているんじゃないかなということを感じるわけです。
これは、文科省の資料から持ってきましたけど、大阪大学の熊ノ郷先生がまとめた、「大学・大学病院の魅力向上・人材確保のための調査・研究」です。
これは、一番左が2017年で、右が2024年で、赤丸をつけているところは、ちょっと見にくいですけども、社会人、MD-Ph.D.留学生を除く形の大学院生で、緑は、一番左側で見ると1,261人だったのが、右側は937人ですね。これで見ると、100人、200人減っているぐらいなのかもしれないけれど、先生方の施設でどうなのかなというのもちょっと興味がありますし、これよりももっと減ってきているんじゃないのかなということを個人的には感じているところです。
左の上は、その中で、大学院への進学の希望がある人が44%、ない人が56%。下の入学希望時期というのも大事で、オレンジの臨床研修修了後というのが35%ですけど、専門研修修了後というのが58%です。専門研修の修了後といったら、30を過ぎています。そういう状況なので、かなり遅くなってしまっているというようなことが見えるかと思います。進学を希望しない理由は、大学院に魅力を感じない、研究に魅力を感じない、経済的な負担が大きい、学位取得の必要性を感じないみたいなことで、我々が研究の魅力とか重要性を伝え切れていないんじゃないかということと同時に、感染症領域でどういうことが起きているのかということもしっかり考えていかなければいけないというふうに感じます。
もう一つ、これは日本私立医科大学協会のほうでアンケートという形で行ったものですけども、2番の臨床系大学院の入学の現状と課題というところです。
このように、医学部の大学院に入ってこないんですね。その理由は、下の段を見ていただきと、専門医資格獲得が優先され、大学院は後回し。大学院の進学に魅力を感じない。忙しくて大学院について考える余裕がない。私立大学は特にこういうふうな感じになって、なかなか研究を目指す人が増えてこないという状況にあるかと思います。
例えば東邦大学では、2013年から2024年まででという形で、社会人、一般も含めてこういう状況で、これは、さっき言いましたように、僕たちが魅力を伝え切っていないからなのか、なかなか厳しい状況にあるなというのを感じる。2025年、2026年は少し増えるような形で、対策を取っていますから少しずつ変わるのかもしれないけれど、なかなか厳しい状況があるということは、これからも感じていただけるかと思います。
先生方は御存じのように、大学院には一般の課程と社会人の課程があるわけですけども、今の子たちは、臨床をやりながら学位を取るという形で、社会人大学院生を希望する人が多いわけですね。そうすると、臨床をやりながらだから、本当の意味での基礎的な研究というのはなかなか入っていけない。そこから変わって入っていく子もいるけれど、なかなかそれは難しいような状況で、しっかりと本当の基礎研究を分かるような医師を育てるためには、一般選抜を目指せるようにする。そのためには、より若い世代にそういうふうな選択肢を与えてあげるということが大事になるんじゃないかなというふうに感じています。
例えば、うちの大学院生に聞いてみたら、その子は卒業9年目に一般選抜から社会人に移行してしまって、医師4年目で認定内科医、医師8年目でもう一つの専門医資格を取って、それから大学院ですから、9年目ということは33歳ぐらいです。そうしたら、タイミングとしてはかなり遅くなっているんじゃないかなと感じます。それも臨床をやりながらで、なかなか難しい、いろんな問題がここにはあるのかなというのも思います。
一方、これは文科省が今後の医学教育の在り方に関する検討会の中で示している一つの方向性ですけども、医学部を卒業するときにMD-Ph.D.コースのような形で博士課程に進む子たちを育てていこうと、そういう選択肢も提案しながら、早め早めの大学院というものも選択肢の一つとして考えているわけですが、これがなかなか機能していないんじゃないかなというふうにも感じているところです。
というのは、内科領域というか、専門医制度の問題があって、左の下に2年間の初期研修という期間があります。その後に、上の赤い欄にありますけども、内科の基本領域研修の3年間。2年プラス3年で、ここで5年でしょう。その後に右下の赤いところの感染症領域の専門医を取るという形になると、ここからまた時間がかかってしまうということで、全部終わらせてから博士課程に行くなんていうと、さっき言ったみたいに30代半ばになってしまって、研究者としては遅れてしまうようなところがあるんじゃないかな。もっと早め早めに、博士課程に入る、大学院に入るような、そういう選択肢をつくって、そこに海外の拠点をどうやって活用していくのかということも考えてもいいのかなというふうに感じているところです。
臨床医はさっき申したみたいに32万人いて、それをどうやって教育していくのか。これが医療のレベルの底上げになるし、そこから感染症学会に入る人たちが1万1,000人です。さらに、専門医に入っている子が1,600人という形で、恐らく専門医から研究的なところに入っていくようなところもあるし、いろんなところから大学院に入って、研究を目指すような人材が出てきてもおかしくないわけですけれども、できるだけ早い段階で大学院に行く、そういう選択肢も提示してあげながら、いかに若手の研究者を育てていくのか。そのための機会創生とか、インセンティブ付加みたいなものが大事になってくる。これは決して医学部だけじゃなくて、同じような問題が前回もありましたけども、獣医学部とか、薬学、理学、工学、データサイエンスも含めてつくっていくのかということが重要になるんだろうなというふうに感じています。
そんな中で、さっきもありましたが、すばらしい日本の海外拠点をどういうふうに生かしていくのかというところで、もちろん既に人材育成というものが進んでいるのかもしれないけど、もっともっと可能性としてはあるんじゃないかなということを、個人的には感じています。
これは、この前示されたデータを持ってきましたけども、左が現地の人材、右が日本人の人材として、これまでにこれだけ多くの方が教授になったり准教授になったりということが見られているわけですが、例えば、日本の中で教授になった、准教授になったといっても、恐らくこれは、拠点ではなくても教授になっていく人たちですよ。というふうに思います。拠点があってなったものとともに、ある意味、実力のある人がこういうところに来ているのかもしれない。そんな中で、一番下のところのラインですけども、学位取得が37名出ているわけですね。これは東北大学の例ということで示されているんだと思いますけれど、さっき示したような拠点それぞれでどのぐらいの人材が育成されているのかということを我々はしっかり評価していかなければいけないし、そして、その人たちがその後のキャリアとしてどういう形になっているのかも含めて把握していくということは、今後の対策を考える上で重要なんじゃないかなというふうに思います。
一つの例として、これは、皆さん知っている、SCARDAの例ですね。ワクチン開発のための世界トップレベル研究開発拠点の形成事業で、下の真ん中の若手研究者が5.4倍になっているという、非常にすばらしい成果が出ているわけです。5年で約500億円のプロジェクトですよ。東大、千葉大、北大、長崎大、大阪大などがこのプロジェクトを進めているわけですけども、すばらしい成果を出しているわけです。これはレベルというか規模が全然違うのかもしれないけれど、こういうふうなものを参考にしながら、どういうふうに海外拠点を使っていくのかということが大事になるというふうに思いました。
海外で感染症に関する疫学とか公衆衛生のプログラムはどういうものが動いているのかということを文科省に調べていただいたら、上から、アメリカ、カナダ、ドイツ、ECDCで、アメリカだったら、一番上のCDCは、毎年70名で、1,000万円のお給料を払いながら育てているとか、カナダ、ドイツ、ECDCでそれぞれいろんな取組をしているわけですけども、これは決して拠点を活用したというものじゃないから、それぞれの国が海外拠点というのをどういうふうに使って、そこでの人材育成をどういうふうにやっているのか、それを参考に、我々の日本の拠点をどういうふうに活用していくのかということを考える、一つのヒントにしていく必要があるんじゃないかなとも思いました。
そんな中で、感染症医・研究者の戦略的育成というところを見てみると、私の中ではやっぱり、底上げとしての感染症医をいかに育てていくのか。そのためには、感染症科を標榜できるような仕組み、それは、次のパンデミックに備えて大学病院とか基幹病院などに感染症専門医を戦略的に配置するんだという、そういう方向性であり、それを実現するためには感染症診療コンサルテーションが主になってくるところもあるわけで、コンサルテーションフィーというものをつくる。海外でもそういうようなことをやっているわけですけど、そういうようなものをうまく作って、そして、感染症科の標榜、感染症を志す医師を増やしていくと同時に、感染症専門医をいかに増やすか。3,000人、4,000人を一つの目標とするならば、その魅力の創出、ポスト、やりがい、待遇、社会的ステータスの向上など。そして、大学院入学の前倒しを促進するような、研究者育成プログラム。今の子たちは専門医取得を第一にするから、専門医取得と並行させるような、あるいは大学院の博士課程を先行させて入学させるような、そういう仕組みをどうやってつくっていくのかということ。4番目は感染症医・研究者に与えられる特権です。海外でグローバルな視点で仕事をしたいという、それが一つのインセンティブになるとするならば、海外拠点をどう使っていくのかということは、もっともっと工夫してもいいんじゃないかなというふうに思います。
海外拠点プログラムの活用としては、基礎と臨床の連携プログラム。基礎研究人材の発掘と育成につながる臨床研究連携プログラム。最初は臨床として見せていいわけです。しかし、やっているうちに基礎の魅力というのが分かってきて、基礎研究もやり出すわけです。そういうことをうまくどういうふうに作っていくのかというところ。そして、アカデミアとのさらなる連携。感染症学会で海外拠点の活動に関して知っている人は、ほんのごく一部ですよ。知られていないんです。だから、もっともっとアカデミアと連携して、拠点を使った臨床・研究の面白さというものを知らせていく。感染症学会などアカデミアとの連携の促進で、合同シンポジウムをやるとか、面白さを伝えていくということをもっともっと工夫してもいいんじゃないかということ。市民に対して啓発公開講座などもどんどん活用していかなければいけないし、危機管理の視点としての拠点の活用。これは、文科省だけじゃなくて、厚労省と一緒にという形になるため、なかなかやりにくいのかもしれないけれども、大学院生というのは医師という資格を持つため、大学院生の育成というところにどういうふうに海外拠点を活用するのかということが大事なのかなというふうに思いました。
これが最後です。海外拠点プログラム活用の1例として、私もこれをまとめながら、どういうふうなのが今の学生たちにうけるのかなと思って考えていくと、海外拠点活動は感染症医・研究者を目指す重要な動機づけの一つになるんじゃないか。海外で何かしてみたいという学生はいるはずですし、感染症医を目指す子たちの中には多いんじゃないかなと思います。その学生たちにどういうふうに、そちらのチャンス、道を示していくのか。そして、どのタイミングで大学院に行くように、そういうルートをつくるのか、海外研修をさせるのかというようなこと。そのために拠点をどう活用していくのか。最近は、コスパ、タイパ、ポスト、QOLを意識したプログラムですから、その辺のところを工夫してあげることによって、より魅力的な選択肢になるんじゃないか。その一つは、例えば、2年間の初期研修(内科研修)後の海外拠点連携大学院のようなものをつくって、大学院の4年間の中に海外研究拠点研修みたいなものを組み込む。医学部ですから、最初は臨床をやりたいわけですよ。臨床をやりながら、海外に行って拠点で研究というのに暴露されると、面白いからやりたくなってくる子が出てくるはずなんですね。ですから、そういうふうなチャンス(機会)をどうやってつくっていくのか。しかも、大学院卒業時に感染症専門医試験の受験資格を与える。もちろん実力がないと駄目だけど、英語試験とか専門医試験ちゃんと受かるぐらいの実力を持っている学生は、それを受けられるようにする。成績優秀者は、感染症研究者として、さらに拠点で研さんできるポストを用意してあげる。そういうふうな仕組みをつくってあげる。そのためには、文科省と厚労省の連携の中で、やりたいことは、感染症専門医の育成だし、大学院生の増加だし、海外拠点の活用だし、最終的には危機管理体制の構築を目指すような、そういうプログラムに海外研究拠点を活用していくということをもっと考えていいんじゃないかなというふうに思いました。
以上です。
【大曲主査】 舘田先生、ありがとうございます。
それでは、今の舘田先生からの御発表に関して、先生方、御意見、御質問、いかがでしょうか。
山野委員、お願いします。
【山野委員】 舘田先生、どうもありがとうございます。1点教えてほしいんですが、途中でフランスの事例というのを出されたと思うんですけども、フランスは感染症医の公募に対する応募が高いと。あれは何か施策をやることによって増えたというような背景があるのでしょうか。
【舘田委員】 これは非常に面白いなと思って。これは行政的にどういう待遇を与えることによってこういう形で感染症医が増えてきたのかということを調べていかなきゃいけないなというふうに思いますけれど、まだ、そこまで僕は理解していません。国が感染症をクオリファイ、大事な分野の一つだというふうに言って、そこにインセンティブをつけることによって、そういうことが起きるわけです。そのポテンシャル、面白さというのはある。そこには、さっきも申したような、感染症というのはグローバルだから、治るというのもあるし、治すことができるというのもあるし、全身の臓器を診るから面白いというのもあるじゃないですか。そういうふうなものをうまくやって、そして何よりも、WHOであれだけ感染症は大事だと言っているぐらいに、これからも必要になってくる病気の疾患の一つだということを、ある意味、国の戦略としてあげれば、日本でも同じような形で進むんじゃないか。ここら辺を文科省の方たちと一緒になって少し調べてみてもいいんじゃないかなというふうに思います。
【山野委員】 ありがとうございます。その辺りが最後のアクションにもうまく絡めばいいかなと思いました。海外研究拠点の活用というか、そういうインセンティブというのは、個人的にはすごく興味あるなと思うんですけども、今の若い人たちがそこにどのぐらい興味を持つかなというのは、少し不安なところもあります。といいますのも、製薬会社の中でも、海外留学の機会について、昔に比べると希望が減ってきているんですね。海外で何か学ぶとかっていうふうなところに、すごく興味を持つ方もいるんですけども、全体的な割合としてはすごく減ってきているような気がしまして、多分、今、提案いただいたような施策というのも、一部の方には響くんだろうなと思うんですが、もっと幅広く響くにはどういうところがいいんだろうと思いながら聞いておりました。何か具体的に提案できるわけでもないんですけども、その辺り、海外、グローバルというところをうまく響かせるために、プラスアルファ、さっきおっしゃられた国の施策とかがうまく絡めばいいのかもしれないなと思いながら、聞かせていただきました。
【舘田委員】 山野委員、ありがとうございます。フランスは1例ですが、しかし、1例でもこういうことがあるんだとするならば、なぜそれが起きているのかです。今の学生たちは敏感です。コスパとか、タイパとか、サラリーもそうですし、QOLもそうですよ。だから、そういうふうなものも含めて、できるのか、できないのか、その辺のところも考えていく必要があるんだろうなと思います。
【山野委員】 ありがとうございます。いろいろ探ってみる価値はあるかなと思いました。ありがとうございました。
【大曲主査】 ありがとうございます。
川上先生、お願いします。
【川上委員】 ありがとうございました。私も感染症の研究者や感染症の専門医はもっと増えたからいいのにと思っていたところなので、すごく的確な御提案いただいて、すばらしいと思いました。ただ、感染症ってほかの疾患領域とちょっと違っているのは、患者数がめちゃくちゃ増減するじゃないですか。パンデミックが起きたらめちゃくちゃ増えて、感染症の専門医であるとか感染症の研究者が物すごく必要になる一方で、終わってしまうと、論文とかも一気に減ってしまいますし、患者数も減ってしまって、病床も縮小されるみたいな、患者がかなりダイナミックに動いてしまうというところがありますので、数を一気に増やし過ぎるとパンデミックじゃないときに人が余ってしまうということにもつながってしまうのかなというところがあるので、私としては、予備自衛官じゃないですけど、そういうふうな感じの、いざとなったら感染症の領域に参画できるようなポテンシャルのある人をいかに増やすのかということが結構重要なのかなと思いました。
実は、私も最初に学位を取ったときは河岡先生のところだったので感染症の研究をやっていたわけですけど、今はデータサイエンス・AIの研究をやっているんですね。ただ、コロナみたいなときに、そういうふうな研究が必要になったときは、そちらのほうにリソースを割いて感染症の研究をやることも可能というような立場でありますので、感染症の研究を中心的にやる人材を増やすと同時に、感染症の研究の経験があって、いざとなったらそういうところに入ってこれる、もしくは、専門医であれば、そういうような専門医を持っていて、ふだんは別の診療をやっているんだけれども、いざとなったら感染症の対応もできるというような人材をいかに増やしていくかという視点も重要かなと思いましたので、提案させていただきます。
【舘田委員】 川上委員、ありがとうございます。まさにその通りだと思います。そんなにしょっちゅう有事は来ないんですよ。毎日毎日、感染症の患者さんはいるわけですから、例えば、抗菌薬の適正使用だったり、感染対策だったり、平時のときにも集中することがありますよね。そこはちゃんとしっかりと診療と教育を含めてやっていく。でも、有事になったら、感染症の専門医がその施設・地域におけるリーダーとなって一緒に活動していくような、そういう戦略的な配置でも、3,000人、4,000人の感染症専門医が必要なわけですね。だから、3,000人、4,000人が本当に正しいのかも含めて、そこはちょっと考えていってもいいんじゃないかなというふうに思いますけれど、先生のおっしゃることと同じ考え方です。
【川上委員】 ありがとうございます。
【大曲主査】 小柳委員、お願いします。
【小柳委員】 舘田先生、ありがとうございます。私は臨床の人間ではないので、これぐらい少ないということを全然理解しておりませんでした。ありがとうございます。
舘田先生、川上先生も含めて、医学部の先生たちにお聞きしたいんですが、私、20年以上前に東北大学の教授だったときに、基礎医学研修というのをやって、二、三か月、医学部の学生を基礎の研究室に受け入れて、ある研究室では海外に出すという、制度があったんです。京大医学部でも海外に学生を出すという制度があるんです。そこで順天堂大学の岡本先生は、海外拠点のタイに彼ら医学生を行かせて、拠点活用研究費を使ってタイへの渡航費を捻出したと聞いていますが、千葉大とか東邦大学では基礎医学研修期間というのはあるのでしょうか。
【舘田委員】東邦大学でも、基礎の教室を回らせるような、そういうふうな仕組みはありますけれども、本当の意味でそれが機能しているとは、なかなか言えません。東北大学は基礎研究にかなり力を入れている大学の一つですし、順天堂大学の岡本先生のところもすばらしいことをやっているわけですけど、恐らく、なかなかできてないんですよね。だから、そういうのを組織的に戦略的にやる。それはなぜかというと、若い子たちは、さっきも言いましたけど、臨床に興味はあるけど、見ているうちに基礎的なことも興味を持ってくるわけです。ある意味、それを戦略的につくってあげないといけない。そして、全部が全部じゃないわけですけども、10人に1人が研究をやってみようという形になっていくのが、僕は自然な中での人材育成につながるんじゃないかなというふうに思いました。
【小柳委員】うちの大学でも、学部のときに既に原著論文を出す子がいるんです。私自身がそうなんですけど、研究室にずっと入り込んで研究をやっているという学生も結構おります。MD-Ph.D.制度をつかって学部卒業前に研究室に入る子もいます。そういう意味で、感染症研究って、私がやっておりますHIVとかB型肝炎ウイルスは慢性感染なので、日本の研究者数は少ないながら、世界の患者数は減らないんです。そして、DNA・RNAを触る研究の世界に入ってきて、研究にそのまま入り込んでいる人がいますので、それがHIVの基礎研究を支えていたというのは本当のところです。
【舘田委員】 ありがとうございます。
【小柳委員】 川上先生、千葉大はどうですか?
【川上委員】 千葉大は、1年生からスカラシッププログラムといって研究室配属みたいなのがあって、3年生ぐらいまで研究室に配属されるんですね。うちのところにも5人ぐらい毎年やってきて、その中で特にモチベーションが高い人間は1年から研究に入ってもらって、2年、3年ぐらいで原著論文を書くみたいな子もいます。なので、そういうふうな機会というのを増やしていくと感染症の研究とかにも触れる機会が増えていくというのは確かにあるかなと思うんですけども、最近、鈴木忠樹先生が着任されたので、恐らくそういうこともやっていかれると思うんですが、残念ながら感染症研究のところに入って若いときから活躍するみたいな学生は今まであんまりいなかったので、今後、鈴木先生が多分、いろいろされるかなあと期待しております。
【小柳委員】 ちなみに、大阪公立大学の城戸先生も医学の学部生をコンゴ民主共和国に連れていったそうです。そういう意味で、拠点活用、拠点が使われています。
【川上委員】 確かに拠点はすごくいいですよね、そういう意味で。
【舘田委員】 それをプログラム化するとか、体系化して……。
【小柳委員】 そうなんです。現場に行くと、それはそれで面白いと思います。
【舘田委員】 そうですね。
【川上委員】 あと、今のことに関してなんですけど、そのときの学生の旅費であるとか費用とかも、こういうふうなものの中から人材育成の費用として出せるようにすると、多分、連れてきやすくなるのかなと。完全に大学の持ち出しとかになってしまうと、すごくいい先生だったら出してくれると思うんですけど、そこまで全部出してあげるよというのはなかなか厳しいと思うので。
【舘田委員】 そう思います。
【大曲主査】 ありがとうございます。
鈴木先生、お願いします。
【鈴木委員】 鈴木です。舘田先生、どうもありがとうございます。
私も、感染研に来たのが七、八年前で、それまで長崎大学熱帯医学研究所のほうで、Master of Tropical Medicineですとか、Diploma of Tropical Medicineなどで、海外研究拠点を活用しながら学生を指導していた経験がございます。具体的には、AMEDの拠点としてはベトナム拠点で、AMEDの拠点じゃないですけども、長崎大学独自のフィリピンのサンラザロ病院の拠点などで、学生を連れて臨床的なトレーニングかつ研究の指導というのもやっておりました。物すごく大変なわけですね。常駐の職員が現地に何年がかりでいて、MDであれば、現場からうっとうしがられながらも、日々回診をしているうちに何となく受け入れられてというのを積み重ねてようやくそういった環境ができるというところで、先生が最後に御提示されたアイデアは私ももちろん賛成するところなんですが、相当な投資をしないと難しいだろうなというふうに感じてはいるところです。
一方で、最近、私はそういった学生指導からちょっと離れているので、最近の若いお医者さんはこういったトレーニングを本当に魅力に感じるのかどうかというところを、まさに大曲先生も含めて、臨床医を指導している先生方の目から見て、特にパンデミック後にそういった傾向に変化はないのでしょうか。
以上、質問です。
【大曲主査】 私、一委員として。自分の目の前の風景が中心になるんですけども、パンデミック後も、基本的には、感染症をやりたいという若い方は、海外への興味は持ってくれていると思っています。それこそ専門医としてのトレーニングをする力をつけていく中で、日本で診る感染症以外の感染症も少なくとも一般教養として一通り知っておく必要があって、そこが大体入り口ですね。多くの人は、日本ではなかなか診れなくて、いきなり体験するのも怖いということを考えると、海外でまずは診てみたいというところが入り口になっているように思います。私たちもべトナムに連れていったりしますし、阪大だとタイに連れていったり、いろんな大学で連れていらっしゃったりすると思うんですけども、そういう意味では、そういう若い方たちは押しなべて関心は持っているなと思いますし、僕が感染症医になったのはもう20年以上前になっちゃいましたけど、その頃と比べると、僕らなんかよりよっぽど、英語も上手ですし、外を向いているのかなと、海外を見ているのかなと思って見ています。そういう意味では、機会をどう作ってあげるのかというところで、鈴木先生のおっしゃるとおりで、エネルギー、ひょっとしたら資源がいるのかもしれませんが、その辺りがむしろ課題なのかなと思っています。
【舘田委員】 大曲先生、ありがとうございます。
鈴木先生、ありがとうございます。国が本当にそれを必要とするのであるならば、そこに投資をしてもらわないと駄目ですよね。あとは、僕たちがしっかりと魅力を伝えることができれば、いろんな工夫は要るんでしょうけど、若い研究者たちを育てられるんじゃないかな、人材育成につながるんじゃないかなと、個人的には思っています。
【鈴木委員】 ありがとうございます。
【大曲主査】 ありがとうございます。
渡辺先生、お願いします。
【渡辺委員】 ありがとうございます。私、臨床医とかでは全然ないので、最近の若手研究者はどうかとか、大学院生はどうかとか、そういうところしか分からないんですけど、先ほど大曲先生もおっしゃっていましたが、最近の若手研究者は、英語も上手ですし、昔に比べるとよっぽど、海外、ネット、SNSとかもそうだと思うんですけど、かなり近く感じているので、機会をつくってあげれば、多分、行くんじゃないかと思います。私の研究室に来ている学生さんとかにも海外でフィールドワークをしたいとかっていう学生がいたりするんですけど、ただ、これは海外拠点の別の先生からも言われたんですが、アジアに拠点を持つところと、アフリカとか、南米とか、ああいうところに拠点を持つところでは、旅費が全く違うので連れていけないと。私も南米に行きたいとか思っても、1人分だけで、何人も連れていくというのはかなり難しいようだというのがあるので、つまるところお金なのかという気はするんですけど。
あと、大学院に入りたいという学生もいて、もしできればアカデミアにという気持ちはあるみたいな感じはするんですけど、ただ、今のアカデミアのポスト・ポジションとかが安定なのかとか、数はどうなんだとか、そういったところで不安に感じてなかなか踏み出せないみたいな、そんなところがあるのかなあという感じがして、大学院生の数を増やそうというのが今あるかもしれないけど、受皿のほうも一緒に増やしていかないと、また何十年か前と同じことを繰り返すのかなという感じがしました。
【舘田委員】 おっしゃるとおりだと思います。先に受皿を増やしてあげないと、そこをつくってあげないと、無理ですね。
【大曲主査】 ありがとうございます。全くの同感でございます。
先生方、よろしければ、大分時間が迫ってきましたので、この後は総合討論ということでいかがでしょうか。
【舘田委員】 大曲先生、次の会議が始まるので、失礼します。
【大曲主査】 分かりました。ありがとうございました。
今日は、齋藤先生からインテリジェンスのお話がありましたし、舘田先生から人材育成ということでお話をいただきました。既に議論が始まっておりますけども、先生方、このまま続けて御意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
鈴木委員、お願いします。
【鈴木委員】 鈴木です。ありがとうございます。
今日はまさに、齋藤先生からインテリジェンスの話があり、舘田先生から医学教育のお話があって、それぞれ、ぜひ海外研究拠点を活用してと思う一方で、現場出身の身からすると、何でもかんでも全部できるわけではないと。曲がりなりにも私は疫学をやっていたのでというところはありますが、病原体を専門として特定の病原体だけを研究していらっしゃる方とか、現地には現地スタッフしかいないといったような拠点にそういったことを求められても、なかなか現実は厳しいだろうなというふうに思うところです。それを考えると、この場が海外研究拠点を今後どうしていくのかという議論の場であるとするならば、国としての戦略といいますか、恐らく国としては、科学技術・イノベーション基本計画とか、あるいは国際連携のJICAとかの計画などもあると思いますが、そういった国際展開をしていく、あるいは国として科学技術にどのように投資していくのかという文脈も踏まえながら、我が国として海外研究拠点をどのように展開していくのかといった議論が必要なんじゃないかなと。研究者というより、むしろ行政側の視点からのコメントかもしれませんが、そうした点からの議論も必要なのではないかなというふうに思いました。
以上、コメントです。
【大曲主査】 ありがとうございます。
先生方、いかがでしょうか。
小柳先生、お願いします。
【小柳委員】 鈴木先生、ありがとうございます。まさしく同じ議論をさせていただく。20年前、J-GRIDと言わなかった時代の話をしますと、当時、それぞれの国力が違っていたわけで、日本が優位な立場で海外協力を進めると、私は理解していました。この前も各拠点の先生にお話を伺っていると、20年前と比べると、それぞれの国の経済状況がよくなってきて、病気の形も変わってきたと伺いました。そういった意味で、このJ-GRID+だけではなくて、海外拠点研究の立ち位置は、先ほど鈴木先生が言われたような、新しいものを日本のために求めていくのか、海外協力研究としての立場なのか、それぞれの拠点によって、そこもかなり違うと思います。そこのところをよく考えながらまとめていかなきゃいけないかなというふうに思います。具体的にはいろいろ難しい問題もありますが、そういうふうに思いました。
2点目は、平時対応としては、緊急時対応としては、それぞれどう考えるべきか、そういう点も考えなきゃいけないので、感染症の人材育成という意味でも、私の記憶が正しいかどうか分からないんですが、アメリカか、ドイツか、どっちか忘れたんですが、たしかあのときに医学生を動員した記憶があるんですね。だから、そういう意味の緊急時対応の何が必要なのかなあと思いながら、聞いておりました。
以上です。
【大曲主査】 ありがとうございます。
そのほか、先生方、いかがでしょうか。
よろしいですかね。
では、せっかくなので私も、人材育成のところに関して言いますと、前回のAMEDの3領域の会議でもこういう話がありましたけども、今日、先生方がおっしゃっているように、実際には海外のフィールドで研究をしたいという人たちは、いろんな立場の方がいらっしゃると思っています。臨床の人間もそうです。ただ、そういう方々はいるんだけれども、なかなかふだん出会えないといいますか、そういうことがあるように思います。一方で拠点の先生方は、そのときにも御発言がありましたけども、そのフィールドで新しく研究をする方々を本当に強く求めていらっしゃるというところはありますので、具体的な形云々というのはいろいろなやり方があるんだと思うんですが、出会えるような場はつくっていく必要があると、個人的には思っています。どういう形にするのかは、いろいろあるんだと思うんですが。
例えば、私は臨床の側の人間ですけども、臨床の側の人間でも、漠然と海外で研究をしたいと。入口は海外で感染症を診てみたいなのかもしれませんが、そこからもうちょっと行って、感染症の研究してみたいという者はいますけれども、臨床の人間がどう入っていくのかというところは、非常に難しいようにも見えるし、見えにくいようにも見えていて、ちょっとハードルが高いようなところはありましたが、私たちはやってきてよかったと思っておりますので、そういう入口が見えるような、入口づくりといいますか、そういったところも考えていく必要があると思っていました。そういう意味では、別にこのプログラムで臨床の人間だけを求めているわけではないですけども、連れてこれるのではないかという思いはございます。
あとは、僕も重ねての意見になりますけども、若い研究者をフィールドに連れていきたいというのはあるんですが、正直、お金のかかる話です。1人連れてくるにしても相当お金がかかるということもありますし、その辺りは何とかならないのかなと、常に悩んでいるところであります。ちょっと話はずれますけども、最近、若い研究者がなかなか海外に留学しないとかっていう話もあって、数としてはそうなんだと思うんです。でも、実際に海外に研修あるいは留学等に送り込もうとすると、なかなか厳しくて、やっぱり生活がもたない。円安がひどくて生活がもたないというのが先に来て、なかなか海外への留学等に踏み出せないという声は結構聞きまして、状況がよくなればいいなとは思っています。
取り留めのない話でしたが、私からはこういう意見がございますというところで、あと数分ございますが、先生方、いかがでしょうか。
鹿野先生、お願いします。
【鹿野主査代理】 ありがとうございます。何だかんだ言ってもやっぱりお金かなというのは、SCARDAの5年間500億で研究者が増えたというのもそうですし、理科大でも何年か前に全学的に博士課程に進学する学生を増やそうとして、博士課程の学費を免除した時期があったんですね。そうするとすごく進学率が上がって、学費を有料に戻したとたんにがくんと下がったと。博士課程に進みたいという希望を持っている学生はいても、経済的な理由で諦める人はかなりの割合でいるんだろうというのは思います。
それと、興味があっても、海外に行くこと自体の旅費もそうですし、自費とか、研究室のお金にしても、若い人が行くというのは、それなりに制約がかかるというか、難しい部分があるので、J-GRIDの枠なのか分からないですけど、若手育成のための研究費の事業枠をつくっていただいてもいいのかなというふうに思いました。拠点に研修という形で、数日なり、1週間、2週間、現地の状況を知るとかいうのも含めて、そういう希望を持っている人たちで優秀な人たちを選抜して、できれば多い人数の学生が行けるような、そういう事業枠を立てていただくのもいいんじゃないかなあと思いました。ぜひ、検討いただければと思います。
以上です。
【大曲主査】 鹿野委員、御提案、ありがとうございます。
鈴木委員、お願いします。
【鈴木委員】 この場はアイデアを出す場なのかなと勝手に理解をして、本当に私の個人的なコメントをさせていただきます。
まさに、インテリジェンスとか、トレーニングとか、もちろん本来の研究開発を強化するという観点からすると、今のAMEDの海外研究拠点、キャパシティーがまだまだだなと思っています。じゃあ、全部を同じように底上げするかといえば、それはそれでなかなか大変だと思うので、一つのアイデアとして、1か所でいいと思うんですけども、集中的に大きな海外研究拠点というものをつくって、そこには、5年とか10年、常駐するPIがいる。それは、もちろん1人じゃなくて、5人とか、10人とか、基礎研究から、臨床研究、フィールド、疫学まで、それぞれの専門を持った常駐のPIが現地にずっと張りついていて、当然、それをバックアップするロジもあって、フィールドワーカーも現地で雇用している。さらに現地のカウンターパートの研究者もいるといったような、それこそ現地雇用も含めて100人規模ぐらいの研究拠点というものを一つつくることで、おのずと現場の病院も巻き込むことになりますから、そういうところで、日本人の若手をトレーニングしたりとか、マスターとかPh.D.の学生もトレーニングをしていく。まさに、オックスフォードがマヒドンでやっていたり、あるいはMRCガンビア拠点、そういったところのミニ版にはなると思いますが、そういうような拠点を1か所でいいので展開してはどうかなあと思います。アイデアです。
以上です。
【大曲主査】 ありがとうございます。
そのほか、先生方、いかがでしょうか。
小柳先生、お願いします。
【小柳委員】 随分前のことですけど、私はHIVの人間なので、1980年代の初めにエイズ患者が見つかって、その後、HIV-1が見つかって、次にHIV-2を見つけたのはフランスなんです。このウイルスはセネガルからなんです。ですから、植民地との関係があるので、セネガルにそれなりの研究者がかなり行っていました。実は、最初の患者はパリで見つかったのですが、それは出身をたどるとセネガルの人だったとか。HIV-2は、ほんとうはヒト由来ではなくて、スーティーマンガベイという小さなサル由来なんです。HIV-1とHIV-2、全く違うものがアフリカにあるということが分かって、『Nature』にデータがどんどん出てきたことを思い出しました。フランスはパスツール研究所が中心になって独自の世界をつくっていくという学問の世界で、イギリスはイギリスでMRCを中心にやっています。我々が独自の世界をどうやっていくかというのは、時々、フランスの方針に学ぶことがあります。そういうことを思い出しました。やはりヨーロッパの国は植民地の人たちが入っていますから、そういう意味の人の交流がかなりありました。今、日本にも人がかなり入っているという現実を我々は見なきゃいけないと思いながら、お話を聞いています。それがどの国かは別ですけど、いろんな国の方が入っておられますし、いろんな国の人との交流もかなりあります。そういった意味で、よその国の話ではないなと思いながら、聞いていました。
以上です。
【大曲主査】 ありがとうございます。
このプログラムは長いですけども、状況の変化も受けた上で、先ほどの鈴木先生の御発言にもありましたが、何をこのプログラムで目指していくのかというところをきちんといま一度検討すべきだと。そういう御意見だと、僕は承りました。先生、ありがとうございます。
それでは、時間になりましたので、今日はこの辺りでよろしいでしょうか。
今日は、活発に御議論いただきまして、本当にありがとうございます。
それでは、事務局にお返しします。
【森田専門官】 事務局でございます。後ほど事務局よりメールを送らせていただきますが、追加の御意見がある場合は、2月20日、金曜日の15時までに、事務局宛てに御返信ください。
次回の作業部会は、3月13日、金曜日の14時から16時を予定しています。委員の皆様におかれましては、御予定の確保に御協力のほど、よろしくお願いいたします。
また、前回同様、本日の議事録は、委員の皆様に御確認いただいた上で、本日の資料と併せて、後日、文部科学省のホームページにおいて公開させていただきます。よろしくお願いいたします。
本日は、これにて以上となります。ありがとうございました。
―― 了 ――
研究振興局研究振興戦略官付