ライフサイエンス委員会 基礎・横断研究戦略作業部会(第13期~)(第1回)議事録

1.日時

令和7年11月25日(火曜日)15時00分~17時00分

2.場所

WEB開催

3.出席者

委員

杉本主査、坂内主査代理、岡田委員、鎌田委員、下郡委員、洲﨑委員、高鳥委員、武田委員、夏目委員、西増委員、水島委員、山崎委員

発表者

ナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP) 小原PD(大学共同利用機関法人情報・システム研究機構ライフサイエンス統合データベースセンター  センター長)
ナショナルライフサイエンスデータベースプロジェクト(NLDP) 高木PD  (富山国際大学 学長・NBDCライフサイエンスデータベース特別主監)
生命科学・創薬研究支援基盤事業(BINDS) 井上PS(大阪大学大学院薬学研究科 教授)

文部科学省

倉田ライフサイエンス課長、西山生命科学専門官

4.議事録

【西山生命科学専門官】
 これより本作業部会の模様を報道関係者と一般の方に傍聴いただきます。傍聴の皆様におかれましては、マイクとビデオを常にオフにしてください。
 それでは杉本主査から一言いただき、進行をお願いしたいと思います。杉本主査、お願いいたします。
 
【杉本主査】
それでは、本作業部会の主査を拝命しました東北大学の杉本でございます。この作業部会では、ナショナルバイオリソースプロジェクト、ナショナルライフサイエンスデータベースプロジェクト、BINDS、AI for Life Scienceという、本国のライフサイエンスにおいて非常に重要な基盤となる事業についての意見交換をするということになっておりますので、皆様のお力を借りながら委員会を進めていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、続きまして、委員を御紹介いたします。資料1-1の委員名簿を御覧ください。今期は12名の委員の皆様にお願いしております。名簿順にお名前をお呼びしますので、呼ばれた方はビデオとマイクをオンにしていただきまして、一言御挨拶いただければと思います。
 では、まず、岡田随象委員。
【岡田委員】
 東京大学の岡田と申します。ちょっと今回の枠組み、完全に理解できているわけではありませんが、できるかぎり協力させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【杉本主査】
鎌田真由美委員、お願いします。
【鎌田委員】
北里大学の鎌田と申します。私も今回初めて参加させていただきますが、何かお力に立てればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【杉本主査】
では、下郡智美委員、お願いします。
【下郡委員】
 理化学研究所の下郡です。微力かもしれませんけれども、頑張りたいと思います。よろしくお願いします。
【杉本主査】
洲﨑悦生委員、お願いします。
【洲﨑委員】
 順天堂大学の洲﨑と申します。このたびはこのような会議にお声がけいただきまして、誠に恐縮でございます。微力ながら、協力させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【杉本主査】
 高鳥登志郎委員、お願いします。
【高鳥委員】
 日本製薬工業協会の研究開発委員会で創薬研究部会を担当している高鳥と申します。民間からは唯一参加のようですが、国のライフサイエンスの基盤の議論に参加させていただくことになり、ありがとうございます。よろしくお願いします。
【杉本主査】
武田洋幸委員、お願いします。
【武田委員】
京都産業大学の武田です。専門は発生遺伝学です。よろしくお願いします。
【杉本主査】
夏目やよい委員、お願いします。
【夏目委員】
医薬基盤・健康・栄養研究所の夏目やよいと申します。微力ですけれども、お役に立てるように尽力してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【杉本主査】
西増弘志委員、お願いします。
【西増委員】
東京大学の西増です。どうぞよろしくお願いします。
【杉本主査】
では、主査代理をお願いしました坂内博子委員、お願いします。
【坂内主査代理】
早稲田大学の坂内と申します。微力ですが、精いっぱい務めさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【杉本主査】
 水島昇委員、お願いします。
【水島委員】
東京大学医学系研究科の水島です。どうぞよろしくお願いいたします。
【杉本主査】
最後に、山崎真巳委員、お願いします。
【山崎委員】
 千葉大学の薬学研究院の山崎です。どうぞよろしくお願いします。
【杉本主査】
皆様ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、作業部会の設置の趣旨等について、事務局から説明をお願いします。
【西山生命科学専門官】
 資料1-2を御覧ください。設置の趣旨、調査事項、設置期間については、御覧のとおりでございます。
 本作業部会は、研究開発の推進方策について御議論いただく予定です。
 また、本作業部会は、参考資料1、2のとおり、ライフサイエンス委員会の運営規則と議事運営等に則って運営いたします。事務局からの説明は以上でございます。
【杉本主査】
 ありがとうございました。では、ただいまの説明内容について、御意見、御質問等ございましたら、挙手ボタンでお知らせください。特にないようでしたら、次の議題に移らせていただきます。
 次の議題は「本作業部会の主な検討事項及び各プログラムの現状・課題について」です。まず事務局より本部会の主な検討事項について御説明した後に、各プロジェクトのPD・PS及び事務局より、プロジェクトの現状及び課題を御説明いただき、プロジェクトごとに質疑応答の時間を設けます。
 それでは、事務局から御説明をお願いいたします。
【倉田ライフサイエンス課長】
 それでは、資料2-1に基づきまして、本作業部会での検討事項について、簡単に御紹介をさせていただきます。
 まず、2ページ目でございますが、本作業部会におきましては、令和8年度で事業期間が一旦終了いたします、こちらの表にお示ししております事業について、これまでの進捗、成果、効果等を検証いただき、令和9年度以降の在り方について御議論いただきたく存じます。
 まず1つ目のくくりが、文部科学省が直轄で行っておりますライフサイエンス研究基盤整備事業、通称NBRPとNLDPのこの2つでございます。
 また、AMEDを通じて支援をさせていただいております生命科学・創薬研究支援基盤事業、通称BINDS、この事業についても、同じく令和8年度で一旦事業期間が終了いたしますので、御議論いただければと考えております。
 また、これらの事業を横串で刺すような形で、現在文部科学省で検討を進めておりますAI for Scienceの特にライフ分野に関わる観点につきまして、例えばデータベースの在り方ですとか、機器の共用の在り方など、いろいろ論点が重なってまいりますので、横串を指していただくような形で、AI時代にふさわしい事業の在り方といったところで御議論いただければと思っております。
 また、データのオープン/クローズ、あるいはセキュリティーの問題、このような新しい課題も出てくるかと思っておりますので、併せて御議論いただくことができればと思っております。
 3ページでございます。こちらがNBRP、NLDPの概算要求のときの説明資料になってございますが、このような形で今現在、今年の予算では約16億円の予算で2つの事業を進めさせていただいております。詳しくは後ほどPS・PDの先生からも御説明いただきますので、省略させていただきます。
 また、4ページ目でございますが、ライフサイエンスのデータベース事業につきましては、現在JSTにおいてデータベースの統合事業を実施いただいております。それを令和7年度から段階的に文科省直轄事業に移行してきておりますので、今回のこちらの作業部会のほうでは、文科省直轄部分のところを御議論いただくわけでございますが、JSTの事業とも重なるところもございますので、そこも含めて御議論のところではいろいろ検討課題なども整理していきたいと考えてございます。
 最後でございますが、BINDS事業でございます。5ページでございます。こちらにつきましては、2002年の「タンパク3000」を最初の起点としまして、その後、いろいろな形で、事業の形態ですとか実施機関も変遷をしてきておりますが、現在はBINDSという事業で、先端機器を皆様に共有いただく事業として進めさせてきていただいております。資料にありますように現在は6つの大きなユニットに分かれていろいろな支援もさせていただいてきておりますが、後ほど先生方から現在の進捗等も御説明いただき、また御議論などもいただければと思っております。
 こちらの作業部会での主な検討事項は以上となっております。以上でございます。
【杉本主査】
 御説明ありがとうございました。では、ただいまの御説明について、御意見、御質問等ありましたら挙手ボタンでお知らせください。
 よろしいでしょうか。
 よろしければ、続いて事業をそれぞれ紹介していただきます。
 
 
< NBRP の事業説明>
 
【杉本主査】
 まず、NBRPのPD 小原先生よりNBRPの現状・課題について御説明をお願いいたします。
【小原PD】
 NBRPのプログラムディレクターを仰せつかっております情報・システム研究機構の小原と申します。よろしくお願いいたします。
 次のスライドお願いします。釈迦に説法ですがバイオリソースというのは、研究に使用されるリソースのことでありまして、これ、ライフサイエンスでは、当然研究目的に合わせて適当なものを使うわけです。
 一方、研究者は、論文発表すると、そこでつくった材料等、他の研究者のリクエストに応じて提供します。このやり取りによって再現性の検証とか、その後の研究の進展が図られてきたのでありまして、これがライフサイエンスの研究を発展させる必須の研究基盤です。逆に言えば、我々ライフの研究者というのは、みんなバイオリソースを持っているということにもなります。
 ただ、分子生物学の初めの頃はそうだったのですけども、研究コミュニティーの規模が大きくなってくると、やっぱり拠点化ということが必要になってまいります。
 拠点化するとメリットがたくさんありまして、まず、効率的にできるということですね。個々にやらなくていい。
 それから、共通したバイオリソースを使うということで再現性が担保できる。
 それから、後で申しますけども、品質管理をしっかりとやりますので、信頼性が向上すると。
 こういうメリットがございますので、拠点化を進めてきたというのがバイオリソース事業でございます。
 これ多分さっきタンパク3000ということがありましたけど、文科省になって最初の、ライフ課の最初のプロジェクトの1つだと思いますが、2002年から第1期の科学技術基本計画を受けて始まりました。国が戦略的に整備することが必要なものということで、体系的な収集・保存・提供の体制を整備するということでございます。
 その後、補助金に移行して、5年ごとに評価を受けて、続けてきて、今、第5期をやっております。第6期に向けて、ぜひ続けていきたい事業でありますから、検討していることでありますけども、第6期の基本計画においても、ゲノム情報等の知的基盤の整備のさらなる整備とか、多様なニーズに応えるための事業の推進ということ、これに向けてやっているということであります。
 それから、横にありますデータベースをしっかりと充実させて、使っていただいていると。
 次のスライドお願いします。現在の体制は、赤で書いてあるところがプロジェクトそのものでありまして、中核的拠点整備プログラム、これは生ものを扱って、収集・保存・提供するということでありますけど、これは右側にありますけど、動物が12リソース、植物8リソース、微生物が10と、細胞遺伝子が3と、合計30ちょっとのものを対象にしております。
 これは情報整備が絶対必要でありますので、下に情報センター整備プログラムというのが1つありまして、これは実はデータベースづくりだけじゃなくて、JBIF、国際多様性ですね、それからGAIN、それからABS対応といったものも含まれておりますけども、これが生ものに対して情報のセンターとして運用していると。
 その間にゲノム情報等整備、それから、技術開発・情報整備がありますけど、ここでゲノム情報とか、色々な基盤技術の整備をプログラム内で公募してやっているということでございます。
 こういう体制で進めてまいりました。
 次のスライドお願いできますか。現在、動物、植物、赤で書いたのが動物で、青が植物、黄色が微生物、それから細胞遺伝子と、三十幾つですかね、ということでやっておりまして、そこにありますような機関が代表機関として対応しているということになります。
 四角で括弧したところは、理研のBRCは、ちょっと歴史的なことがありまして、運営費交付金でやっておりますけども、これも一体としてNBRPとして進めているということになります。
 次のスライドお願いいたします。これはこれまでの大ざっぱな成果状況、成果というか、事業運営状況でありまして、収集数の数、保存数の数、それから提供数、これが経年で書かれております。利用者数、データベースアクセス数、それから提供先からの成果論文数、これが書かれております。
 当初は、これ、平成14年からですかね、始まったので、当然増えていくのですけども、現在では、利用者数も、それから成果論文数ですか、大体、頭打ちと言うとあれですけど、横ばいになって、およそ6,000人弱の方に使っていただいて、論文も毎年2,600前後出ているということになります。
 これ横ばいで増えてないからけしからんとよく言われるのですけども、使うのは研究者でありまして、研究者の人口がどんどん増えているわけでもありません。研究の量も増えるわけではありませんから、そういう意味では横ばいになっていると。もうちょっと言えば、同じものを持っておれば、当然利用は減っていくわけですね。右肩下がりになる。だけど、そうじゃないということは、実は課題管理者等は、プロジェクトの人たちは、随分努力をして、新しいリソースを追加したり、利用法を考えたり、いろんなことをして利用拡大を図っているという、その成果であると思います。
 次からの4枚ほどは、成果ですが、そのごく一部を示しております。これは、マウス、ゼブラフィッシュ、ショウジョウバエ、線虫といった、モデル生物として非常に有名なものでありますけども、こういう形で国内外から利用した論文が出ております。
 その次も、詳細はちょっと時間の関係で省略いたしますけども、ツメガエルとか、ホヤとか、これも新しいモデル生物でありますけれども、モデル生物としての生命プログラムを解明する研究に使われて成果が出ております。
 植物でも、筆頭のシロイヌナズナなんかも同じです。
 イネも、右下ですけども、モデル植物として非常に使われておるわけですが、この研究は、野生イネを使って、栽培化の過程で失われてきたといいますか、もともとあった形質の遺伝要因を明らかにしたということで、こういう形のいわゆるモデル生物を人為的に改変していろいろ研究するということじゃなくて、自然からの知恵を得て、生き物の多様性といいますか、環境変化に対応する遺伝子システムを明らかにするという研究がなされています。
 これはイネだけじゃなくて、例えば、ここには書きませんでしたけど、メダカなんかでも、近縁種、あるいは東南アジアの種を使ってこういう多様な形質の遺伝子を探るという研究がどんどん進んでおります。
 次のスライドお願いいたします。これも植物ですね。コムギ、トマト、アサガオ、藻類と、それぞれに優れた研究が出ております。
 藻類では、こういうふうに「窒素固定性オルガネラをもつ藻類の発見」という、新しい発見も行われておりますし、次のスライドお願いできますか。微生物におきましても、こういうふうに同様に多くの研究が出ているということで、御紹介させていただきます。
 原核生物の大腸菌なんかは、もともと生命の基本システムの研究が主だったのですけど、これを使って進化のことを調べるとか、新しい使い方が行われているということが特徴であります。
 こういった論文は、右下にありますRRC、Research Resource Circulationという、NBRPのホームページの中にありますが、ここで全部見ることができまして、検索もできるようになっております。
 次のスライドお願いします。こういった成果が出ているのですけども、こういった利用拡大のためにリソースの運営の方々は大変な努力をされております。
 まずはクオリティーの向上でして、リソース収集というのは基本寄託を入れてやるのですけども、寄託リソースには不具合というか、間違いが結構あります。これは理研BRCからお借りしてきた情報なのですけども、実験動物マウスの場合だったら、例えば遺伝子情報とかの間違いとかが10%ぐらいあるというんですね。こういう場合は、全部提供者、寄託者に連絡をして、情報が間違っているのだったら修正してもらう、あるいはマウスを再度送ってもらう、あるいは、交配によって余分な遺伝子を除去するとか、そういった形で正しい情報に合わせたリソースにして、それから公開するという形にしております。
 他の植物、微生物、細胞でも、程度は違いますけども、同様に間違いがありまして、それぞれきちっと対応して、正しいものを提供するということをしています。
 他のNBRPの場合も、リソースが違いますけれども、同様のことが起こっておりまして、それを正した上で、寄託リソースに含まれる不具合を是正して提供しているということで、研究コミュニティーに流通するリソースの真正性を担保していると、こういう努力をしております。
 それからまた、受け取ったものをきちっと変わらないように保持しないといけません。迅速に提供するためには、生かして継代保存するのが一番いいのですけども、数が増えてくるとそうもいきませんし、無限には増やせませんので、長期的な安定保存、これは必須であります。一番いいのは凍結保存でありまして、そのための技術開発等も行っております。
 もちろん人間がつくったものであれば、精子保存で基本いいのですけども、特に近交系でないもの、新しい野生由来の生物とか、新しいものは、胚とか卵の保存も必要であります。
 これがなかなか難しかったのですが、NBRPの技術開発のプログラムで、PGC、始原生殖細胞、これを使って個体復元をするということを割と簡便にできるようになった。簡便ではないですけども、技術的に可能になったということでやっております。
 例えばショウジョウバエは、これは非常に優れた……。
【杉本主査】
 すみません、小原先生、ちょっと時間が限られておりますので、あと2分程度でまとめていただければありがたいです。
【小原PD】
すいません。そういう努力をしているということです。
 こういうことを受けて、次のスライドお願いいたします。評価は、文科省の中に課題評価委員会をつくって評価をしていって、個々の取組に対して、個別の評価を伝えているということでありますけども、様々な指摘事項がございます。
 新たに支援すべきリソース発掘・追加しなさい、あるいは評価指標、これも必要であるというようなこと。ただ、極めて重要であるので、引き続き安定的なバイオリソースの収集・保存・提供をするという、こういったこと。それから、老朽化が進みますから、計画的な更新を進めてくださいというようなことを指摘されております。
 次のスライドお願いします。こういうことを受けて、リソース事業内部で、PD・PO、あるいは関係者でいろいろ議論も進めておりまして、検討すべき課題としてこれを挙げております。
 次期事業の骨格でありますけども、今日も冒頭課長からもお話ありましたけど、新しい学問の流れに変わっておりますので、それに対応した生物種を発掘して支援する仕組みが必要ではないか。
 それから、そういう場合に、先ほど申しましたけども、野生系統も含めて、環境との対応ということが非常に重要でありますので、それに適した、例えば日本の多様な自然環境に定着してきた生物種でありますとか、そういうものも含めて戦略的に収集・保存する必要があるのではないかと。
 特にAI技術が発展している中で、それに適するバイオリソースを体系的かつ効率的に収集する必要があるのではないかということを考えております。
 あとは、参画する人材の確保、それから、情報基盤の整備、これは特にAIとの連携が必要でありますので、最重要と。
 それから、評価軸も、先ほどありましたけども、これらのことを反映した新たな評価軸を考えるべきじゃないかということを検討しております。
 それから、持続的な事業運営ということ。
 こういうことに対応して、最後のスライドお願いいたします。新潮流ですね。特に新しい潮流に展開するために、新しいリソースを入れたり、新しいデータを戦略的に取得するということをしていくべきであると。
 ただ、重要なリソースの事業は、改善の上、継続が必要。サステナブルな事業体制をつくろうということで、これを達成するためには、リソース機関を複数のカテゴリーを用意して、多様なリソースを網羅できないか。今は中核機関だけなのですけども、維持をする機関、あるいはネットワーク、また、予備軍としてそういう機関を整備するということが効果的じゃないかというふうなことも考えております。
 それからあと、こういう新しいデータを取るためには、技術開発・情報整備プログラムが現在ございますけども、これを拡充して、潮流を先取りするような情報整備を推進していくべきだろうと。
 ここにネットワーク機関と書きましたけど、新しいリソースの予備軍ですね。そういった新しいものをどんどん使っていただいて、新しい生物種の情報を整備するということ、特にAI for Scienceに向けた戦略的なデータとして取得を推進するということをやっていくべきだろうと考えております。
 そのためには情報センターの強化が必要でありますので、これも含めて、体制を強化すべきであろうと考えております。
 ちょっと超過しました。以上でございます。
【杉本主査】
 小原先生、御説明ありがとうございました。では、ただいまの説明内容について御意見、御質問等ありましたら、よろしくお願いいたします。やはり12ページ、13ページのところが重要かと思いますので、いかがでしょうか。
 高鳥先生、お願いいたします。
【高鳥委員】
 高鳥です。小原先生、御説明ありがとうございました。
 ひとつ質問させていただきたいのですが、アカデミアの先生方がいろんな研究成果を出されているということは理解したのですが、バイオリソースを利用している企業の割合はどのぐらいでしょうか。
【小原PD】
 企業の方も結構利用があって、もちろんその場合は、バイオリソースプロジェクトですから、MTAを結びます。その場合は成果に関してはできるだけ公表してほしいと申しておりますけれども、利用率、今、何%ですかというのはちょっと即答できませんけども、かなりの数の利用がございます。
【高鳥委員】
 ありがとうございます。そうしますと、どのような成果が出たかというのが見えるとよいのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。製品化につながったとか、アカデミアの先生方の研究成果を使って企業で製品化されたなどの例がそれなりにたくさんあればいいのかなと思ったのですが、どうですか。
【小原PD】
 なかなかMTAの場合は、基本、公開をするということですので、あれですけど、製品化というと、例えば、大分古い事例なのですけども、オオムギのリソースを使って、某ビール会社のクオリティーが上がったとか。脂質の酸化を抑えるということがあったので、そういう形で製品化されているものがございます。
【高鳥委員】
 ありがとうございました。以上です。
【杉本主査】
 では続いて、武田先生お願いします。
【武田委員】
 小原先生、どうもありがとうございました。成果も十分上がっていると認識しましたけれども、むしろ今後のことについてちょっとお尋ねします。おっしゃられるように、要するに、時代の要求というか、研究者の要求も変わり、それから技術も上がりという中で、新しいリソースを加えるということがこの枠組みでできるのかということです。つまり、入替えなのでしょうか、それとも、新しく増やしていくという形を考えられているのか。恐らく今あるものをある程度維持しつつ、新しく入れていくことになると思いますが、どう考えていますか。
【小原PD】
 もちろんこれは予算次第です。現在33リソースありますけど、そこはちゃんと精査をして、入替えも含める、あるいは大きくしていくものもあれば、縮小することがあるでしょう。そういうことは、もし予算が一緒であれば、考えていかないといけない。
 ただ、こういう時代に我が国固有のものとか、古く入れたものでABSの関係では二度と取れないものに関してはきちっと整備していくことも国策として重要だと思いますので、それは強く訴えていきたいなと思います。
【武田委員】
 それと、やっぱりこれを使った研究の発展なしにはバイオリソースの発展もないと思うのですよね。その辺の研究とそれからバイオリソースの中間的なパイロット研究みたいなことはこの予算ではないのですよね。基本的には個人研究で取れということをずっとやってこられたのでしょうかね。
【小原PD】
 はい。ただ、中間段階もありまして、ゲノム情報等整備、あるいは基盤技術整備プログラムとか、コミュニティーの総意であれば、新しいリソースを開発する、あるいは技術を開発することも許容しています。
 全くの個人研究は、それは科研費等でやってくださいということです。
 ただ、今日ちょっと申し上げたのは、やっぱりAI時代になって、新しい生物、あるいは野生由来のものもデータがもっと必要だろうと。AIに食わせるためにも絶対要るということであれば、そこは何らかの予算を増やしていただいて、あるいは構成を融通するとかをして、2つ目のところ、これは拡充しないとやっぱりもたないだろうなと思っております。
 AIって、かなりデータを体系的に揃えて食わさないといけないので、そこを頑張っていかないといけないなと思っています。
【武田委員】
 分かりました。ありがとうございます。
【杉本主査】
 では、水島委員、お願いします。
【水島委員】
小原先生、どうもありがとうございました。私もバイオリソースには大変お世話になっていて、マウスも、ゼブラフィッシュも、細胞遺伝子とか、多くのものを寄託させていただいているのですけれど、本当に非常に丁寧にやっていただいていて、クオリティーチェックはすごいと思っているのですが、全体の予算を考えると、受益者がどのくらい負担しているかというところ、多分いろいろ議論あったと思うのですが、今現在ではどのくらいが受益者負担になっているかというのは分かりますでしょうか。
【小原PD】
 これはライフ課で調べたのかもしれませんが、現在の提供手数料はあくまで提供に関わるところ、保存しているところから出してきて、それを梱包して送る、チェックして送るというところの費用だけなのですね。人件費も含めて。もっと要るのではないかということもあるのですが、そこは抑えています。
【水島委員】
 そうですね。本当にすごいサービスだと思いますので、感覚的にはもう少し受益者負担もあってもいいのかなとちょっと思った次第です。
【小原PD】
 御承知のとおり、ここ数年、人件費がどんどん上がっていったり、光熱費がどんどん上がっていって、実はもうパンクしている状態なのですよね。特に人件費がほとんどを占めるというリソースも結構ありまして、そういうところはなかなか手が回らないので、追加配分とかでいろいろ手は打っているのですけども、大変になっています。
【水島委員】
 ありがとうございました。
【杉本主査】
 山崎委員、お願いします。
【山崎委員】
 山崎です。ありがとうございました。本当にバイオリソース、重要な働きをしているというのを毎日感じているところなのですけれども、やはり生物多様性とか、進化の問題とかというのは今後、ますます重要になると思うのですが、先ほどの武田先生の話とも関連するのですけれども、例えば今までの丁寧に扱って提供していくバイオリソースと異なるカテゴリーで、自然から、野生のものとかのデータを取っていくというのは。
【小原PD】
 そうですよね。その場合でも、ex situなのか、in situで保存するのかってありますし、実験室では維持が難しいものもあると思います。
【山崎委員】
 野生じゃなくても、モデル生物じゃないものも、シークエンスなり何なりを集めていくというようなのは、また別のカテゴリーになるのですか。
【小原PD】
 2つあって、それもやっぱりアクセスできて研究に使えるようにするということと、情報だけでもいいんじゃないかという考え方もありますよね。両方やっていくのかなと。
【山崎委員】
 できるところをということですね。
【小原PD】
 はい。そのためには、今、例えばゲノム情報なんかどんどん取れることになりましたから、それを先取りして、この中でどんどん決めていって提供する。実際、生ものに関してはなかなかそれを提供するということは難しいかもしれないけれども、そういう情報を整備するということも、今後のこの時代にとっては重要なのかなと考えております。
【山崎委員】
 ありがとうございます。
【杉本主査】
 坂内委員、お願いします。
【坂内委員】
 ありがとうございます。小原先生、ありがとうございました。日本の国内のバイオリソースを統合するすばらしい試みで、ぜひ続けるべきだと思います。ここでお伺いしたいのが、海外のデータベースの、というか、バイオリソースの在り方と、ナショナルバイオリソースプロジェクトの違いというのとかを教えていただけますでしょうか。
【小原PD】
 リソースごとに随分違うのですけども、例えばマウスだったら、ジャクソンとか、非常に大きなものが当然あります。ただ、持っているものは、オーバーラップはしますけども、それぞれユニークなものを持っていることと、やっぱり国内に持っていないと、今の何とかファーストの時代にあっては、国内でちゃんと持っているということが非常に重要であると思います。
 それ以外は、かなりのものがここにしかないというものも結構ありまして、そこはすみ分けというのをきちっと、必ず僕らも聞いているんですね。海外とどれだけオーバーラップしていますか、どこに何があるのですかと聞いておりまして、それはちゃんと考えた上で皆さん収集の内容を検討しているということでございます。
【坂内委員】
 大変よく分かりました。ありがとうございました。
【杉本主査】
 ありがとうございました。いろいろ御意見出ましたが、やはり今後、今までのリソースをどうやって維持するのか、新しいものを増やすことができるのか、受益者負担なので、ちょっといろいろ課題が出てまいりましたので、引き続き検討するということでよろしくお願いいたします。
【小原PD】
ぜひ規模を大きくしていかないと、やっぱりそれは難しいこともありますので、よろしく御検討お願いします。
【杉本主査】
 ありがとうございました。
 
 
< NLDP の事業説明>
 
【杉本主査】
 続きまして、NLDPのPD、高木先生からNLDPの現状・課題について御説明をお願いいたします。
【高木PD】
 NLDPのプログラムディレクターをしております高木でございます。よろしくお願いします。
 それでは、その次のスライドをお願いいたします。NLDPは、この後も御説明申し上げますけども、今年の4月からスタートした事業でございますので、その前のプロジェクトといいましょうか、それがどういうような形で、どういう目的で、どういう成果があったのかということをまず最初に御説明いたします。
 私ども、統合データベースプロジェクトと呼んでおりますけども、これが2006年からスタートしております。今から約20年前でございます。それの受皿といいましょうか、それを推進するセンターとして2007年に情報・システム研究機構、ROISの中に、DBCLSというセンターがつくられたわけです。どこにこの統合プロジェクトを置くかということはその当時いろいろ議論ありましたけども、共同利用機関がよかろうということで、ROISに置かれたと。
 その後、2011年にJSTにNBDCができました。これは統合データベースプロジェクトが時限プロジェクト、5年間、厳密には4年半のプロジェクトでございましたので、それを受ける形でNBDCが設立され、その後、今年からNLDPがスタートしているというわけでございます。
 このプロジェクトの目的でございますけども、世界的には、この分野、ライフサイエンスの分野は1万から2万というぐらいの多くのデータベースがございます。それが非常に分散管理されておりますし、それぞれがフォーマットやオントロジー、ID、それからインターフェースがばらばらでございますので、これを使いやすくして、生命研究、それからバイオ産業の効率化を図るということを目的にスタートいたしました。
 この中では、そこにありますように幾つかの取組をしております。最近ですと、FAIR原則のように、ファインダブル、それからアクセシブル、それからインターオペラブル、それからリユーザブルという形で、データベースの利用、再利用、アクセス性に関しまして様々な基準がございますけども、基本的には、それを推進する、その4つの目的を達成するためにここにあるような取組をしてまいったわけでございます。
 その当時はFAIRという言葉はございませんでしたけども、我々がやってきたことはFAIRに相当することをこれまでやってきたというわけでございます。
 ターゲット層は、そこにありますように、ライフサイエンスの研究者全般ということになります。
 次お願いします。今お話しいたしましたけども、どういう形でこれまでの事業がそういうことで変遷してきたかということでございます。詳しくは説明申しませんけども、2番目の青い丸のところに書かれておりますように、平成20年に内閣府の総合科学技術会議で議論がございまして、それを受ける形で、2011年からJSTにNBDCができたと。それまであるDBCLSと連携して進めていくということになりました。
 そこの後に見直しと書いてございますけども、このような形でいろいろ進めてまいりましたけれども体制を少し見直したほうがいいんじゃないかということで、DBCLSが担う部分とNBDCが担う部分というのが整理されまして、DBCLSが担う部分がNLDPという形で事業になってきているというわけでございます。
 ちょっと分かりにくくて恐縮ですけど、次お願いいたします。今お話ししたような内容は、データベースの整備等を進めるということですが、イノベーション基本計画でありますとか、様々なイノベーション戦略、バイオエコノミー戦略等にその重要性がうたわれておりまして、こういうものを基盤としてプロジェクトが推進されてきました。
 次お願いいたします。これは先ほど口頭で申し上げたことをもう一度ポンチ絵にしたものでございますけども、これまではNBDCとDBCLSが連携する形で、NBDCから研究委託をするという形で、DBCLSが技術的なこと、研究開発的なことをやってきたわけです。
 これを整理いたしまして、今年からNLDPという形で、DBCLSの事業が文科省の直轄事業になったというわけでございます。
 こういう形で今整理を進めておりまして、NBDCはファンディング事業を中心にする。それから、DBCLSはデータベースの開発・統合を進めるという形で今プロジェクトが整理されているところでございます。
 次お願いいたします。これがこれまでの20年近くやってまいりましたプロジェクトの成果をざっとまとめたものでございます。皆様御存じのデータベース等もあるかもしれませんけれども、そこにあるようなデータベースの規模感といいましょうか、どれぐらいのデータが統合されているのかとか、そういうことがそこにメモとして載せてあります。詳しいことはもう少し後で説明いたします。
 当初は、ライフサイエンス研究者向けにデータベースを開発してきたわけでございますけども、最近のAIの発展を受けまして、我々がつくってきたデータベースがAIに使えるといいましょうか、不可欠であるというようなことが明らかになってきて、これをさらに推進したいと考えております。
 その他の活動といたしまして、データベースとかツールをつくるだけではなくて、様々な国際連携、国内連携の活動をしてきております。
 それから、普及活動としては、トーゴーの日シンポジウムというのを年に1回開いていますけども、これも今500名ぐらい集まるようなシンポジウムになってきております。
 次お願いいたします。今ざっと話したことをまとめたポンチ絵にしたものが、このスライドから四、五枚のスライドでございます。時間の関係で詳しいことは御説明申し上げませんけれども、そこにあるように、カタログでありますとか、生命科学のデータベースの横断検索でありますとか、それから、いろんなものをアーカイブして保存するという事業でありますとか、あるいは日本人のゲノムのバリエーションをまとめたデータベースでありますとか、様々なものをつくってきているということでございます。
 次お願いいたします。これは今申しました幾つかの我々がつくってきた統合データベースが他の国内外のデータベースとどのように結びついているかということです。我々が整理してきてきたものをベースに様々なデータベースとの連携が図られているというようなことでございます。
 一番上の左が日本人のゲノムバリアントのデータベース、真ん中のものが、データベースは様々なIDが使われておりますけど、それを整理統合したものでございます。一番右が、PubCaseFinderというもので、希少疾患、難病の関係のデータベースでございます。このような形で連携を図っているということでございます。
 次お願いいたします。これまで私どもがつくってきた、これも詳しいことは説明申しませんけども、元データから知識の形で整理した知識グラフにしますが、そのために幾つかのツール等を開発してきておりますし、今度は知識グラフをベースにいたしまして、それを使ったアプリケーションといいましょうか、エンドユーザー向けのサービスを様々展開してきているというわけでございます。
 次お願いいたします。ここから2枚はファンディングでどんなようなものをサポートしているのか。ここ数年の活動だけでございますけども、そこにあるように、プロテオームのデータベースに始まりまして、下のほうには、例えばたんぱく質の立体構造のデータベース、PDBjなどもサポートしてきているというわけでございます。
 次お願いします。今申し上げましたのは本格型と私ども呼んでおりますけども、非常に世界的にも確立したデータベースを中心に支援してきておりますけど、それとは別に最近出てきた新しいタイプのデータベースのサポートもそのような形で育成型という形でファンディングの形で整備して進めているということでございます。
 次お願いいたします。これまでずっと私どもの活動、それから日本の活動を御紹介いたしましたけども、海外のデータベースセンターがどういう活動をしているか、どれぐらいの規模かということを1枚のスライドにまとめております。
 皆さんよく御存じのNCBIは大体340名ぐらい、予算290億ぐらいでサービスをしております。
 それから、欧州は、EBIでございますけど、650名ぐらい、それから170億円規模でデータベースのサービス。
 中国は少し遅れて今から20年ほど前にスタートしておりますけども、NGDCという形で、前はBIGと呼んでおりましたけども、そういうようなところでやっている。
 我が国は、そこにありますように、非常に規模が1桁2桁小さいわけでございまして、70名ぐらい、DDBJと合わせての話ですけども、予算規模も15億円ぐらい、この予算規模の半分ぐらいはスパコンの費用でございます。
 次お願いいたします。これはデータベースのサイズから見たものでございます。左側がいわゆる生データでございまして、一番左側が大きいのが、SRAと呼んでいるようなシークエンスリードアーカイブという生のシークエンスのデータでございます。こういうものがございますと。青いのが日本のものでございます。
 右側がそれを整理して、知識グラフ、知識ベースの形にしたものがそこにあるようなものでして、日本が中心にこの辺りの整備を進めてきておるというわけでございます。
 次お願いいたします。このような現状を踏まえまして、じゃあ、どういうような課題があるかといいますと、いろんな意味でなかなか厳しい状況でございます。データシェアリングポリシー、それからデータマネジメントプランに関しましても、欧米に比べまして、義務化、その他が弱いですし、スパコンなりディスク、それから人材、様々なものが我が国の場合貧弱な状況でございます。
 それから、欧米ではデータベースの多くは一元管理されておりますけど、我が国のほうは、先ほどお話ししたように、いろんなデータベースセンターでいろんなファンディング等を使いまして分散した形で整備を進めてきているというわけでございます。
 ただ、私どもとしては、知識グラフというのは日本がリードしていると考えております。
 あと、技術的な課題は省略いたします。
 次お願いいたします。それでは、こういうようなことを踏まえて、今後の方向性としてどういうことが考えられるかということでございます。それを1枚にまとめております。
 1つは、AI for Scienceということで、私どもの強みであります知識グラフを基盤として、AI用に整備を進めていく必要があって、これをAI用の学習データなり検証用データとしてより使えるものにしていくと。
 それから、我が国の場合は1次データベース、例えばDDBJとDBCLSでは組織が別々で運用していましたけど、これを一体的な運用にしていかないといけない。
 それから、AI戦略に基づいたプロジェクト、それから多様なデータ生産プロジェクトがこれから出てまいりますので、そういうところとプロジェクトのスタートから連携した形で、我が国に重要なデータベースを整備していくと。
 2点目は、研究基盤としてのデータベースでございますけども、計算機資源なり人材を大幅に拡充いたしまして、データベースとツールが統合的に使える、AIの専門家ではないような人、ITのことをそれほど詳しいことを知らないような方にも使えるような形にすると。
 そのためには、データベースをファンディングだけではなくて中でつくっていくということ、そのための基盤をつくるということ、それから、ある種のテナント型で様々分散して置かれているようなデータベースを1か所にできるだけ集めてきて、AI for Scienceに提供すると、こういうことが必要だろうと思っています。
 そのためにもやはりもう少しナショナルデータベースセンターとしての意識を持って事業展開をしていくということで、この中には様々な国際連携も含めますし、データ提供インセンティブの仕組みなんかも考えていかないといけないと思っています。
 次のスライドお願いします。これが最後のスライドでございます。今、1枚前のスライドでお話しした、事業展開、非常に抽象的に書いておりましたので、よりもう少しイメージをつかんでいただくためにかみ砕いて書いたもの、中身を少し具体化して書いたものでございます。
 1次データベースをきちんとより整備する。それから2次データベースをAIの学習用に使うということ。それからナショナルセンターとしてインフラその他の整備をするということ。右のほうに書いていますように、欧米ですと我が国より大変多くのディスクを抱えていますけども、これをもう少し増やして、1次データベース、2次データベースを日本でもきちんと管理できるようにし、その下にあるような、従来は非常に面倒な検索が簡単にAIを使って、あるいはチャット的に行える、あるいはもっと言うと、答えまで、解析の結果までお知らせするというようなシステムをつくっていきたいと考えております。
 以上でございます。
【杉本主査】
 御説明ありがとうございました。では、ただいまの説明内容について、御意見、御質問等ございますでしょうか。夏目委員、お願いします。
【夏目委員】
 ありがとうございます。1点質問なのですけれども、これまで蓄積されたデータを知識グラフの形に直して、AIで利活用しやすいようにするという取組はすばらしいなと思ったのですけれども、こちらに関して、例えば海外のこういったデータセンターと蓄積しているデータを連結できるようにIDを統一していくんだとか、そういった国際的な連携といいますか、そういった調整というのはどのぐらいされているのでしょうか。
【高木PD】
 今、私どもでは知識グラフをベースに、知識の整理といいましょうか、データの整理をしていると申しましたけども、これは当然欧米でも行われておりまして、そこは欧米で整備するもの、我が国で整備するもの、整理、すみ分けといいましょうか、連携してやっております。その中で、IDの連携でありますとか、そういうようなことも含めてやっておりますので、非常に緊密な形で連携を進めていると御理解ください。そのために私どもは、バイオハッカソンという会議を年に1回開催しておりまして、これは国際的なものですけども、海外でデータベースをつくっている方を招聘いたしまして、一緒に標準化でありますとか、IDの統一でありますとか、様々な取組をしているという状況でございます。
【夏目委員】
 やっぱり知識グラフの利活用という点ですと、国内で収集されたデータというところだけに特化させずに、できるだけ大きなデータを密な形でグラフをつくるというほうが理想的だと思いますので、そのために、海外のデータセンターとの連携って必須だと思いますし、あとは、日本のプレゼンスという意味でも、そういったところで、日本が全世界の知識グラフというリソースをつくっていくためにこういった役割を果たしているというのが見えてくると、すごくその役割というのか重要性が伝わってくるんじゃないかなと思いました。ありがとうございます。
 あと、最近、AIエージェントによる利用というのがどんどん進んでいるところなのですけれども、そのためにはMCP、モデルコンテクストプロトコルで実際に利用できるようになっているかどうかというところも重要になってくると思うのですが、そちらは国内のデータベースでどのぐらい今進んでいるのでしょうか。
【高木PD】
 MCPの開発は、今、私どもとしても進めておりますけれども、ちょっと今、国内、それで先ほど御質問あった件ですが、国内のデータベースだけを私ども知識グラフ化しているわけではなくて、海外でつくられたものを知識グラフも統合化しています。
 そういう意味で、連携しながら、あるいは国外のデータベースも知識グラフにしながら、それをまたMCPという形で今使えるような準備をいろいろしているという状況でございます。
【夏目委員】
 すばらしいと思います。ありがとうございます。
【杉本主査】
 では、岡田委員、お願いします。
【岡田委員】
 岡田でございます。お世話になっております。ちょっとユーザーの視点から質問させていただきます。私自身、NBDCにはかなりのデータを登録させていただいておりまして、ヘビーユーザーで、大変お世話になっております。その観点から、大変こういう事業、大事だと思います。特に昨今、データの複雑さとか容量、種類が多くなっています。一方で、データのデポジットが論文投稿の際に必要になってくるということがありまして、やはりここを強化していく、遅滞なく進められるということが、本邦からの研究発信に非常に重要なステップになってきておりまして、ここはぜひ強化していく必要があるかなと思います。
 私個人の正直な話をすると、結構データデポジットに時間がかかってしまう。結構それは、いろいろあると半年ぐらいとかかかってしまったりして、結局間に合わないことが多く、恐らく私も含め、幾つかの研究者、NBDCだけではなく、海外のdbGaPとかEGAとかも並行してデポジットして、何とかデポジットを終わらせてという例が増えてきていると思うのですね。今後、恐らくデータがより複雑になることを考えると、デポジットの迅速化と体制の受入れって非常に重要かなと思っています。
 特に博士課程の大学院生の学位申請みたいな感じでも、ここが終わらないから学位がみたいな話が非常に結構よく出てきてしまっている。やはり私、こういった事業は、予算の安定化と財源化が必要だと思います。データベースのキュレーター、特にデータを受け取って登録する、公開するというところの根幹のところにおける人材の確保と安定的な雇用というのは非常に重要でありまして、そこは大事なところかな。いろいろな活動も大事かと思いますが、私はやはりそこが一番大事なところではないかと思います。EGAとかdbGaPと比べて非常に少ない人数でやりくりされているというのは感じるところですので、強化していただいたほうがいいかなと思います。
 一方で、ちょっと内部の仕事が少し複雑だなと思うこともあります。一番思うのは、倫理審査ですね。一般的に倫理審査を受けられて、認められたデータをデポジットするのですけど、これ、NBDCでもう1回倫理審査の審査と承認が、二重審査のような形があって、そこで非常に時間がかかってしまったり、もともとの倫理審査で要求されていなかったような情報、それは主に個人識別符号に当たらないような情報において求められることがあって、結構デポジットが止まっちゃって、にっちもさっちもいかなくなったり、非常に遅れるということがあるのですね。私は、もともとデータベースというのは、やはり研究者の責任のもと、補助するものだと思うので、二重審査のシステムは、dbGaP、EGAもほかにもありませんので、やはり時間を長くする1つの要因になってしまっているので、極力なくすべきかなと思っています。
 特に非識別符号、個人の識別符号に当たらない統計量とか、そういったものを使った解析というのは、現行の研究計画ですと、個別の研究室の計画に書かれてない範囲で行うことが多いので、それをNBDCから要求されてしまうと、研究がデポジット止まってしまって、しょうがないから海外になりますので、少し、いわゆる対応していくためには、安定的な財源による雇用の拡充とともに、やはり業務の簡素化と、やはり責任の所在を研究者に移すことによって迅速に対応するということがどうしても必要になってくると思います。今後、ちょっとそんなことも御検討いただけますと幸いです。
 以上です。
【高木PD】  
岡田先生、ありがとうございました。まず1点目の御指摘の点でございます。確かに今データベースにデポジットする。これは、ヒトのデータに限らず、様々なデータベースに入れるときのデポジットといいましょうか、入れるときの手間が相当かかっていることは事実でございますし、受入れ側もそうですし、出すほうもそうだと。これがやっぱり1つのオープンサイエンスなりデータベースを整備する上での大きなボトルネックになっていると私どもも理解しております。
 それをやはり最近のAIを使ってより簡便にする、あるいはいろいろ生物データ種が違っても、1つのシステム、基本的な枠組みで使えるようにするとか、様々な取組をすることによって、コストといいましょうか、ハードルを下げることが必要だし、それは今のAIの技術を使ってよりできるようになってきているのではないかと思いますので、できるだけそこのデータ登録の手間を省いていく、あるいはそのためのデータの検証といいましょうか、そういうことの手間を省いていくということに今後注力していきたいと思っております。
 それで2点目は倫理審査のことでございますが、これは先生もよく御存じのように、海外の場合は倫理審査を経てないようなものもいろいろございますので、そこのところの倫理審査をどういうふうに簡便化するといいましょうか、省略していくかということが1つの課題だと思っておりまして、それは今後、今、取り組もうというところでございます。以上でございます。
【杉本主査】
 ありがとうございました。では、岡田委員お願いします。
【岡田委員】
 すいません。いずれにしろ、NBDCさんの研究開発に非常に助けていただいておりますし、ほかに国内のカウンターパートはありませんので、いずれにしろ、NBDCさんに拡充して頑張っていただくという以外に根本的な解決はありませんので、その点は強調させていただきたいと思います。以上です。
【高木PD】
 ありがとうございます。
【杉本主査】
 ありがとうございます。では、鎌田委員、お願いします。
【鎌田委員】
 高木先生、御発表ありがとうございました。バイオインフォマティシャンとしては、なかなか泥臭いといいますか、大変なところをいかに使いやすくするのかというのを工夫されているなといつも拝見しております。
 ちょうどデータデポジットの話がありましたが、今、様々なデータ生成のプロジェクト、先ほど、小原先生、NBRPでもゲノムデータを情報として扱うということもお話しされていましたけれども、そういったデータを生成するプロジェクトの連携であったりとか、またそれを使っていくAIのプロジェクト、我々も創薬AIの基盤構築などを行っていますけれども、そういったところとの連携というのは何かお考えでしょうか。
【高木PD】  
今、具体的にこのプロジェクトとどうするということは、既に走っているものを除いて特にあるわけではございませんけれども、今後、先ほどちょっと触れましたけれども、AIのプロジェクトが、ライフサイエンスの分野でもAIのプロジェクトがスタートする、あるいは大規模データ取得のプロジェクトがスタートすると理解しておりますので、そのプロジェクトと、最初からデータ生産の出発点から連携をしていって、そのデータベースを例えば私どものところに全部お預かりをし、それが統合的に簡単に使えるような仕組みをつくっていきたいと。それが先ほど申しましたデータベースを内製化するとか、あるいはテナント型でいろんなデータベースを1か所に集めるということを申し上げましたけど、そういうようなことを考えております。
 データベースは、先ほど申しましたように世界中に非常に多数ありますし、フォーマットなど様々、ばらばらなところもございますので、それを私どものノウハウを生かして、AIのプロジェクト、あるいはデータ生産プロジェクトの方々と最初から連携した形でスムーズにそれが解析できるような環境をつくっていきたいと考えております。
 以上でございます。
【鎌田委員】  ありがとうございます。やはりAIというのは、単体のデータベースだけじゃなくて、様々なデータベースを統合して使っていくものですし、あと、特にセマンティックを有しているような知識グラフの形というのは今後、特にAIエージェントだったりとか、そういったところでもすごく役立ってくるんじゃないかなと思って見ております。
 やはりそうなってくると、もはやインフラだと思っているのですが、そういったところで、先ほどデータの量だったりとか数だったりとかをお示しいただいていましたが、夏目先生からも御指摘のあったMCPとかであれば、また、成果の評価の仕方も変わってくると思いますので、その辺は今後も検討が必要なのかなと思いました。
 最後、ちょっとコメント的で申し訳ありません。ありがとうございます。
【高木PD】
 ありがとうございました。
【杉本主査】
 では、下郡委員、お願いします。
【下郡委員】
 恐れ入ります。海外と比べて、予算規模と人員規模等を考えると、これだけのことをされているのは、本当に頭が上がらないと思いました。こういうのをやっぱりもっと効率的に行うとなると、データベースとかって外から見ているとなかなか分からない点がたくさんあるかと思うのですけど、実際に海外でこういうのをやっている人たちを例えば呼んできて一緒に交流をするであるとか、逆にあと、人材育成も考えて、日本国内の研究者を逆に海外に送って、つくり上げてしまう、もっと前の段階から情報を交換して、一緒の同じような基盤のものをつくっていくというようなことをされているのか、もしくはそういうような制度がおありになるのかというようなことをちょっと教えていただきたいと思ったのです。
【高木PD】
 ありがとうございます。まず、今、海外との交流に関しましては、先ほどお話ししましたように、年に1回、バイオハッカソンというものを開いて、海外のデータベース関係者を呼んできて、そこで1週間合宿をしてディスカッションしています。それ以外にも幾つもの別の、例えば論文テキストのアノテーションをするためのハッカソンをするとか、知識グラフのアノテーションをするという形で、年に数回そういうふうな形で海外と連携を図っております。
 あと、個別には客員で来ていただくとか、そういう取組もしております。ただ、それが制度的に今何かあるわけではございませんで、海外から呼んでくる、あるいは私どもも、日本から海外のワークショップその他に出ることは多々ありますけれども、もう少しより緊密な形で日本の研究者、開発者が海外に滞在する、あるいはその逆という形は、まだ個別の取組になっておりますので、今後そういうことを強化していく必要があるかなと思いました。
 以上でございます。
【下郡委員】
 ありがとうございます。
【杉本主査】
 では、高鳥委員、お願いします。
【高鳥委員】
 高鳥です。1点ご質問させていただきたいのですが、すばらしい事業をずっと以前からされているということは承知しているのですが、扱うデータの範囲についてなのですが、様々な疾患データとか、最近はバイオバンクのサンプルを活用して、ゲノム解析や各種オミックス解析などを疾患情報とともにデータ化し、データベースを構築するというような動きも結構あると思うのですけども、そういったデータというのはこの事業では取り扱うスコープに入っているのでしょうか。
【高木PD】
 先ほど申しましたように、私どもとしては、ヒトのバリアントといいましょうか、日本人のバリアントに関しましては、日本で出てくるプロジェクトの全てではありませんけども、取り入れて、それを統合的に使える、あるいはそれと海外のバリアントと連携させているということはございます。そういう活動とは別に、東北大学のバイオバンクと連携するとか、そういうことをやってきております。
 私ども、この統合といいましょうか、データを統合して使う、一番すぐにメリットが出るのが、いわゆる疾患解析とか、あるいは創薬ということだと思っておりますので、そこに今、どちらかというとターゲットを絞って、開発を展開しているところでございますけども、まだまだ全てのデータがこの中に統合されているわけではございませんので、今後、連携しながら、そこのところの強化を図っていきたいと考えております。
 以上でございます。
【高鳥委員】
 ありがとうございました。
【杉本主査】
 ありがとうございました。また、では、後ほど全体討論でもまた意見交換できればと思います。
 高木先生、ありがとうございました。
 
 
<BINDSの事業説明>
【杉本主査】
 続きまして、BINDSのPS、井上先生よりBINDSの現状・課題について御説明をお願いいたします。
 
【井上PS】
ページ数、3ページ目をよろしくお願いいたします。ページを繰っていただけますでしょうか。その次のページをお願いいたします。
 このページが一番分かりやすいと思うのですけれども、全国に56か所の先生方が、ここに絵が示されていると思うのですけども、大型の非常に大きな装置ですとか、あるいは高額の装置を全国津々浦々に配置しまして、全ての研究者の方々が、「知って 使って 繋がって 飛躍を遂げるあなたの研究」ということで、あくまで先生方の研究を支援するというのがBINDSでございます。
 ここにユニットと書かれているのですけれども、基本的に6つのユニット、構造解析とか、インシリコとか、いろいろありますが、こういうユニットに分かれておりまして、あと、連携・融合ユニットということで、1つの依頼に対して連携して支援するというような7つ目のユニットを、真ん中一番下ですけれども、BINDSの司令塔機能といったところで全てコントロールしながら、事業間連携とかいうのを一生懸命やっているところであります。
 次のページが、56か所の先生方のお名前等が挙がっているのですけど、ここは割愛いたします。
 その次のページをお願いいたします。ここは今までの支援件数をグラフで表しているのですけども、これ見ていただくのが一番いいのですが、少し上のところ、数字だけ御確認いただければと思うのですが、平成29年から令和3年度に行われたBINDSのフェーズ1の5年間で、3,000件を支援させていただいております。
 先ほどお示ししました大型の装置とかを使いまして構造解析をしてくださいということに対して、構造解析できましたよとか、そういう支援が3,000件あったということなのですけれども、これどんどん人気が出ておりまして、今、令和4年度から6年度ですけれども、既に3,000件を突破しておりまして、年間大体600ぐらいだった支援が、今、年間1,000件を超えてくるようになりまして、170%ぐらいになっているというような具合で、かなり伸びてきております。
 見えてきた課題というところをまとめさせていただいたのですけれども、支援件数自体はほぼ限界を既に超えているというところで、56名の先生方のアンケートを取りましたけれども、自分たちの運営費交付金だとか、奨学金だとか、自分たちの持っている予算を持ち出ししながら支援させていただいているというのが現状でございます。
 これはメリットもありまして、その下のところですけれども、かなり依頼件数があるということなのですけれども、面白い課題が来ると、『Nature』とか、『Science』とか、ハイインパクトな論文が書けたりとか、あるいは、その後の共同研究につながって大型研究費の獲得につながるとか、いろんな形で先生方にもメリットがあるというようなことで、なかなか研究費、BINDSだけの支援だけではなかなか難しい費用の中で工夫しながら支援していただいているという状況です。
 その下側ですけども、これをさらにこういう支援をもっと効率化していこうというようなことで、例えばですけど、COVID-19なんかの経験を踏まえて、もう少し、感染症なんかだと、一気に我々、BINDSだけでも、司令塔機能を使って全体を動かしていくような、そういう効率化が必要だろうというようなことが課題としてございます。
 次のページお願いします。これが今のBINDSのフェーズ2と呼んでいる令和3年度からの3年間のいわゆる成果というところなのですけれども、先ほど申し上げましたとおり、COVID-19の経験ということがありましたので、司令塔をつくり、まずは、左上、恐縮ですけれども、小さくて見えにくいかもしれませんが、緑色のところ、AMEDの中の1本の柱として立つよりは他の事業の下支えをする国家基盤としてのBINDSということをはっきりと認識しまして、ワクチン・モダリティー研究支援事業というようなところにサポートすると。こういうことをやって次の感染症に備えるということを3年前に練習問題やりまして、そしたら、去年の8月ですけれど、右側に移りまして、真ん中辺ですけれども、緊急事態宣言がWHOから出たということで、支援依頼をいただきまして、SCARDAと呼んでいるところに対して21日間でタンパクを提供し、そうすると、2番のところですけど、すぐにマウスを使っていい抗体が取れたよということで、次、3番ですけど、私たちはクローンをたくさん20種類ほど取りまして、次、日本に上陸したときにはしっかりと対応できるよう、4番のところですけど、検査キットができていたというようなことで、年内、5か月以内にプロトタイプの検査キットができていたということでございます。
 そういったこともあって、BINDSのほかのチームも全てまとめ上げるというようなネットワーク、感染症ネットワークをつくりまして、調整費も頂くなどして、次、感染症が来たときにしっかりと対応できる体制はBINDSとしてはできているということでございます。
 それから、下の真ん中辺ですけれども、クライオ電顕、これがフェーズ1のときの非常に大きな目玉事業ではあったのですけれども、そういったことで、溶液中の構造、結晶構造解析ですと構造が1つということなのですけれども、これ2つ輪っかのついたようなやつとグレー色のねずみ色のタンパクが2つくっついているわけですけども、そういったことが一手に溶液中で取れてくるというような、そういう成果を代表例として挙げておりますけれども、こういった構造が取れるとか、あるいは世界で唯一なのですけども、バイオセーフティーレベル3に及んでいる非常に危険なウイルスや感染症が入ってきたときに、クライオ電顕を設置して稼働しているのは日本だけで、北海道大学なのですけれども、それで今COVIDの生ウイルスの構造をとらえたというような、こういう成果が出たり、あるいは下の導出例ですけれども、十数億で世界に導出したりとか、そういう成果が少しずつですけれども、基礎のBINDSでありながらも、こういう成果が得られているという状況です。
 次のページをお願いいたします。幾つか問題が出てきたということで、その課題をリストアップしまして、4つに分類して、これから御説明をさせていただきます。
 上段のところは、現状、それから下のところがそれに対する対策案という形でまとめさせていただいております。
 まず、私たちは、全国に広がっておりますコアファシリティー、研究のエコ化というところなのですけど、私たちBINDSはAMEDの中にあるということで、やっぱり国全体の創薬のエコシステムに基盤整備事業として貢献できるんじゃないかということで、多面的な、本当に件数が増えてきたので、多面的に面で支援をしようとか、あるいは、他事業に対する支援をどんどん進めていくことで効率的に創薬研究を進めようという、こういう姿勢でやっております。
 そういった対策案の中で出てきたのが、左側の先ほどの緑のバーなのですけども、私たち、こういう他事業をやっていこうということで調整が進んでおりますし、真ん中のところは、やはり多事業連携となると、責任を、私たちBINDSでまとめていこうということで、どなたもよろず相談窓口に相談してくださいという、こういう窓口を設けて、適切な方をしっかりとチームを編成して支援できるような、こういう支援センターみたいなものを設けていくのが事業間連携を促進する非常に重要な目玉になるだろうというような志で、今調整しております。
 それから、右のところは、これも各地域にBINDSの先生方おられますので、医学部の先生方から依頼を受けて、支援して、先ほどのチームで支援したりとかしますと、やはりAMEDの予算、当たりやすくなるということで、WIN-WIN-WINをどうやってつくるかということを検討しながら、これはやっぱり全国の創薬リテラシーが上がっていくだろうと考えておりますけれども、こういうFast Track Projectと呼ばれるようなBINDSの中の事業ですけども、個別課題に対しても予算も出しながらチームで支援するというような試みをしているところであります。
 下のところ、次のページをお願いいたします。データベースのお話がございましたけれども、やはりBINDSの中でもデータが出てきまして、先ほどもありましたけど、構造がいろいろ取れるということは、オープン/クローズ、これ絵にしておりますけれども、こういうのが一手に取れるわけですね。そうすると、MD計算なんかに持っていって、動きを捉えるとか、あるいはその下ですけれども、今、他事業ですけれども、アンメット・メディカルと言われているがんの抗体、ことごとく取っているような、そういう事業があります。それとゲノムとの間をつなぐようなことをやって、未病・予防のデータベースをつくってあげようというようなことも動きとして出ておりますし、それから右のほうですけれども、化合物ライブラリーの結果をどんどんデータベースに蓄積していくことによって確率の高いシーズを発掘するというような、こういうことを今後やっていくべきだろうと考えておりまして、こういうことをなかなかできてなかったのですけど、トライしていく必要があるだろうと思っております。
 下のところなのですけども、これはWetとAIのところですけど、これは人材育成のところかぶりますので、飛ばさせていただきます。
 その次のページをお願いいたします。3-1と3-2が2ページにつながっているのですけども、3-1のところは、汎用機器の更新・保守というお話でございます。大型の装置はBINDSで整備していくわけですけども、これは1つあっただけでできるわけではなく、汎用の装置が非常に重要になってくるわけですけども、これがかなり老朽化しておりまして、皆さん研究費を持ち出しているという状況なのですけれども、こういったことに対して対策案としては、受益者負担の考え方もありますし、あるいは支援センターを集約化して汎用装置を並べるとか、効率のよい支援を検討していくべきだと考えております。
 その次のページをお願いいたします。同じく費用負担というところなのですけれども、先ほどは装置でしたけれども、やはり消耗品とか、こういったところを負担していただきながら、もう少し効率のよい支援を検討していくべきだというふうな提案でございます。
 右下ですけれども、消耗品等、あるいは技術そのものを国産化していく必要があるだろうと私たち判断しておりまして、いろんな消耗品、一番下にありますけれども、こういったものも日本製のものをどんどん、あるいは日本の技術を反映させていくべきだろうと考えているところでございます。
 その次のページお願いいたします。人材育成というのは非常に重要でございまして、今、取組、真ん中の段ですけれども、クライオ電顕、これをちょっと強調させていただきますけれども、2018年、当初、クライオ電顕を入れるときにはなかなか使えなかったわけですけれども、導入して、2022年、3年もたちますと、1台当たりの論文数は世界一になりました。やはりBINDSの仕組みというのは非常に重要で、どんどん使いに来ていただいて皆さんに学んでいただくというような、こういうBINDSの仕組みがありますので、こういったことで最先端機器の普及というようなこともできますし、そこに日本のオリジナルの技術であれば、日本の装置メーカーも非常に大変喜ぶという、こういうBINDSですので、こういったことをもっと組織的にやっていくべきだろうと考えております。
 左下ですけれども、先ほどちょっとありました、データベースの話ですけど、私たちProtein Data Bankがあります。タンパクの構造を解けば、どんどんデータベースをつくっていって、今、23万個ぐらい構造があるわけですけど、そこから出てきたのが、AlphaFold、ノーベル賞になりましたけれども、まだまだタンパク・タンパクの複合体の構造予測なんていうのは難しいわけですが、これ、抗原抗体の複合体なんか、なかなかAlphaFoldがまだできないわけですけど、これの世界大会をBINDSでやってやろうというような、そういう仕組みを今考えて、今、NPO法人を立ち上げているところなのですけども、そこにBINDSは、私たちは後援という形で、構造の提供をしたりとか、タンパクの生産をしたりとか、あるいはAIのグループもありますので、この人たちに参加していただいて、日本発のPPインタラクションの予測とか、そういったことをやってやろうみたいなことを今考えております。これは世界大会ですので、世界も入ってくると、どこが一番強いのかみたいなことを日本がいち早く知ることによって国益にもつながる、そういう事業を起こしてやろうということを今考えているところです。
 それから、右側ですけども、これは事業間ですね。1つ上にあるのが、私たちのBINDSの中で異分野連携をやると非常に業績がよくなったわけです。これは事業間でやりますと、全く知り合う機会のなかった人たちが、チームで支援することで、若手同士が知り合いになり、それが次の世代のBINDSを担う方々になるだろうということで、いろんな分野の知識を持った方々とつながるということで、非常に大きな国力につながるんじゃないかみたいなことをデザインしていきながら、人材育成をしたいと考えているところです。
 雑駁な急ぎの御説明で恐縮ですけれども、最後は参考資料ということでお願いしたいと思います。以上が私からの説明となります。
 以上です。ありがとうございました。
【杉本主査】
 御説明ありがとうございました。では、ただいまの説明について、御意見、御質問等ありましたら挙手ボタンでお知らせください。
 ちょっと時間が押しておりますので、質問及び回答はなるべくコンパクトにお願いいたします。では、夏目委員からお願いします。
【夏目委員】
 ありがとうございます。BINDSでの成果について、一部、製薬企業への導出の成功例があるようなのですけれども、そういった導出を助けるような製薬企業などのライフサイエンス系企業との連携というのが実際に行われているのでしょうか。
【井上PS】
 典型的な例がクライオ電顕だと思うのですけれども、やはり十数億、20億するような装置をなかなか製薬企業も導入が二の足を踏んでいたわけですけども、そういったことを、私たち成果を示すことで、これならかなり使えるね。例えばサンプル量なんかでも、結晶化に比べると2000分の1で済むとか、すぐにデータ収集を始められるとか、そういったいろんな成功例を出してあげることで、製薬企業もよし導入しよう、人材いないねってなったときに、BINDSで鍛えられた人をどんどん実は製薬企業に就職していったわけなのですけれども、そういった貢献ができておりまして、各種大型の製薬企業は導入していますし、小さいところは、私たちに使いに来ていただいて、共同研究に移行するという形で企業の支援も実はさせていただいております。
【夏目委員】
 あともう1点なのですが、今は餅は餅屋のような体制で、技術をとにかく磨いていくというようなスタイルだと思うのですけれども、それだと、やはり例えばその人材が引き抜かれてしまうと空洞になってしまうというリスクがあるのかと思ったので、共同研究する際に、例えば相手方から研究員を招いて、教育も含めて一緒にやるというようなことはされないのでしょうか。
【井上PS】
 そこの点は私たちも体制を整えておりまして、当初、クライオ電顕でそういうことが起こったのですけれども、今はドクターを送っていただいて、昔の高エネ研のときもそうなのですけど、助っ人制度とかいって博士研究員を送っていただいて返すというような、そういうやり方で、それに倣ってOISTで実は送っていただければ教育しますよみたいな人材育成をプロジェクトにしているような、そういう支援メニューもございまして、これが各地で進んでおります。
【夏目委員】
 分かりました。ありがとうございます。
【杉本主査】
 坂内委員、お願いします。
【坂内委員】
 ありがとうございました。ワクチン新規・モダリティー研究開発事業との事業間連携によってMpoxにいち早く対応されたというのは大変すばらしいことだと思っております。これはAMED様の中で動かれたということでしょうか。
【井上PS】
 BINDSが、実は、ゾコーバ、6ページ目にあるのですけれども、そこの真ん中辺に記載させていただいたのですけれども、私たち、既存薬のライブラリーも整備していて、そこに感染研の渡士さんが使われて、化合物ヒットしたのですが、別の我々のインシリコグループが、同じ化合物を計算で当てていたんですね。これがもっと連携が速かったら日本が一番最初に治療薬つくれたなという、そういう反省というか、経験をもとに、実はこういう支援体制というか、連携体制をちゃんとしましょうということで、自主的に実はMpoxに対しては、即日、その日のうちにやりましょうということで、SCARDAと連携させていただいて、世界最速で検査キットができたというところでございます。
【坂内委員】
 ありがとうございます。この動きが本当にコロナのときになかったということで学術会議でも問題になっていたことでございまして、今後もこのような迅速な対応で、いち早く動ける、そのためにはやはり予算が必要ということで、もしそのときに早く動ける予算があるといいなと思いました。
【井上PS】
 ありがとうございます。
【杉本主査】
 洲﨑委員、お願いします。
【洲﨑委員】
 ありがとうございます。技術の国産化というところ、非常に重要かと思いまして、先生方の取組、非常にすばらしいなと思って拝見しておりました。BINDSの中で、特にこの支援、あるいはこの領域に関してはシステミックに国産化をやっていくというような、そういった動きというのは現在ございますでしょうか。
【井上PS】
ページ10ページ目を御覧いただければと思うのですけど、少し端折ってしまったんですけれども、ゲノムの装置なんかというのは本当に大変で、10Xとかよく言われているんですけど、1発100万円、シークエンスロングリードを読めるとかいうような装置があるんですけれども、こういったところに対応できるような、1つ、1回やって10万円ぐらいで済むような、そういう情報を得るような国産の技術というようなことを立ち上げて、それぞれの先生方が志を持ってつくっているんですけども、そういったことをやっていって、少しゲノムと、それから、そこから得られるシグナル伝達の情報なんかをデータベースにしていこうみたいなことの動きはございます。
 やっぱりどんどん海外のを使えば使うほど、いい技術が海外からまた出てきて、また、我々がそれを追いかけているうちに、海外がまたもっといいやつをつくってくれるという、こういう状態がずっと続いておりますので、最後の補足参考資料のところで書かせていただいたのですけれども、実はこれ、日本の病院を4つ海外につくると、日本の病院で習った技術を世界の方々がそこで勉強してという、これ私たちが実は仕掛けたことで、日本経済新聞の1面に出たりとか、そういうことがあったのですけれども、やはり日本の技術をBINDSの場で学んでいただいて、それでメーカーさんが海外に出ていきやすいとか、そういった国際連携の中で日本の技術を学んでいただくと、こういうことが非常に重要で、今、BINDSはそれまではずっと国内オンリーだったんですけど、感染症関係では、世界から日本に来ていただいて、ただし、海外に対する支援というのができないので、特に北海道大学の前仲先生との共同研究の中で、私たちは北大に対する支援、あくまで国内への支援ということを通じて、海外の方に日本の技術を学んでいただくと、そういう形で日本の技術を世界にも届けていって、日本のメーカーをもうちょっと強くしないといけないですねという議論は実はしております。以上です。
【洲﨑委員】
 ありがとうございます。BINDSだけではなくて、恐らく企業さんとか、スタートアップなんかの関与もかなり重要だと思いますので、ぜひこういった活動を続けていただければと思います。どうもありがとうございます。
【井上PS】
 ありがとうございます。
【杉本主査】
高鳥委員、お願いします。
【高鳥委員】
 御説明ありがとうございます。BINDS事業、創薬研究を含めて、生命科学の基盤事業としてずっと続いていて、すばらしい取組をされていると思います。特にクライオ電顕などは数年前に入って、それが普及した1つのきっかけになると思っています。機器については老朽化など深刻な課題があるということなのですが、一方、先端的な機器というのは引き続き導入を検討していく必要があると考えています。例えば一例を挙げれば、1.2GHz以上の超高磁場NMRなどは、世界中で10台以上入っているのですけど、日本には入ってないというような状況があるということを聞いておりまして、そういった先端的な機器については、フラッグシップ機器として、少なくとも1台でも日本に入れて、アカデミア研究者や企業の研究者も含めて集まって人材育成や方法論の確立とか、そういったところを進めていくことが必要ではないかと思うんですが、その辺りの動き、検討というのはどのようになっているんでしょうか。
【井上PS】
おっしゃるとおりでございまして、今、文科省のほうで鋭意検討していただいているところでございまして、もしそういったことを導入して、一研究者のところに入って、閉じた形ですと、やっぱりクライオ電顕と同様のような広がりというのはなかなかないので、やっぱりBINDSのシステムの中にそういう最先端研究を、タンパク質科学に関わるところとか、そういったものの最先端装置をBINDSに入れていただけると、私たち教育とセットで全国に広げることができるのではないかなと思っておりまして、今、高磁場NMRに関しては、そういうところの検討をしていただいているところでございます。
 現状はありませんので、そうした場合に、今、日韓で、韓国のを借りさせていただいたりとかしながら、今、現状維持しているのですけれども、おっしゃられるとおりで、今後もそういう新しい技術というのはどんどん導入しながら国産化も行うということで、両輪かなと考えております。以上です。
【高鳥委員】
 ありがとうございます。前向きに御検討いただければありがたいと思っています。よろしくお願いします。
【杉本主査】
 井上先生、ありがとうございました。では、次に移りたいと思います。
【井上PS】
 ありがとうございました。
【杉本主査】
 では、時間が押しておりますので、申し訳ないのですが、AI for Life Scienceについて、事務局からできるだけコンパクトによろしくお願いいたします。
【倉田ライフサイエンス課長】
 それでは、資料2-5に基づきまして簡単に御説明させていただきます。
 私のほうから御説明するまでもなく、ライフサイエンス分野でのAIの活用といったところがこの数年で急速に進展をしておりまして、論文状況で見ますと、1ページ以降、グラフもつけておりますが、非常にこの5年間で急激に伸びてきております。1ページ、2ページ、3ページ、4ページ。
 ただ、日本の立ち位置、どの分野も、やはり中国、アメリカの論文数が非常に多い状況ですが、日本はどうしてもこういった論文数の状況になっており、かつ引用数もなかなか伸びてないというのが状況になっております。
 また、実際に、5ページでございますが、いわゆるAIを活用したモデルと言われるものですけども、2021年のAlphaFold2の誕生が大きな転換点となっており、また、さらに2023年の生成AIブームからも受けて、非常にいろいろなタイプの基盤モデルなどが増えてきているという状況になっております。
 例えば、7ページですが、ゲノムの情報を読んで、いろいろな新しいDNAの配列の生成なども可能になるEvo2などですとか、あるいはそれを使って、8ページですけども、構成物質に耐性のある大腸菌株に感染するバクテリオファージを設計・生成したというような研究も発表されております。
 また、いろいろなデータ、疾患のデータ、疾患の情報など、9ページですけども、使って、これ英国のバイオバンクとデンマークの疾患の患者様の記録を使ったモデル、疾患予測のモデル、こういったものも開発をされ公表されております。
 もちろんまだ研究段階のものでありまして、この疾患予測モデルも、まだまだ実際に医療に使えるという段階にはございませんが、このような形で、AIの活用により、今まで非常に時間のかかっていた研究が非常に高速にできるようになる、あるいは予測するというところの精度が上がっているというのが状況でございます。
 このような中で、10ページでございますが、アカデミアにおける議論の一例としまして、英国王立協会と米国科学アカデミーが、昨年、これは合同でのフォーラムを開催しておりまして、AIがもたらし得る可能性とともに、AI、どうしてもブラックボックスのようなところもございますので、そういった中で、どのように科学者が責任を持ってこれを使っていくのか、そのようなことの議論がなされたりしております。
 こういう研究の進展の動きの中で、各国政府も動き出しておりまして、11ページがアメリカのAIアクションプランでございますが、ホワイトハウスが発表しましたAIアクションプランの中でも、AIを活用した科学への投資というところで、特にライフ分野でも生物学的な基盤モデルの構築も見据えながら、全米のいろいろな生物の全ゲノム解析などもやっていくといったことですとか、バイオセキュリティーへの投資、こういったところにも言及があったところでございます。
 また、12ページですが、GAFAを中心としたモデルの開発がこの数年は進んでおりましたが、GAFAだけではなく、裾野を広げていくということで、アメリカの全土の大学等の学生さんや若手の研究者なども計算資源を活用できるような、そういったスキームなども加速してきております。
 また、2025年10月、13ページですが、欧州のほうからもAI in Scienceの戦略というのが発表されておりまして、人材、計算資源、研究資源、データ、この4本柱で様々な政策が打ち出されております。特にヨーロッパは、Horizon Europeというファンディングの仕組みがございまして、その中から、AI in Scienceの分野に資金を投資する、そこを増加させるというようなことが掲げられております。
 また、このAI in Scienceの特に焦点を当てていく分野としては、マテリアルとバイオというのが挙げられている状況でございます。
 また、14ページですが、先週の21日にイギリスの英国政府のほうからもAI for Scienceのストラテジーというのが発表されました。こちらも優先分野、5分野掲げられておりますが、そのうちの2分野が、エンジニアリングバイオロジーと医療研究とライフ分野が5分の2を占めているという状況になっております。
 また、ここも欧州と同じように、データ、計算資源、人材、こういったところに焦点を当てておりますけれども、やはり計算資源をできるだけ若い方々含めて、チャレンジングな課題にも計算資源を配分する仕組みですとか、あるいは、AI for Scienceの博士課程のプログラム、あるいはトレーニングのプログラムなどを通じて研究者の育成をしていく、あるいは技術者の養成をしていくといったこと、そして、この資料の最後ですが、チャレンジングな野心的なミッションを掲げて、それに官民で取り組むんだということで、ミッションの第1弾として、臨床段階に入る前の段階を100日以内にするという、2030年までに100日以内にする、そういった創薬を目指すんだというような、かなり挑戦的なミッションでありますが、そういったものを掲げて進めるといったことが発表されているところでございます。
 そういう中、日本ではというところでございますが、15ページ、まず、AIの基本計画の議論が人工知能戦略専門調査会で進められておりまして、これは11月に資料として配付されております骨子にもAI for Scienceといったところを柱として言及をいただいております。
 また、16ページでございますが、先週21日に閣議決定されました経済対策でも、AI for Scienceの戦略方針を今年度内に策定をしていくといったところも言及いただいており、文科省としましても、具体的な取組を今後進めていくこととしております。
 また、科学の再興という、これは第7期の基本計画に向けた検討会議でございますが、この中でもAI for Scienceについて言及いただいておりまして、ここのライフサイエンスやマテリアルをはじめとする重点分野でAI for Scienceをしっかりやっていくといったところについて御提言をいただいているとともに、先ほどからも前半でも御議論ありましたデータの扱い、そういったところのデータのしっかりと整備をしていくといったところですとか、バイオリソースのようなデータを創出する基盤をしっかりと整えていく。このような重要性についても言及をいただいているところでございます。
 そういう中で、今後文科省としましても、AI for Science、特にライフサイエンス分野、しっかり進めてまいりたいと思っておりまして、そういう中で、最先端のデータを創出する実験科学と、また、先ほどのいろいろな計測機器等の国産技術の必要性などもございましたけども、そういった企業とも連携をしながら、良質なデータをしっかりと取り、そしてそれをきちんとデータとして整備していく、この辺りの取組と一体となってAI for Scienceを進めてまいりたいと思っております。
 また、データについて少しだけ言及をさせていただきますと、19ページにございますように、現在、いろいろな主要なモデルでは公開をされている大規模なデータセット、特に海外で整備されてきているデータセットですとか、あるいはPDBなんかもちろん日本がその一翼を担ってデータを提供してきているわけでございますが、こういった公開のデータベースが使われてきているところでございますが、今後、こういったデータも頭打ちになるというところもございますし、あと20ページですが、どんどんどんどんモデルが大きくなればなるほど必要なデータ量が増えていくという中で、どのようにより高精度なモデルをつくるための高品質で大量のデータを取ってくるかというところが課題になってくるというところでございますので、先ほどの御説明のありました前半のバイオリソースですとかライフサイエンスデータベースの事業を、今後の検討に当たりましても、こういったAI for Scienceを推進するためのデータ基盤の在り方といったところについてぜひ御議論いただけたらと思っております。
 また、最後、セキュリティーの観点でございまして、これは21ページですが、米国のNAS、科学工学医学アカデミーの報告書でも、やはりAIの活用には恩恵がもたらされる可能性が非常に期待されるわけですけれども、リスクも無視できないと。現時点ではまだまだAIツールにも限界があり、複製可能な複雑な感染性のあるような生物学的なシステムを構築するというところまでは、物理学上難しいというところではございますが、ただ、いろいろな今後の研究が進展すれば、やはりいろんな障壁も下がってまいりますので、注視が必要と、そのような指摘もされておりまして、こういった議論というのが今後、進めていくことが重要であると思っております。
 また、アメリカのほうでも、NIHのほうも、21世紀にふさわしいバイオセーフティーの枠組みを構築するということで、1年かけて議論していくということも発表されておりますので、日本政府としましても、こういった動きも注視をしながら、AI for Scienceを進めながらも、安心した成果を生み出せるように、そういったところにも注視をしながら取組を進めていくことができればと思っておりまして、先ほどの前半でありました3つの事業の今後の在り方につきましても、こういった点についても含めてぜひ御議論等いただくことができればと思っております。
 すいません、ちょっと簡単ではございますが、以上でございます。
 
【杉本主査】
ありがとうございました。私の仕切りが悪くて時間が押していますので、今の御説明については、ここで質問を受けず、全て関係していますので、次の全体討論の中で、御質問、御意見等承れればと思います。
 では、次の議題に進ませていただきます。「全体討論及び今後の議論の方向性について」となります。これは今までのプロジェクトごとの議論を踏まえて、ライフサイエンス分野の基盤事業の在り方について、全体的な御意見をいただければと思います。
 では、まず、事務局が考える主な論点を御説明いただけますでしょうか。
【倉田ライフサイエンス課長】
 ありがとうございます。もう既にいろいろ御質疑ですとか、御議論の中で触れていただいておりますので、こちらから詳細の御説明は省略させていただきますが、それぞれのPD・PSの先生方にまとめていただきました資料から、先生方から課題、あるいは提案といったところで挙げていただいた点を中心にまとめさせていただいております。
 共通する事項としましては、やはり繰り返しですが、AI for Scienceをはじめとする新しい潮流にどのように対応していくのか、もちろん予算的な拡充の必要性というところもございますが、やはりどう濃淡をつけていくかとか、そういったところも含めてぜひ御議論いただければと思っております。
 また、データにつきましては、標準化ですとか、あるいは持続可能な形でどうしていくかといったところ、あるいは海外との連携、あるいはそれを国際的にも対応していくためにも、ナショナルセンターとしてどのようにこういった持続可能な形でやっていくかといった点ですとか、あるいは、特にBINDSですと、いろいろな機器の更新ですとか、そういったところも重要になりますので、人材育成も含めて、ぜひどういった形の持続可能な形が重要かといったところをぜひ御議論いただくことができればと思っております。
 既に触れていただいている点でございますので、先ほどのAI for Scienceも含めて、ぜひ御議論いただければと思います。以上でございます。
【杉本主査】
 ありがとうございました。では、ここから全体、意見交換ということになりますが、やはり今日御説明いただきましたNBRP、NLDP、BINDS、それからこれからのAI for Life Scienceは、我が国のライフサイエンスの基盤として非常に重要な事業でありまして、いずれも相互に関係しているということもございますので、これまでの個別の事業についての御質問、御意見に加えて、事業全体としてどういうふうにするべきかということについて御意見等ございましたら御発言お願いいたします。
 挙手をお願いできればと思います。いかがでしょうか。
 武田委員からお願いします。
【武田委員】
 全体だとちょっと大き過ぎてどこからと言っていいか分からないですけど、起点として、私自身はバイオリソースにも関わっていますし、お世話になっているという観点で、その観点から少しだけお話しさせていただきます。
 バイオリソース、既に御説明のあるようにずっと発展してきたのですけれども、バイオリソースの要求が時代とともに変わってきているということを強く感じています。
 つまり、マウスとか、それからゼブラフィッシュ、ハエ、線虫、植物でいうと、シロイヌナズナみたいな、要するビッグなチャンピオンのモデル生物に対して、ここで書かれているように、やっぱり時代とともに、ワンヘルスみたいな影響もあるんですけれども、地球の中で生きる生物と、環境がどうインタラクションしているかというのはすごく、ヨーロッパのさっきのHorizonの中にも入っていますけれど、研究者としての興味に広がりと実際の研究が進んでいます。
 そういう中で、従来のチャンピオン的なリソースをアップデートしながら、さらに、環境問題などの新しいところに注力するような、活用できるようなバイオリソースをさらに発展させていくということをぜひ全体として議論いただきたい。実は今までのリソースの中でも、自然環境との相互作用という意味では、いろんな地域集団を集めているリソースもたくさんあって、実はようやく時代が追いついてきたというようなリソースも見受けられます。
 このようなトレンドの中で、ある程度、注力して育て、そこからゲノム情報、エピゲノム情報も含めて、いろんな形質も含めて抽出しながらAIにつなげるということを議論すべきかなと聞いていて感じました。
 その際、やっぱりシロイヌナズナは全世界的に仕事は進んでいますが、例えば日本独自の自然集団からのコレクションなんかも、実は世界的に研究者が注目されているというところもあります。いろいろ精査しながら選んで、そしてできれば次の世代に発展させるために、そのリソースの周りに研究者集団をつくらなきゃいけないんですよね。このような流れを呼び込むための、研究員などの人件費というものに落ちるかどうか分かりませんけども、リソースのまわりにシステムを構築しながら、次の世代の新しいリソースをつくって、それを徹底的に研究者が解明し、そして、そこから出てきた情報をAIを使って解析するという流れがいいのかなあと感じました。
 意見です。以上です。
【杉本主査】
 ありがとうございます。こちらについて、小原PDあるいは事務局から何かコメントございますでしょうか。
【小原PD】
 まさに議論しているとおりのことを言っていただいて、そのとおり進めていきたいと。ただ、予算がどうなるかにもよりますけれども、研究グループをつくらないといけないというのはまさにそのとおりで、研究コミュニティー次第なのですよね、今、武田委員がおっしゃったこと。それをつくるためにはやはりコアになる新しいリソースの構築とか、技術開発とか、その辺りを支援していくというのが一つかなと考えています。いずれにしても武田委員がおっしゃっていることはまさに我々が考えていることと同じことです。ありがとうございました。
【武田委員】
 そこから出てくる、いろんなゲノム、エピゲノムの情報がものすごく重要で、環境と生物の相互作用を理解するため、生物そのものを理解するため、それらが役立つなと思っています。それこそ僕はAIの世界かなと思っています。
【小原PD】
 まさにおっしゃるとおりなのです。ただそれをやみくもにやってもしようがないので、きちっとその先を見据えて戦略的にデータを取っていきたいなと思っております。
【杉本主査】
 ありがとうございます。夏目委員、お願いします。
【夏目委員】
 ありがとうございます。私からはデータの観点でコメントさせていただきたいのですけれども、本日はデータの収集ですとか利活用というところを中心に議論があったのですが、やはりストレージですとか計算基盤をどのように確保していくかというところとセットで考える必要があるかと思っておりまして、やっぱりデータの収集をすれば、それを安定的に蓄積していくためのストレージ、オンプレミスのサーバーなのか、クラウドなのか分からないですけども、そういったものがどんどんコストが上がっていくということを意味しますし、さらには基盤モデルの構築というところのお話あったんですけれども、そこまで考えると、とてもじゃないけども、個人レベルで獲得できる研究費では全く太刀打ちできないぐらいの計算コスト、費用面でかかってくるということもあります。
 ここでもし海外のクラウド、プラットフォームなどに頼ることになると、私たちが日本国内で研究を頑張れば頑張るほど国外にお金が流出してしまうということにつながらないかというところを危惧しておりまして、国内のそういった計算基盤やストレージなどの企業と組んで共に成長していくという体制を考える必要があるのではないかと考えております。コメントは以上です。
【杉本主査】
 ありがとうございます。今の御意見について、高木PD、いかがでしょうか。
【高木PD】
 全くおっしゃるとおりだと思います。大量のデータがこれからますます出てまいりますので、それを日本でもきちんと管理する必要があり、それは企業との連携も含めましてやっていく必要があろうかと思っております。以上です。
【杉本主査】
 ありがとうございます。続いて坂内委員、お願いします。
【坂内委員】
 ありがとうございます。ナショナルバイオリソースプロジェクトの今後のライフサイエンスの潮流に対応するための体制について意見を申し上げます。
 今、外国のほうでは動物実験が禁止されるようになり、とりわけ霊長類などはとても厳しいと伺っております。そういう意味で、諸外国では難しい実験だけども、日本ではできるなどというようなバイオリソースは価値があるのかと思います。現在、ニホンザルのデータベース、バイオリソースがあるということですが、今後、霊長類などは拡充していく御予定はありますでしょうか。
【小原PD】
 霊長類の拡大、これはどうなのかな。動物愛護の問題はいろいろな声が聞こえております。国内では、ちゃんと規制を守ってやっているところですし、旧霊長研では、あそこに行ってやるような解析プラットフォームをつくったり、そういうことも考えておられるのですが、それ以外に関しては、先生おっしゃるのはどういうことですか。例えば、カニクイザルとか、そういうのも当然あるのですけど、創薬関連では、そういうリソースのことでしょうか。
【坂内委員】
 そうですね。あとは、理研のほうでマーモセットは研究されておられると。
【小原PD】
 マーモセットですね。それは既に供給ルートがあるので、この事業で扱わないといけないかどうか、よく考えていきたいと思います。
【坂内委員】
 分かりました。ありがとうございます。
【杉本主査】
洲﨑委員、お願いします。
【洲﨑委員】
 先ほどの計算資源の御質問にちょっと関連するところなのですけども、ストレージもそうなのですが、やはり一番足りないのは多分GPUで、これをどのように国として確保していくかって、かなりシビアに考えないといけないのかなと考えております。これはもちろんリソースセンターだけでは全然検討できない事項で、恐らく国家レベルでどのようにGPU、計算資源を確保して、リソース化するかというところを少し検討いただければよろしいかなと思います。コメントでございます。
【倉田ライフサイエンス課長】
 ありがとうございます。一言だけ。今、計算資源のところにつきまして、文科省のほうも非常に重要な課題だと思っていまして、AI for Scienceも単に基盤モデルをつくるというだけではなくて、この計算資源の話、あるいはデータをどういうふうにストレージし、あるいは整備していくか、そことセットで考えております。
 また、理研のほうでも、AI for Science用のGPUなども整備いただいていて、そういったところをどのように今後、共同研究などでも使っていただけるかというところも含めて、国全体でも検討していきたいと考えております。ありがとうございます。
【洲﨑委員】
 ありがとうございます。
【杉本主査】
 ありがとうございます。では、私から1つだけコメントですけれども、全ての事業において、高度専門職といいますか、高度研究支援人材がやはり必要で、そのキャリアパスが今ないというところが非常に課題となっているかと思います。こういう基盤事業をサポートする人材をしっかりと確保し、サポートをすることが仕事であるという、そのキャリアパスがないと、ライフサイエンスがこれから本当に先細りになってしまうということで、これは今すぐお答えいただけるとは思ってないので、ぜひ全体、基盤事業全体として御検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【小原PD】
 1ついいですか。
【杉本主査】
 お願いします。
【小原PD】
 まさにおっしゃるとおりなのですが、いわゆる5年10年の任期の問題があって、それを何とかしてくれという悲鳴が聞こえています。これは労働法の問題なので簡単にいかないので、バイオリソースの場合は、どうしても交代しないといけないとすると、技術の継承というのは非常に重要ですので、オーバーラップの間の支援をするとか、そんなことを考えております。
【杉本主査】
 どうぞよろしくお願いいたします。すいません、ちょうど5時になってしまいましたが、本日予定しておりました議事は以上ですが、事務局のほうから連絡事項をお願いしてよろしいでしょうか。
【倉田ライフサイエンス課長】
ありがとうございます。先生方、いろいろな活発な御議論をどうもありがとうございました。本日は、御議論いただく時間が少し限られておりましたので、もし何か御不明な点ですとか御意見などございましたら、メールでも結構でございますので、事務局までお寄せいただければと存じます。
【西山生命科学専門官】
 本日は大変有益な御議論をいただきまして、誠にありがとうございました。議事録は事務局にて案を作成しまして、委員の皆様にお諮りし、主査の確認を経た上で弊省ホームページにて公開させていただきます。次回の本作業部会の日程につきましては未定ですので、追って日程調整の御連絡をさせていただきます。以上です。
【杉本主査】
 ありがとうございました。最後駆け足になってしまいまして申し訳ございませんでした。
 それでは、これで本日の基礎・横断研究戦略作業部会は閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――

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